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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177770
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】車両用導風構造
(51)【国際特許分類】
   B60K 11/04 20060101AFI20241217BHJP
   B60R 19/52 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
B60K11/04 K
B60R19/52 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096101
(22)【出願日】2023-06-12
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小谷野 将
【テーマコード(参考)】
3D038
【Fターム(参考)】
3D038AA05
3D038AB01
3D038AC01
3D038AC11
(57)【要約】
【課題】空気を案内する導風ガイドのシール性を維持して空力性能の低下を抑制できる車両用導風構造が必要とされている。
【解決手段】車両用の導風構造10は、ロアバンパ11を有する。導風構造10は、ロアバンパ11の後方に配設されかつ開口12aを備えるロアグリル12を有する。導風構造10は、ロアグリル12の開口12aの後方に配置される導風ガイド13を有する。導風ガイド13の第1端部14が車体2に固定される。導風ガイド13の第2端部15が自由端でかつロアグリル12に接触する。ロアグリル12には、第2端部15の風下側となる開口12aから離れた側に起立して第2端部15の風下側への移動を規制する規制部16が設けられる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用導風構造であって、
バンパと、
前記バンパの後方に配設されかつ開口を備えるグリルと、
前記グリルの前記開口の後方に配置される導風ガイドを有し、
前記導風ガイドの第1端部が車体に固定され、
前記導風ガイドの第2端部が自由端でかつ前記グリルまたは前記バンパに接触し、
前記グリルまたは前記バンパには、前記第2端部の風下側となる前記開口から離れた側に起立して前記第2端部の前記風下側への移動を規制する規制部が設けられる車両用導風構造。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用導風構造であって、
前記規制部は、前記グリルまたは前記バンパと一部材である車両用導風構造。
【請求項3】
請求項1または2に記載の車両用導風構造であって、
前記導風ガイドの前記第2端部は、前記グリルまたは前記バンパの後面に沿いかつ前記第2端部の先端が前記規制部に向いている前記車両用導風構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば熱交換器に冷却風を導く車両用導風構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車体前面の外周部に沿って設けられた開口から流入する空気を、例えばラジエータ、インタークーラ等の車体内部に設けられた熱交換器へ導く導風構造を備えた車両が提供されている。例えば特許文献1には、サイドグリルに設けられた開口から車幅方向中央側の熱効果器に向けて空気の流れを導く導風構造が記載されている。例えば特許文献2には、フロントグリルに設けられた開口から後方の熱効果器に向けて空気の流れを導く導風構造が記載されている。
【0003】
従来の導風構造の例を図10に示す。導風構造50は、例えば車体の下部前面を形成するロアバンパ51と、ロアバンパ51の後方に配設されかつ開口52aを備えるロアグリル52を有する。導風構造50は、ロアグリル52の開口52aの後方に配置される導風ガイド53を有する。導風ガイドは、例えば比較的軟質な板状に形成される。
【0004】
導風ガイド53の後端である第1端部54は、例えばラジエータを支持するブラケット等に連結され、車体に固定される。導風ガイド53の前端である第2端部55は、ロアバンパ51の後面51aまたはロアグリル52の後面52bに対して後方から面接触している。これにより導風ガイド53の第2端部55と、ロアバンパ51の後面51aまたはロアグリル52の後面52bとの間の隙間を埋めてシールされた状態を維持できる。また、導風ガイド53の第2端部55を固定しないことで、万一、ロアバンパ51またはロアグリル52が変形した場合でも導風ガイドの破損を抑制できる。そのためロアグリル52の開口52aから熱交換器へ導風する構造を維持できる。
【0005】
しかしながら、例えば車両走行時に風速の速い風がロアグリル52の開口52aから導風構造50へ進入する。この時、導風ガイド53は、風圧によって第1端部54を支点として風下側へ押される。そのため図で仮想線で示すように、導風ガイド53の第2端部55と、ロアバンパ51の後面51aまたはロアグリル52の後面52bとの間に隙間が生じてしまう。これにより空力性能が悪化してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015-110399号公報
【特許文献2】特開2012-144125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、空気を案内する導風ガイドのシール性を維持して空力性能の低下を抑制できる車両用導風構造が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の1つの特徴によると車両用導風構造は、バンパを有する。車両用導風構造は、バンパの後方に配設されかつ開口を備えるグリルを有する。車両用導風構造は、グリルの開口の後方に配置される導風ガイドを有する。導風ガイドの第1端部が車体に固定される。導風ガイドの第2端部が自由端でかつグリルまたはバンパに接触する。グリルまたはバンパには、第2端部の風下側となる開口から離れた側に起立して第2端部の風下側への移動を規制する規制部が設けられる。
【0009】
したがって導風ガイドがグリルの開口から進入した空気から風圧を受ける際、導風ガイドの第2端部は、グリルまたはバンパの後面に沿った風下側(左右方向)へと移動しようとする。あるいは導風ガイドの第2端部は、グリルまたはバンパから後方へ離間する風下側へ移動しようとする。しかしながら導風ガイドの第2端部は、規制部によって左右方向および後方の風下側への移動が規制される。そのため導風ガイドの第2端部と、グリルまたはバンパの後面との間に隙間が生じることを抑制でき、シール性を維持できる。これによりグリルの開口から導風ガイドを介して熱交換器等へと風をスムーズに案内でき、空力性能の低下を抑制できる
【0010】
本開示の他の特徴によると規制部は、グリルまたはバンパと一部材である。したがって部品点数を増やすことなく規制部を設けることができる。これにより材料費の増加を抑制して、車両用導風構造の製造コストを抑制できる。また、導風構造を組付ける工数の増加を抑制できる。これにより車両用導風構造の組付性を向上させることができる。
【0011】
本開示の他の特徴によると導風ガイドの第2端部は、グリルまたはバンパの後面に沿いかつ第2端部の先端が規制部に向いている。したがって導風ガイドが風圧を受けると、第2端部の先端は、規制部に向けて押圧され、かつグリルまたはバンパの後面に倣う。そのため第2端部の先端は、規制部と、グリルまたはバンパの後面に対してシールされた状態を維持できる。これにより空力性能の低下をさらに抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の実施形態に係る車両の前面図である。
図2】第1実施形態に係る車両用導風構造の上面図である。
図3図1中のIII-III線断面矢視図である。
図4】車両用導風構造を後方から見た斜視図である。
図5】ロアグリルを後方から見た斜視図である。
図6】車両用導風構造を右前方から見た分解斜視図である。
図7】車両用導風構造を上方から見た分解斜視図である。
図8】第2実施形態に係る車両用導風構造において図1中のIII-III線断面に相当する横断面図である。
図9】第3実施形態に係る車両用導風構造において図1中のIII-III線断面に相当する横断面図である。
図10】従来の車両用導風構造において図1中のIII-III線断面に相当する横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示の第1実施形態を図1~5を参照して下記に詳しく説明する。説明中の同じ参照番号は、重複する説明をしないが、同じ機能を有する同じ要素を意味する。図1は、本実施形態に係る車両用導風構造を備えた車両1の前面図である。以下、図中および以下の説明に記載されている前後上下左右方向は、車両1の前後上下左右方向で規定する。
【0014】
図1に示すように車両1の車体2の前面には、フロントバンパを構成するロアバンパ11が設けられる。ロアバンパ11は、不図示のねじ等によって車体2の前端下部に固定される。車体2の前面には、ロアバンパ11の上方に設けられかつフロントバンパを構成するアッパーバンパ21が設けられる。アッパーバンパ21は、不図示のねじ等によって車体2の前端略中央に固定される。
【0015】
図1、3に示すように左右方向においてロアバンパ11の中央には、前後方向に貫通する複数の開口12aを有するロアグリル12が取り付けられる。ロアグリル12は、車両1の左右方向に長尺状に設けられる。複数の開口12aは、上下方向または左右方向に直線状に延出する複数のリブ12bによって区分けされる。ロアグリル12の後方には、例えば内燃機関用または電気機器用のラジエータ(熱交換器)が設けられる。ラジエータは、車体2に固定されたブラケット3に保持される。車両1は、ロアグリル12の開口12aから進入した空気をブラケット3に保持されたラジエータに向けて案内する導風構造10を有する。導風構造10は、ロアバンパ11とロアグリル12を含む。
【0016】
図1に示すように左右方向においてアッパーバンパ21の中央には、前後方向に貫通する複数の開口22aを有するアッパーグリル22が取り付けられる。アッパーグリル22は、車両1の左右方向に長尺状に設けられる。複数の開口22aは、上下方向または左右方向に直線状に延出する複数のリブ22bによって区分けされる。ブラケット3(図3参照)に保持されるラジエータは、アッパーグリル22の後方に配置される。車両1は、アッパーグリル22の開口22aから進入した空気をラジエータに向けて案内する導風構造20を有する。導風構造20は、アッパーバンパ21とアッパーグリル22を含む。以下、ロアグリル12側の導風構造10を詳細に説明するが、導風構造10と同様の機構をアッパーグリル22側の導風構造20に適用しても良い。
【0017】
図3、5に示すようにロアグリル12は、開口12aが設けられる中央部から左方または右方の風下側へ延出する左右側方部12dを有する。ロアグリル12の後面12cは、左右側方部12dにおいて略平面状に形成される。後面12cは、概ね左右方向に延出し、かつ開口12aの風下側に向けてわずかに後方へ傾斜する。一対の左右側方部12dそれぞれには、ロアバンパ11の被係合部11bと係合するバンパ係合部12eが設けられる。バンパ係合部12eは、左右方向において開口12aと略平面状の後面12cとの間の領域に設けられる。被係合部11bは、ロアバンパ11の先端で後方に向けてL字状に屈曲する。バンパ係合部12eは、ロアバンパ11の被係合部11bが進入可能に前方に向けて開口した略U字状に形成される。ロアバンパ11の後面11aは、ロアグリル12の後面12cの前方で後面12cに倣って略平面状に延出する。後面11aは、概ね左右方向に延出し、かつ開口12aの風下側に向けてわずかに後方へ傾斜する。
【0018】
図2~4、6~7に示すように導風構造10は、ロアグリル12の後方に配置される導風ガイド13を有する。導風ガイド13は、ロアグリル12の右部の後方に設けられる右側導風ガイド13aと、ロアグリル12の左部の後方に設けられる左側導風ガイド13bを含む。右側導風ガイド13aと左側導風ガイド13bは、相互に左右対称に設けられる。右側導風ガイド13aと左側導風ガイド13bは、それぞれブラケット3に連結されて固定される。導風ガイド13は、車両1の中央側にブラケット3に固定される第1端部14を有する。第1端部14は、例えば不図示のねじ等によってブラケット3に締結されて固定される。
【0019】
図2~4,6~7に示すように導風ガイド13は、第1端部14と反対側でロアグリル12の後面12cに接触する第2端部15を有する。導風ガイド13は、第1端部14から第2端部15まで概ね車両1の左右外方に向けて延出し、かつ前方に向けて延出する。ロアグリル12の開口12aから進入した風は、導風ガイド13によって前方の第2端部15側から後方の第1端部14側に向けて案内される。導風ガイド13は、第1端部14と第2端部15の間で風の案内経路を上方および側方から覆う連結部13cを有する。導風ガイド13は、比較的軟質な1枚の板状部材で構成される。第1端部14と連結部13cと第2端部15は、相互に略U字状に連結される。
【0020】
図3に示すように第2端部15は、ロアグリル12に固定されず、自由端状態である。そのため導風ガイド13は、第1端部14で片持ち梁状態である。第2端部15は、ロアグリル12の後面12cに対して左右方向および後方へと移動可能である。本開示においては、後述する規制部16を設けることで第2端部15の移動を規制できる。導風ガイド13の第2端部15をロアグリル12またはロアバンパ11に固定しないことで、ロアグリル12またはロアバンパ11が万一、衝撃を受けた場合等に導風ガイド13の破損を抑制できる。
【0021】
図3~4、6~7に示すように第2端部15の先端15aは、第2端部15の他の領域に対して交差する方向に延出する。具体的には先端15aは、ロアグリル12の後面12cに接触する時に後面12cと略平行になるように概ね左右方向に延出する。先端15aは、ロアグリル12の開口12aから見て風下側に向けて延出する。先端15aは、ロアグリル12の後面12cに面当たりするひれ状である。先端15aを設けることで、導風ガイド13が風圧によって後方へ移動する際の変形を抑制できる強度を持たせることができる。
【0022】
図2、4に示すように導風構造10は、アッパーグリル22(図1参照)の後方に配置される導風ガイド23を有する。導風ガイド23は、左右方向において内側の第1端部でブラケット3に固定され、外側の第2端部でアッパーグリル22に固定されず自由端状態である。導風ガイド23には、導風ガイド13と同様の構造、例えば第2端部15の先端15aの構造を設けても良い。
【0023】
図3~7に示すようにロアグリル12の左右側方部12dの風下側の先端部には、後面12cに対して後方に向けて起立する規制部16が設けられる。規制部16は、左右側方部12dに連結される基部16aを有する。規制部16は、基部16aにおいて左右方向に延出する左右側方部12dに対して後方に向けて略直角にL字状に屈曲する。規制部16の先端16bは、規制部16の基部16aの後方かつ左右方向においてわずかに車両1の内側に位置する。
【0024】
図3に示すように導風ガイド13の第2端部15の先端15aは、規制部16と左右方向に接触する。ロアグリル12の開口12aから見て、第2端部15の先端15aが風上側に位置し、規制部16が風下側に位置する。第2端部15の先端15aは、規制部16に接触することで左右方向において規制部16よりも風下側へ移動することが抑制される。また、第2端部15の先端15aは、ブラケットに固定された第1端部14を支点として風下側に向けて後方へ移動可能である。しかしながら先端15aの移動可能な領域に規制部16が配置される。そのため第2端部15の先端15aは、左右方向だけでなく後方への移動も抑制される。
【0025】
図3に示すように、例えばロアグリル12の開口12aから空気が進入した際、第2端部15は、左右方向の風下側および後方へ移動しようとする。しかしながら第2端部15の移動は規制部16によって抑制される。しかも第2端部15の先端15aは、ロアグリル12の後面12cに倣ったひれ状に設けられる。そのため第2端部15の先端15aは、規制部16およびロアグリル12の後面12cとの間に隙間が生じないようにしながら移動を抑制される。これにより第2端部15とロアグリル12の後面12cとの間でシール性を維持できる。そのため空力性能の低下を抑制しながら、導風ガイド13から後方のラジエータへと空気を案内できる。
【0026】
上述するように車両用の導風構造10は、図3に示すようにロアバンパ11を有する。導風構造10は、ロアバンパ11の後方に配設されかつ開口12aを備えるロアグリル12を有する。導風構造10は、ロアグリル12の開口12aの後方に配置される導風ガイド13を有する。導風ガイド13の第1端部14が車体2に固定される。導風ガイド13の第2端部15が自由端でかつロアグリル12に接触する。ロアグリル12には、第2端部15の風下側となる開口12aから離れた側に起立して第2端部15の風下側への移動を規制する規制部16が設けられる。
【0027】
したがって導風ガイド13がロアグリル12の開口12aから進入した空気から風圧を受ける際、導風ガイド13の第2端部15は、ロアグリル12の後面12cに沿った風下側(左右方向)へと移動しようとする。あるいは導風ガイド13の第2端部15は、ロアグリル12から後方へ離間する風下側へ移動しようとする。しかしながら導風ガイド13の第2端部15は、規制部16によって左右方向および後方の風下側への移動が規制される。そのため導風ガイド13の第2端部15と、ロアグリル12の後面12cとの間に隙間が生じることを抑制でき、シール性を維持できる。これによりロアグリル12の開口12aから導風ガイド13を介して熱交換器等へと風をスムーズに案内でき、空力性能の低下を抑制できる
【0028】
図3、5に示すように規制部16は、ロアグリル12と一部材である。したがって部品点数を増やすことなく規制部16を設けることができる。これにより材料費の増加を抑制して、導風構造10の製造コストを抑制できる。また、導風構造10を組付ける工数の増加を抑制できる。これにより導風構造10の組付性を向上させることができる。
【0029】
図3に示すように導風ガイド13の第2端部15は、ロアグリル12の後面12cに沿いかつ第2端部15の先端15aが規制部16に向いている。したがって導風ガイド13が風圧を受けると、第2端部15の先端15aは、風下側の規制部16に向けて押圧され、かつロアグリル12の後面12cに倣う。そのため第2端部15の先端15aは、規制部16とロアグリル12の後面12cに対してシールされた状態を維持できる。これにより空力性能の低下をさらに抑制できる。
【0030】
次に本開示の第2実施形態を図8に基づいて説明する。第2実施形態の導風構造30は、図3に示す導風構造10のロアバンパ11とロアグリル12と規制部16に代えて、ロアバンパ31とロアグリル32と規制部33を有する。以下の説明においては第1実施形態と異なる箇所のみ詳細に説明する。
【0031】
図8に示すようにロアバンパ31の中央には、前後方向に貫通する複数の開口32aを有するロアグリル32が取り付けられる。ロアグリル32は、車両1の左右方向に長尺状に設けられる。ロアグリル32は、開口32aが設けられる中央部から左方または右方の風下側へ延出する左右側方部32cを有する。ロアグリル32の後面32bは、左右側方部32cにおいて略平面状に形成される。後面32bは、概ね左右方向に延出し、かつ開口32aの風下側に向けてわずかに後方へ傾斜する。ロアグリル32は、左右方向において左右側方部32cと開口32aの間においてロアバンパ31の先端と係合する。これによりロアグリル32は、ロアバンパ31に保持される。ロアバンパ31の後面31aは、ロアグリル32の後面32bの前方で後面32bに倣って略平面状に延出する。後面31aは、概ね左右方向に延出し、かつ開口32aの風下側に向けてわずかに後方へ傾斜する。
【0032】
図8に示すようにロアバンパ31は、後面31aに対して後方に向けて起立する規制部33を有する。規制部33は、導風ガイド13の第2端部15の先端15aよりも風下側(図において左側)に配置される。規制部33は、ロアバンパ31の後面31aにおいては後方に向けて凸形状の凸部33aである。凸部33aは、導風ガイド13の第2端部15の先端15aよりも後方まで突出する。規制部33は、ロアバンパ31の前面においては後方に向けて凹形状の凹部33bである。規制部33は、水平方向に延出する断面上において略矩形状である。規制部33は、後方および左右方向においてわずかに車両1の内側に向けて突出する。
【0033】
図8に示すようにロアグリル32の開口32aから見て、第2端部15の先端15aが風上側に位置し、規制部33が風下側に位置する。第2端部15の先端15aは、規制部33に接触することで左右方向において規制部33よりも風下側へ移動することが抑制される。また、第2端部15の先端15aは、ブラケットに固定された第1端部14を支点として風下側に向けて後方へ移動可能である。しかしながら先端15aの移動可能な領域に規制部33が配置される。そのため第2端部15の先端15aは、左右方向だけでなく後方への移動も抑制される。しかもひれ状の先端15aは、ロアバンパ31の後面31aに倣うことで、規制部33およびロアバンパ31の後面31aとの間に隙間が生じないようにしながら移動を抑制される。
【0034】
上述するように車両用の導風構造30は、図8に示すようにロアバンパ31を有する。導風構造30は、ロアバンパ31の後方に配設されかつ開口32aを備えるロアグリル32を有する。導風構造30は、ロアグリル32の開口32aの後方に配置される導風ガイド13を有する。導風ガイド13の第1端部14が車体2に固定される。導風ガイド13の第2端部15が自由端でかつロアバンパ31に接触する。ロアバンパ31には、第2端部15の風下側となる開口32aから離れた側に起立して第2端部15の風下側への移動を規制する規制部33が設けられる。
【0035】
したがって導風ガイド13がロアグリル32の開口32aから進入した空気から風圧を受ける際、導風ガイド13の第2端部15は、ロアバンパ31の後面31aに沿った風下側(左右方向)へと移動しようとする。あるいは導風ガイド13の第2端部15は、ロアバンパ31から後方へ離間する風下側へ移動しようとする。しかしながら導風ガイド13の第2端部15は、規制部33によって左右方向および後方の風下側への移動が規制される。そのため導風ガイド13の第2端部15と、ロアバンパ31の後面31aとの間に隙間が生じることを抑制でき、シール性を維持できる。これによりロアグリル32の開口32aから導風ガイド13を介して熱交換器等へと風をスムーズに案内でき、空力性能の低下を抑制できる
【0036】
図8に示すように規制部33は、ロアバンパ31と一部材である。したがって部品点数を増やすことなく規制部33を設けることができる。これにより材料費の増加を抑制して、導風構造30の製造コストを抑制できる。また、導風構造30を組付ける工数の増加を抑制できる。これにより導風構造30の組付性を向上させることができる。
【0037】
図8に示すように導風ガイド13の第2端部15は、ロアバンパ31の後面31aに沿いかつ第2端部15の先端15aが規制部33に向いている。したがって導風ガイド13が風圧を受けると、第2端部15の先端15aは、規制部33に向けて押圧され、かつロアバンパ31の後面31aに倣う。そのため第2端部15の先端15aは、規制部33と、ロアバンパ31の後面31aに対してシールされた状態を維持できる。これにより空力性能の低下をさらに抑制できる。
【0038】
次に本開示の第3実施形態を図9に基づいて説明する。第3実施形態の導風構造40は、図3に示す導風構造10のロアグリル12と規制部16に代えて、ロアグリル41と規制部42を有する。以下の説明においては第1実施形態と異なる箇所のみ詳細に説明する。
【0039】
図9に示すようにロアバンパ11の中央には、前後方向に貫通する複数の開口41aを有するロアグリル41が取り付けられる。ロアグリル41は、車両1の左右方向に長尺状に設けられる。ロアグリル41は、開口41aが設けられる中央部から左方または右方の風下側へ延出する左右側方部41cを有する。ロアグリル41の後面41bは、左右側方部41cにおいて略平面状に形成される。後面41bは、概ね左右方向に延出し、かつ開口41aの風下側に向けてわずかに後方へ傾斜する。ロアグリル41は、左右方向において左右側方部41cと開口41aの間においてロアバンパ11と係合する。これによりロアグリル41は、ロアバンパ11に保持される。ロアバンパ11の後面11aは、ロアグリル41の後面41bの前方で後面41bに倣って略平面状に延出する。
【0040】
図9に示すようにロアグリル41の左右側方部41cの風下側の先端部には、後面41bに対して後方に向けて起立する規制部42が設けられる。規制部42は、左右側方部41cに連結される基部42aを有する。規制部42は、基部42aにおいて左右方向に延出する左右側方部41cに対して後方に向けて略直角にL字状に屈曲する。規制部42は、基部42aから後方および左右方向においてわずかに車両1の内側に向けて延出する中間部42bを有する。規制部42は、中間部42bから車両1の内側に向けて左右側方部41cと略平行に突出する先端42cを有する。
【0041】
図9に示すようにロアグリル41の開口41aから見て、第2端部15の先端15aが風上側に位置し、規制部42の中間部42bが風下側に位置する。第2端部15の先端15aは、ロアグリル41の後面41bと規制部42の中間部42bと先端42cが協働して形成する略矩形の領域に進入する。第2端部15の先端15aは、規制部42の中間部42bに接触することで左右方向において規制部42よりも風下側へ移動することが抑制される。また、第2端部15の先端15aは、規制部42の先端42cによって後方の風下側へに移動することが抑制される。しかもひれ状の先端15aは、ロアグリル41の後面41bに倣うことで、規制部42およびロアグリル41の後面41bとの間に隙間が生じないようにしながら移動を抑制される。
【0042】
以上説明した各実施形態の導風構造10、30、40には適宜変更を加えることができる。例えば導風構造10、30、40の導風先は、ラジエータに限らず、例えばインタークーラ等の熱交換機であっても良い。ロアグリル12、32、41側の導風構造10、30、40を例示したが、これをアッパーグリル側の導風構造に適用しても良い。
【0043】
ロアグリル12、32、41の開口12a、32a、41aの開口形状を例示したものに限らず適宜変更して良く、それに合わせて導風ガイド13の形状を適宜変更しても良い。導風ガイド13の移動を規制する規制部16、33、42は、ロアバンパ11、31とロアグリル12、32、41のいずれに設けても良く、両方に設けても良い。ロアバンパ11、31とロアグリル12、32、41は一部材で設けられる構成であっても良い。
【0044】
左右2つに分かれた導風ガイド13を例示したが、左右方向に長い一部材であっても良い。導風ガイド13を固定する対象はブラケット3に限らず、車体2の内部構造のいずれであっても良い。規制部16、33、42の形状、サイズ等は、導風ガイド13の移動を規制できるならば例示したものに限らず適宜変更して良い。例えば規制部16をロアグリル12の後面12cに対して鋭角を形成するように屈曲させても良い。例えば規制部33の水平方向における断面形状を略三角形の山形形状等としても良い。
【符号の説明】
【0045】
1…車両
2…車体
3…ブラケット
10…導風構造(車両用導風構造)
11…ロアバンパ(バンパ)、11a…後面、11b…被係合部
12…ロアグリル(グリル)、12a…開口、12b…リブ、12c…後面
12d…左右側方部、12e…バンパ係合部
13…導風ガイド、13a…右側導風ガイド、13b…左側導風ガイド、13c…連結部
14…第1端部
15…第2端部、15a…先端
16…規制部、16a…基部、16b…先端
20…導風構造(車両用導風構造)
21…アッパーバンパ(バンパ)
22…アッパーグリル(グリル)、22a…開口、22b…リブ
23…導風ガイド
30…導風構造(車両用導風構造)
31…ロアバンパ(バンパ)、31a…後面
32…ロアグリル(グリル)、32a…開口、32b…後面、32c…左右側方部
33…規制部、33a…凸部、33b…凹部
40…導風構造(車両用導風構造)
41…ロアグリル(グリル)、41a…開口、41b…後面、41c…左右側方部
42…規制部、42a…基部、42b…中間部、42c…先端
50…導風構造
51…ロアバンパ(バンパ)、51a…後面
52…ロアグリル(グリル)、52a…開口、52b…後面
53…導風ガイド
54…第1端部
55…第2端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10