(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177730
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04 20160101AFI20241217BHJP
H01M 8/00 20160101ALI20241217BHJP
H01M 8/043 20160101ALI20241217BHJP
H01M 8/04955 20160101ALI20241217BHJP
H01M 8/04313 20160101ALI20241217BHJP
F24D 18/00 20220101ALI20241217BHJP
F24H 1/00 20220101ALI20241217BHJP
F24H 1/18 20220101ALI20241217BHJP
H01M 8/0432 20160101ALI20241217BHJP
F24D 101/30 20220101ALN20241217BHJP
【FI】
H01M8/04 Z
H01M8/00 Z
H01M8/043
H01M8/04955
H01M8/04313
F24D18/00
F24H1/00 631A
F24H1/18 H
H01M8/0432
F24D101:30
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096031
(22)【出願日】2023-06-12
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100089004
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】吉川 昌吾
(72)【発明者】
【氏名】藤川 泰
【テーマコード(参考)】
3L122
5H127
【Fターム(参考)】
3L122AA02
3L122AA28
3L122AA73
3L122AB22
3L122BA32
3L122BA34
3L122BA42
3L122DA01
3L122EA22
3L122EA42
5H127AA07
5H127AB02
5H127AB23
5H127AC07
5H127AC09
5H127DA17
5H127DB93
5H127DC49
5H127EE02
5H127EE26
5H127GG02
(57)【要約】
【課題】凍結予防ヒータを使用せずに凍結を防止することができる燃料電池システムを提供すること。
【解決手段】燃料電池システム(1)は、マイコンメータ(20)を介して供給される燃料ガスを使用して発電する発電部(3)と、発電部(3)の発電運転時の熱を利用して加熱した温水を貯湯する貯湯運転を行う貯湯ユニット(10)と、発電運転と貯湯運転を制御する制御手段(4)と、外部通信網(21)を介して気象情報を入手するための通信手段(19)を有し、制御手段(4)は、燃料ガスの連続供給が予め設定された期間を超えたときに燃料ガスの供給を遮断するマイコンメータ(20)のガス遮断機能の作動回避のために発電運転を定期的に停止させる発電停止期間を設定すると共に、通信手段(19)により入手した気象情報に基づき貯湯ユニット(10)の凍結予防運転が必要となる凍結予防期間を予測し、発電停止期間と凍結予防期間とが干渉する場合には、発電停止期間を凍結予防期間の前に変更する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイコンメータを介して供給される燃料ガスを使用して発電する発電部と、前記発電部の発電運転時の熱を利用して加熱した温水を貯湯する貯湯運転を行う貯湯ユニットと、前記発電運転と前記貯湯運転を制御する制御手段とを有する燃料電池システムにおいて、
外部通信網を介して気象情報を入手するための通信手段をさらに有し、
前記制御手段は、燃料ガスの連続供給が予め設定された期間を超えたときに燃料ガスの供給を遮断する前記マイコンメータのガス遮断機能の作動回避のために前記発電運転を定期的に停止させる発電停止期間を設定すると共に、前記通信手段により入手した気象情報に基づき前記貯湯ユニットの凍結予防運転が必要となる凍結予防期間を予測し、前記発電停止期間と前記凍結予防期間とが干渉する場合には、前記発電停止期間を前記凍結予防期間の前に変更することを特徴とする燃料電池システム。
【請求項2】
前記制御手段は、前記発電停止期間の前に前記貯湯ユニットに最大熱量の貯湯を行うように前記貯湯運転を制御することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料ガスを使用して発電すると共に、発電時の熱を利用して加熱した温水を貯湯し、貯湯した温水を給湯に利用するように構成された燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、燃料ガスを使用して加熱した湯水を給湯する給湯装置が広く利用されている。燃料ガスは、燃料ガス供給元からマイコンメータを介して給湯装置に供給される。マイコンメータは、例えば特許文献1のように、燃料ガスの使用量を計測すると共に燃料ガスの漏洩や圧力変動等を監視し、異常を検知した場合には燃料ガスの供給を遮断するガス遮断機能を備えている。
【0003】
給湯装置としては、例えば燃料電池を有する発電部と、発電部の発電運転時の熱を利用して加熱した熱媒(温水)を貯湯タンクに貯湯する貯湯運転を行い、この貯湯タンクの温水を給湯に利用する貯湯ユニットを備えた燃料電池システムが知られている。この燃料電池システムは、家庭で使用する電力を発電部で発電しながら給湯のための熱を貯湯ユニットが蓄えるので、エネルギー効率を高めることが可能である。尚、貯湯タンクの熱が不足する場合には、例えば燃焼式の補助熱源機で上水を加熱して給湯する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
マイコンメータは、燃料ガスの長期間(例えば30日)の連続供給が行われた場合に、ガス遮断機能により燃料ガスの供給を遮断するように構成されている。燃料ガスの長期間の連続供給は、燃料ガスの供給を受ける機器側で燃料ガスが漏洩している虞があるので、燃料ガスの供給遮断は事故を防ぐための安全動作である。
【0006】
燃料電池システムは、発電のために発電部を例えば700℃以上の高温にする必要があり、発電運転の開始及び停止を行うことが容易ではない。それ故、特許文献1のように、通常は連続的に発電運転を行い、マイコンメータのガス遮断機能を回避するために例えば28日毎に発電運転を停止させるように構成されている。発電運転の停止期間は、一般的に十数時間から1日程度である。
【0007】
冬季には外気温が下がるため、給湯装置内の湯水が凍結する虞があるが、燃料電池システムでは発電運転中にはその熱によって凍結が防止される。しかし、ガス遮断機能回避のための発電運転の停止中には発電部の温度が低下し、貯湯ユニット内の熱媒及び給湯用の湯水が凍結する虞がある。凍結は燃料電池システムの故障を誘発するので、外気温が凍結防止運転の開始温度(例えば3℃)まで下がった場合に、凍結予防ヒータを作動させて凍結を防いでいる。
【0008】
しかし、凍結予防ヒータは、発電停止の期間と凍結の虞がある期間が重なる場合にしか作動機会がなく、燃料電池システムの構成を複雑にすると共に製造コストを上昇させるので、凍結予防ヒータを省略することが検討されている。そこで、本発明は、凍結予防ヒータを使用せずに凍結を防ぐことができる燃料電池システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明の燃料電池システムは、マイコンメータを介して供給される燃料ガスを使用して発電する発電部と、前記発電部の発電運転時の熱を利用して加熱した温水を貯湯する貯湯運転を行う貯湯ユニットと、前記発電運転と前記貯湯運転を制御する制御手段とを有する燃料電池システムにおいて、外部通信網を介して気象情報を入手するための通信手段をさらに有し、前記制御手段は、燃料ガスの連続供給が予め設定された期間を超えたときに燃料ガスの供給を遮断する前記マイコンメータのガス遮断機能の作動回避のために前記発電運転を定期的に停止させる発電停止期間を設定すると共に、前記通信手段により入手した気象情報に基づき前記貯湯ユニットの凍結予防運転が必要となる凍結予防期間を予測し、前記発電停止期間と前記凍結予防期間とが干渉する場合には、前記発電停止期間を前記凍結予防期間の前に変更することを特徴としている。
【0010】
上記構成によれば、燃料電池システムは、燃料ガスを使用して発電すると共に発電時の熱を利用して加熱した湯水を貯湯する。発電に使用する燃料ガスは、連続供給が所定の期間を超えると供給遮断するマイコンメータを介して供給されるので、このガス遮断機能を作動させないように制御手段が発電停止期間を設定し、この発電停止期間での発電を停止させる。また、制御手段は、通信手段によって入手した気象情報に基づいて、貯湯ユニットの凍結の虞がある期間を、凍結を防ぐための凍結予防期間として予測する。そして、発電停止期間と凍結予防期間とが干渉する場合には、発電停止期間を凍結予防期間の前に変更する。従って、凍結予防期間の前に発電停止期間で発電運転を停止してマイコンメータのガス遮断機能の作動を回避し、その後の凍結予防期間では発電運転を再開し、その熱を利用する貯湯運転を行うので、貯湯ユニットの凍結を防ぐことができる。
【0011】
請求項2の発明の燃料電池システムは、請求項1の発明において、前記制御手段は、前記発電停止期間の前に前記貯湯ユニットに最大熱量の貯湯を行うように前記貯湯運転を制御することを特徴としている。
上記構成によれば、発電停止前に貯湯ユニットに最大熱量の貯湯がされるので、発電停止期間においても貯湯された湯水を例えば給湯に使用することができ、ユーザの利便性が損なわれない。また、例えば気象状況が変化して、発電停止期間中に凍結予防運転が必要になった場合でも、貯湯されている熱量を利用して貯湯ユニットの凍結を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の燃料電池システムによれば、凍結予防ヒータを使用せずに凍結を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施例に係る燃料電池システムの構成図である。
【
図2】実施例に係る発電停止期間調整のフローチャートである。
【
図3】実施例に係る発電停止期間の調整例を示す表である。
【
図4】
図2の一部を変更した発電停止期間調整のフローチャートである。
【
図5】
図4の発電停止期間の調整例を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。
【実施例0015】
図1に示すように、燃料電池システム1は、外装ケース2内に、発電運転を行う発電部3と、発電運転の熱を利用して加熱した熱媒(温水)を貯湯タンク11に貯湯する貯湯運転を行う貯湯ユニット10と、発電運転及び貯湯運転を制御する制御部4(制御手段)を有する。また、外装ケース2内には、燃料ガス供給部5と、改質水供給部6と、酸化剤ガス供給部7と、パワーコンディショナ8が収容されている。パワーコンディショナ8は、外部から燃料電池システム1の作動用電力の供給を受けると共に、発電部3で発電した電力を家庭用電力に変換して外部に供給する。
【0016】
燃料ガス供給部5は、矢印Gのように外部の燃料ガス供給元からマイコンメータ20を介して供給される燃料ガス(例えばメタンを主成分とする都市ガス)を発電部3に供給する。改質水供給部6は、水蒸気改質法によって燃料ガスから水素を取り出すための水を、改質水ポンプ6aによって発電部3に供給する。
【0017】
酸化剤ガス供給部7は、水素と反応させる酸素が含まれる空気を発電部3に供給する。発電部3は、例えば700℃以上の高温環境下で、燃料ガスから取り出した水素と酸化剤ガスである酸素を反応させることにより発電する燃料電池を備え、発電運転で発電した電力を不図示の電力線を介してパワーコンディショナ8に送る。
【0018】
貯湯ユニット10は、貯湯タンク11と、排熱回収熱交換器12と、放熱器13と、給湯熱交換器14を有する。貯湯タンク11と排熱回収熱交換器12と放熱器13は、貯湯ポンプ15aを備えた貯湯循環通路15によって、熱媒が循環可能なように接続されている。また、給湯熱交換器14と貯湯タンク11は、給湯ポンプ16aを備えた給湯循環通路16によって、熱媒が循環可能なように接続されている。
【0019】
排熱回収熱交換器12には、発電部3で水素と酸素の反応によって生成された水蒸気が多量に含まれる高温の発電排気が供給される。また、貯湯ポンプ15aの作動によって、熱媒が貯湯タンク11の下部から放熱器13を介して排熱回収熱交換器12に供給される。排熱回収熱交換器12では、高温の発電排気が、放熱器13で空気に放熱して冷却された熱媒との熱交換により冷却される。
【0020】
排熱回収熱交換器12で冷却された発電排気中の水蒸気は、凝縮により一部が液体の水になり、この水が改質水供給部6に送られる。改質水供給部6に送られた水は、不純物が除去されて燃料ガスから水素を取り出すための水として利用され、不要な水は矢印Dのように排水される。また、排熱回収熱交換器12に接続された発電排気通路9から、冷却されて温度が下がった発電排気が矢印E1で示すように排出される。
【0021】
排熱回収熱交換器12において高温の発電排気との熱交換により加熱された熱媒は、貯湯タンク11の上部に戻される。このように発電運転に伴って、貯湯ユニット10では加熱された熱媒が貯湯タンク11に貯湯される貯湯運転が行われる。
【0022】
燃料電池システム1は、貯湯タンク11に貯湯された熱媒の熱を利用して給湯する。給湯時には、矢印CWで示すように上水が給湯熱交換器14に供給されると共に、給湯ポンプ16aの作動によって、貯湯タンク11の上部の熱媒が給湯熱交換器14に送られる。そして、給湯熱交換器14での熱媒との熱交換によって加熱された湯水は、混合弁17で非加熱の上水との混合によって温度調整されて、矢印HWのように給湯される。給湯熱交換器14での熱交換によって冷却された熱媒は、貯湯タンク11の下部に戻される。
【0023】
発電時に高温になる発電部3が外装ケース2に収容されているので、発電運転中は外装ケース2内の温度上昇を抑制するために外装ケース2内の空気が換気ファン18によって換気される。換気ファン18によって送り出される外装ケース2内の空気は、放熱器13の放熱を促進させると共に矢印E2で示すように外装ケース2の外側に排出される。そして外装ケース2内には、矢印Aで示すように給気口2aから外部の空気が導入される。外装ケース2には、制御部4が外気温を取得するために、例えば給気口2aの近傍に不図示の温度センサが装備されている。
【0024】
マイコンメータ20は、燃料ガスの連続供給が予め設定された期間(例えば30日)を超えたときに、例えば燃料ガスの漏洩とみなして燃料ガスの供給を遮断するガス遮断機能を備えている。このガス遮断機能の作動回避のために、燃料電池システム1は発電運転を定期的に停止する。発電部3は、発電時には高温であり、発電停止時には外気温まで下がるので、発電運転の停止と再開が容易ではなく、この温度変化サイクルによる耐久性劣化を促進させないために発電運転の停止と再開を頻繁に行うことができない。
【0025】
そのため制御部4は、発電運転を開始すると、ガス遮断機能が作動する前に発電運転を停止するための発電停止期間を設定し、発電停止期間まで発電を継続する。そして制御部4は、発電停止期間になると発電運転を停止し、発電停止期間が終了すると発電運転を開始する。これにより定期的(例えば27日毎)に発電停止期間で発電運転を停止して燃料ガスの連続供給を停止させ、マイコンメータ20のガス遮断機能の作動基準である燃料ガスの連続供給の期間をゼロにリセットさせる。
【0026】
また、制御部4は、発電運転の停止前の発電停止準備期間には、貯湯可能な最高温度の熱媒が貯湯タンク11に満たされた状態となるように、即ち貯湯ユニット10における最大熱量の貯湯が完了するように貯湯運転を制御する。例えば発電停止期間開始の6時間前から、貯湯する熱媒の温度が貯湯可能な所定の最高温度となるように貯湯ポンプ15aを制御して貯湯する。これにより、発電停止期間においても貯湯された熱媒の熱を最大限利用して給湯することができるので、利便性が損なわれない。
【0027】
発電運転中には、高温の発電部3の熱により外装ケース2内の温度が高くなる。また、発電部3からの高温の発電排気の熱を回収して貯湯運運転を行っている。それ故、例えば冬季に気温が下がった場合でも、発電運転中は貯湯ユニット10内の湯水の凍結が防止される。しかし、上記のようにマイコンメータ20のガス遮断機能の作動回避のために、発電運転が定期的に停止されるので、発電運転の停止中には外装ケース2内の温度が低下し、冬季には貯湯ユニット10内で凍結が発生する虞がある。
【0028】
そこで、燃料電池システム1は、外部通信網21(インターネット)に接続された通信部19(通信手段)を備え、発電運転停止中の凍結を防ぐために、制御部4が通信部19を介して取得した気象情報に基づいて発電停止期間を調整するように構成されている。気象情報は、外部通信網21に接続された気象情報サーバ22から取得することができる。気象情報サーバ22は、例えば燃料電池システム1の提供者が設置した専用サーバでもよく、一般向けに気象情報を提供するものであってもよい。この制御部4による発電停止期間調整について
図2のフローチャートに基づいて説明する。図中のSi(i=1,2,・・・)はステップを表す。
【0029】
最初にS1において発電運転を開始してS2に進む。そしてS2において、マイコンメータ20のガス供給遮断機能の作動回避のために発電停止期間を設定してS3に進む。ガス供給遮断機能は、燃料ガスの連続供給が予め設定された期間(例えば30日)を超えて行われた場合に作動する。そのため、ガス供給遮断までに少し余裕を持たせて、発電運転開始から例えば27日目に発電停止期間を設定する。発電停止期間は、例えば発電運転開始から27日目になるタイミングで発電停止期間が開始されるように設定される。発電停止期間の長さは例えば12時間である。
【0030】
暦の日付が変わるタイミングを発電運転開始からの日数が変わるタイミングとした場合には、この日付が変わるタイミング以外で発電運転を開始すると、発電運転開始初日の発電運転時間が24時間未満になる。この発電運転時間が24時間未満の日は、発電運転開始からの日数に算入されなくてもよい。また、発電運転開始からの日数を発電運転時間によってカウントしてもよく、この場合には発電停止期間中に日付が変わることがある。
【0031】
次にS3において、通信部19を介して、発電停止期間を含む将来の所定期間の気象情報を取得してS4に進む。所定期間は、現在を初日として、最初に設定した発電停止期間の終了時が属する日を最終日とする期間である。所定期間の気象情報は例えば日毎の気象情報であるが、気象情報は更新されてゆくので、現在に近いほど確度が高く且つ時間的に詳細な例えば1時間毎の気象情報の取得が可能になる。
【0032】
次にS4において、取得した気象情報に基づいて凍結予防運転を必要とする凍結予防期間を予測してS5に進む。例えば気象情報に含まれている予想最低気温が例えば3℃以下になる日は、通常屋外に設置される燃料電池システム1の発電運転が停止している場合に貯湯ユニット10内の凍結の虞があるので、この日が凍結予防運転を必要とする凍結予防期間として予測される。尚、予想最低気温だけでなく、気象情報に含まれる例えば水道凍結指数等に基づいて凍結予防期間を予測することもできる。
【0033】
S5において、設定されている発電停止期間と予測された凍結予防期間とが干渉するか否か判定する。S5の判定がYesの場合はS6に進み、S6において設定されている発電停止期間を予測された凍結予防期間の前に変更してS7に進む。例えば
図3のように、最初に設定された発電停止期間(発電開始から27日目)の予想最低気温が凍結防止動作を必要とする所定温度未満である(上段の表)ため、その前の予想最低気温が所定温度以上である発電開始から26日目に発電停止期間を変更する(下段の表)。
図2のS5の判定がNoの場合は、発電停止期間を変更せずにS7に進む。
【0034】
次にS7において、発電運転の停止前に最大熱量を貯湯するための発電運転停止準備期間が開始されたか否か判定する。S7の判定がNoの場合はS3に戻り、更新される気象情報に基づいて発電停止期間の調整を行う。S7の判定がYesの場合はS8に進み、S8において最大熱量を貯湯するように貯湯運転を制御してS9に進む。
【0035】
次にS9において、発電停止期間開始か否か判定する。S9の判定がNoの場合はS8に戻る。S9の判定がYesの場合はS10に進み、S10において発電運転を停止してS11に進む。そしてS11において、発電停止期間の終了まで待機し、発電停止期間調整を終了する。凍結予防動作が必要ではないと予測される期間に発電停止期間を設定して発電運転を停止するので、発電運転停止中に貯湯ユニット10の凍結が防止される。
【0036】
例えば発電停止期間中の気象状況の変化や、事前に発電停止期間と凍結予防期間との干渉が避けられなかったことによって、発電停止期間中に外気温が所定温度未満に下がった場合には凍結予防運転を行う。この凍結予防運転は、貯湯ポンプ15a、給湯ポンプ16a等を断続的に作動させて、貯湯タンク11に貯湯された温度が高い熱媒を循環させることにより、凍結予防ヒータを使用せずに凍結を防ぐ。
【0037】
発電停止期間が何度も変更される場合には、発電運転の継続期間が短くなり過ぎる虞がある。また、気象情報は更新されるため、現在に近いほど時間的に詳細且つ確度が高い気象情報を取得できるので、以前に凍結予防期間として予測されていた日でも凍結予防運転の必要がなくなる場合もある。そのため例えば
図4のように、S5において設定されている発電停止期間と予測された凍結予防期間とが干渉し判定がYesの場合にS16に進み、S16において最初に設定した発電停止期間を超えない期間で、凍結予防期間と干渉しない発電停止期間に変更するようにしてもよい。
【0038】
例えば
図5のように、最初に設定した発電停止期間(発電開始から27日目)の予想最低気温が凍結防止動作を必要とする所定温度(例えば3℃)未満である(1段目の表)ため、発電停止期間を予想最低気温が所定温度以上である発電開始から25日目に変更する(2段目の表)。その後気象情報が更新され、発電開始から25日目の予想最低気温が所定温度未満になった場合(3段目の表)には、発電停止期間を再度変更するが、発電開始から27日目の予想最低気温が所定温度以上なので、発電停止期間をこの日に変更する(4段目の表)。
図4の発電停止期間を変更するS16以外は
図2と同じなので説明を省略するが、最終的な発電停止期間は、最初に設定した発電停止期間と予測された凍結予防期間とが干渉する場合にはこの凍結予防期間の前に変更されることになる。
【0039】
発電運転開始直後は、発電停止期間が設定される日の気象情報の確度が低いので、又は気象情報を入手できない場合があるので、発電運転開始から一定期間(例えば2週間)が経過してから発電停止期間の調整を行うようにしてもよい。また、発電停止期間の数日前からは、例えば1時間毎の詳細な気象情報に基づいて凍結予防期間に該当する時刻(時間帯)を予測して、発電停止期間を時間単位で変更することができる。これにより、例えば深夜に開始されるように設定されている発電停止期間を、気温が上がる日中に開始されるように変更設定することも可能である。
【0040】
上記の燃料電池システム1の作用、効果について説明する。
燃料電池システム1は、燃料ガスを使用して発電すると共に発電時の熱を利用して加熱した湯水を貯湯する。発電に使用する燃料ガスは、連続供給が所定の期間を超えると供給遮断するマイコンメータ20を介して供給されるので、このガス遮断機能を作動させないように制御部4が発電停止期間を設定し、この発電停止期間での発電を停止させる。また、制御部4は、通信部19によって入手した気象情報に基づいて、貯湯ユニット10の凍結の虞がある期間を、凍結を防ぐ必要がある凍結予防期間として予測する。
【0041】
発電停止期間と凍結予防期間とが干渉する場合には、制御部4は発電停止期間を凍結予防期間の前に変更する。従って、凍結予防期間の前に発電停止期間で発電運転を停止してマイコンメータ20のガス遮断機能の作動を回避し、その後の凍結予防期間では発電運転を再開し、その発電運転の熱により貯湯ユニット10の凍結を防ぐことができる。
【0042】
また、発電停止前に貯湯ユニット10に最大熱量の貯湯がされるので、発電停止期間においても貯湯された湯水を例えば給湯に使用することができ、利便性が損なわれない。その上、例えば気象状況が変化して、発電停止期間中に凍結予防運転が必要になった場合でも、貯湯されている熱量を利用して貯湯ユニット10の凍結を防ぐことができる。
【0043】
本発明は、発電時の熱を利用して加熱された貯湯タンクの湯水が給湯されるように構成された燃料電池システムにも適用することができる。通信部19は、例えば家庭用の通信回線を介して外部通信網21に接続されていてもよく、移動体通信装置によって外部通信網21に接続するものであってもよい。その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、上記実施形態に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態を包含するものである。