(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177808
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】制御装置、撮像装置、制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G02B 7/28 20210101AFI20241217BHJP
G02B 7/34 20210101ALI20241217BHJP
G02B 7/40 20210101ALI20241217BHJP
G03B 13/36 20210101ALI20241217BHJP
H04N 23/67 20230101ALI20241217BHJP
【FI】
G02B7/28 N
G02B7/34
G02B7/40
G03B13/36
H04N23/67
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096150
(22)【出願日】2023-06-12
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110412
【弁理士】
【氏名又は名称】藤元 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100104628
【弁理士】
【氏名又は名称】水本 敦也
(74)【代理人】
【識別番号】100121614
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 倫也
(72)【発明者】
【氏名】坂東 和馬
(72)【発明者】
【氏名】堀川 洋平
【テーマコード(参考)】
2H011
2H151
5C122
【Fターム(参考)】
2H011BA23
2H011BA41
2H151BA06
2H151BB27
2H151CC02
2H151CE30
2H151CE34
2H151DA34
2H151DA38
2H151EB04
2H151EB20
5C122EA52
5C122FB05
5C122FC06
5C122FD01
5C122FD04
5C122FD07
5C122FH14
5C122GG05
5C122HA13
5C122HA35
5C122HA86
5C122HA89
5C122HB01
5C122HB02
(57)【要約】
【課題】消費電力を抑えつつ高精度な距離情報を取得可能な制御装置を提供すること。
【解決手段】制御装置は、画像情報を取得するために用いられる第1の光学系と第1の光学系と異なる第2の光学系とを制御するための制御装置であって、第1の光学系を用いて得られる、画像情報に対応する第1の距離情報と第2の光学系を用いて得られる、画像情報に対応する第2の距離情報との少なくとも一つを取得する取得部と、第1の距離情報の信頼性が所定値より高い場合、取得部が第1の距離情報を取得するように第1の光学系を制御し、第1の距離情報の信頼性が所定値より低い場合、取得部が第2の距離情報を取得するように第2の光学系を制御する制御部とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像情報を取得するために用いられる第1の光学系と前記第1の光学系と異なる第2の光学系とを制御するための制御装置であって、
前記第1の光学系を用いて得られる、前記画像情報に対応する第1の距離情報と前記第2の光学系を用いて得られる、前記画像情報に対応する第2の距離情報との少なくとも一つを取得する取得部と、
前記第1の距離情報の信頼性が所定値より高い場合、前記取得部が前記第1の距離情報を取得するように前記第1の光学系を制御し、前記信頼性が前記所定値より低い場合、前記取得部が前記第2の距離情報を取得するように前記第2の光学系を制御する制御部とを有することを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記画像情報のコントラストが所定値より高い場合、前記信頼性は前記所定値より高く、前記コントラストが前記所定値より低い場合、前記信頼性は前記所定値より低いことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記第1の光学系のピント位置が所定範囲内である場合、前記信頼性は前記所定値より高く、前記ピント位置が所定範囲外である場合、前記信頼性は前記所定値より低いことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記信頼性が前記所定値より高く、かつ前記第1の光学系を用いて記録用の画像が取得されている場合、前記取得部が前記第2の距離情報を取得するように前記第2の光学系を制御することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記第2の距離情報を取得するフレームレートは、前記第1の距離情報を取得するフレームレートより小さいことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記信頼性が前記所定値より低く、かつ前記第1及び第2の光学系を駆動するためのバッテリーの残量が所定量より少ない場合、前記取得部が前記第1の距離情報を取得するように前記第1の光学系を制御することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の制御装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記信頼性が前記所定値より低く、前記第2の光学系から射出された後、対象物により反射された光とは異なる環境光の光量が所定量より大きい場合、前記取得部が前記第1の距離情報を取得するように前記第1の光学系を制御することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の制御装置。
【請求項8】
前記第1の光学系は、画像の画像信号を生成する通常画素と前記画像の位相差を検出する位相差検出画素とを含み、前記通常画素の出力に基づいて撮像を行う撮像部と、前記位相差検出画素の出力に基づいて前記第1の距離情報を取得する測距部とを備えることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の制御装置。
【請求項9】
前記第2の光学系は、光を射出する発光部と、前記発光部から射出され、対象物により反射された光を用いて前記第2の距離情報を取得する受光部とを備えることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の制御装置。
【請求項10】
請求項1乃至3の何れか一項に記載の制御装置と、
第1の光学系と、
前記第1の光学系とは異なる第2の光学系とを有することを特徴とする撮像装置。
【請求項11】
画像情報を取得するために用いられる第1の光学系と前記第1の光学系と異なる第2の光学系とを制御するための制御方法であって、
前記第1の光学系を用いて得られる、前記画像情報に対応する第1の距離情報と前記第2の光学系を用いて得られる、前記画像情報に対応する第2の距離情報との少なくとも一つを取得するステップと、
前記第1の距離情報の信頼性が所定値より高い場合、前記取得部が前記第1の距離情報を取得するように前記第1の光学系を制御し、前記前記第1の距離情報の信頼性が前記所定値より低い場合、前記取得部が前記第2の距離情報を取得するように前記第2の光学系を制御するステップとを有することを特徴とする制御方法。
【請求項12】
請求項11に記載の制御方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、撮像装置、制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、対象物までの距離を測定する方式として、画像情報を用いて測距するパッシブ測距方式と補助光を照射して測距するアクティブ測距方式が知られている。パッシブ測距方式では、遠方の対象物までの距離を高精度に取得することは難しい。アクティブ測距方式として、赤外線レーザー光を照射された対象物からの反射光を受光するまでの時間から対象物までの距離を測定するLiDAR(Light Detection and Ranging)が知られている。LiDARは、対象物までの距離に関係なく、距離情報を高精度に取得可能であるが、パッシブ測距方式に比べて消費電力が大きくなる。各測距方式には一長一短があるが、特許文献1には撮像画像の平均輝度に基づいて、アクティブ測距方式とパッシブ測距方式のいずれかを選択する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構成では、コントラストの低い対象物までの距離や、画面全体でピントが合っていないボケ状態において対象物までの距離を取得する場合、パッシブ測距方式からアクティブ測距方式に切り替えないため、距離情報の精度が悪化してしまう。
【0005】
本発明は、消費電力を抑えつつ距離情報を高精度に取得可能な制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面としての制御装置は、画像情報を取得するために用いられる第1の光学系と第1の光学系と異なる第2の光学系とを制御するための制御装置であって、第1の光学系を用いて得られる、画像情報に対応する第1の距離情報と第2の光学系を用いて得られる、画像情報に対応する第2の距離情報との少なくとも一つを取得する取得部と、第1の距離情報の信頼性が所定値より高い場合、取得部が第1の距離情報を取得するように第1の光学系を制御し、第1の距離情報の信頼性が所定値より低い場合、取得部が第2の距離情報を取得するように第2の光学系を制御する制御部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、消費電力を抑えつつ距離情報を高精度に取得可能な制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施形態の撮像装置の構成を表すブロック図である。
【
図2】第1の実施形態の撮像センサの説明図である。
【
図3】第1の実施形態の撮像センサ上の光学像の結像関係を示す断面図である。
【
図4】第1の実施形態のLiDAR測距部の説明図である。
【
図5】第1の実施形態の撮像装置の動作を示すフローチャートである。
【
図6】第1の実施形態の第2の距離情報取得処理を示すフローチャートである。
【
図7】第2の実施形態の距離情報を取得するタイミングを示すタイミングチャートである。
【
図8】第3の実施形態の撮像装置の構成を表すブロック図である。
【
図9】第3の実施形態の第2の距離情報取得処理を示すフローチャートである。
【
図10】第4の実施形態の撮像装置の構成を表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
【0010】
従来、対象物までの距離を測定する方式として、画像情報を用いて測距するパッシブ測距方式と補助光を照射して測距するアクティブ測距方式が知られている。
【0011】
パッシブ測距方式としての位相差検出方式では、撮像素子内に位相の異なる信号を検出する位相差検出画素を配置し、位相の異なる信号間の相関演算を行うことによって被写体の距離情報を取得する。
【0012】
アクティブ測距方式では、赤外線レーザーの発光タイミングと対象物(被写体)からの反射光の検出タイミングとの時間差(赤外線レーザー光の往復時間)から対象物までの距離が測定される。反射光を検出するセンサとして、例えば、単一フォトンの検出が可能なSPAD(Single Photon Avaranche Diode)センサを用いることができる。SPADセンサは、入射した単一フォトンを、アバランシェ増倍により極めて短時間の検出パルスとして検出する。赤外線レーザーの発光タイミングから当該検出パルスのタイミングまでの時間計測は、TDC(Time to Digital converter)により行う技術が実用化されている。実際には、1個のフォトンの到来時刻では揺らぎが大きいので、赤外線レーザーの発光と単一フォトンの検出を周期的に繰り返して、時間計測結果をヒストグラム化し、統計処理する。これにより、時間差すなわち距離測定(以下、LiDAR測距と記す)の精度を向上させることができる。また、赤外線レーザーとSPADセンサを、2次元アレイ化することで、LiDAR測距の結果を2次元化することができ、いわゆる距離マップを生成することができる。近年の撮影機器は、距離マップと撮像画像とを用いて立体的なコンピュータグラフィックスモデルや平面的なマップ(以下、これらを総称して空間モデル、又は3Dモデルと呼称する)の生成やAF(Auto Focus)を実現することができる。
[第1の実施形態]
本実施形態では、パッシブ測距方式で得られた距離情報の信頼性を判定し、信頼性が低い場合にアクティブ測距方式に切り替える例について説明する。具体的には、第1の光学系を用いて取得される距離情報の信頼性が低い場合、第2の光学系を用いて距離情報を取得する。
【0013】
図1は、本実施形態の撮像装置100の構成を表すブロック図である。撮像装置100は、例えば、デジタルカメラ、スマートフォン、及びドローン等である。撮像装置100は、制御部101、撮像レンズ102、撮像センサ(撮像部)103、センサ補正手段104、像ずれ量算出手段106、信頼性判定手段107、デフォーカス変換手段108、及びレンズ駆動部109を有する。また、撮像装置100は、LiDAR測距部110、LiDAR補正手段113、ヒストグラム算出手段114、及び視点位置補正手段115を備える。撮像レンズ102、撮像センサ103、及び像ずれ量算出手段106は、第1の光学系として機能し、画像情報と画像情報に対応する第1の距離情報を取得する。また、LiDAR測距部110は、第2の光学系として機能し、第1の光学系を用いて取得された画像情報に対応する第2の距離情報を取得する。
【0014】
また、s101は撮像に関わる入射光、s102は可視光RAWデータ、s103は各種補正された画像信号、s105は像ずれ量、s106は信頼性判定結果、s107はデフォーカス量である。また、s108はレーザー光、s109はレーザー光s108を照射された対象物からの反射光、s110はLiDAR測距情報、s111は各種補正された距離情報、s112は距離マップ、s113は視点位置が補正された距離情報である。更に、s114はレンズ駆動量である。
【0015】
制御部101は、撮像装置100全体を制御する制御装置であり、信頼性判定手段107から信頼性判定結果s106を受けて、LiDAR測距部110を制御する。制御部101は、不図示の記憶部に記憶された各種プログラムにより、プログラムに従って演算処理及び制御処理を実行する。
【0016】
制御部101は、取得部101aと光学系制御部(制御部)101bとを備える。取得部101aは、第1の光学系を用いて得られる、画像情報に対応する第1の距離情報と第2の光学系とを用いて得られる、画像情報に対応する第2の距離情報の少なくとも一つを取得する。光学系制御部101bは、第1の距離情報の信頼性が所定値より高い場合、取得部101aが第1の距離情報を取得するように第1の光学系を制御する。また、光学系制御部101bは、第1の距離情報の信頼性が所定値より低い場合、取得部101aが第2の距離情報を取得するように第2の光学系を制御する。なお、第1の距離情報の信頼性が所定値と等しい場合に制御する光学系は任意に設定可能である。
【0017】
言い換えると、本実施形態では、少なくとも1以上のプロセッサが少なくとも1以上のメモリに記憶されたプログラムを実行した場合に取得部101a及び光学系制御部101bとして機能する。具体的には、少なくとも1以上のプロセッサが第1及び第2の距離情報の少なくとも一つを取得する処理と第1及び第2の距離情報の一方を取得することができない期間に応じて第1及び第2の光学系のいずれかを制御する処理とを実行する。
【0018】
撮像レンズ102は、撮像センサ103に入射光s101を集光する。また、撮像レンズ102は、レンズ駆動部109からのレンズ駆動量s114に基づいて移動することで、オートフォーカス制御を行う。撮像レンズ102と撮像センサ103を含む第1の光学系は、LiDAR測距部110を含む第2の光学系と少なくとも一部の画角を共有している。具体的には、第1の光学系と第2の光学系は、少なくとも1つ以上の同じ対象物をとらえている。
【0019】
撮像センサ103は、マイクロレンズと光電変換部を持つ画素を複数備え、撮像レンズ102によって形成された像を光電変換することで可視光RAWデータs102を生成する。
【0020】
図2は、本実施形態の撮像センサ103の説明図である。
図2(a)は、撮像センサ103の構成を示している。撮像センサ103は、画素配列201、垂直走査回路202、水平走査回路203、及びタイミングジェネレータTG204を備える。画素配列201は、2次元マトリクス状に配列された、複数の単位画素セルを含む。タイミングジェネレータTG204は、撮像期間や転送期間等のタイミングを生成し、垂直走査回路202、水平走査回路203にタイミング信号を送る。垂直走査回路202は、撮像期間の終了するタイミングになると、単位画素セルから出力される信号を垂直伝送路に伝送する。水平走査回路203は、出力伝送路を介して外部に蓄積信号を順次出力する。
【0021】
図2(b)は、画素配列201における1つの単位画素セル205を示している。単位画素セル205は、1つのマイクロレンズ206と一対の光電変換部207a,207bとを含む。光電変換部207a,207bは、共通のマイクロレンズ206を通して撮像レンズ102の射出瞳における互いに異なる瞳領域を通過した光束を受光することで瞳分割を行う。
【0022】
図2(c)は、画素配列201を示している。撮像センサ103は2次元の画像信号を提供するために、画素配列201では複数の単位画素セルが行方向及び列方向へ2次元的に配列されている。208,209,210,211は、
図2(b)の単位画素セル205に相当する。208L,209L,210L,211Lは、
図2(b)の光電変換部207aに相当する。208R,209R,210R,211Rは、
図2(b)の光電変換部207bに相当する。
【0023】
ここで、
図3を参照して、撮像センサ103上の光学像(被写体像)の結像関係について説明する。
図3は、撮像センサ103上の光学像の結像関係を示す断面図であり、撮像レンズ102の射出瞳から射出された光束が撮像センサ103に入射する様子を概念的に示している。301はマイクロレンズであり、302はカラーフィルタである。303は撮像レンズ102の射出瞳を示す。
【0024】
射出瞳303から射出された光束は、光軸306を中心として撮像センサ103に入射する。304,305は、射出瞳303の一部領域を示す。射出瞳303の一部領域304を通過する光の最外周の光線を307,308で示し、射出瞳303の一部領域305を通過する光の最外周の光線を309,310で示す。
【0025】
図3に示されるように、射出瞳303から射出される光束のうち、光軸306を境にして、上側の光束は光電変換部207bに入射し、下側の光束は光電変換部207aに入射する。つまり、光電変換部207a,207bはそれぞれ、射出瞳303の異なる領域の光を受光している。位相差検出は、このような特性を用いて行われる。
【0026】
以下、
図2(c)を参照して位相差検出方式について説明する。単位画素セル205における光電変換部207aは、位相差検出方式による焦点検出用の一対の被写体像のうちA像を光電変換するA像用画素群として用いられる。また、光電変換部207bは、一対の被写体像のうちB像を光電変換するB像用画素群として用いられる。
【0027】
図2(c)の画素配列201では、光電変換部208L~211L・・・を参照する行212をA像用画素群とし、光電変換部208R~211R・・・を参照する行213をB像用画素群とする。A像用画素群から得られた信号と、B像用画素群から得られた信号を相関演算することで位相差信号を取得することができる。行212,213等の位相差信号を像ずれ量算出手段106に出力する行を位相差検出画素行と呼ぶ。このように撮像センサ103に設けられたA像用画素群とB像用画素群とを用いて位相差検出方式の焦点検出を行うAFを、撮像面位相差AFという。また、行214では、単位画素セルの2つの光電変換部からの信号を加算することで、画像信号を読み出すことができる。行214等の画像信号をセンサ補正手段104に出力する行を通常画素行と呼ぶ。通常画素行の単位画素セルは、分割された2つの光電変換部を持たず、1つの光電変換部のみを持ってもよい。
【0028】
なお、位相差検出方式として本実施形態で説明した方法以外の方法を使用してもよい。例えば瞳分割を行うマイクロレンズの下に遮光部と焦点検出用画素を配置し、遮光部の開口位置が異なる2種類の焦点検出用画素の出力を組み合わせて一対の被写体像の像信号を形成してもよい。
【0029】
センサ補正手段104は、撮像センサ103から出力された信号に対して、シェーディング補正や黒引き補正等の各種補正処理を行う。
【0030】
像ずれ量算出手段106は、入射方向の異なる光束を受光した各々の像信号の相関演算を行い、被写体の距離に関連する情報(第1の距離情報)を取得する。すなわち、像ずれ量算出手段106は、位相差検出画素の出力に基づいて第1の距離情報を取得する測距手段として機能する。また、像ずれ量算出手段106は、相関演算結果から像ずれ量s105を算出する。
【0031】
信頼性判定手段107は、像ずれ量算出手段106から出力された像ずれ量s105の信頼性を判定することにより、像ずれ量算出手段106により取得される第1の距離情報の信頼性を判定する。信頼性判定手段107は、信頼性判定結果s106を制御部101に出力する。本実施形態では、信頼性判定手段107は、撮像画像のコントラスト値を用いて像ずれ量s105の信頼性を判定する。具体的には、信頼性判定手段107は、撮像画像のコントラスト値が所定値より高い場合、像ずれ量s105の信頼性が所定値より高いと判定し、撮像画像のコントラスト値が所定値より低い場合、像ずれ量s105の信頼性が所定値より低いと判定する。
【0032】
デフォーカス変換手段108は、像ずれ量算出手段106から出力された像ずれ量s105に所定の変換係数を乗算してデフォーカス量s107を算出する。
【0033】
レンズ駆動部109は、デフォーカス変換手段108からのデフォーカス量s107又は視点位置補正手段115からの距離情報s113を使用して、撮像レンズ102を移動させる量であるレンズ駆動量s114を算出する。
【0034】
LiDAR測距部110は、レーザー発光部112とレーザー受光部111とを含む。
【0035】
ここで、
図4を参照して、LiDAR測距部110について説明する。
図4は、LiDAR測距部110の説明図である。
図4(a)はレーザー受光部111を示しており、
図4(b)はレーザー発光部112を示している。
【0036】
レーザー発光部112は、水平方向と垂直方向に沿って2次元上に配置された複数のレーザー発光素子404を含み、制御部101からのレーザーパルス制御信号に従って赤外線レーザー光を外部に照射する。
【0037】
レーザー受光部111は、2次元上に配置され、それぞれがレーザー発光素子404に対する複数のSPAD素子402を含み、レーザー発光部112からの赤外線レーザー光が対象物に当たって反射した光を受光し、LiDAR測距情報s110を生成する。理想的には1つのレーザー発光素子404に対して、1つのSPAD素子402を配置することで距離情報を取得可能であるが、現実的には反射光が意図したポイントからずれる場合がある。そのため、本実施形態では、1つのレーザー発光素子404に対して、4つのSPAD素子402をまとめたSPAD素子群403を1つのSPAD素子として機能させる。4つのSPAD素子402の出力結果を平均することで、高精度な距離情報を取得することができる。
【0038】
LiDAR補正手段113は、LiDAR測距情報s110に対して、レーザー受光部111とレーザー発光部112との位置ずれ補正や温度特性に係る補正等の各種補正処理を行う。LiDAR補正手段113は、LiDAR測距情報s110を補正した後の距離情報s111をヒストグラム算出手段114に出力する。
【0039】
ヒストグラム算出手段114は、距離情報s111に対して、ヒストグラム化処理をかけて測距精度の高精度化を行い、レーザー発光部112と同じ数の2次元上の距離マップs112として出力する。
【0040】
視点位置補正手段115は、距離マップs112に対して、LiDAR測距部110と撮像レンズ102との視点位置のずれを補正し、距離情報s113を生成する。
【0041】
以下、
図5を参照して、本実施形態の撮像装置100の動作について説明する。
図5は、本実施形態の撮像装置100の動作を示すフローチャートである。
図5のフローチャートの処理は、不図示の操作部に含まれるシャッタボタンが、ユーザーにより押下されることによって開始される。
【0042】
ステップS501では、制御部101は、撮像センサ103を駆動して可視光RAWデータs102を取得する。
【0043】
ステップS502では、制御部101は、センサ補正手段104を駆動して各種補正処理を行い、画像信号s103を取得する。
【0044】
ステップS503では、制御部101は、像ずれ量算出手段106を駆動して像ずれ量s105を取得する。
【0045】
ステップS504では、制御部101は、信頼性判定手段107を駆動して像ずれ量s105の信頼性が高いかどうかを示す判定結果を取得する。本実施形態では、信頼性判定手段107は、撮像画像のコントラスト値が所定値より高い場合、像ずれ量s105の信頼性が所定値より高いと判定し、撮像画像のコントラスト値が所定値より低い場合、像ずれ量s105の信頼性が所定値より低いと判定する。なお、撮像画像のコントラスト値が所定値と等しい場合、像ずれ量s105の信頼性を高いと判定するか低いと判定するかは任意に設定可能である。制御部101は、像ずれ量s105の信頼性が所定値より高い場合、ステップS505の処理を実行し、像ずれ量s105の信頼性が所定値より低い場合、ステップS506の処理を実行する。
【0046】
ステップS505では、制御部101は、デフォーカス変換手段108を駆動して、像ずれ量s105に対して、デフォーカス変換を行い、デフォーカス量s107を取得する。
【0047】
ステップS506では、制御部101は、第1の光学系を制御して距離情報(第1の距離情報)を取得しても距離情報の信頼性は低いことから、第2の光学系を制御して距離情報(第2の距離情報)を取得する。具体的には、制御部101は、LiDAR測距部110を駆動し、第2の距離情報を取得する処理(第2の距離情報取得処理)を実行する。
【0048】
ステップS508では、制御部101は、レンズ駆動部109を駆動し、ステップS505で取得したデフォーカス量s107、又はステップS506で取得した距離情報s113に基づいてレンズ駆動量s114を取得する。
【0049】
以下、
図6を参照して、
図5のステップS507の第2の距離情報取得処理について説明する。
図6は、第2の距離情報取得処理を示すフローチャートである。
【0050】
ステップS601では、制御部101は、レーザー発光部112を駆動して、特定の間隔で赤外線レーザー光を外部に照射する。
【0051】
ステップS602では、制御部101は、レーザー受光部111を駆動して、ステップS601で赤外線レーザー光を照射された対象物からの反射光を受光する。
【0052】
ステップS603では、制御部101は、特定の間隔で照射された後、対象物により反射された赤外線レーザー光のTOF(Time Of Flight)情報を抽出し、LiDAR測距情報s110を取得する。
【0053】
ステップS604では、制御部101は、LiDAR補正手段113を駆動して、LiDAR測距情報s110に対して各種補正処理を行い、補正された距離情報s111を取得する。
【0054】
ステップS605では、制御部101は、ヒストグラム算出手段114を駆動して、距離情報s111に対し、ヒストグラム化処理をかけて測距精度の高精度化を行い、距離マップs112を取得する。
【0055】
ステップS606では、制御部101は、視点位置補正手段115を駆動して、LiDAR測距部110と撮像レンズ102との視点位置のずれを補正し、距離情報s113を取得する。
【0056】
以上説明したように、本実施形態の構成によれば、第1の光学系を用いて取得される距離情報の信頼性が低い場合にLiDAR測距部110を駆動することで、距離情報を高精度に取得可能である。また、常にLiDAR測距部110を駆動する場合に比べて消費電力を抑えることが可能となる。
【0057】
なお、本実施形態では、信頼性判定手段107は、撮像画像のコントラスト値を用いて像ぶれ量s105の信頼性を判定するが、本発明はこれに限定されない。例えば、信頼性判定手段107は、第1の光学系が、ピントが合っていないボケ状態であるかどうかに基づいて像ふれ量s105の信頼性を判定してもよい。位相差検出方式では、第1の光学系がボケ状態である場合、距離情報を正しく取得することができない。一方、LiDARでは第1の光学系とは異なる第2の光学系を使用するため、第1の光学系がボケ状態であるかどうかに影響されることなく、距離情報を高精度に取得することが可能である。なお、第1の光学系がボケ状態であるかどうかは、第1の光学系のピント位置が所定範囲外であるかどうかで判定すればよい。具体的には、第1の光学系のピント位置が所定範囲内である場合、第1の光学系はボケ状態でないと判定し、第1の光学系のピント位置が所定範囲外である場合、第1の光学系はボケ状態であると判定すればよい。
[第2の実施形態]
本実施形態では、第1の光学系が記録用の画像情報(静止画像)を取得する間、第2の光学系を用いて距離情報を取得する例について説明する。本実施形態の撮像装置100の構成は第1の実施形態の撮像装置100の構成と同じであり、本実施形態では、第1の実施形態と異なる構成についてのみ説明し、共通の構成については説明を省略する。
【0058】
図7を参照して、本実施形態の撮像装置100の動作について説明する。
図7は、本実施形態の距離情報を取得するタイミングを示すタイミングチャートである。本実施形態では、一例として、ライブビュー画像を120fps(frame per sec)で取得し、記録用の静止画像を30fpsで取得する場合について説明する。ライブビュー画像とは、本撮影を行う前に不図示の電子ビューファインダ(EVF)に表示するための画像である。
【0059】
通常のデジタルカメラは、静止画に比べて必要な画素数が多くないため、ライブビュー画像を用いてオートフォーカスに使用する距離情報を取得する。つまり、静止画用の露光を行うフレームでは距離情報を取得しないため、連続した距離情報を取得できない場合がある。この場合、例えば被写体を追従するための動体予測に距離情報を使用しようとすると、欠陥フレームが発生し、動体予測の精度が落ちることが懸念される。
【0060】
そこで、本実施形態では、第1の光学系が静止画像を取得する間、第2の光学系に含まれるLiDAR測距部110を駆動して距離情報を取得する。これにより、静止画用の露光中も連続して距離情報を取得することができ、動体予測の精度を向上させることが可能となる。
【0061】
また、第2の光学系を用いて距離情報を取得するフレームレートを、第1の光学系を用いて距離情報を取得するフレームレートより小さくしてもよい。本実施形態で説明したように、120fpsで第1の光学系を用いて距離情報を取得し、30fpsで第2の光学系を用いて距離情報を取得することで、常に同じフレームレートで複数の光学系を駆動させるより、消費電力を抑えることが可能となる。
[第3の実施形態]
本実施形態では、バッテリー残量を検出し、検出されたバッテリー残量が所定量より少ない場合、LiDAR測距を行わない例について説明する。スマートフォンやデジタルカメラではバッテリー消費を抑えることは特に重要な事項の1つである。本実施形態では、第1の実施形態及び第2の実施形態と異なる構成についてのみ説明し、共通の構成については説明を省略する。
【0062】
図8は、本実施形態の撮像装置100の構成を表すブロック図である。本実施形態の撮像装置100の構成は、第1の実施形態の撮像装置100の構成と基本的に同じである。本実施形態の撮像装置100は、第1の実施形態の撮像装置100と異なり、バッテリー残量検出部801を有する。バッテリー残量検出部801は、撮像装置100全体の電力を供給する不図示のバッテリーの残量を検出する。なお、第1の光学系と第2の光学系で異なるバッテリーを用いてもよい。
【0063】
図9は、本実施形態の第2の距離情報取得処理を示すフローチャートである。
【0064】
ステップS901では、制御部101は、バッテリー残量検出部801を駆動して、バッテリー残量を取得し、バッテリー残量が所定量より多いかどうかを判定する。制御部101は、バッテリー残量が所定量より多いと判定した場合、ステップS902の処理を実行する。ステップS902乃至ステップS907の処理はそれぞれ、
図6のステップS601乃至ステップS606の処理と同様であるため、説明は省略する。制御部101は、バッテリー残量が所定量より少ないと判定した場合、本フローを終了した後、
図5のステップS505の処理を実行する。すなわち、制御部101は、LiDAR測距を行わず、第1の距離情報を取得するために、第1の光学系を制御する。なお、バッテリー残量が所定値と等しい場合、どちらのステップに進むかは任意に設定可能である。また、ステップS901の処理は、本実施形態ではLiDAR測距を行う前に行われるが、例えば
図5の処理前や処理中に行われてもよい。
【0065】
以上説明したように、本実施形態の構成によれば、消費電力を抑えることが可能となる。
[第4の実施形態]
本実施形態では、環境光の光量を検出し、検出された環境光の光量が所定値より少ない場合、LiDAR測距を行わない例について説明する。本実施形態では、第1乃至第3の実施形態と異なる構成についてのみ説明し、共通の構成については説明を省略する。
【0066】
図10は、本実施形態の撮像装置100の構成を表すブロック図である。本実施形態の撮像装置100の構成は、第1の実施形態の撮像装置100の構成と基本的に同じである。本実施形態では、第1の実施形態と異なり、LiDAR測距部110は環境光検出部1001を有する。環境光検出部1001は、環境光の光量を検出する。環境光とは、レーザー発光部112が発光した赤外線レーザー光以外の光である。レーザー受光部111には赤外光のみを通す不図示のIRフィルタが設置されているが、環境光の光量が多い場合、赤外光以外の可視光等が光電変換部に漏れこみ、ノイズの原因となり、高精度な測距を行うことが困難になる。また、周囲に複数のLiDAR搭載機器が存在する場合、他の機器からの赤外線レーザー光が撮像装置100に誤って入射する場合が考えられる。このように、可視光や非可視光を問わず環境光が多い場合、LiDAR測距部110を駆動して高精度な距離情報を得ることは難しい。
【0067】
そこで、本実施形態では、制御部101は、環境光検出部1001により検出される環境光の光量が所定量より大きい場合、LiDAR測距部110を駆動せず、第1の光学系を用いて距離情報を取得する。これにより、距離情報の精度の低下を抑えつつ、消費電力を抑えることが可能となる。
[その他の実施例]
本発明は、上述の実施例の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0068】
本実施形態の開示は、以下の構成及び方法を含む。
(構成1)
画像情報を取得するために用いられる第1の光学系と前記第1の光学系と異なる第2の光学系とを制御するための制御装置であって、
前記第1の光学系を用いて得られる、前記画像情報に対応する第1の距離情報と前記第2の光学系を用いて得られる、前記画像情報に対応する第2の距離情報との少なくとも一つを取得する取得部と、
前記第1の距離情報の信頼性が所定値より高い場合、前記取得部が前記第1の距離情報を取得するように前記第1の光学系を制御し、前記信頼性が前記所定値より低い場合、前記取得部が前記第2の距離情報を取得するように前記第2の光学系を制御する制御部とを有することを特徴とする制御装置。
(構成2)
前記画像情報のコントラストが所定値より高い場合、前記信頼性は前記所定値より高く、前記コントラストが前記所定値より低い場合、前記信頼性は前記所定値より低いことを特徴とする構成1に記載の制御装置。
(構成3)
前記第1の光学系のピント位置が所定範囲内である場合、前記信頼性は前記所定値より高く、前記ピント位置が所定範囲外である場合、前記信頼性は前記所定値より低いことを特徴とする構成1又は2に記載の制御装置。
(構成4)
前記制御部は、前記信頼性が前記所定値より高く、かつ前記第1の光学系を用いて記録用の画像が取得されている場合、前記取得部が前記第2の距離情報を取得するように前記第2の光学系を制御することを特徴とする構成1乃至3の何れか一つの構成に記載の制御装置。
(構成5)
前記第2の距離情報を取得するフレームレートは、前記第1の距離情報を取得するフレームレートより小さいことを特徴とする構成1乃至4の何れか一つの構成に記載の制御装置。
(構成6)
前記制御部は、前記信頼性が前記所定値より低く、かつ前記第1及び第2の光学系を駆動するためのバッテリーの残量が所定量より少ない場合、前記取得部が前記第1の距離情報を取得するように前記第1の光学系を制御することを特徴とする構成1乃至5の一つの構成に記載の制御装置。
(構成7)
前記制御部は、前記信頼性が前記所定値より低く、前記第2の光学系から射出された後、対象物により反射された光とは異なる環境光の光量が所定量より大きい場合、前記取得部が前記第1の距離情報を取得するように前記第1の光学系を制御することを特徴とする構成1乃至6の何れか一つの構成に記載の制御装置。
(構成8)
前記第1の光学系は、画像の画像信号を生成する通常画素と前記画像の位相差を検出する位相差検出画素とを含み、前記通常画素の出力に基づいて撮像を行う撮像部と、前記位相差検出画素の出力に基づいて前記第1の距離情報を取得する測距部とを備えることを特徴とする構成1乃至7の何れか一項に記載の制御装置。
(構成9)
前記第2の光学系は、光を射出する発光部と、前記発光部から射出され、対象物により反射された光を用いて前記第2の距離情報を取得する受光部とを備えることを特徴とする構成1乃至8の何れか一項に記載の制御装置。
(構成10)
構成1乃至9の何れか一項に記載の制御装置と、
第1の光学系と、
前記第1の光学系とは異なる第2の光学系とを有することを特徴とする撮像装置。
(方法1)
画像情報を取得するために用いられる第1の光学系と前記第1の光学系と異なる第2の光学系とを制御するための制御方法であって、
前記第1の光学系を用いて得られる、前記画像情報に対応する第1の距離情報と前記第2の光学系を用いて得られる、前記画像情報に対応する第2の距離情報との少なくとも一つを取得するステップと、
前記第1の距離情報の信頼性が所定値より高い場合、前記取得部が前記第1の距離情報を取得するように前記第1の光学系を制御し、前記前記第1の距離情報の信頼性が前記所定値より低い場合、前記取得部が前記第2の距離情報を取得するように前記第2の光学系を制御するステップとを有することを特徴とする制御方法。
(構成11)
方法1に記載の制御方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【0069】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の組合せ、変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0070】
101 制御部(制御装置)
101a 取得部
101b 光学系制御部(制御部)