IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東芝の特許一覧 ▶ 東芝エネルギーシステムズ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-締結装置および制御方法 図1
  • 特開-締結装置および制御方法 図2
  • 特開-締結装置および制御方法 図3
  • 特開-締結装置および制御方法 図4
  • 特開-締結装置および制御方法 図5
  • 特開-締結装置および制御方法 図6
  • 特開-締結装置および制御方法 図7
  • 特開-締結装置および制御方法 図8
  • 特開-締結装置および制御方法 図9
  • 特開-締結装置および制御方法 図10
  • 特開-締結装置および制御方法 図11
  • 特開-締結装置および制御方法 図12
  • 特開-締結装置および制御方法 図13
  • 特開-締結装置および制御方法 図14
  • 特開-締結装置および制御方法 図15
  • 特開-締結装置および制御方法 図16
  • 特開-締結装置および制御方法 図17
  • 特開-締結装置および制御方法 図18
  • 特開-締結装置および制御方法 図19
  • 特開-締結装置および制御方法 図20
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177811
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】締結装置および制御方法
(51)【国際特許分類】
   B23P 19/06 20060101AFI20241217BHJP
【FI】
B23P19/06 T
B23P19/06 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096157
(22)【出願日】2023-06-12
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小川 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】石原 義之
(72)【発明者】
【氏名】大賀 淳一郎
(72)【発明者】
【氏名】大明 準治
(72)【発明者】
【氏名】韓 海峰
(57)【要約】
【課題】ボルトの締結作業の負荷を低減する。
【解決手段】締結装置は、台車部とボルトテンショナとボルトテンショナ操作部と位置決め部と制御部とを備える。台車部は、駆動制御により移動可能である。ボルトテンショナは、操作部による操作によってボルトの締め動作を行う。位置決め部は、台車部に搭載され、ボルトテンショナと操作部を搭載し、ボルトテンショナの三次元位置を位置決めする。制御部は、ボルトとの距離が一定値以内となるように台車部を移動させ、台車部の移動後に、三次元位置がボルトを締める位置となるように位置決め部を動作させ、三次元位置がボルトを締める位置に位置決めされた後に、ボルトテンショナが締め動作を実行するように操作部を駆動させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動制御により移動可能な台車部と、
ボルトの締め動作を行うボルトテンショナと、
前記ボルトテンショナを駆動制御により操作する操作部と、
前記台車部に搭載され、前記ボルトテンショナと前記操作部を搭載し、前記ボルトテンショナの三次元位置を位置決めする位置決め部と、
前記ボルトとの距離が一定値以内となるように前記台車部を移動させ、前記台車部の移動後に、前記三次元位置が前記ボルトを締める位置となるように前記位置決め部を動作させ、前記三次元位置が前記ボルトを締める位置に位置決めされた後に、前記ボルトテンショナが前記締め動作を実行するように前記操作部を駆動させる制御部と、
を備える締結装置。
【請求項2】
前記台車部は、
前記台車部の前進、後退、旋回、および、円弧軌道に沿った移動を行う台車駆動部と、
前記ボルトテンショナの位置決めに応じた重心の移動方向に伸展可能なアウトリガーと、
を備える、
請求項1に記載の締結装置。
【請求項3】
自己位置および障害物の少なくとも一方を示す第1検出情報を検出するための第1検出部と、
前記ボルトの位置を検出するための第2検出部と、をさらに備え、
前記制御部は、前記第1検出情報および前記ボルトの位置を用いて前記台車駆動部を制御することにより、前記ボルトからの距離が一定値以内となるように前記台車部を移動させる、
請求項2に記載の締結装置。
【請求項4】
前記位置決め部は、
前記ボルトテンショナを第1方向に移動させる3自由度以上の第1駆動部と、
前記ボルトテンショナを前記第1方向に直交する第2方向に移動させる第2駆動部と、
を備える、
請求項1に記載の締結装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記ボルトテンショナが前記ボルトより高い位置となる状態で、前記ボルトからの距離が一定値以内となる位置まで前記台車部を移動させ、
前記ボルトテンショナが前記ボルトの上方の位置まで移動するように前記第1駆動部を駆動させ、
前記ボルトテンショナが前記ボルトの上方に位置した後、前記ボルトテンショナが前記ボルトに接触するまで移動するように前記第2駆動部を駆動させる、
請求項4に記載の締結装置。
【請求項6】
前記ボルトテンショナは、
前記ボルトに取り付けるメネジ部と、
前記メネジ部を回転させるメネジ回転部と、
前記ボルトを締めるナットを回転させるナット回転部と、を備え、
前記操作部は、
前記メネジ回転部を回転させるレンチを駆動制御するメネジ回転駆動部と、
前記ナット回転部を回転させるレンチを駆動制御するナット回転駆動部と、を備える、
請求項1に記載の締結装置。
【請求項7】
前記操作部は、前記ボルトの画像を撮像するための撮像部をさらに備え、
前記制御部は、
前記台車部の移動後に、前記撮像部により前記ボルトの画像が撮像される位置まで前記位置決め部を移動させ、
前記位置決め部の移動後に、撮像された前記画像を用いた駆動制御により、前記三次元位置が前記ボルトを締める位置となるように前記位置決め部を動作させる、
請求項6に記載の締結装置。
【請求項8】
前記制御部は、
回転により前記ボルトに取り付けられる前記メネジ部の前記ボルトのネジピッチに対応した移動量に応じて、前記ボルトテンショナが下降するように前記位置決め部を動作させ、
前記メネジ回転駆動部によるトルクが目標値に達したか否か、または、前記メネジ回転駆動部を駆動する電流の変化により、前記三次元位置が前記ボルトを締める位置となったことを検出する、
請求項6に記載の締結装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記ナット回転駆動部によるトルクが目標値に達したか否か、または、前記ナット回転駆動部を駆動する電流の変化により、前記ボルトテンショナに前記締め動作を終了するか否かを検出する、
請求項6に記載の締結装置。
【請求項10】
前記操作部は、前記メネジ回転駆動部および前記ナット回転駆動部のうち少なくとも一方による回転量を示す第2検出情報を検出する第3検出部をさらに備え、
前記制御部は、前記第2検出情報を記憶装置に記憶させる、
請求項6に記載の締結装置。
【請求項11】
前記ボルトテンショナに油圧を供給する油圧供給部をさらに備え、
前記油圧供給部は、
揺動動作させることにより前記油圧を増加させる加圧バーと、
前記油圧の加圧の可否を切り替えるための切替部と、
前記加圧バーの揺動動作を行う揺動駆動部と、
前記切替部の切り替え動作を行う切替駆動部と、
を備え、
前記制御部は、検出された前記油圧の値に基づいて前記揺動駆動部を制御する、
請求項1に記載の締結装置。
【請求項12】
前記油圧供給部を取り付けるための取付部をさらに備え、
前記取付部は、取り付けられた前記油圧供給部の向きを変更する回転軸を備える、
請求項11に記載の締結装置。
【請求項13】
前記制御部は、
操縦装置から入力される指示に応じて、前記台車部を移動させる移動動作、前記位置決め部を動作させる位置決め動作、および、前記締め動作の一部または全部を実行する、
請求項1に記載の締結装置。
【請求項14】
締結装置で実行される制御方法であって、
前記締結装置は、
駆動制御により移動可能な台車部と、
ボルトの締め動作を行うボルトテンショナと、
前記ボルトテンショナを駆動制御により操作する操作部と、
前記台車部に搭載され、前記ボルトテンショナと前記操作部を搭載し、前記ボルトテンショナの三次元位置を位置決めする位置決め部と、を備え、
前記ボルトとの距離が一定値以内となるように前記台車部を移動させるステップと、
前記台車部の移動後に、前記三次元位置が前記ボルトを締める位置となるように前記位置決め部を動作させるステップと、
前記三次元位置が前記ボルトを締める位置に位置決めされた後に、前記ボルトテンショナが前記締め動作を実行するように前記操作部を駆動させるステップと、
を含む制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、締結装置および制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
風力発電設備の構造物である風車タワーのフランジ部を締結するボルト(締結ボルト)は、定期点検指針(例えば、JEAG5005)に定められた周期(例えば1年)で、緩みの確認、および、軸力または締付けトルクが適切であるかの増し締め点検作業が必要とされている。現在は、主に人手による点検作業が実施されているが、高所での危険を伴う重労働作業であること、作業コストが高いこと、および、今後の人手不足の懸念などが考慮され、ボルトの点検作業(締結作業)の自動化が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5650171号公報
【特許文献2】欧州特許第3550139号明細書
【特許文献3】欧州特許第3934843号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、ボルトの締結作業の負荷を低減することができる締結装置および制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の締結装置は、台車部とボルトテンショナと操作部と位置決め部と制御部とを備える。台車部は、駆動制御により移動可能である。ボルトテンショナは、ボルトの締め動作を行う。操作部は、ボルトテンショナを駆動制御により操作する。位置決め部は、台車部に搭載され、ボルトテンショナと操作部を搭載し、ボルトテンショナの三次元位置を位置決めする。制御部は、ボルトとの距離が一定値以内となるように台車部を移動させ、台車部の移動後に、三次元位置がボルトを締める位置となるように位置決め部を動作させ、三次元位置がボルトを締める位置に位置決めされた後に、ボルトテンショナが締め動作を実行するように操作部を駆動させる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態にかかる締結装置の側面図。
図2】実施形態にかかる締結装置の上面図。
図3】油圧供給部の構成例を示す図。
図4】台車部の構成例を示す図。
図5】ハンドリング部の側面図。
図6】ハンドリング部の上面図。
図7】油圧供給部の上面図。
図8】油圧供給部の側面図。
図9】油圧供給部の上面図。
図10】油圧供給部の側面図。
図11】油圧供給部の例を示す図。
図12】実施形態におけるアクセス処理のフローチャート。
図13】アクセス処理の具体例を説明するための図。
図14】マーカの設置例を示す図。
図15】ボルトテンショナを移動させる処理の例を説明するための図。
図16】ボルトテンショナを位置決めする処理の例を説明するための図。
図17】ボルトテンショナを位置決めする処理の例を説明するための図。
図18】ボルトテンショナを位置決めする処理の例を説明するための図。
図19】ボルトテンショナを位置決めする処理の例を説明するための図。
図20】実施形態における点検処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる締結装置の好適な実施形態を詳細に説明する。以下では、風車タワーのフランジ部の締結に用いられるボルトの締結作業を例に説明するが、適用可能な設備は風車タワーに限られず、その他のどのような設備であってもよい。
【0008】
風車タワーは、例えば、複数の円筒状の構造物に設けられたフランジ部をボルトにより締結した構造となっている。ボルトの締結作業のために、複数のフランジ部に対応する複数のフロアが設けられ、複数のフロア間の移動手段として、昇降機が設置される。
【0009】
ボルトの締結作業の自動化には、例えば、以下の(P1)~(P4)に記載するような技術課題がある。
【0010】
(P1)サイズおよび重量の制約:ボルトの締結作業に用いる締結装置は、フロア間の移動のための昇降機に搭載可能なサイズ(幅、高さ、奥行き)および重量である必要がある。例えば、人(以下、点検者という)による点検作業を前提とする場合、最大で成人2名が搭乗できる程度の昇降機が用いられる。このような昇降機を利用する場合、締結装置は、成人2名分のサイズおよび重量の範囲内とする必要がある。
(P2)フロア上での移動:締結装置は、点検者が簡単な初期セッティングを行った後は、点検者による作業なしで点検対象となる1つ以上のボルト(以下、対象ボルト)まで順次移動できることが必要となる。移動時には、締結装置は、フロア上の障害物等を回避して対象ボルトにアクセスできる位置まで移動する必要がある。
(P3)ボルトテンショナの位置決め:ボルトテンショナは、対象ボルトの増し締め点検に用いられる工具であり、例えば10kg以上の重量物である。また、ボルトテンショナは、点検時に必要な軸力を対象ボルトに掛けるために高圧の油圧供給が必要となる。対象ボルトの近くまで移動した後、締結装置は、重い工具であるボルトテンショナを、対象ボルトを増し締め可能な位置まで精度よく位置決めする必要がある。
(P4)ボルトテンショナの操作:点検者が操作することを前提とするボルトテンショナを、締結装置がハンドリング(操作)する必要がある。例えば締結装置は、対象ボルトに対して位置決めしたボルトテンショナを対象ボルトに取り付ける操作、取り付けたボルトテンショナによる対象ボルトの締結を行う必要がある。また、締結装置は、油圧供給に用いられる油圧ポンプを操作する必要がある。
【0011】
なお、熱交換器等の圧力容器の上蓋のボルトを締結するためのボルトテンショナとして、ガイド状のレールに沿って走行し、複数のボルトを締結するボルトテンショナに関する技術が提案されている。また、風車タワーのフランジ部ボルトの締結作業などを行うボルトテンショナとして、フランジ面上を走行し、複数のボルトを締結するボルトテンショナに関する技術が提案されている。しかし、これらの技術では、レールを事前に設置する作業、および、レール上またはフランジ面上にボルトテンショナを設置する作業などが必要であり、ボルトの締結作業の負荷を効率的に低減できない。
【0012】
本実施形態の締結装置は、上記のような技術課題の少なくとも一部を解決できるように構成される。例えば、締結装置は、フロア間の移動手段として設置された昇降機に搭載可能なサイズおよび重量とすることができる。フロア上では、締結装置は、簡単な初期セッティングを行った後は点検者の操作は不要であり、フロア上の障害物等を回避して、対象ボルトまで順次移動することができる。締結装置は、ボルトテンショナをハンドリングするための装置(ハンドリング部)が装着されたボルトテンショナを対象ボルトに位置決めする。締結装置は、位置決めされたボルトテンショナを、ハンドリング部を用いて操作する。締結装置は、ハンドリング部による操作時に得られる検出情報を、点検作業の結果を示す情報として記憶することができる。
【0013】
図1および図2は、実施形態にかかる締結装置100の構成例を示す図である。図1は、締結装置100の側面図の例である。図2は、締結装置100の上面図の例である。
【0014】
締結装置100は、主な構成として、台車部110と、コントローラ120と、位置決め部130と、ハンドリング部140と、ボルトテンショナ150と、油圧供給部710と、を備える。また、締結装置100は、揺動駆動機構(揺動駆動部)750と、測域センサ201と、カメラ202と、を備える。さらに締結装置100は、操縦装置801に接続されてもよい。
【0015】
台車部110は、コントローラ120による駆動制御により移動可能であり、締結装置100を対象ボルトに向けて移動させる。台車部110は、例えば、駆動輪111と、補助輪112と、バッテリ113と、アウトリガー114と、を備えている。アウトリガー114は、脚部114aを含む。
【0016】
コントローラ120は、締結装置100の各部の動作を制御する制御部として機能する。例えばコントローラ120は、対象ボルトとの距離が一定値以内となるように台車部110を移動させる。また、コントローラ120は、台車部110の移動後に、ボルトテンショナ150の三次元位置が、対象ボルトを締める位置となるように位置決め部130を動作させる。また、コントローラ120は、三次元位置が対象ボルトを締める位置に位置決めされた後に、ボルトテンショナ150が締め動作を実行するようにハンドリング部140を駆動させる。
【0017】
コントローラ120は、例えば、1または複数のプロセッサにより実現される。例えばコントローラ120の機能は、CPU(Central Processing Unit)およびGPU(Graphics Processing Unit)などのプロセッサにプログラムを実行させること、すなわちソフトウェアにより実現してもよい。コントローラ120の機能は、専用のIC(Integrated Circuit)などのプロセッサ、すなわちハードウェアにより実現してもよい。コントローラ120の機能は、ソフトウェアおよびハードウェアを併用して実現してもよい。複数のプロセッサを用いる場合、各プロセッサは、コントローラ120の機能のうち1つを実現してもよいし、コントローラ120の機能のうち2つ以上を実現してもよい。
【0018】
位置決め部130は、ハンドリング部140により把持されるボルトテンショナ150を搭載し、ボルトテンショナ150の三次元位置を位置決めする。位置決め部130は、台車部110に搭載される。
【0019】
位置決め部130は、支持部131と、上下駆動部132と、アーム着脱部133と、アーム支持部134と、アーム135~137と、を含む。
【0020】
支持部131は、台車部110の上に搭載され、上下駆動部132を支持する。上下駆動部132は、支持部131に対して上下方向に駆動可能である。図1の破線で示されるように、上下駆動部132は、長さH1-1の分、位置決め部130を上下方向に駆動させることができる。
【0021】
アーム着脱部133は、上下駆動部132の上に設けられ、アーム支持部134を着脱可能となるように構成される。アーム支持部134は、アーム135~137を支持する部材である。アーム135、136および137は、それぞれに対応して設けられるモータ(図示せず)の回転に応じて、それぞれ軸A01、A02およびA03の周りに回転可能である。
【0022】
ハンドリング部140は、ボルトテンショナ150を把持し、把持したボルトテンショナ150を操作する操作部に相当する。
【0023】
ボルトテンショナ150は、対象ボルトを締結する締め動作、および、対象ボルトを緩める緩め動作を行う。本実施形態では、ボルトテンショナ150は、油圧供給部710により供給される油圧に応じた軸力を対象ボルトに掛けることができるように構成される。
【0024】
油圧供給部710は、ボルトテンショナ150に油圧を供給する。図3は、油圧供給部710の構成例を示す図である。なお、図3は、締結装置100に搭載された状態の油圧供給部710を、図1の側面図と同様に締結装置100の側面から観察した場合の図に相当する。図3に示すように、油圧供給部710は、取り付けベース板721(取付部)上に設置され、加圧バー711と、開閉弁レバー712(切替部)と、を備える。また、油圧供給部710は、油圧ホース722を介して、圧力計723に接続される。
【0025】
加圧バー711は、揺動動作させることにより油圧を増加させるための部材である。開閉弁レバー712は、油圧の加圧の可否を切り替えるための部材である。例えば開閉弁レバー712は、開閉弁を開放するか、または、閉じるかを切り替える。開放弁は、油圧を増加させる(加圧する)ときに閉じた状態(ON)にされ、加圧しないときに開放状態(OFF)とされる。圧力計723は、油圧供給部710により加圧された油圧を検出するための計測器である。
【0026】
図1図2)の揺動駆動機構750は、加圧バー711の揺動動作を行う揺動駆動部として機能する。
【0027】
コントローラ120は、圧力計723により検出された油圧の値に基づいて、揺動駆動機構750を制御する。例えばコントローラ120は、検出された油圧が対象ボルトに掛ける軸力に対応する目標値となるように、揺動駆動機構750による加圧バー711の揺動動作を制御する。
【0028】
測域センサ201は、締結装置100の自己位置およびフロア上の障害物の少なくとも一方を示す検出情報(第1検出情報)を検出する検出部(第1検出部)の例である。例えば測域センサ201は、光をスキャニングしながら物体までの距離を測定する二次元走査型の光距離センサである。測域センサ201は、LRF(Laser Rangefinder)、および、LIDAR(Light Detection and Ranging)などと呼ばれる場合もある。3次元操作型のLIDARが用いられてもよい。
【0029】
カメラ202は、締結装置100の前方の画像を撮像する撮像装置である。コントローラ120は、カメラ202により撮像された画像を解析することにより、例えば対象ボルトの位置を検出することができる。カメラ202は、対象ボルトの位置を検出するための検出部(第2検出部)の例である。対象ボルトの位置は、対象ボルトの位置を示すマーカを用いて検出されてもよい。
【0030】
以下、図1および図2に示す各部の詳細について説明する。
【0031】
図4は、台車部110の構成例を示す図である。図4は、台車部110の上面図である。台車部110は、点検作業時にフロア上を自律移動するように制御されて対象ボルトにアクセスする。台車部110は、例えば、フロア間を移動するための昇降機内に搭載可能なサイズ(幅、奥行き)となるように構成される。例えば台車部110は、幅40cmおよび奥行50cm程度のサイズとなるように構成される。
【0032】
図4に示すように、台車部110は、駆動輪111と、補助輪112と、バッテリ113と、アウトリガー114と、サスペンション115と、減速機116と、モータ117と、を備える。
【0033】
駆動輪111は、フロア上での移動に必要な走行動作として、台車部110の前進、後退、旋回、および、円弧軌道に沿った移動を可能とする台車駆動部に相当する。例えば駆動輪111は、台車部110の後部の左右に設けられ、独立に駆動可能な2輪駆動機構である。
【0034】
例えば、コントローラ120は、測域センサ201により検出された検出情報、および、カメラ202により検出された対象ボルトの位置を用いて、駆動輪111(モータ117)を制御することにより、対象ボルトからの距離が一定値以内となるように台車部110を移動させる。コントローラ120は、さらに地図情報を用いて台車部110の移動を制御してもよい。地図情報は、各フロアのフランジ部の位置、および、障害物の位置などを示す情報である。地図情報は、例えば、新たな障害物が検出されたときに更新されてもよい。
【0035】
補助輪112は、台車部110の前部の左右に設けられる。補助輪112は、例えば、水平回転のないオムニホイールを利用することができる。
【0036】
このように、台車部110は、車輪駆動型の台車であるが、車輪以外の駆動機構により駆動可能であってもよい。
【0037】
バッテリ113は、台車部110の底面側の中央に設けられ、締結装置100の全体の電源を供給する電源装置である。バッテリ113は、どのような種類のバッテリであってもよいが、例えばリチウムイオンバッテリである。
【0038】
アウトリガー114は、点検作業時の締結装置100全体の重心バランスの安定化を図るために用いられる。例えばアウトリガー114は、台車部110の前部の左右に設けられる。また、アウトリガー114は、図4の破線で示すように、台車部110内に収納可能であるとともに、軸A11を中心軸として回転することにより、台車部110の前方に伸展可能である。すなわち、アウトリガー114は、ボルトテンショナ150の位置決めに応じた重心の移動方向に伸展可能となるように構成される。
【0039】
点検作業時には、ボルトテンショナ150が対象ボルトの近傍まで移動するように、位置決め部130の各アーム(アーム135~137)が伸ばされた状態(姿勢)となる場合がある。また、このような場合、締結装置100の全体の重心位置は、台車部110の前部側となる。
【0040】
例えば、コントローラ120は、台車部110内に収納された状態のアウトリガー114を台車部110の前方に回転(展開)させるとともに、脚部114aをフロア面まで伸展させる。これにより、締結装置100全体の重心バランスの安定化を図ることができる。
【0041】
サスペンション115は、台車部110の移動を安定させるための緩衝装置である。減速機116は、駆動輪111を減速させる。モータ117は、駆動輪111を回転させる駆動部に相当する。
【0042】
次に、主に図2を用いて、位置決め部130の制御について説明する。対象ボルトとの距離が一定値以内となるように台車部110を移動させた後、コントローラ120は、台車部110に搭載した位置決め部130を動作させる。すなわち、コントローラ120は、ボルトテンショナ150を対象ボルトに取り付けることが可能な位置となるように、ボルトテンショナ150(ボルトテンショナ150を把持するハンドリング部140)の位置決めを行う。
【0043】
位置決め部130は、例えば、ボルトテンショナ150を三次元空間内で姿勢も含めて対象ボルトに対して位置決めするため、4自由度以上の駆動機構を含む。本実施形態では、位置決め部130は、ボルトテンショナ150を特定の方向DA(第1方向)に移動させる3自由度以上の駆動部を含む。方向DAは、例えば水平方向である。方向DAは、フロア面と平行な方向と解釈することもできる。以下では、この駆動部を水平駆動部(第1駆動部)という。例えばアーム135~137、および、アーム135~137をそれぞれ回転させるモータが、水平駆動部に相当する。この場合、水平駆動部は、3自由度の駆動である。アームおよび当該アームを回転させるモータをさらに追加することにより、4自由度以上の水平駆動部としてもよい。
【0044】
また、位置決め部130は、ボルトテンショナ150を方向DAと直交する方向DB(第2方向)に移動させる駆動部を含む。方向DBは、例えば上下方向(垂直方向)である。上下駆動部132が、この駆動部(第2駆動部)に相当する。
【0045】
本実施形態では、対象ボルトの上部(頭部)に向けて、ボルトテンショナ150の底面を上方側からアクセスさせる。このため、上下駆動部132は、対象ボルトに対するボルトテンショナ150の取り付けおよび取り外しに必要な上下駆動の長さ(ストローク)を有するように構成される。図1に示す長さH1-1が、この上下駆動の長さに相当する。長さH1-1は、対象ボルトのサイズやフランジ面からの高さに応じて定められればよい。
【0046】
手先負荷低減の観点から、上下駆動部132は、台車部110の上に配置される。上下駆動のための駆動方式はどのような方式でもよいが、例えば、ボールネジを用いたモータ制御による駆動方式を適用できる。例えばボールネジは、ネジの軸方向が方向DBとなるように設置され、モータ(例えば減速機付きのモータ)の回転に応じて上下駆動部132が方向DBに移動するように構成される。
【0047】
上下駆動部132による移動をガイドするためのガイドレールが、例えば、支持部131の側面部にボールネジと平行に複数カ所設けられるよう構成される。これにより、手先負荷モーメントの剛性を保つことができる。
【0048】
水平駆動部(アーム135~137、各モータ)は、手先負荷重力の影響を小さくするように、ボルトテンショナ150を水平方向に移動させる3自由度の駆動部である。モータ容量を小さくできるため、モータの小型化によるアームの軽量化を図ることができる。
【0049】
例えば、軸A01を中心軸とするアーム135の回転、および、軸A02を中心軸とするアーム136の回転が、主にボルトテンショナ150を対象ボルトの上方まで水平移動させるための2自由度に相当する。軸A03を中心軸とするアーム137の回転が、主に対象ボルトの中心軸周りのボルトテンショナ150の姿勢を制御するための1自由度に相当する。
【0050】
コントローラ120は、位置決め部130を例えば以下のように制御する。まず、コントローラ120は、ボルトテンショナ150が対象ボルトより高い位置となるように、位置決め部130(上下駆動部132)を制御する。コントローラ120は、この状態で、対象ボルトからの距離が一定値以内となる位置まで台車部110を移動させる。コントローラ120は、ボルトテンショナ150が対象ボルトの上方の位置まで水平移動するように水平駆動部を駆動させる。コントローラ120は、ボルトテンショナ150が対象ボルトの上方に位置した後、ボルトテンショナ150が対象ボルトに接触するまで移動するように上下駆動部132を駆動させる。
【0051】
図1および図2は、締結装置100の前方に向かうボルトテンショナ150の移動量が最大となるように各アームが伸展された状態を示す。例えばフロア間を移動するときには、移動量が小さくなるように各アームが折り畳まれた状態とされてもよい。また、締結装置100は、アーム着脱部133からアーム支持部134を取り外した状態で運搬されてもよい。
【0052】
アーム着脱部133は、例えば、協働アーム用の取り付け治具を用いることにより、アーム支持部134を容易に着脱可能となる構造とすることができる。
【0053】
位置決め部130は、上記の例に限られず、例えば、4自由度以上で構成される垂直多関節型のアームを利用した構成とすることも可能である。
【0054】
次に、図5および図6を用いて、ハンドリング部140の構成例を説明する。図5は、ハンドリング部140の側面図の例である。図6は、ハンドリング部140の上面図の例である。なお、図5および図6では、ハンドリング部140により把持された状態のボルトテンショナ150、対象ボルト61、対象ボルト61と締結されるナット51、座金52、および、フランジ面62も示されている。
【0055】
図5に示すように、ハンドリング部140は、ボルトテンショナ150を対象ボルト61へ取り付けて点検作業を行うための、上部レンチ141、および、下部レンチ142を備える。ボルトテンショナ150は、メネジ部153と、メネジ部153を回転させるメネジ回転部151と、ナット51を回転させるナット回転部152と、を備える。
【0056】
上部レンチ141は、対象ボルト61の上部軸にボルトテンショナ150の内部のメネジ部153を回転させて取り付けるための部材である。上部レンチ141は、ボルトテンショナ150上面に設けられたレンチ穴に挿入されて回転される。これにより、メネジ回転部151が回転され、メネジ回転部151の回転に連動してメネジ部153が回転される。下部レンチ142は、対象ボルト61にメネジ部153が取り付けられた後、油圧供給部710による加圧に応じて一定の軸力を作用させボルトの軸の伸びに応じてナット51を締まるまで回転させるための部材である。下部レンチ142は、ボルトテンショナ150の下部の側面部に設けられたレンチ穴に挿入されて回転される。これにより、ナット回転部152が回転され、ナット回転部152の回転に連動してナット51が回転される。軸A21、A22は、それぞれ上部レンチ141、下部レンチ142の回転軸に相当する。
【0057】
人手による点検作業の場合、上部レンチ141および下部レンチ142は、点検者によりボルトテンショナ150に設けられたレンチ穴にそれぞれ挿入されて操作される。本実施形態では、ハンドリング部140が、上部レンチ141および下部レンチ142を操作する。
【0058】
このような操作のため、ハンドリング部140は、把持部501と、モータ502、503と、エンコーダ504、505と、アーム接続部506と、下部ベース板509と、ボルト検出カメラ510と、コントローラ511と、を備える。
【0059】
アーム接続部506は、位置決め部130のアーム137と接続するための治具である。下部ベース板509は、ボルトテンショナ150の下部側の側面に押し当てるハンドリング部140の底部にあたる板部材である。
【0060】
把持部501は、下部ベース板509で押し当てられた状態のボルトテンショナ150の側面を両側から把持する。ボルトテンショナ150は、油圧ホース722と接続する接続部512(図6参照)を有する部分(例えば上部)が回転可能な構造とされる場合がある。このような場合は、把持部501は、ボルトテンショナ150の回転しない部分(例えば下部)を把持するように構成される。
【0061】
把持部501および下部ベース板509により、ボルトテンショナ150は、ハンドリング部140に固定され、ハンドリング部140と一体に移動可能となる。
【0062】
モータ502は、上部レンチ141を回転させるための駆動部である。なお、図5の例では、モータ502は、軸A22の中心として回転し、回転による動力を、ベルトを介して軸A21の周りに回転する上部レンチ141に伝達する構成となっている。モータ503は、下部レンチ142を回転させるための駆動部である。モータ502は、上部レンチ141を回転させることで、挿入させたボルトテンショナ150の内部のメネジ部を回転させるメネジ回転駆動部に相当する。モータ503は、挿入させた下部レンチ142を回転させることで、対象ボルトを締めるナット51を回転させるナット回転駆動部に相当する。
【0063】
エンコーダ504および505は、それぞれ、モータ502および503の回転量を検出する検出部(第3検出部)に相当する。回転量は、ハンドリング部140による操作時に得られる検出情報(第2検出情報)の一例である。コントローラ120は、検出された回転量などの検出情報を、例えばコントローラ120の内部に備えられる記憶装置に記憶してもよい。これにより、例えば点検作業の結果を記憶する処理を自動化することができる。
【0064】
図5の例では、モータ502、503、および、エンコーダ504、505は、下部レンチ142の回転軸(軸A22)の軸線上に配置される。これにより、ハンドリング部140をよりコンパクトな構造とすることができる。
【0065】
ボルト検出カメラ510は、対象ボルト61の画像を撮像し、対象ボルト61を検出するために用いられる撮像部である。例えばコントローラ120は、ボルト検出カメラ510により対象ボルト61の画像が撮像される位置まで位置決め部130を移動させる。移動後、コントローラ120は、ボルト検出カメラ510で撮像された画像を用いた駆動制御により、ボルトテンショナ150が対象ボルト61を締める位置となるように、すなわち、ボルトテンショナ150が対象ボルト61の中心軸線上の位置となるように位置決め部130を移動させる。
【0066】
コントローラ511は、モータ502、503の駆動を制御する制御部(モータドライバ)である。コントローラ511は、例えばコントローラ120からの指示に従い、モータ502、503を駆動させる。
【0067】
下部ベース板509には、ボルト検出カメラ510が下方を撮像できるように、穴509a(図5参照)が設けられる。また、下部ベース板509は、中央付近が窪んだ窪み形状とされてもよい。すなわち、下部ベース板509は、切り欠き部509b(図6参照)が設けられてもよい。切り欠き部509bは、例えば、対象ボルト61へボルトテンショナ150を取り付ける際に、左右に設置されたナット51および座金52との干渉を回避できるように設けられる。これにより、軸A03を中心軸とするアーム137の回転の範囲、言い換えると、ボルトテンショナ150の姿勢の制御のための範囲を広げることが可能となる。
【0068】
次に、図7図10を用いて、油圧供給部710および揺動駆動機構750の構成例を説明する。図7は、揺動駆動機構750が装着された油圧供給部710の上面図の例である。図8は、揺動駆動機構750が装着された油圧供給部710の側面図の例である。
【0069】
油圧供給部710は、ボルトテンショナ150が高い軸力(例えば600kN)を作用させるために必要な油圧(例えば90MPa)を供給可能であり、例えば、ハンド式油圧ポンプにより構成することができる。ハンド式油圧ポンプは、手動により揺動可能な加圧バー711を備え、加圧バー711の揺動に応じて加圧された油圧を供給する。
【0070】
油圧供給部710は、ハンド式油圧ポンプに限られず、例えば、エアー式油圧ポンプ、および、電動式油圧ポンプであってもよい。
【0071】
ハンド式油圧ポンプを用いることにより、構造を簡易化し、コンパクトなサイズとすることができる。また、油圧ポンプに加圧空気を供給するコンプレッサーなどの別の機器を準備する必要がない。このため、締結装置100に対する取り付け、および、締結装置100からの取り外しが容易となる。また、締結装置100に搭載した状態での、昇降機によるフロア間の移動も容易となる。
【0072】
図7に示すように、油圧供給部710は、取り付けベース板721上に設置される。油圧供給部710を利用する場合、まず、開閉弁レバー712を回して開放弁が閉じた状態(ON)にされる。この後、加圧バー711が複数回、揺動動作されることで、油圧が増加される。
【0073】
回転駆動部770は、開閉弁レバー712を回すための駆動部、すなわち、開閉弁レバー712(切替部)の切り替え動作を行うための駆動部(切替駆動部)に相当する。回転駆動部770は、例えば、コントローラ120からの制御に応じて回転するモータなどにより実現される。回転駆動部770は、開閉弁レバー712の回転軸上に設けられてもよいし、平歯車などを介した軸上に設けられてもよい。
【0074】
揺動駆動機構750は、誘導軸752と、リニアボールブッシュ753と、連結部754と、モータ755と、リニアガイド756と、把持部757と、ベース板758と、ボールネジ759と、を備える。
【0075】
誘導軸752は、揺動動作に応じて移動するリニアボールブッシュ753を誘導するための部材である。誘導軸752は、加圧バー711と同じ中心軸である軸A31を中心として揺動動作(揺動回転)するように構成される。図8の矢印AR01は、揺動動作の向きを表す。
【0076】
リニアボールブッシュ753は、誘導軸752に沿って直線運動するように設置される。
【0077】
連結部754は、リニアボールブッシュ753(誘導軸752)と、ボールネジ759のナット部と、を連結するための部材である。
【0078】
モータ755は、ボールネジ759を回転させるための駆動部である。モータ755は、例えば減速機付きのモータにより構成される。
【0079】
リニアガイド756は、連結部754がボールネジ759の回転に合わせて直線状に移動するようにガイドする部材である。
【0080】
把持部757は、誘導軸752の両端のうち、軸A31に対応する端部とは異なる端部に設けられ、加圧バー711を把持する。これにより、誘導軸752の揺動動作に合わせて、加圧バー711も揺動動作させることができる。
【0081】
ベース板758は、モータ755、リニアガイド756、および、ボールネジ759を設置するための部材である。
【0082】
ボールネジ759は、モータ755の回転に応じて連結部754が軸方向に移動するように構成される。矢印AR02は、連結部754が移動する方向を表す。矢印AR03は、連結部754の移動に応じてリニアボールブッシュ753が移動する方向を表す。
【0083】
例えばコントローラ120は、連結部754(リニアボールブッシュ753)が、モータ755から離れる方向に移動するように、モータ755を制御してボールネジ759を回転させる。これにより、加圧バー711は、上方に持ち上がるように揺動される。コントローラ120は、加圧バー711の可動域の上限(上方への移動の限界)に達する前に加圧バー711の移動が停止するように、モータ755の回転を減速させる。次に、コントローラ120は、連結部754(リニアボールブッシュ753)が、モータ755に近づく方向に移動するように、モータ755を制御してボールネジ759を回転させる。これにより、加圧バー711は、下方に下がるように揺動される。コントローラ120は、加圧バー711の可動域の下限(下方への移動の限界)に達する前に加圧バー711の移動が停止するように、モータ755の回転を減速させる。このような動作を繰り返すことにより、加圧バー711を揺動動作させ、油圧供給部710が供給する油圧を増加させることができる。
【0084】
揺動駆動機構750は、図7および図8に示す構成に限られず、加圧バー711を揺動動作させることができれば、どのような構成であってもよい。図9および図10は、揺動駆動機構750の他の構成例を示す図である。図9は、揺動駆動機構750が装着された油圧供給部710の上面図の例である。図10は、揺動駆動機構750が装着された油圧供給部710の側面図の例である。
【0085】
図9および図10の揺動駆動機構750は、誘導軸752と連結させたリンク761を一方向に回転させて加圧バー711を揺動させる。
【0086】
図9および図10の揺動駆動機構750は、誘導軸752bと、連結部754bと、モータ755bと、把持部757と、ベース板758と、リンク761と、を備える。なお、図7および図8と同様の構成については同一の符号を付し、説明を省略する。
【0087】
誘導軸752bは、揺動動作に応じて移動する連結部754bを誘導するための部材である。連結部754bは、誘導軸752bと、リンク761と、を連結するための部材である。モータ755bは、リンク761を回転させるための駆動部である。
【0088】
リンク761は、モータ755bの回転に応じて回転する。軸A32は、リンク761の回転の中心軸に相当する。リンク761は、図10の時計回りの矢印に示すように、一方向に回転される。この回転に応じて、誘導軸752bが揺動されるとともに、加圧バー711も揺動される。
【0089】
油圧供給部710は、水平状態で使用する必要がある場合がある。油圧供給部710が水平状態で締結装置100に取り付けられていると、例えばフロア間の移動に用いる昇降機に搭載できなくなる状況が生じうる。このような場合、油圧供給部710は、例えば、フロア間の移動などの際には、締結装置100から取り外された状態で運搬され、点検作業前に、水平状態となるように締結装置100に取り付けられてもよい。
【0090】
油圧供給部710は、締結装置100に取り付けられた状態で向きを変更できるように構成されてもよい。図11は、このように構成される場合の油圧供給部710の例を示す図である。なお、図11では、油圧供給部710、および、油圧供給部710を取り付ける部材である位置決め部130のみが記載され、他の構成要素は省略されている。
【0091】
取り付けベース板721は、油圧供給部710の向きを変更する回転軸721aを備えるように構成される。例えば取り付けベース板721は、回転軸721aを中心として回転可能に、位置決め部130に取り付けられる。図11の左部は、油圧供給部710の向きを水平状態とした例を示す。図11の右部は、回転軸721aを中心として油圧供給部710の向きを90度回転させ、垂直状態とした例を示す。
【0092】
このような構成により、例えば昇降機内などの狭い場所での移動の際には、油圧供給部710を垂直状態とし、フロア上などの広い場合での移動の際には、油圧供給部710を水平状態とすることができる。すなわち、油圧供給部710を締結装置100から取り付けた状態であっても、昇降機に搭載可能(フロア間を移動可能)となる。
【0093】
次に、締結装置100による対象ボルトの点検作業における動作制御の手順について説明する。まず、フロア上で対象ボルト61まで移動し、ボルトテンショナ150を対象ボルト61の上方まで移動させる処理(以下、アクセス処理)について説明する。
【0094】
図12は、実施形態におけるアクセス処理の一例を示すフローチャートである。以下では、対象ボルト61が設置されているフロアに、昇降機を用いて移動した時点からの処理を説明する。図13は、アクセス処理の具体例を説明するための図である。図13は、フロアの上方から観察した場合の図の例である。
【0095】
締結装置100は、昇降機53(図13参照)からフロアに移動する(ステップS101)。例えば締結装置100(コントローラ120)は、測域センサ201からの検出情報に基づいて自己位置を把握し、フロアに移動する。なお、フロアへの移動は、点検者が実行してもよい。点検者は、油圧供給部710の搭載、および、油圧ホース722を介した油圧供給部710と圧力計723の接続などの、必要な設定を行ってもよい。
【0096】
コントローラ120は、地図情報、測域センサ201からの検出情報、および、カメラ202により撮像される画像を用いて、締結装置100の自己位置を把握しながら、対象ボルト61の方向へ移動するように、台車部110による移動を制御する(ステップS102)。
【0097】
図13の例では、対象ボルト61の位置を検出するためのマーカ1311が用いられる。マーカ1311は、例えば、各フロアに設置されている複数(例えば100本)のボルトのうち、点検対象として予め定められた一部(例えば10本ごとに定められた10本)のボルトである対象ボルト61に対応するように設置されてもよい。
【0098】
図14は、マーカ1311の設置例を示す図である。図14に示すように、マーカ1311は、例えばフランジ部の前面1401の、対象ボルト61に対応する位置に貼り付けられる。複数の対象ボルト61が存在する場合、複数のマーカ1311のそれぞれは、対応する対象ボルト61を識別できるように、前面1401に一定のボルト本数(例えば10本)ごとに間隔を空けて貼り付けられる。
【0099】
マーカ1311は、フランジ部に設けられたすべてのボルトそれぞれについて設置されてもよい。この場合、すべてのボルトのうち、指定されたボルト、または、ランダムに選択されたボルトが、対象ボルト61として点検作業の対象とされてもよい。
【0100】
コントローラ120は、例えば、カメラ202により撮像された画像に対する画像処理により、マーカ1311を識別することができる。マーカ1311は、例えば、QRコード(登録商標)、AR(Augmented Reality)マーカ、または、バーコードなどである。
【0101】
図12に戻り、コントローラ120は、対象ボルト61のほぼ正面位置の一定の距離まで近づいたら停止するように、台車部110を制御する(ステップS103)。図13の例では、停止位置1301が、対象ボルト61の正面からの距離が一定値以内となる位置に相当する。
【0102】
停止位置1302~1304は、他の対象ボルトに対応する停止位置に相当する。複数の対象ボルトが存在する場合、いずれの対象ボルトに近づくか、および、どのような順序で対象ボルトに近づくかは、例えば、事前に指示される作業指示などに基づき決定される。例えば、破線の矢印に示すように、フランジ部に沿って隣接する対象ボルトに順次移動するパターンが用いられてもよい。隣接する対象ボルトよりも距離が離れている対象ボルトを順次点検するようなパターン(例えばスターパターン)であってもよい。
【0103】
コントローラ120は、位置決め部130の動作を開始し、ボルトテンショナ150を対象ボルト61の近傍の上方まで移動させ(ステップS104)、アクセス処理を終了する。
【0104】
図15は、ステップS104の処理の例を説明するための図である。
【0105】
対象ボルト61のほぼ正面の一定の距離まで近づいたら、コントローラ120は、台車部110を停止させ、必要に応じてアウトリガー114を展開して、脚部114aをフロア面に接触させる。また、コントローラ120は、位置決め部130を初期姿勢状態(ホームポジション)から基準姿勢状態となるように動作させる。
【0106】
初期姿勢状態は、例えば、各アームが折り畳まれた状態である。基準姿勢状態は、点検作業時の開始時の基準となる姿勢を示す状態である。図15では、基準姿勢状態の例が示されている。図15は、軸A01が45度、軸A02が90度、軸A03が45度、回転された基準姿勢状態の例である。基準姿勢状態は、例えば、対象ボルト61の正面の一定の距離に近づいたときに、対象ボルト61の近傍の上方までボルトテンショナ150を移動させることができる姿勢として、予め定められる。
【0107】
図16図19は、ボルトテンショナ150を対象ボルトに対して位置決めする処理の例を説明するための図である。なお、図16図19では、締結装置100の構成要素のうちハンドリング部140、および、ボルトテンショナ150のみが記載され、他の構成要素は省略されている。
【0108】
図16では、コントローラ120は、水平駆動部(アーム135~137、モータなど)および上下駆動部132を駆動させ、対象ボルト61の近傍上方であって、ボルト検出カメラ510の画角に対象ボルト61の上部が入る範囲まで、ボルトテンショナ150を移動させる。なお、位置決めポイント1601は、対象ボルト61の中心軸上の、ボルトテンショナ150の中心軸A21を位置決めする点に相当する。
【0109】
図17では、コントローラ120は、ボルト検出カメラ510により撮像された画像に対するボルト軸検出の画像処理を用いて、位置決めポイント1601上にボルトテンショナ150の中心軸A21が位置するように、ボルトテンショナ150を移動させる。
【0110】
図18では、コントローラ120は、対象ボルト61の中心軸とボルトテンショナ150の中心軸A21とが位置合わせされた後、上下駆動部132を動作させ、ボルトテンショナ150内部のメネジ部に対象ボルト61の上部が接触するまで降下させる。
【0111】
コントローラ120は、ハンドリング部140のモータ502を回転駆動させてボルトテンショナ150を対象ボルト61に取り付ける。図19は、ボルトテンショナ150を対象ボルト61に取り付けた状態を示す。
【0112】
コントローラ120は、モータ502の力制御を用いて力(トルク)の目標値と比較する方法、および、モータ502の電流値の変化を検出する方法などにより、フランジ部の上面とボルトテンショナ150の底面との接触を判断する。また、コントローラ120は、モータ502の回転駆動(回転速度)に合わせて、対象ボルト61のネジピッチに対応した移動量でボルトテンショナ150が下降するように、上下駆動部132を駆動する。これにより、円滑なボルトテンショナ150の取り付け作業を実現することができる。
【0113】
図20は、実施形態における点検処理の一例を示すフローチャートである。図20の点検処理は、例えば図18のように、対象ボルト61の中心軸とボルトテンショナ150の中心軸A21との位置合わせが完了した後の処理に相当する。
【0114】
図20の点検処理は、主に以下の4つの機能に分けられる。
(F1)対象ボルト61へのボルトテンショナ150の取り付け:ステップS201~ステップS203
(F2)対象ボルト61への軸力の付加(加圧):ステップS204~ステップS205
(F3)軸力が掛けられた対象ボルト61に対するナット51の回転:ステップS206~ステップS207
(F4)対象ボルト61の軸力の解放、ボルトテンショナ150の取り外し:ステップS208~ステップS211
【0115】
コントローラ120は、対象ボルト61の上面に接するまでボルトテンショナ150を降下させるように、上下駆動部132を駆動する(ステップS201)。このとき、ナット51に対する位相合わせは不要である。コントローラ120は、ボルトテンショナ150の底面がフランジ部の上面に接触するまで、ハンドリング部140の上部レンチ141を回転させるように、モータ502を駆動する(ステップS202)。コントローラ120は、上部レンチ141の回転速度に合わせて、対象ボルト61のネジピッチに対応した移動量でボルトテンショナ150が降下するように、上下駆動部132を駆動する(ステップS203)。
【0116】
コントローラ120は、油圧供給部710の開閉弁レバー712を閉じる(ON)ように、回転駆動部770を駆動する(ステップS204)。例えばコントローラ120は、回転駆動部770であるモータを時計周りに回転させる。コントローラ120は、設定された圧力値になるまで、油圧供給部710の加圧バー711を揺動動作させるように、揺動駆動機構750を駆動する(ステップS205)。
【0117】
コントローラ120は、ナット51が締結されたことを検知するまで、ハンドリング部140の下部レンチ142を回転させるように、モータ503を駆動する(ステップS206)。コントローラ120は、このときのモータ503の回転量を計測して記憶装置などに記憶する(ステップS207)。記憶した情報は、例えばナット51の緩み量の確認および管理などの作業に利用することができる。
【0118】
コントローラ120は、油圧供給部710の開閉弁レバー712を開放(OFF)するように、回転駆動部770を駆動する(ステップS208)。例えばコントローラ120は、回転駆動部770であるモータを半時計周りに回転させる。コントローラ120は、対象ボルト61の上部軸からボルトテンショナ150内のメネジ部が外れるまで、ハンドリング部140の上部レンチ141を回転させるように、モータ502を駆動する(ステップS209)。コントローラ120は、上部レンチ141の回転速度に合わせて、対象ボルト61のネジピッチに対応した移動量でボルトテンショナ150が上昇するように、上下駆動部132を駆動する(ステップS210)。コントローラ120は、水平駆動部(アーム135~137、モータなど)および上下駆動部132を初期姿勢状態に戻し(ステップS211)、点検処理を終了する。
【0119】
次の点検対象となる対象ボルト61が存在する場合は、コントローラ120は、次の対象ボルト61へ締結装置100を移動させ、上記のような点検処理をさらに実行する。これにより、フロア上のすべての対象ボルト61の点検作業が実行される。
【0120】
上記の各機能では、動作の終了を判定(検出)する必要がある。例えば、各ステップでは、以下のような事象を検出する必要がある。
・ステップS202:ボルトテンショナ150の底面がフランジ部の上面に接触したこと
・ステップS204:開閉弁レバー712がON側で停止すること
・ステップS205:圧力計723で計測された値が設定された圧力値に達すること
・ステップS206:軸力を掛けた対象ボルト61にナット51が締め付けられたこと
【0121】
ステップS205は、計測された値と設定された圧力値との比較により実現できる。その他の処理は、例えば、使用する駆動部(モータなど)に対して力制御を適用することで実現できる。例えばコントローラ120は、駆動によるトルク(力)が目標値に達したか否かにより、動作の終了を検出する。
【0122】
動作の終了の検出方法は、力制御を用いた方法に限られず、その他のどのような方法であってもよい。例えば、コントローラ120は、駆動部を駆動する電流の変化により、動作の終了を検出する方法を用いてもよい。例えばコントローラ120は、駆動部を位置制御するような場合であっても、駆動部を駆動する電流の変化量が目標設定値以上になったか否かにより、動作の終了を検出できる。
【0123】
なお、ステップS208で開閉弁レバー712をOFFとする処理は、ステップS204で開閉弁レバー712をONとしたときの回転量と同じ回転量で、逆方向に回転させることで実現できる。同様に、ステップS209でボルトテンショナ150内のメネジ部が対象ボルト61の軸から外れるまで上部レンチ141を回転させる処理は、ステップS202でボルトテンショナ150内のメネジ部を対象ボルト61の軸に取り付けるときの上部レンチ141の回転量と同じ回転量で、逆方向に回転させることで実現できる。
【0124】
上記のような処理により、締結装置100は、一連のボルトの点検作業を実行できる。締結装置100は、必要に応じて、点検者の指示に応じて点検作業を実行するように構成されてもよい。操縦装置801(図1参照)は、このような場合に点検者が指示を入力するために使用される装置である。操縦装置801は、例えばゲームパッドなどと同様に、操作対象(いずれの構成要素を操作対象とするか)、および、操作対象の移動方向などの指示を入力できるように構成される。
【0125】
例えば、締結装置100と同じフロアにいる点検者は、締結装置100を目視しながら操縦装置801を用いて、点検作業の一部または全部の実行を指示する。操縦装置801は、有線または無線によりコントローラ120と接続され、指示を示す情報などを送受信するように構成される。
【0126】
コントローラ120は、操縦装置801から入力される指示に応じて、締結装置100の各構成要素の動作を制御する。点検者は、指示を選択するための画面、および、締結装置100の状態(エラー情報など)を表示するための画面などを表示する表示装置を見ながら、操縦装置801を操作してもよい。操縦装置801が、これらの情報を表示する表示装置を備えてもよい。また、操縦装置801が、これらの情報を表示する表示装置と接続されてもよい。
【0127】
点検者は、フロアとは離れた場所から、操縦装置801の遠隔操作により締結装置100を動作させてもよい。例えば、点検者は、カメラ202が撮像した画像、および、フロア内を撮像するように事前に設置されたカメラが撮像した画像の少なくとも一方を見ながら、操縦装置801を操作する。これらの画像は、例えばネットワーク(有線、および、無線のいずれであってもよい)を介して取得される。
【0128】
このように、実施形態の締結装置は、ボルトの締結作業の負荷を低減することができる。
【0129】
実施形態の締結装置(コントローラ)で実行されるプログラムは、例えばコントローラが備えるROM(Read Only Memory)等に予め組み込まれて提供される。
【0130】
実施形態の締結装置で実行されるプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、フレキシブルディスク(FD)、CD-R(Compact Disk Recordable)、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録してコンピュータプログラムプロダクトとして提供されるように構成してもよい。
【0131】
さらに、実施形態の締結装置で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、実施形態の締結装置で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
【0132】
実施形態の締結装置で実行されるプログラムは、コンピュータを上述した締結装置の各部として機能させうる。このコンピュータは、CPU(Central Processing Unit)がコンピュータ読取可能な記憶媒体からプログラムを主記憶装置上に読み出して実行することができる。
【0133】
実施形態の構成例について以下に記載する。
(構成例1)
駆動制御により移動可能な台車部と、
ボルトの締め動作を行うボルトテンショナと、
前記ボルトテンショナを駆動制御により操作する操作部と、
前記台車部に搭載され、前記ボルトテンショナと前記操作部を搭載し、前記ボルトテンショナの三次元位置を位置決めする位置決め部と、
前記ボルトとの距離が一定値以内となるように前記台車部を移動させ、前記台車部の移動後に、前記三次元位置が前記ボルトを締める位置となるように前記位置決め部を動作させ、前記三次元位置が前記ボルトを締める位置に位置決めされた後に、前記ボルトテンショナが前記締め動作を実行するように前記操作部を駆動させる制御部と、
を備える締結装置。
(構成例2)
前記台車部は、
前記台車部の前進、後退、旋回、および、円弧軌道に沿った移動を行う台車駆動部と、
前記ボルトテンショナの位置決めに応じた重心の移動方向に伸展可能なアウトリガーと、
を備える、
構成例1に記載の締結装置。
(構成例3)
自己位置および障害物の少なくとも一方を示す第1検出情報を検出するための第1検出部と、
前記ボルトの位置を検出するための第2検出部と、をさらに備え、
前記制御部は、前記第1検出情報および前記ボルトの位置を用いて前記台車駆動部を制御することにより、前記ボルトからの距離が一定値以内となるように前記台車部を移動させる、
構成例2に記載の締結装置。
(構成例4)
前記位置決め部は、
前記ボルトテンショナを第1方向に移動させる3自由度以上の第1駆動部と、
前記ボルトテンショナを前記第1方向に直交する第2方向に移動させる第2駆動部と、
を備える、
構成例1から3のいずれか1つに記載の締結装置。
(構成例5)
前記制御部は、
前記ボルトテンショナが前記ボルトより高い位置となる状態で、前記ボルトからの距離が一定値以内となる位置まで前記台車部を移動させ、
前記ボルトテンショナが前記ボルトの上方の位置まで移動するように前記第1駆動部を駆動させ、
前記ボルトテンショナが前記ボルトの上方に位置した後、前記ボルトテンショナが前記ボルトに接触するまで移動するように前記第2駆動部を駆動させる、
構成例4に記載の締結装置。
(構成例6)
前記ボルトテンショナは、
前記ボルトに取り付けるメネジ部と、
前記メネジ部を回転させるメネジ回転部と、
前記ボルトを締めるナットを回転させるナット回転部と、を備え、
前記操作部は、
前記メネジ回転部を回転させるレンチを駆動制御するメネジ回転駆動部と、
前記ナット回転部を回転させるレンチを駆動制御するナット回転駆動部と、
を備える、
構成例1から5のいずれか1つに記載の締結装置。
(構成例7)
前記操作部は、前記ボルトの画像を撮像するための撮像部をさらに備え、
前記制御部は、
前記台車部の移動後に、前記撮像部により前記ボルトの画像が撮像される位置まで前記位置決め部を移動させ、
前記位置決め部の移動後に、撮像された前記画像を用いた駆動制御により、前記三次元位置が前記ボルトを締める位置となるように前記位置決め部を動作させる、
構成例6に記載の締結装置。
(構成例8)
前記制御部は、
回転により前記ボルトに取り付けられる前記メネジ部の前記ボルトのネジピッチに対応した移動量に応じて、前記ボルトテンショナが下降するように前記位置決め部を動作させ、
前記メネジ回転駆動部によるトルクが目標値に達したか否か、または、前記メネジ回転駆動部を駆動する電流の変化により、前記三次元位置が前記ボルトを締める位置となったことを検出する、
構成例6に記載の締結装置。
(構成例9)
前記制御部は、
前記ナット回転駆動部によるトルクが目標値に達したか否か、または、前記ナット回転駆動部を駆動する電流の変化により、前記ボルトテンショナに前記締め動作を終了するか否かを検出する、
構成例6に記載の締結装置。
(構成例10)
前記操作部は、前記メネジ回転駆動部および前記ナット回転駆動部のうち少なくとも一方による回転量を示す第2検出情報を検出する第3検出部をさらに備え、
前記制御部は、前記第2検出情報を記憶装置に記憶させる、
構成例6に記載の締結装置。
(構成例11)
前記ボルトテンショナに油圧を供給する油圧供給部をさらに備え、
前記油圧供給部は、
揺動動作させることにより前記油圧を増加させる加圧バーと、
前記油圧の加圧の可否を切り替えるための切替部と、
前記加圧バーの揺動動作を行う揺動駆動部と、
前記切替部の切り替え動作を行う切替駆動部と、
を備え、
前記制御部は、検出された前記油圧の値に基づいて前記揺動駆動部を制御する、
構成例1から10のいずれか1つに記載の締結装置。
(構成例12)
前記油圧供給部を取り付けるための取付部をさらに備え、
前記取付部は、取り付けられた前記油圧供給部の向きを変更する回転軸を備える、
構成例11に記載の締結装置。
(構成例13)
前記制御部は、
操縦装置から入力される指示に応じて、前記台車部を移動させる移動動作、前記位置決め部を動作させる位置決め動作、および、前記締め動作の一部または全部を実行する、
構成例1から12のいずれか1つに記載の締結装置。
(構成例14)
締結装置で実行される制御方法であって、
前記締結装置は、
駆動制御により移動可能な台車部と、
ボルトの締め動作を行うボルトテンショナと、
前記ボルトテンショナを駆動制御により操作する操作部と、
前記台車部に搭載され、前記ボルトテンショナと前記操作部を搭載し、前記ボルトテンショナの三次元位置を位置決めする位置決め部と、を備え、
前記ボルトとの距離が一定値以内となるように前記台車部を移動させるステップと、
前記台車部の移動後に、前記三次元位置が前記ボルトを締める位置となるように前記位置決め部を動作させるステップと、
前記三次元位置が前記ボルトを締める位置に位置決めされた後に、前記ボルトテンショナが前記締め動作を実行するように前記操作部を駆動させるステップと、
を含む制御方法。
【0134】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0135】
100 締結装置
110 台車部
111 駆動輪
112 補助輪
113 バッテリ
114 アウトリガー
115 サスペンション
116 減速機
117 モータ
120 コントローラ
130 位置決め部
140 ハンドリング部
141 上部レンチ
142 下部レンチ
150 ボルトテンショナ
151 メネジ回転部
152 ナット回転部
153 メネジ部
201 測域センサ
501 把持部
502、503 モータ
504、505 エンコーダ
506 アーム接続部
509 下部ベース板
510 ボルト検出カメラ
511 コントローラ
512 接続部
710 油圧供給部
711 加圧バー
712 開閉弁レバー
721 取り付けベース板
722 油圧ホース
723 圧力計
750 揺動駆動機構
752 誘導軸
753 リニアボールブッシュ
754 連結部
755 モータ
756 リニアガイド
757 把持部
758 ベース板
759 ボールネジ
761 リンク
770 回転駆動部
801 操縦装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20