(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177818
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】ボイラ
(51)【国際特許分類】
F23N 5/24 20060101AFI20241217BHJP
F22B 35/00 20060101ALI20241217BHJP
F23N 5/18 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
F23N5/24 104
F22B35/00 H
F23N5/18 101N
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096165
(22)【出願日】2023-06-12
(71)【出願人】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤原 慎太郎
【テーマコード(参考)】
3K003
3L021
【Fターム(参考)】
3K003BB07
3K003RA01
3K003RA07
3L021DA22
3L021EA04
3L021FA11
(57)【要約】
【課題】煤の除去が困難な状況になることを未然に防ぐこと。
【解決手段】ボイラ1は、水管11を有する缶体2と、缶体2に接続されるバーナ3と、バーナ3に空気を送る送風機4と、缶体2内の圧力を示す炉圧値を検出する炉圧センサ9と、コントローラ10と、を備える。コントローラ10は、バーナ3に送る燃料及び空気の流量を適正量に調整したときの缶体2内の圧力を示す基準値を記憶する基準値記憶部21と、基準値に1よりも大きい第1実数を乗じた第1相対閾値を設定する相対閾値設定部22と、炉圧値に係る上限値である第1絶対閾値を記憶する絶対閾値記憶部23と、炉圧値が第1相対閾値及び第1絶対閾値の少なくとも一方を超過したか否かを判定する判定部24と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水管を有する缶体と、
前記缶体に接続されるバーナと、
前記バーナに空気を送る送風機と、
前記缶体内の圧力を示す炉圧値を検出する炉圧センサと、
コントローラと、を備え、
前記コントローラは、
前記バーナに送る燃料及び空気の流量を適正量に調整したときの前記缶体内の圧力を示す基準値を記憶する基準値記憶部と、
前記基準値に1よりも大きい第1実数を乗じた第1相対閾値を設定する相対閾値設定部と、
前記炉圧値に係る上限値である第1絶対閾値を記憶する絶対閾値記憶部と、
前記炉圧値が前記第1相対閾値及び前記第1絶対閾値の少なくとも一方を超過したか否かを判定する判定部と、を備える、
ボイラ。
【請求項2】
前記基準値は、運転中の前記ボイラの燃焼負荷率ごとに異なる、
請求項1に記載のボイラ。
【請求項3】
前記第1実数は、前記燃焼負荷率が高いほど小さい、
請求項2に記載のボイラ。
【請求項4】
前記相対閾値設定部は、前記基準値に前記第1実数よりも大きい第2実数を乗じた第2相対閾値を設定し、
前記絶対閾値記憶部は、前記第1絶対閾値よりも大きい第2絶対閾値を記憶し、
前記判定部は、前記炉圧値が前記第2相対閾値及び前記第2絶対閾値の少なくとも一方を超過したか否かを判定する、
請求項1に記載のボイラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、ボイラに関する。
【背景技術】
【0002】
ボイラに係る技術分野において、特許文献1に開示されているようなボイラ装置が知られている。特許文献1において、空気が混合された燃料がバーナに供給される。空気は、送風機から送風路を介してバーナに供給される。バーナにおいて燃料の燃焼に使用された空気は、缶体内を通過した後、排ガスとして煙道から排出される。
【0003】
燃料に対する空気の比率である空気比が適正値に調整された状態で、燃料がバーナに供給される。適正値に調整された空気比の燃料がバーナに供給されることにより、バーナにおいて燃料が適正に燃焼される。
【0004】
バーナにおいて燃料が燃焼されることにより、煤が発生する可能性がある。発生した煤がバーナよりも下流側の流路に滞留したり付着したりする可能性がある。煤の存在により流路が狭くなると、送風機からバーナへの空気の流れが悪くなり、送風機からバーナに送られる空気の流量が減少する。バーナに送られる空気の流量が適正量よりも減少すると、空気比が低下する。すなわち、バーナに送られる空気の流量が適正量よりも減少すると、空気比が不適正値になる。
【0005】
空気比が不適正値になった場合、送風機の出力を高くする調整処理が実施されることにより、送風機からバーナに送られる空気の流量が増加し、空気比が適正値に戻される。流路から煤を除去するクリーニング作業が実施されなくても、送風機の出力を高くする調整処理が実施されることにより、空気比が適正値に戻される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
調整処理は、例えばボイラの定期点検において実施される。調整処理は、点検者により手動で実施される。調整処理の実施により、空気比が適正値に調整されたときの缶体内の圧力を示す基準値が更新される。クリーニング作業が実施されることなく調整処理が実施された場合、調整処理が実施された後の基準値は、調整処理が実施される前の基準値よりも高い値を示すことになるので、基準値は、更新される度に上昇する。クリーニング作業が実施されることなく調整処理が何回も実施されると、空気比は適正値に調整されるものの、流路に存在する煤の量が次第に多くなり、やがて流路から煤を除去することが困難な状況になる可能性がある。流路から煤を除去することが困難な状況になる場合、例えば缶体の交換を要する状況が発生し、交換に要するコストが発生する。
【0008】
本明細書で開示する技術は、煤の除去が困難な状況になることを未然に防ぐことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書は、ボイラを開示する。ボイラは、水管を有する缶体と、缶体に接続されるバーナと、バーナに空気を送る送風機と、缶体内の圧力を示す炉圧値を検出する炉圧センサと、コントローラと、を備える。コントローラは、バーナに送る燃料及び空気の流量を適正量に調整したときの缶体内の圧力を示す基準値を記憶する基準値記憶部と、基準値に1よりも大きい第1実数を乗じた第1相対閾値を設定する相対閾値設定部と、炉圧値に係る上限値である第1絶対閾値を記憶する絶対閾値記憶部と、炉圧値が第1相対閾値及び第1絶対閾値の少なくとも一方を超過したか否かを判定する判定部と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本明細書で開示する技術によれば、煤の除去が困難な状況になることを未然に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施形態に係るボイラを模式的に示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るボイラを示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る燃焼量と基準値と第1実数と第1相対閾値と第1絶対閾値との関係を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る燃焼量と基準値と第2実数と第2相対閾値と第2絶対閾値との関係を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る第1相対閾値と第1絶対閾値との関係の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る第2相対閾値と第2絶対閾値との関係の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係るボイラの動作を説明するための図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係るボイラの一部を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本開示は実施形態に限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0013】
[ボイラ]
図1は、実施形態に係るボイラ1を模式的に示す図である。ボイラ1は、缶体2と、バーナ3と、送風機4と、送風路5と、燃料供給路6と、煙道7と、ダクト8と、炉圧センサ9と、コントローラ10と、を備える。
【0014】
缶体2は、水管11を有する。水管11は、缶体2の内部に配置される。水管11に水が供給される。水管11は、複数設けられる。複数の水管11のそれぞれの上部は、蒸気ヘッダに接続される。
【0015】
バーナ3は、缶体2に接続される。バーナ3は、空気が混合された燃料を燃焼させる。燃料は、気体燃料である。燃料は、予混合方式(プレミックス方式)で燃焼される。バーナ3において燃料が燃焼されることにより、水管11が加熱される。水管11が加熱されることにより、蒸気が生成される。
【0016】
送風機4は、バーナ3に空気を送る。送風機4は、コントローラ10により制御される。送風機4と缶体2とは、送風路5を介して接続される。送風路5は、バーナ3に供給される空気を流通させる。送風機4は、送風路5を介してバーナ3に空気を送る。空気は、送風路5を介してバーナ3に供給される。
【0017】
燃料供給路6は、バーナ3に供給される燃料を流通させる。燃料供給路6は、送風路5に接続される。燃料は、燃料供給路6及び送風路5を介してバーナ3に供給される。送風路5において、送風機4からの空気と燃料供給路6からの燃料とが混合される。送風路5において混合された燃料と空気とが、バーナ3に供給される。バーナ3において、空気が混合された燃料が燃焼される。
【0018】
煙道7は、缶体2に接続される。缶体2から排出された排ガスは、煙道7を流れる。バーナ3において燃料の燃焼に使用された空気は、缶体2内を通過した後、排ガスとして煙道7から排出される。
【0019】
燃料供給路6に、開閉弁12及び調整弁13が配置される。開閉弁12は、燃料供給路6を開閉する。調整弁13は、バーナ3に供給される燃料の流量を調整する。調整弁13は、コントローラ10により制御される。調整弁13は、開閉弁12よりも下流側に配置される。
【0020】
ダクト8は、送風路5及び缶体2のそれぞれに接続される。ダクト8の一端部は、送風路5に接続される。ダクト8の他端部は、缶体2に接続される。
【0021】
炉圧センサ9は、缶体2内の圧力を示す炉圧値を検出する。炉圧センサ9は、缶体2内の圧力を検出できればよく、任意の構成を採用することができる。炉圧センサ9の検出値に基づいて、バーナ3に供給される空気の流量の低下と缶体2内の圧力の上昇とが判断できればよい。炉圧センサ9が缶体2内に配置され、缶体2内の圧力を直接検出してもよい。炉圧センサ9は、燃料供給路6の圧力を示すガス圧を検出してもよい。炉圧センサ9は、送風路5において送風機4に近い位置の圧力を示す送風機4の吐出圧を検出してもよい。炉圧センサ9は、送風路5においてバーナ3に近い位置の圧力を示す送風路圧を検出してもよい。炉圧センサ9は、送風機4の吸込口の流速を検出してもよい。炉圧センサ9は、送風機4の電動モータを制御するインバータ電流値(電力値)を検出してもよい。例えば特開2019-143914号公報に開示されているように、送風路と連通する第1連通路と、缶体(ボイラ本体)と連通する第2連通路と、第1連通路に配置される第1の減圧部と、第2連通路に配置される第2の減圧部とが設けられる場合、炉圧センサ9は、第1連通路と第2連通路との差圧を示す中間圧を検出してもよい。
【0022】
実施形態において、炉圧センサ9は、ダクト8に配置される。実施形態において、炉圧センサ9は、送風路5と缶体2との差圧を検出する。炉圧センサ9の検出値である炉圧値は、コントローラ10に送信される。
【0023】
コントローラ10は、演算処理を実施する。コントローラ10は、ボイラ1を制御する。コントローラ10は、コンピュータシステムを含む。コントローラ10は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサと、ROM(Read Only Memory)のような不揮発性メモリ及びRAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリを含むメインメモリと、ストレージと、入出力回路を含むインターフェースとを有する。コントローラのそれぞれの機能は、コンピュータプログラムとしてストレージに記憶されている。プロセッサは、コンピュータプログラムをストレージから読み出してメインメモリに展開し、コンピュータプログラムに従って処理を実行する。なお、コンピュータプログラムは、ネットワークを介してコントローラ10に配信されてもよい。
【0024】
図2は、実施形態に係るボイラ1を示すブロック図である。ボイラ1は、コントローラ10と、炉圧センサ9と、警報装置14とを備える。
【0025】
コントローラ10は、基準値記憶部21と、相対閾値設定部22と、絶対閾値記憶部23と、判定部24と、制御部25とを有する。
【0026】
基準値記憶部21は、缶体2内の圧力に係る基準値を記憶する。基準値とは、バーナ3に送る燃料及び空気の流量を適正量に調整したときの缶体2内の圧力をいう。バーナ3に送る燃料及び空気の流量が適正量に調整されることにより、燃料に対する空気の比率である空気比が適正値に調整される。そのため、基準値は、送風路5からバーナ3に供給される燃料の空気比が適正値に調整されたときの缶体2内の圧力であるとみなされてもよい。
【0027】
相対閾値設定部22は、基準値に係る相対閾値を設定する。相対閾値は、基準値に1よりも大きい実数を乗じた値である。実数は、予め定められた値である。実施形態において、相対閾値設定部22は、基準値に1よりも大きい第1実数を乗じた第1相対閾値と、基準値に第1実数よりも大きい第2実数を乗じた第2相対閾値とを設定する。第1実数及び第2実数のそれぞれは、予め定められた値である。
【0028】
絶対閾値記憶部23は、炉圧値に係る上限値である絶対閾値を記憶する。絶対閾値は、予め定められた値である。実施形態において、絶対閾値記憶部23は、炉圧値に係る上限値である第1絶対閾値と、第1絶対閾値よりも大きい第2絶対閾値とを記憶する。第1絶対閾値及び第2絶対閾値のそれぞれは、予め定められた値である。
【0029】
判定部24は、炉圧値が相対閾値及び絶対閾値の少なくとも一方を超過したか否かを判定する。判定部24は、炉圧値が第1相対閾値及び第1絶対閾値の少なくとも一方を超過したか否かを判定する。判定部24は、炉圧値が第2相対閾値及び第2絶対閾値の少なくとも一方を超過したか否かを判定する。
【0030】
制御部25は、判定部24に判定結果に基づいて、制御指令を出力する。判定部24の判定結果に基づいて、警報装置14を制御する。
【0031】
[基準値]
上述のように、基準値とは、バーナ3に送る燃料及び空気の流量を適正量に調整したときの缶体2内の圧力をいう。基準値とは、送風路5からバーナ3に供給される燃料の空気比が適正値に調整されたときの缶体2内の圧力をいう。缶体2内の圧力が基準値である場合、空気比が適正値であると判定される。適正値に調整された空気比の燃料がバーナ3に供給されることにより、バーナ3において燃料が適正に燃焼される。
【0032】
バーナ3において燃料が燃焼されることにより、煤が発生する可能性がある。発生した煤がバーナ3よりも下流側の流路に滞留したり付着したりする可能性がある。バーナ3よりも下流側の流路は、缶体2の内部及び煙道7の内部の少なくとも一方を含む。煤の存在により、バーナ3よりも下流側の流路が狭くなる可能性がある。煤の存在によりバーナ3よりも下流側の流路が狭くなると、送風機4からバーナ3への空気の流れが悪くなり、送風機4からバーナ3に送られる空気の流量が減少する可能性がある。バーナ3に送られる空気の流量が適正量よりも減少すると、空気比が低下する可能性がある。すなわち、バーナ3に送られる空気の流量が適正量よりも減少すると、空気比が不適正値になる可能性がある。空気比が不適正値になると、バーナ3において燃焼不良が発生する可能性がある。
【0033】
煤の発生により空気比が不適正値になった場合、送風機4の出力を高くする調整処理が実施されることにより、送風機4からバーナ3に送られる空気の流量が増加するため、空気比が適正値に戻される。また、流路から煤を除去するクリーニング作業が実施されることにより、調整処理が実施されなくても、空気比が適正値に戻される。
【0034】
煤が流路に存在しない場合、基準値は低い値となる。煤の存在により流路が狭くなって空気比が低下した場合、送風機4の出力を高くする調整処理が実施されることにより、クリーニング作業が実施されなくても、空気比が適正値に戻される。送風機4の出力を高くして、送風機4からバーナ3に送られる空気の流量が増加すると、缶体2内の圧力は上昇する。そのため、調整処理が実施された後の基準値は、調整処理が実施される前の基準値よりも高い値を示すことになる。
【0035】
調整処理が実施された後、基準値は、基準値記憶部21に記憶される。例えば、調整処理により適正値に調整された空気比の燃料がバーナ3に供給されている状態で、缶体2内の圧力が炉圧センサ9により検出されることにより、基準値が求められる。調整処理により求められた基準値は、基準値記憶部21に記憶される。
【0036】
調整処理が実施されることにより、基準値記憶部21に記憶される基準値が更新される。クリーニング作業が実施されることなく調整処理が実施された場合、調整処理が実施された後の基準値は、調整処理が実施される前の基準値よりも高い値を示すことになるので、基準値は、更新される度に上昇する。
【0037】
クリーニング作業が実施されることなく調整処理が何回も実施されると、空気比は適正値に調整されるものの、バーナ3よりも下流側の流路に存在する煤の量が次第に多くなり、やがて流路から煤を除去することが困難な状況になる可能性がある。
【0038】
[燃焼量と基準値と実数と相対閾値と絶対閾値との関係]
図3は、実施形態に係る燃焼量と基準値と第1実数と第1相対閾値と第1絶対閾値との関係を示す図である。
【0039】
実施形態において、缶体2内の燃焼量は、相互に異なる複数の燃焼量に変更される。実施形態において、缶体2内の燃焼量は、低燃焼量と中燃焼量と高燃焼量とに変更される。燃焼量[kW/h]とは、バーナ3が配置される缶体2の燃焼室において単位時間当たりに発生する熱量をいう。高燃焼量は、中燃焼量よりも高い燃焼量である。中燃焼量は、低燃焼量よりも高い燃焼量である。高燃焼量は、定められた条件でボイラ1の最大能力を連続して発揮させることができる燃焼量である。中燃焼量は、高燃焼量の例えば50[%]の燃焼量である。低燃焼量は、高燃焼量の例えば20[%]の燃焼量である。
【0040】
制御部25は、目標蒸気圧と蒸気ヘッダの蒸気圧とに基づいて、燃焼量を設定する。制御部25は、燃焼量に基づいて、調整弁13を制御して、バーナ3に供給される燃料の流量を調整する。バーナ3に供給される燃料の流量に基づいて、燃焼量が変更される。バーナ3に供給される燃料の流量が多いほど、燃焼量は高くなる。バーナ3に供給される燃料の流量が少ないほど、燃焼量は低くなる。
【0041】
制御部25は、設定した燃焼量に基づいて、空気比が適正値になるように、送風機4の出力を制御する。制御部25は、設定した燃焼量に基づいて、バーナ3に供給される燃料の流量を調整する。制御部25は、炉圧センサ9の検出値に基づいて、空気の流量を推定する。制御部25は、空気の流量の低下に合わせて燃料の流量を低下させることにより、空気比を調整する。
【0042】
缶体2内の燃焼量が相互に異なる複数の燃焼量に変更される場合、基準値は、燃焼量ごとに異なる。すなわち、基準値は、運転中のボイラ1の燃焼負荷率ごとに異なる。燃焼負荷率とは、定格燃焼量に対する燃焼量の割合をいう。定格燃焼量は、高燃焼量に等しい。燃焼量と燃焼負荷率とは、1対1で対応する。燃焼量が高いほど燃焼負荷率が高くなり、燃焼量が低いほど燃焼負荷率が低くなる。
【0043】
図3に示すように、基準値は、燃焼量(燃料負荷率)が高いほど高く、燃焼量(燃料負荷率)が低いほど低い。
図3に示す例において、低燃焼量の基準値は、0.7である。中燃焼量の基準値は、1.9である。高燃焼量の基準値は、5.5である。
【0044】
第1実数は、燃焼量(燃焼負荷率)ごとに異なる。第1実数は、燃焼量(燃焼負荷率)が高いほど小さく、燃焼量(燃焼負荷率)が低いほど大きい。
図3に示す例において、低燃焼量の第1実数は、1.30である。中燃焼量の第1実数は、1.20である。高燃焼量の第1実数は、1.10である。
【0045】
第1相対閾値は、基準値に第1実数を乗じた値である。
図3に示す例において、低燃焼量の第1相対閾値は、約0.9である。中燃焼量の第1相対閾値は、約2.3である。高燃焼量の第1相対閾値は、約6.1である。
【0046】
第1実数が小さい値である場合、基準値と第1相対閾値との差が小さいので、判定部24は、炉圧値が第1相対閾値を超過したか否かを判定し易くなる。第1実数が大きい値である場合、基準値と第1相対閾値との差が大きいので、例えば炉圧センサ9の検出誤差が生じても、判定部24の誤判定が抑制される。実施形態においては、低燃焼量においては、第1実数が大きい値であるため、判定部24の誤判定が抑制される。
【0047】
第1絶対閾値は、予め定められている値である。
図3に示す例において、低燃焼量の第1絶対閾値は、6.5である。中燃焼量の第1絶対閾値は、6.5である。高燃焼量の第1絶対閾値は、6.5である。すなわち、第1絶対閾値は、燃焼量が異なっても同一値である。燃焼量にかかわらず第1絶対閾値が同一値なので、コントローラ10の演算負荷が軽減される。また、低燃焼量及び中燃焼量における送風機4の回転数は、高燃焼量における送風機4の回転数よりも低いので、流路に煤が存在する場合、送風機4を高回転に調整して、基準値を更新することができる。すなわち、低燃焼量及び中燃焼量においては、送風機4の回転数をより高くすることについて余裕があるので、流路に煤が存在する場合、バーナ3に送る空気の流量を適正量に調整するために、送風機4の回転数を高くすることができる。
【0048】
なお、低燃焼量と中燃焼量と高燃焼量とで、第1絶対閾値の値が相互に異なってもよい。低燃焼量の第1絶対閾値が中燃焼量の第1絶対閾値よりも低く、中燃焼量の第1絶対閾値が高燃焼量の第1絶対閾値よりも低くてもよい。
【0049】
図4は、実施形態に係る燃焼量と基準値と第2実数と第2相対閾値と第2絶対閾値との関係を示す図である。
【0050】
図4に示すように、基準値は、燃焼量(燃料負荷率)が高いほど高く、燃焼量(燃料負荷率)が低いほど低い。
図4に示す例において、低燃焼量の基準値は、0.7である。中燃焼量の基準値は、1.9である。高燃焼量の基準値は、5.5である。すなわち、
図4に示す基準値は、
図3を参照して説明した基準値と同じである。
【0051】
第2実数は、第1実数よりも大きい。第2実数は、燃焼量(燃焼負荷率)ごとに異なる。第2実数は、燃焼量(燃焼負荷率)が高いほど小さく、燃焼量(燃焼負荷率)が低いほど大きい。
図4に示す例において、低燃焼量の第2実数は、1.45である。中燃焼量の第2実数は、1.35である。高燃焼量の第2実数は、1.15である。
【0052】
第2相対閾値は、基準値に第2実数を乗じた値である。
図4に示す例において、低燃焼量の第2相対閾値は、約1.0である。中燃焼量の第2相対閾値は、約2.6である。高燃焼量の第2相対閾値は、約6.3である。
【0053】
低燃焼量においては、基準値が低い値であるため、第2実数が小さい値である場合、基準値と第2相対閾値との差が小さくなる。実施形態において、低燃焼量においては、第2実数が大きい値なので、基準値と第2相対閾値との差が大きくなる。そのため、例えば炉圧センサ9の検出誤差が生じても、判定部24の誤判定が抑制される。
【0054】
第2絶対閾値は、第1絶対閾値よりも大きい。第2絶対閾値は、予め定められている値である。
図4に示す例において、低燃焼量の第2絶対閾値は、6.9である。中燃焼量の第2絶対閾値は、6.9である。高燃焼量の第2絶対閾値は、6.9である。すなわち、第2絶対閾値は、燃焼量が異なっても同一値である。燃焼量にかかわらず第2絶対閾値が同一値なので、コントローラ10の演算負荷が軽減される。また、低燃焼量及び中燃焼量における送風機4の回転数は、高燃焼量における送風機4の回転数よりも低いので、流路に煤が存在する場合、送風機4を高回転に調整して、基準値を更新することができる。すなわち、低燃焼量及び中燃焼量においては、送風機4の回転数をより高くすることについて余裕があるので、流路に煤が存在する場合、バーナ3に送る空気の流量を適正量に調整するために、送風機4の回転数を高くすることができる。
【0055】
なお、低燃焼量と中燃焼量と高燃焼量とで、第2絶対閾値の値が相互に異なってもよい。低燃焼量の第2絶対閾値が中燃焼量の第2絶対閾値よりも低く、中燃焼量の第2絶対閾値が高燃焼量の第2絶対閾値よりも低くてもよい。
【0056】
図5は、実施形態に係る第1相対閾値と第1絶対閾値との関係の一例を示す図である。
図6は、実施形態に係る第2相対閾値と第2絶対閾値との関係の一例を示す図である。
【0057】
図5に示す例において、第1実数は、高燃焼量の基準値が5.9において第1相対閾値と第1絶対閾値とが同一値になるように定められる。実施形態において、炉圧値が第1相対閾値を超過したか否かを判定することは、炉圧値が第1絶対閾値を超過したか否かを判定することに等しい。
【0058】
図6に示す例において、第2実数は、高燃焼量の基準値が6.0において第2相対閾値と第2絶対閾値とが同一値になるように定められる。実施形態において、炉圧値が第2相対閾値を超過したか否かを判定することは、炉圧値が第2絶対閾値を超過したか否かを判定することに等しい。
【0059】
なお、基準値がある値に更新された場合、第1相対閾値と第1絶対閾値とが同一値になるように第1実数が定められ、且つ、第2相対閾値と第2絶対閾値とが同一値になるように第2実数が定められてもよい。例えば、高燃焼量の基準値がある値に更新された場合、炉圧値が第1絶対閾値を超過したか否かを判定することと、炉圧値が第2絶対閾値を超過したか否かを判定することとが同時に実行されてもよい。この場合、第1絶対閾値及び第2絶対閾値の一方の絶対閾値の設定は省略可能である。
【0060】
[調整処理及び制御部の処理]
図7は、実施形態に係るボイラ1の動作を説明するための図である。なお、説明の簡略化のため、
図7を参照する説明においては、第1相対閾値及び第2相対閾値を、相対閾値、と総称し、第1絶対閾値及び第2絶対閾値を、絶対閾値、と総称する。
【0061】
炉圧値に係る上限値である絶対閾値が予め定められている。絶対閾値は、絶対閾値記憶部23に記憶されている。
【0062】
バーナ3よりも下流側の流路に煤が存在しない状態で、バーナ3に送る燃料及び空気の流量が適正量に調整されたときの缶体2内の圧力が炉圧センサ9により検出される。すなわち、バーナ3よりも下流側の流路に煤が存在しない状態で、適正値に調整された空気比の燃料がバーナ3に供給されたときの缶体2内の圧力が炉圧センサ9により検出される。バーナ3よりも下流側の流路に煤が存在しない状態で、バーナ3に送る燃料及び空気の流量が適正量に調整されたときの缶体2内の圧力は、初期の基準値として基準値記憶部21に記憶される。
【0063】
なお、バーナ3よりも下流側の流路に煤が存在しない状態は、流路のクリーニング作業が実施された直後の状態を含む。
【0064】
相対閾値設定部22は、初期の基準値に1よりも大きい実数を乗じた初期の相対閾値を設定する。
【0065】
ボイラ1の運転が開始される。判定部24は、炉圧センサ9により検出される缶体2内の圧力を示す炉圧値を監視する。判定部24は、炉圧センサ9により検出された炉圧値が初期の相対閾値を超過したか否かを判定する。炉圧値が初期の相対閾値を超過したと判定された場合、制御部25は、炉圧値が初期の相対閾値を超過したことを示す警報を警報装置14に出力させる。
【0066】
また、判定部24は、炉圧センサ9により検出された炉圧値が絶対閾値を超過したか否かを判定する。炉圧値が絶対閾値を超過したと判定された場合、制御部25は、炉圧値が絶対閾値を超過したことを示す警報を警報装置14に出力させる。
【0067】
バーナ3において燃料が燃焼されることにより、煤が発生する可能性がある。煤の発生により、バーナ3よりも下流側の流路が狭くなる可能性がある。煤の存在により、バーナ3よりも下流側の流路が狭くなると、缶体2内の圧力が上昇する可能性がある。炉圧値が初期の相対閾値を超過したことを示す警報が警報装置14から出力されることにより、ボイラ1の運転者は、バーナ3よりも下流側の流路に煤が存在する可能性があることを認識することができる。
【0068】
煤の存在により流路が狭くなって空気比が低下した場合、送風機4の出力を高くする第1回目の調整処理が実施される。調整処理が実施されることにより、クリーニング作業が実施されなくても、空気比が適正値に戻される。
【0069】
第1回目の調整処理は、炉圧値が初期の相対閾値を超過したことを示す警報が警報装置14から出力された時点において実施されてもよい。例えば、制御部25は、炉圧値が初期の相対閾値を超過したと判定部24により判定された場合、第1回目の調整処理の実施を促すメッセージを警報装置14に出力させてもよい。ボイラ1の点検者は、警報装置14から出力されたメッセージにより、第1回目の調整処理を実施することができる。
【0070】
図7に示す例において、第1回目の調整処理は、第1更新の時点において実施される。すなわち、第1更新の時点において、バーナ3に送る燃料及び空気の流量が適正量に調整されたときの缶体2内の圧力が炉圧センサ9により検出される。第1更新の時点において、流路に煤が存在する可能性が高い。第1回目の調整処理によりバーナ3に送る燃料及び空気の流量が適正量に調整されたときの缶体2内の圧力は、第1更新後の基準値として基準値記憶部21に記憶される。基準値記憶部21に記憶される基準値は、初期の基準値から第1更新後の基準値に更新される。クリーニング作業が実施されることなく第1回目の調整処理が実施された場合、第1更新後の基準値は、初期の基準値よりも高い値を示すことになる。
【0071】
相対閾値設定部22は、第1更新後の基準値に1よりも大きい実数を乗じた第1更新後の相対閾値を設定する。
【0072】
第1回目の調整処理が終了し、基準値記憶部21に記憶される基準値が初期の基準値から第1更新後の基準値に更新された後、ボイラ1の運転が再開される。判定部24は、炉圧センサ9により検出される缶体2内の圧力を示す炉圧値を監視する。判定部24は、炉圧センサ9により検出された炉圧値が第1更新後の相対閾値を超過したか否かを判定する。炉圧値が第1更新後の相対閾値を超過したと判定された場合、制御部25は、炉圧値が第1更新後の相対閾値を超過したことを示す警報を警報装置14に出力させる。
【0073】
また、判定部24は、炉圧センサ9により検出された炉圧値が絶対閾値を超過したか否かを判定する。炉圧値が絶対閾値を超過したと判定された場合、制御部25は、炉圧値が絶対閾値を超過したことを示す警報を警報装置14に出力させる。
【0074】
煤の存在により流路が狭くなって空気比が低下した場合、送風機4の出力を高くする第2回目の調整処理が実施される。調整処理が実施されることにより、クリーニング作業が実施されなくても、空気比が適正値に戻される。
【0075】
第2回目の調整処理は、炉圧値が第1更新の相対閾値を超過したことを示す警報が警報装置14から出力された時点において実施されてもよい。例えば、制御部25は、炉圧値が第1更新の相対閾値を超過したと判定部24により判定された場合、第2回目の調整処理の実施を促すメッセージを警報装置14に出力させてもよい。ボイラ1の点検者は、警報装置14から出力されたメッセージにより、第2回目の調整処理を実施することができる。
【0076】
図7に示す例において、第2回目の調整処理は、第2更新の時点において実施される。すなわち、第2更新の時点において、バーナ3に送る燃料及び空気の流量が適正量に調整されたときの缶体2内の圧力が炉圧センサ9により検出される。第2更新の時点において流路に存在する煤の量は、第1更新の時点において流路に存在する煤の量よりも多い可能性が高い。第2回目の調整処理によりバーナ3に送る燃料及び空気の流量が適正量に調整されたときの缶体2内の圧力は、第2更新後の基準値として基準値記憶部21に記憶される。基準値記憶部21に記憶される基準値は、第1更新後の基準値から第2更新後の基準値に更新される。クリーニング作業が実施されることなく第2回目の調整処理が実施された場合、第2更新後の基準値は、第1更新後の基準値よりも高い値を示すことになる。
【0077】
以下、第1回目の調整処理及び第2回目の調整処理と同様に、第3回目以降の調整処理が実施される。
【0078】
クリーニング作業が実施されることなく調整処理が何回も実施されると、空気比は適正値に調整されるものの、バーナ3よりも下流側の流路に存在する煤の量が次第に多くなり、やがて流路から煤を除去することが困難な状況になる可能性がある。
【0079】
実施形態において、炉圧値が絶対閾値を超過することは、流路から煤を除去することが困難な状況になるほど流路に煤が存在することを示す。制御部25は、炉圧値が絶対閾値を超過したと判定部24により判定された場合、流路のクリーニング作業を促すメッセージを警報装置14に出力させる。ボイラ1の点検者は、警報装置14から出力されたメッセージにより、流路のクリーニング作業を実施することができる。
【0080】
なお、制御部25は、炉圧値が絶対閾値を超過しなくても、相対閾値を超過したときに、流路のクリーニング作業を促すメッセージを警報装置14に出力させてもよい。
【0081】
なお、
図7においては、説明の簡略化のため、第1相対閾値及び第2相対閾値を、相対閾値、と総称し、第1絶対閾値及び第2絶対閾値を、絶対閾値、と総称した。
図3及び
図4を参照して説明したように、相対閾値は、第1相対閾値と第2相対閾値とを含み、絶対閾値は、第1絶対閾値と第2絶対閾値とを含む。
【0082】
制御部25は、炉圧値が第1相対閾値を超過した場合、ボイラ1の運転を継続させた状態で、炉圧値が第1相対閾値を超過したことを示す警報を警報装置14に出力させてもよい。制御部25は、炉圧値が第2相対閾値を超過した場合、炉圧値が第2相対閾値を超過したことを示す警報を警報装置14に出力させるとともに、ボイラ1の運転を停止させてもよい。
【0083】
制御部25は、炉圧値が第1絶対閾値を超過した場合、ボイラ1の運転を継続させた状態で、バーナ3よりも下流側の流路のクリーニング作業を促すメッセージを警報装置14に出力させてもよい。制御部25は、炉圧値が第2絶対閾値を超過した場合、バーナ3よりも下流側の流路のクリーニング作業を促すメッセージを警報装置14に出力させるとともに、ボイラ1の運転を停止させてもよい。
【0084】
なお、基準値がある値に更新された場合、第1相対閾値と第1絶対閾値とが同一値になるように第1実数が定められ、且つ、第2相対閾値と第2絶対閾値とが同一値になるように第2実数が定められている場合、制御部25は、炉圧値が第1相対閾値(第1絶対閾値)を超過した場合、ボイラ1の運転を継続させた状態で、バーナ3よりも下流側の流路のクリーニング作業を促すメッセージを警報装置14に出力させてもよい。制御部25は、炉圧値が第2相対閾値(第2絶対閾値)を超過した場合、バーナ3よりも下流側の流路のクリーニング作業を促すメッセージを警報装置14に出力させるとともに、ボイラ1の運転を停止させてもよい。
【0085】
[効果]
以上説明したように、実施形態に係るボイラ1は、水管11を有する缶体2と、缶体2に接続されるバーナ3と、バーナ3に空気を送る送風機4と、缶体2内の圧力を示す炉圧値を検出する炉圧センサ9と、コントローラ10と、を備える。コントローラ10は、バーナ3に送る燃料及び空気の流量を適正量に調整したときの缶体2内の圧力を示す基準値を記憶する基準値記憶部21と、基準値に1よりも大きい第1実数を乗じた第1相対閾値を設定する相対閾値設定部22と、炉圧値に係る上限値である第1絶対閾値を記憶する絶対閾値記憶部23と、炉圧値が第1相対閾値及び第1絶対閾値の少なくとも一方を超過したか否かを判定する判定部24と、を備える。
【0086】
実施形態によれば、バーナ3よりも下流側の流路に煤が存在する場合、炉圧値が変化する。判定部24により、炉圧値が第1相対閾値及び第1絶対閾値の少なくとも一方を超過したか否かが判定されるので、流路から煤を除去することが困難な状況になるほど流路に煤が溜まってしまうことが抑制される。
【0087】
実施形態において、基準値は、運転中のボイラ1の燃焼負荷率(燃焼量)ごとに異なる。そのため、燃料負荷率ごとに適正値に調整された空気比の燃料がバーナに供給される。
【0088】
実施形態において、第1実数は、燃焼負荷率(燃焼量)が高いほど小さい。例えば、低燃焼量においては、第1実数が大きい値なので、基準値と第1相対閾値との差が大きくなる。そのため、例えば炉圧センサ9の検出誤差が生じても、判定部24の誤判定が抑制される。
【0089】
相対閾値設定部22は、第1相対閾値及び第2相対閾値よりも大きい第2相対閾値を設定する。絶対閾値記憶部23は、第1絶対閾値及び第1絶対閾値よりも大きい第2絶対閾値を記憶する。制御部25は、炉圧値が第1相対閾値を超過した場合に警報装置14に第1警報を出力させ、炉圧値が第2相対閾値を超過した場合に警報装置14から第1警報とは異なる第2警報を出力させることができる。制御部25は、炉圧値が第1絶対閾値を超過した場合に警報装置14に第3警報を出力させ、炉圧値が第2絶対閾値を超過した場合に警報装置14から第3警報とは異なる第4警報を出力させることができる。
【0090】
[その他の実施形態]
図8は、実施形態に係るボイラ1の一部を模式的に示す図である。
図8に示す例において、送風機4とバーナ3との間の送風路5にダンパ15及び減圧部材16が配置される。上述の実施形態においては、送風機4の出力(回転数)が調整されることにより、バーナ3に送られる空気の流量が調整されることとした。送風機4の出力の調整に加えて又は送風機4の出力の調整の代わりに、ダンパ15の位置(開度)が調整されることにより、バーナ3に送られる空気の流量が調整されてもよい。制御部25は、バーナ3に送られる空気の流量が設定された燃焼量に応じた流量となるように、送風機4及びダンパ15を制御する。減圧部材16は、ダンパ15よりも下流側に配置される。減圧部材16は、例えばパンチングメタルを含み、送風機4からバーナ3に供給される空気を減圧する。
図1に示した調整弁13の開度は、減圧部材16の前後の差圧に応じて変化する。炉圧センサ9は、ダンパ15の二次側の圧力を検出してもよい。炉圧センサ9は、減圧部材16の前後の差圧を検出してもよい。炉圧センサ9は、燃料供給路6における調整弁13の二次側の圧力を検出してもよい。
【0091】
上述の実施形態においては、燃料が気体燃料であり、予混合方式(プレミックス方式)で燃料が燃焼されるが、先混合方式(ノズルミックス方式)で燃料が燃焼されてもよい。また、燃料が油のような液体燃料でもよく、この場合は圧力噴霧式で燃焼されてもよい。
【0092】
上述の実施形態において、缶体2の下流側にエコノマイザが配置されてもよい。エコノマイザが配置される場合においても、上述の実施形態に従って、エコノマイザから煤の除去が困難な状況になることを未然に防ぐことができる。
【0093】
上述の実施形態においては、煤に起因して缶体2内の圧力が上昇することとした。例えば腐食生成物や結露など意図しない閉塞物に起因して缶体2内の圧力が上昇する可能性がある。上述の実施形態に従って、流路から閉塞物の除去が困難な状況になることを未然に防ぐことができる。
【符号の説明】
【0094】
1…ボイラ、2…缶体、3…バーナ、4…送風機、5…送風路、6…燃料供給路、7…煙道、8…ダクト、9…炉圧センサ、10…コントローラ、11…水管、12…開閉弁、13…調整弁、14…警報装置、15…ダンパ、16…減圧部材、21…基準値記憶部、22…相対閾値設定部、23…絶対閾値記憶部、24…判定部、25…制御部。