(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177774
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】文章生成装置、文章生成方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
B61L 27/18 20220101AFI20241217BHJP
B61L 27/12 20220101ALI20241217BHJP
【FI】
B61L27/18
B61L27/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096105
(22)【出願日】2023-06-12
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】馬野 敬通
(72)【発明者】
【氏名】江川 千聖
【テーマコード(参考)】
5H161
【Fターム(参考)】
5H161AA01
5H161JJ29
5H161JJ32
5H161JJ40
(57)【要約】 (修正有)
【課題】運行関係者の意思決定および業務遂行を支援する文章生成装置を提供する。
【解決手段】文章生成装置100は、輸送用機器の変更後の運行情報を取得する運行情報取得部101と、輸送用機器の固有番号毎に運行情報を管理する管理部102と、固有番号の輸送用機器の運行に関わる関係者の属性毎に運行情報を通知するための文章を生成する、第一の生成部103を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸送用機器の変更後の運行情報を取得する、運行情報取得手段と、
前記輸送用機器の固有番号毎に前記運行情報を管理する、管理手段と、
固有番号の輸送用機器の運行に関わる関係者の属性毎に、前記運行情報を通知する文章を生成する、生成手段と、を備える、文章生成装置。
【請求項2】
前記生成手段は、前記関係者の属性毎に前記運行情報の中から通知する通知情報を抽出し、前記通知情報を含む前記文章を生成する、請求項1に記載の文章生成装置。
【請求項3】
前記生成手段は、入力されたテキストに基づきテキストを生成するように訓練された機械学習モデルを用いて、前記文章を生成する、請求項2に記載の文章生成装置。
【請求項4】
前記通知情報と関連する外部情報を取得する、外部情報取得手段を更に備え、
前記生成手段は、前記通知情報と前記外部情報に基づいて、前記文章を生成する、請求項2に記載の文章生成装置。
【請求項5】
前記文章を関係者が視認する表示装置に送信する、送信手段を更に備える、請求項1に記載の文章生成装置。
【請求項6】
前記管理手段は、関係者毎に前記運行情報を更に管理し、
前記関係者毎に管理された前記運行情報に基づき、所定の関係者のスケジュール情報を通知する文章を生成する、第二の生成手段を更に備える、請求項1に記載の文章生成装置。
【請求項7】
前記文章を関係者が視認する表示装置に送信する、送信手段と、
前記文章を送信した表示装置からスケジュール情報の通知要求を受信する、受信手段と、を更に備え、
前記第二の生成手段は、前記通知要求を受信した場合に、前記スケジュール情報を通知する文章を生成し、
前記送信手段は、前記通知要求の送信元の表示装置に前記スケジュール情報を送信する、請求項6に記載の文章生成装置。
【請求項8】
前記輸送用機器は、鉄道車両であり、
前記固有番号は、鉄道車両の車両番号である、請求項1~7のいずれか一項に記載の文章生成装置。
【請求項9】
コンピュータが、
輸送用機器の変更後の運行情報を取得し、
前記輸送用機器の固有番号毎に前記運行情報を管理し、
固有番号の輸送用機器の運行に関わる関係者の属性毎に、前記運行情報を通知するための文章を生成する、文章生成方法。
【請求項10】
輸送用機器の変更後の運行情報を取得し、
前記輸送用機器の固有番号毎に前記運行情報を管理し、
固有番号の輸送用機器の運行に関わる関係者の属性毎に、前記運行情報を通知するための文章を生成する処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文章生成装置、文章生成方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の運行障害が発生したときに各乗務員に対して指示をするための技術がある。例えば、特許文献1には、駅員・運転士・車掌に、事故や故障などにより列車ダイヤが乱れたときに、安全な運行を遂行するために、列車のダイヤを変更・修正する運転整理案を伝達することが開示されている。特許文献2には、車両の運行障害が発生したときに各乗務員へ適切な作業内容を自動的に指示することのできる運行情報配信装置および運行情報配信方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-072554号公報
【特許文献2】特開2011-063213号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された発明は、列車の運行に関わる関係者に同じ運転整理案を伝達することを前提としている。また、特許文献2に開示された発明は、車両に乗車している乗務員のみに作業内容を指示することを前提としている。列車を含む輸送用機器の運行スケジュールが変更された場合、輸送用機器の運行に関わる関係者の立場によって通知する必要のある内容が異なる。この場合、各関係者に対して個別に通知文を生成していると手間がかかる。よって、各関係者に対して効率的に運行情報の変更を通知する方法が求められている。
【0005】
本発明の目的は、変更された運行情報について各関係者に通知する文章を効率的に生成することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態における文章生成装置は、輸送用機器の変更後の運行情報を取得する、運行情報取得手段と、輸送用機器の固有番号毎に運行情報を管理する、管理手段と、固有番号の輸送用機器の運行に関わる関係者の属性毎に、運行情報を通知する文章を生成する、生成手段と、を備える。
【0007】
本発明の一形態における文章生成方法は、コンピュータが、輸送用機器の変更後の運行情報を取得し、輸送用機器の固有番号毎に運行情報を管理し、固有番号の輸送用機器の運行に関わる関係者の属性毎に、運行情報を通知するための文章を生成する。
【0008】
本発明の一形態におけるプログラムは、輸送用機器の変更後の運行情報を取得し、輸送用機器の固有番号毎に運行情報を管理し、固有番号の輸送用機器の運行に関わる関係者の属性毎に、運行情報を通知するための文章を生成する処理をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、変更された運行情報について各関係者に通知する文章を効率的に生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本開示における文章生成装置を含む構成のブロック図である。
【
図2】
図2は、本開示における文章生成装置をコンピュータ装置とその周辺装置で実現したハードウェア構成を示す図である。
【
図3】
図3は、本開示における運行情報を管理した例である。
【
図4】
図4は、本開示における運行情報を管理した別の例である。
【
図5】
図5は、本開示における運行情報を管理した別の例である。
【
図6】
図6は、本開示において、鉄道車両の運行情報を通知するための文章を生成する例である。
【
図7】
図7は、本開示において、鉄道車両の運行情報を通知するための文章を生成する例である。
【
図8】
図8は、本開示において、鉄道車両の運行情報を通知するための文章を生成する例である。
【
図9】
図9は、本開示における文章生成装置の動作の概要を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、本開示における文章生成装置の構成を含むブロック図である。
【
図11】
図11は、本開示における文章生成装置の動作の概要を示すフローチャートである。
【
図12】
図12は、本開示における文章生成装置の構成を含むブロック図である。
【
図13】
図13は、本開示において、第二の生成部が生成するスケジュール情報を通知する文章の例である。
【
図14】
図14は、本開示における文章生成装置の動作の概要を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第一の実施形態>
以下、図面を参照して、本発明における実施形態について説明する。ただし、実施形態は、図面の記載に限られるわけではない。
【0012】
図1は、第一の実施形態における文章生成装置100の構成を含むブロック図である。文章生成装置100は、輸送用機器に運行障害などが発生し、運行スケジュールの変更が必要となった場合に、輸送用機器の各関係者に変更された運行情報を通知する文章を生成するために用いられる。
図1に示すように、文章生成装置100は、運行情報取得部101と管理部102と第一の生成部103を備える。
【0013】
本実施形態では、主として輸送用機器が鉄道車両である場合を例にして説明するが、鉄道車両に限らず、バス、船舶、航空機などの予め決められた運行スケジュールに従って運行する公共交通機関に適応することができる。
【0014】
図2は、本開示の文章生成装置100を、プロセッサを含むコンピュータ装置500で実現したハードウェア構成の一例を示す図である。
図2に示されるように、文章生成装置100は、プロセッサ501、ROM(Read Only Memory)502、RAM(Random Access Memory)503などのメモリ、プログラム504を格納するハードディスクなどの記憶装置505、ネットワーク接続用の通信インタフェース508、データの入出力を行う入出力インタフェース509を含む。プロセッサ501は、コンピュータ装置500の全体を制御する。プロセッサ501としては、例えば、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)、МPU(Micro Processing Unit)、FPU(Floating point number Processing Unit)、PPU(Physics Processing Unit)、TPU(Tensor Processing Unit)、量子プロセッサ、マイクロコントローラ、または、これらの組み合わせなどを用いることができる。第一の実施形態において、文章生成装置100は、バス510を介して各構成部と接続されている。また、
図1に示す文章生成装置100は、クラウドコンピューティングなどで構成することもできる。
【0015】
プロセッサ501は、オペレーティングシステムを動作させて本発明の第一の実施の形態に係る文章生成装置100の全体を制御する。また、プロセッサ501は、例えばドライブ装置507などに装着された記録媒体506からメモリにプログラムやデータを読み出す。また、プロセッサ501は、文章生成装置100における運行情報取得部101と管理部102と第一の生成部103及びこの一部として機能し、プログラムに基づいて後述する
図9に示すフローチャートにおける処理又は命令を実行する。
【0016】
記録媒体506は、例えば光ディスク、フレキシブルディスク、磁気光ディスク、外付けハードディスク、又は半導体メモリなどである。記録媒体の一部である半導体メモリなどは、不揮発性記憶装置であり、そこにプログラムを記録する。また、プログラムは、通信網に接続されている図示しない外部コンピュータからダウンロードされてもよい。
【0017】
以上のように、
図1に示す第一の実施形態は、
図2に示されるコンピュータ・ハードウェアによって実現される。ただし、
図1の文章生成装置100が備える各部の実現手段は、以上説明した構成に限定されない。また文章生成装置100は、物理的に結合した一つの装置により実現されてもよいし、物理的に分離した二つ以上の装置を有線又は無線で接続し、これら複数の装置からなるシステムで実現されてもよい。
【0018】
運行情報取得部101は、輸送用機器の変更後の運行情報を取得する手段である。運行情報には、例えば、任意の運行区間を運行する各輸送用機器の運行スケジュール及び保守作業スケジュールを含む。例えば、輸送用機器が鉄道車両である場合は、鉄道車両の車両番号、列車番号、出発駅、到着駅、出発時刻、到着時刻、運転士名、保守作業の時間帯、保守作業の実施場所、保守作業の作業員名などの情報が含まれる。運行情報取得部101は、運行区間毎に複数の輸送用機器の運行情報をダイヤグラム形式で表した情報を取得してもよい。
【0019】
変更された運行情報とは、輸送用機器の運行障害などのために、予め決められた運行スケジュールから変更された運行情報である。変更された運行情報は、公知のAI(Artificial Intelligence)シミュレータ技術を利用して得られた情報であってもよい。例えば、AIシミュレータが、鉄道車両の変更前の出発駅、到着駅、出発時刻、到着時刻、車両番号及び運転士名などの運行情報と、運行情報に対する変更箇所の入力を受付する。変更箇所とは、例えば、特定の便の一部または全部であってもよく、所定の範囲の便であってもよい。そして、AIシミュレータは、変更後の出発駅、到着駅、出発時刻、到着時刻、車両番号及び運転士名などを出力する。このようなAIシミュレータは、例えば、通常の運行時における鉄道車両の目標状態として定められている状態に近いほど評価が高くなる評価関数を利用した学習で得られたアルゴリズムが用いられる。運行情報取得部101は、例えば、文章生成装置100とは別の装置で構成されたAIシミュレータから変更された運行情報を取得する。
【0020】
管理部102は、輸送用機器の固有番号毎に運行情報を管理する手段である。管理部102は、例えば、変更された運行情報を輸送用機器の固有番号毎に紐づけて、記憶装置505に格納する。本実施形態において、輸送用機器が鉄道車両である場合、固有番号は車両番号であって、車両毎に付与される固有の記号又は番号である。
【0021】
図3は、本開示における運行情報を管理した例である。
図3に示すように、車両番号「1001」「2001」の運行情報が別のテーブルで管理されている。
図4及び
図5は、本開示における運行情報を管理した別の例である。
図4の例では、車両番号「1001」に乗車する乗客のそれぞれの路線名、出発駅、到着駅、出発時刻及び到着時刻が管理されている。
図5の例では、車両番号「1001」、路線名、作業区間、作業開始時刻、作業終了時刻、作業内容及び作業員名が管理されている。
図4及び
図5に示すように、管理部102は、輸送用機器の固有番号に加えて、輸送用機器の運行に関わる関係者の属性毎に運行情報を紐づけて管理してもよい。関係者とは、輸送用機器の運行に何らかの関りがある者である。関係者の属性とは、例えば、輸送用機器の運行に関わる立場によって分類され、具体的には、輸送用機器を運転する運転士、輸送用機器の運行を管理する管理者、輸送用機器の保守作業を行う保守作業者、輸送用機器の運行障害による混雑に対して人又は車の誘導を行う警備担当者、運行障害によるトラブルに対応する緊急車両の担当者、及び、輸送用機器に乗車予定の乗客などが挙げられる。また、輸送用機器が鉄道車両である場合、関係者には、その車両番号の鉄道車両の振り替え輸送として用いられる他の鉄道会社若しくはバス事業者の従事者、駅周辺の医療機関の従事者、及び、車両基地の管理者などが含まれてもよい。
【0022】
第一の生成部103は、固有番号の輸送用機器の運行に関わる関係者の属性毎に、運行情報を通知する文章を生成する手段である。第一の生成部103は、関係者の属性毎に運行情報の中から通知する通知情報を抽出し、抽出した通知情報を含む文章を生成する。第一の生成部103は、関係者の属性毎に通知する必要のある通知情報として抽出する。
【0023】
第一の生成部103は、例えば、鉄道車両の運転士に対しては、運転する鉄道車両の車両番号、出発駅、到着駅、出発時刻、到着時刻を通知情報として抽出し、それらを通知する内容の文章を生成する。また、第一の生成部103は、鉄道車両の乗客に対しては、鉄道車両の列車番号、出発駅、到着駅、出発時刻、到着時刻を抽出し、それらを通知する内容の文章を生成する。第一の生成部103は、鉄道車両の保守作業員に対しては、作業を行う鉄道車両の車両番号、作業場所、作業内容を抽出し、それらの内容を通知する文章を生成する。
【0024】
本実施形態において、記憶装置505に関係者の属性毎に用意されたフォーマットが格納されており、第一の生成部103は、そのフォーマットに合わせて抽出した通知情報を挿入して通知文を生成してもよい。また、第一の生成部103は、学習済みの言語モデルをベースとし、通知情報と通知情報を含む文章との対応関係を追加学習して生成された学習モデルを用いて、通知情報を含む文章を生成してもよい。
【0025】
ここで言語モデルを詳細に説明する。言語モデルは、入力されたテキストに基づきテキストを生成するように訓練された機械学習モデルである。より具体的には、言語モデルは、文章における単語間の関係性を学習したものであり、対象文字列から当該対象文字列に関連する関連文字列を生成するモデルである。様々な文脈の文や文章を学習させた言語モデルを用いることにより、対象文字列に関連した妥当な内容の関連文字列を生成することができる。
【0026】
例えば、質問応答において言語モデルを用いる場合を説明する。言語モデルは、対象文字列として、「日本はどんな国?」という質問の入力を受け付ける。言語モデルは、質問に対する回答として、「日本は、北半球の島国で・・・。」などの文字列を生成する。
【0027】
言語モデルの学習方法は特に限定されないが、一例として、入力された文字列を含む少なくとも1つの文を出力するように学習されたものであってもよい。具体例を挙げれば、言語モデルは、入力された文字列に続く確率の高い文字列を予測することにより入力された文字列を含む文を出力するGPT(Generative Pre-Training)である。この他にも、例えば、T5(Text-to-Text Transfer Transformer)、BERT(Bidirectional Encoder Representations from Transformers)、RoBERTa(Robustly optimized BERT approach)、ELECTRA(Efficiently Learning an Encoder that Classifies Token Replacements Accurately)なども言語モデルである。
【0028】
また、言語モデルが生成する文字列は自然言語に限定されない。言語モデルは、例えば、自然言語で入力された文字列に対して、人工言語(プログラムソースコードなど)を出力してもよい。例えば、言語モデルは、対象文字列として、「データベースから特定の文字列を含むデータを取得するには?」という質問の入力を受け付ける。言語モデルは、データベース処理を行うためのプログラムソースコードを出力してもよい。あるいは、言語モデルは人工言語で入力された文字列に対応する自然言語を出力してもよい。
【0029】
また、言語モデルが生成する内容は文字列に限定されない。言語モデルは、例えば、入力された文字列に対応する画像データ、動画データ、音声データ、又はその他のデータ形式を生成してもよい。
【0030】
ここで、図を用いて鉄道車両の運行情報を通知するための文章を生成する例を説明する。
図6~
図8は、本開示において、鉄道車両の運行情報を通知するための文章を生成する例である。
図6の例は、運転士に対して通知する文章である。
図6に示すように、第一の生成部103が生成する文章には、運転士が運転する鉄道車両の車両番号のほか、各駅における出発時刻、到着時刻を含む文章が含まれる。
図6の例では、出発駅、到着駅、出発時刻及び到着時刻が表で示されている。第一の生成部103が生成する文章には、表のほか、地図やグラフが含まれていてもよい。
【0031】
第一の生成部103が言語モデルを用いて文章を生成する方法の例について説明する。第一の生成部103は、抽出した通知情報に基づいて、言語モデルに入力する文字列(「プロンプト」ともいう)を生成する。
【0032】
第一の生成部103を生成した情報に基づいて、プロンプトを生成してもよい。例えば、第一の生成部103が、運転士Aが運転する鉄道車両の車両番号、出発駅、到着駅、出発時刻、到着時刻を通知情報として抽出し、鉄道車両の運転士Aに対して通知文を生成する場合を例に説明する。このような場合、第一の生成部103は、以下のようなプロンプトを生成する。
(プロンプト)
・運転士Aに以下の内容を通知する文章を作成してください。
・出発駅:〇〇駅、到着駅:〇〇駅、出発時刻:〇〇駅、到着時刻〇〇駅
【0033】
第一の生成部103は上述のプロンプトを言語モデルに入力し、
図6のような文章を生成することができる。上述のプロンプトは、通知文の宛先や、第一の生成部103が抽出するデータに応じて異なるものが用いられてもよい。例えば、第一の生成部103は、関係者毎に事前に定められた定型文をプロンプトとして利用することができる。
【0034】
図7の例は、鉄道車両の乗客に対して通知する文章である。
図7に示すように、第一の生成部103が生成する文章には、例えば、乗車する鉄道車両の列車番号、出発駅、出発時刻、到着駅及び到着時刻が含まれる。第一の生成部103は、乗車する鉄道車両が運休する場合は、その内容を通知する文章を生成してもよい。
【0035】
図8の例は、保守作業員に対して通知する文章である。
図8に示すように、第一の生成部103が生成する文章には、例えば、保守作業対象の車両番号、作業区間、作業内容、作業開始時刻及び作業終了時刻が含まれている。また、
図8に示すように、第一の生成部103は、予定されていた作業内容から変更点が把握できるような文章を生成してもよい。
【0036】
図9は、本開示における文章生成装置100の動作の概要を示すフローチャートである。尚、このフローチャートによる処理は、前述したプロセッサによるプログラム制御に基づいて、実行されてもよい。
【0037】
図9に示すように、まず、運行情報取得部101は、輸送用機器の変更後の運行情報を取得する(ステップS101)。次いで、管理部102は、輸送用機器の固有番号毎に運行情報を管理する(ステップS102)。最後に、第一の生成部103は、固有番号の輸送用機器の運行に関わる関係者の属性毎に、運行情報を通知する文章を生成する(ステップS103)。以上で、文章生成装置100は、文章生成処理を終了する。
【0038】
本実施形態における文章生成装置100において、管理部102は、輸送用機器の固有番号毎に運行情報を管理する。そして、第一の生成部103は、固有番号の輸送用機器の運行に関わる関係者の属性毎に、運行情報を通知する文章を生成する。これにより、変更後の運行情報について各関係者に通知する文章を個別に通知文を生成することなく、効率的に生成することができる。したがって、事故などにより急なダイヤ変更が行われた場合でも、本実施形態における文章生成装置100は、関係者の迅速な意思決定と業務遂行を支援することができる。
【0039】
<変形例1>
次に、本開示の第一の実施形態の変形例について、第一の実施形態と異なるところを中心に説明する。なお、各変形例は、組み合わせて適用することができる。すなわち、後述する変形例2における文章生成装置120が、本変形例における外部情報取得部113を備えていてもよい。本変形例における文章生成装置110は、運行情報に含まれる通知情報をそのまま用いるのではなく、通知情報と外部情報に基づいて、関係者の属性毎に運行情報を通知する文章を生成する。
【0040】
図10は、本開示における文章生成装置110の構成を含むブロック図である。文章生成装置110は、文章生成装置100の構成に加え、外部情報取得部113を備える。すなわち、文章生成装置110は、運行情報取得部111と管理部112と外部情報取得部113と第一の生成部114を備える。運行情報取得部111と管理部112の構成は、第一の実施形態の対応する構成部と同様のため、詳細な説明を省略する。
【0041】
外部情報取得部113は、通知情報と関連する外部情報を取得する手段である。外部情報とは、例えば、WEB上で公開されている情報などの誰でも取得可能な情報である。外部情報取得部113は、通知情報が意味する内容を解析し、解析した内容と関連する外部情報を取得する。
【0042】
外部情報取得部113は、例えば、駅名と出発時刻又は到着時刻に基づいて、駅周辺のイベント会場で鉄道車両が出発又は到着する時間帯に開催されるイベント情報を取得してもよい。イベント情報には、イベント開始時刻、終了時刻、来場客予測、混雑予測などを含んでもよい。また、外部情報取得部113は、例えば、所定時間前に駅周辺で発生した事故情報を取得してもよい。事故情報には、負傷者などの事故の状況を示す情報を含んでもよい。また、外部情報取得部113は、駅周辺の天気予報の情報を取得してもよい。外部情報取得部113は、鉄道車両が運休又は大幅に遅れる場合、乗車予定だった乗客が代わりに乗車可能な鉄道車両の情報を取得してもよい。更に、外部情報取得部113は、乗車予定の鉄道車両において座席の指定を受けていた乗客に対して、代わりに乗車する鉄道車両の座席番号を取得してもよい。
【0043】
第一の生成部114は、第一の生成部103の機能に加え、通知情報と外部情報に基づいて、固有番号の輸送用機器の運行に関わる関係者の属性毎に、運行情報を通知する文章を生成する。第一の生成部114は、関係者の属性毎に、通知する必要がある外部情報を抽出し、抽出した外部情報を含む文章を生成する。第一の生成部114は、例えば、イベント開催により混雑が予測される場合、運転士に対して、運転する鉄道車両の予測乗車率を含む文章を生成してもよい。また、第一の生成部114は、乗客に対して、乗車する鉄道車両の予測乗車率又は出発駅若しくは到着駅周辺の予測混雑率を含む文章を生成してもよい。また、第一の生成部114は、イベント開催により混雑が予測される場合に、警備担当者に対して、駅周辺の誘導指示を通知する文章を生成してもよい。また、第一の生成部114は、事故が発生した場合に、緊急車両の担当者又は医療機関の従事者に対して事故の状況を通知する文章を生成してもよい。
【0044】
また、第一の生成部114は、乗客が乗車する予定の鉄道車両が運休又は大幅に遅れる場合は、その内容を通知する文章を生成してもよいし、代わりに乗客が乗車する鉄道車両の内容を通知する文章を生成してもよい。また、第一の生成部114は、鉄道車両の座席の指定を受けている乗客に対して、代わりに乗車する鉄道車両の座席番号を含む文章を生成してもよい。以上の第一の生成部114が生成する文章は一例であって、文章生成装置100が生成する文章はこれらに限られない。
【0045】
図11は、本開示における文章生成装置110の動作の概要を示すフローチャートである。尚、このフローチャートによる処理は、前述したプロセッサによるプログラム制御に基づいて、実行されてもよい。
【0046】
図11に示すように、まず、運行情報取得部111は、輸送用機器の変更後の運行情報を取得する(ステップS111)。次いで、管理部112は、輸送用機器の固有番号毎に運行情報を管理する(ステップS112)。次に、外部情報取得部113は、通知情報と関連する外部情報を取得する(ステップS113)。最後に、第一の生成部114は、通知情報と外部情報に基づいて、固有番号の輸送用機器の運行に関わる関係者の属性毎に、運行情報を通知する文章を生成する(ステップS114)。以上で、文章生成装置110は、文章生成処理を終了する。
【0047】
本変形例において、外部情報取得部113は、通知情報と関連する外部情報を取得し、第一の生成部114は、通知情報と外部情報に基づいて、固有番号の輸送用機器の運行に関わる関係者の属性毎に、運行情報を通知する文章を生成する。これにより、通知情報と関連する外部情報と組み合わせることによって、関係者毎により実用的な情報を提供することができる。
【0048】
<変形例2>
次に、本開示の第一の実施形態の別の変形例について、第一の実施形態と異なるところを中心に説明する。
図12は、本開示における文章生成装置120の構成を含むブロック図である。本変形例において、文章生成装置120と、文章生成装置120とネットワーク接続された表示装置220と、を有する文章生成システム12を構成してもよい。
【0049】
本変形例における文章生成装置120は、運行情報を通知する文章を関係者が視認する表示装置220に送信し、送信先の表示装置220からのスケジュール情報の通知要求に応じて、スケジュール情報を通知する文章を生成する。表示装置220は、輸送用機器の運行に関わる関係者が利用する装置であって、関係者がそれぞれ所持する端末であってもよい。また、表示装置220は、駅やイベント会場に設置されたサイネージであってもよい。
【0050】
文章生成装置120は、文章生成装置100の構成に加え、送信部124と受信部125と第二の生成部126を備える。すなわち、文章生成装置120は、運行情報取得部121と管理部122と第一の生成部123と送信部124と受信部125と第二の生成部126を備える。運行情報取得部121及び第一の生成部123の構成は、第一の実施形態の対応する構成部と同様のため、詳細な説明を省略する。
【0051】
管理部122は、管理部102の機能に加え、関係者毎に運行情報を管理する。本変形例における運行情報とは、予定されている運行情報であって、予め決められた運行情報から変更されていない運行情報も含む。関係者毎とは、輸送用機器の運行に関わる関係者それぞれのことを指す。管理部122は、各関係者を特定する情報と紐づけて輸送用機器の運行情報を管理する。
【0052】
送信部124は、第一の生成部123が生成した文章を関係者が視認する表示装置220に送信する手段である。送信部124は、例えば、関係者の属性毎に生成した文章を予め登録された連絡先に送信する。
【0053】
受信部125は、送信先の表示装置220からのスケジュール情報の通知要求を受信する手段である。受信部125は、例えば、表示装置220に文字又は音声により入力されたスケジュール情報の通知要求を受信する。受信部125は、スケジュールの通知要求を受信すると、その情報を第二の生成部126に出力する。
【0054】
第二の生成部126は、関係者毎に管理された運行情報に基づき、所定の関係者のスケジュール情報を通知する文章を生成する。送信部124は、スケジュールの通知要求を受信した関係者のスケジュール情報を通知する文章を生成する。本変形例において、第二の生成部126がスケジュール情報を通知する文章を生成する方法は、第一の生成部123と同様である。すなわち、第二の生成部126は、関係者の属性毎に用意されたフォーマットに合わせて通知する必要のある運行情報を挿入して通知文を生成してもよい。また、第二の生成部126は、学習済みの言語モデルをベースとし、運行情報とスケジュール情報を通知する文章との対応関係を追加学習して生成された学習モデルを用いて、スケジュール情報を通知する文章を生成してもよい。言語モデルは、上記で説明した言語モデルと同様である。
【0055】
送信部124は、第二の生成部126が生成した文章を通知要求の送信元の表示装置220に送信する。
【0056】
図13は、本開示において、第二の生成部126が生成するスケジュール情報を通知する文章の例である。
図13の例は、運転士に対して通知するスケジュール情報の文章である。
図13に示すように、第二の生成部126が生成する文章には、運転士が運転する鉄道車両の車両番号、各駅における発車時刻及び到着時刻を含む文章が含まれる。
図13の例では、車両番号、路線名、出発駅、到着駅、出発時刻及び到着時刻が表で示されているが、これらの情報が文章で示されていてもよい。
【0057】
図14は、第一の実施形態の変形例における文章生成装置120の動作の概要を示すフローチャートである。尚、このフローチャートによる処理は、前述したプロセッサによるプログラム制御に基づいて、実行されてもよい。
【0058】
図14に示すように、まず、運行情報取得部121は、輸送用機器の変更後の運行情報を取得する(ステップS121)。次いで、管理部122は、輸送用機器の固有番号毎に運行情報を管理する(ステップS122)。また、管理部122は、関係者毎に運行情報を管理する(ステップS123)。次いで、第一の生成部123は、固有番号の輸送用機器の運行に関わる関係者の属性毎に、運行情報を通知する文章を生成する(ステップS124)。次いで、送信部124は、文章を関係者が視認する表示装置220に送信する(ステップS125)。次いで、受信部125が、送信先の表示装置220からスケジュール情報の通知要求を受信した場合(S126;YES)、第二の生成部126がスケジュール情報を通知する文章を生成する(ステップS127)。次いで、送信部124は、通知要求の送信元の表示装置220にスケジュール情報を通知する文章を送信する(ステップS128)。一方、S126において、送信先の表示装置220からスケジュールの通知要求を受信しない場合(S126;NO)、本フローを終了する。以上で、文章生成装置120は、文章生成の処理を終了する。
【0059】
本変形例の文章生成装置120において、管理部122は、関係者毎に運行情報を管理する。そして、受信部125が、送信先の表示装置220からスケジュール情報の通知要求を受信した場合、第二の生成部126が関係者毎に管理された運行情報に基づき、その関係者のスケジュール情報を通知する文章を生成し、送信部124が表示装置220にスケジュール情報を通知する文章を送信する。これにより、関係者毎に異なるスケジュール情報を簡単に通知することができる。
【0060】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。本開示は、本明細書に記載された事項を必要に応じて適宜に組み合わせ、又は置換した実施の形態を含み得る。例えば、特定の実施の形態を用いて説明された事項は、矛盾を生じない範囲において、他の実施の形態に対しても適用され得る。例えば、複数の動作をフローチャートの形式で順番に記載してあるが、その記載の順番は複数の動作を実行する順番を限定するものではない。このため、各実施の形態を実施するときには、その複数の動作の順番を内容的に支障しない範囲で変更することができる。具体的には、
図14のフローチャートにおいて、S123とS124のフローは同時タイミングで実施してもよい。また、
図14のフローチャートにおいて、S126のフローは省略してもよい。すなわち、受信部125が表示装置220からスケジュールの通知要求を受信しなくても、第二の生成部126が関係者毎に管理された運行情報に基づき、各関係者のスケジュール情報を通知する文章を生成し、送信部124が生成した文章を表示装置220にそれぞれ送信してもよい。
【符号の説明】
【0061】
12 文章生成システム
100、110、120 文章生成装置
101、111、121 運行情報取得部
102、112、122 管理部
103、114、123 第一の生成部
113 外部情報取得部
124 送信部
125 受信部
126 第二の生成部
220 表示装置
500 コンピュータ装置
501 プロセッサ
502 ROM
503 RAM
504 プログラム
505 記憶装置
506 記録媒体
507 ドライブ装置
508 通信インタフェース
509 入出力インタフェース
510 バス