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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017774
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】圧延ロール装置のロール交換機構
(51)【国際特許分類】
   B21B 31/08 20060101AFI20240201BHJP
【FI】
B21B31/08 A
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022120638
(22)【出願日】2022-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】399107063
【氏名又は名称】プライムアースEVエナジー株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】浦上 太一
(72)【発明者】
【氏名】石津 誠二
(72)【発明者】
【氏名】岩田 和俊
(72)【発明者】
【氏名】梅原 将一
(72)【発明者】
【氏名】森 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】岸本 尚也
(57)【要約】
【課題】ロールの交換作業の簡素化に寄与可能な、圧延ロール装置のロール交換機構を実現する。
【解決手段】本開示の一形態に係る圧延ロール装置(1)のロール交換機構(20)は、圧延ロール装置(1)のロールの回転軸と平行に配置されるレール部材(21)と、ロールユニットの支持フレームに設けられ、レール部材(21)に載置される載置部と、圧延ロール装置(1)の装置フレームに設けられ、レール部材(21)が載置される被載置部と、圧延ロール装置(1)の装置フレームに形成され、ロールユニットを挿抜可能な開口部と、を備える。レール部材(21)が被載置部に載置され、且つレール部材(21)に載置部が載置された状態で、レール部材(21)に沿ってロールユニットを圧延ロール装置(1)の装置フレームの開口部から引き抜き又は押し込み可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロールと前記ロールの回転軸と前記回転軸を支持する支持フレームとを有するロールユニットと、前記支持フレームが取り外し可能に連結される装置フレームと、を備える圧延ロール装置のロール交換機構であって、
前記回転軸と平行に配置される第1のレール部材と、
前記支持フレームに設けられ、前記第1のレール部材に載置される載置部と、
前記装置フレームに設けられ、前記第1のレール部材が載置される被載置部と、
前記装置フレームにおける前記回転軸が延在する方向の側の部分に形成され、前記ロールユニットを挿抜可能な開口部と、
を備え、
前記装置フレームの開口部に挿入されて前記回転軸と平行に配置された前記第1のレール部材が前記被載置部に載置され、且つ前記第1のレール部材に前記載置部が載置された状態で、前記第1のレール部材に沿って前記ロールユニットを前記装置フレームの開口部から前記圧延ロール装置の外側に引き抜き又は前記圧延ロール装置の内側に押し込み可能である、圧延ロール装置のロール交換機構。
【請求項2】
前記載置部は、前記回転軸が延在する方向に回転可能な車輪を備え、
前記車輪が前記第1のレール部材に載置される、請求項1に記載の圧延ロール装置のロール交換機構。
【請求項3】
前記ロールユニットとして、第1のロールユニットと第2のロールユニットとを備え、
前記第1のロールユニットと前記第2のロールユニットとを連結する連結部材を備える、請求項1又は2に記載の圧延ロール装置のロール交換機構。
【請求項4】
前記連結部材は、前記第1のロールユニットと前記第2のロールユニットとの間に配置され、且つ前記第1のロールユニットのロールと前記第2のロールユニットのロールとの間隔を保持する間隔保持部を備える、請求項3に記載の圧延ロール装置のロール交換機構。
【請求項5】
ロール交換台車を備え、
前記ロール交換台車は、
前記第1のレール部材と連結される第2のレール部材と、
前記第2のレール部材を昇降させる昇降装置と、
前記昇降装置を支持する台車本体と、
を備える、請求項1又は2に記載の圧延ロール装置のロール交換機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、圧延ロール装置のロール交換機構に関する。
【背景技術】
【0002】
圧延ロール装置は、例えば、リチウムイオン電池を製造する際に金属箔上に塗布された電極材を圧延するために用いられている。このような圧延ロール装置は、例えば、2本のロールの間に被圧延部材を通す構成とされている。このとき、ロール表面の摩耗や損傷によってロールを交換する必要が生じる場合があり、例えば、特許文献1には、2本のロールを連結した状態でホイストクレーンを用いて一体的に交換するロールの組み替え工法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4-9219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本出願人は、以下の課題を見出した。特許文献1のロールの組み替え工法は、ロールを交換するためにホイストクレーンのような大型の設備が必要であり、ロールの交換作業が大掛かりある。
【0005】
本開示は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、ロールの交換作業の簡素化に寄与可能な、圧延ロール装置のロール交換機構を実現する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る圧延ロール装置のロール交換機構は、ロールと前記ロールの回転軸と前記回転軸を支持する支持フレームとを有するロールユニットと、前記支持フレームが取り外し可能に連結される装置フレームと、を備える圧延ロール装置のロール交換機構であって、
前記回転軸と平行に配置される第1のレール部材と、
前記支持フレームに設けられ、前記第1のレール部材に載置される載置部と、
前記装置フレームに設けられ、前記第1のレール部材が載置される被載置部と、
前記装置フレームにおける前記回転軸が延在する方向の側の部分に形成され、前記ロールユニットを挿抜可能な開口部と、
を備え、
前記装置フレームの開口部に挿入されて前記回転軸と平行に配置された前記第1のレール部材が前記被載置部に載置され、且つ前記第1のレール部材に前記載置部が載置された状態で、前記第1のレール部材に沿って前記ロールユニットを前記装置フレームの開口部から前記圧延ロール装置の外側に引き抜き又は前記圧延ロール装置の内側に押し込み可能である。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、ロールの交換作業の簡素化に寄与可能な、圧延ロール装置のロール交換機構を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1の圧延ロール装置の第1のロールユニットを交換する様子を示す図である。
図2】実施の形態1の圧延ロール装置の第1のロールユニットを交換する際のロール交換機構の各部の様子を説明するための図である。
図3】実施の形態1の圧延ロール装置のロール交換機構を用いて第1のロールユニットを引き抜いた状態を示す図である。
図4】実施の形態1の圧延ロール装置の第2のロールユニットを交換する際のロール交換機構の各部の様子を説明するための図である。
図5】実施の形態1の圧延ロール装置のロール交換機構を用いて第2のロールユニットを引き抜いた状態を示す図である。
図6】実施の形態2の圧延ロール装置のロール交換機構を用いて第1のロールユニットと第2のロールユニットとを一体的に引き抜いた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。但し、本開示が以下の実施の形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。
【0010】
<実施の形態1>
図1は、本実施の形態の圧延ロール装置の第1のロールユニットを交換する様子を示す図である。図2(a)~(c)は、本実施の形態の圧延ロール装置の第1のロールユニットを交換する際のロール交換機構の各部の様子を説明するための図である。図3は、本実施の形態の圧延ロール装置のロール交換機構を用いて第1のロールユニットを引き抜いた状態を示す図である。図4(a)~(c)は、本実施の形態の圧延ロール装置の第2のロールユニットを交換する際のロール交換機構の各部の様子を説明するための図である。図5は、本実施の形態の圧延ロール装置のロール交換機構を用いて第2のロールユニットを引き抜いた状態を示す図である。
【0011】
先ず、本実施の形態の圧延ロール装置の基本構成を説明する。ここで、以下の説明では、説明を明確にするために三次元(XYZ)座標系を用いて説明する。圧延ロール装置1は、例えば、金属箔上に塗布された電極材などの被圧延部材を圧延するために用いることができる。圧延ロール装置1は、図1に示すように、第1のロールユニット2、第2のロールユニット3、装置フレーム4、第1のモータ5及び第2のモータ6を備えている。
【0012】
第1のロールユニット2は、図2(a)に示すように、Y軸方向に延在するロール2a、ロール2aからY軸+側及びY軸-側に突出し、Y軸方向に延在する回転軸2b、及び軸受けを介して回転軸2bを回転可能に支持するY軸+側及びY軸-側の支持フレーム2cを備えている。支持フレーム2cの外周形状は、例えば、Y軸方向から見て略矩形状である。
【0013】
第2のロールユニット3は、図1に示すように、第1のロールユニット2に対してZ軸-側に配置されている。第2のロールユニット3は、第1のロールユニット2と略等しい構成とされており、図4(a)及び図4(b)に示すように、ロール3a、回転軸3b及び支持フレーム3cを備えている。支持フレーム3cの外周形状は、例えば、Y軸方向から見て略矩形状である。
【0014】
装置フレーム4は、図1に示すように、基台4a、第1の支持スタンド4b、第2の支持スタンド4c、第3の支持スタンド4d及びビーム4eを備えている。基台4aは、例えば、テーブル形状を基本形態としている。第1の支持スタンド4bは、基台4aからZ軸+側に立ち上がっている。第1の支持スタンド4bは、Y軸方向から見て略矩形環状である。つまり、第1の支持スタンド4bは、図2(a)及び図4(a)に示すように、Y軸方向に貫通する開口部4fを備えている。開口部4fは、例えば、Y軸方向から見て略矩形状である。
【0015】
第2の支持スタンド4cは、図1に示すように、基台4aからZ軸+側に立ち上がっている。第2の支持スタンド4cは、第1の支持スタンド4bと略等しい形状とされており、図2(a)及び図4(a)に示すように、開口部4gを備えている。第2の支持スタンド4cは、第1の支持スタンド4bと間隔を開けて、第1の支持スタンド4bに対してY軸+側に配置されている。このとき、第1の支持スタンド4bと第2の支持スタンド4cとの間隔は、第1の支持スタンド4bと第2の支持スタンド4cとの間に第1のロールユニット2のロール2a及び第2のロールユニット3のロール3aを配置可能な間隔である。
【0016】
第3の支持スタンド4dは、図1に示すように、基台4aからZ軸+側に立ち上がっている。第3の支持スタンド4dは、第2の支持スタンド4cと間隔を開けて、第2の支持スタンド4cに対してY軸+側に配置されている。ビーム4eは、第1の支持スタンド4bと第2の支持スタンド4c、及び第2の支持スタンド4cと第3の支持スタンド4dとを連結する梁材である。
【0017】
このような装置フレーム4において、図2(a)に示すように、第1のロールユニット2のY軸-側の支持フレーム2cが第1の支持スタンド4bの開口部4fに挿入され、第1のロールユニット2のY軸+側の支持フレーム2cが第2の支持スタンド4cの開口部4gに挿入された状態で、第1のロールユニット2がボルトなどの締結部材で第1の支持スタンド4b及び第2の支持スタンド4cに固定されている。これにより、第1のロールユニット2は、第1の支持スタンド4b及び第2の支持スタンド4cに対して取り付け及び取り外し可能である。
【0018】
一方、図4(a)に示すように、第2のロールユニット3のY軸-側の支持フレーム3cが第1の支持スタンド4bの開口部4fに挿入され、第2のロールユニット3のY軸+側の支持フレーム3cが第2の支持スタンド4cの開口部4gに挿入されて、第2のロールユニット3が第1のロールユニット2に対してZ軸-側に配置された状態で、第2のロールユニット3がボルトなどの締結部材で第1の支持スタンド4b及び第2の支持スタンド4cに固定されている。これにより、第2のロールユニット3も、第1の支持スタンド4b及び第2の支持スタンド4cに対して取り付け及び取り外し可能である。
【0019】
このとき、第2のロールユニット3のZ軸方向の高さ位置が調整可能であるとよい。例えば、図4(a)及び図4(b)に示すように、第2のロールユニット3のY軸-側の支持フレーム3cと第1の支持スタンド4bの開口部4fのZ軸-側の面との間、及び第2のロールユニット3のY軸+側の支持フレーム3cと第2の支持スタンド4cの開口部4gのZ軸-側の面との間に配置される昇降装置7を介して、第2のロールユニット3を第1の支持スタンド4b及び第2の支持スタンド4cに設けられたガイド8に沿ってZ軸方向に移動可能であるとよい。
【0020】
昇降装置7は、第2のロールユニット3をZ軸方向に昇降可能な構成であればよく、例えば、図4(a)及び図4(b)に示すように、楔7aをX軸方向に移動させることでZ軸方向の高さが変化する楔機構を備えているとよい。そして、昇降装置7は、例えば、昇降装置7と第2のロールユニット3の支持フレーム3cとの間に配置されたロードセルなどの荷重検出器9の検出結果に基づいて、第1のロールユニット2のロール2aと第2のロールユニット3のロール3aとで被圧延部材を圧延した際の荷重が予め設定された荷重になるように制御されるとよい。
【0021】
ガイド8は、第2のロールユニット3をZ軸方向に案内可能な構成であればよく、例えば、図4(a)に示すように、レール8aに沿ってブロック8bが摺動するリニアガイドを備えているとよい。レール8aは、Z軸方向に延在した状態で、X軸方向で対向するように第1の支持スタンド4bの開口部4f及び第2の支持スタンド4cの開口部4gに固定されている。そして、ブロック8bには、連結部材10を介して第2のロールユニット3の支持フレーム3cがボルトなどの締結部材で固定されている。これにより、第2のロールユニット3は、昇降装置7の昇降に基づいてレール8aに沿って昇降可能である。また、第2のロールユニット3は、ガイド8に対して取り付け及び取り外し可能である。
【0022】
第1のモータ5は、第1のロールユニット2のロール2aを回転させる。第1のモータ5は、図1に示すように、第3の支持スタンド4dに固定されており、駆動軸11を介して第1のモータ5の駆動力を第1のロールユニット2の回転軸2bに伝達可能である。
【0023】
第2のモータ6は、第2のロールユニット3のロール3aを回転させる。第2のモータ6は、図1に示すように、第1のモータ5に対してZ軸-側に配置された状態で第3の支持スタンド4dに固定されており、駆動軸12を介して第2のモータ6の駆動力を第2のロールユニット3の回転軸3bに伝達可能である。このとき、各々のモータと駆動軸との間、又は各々の駆動軸とロールユニットの回転軸との間には、フレキシブルカップリングなどの自在継手が配置されているとよい。
【0024】
次に、上述の構成の圧延ロール装置1の第1のロールユニット2又は第2のロールユニット3を交換するために用いるロール交換機構の構成を説明する。ロール交換機構20は、図1乃至図5に示すように、第1のレール部材21、第1の載置部22、第2の載置部23、第1の被載置部24、第2の被載置部25、第1の支持スタンド4bの開口部4f、及びロール交換台車26を備えている。第1のレール部材21は、図2(a)及び図4(a)に示すように、例えば、断面略矩形状の長尺部材である。第1のレール部材21は、Y軸方向において、第1の支持スタンド4bと第2の支持スタンド4cとに掛け渡すことが可能な長さ以上の長さを備えている。
【0025】
第1の載置部22は、図2(b)及び図2(c)に示すように、第1のロールユニット2を交換するために第1の支持スタンド4bと第2の支持スタンド4cとに掛け渡された第1のレール部材21に載置される。第1の載置部22は、例えば、第1のロールユニット2のY軸-側の支持フレーム2cのZ軸-側の両角部、及び第1のロールユニット2のY軸+側の支持フレーム2cのZ軸-側の両角部に形成された切り欠き部22aを備えている。切り欠き部22aは、例えば、Y軸方向から見て略矩形状である。
【0026】
このとき、第1の載置部22は、図2(b)及び図2(c)に示すように、切り欠き部22aのZ軸+側の端部に設けられた車輪22bを備えているとよい。車輪22bは、X軸方向に延在する回転軸を中心に回転可能である。そして、第1の載置部22が第1のレール部材21に載置される際に車輪22bが第1のレール部材21に載置されるとよい。
【0027】
第2の載置部23は、図4(b)及び図4(c)に示すように、第2のロールユニット3を交換するために第1の支持スタンド4bと第2の支持スタンド4cとに掛け渡された第1のレール部材21に載置される。第2の載置部23は、例えば、第1の載置部22と略同様に、第2のロールユニット3の各々の支持フレーム3cのZ軸-側の両角部に形成された切り欠き部23aを備えている。切り欠き部23aは、例えば、Y軸方向から見て略矩形状である。
【0028】
このとき、第2の載置部23は、図4(b)及び図4(c)に示すように、切り欠き部23aのZ軸+側の端部に設けられた車輪23bを備えているとよい。車輪23bは、X軸方向に延在する回転軸を中心に回転可能である。そして、第2の載置部23が第1のレール部材21に載置される際に車輪23bが第1のレール部材21に載置されるとよい。
【0029】
第1の被載置部24には、図2(a)に示すように、第1のロールユニット2を交換するために第1の支持スタンド4bと第2の支持スタンド4cとに掛け渡された第1のレール部材21が載置される。第1の被載置部24は、例えば、Y軸方向から見て略L字形状のブロック部材である。つまり、第1の被載置部24は、YZ平面と略平行な第1の部分24a、及びXY平面と略平行な第2の部分24bを備えている。
【0030】
第1の被載置部24は、図2(a)に示すように、第1の載置部22の近傍に配置された状態で、Y軸方向から見て第2の部分24bが第1の支持スタンド4bの開口部4f及び第2の支持スタンド4cの開口部4gの内部に突出するように、第1の部分24aが第1の支持スタンド4b及び第2の支持スタンド4cにおける圧延ロール装置1の外側面に固定されている。
【0031】
このとき、Y軸方向から見て、各々の第1の載置部22と第1の被載置部24の第2の部分24bとがZ軸方向で重なるように配置されている。そして、Y軸方向から見て、各々の第1の載置部22と第1の被載置部24の第2の部分24bとのZ軸方向の間隔は、第1のレール部材21のZ軸方向の高さと略等しい。ここで、図2(b)に示すように、第1のレール部材21は、第1の被載置部24の第2の部分24bに載置された状態で当該第2の部分24bにボルトなどの締結部材27で固定可能であるとよい。
【0032】
第2の被載置部25には、図4(a)に示すように、第2のロールユニット3を交換するために第1の支持スタンド4bと第2の支持スタンド4cとに掛け渡された第1のレール部材21が載置される。第2の被載置部25は、例えば、第1の被載置部24と略等しく、Y軸方向から見て略L字形状のブロック部材である。つまり、第2の被載置部25は、YZ平面と略平行な第1の部分25a、及びXY平面と略平行な第2の部分25bを備えている。
【0033】
第2の被載置部25は、図4(a)に示すように、第2の載置部23の近傍に配置された状態で、Y軸方向から見て第2の部分25bが第1の支持スタンド4bの開口部4f及び第2の支持スタンド4cの開口部4gの内部に突出するように、第1の部分25aが第1の支持スタンド4b及び第2の支持スタンド4cにおける圧延ロール装置1の内側面に固定されている。
【0034】
このとき、Y軸方向から見て、各々の第2の載置部23と第2の被載置部25の第2の部分25bとがZ軸方向で重なるように配置されている。そして、Y軸方向から見て、各々の第2の載置部23と第2の被載置部25の第2の部分25bとのZ軸方向の間隔は、第1のレール部材21のZ軸方向の高さと略等しい。また、第1のレール部材21が第2の被載置部25に載置された際のX軸方向の間隔は、第1のレール部材21が第1の被載置部24に載置された際のX軸方向の間隔と略等しい。ここで、図4(b)に示すように、第1のレール部材21は、第2の被載置部25の第2の部分25bに載置された状態で当該第2の部分25bにボルトなどの締結部材28で固定可能であるとよい。
【0035】
第1の支持スタンド4bの開口部4fは、第1の支持スタンド4bの開口部4fから第1のロールユニット2及び第2のロールユニット3をY軸方向に挿抜可能な形状であり、例えば、上述したようにY軸方向から見て略矩形状である。但し、第1の支持スタンド4bの開口部4fの形状は、第1の支持スタンド4bの開口部4fから第1のロールユニット2及び第2のロールユニット3をY軸方向に挿抜可能な形状であれば限定されない。
【0036】
ロール交換台車26は、図1に示すように、第2のレール部材29、昇降装置30及び台車本体31を備えている。第2のレール部材29は、第1のレール部材21と略等しい形状であり、例えば、断面略矩形状の長尺部材である。そして、第1のレール部材21が第1の被載置部24又は第2の被載置部25に載置された際のX軸方向の間隔と略等しい間隔を開けて、2本の第2のレール部材29が配置されている。
【0037】
昇降装置30は、図3及び図5に示すように、載置台30aを支持するフォーク30bをZ軸方向に昇降する。昇降装置30としては、一般的なフォークリフトと略等しい昇降装置を用いることができる。載置台30aは、載置台本体30c及び挿入部30dを備えている。
【0038】
載置台本体30cは、例えば、略平板形状であり、載置台本体30cのZ軸+側の面に2本の第2のレール部材29が固定されている。挿入部30dには、フォーク30bが挿入される。挿入部30dは、例えば、筒形状であり、2本のフォーク30bの間隔と略等しい間隔を開けて、載置台本体30cのZ軸-側の面に固定されている。台車本体31は、昇降装置30を支持する。そして、台車本体31の下面に車輪が設けられている。これにより、ロール交換台車26を自在に移動させることができる。
【0039】
次に、本実施の形態のロール交換機構20を用いて第1のロールユニット2を交換する流れを説明する。先ず、図1及び図2(a)に示すように、第1のレール部材21を装置フレーム4の第1の支持スタンド4bの開口部4fからY軸+側に挿入して第1のロールユニット2の回転軸2bと略平行に配置し、第1の被載置部24の第2の部分24bに載置する。
【0040】
このとき、図2(b)に示すように、第1のレール部材21を第1の被載置部24の第2の部分24bに締結部材27で固定するとよい。また、第1のロールユニット2の第1の支持フレーム2cに設けられた第1の載置部22と第1のレール部材21とが略接触状態であるとよい。
【0041】
次に、図3に示すように、ロール交換台車26を圧延ロール装置1に近付けて、第1のレール部材21とロール交換台車26の第2のレール部材29とをY軸方向で略連続させる。このとき、第1のレール部材21と第2のレール部材29とを連結部材で連結するとよい。
【0042】
次に、第1のロールユニット2と第1の支持スタンド4b及び第2の支持スタンド4cとを固定する締結部材を緩めて、第1のロールユニット2と第1の支持スタンド4b及び第2の支持スタンド4cとの固定状態を解除する。
【0043】
これにより、図2(c)に示すように、第1のロールユニット2の第1の支持フレーム2cに設けられた第1の載置部22が第1のレール部材21に載置される。このとき、第1の載置部22が車輪22bを備えている場合、当該車輪22bが第1のレール部材21に載置される。
【0044】
次に、第1のロールユニット2と駆動軸11との連結状態を解除する。そして、例えば、人力(但し、Y軸方向に伸縮可能なアクチュエータを用いてもよい)によって、第1のロールユニット2を第1のレール部材21及び第2のレール部材29に沿ってY軸-側に移動させて、第1のロールユニット2を第1の支持スタンド4bの開口部4fから圧延ロール装置1の外側に引き抜き、ロール交換台車26の載置台30aに載置する。
【0045】
その後、例えば、第1のロールユニット2とロール交換台車26の第2のレール部材29とを連結部材で連結して当該第1のロールユニット2をロール交換台車26に固定した状態とし、ロール交換台車26を所定の位置まで搬出する。
【0046】
一方、第1のロールユニット2を圧延ロール装置1に押し込んで取り付ける流れは、上述の第1のロールユニット2を圧延ロール装置1から取り外して引く抜く流れと逆の流れで実施することができる。これにより、第1のロールユニット2及び第2のロールユニット3のうち、第1のロールユニット2のみを交換することができる。
【0047】
次に、本実施の形態のロール交換機構20を用いて第2のロールユニット3を交換する流れを説明する。先ず、図4(a)に示すように、第1のレール部材21を装置フレーム4の第1の支持スタンド4bの開口部4fからY軸+側に挿入して第2のロールユニット3の回転軸3bと略平行に配置し、第2の被載置部25の第2の部分25bに載置する。
【0048】
このとき、図4(b)に示すように、第1のレール部材21を第2の被載置部25の第2の部分25bに締結部材28で固定するとよい。また、第2のロールユニット3の第1の支持フレーム3cに設けられた第2の載置部23と第1のレール部材21とが略接触状態であるとよい。
【0049】
次に、図5に示すように、ロール交換台車26を圧延ロール装置1に近付けて、第1のレール部材21とロール交換台車26の第2のレール部材29とをY軸方向で略連続させる。このとき、第1のレール部材21と第2のレール部材29とを連結部材で連結するとよい。
【0050】
次に、第2のロールユニット3と第1の支持スタンド4b及び第2の支持スタンド4cとを固定する締結部材を緩めて、第2のロールユニット3と第1の支持スタンド4b及び第2の支持スタンド4cとの固定状態を解除する。これにより、図4(c)に示すように、第2のロールユニット3の第1の支持フレーム3cに設けられた第2の載置部23が第1のレール部材21に載置される。
【0051】
このとき、第2の載置部23が車輪23bを備えている場合、当該車輪23bが第1のレール部材21に載置される。そして、圧延ロール装置1がガイド8を備えている場合、第2のロールユニット3の支持フレーム3cとガイド8のブロック8bとを固定する締結部材を緩めて、第2のロールユニット3とガイド8のブロック8bとの固定状態を解除するとよい。また、圧延ロール装置1が昇降装置7を備えている場合、昇降装置7のZ軸方向の高さを低くして第2のロールユニット3をZ軸方向に下降させるとよい。
【0052】
次に、第2のロールユニット3と駆動軸12との連結状態を解除する。そして、例えば、人力によって、第2のロールユニット3を第1のレール部材21及び第2のレール部材29に沿ってY軸-側に移動させて、第2のロールユニット3を第1の支持スタンド4bの開口部4fから圧延ロール装置1の外側に引き抜き、ロール交換台車26の載置台30aに載置する。
【0053】
その後、例えば、第2のロールユニット3とロール交換台車26の第2のレール部材29とを連結部材で連結して当該第2のロールユニット3をロール交換台車26に固定した状態とし、ロール交換台車26を所定の位置まで搬出する。
【0054】
一方、第2のロールユニット3を圧延ロール装置1に押し込んで取り付ける流れは、上述の第2のロールユニット3を圧延ロール装置1から取り外して引き抜く流れと逆の流れで実施することができる。これにより、第1のロールユニット2及び第2のロールユニット3のうち、第2のロールユニット3のみを交換することができる。
【0055】
このように本実施の形態の圧延ロール装置1のロール交換機構20は、第1のロールユニット2及び第2のロールユニット3のうち、第1のロールユニット2又は第2のロールユニット3を選択的に交換することができる。
【0056】
しかも、例えば、人力によって、第1のロールユニット2又は第2のロールユニット3を第1のレール部材21に沿ってY軸方向に移動させて装置フレーム4の第1の支持スタンド4bの開口部4fから引き抜く又は押し込んで、第1のロールユニット2又は第2のロールユニット3を交換することができる。そのため、一般的なロールの交換作業時に用いられるホイストクレーンのような大型の設備を用いなくとも、上述のような簡単な構成のロール交換機構20を用いて、第1のロールユニット2又は第2のロールユニット3を交換することができ、第1のロールユニット2又は第2のロールユニット3の交換作業の簡素化に寄与できる。また、第1のロールユニット2又は第2のロールユニット3の交換作業の簡素化に伴い、交換作業に伴うコストの削減に寄与できる。
【0057】
さらに、第1の載置部22が車輪22bを備えている場合、第1のロールユニット2を第1のレール部材21に沿って簡単に移動させることができ、第2の載置部23が車輪23bを備えている場合、第2のロールユニット3を第1のレール部材21に沿って簡単に移動させることができる。また、ロール交換機構20がロール交換台車26を備えている場合、ロール交換台車26を用いて第1のロールユニット2又は第2のロールユニット3を簡単に交換することができる。
【0058】
<実施の形態2>
図6は、本実施の形態の圧延ロール装置のロール交換機構を用いて第1のロールユニットと第2のロールユニットとを一体的に引き抜いた状態を示す図である。本実施の形態のロール交換機構は、第1のロールユニット2と第2のロールユニット3とを一体的に交換する際に好適である。
【0059】
詳細には、本実施の形態のロール交換機構は、図6に示すように、実施の形態1のロール交換機構20の構成に加えて、第1のロールユニット2と第2のロールユニット3とを連結する連結部材40を備えている。このとき、連結部材40は、第1のロールユニット2のロール2aと第2のロールユニット3のロール3aとの接触を抑制するために、第1のロールユニット2の支持フレーム2cと第2のロールユニット3の支持フレーム3cとの間に配置される間隔保持部40aを備えているとよい。
【0060】
このようなロール交換機構を用いて第1のロールユニット2と第2のロールユニット3とを一体的に交換する場合、実施の形態1のロール交換機構20を用いて第2のロールユニット3を交換する場合と略同様であるので、詳細な説明は省略するが、図6に示すように、第1のロールユニット2の支持フレーム2cと第2のロールユニット3の支持フレーム3cとの間に間隔保持部40aを挿入した状態で、第1のロールユニット2の支持フレーム2cと第2のロールユニット3の支持フレーム3cとを連結部材40で連結する。そして、連結された第1のロールユニット2と第2のロールユニット3とを第2の被載置部25に載置された第1のレール部材21に沿ってY軸方向に移動させることで、第1のロールユニット2と第2のロールユニット3とを一体的に交換することができる。
【0061】
本開示は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
例えば、第1の載置部22は、第1のロールユニット2の支持フレーム2cに形成されているが、別部材であってもよく、その場合、第1のロールユニット2を第1のレール部材21に載置する際に支持フレーム2cに設けられていればよい。要するに、第1の載置部22は、第1のロールユニット2を第1のレール部材21に載置可能な形状であればよい。このことは、第2の載置部23も同様である。
例えば、第1の被載置部24は、第1のレール部材21を載置可能な形状であればよく、また、第1のレール部材21が第1の被載置部24に載置される際に装置フレーム4に設けられていればよい。このことは、第2の被載置部25も同様である。
例えば、本実施の形態の圧延ロール装置1は、第1のロールユニット2及び第2のロールユニット3を備えているが、ロールユニットの個数は問わない。
【符号の説明】
【0062】
1 圧延ロール装置、2 第1のロールユニット、2a ロール、2b 回転軸、2c 支持フレーム、3 第2のロールユニット、3a ロール、3b 回転軸、3c 支持フレーム、4 装置フレーム、4a 基台、4b 第1の支持スタンド、4f 開口部、4c 第2の支持スタンド、4g 開口部、4d 第3の支持スタンド、4e ビーム
20 ロール交換機構、21 第1のレール部材、22 第1の載置部、23 第2の載置部、24 第1の被載置部、25 第2の被載置部、26 ロール交換台車、29 第2のレール部材、30 昇降装置、31 台車本体、40 連結部材、40a 間隔保持部
図1
図2
図3
図4
図5
図6