(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177758
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】ロール紙プリンター、及び、ロール紙プリンターの制御方法
(51)【国際特許分類】
B65H 7/14 20060101AFI20241217BHJP
B65H 7/04 20060101ALI20241217BHJP
B41J 15/04 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
B65H7/14
B65H7/04
B41J15/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096081
(22)【出願日】2023-06-12
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】岡田 浩義
【テーマコード(参考)】
2C060
3F048
【Fターム(参考)】
2C060BA03
2C060BA09
2C060BA10
3F048AA05
3F048AB01
3F048AC04
3F048BA03
3F048BB10
3F048CB08
3F048DC14
3F048EB02
3F048EB22
(57)【要約】
【課題】設置姿勢が異なる場合にニアエンドを検出する機構が複雑となる。
【解決手段】ロール紙プリンターは、第1設置姿勢、及び、前記第1設置姿勢とは異なる第2設置姿勢に設置可能であり、紙が巻かれたロール紙を収容可能な収容ケースと、前記収容ケース側から検出光を照射、又は、検出波を発信して、前記ロール紙の外周との間の距離を検出可能なセンサーと、を備え、前記センサーは、前記第1設置姿勢の前記収容ケースに収容された前記ロール紙、及び、前記第2設置姿勢の前記収容ケースに収容された前記ロール紙のいずれかの外周に対して、前記検出光の照射、又は、前記検出波の発信が可能である。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1設置姿勢、及び、前記第1設置姿勢とは異なる第2設置姿勢に設置可能であり、紙が巻かれたロール紙を収容可能な収容ケースと、
前記収容ケース側から検出光を照射、又は、検出波を発信して、前記ロール紙の外周との間の距離を検出可能なセンサーと、を備え、
前記センサーは、前記第1設置姿勢の前記収容ケースに収容された前記ロール紙、及び、前記第2設置姿勢の前記収容ケースに収容された前記ロール紙のいずれかの外周に対して、前記検出光の照射、又は、前記検出波の発信が可能である、ロール紙プリンター。
【請求項2】
前記紙を搬送するローラーを備え、
前記収容ケースが前記第1設置姿勢、及び、前記第2設置姿勢のいずれの設置姿勢であっても、
前記ローラーにより前記紙が搬送され、前記ロール紙が第1径から前記第1径より小さい第2径へ移行するとき、
前記センサーが検出する距離は所定距離以上となる、請求項1に記載のロール紙プリンター。
【請求項3】
前記収容ケースが前記第1設置姿勢のときであって、
前記ローラーにより前記紙が搬送され、前記ロール紙が前記第1径から前記第2径へ移行するとき、
前記センサーが検出する距離は前記所定距離となる、請求項2に記載のロール紙プリンター。
【請求項4】
前記センサーは、前記第1径のときの前記ロール紙の外周、及び、前記第2径のときの前記ロール紙の外周に対して、前記検出光の照射、又は、前記検出波の発信をする、請求項3に記載のロール紙プリンター。
【請求項5】
前記収容ケースが前記第2設置姿勢のときであって、
前記ローラーにより前記紙が搬送され、前記ロール紙が前記第1径から前記第2径へ移行するとき、
前記センサーが検出する距離は前記所定距離より長くなる、請求項2に記載のロール紙プリンター。
【請求項6】
前記センサーは、前記第1径のときの前記ロール紙の外周に対して前記検出光の照射、又は、前記検出波の発信をし、前記第2径へ移行後、前記ロール紙の外周に対しては前記検出光の照射、又は、前記検出波の発信をしない、請求項5に記載のロール紙プリンター。
【請求項7】
前記センサーは、前記第2径へ移行後は前記検出光又は前記検出波を停止する、請求項3または請求項5に記載のロール紙プリンター。
【請求項8】
第1設置姿勢、及び、前記第1設置姿勢とは異なる第2設置姿勢のいずれかにより、紙が巻かれたロール紙を収容可能な収容ケースと、前記第1設置姿勢の前記収容ケースに収容された前記ロール紙、及び、前記第2設置姿勢の前記収容ケースに収容された前記ロール紙のいずれかの外周に対して、検出光を照射可能、又は、検出波を発信可能であって、前記ロール紙との間の距離を検出可能なセンサーと、前記紙を搬送するローラーと、を備えるロール紙プリンターの制御方法であって、
前記収容ケースが前記第1設置姿勢及び前記第2設置姿勢のいずれの設置姿勢であっても、前記ローラーにより前記紙が搬送されていき、前記センサーにより検出した距離が所定距離以上となった場合、前記ロール紙が第1径から前記第1径より小さい第2径へ移行したと判断する、ロール紙プリンターの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール紙プリンター、及び、ロール紙プリンターの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1及び特許文献2に示すように、設置姿勢が異なる場合においても、ロール紙の径が所定以下となる、いわゆるニアエンド(Near End)を検出可能なプリンターが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9-295436号公報
【特許文献2】特開2010-234560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のプリンターでは、ニアエンドを検出する機構を設置姿勢に合わせて移動する構成となり、特許文献2のプリンターでは、ニアエンドを検出する機構を複数備える構成となり、いずれも複雑な構成となり、部品点数が多くなって、プリンターが高価でサイズが大きくなってしまうおそれがある。さらに、特許文献1のプリンターでは、ユーザーが機構を移動させる必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するロール紙プリンターは、第1設置姿勢、及び、前記第1設置姿勢とは異なる第2設置姿勢に設置可能であり、紙が巻かれたロール紙を収容可能な収容ケースと、前記収容ケース側から検出光を照射、又は、検出波を発信して、前記ロール紙の外周との間の距離を検出可能なセンサーと、を備え、前記センサーは、前記第1設置姿勢の前記収容ケースに収容された前記ロール紙、及び、前記第2設置姿勢の前記収容ケースに収容された前記ロール紙のいずれかの外周に対して、前記検出光の照射、又は、前記検出波の発信が可能である。
【0006】
上記課題を解決するロール紙プリンターの制御方法は、第1設置姿勢、及び、前記第1設置姿勢とは異なる第2設置姿勢のいずれかにより、紙が巻かれたロール紙を収容可能な収容ケースと、前記第1設置姿勢の前記収容ケースに収容された前記ロール紙、及び、前記第2設置姿勢の前記収容ケースに収容された前記ロール紙のいずれかの外周に対して、検出光を照射可能、又は、検出波を発信可能であって、前記ロール紙との間の距離を検出可能なセンサーと、前記紙を搬送するローラーと、を備えるロール紙プリンターの制御方法であって、前記収容ケースが前記第1設置姿勢及び前記第2設置姿勢のいずれの設置姿勢であっても、前記ローラーにより前記紙が搬送されていき、前記センサーにより検出した距離が所定距離以上となった場合、前記ロール紙が第1径から前記第1径より小さい第2径へ移行したと判断する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】第1設置姿勢の収容ケースに収容された第1径のロール紙の距離を、センサーが検出するときのロール紙プリンターの断面図。
【
図3】第1設置姿勢の収容ケースに収容された第2径のロール紙の距離を、センサーが検出するときのロール紙プリンターの断面図。
【
図4】第2設置姿勢の収容ケースに収容された第1径のロール紙の距離を、センサーが検出するときのロール紙プリンターの断面図。
【
図5】第2設置姿勢の収容ケースに収容された第2径のロール紙の距離を、センサーが検出するときのロール紙プリンターの断面図。
【
図6】センサーが第2径のロール紙の距離を検出するときであって、収容ケースが第1設置姿勢のとき、及び、第2設置姿勢のときを対比して示すロール紙プリンターの断面図。
【
図7】
図2~
図6とは異なる位置としたセンサーが第2径のロール紙の距離を検出するときであって、収容ケースが第1設置姿勢のとき、及び、第2設置姿勢のときを対比して示すロール紙プリンターの断面図。
【
図8】センサーによりロール紙の径を判断するロール紙プリンターの制御方法を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
1.ロール紙プリンターの構成
以下、実施形態に係るロール紙プリンター1の構成について、
図1~
図7を参照して説明する。なお、図中における方向を、三次元座標系を用いて説明する。説明の便宜上、Z軸の正方向を上方向、上方、又は単に上と称し、負方向を下方向、下方、又は単に下と称し、X軸の正方向を右方向、右方、又は単に右と称し、負方向を左方向、左方、又は単に左と称し、Y軸の正方向を前方向、前方、又は単に前と称し、負方向を後方向、後方、又は単に後と称して説明する。
【0009】
実施形態に係るロール紙プリンター1は、例えば、コンピューターを含むPOS(Point Of Sale)システムで使用される。POSシステムは、ショッピングセンター、百貨店、コンビニエンスストア、車内販売等の小売業や、レストランや、喫茶店、居酒屋等の飲食業等の業務に使用されるシステムである。POSシステムで使用されるロール紙プリンター1は、商品やサービスに応じて、領収書、クーポン、チケットなどを印刷する。
【0010】
ロール紙プリンター1は、収容ケース12が、第1設置姿勢A、及び、第1設置姿勢Aとは異なる第2設置姿勢Bとなるように、設置可能である。
図1~
図3、
図6~
図7は、収容ケース12が第1設置姿勢Aの場合を示す。第1設置姿勢Aでは、ロール紙プリンター1が、カバー10を外装ケース11の側面の一方向である前方へ開くことができる設置姿勢となる。
また、第1設置姿勢Aでは、ロール紙プリンター1が、後述の排出口13が前方に位置する設置姿勢となり、いわゆる前出し設置姿勢、又は、縦置き設置姿勢とも称される。
【0011】
一方、
図4~
図5は、収容ケース12が第2設置姿勢Bの場合を示す。第2設置姿勢Bでは、ロール紙プリンター1が、カバー10を外装ケース11の上方へ開くことができる設置姿勢となる。
また、第2設置姿勢Bでは、ロール紙プリンター1が、排出口13が上方に位置する設置姿勢となり、いわゆる上出し設置姿勢、又は、横置き設置姿勢とも称される。
【0012】
図1は、カバー10が前方に開いた状態であって、収容ケース12に後述のロール紙が収容されていないときのロール紙プリンター1の斜視図を示す。なお、以下では、後述の、ロール紙RA1,RA2,RB1,RB2を総称してロール紙Rとする。ロール紙Rは、サイズを特定せず、収容される収容ケース12の設置姿勢などを特定しないものとする。
収容ケース12の左右方向の幅は幅Wであり、幅Wまでのロール紙Rを収容することができる。幅Wは、例えば80mmである。
【0013】
カバー10は、収容ケース12を開閉可能である。ユーザーは、カバー10を前方へ向かって開けると収容ケース12にアクセス可能となり、前方から収容ケース12にロール紙Rを収容することができる。
なお、
図2~
図7は、カバー10が閉じた状態のロール紙プリンター1の断面図を示す。
【0014】
図2に示すように、第1設置姿勢Aの収容ケース12に収容され、後述のロール紙RA2に比べて大径である第1径D1のロール紙Rを、ロール紙RA1と称する。
図2を参照しながらロール紙プリンター1の構成について詳しく説明する。
紙Pは、例えば長尺状の感熱紙である。紙Pは巻芯(図示省略)に巻かれ、ロール形状のロール紙RA1となる。巻芯の外径は、例えば18mmである。使用前のロール紙RA1の外径である第1径D1は、例えば83mmである。なお、以下では、ロール紙Rなどの外径を単に径とも称する。
【0015】
収容ケース12へ仕切り板(図示省略)を挿入することにより、収容ケース12は例えば58mm~80mmの紙幅のロール紙Rに対応可能である。
なお、
図3~
図7では、紙Pが搬送される経路は
図2の場合と同様であるので、説明の便宜上、省略している。
【0016】
ロール紙プリンター1は、制御部15を備える。制御部15は、ロール紙プリンター1の各部を統括的に制御するCPU(Central Processing Unit)、入出力を管理するUART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)、論理回路であるFPGA(Field Programmable Gate Array)やPLD(Programmable Logic Device)などを含んで構成される。CPUはプロセッサーともいう。
制御部15は、書き換え可能な不揮発性メモリーであるフラッシュROM(Read Only Memory)やHDD(Hard Disk Drive)、揮発性メモリーであるRAM(Random Access Memory)などのメモリーも含んで構成される。制御部15のCPUは、メモリーに記憶されたファームウェアなどのプログラムを読み出して実行する。
【0017】
ロール紙プリンター1は、上述のカバー10、外装ケース11、収容ケース12、制御部15に加え、ヘッド2、ローラー3、紙ガイド4、突起5、センサー6、カッター14を含んで構成される。
外装ケース11には、ヘッド2、突起5、センサー6、収容ケース12、カッター14の固定刃14bが搭載される。一方、カバー10には、ローラー3、紙ガイド4、支持ローラー8、カバーガイド9、カッター14の可動刃14aが搭載される。
【0018】
カバー10は、カバーヒンジ10aにより、外装ケース11の前方の側面に取り付けられる。カバー10は、カバーヒンジ10aを中心に回転可能である。
カバー10が閉じると、カバー10と外装ケース11との境界に、矩形の形状をした排出口13が形成される。排出口13はロール紙プリンター1の前方に形成され、ヘッド2により印刷された紙Pが前方から排出される。
【0019】
また、カバー10が閉じると、カバー10に搭載されたローラー3は、外装ケース11に搭載されたヘッド2に対して対向する位置となる。ヘッド2と対向するローラー3は、プラテンローラーとも称される。
さらに、このとき、カバー10に搭載されたカッター14の可動刃14aは、外装ケース11に搭載された固定刃14bに対して対向する位置となる。また、突起5も紙ガイド4に対して対向する位置となる。
【0020】
ローラー3は、搬送用モーター(不図示)により反時計回りに回転し、紙Pを搬送方向Fへ搬送する。このとき、ローラー3によりロール紙RA1から紙Pが引き出されることに伴い、ロール紙RA1も反時計回りに回転する。
搬送方向Fの上流から下流へ向かって、収容ケース12、紙ガイド4及び突起5、ローラー3及びヘッド2、カッター14、排出口13が、順に配置される。
【0021】
突起5及び紙ガイド4は、ローラー3の搬送方向Fの上流において、紙Pをガイド可能に構成される。突起5は、紙ガイド4の凹部に対向する位置にある。
紙Pは、突起5、及び、紙ガイド4の凹部の間において、屈曲される。突起5は、紙Pに当接可能であって、バネやゴムなどで構成される弾性部材(図示省略)により紙ガイド4に向かって進退可能に構成される。
【0022】
紙Pは巻芯に巻かれているので、巻き癖であるカール(curl)が付いている。カールが付いている紙Pに対して突起5が当接し、カールを矯正するように作用する。具体的には、突起5は、紙Pに当接し、カールを矯正するように屈曲させる。紙Pは、ローラー3により搬送されるとき、突起5により、しごかれるような状態となり、カールが矯正されていく。
【0023】
このとき、紙Pの張力も変動することがあるが、突起5は紙ガイド4に対して進退可能に移動しつつ、紙Pの張力の変動を緩衝することができる。この結果、紙Pは安定して搬送されることができる。
後述のように、ロール紙RA1から紙Pが引き出される際、ロール紙RA1が反時計回りに回転する。このとき、突起5により紙Pが安定して搬送されるので、ロール紙RA1も安定した位置に維持されることができる。
【0024】
ヘッド2は、例えば、左右方向へ複数の発熱体が並んでいるライン型のサーマルヘッドである。ヘッド2の複数の発熱体は、POSシステムのコンピューターから送信される印刷データに基づき選択されて発熱し、感熱紙である紙Pに画像を印刷することができる。
ローラー3及びヘッド2は、ロール紙RA1から引き出された紙Pを挟んで、互いに対向する位置にある。ローラー3は紙Pの搬送面に当接して搬送可能となり、ヘッド2は紙Pの印刷面に当接して印刷可能となる。
【0025】
紙Pを介してヘッド2に対向する位置にあるローラー3は、プラテンローラーともいう。なお、ローラー3が外装ケース11に搭載されるようにし、ヘッド2がカバー10に搭載されるようにしてもよい。この場合、紙Pの印刷面は反対側となる。
【0026】
カッター14の可動刃14a及び固定刃14bは、紙Pを挟んで対向する位置にある。可動刃14aが固定刃14bへ向かって移動し、双方の間にある紙Pを切断することができる。切断された紙Pは、排出口13から排出される。
なお、可動刃14aが外装ケース11に搭載されるようにし、固定刃14bがカバー10に搭載されるようにしてもよい。
【0027】
収容ケース12は、カバーヒンジ10aへ向かう順であって、上方から下方の順に配置された、第1収容ケース12a、第2収容ケース12b、第3収容ケース12c、第4収容ケース12dを含んで構成される。カバーガイド9は、カバー10に搭載され、ロール紙Rに当接可能である。
収容ケース12及びカバーガイド9は、印刷により紙Pが搬送されて径が変化していくロール紙Rを、ガイド可能に構成される。
【0028】
図2に示すロール紙RA1の場合、その外周CA1は、第3収容ケース12c、及び、カバーガイド9に当接して、前後方向からガイドされる。
このため、ロール紙RA1は、ローラー3によりロール紙RA1から紙Pが引き出されて反時計回りに回転しても、安定した位置に維持されることができる。後述のように、センサー6がロール紙RA1の外周CA1までの距離Xを検出する際、精度を高くすることができる。
なお、第1径D1のロール紙RA1は径が大きいため、カバーガイド9の下方に位置する支持ローラー8には当接しない。
【0029】
センサー6は、いわゆる距離センサーである。センサー6は、例えば、赤外線レーザーなどの検出光を照射可能な発光素子と、対象物に反射して戻ってきた検出光を受光可能な受光素子とを有する。
センサー6は、発光素子から照射された検出光が対象物に反射し、受光素子に戻ってくるまでの時間を計測して、対象物に対する距離を検出するタイムオブフライト(Time Of Flight)方式を用いたものでもよい。また、センサー6は、発光素子から照射された検出光が対象物に反射し、受光素子上で受光した位置に基づき、対象物に対する距離を検出する三角測量方式を用いたものでもよい。
【0030】
また、センサー6は、検出光の他、マイクロ波、超音波などの検出波を用いたものでもよい。この場合、センサー6は、検出波を発信する発信素子と、検出波を受信する受信素子とを有する。検出波を用いたものの場合も、センサー6は、タイムオブフライト方式などにより、対象物に対する距離を検出することができる。
なお、以下では、センサー6を、検出光を用いたものとして説明するが、検出波を用いた場合も同様である。また、後述のセンサー7の場合も、上述のセンサー6の場合と同様の構成である。
【0031】
図2に示すように、センサー6は、ロール紙Rに接触しないように、収容ケース12に対し、ロール紙Rが収容される側とは反対側に配置される。センサー6は、制御部15が実装される基板に搭載されてもよい。このようにすると、ロール紙プリンター1をコンパクトにすることができる。
センサー6の検出光の光軸6aは、前下方向であって、第3収容ケース12cの側から、第4収容ケース12d、又は、カバーガイド9の側へ向かう。第3収容ケース12cには、検出光を通過させる開口が設けられる。開口は、検出光が通過可能な樹脂により覆われてもよい。
なお、センサー6が検出波を用いたものである場合には、光軸6aの替わりに、検出波の伝搬路となる。
【0032】
センサー6が検出する距離を距離Xとする。センサー6の検出光は、光軸6aの方向へ進み、ロール紙RA1の外周CA1に照射される。検出光がロール紙RA1の外周CA1に反射して戻ることにより、センサー6は、距離Xとして距離L1を検出することができる。距離L1は、センサー6からロール紙RA1の外周CA1までの距離である。
【0033】
次に、
図3に示すように、第1設置姿勢Aの収容ケース12に収容された第2径D2のロール紙Rをロール紙RA2と称する。
図2に示すロール紙RA1から紙Pが印刷されて搬送されていくと、第1径D1より小径である第2径D2のロール紙RA2となっていく。第2径D2は、例えば24mmである。第2径D2は、20mm以上、30mm以下の範囲内でもよい。ロール紙RA1の径が小さくなっていくと、収容ケース12において、前下方へ移動していく。この移動方向は、センサー6から離れていく方向でもある。
ロール紙RA2の場合、その外周CA2は、凹形状の第4収容ケース12dに当接して、前後方向からガイドされる。ロール紙RA2の外周CA2の一部は、第3収容ケース12cに当接してガイドされてもよい。
【0034】
また、カバーガイド9には回転可能な支持ローラー8が備えられ、ロール紙RA2の外周CA2に当接可能である。支持ローラー8は前後方向へ移動可能であり、トーションコイルバネ(不図示)によりロール紙RA2を後方へ押すように作用する。支持ローラー8にも当接することにより、軽くなって移動し易くなったロール紙RA2は安定的に支持されることができる。
このように、第4収容ケース12dなどにより、ロール紙RA2は、ローラー3によりロール紙RA2から紙Pが引き出されて反時計回りに回転しても、安定した位置に維持されることができる。センサー6はロール紙RA2の外周CA2までの距離Xを精度よく検出することができる。
【0035】
センサー6の検出光は、光軸6aの方向へ進み、ロール紙RA2の外周CA2に照射される。検出光がロール紙RA2の外周CA2に反射して戻ることにより、センサー6は、距離Xとして、所定距離である距離LAを検出することができる。距離LAは、センサー6からロール紙RA2の外周CA2までの距離である。距離LAは、例えば75mmである。距離LAは、70mm以上、80mm以下の範囲内でもよい。
このように、ロール紙Rの径が第1径D1から第2径D2へ移行するとき、センサー6は距離LAを検出することができる。なお、ロール紙Rの径が第1径D1から第2径D2へ移行していく際、センサー6が検出する距離Xは、距離L1から距離LAへと、次第に長くなっていく。
【0036】
制御部15は、ロール紙Rの径が小さくなっていき、センサー6により距離LAを検出すると、ロール紙Rの径が第1径D1から第2径D2へ移行したと判断することができる。すなわち、制御部15は、ロール紙Rに巻かれている紙Pの残量が少なくなった状態である、いわゆるニアエンドであると判断することができる。このようなセンサー6は、ニアエンドセンサーとも称される。
一方、制御部15は、センサー6により距離LAより短い距離Xを検出するときは、ロール紙Rの紙Pの残量が十分にあり、まだニアエンドではないと判断することができる。
【0037】
ロール紙プリンター1は、LEDや液晶パネルなどを有する表示装置(図示省略)を備えている。制御部15は、センサー6によりニアエンドであると判断した場合には、表示装置によりニアエンドの情報を表示することができる。制御部15は、POSシステムのコンピューターへ、ニアエンドの情報を送信してもよい。この構成にした場合には、ロール紙プリンター1は表示装置を備えずに、POSシステムのコンピューターのディスプレーなどによりニアエンドの情報を表示することができる。
また、制御部15は、ニアエンドと判断した場合には、印刷を中止するようにしてもよい。
【0038】
なお、制御部15は、センサー6によりニアエンドであると判断した場合であっても、ロール紙Rの紙Pの残量がある範囲で、引き続き印刷をすることが可能である。
例えば第2径D2が24mmでニアエンドとした場合、ロール紙RA2の紙Pの残量は約3mである。制御部15は、ニアエンドと判断した後も、紙Pが約3mの範囲内でさらに印刷が可能である。
【0039】
ユーザーは、表示装置のニアエンドの表示を視認すると、顧客が会計のために並んでいる場合など、印刷が必要な場合には、紙Pが約3mの範囲内で、引き続き印刷を継続することができる。ユーザーは、レシートの印刷が終了したときや、顧客が途切れたときを見計らって、新しいロール紙Rをロール紙プリンター1に収容することができる。
【0040】
ロール紙プリンター1は、紙Pの有無を検出可能な紙センサー(図示省略)を、別途、紙ガイド4又は突起5に搭載するように構成してもよい。
制御部15は、紙センサーにより、ロール紙プリンター1に紙Pがある状態か否かを判断し、印刷可能か否かを判断することもできる。例えば、制御部15は、センサー6によりニアエンドであると判断した場合であっても、紙センサーにより紙Pがあることを検出した場合には、印刷を継続することもできる。
【0041】
ところで、制御部15は、ロール紙Rがニアエンドになったと判断した後も、表示装置によりその旨を継続して表示し続けることができる。また、制御部15は、POSシステムのコンピューターへ、既にニアエンドの情報を送信している。このため、制御部15は、ニアエンドと判断した後、紙Pを搬送しても、引き続き、センサー6による検出をしなくてもよい。
そこで、制御部15は、ニアエンドと判断した後は、センサー6の検出光の照射を停止することができる。具体的には、制御部15は、センサー6への電力の供給を停止する、又は、センサー6に対して動作を停止するモードに切り替えるなどを行う。
この結果、制御部15は、センサー6による検出をしなくて済み、さらにセンサー6が省電力となるように、制御することができる。
センサー6が検出波を用いる場合も、制御部15は、ニアエンドと判断した後は、センサー6の検出波の発信を停止することができる。
【0042】
なお、ロール紙プリンター1は、カバー10の開閉を検出するスイッチ(図示省略)を備えるようにしてもよい。
制御部15は、ニアエンドと判断した後、スイッチによりカバー10の開閉を検出すると、ユーザーがカバー10を開閉して新しいロール紙Rを収容ケース12にセットした可能性があると判断することができる。そこで、制御部15は、カバー10の開閉を検出した後、センサー6によりロール紙Rの径の検出を開始する。そして、制御部15は、径が大きいロール紙Rがセットされ、センサー6によりニアエンドでないと判断すると、表示装置によるニアエンドの表示を停止することができる。
【0043】
次に、
図4に示すように、第2設置姿勢Bの収容ケース12に収容された大径である第1径D1のロール紙Rを、ロール紙RB1と称する。
このとき、排出口13はロール紙プリンター1の上方に位置し、ヘッド2により印刷された紙Pが上方から排出される。
【0044】
ロール紙RB1の場合、その外周CB1は、第1収容ケース12a、及び、第3収容ケース12cに当接して、前後方向からガイドされる。
このため、ローラー3によりロール紙RB1から紙Pが引き出されて、ロール紙RB1が反時計回りに回転しても、安定した位置に維持されることができる。センサー6はロール紙RB1の外周CB1までの距離Xを精度よく検出することができる。なお、ロール紙RB1は、上方に位置する支持ローラー8には当接しない。
【0045】
センサー6の検出光は、光軸6aの方向へ進み、ロール紙RB1の外周CB1に照射される。検出光がロール紙RB1の外周CB1に反射して戻ることにより、センサー6は、距離Xとして距離L2を検出することができる。距離L2は、センサー6からロール紙RB1の外周CB1までの距離である。
【0046】
図5に示すように、第2設置姿勢Bの収容ケース12に収容された第2径D2のロール紙Rをロール紙RB2と称する。
図4に示すロール紙RB1から紙Pが印刷されて搬送されていくと、より小径である第2径D2のロール紙RB2となっていく。ロール紙RB1の径が小さくなっていくと、収容ケース12において、下方へ移動していく。このとき、外周CB1から外周CB2になっていき、前下方において、三日月が欠けていくときの形状のように、光軸6aと交わって成す円弧の長さが短くなっていく。
【0047】
ロール紙RB2の場合、その外周CB2は、凹形状の第2収容ケース12bに当接して、前後方向からガイドされる。ロール紙RB2の外周CB2は、第1収容ケース12a、又は、第3収容ケース12cに当接してガイドされてもよい。
第2収容ケース12bなどにより、ローラー3によりロール紙RB2から紙Pが引き出されて、ロール紙RB2が反時計回りに回転しても、安定した位置に維持されることができる。センサー6は、ロール紙RB2の外周CB2が検出光の光軸6aから外れるときの距離Xを精度よく検出することができる。
【0048】
ロール紙Rの径が第1径D1から第2径D2へ移行するとき、ロール紙RB2の外周CB2は、センサー6の光軸6aから外れる位置へと移動していく。その結果、ロール紙Rの径が第2径D2になると、ロール紙RB2の外周CB2がセンサー6の光軸6aから外れ、ロール紙RB2の外周CB2には検出光が照射されなくなる。
【0049】
センサー6の検出光は光軸6aの方向へ進むので、このとき、検出光は、第4収容ケース12d、又は、カバーガイド9に照射される。
図5において、センサー6から、第4収容ケース12d、又は、カバーガイド9までの距離は、
図3に示すロール紙RA2に検出光が照射される距離LAより長くなる。
従って、ロール紙RB2のとき、センサー6が検出する距離Xは、距離LAより長くなる。なお、ロール紙Rの径が第1径D1から第2径D2へ移行していく際、センサー6が検出する距離Xは、距離L2から次第に長くなった後、急激に変化し、距離LAより長くなることとなる。
【0050】
制御部15は、ロール紙Rの径が小さくなっていき、センサー6により検出した距離Xが距離LAより長くなったと判断すると、ロール紙Rの径が第1径D1から第2径D2に移行したと判断することができる。すなわち、制御部15は、ロール紙Rがニアエンドになったと判断することができる。
一方、制御部15は、センサー6により距離LA以下である距離Xを検出しているときは、まだニアエンドではないと判断することができる。
【0051】
次に、
図6は、
図3の第1設置姿勢Aの収容ケース12に収容された第2径D2のロール紙RA2を示した上で、
図5の第2設置姿勢Bの収容ケース12に収容された第2径D2のロール紙RB2を、仮想的に重ねた場合を示す。
収容ケース12が第1設置姿勢A、及び、第2設置姿勢Bのいずれの設置姿勢であっても、センサー6は同位置にあるので、検出光は同じ光軸6aの方向へ進む。
【0052】
収容ケース12が第1設置姿勢Aのロール紙RA2の場合、センサー6の検出光はロール紙RA2の外周CA2に照射される。制御部15は、センサー6により、距離Xとして距離LAを検出すると、ロール紙Rの径が第1径D1から第2径D2へ移行したと判断することができる。
一方、収容ケース12が第2設置姿勢Bのロール紙RB2の場合、ロール紙RB2の外周CB2はセンサー6の光軸6aから外れ、検出光はロール紙RB2の外周CB2には照射されない。上述のように、制御部15は、センサー6により、距離LAより長い距離Xを検出すると、ロール紙Rの径が第1径D1から第2径D2へ移行したと判断することができる。
【0053】
すなわち、収容ケース12が第1設置姿勢A、及び、第2設置姿勢Bのいずれの設置姿勢であっても、制御部15は、センサー6により検出した距離Xが、距離LA以上であると判断した場合には、ロール紙Rの径が第1径D1から第2径D2へ移行したと判断することができる。
換言すると、制御部15は、センサー6により検出した距離X、及び、距離LAの関係が、距離X≧距離LA、になったと判断すると、ロール紙Rがニアエンドになったと判断することができる。
【0054】
次に、
図7に示すロール紙プリンター1は、
図2~
図6のセンサー6を異なる位置に搭載し、センサー7として備えた例を示す。
なお、センサー7の構成は、センサー6と同じである。センサー7が検出する距離を距離Yとする。
【0055】
センサー7は、ロール紙Rに接触しないように、収容ケース12に対し、ロール紙Rが収容される側とは反対側に配置される。
第3収容ケース12cには、検出光を通過させる開口が設けられる。開口は、検出光が通過可能な樹脂により覆われてもよい。
【0056】
図7に示すロール紙プリンター1は、センサー7の位置以外の構成については、
図2~
図6と同様である。
また、
図7は、
図6の場合と同様に、第1設置姿勢Aの収容ケース12に収容された第2径D2のロール紙RA2を示した上で、第2設置姿勢Bの収容ケース12に収容された第2径D2のロール紙RB2を、仮想的に重ねた場合を示す。以下では、
図6と対比させながら、
図7について説明する。
【0057】
収容ケース12が第1設置姿勢A、及び、第2設置姿勢Bのいずれの設置姿勢であっても、センサー7は同位置にあり、センサー7の検出光は光軸7aの方向へ進む。なお、センサー7が検出波を用いたものである場合、光軸7aに替わって、検出波の伝搬路となる。
センサー7の検出光の光軸7aは、第3収容ケース12cの側から、第1収容ケース12a、又は、第2収容ケース12bの側へ向かう。センサー7の光軸7aに沿って検出光が進む方向は、センサー6のときの光軸6aに沿って検出光が進む方向に対して、ほぼ反対方向となる。
【0058】
収容ケース12が第2設置姿勢Bのとき、ロール紙RB1からロール紙RB2へと径が小さくなると、センサー7は距離Yとして距離LBを検出することができる。距離LBは、センサー7からロール紙RB2の外周CB2までの距離である。距離LBは、例えば70mmである。距離LBは、65mm以上、75mm以下の範囲内でもよい。
制御部15は、センサー7により距離LBを検出すると、ロール紙Rの径が第1径D1から第2径D2へ移行したと判断することができる。
【0059】
一方、収容ケース12が第1設置姿勢Aのとき、ロール紙RA1からロール紙RA2へと径が小さくなると、ロール紙RA2の外周CA2はセンサー7の光軸7aから外れる。このとき、センサー7の検出光は、ロール紙RA2の外周CA2には照射されず、第1収容ケース12a、又は、第2収容ケース12bへ照射される。
センサー7から、第1収容ケース12a、又は、第2収容ケース12bまでの距離は、距離LBより長くなる。従って、制御部15は、センサー7により距離LBより長い距離Yを検出すると、ロール紙Rの径が第1径D1から第2径D2へ移行したと判断することができる。
【0060】
すなわち、収容ケース12が第1設置姿勢A、及び、第2設置姿勢Bのいずれの設置姿勢であっても、制御部15は、センサー7により検出した距離Yが、距離LB以上であると判断した場合、ロール紙Rの径が第1径D1から第2径D2へ移行したと判断することができる。
換言すると、制御部15は、センサー7により検出した距離Y、及び、距離LBの関係が、距離Y≧距離LB、になったと判断すると、ロール紙Rがニアエンドになったと判断することができる。
【0061】
なお、
図7では省略しているが、
図2及び
図4を用いて説明した上述のセンサー6の場合と同様に、センサー7の検出光は、それぞれ大径である、ロール紙RA1に対しては外周CA1に照射することができ、ロール紙RB1に対しては外周CB1に照射することができる。
そして、センサー6の場合と同様に、制御部15は、センサー7により、距離LBより短い距離Yを検出すると、ロール紙Rの紙Pの残量が十分であり、まだニアエンドではないと判断することができる。
【0062】
2.ロール紙プリンターの制御方法
上述のロール紙プリンター1がセンサー6を備えた場合について説明する。また、最初のロール紙Rは、第1設置姿勢Aの収容ケース12に収容された第1径D1のロール紙RA1、又は、第2設置姿勢Bの収容ケース12に収容された第1径D1のロール紙RB1とする。
【0063】
図8に示すように、まず、制御部15は、POSシステムのコンピューターから印刷データを受信すると、ヘッド2により紙Pに印刷し、ローラー3により紙Pを搬送する(S100)。
制御部15は、センサー6により距離Xを検出する(S101)。制御部15は、距離X及び距離LAを比較し、距離Xが距離LA以上であるかを判断する(S102)。
最初の距離Xは、センサー6から、それぞれ大径である第1径D1を有する、ロール紙RA1の外周CA1、又は、ロール紙RB1の外周CB1までの距離である。印刷により紙Pが搬送されて、それぞれの径が小さくなっていくと、距離Xも長くなっていく。
【0064】
収容ケース12が第1設置姿勢Aの場合、ロール紙RA1の径が小さくなっていくと、距離Xは距離LAと等しくなり、式で示すと、距離X=距離LA、となる。このとき、制御部15は、ロール紙Rの径が第1径D1から第2径D2へ移行したと判断することができる。
一方、収容ケース12が第2設置姿勢Bの場合、ロール紙RB1の径が小さくなっていくと、距離Xは距離LAより長くなり、式で示すと、距離X>距離LA、となる。このとき、制御部15は、ロール紙Rの径が第1径D1から第2径D2へ移行したと判断することができる。
【0065】
すなわち、制御部15は、収容ケース12が第1設置姿勢A及び第2設置姿勢Bのいずれの設置姿勢であっても、距離Xが距離LA以上となり、式で示すと、距離X≧距離LA、になったと判断することができる(S102:YES)。
このとき、制御部15は、ロール紙Rの径が第1径D1から第2径D2へ移行したと判断することができ、ニアエンドになったと判断することができる。
【0066】
制御部15は、表示装置によりニアエンドの情報を報知する(S103)。具体的には、制御部15は、表示装置により、紙Pの残量が少なくなってニアエンドになった旨を表示する。制御部15は、POSシステムのコンピューターへ、ニアエンドになった旨の情報を送信して報知してもよい。
制御部15は、ヘッド2による印刷や、ローラー3による搬送を停止してもよい。また、制御部15は、センサー6からの検出光の照射を停止することもできる。
【0067】
一方、紙Pの残量が十分あり、ロール紙Rの径も大きいときには、収容ケース12が第1設置姿勢A及び第2設置姿勢Bのいずれの設置姿勢であっても、距離Xが距離LAより短く、式で示すと、距離X<距離LA、となる。
すなわち、制御部15は、いずれの設置姿勢であっても、距離X≧距離LA、ではないと判断すると(S102:NO)、まだニアエンドではないと判断することができ、ニアエンドの情報を報知しない。制御部15は、引き続き、ローラー3により、紙Pを搬送することができる(S100)。
【0068】
なお、ロール紙プリンター1がセンサー6に替えてセンサー7を備える場合には、上述の制御方法の説明において、距離Xに替えて距離Yとし、距離LAに替えて距離LBとすることができる。そして、制御部15は、センサー6の場合と同様に、判断し、制御することができる。
【0069】
すなわち、制御部15は、いずれの設置姿勢であっても、センサー7により距離Yを検出し、距離Y≧距離LB、であると判断すると、ロール紙Rの径が第1径D1から第2径D2へ移行したと判断することができ、ニアエンドになったと判断することができる。制御部15は、ニアエンドの情報を報知することができる。
また、制御部15は、いずれの設置姿勢であっても、距離Y≧距離LB、ではないと判断すると、すなわち、距離Y<距離LB、であると判断すると、まだニアエンドではないと判断することができる。
【0070】
上述のように、本実施形態のロール紙プリンター1は、第1設置姿勢A、及び、第1設置姿勢Aとは異なる第2設置姿勢Bに設置可能であり、紙Pが巻かれたロール紙Rを収容可能な収容ケース12と、収容ケース12側から検出光を照射、又は、検出波を発信して、ロール紙Rの外周との間の距離Xを検出可能なセンサー6と、を備える。
センサー6は、第1設置姿勢Aの収容ケース12に収容されたロール紙R、及び、第2設置姿勢Bの収容ケース12に収容されたロール紙Rのいずれかの外周に対して、検出光の照射、又は、検出波の発信が可能である。
【0071】
このような構成のロール紙プリンター1において、ロール紙Rの外周との間の距離Xを検出可能な1つのセンサー6を備えることにより、第1設置姿勢A及び第2設置姿勢Bのいずれの設置姿勢でも、制御部15は、ロール紙Rの径が第1径D1から第1径D1より小さい第2径D2へ移行したと判断することができ、ニアエンドになったと判断することができる。
本実施形態のロール紙プリンター1は、1つのセンサー6を備える簡単な構成で済む。そして、ロール紙プリンター1は、部品点数が少なく、安価で小型とすることが可能であり、さらにユーザーがニアエンドを検出する機構を、例えば移動させる操作をする必要もない。
【0072】
以上、本実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない限り、変更、置換、削除等されてもよい。
【0073】
例えば、上述では、ヘッド2は、サーマルヘッドの例で説明したが、印刷方式は問わない。例えば、ヘッド2はインクジェットヘッドでもよい。この場合、インクジェットヘッドはローラー3に当接して紙Pを挟むことができないので、ローラー3に対向して紙Pを挟む従動ローラーを、外装ケース11に搭載すればよい。
【符号の説明】
【0074】
1…ロール紙プリンター、2…ヘッド、3…ローラー、4…紙ガイド、5…突起、6,7…センサー、9…カバーガイド、10…カバー、11…外装ケース、12…収容ケース、12a…第1収容ケース、12b…第2収容ケース、12c…第3収容ケース、12d…第4収容ケース、13…排出口、A…第1設置姿勢、B…第2設置姿勢、CA1,CA2,CB1,CB2…外周、D1…第1径、D2…第2径、F…搬送方向、L1,L2,LA,LB,X,Y…距離、P…紙、R,RA1,RA2,RB1,RB2…ロール紙。