(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177728
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】液体吐出装置用オプションユニット
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20241217BHJP
【FI】
B41J2/01 301
B41J2/01 401
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096026
(22)【出願日】2023-06-12
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100148323
【弁理士】
【氏名又は名称】川▲崎▼ 通
(74)【代理人】
【識別番号】100168860
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 充史
(72)【発明者】
【氏名】梅田 篤
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA23
2C056EB14
2C056EB39
2C056EC14
2C056EC38
2C056FA10
2C056HA46
(57)【要約】
【課題】動作の安定性が低下するおそれが低減された液体吐出装置用オプションユニットを提供すること。
【解決手段】第1駆動部に供給される第1駆動電力信号を出力する第1駆動電力出力回路において、第1コンデンサーの一端、第1ダイオードのカソード端子、及び第1インダクターの一端は、第1ノードと電気的に接続し、第1インダクターの他端、及び第2コンデンサーの一端は、第2ノードと電気的に接続し、第2コンデンサーの他端、第1ダイオードのアノード端子、及び第1スイッチング素子の一端は、第3ノードと電気的に接続し、第1コンデンサーの他端、及び第1スイッチング素子の他端は、第4ノードと電気的に接続し、整流電圧信号は、第1ノードに供給され、第1駆動部は、一端が前記第2ノードと電気的に接続し、他端が前記第3ノードと電気的に接続している、液体吐出装置用オプションユニット。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体吐出装置に取り付けられて使用される液体吐出装置用オプションユニットであって、
商用電源が入力され、整流電圧信号を出力する整流回路と、
前記整流電圧信号が入力され、第1駆動電力信号を出力する第1駆動電力出力回路と、
前記第1駆動電力信号により駆動する第1駆動部と、
を備え、
前記第1駆動電力出力回路は、
第1コンデンサー、第2コンデンサー、第1インダクター、第1ダイオード、及び第1スイッチング素子を有し、
前記第1コンデンサーの一端、前記第1ダイオードのカソード端子、及び前記第1インダクターの一端は、第1ノードと電気的に接続し、
前記第1インダクターの他端、及び前記第2コンデンサーの一端は、第2ノードと電気的に接続し、
前記第2コンデンサーの他端、前記第1ダイオードのアノード端子、及び前記第1スイッチング素子の一端は、第3ノードと電気的に接続し、
前記第1コンデンサーの他端、及び前記第1スイッチング素子の他端は、第4ノードと電気的に接続し、
前記整流電圧信号は、前記第1ノードに供給され、
前記第1駆動部は、一端が前記第2ノードと電気的に接続し、他端が前記第3ノードと電気的に接続している、
ことを特徴とする液体吐出装置用オプションユニット。
【請求項2】
前記第1駆動電力出力回路は、第2スイッチング素子を有し、
前記第2スイッチング素子の一端は、前記第3ノードと電気的に接続し、
前記第2スイッチング素子の他端は、前記第4ノードと電気的に接続している、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置用オプションユニット。
【請求項3】
前記第1スイッチング素子の一端と他端とが導通に制御されている期間において、前記第2スイッチング素子の一端と他端とは非導通に制御され、
前記第2スイッチング素子の一端と他端とが導通に制御されている期間において、前記第1スイッチング素子の一端と他端とは非導通に制御されている、
ことを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置用オプションユニット。
【請求項4】
前記整流電圧信号が入力され、第2駆動電力信号を出力する第2駆動電力出力回路と、
前記第2駆動電力信号により駆動する第2駆動部と、
を備え、
前記第2駆動電力出力回路は、
第3コンデンサー、第4コンデンサー、第2インダクター、第2ダイオード、及び第3スイッチング素子を有し、
前記第3コンデンサーの一端、前記第2ダイオードのカソード端子、及び前記第2インダクターの一端は、第5ノードと電気的に接続し、
前記第2インダクターの他端、及び前記第4コンデンサーの一端は、第6ノードと電気的に接続し、
前記第4コンデンサーの他端、前記第2ダイオードのアノード端子、及び前記第3スイッチング素子の一端は、第7ノードと電気的に接続し、
前記第3コンデンサーの他端、及び前記第3スイッチング素子の他端は、第8ノードと電気的に接続し、
前記整流電圧信号は、前記第5ノードに供給され、
前記第2駆動部は、一端が前記第6ノードと電気的に接続し、他端が前記第7ノードと電気的に接続している、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置用オプションユニット。
【請求項5】
前記第1スイッチング素子の一端と他端とは第1スイッチング周期で導通と非導通とを繰り返し、
前記第3スイッチング素子の一端と他端とは第2スイッチング周期で導通と非導通とを繰り返し、
前記第1スイッチング周期の周波数と、前記第2スイッチング周期の周波数とは異なる、
ことを特徴とする請求項4に記載の液体吐出装置用オプションユニット。
【請求項6】
前記第1駆動部は、ヒーターである、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の液体吐出装置用オプションユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置用オプションユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液体吐出装置の大型化に伴い、液体吐出装置の一部の構成であって、例えば、ヒーター機構、媒体巻取り機構、インク供給機構等を液体吐出装置の本体から独立させ、液体吐出装置の用途に合わせて組み合わせ、使用する液体吐出システムが広く普及している。
【0003】
例えば、特許文献1には、インクジェットプリンタ(液体吐出装置)と、インクジェットプリンタと独立して設けられ、商用電源が供給されて動作する付属装置としての印字用紙乾燥装置と、を備えた構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載される液体吐出装置用オプションユニット(付属装置)を、商用電源の電圧値等の電源環境が異なる地域で使用した場合、商用電源の電圧値の変化が、負荷に直接影響し、液体吐出装置用オプションユニットの動作の安定性が低下するおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る液体吐出装置用オプションユニットの一態様は、
液体吐出装置に取り付けられて使用される液体吐出装置用オプションユニットであって、
商用電源が入力され、整流電圧信号を出力する整流回路と、
前記整流電圧信号が入力され、第1駆動電力信号を出力する第1駆動電力出力回路と、
前記第1駆動電力信号により駆動する第1駆動部と、
を備え、
前記第1駆動電力出力回路は、
第1コンデンサー、第2コンデンサー、第1インダクター、第1ダイオード、及び第1スイッチング素子を有し、
前記第1コンデンサーの一端、前記第1ダイオードのカソード端子、及び第1インダクターの一端は、第1ノードと電気的に接続し、
前記第1インダクターの他端、及び前記第2コンデンサーの一端は、第2ノードと電気的に接続し、
前記第2コンデンサーの他端、前記第1ダイオードのアノード端子、及び前記第1スイッチング素子の一端は、第3ノードと電気的に接続し、
前記第1コンデンサーの他端、及び前記第1スイッチング素子の他端は、第4ノードと電気的に接続し、
前記整流電圧信号は、前記第1ノードに供給され、
前記第1駆動部は、一端が前記第2ノードと電気的に接続し、他端が前記第3ノードと電気的に接続している。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】液体吐出システムの概略構成を示す図である。
【
図2】液体吐出システムの機能構成の一例を示す図である。
【
図3】ヒーター駆動モジュールの構成を示す図である。
【
図5】駆動制御信号Dr1、及び駆動制御信号Dr2の一例を示す図である。
【
図6】第2実施形態の液体吐出システムが有するヒーターユニットのヒーター駆動モジュールの構成の一例を示すである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて説明する。用いる図面は説明の便宜上のものである。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0009】
1.第1実施形態
1.1 液体吐出システムの構成
図1は、液体吐出システムPSの概略構成を示す図である。本実施形態の液体吐出システムPSは、媒体Pにインクを吐出することで所望の画像を形成する液体吐出装置1と、液体吐出装置1に取り付けられる液体吐出装置用オプションユニットであって、液体吐出装置1が媒体に吐出したインクを乾燥させるヒーターユニット2と、を備える。ここで、
図1では、互いに直交する3つの空間軸であるX軸、Y軸、Z軸を用いて説明を行う。また、以下の説明において、X軸、Y軸、Z軸のそれぞれに沿った方向の向きを特定する場合、図示するX軸に沿った方向を示す矢印の先端側を+X側、起点側を-X側と称し、図示するY軸に沿った方向を示す矢印の先端側を+Y側、起点側を-Y側と称し、図示するZ軸に沿った方向を示す矢印の先端側を+Z側、起点側を-Z側と称する場合がある。
【0010】
また、本実施形態に示す液体吐出装置1は、プリントヘッド22を搭載したキャリッジ21がX軸に沿って往復移動し、Y軸に沿って搬送される媒体Pに対してプリントヘッド22がインクを吐出することで、媒体Pに所望画像を形成する所謂シリアル印刷方式のインクジェットプリンターであるとして説明を行う。なお、液体吐出システムPSが備える液体吐出装置1は、シリアル印刷方式のインクジェットプリンターに限るものではなく、ライン印刷方式のインクジェットプリンターであってもよい。また、液体吐出装置1は、インクジェットプリンターに限るものではなく、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材吐出装置、有機ELディスプレイ、FED(面発光ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材料吐出装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物吐出装置、立体物を生成する立体造形装置、布巾を染色する捺染装置等であってもよい。
【0011】
また、ヒーターユニット2を例示して説明する本実施形態の液体吐出装置用オプションユニットとは、液体吐出装置1を使用する使用者のニーズに応じて、液体吐出装置1に対して選択的な付加が可能なオプションユニットである。この液体吐出装置用オプションユニットは、使用者によって液体吐出装置1に付加される構成に限るものではなく、液体吐出装置1の製造時等の出荷前に、液体吐出装置1の製造者等によって付加される構成も含まれる。すなわち、液体吐出装置1に取り付けられる液体吐出装置用オプションユニットは、液体吐出装置1の外部に取り付けられる構成に限るものではなく、液体吐出装置1と同一の筐体内に組み込まれる構成も含む。また、液体吐出装置用オプションユニットは、ヒーターユニット2に限るものではなく、例えば、媒体Pに吐出したインクを硬化させるための紫外光を照射する光源であってもよい。
【0012】
液体吐出装置1は、制御ユニット10、ヘッドユニット20、移動ユニット30、搬送ユニット40、及びインク容器70を備える。
【0013】
インク容器70には、媒体Pに吐出される複数種類のインクが貯留されている。このようなインクが貯留されるインク容器70としては、インクカートリッジ、可撓性のフィルムで形成された袋状のインクパック、及びインクの補充が可能なインクタンク等を用いることができる。
【0014】
制御ユニット10は、CPU(Central Processing Unit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の処理回路と半導体メモリー等の記憶回路とを含み、ヘッドユニット20を含む液体吐出装置1の各要素を制御する。
【0015】
ヘッドユニット20は、キャリッジ21、及びプリントヘッド22を含む。キャリッジ21は、後述する移動ユニット30に含まれる無端ベルト32に固定されている。プリントヘッド22は、キャリッジ21に搭載されている。プリントヘッド22には、制御信号Ctrl-H、及びヘッド駆動信号COMが入力される。また、プリントヘッド22には、インク容器70に貯留されているインクが、不図示のチューブ等を介して供給される。そして、プリントヘッド22は、入力される制御信号Ctrl-H、及びヘッド駆動信号COMに基づいて、インク容器70から供給されるインクをZ軸に沿って-Z側から+Z側に向かい吐出する。
【0016】
移動ユニット30は、キャリッジモーター31、及び無端ベルト32を含む。キャリッジモーター31は、制御ユニット10から入力される制御信号Ctrl-Cに基づいて、正転、及び逆転するように動作する。無端ベルト32は、X軸に沿って延在し、キャリッジモーター31の動作に従って回転する。そして、制御ユニット10の制御の基で、キャリッジモーター31が動作することで、無端ベルト32に固定されたキャリッジ21がX軸に沿って往復移動する。すなわち、移動ユニット30は、キャリッジ21に搭載されたプリントヘッド22をX軸に沿って往復移動させる。
【0017】
搬送ユニット40は、搬送モーター41、搬送ローラー42、及びプラテン43を含む。搬送モーター41は、制御ユニット10から入力される制御信号Ctrl-Tに基づいて動作する。搬送ローラー42は、媒体Pを挟持し、搬送モーター41の動作に従って回転する。プラテン43は、媒体Pを支持する。そして、制御ユニット10の制御の基で、搬送モーター41が駆動することで、搬送ローラー42に挟持された媒体Pがプラテン43に支持された状態で、Y軸に沿って-Y側から+Y側に向かい搬送される。すなわち、搬送ユニット40は、媒体PをY軸に沿って-Y側から+Y側に向かい搬送する。
【0018】
ヒーターユニット2は、搬送ユニット40に沿って搬送される媒体Pの搬送方向に沿って、プリントヘッド22よりも下流側に位置している。すなわち、ヒーターユニット2は、プリントヘッド22の+Y側に位置している。そして、ヒーターユニット2は、発熱することで、媒体Pに着弾したインクを乾燥させ、媒体Pにインクを定着させる。
【0019】
ヒーターユニット2は、ヒーター駆動モジュール80、及びヒーター90を備える。ヒーター駆動モジュール80は、ヒーター90を駆動するヒーター駆動信号HCを出力する。ヒーター90は、ヒーター駆動モジュール80から入力されるヒーター駆動信号HCに基づいて駆動し発熱する。このヒーター90の発熱によって、媒体Pが加熱される。これにより、媒体P及び媒体Pに着弾したインクが乾燥される。その結果、媒体Pに着弾したインクの定着性が高められる。
【0020】
以上のように構成された液体吐出システムPSでは、液体吐出装置1が有する制御ユニ
ット10の制御の基で、移動ユニット30がキャリッジ21の走査方向に沿った往復移動を制御し、搬送ユニット40が媒体Pの搬送方向に沿った方向に搬送を制御するとともに、ヘッドユニット20に含まれるキャリッジ21に搭載されたプリントヘッド22が媒体Pにインクを吐出する。これにより、プリントヘッド22が吐出するインクが、媒体Pの任意の表面に着弾し、媒体Pに所望の画像が形成される。そして、ヒーターユニット2が、媒体P及び媒体Pに着弾したインクを乾燥させることで、媒体Pに着弾したインクの定着性を高める。これにより、液体吐出システムPSが出力する画像品質が向上する。
【0021】
1.2 液体吐出システムの機能構成
次に、液体吐出システムPSの機能構成について説明する。
図2は、液体吐出システムPSの機能構成の一例を示す図である。
図2に示すように、液体吐出システムPSは、液体吐出装置1、及びヒーターユニット2を備える。
【0022】
液体吐出装置1は、制御ユニット10、電源電圧出力回路12、プリントヘッド22、キャリッジモーター31、リニアエンコーダー33、及び搬送モーター41を備える。
【0023】
電源電圧出力回路12は、液体吐出システムPSに供給される商用電源である電圧信号Vacから、液体吐出装置1で使用される直流電圧の電圧信号VHVを生成する。そして、電源電圧出力回路12は、生成した電圧信号VHVを液体吐出装置1の各種構成に出力する。このような電源電圧出力回路12は、例えば、フライバックコンバーター等の既存のAC/DCコンバーターを含んで構成される。ここで、電源電圧出力回路12は、電圧信号VHVが供給される構成のそれぞれに対応した複数の電圧値の電圧信号VHVを出力してもよい。その際、電源電圧出力回路12は、フライバックコンバーター等の既存のAC/DCコンバーターに加えて、AC/DCコンバーターが出力する直流電圧の電圧値を、供給される構成に応じて変換する1又は複数のDC/DCコンバーターを含んでもよい。
【0024】
制御ユニット10は、ヘッド駆動回路50、基準電圧出力回路52、及び制御回路100を有する。制御回路100は、例えば、CPUやFPGA等の処理回路と半導体メモリー等の記憶回路とを含む。制御回路100には、液体吐出装置1の外部と通信可能に接続されたホストコンピューター等の外部機器から画像データ等を含む画像情報信号が入力される。制御回路100は、入力される画像情報信号に基づいて、液体吐出装置1を制御するための各種信号を生成し、対応する構成に出力する。
【0025】
具体例には、制御回路100は、上述した画像情報信号に加えて、リニアエンコーダー33が出力するキャリッジ21の走査位置に基づく位置情報信号Posを取得する。これにより、制御回路100は、キャリッジ21の走査位置であって、キャリッジ21に搭載されたプリントヘッド22の走査位置を把握する。そして、制御回路100は、外部機器から入力される画像情報信号と、プリントヘッド22の走査位置とに応じた各種信号を生成し、対応する構成に出力する。
【0026】
詳細には、制御回路100は、取得したプリントヘッド22の走査位置に応じて、プリントヘッド22を搭載したキャリッジ21の走査軸に沿った往復移動を制御するための制御信号Ctrl-Cを生成し、キャリッジモーター31に出力する。これにより、キャリッジモーター31が動作し、プリントヘッド22の走査位置、及び走査軸に沿った移動が制御される。また、制御回路100は、媒体Pの搬送を制御するための制御信号Ctrl-Tを生成し、搬送モーター41に出力する。これにより、搬送モーター41が動作し、媒体Pの搬送方向に沿った移動が制御される。なお、制御信号Ctrl-Cは、不図示のドライバー回路を介して信号変換された後、キャリッジモーター31に入力されてもよく、制御信号Ctrl-Tは、不図示のドライバー回路を介して信号変換された後、搬送モ
ーター41に入力されてもよい。
【0027】
また、制御回路100は、外部機器から入力される画像情報信号とプリントヘッド22の走査位置とに基づいて、プリントヘッド22からのインクの吐出を制御するための制御信号Ctrl-Hを生成し、プリントヘッド22に出力する。
【0028】
さらに、制御回路100は、ヘッド駆動回路50にデジタル信号である基駆動信号dAを出力する。ヘッド駆動回路50は、基駆動信号dAによって規定される信号波形のヘッド駆動信号COMを生成し、プリントヘッド22に出力する。具体的には、ヘッド駆動回路50は、制御回路100から入力されるデジタル信号の基駆動信号dAをデジタル/アナログ信号変換した後、変換されたアナログ信号をD級増幅することでヘッド駆動信号COMを生成し、プリントヘッド22に出力する。ここで、基駆動信号dAは、ヘッド駆動信号COMの信号波形を規定できればよく、アナログ信号であってもよい。また、ヘッド駆動回路50は、基駆動信号dAによって規定される信号波形をA級増幅、B級増幅、又はAB級増幅することで、ヘッド駆動信号COMを生成してもよい。
【0029】
基準電圧出力回路52は、基準電圧信号VBSを生成し、プリントヘッド22に出力する。この基準電圧信号VBSは、プリントヘッド22が有する後述する圧電素子60の駆動の基準となる一定電位の信号であって、グラウンド電位や5.5V、6V等、電位で一定の直流電圧信号である。
【0030】
プリントヘッド22は、駆動信号選択回路200、及び複数の圧電素子60を含む。制御信号Ctrl-H、及びヘッド駆動信号COMは、駆動信号選択回路200に入力される。駆動信号選択回路200は、入力される制御信号Ctrl-Hに基づいて、ヘッド駆動信号COMに含まれる信号波形を選択、又は非選択とすることで、複数の圧電素子60のそれぞれに対応する駆動信号VOUTを生成する。そして、駆動信号選択回路200は、生成した駆動信号VOUTを、対応する圧電素子60のそれぞれの一端に出力する。また、複数の圧電素子60の他端には、基準電圧出力回路52が出力する基準電圧信号VBSが共通に入力されている。そして、複数の圧電素子60のそれぞれは、一端に入力される駆動信号VOUTと、他端に入力される基準電圧信号VBSとの電位差により変位する。プリントヘッド22は、この圧電素子60に生じた変位量に応じた量のインクをノズルから吐出する。
【0031】
以上のように、液体吐出装置1は、商用電源である電圧信号Vacを駆動源として動作し、外部機器から入力される画像データに応じて、プリントヘッド22が媒体Pの所望の位置にインクを吐出する。これにより、液体吐出装置1は、媒体Pに所望の画像を形成する。
【0032】
また、液体吐出システムPSのヒーターユニット2は、ヒーター駆動モジュール80、及びヒーター90を有する。そして、ヒーター駆動モジュール80は、商用電源である電圧信号Vacが入力されヒーター駆動信号HCを出力し、ヒーター90は、ヒーター駆動信号HCに応じて発熱する。
【0033】
ヒーター駆動モジュール80は、整流回路81、ヒーター駆動回路82、及びヒーター制御回路83を有する。
【0034】
商用電源である電圧信号Vacは、整流回路81に入力される。整流回路81は、入力される電圧信号Vacを全波整流した整流電圧信号WRをヒーター駆動回路82に出力する。なお、整流回路81が出力する整流電圧信号WRは、電圧信号Vacを全波整流した信号に限られるものではなく、電圧信号Vacを半波整流した信号であってもよい。
【0035】
ヒーター制御回路83は、ヒーター駆動回路82からヒーター駆動回路82の駆動状態を示す状態検出信号Dtを取得する。そして、ヒーター制御回路83は、取得した状態検出信号Dtに応じた駆動制御信号Drを生成し、ヒーター駆動回路82に出力する。
【0036】
ヒーター駆動回路82は、ヒーター制御回路83から入力される駆動制御信号Drに基づいて、整流回路81から入力される整流電圧信号WRの電圧値を制御することで、整流電圧信号WRの電圧値が制御された信号を生成する。そして、ヒーター駆動回路82は、生成した整流電圧信号WRの電圧値が制御された信号をヒーター駆動信号HCとして、ヒーター90に出力する。
【0037】
ヒーター90は、入力されるヒーター駆動信号HCに応じて発熱する。このようなヒーター90としては、発熱体としてニクロム線等の抵抗負荷を用いることができる。ヒーター90は、入力されるヒーター駆動信号HCの電圧値に応じて生じる電流に基づいて発熱する。このヒーター90で生じた熱が、媒体Pに伝搬することで、媒体Pに着弾したインクが乾燥する。
【0038】
以上のように、本実施形態のヒーターユニット2は、液体吐出装置1に取り付けられて使用される液体吐出装置用オプションユニットであって、商用電源である電圧信号Vacが入力され、整流電圧信号WRを出力する整流回路81と、整流電圧信号WRが入力され、ヒーター駆動信号HCを出力するヒーター駆動回路82と、ヒーター駆動信号HCにより駆動し発熱するヒーター90と、を備える。そして、ヒーターユニット2は、液体吐出装置1が媒体Pに吐出したインクを乾燥させることで、媒体Pに形成される画像品質を高める。
【0039】
1.3 ヒーター駆動モジュールの構成、及び動作
次に、ヒーター90を駆動するヒーター駆動モジュール80の構成、及び動作について説明する。
図3は、ヒーター駆動モジュール80の構成を示す図である。前述のとおり、ヒーター駆動モジュール80は、整流回路81、ヒーター駆動回路82、及びヒーター制御回路83を有する。
【0040】
整流回路81は、インダクターL1、及びダイオードブリッジDBを有する。インダクターL1は、一端が配線W1と電気的に接続し、他端が配線W2と電気的に接続している。ダイオードブリッジDBは、一方の入力端が配線W2と電気的に接続し、他方の入力端が配線W3と電気的に接続し、+側出力端が配線W4と電気的に接続し、-側出力端が配線W5と電気的に接続している。そして、整流回路81には、配線W1と配線W2との間に供給される電圧信号Vacが入力される。
【0041】
以上のように構成された整流回路81は、インダクターL1が、配線W1と配線W2との間に供給される電圧信号Vacに重畳するノーマルモードノイズを低減し、ダイオードブリッジDBが、ノイズが低減された電圧信号Vacを全波整流する。そして、整流回路81は、ダイオードブリッジDBが電圧信号Vacを全波整流した信号を整流電圧信号WRとして出力する。
【0042】
ここで、整流回路81は、インダクターL1に替えて、若しくはインダクターL1に加えて、電圧信号Vacに重畳するコモンモードノイズを低減するラインフィルター等のインダクター素子を有してもよい。また、整流回路81は、ダイオードブリッジDBに替えて、電圧信号Vacを半波整流するダイオード素子を有してもよい。この場合、整流回路81は、電圧信号Vacを半波整流した信号を、整流電圧信号WRとして出力してもよい。
【0043】
ヒーター駆動回路82は、コンデンサーC1,C2、ダイオードD1、インダクターL2、及びスイッチ回路SWを有する。
【0044】
コンデンサーC1は、一端が配線W4と電気的に接続し、他端が配線W6と電気的に接続している。ダイオードD1は、カソード端子が配線W4と電気的に接続し、アノード端子が配線W7と電気的に接続している。インダクターL2は、一端が配線W4と電気的に接続し、他端が配線W8と電気的に接続している。コンデンサーC2は、一端が配線W8と電気的に接続し、他端が配線W7と電気的に接続している。スイッチ回路SWは、一端が配線W7と電気的に接続し、他端が配線W6と電気的に接続している。また、スイッチ回路SWの制御端子には、ヒーター制御回路83が出力する駆動制御信号Drが入力される。
【0045】
換言すれば、コンデンサーC1の一端、ダイオードD1のカソード端子、インダクターL2の一端が、配線W4と電気的に接続し、コンデンサーC1の他端、及びスイッチ回路SWの他端が、配線W6と電気的に接続し、ダイオードD1のアノード端子、コンデンサーC2の一端、及びスイッチ回路SWの一端が、配線W7と電気的に接続し、インダクターL2の他端、及びコンデンサーC2の一端が、配線W8と電気的に接続している。そして、配線W8がヒーター90の一端と電気的に接続し、配線W7がヒーター90の他端と電気的に接続している。すなわち、ヒーター駆動回路82は、配線W8と配線W7との間に生じた電圧をヒーター駆動信号HCとして出力する。
【0046】
以上のように構成されたヒーター駆動回路82において、コンデンサーC1は、配線W4に入力される整流電圧信号WRのノイズを低減するフィルター回路として機能する。このようなコンデンサーC1の静電容量は、整流電圧信号WRに含まれる全波整流の信号波形に対する影響が小さく、且つ整流電圧信号WRに重畳するノイズを低減できる静電容量であって、5μF以下であって、好ましくは1μF程度が選択される。これにより、ヒーター駆動モジュール80の影響により、液体吐出システムPSの力率が低下するおそれが低減するとともに、整流電圧信号WRに重畳するノイズの影響を低減することもできる。さらに、コンデンサーC1の静電容量を5μF以下であって1μF程度の静電容量とすることで、コンデンサーC1として、電解コンデンサーと比較して部品サイズの小さなフィルムコンデンサーやチップコンデンサーを選択することも可能となる。これにより、ヒーター駆動回路82を小型化することもできる。
【0047】
スイッチ回路SWは、制御端子に入力される駆動制御信号Drの論理レベルに応じて、一端と他端との間の導通状態が制御される。具体的には、スイッチ回路SWは、制御端子に入力される駆動制御信号Drの論理レベルがハイレベルの場合、一端と他端との間を導通に制御し、制御端子に入力される駆動制御信号Drの論理レベルがローレベルの場合、一端と他端との間を非導通に制御する。すなわち、スイッチ回路SWは、駆動制御信号Drに応じてスイッチング動作を実行する。
【0048】
ここで、以下の説明において、スイッチ回路SWの一端と他端との間が導通に制御される状態をON状態と称し、スイッチ回路SWの一端と他端との間が非導通に制御される状態をOFF状態と称する場合がある。なお、スイッチ回路SWは、制御端子に入力される駆動制御信号Drの論理レベルがハイレベルの場合に、一端と他端との間を非導通に制御し、制御端子に入力される駆動制御信号Drの論理レベルがローレベルの場合に、一端と他端との間が導通に制御してもよい。
【0049】
このスイッチ回路SWがスイッチング動作を実行することで、ヒーター駆動信号HCの伝搬に伴う電流であって、整流電圧信号WRの伝搬に伴う電流のヒーター90への供給が
制御される。具体的には、スイッチ回路SWがON状態の場合、ヒーター駆動信号HCの伝搬に伴う電流であって、整流電圧信号WRの伝搬に伴う電流は、スイッチ回路SWを介して、整流回路81に帰還する。これにより、ヒーター駆動信号HCの伝搬に伴う電流であって、整流電圧信号WRの伝搬に伴う電流が、ヒーター90に供給される。一方で、スイッチ回路SWがOFF状態の場合、ヒーター駆動信号HCの伝搬に伴う電流であって、整流電圧信号WRの伝搬に伴う電流は、スイッチ回路SWによって遮断される。これにより、ヒーター駆動信号HCの伝搬に伴う電流であって、整流電圧信号WRの伝搬に伴う電流は、ヒーター90に供給されない。
【0050】
インダクターL2、及びコンデンサーC2は、ローパスフィルターを構成する。このインダクターL2、及びコンデンサーC2によって構成されるローパスフィルターは、スイッチ回路SWのスイッチング動作によって生じる信号の振幅を平滑する。このようなインダクターL2、及びコンデンサーC2で構成されるローパスフィルターのカットオフ周波数は、商用電源である電圧信号Vacの周波数の2倍より大きく、スイッチ回路SWのスイッチング周波数よりも小さな周波数であることが好ましく、本実施形態では、数kHz~10kHz程度となるように設定されている。
【0051】
ダイオードD1は、スイッチ回路SWがOFF状態に制御された場合に、インダクターL2に蓄えられた電荷を配線W4に帰還する為の帰還経路を構成する。これにより、スイッチ回路SWがOFF状態に制御された際に、インダクターL2に蓄えられた電荷によってヒーター駆動信号HCの信号波形に歪みが生じるおそれが低減する。
【0052】
また、ヒーター駆動回路82は、電流検出回路821と電圧検出回路822とを有する。
【0053】
電流検出回路821は、一端が配線W6と電気的に接続し、他端が配線W5と電気的に接続している。電流検出回路821は、ヒーター駆動信号HCの伝搬に伴う電流の電流値であって、整流電圧信号WRの伝搬に伴う電流の電流値を検出する。そして、電流検出回路821は、検出した電流値に応じた電流検出信号Idtを生成し、状態検出信号Dtとして、ヒーター制御回路83に出力する。このような電流検出回路821としては、ヒーター90の抵抗値に対して、抵抗値が十分に小さな抵抗素子を用いることができる。なお、電流検出回路821は、当該抵抗素子に替えて、又は加えて、1又は複数の半導体素子で構成されてもよい。
【0054】
電圧検出回路822は、一端が配線W8と電気的に接続し、他端が配線W7と電気的に接続している。電圧検出回路822は、ヒーター90に供給されるヒーター駆動信号HCの電圧値を検出する。そして、電圧検出回路822は、検出した電圧値に応じた電圧検出信号Vdtを生成し、状態検出信号Dtとして、ヒーター制御回路83に出力する。このような電圧検出回路822としては、ヒーター90の抵抗値に対して、十分に大きな抵抗値となるように構成された複数の抵抗素子を用いて構成することができる。なお、電圧検出回路822は、当該複数の抵抗素子に替えて、又は加えて、1又は複数の半導体素子を含んで構成されてもよい。
【0055】
ヒーター制御回路83は、電流検出回路821から入力される電流検出信号Idtと、電圧検出回路822から入力される電圧検出信号Vdtと、に基づいて、駆動制御信号Drを生成し、スイッチ回路SWに出力する。このようなヒーター制御回路83は、例えば、マイクロコンピューターやFPGA等を含んで構成される。
【0056】
以上のように構成されたヒーター駆動モジュール80の動作の一例について説明する。本実施形態のヒーター駆動モジュール80は、スイッチ回路SWのスイッチング動作によ
って、ヒーター駆動信号HCの電圧値を制御する。これにより、ヒーター駆動信号HCの伝搬に伴いヒーター90に供給される電流量が制御される。その際、ヒーター駆動信号HCの電圧値を制御するスイッチ回路SWのスイッチング動作は、ヒーター制御回路83が出力する駆動制御信号Drによって制御される。そこで、ヒーター駆動モジュール80の動作の一例を説明するにあたり、まず、スイッチ回路SWの構成の具体例、及び、ヒーター制御回路83が出力する駆動制御信号Drの信号波形の一例について説明する。
【0057】
図4は、スイッチ回路SWの構成の一例を示す図である。
図4に示すように、スイッチ回路SWは、トランジスターM1とトランジスターM2とを有する。トランジスターM1は、コレクター端子が配線W7と電気的に接続し、エミッター端子が配線W6と電気的に接続している。また、トランジスターM1のベース端子には、ヒーター制御回路83が出力する駆動制御信号Drの内の駆動制御信号Dr1が入力される。トランジスターM2は、コレクター端子が配線W7と電気的に接続し、エミッター端子が配線W6と電気的に接続している。また、トランジスターM2のベース端子には、ヒーター制御回路83が出力する駆動制御信号Drの内の駆動制御信号Dr2が入力される。
【0058】
すなわち、トランジスターM1とトランジスターM2とは、スイッチ回路SWにおいて並列に接続されている。そして、トランジスターM1は、ベース端子に入力される駆動制御信号Dr1がハイレベルの場合、コレクター端子とエミッター端子とを導通に制御し、ベース端子に入力される駆動制御信号Dr1がローレベルの場合、コレクター端子とエミッター端子とを非導通に制御する。また、トランジスターM2は、ベース端子に入力される駆動制御信号Dr2がハイレベルの場合、コレクター端子とエミッター端子とを導通に制御し、ベース端子に入力される駆動制御信号Dr2がローレベルの場合、コレクター端子とエミッター端子とを非導通に制御する。すなわち、トランジスターM1は駆動制御信号Dr1に応じてスイッチング動作を行い、トランジスターM2は駆動制御信号Dr2に応じてスイッチング動作を行う。なお、スイッチ回路SWに含まれるトランジスターの数は2個に限るものではない。
【0059】
ここで、以下の説明において、トランジスターM1のコレクター端子とエミッター端子との間が導通に制御される状態をトランジスターM1がON状態であると称し、トランジスターM1のコレクター端子とエミッター端子との間が非導通に制御される状態をトランジスターM1がOFF状態であると称する場合がある。同様に、トランジスターM2のコレクター端子とエミッター端子との間が導通に制御される状態をトランジスターM2がON状態であると称し、トランジスターM2のコレクター端子とエミッター端子との間が非導通に制御される状態をトランジスターM2がOFF状態であると称する場合がある。
【0060】
以上のように、本実施形態のスイッチ回路SWは、トランジスターM1,M2を含み、トランジスターM1,M2のスイッチング動作によって、ヒーター駆動信号HCの伝搬に伴う電流であって、整流電圧信号WRの伝搬に伴う電流のヒーター90への供給を制御する。次に、ヒーター制御回路83が出力する駆動制御信号Drの信号波形の一例であって、トランジスターM1に入力される駆動制御信号Dr1、及びトランジスターM2に入力される駆動制御信号Dr2の一例について説明する。
【0061】
図5は、駆動制御信号Dr1、及び駆動制御信号Dr2の一例を示す図である。
図5に示すように、ヒーター制御回路83は、駆動制御信号Dr1として、期間td毎に一定期間ハイレベルとなるパルス信号を出力し、駆動制御信号Dr2として、駆動制御信号Dr1に対して期間td/2だけ遅延し、期間td毎に一定期間ハイレベルとなるパルス信号を出力する。すなわち、ヒーター制御回路83は、パルス信号である駆動制御信号Dr1と、駆動制御信号Dr1に対して位相が180度ずれたパルス信号である駆動制御信号Dr2と、を出力する。
【0062】
また、ヒーター制御回路83は、電流検出信号Idt、及び電圧検出信号Vdtの少なくとも一方に基づいて、駆動制御信号Dr1のON-Dutyを0%~50%の間で制御し、駆動制御信号Dr2のON-Dutyを0%~50%の間で制御する。すなわち、ヒーター制御回路83は、パルス信号の立ち上がりから期間td/2の間において、ハイレベルとなり得る駆動制御信号Dr1,Dr2を出力する。ここで、前述のとおり駆動制御信号Dr2は、駆動制御信号Dr1に対して位相が180度ずれたパルス信号である。そのため、ヒーター制御回路83は、
図5に示すように、ハイレベルの駆動制御信号Dr1を出力し得る期間において、ローレベルの駆動制御信号Dr2を出力し、ハイレベルの駆動制御信号Dr2を出力し得る期間において、ローレベルの駆動制御信号Dr1を出力する。すなわち、ヒーター制御回路83は、トランジスターM1がON状態に制御され得る期間において、トランジスターM2がOFF状態となるように制御し、トランジスターM2がON状態に制御され得る期間において、トランジスターM1がOFF状態となるように制御する。換言すれば、ヒーター制御回路83は、トランジスターM1とトランジスターM2とが、同時にON状態とならないように制御する。
【0063】
以上のように構成されたスイッチ回路SWは、トランジスターM1、及びトランジスターM2の少なくとも一方がON状態に制御されている場合にON状態に制御され、トランジスターM1、及びトランジスターM2がOFF状態に制御されている場合にOFF状態に制御される。そのため、本実施形態のスイッチ回路SWは、ヒーター制御回路83がハイレベルの駆動制御信号Dr1を出力し得る期間においては、駆動制御信号Dr1の論理レベルに応じて、ON状態かOFF状態かが制御され、ヒーター制御回路83がハイレベルの駆動制御信号Dr2を出力し得る期間においては、駆動制御信号Dr2の論理レベルに応じて、ON状態かOFF状態かが制御される。その結果、本実施形態のスイッチ回路SWは、トランジスターM1に入力される駆動制御信号Dr1の周波数と、トランジスターM2に入力される駆動制御信号Dr2の周波数との和の周波数で動作する。この際、スイッチ回路SWがON状態に制御されるDutyは、0%~100%の間で変化する。
【0064】
以上のように構成されたスイッチ回路SWを備えたヒーター駆動回路82では、トランジスターM1、及びトランジスターM2のそれぞれのスイッチング周波数を小さくすることができる。これにより、トランジスターM1、及びトランジスターM2に生じるスイッチング損失を低減することができる。また、以上のように構成されたスイッチ回路SWを備えたヒーター駆動回路82では、トランジスターM1、及びトランジスターM2のそれぞれのスイッチング周波数を小さくした場合であっても、スイッチ回路SWの動作周波数を擬似的に高めることができる。これにより、ヒーター駆動信号HCの電圧値の精度が向上し、その結果、ヒーター90に供給されるヒーター駆動信号HCの伝搬に伴う電流精度が向上する。したがって、ヒーター90の温度の制御の精度が向上する。さらに、本実施形態のヒーター駆動回路82では、スイッチ回路SWの動作周波数を擬似的に高めることができるが故に、インダクターL2の小型化が可能となり、その結果、ヒーター駆動回路82の小型化も実現できる。
【0065】
以上のように構成されたヒーター駆動モジュール80において、スイッチ回路SWがON状態に制御されている場合、ヒーター駆動信号HCの伝搬に伴う電流であって、整流電圧信号WRの伝搬に伴う電流は、スイッチ回路SWを介して、整流回路81に帰還する。その結果、ヒーター駆動信号HCの電圧値は、整流電圧信号WRの電圧値に向かい上昇する。一方で、スイッチ回路SWがOFF状態に制御されている場合、ヒーター駆動信号HCの伝搬に伴う電流であって、整流電圧信号WRの伝搬に伴う電流は、スイッチ回路SWによって遮断される。その結果、配線W8と配線W7との電位差が小さくなり、ヒーター駆動信号HCの電圧値は減少する。
【0066】
本実施形態のヒーター駆動モジュール80では、ヒーター制御回路83が、電圧検出回路822から入力される電圧検出信号Vdtに基づいて推定されるヒーター駆動信号HCの電圧値と、ヒーター駆動モジュール80が出力の目標とするヒーター駆動信号HCの電圧値と、を比較する。そして、電圧検出回路822から入力される電圧検出信号Vdtに基づいて推定されるヒーター駆動信号HCの電圧値と、ヒーター駆動モジュール80が出力の目標とするヒーター駆動信号HCの電圧値と、の比較結果に応じて、ヒーター制御回路83が、出力する駆動制御信号DrのON-Dutyを制御する。これにより、ヒーター駆動モジュール80は、入力される電圧信号Vacの電圧値に依らず、所望の電圧値のヒーター駆動信号HCを出力する。
【0067】
具体的には、ヒーター制御回路83に入力される電圧検出信号Vdtに基づいて推定されるヒーター駆動信号HCの電圧値が、目標とするヒーター駆動信号HCの電圧値よりも小さい場合、すなわち、ヒーター90に入力されているヒーター駆動信号HCの電圧値が、目標とする電圧値よりも小さい場合、ヒーター制御回路83は、スイッチ回路SWに入力される駆動制御信号DrのON-Dutyを大きくする。これにより、ヒーター駆動モジュール80が出力するヒーター駆動信号HCの電圧値が、目標とする電圧値に向かい上昇する。
【0068】
一方で、ヒーター制御回路83に入力される電圧検出信号Vdtに基づいて推定されるヒーター駆動信号HCの電圧値が、目標とするヒーター駆動信号HCの電圧値よりも大きい場合、すなわち、ヒーター90に入力されているヒーター駆動信号HCの電圧値が、目標とする電圧値よりも大きい場合、ヒーター制御回路83は、スイッチ回路SWに入力される駆動制御信号DrのON-Dutyを小さくする。これにより、ヒーター駆動モジュール80が出力するヒーター駆動信号HCの電圧値が、目標とする電圧値に向かい減少する。
【0069】
これにより、ヒーター駆動モジュール80は、入力される電圧信号Vacの電圧値に依らず、所望の電圧値のヒーター駆動信号HCを出力する。したがって、ヒーターユニット2が、商用電源の電圧値等の電源環境が異なる地域で使用された場合であっても、商用電源の電圧値の変化が、負荷であるヒーター90に影響するおそれが低減し、その結果、液体吐出装置用オプションユニットであるヒーター90の動作の安定性が低下するおそれが低減する。
【0070】
以上のように構成された液体吐出システムPSにおいて、ヒーターユニット2が、液体吐出装置1に取り付けて使用される液体吐出装置用オプションユニットの一例であり、電圧信号Vacが商用電源の一例であり、ヒーター駆動信号HCが第1駆動電力信号の一例であり、ヒーター駆動回路82が第1駆動電力出力部の一例であり、ヒーター90が第1駆動部の一例である。また、ヒーター駆動回路82が有するコンデンサーC1が第1コンデンサーの一例であり、コンデンサーC2が第2コンデンサーの一例であり、インダクターL2が第1インダクターの一例であり、ダイオードD1が第1ダイオードの一例であり、スイッチ回路SW、及びスイッチ回路SWに含まれるトランジスターM1の少なくとも一方が第1スイッチング素子の一例であり、スイッチ回路SWに含まれるトランジスターM2が第2スイッチング素子の一例である。そして、配線W4が第1ノードの一例であり、配線W8が第2ノードの一例であり、配線W7が第3ノードの一例であり、配線W6が第4ノードの一例である。
【0071】
1.4 作用効果
以上のように、本実施形態の液体吐出システムPSに用いられる液体吐出装置用オプションユニットであるヒーターユニット2は、電圧信号Vacが入力され、整流電圧信号WRを出力する整流回路81と、整流電圧信号WRが入力され、ヒーター駆動信号HCを出
力するヒーター駆動回路82と、ヒーター駆動信号HCにより駆動するヒーター90と、を備え、ヒーター駆動回路82は、コンデンサーC1、コンデンサーC2、インダクターL2、ダイオードD1、及びスイッチ回路SWに含まれるトランジスターM1を有し、コンデンサーC1の一端、ダイオードD1のカソード端子、及びインダクターL2の一端は、配線W4と電気的に接続し、インダクターL2の他端、及びコンデンサーC2の一端は、配線W8と電気的に接続し、コンデンサーC2の他端、ダイオードD1のアノード端子、及びスイッチ回路SWの一端であってトランジスターM1のコレクター端子は、配線W7と電気的に接続し、コンデンサーC1の他端、及びスイッチ回路SWの他端であってトランジスターM1のエミッター端子は、配線W6と電気的に接続している。そして、整流電圧信号WRは、配線W4に供給され、ヒーター90は、一端が配線W8と電気的に接続し、他端が配線W7と電気的に接続している。
【0072】
係る構成を備えたヒーター駆動回路82では、スイッチ回路SWの一端と他端との導通状態であって、トランジスターM1のコレクター端子とエミッター端子との導通状態を制御することで、入力される電圧信号Vacの電圧値に依らず、一定電圧値のヒーター駆動信号HCをヒーター90に出力することができる。これにより、ヒーターユニット2が、商用電源の電圧値等の電源環境が異なる地域で使用された場合であっても、商用電源の電圧値の変化が、負荷であるヒーター90に影響するおそれが低減し、その結果、液体吐出装置用オプションユニットであるヒーター90の動作の安定性が低下するおそれが低減する。
【0073】
また、本実施形態の液体吐出システムPSに用いられる液体吐出装置用オプションユニットであるヒーターユニット2は、ヒーター駆動回路82は、トランジスターM2を有し、トランジスターM2の一端であるコレクター端子は、配線W7と電気的に接続し、トランジスターM2の他端であるエミッター端子は、配線W6と電気的に接続している。すなわち、トランジスターM1とトランジスターM2とは、並列に接続されている。これにより、トランジスターM1とトランジスターM2とに流れる電流量を低減することができ、その結果、トランジスターM1、及びトランジスターM2における電力損失を低減することができる。
【0074】
また、本実施形態の液体吐出システムPSに用いられる液体吐出装置用オプションユニットであるヒーターユニット2では、トランジスターM1の一端であるコレクター端子と、他端であるエミッター端子とが導通に制御されている期間において、トランジスターM2の一端であるコレクター端子と、他端であるエミッター端子とは非導通に制御され、トランジスターM2の一端であるコレクター端子と、他端であるエミッター端子とが導通に制御されている期間において、トランジスターM1の一端であるコレクター端子と、他端であるエミッター端子とは非導通に制御される。すなわち、トランジスターM1とトランジスターM2とは同時にON状態とならない。これにより、トランジスターM1とトランジスターM2とを含むスイッチ回路SWの擬似的なスイッチング周波数を高めることができ、その結果、トランジスターM1、及びトランジスターM2のスイッチング損失を低減することができる。
【0075】
2.第2実施形態
次に、第2実施形態の液体吐出システムPSについて説明する。第2実施形態の液体吐出システムPSは、ヒーターユニット2が、ヒーター90a、及びヒーター90bと、ヒーター90aにヒーター駆動信号HCaを出力するヒーター駆動回路82a、及びヒーター90bにヒーター駆動信号HCbを出力するヒーター駆動回路82bと、を有する点が、第1実施形態の液体吐出システムPSと異なる。すなわち、第2実施形態の液体吐出システムPSにおいて、ヒーターユニット2は、電圧信号Vacが入力され、整流電圧信号WRを出力する整流回路81と、整流電圧信号WRが入力され、ヒーター駆動信号HCa
を出力するヒーター駆動回路82aと、ヒーター駆動回路82aにより駆動するヒーター90aと、整流電圧信号WRが入力され、ヒーター駆動信号HCbを出力するヒーター駆動回路82bと、ヒーター駆動回路82bにより駆動するヒーター90bと、を備える。なお、第2実施形態の液体吐出システムPSを説明するにあたり、第1実施形態の液体吐出システムPSと同じ構成には、同じ符号を付し、その説明を簡略し、若しくは省略する。
【0076】
図6は、第2実施形態の液体吐出システムPSが有するヒーターユニット2のヒーター駆動モジュール80の構成の一例を示すである。第2実施形態のヒーター駆動モジュール80は、整流回路81、ヒーター駆動回路82a,82b、及びヒーター制御回路83を有する。
【0077】
整流回路81は、第1実施形態と同様に、インダクターL1、及びダイオードブリッジDBを有し、配線W1と配線W2との間に供給される電圧信号Vacが入力される。そして、整流回路81は、ダイオードブリッジDBが電圧信号Vacを全波整流した信号を整流電圧信号WRとして配線W4に出力する。
【0078】
ヒーター駆動回路82aは、コンデンサーC1a,C2a、ダイオードD1a、インダクターL2a、及びスイッチ回路SWaを有する。
【0079】
コンデンサーC1aは、一端が配線W4と電気的に接続し、他端が配線W6aと電気的に接続している。ダイオードD1aは、カソード端子が配線W4と電気的に接続し、アノード端子が配線W7aと電気的に接続している。インダクターL2aは、一端が配線W4と電気的に接続し、他端が配線W8aと電気的に接続している。コンデンサーC2aは、一端が配線W8aと電気的に接続し、他端が配線W7aと電気的に接続している。スイッチ回路SWaは、一端が配線W7aと電気的に接続し、他端が配線W6aと電気的に接続している。また、スイッチ回路SWaの制御端子には、ヒーター制御回路83が出力する駆動制御信号Draが入力される。
【0080】
換言すれば、コンデンサーC1aの一端、ダイオードD1aのカソード端子、インダクターL2aの一端が、配線W4と電気的に接続し、コンデンサーC1aの他端、及びスイッチ回路SWaの他端が、配線W6aと電気的に接続し、ダイオードD1aのアノード端子、コンデンサーC2aの一端、及びスイッチ回路SWaの一端が、配線W7aと電気的に接続し、インダクターL2aの他端、及びコンデンサーC2aの一端が、配線W8aと電気的に接続している。そして、配線W8aがヒーター90aの一端と電気的に接続し、配線W7aがヒーター90aの他端と電気的に接続している。すなわち、ヒーター駆動回路82aは、配線W8aと配線W7aとの間に生じた電圧をヒーター駆動信号HCaとして出力する。
【0081】
また、ヒーター駆動回路82aは、電流検出回路821aと電圧検出回路822aとを有する。
【0082】
電流検出回路821aは、一端が配線W6aと電気的に接続し、他端が配線W5と電気的に接続している。電流検出回路821aは、ヒーター駆動信号HCaの伝搬に伴う電流の電流値であって、整流電圧信号WRの伝搬に伴う電流の電流値を検出する。そして、電流検出回路821aは、検出した電流値に応じた電流検出信号Idtaを生成し、状態検出信号Dtaとして、ヒーター制御回路83に出力する。
【0083】
電圧検出回路822aは、一端が配線W8aと電気的に接続し、他端が配線W7aと電気的に接続している。電圧検出回路822aは、ヒーター90aに供給されるヒーター駆
動信号HCaの電圧値を検出する。そして、電圧検出回路822aは、検出した電圧値に応じた電圧検出信号Vdtaを生成し、状態検出信号Dtaとして、ヒーター制御回路83に出力する。
【0084】
以上のように構成されたヒーター駆動回路82aにおいて、コンデンサーC1a,C2a、ダイオードD1a、インダクターL2a、スイッチ回路SWa、電流検出回路821a、及び電圧検出回路822aは、それぞれは、第1実施形態のコンデンサーC1,C2、ダイオードD1、インダクターL2、スイッチ回路SW、電流検出回路821、及び電圧検出回路822に相当し、同様の動作を行う。
【0085】
ヒーター駆動回路82bは、コンデンサーC1b,C2b、ダイオードD1b、インダクターL2b、及びスイッチ回路SWbを有する。
【0086】
コンデンサーC1bは、一端が配線W4と電気的に接続し、他端が配線W6bと電気的に接続している。ダイオードD1bは、カソード端子が配線W4と電気的に接続し、アノード端子が配線W7bと電気的に接続している。インダクターL2bは、一端が配線W4と電気的に接続し、他端が配線W8bと電気的に接続している。コンデンサーC2bは、一端が配線W8bと電気的に接続し、他端が配線W7bと電気的に接続している。スイッチ回路SWbは、一端が配線W7bと電気的に接続し、他端が配線W6bと電気的に接続している。また、スイッチ回路SWbの制御端子には、ヒーター制御回路83が出力する駆動制御信号Drbが入力される。
【0087】
換言すれば、コンデンサーC1bの一端、ダイオードD1bのカソード端子、インダクターL2bの一端が、配線W4と電気的に接続し、コンデンサーC1bの他端、及びスイッチ回路SWbの他端が、配線W6bと電気的に接続し、ダイオードD1bのアノード端子、コンデンサーC2bの一端、及びスイッチ回路SWbの一端が、配線W7bと電気的に接続し、インダクターL2bの他端、及びコンデンサーC2bの一端が、配線W8bと電気的に接続している。そして、配線W8bがヒーター90bの一端と電気的に接続し、配線W7bがヒーター90bの他端と電気的に接続している。すなわち、ヒーター駆動回路82bは、配線W8bと配線W7bとの間に生じた電圧をヒーター駆動信号HCbとして出力する。
【0088】
また、ヒーター駆動回路82bは、電流検出回路821bと電圧検出回路822bとを有する。
【0089】
電流検出回路821bは、一端が配線W6bと電気的に接続し、他端が配線W5と電気的に接続している。電流検出回路821bは、ヒーター駆動信号HCbの伝搬に伴う電流の電流値であって、整流電圧信号WRの伝搬に伴う電流の電流値を検出する。そして、電流検出回路821bは、検出した電流値に応じた電流検出信号Idtbを生成し、状態検出信号Dtbとして、ヒーター制御回路83に出力する。
【0090】
電圧検出回路822bは、一端が配線W8bと電気的に接続し、他端が配線W7bと電気的に接続している。電圧検出回路822bは、ヒーター90bに供給されるヒーター駆動信号HCbの電圧値を検出する。そして、電圧検出回路822bは、検出した電圧値に応じた電圧検出信号Vdtbを生成し、状態検出信号Dtbとして、ヒーター制御回路83に出力する。
【0091】
以上のように構成されたヒーター駆動回路82bにおいて、コンデンサーC1b,C2b、ダイオードD1b、インダクターL2b、スイッチ回路SWb、電流検出回路821b、及び電圧検出回路822bは、それぞれは、第1実施形態のコンデンサーC1,C2
、ダイオードD1、インダクターL2、スイッチ回路SW、電流検出回路821、及び電圧検出回路822に相当し、同様の動作を行う。
【0092】
そして、ヒーター制御回路83は、電流検出回路821aから入力される電流検出信号Idtaと、電圧検出回路822aから入力される電圧検出信号Vdtaと、に基づいて、駆動制御信号Draを生成し、スイッチ回路SWaに出力する。また、ヒーター制御回路83は、電流検出回路821bから入力される電流検出信号Idtbと、電圧検出回路822bから入力される電圧検出信号Vdtbと、に基づいて、駆動制御信号Drbを生成し、スイッチ回路SWbに出力する。
【0093】
以上のように構成された第2実施形態のヒーターユニット2であっても、第1実施形態のヒーターユニット2と同様の作用効果を奏する。
【0094】
また、第2実施形態のヒーターユニット2において、ヒーター制御回路83は、駆動制御信号Draと駆動制御信号Drbとを、異なる周波数で出力する。すなわち、第2実施形態のヒーターユニット2において、スイッチ回路SWaの一端と他端とは駆動制御信号Draの周波数によって規定されるスイッチング周期Fsw1で導通と非導通とを繰り返し、スイッチ回路SWbの一端と他端とは駆動制御信号Drbの周波数によって規定されるスイッチング周期Fsw2で導通と非導通とを繰り返す。このとき、スイッチング周期Fsw1とスイッチング周期Fsw2との周波数は異なる。
【0095】
これにより、第2実施形態のヒーターユニット2のように、ヒーターユニット2が複数のヒーター駆動回路82として、ヒーター90aにヒーター駆動信号HCaを出力するヒーター駆動回路82aと、ヒーター90bにヒーター駆動信号HCbを出力するヒーター駆動回路82bと、を有する場合であっても、スイッチ回路SWaのスイッチング動作に伴い生じ得るスイッチングノイズと、スイッチ回路SWbのスイッチング動作に伴い生じ得るスイッチングノイズと、が相互に干渉するおそれが低減する。その結果、ヒーターユニット2が複数のヒーター駆動回路82として、ヒーター90aにヒーター駆動信号HCaを出力するヒーター駆動回路82aと、ヒーター90bにヒーター駆動信号HCbを出力するヒーター駆動回路82bと、を有する場合であっても、ヒーターユニット2の動作の安定性が低下するおそれが低減する。
【0096】
以上のように構成された第2実施形態の液体吐出システムPSにおいて、ヒーターユニット2が液体吐出装置用オプションユニットの一例であり、電圧信号Vacが商用電源の一例であり、ヒーター駆動信号HCaが第1駆動電力信号の一例であり、ヒーター駆動信号HCbが第2駆動電力信号の一例であり、ヒーター駆動回路82aが第1駆動電力出力部の一例であり、ヒーター駆動回路82bが第2駆動電力出力部の一例であり、ヒーター90aが第1駆動部の一例であり、ヒーター90bが第2駆動部の一例である。また、ヒーター駆動回路82aが有するコンデンサーC1aが第1コンデンサーの一例であり、コンデンサーC2aが第2コンデンサーの一例であり、インダクターL2aが第1インダクターの一例であり、ダイオードD1aが第1ダイオードの一例であり、スイッチ回路SWa、及びスイッチ回路SWaに含まれるトランジスターM1の少なくとも一方が第1スイッチング素子の一例であり、ヒーター駆動回路82bが有するコンデンサーC1bが第3コンデンサーの一例であり、コンデンサーC2bが第4コンデンサーの一例であり、インダクターL2bが第2インダクターの一例であり、ダイオードD1bが第2ダイオードの一例であり、スイッチ回路SWb、及びスイッチ回路SWbに含まれるトランジスターM1の少なくとも一方が第3スイッチング素子の一例である。また、配線W4が第1ノード、及び第5ノードの一例であり、配線W8aが第2ノードの一例であり、配線W7aが第3ノードの一例であり、配線W6aが第4ノードの一例であり、配線W8bが第6ノードの一例であり、配線W7bが第7ノードの一例であり、配線W6bが第8ノードの一例で
ある。そして、スイッチング周期Fsw1が第1スイッチング周期の一例であり、スイッチング周期Fsw2が第2スイッチング周期の一例である。
【0097】
以上、実施形態及び変形例について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。例えば、上記の実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【0098】
本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【0099】
上述した実施形態から以下の内容が導き出される。
【0100】
液体吐出装置用オプションユニットの一態様は、
液体吐出装置に取り付けられて使用される液体吐出装置用オプションユニットであって、
商用電源が入力され、整流電圧信号を出力する整流回路と、
前記整流電圧信号が入力され、第1駆動電力信号を出力する第1駆動電力出力回路と、
前記第1駆動電力信号により駆動する第1駆動部と、
を備え、
前記第1駆動電力出力回路は、
第1コンデンサー、第2コンデンサー、第1インダクター、第1ダイオード、及び第1スイッチング素子を有し、
前記第1コンデンサーの一端、前記第1ダイオードのカソード端子、及び第1インダクターの一端は、第1ノードと電気的に接続し、
前記第1インダクターの他端、及び前記第2コンデンサーの一端は、第2ノードと電気的に接続し、
前記第2コンデンサーの他端、前記第1ダイオードのアノード端子、及び前記第1スイッチング素子の一端は、第3ノードと電気的に接続し、
前記第1コンデンサーの他端、及び前記第1スイッチング素子の他端は、第4ノードと電気的に接続し、
前記整流電圧信号は、前記第1ノードに供給され、
前記第1駆動部は、一端が前記第2ノードと電気的に接続し、他端が前記第3ノードと電気的に接続している。
【0101】
この液体吐出装置用オプションユニットによれば、入力される商用電源の電圧値に依らず、第1スイッチング素子の動作によって、第1駆動電力信号の電圧値を制御することができる。したがって、この液体吐出装置用オプションユニットを、商用電源の電圧値等の電源環境が異なる地域で使用した場合であって、商用電源の電圧値が変化した場合であっても、負荷である第1駆動部の動作に影響を及ぼすおそれが低減する。その結果、液体吐出装置用オプションユニットの動作の安定性が低下するおそれが低減する。
【0102】
上記液体吐出装置用オプションユニットの一態様において、
前記第1駆動電力出力回路は、第2スイッチング素子を有し、
前記第2スイッチング素子の一端は、前記第3ノードと電気的に接続し、
前記第2スイッチング素子の他端は、前記第4ノードと電気的に接続していてもよい。
【0103】
この液体吐出装置用オプションユニットによれば、第1スイッチング素子と並列に第2スイッチング素子が設けられることで、第1駆動電力信号の伝搬に伴う第1スイッチング素子、及び第2スイッチング素子における損失を低減することができる。
【0104】
上記液体吐出装置用オプションユニットの一態様において、
前記第1スイッチング素子の一端と他端とが導通に制御されている期間において、前記第2スイッチング素子の一端と他端とは非導通に制御され、
前記第2スイッチング素子の一端と他端とが導通に制御されている期間において、前記第1スイッチング素子の一端と他端とは非導通に制御されていてもよい。
【0105】
この液体吐出装置用オプションユニットによれば、第1スイッチング素子と並列に第2スイッチング素子が設けられるとともに、第1スイッチング素子と第2スイッチング素子とが交互にスイッチング動作を実行することで、第1スイッチング素子、及び第2スイッチング素子におけるスイッチング損失を低減することができる。
【0106】
上記液体吐出装置用オプションユニットの一態様において、
前記整流電圧信号が入力され、第2駆動電力信号を出力する第2駆動電力出力回路と、
前記第2駆動電力信号により駆動する第2駆動部と、
を備え、
前記第2駆動電力出力回路は、
第3コンデンサー、第4コンデンサー、第2インダクター、第2ダイオード、及び第3スイッチング素子を有し、
前記第3コンデンサーの一端、前記第2ダイオードのカソード端子、及び前記第2インダクターの一端は、第5ノードと電気的に接続し、
前記第2インダクターの他端、及び前記第4コンデンサーの一端は、第6ノードと電気的に接続し、
前記第4コンデンサーの他端、前記第2ダイオードのアノード端子、及び前記第3スイッチング素子の一端は、第7ノードと電気的に接続し、
前記第3コンデンサーの他端、及び前記第3スイッチング素子の他端は、第8ノードと電気的に接続し、
前記整流電圧信号は、前記第5ノードに供給され、
前記第2駆動部は、一端が前記第6ノードと電気的に接続し、他端が前記第7ノードと電気的に接続していてもよい。
【0107】
この液体吐出装置用オプションユニットによれば、第1駆動電力出力回路に加えて、第2駆動電力出力回路を備える場合であっても、入力される商用電源の電圧値に依らず、第1スイッチング素子、及び第3スイッチング素子の動作によって、第1駆動電力信号、及び第2駆動電力信号の電圧値を制御することができる。したがって、この液体吐出装置用オプションユニットを、商用電源の電圧値等の電源環境が異なる地域で使用した場合であって、商用電源の電圧値が変化した場合であっても、負荷である第1駆動部、及び第2駆動部の動作に影響を及ぼすおそれが低減する。その結果、液体吐出装置用オプションユニットの動作の安定性が低下するおそれが低減する。
【0108】
上記液体吐出装置用オプションユニットの一態様において、
前記第1スイッチング素子の一端と他端とは第1スイッチング周期で導通と非導通とを繰り返し、
前記第3スイッチング素子の一端と他端とは第2スイッチング周期で導通と非導通とを繰り返し、
前記第1スイッチング周期の周波数と、前記第2スイッチング周期の周波数とは異なってもよい。
【0109】
この液体吐出装置用オプションユニットによれば、第1駆動電力出力回路に含まれる第1スイッチング素子のスイッチング周波数と、第2駆動電力出力回路に含まれる第3スイッチング素子のスイッチング周波数と、が異なることで、第1スイッチング素子のスイッチングに起因して生じるスイッチングノイズと、第3スイッチング素子のスイッチングに起因して生じるスイッチングノイズと、が相互に干渉するおそれが低減する。その結果、液体吐出装置用オプションユニットの動作の安定性が低下するおそれがさらに低減する。
【0110】
上記液体吐出装置用オプションユニットの一態様において、
前記第1駆動部は、ヒーターであってもよい。
【符号の説明】
【0111】
1…液体吐出装置、2…ヒーターユニット、10…制御ユニット、12…電源電圧出力回路、20…ヘッドユニット、21…キャリッジ、22…プリントヘッド、30…移動ユニット、31…キャリッジモーター、32…無端ベルト、33…リニアエンコーダー、40…搬送ユニット、41…搬送モーター、42…搬送ローラー、43…プラテン、50…ヘッド駆動回路、52…基準電圧出力回路、60…圧電素子、70…インク容器、80…ヒーター駆動モジュール、81…整流回路、82,82a,82b…ヒーター駆動回路、83…ヒーター制御回路、90,90a,90b…ヒーター、100…制御回路、200…駆動信号選択回路、821,821a,821b…電流検出回路、822,822a,822b…電圧検出回路、C1,C1a,C1b,C2,C2a,C2b…コンデンサー、D1,D1a,D1b…ダイオード、L1,L2,L2a,L2b…インダクター、M1,M2…トランジスター、P…媒体、PS…液体吐出システム、SW,SWa,SWb…スイッチ回路、W1~W8、W6a、W6b、W7a、W7b、W8a、W8b…配線