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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177753
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】予約受付システム
(51)【国際特許分類】
   G06T 19/00 20110101AFI20241217BHJP
   G06Q 10/02 20120101ALI20241217BHJP
【FI】
G06T19/00 300A
G06Q10/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096075
(22)【出願日】2023-06-12
(71)【出願人】
【識別番号】523222895
【氏名又は名称】株式会社清水文夫アーキテクツ
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】清水 雅史
【テーマコード(参考)】
5B050
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5B050BA09
5B050BA11
5B050CA07
5B050CA08
5B050DA04
5B050EA09
5B050EA19
5B050EA27
5B050FA02
5B050FA05
5B050FA13
5B050FA17
5L010AA03
5L049AA03
(57)【要約】
【課題】ユーザが座席などの予約可能領域を予約した際に期待する環境と後にユーザが実際に体験する環境との相違を抑制することができる予約受付システムを提供する。
【解決手段】予約受付システムSは、仮想空間を生成する仮想空間生成部30aと、HMD4を介してユーザに認識させる前記仮想空間の環境を決定する仮想環境決定部34と、ユーザによる予約可能領域の予約希望時刻を認識する予約希望時刻認識部35と、予約希望時刻の所定の領域の環境を認識する現実環境認識部36と、予約を受け付ける予約受付部37とを備える。仮想空間生成部30aは、予約希望時刻を認識した際に、予約希望時刻における所定の領域の環境を、仮想空間に反映させる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想空間を介して、前記仮想空間のモデルとなった現実空間の所定の領域に設定された予約可能領域の予約を受け付ける予約受付システムにおいて、
前記仮想空間を生成する仮想空間生成部と、
環境出力器を介してユーザに認識させる前記仮想空間の環境を決定する仮想環境決定部と、
前記ユーザによる前記予約可能領域の予約希望時刻を認識する予約希望時刻認識部と、
前記予約希望時刻の前記所定の領域の環境を認識する現実環境認識部と、
前記ユーザの動作に基づいて、前記予約を受け付ける予約受付部とを備え、
前記仮想空間生成部は、前記予約希望時刻を認識した際に、該予約希望時刻における前記所定の領域の環境を、前記仮想空間に反映させることを特徴とする予約受付システム。
【請求項2】
請求項1に記載の予約受付システムにおいて、
前記ユーザに対応するアバターを前記仮想空間に生成するアバター生成部と、
前記アバターの動作を制御するアバター動作制御部とを備え、
前記仮想環境決定部は、前記アバターの動作に基づいて、環境出力器を介して前記ユーザに認識させる前記仮想空間の環境を決定することを特徴とする予約受付システム。
【請求項3】
請求項2に記載の予約受付システムにおいて、
前記ユーザの動作を認識するユーザ動作認識部を備え、
前記仮想空間生成部は、前記所定の領域である第1領域とは異なる前記現実空間の領域であり、且つ、前記ユーザが存在する領域である第2領域に対応するように、前記仮想空間を生成し、
前記アバター動作制御部は、認識された前記ユーザの動作に基づいて、前記アバターの状態を制御することを特徴とする予約受付システム。
【請求項4】
請求項1に記載の予約受付システムにおいて、
前記所定の領域の環境は、前記所定の領域の天候、日差しの状態、照明の状態、及び存在している又は存在すると推測される人物の少なくとも1つを含むことを特徴とする予約受付システム。
【請求項5】
請求項1に記載の予約受付システムにおいて、
前記予約可能領域を予約するために必要な料金を認識する料金認識部と、
前記ユーザに前記料金を提示する料金提示部とを備え、
前記予約希望時刻を認識した際に、前記料金認識部は、該予約希望時刻の前記所定の領域に基づいて、前記料金を変更し、前記料金提示部は、該変更に基づいて、提示する前記料金を変更することを特徴とする予約受付システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮想空間を介して、その仮想空間のモデルとなった現実空間に設定された座席などの予約可能領域の予約を受け付ける予約受付システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、現実空間に存在している乗り物の座席を仮想空間に模式的に再現し、その仮想空間をユーザに提示して、その座席の予約を受け付ける予約受付システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の予約受付システムでは、ユーザに対し、指定可能な座席から見える景色の画像を、指定する座席を検討するための情報として提示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2023-007919号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の予約受付システムは、座席に座った際に見ることができる可能性のある景色の画像を提示するに過ぎない。そのため、その画像が取得され際の環境と、実際にユーザが座席に座った際における環境とが異なっていたような場合には、ユーザは期待していたような景色を見ること(すなわち、体験を得ること)ができないおそれがあった。
【0006】
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、ユーザが座席などの予約可能領域を予約した際に期待する環境と後にユーザが実際に体験する環境との相違を抑制することができる予約受付システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の予約受付システムは、
仮想空間を介して、前記仮想空間のモデルとなった現実空間の所定の領域に設定された予約可能領域の予約を受け付ける予約受付システムにおいて、
前記仮想空間を生成する仮想空間生成部と、
環境出力器を介してユーザに認識させる前記仮想空間の環境を決定する仮想環境決定部と、
前記ユーザによる前記予約可能領域の予約希望時刻を認識する予約希望時刻認識部と、
前記予約希望時刻の前記所定の領域の環境を認識する現実環境認識部と、
前記ユーザの動作に基づいて、前記予約を受け付ける予約受付部とを備え、
前記仮想空間生成部は、前記予約希望時刻を認識した際に、該予約希望時刻における前記所定の領域の環境を、前記仮想空間に反映させることを特徴とする。
【0008】
ここで、「所定の領域」とは、例えば、乗り物、店舗などであり、その所定の領域に設定された「予約可能領域」とは、例えば、乗り物、店舗などの座席などである。
【0009】
このように、本発明の予約受付システムは、予約希望時刻を認識した際に、仮想空間の環境にその予約希望時刻における所定の領域の環境(すなわち、将来実現し得る所定の領域の環境)が反映されるように構成されている。
【0010】
ここで、予約希望時刻における所定の領域の環境とは、ユーザが、予約希望時刻に予約可能領域に実際に行った際(例えば、予約した店舗の座席に実際に座った際)に、体験する可能性の高い環境である。そのため、ユーザは、予約希望時刻を指定するなどしてシステムに認識させると、その時刻に体験する可能性の高い環境を、予め仮想的に体験して把握することができる。
【0011】
したがって、本発明の予約受付システムによれば、体験する可能性の高い環境を予め把握することができるので、ユーザが予約可能領域を予約した際に期待する環境と後にユーザが実際に体験する環境との相違を抑制することができる。
【0012】
また、本発明の予約受付システムにおいては、
前記ユーザに対応するアバターを前記仮想空間に生成するアバター生成部と、
前記アバターの動作を制御するアバター動作制御部とを備え、
前記仮想環境決定部は、前記アバターの動作に基づいて、環境出力器を介して前記ユーザに認識させる前記仮想空間の環境を決定することが好ましい。
【0013】
このように、仮想空間にアバターを存在させると、ユーザは、予約を行う際に、将来実現し得る所定の領域の環境に、自らが存在していることを、イメージしやすくなる。これにより、ユーザは、体験する可能性の高い環境を予め精度よく把握することができる。
【0014】
また、本発明の予約受付システムにおいては、アバターを仮想空間に存在させる場合、
前記ユーザの動作を認識するユーザ動作認識部を備え、
前記仮想空間生成部は、前記所定の領域である第1領域とは異なる前記現実空間の領域であり、且つ、前記ユーザが存在する領域である第2領域に対応するように、前記仮想空間を生成し、
前記アバター動作制御部は、認識された前記ユーザの動作に基づいて、前記アバターの状態を制御することが好ましい。
【0015】
このように構成すると、いわゆる没入型の仮想空間体感システムとなるので、ユーザは、アバターを介して、仮想空間に自らが存在しているとの認識を得ることができる。そのため、ユーザは、予約を行う際に、将来実現し得る所定の領域の環境に、自らが存在していることを、さらにイメージしやすくなる。これにより、ユーザは、体験する可能性の高い環境を予めさらに精度よく把握することができる。
【0016】
また、本発明の予約受付システムにおいては、
前記所定の領域の環境は、前記所定の領域の天候、日差しの状態、照明の状態、及び存在している又は存在すると推測される人物の少なくとも1つを含むことが好ましい。
【0017】
また、本発明の予約受付システムにおいては、
前記予約可能領域を予約するために必要な料金を認識する料金認識部と、
前記ユーザに前記料金を提示する料金提示部とを備え、
前記予約希望時刻を認識した際に、前記料金認識部は、該予約希望時刻の前記所定の領域に基づいて、前記料金を変更し、前記料金提示部は、該変更に基づいて、提示する前記料金を変更することが好ましい。
【0018】
例えば、同じ座席であっても、座った際に見ることのできる風景は、時刻によって異なり、価値(ひいては、設定し得る料金)も異なる。しかし、単純に時刻ごとに料金を設定して提示しても、実際に体験したことのないユーザは、同じ座席であっても料金が変わることに納得をしにくい場合がある。
【0019】
そこで、このように、体験する可能性の高い環境を予め把握させつつ、料金を提示するようにすると、ユーザに対し、同じ予約可能領域であっても料金が異なることを、十分に納得させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施形態に係る予約受付システムの概略構成を示す模式図。
図2図1の予約受付システムの構成を示すブロック図。
図3図1の予約受付システムによって生成される仮想空間の一例を示す模式図。
図4図1の予約受付システムの使用を開始した際に、ユーザが視認する仮想空間の状態を示す模式図。
図5図1の予約受付システムで予約希望時刻を入力した際に、ユーザが視認する仮想空間の状態を示す模式図。
図6図1の予約受付システムが、ユーザに仮想空間を体感させる際に実行する処理を示すフローチャート。
図7図1の予約受付システムが、予約を受け付ける際に実行する処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、実施形態に係る予約受付システムS、及びその予約受付システムSが実行する処理(予約受付方法)について説明する。について説明する。
【0022】
なお、本実施形態における予約受付システムSは、現実空間RSのある領域に存在するユーザUに対し、その現実空間RSの異なる領域に対応する仮想空間VSの環境(例えば、画像、音など)を認識させるとともに、そのユーザUに対応するアバターAを仮想空間VSでユーザUに対応するように動作させることによって、自らがその仮想空間VSに存在すると認識させるものである(図3など参照)。
【0023】
すなわち、本実施形態における予約受付システムSは、いわゆる没入型の仮想空間体感システムとして構成されている。しかし、本発明の予約受付システムは、このような構成に限定されるものではなく、仮想空間を介して、その仮想空間のモデルとなった現実空間の所定の領域に設定された予約可能領域の予約を受け付けることができるものであればよい。
【0024】
そのため、例えば、本発明の予約受付システムは、ユーザが利用するパソコン、タブレットといった端末を介して、仮想空間にアクセスし、予約を受け付けるように構成されていてもよい。その場合、上記実施形態において、没入型の仮想空間体感システムを構成するためにのみ用いられる機器、処理部等については、適宜省略、変更等を行ってもよい。
【0025】
また、本実施形態においては、仮想空間のモデルとなった現実空間の所定の領域がレストランであり、予約を受け付ける予約可能領域が、レストランの座席である場合について説明している。しかし、本発明の予約受付システムは、このような構成に限定されるものではない。
【0026】
ここで、本発明における「所定の領域」とは、例えば、乗り物、店舗などであり、その所定の領域に設定された「予約可能領域」とは、例えば、乗り物、店舗などの座席などである。そのため、本発明の予約受付システムは、レストラン以外の店舗の座席の他、電車、船舶などの座席、ホテルなどの部屋、イベント会場の入場可能スペースなどの予約を受け付けるものであってもよい。
【0027】
[予約受付システムの概略構成]
まず、図1及び図2を参照して、予約受付システムSの概略構成について説明する。
【0028】
図1に示すように、予約受付システムSは、現実空間RSに存在するユーザUに取り付けられる複数の標識1と、ユーザU(厳密には、ユーザUに取り付けられた標識1)を撮影するカメラ2と、仮想空間VS(図3など参照)の画像及び音を決定するサーバ3と、決定された画像及び音をユーザに認識させるヘッドマウントディスプレイ(以下、「HMD4」という。)とを備えている。
【0029】
予約受付システムSでは、カメラ2、サーバ3及びHMD4は、インターネット網、公衆回線、近距離無線通信などを介して、無線で相互に情報を送受信可能となっている。ただし、それらのいずれか同士を有線で相互に情報を送受信可能に構成してもよい。
【0030】
複数の標識1は、ユーザUの装着するHMD4、手袋及び靴を介して、ユーザUの頭部、両手及び両足のそれぞれに取り付けられている。なお、複数の標識1は、後述するようにユーザUの現実空間RSにおける動作を認識するために用いられるものである。そのため、予約受付システムSを構成する他の機器に応じて、標識1を取り付ける位置、取り付ける数などは適宜変更してよい。
【0031】
カメラ2は、ユーザUの存在する現実空間RSのユーザUの動作可能範囲を多方向から撮影可能なように設置されている。
【0032】
サーバ3は、カメラ2が撮影した画像から標識1を認識し、その認識された標識1の現実空間RSにおける位置に基づいて、ユーザUの座標及び姿勢(すなわち、ユーザUの動作)を認識する。また、サーバ3は、その座標及び姿勢に基づいて、ユーザUに認識させる仮想空間VSの環境(例えば、画像及び音など)を決定する。
【0033】
HMD4は、ユーザに仮想空間VSの環境を出力して認識させる環境出力器である。HMD4は、ユーザUの頭部に装着される。HMD4は、ユーザUに、サーバ3によって決定された仮想空間VSの画像をユーザUの認識させるためのモニタ40と、サーバ3によって決定された仮想空間VSの音をユーザUに認識させるためのスピーカ41とを有している(図2参照)。
【0034】
予約受付システムSは、いわゆる没入型の仮想空間体感システムとして構成されている。そのため、予約受付システムSを用いて仮想空間VSを体感する場合、ユーザUは、HMD4を介して、仮想空間VSの画像と音のみを認識させられて、自らが仮想空間VSに存在していると認識させられる。
【0035】
なお、本発明の予約受付システムは、そのような構成に限定されるものではない。例えば、モーションキャプチャー装置を使用する場合には、上記の構成のものの他、標識及びカメラの数及び配置が上記構成とは異なるもの(例えば、それぞれ1つずつ設けられているものなど)を用いてもよい。また、本発明の予約受付システムは、標識を用いずに、ユーザの画像そのものから特徴点を認識して、ユーザの姿勢及び座標を認識するようにしてもよい。
【0036】
また、例えば、本発明の予約受付システムは、モーションキャプチャー装置に代わり、他の装置を用いてユーザの動作を認識するようにしてもよい。具体的には、例えば、本発明の予約受付システムは、HMDにGPSなどのセンサを搭載し、そのセンサからの出力に基づいて、ユーザの座標、姿勢などを認識するようにしてもよい。また、本発明の予約受付システムは、そのようなセンサと、上記のようなモーションキャプチャー装置とを併用してもよい。
【0037】
[処理部の構成]
次に、図2図5を用いて、サーバ3の備えている処理部の構成を詳細に説明する。
【0038】
サーバ3は、CPU、RAM、ROM、インターフェース回路等を含む1つ又は複数の電子回路ユニットにより構成されている。
【0039】
図2に示すように、サーバ3は、実装されたハードウェア構成又はプログラムにより実現される機能(処理部)として、仮想環境生成部30(料金提示部)と、ユーザ動作認識部31と、アバター動作制御部32と、予約可能条件認識部33と、仮想環境決定部34と、予約希望時刻認識部35と、現実環境認識部36と、予約受付部37とを備えている。
【0040】
仮想環境生成部30は、仮想空間生成部30aと、アバター生成部30bとを有している。
【0041】
仮想空間生成部30aは、ユーザUが存在する現実空間RSの領域(例えば、ユーザUの自室(第2領域)など)の形状に対応する形状で、予約対象となる所定の領域(本実施形態ではレストラン(第1領域))に対応する仮想空間VSを生成する(図3図5参照)。具体的には、仮想空間生成部30aは、仮想空間VSの背景及び仮想空間VSに存在するオブジェクトとなる画像、及び、それらの画像に関連する音を生成する。
【0042】
生成されるオブジェクトには、図3に示すように、予約可能領域を示す複数のオブジェクトVS1が含まれる。これらの複数のオブジェクトVS1の各々は、ユーザUに対応するアバターAの動作(例えば、オブジェクトVS1に触れるような動作など)によって選択が可能となっている。
【0043】
また、それらの複数のオブジェクトVS1のうちのいずれかをユーザUがアバターAを介して選択すると、図4に示すように、選択可能な複数の予約可能時刻、及び各々の予約可能時刻に対応する予約料金を表すボードVS2が、その内容を選択可能な形式で表示される。
【0044】
アバター生成部30bは、仮想空間VSに、ユーザUに対応するアバターAを生成する(図3図5参照)。アバターAは、対応するユーザUの現実空間RSにおける動作に対応して、仮想空間VSにおいて動作する。
【0045】
ユーザ動作認識部31は、カメラ2が撮影した標識1を含むユーザUの画像データを認識し、その画像データに基づいて、ユーザUの現実空間RSにおける動作(例えば、座標の移動、姿勢の変化など)を認識する。ユーザ動作認識部31は、姿勢認識部31aと、座標認識部31bとを有している。
【0046】
姿勢認識部31aは、認識されたユーザUの画像データから標識1を抽出し、その抽出結果に基づいて、ユーザUの身体の各部における向き(ひいては、ユーザUの姿勢)を認識する。
【0047】
座標認識部31bは、認識されたユーザUの画像データから標識1を抽出し、その抽出結果に基づいて、ユーザUの座標を認識する。
【0048】
アバター動作制御部32は、姿勢認識部31aによって認識されたユーザUの現実空間RSにおける姿勢、及び座標認識部31bによって認識されたユーザUの現実空間RSにおける座標に基づいて、そのユーザUに対応するアバターAの仮想空間VSにおける動作(例えば、座標の移動、姿勢の変化など)を制御する。
【0049】
予約可能条件認識部33は、予約受付システムSを用いてサービスを提供する事業者がその事業者の使用する端末などを介して入力した情報に基づいて、ユーザUに提供可能な条件を認識する。予約可能条件認識部33は、予約可能領域認識部33aと、予約可能時刻認識部33bと、料金認識部33cとを有している。
【0050】
予約可能領域認識部33aは、仮想空間VSのモデルとなった現実空間RSの所定の領域に設定された予約可能領域を認識する。本実施形態では、レストランが所定の領域、そのレストランの座席が予約可能領域となる。
【0051】
予約可能時刻認識部33bは、予約可能領域認識部33aによって認識された予約可能領域について、予約可能時刻を認識する。本実施形態では、レストランの座席を予約可能な時間が予約可能時刻となる。
【0052】
料金認識部33cは、予約可能領域認識部33aによって認識された予約可能領域について、予約可能時刻認識部33bによって認識された予約可能時刻ごとに、予約をするために必要な料金について認識する。
【0053】
その予約のために必要な料金は、予約受付システムSでは、予約可能時刻(ひいては、後述する予約希望時刻)における予約可能領域の環境(例えば、天候、周囲の込み具合など)によって、自動的に再計算されるようになっている。
【0054】
これは、例えば、同じ座席であっても、座った際に見ることのできる風景は、時刻によって異なり、価値(ひいては、設定し得る料金)も異なるが、単純に時刻ごとに料金を設定して提示しても、実際に体験したことのないユーザUは、同じ座席であっても料金が変わることに納得をしにくい場合があるためである。
【0055】
しかし、予約受付システムSでは、後述するように、予約希望時刻に応じて、仮想空間VSの環境を変化させている。すなわち、予約受付システムSは、ユーザUに、体験する可能性の高い環境を予め把握させつつ、料金を提示するように構成されている。これにより、ユーザUに対し、同じ予約可能領域であっても料金が異なることを、十分に納得させることができるようになっている。
【0056】
しかし、本発明の予約受付システムの料金の設定方法は、このような構成に限定されるものではない。そのため、例えば、予約可能時刻に関わらず、一定の料金としてもよい。
【0057】
仮想環境決定部34は、アバターAの状態(例えば、その時点における座標、姿勢など)に基づいて、仮想空間VSにおけるアバターAの環境を決定する。
【0058】
ここで、「アバターの環境」とは、仮想空間において、アバターに対して影響を与えるものを指す。例えば、「アバターの環境」とは、アバターの状態に対する、仮想空間に存在するオブジェクトの状態(例えば、位置、姿勢など)などである。
【0059】
そして、仮想環境決定部34は、決定された仮想空間VSそのものの環境及びアバターAの環境に基づいて、そのアバターAに対応するユーザUに、HMD4のモニタ40及びスピーカ41を介して認識させる仮想空間VSの環境(画像及び音)を決定する。
【0060】
ここで、「ユーザに認識させる環境」とは、そのユーザに五感によって認識させる仮想空間の環境を指す。例えば、「ユーザに認識させる環境」とは、そのユーザに対応するアバターの周囲における仮想空間の画像、音などである。
【0061】
予約希望時刻認識部35は、アバター動作制御部32によって認識されたアバターAの動作に基づいて、選択された予約可能領域について、ユーザUが予約を希望する時刻を認識する。
【0062】
具体的には、まず、ユーザUがアバターAを介して複数のオブジェクトVS1のいずれかを選択した際に、予約可能条件を示すボードVS2が、複数の予約可能時刻が択一的に選択可能な形式で表示される。その後、ユーザUが、アバターAを介して、ボードVS2に記載されている複数の予約可能時刻のいずれかを選択したときに(図4では、「10:00~」が選択されている。)、予約希望時刻認識部35は、その予約可能時刻を、予約希望時刻として認識する。
【0063】
なお、本発明の予約希望時刻認識部は、このような構成に限定されるものではなく、ユーザによる予約可能領域の予約希望時刻を認識するものであればよい。そのため、例えば、予約希望時刻認識部は、提示された時刻から選択された時刻ではなく、ユーザが直接指定した時刻を、予約希望時刻として認識するように構成されていてもよい。
【0064】
現実環境認識部36は、予約希望時刻の所定の領域(すなわち、ユーザUによって選択されている予約可能領域に対応する現実の領域)の環境を認識する。本実施形態では、現実環境認識部36は、レストランの座席、レストランそのもの、及びレストランの周辺の環境を認識する。
【0065】
ここで、「所定の領域の環境」としては、例えば、その所定の領域の天候、日差しの状態、照明の状態、及び存在している又は存在すると推測される人物などが挙げられる。
【0066】
現実環境認識部36で認識された予約希望時刻における所定の領域の環境の情報は、仮想環境生成部30にフィードバックされる。そして、仮想環境生成部30は、その情報に基づいて、その所定の領域の環境を、仮想空間VSに反映させる。
【0067】
例えば、予約受付システムSでは、現実環境認識部36が、ウェブ情報などから、予約希望時刻における予約可能領域である座席が設定されたレストラン周辺の天気を認識し、その情報を仮想環境生成部30に送信する。そして、その情報を受け取った仮想環境生成部30は、その情報に基づいて、仮想空間VSで見える外の景色を、晴れた状態(図3参照)から雨が降っている状態(図4参照)へと変更する。
【0068】
予約受付部37は、アバター動作制御部32によって認識されたアバターAの動作に基づいて、予約を受け付ける。具体的には、ユーザUがアバターAを介してボードVS2に記載されている予約決定ボタンを選択した場合に、予約受付部37は、予約を受け付ける。
【0069】
なお、本発明の予約受付システムを構成する各処理部は、上記のような構成に限定されるものではない。
【0070】
例えば、本実施形態においてサーバ3に設けられている処理部の一部を、HMD4に設けてもよい。また、複数のサーバを用いて構成してもよいし、サーバを省略してHMDに搭載されているCPUを協働させて構成してもよい。また、HMDに搭載されているスピーカ以外のスピーカを設けてもよい。
【0071】
[ユーザの動作の際に実行される処理]
次に、図2及び図6を参照して、予約受付システムSを用いてユーザUに仮想空間VSを体感させる際に、予約受付システムSの実行する処理について説明する。
【0072】
この処理においては、まず、サーバ3の仮想環境生成部30は、仮想空間VS及びアバターAを生成する(図6/STEP100)。
【0073】
具体的には、図3に示すように、仮想環境生成部30の仮想空間生成部30aは、仮想空間VSの背景となる画像及び仮想空間VSに存在するオブジェクトを生成する。また、仮想環境生成部30のアバター生成部30bは、ユーザUに対応するアバターAを生成する。
【0074】
次に、サーバ3のアバター動作制御部32は、ユーザUの動作に基づいて、アバターAの動作を決定する(図6/STEP101)。
【0075】
このSTEP101以降の処理におけるユーザUの動作は、カメラ2によって撮影された画像データに基づいてサーバ3のユーザ動作認識部31によって認識されたユーザUの動作が用いられる。
【0076】
次に、サーバ3の仮想環境決定部34は、アバターAの状態に基づいて、アバターAの環境を決定する(図6/STEP102)。
【0077】
次に、仮想環境決定部34は、ユーザUに認識させる環境を、アバターAの環境に基づいて決定する(図6/STEP103)。
【0078】
具体的には、仮想環境決定部34は、ユーザUに認識させる環境として、アバターAの環境を表す仮想空間VSの画像及び音を決定する。
【0079】
次に、ユーザUに装着されたHMD4は、決定された環境を出力する(図6/STEP104)。
【0080】
具体的には、HMD4は、HMD4に搭載されているモニタ40に決定された画像を表示させ、HMD4に搭載されているスピーカ41に決定された音を発生させる。
【0081】
次に、サーバ3のユーザ動作認識部31は、ユーザUがなんらかの動作を行ったか否かを判断する(図6/STEP105)。
【0082】
ユーザUがなんらかの動作を行った場合(STEP105でYESの場合)、STEP101に戻り、再度、STEP101以降の処理が実行される。
【0083】
一方、ユーザUがなんらかの動作を行っていなかった場合(STEP105でNOの場合)、サーバ3は、処理の終了を指示する信号を認識したか否かを判断する(図6/STEP106)。
【0084】
VRシステムS1は、終了を指示する信号を認識できなかった場合(STEP106でNOの場合)、STEP105に戻り、再度、STEP105以降の処理が実行される。
【0085】
一方、終了を指示する信号を認識した場合(STEP106でYESの場合)、VRシステムS1は、今回の処理を終了する。
【0086】
[予約を受け付ける際に実行される処理]
次に、図2図5及び図7を参照して、予約受付システムSを用いて予約を受け付ける際に、予約受付システムSの実行する処理(すなわち、予約受付方法)について説明する。
【0087】
この処理においては、まず、仮想環境生成部30が、選択された予約可能領域についての予約可能条件を提示する(図7/STEP200)。
【0088】
具体的には、まず、図3などに示すように、仮想環境生成部30は、ベースとなる仮想空間VSの内部に、予約可能領域を示す複数のオブジェクトVS1を選択可能な状態で生成する。
【0089】
その後、それらの複数のオブジェクトVS1のいずれか1つをアバターAが触れる動作に対応するユーザUの動作をユーザ動作認識部31が認識した際に、図4に示すように、仮想環境生成部30は、選択可能な複数の予約可能時刻、及び各々の予約可能時刻に対応する予約料金を表すボードVS2を、その内容を選択可能な形式で表示する。
【0090】
なお、このタイミング、ボードVS2に記載される料金は、対応する予約可能時刻における現実空間RSの所定の領域の環境に基づいて、適宜設定される。
【0091】
次に、予約希望時刻認識部35が、予約希望時刻を認識する(図7/STEP201)。
【0092】
予約受付システムSでは、予約可能条件が提示された直後では、予約希望時刻認識部35は、予約可能時刻のうち最も早い時刻を、仮の予約希望時刻として認識する。本実施形態では、予約希望時刻認識部35は、「10:00~」という時刻を、仮の予約希望時刻として認識する(図4参照)。
【0093】
次に、現実環境認識部36が、予約希望時刻における現実空間RSの所定の領域の環境を認識する(図7/STEP202)。
【0094】
本実施形態では、現実環境認識部36は、レストランの座席、レストランそのもの、及びレストランの周辺の環境(天気、選択された座席から見える景色、周辺の座席に座っている他のレストランの利用客など)を認識する。
【0095】
次に、仮想環境生成部30は、認識された現実空間RSの所定の領域の環境を、仮想空間VSの環境に反映させる(図7/STEP203)。
【0096】
具体的には、仮想環境生成部30は、まず、現実環境認識部36が認識した環境に基づいて、仮想空間VSの画像及び音を変更する。その後、仮想環境決定部34は、その変更された仮想空間VSの画像及び音に基づいて、ユーザUに認識させる仮想空間VSの環境を変更する。
【0097】
次に、予約希望時刻認識部35は、ユーザUが予約希望時刻を変更したかを判断する(図7/STEP204)。
【0098】
具体的には、予約希望時刻認識部35は、ボードVS2に記載されている予約可能時刻から現時点の予約希望時刻とは異なる予約可能時刻をアバターAが選択する動作に対応するユーザUの動作を、ユーザ動作認識部31が認識したか判断する。
【0099】
予約希望時刻が変更された場合(STEP204でYESの場合)、STEP201に戻り、再度、STEP201以降の処理が実行される。
【0100】
具体的には、予約希望時刻が図3に示した「10:00~」から図4に示した「14:00~」に変更された場合には、現実環境認識部36は、「14:00~」におけるレストランの座席、レストランそのもの、及びレストランの周辺の環境を、改めて認識する。
【0101】
そして、仮想環境生成部30は、まず、現実環境認識部36が改めて認識した環境に基づいて、仮想空間VSの画像及び音を変更する。その後、仮想環境決定部34は、その変更された仮想空間VSの画像及び音に基づいて、ユーザUに認識させる仮想空間VSの環境を変更する。
【0102】
本実施形態では、「10:00~」では晴れると予測されているが「14:00~」では雨が降ると予測されているとする。そのような場合、「10:00~」が予約希望時刻であった場合には、図3に示すように、仮想空間VSは晴れた状態となり、予約希望時刻が「14:00~」に変更された場合には、図4に示すように、仮想空間VSは、雨が降っている状態となる。
【0103】
一方、予約時刻が変更されなかった場合(STEP204でNOの場合)、予約受付部37は、予約決定の指示があったかを判断する(図7/STEP205)。
【0104】
具体的には、予約受付部37は、ボードVS2に記載されている予約決定ボタンをアバターAが選択する動作に対応するユーザUの動作を、ユーザ動作認識部31が認識したか判断する。
【0105】
予約決定の指示がなかった場合(STEP205でNOの場合)、STEP204に戻り、再度、STEP204以降の処理が実行される。
【0106】
一方、予約決定の指示がなかった場合(STEP205でYESの場合)、予約受付部37は、選択されている予約可能領域を選択されている予約希望時刻で予約を受け付けて(図7/STEP205)、今回の処理を終了する。
【0107】
以上説明したように、予約受付システムSは、予約希望時刻を認識した際に、仮想空間VSの環境にその予約希望時刻における所定の領域の環境(すなわち、将来実現し得る所定の領域の環境)が反映されるように構成されている。
【0108】
ここで、予約希望時刻における所定の領域の環境とは、ユーザUが、予約希望時刻に予約可能領域に実際に行った際(本実施形態では、予約したレストランの座席に実際に座った際)に、体験する可能性の高い環境である。そのため、ユーザUは、予約希望時刻を指定すると、その時刻に体験する可能性の高い環境を、予め仮想的に体験して把握することができる。
【0109】
したがって、予約受付システムSによれば、体験する可能性の高い環境を予め把握することができるので、ユーザUが予約可能領域を予約した際に期待する環境と後にユーザUが実際に体験する環境との相違を抑制することができる。
【0110】
[その他の実施形態]
以上、図示の実施形態について説明したが、本発明はこのような形態に限定されるものではない。
【0111】
例えば、上記実施形態では、予約受付システムSは、没入型の仮想空間体感システムであるので、仮想空間VSに、ユーザUに対応するアバターAを生成するとともに、そのアバターAの動作がユーザUの動作に連動するように構成されている。
【0112】
これにより、ユーザUは、予約を行う際に、将来実現し得る所定の領域の環境に、自らが存在していることを、さらにイメージしやすくなる。これにより、ユーザは、体験する可能性の高い環境を予めさらに精度よく把握することができるようになっている。
【0113】
しかし、本発明の予約受付システムは、そのような構成に限定されるものではなく、仮想空間を介して、仮想空間のモデルとなった現実空間の所定の領域に設定された予約可能領域の予約を受け付けることができるものであればよい。
【0114】
そのため、例えば、予約受付システムは、没入型の仮想空間体感システムではなく、モニタを介して仮想空間を観察するような仮想空間体感システムを用いて構成されていてもよい。さらに、そのように構成した場合には、仮想空間にアバターを生成しなくてもよい。
【符号の説明】
【0115】
1…標識、2…カメラ、3…サーバ、4…HMD(環境出力器)、30…仮想環境生成部(料金提示部)、30a…仮想空間生成部、30b…アバター生成部、31…ユーザ動作認識部、31a…姿勢認識部、31b…座標認識部、32…アバター動作制御部、33…予約可能条件認識部、33a…予約可能領域認識部、33b…予約可能時刻認識部、33c…料金認識部、34…仮想環境決定部、35…予約希望時刻認識部、36…現実環境認識部、37…予約受付部、40…モニタ、41…スピーカ、A…アバター、S…予約受付システム、U…ユーザ、VS…仮想空間、VS1…オブジェクト、VS2…ボード、RS…現実空間。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7