(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177767
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】走行方法、走行プログラム、及び走行システム
(51)【国際特許分類】
A01B 69/00 20060101AFI20241217BHJP
【FI】
A01B69/00 303F
A01B69/00 303A
A01B69/00 303M
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096097
(22)【出願日】2023-06-12
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(74)【代理人】
【識別番号】100181869
【弁理士】
【氏名又は名称】大久保 雄一
(72)【発明者】
【氏名】山口 雄司
(72)【発明者】
【氏名】村山 昌章
(72)【発明者】
【氏名】李 昇圭
(72)【発明者】
【氏名】西井 康人
(72)【発明者】
【氏名】石川 航平
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 頌梧
【テーマコード(参考)】
2B043
【Fターム(参考)】
2B043AA04
2B043AB20
2B043BA02
2B043BB03
2B043BB06
2B043BB14
2B043DA15
2B043DA17
2B043EA03
2B043EB14
2B043EB15
2B043EB18
2B043EB22
2B043EC02
2B043EC14
2B043EC16
2B043EC18
2B043EC19
2B043ED03
2B043ED12
2B043EE01
(57)【要約】
【課題】作業車両に適切な経路を自動走行させることが可能な走行方法、走行プログラム、及び走行システムを提供する。
【解決手段】設定処理部112は、コンバイン1が自動走行を開始する際の進行方向に基づいて、コンバイン1に対して経路基準点を設定する。走行処理部113は、圃場において設定される基準線と前記経路基準点とに基づいて生成される目標経路に従ってコンバイン1を自動走行させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準線に基づいて作業車両を自動走行させる走行方法であって、
前記作業車両が自動走行を開始する際の進行方向に基づいて、前記作業車両に対して経路基準点を設定することと、
前記基準線及び前記経路基準点に基づいて生成される目標経路に従って前記作業車両を自動走行させることと、
を実行する走行方法。
【請求項2】
前記目標経路は、前記経路基準点を通り前記基準線に平行な直線である、
請求項1に記載の走行方法。
【請求項3】
前記進行方向が第1方向である場合に、前記進行方向が前記第1方向とは反対方向の第2方向である場合に比べて、前記経路基準点を前記第1方向側に設定する、
請求項1に記載の走行方法。
【請求項4】
前記経路基準点を、前記作業車両に設定される走行基準点よりも前記進行方向側に設定し、
前記走行基準点と前記目標経路とに基づいて前記作業車両を自動走行させる、
請求項1に記載の走行方法。
【請求項5】
前記走行基準点は前記進行方向に依らず一定に設定される、
請求項4に記載の走行方法。
【請求項6】
前記作業車両の車速が速くなるほど前記作業車両の進行方向側に前記経路基準点を設定する、
請求項1に記載の走行方法。
【請求項7】
前記作業車両の進行方向と前記基準線の方向との差が大きいほど前記作業車両の進行方向側に前記経路基準点を設定する、
請求項1に記載の走行方法。
【請求項8】
自動走行を開始する際の走行方向切替操作具の状態に基づいて、前記経路基準点を前記作業車両の前方側又は後方側に設定する、
請求項1に記載の走行方法。
【請求項9】
前記作業車両は、前方側に刈取部を備えた収穫車両であって、
前記経路基準点は、前記刈取部、又は、前記刈取部の前方に設定される、
請求項1~8のいずれかに記載の走行方法。
【請求項10】
基準線に基づいて作業車両を自動走行させる走行プログラムであって、
前記作業車両が自動走行を開始する際の進行方向に基づいて、前記作業車両に対して経路基準点を設定することと、
前記基準線及び前記経路基準点に基づいて生成される目標経路に従って前記作業車両を自動走行させることと、
を一又は複数のプロセッサーに実行させるための走行プログラム。
【請求項11】
基準線に基づいて作業車両を自動走行させる走行システムであって、
前記作業車両が自動走行を開始する際の進行方向に基づいて、前記作業車両に対して経路基準点を設定する設定処理部と、
前記基準線及び前記経路基準点に基づいて生成される目標経路に従って前記作業車両を自動走行させる走行処理部と、
を備える走行システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業領域において作業車両を自動走行させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、圃場において、予め生成された目標経路に従って作業車両を自動走行させるシステムが知られている。例えば、前記システムは、作業者による操作に基づいて基準線を生成し、生成した基準線に対応する目標経路に従って作業車両を自動走行させる(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の技術では、作業車両の現在位置(走行用基準位置)を通り基準線に平行な目標経路を生成して自動走行を開始させるため、作業者が意図した経路からずれた位置を作業車両が走行してしまう問題が生じる(
図10A及び
図10B参照)。
【0005】
本発明の目的は、作業車両に適切な経路を自動走行させることが可能な走行方法、走行プログラム、及び走行システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る走行方法は、基準線に基づいて作業車両を自動走行させる方法である。前記走行方法は、前記作業車両が自動走行を開始する際の進行方向に基づいて、前記作業車両に対して経路基準点を設定することと、前記基準線及び前記経路基準点に基づいて生成される目標経路に従って前記作業車両を自動走行させることと、を実行する。
【0007】
本発明に係る走行プログラムは、基準線に基づいて作業車両を自動走行させるプログラムである。前記走行プログラムは、前記作業車両が自動走行を開始する際の進行方向に基づいて、前記作業車両に対して経路基準点を設定することと、前記基準線及び前記経路基準点に基づいて生成される目標経路に従って前記作業車両を自動走行させることと、を一又は複数のプロセッサーに実行させるためのプログラムである。
【0008】
本発明に係る走行システムは、基準線に基づいて作業車両を自動走行させるシステムであって、設定処理部と走行処理部とを備える。前記設定処理部は、前記作業車両が自動走行を開始する際の進行方向に基づいて、前記作業車両に対して経路基準点を設定する。前記走行処理部は、前記基準線及び前記経路基準点に基づいて生成される目標経路に従って前記作業車両を自動走行させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、作業車両に適切な経路を自動走行させることが可能な走行方法、走行プログラム、及び走行システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る走行システムの構成を示す機能ブロック図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係るコンバインの構成を示す外観側面図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係るコンバインの構成を示す外観上面図である。
【
図4A】
図4Aは、本発明の実施形態に係る圃場に設定される目標経路の一例を示す図である。
【
図4B】
図4Bは、本発明の実施形態に係る圃場に設定される目標経路の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係るコンバインの作業手順の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態に係るコンバインに設けられる操作装置の構成を示す図である。
【
図7A】
図7Aは、本発明の実施形態に係るコンバインの基準線の生成方法の一例を示す図である。
【
図7B】
図7Bは、本発明の実施形態に係るコンバインの基準線の生成方法の一例を示す図である。
【
図7C】
図7Cは、本発明の実施形態に係るコンバインの基準線の生成方法の一例を示す図である。
【
図7D】
図7Dは、本発明の実施形態に係るコンバインの基準線の生成方法の一例を示す図である。
【
図7E】
図7Eは、本発明の実施形態に係るコンバインの基準線の生成方法の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施形態に係るコンバインの目標経路の生成方法の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施形態に係るコンバインの走行方法の一例を示す図である。
【
図11A】
図11Aは、本発明の実施形態に係るコンバインの前進走行の走行方法の一例を示す図である。
【
図11B】
図11Bは、本発明の実施形態に係るコンバインの前進走行の走行方法の一例を示す図である。
【
図12】
図12は、本発明の実施形態に係るコンバインの後進走行の走行方法の一例を示す図である。
【
図13】
図13は、本発明の実施形態に係るコンバインの後進走行の走行方法の一例を示す図である。
【
図14】
図14は、本発明の実施形態に係るコンバインの後進走行の走行方法の一例を示す図である。
【
図15】
図15は、本発明の実施形態に係るコンバインの後進走行の走行方法の一例を示す図である。
【
図16】
図16は、本発明の実施形態に係る走行システムによって実行される走行処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図17】
図17は、本発明の実施形態に係る走行システムによって実行される走行処理の手順の他の例を示すフローチャートである。
【
図18A】
図18Aは、本発明の他の実施形態に係るコンバインの走行方法の一例を示す図である。
【
図18B】
図18Bは、本発明の他の実施形態に係るコンバインの走行方法の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0012】
本発明の実施形態に係る走行システムは、コンバイン1と、衛星(不図示)と、基地局(不図示)とを含んでいる。コンバイン1は、本発明の作業車両の一例である。本発明の作業車両は、コンバイン1に限定されず、トラクタ、田植機、建設機械、又は除雪車などであってもよい。
【0013】
コンバイン1は、圃場F(
図4参照)内を作業者(オペレータ)の操作に応じて、目標経路Rに従って走行しながら所定の作業(例えば刈取作業)を行う。具体的には、コンバイン1は、圃場F内の作業領域において自動操舵に応じて目標経路R(例えば直線作業経路)を自動走行し、圃場F内の非作業領域において作業者による手動操舵(運転操作)に応じて手動走行する。コンバイン1は、作業領域の自動走行と非作業領域の手動走行とを切り替えながら圃場F内を走行して作業を行う。目標経路Rは、作業者の操作に基づいて予め生成され、経路データとして記憶されてもよい。
【0014】
なお、本実施形態において、自動走行とは、コンバイン1が目標経路Rに沿うように操舵量(操舵角)を制御(自動操舵)しながら走行することを言う。コンバイン1が自動走行中、作業者は主変速レバーを操作して車速(走行速度)及び走行方向(前進方向及び後進方向)を切り替えることが可能である。また、作業者は、コンバイン1が目標経路Rに従って自動走行中に停止操作(停止スイッチの押下、ハンドルの操舵など)を行った場合に、コンバイン1の自動走行を停止させることが可能である。このように、本実施形態のコンバイン1は、自動走行において、自動操舵(操舵制御処理)のみ実行し、車速及び走行方向の切替処理、停止処理は作業者の操作に応じて実行する構成である。他の実施形態として、コンバイン1は、自動操舵、車速及び走行方向の切替処理、停止処理のそれぞれを、作業者の操作に依らず自動的に実行する構成であってもよい。
【0015】
図4A及び
図4Bには、圃場Fに対して設定される目標経路Rの一例を示している。コンバイン1は、圃場F内において、目標経路Rに従って自動走行しながら刈取作業を行う。例えば
図4Aに示すように、コンバイン1は、基準線L1に平行な経路(平行線)を目標経路R1に設定すると、設定した目標経路R1に従って圃場F内を図中の上下方向に自動走行する。また例えば
図4Bに示すように、コンバイン1は、基準線L2に平行な経路(平行線)を目標経路R2に設定すると、設定した目標経路R2に従って圃場F内を図中の左右方向に自動走行する。なお、以下の説明において、目標経路R1、R2を区別する必要のない場合には、「目標経路R」と称す。基準線L1、L2は、例えば圃場F内の任意の位置に登録される始点A及び終点Bに基づいて生成される。なお、始点A及び終点Bに基づいて基準線L1、L2の一方を生成し、当該一方の基準線に直交する直交線を他方の基準線として生成してもよい。また、コンバイン1に自動走行させる目標経路Rは、直線経路に限定されず、曲線経路であってもよい。例えば直線の基準線Lが生成された場合には直線の目標経路Rが生成され、曲線の基準線Lが生成された場合には曲線の目標経路Rが生成される。
【0016】
コンバイン1の作業手順の一例を
図5を用いて説明する。コンバイン1は、圃場Fにおいて、例えば基準線L1、L2に基づいて生成される目標経路R1、R2(
図4A及び
図4B参照)に従って自動走行しながら刈取作業を行う。例えばコンバイン1は、直進する場合に目標経路R1、R2に従って自動走行し、旋回する場合に作業者の手動操舵に従って手動走行する。ここでは、コンバイン1は、開始位置Sから終了位置Gまで、外周側から内周側へ向かって走行しながら刈取作業(「回り刈り」、「往復刈り」)を行う。先ず、コンバイン1は、開始位置Sにおいて自動走行を開始すると、圃場Fの外周に沿って穀稈を刈り取りながら走行する。また、コンバイン1は、刈り取った穀稈を脱穀すると、藁屑などの排藁を機体後方から外部に排出する。これにより、コンバイン1の走行跡には排藁B1が堆積され、コンバイン1が刈取作業を終えた経路には排藁列が形成される。なお、コンバイン1は、刈り取り対象の穀稈の位置に、刈り取った当該穀稈の排藁を排出するように設定されており、排藁B1の位置、幅(排藁列の左右方向の横幅)、長さなどを把握可能に構成されている。例えば、排藁B1は、コンバイン1の左右方向の中心を基準にして、機体の横幅よりも狭い幅で排出される。例えば、コンバイン1は、外周領域F1を2周する。この場合、2周分の排藁列が形成される。なお、外周領域F1の周回数は2周に限定されず、1周又は3周以上であってもよい。
【0017】
コンバイン1は、外周領域F1の刈取作業を終えると、内周領域F2に進入して、内周領域F2の刈取作業を開始する。内周領域F2では、コンバイン1は、上下方向において直進走行しながら刈取作業を行い、左右方向において刈取作業を行わずに外周領域F1(作業済領域、既刈領域)を旋回走行及び直進走行して作業経路間を移動する。コンバイン1は、内周領域F2において刈取作業を行い、終了位置Gに到達すると自動走行及び刈取作業を終了する。
【0018】
コンバイン1は、上記のように圃場F内において、上下方向では基準線L1に対応する目標経路R1(
図4A参照)に従って自動走行しながら刈取作業を行い、左右方向では基準線L2に対応する目標経路R2(
図4B参照)に従って自動走行しながら刈取作業を行う。また、コンバイン1は、直進走行する場合に自動走行し、旋回走行する場合に作業者の手動操舵に応じて手動走行してもよい。例えば、コンバイン1は、刈取作業を行いながら直進経路(作業経路)を前進方向に自動走行し、刈取作業を停止して作業済経路(既作業経路)を後進方向に自動走行してもよい。またコンバイン1は、作業経路間を移動する際に作業者の手動操舵によって手動走行してもよい。
【0019】
なお、走行システムは、作業者が操作する操作端末(タブレット端末、スマートフォンなど)を含んでもよい。前記操作端末は、携帯電話回線網、パケット回線網、無線LANなどの通信網を介してコンバイン1と通信可能である。例えば作業者は、前記操作端末において、各種情報(作業車両情報、圃場情報、作業情報など)などを登録する操作を行う。また、作業者は、コンバイン1から離れた場所において、前記操作端末に表示される走行軌跡により、コンバイン1の走行状況、作業状況などを把握することが可能である。前記操作端末は、コンバイン1に搭載可能であってもよい。
【0020】
[コンバイン1]
図2にはコンバイン1を側方から見た外観図を示し、
図3にはコンバイン1を上方から見た外観図を示している。
図1~
図3に示すように、コンバイン1は、走行部2、刈取部3、脱穀部4、選別部5、貯留部6、排藁処理部7、動力部8、操縦部9、主変速レバー91、操作装置30、制御装置11、記憶部51、測位ユニット52、検知部53、通信部54などを備える。コンバイン1は、走行部2によって走行しつつ、刈取部3によって穀稈を刈り取り、刈り取った穀稈を脱穀部4で脱穀し、選別部5で穀粒を選別して貯留部6に貯える。また、コンバイン1は、脱穀後の排藁を排藁処理部7によって処理する。コンバイン1は、動力部8が供給する動力によって、走行部2、刈取部3、脱穀部4、選別部5、貯留部6、及び排藁処理部7を駆動する。
【0021】
走行部2は、機体フレーム12の下方に設けられており、左右一対のクローラ式走行装置23と、トランスミッション(不図示)とを備える。走行部2は、動力部8のエンジン20から伝達される動力(例えば回転動力)によって、クローラ式走行装置23のクローラを回転することで、コンバイン1を前後方向に走行させたり、左右方向に旋回させたりする。トランスミッションは、動力部8の動力(回転動力)をクローラ式走行装置23に伝達するものであり、回転動力を変速することもできる。
【0022】
刈取部3は、作業対象の圃場Fに対して作業を行う作業機であり、走行部2の前方に設けられ、圃場Fの未作業領域である未刈穀稈を有する領域(未刈領域)における所定の刈取幅の穀稈の刈取を行う。刈取部3は、デバイダ13と、掻込リール14と、刈刃15と、掻込オーガ16と、フィーダハウス17と、搬送コンベヤ18とを備えている。また、刈取部3は、刈取作業を行うための回転作業の回転速度(作業速度)を検出する回転検出部(不図示)を備えている。前記回転検出部は、例えば、掻込リール14の回転速度、掻込オーガ16の回転速度、搬送コンベヤ18の回転速度などを検出する回転センサで構成される。
【0023】
デバイダ13は、刈取部3の左前端及び右前端から前方に突出して設けられ、未刈領域の穀稈を刈取幅内に案内する。掻込リール14は、デバイダ13の後方に配置され、左右方向に延びた回転軸周りに回転可能に設けられる。掻込リール14は、デバイダ13によって案内された穀稈の刈取を補助するために、回転駆動することによって穀稈を引き起こしながら穀稈の穂先側を掻き込む。刈刃15は、掻込リール14の下方に配置され、掻込リール14によって掻き込まれた穀稈の稈元側を切断して穀稈の刈取を行う。
【0024】
掻込オーガ16は、掻込リール14及び刈刃15の後方に配置され、左右方向に延びた回転軸周りに回転可能に設けられている。掻込オーガ16は、回転駆動することによって、刈刃15により刈り取った穀稈を掻き込んで後方へ搬送する。
【0025】
フィーダハウス17は、機体フレーム12から前方に延びていて掻込オーガ16の後方に配置され、機体フレーム12に昇降可能に支持されている。また、フィーダハウス17が昇降することによってデバイダ13、掻込リール14、刈刃15及び掻込オーガ16が昇降し、すなわち刈取部3が昇降する。
【0026】
なお、コンバイン1は、フィーダハウス17を昇降させて刈取部3を昇降させる昇降装置19を機体フレーム12に備えており、刈取部3を作業位置(
図2参照)と非作業位置(不図示)との間で昇降させる。昇降装置19は、例えば、エンジン20から動力を受けて稼動する油圧シリンダ等で構成される。
【0027】
搬送コンベヤ18は、フィーダハウス17内に回転可能に設けられており、フィーダハウス17の昇降に伴って移動する。搬送コンベヤ18は、回転駆動することによって、掻込オーガ16によってフィーダハウス17内に搬送された穀稈を更に後方に向かって脱穀部4へと搬送する。
【0028】
脱穀部4は、刈取部3のフィーダハウス17の後方に設けられており、フィーダハウス17から搬送された穀稈を脱穀する。脱穀部4は、扱胴21と、受網22とを備える。扱胴21は、フィーダハウス17から搬送された穀稈から穀粒を脱穀するとともに、脱穀後の穀稈、すなわち排藁を排藁処理部7へと搬送する。受網22は、扱胴21によって搬送される穀稈を支持するとともに、穀粒をふるいにかけて落下させる。
【0029】
選別部5は、脱穀部4の下方に設けられている。選別部5は、揺動選別装置24と、送風選別装置25と、穀粒搬送装置(不図示)と、藁屑排出装置(不図示)とを備える。揺動選別装置24は、脱穀部4から落下した脱穀物をふるいにかけて穀粒と藁屑等に選別する。送風選別装置25は、脱穀部4から落下した脱穀物や揺動選別装置24によって選別された脱穀物を送風によって更に穀粒と藁屑等に選別する。穀粒搬送装置は、揺動選別装置24及び送風選別装置25によって選別された穀粒を貯留部6へ搬送する。藁屑排出装置は、揺動選別装置24及び送風選別装置25によって選別された穀粒以外の藁屑等を機外へ排出する。
【0030】
貯留部6は、脱穀部4の右側方に設けられている。貯留部6は、貯留タンク(グレンタンク)27と、穀粒排出装置28とを備える。貯留タンク27は、選別部5から搬送されてきた穀粒を貯留する。穀粒排出装置28は、排出オーガ等を有して構成され、穀粒の排出作業を行い、貯留タンク27に貯留されている穀粒を予め設定された排出位置において搬送車に排出する。
【0031】
排藁処理部7は、脱穀部4の後方に設けられている。排藁処理部7は、例えば、排藁搬送装置(不図示)と、排藁切断装置(不図示)とを備えている。排藁処理部7は、脱穀部4から搬送された排藁を排藁搬送装置によって排藁切断装置へ搬送して、排藁切断装置によって切断した後でコンバイン1の後方に排出する(
図5参照)。
【0032】
動力部8は、走行部2の上方、かつ貯留部6の下方に設けられている。動力部8は、回転動力を発生させるエンジン20を備えている。動力部8は、エンジン20が発生させた回転動力を、走行部2、刈取部3、脱穀部4、選別部5、貯留部6及び排藁処理部7に伝達する。また、コンバイン1は、動力部8のエンジン20へ供給する燃料を収容する燃料タンクを備えている。
【0033】
操縦部9は、動力部8の上方に設けられている。操縦部9は、作業者が座る座席40である運転席の周囲に、コンバイン1の走行を操縦するための操作具として、コンバイン1の機体の旋回を指示するためのハンドル、コンバイン1の前後進の速度変更及び走行方向(前進方向、後進方向)を切り替えるための主変速レバー91(
図3参照)及び副変速レバー等を備える。コンバイン1の手動走行は、操縦部9のハンドル、主変速レバー91、及び副変速レバーの操作を受け付けた走行部2によって実行される。また、操縦部9は、刈取部3による刈取作業、脱穀部4による脱穀作業、貯留部6の穀粒排出装置28による排出作業等を操作するための機構を備える。また、操縦部9は、目標経路Rに対応する基準線L(基準方位)を生成するための操作装置30(
図3参照)を備える。操作装置30は、コンバイン1に搭乗する作業者によって操作される。
【0034】
測位ユニット52は、GPS等の衛星測位システムを利用してコンバイン1の自車位置を取得する。例えば、測位ユニット52は、測位アンテナを介して測位衛星から測位信号を受信し、測位信号に基づいて測位ユニット52の位置情報、すなわちコンバイン1の自車位置(計測点データ)を取得する。測位ユニット52は、測位アンテナに代えて、量子コンパスで構成されてもよい。
【0035】
通信部54は、コンバイン1を有線又は無線で通信網N1に接続し、通信網N1を介して操作端末などの外部機器との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行するための通信インターフェースである。
【0036】
記憶部51は、各種の情報を記憶するHDD、SSD、フラッシュメモリーなどの不揮発性の記憶部である。記憶部51には、制御装置11に後述の走行処理(
図16及び
図17参照)を実行させるための走行プログラムなどの制御プログラムが記憶されている。例えば、前記走行プログラムは、フラッシュROM、EEPROM、CD、又はDVDなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に非一時的に記録されており、所定の読取装置(不図示)で読み取られて記憶部51に記憶される。なお、前記走行プログラムは、サーバー(不図示)から通信網N1を介してコンバイン1にダウンロードされて記憶部51に記憶されてもよい。また、記憶部51には、操作装置30から取得する各種設定情報が記憶される。
【0037】
検知部53は、赤外線、超音波などを利用して所定の検知範囲の検知対象を検知するセンサである。例えば、検知部53は、レーザーを用いて測定対象物(検知対象)までの距離を3次元で測定可能なライダーセンサ(距離センサ)であってもよいし、超音波を用いて測定対象物までの距離を測定可能な複数のソナーを有するソナーセンサであってもよい。また、ソナーセンサは、距離の測定機能を有しない構成であってもよい。
【0038】
制御装置11は、CPU、ROM、及びRAMなどの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の演算処理を実行させるためのBIOS及びOSなどの制御プログラムが予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは、各種の情報を記憶する揮発性又は不揮発性の記憶部であり、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリーとして使用される。そして、制御装置11は、前記ROM又は記憶部51に予め記憶された各種の制御プログラムを前記CPUで実行することによりコンバイン1を制御する。
【0039】
次に、操作装置30の構成について
図6を参照しつつ説明する。操作装置30は、例えば、運転席に着いた作業者が操作できるように、ハンドルの近傍に取り付けられる(
図3参照)。操作装置30は、自動走行指示部31と、自動走行表示部32と、複数の基準線操作部33と、複数の基準線表示部34と、始点設定部35と、終点設定部36と、始点設定表示部37と、終点設定表示部38とを備える。
【0040】
操作装置30は、1つ目の基準線を設定可能な基準線操作部33a及び基準線表示部34aと、2つ目の基準線を設定可能な基準線操作部33b及び基準線表示部34bとを備えている。なお、操作装置30は、1つの基準線のみを設定可能な構成であってもよいし、3つ以上の基準線を設定可能な構成であってもよい。
【0041】
自動走行指示部31は、コンバイン1による自動走行の開始指示を操作するための操作部であって、円形の操作ボタン等で押圧操作を受け付け可能に構成される。自動走行指示部31は、自動走行の開始条件を満たした場合に、押圧操作に応じて自動走行の開始指示を制御装置11に送信する。
【0042】
なお、自動走行指示部31は、開始条件を満たした場合にのみ押圧操作可能になってもよく、あるいは、常に押圧操作可能であって、開始条件を満たすとともに押圧操作がされた場合にのみ自動走行の開始指示を送信してもよい。若しくは、自動走行指示部31は、常に押圧操作可能であって、常に押圧操作に応じて自動走行の開始指示を送信する一方、制御装置11において、開始条件を満たした場合にのみ開始指示を受け付けるように判定してもよい。
【0043】
自動走行表示部32は、コンバイン1による自動走行の状態を示すLED、ランプ等で構成され、制御装置11によって制御され、自動走行の開始条件を満たしているか否かに応じて異なる表示状態で表示する。自動走行表示部32は、例えば、自動走行指示部31を囲む環状に形成される。なお、本実施形態では自動走行表示部32は、自動走行指示部31と別体で構成されているが、自動走行表示部32は、自動走行指示部31と一体的に構成されてもよい。
【0044】
例えば、開始条件を満たしていない場合、自動走行表示部32は消灯される。一方、開始条件を満たしている場合、自動走行表示部32は、自動走行の開始前では、点滅され、自動走行の実行中では点灯される。なお、自動走行表示部32は、開始条件が複数存在する場合、各開始条件を満たすか否かを識別可能に表示してもよく、例えば、複数に分割されており、各分割部分が各開始条件に対応するように構成してもよい。また、自動走行表示部32は、他の表示状態を利用して、自動走行の状態を識別してもよい。
【0045】
複数の基準線操作部33は、各基準線の選択操作を受け付ける操作部であって、円形の操作ボタン等で押圧操作を受け付け可能に構成される。各基準線操作部33は、押圧操作等の選択操作に応じて、対応する基準線を自動走行対象として選択する選択指示を制御装置11に送信する。なお、各基準線操作部33は、再度の押圧操作等の解除操作に応じて、対応する基準線を自動走行対象とする選択を解除する選択解除指示を制御装置11に送信してもよい。
【0046】
例えば、基準線操作部33の選択操作に応じて、対応する基準線が自動走行対象として選択され、自動走行指示部31が押圧操作されるときに、当該基準線に基づく自動走行経路(目標経路)が生成され、当該自動走行経路に沿ってコンバイン1の自動走行が実行される。なお、基準線操作部33の選択操作に応じて当該基準線操作部33に対応する基準線を自動走行対象に選択した後、当該基準線操作部33の選択解除指示に応じて、当該基準線が自動走行対象から解除されてもよい。
【0047】
複数の基準線表示部34は、複数の基準線にそれぞれ対応し、各基準線の状態を示すLED、ランプ等で構成され、制御装置11によって制御されて、各基準線の設定状態や選択状態に応じて異なる表示状態で表示する。なお、複数の基準線表示部34は、複数の基準線操作部33にもそれぞれ対応し、各基準線表示部34が、各基準線操作部33と一体的に構成される例を示しているが、他の例では、各基準線表示部34は、各基準線操作部33と別体で構成されてもよい。
【0048】
また、基準線が自動走行対象として選択されている場合、基準線表示部34は点滅される。このとき、コンバイン1の自車位置や進行方向に応じて基準線が自動的に選択された場合と、基準線操作部33の選択操作に応じて基準線が選択された場合とで、基準線表示部34は、異なる点滅状態(例えば、異なる点滅間隔)で表示されてもよい。なお、自動走行の開始前と実行中とで、基準線表示部34は、同じ表示状態、例えば、同じ間隔で点滅されてもよく、あるいは、異なる表示状態、例えば異なる間隔で点滅されてもよい。
【0049】
始点設定部35は、各基準線の始点(A点)の設定操作を受け付ける操作部であって、操作ボタン等で押圧操作を受け付け可能に構成される。始点設定部35は、押圧操作等の設定操作に応じて、始点設定指示を制御装置11に送信する。このとき、制御装置11では、コンバイン1の自車位置が、基準線の始点として設定される。
【0050】
終点設定部36は、各基準線の終点(B点)の設定操作を受け付ける操作部であって、操作ボタン等で押圧操作を受け付け可能に構成される。終点設定部36は、押圧操作等の設定操作に応じて、終点設定指示を制御装置11に送信する。このとき、制御装置11では、コンバイン1の自車位置が、基準線の終点として設定される。
【0051】
始点設定表示部37は、始点の設定状態を示すLED、ランプ等で構成され、制御装置11によって制御されて、始点設定部35の操作に応じて異なる表示状態で表示する。なお、本実施形態では、始点設定表示部37は、始点設定部35と一体的に構成されているが、他の例では、始点設定表示部37が、始点設定部35と別体で構成されてもよい。
【0052】
始点設定表示部37は、始点の設定操作が可能な場合、すなわち始点が設定されていない場合に消灯され、始点の設定操作が不能な場合、すなわち始点が設定されている場合に点灯される。
【0053】
終点設定表示部38は、終点の設定状態を示すLED、ランプ等で構成され、制御装置11によって制御されて、終点設定部36の操作に応じて異なる表示状態で表示する。なお、本実施形態では、終点設定表示部38が、終点設定部36と一体的に構成されるが、他の例では、終点設定表示部38が、終点設定部36と別体で構成されてもよい。
【0054】
終点設定表示部38は、終点の設定操作が可能な場合、すなわち終点が設定されていない場合に消灯され、一方、終点の設定操作が不能な場合、すなわち終点が設定されている場合に点灯される。
【0055】
このように、操作装置30は、基準線を生成するための操作、自動走行を開始する際の基準線を選択するための操作を受け付ける。他の実施形態として、操作装置30は、基準線操作部33及び基準線表示部34が省略されてもよい。また、操作装置30は、表示部(表示パネル)を備え、基準線操作部33及び基準線表示部34に対応する操作画面を表示部に表示させてもよい。また、操作装置30は、コンバイン1とデータ通信可能な前記操作端末(携帯端末)で構成されてもよい。
【0056】
次に、操作装置30を利用して基準線を生成する方法の一例について
図7A~
図7Eを参照しつつ説明する。作業者は1つ目の基準線を生成する場合、操作装置30の基準線操作部33aを押下する。これにより、基準線表示部34aが点灯する(
図7A参照)。作業者は、コンバイン1を圃場Fの任意の位置(例えば端部)に移動させると始点設定部35を押下する(
図7A参照)。制御装置11は、始点設定部35が押下されたときのコンバイン1の自車位置を基準線の始点(
図8の始点A)として登録する。始点Aが登録されると、始点設定表示部37はLEDを点灯させる(
図7B参照)。その後、作業者はコンバイン1を手動走行させて、任意の位置(例えば端部)で終点設定部36を押下する(
図7C参照)。制御装置11は、終点設定部36が押下されたときのコンバイン1の自車位置を基準線の終点(
図8の終点B)として登録する。終点Bが登録されると、終点設定表示部38及び自動走行表示部32はそれぞれLEDを点灯させる(
図7D参照)。
【0057】
制御装置11は、始点A及び終点Bを登録すると、始点A及び終点Bを結ぶ直線を生成し、生成した直線を基準線L(
図8参照)として登録する。制御装置11は、生成した基準線Lを記憶部51に記憶する。また、制御装置11は、基準線Lを基準線操作部33aに対応付けて登録(設定)する。なお、本発明において「基準線」は「基準方位」であってもよく、「線」及び「方位」は同義である。また「方位」は、方向で特定されてもよいし、数値で特定されてもよい。制御装置11は、基準方位(数値)を生成して記憶部51に記憶してもよい。
【0058】
以上のように、制御装置11は、圃場Fに設定される始点及び終点に基づいて基準線を生成する。操作装置30は、基準線が登録されると、例えば作業者が基準線操作部33aを押下した場合に、始点設定表示部37及び終点設定表示部38がそれぞれ点灯する。すなわち、作業者は、基準線操作部33aを押下した場合に始点設定表示部37及び終点設定表示部38がそれぞれ点灯することにより、基準線操作部33aに基準線が登録済であることを認識できる。本実施形態では、1つ目の基準線と同様にして、作業者は、基準線操作部33bに対応する2つ目の基準線を生成することが可能である。なお、2つ目の基準線が未登録の場合、作業者が基準線操作部33bを押下した場合に、始点設定表示部37及び終点設定表示部38はそれぞれ消灯する(
図7E参照)。
【0059】
本発明において、基準線Lの生成方法は上述の方法に限定さない。例えば、制御装置11は、コンバイン1の方位角(車両方位角)に基づいて基準線L(基準方位)を生成してもよい。具体的には、作業者が始点Aを登録する操作(始点設定部35の押下操作)を行うと、制御装置11は、コンバイン1の位置(現在位置)を始点Aとして登録し、始点Aを通りコンバイン1の現在の方位(車両方位)の方向に延伸する直線を基準線Lとして登録する。
【0060】
また他の方法として、制御装置11は、作業者が設定した方位角(設定方位角)に基づいて基準線L(基準方位)を生成してもよい。具体的には、作業者が設定画面(不図示)において基準方位(例えば北方位)に対する角度を入力し、さらに始点Aを登録する操作(始点設定部35の押下操作)を行うと、制御装置11は、コンバイン1の位置(現在位置)を始点Aとして登録し、始点Aを通り入力された角度(設定方位角)の方向に延伸する直線を基準線Lとして登録する。
【0061】
また他の方法として、制御装置11は、圃場Fの外形が登録されている場合には、圃場Fの外形辺のいずれかに基づいて基準線L(基準方位)を生成してもよい。例えば、矩形形状の圃場Fの外形が登録されている場合に、制御装置11は、矩形の左辺、右辺、上辺、及び下辺のうち右辺に平行な直線を基準線Lとして登録する。
【0062】
以上のように、制御装置11は、始点A及び終点Bに基づいて基準線Lを生成する方法(第1生成モード)と、始点A及び車両方位角に基づいて基準線Lを生成する方法(第2生成モード)と、始点A及び設定方位角に基づいて基準線Lを生成する方法(第3生成モード)と、圃場Fの外形に基づいて基準線Lを生成する方法(第4生成モード)とのいずれの方法を採用してもよい。また、制御装置11は、前記第1~第4生成モードのうち作業者が選択した生成モードにより基準線Lを生成してもよいし、作業情報等に基づいて選択した生成モードにより第1基準線L1を生成してもよい。
【0063】
図1に示すように、制御装置11は、走行処理部111、設定処理部112、生成処理部113などの各種の処理部を含む。なお、制御装置11は、前記CPUで前記走行プログラムに従った各種の処理を実行することによって前記各種の処理部として機能する。また、一部又は全部の前記処理部が電子回路で構成されていてもよい。なお、前記走行プログラムは、複数のプロセッサーを前記処理部として機能させるためのプログラムであってもよい。
【0064】
走行処理部111は、コンバイン1の走行を制御する。例えば、走行処理部111は、コンバイン1の走行モードが手動走行(手動走行モード)の場合に、作業者の操作(手動操舵)に基づいてコンバイン1を手動走行させる。例えば、走行処理部111は、作業者によるハンドル操作、変速操作、走行方向切替操作、ブレーキ操作などの運転操作に対応する操作情報を取得し、当該操作情報に基づいて走行部2に走行動作を実行させる。
【0065】
また、走行処理部111は、コンバイン1の走行モードが自動走行(自動走行モード)の場合に、測位ユニット52により測位されるコンバイン1の現在位置を示す位置情報(測位情報)に基づいてコンバイン1を自動走行させる。例えば、走行処理部111は、コンバイン1が自動走行の開始条件を満たし、作業者から走行開始指示を取得すると、前記測位情報に基づいてコンバイン1の自動走行を開始させる。また、走行処理部111は、生成処理部113により予め生成される目標経路Rに従ってコンバイン1を自動走行させる。
【0066】
例えばコンバイン1が自動走行の開始条件を満たし、作業者が操作装置30の自動走行指示部31を押下すると、走行処理部111は、走行開始指示を取得して、コンバイン1を目標経路R(例えば直進経路)に沿って自動走行させる。
【0067】
例えば、走行処理部111は、コンバイン1に設定される走行基準点C1に基づいて、目標経路Rを自動走行させる。走行基準点C1は、例えば、コンバイン1の走行部2の旋回中心(クローラ式走行装置23(クローラ)の中心)に設定される(
図8参照)。走行処理部111は、コンバイン1の走行基準点C1が目標経路Rを通るように、走行部2を制御して自動走行させる。
【0068】
また、走行処理部111は、主変速レバー91の操作位置に応じて前後進の車速(走行速度)及び走行方向(前進方向、後進方向)を切り替える。例えば作業者が主変速レバー91を「前進域(「F」)」の位置に入れた状態かつコンバイン1が自動走行の開始条件を満たした状態で作業者が自動走行指示部31を押下して走行開始指示を行った場合に、走行処理部111は、コンバイン1を前進方向に自動走行を開始させる。また例えば作業者が主変速レバー91を「後進域(「R」)」の位置に入れた状態かつコンバイン1が自動走行の開始条件を満たした状態で作業者が自動走行指示部31を押下して走行開始指示を行った場合に、走行処理部111は、コンバイン1を後進方向に自動走行を開始させる。主変速レバー91は、本発明の走行方向切替操作具の一例である。
【0069】
自動走行の開始手順の具体例を説明する。ここでは、目標経路Rが「自車位置基準モード」により生成される場合を例に挙げて説明する。先ず、制御装置11は、上述の方法(第1生成モード~第4生成モード)により基準線Lを生成して登録する。次に、制御装置11は、基準線Lを選択する。例えば制御装置11は、複数の基準線L(例えば基準線L1、L2)が登録されている場合には、作業者の選択操作、又は、コンバイン1の位置情報や車両方位などに基づいていずれかの基準線Lを選択する。次に、制御装置11は、選択した基準線Lに平行な経路(例えば直線経路)(平行線)を一本生成し、生成した経路をコンバイン1の現在位置(基準点)に設定する。なお、前記経路を前記基準点に設定すると、例えばコンバイン1が作業者の手動操舵により移動した場合に、前記経路が、前記基準点に追従するようにして基準線Lに平行に移動する。次に、作業者は、コンバイン1の車両方位が前記経路に対して所定範囲内になる(自動走行の開始条件を満たす)ように手動走行させる。コンバイン1が自動走行の開始条件を満たした状態で作業者が自動走行指示部31を押下すると、制御装置11は、その時点の位置における前記経路を目標経路Rに設定し、コンバイン1を目標経路Rに従って自動走行を開始させる。なお、上記処理において、コンバイン1を模したアイコン画像と、基準線Lに平行な一本の前記経路(平行線)の画像とを、表示画面に表示させてもよい。
【0070】
自動走行の開始手順の他の例を説明する。例えば、上述の例と同様にして制御装置11が基準線Lを生成及び選択した後、作業者は、コンバイン1の車両方位が基準線Lに対して所定範囲内になる(自動走行の開始条件を満たす)ように手動走行させる。次に、コンバイン1が自動走行の開始条件を満たした状態で作業者が自動走行指示部31を押下すると、制御装置11は、基準線Lに平行、かつコンバイン1の現在位置(基準点)を通る経路(例えば直線経路)(平行線)を一本生成し、生成した経路を目標経路Rに設定して、コンバイン1を目標経路Rに従って自動走行を開始させる。
【0071】
コンバイン1が自動走行を開始した後、走行処理部111は、コンバイン1が作業経路の目標終了位置に到達すると走行モードを手動走行に切り替える。走行処理部111は、コンバイン1が作業経路の目標終了位置に到達したと判定した場合に走行モードを手動走行に切り替えてもよいし、作業者の操作(例えばハンドル操舵)に応じて走行モードを手動走行に切り替えてもよい。走行モードが手動走行に切り替えられると、例えば作業者は、手動操舵によりコンバイン1を旋回走行(手動走行)させる。なお、各作業経路の目標終了位置は、圃場Fの端部から所定距離だけ内側に入った位置、作業者が予め指定した位置、直前の作業済経路において作業者が自動走行から手動走行に切り替えた位置に並ぶ位置(手動走行に切り替えた位置を通り作業済経路に垂直な線と作業経路とが交わる位置、又は、手動走行に切り替えた位置を通り圃場Fの端辺に平行な線と作業経路とが交わる位置)、基準線の終点(B点)を通り基準線に垂直な線と作業経路とが交わる位置などである。制御装置11は、コンバイン1が目標終了位置に近付いた場合又は到達した場合に、音声、表示情報等により報知して作業者に手動走行の切り替え操作を促してもよい。
【0072】
また、走行処理部111は、刈取作業において、測位ユニット52からコンバイン1の自車位置(走行基準点C1の位置)を取得し、自車位置と目標経路Rとに基づいて、コンバイン1が作業経路に沿って自動走行及び刈取作業を行うように走行部2、刈取部3、及び動力部8を制御する。
【0073】
以上のようにして、走行処理部111は、例えば、作業者による操作に応じて走行モードを切り替えて、コンバイン1を自動操舵により自動走行及び刈取作業を実行させ、手動操舵により手動走行させる。
【0074】
ところで、従来の技術では、コンバインの現在位置(走行基準点)を通り基準線に平行な目標経路を生成して自動走行を開始させるため、作業者が意図した経路からずれた位置をコンバインが走行してしまう問題が生じる。例えば
図9に示すように、自動走行を開始する時点でコンバインの車両方位が作業領域F11の作業経路F10の方向に略一致している場合には、走行基準点C1を通る目標経路Rが作業経路F10に略一致するため、自動走行を開始して刈取作業を行うと、作業領域F11を適切に走行して刈取作業を行うことができる。これに対して、
図10Aに示すように、自動走行を開始する時点でコンバインの車両方位が作業領域F11の作業経路F10の方向に対してずれている場合(方位差が生じている場合)には、走行基準点C1を通る目標経路Rが作業経路F10からずれるため、自動走行を開始して刈取作業を行うと、
図10Bに示すように、作業領域F11からずれた領域F12を走行して刈取作業を行うことにより、作業領域F11のうち未作業領域が生じてしまう。
【0075】
このように、従来の技術では、作業者が意図した経路からずれた位置をコンバインが走行してしまう問題が生じる。これに対して、本実施形態に係るコンバイン1は、以下に示すように、コンバイン1に適切な経路を自動走行させることが可能な構成を備えている。
【0076】
具体的には、設定処理部112は、コンバイン1に対して、走行基準点C1とは異なる位置に、目標経路Rを生成するための経路基準点P1を設定する。例えば、設定処理部112は、コンバイン1が自動走行を開始する際の進行方向に基づいて、コンバイン1に対して経路基準点P1を設定する。生成処理部113は、設定された経路基準点P1に基づいて目標経路Rを生成する。例えば、生成処理部113は、経路基準点P1を通り基準線Lに平行な直線である目標経路Rを生成する。具体的には、生成処理部113は、経路基準点P1を通り基準線Lに平行な経路(平行線)を生成し、生成した経路を目標経路Rに設定する。
【0077】
例えば
図11Aに示すように、作業者が主変速レバー91を「前進域(「F」)」の位置に入れると、設定処理部112は、経路基準点P1を走行基準点C1よりも車両前方側に設定する。具体的には、設定処理部112は、経路基準点P1を刈取部3の中央(幅方向の中心)かつ先端に設定する。生成処理部113は、設定された経路基準点P1を通り基準線Lに平行な目標経路Rを生成する。経路基準点P1に基づいて目標経路Rが生成された状態でコンバイン1が自動走行の開始条件を満たし、かつ、作業者が自動走行指示部31を押下して走行開始指示が行われると、走行処理部111は、コンバイン1の走行基準点C1が目標経路Rを通るように、走行部2を制御して自動走行させる。これにより、
図11A及び
図11Bに示すように、コンバイン1の車両方位が作業領域F11の作業経路F10の方向に対してずれている場合であっても、コンバイン1は経路基準点P1を通る目標経路Rに沿うように走行するため、作業領域F11を適切に走行して刈取作業を行うことができる。このように、車両方位が作業領域F11(作業経路F10)の方向に対してずれている場合(
図11A参照)であっても、作業者は、コンバイン1の刈取部3の先端を作業領域F11に位置合わせして自動走行を開始させることにより、作業者が意図して経路を走行させることができる(
図11B参照)。
【0078】
他の実施形態として、設定処理部112は、刈取部3よりも前方に経路基準点P1を設定してもよい。また、設定処理部112は、経路基準点P1を車両の幅中心に対して左右方向にずれた位置に設定してもよい。
【0079】
ここで、設定処理部112が経路基準点P1を走行基準点C1よりも車両前方側に設定した場合、コンバイン1を後進走行させると挙動が不安定になる恐れがある。例えば
図12に示すように、コンバイン1が作業領域F11の刈取作業を終了して作業領域F11を後進する際に、コンバイン1の車両方位が作業領域F11(作業経路F10)の方向に対してずれている場合、生成処理部113は、刈取部3に設定された経路基準点P1に基づいて後進用の目標経路Rを生成する。この場合、走行処理部111は走行基準点C1が目標経路Rに沿うように走行制御するため、
図12に示すように、コンバイン1は経路Rsに示すように急激な操舵(急旋回)を行うことになり挙動が不安定になる。
【0080】
そこで、設定処理部112は、コンバイン1が後進走行する場合には、経路基準点P1を走行基準点C1の位置に設定する。すなわち、設定処理部112は、コンバイン1が後進走行する場合には、
図13に示すように、走行基準点C1に基づいて目標経路Rを生成する。例えば、作業者が主変速レバー91を「後進域(「R」)」の位置に入れると、設定処理部112は、経路基準点P1を走行基準点C1に設定し、生成処理部113は、経路基準点P1(走行基準点C1)を通り基準線Lに平行な直線である目標経路Rを生成する。経路基準点P1に基づいて目標経路Rが生成された状態でコンバイン1が自動走行の開始条件を満たし、かつ、作業者が自動走行指示部31を押下して走行開始指示が行われると、走行処理部111は、コンバイン1の走行基準点C1が目標経路Rを通るように、走行部2を制御して自動走行させる。これにより、
図13に示すように、コンバイン1が目標経路Rに向かって走行する際に、経路Rsの旋回角度が緩やかになるため挙動が安定する。なお、
図13に示すように、コンバイン1は、後進走行する場合、刈取作業を行わず、刈取作業済の領域を走行するため作業経路F10(
図12参照)に沿って走行する必要はなく、基準線Lに平行に後進できればよい。
【0081】
他の実施形態として、設定処理部112は、コンバイン1が後進走行する場合に、経路基準点P1を走行基準点C1よりも車両後方側に設定してもよい。具体的には、設定処理部112は、
図14に示すように、経路基準点P1を車両の中央(幅方向の中心)かつ後端に設定する。生成処理部113は、設定された経路基準点P1を通り基準線Lに平行な目標経路Rを生成する。走行処理部111は、コンバイン1の走行基準点C1が目標経路Rを通るように、走行部2を制御して自動走行させる。これにより、
図14に示すように、コンバイン1は経路基準点P1を通る目標経路Rに向かって走行するため、経路Rsの旋回角度がより緩やかになるため挙動がさらに安定する。
【0082】
他の実施形態として、設定処理部112は、車両の後端よりも後方に経路基準点P1を設定してもよい。例えば
図15に示すように、設定処理部112は、走行基準点C1から前進走行用の経路基準点P1までの距離t1と同じ距離だけ、走行基準点C1から後方の位置に後進走行用の経路基準点P1を設定してもよい。これにより、コンバイン1はより滑らかに目標経路Rに追従するように走行することができる。
【0083】
このように、設定処理部112は、コンバイン1が自動走行を開始する際の進行方向に基づいて、コンバイン1に対して経路基準点P1を設定し、生成処理部113は、基準線L及び経路基準点P1に基づいて目標経路Rを生成する。そして、走行処理部111は、走行基準点C1が目標経路Rに沿うようにコンバイン1を自動走行させる。
【0084】
また、設定処理部112は、コンバイン1の進行方向が第1方向である場合に、進行方向が第1方向とは反対方向の第2方向である場合に比べて、経路基準点P1を第1方向側に設定する。例えば、設定処理部112は、コンバイン1の進行方向が前進方向である場合に、後進方向である場合に比べて、経路基準点P1を前進方向(前方)に設定する(
図11A及び
図11B参照)。また、設定処理部112は、コンバイン1の進行方向が後進方向である場合に、前進方向である場合に比べて、経路基準点P1を後進方向(後方)に設定する(
図13~
図15参照)。
【0085】
また、設定処理部112は、経路基準点P1を走行基準点C1よりも進行方向側に設定する。例えば、設定処理部112は、コンバイン1の進行方向が前進方向である場合に、経路基準点P1を走行基準点C1よりも前進方向側(前方)に設定する(
図11A及び
図11B参照)。また、設定処理部112は、コンバイン1の進行方向が後進方向である場合に、経路基準点P1を走行基準点C1よりも後進方向(後方)に設定してもよい(
図14及び
図15参照)。
【0086】
また、設定処理部112は、コンバイン1が自動走行を開始する際の主変速レバー91の状態(前進又は後進)に基づいて、経路基準点P1をコンバイン1の前方側又は後方側に設定する。すなわち、設定処理部112は、主変速レバー91の位置に基づいて、経路基準点P1の設定位置を決定してもよい。
【0087】
なお、走行基準点C1はコンバイン1の進行方向に依らず一定(例えば、旋回中心位置(クローラ式走行装置23(クローラ)の中心))に設定される。すなわち、目標経路Rを生成するための経路基準点P1は、コンバイン1の進行方向に応じた位置(車両の前方又は後方)に設定される一方、自動走行の位置を制御するための走行基準点C1は、進行方向に関わらず所定位置(例えば、旋回中心位置(クローラ式走行装置23(クローラ)の中心))に固定される。これにより、制御装置11は、コンバイン1の進行方向に応じて設定した経路基準点P1に基づいて目標経路Rを生成し、コンバイン1に走行基準点C1に基づいて目標経路Rを自動走行させる。
【0088】
なお、制御装置11は、操作端末の操作画面に経路基準点P1を表示させてもよい。これにより、作業者は自動走行を開始させる際に経路基準点P1を確認することができるため、コンバイン1を作業経路に対して適切に位置合わせすることができる。
【0089】
[走行処理]
以下、
図16を参照しつつ、本実施形態に係る走行システムが実行する前記走行処理の一例について説明する。
【0090】
なお、本発明は、前記走行処理に含まれる一又は複数のステップを実行する走行方法の発明として捉えることができる。また、ここで説明する前記走行処理に含まれる一又は複数のステップは適宜省略されてもよい。また、前記走行処理における各ステップは同様の作用効果を生じる範囲で実行順序が異なってもよい。さらに、ここではコンバイン1の制御装置11が前記走行処理における各ステップを実行する場合を例に挙げて説明するが、一又は複数のプロセッサーが当該走行処理における各ステップを分散して実行する走行方法も他の実施形態として考えられる。
【0091】
ステップS1において、制御装置11は、コンバイン1の進行方向が前進方向であるか否かを判定する。制御装置11は、進行方向が前進方向である場合(S1:Yes)、処理をステップS2に移行させる。一方、制御装置11は、進行方向が前進方向ではない場合(後進方向である場合)(S1:No)、処理をステップS10に移行させる。例えば、制御装置11は、主変速レバー91が「前進域(「F」)」の位置に入っている場合に進行方向が前進方向であると判断し、主変速レバー91が「後進域(「R」)」の位置に入っている場合に進行方向が後進方向であると判断する。
【0092】
ステップS2において、制御装置11は、経路基準点P1を走行基準点C1よりも前方に設定する。例えば、制御装置11は、経路基準点P1を刈取部3の中央(幅方向の中心)かつ先端に設定する(
図11A参照)。ステップS2の後、制御装置11は、処理をステップS3に移行させる。
【0093】
これに対して、ステップS10では、制御装置11は、経路基準点P1を走行基準点C1よりも後方に設定する。例えば、制御装置11は、経路基準点P1を車両の後端に設定する(
図14参照)。ステップS10の後、制御装置11は、処理をステップS3に移行させる。
【0094】
ステップS3において、制御装置11は、経路基準点P1を通り基準線L(
図8参照)に平行な経路(平行線)を生成する。
【0095】
ステップS4において、制御装置11は、コンバイン1が自動走行の開始条件を満たすか否かを判定する。例えば制御装置11は、コンバイン1の車両方位が前記平行線に対して所定範囲内である場合に、コンバイン1が自動走行の開始条件を満たすと判定する。作業者は、コンバイン1の車両方位が前記平行線に対して所定範囲内になるように手動走行させる。制御装置11は、コンバイン1が自動走行の開始条件を満たすと判定すると(S4:Yes)、処理をステップS5に移行させる。制御装置11は、コンバイン1が自動走行の開始条件を満たすまで待機する(S4:No)。
【0096】
次にステップS5において、制御装置11は、自動走行の開始指示を取得したか否かを判定する。制御装置11は、自動走行の開始指示を取得すると(S5:Yes)、処理をステップS6に移行させる。制御装置11は、自動走行の開始指示を取得するまで待機する(S5:No)。例えば、コンバイン1が自動走行の開始条件を満たした状態で、作業者が自動走行指示部31を押下すると、制御装置11は、自動走行の開始指示を取得する。
【0097】
ステップS6において、制御装置11は、目標経路Rを設定する。具体的には、制御装置11は、自動走行の開始指示を取得した時点のコンバイン1の位置(現在位置、現在位置より数ms前の時点の位置など)に対応する経路基準点P1を通る前記平行線を目標経路Rとして設定する。例えば、制御装置11は、コンバイン1の進行方向が前進方向である場合、
図11Aに示すように、刈取部3に設定された走行基準点C1を通る目標経路Rを設定する。また例えば、制御装置11は、コンバイン1の進行方向が後進方向である場合、
図14に示すように、車両の後端に設定された走行基準点C1を通る目標経路Rを設定する。
【0098】
次にステップS7において、制御装置11は、コンバイン1に目標経路Rに従って自動走行を開始させる。具体的には、制御装置11は、走行基準点C1が目標経路Rを通るように、走行部2を制御してコンバイン1を自動走行させる。コンバイン1は、目標経路Rに従って前進方向又は後進方向に直進自動走行を行いながら刈取作業を行う。
【0099】
次にステップS8において、制御装置11は、コンバイン1が自動走行を終了したか否かを判定する。制御装置11は、作業者が停止スイッチを押下した場合又はハンドルを所定操舵量以上操舵した場合に、コンバイン1が自動走行を終了したと判断する。制御装置11は、コンバイン1が自動走行を終了した判定すると(S8:Yes)、走行モードを手動走行モードに切り替えて前記走行処理を終了させる。制御装置11は、コンバイン1が自動走行を終了するまで自動走行を継続させる(S8:No)。
【0100】
例えば、制御装置11は、所定の作業領域(例えば作業領域F11(
図11A参照))において自動走行が可能になると上述の処理を実行して、コンバイン1に目標経路Rに従った自動走行及び刈取作業を実行させる。コンバイン1は作業領域F11の作業が終了(自動走行を終了)すると、作業者による手動操舵(手動走行)によって次の作業領域の目標位置に移動する。制御装置11は、目標位置においてコンバイン1の進行方向が指定されると(S1)、上述の処理を実行して、次の作業領域において目標経路Rに従ってコンバイン1に自動走行及び刈取作業を実行させる。このように、制御装置11は、作業領域(作業経路)ごとに上述の処理を実行する。
【0101】
前記走行処理は、
図16に示した例に限定されない、例えば制御装置11は、
図17に示す手順で前記走行処理を実行してもよい。
【0102】
ステップS11において、制御装置11は、コンバイン1が自動走行可能な状態であるか(自動走行の開始条件を満たすか)否かを判定する。制御装置11は、コンバイン1が自動走行可能な状態であると判定すると(S11:Yes)、処理をステップS12に移行させる。制御装置11は、コンバイン1が自動走行可能な状態になるまで待機する(S11:No)。
【0103】
ステップS12において、制御装置11は、自動走行の開始指示を取得したか否かを判定する。制御装置11は、自動走行の開始指示を取得すると(S12:Yes)、処理をステップS13に移行させる。制御装置11は、自動走行の開始指示を取得するまで待機する(S12:No)。例えば、コンバイン1が自動走行の開始条件を満たし、作業者が自動走行指示部31を押下すると、制御装置11は、自動走行の開始指示を取得する。
【0104】
ステップS13において、制御装置11は、コンバイン1の進行方向が前進方向であるか否かを判定する。制御装置11は、進行方向が前進方向である場合(S13:Yes)、処理をステップS14に移行させる。一方、制御装置11は、進行方向が前進方向ではない場合(後進方向である場合)(S13:No)、処理をステップS131に移行させる。例えば、制御装置11は、主変速レバー91が「前進域(「F」)」の位置に入っている場合に進行方向が前進方向であると判断し、主変速レバー91が「後進域(「R」)」の位置に入っている場合に進行方向が後進方向であると判断する。
【0105】
ステップS14において、制御装置11は、経路基準点P1を走行基準点C1よりも前方に設定する。例えば、制御装置11は、経路基準点P1を刈取部3の中央(幅方向の中心)かつ先端に設定する(
図11A参照)。ステップS14の後、制御装置11は、処理をステップS15に移行させる。
【0106】
これに対して、ステップS131では、制御装置11は、経路基準点P1を走行基準点C1よりも後方に設定する。例えば、制御装置11は、経路基準点P1を車両の後端に設定する(
図14参照)。ステップS131の後、制御装置11は、処理をステップS15に移行させる。
【0107】
ステップS15において、制御装置11は、目標経路Rを生成する。具体的には、制御装置11は、経路基準点P1を通り基準線L(
図8参照)に平行な目標経路Rを生成する。例えば、制御装置11は、コンバイン1の進行方向が前進方向である場合、
図11Aに示すように、刈取部3に設定された走行基準点C1を通る目標経路Rを生成する。また例えば、制御装置11は、コンバイン1の進行方向が後進方向である場合、
図14に示すように、車両の後端に設定された走行基準点C1を通る目標経路Rを生成する。
【0108】
次にステップS16において、制御装置11は、コンバイン1に目標経路Rに従って自動走行を開始させる。具体的には、制御装置11は、走行基準点C1が目標経路Rを通るように、走行部2を制御してコンバイン1を自動走行させる。コンバイン1は、目標経路Rに従って前進方向又は後進方向に直進自動走行を行いながら刈取作業を行う。
【0109】
次にステップS17において、制御装置11は、コンバイン1が自動走行を終了したか否かを判定する。制御装置11は、作業者が停止スイッチを押下した場合又はハンドルを所定操舵量以上操舵した場合に、コンバイン1が自動走行を終了したと判断する。制御装置11は、コンバイン1が自動走行を終了した判定すると(S17:Yes)、走行モードを手動走行モードに切り替えて前記走行処理を終了させる。制御装置11は、コンバイン1が自動走行を終了するまで自動走行を継続させる(S17:No)。
【0110】
以上説明したように、本実施形態に係る制御装置11は、基準線Lに基づいてコンバイン1を自動走行させる。また、制御装置11は、コンバイン1が自動走行を開始する際の進行方向に基づいて、コンバイン1に対して経路基準点P1を設定し、基準線L及び経路基準点P1に基づいて生成される目標経路Rに従ってコンバイン1を自動走行させる。
【0111】
上記構成によれば、例えばコンバイン1が前進走行する場合に、経路基準点P1を車両前方に設定し、経路基準点P1を通る目標経路Rを生成して、コンバイン1を前進方向に自動走行させることができる。これにより、コンバイン1を作業者が意図した経路を走行させることができる(
図11A及び
図11B参照)。また例えばコンバイン1が後進走行する場合に、経路基準点P1を車両中心又は後方に設定し、経路基準点P1を通る目標経路Rを生成して、コンバイン1を後進方向に自動走行させることができる。これにより、コンバイン1を作業者が意図した経路を走行させることができる(
図11A、
図11B、
図13~
図15参照)。すなわち、コンバイン1に適切な経路を自動走行させることが可能となる。
【0112】
[他の実施形態]
本発明は上述した実施形態に限定されない。本発明の他の実施形態について、以下に説明する。
【0113】
例えば、設定処理部112は、コンバイン1の車速に応じて経路基準点P1を設定してもよい。具体的には、設定処理部112は、コンバイン1の車速が速いほどコンバイン1の進行方向側に経路基準点P1を設定する。具体的には、設定処理部112は、前進走行する際の設定車速が速いほど経路基準点P1を走行基準点C1から遠い位置(前方位置)に設定し、前進走行する際の設定車速が遅いほど経路基準点P1を走行基準点C1に近い位置に設定する。同様に、設定処理部112は、後進走行する際の設定車速が速いほど経路基準点P1を走行基準点C1から遠い位置(後方位置)に設定し、後進走行する際の設定車速が遅いほど経路基準点P1を走行基準点C1に近い位置に設定する。
【0114】
また他の実施形態として、設定処理部112は、コンバイン1の方位(車両方位)に応じて経路基準点P1を設定してもよい。具体的には、設定処理部112は、コンバイン1の進行方向(車両方位)と基準線Lの方向との差(方位差)が大きいほどコンバイン1の進行方向側に経路基準点P1を設定する。具体的には、
図18Aに示すようにコンバイン1が前進走行する際の進行方向と基準線Lとの方位差が小さい場合には、設定処理部112は、刈取部3の先端に経路基準点P1を設定し、
図18Bに示すようにコンバイン1が前進走行する際の進行方向と基準線Lとの方位差が大きい場合には、設定処理部112は、刈取部3よりも前方に経路基準点P1を設定する。これにより、コンバイン1に作業者が意図した経路(目標経路R)を適切に走行させることができる。
【0115】
なお、設定処理部112は、コンバイン1の車速又は方位差に基づいて経路基準点P1を設定するか否かを作業者の選択操作によって決定してもよい。例えば、作業者が経路基準点P1を車速に連動させるモードに設定した場合に、設定処理部112は、コンバイン1の車速に基づいて経路基準点P1を設定し、作業者が経路基準点P1を車速に連動させないモードに設定した場合に、設定処理部112は、コンバイン1の車速を考慮しないで経路基準点P1を設定する。また、作業者は、作業経路ごとに前記モードを切替可能であってもよい。
【0116】
上述したように、設定処理部112は、コンバイン1が自動走行を開始する際の主変速レバー91の状態に基づいて、経路基準点P1をコンバイン1の前方側又は後方側に設定する。例えば、主変速レバー91が「前進域(「F」)」の位置に入っている場合、設定処理部112は、経路基準点P1を走行基準点C1よりも車両前方側に設定し、主変速レバー91が「後進域(「R」)」の位置に入っている場合、設定処理部112は、経路基準点P1を走行基準点C1又は走行基準点C1よりも車両後方側に設定する。ここで、主変速レバー91が「中立(「N」)」の位置(ニュートラル)に入っている場合、設定処理部112は、コンバイン1が前進走行すると予測して、経路基準点P1を走行基準点C1よりも車両前方側に設定してもよい。例えば、作業者が主変速レバー91を「中立(「N」)」の位置に入れると、設定処理部112は、経路基準点P1を走行基準点C1よりも車両前方側に設定し、生成処理部113は、走行基準点C1に基づいて目標経路Rを生成する。そして、経路基準点P1に基づいて目標経路Rが生成された状態でコンバイン1が自動走行の開始条件を満たし、かつ、作業者が自動走行指示部31を押下して走行開始指示が行われ、さらに、作業者が主変速レバー91を「前進域(「F」)」の位置に入れると、走行処理部111は、目標経路Rに従って自動走行を開始させる。
【0117】
なお、この場合に作業者が主変速レバー91を「後進域(「R」)」の位置に入れると、設定処理部112は、経路基準点P1を走行基準点C1の位置又は走行基準点C1よりも車両後方側に設定し直してもよい。後方側に再設定された経路基準点P1に基づいて目標経路Rが生成された状態でコンバイン1が自動走行の開始条件を満たす場合には、走行処理部111は、目標経路Rに従って後進方向に自動走行を開始させる。また、後方側に再設定された経路基準点P1に基づいて目標経路Rが生成された状態でコンバイン1が自動走行の開始条件を満たさない場合には、経路基準点P1を車両後方側に設定したまま、作業者による手動操舵によりコンバイン1を手動走行させる。その後、コンバイン1が自動走行の開始条件を満たし、作業者が自動走行指示部31を押下して走行開始指示を行うと、走行処理部111は、目標経路Rに従って後進方向に自動走行を開始させる。
【0118】
なお、経路基準点P1を設定した後に、自動走行の開始条件を満たすべくコンバイン1を移動させるために主変速レバー91を操作した場合に経路基準点P1が車両の前方側及び後方側で切り替わらないように、予め作業者が経路基準点P1を車両の前方側に設定するか又は後方側に設定するかを選択可能であってもよい。
【0119】
他の実施形態として、主変速レバー91が「中立(「N」)」の位置に入っている場合に、設定処理部112は、コンバイン1が後進走行すると予測して、経路基準点P1を走行基準点C1の位置又は走行基準点C1よりも車両後方側に設定してもよい。例えば、作業パターンが、作業経路を前進走行して刈取作業を行い、その後に当該作業経路を後進走行する作業パターン(一方向刈り)に設定されている場合、コンバイン1が作業経路を前進走行して刈取作業を終えると、作業者はコンバイン1を後進走行させるために主変速レバー91を「中立(「N」)」の位置に切り替える。この場合、設定処理部112は、コンバイン1は後進走行すると判断して、経路基準点P1を走行基準点C1又は走行基準点C1よりも車両後方側に設定する。生成処理部113は、走行基準点C1に基づいて目標経路Rを生成し、作業者が主変速レバー91を「後進域(「R」)」の位置に入れると、走行処理部111は、目標経路Rに従って後進方向に自動走行を開始させる。なお、主変速レバー91が「中立(「N」)」の位置に入った場合に経路基準点P1を車両の前方側に設定するか又は後方側に設定するかを、作業者が予め選択可能であってもよい。
【0120】
このように、設定処理部112は、コンバイン1が自動走行を開始する際の主変速レバー91の状態と作業パターン(走行パターン)とに基づいて、経路基準点P1を設定してもよい。
【0121】
本発明の他の実施形態として、設定処理部112は、基準線Lごとに異なる位置に走行基準点C1を設定してもよい。例えば、制御装置11は、作業者による登録操作に基づいて2つ目の基準線Lを生成してもよいし、1つ目の基準線Lに基づいて2つ目の基準線L(例えば1つ目の基準線Lに直交する基準線)を生成してもよい。この場合、設定処理部112は、第1基準線L1に基づいて自動走行させる場合に第1位置に経路基準点P1を設定し、第2基準線L2に基づいて自動走行させる場合に第2位置に経路基準点P1を設定する。例えば、第1基準線L1が刈取作業を行う作業領域を走行するための基準線となる場合には高精度に位置制御する必要があるため、設定処理部112は、経路基準点P1を走行基準点C1よりも進行方向側に設定する。これに対して、例えば、第2基準線L2が刈取作業を行なわない非作業領域(枕地領域など)を走行するための基準線となる場合には高精度な位置制御が不要であるため、設定処理部112は、経路基準点P1を走行基準点C1の位置に設定する。
【0122】
本発明の他の実施形態として、設定処理部112は、作業者による優先モードの設定操作に基づいて走行基準点C1を設定してもよい。例えば、刈取作業の精度(位置精度)を優先する優先モード(「作業精度優先」)の場合、設定処理部112は、経路基準点P1を走行基準点C1よりも進行方向側に設定する。これに対して、例えば、作業効率(走行効率)を優先する優先モード(「作業継続性優先」)の場合、設定処理部112は、経路基準点P1を走行基準点C1の位置に設定する。
【0123】
上述した実施形態では、本発明の作業車両としてコンバインを例に挙げたが、作業車両が例えば車両の後方に作業部を備える作業車両(例えば、耕耘機を備えるトラクタ)である場合には、設定処理部112は、作業車両が前進走行する場合に走行基準点C1よりも後方(作業部の位置)に経路基準点P1を設定する。すなわち、設定処理部112は、作業部の位置に基づいて経路基準点P1を設定してもよい。
【0124】
[発明の付記]
以下、上述の実施形態から抽出される発明の概要について付記する。なお、以下の付記で説明する各構成及び各処理機能は取捨選択して任意に組み合わせることが可能である。
【0125】
<付記1>
基準線に基づいて作業車両を自動走行させる走行方法であって、
前記作業車両が自動走行を開始する際の進行方向に基づいて、前記作業車両に対して経路基準点を設定することと、
前記基準線及び前記経路基準点に基づいて生成される目標経路に従って前記作業車両を自動走行させることと、
を実行する走行方法。
【0126】
<付記2>
前記目標経路は、前記経路基準点を通り前記基準線に平行な直線である、
付記1に記載の走行方法。
【0127】
<付記3>
前記進行方向が第1方向である場合に、前記進行方向が前記第1方向とは反対方向の第2方向である場合に比べて、前記経路基準点を前記第1方向側に設定する、
付記1又は2に記載の走行方法。
【0128】
<付記4>
前記経路基準点を、前記作業車両に設定される走行基準点よりも前記進行方向側に設定し、
前記走行基準点と前記目標経路とに基づいて前記作業車両を自動走行させる、
付記1~3のいずれかに記載の走行方法。
【0129】
<付記5>
前記走行基準点は前記進行方向に依らず一定に設定される、
付記4に記載の走行方法。
【0130】
<付記6>
前記作業車両の車速が速くなるほど前記作業車両の進行方向側に前記経路基準点を設定する、
付記1~5のいずれかに記載の走行方法。
【0131】
<付記7>
前記作業車両の進行方向と前記基準線の方向との差が大きいほど前記作業車両の進行方向側に前記経路基準点を設定する、
付記1~6のいずれかに記載の走行方法。
【0132】
<付記8>
自動走行を開始する際の走行方向切替操作具の状態に基づいて、前記経路基準点を前記作業車両の前方側又は後方側に設定する、
付記1~7のいずれかに記載の走行方法。
【0133】
<付記9>
前記作業車両は、前方側に刈取部を備えた収穫車両であって、
前記経路基準点は、前記刈取部、又は、前記刈取部の前方に設定される、
付記1~8のいずれかに記載の走行方法。
【符号の説明】
【0134】
1 :コンバイン(作業車両、収穫車両)
2 :走行部
3 :刈取部
91 :主変速レバー(走行方向切替操作具)
11 :制御装置
30 :操作装置
111 :走行処理部
112 :設定処理部
113 :生成処理部
F :圃場
R :目標経路
L :基準線
C1 :走行基準点
P1 :経路基準点