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特開2024-177806接続切替回路、及び、それを用いた高周波加熱装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177806
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】接続切替回路、及び、それを用いた高周波加熱装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 6/66 20060101AFI20241217BHJP
【FI】
H05B6/66 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096146
(22)【出願日】2023-06-12
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】河口 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】庄司 浩幸
(72)【発明者】
【氏名】須賀 卓
【テーマコード(参考)】
3K086
【Fターム(参考)】
3K086AA02
3K086AA03
3K086BA08
3K086CC01
3K086CD30
3K086DA06
3K086DB05
3K086DB23
3K086FA03
3K086FA04
(57)【要約】
【課題】 商用交流電源とバッテリ駆動の双方に対応した高周波加熱装置において、バッテリのみから電力を供給する場合に、追加素子の低減と、インバータ回路の損失増加の抑制を両立する。
【解決手段】 商用交流電源を電源とした第1直流電源と、バッテリを電源とした第2直流電源を入力とし、負荷に直流電圧を出力する接続切替回路であって、第1スイッチング素子と第2スイッチング素子を直列接続したスイッチングレグと、リアクトルと、第1スイッチと、第1ダイオードを有し、スイッチングレグの一端は、第1直流電源の正極に接続され、スイッチングレグの他端は、第1直流電源と第2直流電源と負荷の負極に接続され、リアクトルの一端と第1ダイオードのアノード端子は、スイッチングレグの中点に接続され、リアクトルの他端は、第1スイッチを介して第2直流電源の正極に接続され、第1ダイオードのカソード端子は、負荷の正極に接続された接続切替回路。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用交流電源を電源とした第1直流電源と、バッテリを電源とした第2直流電源を入力とし、負荷に直流電圧を出力する接続切替回路であって、
第1スイッチング素子と第2スイッチング素子を直列接続したスイッチングレグと、リアクトルと、第1スイッチと、第1ダイオードを有し、
前記スイッチングレグの一端は、前記第1直流電源の正極に接続され、
前記スイッチングレグの他端は、前記第1直流電源と前記第2直流電源と前記負荷の負極に接続され、
前記リアクトルの一端と前記第1ダイオードのアノード端子は、前記スイッチングレグの中点に接続され、
前記リアクトルの他端は、前記第1スイッチを介して前記第2直流電源の正極に接続され、
前記第1ダイオードのカソード端子は、前記負荷の正極に接続されたことを特徴とする接続切替回路。
【請求項2】
請求項1に記載の接続切替回路において、
前記第1スイッチング素子をオン状態、前記第1スイッチと前記第2スイッチング素子をオフ状態としたことで、前記第1直流電源から前記負荷へ電力を供給する第1動作モードと、
前記第1スイッチング素子をオフ状態、前記第1スイッチをオン状態とし、前記第2スイッチング素子をスイッチング動作させることで前記第2直流電源から前記負荷へ電力を供給する第2動作モードと、
を備えたことを特徴とする接続切替回路。
【請求項3】
請求項1に記載の接続切替回路において、
前記第2スイッチング素子と逆並列に第2ダイオードを備え、
前記第2スイッチング素子をオフ状態、前記第1スイッチをオン状態とし、前記第1スイッチング素子をスイッチング動作させることで、前記商用交流電源から前記バッテリを充電する第3動作モードを備えたことを特徴とする接続切替回路。
【請求項4】
請求項1に記載の接続切替回路において、
前記第1直流電源は、交流電圧を整流した時間的に変動する非平滑電源であり、
前記第1スイッチは、
スイッチと逆並列ダイオードの組合せで構成された第1内部スイッチと、
スイッチと逆並列ダイオードの組合せで構成された第2内部スイッチを直列接続した構成であり、
前記第1スイッチング素子をオン状態、前記第2スイッチング素子をオフ状態、前記第1内部スイッチをオフ状態、前記第2内部スイッチをオン状態とすることで、前記第1直流電源と前記第2直流電源の和電力を前記負荷へ供給する動作モードを備えたことを特徴とする接続切替回路。
【請求項5】
請求項1に記載の接続切替回路において、
前記第2スイッチング素子は、MOSFETであることを特徴とする接続切替回路。
【請求項6】
請求項1に記載の接続切替回路を備えた高周波加熱装置であって、
前記第1直流電源は、前記商用交流電源からの交流電圧を整流する第1整流器であり、
前記負荷は、前記接続切替回路の出力電圧を昇圧する第1インバータ回路と、該第1インバータ回路の出力電圧によって駆動される第1マグネトロンであることを特徴とする高周波加熱装置。
【請求項7】
請求項6に記載の高周波加熱装置において、
前記第1直流電源として、前記商用交流電源からの交流電圧を整流する第2整流器を有し、
該第2整流器の負荷として、前記第2整流器の出力電圧を昇圧する第2インバータ回路と、該第2インバータ回路の出力電圧によって駆動される第2マグネトロンを有することを特徴とする高周波加熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数電源と負荷の接続を切り替える接続切替回路、及び、それを用いた高周波加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の高周波加熱装置(電子レンジ)は、例えば特許文献1に記載のように、高周波出力を発生するマグネトロンと、商用交流電源に接続され電源を直流化する整流回路と、整流回路に接続され、マグネトロンを駆動するインバータ回路より構成されており、交流電源からインバータ回路を介してマグネトロンに高電圧を印加することで高周波出力を生成する。
【0003】
一般家庭における交流電源コンセントには容量制限があるため、商用交流電源のみを電源として動作する家電機器では一定以上の大出力化は困難であり高周波加熱装置の高速加熱という特長をさらに高めることが困難であるという課題があった。また、近年、太陽光発電の余剰電力の利用や停電時のバックアップとして家庭向けのバッテリシステムが提案されているが、停電時のブレーカーの切り替えや家電機器の接続先の変更などが必要でありユーザーの利便性という観点で課題がある。
【0004】
この課題に対して、特許文献2に記載の技術では、高周波加熱装置の内部にバッテリを備え、商用交流電源とバッテリから同時に電力を供給することで、交流電源のみを用いた場合と比較して大出力化を図った構成が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5216547号公報
【特許文献2】特開平5-226071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2では、整流器とインバータ回路の間にバッテリとバッテリを充放電する充放電回路を備えた構成とし、バッテリから商用交流電源のピーク電圧よりも低い電圧を出力し、商用交流電源のゼロクロス付近においてバッテリから電力を供給することで、マグネトロンの利用率を向上し、商用交流電源のみから電力を供給する場合に比べて大出力化を可能としている。
【0007】
しかしながら、実施例2の構成において、バッテリからの電力のみでマグネトロンを駆動する場合には、商用交流電源からの電力供給を阻止するために、バッテリからの出力電圧を商用交流電源のピーク電圧よりも高い値に制御する必要がある。この場合、インバータ回路において動作電圧範囲を拡大する必要があるが、一般的なインバータ回路では動作電圧範囲を拡大するためには電力変換効率が低下する課題がある。
【0008】
この課題の対策として、商用交流電源とインバータ回路の間にスイッチを追加し、バッテリのみから電力を供給する際に、スイッチをオフすることでインバータ回路を商用交流電源から切り離す方法が考えられる。この場合、バッテリから任意の電圧をインバータ回路に供給できるが、高周波加熱装置内に商用交流電源を切り離すためのスイッチを追加した分、高周波加熱装置の製造コストの増加が課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の接続切替回路は、商用交流電源を電源とした第1直流電源と、バッテリを電源とした第2直流電源を入力とし、負荷に直流電圧を出力する接続切替回路であって、第1スイッチング素子と第2スイッチング素子を直列接続したスイッチングレグと、リアクトルと、第1スイッチと、第1ダイオードを有し、前記スイッチングレグの一端は、前記第1直流電源の正極に接続され、前記スイッチングレグの他端は、前記第1直流電源と前記第2直流電源と前記負荷の負極に接続され、前記リアクトルの一端と前記第1ダイオードのアノード端子は、前記スイッチングレグの中点に接続され、前記リアクトルの他端は、前記第1スイッチを介して前記第2直流電源の正極に接続され、前記第1ダイオードのカソード端子は、前記負荷の正極に接続された接続切替回路とした。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、商用交流電源と負荷の接続をオンオフするためだけのスイッチを用いることなく、バッテリと負荷の接続をオンオフするための接続切替回路の構成を僅かに変更するだけで、商用交流電源と負荷の接続をオンオフする機能を持たせることができるので、装置全体としての製造コスト増加を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例1の接続切替回路と高周波加熱装置の回路構成図。
図2】実施例1の高周波加熱装置の動作モードを説明する図。
図3A】実施例1の高周波加熱装置のモードAを説明する図。
図3B】実施例1の高周波加熱装置のモードB1を説明する図。
図3C】実施例1の高周波加熱装置のモードB2を説明する図。
図3D】実施例1の高周波加熱装置のモードC1を説明する図。
図3E】実施例1の高周波加熱装置のモードC2を説明する図。
図4A】実施例1の高周波加熱装置の交流電源駆動時の電圧・電流波形を説明する波形図。
図4B】実施例1の高周波加熱装置のバッテリ駆動時の電圧・電流波形を説明する波形図。
図5】実施例2の接続切替回路の回路構成図。
図6】実施例2の高周波加熱装置の動作モードを説明する図。
図7A】実施例2の高周波加熱装置のモードD1を説明する図。
図7B】実施例2の高周波加熱装置のモードD2を説明する図。
図7C】実施例2の高周波加熱装置のモードD3を説明する図。
図8】実施例2の高周波加熱装置の電圧・電流波形を説明する波形図。
図9】実施例2の接続切替回路及びそれを用いた高周波加熱装置の動作を説明する波形図。
図10】実施例3の接続切替回路と高周波加熱装置の回路構成図。
図11】実施例3の高周波加熱装置の動作モードを説明する図。
図12A】実施例3の高周波加熱装置のモードAを説明する図。
図12B】実施例3の高周波加熱装置のモードBを説明する図。
図12C】実施例3の高周波加熱装置のモードCを説明する図。
図12D】実施例3の高周波加熱装置のモードDを説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の望ましい実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【実施例0013】
まず、本発明の実施例1について、図1図4を用いて説明する。なお、図1は、実施例1の接続切替回路1を用いた高周波加熱装置2の回路構成図である。図2図3A~3Eは、実施例1の高周波加熱装置2の動作モードを説明する図である。図4A、4Bは、実施例1の高周波加熱装置2の動作波形図である。
【0014】
図1に示すように、本実施例の高周波加熱装置2は、商用交流電源3に接続されるとともに、バッテリ20、整流器21、インバータ回路22、マグネトロン23、および、接続切替回路1を備えた、いわゆる電子レンジである。以下、高周波加熱装置2が備える各構成を順次説明する。
【0015】
バッテリ20は、リチウムイオン電池等の充放電可能な二次電池である。以下では、バッテリ20の端子のうち、高電位側を正極、低電位側を負極と称する。
【0016】
整流器21は、商用交流電源3の電圧Vacを整流した直流電圧Vinを出力する。以下では、整流器21の出力端子のうち、高電位側を正極、低電位側を負極と称する。
【0017】
インバータ回路22は、百V程度の低電圧の直流電圧を入力として、数kVの直流電圧を生成する接続切替回路である。以下では、インバータ回路22の入力端子のうち、高電位側を正極、低電位側を負極と称する。
【0018】
マグネトロン23は、図示しない加熱室内に高周波電圧を供給して、加熱室内の被加熱物(食品等)を誘電加熱する加熱装置である。
【0019】
接続切替回路1は、スイッチング素子S、Sと、リアクトルLと、スイッチSと、ダイオードDで構成されており、スイッチS、スイッチング素子S、Sを適当に動作させることで、商用交流電源3でマグネトロン23を駆動する接続と、バッテリ20でマグネトロン23を駆動する接続と、商用交流電源3でバッテリ20を充電する接続を切り替える回路である。この接続切替回路1をより具体的に説明すれば、次のような構成である。
【0020】
すなわち、本実施例の接続切替回路1は、スイッチング素子Sとスイッチング素子Sを直列接続したスイッチングレグの一端を整流器21の正極に接続し、スイッチングレグの他端をバッテリ20と整流器21とインバータ回路22の負極に接続し、リアクトルLの一端とダイオードDのアノード端子をスイッチングレグの中点に接続し、リアクトルLの他端をスイッチSを介してバッテリ20の正極と接続し、ダイオードDのカソード端子をインバータ回路22の正極に接続した回路である。
【0021】
なお、本実施例の高周波加熱装置2では、整流器21で整流された電圧を非平滑でインバータ回路22へ入力することで、入力電流を正弦波に近い波形とすることが可能となり、電源高調波規制に対応している。
【0022】
<高周波加熱装置2の動作モード>
次に、図2図4を用いて、接続切替回路1の代表的な動作モードを説明する。図2は、各動作モード時のスイッチS、スイッチング素子S、S、インバータ回路22の状態を示す。図3A図3Eは、各動作モード時の電流の流れを示す。図4Aは、AC駆動モード中の動作波形を示し、図4Bは、バッテリ駆動モード中の動作波形を示す。なお、図4中の動作波形は図1に記載の各記号に対応している。
【0023】
<モードA>
モードAは、商用交流電源3からの電力のみでマグネトロン23を駆動するモードである。このモードAでは、図3図4Aに示すように、スイッチSはオフ状態であるため、バッテリ20は接続切替回路1から切り離される。このとき、スイッチング素子Sはオン状態、スイッチング素子Sはオフ状態であり、インバータ回路22には整流器21により整流された直流電圧Vinが印加される。
【0024】
<モードB>
モードBは、バッテリ20からの電力のみでマグネトロン23を駆動するモードである。このモードBでは、図3図4B図4Cに示すように、スイッチSはオン状態であり、バッテリ20を接続切替回路1と接続する。このとき、スイッチング素子Sをオフ状態とすることで、インバータ回路22を商用交流電源3から切り離す。そして、スイッチング素子SをPWM制御によりスイッチング動作させることで、接続切替回路1からインバータ回路22へ任意の電圧を印加する。以下にモードB1、モードB2の詳細な回路動作を説明する。
【0025】
図4Bに示すモードB1では、スイッチング素子Sはオン状態であり、バッテリ20からスイッチS、リアクトルL、スイッチング素子Sの経路で電流が流れ、リアクトルLにエネルギーを蓄積する。モードB1において、スイッチング素子SをオフするとモードB2へ移行する。
【0026】
図4Cに示すモードB2では、スイッチング素子Sはオフ状態であり、バッテリ20から、スイッチS、リアクトルL、ダイオードD、インバータ回路22の経路で電流が流れ、リアクトルLのエネルギーを放出する。モードB2において、スイッチング素子Sをオンすると、モードB1へ移行する。
【0027】
このモードBでは、基本的に、モードB1とモードB2を繰り返すことで、バッテリ20の電力をインバータ回路22に供給する。
【0028】
<モードC>
モードCは、商用交流電源3からの電力でバッテリ20を充電するモードである。このモードCでは、図3に示すように、インバータ回路22は停止となる。また、図3図4D図4Eに示すように、スイッチSはオン状態であり、スイッチング素子SをPWM制御によりスイッチング動作させることで、バッテリ20の充電電流を制御する。このとき、スイッチング素子Sはオフ状態とする。以下にモードC1、モードC2の詳細な回路動作を説明する。
【0029】
図4Dに示すモードC1では、スイッチSとスイッチング素子Sがオン状態、スイッチング素子Sはオフ状態であり、商用交流電源3から、整流器21、スイッチング素子S、リアクトルL、バッテリ20の経路で電流が流れ、リアクトルLにエネルギーが蓄積される。このとき、スイッチング素子Sをオフすることで、モードC2へ移行する。
【0030】
図4Eに示すモードC2では、スイッチSはオン状態、スイッチング素子S及びSはオフ状態であり、リアクトルLの蓄積エネルギーは、バッテリ20、ダイオードD、スイッチSの経路で放出される。但し、スイッチング素子SにMOSFETを用いた場合にはスイッチング素子Sと相補駆動とすることで同期整流が可能である。
【0031】
このように、実施例1では、接続切替回路1内のスイッチング素子SとダイオードDを介して、整流器21とインバータ回路22の正極同士と接続したことで、高周波加熱装置2内に商用交流電源3を切り離すためだけのスイッチを設けることなく、接続切替回路1内のスイッチング素子Sをオフすることにより商用交流電源3とインバータ回路22の接続を遮断し、商用交流電源3からの電力供給を阻止することが可能となる。その結果、高周波加熱装置全体としての製造コスト増加を抑制することができる。
【実施例0032】
次に、本発明の実施例2について、図5図9を用いて説明する。但し、上述した実施例1の説明と重複する部分は記載を省略する。なお、図5は、実施例2の接続切替回路1Aの回路構成図である。図6図7A~7C、図8は、実施例2の接続切替回路1Aの動作モードを説明する図である。図8は、実施例2の高周波加熱装置2の各部の電圧・電流波形を示し、図9は、図8のモードD2及びモードD3の領域を時間的に拡大した波形を示している。
【0033】
本実施例の接続切替回路1Aは、スイッチング素子S、S、リアクトルL、ダイオードD、スイッチSを備える点で実施例1と共通するが、図5に示すように、スイッチSをスイッチSb1とスイッチSb2から構成される双方向スイッチとした点が実施例1と異なる。このようにスイッチSを双方向スイッチとした構成において、スイッチSb2のみをオン状態とすることで、商用交流電源3とバッテリ20を同時にインバータ回路22に接続することが可能となる。以下に動作モードを説明する。
【0034】
<モードD1>
図6のように、スイッチング素子SとスイッチSb2をオン、スイッチング素子SとスイッチSb1をオフにした状態において、図8のように、整流器21の出力電圧Vinとバッテリ電圧Vbatの関係が、Vin>Vbatの領域がモードD1となる。
【0035】
このとき、図7Aに示すように、商用交流電源3から、整流器21、スイッチング素子S、ダイオードD、インバータ回路22の経路で電流が流れるため、バッテリ20からインバータ回路22に流れ込む電流Iはゼロとなる。なお、スイッチSb1の逆並列ダイオードが存在するためバッテリ20に流れ込む電流は阻止される。
【0036】
<モードD2>
モードD1の状態において、整流器21の出力電圧Vinとバッテリ電圧Vbatの関係がVin=Vbatとなると、図8図9のように、モードD2へ移行する。このとき、図7Bに示すように、商用交流電源3から、整流器21、スイッチング素子S、ダイオードD、インバータ回路22の経路と、バッテリ20、スイッチSb1、Sb2、リアクトルL、ダイオードD、インバータ回路22の経路で電流が流れるため、商用交流電源3とバッテリ20の双方からインバータ回路22に電力を供給することができる。
【0037】
<モードD3>
モードD2の状態で、整流器21の出力電圧Vinとバッテリ電圧Vbatの関係がVin<Vとなると、図8図9のように、モードD3へ移行する。モードD3では、図7Cに示すように、バッテリ20から、スイッチSb1、Sb2、リアクトルL、ダイオードD、インバータ回路22の経路で電流が流れる。このとき、Vin=VとなるとモードD2へ移行する。
【0038】
このように、本実施例の接続切替回路1Aを用いることで、実施例1の接続切替回路1では困難であった商用交流電源3とバッテリ20の双方から電力を供給することが可能となる。ただし、本実施例において、モードD3の期間が増加すると商用交流電源側の電流歪が増加するため、電源高調波を考慮したバッテリ電圧Vbatの設定が必要である。
【実施例0039】
次に、本発明の実施例3について、図10図12を用いて説明する。但し、上述した実施例の説明と重複する部分は記載を省略する。なお、図10は、実施例3の高周波加熱装置2Aの回路構成図である。また、図11及び図12は、高周波回路加熱装置2Aの動作モードを説明する図である。
【0040】
本実施例の高周波加熱装置2Aは、マグネトロン23の出力を加熱室内の2箇所から被加熱物に供給できるよう、2つのマグネトロン23A、23Bを備えた点が特徴である。本実施例では、両マグネトロンを駆動するため、高周波加熱装置2Aを次のように構成した。すなわち、マグネトロン23Aを駆動する構成として、整流器21Aとインバータ回路22Aを設けた。また、マグネトロン23Bを駆動する構成として、バッテリ20と整流器21Bとインバータ回路22Bと接続切替回路1Aを設けた。なお、整流器21Aと整流器21Bは共に商用交流電源3から入力された交流電圧Vacを整流し、夫々、直流電圧VinA、VinBを出力するものであり、また、マグネトロン23B側の構成は実施例2の構成と同等である。
【0041】
次に、図11及び図12を用いて高周波加熱装置2Aの動作モードについて説明する。
【0042】
<モードA>
モードAは、商用交流電源3のみからマグネトロン23A、23Bへ電力を供給するモードであり、マグネトロンの合計出力は商用交流電源3の電流容量で制約される。モードAでは、図11に示すように、スイッチSとスイッチング素子Sをオフ状態、スイッチング素子Sをオン状態とすることで、図12Aに示すように、商用交流電源3の電圧を各インバータ回路に入力する。
【0043】
<モードB>
モードBは、商用交流電源3からマグネトロン23Aへ電力を供給し、バッテリ20からマグネトロン23Bへ電力を供給するモードあり、マグネトロンの合計出力は、モードAと比較して大出力化が可能となる。モードBでは、図11に示すように、スイッチSをオン状態、スイッチング素子Sをオフ状態とし、スイッチング素子SをPWM制御によりスイッチング動作させることで、図12Bに示すように、インバータ回路22Bに任意の電圧を出力する。なお、接続切替回路1の出力電圧Vは、スイッチング素子Sのオン時間Tonとバッテリ電圧Vbatとスイッチング周期Tswより式1及び式2の関係で決定される。
【0044】
=1/(1-D)×Vbat ・・・ (式1)
D=Ton/Tsw ・・・ (式2)
<モードC>
モードCは、図12Cに示すように、バッテリ20からマグネトロン23Bのみへ電力を供給するモードであり、マグネトロンの合計出力はバッテリ20の電力制約で制限される。このとき、図11に示すように、スイッチSをオン状態、スイッチSをオフ状態とし、スイッチング素子SをPWM制御によりスイッチング動作させることでインバータ回路に任意の電圧を出力する。
【0045】
<モードD>
モードDは、図12Dに示すように、商用交流電源3からバッテリ20を充電するモードであり、マグネトロンへ電力は供給しないモードとなる。このとき、図11に示すように、スイッチSをオン状態、スイッチング素子Sをオフ状態とし、スイッチング素子SをPWM制御によりスイッチング動作させることで、バッテリ20への充電電力を制御する。
【0046】
このように、本実施例3の高周波加熱装置2Aではマグネトロンを複数備えた構成とすることで、例えば2つのマグネトロンの出力を上下方向から被加熱物に供給することで均一に高周波出力を供給可能であり、加熱効率の向上や加熱ムラの解消が期待できる。
【0047】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成を置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0048】
1 接続切替回路、
2 高周波加熱装置、
20 バッテリ、
21 整流器、
22 インバータ回路、
23 マグネトロン、
3 商用交流電源
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図12D