IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ノーリツの特許一覧

<>
  • 特開-厨房システム 図1
  • 特開-厨房システム 図2
  • 特開-厨房システム 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177752
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】厨房システム
(51)【国際特許分類】
   F24C 15/20 20060101AFI20241217BHJP
   F24F 7/007 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
F24C15/20 F
F24F7/007 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096073
(22)【出願日】2023-06-12
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 亮
【テーマコード(参考)】
3L056
【Fターム(参考)】
3L056BA01
3L056BF02
(57)【要約】
【課題】 遠隔操作に基づく換気装置の運転停止による人体への悪影響を回避できるとともに、換気装置の無駄な電力消費を抑えることができる厨房システムを提供する。
【解決手段】 屋内に設置された調理機器1に対応して屋内に設置され、携帯通信端末7からの通信によって遠隔操作が可能な電動式の換気装置2を備えた厨房システムであって、換気装置2は、所定の情報に基づいて調理機器1の運転状態が加熱運転状態であるか加熱運転停止状態であるかを判定する調理機器状態判定部20aを有し、換気運転中に携帯通信端末7から遠隔停止信号を受信したときに、調理機器状態判定部20aが調理機器1の運転状態が加熱運転状態であると判定している場合には、遠隔停止信号を一時保持し、この後、調理機器状態判定部20aが調理機器1の運転状態が加熱運転停止状態であると判定した場合に保持している遠隔停止信号に基づいて換気運転を停止する。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋内に設置され加熱運転が行われる調理機器に対応して前記屋内に設置され、携帯通信端末からの外部通信網を介した通信によって遠隔操作が可能な電動式の換気装置を備えた厨房システムであって、
前記換気装置は、
所定の情報に基づいて前記調理機器の運転状態が加熱運転状態であるか加熱運転停止状態であるかを判定する調理機器状態判定部を有し、
換気運転中に前記携帯通信端末から換気運転を停止させるための遠隔停止信号を受信したときに、前記調理機器状態判定部が前記調理機器の運転状態が加熱運転状態であると判定している場合には、前記遠隔停止信号を一時保持し、この後、前記調理機器状態判定部が前記調理機器の運転状態が加熱運転停止状態であると判定した場合に前記保持している前記遠隔停止信号に基づいて換気運転を停止する、
厨房システム。
【請求項2】
前記換気装置は、前記遠隔停止信号に基づいて換気運転を停止する際に、予め設定されたタイマ時間の間、換気運転を継続し、前記タイマ時間経過後に換気運転を停止する、
請求項1に記載の厨房システム。
【請求項3】
前記換気装置は、前記調理機器と相互に近距離無線通信が可能に構成されており、
前記換気装置は、近距離無線通信によって前記調理機器から受信した前記調理機器の運転状態を示す情報を前記所定の情報とする、
請求項1に記載の厨房システム。
【請求項4】
前記調理機器は、燃焼加熱式のコンロである、
請求項1から3のいずれかに記載の厨房システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理機器に対応して設置された換気装置を備えた厨房システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、厨房システムは、コンロ等の調理機器に対応して換気装置であるレンジフードが設置されている。このような厨房システムにおいて、外出時にスマートフォン等の携帯通信端末からレンジフードを遠隔操作可能に構成されたものがある。
【0003】
例えば、特許文献1には、調理器具近傍に設置されるレンジフードと、調理器具における調理の状態を取得する調理状態取得部と、調理状態取得部が取得した調理状態に基づき、調理中か否かを判定する調理状態判定部と、遠隔操作端末からレンジフードに対する制御信号を受信する受信部と、受信部が受信した制御信号に基づきレンジフードを制御する制御部と、を備えた換気システムが記載されている。この換気システムでは、制御部は、受信部がレンジフードの運転状態を変更する制御信号を受信した場合であって、調理状態判定部が調理中であると判定した場合には、受信した制御信号で指示された内容を拒否して実行せず、制御信号を受信する前のレンジフードの運転状態を継続するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第7219962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の構成の場合には、調理状態判定部が調理中であると判定した場合で、受信部が遠隔操作端末から受信したレンジフードの運転状態を変更する制御信号がレンジフードの運転を停止する内容であった場合にはこの内容を拒否して実行せず、上記制御信号を受信する前のレンジフードの運転状態が継続される。このように調理中には、レンジフードの運転状態を継続することにより、調理中に発生する一酸化炭素等の人体に悪影響を与えるガスを屋外へ排出することができ、人体への悪影響を回避できる。しかしながら、調理していた人が調理終了後にレンジフードの運転を停止し忘れた場合には、無駄な電力が消費されることになる。
【0006】
本発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、遠隔操作に基づく換気装置の運転停止による人体への悪影響を回避できるとともに、換気装置の無駄な電力消費を抑えることができる厨房システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明のある態様に係る厨房システムは、屋内に設置され加熱運転が行われる調理機器に対応して前記屋内に設置され、携帯通信端末からの外部通信網を介した通信によって遠隔操作が可能な電動式の換気装置を備えた厨房システムであって、前記換気装置は、所定の情報に基づいて前記調理機器の運転状態が加熱運転状態であるか加熱運転停止状態であるかを判定する調理機器状態判定部を有し、換気運転中に前記携帯通信端末から換気運転を停止させるための遠隔停止信号を受信したときに、前記調理機器状態判定部が前記調理機器の運転状態が加熱運転状態であると判定している場合には、前記遠隔停止信号を一時保持し、この後、前記調理機器状態判定部が前記調理機器の運転状態が加熱運転停止状態であると判定した場合に前記保持している前記遠隔停止信号に基づいて換気運転を停止する。
【0008】
この構成によれば、換気装置は、換気運転中に携帯通信端末からの遠隔停止信号を受信したときに、調理機器状態判定部が調理機器の運転状態が加熱運転状態であると判定している場合には、遠隔停止信号を一時保持し、この後、調理機器状態判定部が調理機器の運転状態が加熱運転停止状態であると判定した場合に保持している遠隔停止信号に基づいて換気運転を停止するようにしている。この場合、遠隔停止信号を一時保持した後、調理機器状態判定部が調理機器の運転状態が加熱運転停止状態であると判定するまでは換気運転を継続するので、調理機器の加熱運転によって発生する一酸化炭素等の有害ガスによる調理している人の人体への悪影響を回避できる。また、遠隔停止信号を一時保持した後、調理機器状態判定部が調理機器の運転状態が加熱運転停止状態であると判定した場合に、保持している遠隔停止信号に基づいて換気運転を停止するようにしているので、電動式の換気装置の無駄な電力消費を抑えることができる。
【0009】
前記換気装置は、前記遠隔停止信号に基づいて換気運転を停止する際に、予め設定されたタイマ時間の間、換気運転を継続し、前記タイマ時間経過後に換気運転を停止するようにしてもよい。これにより、調理機器が設置された部屋内の空気をよりきれいにできる。
【0010】
前記調理機器と前記換気装置とは、相互に近距離無線通信が可能に構成され、前記換気装置は、近距離無線通信によって前記調理機器から受信した前記調理機器の運転状態を示す情報を前記所定の情報とするようにしてもよい。これにより、調理機器状態判定部は調理機器の運転状態を正確に判定できる。
【0011】
前記調理機器は、燃焼加熱式のコンロであってもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、以上に説明した構成を有し、遠隔操作に基づく換気装置の運転停止による人体への悪影響を回避できるとともに、換気装置の無駄な電力消費を抑えることができる厨房システムを提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本実施形態の厨房システムの一例の外観を示す概略図である。
図2図2は、図1に示す厨房システム等のブロック図である。
図3図3は、図1に示す厨房システムにおける制御フローの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図面を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。また、本発明は、以下の実施形態に限定されない。
【0015】
(実施形態)
図1は、本実施形態の厨房システムの一例の外観を示す概略図である。また、図1に示す厨房システム等のブロック図である。
【0016】
図1に示す厨房システムKSは、調理機器1と、電動式の換気装置2とを備えている。調理機器1および換気装置2は、屋内すなわち建物100(図2)内の台所等に対応して設置されている。換気装置2は、例えば電動ファン22(図2)を備えたレンジフードであり、調理機器1に対応して調理機器1の近傍に設置されている。ここでは、換気装置2は調理機器1の上方に設置されている。調理機器1は、例えば燃焼加熱式のコンロであり、ここではガスコンロが例示されている。
【0017】
調理機器1には、鍋等を加熱する加熱部として、天板17から突出して2組のバーナ12が配置されている。各バーナ12の周囲には鍋等が載せられる五徳19が配置されている。調理機器1の正面右側には、各バーナ12に対応して、ユーザがバーナ12の点火、消火、火力の調整等の操作を行うための操作部11が設けられている。また、天板17の中央下方には魚等を加熱調理するグリル部18が配置されている。調理機器1の正面左側には、ユーザがグリル部18のバーナの点火、消火、火力の調整等の操作を行うための操作部16が設けられている。なお、グリル部18及びその操作部16については、必ずしも必要ではなく、説明を簡単にするため図2では省略している。また、図2では、いずれか一方のバーナ12及び操作部11のみを図示し、他方のバーナ12及び操作部11の図示を省略している。なお、調理機器1は、3つ以上のバーナ12が備えられたものであってもよいし、単一のバーナ12が備えられたものであってもよい。
【0018】
また、天板17の下方には、図2に示す制御部10及び無線通信部13が収納されている。制御部10は、操作部11からの操作信号に基づいて、同操作部11に対応するバーナ12に対して点火、消火、火力の調整を行うよう構成されている。バーナ12の点火により加熱運転が開始されて加熱運転状態となり、バーナ12の消火により加熱運転が停止されて加熱運転停止状態となる。グリル部18についても同様であり、制御部10は、グリル部18の操作部16からの操作信号に基づいて、グリル部18のバーナに対して点火、消火、火力の調整を行うよう構成され、同バーナの点火により加熱運転が開始されて加熱運転状態となり、同バーナの消火により加熱運転が停止されて加熱運転停止状態となる。なお、以下では、グリル部18のバーナおよび2組のバーナ12を含めた調理機器1に備えられている全てのバーナのうちのいずれかのバーナが点火されている状態を調理機器1の運転状態が加熱運転状態であるとし、上記全てのバーナが点火されていない状態を調理機器1の運転状態が加熱運転停止状態であるとして説明する。
【0019】
換気装置2は、整流板29の上方に、シロッコファン等の換気するための電動ファン22(図2)が内蔵されており、電動ファン22を駆動することにより整流板29の周囲と枠部30との間の隙間から室内の空気が吸い込まれてダクト(図示せず)を通じて屋外へ排出されるよう構成されている。
【0020】
また、枠部30の前方部には、複数のスイッチからなる操作部21が配置されている。また、枠部30内部に、図2に示す制御部20及び無線通信部23,24等が収納されている。
【0021】
操作部21の各スイッチをユーザが操作することにより、その操作に応じた操作信号が制御部20に入力される。制御部20は、操作部21からの操作信号に基づいて電動ファン22を制御する。例えば、制御部20は、操作部21のスイッチが操作されたときの操作部21からの操作信号に基づいて、電動ファン22の駆動の開始、停止及び風量調整を行うよう構成されている。電動ファン22の駆動を開始することにより換気運転が開始され、電動ファン22の駆動を停止することにより換気運転が停止される。
【0022】
換気装置2の無線通信部23と調理機器1の無線通信部13とは、所定の近距離無線通信方式によって相互に無線通信が可能である。例えば、無線通信部23と無線通信部13との間で、近距離無線通信規格の一例であるBLE(Bluetooth(登録商標)Low Energy)の規格に準拠した無線通信を行うようにしてもよい。あるいは、無線通信部23と無線通信部13との間の無線通信は赤外線通信によって行われるようにしてもよい。制御部10は、無線通信部13から調理機器1の運転状態を示す調理機器運転状態情報を換気装置2の無線通信部23へ送信する。この送信するタイミングは、所定時間間隔で行うようにしてもよいし、調理機器1の運転状態に変更が生じたときに変更後の運転状態を送信するようにしてもよい。
【0023】
換気装置2の制御部20は、無線通信部23で受信した調理機器運転状態情報を記憶し、受信するたびに更新する。これにより、制御部20は、調理機器1の最新の運転状態を常時把握することができる。調理機器1の運転状態には、前述したように、加熱運転が行われている加熱運転状態および加熱運転が行われていない加熱運転停止状態が含まれる。
【0024】
また、換気装置2の無線通信部24は、ルータ3との間で無線LANによる無線通信が可能である。換気装置2は、無線通信部24によってルータ3及びインターネット等の外部通信網4を介して行う管理サーバ5との間で通信を行う。ルータ3は、厨房システムKSのユーザが所有している無線LANルータであり、インターネット等の外部通信網4に接続されている。
【0025】
管理サーバ5は、外部通信網4及びルータ3を介して換気装置2と通信を行う。管理サーバ5は、換気装置2から送信されてきた情報を必要に応じて記憶している。なお、管理サーバ5は、外部通信網4に接続された複数のコンピュータで構成されていてもよい。ここで、換気装置2から管理サーバ5へ送信される情報としては、例えば、換気装置2の運転状態を示す運転状態情報等がある。換気装置2の制御部20は、例えば、換気装置2の運転状態に変更が生じたときに変更後の運転状態を示す運転状態情報を無線通信部24から管理サーバ5へ送信する。管理サーバ5は、換気装置2から送信された換気装置2の運転状態情報を受信し記憶する。換気装置2の運転状態には、例えば、換気運転中である状態および換気運転停止中である状態が含まれる。
【0026】
また、携帯通信端末7は、この厨房システムKSのユーザが所有しているスマートフォン等からなり、タッチパネル付ディスプレイからなる表示部と、上記タッチパネルからなる操作部と、スピーカを有する音声出力部などを有している。
【0027】
携帯通信端末7の所有者が建物100内に居るときには、携帯通信端末7は、ルータ3および外部通信網4を介して管理サーバ5と相互に通信を行うことができる。携帯通信端末7の所有者が外出し、携帯通信端末7がルータ3との無線LAN通信ができない場合には、携帯通信端末7は、携帯電話網の基地局6および外部通信網4を介して管理サーバ5と相互に通信を行うことができる。
【0028】
この携帯通信端末7には、厨房システムKS専用のアプリケーションプログラム(以下、「システム専用アプリ」という)がインストールされており、ユーザは、携帯通信端末7を操作して、システム専用アプリを起動し、外部通信網4および管理サーバ5等を介して換気装置2の遠隔操作及び運転状態の確認などを行うことができる。
【0029】
また、制御部20および制御部10はそれぞれ、例えば、CPU及びメモリを有するマイクロコントローラ等の制御器で構成され、CPUがメモリに格納されたプログラムを実行することにより、動作(処理)がなされる。この各々の動作に必要な情報や動作中に記憶すべき情報等は各々のメモリに記憶される。なお、制御部20および制御部10はそれぞれ、1つあるいは複数の制御器によって構成されていてもよい。
【0030】
次に図3を参照して厨房システムKSの制御フローについて説明する。図3は、厨房システムKSにおける制御フローの一例を示すフローチャートである。図3に示す制御は換気装置2の制御部20によって実行される。
【0031】
図3では、換気装置2が換気運転中であるときに、建物100の外部にいるユーザが携帯通信端末7を用いて換気装置2の換気運転を停止させるための操作を行った場合の制御フローを示している。例えば、ユーザが外出している時に携帯通信端末7を操作してシステム専用アプリを起動し、換気装置2が換気運転中の場合に換気装置2の換気運転を停止させるための操作を行うと、携帯通信端末7から遠隔停止信号が送信される。この遠隔停止信号は、外部通信網4およびルータ3等を介して無線通信部24で受信される。より詳しくは、携帯通信端末7から送信された遠隔停止信号は、基地局6および外部通信網4を介して管理サーバ5へ送信され、さらに、管理サーバ5から外部通信網4およびルータ3を介して換気装置2の無線通信部24へ送信される。この無線通信部24で受信された遠隔停止信号は制御部20へ送信される。
【0032】
制御部20は、ステップS1において、遠隔停止信号を受信したか否かを判定し、遠隔停止信号を受信すると、調理機器1の運転状態が加熱運転状態であるか加熱運転停止状態であるかを判定する(ステップS2)。この判定は、調理機器1から受信して記憶している最新の調理機器運転状態情報に基づいて行うことができる。また、調理機器1に運転状態を問合せて、調理機器1から応答された運転状態に基づいて行ってもよい。ステップS2は、制御部20の調理機器状態判定部20aによって行われる処理である。
【0033】
制御部20は、ステップS2において、調理機器1が加熱運転停止状態であると判定した場合(ステップS2でNoの場合)には、遠隔停止信号に基づいて換気運転を停止させる(ステップS4)。つまり、電動ファン22の駆動を停止させる。
【0034】
一方、ステップS2において、調理機器1が加熱運転状態であると判定した場合(ステップS2でYesの場合)には、遠隔停止信号を一時保持し(ステップS3)、ステップS2へ戻る。調理機器1が加熱運転状態のときは、調理機器1が使用されて人によって調理が行われているときであり、調理が終わって、調理機器1が加熱運転停止状態になると(ステップS2でNo)、保持している遠隔停止信号に基づいて換気運転を停止させる(ステップS4)。ステップS4の後に遠隔停止信号は消去される。なお、ステップS4を行う前に、調理していた人が操作部21を操作して換気運転を停止させた場合にも遠隔停止信号は消去される。
【0035】
なお、ステップS4で換気運転を停止する際に、予め設定されたタイマ時間の間、換気運転を継続し、タイマ時間経過後に換気運転を停止させるようにしてもよい。これにより、調理機器1が設置された台所等の部屋内の空気をよりきれいにできる。タイマ時間については、例えば、ユーザが操作部21または携帯通信端末7を操作して、5分、10分、30分など所定の時間を設定することができる。
【0036】
本実施形態では、換気装置2の制御部20は、換気運転中に携帯通信端末7からの遠隔停止信号を受信したときに、調理機器状態判定部20aが調理機器1の運転状態が加熱運転状態であると判定している場合には、遠隔停止信号を一時保持し、この後、調理機器状態判定部20aが調理機器1の運転状態が加熱運転停止状態であると判定した場合に保持している遠隔停止信号に基づいて換気運転を停止するようにしている。この場合、遠隔停止信号を一時保持した後、調理機器状態判定部20aが調理機器1の運転状態が加熱運転停止状態であると判定するまでは換気運転を継続するので、調理機器1の加熱運転によって発生する一酸化炭素等の有害ガスによる調理している人の人体への悪影響を回避できる。また、遠隔停止信号を一時保持した後、調理機器状態判定部20aが調理機器1の運転状態が加熱運転停止状態であると判定した場合に、保持している遠隔停止信号に基づいて換気運転を停止するようにしているので、換気装置2の電動ファン22による無駄な電力消費を抑えることができる。
【0037】
なお、本実施形態では、制御部20(調理機器状態判定部20a)は無線通信部23で受信した調理機器運転情報に基づいて調理機器1が加熱運転状態であるか加熱運転停止状態であるかを判定するようにしたが、これに限らない。例えば、調理機器1の設置された台所等の部屋を検出範囲として同検出範囲内の人の有無を検出し、検出結果を制御部20へ送信する人検出部を設け、人検出部によって人が検出された場合に、制御部20が調理機器1は加熱運転状態であると判定し、人が検出されない場合には制御部20が調理機器1は加熱運転停止状態であると判定するようにしてもよい。人検出部としては、例えば人感センサを用いてもよい。また、人検出部としては、人物認識機能を有するカメラを用いてもよい。
【0038】
また、本実施形態では、厨房システムKSは調理機器1と換気装置2とを備えているものとして説明したが、厨房システムKSは調理機器1に対応して設置された換気装置2を備えているものとしてもよい。
【0039】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【0040】
(本開示のまとめ)
以下の項目のそれぞれは、本開示の好ましい実施の形態の開示である。
【0041】
[項目1]
屋内に設置され加熱運転が行われる調理機器に対応して前記屋内に設置され、携帯通信端末からの外部通信網を介した通信によって遠隔操作が可能な電動式の換気装置を備えた厨房システムであって、
前記換気装置は、
所定の情報に基づいて前記調理機器の運転状態が加熱運転状態であるか加熱運転停止状態であるかを判定する調理機器状態判定部を有し、
換気運転中に前記携帯通信端末から換気運転を停止させるための遠隔停止信号を受信したときに、前記調理機器状態判定部が前記調理機器の運転状態が加熱運転状態であると判定している場合には、前記遠隔停止信号を一時保持し、この後、前記調理機器状態判定部が前記調理機器の運転状態が加熱運転停止状態であると判定した場合に前記保持している前記遠隔停止信号に基づいて換気運転を停止する、
厨房システム。
【0042】
[項目2]
前記換気装置は、前記遠隔停止信号に基づいて換気運転を停止する際に、予め設定されたタイマ時間の間、換気運転を継続し、前記タイマ時間経過後に換気運転を停止する、
項目1に記載の厨房システム。
【0043】
[項目3]
前記換気装置は、前記調理機器と相互に近距離無線通信が可能に構成されており、
前記換気装置は、近距離無線通信によって前記調理機器から受信した前記調理機器の運転状態を示す情報を前記所定の情報とする、
項目1または項目2に記載の厨房システム。
【0044】
[項目4]
前記調理機器は、燃焼加熱式のコンロである、
項目1から3のいずれかに記載の厨房システム。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、遠隔操作に基づく換気装置の運転停止による人体への悪影響を回避できるとともに、換気装置の無駄な電力消費を抑えることができる厨房システム等として有用である。
【符号の説明】
【0046】
KS 厨房システム
1 調理機器
2 換気装置
20a 調理機器状態判定部
4 外部通信網
7 携帯通信端末
図1
図2
図3