(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017773
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】ジッパーテープおよびジッパーテープ付き容器
(51)【国際特許分類】
A44B 19/16 20060101AFI20240201BHJP
B65D 33/25 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
A44B19/16
B65D33/25 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022120630
(22)【出願日】2022-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】500163366
【氏名又は名称】出光ユニテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 俊一
(72)【発明者】
【氏名】片田 亮
(72)【発明者】
【氏名】戸▲高▼ 匠
【テーマコード(参考)】
3B098
3E064
【Fターム(参考)】
3B098AA03
3B098AA10
3B098AB07
3B098BB02
3B098DA04
3E064AA04
3E064AA05
3E064BA17
3E064BA27
3E064BA30
3E064BB03
3E064BC16
3E064BC18
3E064GA02
3E064GA04
3E064HM01
3E064HN05
3E064HN13
3E064HN18
(57)【要約】
【課題】開口部の両端における未接合部分の発生を抑制することが可能な、ジッパーテープおよびジッパーテープ付き容器を提供すること。
【解決手段】本発明におけるジッパーテープは、互いに対向する第1の部材および第2の部材を有するジッパーテープであって、上記第1の部材および前記第2の部材のそれぞれは、基部条片、上記基部条片の互いに対向する面からそれぞれ突出し互いに係合可能な係合部を含む第1の樹脂部分と、上記基部条片の上記係合部とは反対側の面の少なくとも一部に積層される第2の樹脂部分と、上記基部条片の幅方向の端部に形成される厚肉部とを含み、少なくとも上記第1の部材で、上記基部条片の上記係合部とは反対側の面に続く上記厚肉部の少なくとも一部が上記第2の樹脂部分である。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する第1の部材および第2の部材を有するジッパーテープであって、
前記第1の部材および前記第2の部材のそれぞれは、
基部条片、前記基部条片の互いに対向する面からそれぞれ突出し互いに係合可能な係合部を含む第1の樹脂部分と、
前記基部条片の前記係合部とは反対側の面の少なくとも一部に積層される第2の樹脂部分と、
前記基部条片の幅方向の端部に形成される厚肉部と
を含み、
少なくとも前記第1の部材で、前記基部条片の前記係合部とは反対側の面に続く前記厚肉部の少なくとも一部が前記第2の樹脂部分である、ジッパーテープ。
【請求項2】
前記第1の部材の前記厚肉部は、少なくとも表面の一部が前記第2の樹脂部分で覆われた、
請求項1に記載のジッパーテープ。
【請求項3】
前記第1の部材の前記厚肉部全体が前記第2の樹脂部分で形成される、
請求項1または請求項2に記載のジッパーテープ。
【請求項4】
前記第1の部材および前記第2の部材それぞれの前記厚肉部は、前記係合部を互いに係合させたときに、前記基部条片の幅方向について互い違いの位置に配置される、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のジッパーテープ。
【請求項5】
前記第1の部材の前記厚肉部は、前記係合部を互いに係合させたときに、前記第2の部材の前記厚肉部よりも前記基部条片の幅方向の端部側に張り出した位置に配置される、
請求項4に記載のジッパーテープ。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のジッパーテープと、
内側に収納空間を形成し、当該収納空間を間に挟んで互いに対向する第1面および第2面を有する基材フィルムと、
前記第1面の前記基材フィルムに前記ジッパーテープの前記第1の部材が融着され、前記第2面の前記基材フィルムに前記ジッパーテープの前記第2の部材が融着される容器本体と、
を備えるジッパーテープ付き容器。
【請求項7】
前記第1の部材および前記第2の部材それぞれの前記厚肉部同士が、前記第1面および前記第2面が互いに接合されるサイドシール部の領域以外の領域では互いに融着されていない、
請求項6に記載のジッパーテープ付き容器。
【請求項8】
前記容器本体は、袋体を形成する、
請求項6または請求項7に記載のジッパーテープ付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジッパーテープおよびジッパーテープ付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
食品、薬品、医療品、雑貨等の各種物品を包装するための包装材として、袋の開口部に対して雄部材および雌部材より形成されて雌雄咬合する一対の帯状のジッパーテープを配設し、かかる咬合状態を開閉自在としたジッパーテープ付き包装袋が適用されている。このようなジッパーテープ付き包装袋は、ジッパーテープの上部がシールされることによって密封されている。開口部近傍に突条が設けられることによって、開封時に指が引っ掛かりやすくした包装袋が提案されている。
【0003】
このような技術の例として、特許文献1には、袋本体を開閉および密封するジッパーテープの端縁部に沿って、袋開閉時の指の滑り止め手段となる突起部等の厚肉部が備えられ、この突起部が、ジッパーテープとともに、袋本体の開口部より内側に配設された包装袋が開示されている。このように突起部を袋本体の内側に位置させることで、滑り止め構造が袋の外側に大きく張り出すことがなく、ジッパーテープ及び袋全体を小型化することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1において開示された技術では、基部条片を形成する樹脂は袋本体を形成する樹脂に対して接合強度が低いため、ジッパーテープを袋本体に熱融着させる際に、袋の開口部の両端の突起部において、未接合部分が残る虞がある。未接合部分が残ることによって、基部条片が袋本体から剥離し、袋の内圧がリークされて、被包装物の漏洩や成形品の外観が損なわれること等の不都合が生じうる。
【0006】
そこで、本発明は、開口部の両端における未接合部分の発生を抑制することが可能な、ジッパーテープおよびジッパーテープ付き容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]互いに対向する第1の部材および第2の部材を有するジッパーテープであって、上記第1の部材および前記第2の部材のそれぞれは、基部条片、上記基部条片の互いに対向する面からそれぞれ突出し互いに係合可能な係合部を含む第1の樹脂部分と、上記基部条片の上記係合部とは反対側の面の少なくとも一部に積層される第2の樹脂部分と、上記基部条片の幅方向の端部に形成される厚肉部とを含み、少なくとも上記第1の部材で、上記基部条片の上記係合部とは反対側の面に続く上記厚肉部の少なくとも一部が上記第2の樹脂部分である、ジッパーテープ。
[2]上記第1の部材の上記厚肉部は、少なくとも表面の一部が上記第2の樹脂部分で覆われた、[1]に記載のジッパーテープ。
[3]上記第1の部材の上記厚肉部全体が上記第2の樹脂部分で形成される、[1]または[2]に記載のジッパーテープ。
[4]上記第1の部材および上記第2の部材それぞれの上記厚肉部は、上記係合部を互いに係合させたときに、上記基部条片の幅方向について互い違いの位置に配置される、[1]から[3]のいずれか1項に記載のジッパーテープ。
[5]上記第1の部材の上記厚肉部は、上記係合部を互いに係合させたときに、上記第2の部材の上記厚肉部よりも上記基部条片の幅方向の端部側に張り出した位置に配置される、[4]に記載のジッパーテープ。
[6][1]から[5]のいずれか1項に記載のジッパーテープと、内側に収納空間を形成し、当該収納空間を間に挟んで互いに対向する第1面および第2面を有する基材フィルムと、上記第1面の基材フィルムに上記ジッパーテープの上記第1の部材が融着され、上記第2面の基材フィルムに上記ジッパーテープの上記第2の部材が融着される容器本体と、を備えるジッパーテープ付き容器。
[7]上記第1の部材および上記第2の部材それぞれの上記厚肉部同士が、前記第1面および前記第2面が互いに接合されるサイドシール部の領域以外の領域では互いに融着されていない、[6]に記載のジッパーテープ付き容器。
[8]上記容器本体は、袋体を形成する、[6]または[7]に記載のジッパーテープ付き容器。
【発明の効果】
【0008】
本発明によるジッパーテープおよびジッパーテープ付き容器によれば、互いに対向する部分のうち少なくとも一方に形成された厚肉部と基材フィルムとの間にシール層を形成する。そのため、厚肉部と基材フィルムとの接合強度を高くすることができることから、開口部の両端における未接合部分の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係るジッパーテープ付袋を示す正面図である。
【
図2A】
図1に示すジッパーテープ付き袋のIIA-IIA線断面図である。
【
図2B】
図1に示すジッパーテープ付き袋のIIB-IIB線に沿ったサイドシール部における断面図である。
【
図3A】本発明の一実施形態でジッパーテープに形成される厚肉部の第2の例を示す図である。
【
図3B】
図3Aの例のジッパーテープのサイドシール部における断面図である。
【
図4A】本発明の一実施形態でジッパーテープに形成される厚肉部の第3の例を示す図である。
【
図4B】
図4Aの例のジッパーテープのサイドシール部における断面図である。
【
図5A】本発明の一実施形態でジッパーテープに形成される厚肉部の第4の例を示す図である。
【
図5B】
図5Aの例のジッパーテープのサイドシール部における断面図である。
【
図6A】本発明の一実施形態でジッパーテープに形成される厚肉部の第5の例を示す図である。
【
図6B】
図6Aの例のジッパーテープのサイドシール部における断面図である。
【
図7A】本発明の一実施形態でジッパーテープに形成される厚肉部の第6の例を示す図である。
【
図7B】
図7Aの例のジッパーテープのサイドシール部における断面図である。
【
図8A】本発明の一実施形態でジッパーテープに形成される厚肉部の第7の例を示す図である。
【
図8B】
図8Aの例のジッパーテープのサイドシール部における断面図である。
【
図9A】従来例のジッパーテープに形成される厚肉部を示す図である。
【
図9B】
図9Aの例のジッパーテープのサイドシール部における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省略する。
【0011】
なお、本明細書において、積層体の各層を形成する樹脂組成物の主成分は、その層を形成している樹脂組成物の中で最も含有率が多い樹脂成分を意味する。従って、樹脂組成物は主成分に加えて他の成分を含んでもよい。主成分は、例えばIR法によって確認することができる。本明細書において、積層体の各層を形成する樹脂組成物の成分の含有率は、別途記載がない限りその層を形成する樹脂組成物全体に対する質量%で表記する。
【0012】
また、本明細書において、主ポリマーとは、各層の構成成分中、最も多い成分を意味するが、各層がn成分(nは2以上の整数)のポリマーで構成されている場合100/n%以上、好ましくは100/n×1.2倍%以上含有している成分を意味する。主ポリマーであることは、赤外分光法、NMR、DSC等で分析できる。なお、本発明の効果を失わない範囲で、不純物を含むことが出来るものとする。
【0013】
図1は本発明の一実施形態に係るジッパーテープ付き袋1の正面図であり、
図2Aは
図1に示すジッパーテープ付き袋1のIIA-IIA線断面図である。
図2Bは、
図1に示すジッパーテープ付き袋1のIIB-IIB線に沿ったサイドシール部における断面図である。
図1および
図2Aに示されるように、ジッパーテープ付き袋1は、第1面11Aおよび第2面11Bを有する容器本体である袋体を形成する基材フィルム10と、ジッパーテープ20とを含むジッパーテープ付き容器である。
【0014】
基材フィルム10は、例えば単層または多層の熱可塑性樹脂で形成される。より具体的には、基材フィルム10は、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、またはポリプロピレン(PP)で形成された層を含んでもよい。PPは、ホモポリプロピレン(HPP)、ランダムポリプロピレン(RPP)、またはブロックポリプロピレン(BPP)であってもよい。基材フィルム10が多層である場合、表基材に二軸延伸ポリプロピレン(OPP)、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(OPET)、または二軸延伸ナイロン(ONy)を用いてもよい。これらは、化石燃料由来の樹脂には限られず、環境に配慮したバイオプラスチック(バイオマス由来のバイオポリエチレンやバイオポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂)であってもよいし、化石燃料由来の樹脂とバイオプラスチックの混合物であってもよい。また、基材フィルム10は、アルミニウム蒸着やアルミニウム箔の積層などによって形成された無機材料の層を含んでもよい。
【0015】
なお、本実施形態では、2枚の基材フィルム10がボトムシール部12およびサイドシール部13において互いに接合されることによって、内側に収納空間を形成し、当該収納空間を間に挟んで互いに対向する第1面11Aおよび第2面11Bを有する袋体を形成しているが、別の実施形態では、1枚の基材フィルム10がサイドシール部13に対応する部分で折り返されることによって第1面11Aおよび第2面11Bが形成されてもよい。あるいは、
図1の例におけるボトムシール部12またはサイドシール部13に対応する部分で基材フィルム10が内側に折り込まれた部分、いわゆるガセットが形成されてもよい。この場合、ガセットは、基材フィルム10によって形成されてもよいし、基材フィルム10に接合された別のフィルムによって形成されてもよい。また、ジッパーテープ付き袋1は、底部にガセットが形成されることによって立てて置くことが可能なスタンディングパウチであってもよい。
【0016】
また、本実施形態では、ボトムシール部12およびサイドシール部13が形成される一方で、トップシール部が形成されないことによってジッパーテープ付き袋1の開口部14が形成されているが、別の実施形態では、ボトムシール部12およびサイドシール部13に加えてトップシール部が形成され、トップシール部とジッパーテープ20との間を切断することによって事後的にジッパーテープ付き袋1に開口部14を形成することが可能であってもよい。さらに別の実施形態では、ボトムシール部12が形成されない、すなわちジッパーテープ付き袋1がジッパーテープ20とは反対側で封止されていない状態で袋体が提供されてもよい。この場合、ボトムシール部12はジッパーテープ付き袋1に内容物を充填した後で形成される。これ以外にも、ジッパーテープ20が融着されるものであれば、公知の各種の構成の袋、および袋以外の容器に本発明を適用することが可能である。
【0017】
ジッパーテープ20は、
図2Aに示されるように、基材フィルム10の第1面11Aに融着される第1の部材20Aと、第2面11Bに融着される第2の部材20Bとを含む。ジッパーテープ20は、例えばポリオレフィン系樹脂で形成される。より具体的には、ジッパーテープ20は、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、またはポリプロピレン(PP)で形成されてもよい。PPは、ホモポリプロピレン(HPP)、ランダムポリプロピレン(RPP)、またはブロックポリプロピレン(BPP)であってもよい。耐熱性、硬度の観点から、ポリプロピレン(PP)が好ましい。ポリオレフィン系樹脂は、化石燃料由来の樹脂には限られず、環境に配慮したバイオプラスチック(バイオマス由来のバイオポリエチレンやバイオポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂)であってもよいし、化石燃料由来の樹脂とバイオプラスチックの混合物であってもよい。ジッパーテープ20の材料には、必要に応じて、公知の添加剤、例えば安定剤、酸化防止剤、滑剤、帯電防止剤、または着色剤などが添加されてもよい。
【0018】
第1の部材20Aおよび第2の部材20Bのそれぞれは、ポリオレフィンを主ポリマーとする樹脂組成物で形成される第1の樹脂部分であるポリオレフィン部分21A,21Bと、第2の樹脂部分であるシール層22A,22Bと、厚肉部23A,23Bとを含む。ポリオレフィン部分21A,21Bは、基部条片211A,211Bと、基部条片211A,211Bの互いに対向する面からそれぞれ突出する係合部212A,212Bとを含む。シール層22A,22Bは、ポリオレフィン部分21A,21Bと基材フィルム10の第1面11Aおよび第2面11Bとの間に位置し、これらの部分を互いに接合する。厚肉部23A,23Bは、基部条片211A,211Bの幅方向の開口部14側の端部に形成される。
【0019】
係合部212A,212Bは、基部条片211A,211Bの互いに対向する面からそれぞれ突出し、互いに係合可能である。
図2Aに示された例において、係合部212Aは雌型の断面形状を有し、係合部212Bは雄型の断面形状を有し、これらの係合部212A,212Bが互いに係合することによってジッパーテープ20が閉じられ、ジッパーテープ付き袋1の開口部14が封止される。なお、雄型および雌型に限られず、爪状、鉤状、または瘤状などを組み合わせた公知の各種のジッパーテープ20の係合部212A,212Bの形状を、上記の例の係合部212A,212Bに適用することも可能である。いずれの場合も、係合部212A,212Bは、略矩形の断面を有する基部条片211A,211Bから突出する異形部分になる。このような異形部分の形状を維持し、係合部212A,212Bが係合したときに開口部14を確実に封止したり、係合を解除したときに適度な開封感を発現させたりするためには、ポリオレフィンを主ポリマーとするポリオレフィン部分21A,21Bに係合部212A,212Bを形成することが有利である。
【0020】
シール層22A,22Bの原料は、例えば、メタロセン系触媒を用いて得られた直鎖状低密度ポリエチレン(メタロセン直鎖状低密度ポリエチレン)を含有することが好ましく、メタロセン系触媒を用いて得られた直鎖状低密度ポリエチレンとメタロセン系触媒を用いて得られたプロピレン-αオレフィン共重合体とを含有することがより好ましい。また、ジッパーテープ20は、例えば各部分の樹脂を共押出成形することによって形成される。シール層22A,22Bの原料は、例えば下記の樹脂(A)を5質量%以上、好ましくは10質量%以上であって、50質量%以下、好ましくは40質量%以下とする。また、下記の樹脂(B)を50質量%以上、好ましくは60質量%以上であって、95質量%以下、好ましくは90質量%以下含有する。さらに、X線回折による広角X線散乱の散乱角が14°±0.5°に極大ピークを有する樹脂組成物とすることが好ましい。
樹脂(A):密度900kg/m3以下、メルトフローレート(Melt Flow Rate:MFR)1.0g/10min以上20g/10min以下、融点100℃以下のメタロセン系触媒を用いて得られたプロピレン-αオレフィン共重合体
樹脂(B):密度900kg/m3以下、MFR1.0g/10min以上20g/10min以下、融点80℃以上100℃以下のメタロセン系触媒を用いて得られた直鎖状低密度ポリエチレン
【0021】
厚肉部23A,23Bは図示されるように球状であってもよいが、これに限らず、断面が正方形や菱形等の断面角形状の凸条であってもよい。また、例えば厚肉部23Aが球状であって厚肉部23Bが正方形の断面形状であってもよく、厚肉部23Aが菱形の断面形状であって厚肉部23Bが球状であってもよい。これらに限らず、厚肉部23A,23Bの形状は、それぞれ異なる断面形状の組み合わせであってもよい。厚肉部23A,23Bは、厚肉部23A,23Bは、
図2Aの例では係合部212A,212Bを互いに係合させたときに基部条片211A,211Bの幅方向について同位置に対向するように配置されている。厚肉部23A,23Bは、ジッパーテープ付き袋1の開閉時に、開口部14側の端部において指に引っかかることから、袋開閉時の指の滑り止め手段となる。
【0022】
また、2つの厚肉部23A,23Bのうち、少なくとも第1の部材20A側の厚肉部23Aは、基部条片211Aの係合部212Aとは反対側の面に続く厚肉部23Aの少なくとも一部がシール層22Aである。図示された例では、厚肉部23Aと基材フィルム10の第1面11Aとの間にシール層22Aが形成されている。また、第2の部材20B側の厚肉部23Bはポリオレフィン部分21Bで形成されている。
【0023】
図2Aに示すように、厚肉部23A,23Bは、基材フィルム10側及び基材フィルム10と反対側への突出幅W
1は、好ましくは0.1mm以上であり、より好ましくは0.2mm以上である。シール層22A,22Bの厚さは、5μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましい。上限値は、特に制限はないが、例えば1mmである。
【0024】
図2Bに示すように、サイドシール部13において、基材フィルム10に、第1の部材20Aのポリオレフィン部分21Aおよび第2の部材20Bのポリオレフィン部分21Bが接合したポリオレフィン部分21と、第1の部材20Aのシール層22Aおよび第2の部材20Bのシール層22Bが接合したシール層22と、を含むジッパーテープ20が挟まれるように接合されている。基材フィルム10およびポリオレフィン部分21は、厚肉部23Aと基材フィルム10の第1面11Aとの間にシール層22Aが形成されていることから、第1の部材20A側ではシール層22を介して接合されている。
【0025】
ここで、
図9Aを用いて、従来例のジッパーテープに形成される厚肉部について説明する。図示された例において、ジッパーテープ付き袋9は、第1面81Aおよび第2面81Bを有する容器本体である袋体を形成する基材フィルム80と、ジッパーテープ90とを含むジッパーテープ付き容器である。ジッパーテープ付き袋9は、2枚の基材フィルム80が互いに対向する第1面81Aおよび第2面81Bを有する袋体を形成し、ジッパーテープ付き袋9の開口部84が形成されている。ジッパーテープ90は、基材フィルム80の第1面81Aに融着される第1の部材90Aと、第2面81Bに融着される第2の部材90Bと、を含む。
【0026】
第1の部材90Aおよび第2の部材90Bのそれぞれは、ポリオレフィンを主ポリマーとする樹脂組成物で形成される第1の樹脂部分であるポリオレフィン部分91A,91Bと、第2の樹脂部分であるシール層92A,92Bと、厚肉部93A,93Bと、を含む。ポリオレフィン部分91A,91Bは、基部条片911A,911Bと、基部条片911A,911Bの互いに対向する面からそれぞれ突出する係合部912A,912Bとを含む。シール層92A,92Bは、ポリオレフィン部分91A,91Bと基材フィルム80の第1面81Aおよび第2面81Bとの間に位置し、これらの部分を互いに接合する。厚肉部93A,93Bは、基部条片911A,911Bの幅方向の開口部84側の端部に形成される。係合部912A,912Bは、基部条片911A,911Bの互いに対向する面からそれぞれ突出し、互いに係合可能である。
【0027】
図9Bは、
図9Aの例のジッパーテープ90のサイドシール部における断面図である。図示されるように、サイドシール部では、基材フィルム80に、第1の部材90Aのポリオレフィン部分91Aおよび第2の部材90Bのポリオレフィン部分91Bが接合したポリオレフィン部分91と、第1の部材90Aのシール層92Aおよび第2の部材90Bのシール層92Bが接合したシール層92と、を含むジッパーテープ90が挟まれるように接合されている。従来例におけるジッパーテープ90は、サイドシール部において、領域L1およびL2に示す部分では基材フィルム80およびポリオレフィン部分91が接合している。ポリオレフィン部分91を形成する樹脂は、基材フィルム80を形成する樹脂に対して接合強度が低いため、ジッパーテープ90を袋本体に熱融着させる際に未接合部分となる虞がある。未接合部分が残ることによって、ジッパーテープ90が基材フィルム80から剥離し、袋の内圧がリークされて、被包装物の漏洩や成形品の外観が損なわれること等の不都合が生じうる。
【0028】
これに対して、本実施形態におけるジッパーテープ付き袋1は、
図2Aに示すように、厚肉部23Aと基材フィルム10の第1面11Aとの間にシール層22Aが形成されることによって、厚肉部23Aと基材フィルム10の第1面11Aとの接合強度を高くすることができる。これは、
図2Bに示すように、本実施形態に係るジッパーテープ付き袋1は、サイドシール部13において基材フィルム10およびポリオレフィン部分21が、第1の部材20A側ではシール層22を介して接合されているためである。そのため、ジッパーテープ20を袋本体に融着させる際に、開口部14の両端である、厚肉部23A,23Bの長手方向の端部とサイドシール部13とが交差する部分において、未接合部分の発生を抑制することができる。
【0029】
2つの厚肉部23A,23Bの例は、
図2Aに示す場合に限らない。厚肉部23A,23Bの他の例を、以下に示す。
図3A、
図4A、
図5A、
図6A、
図7Aおよび
図8Aにおいて、
図2Aに示される例と同様に、ジッパーテープ20は基材フィルム10の第1面11Aに融着される第1の部材20Aと、第2面11Bに融着される第2の部材20Bとからなる。第1の部材20Aおよび第2の部材20Bのそれぞれは、ポリオレフィンを主ポリマーとする樹脂組成物で形成されるポリオレフィン部分21A,21Bと、シール層22A,22Bと、厚肉部23A,23Bを含む。ポリオレフィン部分21A,21Bは、基部条片211A,211Bと、基部条片211A,211Bの互いに対向する面からそれぞれ突出する係合部212A,212Bとを含む。係合部212A,212Bは、互いに係合可能である。シール層22A,22Bは、ポリオレフィン部分21A,21Bと2枚の基材フィルム10との間に位置し、これらの部分を互いに接合する。厚肉部23A,23Bは、基部条片211A,211Bの幅方向の開口部14側の端部に形成される。
【0030】
図3A、
図4Aおよび
図5Aに示す厚肉部23A,23Bの第2から第4の例では、
図2Aと同様に、厚肉部23A,23Bは、係合部212A,212Bを互いに係合させたときに基部条片211A,211Bの幅方向について同位置に対向するように配置されている。
【0031】
図3Aに示す厚肉部23A,23Bの第2の例では、基材フィルム10の第1面11Aに融着される第1の部材20Aに加えて、第2面11Bに融着される第2の部材20Bにおいても厚肉部23Bと基材フィルム10の第2面11Bとの間にシール層22Bが形成される。
【0032】
図3Bは、
図3Aの例のジッパーテープ20のサイドシール部13における断面図である。
図3Bに示すように、サイドシール部13において、基材フィルム10に、ポリオレフィン部分21およびシール層22を含むジッパーテープ20が挟まれるように接合されている。基材フィルム10およびポリオレフィン部分21は、第1の部材20A側および第2の部材20B側ともシール層22を介して接合されている。このことから、図示された構成によれば、第1の部材20A側の厚肉部23Aと基材フィルム10の第1面11Aとの接合強度を高くするとともに、第2の部材20B側の厚肉部23Bと基材フィルム10の第2面11Bとの接合強度を高くすることができる。そのため、ジッパーテープ20を袋本体に融着させる際に、開口部14の両端である、厚肉部23A,23Bの長手方向の端部とサイドシール部13とが交差する部分において、未接合部分の発生をさらに抑制することができる。
【0033】
図4Aに示す厚肉部23A,23Bの第3の例では、第1の部材20A側の厚肉部23Aの表面が、シール層22Aで覆われており、球状の厚肉部23Aの内部はポリオレフィン部分21Aで形成されている。図示された例では第2の部材20B側の厚肉部23Bはポリオレフィン部分21Bで形成されているが、これに限らず、厚肉部23Bも内部はポリオレフィン部分21Bで形成され、表面がシール層22Aで覆われてもよい。
【0034】
図4Bは、
図4Aの例のジッパーテープ20のサイドシール部13における断面図である。
図4Bに示すように、サイドシール部13において、基材フィルム10に、ポリオレフィン部分21およびシール層22を含むジッパーテープ20が挟まれるように接合されている。基材フィルム10およびポリオレフィン部分21は、第1の部材20A側ではシール層22を介して接合されている。このことから、図示された構成によれば、厚肉部23A,23Bの長手方向の端部とサイドシール部13とが交差する部分において、より接合強度が高められ未接合部分の発生を抑制することができる。
【0035】
図5Aに示す厚肉部23A,23Bの第4の例では、第1の部材20A側の厚肉部23A全体がシール層22Aで形成されている。図示された例では、第2の部材20B側の厚肉部23Bはポリオレフィン部分21Bで形成されているが、これに限らず、厚肉部23Bも全体がシール層22Bで形成されてもよい。
【0036】
図5Bは、
図5Aの例のジッパーテープ20のサイドシール部13における断面図である。
図5Bに示すように、サイドシール部13において、基材フィルム10に、ポリオレフィン部分21およびシール層22を含むジッパーテープ20が挟まれるように接合されている。基材フィルム10およびポリオレフィン部分21は、第1の部材20A側および開口部14側の一部ではシール層22を介して接合されている。このことから、図示された構成によれば、厚肉部23A,23Bの長手方向の端部とサイドシール部13とが交差する部分において、より接合強度が高められ未接合部分の発生を抑制できる。
【0037】
以下で説明する、
図6A、
図7Aおよび
図8Aに示す厚肉部23A,23Bの第5から第7の例では、係合部212A,212Bを互いに係合させたときに、厚肉部23Aは、厚肉部23Bよりも基部条片211A,211Bの幅方向の開口部14の端部側に張り出した位置に配置されている。厚肉部23Aは、厚肉部23Bに対して張り出してもよい。
図6Aに示す、厚肉部23Aの端縁部と厚肉部23Bの端縁部との幅である張り出し幅Dは、0.5mm以上が好ましく、1.0mm以上がより好ましい。また、張り出し幅Dは、特に限定はないが例えば1cm以下である。厚肉部23A,23Bの幅W
2は、0.3mm以上が好ましく、0.5mm以上がより好ましい。また、厚肉部23A,23Bの幅W
2は、5.0mm以下が好ましく、3.0mm以下がより好ましい。上記張り出し幅Dおよび厚肉部23A,23Bの幅W
2は、これらに限らない。
【0038】
図6Aに示す厚肉部23A,23Bの第5の例では、
図2Aに示す場合と同様に厚肉部23Aと基材フィルム10の第1面11Aとの間にシール層22Aが形成されている。図示されていないが、これに加えて、第2面11Bに融着される第2の部材20Bにおいても厚肉部23Bと基材フィルム10の第2面11Bとの間にシール層22Bが形成されてもよい。
【0039】
図6Bは、
図6Aの例のジッパーテープ20のサイドシール部13における断面図である。
図6Bに示すように、サイドシール部13において、基材フィルム10に、ポリオレフィン部分21およびシール層22を含むジッパーテープ20が挟まれるように接合されている。基材フィルム10およびポリオレフィン部分21は、第1の部材20A側ではシール層22を介して接合されている。このことから、図示された構成によれば、厚肉部23A,23Bの長手方向の端部とサイドシール部13とが交差する部分において、未接合部分の発生を抑制する。また、厚肉部23A,23Bを基部条片211A,211Bの幅方向について互い違いの位置に配置することによって、対向する厚肉部23A,23B同士が干渉せず、袋開封時に厚肉部23A,23Bの間に指を入れやすくなる。そのため、図示された厚肉部23A,23Bは、袋開閉時の指の滑り止め手段と、指の易挿入性の双方を確保できる。
【0040】
図7Aに示す厚肉部23A,23Bの第6の例では、
図4Aに示す場合と同様に第1の部材20A側の厚肉部23Aの表面が、シール層22Aで覆われている。図示された例では第2の部材20B側の厚肉部23Bはポリオレフィン部分21Bで形成されているが、これに限らず、厚肉部23Bも内部はポリオレフィン部分21Bで形成され、表面がシール層22Aで覆われてもよい。
【0041】
図7Bは、
図7Aの例のジッパーテープ20のサイドシール部13における断面図である。
図7Bに示すように、サイドシール部13において、基材フィルム10に、ポリオレフィン部分21およびシール層22を含むジッパーテープ20が挟まれるように接合されている。基材フィルム10およびポリオレフィン部分21は、第1の部材20A側、開口部14側および第2の部材20B側の一部ではシール層22を介して接合されている。このことから、図示された構成によれば、
図6Aの例と同様に厚肉部23A,23Bの長手方向の端部とサイドシール部13とが交差する部分において、未接合部分の発生を抑制するとともに、袋開閉時の指の滑り止め手段と、指の易挿入性の双方を確保できる。
【0042】
図8Aに示す厚肉部23A,23Bの第7の例では、
図5Aに示す場合と同様に厚肉部23A全体がシール層22Aで形成されている。図示された例では、第2の部材20B側の厚肉部23Bはポリオレフィン部分21Bで形成されているが、これに限らず、厚肉部23Bも全体がシール層22Bで形成されてもよい。
【0043】
図8Bは、
図8Aの例のジッパーテープ20のサイドシール部13における断面図である。
図8Bに示すように、サイドシール部13において、基材フィルム10に、ポリオレフィン部分21およびシール層22を含むジッパーテープ20が挟まれるように接合されている。基材フィルム10およびポリオレフィン部分21は、第1の部材20A側および開口部14側ではシール層22を介して接合されている。このことから、図示された構成によれば、
図6Aの例と同様に厚肉部23A,23Bの長手方向の端部とサイドシール部13とが交差する部分において、未接合部分の発生を抑制するとともに、袋開閉時の指の滑り止め手段と、指の易挿入性の双方を確保できる。
【0044】
厚肉部23A,23Bの配置は、上記の例に限らない。厚肉部23Bは、係合部212A,212Bを互いに係合させたときに、厚肉部23Aよりも基部条片211A,211Bの幅方向の開口部14の端部側に張り出した位置に配置されてもよい。また、厚肉部23A,23Bは、基部条片211A,211Bの幅方向の開口部14の端部側に複数配置されてもよい。
【0045】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はこれらの例に限定されない。本発明の属する技術の分野の当業者であれば、請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0046】
1:ジッパーテープ付き袋 10:基材フィルム 11A:第1面 11B:第2面 13:サイドシール部 14:開口部 20:ジッパーテープ 20A:第1の部材 20B:第2の部材 21、21A、21B:ポリオレフィン部分 22、22A、22B:シール層 23A、23B:厚肉部 211A、211B:基部条片 212A、212B:係合部