(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177817
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65H 9/00 20060101AFI20241217BHJP
B65H 9/14 20060101ALI20241217BHJP
B65H 5/06 20060101ALI20241217BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20241217BHJP
B65H 7/08 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
B65H9/00 J
B65H9/00 B
B65H9/14
B65H5/06 M
G03G15/00 463
B65H7/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096164
(22)【出願日】2023-06-12
(71)【出願人】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】野口 芳史
【テーマコード(参考)】
2H072
3F048
3F049
3F102
【Fターム(参考)】
2H072AA03
2H072AA13
2H072AA29
2H072AA32
2H072AB14
2H072CA01
2H072CA05
2H072CB01
2H072CB05
2H072HB07
2H072JA02
2H072JA03
3F048AA01
3F048AB01
3F048BA05
3F048BA20
3F048BB03
3F048BB04
3F048BB05
3F048CA09
3F048CC03
3F048CC11
3F048DA07
3F048DB04
3F048DB06
3F048DB11
3F048DB13
3F048EA01
3F048EB33
3F048EB35
3F049AA02
3F049DA12
3F049EA10
3F049EA12
3F049EA28
3F049EA29
3F049LA01
3F049LB01
3F102AA01
3F102AB01
3F102BA02
3F102BB02
3F102BB09
3F102CB01
3F102DA08
3F102EA03
3F102FA08
(57)【要約】
【課題】用紙の斜行補正が不十分になることを抑えることができる搬送装置を提供する。
【解決手段】制御部は、斜行検出部5Aにより検出された用紙の斜行量に基づき、レジスト搬送部31A,31Bのうち用紙が先行している側の一方のレジスト搬送部31による用紙の搬送速度が、他方のレジスト搬送部31による用紙の搬送速度よりも遅い速度となるよう制御して用紙の斜行を補正する斜行補正処理を実行する。制御部は、斜行検出部5Aにより検出された用紙の斜行量が、斜行補正処理における所定の最大斜行補正量より大きい場合、用紙が先行している側の一方のレジスト搬送部31を一時停止させ、停止している一方のレジスト搬送部31に用紙を突き当てさせることで、用紙の斜行量を最大斜行補正量以下に低減する突き当て動作を実行した後、斜行補正処理を実行する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙の搬送方向に直交する方向に互いに離間して配置され、それぞれ独立して駆動されて用紙を搬送する一対の搬送部と、
用紙の斜行量を検出する検出部と、
前記検出部により検出された斜行量に基づき、前記一対の搬送部のうち用紙が先行している側の一方の搬送部による用紙の搬送速度が、他方の搬送部による用紙の搬送速度よりも遅い速度となるよう制御して用紙の斜行を補正する斜行補正処理を実行する制御部とを備え、
前記制御部は、前記検出部により検出された斜行量が、前記斜行補正処理における所定の最大斜行補正量より大きい場合、前記一方の搬送部を一時停止させ、停止している前記一方の搬送部に用紙を突き当てさせることで、用紙の斜行量を前記最大斜行補正量以下に低減する突き当て動作を実行した後、前記斜行補正処理を実行することを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記一対の搬送部が搬送した用紙を、前記一対の搬送部へ再度搬送する循環搬送部をさらに備え、
前記制御部は、前記突き当て動作を実行した場合において、前記突き当て動作において前記一方の搬送部に突き当てられた用紙以外の、前記突き当て動作を実行した時点において前記循環搬送部が搬送中の用紙の搬送を、前記突き当て動作後に一時停止させることを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記循環搬送部は、前記一対の搬送部に用紙を受け渡す再給紙搬送部を有し、
前記制御部は、前記突き当て動作において前記一方の搬送部に突き当てられた用紙以外の、前記突き当て動作を実行した時点において前記循環搬送部が搬送中の用紙を一時停止させるために前記再給紙搬送部を一時停止させる場合において、一時停止させる用紙を停止している前記再給紙搬送部に突き当てて当該用紙の斜行を補正することを特徴とする請求項2に記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙を搬送する搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷装置で印刷される用紙を搬送する搬送装置において、用紙の斜行補正が行われている。
【0003】
用紙の斜行補正を行う技術として、特許文献1に開示されたものがある。特許文献1の画像形成装置は、用紙の搬送方向に直交する方向に互いに離間して配設され、それぞれ独立して用紙を搬送可能な2つの斜行補正ローラ対を備える。この画像形成装置では、2つの斜行補正ローラ対の搬送速度に差を設けることで、用紙の斜行を補正している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術では、2つの斜行補正ローラ対により補正可能な範囲より大きい斜行量の用紙が搬送されてくることで、斜行補正が不十分になるおそれがある。
【0006】
本発明は上記に鑑みてなされたもので、用紙の斜行補正が不十分になることを抑えることができる搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の搬送装置は、用紙の搬送方向に直交する方向に互いに離間して配置され、それぞれ独立して駆動されて用紙を搬送する一対の搬送部と、用紙の斜行量を検出する検出部と、前記検出部により検出された斜行量に基づき、前記一対の搬送部のうち用紙が先行している側の一方の搬送部による用紙の搬送速度が、他方の搬送部による用紙の搬送速度よりも遅い速度となるよう制御して用紙の斜行を補正する斜行補正処理を実行する制御部とを備え、前記制御部は、前記検出部により検出された斜行量が、前記斜行補正処理における所定の最大斜行補正量より大きい場合、前記一方の搬送部を一時停止させ、停止している前記一方の搬送部に用紙を突き当てさせることで、用紙の斜行量を前記最大斜行補正量以下に低減する突き当て動作を実行した後、前記斜行補正処理を実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の搬送装置によれば、用紙の斜行補正が不十分になることを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態に係る印刷装置の概略構成図である。
【
図2】
図1に示す印刷装置のレジスト搬送部および斜行検出部の概略構成を示す正面図である。
【
図3】
図1に示す印刷装置のレジスト搬送部および斜行検出部の概略構成を示す平面図である。
【
図4】
図1に示す印刷装置の制御ブロック図である。
【
図5】斜行補正処理を行う際のレジスト搬送部の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【
図6】突き当て動作および斜行補正処理を行う際のレジスト搬送部の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【
図9】両面印刷時における用紙の搬送状況の遷移の一例を示す図である。
【
図10】両面印刷時における用紙の搬送状況の遷移の一例を示す図である。
【
図11】両面印刷時における用紙の搬送状況の遷移の一例を示す図である。
【
図12】両面印刷時における用紙の搬送状況の遷移の一例を示す図である。
【
図13】両面印刷時における用紙の搬送状況の遷移の一例を示す図である。
【
図14】両面印刷時における用紙の搬送状況の遷移の一例を示す図である。
【
図15】両面印刷時における用紙の搬送状況の遷移の一例を示す図である。
【
図16】両面印刷時における用紙搬送動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一もしくは同等の部位や構成要素には、同一もしくは同等の符号を付している。
【0011】
以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0012】
図1は、本発明の実施の形態に係る搬送装置が設けられた印刷装置の概略構成図である。
図2は、
図1に示す印刷装置のレジスト搬送部および斜行検出部の概略構成を示す正面図である。
図3は、
図1に示す印刷装置のレジスト搬送部および斜行検出部の概略構成を示す平面図である。
図4は、
図1に示す印刷装置の制御ブロック図である。以下の説明において、
図1の紙面に直交する方向を前後方向とし、紙面表方向を前方とする。また、
図1における紙面の上下左右を上下左右方向とする。
【0013】
図1において太線で示す経路が、印刷媒体である用紙Pが搬送される搬送経路である。搬送経路のうち、実線で示す経路が通常経路RC、一点鎖線で示す経路が反転経路RR、破線で示す経路が排紙経路RD1,RD2、二点鎖線で示す経路が給紙経路RSである。以下の説明における上流、下流は、搬送経路に沿って搬送される用紙Pの搬送方向における上流、下流を意味する。
【0014】
図1~
図4に示すように、本実施の形態に係る印刷装置1は、外部給紙部2と、内部給紙部3と、搬送印刷部4と、斜行検出部5A,5Bと、フェイスアップ排紙部6と、上面搬送部7と、フェイスダウン排紙部8と、反転部9と、制御部10と、各部を収納または保持する筐体11とを備える。なお、搬送装置は、後述するレジスト搬送部31A,31Bと、斜行検出部5Aと、上面搬送部7と、反転部9と、制御部10とを備える。また、斜行検出部5A,5B等の符号におけるアルファベットの添え字を省略して総括的に表記することがある。
【0015】
外部給紙部2は、筐体11の外部に一部が露出して積載された用紙Pを搬送印刷部4に給紙する。外部給紙部2は、外部給紙台21と、外部給紙ローラ22と、外部給紙モータ23とを備える。
【0016】
外部給紙台21は、印刷に用いられる用紙Pが積載されるものである。外部給紙台21は、一部が筐体11の外部に露出して設置されている。
【0017】
外部給紙ローラ22は、外部給紙台21に積層された用紙Pを1枚ずつ取り出すとともに、給紙経路RSに沿って搬送印刷部4へ向けて用紙Pを搬送する。
【0018】
外部給紙モータ23は、外部給紙ローラ22を回転駆動させる。また、外部給紙モータ23は、後述する複数対の縦搬送ローラ28のうちの最下流の縦搬送ローラ28を回転駆動させる。外部給紙モータ23は、外部給紙ローラ22および最下流の縦搬送ローラ28にそれぞれ図示しないワンウェイクラッチを介して接続されている。これにより、外部給紙モータ23の一方向の回転駆動により外部給紙ローラ22が回転駆動され、外部給紙モータ23の他方向の回転駆動により最下流の縦搬送ローラ28が回転駆動されるようになっている。
【0019】
内部給紙部3は、筐体11の内部に積載された用紙Pを搬送印刷部4に給紙する。内部給紙部3は、複数の内部給紙台26と、複数の内部給紙ローラ27と、複数対の縦搬送ローラ28と、内部給紙モータ29とを備える。
【0020】
内部給紙台26は、印刷に用いられる用紙Pが積載されるものである。内部給紙台26は、筐体11の内部に配置されている。
【0021】
内部給紙ローラ27は、内部給紙台26から用紙Pを1枚ずつ取り出して給紙経路RSへと送り出す。
【0022】
縦搬送ローラ28は、内部給紙台26から取り出された用紙Pを後述するレジスト搬送部31A,31Bへ向けて搬送する。縦搬送ローラ28は、給紙経路RSに沿って配置されている。
【0023】
内部給紙モータ29は、内部給紙ローラ27および縦搬送ローラ28を回転駆動させる。内部給紙モータ29は、図示しないクラッチを介して各内部給紙ローラ27および各縦搬送ローラ28に接続/解除可能になっている。クラッチにより、回転駆動する内部給紙ローラ27および縦搬送ローラ28が切り替えられる。
【0024】
搬送印刷部4は、用紙Pを搬送しつつ、用紙Pに印刷を行う。搬送印刷部4は、レジスト搬送部31A,31B(一対の搬送部に相当)と、レジストモータ32A,32Bと、ベルトプラテン部33と、印刷部34と、用紙センサ35とを備える。
【0025】
レジスト搬送部31A,31Bは、外部給紙部2、内部給紙部3、および反転部9のいずれかから搬送されてきた用紙Pをベルトプラテン部33に向けて搬送する。また、レジスト搬送部31A,31Bは、用紙Pの斜行を補正する。
【0026】
レジスト搬送部31A,31Bは、用紙Pの搬送方向(左右方向)において互いに同じ位置に、搬送方向に直交する方向である前後方向に互いに離間して配置されている。レジスト搬送部31A,31Bは、前後方向において、それぞれ用紙Pの中央位置から前側、後側に同じ距離だけ離れて配置されている。レジスト搬送部31A,31Bは、それぞれ独立して駆動される。
【0027】
レジスト搬送部31は、用紙Pをニップして搬送する一対のレジストローラ36を備える。レジストローラ36は、前後方向に延びる回転軸36aに固定され、回転軸36aを中心に回転する。
【0028】
レジストモータ32A,32Bは、それぞれレジスト搬送部31A,31Bを回転駆動させる。具体的には、レジストモータ32は、レジスト搬送部31の一対のレジストローラ36のうちの一方を回転させる。これにより、一対のレジストローラ36のうちの一方のレジストローラ36がレジストモータ32に回転駆動され、他方のレジストローラ36が一方のレジストローラ36に従動回転する。
【0029】
ベルトプラテン部33は、レジスト搬送部31により搬送されてきた用紙Pを、ベルト上に吸着保持しつつ搬送する。
【0030】
印刷部34は、インクジェットヘッド(図示せず)を有し、ベルトプラテン部33により搬送される用紙Pにインクジェットヘッドからインクを吐出して画像を印刷する。
【0031】
用紙センサ35は、外部給紙部2、内部給紙部3、および反転部9のいずれかからレジスト搬送部31A,31Bへ搬送される用紙Pを検出する。用紙センサ35は、通常経路RCの上流端部に配置されている。
【0032】
斜行検出部5A(検出部に相当)は、外部給紙部2、内部給紙部3、および反転部9のいずれかからレジスト搬送部31A,31Bへ搬送される用紙Pの斜行量を検出する。斜行検出部5Aは、用紙センサ38A,38Bを備える。
【0033】
用紙センサ38A,38Bは、用紙Pの搬送方向(左右方向)において、レジスト搬送部31A,31Bの上流側近傍における互いに同じ位置に、前後方向に互いに離間して配置されている。用紙センサ38A,38Bは、前後方向において、それぞれ用紙Pの中央位置から前側、後側に同じ距離だけ離れて配置されている。
【0034】
斜行検出部5Bは、レジスト搬送部31A,31Bからベルトプラテン部33へ搬送される用紙Pの斜行量を検出する。斜行検出部5Bは、用紙センサ39A,39Bを備える。
【0035】
用紙センサ39A,39Bは、用紙Pの搬送方向(左右方向)において、レジスト搬送部31A,31Bとベルトプラテン部33との間における互いに同じ位置に、前後方向に互いに離間して配置されている。用紙センサ39A,39Bは、前後方向において、それぞれ用紙センサ38A,38Bと同じ位置に配置されている。
【0036】
フェイスアップ排紙部6は、印刷済みの用紙Pを、印刷面(両面印刷の場合は後で印刷された面)が上向きの状態で排紙する。フェイスアップ排紙部6は、切替部41と、ソレノイド42と、一対のフェイスアップ排紙ローラ43と、フェイスアップ排紙モータ44と、フェイスアップ排紙台45とを備える。
【0037】
切替部41は、用紙Pの搬送経路を通常経路RCと排紙経路RD1との間で切り替える。切替部41は、通常経路RCと排紙経路RD1との分岐点に配置されている。
【0038】
ソレノイド42は、切替部41を駆動させる。
【0039】
フェイスアップ排紙ローラ43は、ベルトプラテン部33により搬送されてきた用紙Pを搬送してフェイスアップ排紙台45へと排紙する。
【0040】
フェイスアップ排紙モータ44は、フェイスアップ排紙ローラ43を回転駆動させる。
【0041】
フェイスアップ排紙台45は、フェイスアップ排紙ローラ43により搬送されてきた印刷済みの用紙Pが積載されるものである。
【0042】
上面搬送部7は、ベルトプラテン部33により搬送されてきた用紙Pをフェイスダウン排紙部8または反転部9へ搬送する。上面搬送部7は、複数対の上昇搬送ローラ51と、上昇搬送モータ52と、複数対の水平搬送ローラ53と、水平搬送モータ54と、用紙センサ55~57とを備える。
【0043】
上昇搬送ローラ51は、ベルトプラテン部33により搬送されてきた用紙Pを上方の水平搬送ローラ53へと搬送する。上昇搬送ローラ51は、通常経路RCの中流域の上昇部分に沿って配置されている。
【0044】
上昇搬送モータ52は、複数対の上昇搬送ローラ51を回転駆動させる。
【0045】
水平搬送ローラ53は、上昇搬送ローラ51により搬送されてきた用紙Pをフェイスダウン排紙部8または反転部9へと搬送する。最下流の水平搬送ローラ53は、反転経路RRの上流部に配置されている。他の水平搬送ローラ53は、通常経路RCの下流域の水平部分に配置されている。
【0046】
水平搬送モータ54は、複数対の水平搬送ローラ53を回転駆動させる。
【0047】
用紙センサ55,56は、上面搬送部7において搬送される用紙Pを検出する。用紙センサ55は、最上流の上昇搬送ローラ51の上流側近傍に配置されている。用紙センサ56は、最上流の水平搬送ローラ53の下流側近傍に配置されている。用紙センサ57は、最下流の水平搬送ローラ53の上流側近傍に配置されている。
【0048】
フェイスダウン排紙部8は、印刷済みの用紙Pを、印刷面(両面印刷の場合は後で印刷された面)が下向きの状態で排紙する。フェイスダウン排紙部8は、切替部61と、ソレノイド62と、一対のフェイスダウン排紙ローラ63と、フェイスダウン排紙モータ64と、フェイスダウン排紙台65とを備える。
【0049】
切替部61は、用紙Pの搬送経路を排紙経路RD2と反転経路RRとの間で切り替える。切替部61は、排紙経路RD2と反転経路RRとの分岐点に配置されている。
【0050】
ソレノイド62は、切替部61を駆動させる。
【0051】
フェイスダウン排紙ローラ63は、上面搬送部7により搬送されてきた用紙Pを搬送してフェイスダウン排紙台65へと排紙する。
【0052】
フェイスダウン排紙モータ64は、フェイスダウン排紙ローラ63を回転駆動させる。
【0053】
フェイスダウン排紙台65は、フェイスダウン排紙ローラ63により搬送されてきた印刷済みの用紙Pが積載されるものである。
【0054】
反転部9は、両面印刷時において、片面印刷済みの用紙Pを反転させてレジスト搬送部31A,31Bへと搬送する。反転部9は、一対の反転ローラ71と、反転モータ72と、一対の再給紙ローラ73(再給紙搬送部に相当)と、再給紙モータ74と、切替ゲート75と、用紙センサ76,77とを備える。
【0055】
なお、上面搬送部7と反転部9とにより、両面印刷時において、レジスト搬送部31A,31Bからベルトプラテン部33へ搬送されて片面印刷された用紙Pをレジスト搬送部31A,31Bへ再度搬送する循環搬送部が構成される。
【0056】
反転ローラ71は、上面搬送部7の水平搬送ローラ53により搬送されてきた用紙Pをスイッチバックして再給紙ローラ73へ搬送する。反転ローラ71は、用紙Pのスイッチバック搬送を行うため、正逆転可能に構成されている。
【0057】
反転モータ72は、反転ローラ71を回転駆動させる。
【0058】
再給紙ローラ73は、反転ローラ71により搬送されてきた用紙Pを搬送してレジスト搬送部31A,31Bへ受け渡す。
【0059】
再給紙モータ74は、再給紙ローラ73を回転駆動させる。
【0060】
切替ゲート75は、水平搬送ローラ53により搬送されてきた用紙Pを反転ローラ71へとガイドする。また、切替ゲート75は、反転ローラ71によりスイッチバックされた用紙Pを再給紙ローラ73へとガイドする。
【0061】
用紙センサ76,77は、反転経路RRに沿って搬送される用紙Pを検出する。用紙センサ76は、反転前の用紙Pの搬送方向における反転ローラ71の下流側近傍に配置されている。用紙センサ77は、再給紙ローラ73の下流側近傍に配置されている。
【0062】
制御部10は、印刷装置1の各部の動作を制御する。制御部10は、CPU、RAM、ROM、ハードディスク等を備えて構成される。
【0063】
具体的には、制御部10は、外部給紙部2または内部給紙部3から搬送印刷部4へ用紙Pを給紙し、搬送印刷部4で用紙Pに印刷するよう制御する。片面印刷時には、制御部10は、片面印刷された用紙Pをフェイスアップ排紙部6またはフェイスダウン排紙部8により排紙するよう制御する。両面印刷時には、制御部10は、片面印刷された用紙Pを反転部9により搬送印刷部4へ再給紙し、搬送印刷部4で用紙Pの未印刷面に印刷し、両面印刷された用紙Pをフェイスアップ排紙部6またはフェイスダウン排紙部8により排紙するよう制御する。
【0064】
また、制御部10は、外部給紙部2または内部給紙部3から搬送印刷部4への用紙Pの給紙時、および反転部9による搬送印刷部4への用紙Pの再給紙時において、レジスト搬送部31A,31Bによる斜行補正処理を実行する。具体的には、制御部10は、斜行検出部5Aにより検出された用紙Pの斜行量に基づき、レジスト搬送部31A,31Bのうち用紙Pが先行している側の一方のレジスト搬送部31による用紙Pの搬送速度が、他方のレジスト搬送部31による用紙Pの搬送速度よりも遅い速度となるよう制御して用紙Pの斜行を補正する斜行補正処理を実行する。
【0065】
この際、制御部10は、斜行検出部5Aにより検出された用紙Pの斜行量が、上述の斜行補正処理における所定の最大斜行補正量より大きい場合、用紙Pが先行している側の一方のレジスト搬送部31を一時停止させ、停止している一方のレジスト搬送部31に用紙Pを突き当てさせることで、用紙Pの斜行量を最大斜行補正量以下に低減する突き当て動作を実行した後、上述の斜行補正処理を実行する。
【0066】
ここで、最大斜行補正量は、用紙Pがベルトプラテン部33に到達するまでに斜行補正処理において補正可能な斜行量の最大値として設定されたものである。最大斜行補正量は、レジスト搬送部31A,31Bとベルトプラテン部33との間の距離、およびレジスト搬送部31A,31Bによる用紙Pの搬送速度に応じて設定されている。
【0067】
次に、印刷装置1の印刷時の動作について説明する。
【0068】
片面印刷の場合、制御部10は、外部給紙部2または内部給紙部3から未印刷の用紙Pを搬送印刷部4へ順次給紙するよう制御する。
【0069】
給紙された用紙Pは、レジスト搬送部31A,31Bによりベルトプラテン部33へ搬送される。用紙Pは、ベルトプラテン部33により搬送されつつ、印刷部34により印刷される。
【0070】
排紙先がフェイスアップ排紙台45である場合、片面印刷された用紙Pは、切替部41により通常経路RCから排紙経路RD1へ導かれ、フェイスアップ排紙ローラ43によりフェイスアップ排紙台45へ排紙される。
【0071】
排紙先がフェイスダウン排紙台65である場合、片面印刷された用紙Pは、ベルトプラテン部33から上面搬送部7へ搬送され、上面搬送部7において上昇搬送ローラ51および水平搬送ローラ53により搬送される。そして、用紙Pは、切替部61により排紙経路RD2へ導かれ、フェイスダウン排紙ローラ63によりフェイスダウン排紙台65へ排紙される。
【0072】
両面印刷の場合、外部給紙部2または内部給紙部3から順次給紙された未印刷の用紙Pは、片面印刷時と同様に、ベルトプラテン部33により搬送されつつ、印刷部34により印刷される。片面印刷後の用紙Pは、ベルトプラテン部33から上面搬送部7へ搬送され、上面搬送部7において上昇搬送ローラ51および水平搬送ローラ53により搬送される。そして、用紙Pは、切替部61により反転経路RRへ導かれる。
【0073】
反転経路RRへ導かれた用紙Pは、反転部9において、切替ゲート75により反転ローラ71へ導かれ、反転ローラ71によりスイッチバックされる。その後、用紙Pは、切替ゲート75により再給紙ローラ73へ導かれ、再給紙ローラ73により搬送印刷部4へ再給紙される。再給紙された用紙Pは、搬送印刷部4においてレジスト搬送部31A,31Bによりベルトプラテン部33へ搬送される。
【0074】
片面印刷後の用紙Pは、反転部9により反転されたため、未印刷面を上向きにしてベルトプラテン部33へ送られる。そして、用紙Pは、ベルトプラテン部33により搬送されつつ、印刷部34により未印刷面が印刷される。両面印刷された用紙Pは、上述した片面印刷の場合と同様に、フェイスアップ排紙台45またはフェイスダウン排紙台65へ排紙される。
【0075】
次に、上述した印刷動作中に行われる、レジスト搬送部31A,31Bによる斜行補正処理について説明する。
【0076】
まず、レジスト搬送部31A,31Bに到達する用紙Pの斜行量が最大斜行補正量以下である場合の斜行補正処理を行う際のレジスト搬送部31A,31Bの動作について、
図5のタイミングチャートを参照して説明する。
【0077】
ここで、レジスト搬送部31A,31Bは、搬送速度V1で用紙Pを搬送するよう駆動されている。また、レジスト搬送部31A,31Bへは、搬送速度V1で用紙Pが搬送されてくる。
【0078】
外部給紙部2、内部給紙部3、および反転部9のいずれかからレジスト搬送部31A,31Bへ向けて用紙Pが搬送されてくると、その用紙Pの先端が斜行検出部5Aの用紙センサ38A,38Bにより検出される。
【0079】
図5の例では、時刻t1において用紙センサ38Aで用紙Pの先端が検出された後、時刻t2において用紙センサ38Bで用紙Pの先端が検出されている。すなわち、
図5の例では、用紙Pは、前側(用紙センサ38A側)が先行するように斜行している。
【0080】
制御部10は、用紙センサ38A,38Bによる用紙Pの先端の検出タイミングのタイミング差に基づき、レジスト搬送部31A,31Bに到達する用紙Pの斜行量(斜行検出部5Aにより検出された斜行量)を算出する。次いで、制御部10は、算出した斜行量が最大斜行補正量以下であるか否かを判断する。
図5の例では、斜行検出部5Aにより検出された斜行量が最大斜行補正量以下であるとする。
【0081】
また、制御部10は、算出した斜行量に基づき、斜行補正速度V2を算出する。斜行補正速度V2は、用紙Pが先行している側のレジスト搬送部31を所定の斜行補正時間の間、搬送速度V1から斜行補正速度V2に減速することで、用紙Pがベルトプラテン部33に到達するまでに斜行量がゼロになるように算出される。ここで、斜行補正時間は、用紙Pの先端がベルトプラテン部33に到達するまでに斜行補正処理を終了させるための斜行補正処理の時間として予め設定されたものである。
【0082】
用紙Pがレジスト搬送部31A,31Bに到達した後、制御部10は、用紙Pが先行している側のレジスト搬送部31による用紙Pの搬送速度を、搬送速度V1から斜行補正速度V2へ減速させる。この後、制御部10は、用紙Pが先行している側のレジスト搬送部31の減速を開始してから上述の斜行補正時間後に斜行補正速度V2から搬送速度V1へ戻すよう制御する。
【0083】
図5の例では、制御部10は、用紙Pがレジスト搬送部31A,31Bに到達した後の時刻t3においてレジスト搬送部31Aの減速を開始させる。この後、制御部10は、時刻t3から斜行補正時間後の時刻t4にレジスト搬送部31Aの搬送速度を斜行補正速度V2から搬送速度V1へ戻すよう制御する。これにより、斜行補正処理が終了となる。
【0084】
このような斜行補正処理により、用紙Pが先行している側(
図5の例では前側)のレジスト搬送部31が斜行補正速度V2へ減速することで、用紙Pの先端の辺が前後方向に平行になり、用紙Pの斜行が補正される。
【0085】
ここで、用紙Pがレジスト搬送部31A,31Bからベルトプラテン部33へ搬送される途中で、用紙Pの先端が斜行検出部5Bの用紙センサ39A,39Bにより検出される。用紙センサ39A,39Bによる用紙Pの先端の検出タイミングのタイミング差に基づき算出される斜行量が、上述の斜行補正処理を行っている場合における理論値より大きい場合には、制御部10は、用紙Pがベルトプラテン部33に到達するまでに斜行量がゼロになるように、用紙Pが先行している側のレジスト搬送部31の搬送速度を調整する。
【0086】
次に、レジスト搬送部31A,31Bに到達する用紙Pの斜行量が最大斜行補正量より大きい場合の突き当て動作および斜行補正処理を行う際のレジスト搬送部31A,31Bの動作について、
図6のタイミングチャートを参照して説明する。
【0087】
図6の例では、時刻t11において用紙センサ38Aで用紙Pの先端が検出された後、時刻t12において用紙センサ38Bで用紙Pの先端が検出されている。すなわち、
図6の例でも上述の
図5の例と同様に、用紙Pは、前側(用紙センサ38A側)が先行するように斜行している。
【0088】
制御部10は、用紙Pの先端が斜行検出部5Aの用紙センサ38A,38Bにより検出されると、用紙センサ38A,38Bによる用紙Pの先端の検出タイミングのタイミング差に基づき、レジスト搬送部31A,31Bに到達する用紙Pの斜行量(斜行検出部5Aにより検出された斜行量)を算出する。次いで、制御部10は、算出した斜行量が最大斜行補正量以下であるか否かを判断する。
図6の例では、斜行検出部5Aにより検出された斜行量が最大斜行補正量より大きいものとする。
【0089】
この場合、制御部10は、用紙Pがレジスト搬送部31A,31Bに到達する前に、用紙Pが先行している側のレジスト搬送部31を停止させる。この後、用紙Pの先行している側の先端がレジスト搬送部31に突き当たって止まる。用紙Pの遅れている側は止まらないため、用紙Pの斜行量が低減する。
【0090】
図6の例では、制御部10は、用紙Pがレジスト搬送部31A,31Bに到達する前の時刻t13において、レジスト搬送部31Aを停止させる。この後、
図7に示すように、用紙Pの前側の先端がレジスト搬送部31Aに突き当たって止まる。用紙Pの後側は止まらないため、用紙Pの斜行量が低減する。
【0091】
そして、制御部10は、用紙Pの斜行量が最大斜行補正量以下に低減すると、用紙Pが先行している側のレジスト搬送部31の駆動を開始させる。
図6の例では、制御部10は、用紙Pの斜行量が最大斜行補正量以下に低減すると、時刻t14において、
図8に示すように、レジスト搬送部31Aの搬送速度V1での駆動を開始させる。
【0092】
また、制御部10は、用紙Pが先行している側のレジスト搬送部31の駆動を開始した時点における用紙Pの斜行量に基づき、斜行補正速度V2を算出する。用紙Pが先行している側のレジスト搬送部31の駆動を開始した時点における用紙Pの斜行量は、斜行検出部5Aにより検出された斜行量から、用紙Pの先行している側の先端がレジスト搬送部31に突き当たって停止していた時間に応じた斜行量の減少分を減算することで算出できる。
【0093】
ここで、制御部10は、用紙Pの斜行量がゼロになる前に、用紙Pが先行している側のレジスト搬送部31の駆動を開始させる。例えば、制御部10は、用紙Pの斜行量が最大斜行補正量になったタイミングで、用紙Pが先行している側のレジスト搬送部31の駆動を開始させる。これにより、用紙Pが停止している時間を抑えることで、生産性の低下を抑えることができる。
【0094】
なお、上述のように用紙Pが先行している側のレジスト搬送部31を一時停止させる制御は、
図6のようなオンオフ制御ではなく、台形制御でもよい。
【0095】
用紙Pが先行している側のレジスト搬送部31の駆動を開始した後、制御部10は、前述のレジスト搬送部31A,31Bに到達する用紙Pの斜行量が最大斜行補正量以下である場合の斜行補正処理と同様に、用紙Pが先行している側のレジスト搬送部31による用紙Pの搬送速度を、搬送速度V1から斜行補正速度V2へ減速させる。この後、制御部10は、用紙Pが先行している側のレジスト搬送部31の減速を開始してから上述の斜行補正時間後に斜行補正速度V2から搬送速度V1へ戻すよう制御する。
【0096】
図6の例では、制御部10は、レジスト搬送部31Aの駆動を開始した後の時刻t15においてレジスト搬送部31Aの減速を開始させる。この後、制御部10は、時刻t15から斜行補正時間後の時刻t16にレジスト搬送部31Aの搬送速度を斜行補正速度V2から搬送速度V1へ戻すよう制御する。これにより、斜行補正処理が終了となる。
【0097】
ここで、前述のレジスト搬送部31A,31Bに到達する用紙Pの斜行量が最大斜行補正量以下である場合の斜行補正処理と同様に、斜行検出部5Bの用紙センサ39A,39Bによる用紙Pの先端の検出タイミングのタイミング差が、斜行補正処理を行っている場合における理論値より大きい場合には、制御部10は、用紙Pがベルトプラテン部33に到達するまでに斜行量がゼロになるように、用紙Pが先行している側のレジスト搬送部31の搬送速度を調整する。
【0098】
上述のように、レジスト搬送部31A,31Bに到達する用紙Pの斜行量が最大斜行補正量より大きい場合、制御部10は、用紙Pが先行している側の一方のレジスト搬送部31を一時停止させ、停止している一方のレジスト搬送部31に用紙Pを突き当てさせることで、用紙Pの斜行量を最大斜行補正量以下に低減する突き当て動作を実行した後、斜行補正処理を実行する。
【0099】
ここで、両面印刷時において、上述の突き当て動作を実行した場合、制御部10は、突き当て動作において一方のレジスト搬送部31に突き当てられた用紙以外の、突き当て動作の時点において上面搬送部7および反転部9において搬送中の用紙Pの搬送を、突き当て動作後に一時停止させる。ここで、突き当て動作を実行した時点において上面搬送部7および反転部9において搬送中の用紙Pは、その時点においてベルトプラテン部33を抜けており、上面搬送部7および反転部9にある用紙Pである。
【0100】
また、制御部10は、上面搬送部7および反転部9において搬送中の用紙Pを一時停止させるために再給紙ローラ73を一時停止させる場合において、一時停止させる用紙Pを再給紙ローラ73に突き当てて当該用紙Pの斜行を補正する。
【0101】
図6の例では、制御部10は、レジスト搬送部31Aを一時停止させることによる突き当て動作を実行した後の時刻t17において、水平搬送ローラ53および再給紙ローラ73を停止させる。
【0102】
ここで、
図6の例は、突き当て動作において一方のレジスト搬送部31に突き当てられた用紙Pは、反転部9により再給紙されたものではなく、外部給紙部2または内部給紙部3から給紙されたものである。また、
図6の例では、突き当て動作を実行した時点において、上面搬送部7および反転部9にそれぞれ搬送中の用紙Pがある状況である。また、水平搬送ローラ53および再給紙ローラ73による用紙Pの搬送速度はV1である。
【0103】
水平搬送ローラ53および再給紙ローラ73を停止させた時刻t17から、レジスト搬送部31Aの一時停止時間と同じ時間だけ経過した時刻t18において、制御部10は、水平搬送ローラ53および再給紙ローラ73の駆動を開始させる。
【0104】
ここで、制御部10は、再給紙ローラ73の一時停止の期間中において、再給紙ローラ73により一時停止させる用紙Pを、反転ローラ71により再給紙ローラ73に突き当てさせることで、当該用紙Pの斜行を補正する。換言すれば、制御部10は、突き当て動作の時点における再給紙ローラ73の上流側で最も下流側の用紙Pを、停止している再給紙ローラ73に突き当てて当該用紙Pの斜行補正をできるように、水平搬送ローラ53および再給紙ローラ73を一時停止させるタイミングを制御する。
【0105】
なお、水平搬送ローラ53および再給紙ローラ73を一時停止させる制御も、レジスト搬送部31を一時停止させる制御と同様に、台形制御でもよい。
【0106】
上述のように、突き当て動作を実行した場合に上面搬送部7および反転部9において搬送中の用紙Pを一時停止させるのは、突き当て動作において一方のレジスト搬送部31に突き当てられた用紙Pと後続の用紙Pとの紙間が縮小して用紙Pどうしの衝突等の搬送不良が生じることを抑制するためである。また、用紙Pを再給紙ローラ73に突き当てて斜行補正するのは、レジスト搬送部31A,31Bに再給紙される用紙Pの斜行を低減するためである。
【0107】
ここで、
図6の例とは異なり、突き当て動作において一方のレジスト搬送部31に突き当てられた用紙Pが、反転部9により再給紙されたものである場合、突き当て動作の時点において、一方のレジスト搬送部31に突き当てられた用紙Pは、再給紙ローラ73にニップされて搬送中である。この一方のレジスト搬送部31に突き当てられた用紙Pは、突き当て動作後に一時停止される用紙Pには含まれない。
【0108】
また、この場合、突き当て動作の時点における再給紙ローラ73の上流側で最も下流側の用紙Pを、一時停止している再給紙ローラ73に突き当てて停止させるかわりに、反転ローラ71を一時停止させることで当該用紙Pを一時停止させてもよい。
【0109】
次に、両面印刷時における用紙Pの搬送状況の遷移の一例を説明する。
【0110】
ここでは、外部給紙部2が搬送印刷部4へ用紙Pを給紙するものとする。また、フェイスアップ排紙部6が両面印刷済みの用紙Pを排紙するものとする。
【0111】
図9~
図11に示すように、1~3枚目の用紙P1~P3が搬送印刷部4へ順次給紙される。ここで、用紙P3が外部給紙部2からレジスト搬送部31A,31Bへ搬送される際に斜行検出部5Aにより検出された斜行量が、最大斜行補正量より大きいものとする。
【0112】
この場合、レジスト搬送部31A,31Bにおいて、前述の突き当て動作および斜行補正処理が実行される。
図11に示す用紙P3の給紙時における突き当て動作の実行時点において、用紙P1を反転部9が搬送中であり、用紙P2を上面搬送部7が搬送中である。
【0113】
このため、用紙P3の給紙時における突き当て動作後、
図12に示すように、水平搬送ローラ53および再給紙ローラ73が一時停止されることで、用紙P1,P2がそれぞれ反転部9、上面搬送部7で一時停止する。ここで、用紙P1は、停止している再給紙ローラ73に突き当てられて一時停止する。これにより、用紙P1の斜行が補正される。
【0114】
この後、
図13に示すように、用紙P1,P2の搬送が再開され、
図14、
図15に示すように、両面印刷済みの用紙P1,P2がフェイスアップ排紙部6により順次排紙される。
【0115】
また、
図15に示すように、反転部9により搬送印刷部4へ用紙P2が再給紙されてから用紙P3が再給紙されるまでの間に、外部給紙部2から4枚目の用紙P4が搬送印刷部4に給紙される。
【0116】
この後、用紙P3が再給紙された後に5枚目の用紙Pが外部給紙部2から給紙され、これ以降、反転部9からの再給紙と外部給紙部2からの給紙とが交互に繰り返される。
【0117】
ここで、
図13のように用紙P1が再給紙される際に、斜行検出部5Aにより検出された斜行量が最大斜行補正量より大きい場合、レジスト搬送部31A,31Bにおいて、前述の突き当て動作および斜行補正処理が実行される。
【0118】
この場合、用紙P1が突き当て動作において一時停止されるのに応じて、用紙P2は、反転部9において一時停止される。ベルトプラテン部33により搬送中の用紙P3は、ベルトプラテン部33が印刷動作中は停止されないことから、一時停止されない。このため、用紙P2,P3の紙間が縮小し、例えば、用紙P2が反転ローラ71によりスイッチバック搬送されている間に、用紙P3が用紙P2に衝突するおそれがある。
【0119】
そこで、用紙P2,P3の紙間が規定値より小さい所定の閾値以下になっている場合、制御部10は、エラーとして印刷装置1における用紙Pの搬送を停止させる。ここで、両面印刷時に連続して搬送される2枚の用紙Pの紙間は、用紙センサ35,55~57,76,77における各用紙Pの検出タイミングに基づき算出できる。
【0120】
次に、両面印刷時における用紙搬送動作について、
図16のフローチャートを参照して説明する。
【0121】
図16のステップS1において、制御部10は、斜行検出部5Aの用紙センサ38A,38Bが用紙Pを検出したか否かを判断する。
【0122】
斜行検出部5Aの用紙センサ38A,38Bが用紙Pを検出したと判断した場合(ステップS1:YES)、ステップS2において、制御部10は、斜行検出部5Aが検出した用紙Pの斜行量を算出し、算出した斜行量が最大斜行補正量より大きいか否かを判断する。
【0123】
斜行量が最大斜行補正量より大きいと判断した場合(ステップS2:YES)、ステップS3において、制御部10は、前述の突き当て動作を実行する。
【0124】
次いで、ステップS4において、制御部10は、前述の斜行補正処理を実行する。
【0125】
次いで、ステップS5において、制御部10は、搬送中の各用紙Pの紙間から閾値以下の紙間が検出されたか否かを判断する。
【0126】
閾値以下の紙間が検出されたと判断した場合(ステップS5:YES)、ステップS6において、制御部10は、エラーとして印刷装置1における用紙Pの搬送を停止させる。
【0127】
ここで、前述のように、両面印刷時において、突き当て動作を行った場合に、連続して搬送される2枚の用紙Pの紙間が縮小し、用紙Pどうしの衝突が生じるおそれがある。このため、閾値以下の紙間が検出された場合(ステップS5:YES)、エラーとして用紙Pの搬送を停止させる(ステップS6)。
【0128】
閾値以下の紙間が検出されていないと判断した場合(ステップS5:NO)、制御部10は、ステップS1に戻る。
【0129】
ステップS2において、斜行量が最大斜行補正量以下であると判断した場合(ステップS2:NO)、ステップS7において、制御部10は、斜行補正処理を実行する。この後、制御部10は、ステップS1に戻る。
【0130】
ステップS1において、斜行検出部5Aの用紙センサ38A,38Bが用紙Pを検出していないと判断した場合(ステップS1:NO)、ステップS8において、制御部10は、実行中の両面印刷動作における最後の用紙Pの搬送印刷部4への再給紙が終了したか否かを判断する。最後の用紙Pの再給紙が終了していないと判断した場合(ステップS8:NO)、制御部10は、ステップS1に戻る。
【0131】
最後の用紙Pの再給紙が終了したと制御部10が判断した場合(ステップS8:YES)、一連の動作が終了となる。
【0132】
以上説明したように、印刷装置1では、制御部10は、斜行検出部5Aにより検出された用紙Pの斜行量が斜行補正処理における最大斜行補正量より大きい場合、用紙Pが先行している側の一方のレジスト搬送部31を一時停止させ、停止している一方のレジスト搬送部31に用紙Pを突き当てさせることで、用紙Pの斜行量を最大斜行補正量以下に低減する突き当て動作を実行した後、斜行補正処理を実行する。これにより、用紙Pの斜行量が斜行補正処理における最大斜行補正量より大きい場合でも、突き当て動作により斜行量を最大斜行補正量以下に低減することで、用紙Pの斜行補正が不十分になることを抑えることができる。
【0133】
また、制御部10は、突き当て動作を実行した場合において、突き当て動作において一方のレジスト搬送部31に突き当てられた用紙P以外の、突き当て動作の時点において上面搬送部7および反転部9において搬送中の用紙Pの搬送を、突き当て動作後に一時停止させる。これにより、突き当て動作を実行した場合でも、紙間が縮小して用紙Pどうしの衝突等の搬送不良が生じることを抑制できる。
【0134】
また、制御部10は、突き当て動作を実行した時点において上面搬送部7および反転部9において搬送中の用紙Pを一時停止させるために再給紙ローラ73を一時停止させる場合において、一時停止させる用紙Pを停止している再給紙ローラ73に突き当てて当該用紙Pの斜行を補正する。これにより、レジスト搬送部31A,31Bに再給紙される用紙Pの斜行を低減できるので、突き当て動作の頻度を低減できる。
【0135】
なお、上述した実施の形態では、斜行補正処理において、用紙Pが先行している側の一方のレジスト搬送部31による用紙Pの搬送速度を減速させることで、他方のレジスト搬送部31による用紙Pの搬送速度よりも遅い速度となるよう制御した。しかし、これに限らず、例えば、用紙Pが遅れている側のレジスト搬送部31による用紙Pの搬送速度を加速することで、用紙Pが先行している側の一方のレジスト搬送部31による用紙Pの搬送速度が、他方のレジスト搬送部31による用紙Pの搬送速度よりも遅い速度となるようにしてもよい。
【0136】
本発明は上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【0137】
[付記]
本出願は、以下の発明を開示する。
【0138】
(付記1)
用紙の搬送方向に直交する方向に互いに離間して配置され、それぞれ独立して駆動されて用紙を搬送する一対の搬送部と、
用紙の斜行量を検出する検出部と、
前記検出部により検出された斜行量に基づき、前記一対の搬送部のうち用紙が先行している側の一方の搬送部による用紙の搬送速度が、他方の搬送部による用紙の搬送速度よりも遅い速度となるよう制御して用紙の斜行を補正する斜行補正処理を実行する制御部とを備え、
前記制御部は、前記検出部により検出された斜行量が、前記斜行補正処理における所定の最大斜行補正量より大きい場合、前記一方の搬送部を一時停止させ、停止している前記一方の搬送部に用紙を突き当てさせることで、用紙の斜行量を前記最大斜行補正量以下に低減する突き当て動作を実行した後、前記斜行補正処理を実行することを特徴とする搬送装置。
【0139】
(付記2)
前記一対の搬送部が搬送した用紙を、前記一対の搬送部へ再度搬送する循環搬送部をさらに備え、
前記制御部は、前記突き当て動作を実行した場合において、前記突き当て動作において前記一方の搬送部に突き当てられた用紙以外の、前記突き当て動作を実行した時点において前記循環搬送部が搬送中の用紙の搬送を、前記突き当て動作後に一時停止させることを特徴とする付記1に記載の搬送装置。
【0140】
(付記3)
前記循環搬送部は、前記一対の搬送部に用紙を受け渡す再給紙搬送部を有し、
前記制御部は、前記突き当て動作において前記一方の搬送部に突き当てられた用紙以外の、前記突き当て動作を実行した時点において前記循環搬送部が搬送中の用紙を一時停止させるために前記再給紙搬送部を一時停止させる場合において、一時停止させる用紙を停止している前記再給紙搬送部に突き当てて当該用紙の斜行を補正することを特徴とする付記2に記載の搬送装置。
【符号の説明】
【0141】
1 印刷装置
2 外部給紙部
3 内部給紙部
4 搬送印刷部
5A,5B 斜行検出部
6 フェイスアップ排紙部
7 上面搬送部
8 フェイスダウン排紙部
9 反転部
10 制御部
31,31A,31B レジスト搬送部
32A,32B レジストモータ
33 ベルトプラテン部
34 印刷部
51 上昇搬送ローラ
52 上昇搬送モータ
53 水平搬送ローラ
54 水平搬送モータ
71 反転ローラ
72 反転モータ
73 再給紙ローラ
74 再給紙モータ