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特開2024-177809FM防災行政無線送信システム及びFM防災行政無線送信方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177809
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】FM防災行政無線送信システム及びFM防災行政無線送信方法
(51)【国際特許分類】
   H04H 20/59 20080101AFI20241217BHJP
【FI】
H04H20/59
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096153
(22)【出願日】2023-06-12
(71)【出願人】
【識別番号】000004330
【氏名又は名称】日本無線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126561
【弁理士】
【氏名又は名称】原嶋 成時郎
(72)【発明者】
【氏名】唐木 太一
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 等
(57)【要約】
【課題】防災行政無線の音声情報をFM放送において確実に聞き取ることが可能なFM防災行政無線送信システム及びFM防災行政無線送信方法を提供する。
【解決手段】FM送信機4は、拡声子局3からデジタル音声信号を受信し、デジタル音声信号をアナログ音声信号へ変換し、当該アナログ音声信号をFM変調して得られるFM信号をアンテナによって送信する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
親局から受信した防災行政無線をデジタル音声信号へ復調し、当該デジタル音声信号をアナログ音声信号へ変換し、当該アナログ音声信号をスピーカーによって出力する拡声子局と、前記拡声子局に接続するFM送信機と、を備えるFM防災行政無線送信システムであって、
前記FM送信機は、
前記拡声子局から前記デジタル音声信号を受信し、前記デジタル音声信号をアナログ音声信号へ変換し、当該アナログ音声信号をFM変調して得られるFM信号をアンテナによって送信する、
ことを特徴とするFM防災行政無線送信システム。
【請求項2】
前記FM送信機は、制御手段と、音声調整回路と、情報蓄積手段とを備え、
前記制御手段は、前記拡声子局から受信した前記デジタル音声信号を前記音声調整回路において音声調整し、音声調整後の前記デジタル音声信号を前記情報蓄積手段へ送信し、
前記情報蓄積手段は、音声調整後の前記デジタル音声信号を蓄積し、前記制御手段からの出力指示によって、前記デジタル音声信号を前記アナログ音声信号へ変換するために出力する、
ことを特徴とする請求項1に記載のFM防災行政無線送信システム。
【請求項3】
前記FM送信機は、パラメータ記憶手段を備え、
前記パラメータ記憶手段は、前記音声調整回路における前記音声調整に関するパラメータと、前記出力指示に含まれる前記デジタル音声信号の出力に関するパラメータとを記憶する、
ことを特徴とする請求項2に記載のFM防災行政無線送信システム。
【請求項4】
前記FM送信機は、前記拡声子局からの前記デジタル音声信号の入力の有無を検知する無音検知手段を備え、
前記無音検知手段は、前記デジタル音声信号の入力を検知した場合に、前記FM送信機を起動する、
ことを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載のFM防災行政無線送信システム。
【請求項5】
親局から受信した防災行政無線をデジタル音声信号へ復調し、当該デジタル音声信号をアナログ音声信号へ変換し、当該アナログ音声信号をスピーカーによって出力する拡声子局と、前記拡声子局に接続するFM送信機と、を備えるFM防災行政無線送信システムによって実行されるFM防災行政無線送信方法であって、
前記FM送信機は、
前記拡声子局から前記デジタル音声信号を受信し、前記デジタル音声信号をアナログ音声信号へ変換するステップと、
前記アナログ音声信号をFM変調して得られるFM信号をアンテナによって送信するステップと、を有する、
ことを特徴とするFM防災行政無線送信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、FM防災行政無線送信システムで用いられるFM送信機から防災行政無線の音声情報を提供する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年増加する災害への対応として、「FM防災情報システム」と言われるシステムが検討されている。このシステムは、総務省開催の放送用周波数の活用方策に関する検討分科会の「V-Low帯域の防災利用に関するワーキンググループ」で審議されているシステムであり、具体的には、防災行政無線の屋外子局等屋外拡声子局を通じて提供される音声情報が聞き取り難い車両避難者や大雪による滞留車両等に、市販ラジオ受信機(カーラジオ受信機等)を活用して防災行政無線の屋外拡声子局と同じ音声情報を提供することを目的とするシステムである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】「FM防災情報システムについて」第1版、令和3年10月、V-Low帯域の防災利用に関するワーキンググループ、アドホックグループ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の「FM防災情報システム」で紹介されている従来のFM防災行政無線送信システム101では、図6に示す通り、拡声子局103が受信機において親局2から防災行政無線の電波を受信すると、復調機においてその電波を搬送波とデジタル音声信号とに分離し、コーデックにおいてそのデジタル音声信号をアナログ音声信号へ変換し、そのアナログ音声信号を音声アンプにおいて増幅した後、FM送信機104に送信し、そのアナログ音声信号をFM変調してアンテナから出力する。すなわち、従来のFM送信機104は、拡声子局103から引き渡されたアナログ音声をそのままFM電波で流すので、音声品質が元の防災行政無線と同程度にとどまる。しかも、アナログ音声のやり取りによりノイズが発生するので、音声品質はさらに劣化する。そのため、FM送信機から出力される音声の品質向上が課題となっていた。
【0005】
そこで本発明は、防災行政無線の音声情報をFM放送において確実に聞き取ることが可能なFM防災行政無線送信システム及びFM防災行政無線送信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、親局から受信した防災行政無線をデジタル音声信号へ復調し、当該デジタル音声信号をアナログ音声信号へ変換し、当該アナログ音声信号をスピーカーによって出力する拡声子局と、前記拡声子局に接続するFM送信機と、を備えるFM防災行政無線送信システムであって、前記FM送信機は、前記拡声子局から前記デジタル音声信号を受信し、前記デジタル音声信号をアナログ音声信号へ変換し、当該アナログ音声信号をFM変調して得られるFM信号をアンテナによって送信する、ことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のFM防災行政無線送信システムであって、前記FM送信機は、制御手段と、音声調整回路と、情報蓄積手段とを備え、前記制御手段は、前記拡声子局から受信した前記デジタル音声信号を前記音声調整回路において音声調整し、音声調整後の前記デジタル音声信号を前記情報蓄積手段へ送信し、前記情報蓄積手段は、音声調整後の前記デジタル音声信号を蓄積し、前記制御手段からの出力指示によって、前記デジタル音声信号を前記アナログ音声信号へ変換するために出力する、ことを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のFM防災行政無線送信システムであって、前記FM送信機は、パラメータ記憶手段を備え、前記パラメータ記憶手段は、前記音声調整回路における前記音声調整に関するパラメータと、前記出力指示に含まれる前記デジタル音声信号の出力に関するパラメータとを記憶する、ことを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1~3の何れか一項に記載のFM防災行政無線送信システムであって、前記FM送信機は、前記拡声子局からの前記デジタル音声信号の入力の有無を検知する無音検知手段を備え、前記無音検知手段は、前記デジタル音声信号の入力を検知した場合に、前記FM送信機を起動する、ことを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、親局から受信した防災行政無線をデジタル音声信号へ復調し、当該デジタル音声信号をアナログ音声信号へ変換し、当該アナログ音声信号をスピーカーによって出力する拡声子局と、前記拡声子局に接続するFM送信機と、を備えるFM防災行政無線送信システムによって実行されるFM防災行政無線送信方法であって、前記FM送信機は、前記拡声子局から前記デジタル音声信号を受信し、前記デジタル音声信号をアナログ音声信号へ変換するステップと、前記アナログ音声信号をFM変調して得られるFM信号をアンテナによって送信するステップと、を有する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1及び5の発明によれば、FM送信機が拡声子局からデジタル音声信号を受信するので、アナログ音声信号のやりとりにおいて発生するノイズの発生を抑制でき、FM送信機から出力される音声を高品質化することが可能となる。
【0012】
請求項2の発明によれば、FM送信機がデジタル音声信号を蓄積するので、FM放送の回数、送信タイミングなどを容易に調節することができ、リアルタイムのFM放送を聞き逃した者が後から防災行政無線を受信する機会を増やすことが可能となる。また、音声調整回路により所望の周波数、音量、再生速度などの物性を有する音声に調整した上で蓄積するので、聞きやすく調整した防災行政無線を送信することが可能となる。
【0013】
請求項3の発明によれば、デジタル音声信号を音声調整する際の音声調整に関するパラメータや、情報蓄積手段からのデジタル音声信号の出力に関するパラメータがパラメータ記憶手段に記憶されるので、音声調整やFM放送の送信に関する制御が容易となる。
【0014】
請求項4の発明によれば、FM送信機が無音検知手段を備えるので、拡声子局がFM送信機と連携するための機能を備えていない場合であっても、デジタル音声信号の入力に応じてFM送信機を起動することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】この発明の実施の形態1に係るFM防災行政無線送信システムの構成を示す概略図である。
図2】この発明の実施の形態2に係るFM防災行政無線送信システムの構成を示す概略図である。
図3】この発明の実施の形態3に係るFM防災行政無線送信システムの構成を示す概略図である。
図4】実施の形態1及び2に用いられるFM送信機における処理手順を示すフローチャートである(図4-1:実施の形態1、図4-2:実施の形態2)。
図5】実施の形態3に用いられるFM送信機における処理手順を示すフローチャートである(図5-1:音声入力検知の場合、図5-2:無音検知の場合)。
図6】従来のFM防災行政無線送信システムの構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0017】
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1に係るFM防災行政無線送信システム1の構成を示す概略図である。本実施の形態に係るFM防災行政無線送信システム1は、本発明のFM防災行政無線送信システムおよびFM防災行政無線送信方法を実行する。なお、本発明のFM防災行政無線送信システム1は、自治体や行政が運用する防災行政無線の送信システムを変更するものではなく、補完するシステムである。
【0018】
FM防災行政無線送信システム1は、親局2と、拡声子局3と、FM送信機4と、を備えている。親局2は、自治体の市区町村庁舎などに設けられる防災行政無線の基地局であり、防災行政無線の電波を複数の拡声子局3へ送信する。
【0019】
拡声子局3は、親局2の管轄地域(対象エリア)内に分散して複数設置される。拡声子局3は、親局2からの防災行政無線の電波を受信機において受信すると、復調機においてその電波を搬送波とデジタル音声信号とに分離し、デコーダで伸長し、D/A変換器においてそのデジタル音声信号をアナログ音声信号へ変換し、そのアナログ音声信号を音声アンプにおいて増幅し、配設されたスピーカーによって出力する。
【0020】
また、拡声子局3は、FM送信機4に接続されており、復調機で得られるデジタル音声信号をFM送信機4に送信する。FM送信機4は、拡声子局3から前記デジタル音声信号を受信すると、D/A変換器においてそのデジタル音声信号をアナログ音声信号へ変換し、FM変調回路においてそのアナログ音声信号をFM変調し、FM変調して得られるFM信号を増幅器等において増幅してアンテナによって送信する。
【0021】
次に、図4-1に示すフローチャートに従って、上記の実施の形態1に係るFM送信機4の作用について説明する。FM送信機4は、例えば、拡声子局3の音声アンプがスピーカーを起動させるために出力する起動信号に応じて起動し、拡声子局3からデジタル音声信号を受信する。FM送信機4は、受信したデジタル音声信号をD/A変換器においてアナログ音声信号に変換する(ステップSa1)。次に、FM変調回路においてそのアナログ音声信号をFM変調し、FM変調して得られるFM信号を増幅器等において増幅してアンテナによって送信する(ステップSa2)。
【0022】
以上説明した通り、この実施の形態に係るFM防災行政無線送信システム1によれば、FM送信機4が拡声子局3からデジタル音声信号を受信するので、アナログ音声信号のやりとりにおいて発生するノイズの発生を抑制でき、FM送信機4から出力される音声を高品質化することが可能となる。
【0023】
(実施の形態2)
図2は、この発明の実施の形態2に係るFM防災行政無線送信システム1の構成を示す概略図である。
【0024】
図6に示す従来のFM防災行政無線送信システム101では、拡声子局103を通じて提供される防災行政無線の音声情報をリアルタイムでFM放送するため、防災行政無線の音声が流れていないときにラジオをFM防災情報システムの周波数に合わせても、防災行政無線の音声情報を取得することができない。そのため、何らかの理由でFM放送を聞き逃した者や、うまく聞き取れなかった者が、防災行政無線の音声情報を後から確認することができないという問題があった。
【0025】
この実施の形態に係るFM防災行政無線送信システム1は、上記の課題を解決するために、FM送信機4がデジタル音声信号を蓄積するための構成を備える点において上記の実施の形態1と構成が異なるものの、その他の構成は上記の実施の形態1と同等であるので、上記の実施の形態1と同等の構成については同一符号を付することでその説明を省略する。
【0026】
この実施の形態は、リアルタイムのFM放送を聞き逃した者が後から防災行政無線の音声情報を確認できるように、FM送信機4に防災行政無線のデジタル音声信号を蓄積する機能を持たせた点に特徴がある。そして、この機能を実現するための構成として、FM送信機4は、制御部(制御手段)5と情報蓄積部(情報蓄積手段)6とを備える。
【0027】
制御部5は、拡声子局3の復調機で得られるデジタル音声信号を受信すると、音声調整回路7を起動させる。音声調整回路7は、例えば、雑音成分を取り除くフィルタリング機能、周波数特性を調整するイコライザ機能、音量や音速を調整する機能等を有し、防災行政無線の音声が聞きやすくなるようにデジタル音声信号に対して音声調整を行う。このような音声調整の具体例としては、例えば、デジタル音声信号の再生速度を300文字/分に調整することや、デジタル音声信号の周波数を2kHz~8kHzに調整することなどが挙げられる。そして、音声調整後のデジタル音声信号は、情報蓄積部6へ送信される。
【0028】
情報蓄積部6は、制御部5の音声調整回路7から音声調整後のデジタル音声信号を受信すると、それを蓄積する。そして、制御部5から出力指示を受信すると、蓄積したデジタル音声信号をデコーダへ出力する。出力指示は、拡声子局3よりデジタル音声信号を受信してから所定時間の経過後に出力するようにしてもよいし、情報蓄積部5に蓄積されたデジタル音声信号のデータ量が所定量以上になった場合に出力するようにしてもよい。また、出力指示には、デジタル音声信号を繰り返し出力する回数、時間(例えば、何時まで出力するかという指示)、出力間隔などを含めるようにしてもよい。
【0029】
この実施の形態に用いられるFM送信機4は、さらに、パラメータ記憶部(パラメータ記憶手段)8を備えていてもよい。ここで、パラメータ記憶部8の「パラメータ」とは、音声調整回路7における音声調整に関するパラメータ(例えば、周波数、音量、再生速度など)と、制御部5からの出力指示に含まれるデジタル音声信号の出力タイミングに関するパラメータを含む。パラメータ記憶部8は、これらの「パラメータ」を記憶し、制御部5の指示により、これらの「パラメータ」に関する情報を制御部5に提供する。
【0030】
次に、図4-2に示すフローチャートに従って、上記の実施の形態2に係るFM送信機4の作用について説明する。なお、図4-2に示すフローチャートに記載のステップSa1及びSa2は、上述の実施の形態1と同等であるので、説明を省略する。FM送信機4が拡声子局3からの起動信号に応じて起動すると、制御部5は、音声調整回路7を起動させる(ステップSb1)。音声調整回路7では、デジタル音声信号の周波数、音量、再生速度などの物性を調整する。具体的には、デジタル音声信号の再生速度を300文字/分に調整したり、デジタル音声信号の周波数を2kHz~8kHzに調整したりすることができる。次に、音声調整回路7にて調整後のデジタル音声信号は、情報蓄積部6へ送信され、蓄積される(ステップSb2)。蓄積された音声調整後のデジタル音声信号は、制御部5からの出力指示により、D/A変換器へ出力される(ステップSb3)。
【0031】
以上説明した通り、この実施の形態に係るFM防災行政無線送信システム1によれば、FM送信機4がデジタル音声信号を蓄積して送信するので、FM放送の回数、送信タイミングなどを容易に調節することができ、リアルタイムのFM放送を聞き逃した者が後から防災行政無線を受信する機会を増やすことが可能となる。また、音声調整回路により所望の周波数、音量、再生速度などの物性を有する音声に調整した上で蓄積するので、聞きやすく調整した防災行政無線を送信することが可能となる
【0032】
また、デジタル音声信号を音声調整する際の音声調整に関するパラメータや、情報蓄積部6からのデジタル音声信号の出力に関するパラメータがパラメータ記憶部8に記憶されるので、音声調整やFM放送の送信タイミング等に関する制御が容易となる。
【0033】
(実施の形態3)
図3は、この発明の実施の形態3に係るFM防災行政無線送信システム1の構成を示す概略図である。
【0034】
上記の実施の形態1および実施の形態2では、拡声子局3の音声アンプがスピーカーを起動させるために出力する起動信号に応じてFM送信機4を起動するようにしたが、起動信号を出力する機能(言い換えれば、FM送信機4を連携させるための機能)を備えていない拡声子局3も存在する。このような拡声子局3には、実施の形態1および実施の形態2のFM送信機4が適用できない。
【0035】
この実施の形態に係るFM防災行政無線送信システム1は、上記のような課題を解決するものである。本実施の形態に係るFM防災行政無線送信システム1は、FM送信機4が無音検知部9を備える点において上記の実施の形態2と構成が異なるものの、その他の構成は上記の実施の形態2と同等であるので、上記の実施の形態2と同等の構成については同一符号を付することでその説明を省略する。
【0036】
この実施の形態は、FM送信機4が拡声子局3からの起動信号に応じて起動する代わりに無音検知部(無音検知手段)9を備える点に特徴がある。
【0037】
無音検知部9は、FM送信機4に備えられ、FM送信機4が起動していない状態であっても常時電源供給が行なわれて動作し、拡声子局3からのデジタル音声信号の入力の有無を検知する。無音検知部9は、FM送信機4が拡声子局3からのデジタル音声信号の入力を検知した場合には、FM送信機4を起動し、制御部5にデジタル音声信号の入力の有無を出力する。制御部5は、拡声子局3からデジタル音声信号が入力されている場合には、各部に対してデジタル音声信号の蓄積とFM送信に纏わる一連の動作(具体的には、デジタル音声信号の音声調整や、デジタル音声信号の蓄積及びFM送信など)を実行させる。一方、無音検知部9によりデジタル音声入力を所定の時間検知しない(この状態を、「無音検知」という。)場合には、制御部5は、音声調整回路7へデジタル音声信号の音声調整を停止する信号(音声調整停止信号)を送信し、情報蓄積部6へデジタル音声信号の出力を停止する信号(出力停止信号)を送信する。そして、FM送信機4を停止させる。この場合の所定の時間は、適宜設定すれば良い。
【0038】
次に、図5-1及び図5-2に示すフローチャートに従って、上記の実施の形態3に係るFM送信機4の作用について説明する。なお、図5-1に示すフローチャートに記載のステップSa1及びSa2、並びに、ステップSb1~Sb3は、上述の実施の形態1及び2と同等であるので、説明を省略する。
【0039】
無音検知部9は、拡声子局3からのデジタル音声信号の入力を検知すると、FM送信機4を起動させ、制御部5にデジタル音声信号の入力の有無を出力する(ステップSc1)。一方、デジタル音声信号の入力を所定の時間検知しないと、無音検知部9はこの状態を「無音検知」と判断する(ステップSd1)。そして、制御部5は、音声調整回路7へデジタル音声信号の音声調整を停止する信号(音声調整停止信号)を送信する(ステップSd2)。次に、制御部5は、出力指示で設定したデジタル音声信号の出力回数を満たしたときに出力停止するように情報蓄積部6へ出力停止信号を送信する(ステップSd3)。情報蓄積部6は、デジタル音声信号を出力停止信号で指示された回数だけ送信すると、送信を停止する(ステップSd4)。
【0040】
以上説明した通り、この実施の形態に係るFM防災行政無線送信システム1によれば、拡声子局3がFM送信機4を連携させるための機能を備えていない場合であっても、デジタル音声信号の蓄積とFM送信に纏わる一連の動作の開始または停止を制御することが可能となる。
【0041】
以上、この発明の実施の形態について説明したが、具体的な構成は、上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更などがあっても、この発明に含まれる。
【符号の説明】
【0042】
1 FM防災行政無線送信システム
2 親局
3 拡声子局
4 FM送信機
5 制御部(制御手段)
6 情報蓄積部(情報蓄積手段)
7 音声調整回路
8 パラメータ記憶部(パラメータ記憶手段)
9 無音検知部(無音検知手段)
101 FM防災行政無線送信システム
102 親局
103 拡声子局
104 FM送信機
図1
図2
図3
図4
図5
図6