(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177827
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】間接活線用圧縮工具
(51)【国際特許分類】
H02G 1/02 20060101AFI20241217BHJP
B25B 25/00 20060101ALI20241217BHJP
H01R 43/042 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
H02G1/02
B25B25/00 D
H01R43/042
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096177
(22)【出願日】2023-06-12
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004510
【氏名又は名称】弁理士法人維新国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100111132
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 浩
(72)【発明者】
【氏名】水津 涼平
(72)【発明者】
【氏名】足立 康輔
【テーマコード(参考)】
3C031
5E063
5G352
【Fターム(参考)】
3C031BB14
5E063CA02
5E063CC02
5E063XA11
5G352AE04
5G352AE05
(57)【要約】
【課題】接続用スリーブの圧縮作業中に圧縮操作を中断することができる間接活線用圧縮工具を提供する。
【解決手段】一対の操作部2、2’と、一対の操作部2、2’の閉動作により圧着を行う圧着部5、5’と、閉動中の操作部2、2’が開動するのを抑制するラチェット機構7と、一対の操作部2、2’の端部寄りに直接又は間接的に設けられ、間接活線把持工具50の一対の先端部51a、51a’のそれぞれに操作部2、2’を個別に接続可能にする一対のアダプタ11、11’を備え、ラチェット機構7は、ラチェット歯と、このラチェット歯に係止する爪を備える爪部材と、この爪部材をラチェット歯との係止位置に復帰させる復帰部材と、爪部材に直接又は間接的に連結され、ラチェット機構の外から爪部材を操作して爪とラチェット歯の係止状態を解除する解除機構14を備える間接活線用圧縮工具1Aによる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
枢支軸を介して回動自在に連結される一対の操作部と、
一対の前記操作部の閉動作により圧着を行う圧着部と、
一対の前記操作部の間に介設され、閉動中の前記操作部が開動するのを抑制するラチェット機構と、
一対の前記操作部において前記圧着部が配されない側の端部寄りに直接又は間接的に設けられ、間接活線把持工具の一対の先端部のそれぞれに前記操作部を個別に接続可能にする一対のアダプタを備え、
前記ラチェット機構は、
ラチェット歯と、
前記ラチェット歯に係止する爪を備える爪部材と、
前記爪部材を前記ラチェット歯との係止位置に復帰させる復帰部材と、
前記爪部材に直接又は間接的に連結され、前記ラチェット機構の外から前記爪部材を操作して前記爪と前記ラチェット歯の係止状態を解除する解除機構を備えていることを特徴とする間接活線用圧縮工具。
【請求項2】
前記ラチェット機構は、
前記ラチェット歯を有するとともに、一方の前記操作部に回動自在に連結されるラチェットバーと、
前記ラチェットバーをその中心軸方向にスライド自在に収納するラチェットバー収納部を有するとともに、他方の前記操作部に回動自在に連結されるケース部材、を備え、
前記爪部材は、前記ケース部材内に格納されるとともに前記ケース部材に回動自在に枢設されることを特徴とする請求項1に記載の間接活線用圧縮工具。
【請求項3】
前記操作部と前記アダプタの間に介設され、前記操作部を保持する保持具を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の間接活線用圧縮工具。
【請求項4】
前記圧着部に直接又は間接的に設けられ、接続用スリーブを保持するクリップを備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の間接活線用圧縮工具。
【請求項5】
前記解除機構は、
前記爪部材に直接又は間接的に連結されるワイヤーと、
前記ワイヤーの前記爪部材に連結されない側の端部に設けられるハンドルを備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の間接活線用圧縮工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接続用スリーブを用いて間接活線工法により電線と電線を接続する際に用いられる間接活線用圧縮工具に関する。
【0002】
配電路において、変圧器の吊替工事等に伴い、電線と電線の接続作業が必要になる場合がある。
例えば、高圧引下線は、電柱間に架設された高圧線から、変圧器へ引き込むための電線であり、変圧器を吊替えた場合に、この高圧引下線と変圧器の1次側の電線を接続する作業が必要になる。この接続作業は、通常、接続用スリーブを用い、接続用スリーブ内で電線同士を突き合わせて、この突き合わせた箇所の両側を接続用スリーブの外側から圧縮することで、接続用スリーブと電線を一体化することによりなされる。
また、この接続作業に用いられる圧縮装置としては、下記
図12に示すようなものが知られている。
【0003】
はじめに、
図12を参照しながら従来技術について説明する。
図12は従来の間接活線工法により電線同士を接続用スリーブを用いて接続する際の様子を示す概略斜視図である。
従来の間接活線工法により電線61と電線62を接続する場合は、例えば
図12に示すように、接続用スリーブ63のそれぞれの開口端から電線61と電線62を挿入した後、圧縮装置64により接続用スリーブ63を圧縮することで、電線61、62を相互に接続する。
通常、接続用スリーブ63の圧縮箇所は、電線61、62同士を突き合わせた箇所の両側の2箇所であるが、変圧器側の1箇所、すなわち変圧器の1次側の電線61側は停電作業時に予め圧縮(圧着)されており、
図12では、残る1箇所、すなわち高圧引下線(電線)61側を間接活線工法(従来工法)により圧縮(圧着)する様子を示している。
【0004】
また、従来の間接活線工法に用いられる圧縮装置64は、絶縁操作棒65の先端部に取り付けられた圧縮ペンチ66を有する。
さらに、上記圧縮ペンチ66を操作する際は、つまり接続用スリーブ63の圧縮作業を行う際は、他の絶縁操作棒65’の先端部に取り付けられたフック部74を使用する。
また、圧縮ペンチ66は、例えば
図12に示すように、不動部材67に圧縮部材68が軸着され、さらに、不動部材67の先端部は受け部69を、また、圧縮部材68の先端部は圧縮部70をそれぞれ備えている。そして、圧縮ペンチ66の圧縮部材68において圧縮部70を備えない側の端部は、伝達部材71及び牽引部材72をこの順序で備えており、牽引部材72の先端部はさらにリング部材73を備えている。
そして、このような圧縮ペンチ66を操作する際は、上記牽引部材72の先端部に設けられたリング部材73に、先のフック部74を引掛けて、
図12中の符号Pで示す方向にリング部材73を引っ張り、圧縮部材68を閉動作させることで、圧縮部70と受け部69の間に挟まれた接続用スリーブ63を圧縮する。
【0005】
さらに、上述のような従来工法による圧縮接続作業は、通常2名の作業者により行われる。
この場合、一方の作業者はそれぞれの手で間接活線把持工具(絶縁ヤットコ)75、75’を保持するとともに、かつそれぞれの手で間接活線把持工具75、75’を操作して電線61、62を支持する。
また、他方の作業者(圧縮作業を行う作業者)は、高圧引下線(電線)62が挿入された接続用スリーブ63を、上述の不動部材67の受け部69又は圧縮部材68の圧縮部70の何れか一方に正しくセットされるように操作しながら、先端にフック部74が取り付けられた絶縁操作棒65’を矢印Pの方向に操作して圧縮部材68を閉動作させて、接続用スリーブ63を圧縮する。
なお、
図12中に示される圧縮ペンチ66は、牽引部材72を矢印Pの方向にある程度強い力で引っ張らないと閉動作しない。
【0006】
そして、
図12に示すような従来技術に係る圧縮装置64を用いる場合は、接続用スリーブ63を圧縮するにあたり、絶縁操作棒65’に連結されているフック部74を鉛直下方側に引き下げる動作を行う必要がある。この時、他方の作業者(圧縮作業を行う作業者)は、絶縁操作棒65’を保持する手とは別の手で圧縮装置64も保持している。このため、他方の作業者が、フック部74を鉛直下方側に引き下げる動作を行う際に、意図せず圧縮装置64も鉛直下方側に引き下げてしまうことがある。
この場合、圧縮作業中の接続用スリーブ63が圧縮ペンチ66共々鉛直下方側に引き下げられてしまい、接続用スリーブ63が折れ曲がってしまう、つまり接続用スリーブ63が変形してしまうという不具合が生じていた。この場合は、接続用スリーブ63を用いた電線61と電線62の接続作業をやり直す必要があり、作業効率を向上し難かった。
【0007】
さらに、
図12に示すような従来技術に係る圧縮装置64を用いる場合は、作業者2名がともに両手に間接活線工具を支持して作業を行うため、各作業者が十分な作業スペースを確保することができず、作業者同士の腕や体が接触した際に、接続用スリーブ63から電線61や電線62が意図せず外れてしまうなどして、効率良く作業を行うことができないといった不具合も生じていた。
加えて、
図12に示すような従来技術に係る圧縮装置64はかなりの重量があり、作業者にとっての身体的な負担が大きいという課題もあった。
そして、上述のような課題に対処すべく本願の出願人は過去に以下の特許文献1に示すような発明をして出願している。
【0008】
特許文献1には「間接活線用先端工具」という名称で、間接活線作業に使用する間接活線把持工具の先端に接続可能な間接活線用先端工具に関する発明が開示されている。
特許文献1に開示される発明は、一対の操作部の遠近動によって互いに遠近する一対の歯部と、一対の操作部の基端部に設けられ、間接活線把持工具の先端部が接続可能な接続部とを備え、それぞれの歯部の互いに対向する部位には、電線同士を接続するための接続スリーブを受容して圧縮可能な凹状に形成された圧縮部を備え、圧縮部は、一対の歯部の互いに対向する1箇所のみに形成されていることを特徴とする。
上記構成の特許文献1に開示される間接活線用先端工具によれば、操作部の基端部に間接活線把持工具の先端が接続可能な接続部を備えることにより、間接活線把持工具の把持動作に連動して歯部の圧縮動作を操作することができる。
この場合、先の
図12に示すような従来技術に係る圧縮装置64を用いる場合のように、複数の絶縁操作棒を使用することなく接続スリーブの圧縮操作をすることができる。
よって、特許文献1に開示される間接活線用先端工具によれば、1つの間接活線把持工具により操作できるので作業者の疲労を低減することができる。さらに、特許文献1に開示される発明によれば、作業者の操作棒と補助者の操作棒とが接触して作業に支障をきたすことを防ぐこともできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述の特許文献1に開示される間接活線用先端工具(1)は、互いの操作部(21,22)を近接するように移動させた際に、歯部(3)が所定位置に達するまで離隔方向の動きを制限するためのストッパー機構(8)を備えている。
ところが、特許文献1にはこのストッパー機構(8)の具体的な構造が開示されておらず、しかもこのストッパー機構(8)を操作するため具体的な構造についても何ら開示されていない。
したがって、特許文献1に開示される間接活線用先端工具(1)を間接活線把持工具(5)により間接的に操作する場合は、その歯部(3)による接続用スリーブの圧縮操作をどのようにして中断するかが不明であった。
【0011】
本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものでありその目的は、接続用スリーブの圧縮操作時に1人の作業者が複数の絶縁操作棒を操作する必要がなく、しかも接続用スリーブの圧縮作業中に必要に応じて圧縮操作を中断することができる間接活線用圧縮工具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するための第1の発明である間接活線用圧縮工具は、枢支軸を介して回動自在に連結される一対の操作部と、一対の操作部の閉動作により圧着を行う圧着部と、一対の操作部の間に介設され、閉動中の操作部が開動するのを抑制するラチェット機構と、一対の操作部において圧着部が配されない側の端部寄りに直接又は間接的に設けられ、間接活線把持工具の一対の先端部のそれぞれに操作部を個別に接続可能にする一対のアダプタを備え、ラチェット機構は、ラチェット歯と、このラチェット歯に係止する爪を備える爪部材と、爪部材をラチェット歯との係止位置に復帰させる復帰部材と、爪部材に直接又は間接的に連結され、ラチェット機構の外から爪部材を操作して爪とラチェット歯の係止状態を解除する解除機構を備えていることを特徴とする。
上記構成の第1の発明において、枢支軸を介して回動自在に連結される一対の操作部は、圧着部を操作して開閉させるという作用を有する。これにより、圧着部により接続用スリーブを圧縮することができる。
また、第1の発明ではラチェット機構が、ラチェット歯、爪部材及び復帰部材を備えていることで、操作部の閉動時に、直列状に配される複数のラチェット歯上を爪部材が、ラチェット歯との係合とその解除を繰り返しながら順次移動する。つまり、一対の操作部の閉動中に、一対の操作部が開動するのを規制するという作用を有する。
さらに、一対のアダプタは、一対の操作部において圧着部が配されない側の端部寄りに直接又は間接的に設けられ、間接活線把持工具の一対の先端部のそれぞれに操作部を個別に接続可能にするという作用を有する。
加えて、解除機構は、上述のラチェット機構の外から間接的に爪部材を操作して、爪部材とラチェット歯の係合状態を解除するという作用を有する。これにより、第1の発明では、間接活線把持工具(絶縁ヤットコ)による一対の操作部の閉動操作中に、必要に応じて一対の操作部を開動させることができる。
【0013】
第2の発明は、上述の第1の発明であって、ラチェット機構は、ラチェット歯を有するとともに、一方の操作部に回動自在に連結されるラチェットバーと、このラチェットバーをその中心軸方向にスライド自在に収納するラチェットバー収納部を有するとともに、他方の操作部に回動自在に連結されるケース部材、を備え、爪部材は、ケース部材内に格納されるとともにこのケース部材に回動自在に枢設されることを特徴とする。
上記構成の第2の発明は、上述の第1の発明におけるラチェット機構をより具体的に特定したものであり、その作用は上述の第1の発明による作用と同じである。
また、第2の発明のラチェット機構は、ラチェット歯を備えるラチェットバーが一方の操作部に回動自在に連結されるとともに、このラチェットバーをその中心軸方向にスライド自在に収納するケース部材が他方の操作部に回動自在に連結されている。さらに、このケース部材内に格納されるとともに、このケース部材に回動自在に枢設される爪部材がラチェット歯に係合することで、一対の操作部(一方の操作部と他方の操作部)の開動がラチェット機構により規制される。
そして、解除機構により爪部材を遠隔操作して、爪部材とラチェット歯の係合状態を解除することで、一対の操作部(一方の操作部と他方の操作部)を開動させることができる。
【0014】
第3の発明は、上述の第1又は第2の発明であって、操作部とアダプタの間に介設され、操作部を保持する保持具を備えることを特徴とする。
上記構成の第3の発明では、保持具を介して操作部を間接的に保持することで、一対の操作部、圧縮部及びラチェット機構を備える圧縮機構として、従来公知の手工具であるラチェット機構付き圧縮工具を転用可能にするという作用を有する。
【0015】
第4の発明は、上述の第1乃至第3の発明のいずれかにおいて、圧着部に直接又は間接的に設けられ、接続用スリーブを保持するクリップを備えることを特徴とする。
上記構成の第4の発明において、クリップは、接続用スリーブの圧縮作業時に、圧縮部に隣接する位置に接続用スリーブを配置するという作用を有する。
【0016】
第5の発明は、上述の第1乃至第5の発明のいずれかにおいて、解除機構は、爪部材に直接又は間接的に連結されるワイヤーと、このワイヤーの爪部材に連結されない側の端部に設けられるハンドルを備えることを特徴とする。
上記構成の第5の発明は、解除機構がハンドルを有することで、間接活線作業中の作業者が感電防止のために厚手のゴム手袋を装着している場合でも、ワイヤーの爪部材に連結されない側の端部を挟持又は把持することを容易にするという作用を有する。
さらに、第5の発明において解除機構におけるワイヤーは、作業者がハンドルを引く操作した際にワイヤーに作用する外力をラチェット機構の爪部材に伝達するという作用を有する。
つまり、第5の発明では、ワイヤーを介して爪部材が遠隔操作されることで、ラチェット機構におけるラチェット歯と爪部材の係合状態を解除することができる。
【発明の効果】
【0017】
上述のような第1、第2の発明によれば、1つの間接活線把持工具(絶縁ヤットコ)を用いて接続用スリーブの圧縮操作を行うことができる。加えて、作業者はその操作中の必要時に、圧着部による接続用スリーブの圧縮操作を中断して、接続用スリーブから圧縮部を離間させることができる。
したがって、第1及び第2の発明によれば、接続用スリーブの圧縮操作時の作業者の身体的な負担を軽減しつつ、間接活線作業時においても従来公知の手工具であるラチェット機構付き圧縮工具を使用する場合と同様の利便性を享受することができる。
【0018】
第3の発明によれば、一対の操作部、圧縮部及びラチェット機構からなる圧縮構造として、従来公知の手工具であるラチェット機構付き圧縮工具をそのまま転用することができる。
この場合、第3の発明を製造する際に、従来公知の手工具であるラチェット機構付き圧縮工具を一から作製する場合に比べて、第3の発明の製造に要するコストを大幅に削減できる。
よって、第3の発明によれば、利便性に優れた間接活線用圧縮工具を廉価に提供できる。
【0019】
第4の発明がクリップを備えていることで、第4の発明である間接活線用圧縮工具の操作に用いられる間接活線把持工具(絶縁ヤットコ)とは別の間接活線把持工具(絶縁ヤットコ)を用いて接続用スリーブを保持しておく必要がない。
したがって、第4の発明によれば間接活線用圧縮工具を用いて接続用スリーブを圧縮操作する際の作業性を向上させることができる。
【0020】
第5の発明によれば、解除機構の操作性を損なうことなくその構造をシンプルにできる。
よって、第5の発明によれば、操作性に優れ、かつ製造コストが廉価な間接活線用圧縮工具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本実施形態に係る間接活線用圧縮工具における圧着部が閉じている状態を示す正面図である。
【
図2】本実施形態に係る間接活線用圧縮工具における圧着部が開いている状態を示す正面図である。
【
図3】本実施形態に係る間接活線用圧縮工具の使用方法を説明するための部分斜視図である。
【
図4】本実施形態に係る間接活線用圧縮工具におけるラチェット機構及びその解除機構を示す部分正面図である。
【
図5】本実施形態に係る間接活線用圧縮工具における解除機構の動作を説明するための要部拡大図である。
【
図6】本実施形態に係る間接活線用圧縮工具における解除機構の変形例を示す要部拡大図である。
【
図7A】他の実施形態に係る間接活線用圧縮工具における圧着部が閉じている状態を示す正面図である。
【
図7B】他の実施形態に係る間接活線用圧縮工具における圧着部が開いている状態を示す正面図である。
【
図8】他の実施形態に係る間接活線用圧縮工具における解除機構付き圧縮工具の正面図である。
【
図9】他の実施形態に係る間接活線用圧縮工具における保持具とその関連構造の正面図である。
【
図12】従来の間接活線工法により電線同士を接続用スリーブを用いて接続する際の様子を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施形態に係る間接活線用圧縮工具について
図1乃至
図10を参照しながら詳細に説明する。
【0023】
[1-1;本発明の基本構成について]
はじめに、
図1を参照しながら本発明の実施形態(以下、単に「本実施形態」という。)に係る間接活線用圧縮工具の基本構成について説明する。
図1は本実施形態に係る間接活線用圧縮工具における圧着部が閉じている状態を示す正面図である。また、
図2は同間接活線用圧縮工具における圧着部が開いている状態を示す正面図である。
例えば
図1に示すように、本実施形態に係る間接活線用圧縮工具1Aは主に、後段の
図3に示す接続用スリーブ56を圧縮操作する圧着部5、5’を有する圧縮機構43と、この圧縮機構43において圧着部5、5’が配されない側の端部2b、2b’に接続される操作アーム9、9’と、この操作アーム9、9’において圧縮機構43が配されない側の端部に接続されるアダプタ11、11’からなる。
さらに、本実施形態に係る間接活線用圧縮工具1Aは、接続用スリーブ56を圧着部5、5’により圧縮する際に、意図せず操作アーム9、9’が開動するのを規制するためのラチェット機構7と、このラチェット機構7による操作アーム9、9’の開動が規制された状態を必要に応じて解除するのに設けられ、遠隔操作可能な解除機構14を備えている。
そして、上述のような本実施形態に係る間接活線用圧縮工具1Aは、例えば
図1に示すように、間接活線把持工具50(絶縁ヤットコ)における挟持アーム51、51’の先端部51a、51a’にアダプタ11、11’を装着することにより間接的に圧着部5、5’の開閉操作を行うことができる。
さらに、解除機構14のラチェット機構7に接続されない側の端部を操作することで、必要に応じてラチェット機構7を解除することができる。
また、間接活線把持工具50の挟持アーム51、51’を開動させることで間接的に圧着部5、5’を開いた状態を示したものが
図2である。
【0024】
なお、間接活線把持工具50における挟持アーム51、51’の動作機構は下記の通りである。
間接活線把持工具50の挟持アーム51と挟持アーム51’は枢支軸55を介して開閉自在に連結されている。また、挟持アーム51の先端部51aの反対側の基端部51bには、枢支軸52を介してリンク部材53及び操作棒54が連結されている。
そして、作業者が操作棒54に連結される図示しない操作ハンドルを操作することで、リンク部材53を介して挟持アーム51の基端部51bが操作される。
この結果、挟持アーム51が枢支軸55を基軸に
図1中の符号Q又は符号Q’で示す方向に開閉動する。
【0025】
[1-2;本発明の基本構成による作用・効果について]
上述のような本実施形態に係る間接活線用圧縮工具1Aによれば、1の間接活線把持工具50(絶縁ヤットコ)のみにより接続用スリーブ56の圧縮操作を行うことができる。
そして、本実施形態に係る間接活線用圧縮工具1Aがラチェット機構7を備えていることで、圧着部5、5’による圧縮操作時に圧着部5、5’が意図せず開動して接続用スリーブ56の圧縮操作が中断されるのを防ぐことができる。
さらに、本実施形態に係る間接活線用圧縮工具1Aが解除機構14を備えていることで、作業者は必要時に解除機構14を操作してラチェット機構7を解除することができる。
より具体的には、圧着部5、5’による接続用スリーブ56(後段の
図3を参照)の圧縮操作中に不具合が生じるなどして、やむを得ず圧縮操作を中断する必要がある場合、作業者は解除機構14を操作することでラチェット機構7を解除することができる。
そして、本実施形態に係る間接活線用圧縮工具1Aのラチェット機構7が解除されることで、圧着部5、5’による圧縮操作を中断して、接続用スリーブ56から圧着部5、5’を離間することができる。
よって、本実施形態に係る間接活線用圧縮工具1Aによれば、単数の間接活線工具(例えば絶縁ヤットコ)を用いて操作できることで作業者に対する身体的な負担が小さく、かつ圧縮操作時に意図せず圧着部5、5’が接続用スリーブ56から外れるのを防止でき、しかも必要時に容易に圧縮操作を中断できる間接活線用圧縮工具を提供することができる。
そして、上述のような間接活線用圧縮工具1Aによれば、接続用スリーブ56を用いて電線同士を接続する際の作業効率を向上させることができる。
【0026】
[1-3;本発明の基本構成の変形例等について]
先の[1-1]に示す本発明の基本構成は、必要に応じて以下に示す構成を単独で又は所望の複数種類を組み合わせて備えてもよい。
<1-3-1;クリップについて>
図3は本実施形態に係る間接活線用圧縮工具の使用方法を説明するための部分斜視図である。なお、
図1及び
図2に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
図1乃至
図3に示すように、本実施形態に係る間接活線用圧縮工具1Aの圧着部5’は、この圧着部5’に固設される突起状の連結部20を介してクリップ15を備えていてもよい(任意選択構成要素)。
この場合、
図3に示すように、接続用スリーブ56の中心軸方向端部に形成される開口端56bに、絶縁外皮60が剥離された電線58の導体59を挿入し、接続用スリーブ56と導体59の重なり部を間接活線用圧縮工具1A(圧縮機構43)の圧着部5、5’により圧縮して固定する際に、クリップ15により圧着部5、5’の近傍に接続用スリーブ56を保持しておくことができる。
なお、接続用スリーブ56の他の開口端56a側に電線57を接続する際も同様である。
【0027】
また、上述のようなクリップ15は、例えば
図1乃至
図3に示すように、接続用スリーブ56を把持する一対の挟持部16、16’が枢支軸17を介して開閉自在に連結され、さらにこの一対の挟持部16、16’を開閉操作するための操作用つまみ部18、18’を備えている。
さらに、上述のようなクリップ15は、特に図示しないが、一対の挟持部16、16’を常時閉じた状態に保持しておくための弾性部材(例えば、外形がC字状のバネ、トーションバネ、板バネ等)を備えている。
また、上述のようなクリップ15は、本実施形態に係る間接活線用圧縮工具1Aを操作するための間接活線把持工具50とは別の間接活線把持工具50を用いて一対の操作用つまみ部18、18’を開閉操作することで、一対の挟持部16、16’を間接的に開閉操作することができる。
なお、電線57又は電線58に接続用スリーブ56を固定(圧着)する前の状態であれば、作業者は自らの手指により一対の操作用つまみ部18、18’を操作してクリップ15で接続用スリーブ56を保持することができる。
また、接続用スリーブ56により電線58と電線57を接続した後に、接続用スリーブ56からクリップ15を取り外す際は、先に述べたように他の間接活線把持工具50を用いて一対の操作用つまみ部18、18’を操作すればよい。
【0028】
そして、接続用スリーブ56の開口端56b側に電線58を接続した後、さらに開口端56a側に電線57を接続(圧縮)するには、接続用スリーブ56から間接活線用圧縮工具1A及びクリップ15を一旦取り外した後、このクリップ15が紙面右手側に配されるようにクリップ15を付け替えて、この後上述の手順と同様の手順を行えばよい。
より具体的には、絶縁外皮60を剥離して導体59を裸出させた電線57を接続用スリーブ56の開口端56aに挿入した後、接続用スリーブ56と導体59の重なり部分を間接活線用圧縮工具1A(圧縮機構43)の圧着部5、5’により圧縮すればよい。
なお、本実施形態に係る間接活線用圧縮工具1Aでは、圧着部5’にクリップ15を設ける場合を例に挙げて説明しているが、クリップ15は圧着部5に設けてもよい。この場合も上記作用・効果と同様の作用・効果を奏する。
【0029】
<1-3-2;圧縮機構等の細部構造について>
ここで、本実施形態に係る間接活線用圧縮工具1Aにおける圧縮機構43と、この圧縮機構43を間接活線把持工具50に装着するための構造についてより詳しく説明する。
本実施形態に係る間接活線用圧縮工具1Aの圧縮機構43は、例えば
図1及び
図2に示すように、枢支軸3を介して回動自在に連結される一対の操作部2、2’と、この一対の操作部2、2’の閉動作により圧着を行う圧着部5、5’と、一対の操作部2、2’の間に介設され、閉動中の操作部2、2’が意図せず開動するのを規制するラチェット機構7を備えている。
さらに、本実施形態に係る間接活線用圧縮工具1Aでは、操作部2において圧着部5が配されない側の端部2bに枢支軸8を介して操作アーム9が連結されるとともに、操作部2’の圧着部5’が配されない側の端部2b’には枢支軸8’を介して操作アーム9’が連結されている。
加えて、操作アーム9において操作部2に接続されない側の端部には、枢支軸10を介してアダプタ11が連結されるとともに、操作アーム9’において操作部2’に接続されない側の端部には、枢支軸10’を介してアダプタ11’が連結されている。
【0030】
また、本実施形態に係る間接活線用圧縮工具1Aにおけるアダプタ11は、間接活線把持工具50の挟持アーム51の先端部51aに着脱可能に装着されるソケット12と、このソケット12の周側面上に突設されて、挟持アーム51の先端部51aへのソケット12の固定状態とその解除を切り替えるための掛止手段13を備えている。
同様に、間接活線把持工具50の挟持アーム51の先端部51a’に装着されるアダプタ11’も、ソケット12’及び掛止手段13’を備えている。
そして、本実施形態に係る間接活線用圧縮工具1Aでは、圧着部5、5’、操作部2、2’、操作アーム9、9’及びアダプタ11、11’がリンク機構として機能する。
これにより、間接活線把持工具50(絶縁ヤットコ)の挟持アーム51,51’に間接活線用圧縮工具1Aを装着して間接活線把持工具50の挟持アーム51,51’を開閉操作することで、この操作に連動させて圧着部5、5’を開閉することができる(
図1及び
図2を参照)。
【0031】
ここで、圧着部5、5’が開閉される仕組みについて
図1及
図2を参照しながらさらに詳細に説明する。
本実施形態に係る間接活線用圧縮工具1Aでは、操作部2の基部2aに枢支軸4を介して圧着部5が連結されている。同様に、操作部2’の基部2a’にも枢支軸4’を介して圧着部5’が連結されている。
加えて、圧着部5と圧着部5’はともに、圧着部5に設けられる枢支軸44と、圧着部5’に設けられる枢支軸44’を介して連結プレート45に連結されている。
そして、圧着部5、5’の周辺が上述のように構成されることで、操作部2、2’、圧着部5、5’、枢支軸44、44’及び連結プレート45がリンク機構として機能する。
すなわち、間接活線把持工具50(絶縁ヤットコ)を操作して間接的に操作部2、2’を開動することで、この動作に連動させて圧着部5、5’を開くことができる。
また、同様に操作部2、2’を閉動させることで、この動作に連動させて圧着部5、5’を閉じることができる。つまり、圧着部5、5’の圧縮ダイス(例えば圧縮ダイス6a~6c等)により、圧縮対象である接続用スリーブ56(
図3を参照)を圧縮することができる。
【0032】
また、
図1及び
図2に示すように、本実施形態に係る間接活線用圧縮工具1Aの圧着部5、5’は、サイズの異なる3種類の圧縮ダイス6a~6cを備えていてもよい(任意選択構成要素)。
この場合は、本実施形態に係る間接活線用圧縮工具1Aによりサイズの異なる複数種類(より具体的には3種類)の接続用スリーブ56の圧縮操作を行うことができるので、間接活線用圧縮工具1Aの汎用性を向上させることができる。
なお、本実施形態に係る間接活線用圧縮工具1Aの圧着部5、5’に設けられる圧縮ダイスを1種類のみとし、使用する接続用スリーブ56のサイズ毎に異なる圧縮ダイスを備える間接活線用圧縮工具1Aを準備して用いてもよい(任意選択構成要素)。
特に後者の場合は、接続用スリーブ56のサイズに応じた本実施形態に係る間接活線用圧縮工具1Aを個別に準備しておく必要があるものの、間接活線作業時に目的外の圧縮ダイスにより誤って接続用スリーブ56を圧縮してしまうという操作ミスを防ぐことができる。この場合、電線の接続不良等の不具合が生じるのを抑制できる。
【0033】
なお、本実施形態に係る間接活線用圧縮工具1Aの圧着部5又は圧着部5’がクリップ15を備える場合、このクリップ15の挟持部16、16’は、閉じた状態の圧着部5、5’を正面視(=
図1に示す状態)した際に、圧縮ダイス(例えば圧縮ダイス6a~6c等)の凹部と符合する位置に、圧縮ダイス(例えば圧縮ダイス6a~6c等)と符合する形状の挟持用凹部(例えば挟持用凹部19a~19c)を備えていればよい。
【0034】
<1-3-3;ラチェット機構及び解除機構の細部構造について>
続いて、
図4及び
図5を参照しながら本実施形態に係る間接活線用圧縮工具1Aのラチェット機構7及びその解除機構14についてより詳しく説明する。
図4は本実施形態に係る間接活線用圧縮工具におけるラチェット機構及びその解除機構を示す部分正面図である。また、
図5は本実施形態に係る間接活線用圧縮工具における解除機構の動作を説明するための要部拡大図である。なお、
図1乃至
図3に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
図4に示すように、本実施形態に係る間接活線用圧縮工具1Aにおけるラチェット機構7は主に、鋸歯状をなす複数のラチェット歯22と、このラチェット歯22に係止する爪26aを備える爪部材26と、この爪部材26をラチェット歯22との係止位置に復帰させる復帰部材(例えばリターンスプリング28等)を備えている。
そして、上述のようなラチェット機構7では、ラチェット歯22に爪部材26の爪26aが係止することで、操作部2、2’の閉動操作(
図4中の符号Y、Yで示す方向を参照)中に、操作部2、2’が意図せず開動(
図4中の符号Z、Zで示す方向を参照)するのを規制することができる。
【0035】
また、一般に手工具として用いられる圧縮工具は、
図4に示すようなラチェット機構7を備えている。また、このようなラチェット機構7を備えた手工具である圧縮工具を用いて圧縮操作を行う場合で、かつその圧縮操作を中断したい場合は、従来公知のドライバー等の手工具の先端を、
図4中の符号Xで示す方向から差し込んで爪26aとラチェット歯22の係合状態を強制的に解除すればよい。
ところが、本実施形態に係る間接活線用圧縮工具1Aの圧縮機構43は、先の
図1及び
図2に示すような間接活線把持工具50(絶縁ヤットコ)に装着されて間接的に操作される。つまり、圧縮機構43のラチェット機構7は、作業者が自らの手で直接操作する従来公知のドライバー等の手工具が届く位置にはない。
このため、本実施形態に係る間接活線用圧縮工具1Aの圧縮機構43として、従来公知の手工具であるラチェット機構7を備えた圧縮工具と同様の構造を採用する場合は、ラチェット機構7におけるラチェット歯22と爪26aの係合状態を遠隔操作により解除するための機構が必要になる。
【0036】
このような事情に鑑み本実施形態に係る間接活線用圧縮工具1Aは、ラチェット機構7における爪26aとラチェット歯22の係合状態を解除するための仕組みとして以下に示すような解除機構14を備えている。
つまり、本実施形態に係るラチェット機構7の解除機構14は、例えば
図4に示すように、爪26aを備える爪部材26に直接又は間接的に(例えば
図4に示す爪部材操作ハンドル31等を介して)接続されるワイヤー32aと、このワイヤー32aの爪部材26につながらない側の端部に設けられるハンドル33を備えている。
また、上述のような解除機構14におけるハンドル33は、本実施形態に係る間接活線用圧縮工具1Aを操作する間接活線把持工具50の操作ハンドル(図示せず)の近辺、すなわち、作業者の手元付近に配置される。
【0037】
そして、本実施形態に係る間接活線用圧縮工具1Aによる接続用スリーブ56の圧縮操作中に、すなわち操作部2、2’の閉動操作(
図4中の符号Y、Yで示す方向への閉動操作)中に、何らかの事情により操作部2、2’を開動操作する必要が生じた場合、作業者(又はこの作業者と共同して作業を行う他の作業者)は手元付近に配される解除機構14のハンドル33を引き下げる操作を行えばよい(
図5を参照)。
この操作により、爪部材操作ハンドル31に枢支軸27を介して枢設される爪部材26が復帰部材(リターンスプリング28)の圧縮力に抗って枢支軸27を基軸に時計回りに回動する。そして、この動作により、鋸歯状のラチェット歯22と爪26a(爪部材26)の係合状態(係止状態)が解除されて、操作部2、2’を開動操作(
図4及び
図5中の符号Zで示す方向を参照)することが可能になる。
この結果、圧縮機構43の圧着部5、5’による接続用スリーブ56の圧縮操作を中断して、接続用スリーブ56から圧着部5、5’を離間させることができる。
したがって、本実施形態に係る間接活線用圧縮工具1Aによれば、
図4及び
図5に示すようなラチェット機構7及びその解除機構14を備えていることで、間接活線把持工具50により圧縮機構43を遠隔操作して接続用スリーブ56の圧縮操作を行う場合に、ラチェット機構7の機能を利用して操作部2、2’が意図せず開動作するのを規制できるとともに、必要時に解除機構14を操作することで操作部2、2’を開動作させることもできる。
よって、本実施形態に係る間接活線用圧縮工具1Aによればシンプルで利便性に優れた間接活線用圧縮工具を提供することができる。
【0038】
ここで、本実施形態に係る間接活線用圧縮工具1Aのラチェット機構7のより詳細な態様の一例について
図4及び
図5を参照しながら説明する。
本実施形態に係る間接活線用圧縮工具1Aのラチェット機構7は主に、例えば
図4及び
図5に示すように、表面に鋸歯状をなす複数のラチェット歯22を備えるラチェットバー21と、このラチェットバー21の一部と、爪26aを有する爪部材26と、この爪部材26をラチェット歯22との係止位置に復帰させる復帰部材であるリターンスプリング28を格納するケース部材23により構成されている。
さらに、このケース部材23は、ラチェットバー21の他の端部21b側を、ラチェットバー21の中心軸方向にスライド自在に収納するラチェットバー収納部23aと、爪部材26及びリターンスプリング28を収納する爪部材収納部23bからなる。
また、上述のようなラチェット機構7では、ラチェットバー21の一の端部21a側が枢支軸24を介して操作部2’に回動自在に連結されるとともに、ケース部材23の爪部材収納部23bが枢支軸25を介して操作部2に回動自在に連結されている。
そして、ケース部材23内において、ラチェットバー21のラチェット歯22に爪部材26の爪26aが係止している。
また、爪部材収納部23bでは、爪部材26が枢支軸27を基軸に回動自在に固定されるとともに、この爪部材26にリターンスプリング28が連結されることで、爪部材26の爪26aがラチェットバー21のラチェット歯22と係合するように常時付勢されている。
【0039】
より詳細には、
図4及び
図5に示すように、リターンスプリング28(引きバネ)の一端側が爪部材26に設けられる固定軸30を介して爪部材26に連結されるとともに、リターンスプリング28の他端側は固定軸29を介して爪部材収納部23bに固定される。これにより爪部材26は、枢支軸27を基軸にして反時計回り方向に常時付勢される。この結果、爪26aとラチェット歯22の係合状態が維持される。
つまり、爪26aがラチェット歯22に係合することにより、ラチェットバー21の他の端部21b側が
図4中の符号Sで示す方向にスライドすることが規制される。すなわち、操作部2、2’の開動作(
図4中の符号Z、Zで示す方向への動作)が規制される。
その一方で、
図4及び
図5に示すラチェット機構7では、操作部2、2’の間隙を狭めるように動作させることで、爪部材26とラチェット歯22の係合位置がラチェットバー21の一の端部21a側に順次に移動する。つまり、操作部2、2’の閉動作(
図4中の符号Yで示す方向への動作)が許容される。
つまり、
図4及び
図5に示す圧縮機構43によれば、ラチェット機構7を備えていることで、操作部2、2’の閉動作を許容しつつ操作部2、2’の開動作を規制できるので、接続用スリーブ56の圧縮操作中に、意図せず接続用スリーブ56の圧縮位置から圧着部5、5’が外れてしまうのを防ぐことができる。
【0040】
さらに、
図4及び
図5に示すラチェット機構7を備えた圧縮機構43では、必要時に解除機構14を操作することで、つまりワイヤー32aの下端に設けられるハンドル33を紙面下方側に引き下げる操作を行うことで、ワイヤー32aに連結される爪部材操作ハンドル31を、枢支軸27を基軸に時計回りに回動させることができる(
図5を参照)。そして、この操作に連動して爪部材26がリターンスプリング28の復元力に抗って枢支軸27を基軸に時計回りに回動する。
この結果、
図5に示すように、爪部材26の爪26aとラチェット歯22の係合状態が解除されて、ラチェットバー21の他の端部21bが
図5中の符号Sで示す方向にスライドすることが許容される。すなわち、操作部2、2’の開動作(
図4中の符号Z、Zで示す方向への動作)が許容される。
つまり、
図4及び
図5に示すラチェット機構7及び解除機構14を備えた圧縮機構43によれば、圧縮機構43による接続用スリーブ56の圧縮操作中に、解除機構14を操作することで、ラチェット機構7による操作部2、2’の 開動作の規制状態を解除して、操作部2、2’を開動作させることが可能になる。
すなわち、圧縮機構43による接続用スリーブ56の圧縮操作中に、作業者は必要に応じて圧縮作業を中断して、接続用スリーブ56から圧着部5、5’を離間させることができる。
【0041】
なお、本実施形態では、ラチェットバー21にラチェット歯22が直列状に配される場合を例に挙げて説明しているが、本実施形態に係る間接活線用圧縮工具1Aの圧縮機構43による接続用スリーブ56の圧縮操作時に、操作部2、2’の意図しない開動作を規制することができ、爪を有する爪部材を解除機構により遠隔操作することでラチェット歯と爪の係合状態を容易に解除できるよう構成されるものであれば、
図4及び
図5に示す形態以外のラチェット機構を採用してもよい。
【0042】
<1-3-4;解除機構の変形例について>
ここで、
図6を参照しながら解除機構14の変形例について説明する。
図6は本実施形態に係る間接活線用圧縮工具における解除機構の変形例を示す要部拡大図である。
先の
図4及び
図5に示すラチェット機構7の解除機構14では、ハンドル33を備えたワイヤー32aにより爪部材操作ハンドル31を操作することで間接的に爪部材26を操作しているが、爪部材26の操作機構は上記以外でもよい。
より具体的には、例えば
図6に示すように、爪部材収納部23b内に収納される爪部材26に操作用のワイヤー32bを直接連結するとともに、このワイヤー32bの爪部材26に連結されない側の端部を爪部材収納部23b及び操作部2の外に導出して、その端部にハンドル33を設けた変形例に係る解除機構14’を用いてもよい。
また、変形例に係る解除機構14’は、ワイヤー32bを操作部2の外に導出させるためのワイヤー導出孔2cの近傍に、ワイヤー32bを受けるためのプーリー34を備えていてもよい(任意選択構成要素)。
また、プーリー34を備える場合は、ワイヤー32bがワイヤー導出孔2cに触れて損傷するのを防ぐことができる。
【0043】
さらに、
図6に示すような変形例に係る解除機構14’を備える場合は、ワイヤー32bの爪部材26に連結されない側の端部(
図6の紙面下方側の端部)に連結されるハンドル33を、圧縮機構43’を操作する作業者が(又はこの作業者と共同して作業を行う他の作業者が)鉛直下方側(紙面下方側)に引き下げる操作を行うことで、
図6中に破線で示すように、枢支軸27を基軸に爪部材26を時計回り方向に回動させることができる。
この結果、ラチェット歯22と爪26aの係合状態が解除されて、ラチェットバー21の他の端部21bが符号Sで示す方向にスライドすることが許容される。つまり、操作部2、2’の開動作(
図4中の符号Zで示す方向への動作)が許容される。
したがって、
図6に示すようなラチェット機構7及び解除機構14’を備える圧縮機構43’によれば、接続用スリーブ56の圧縮操作中に解除機構14’を操作することで、操作部2、2’の閉動作を中断して操作部2、2’を開動させることができる。
すなわち、圧縮機構43’によっても先の
図4及び
図5に示される圧縮機構43による作用・効果と同様の作用・効果を奏する。
【0044】
[2-1;本発明の他の実施形態について]
続いて、本発明の他の実施形態(以下、単に「他の実施形態」という)に係る間接活線用圧縮工具について
図7A乃至
図11を参照しながら詳細に説明する。
図7Aは他の実施形態に係る間接活線用圧縮工具における圧着部が閉じている状態を示す正面図であり、
図7Bは他の実施形態に係る間接活線用圧縮工具における圧着部が開いている状態を示す正面図である。また、
図8は他の実施形態に係る間接活線用圧縮工具における解除機構付き圧縮工具の正面図である。さらに、
図9は他の実施形態に係る間接活線用圧縮工具における保持具とその関連構造の正面図である。なお、
図1乃至
図6に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
先の
図1及び
図2では、本実施形態に係る間接活線用圧縮工具1Aにおける圧縮機構43と操作アーム9、9’及びアダプタ11、11’が一体に構成される場合を例に挙げて説明しているが、圧縮機構43の操作部2、2’に操作アーム9、9’及びアダプタ11、11’を着脱可能に構成してもよい。
【0045】
より具体的には、他の実施形態に係る間接活線用圧縮工具1Bは、操作部2、2’の端部2b、2b’の形状が異なる以外は圧縮機構43(ラチェット機構7を含む)と同じの構造を有する圧縮工具42(
図9を参照)と、そのラチェット機構7を構成する爪部材26に直接又は間接的に連結されて、ラチェット機構7を遠隔操作する解除機構14(
図9を参照)と、圧縮工具42の操作部2、2’にアダプタ11、11’を接続可能にする装着構造46、46’により構成されている(
図7A、
図7B及び
図8を参照)。
なお、他の実施形態に係る間接活線用圧縮工具1Bにおける装着構造46、46’は、アダプタ11、11’を含む。
また、他の実施形態に係る間接活線用圧縮工具1Bにおける圧縮工具42は、従来公知のラチェット機構(例えばラチェット機構7と同様の構造等)を備えた手工具である圧縮工具をそのまま転用してもよい(任意選択構成要素)。その場合は、その圧縮工具のラチェット機構に解除機構14を付加して用いればよい。
【0046】
ここで、
図7A、
図7B及び
図9、並びに
図10を参照しながら他の実施形態に係る間接活線用圧縮工具1Bの装着構造46、46’について詳細に説明する。
図10は先の
図9中のA-A線断面図である。なお、
図10中に操作部2を破線で示した。また、
図1乃至
図9に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。さらに、
図10では操作部に操作部保持具を装着した際の操作部の断面を破線で示した。
図7A、
図7B及び
図9に示すように、他の実施形態に係る間接活線用圧縮工具1Bにおける装着構造46は、圧縮工具42の操作部2(
図8を参照)を外側から挟み込むようにして取設される鞘状の操作部保持具35と、この操作部保持具35を操作部2に固定しておくための固定具(例えばボルト37及びナット38;
図10を参照)と、操作部保持具35の端部寄り、すなわち圧縮工具42に操作部保持具35を装着した際に圧着部5が配されない側(紙面下方側)、に枢支軸8を介して回動自在に取設される操作アーム9と、この操作アーム9に枢支軸10を介して回動自在に取設されるアダプタ11からなる。なお、操作部保持具35には、例えばボルト37等からなる固定具を挿通させるための連穿孔41(
図10を参照)が形成されている。
同様に、他の実施形態に係る間接活線用圧縮工具1Bにおける装着構造46’も、圧縮工具42の操作部2’(
図8を参照)を外側から挟み込むようにして取設される鞘状の操作部保持具35’と、この操作部保持具35’を操作部2’に固定しておくための固定具(例えばボルト37及びナット38)と、操作部保持具35’に枢支軸8’を介して回動自在に取設される操作アーム9’と、この操作アーム9’に枢支軸10’を介して回動自在に取設されるアダプタ11’からなる。なお、操作部保持具35’にも、例えばボルト37等からなる固定具を挿通させるための連穿孔(図示せず)が形成されている。
【0047】
また、操作部保持具35、35’において、圧縮工具42の操作部2又は操作部2’とラチェット機構7の連結部分と重なる部分は、必要に応じて切欠き36が形成されている。
このように、操作部保持具35、35’に切欠き36が形成されることで、圧縮工具42の操作部2、2’の閉動操作(圧縮操作)又は開動操作が、操作部保持具35、35’によって妨げられるのを防ぐことができる。
なお、操作部保持具35、35’に切欠き36を形成することに代えて、操作部保持具35、35’と、操作部2又は操作部2’とラチェット機構7の連結部分が重なる部分を、部分的に浮き上がらせた構造にしてもよい(任意選択構成要素)。
【0048】
上述のような他の実施形態に係る間接活線用圧縮工具1Bによれば、先の間接活線用圧縮工具1Aと同様の作用・効果に加えて、圧縮工具42として従来公知のラチェット機構(例えばラチェット機構7と同様の構造等)を備えた手工具である圧縮工具を転用することができるので、その製造コストを廉価にできる。
また、他の実施形態に係る間接活線用圧縮工具1Bによれば、万一圧縮工具42の圧着部5、5’やラチェット機構7等に不具合が生じた際に、圧縮工具42及び解除機構14を交換するだけでよく、装着構造46、46’はそのまま使用できる。
あるいは、他の実施形態に係る間接活線用圧縮工具1Bにおける装着構造46及び/又は装着構造46’が破損した場合は、破損したパーツを交換するだけでその他の部分についてはそのまま使用できる。
よって、他の実施形態に係る間接活線用圧縮工具1Bによれば、その使用時のメンテナンスに要するコストやランニングコストを廉価にできる。
【0049】
さらに、他の実施形態に係る間接活線用圧縮工具1Bの装着構造46において、操作部2に操作部保持具35を固定するための固定具(例えばボルト37及びナット38)の取設位置は、ラチェット機構7におけるケース部材23の位置を基準にして枢支軸4寄りにしてもよい(任意選択構成要素)。
この理由は、他の実施形態に係る間接活線用圧縮工具1Bを間接活線把持工具50を用いて操作した場合、圧縮工具42に対して鉛直上方(紙面上方)に押し上げるような力が作用する。そして、万一操作部保持具35に保持されている操作部2が操作部保持具35から外れそうになった場合でも、ケース部材23をストッパー代わりにして、操作部2が操作部保持具35から外れるのを防ぐことができるためである。
【0050】
あるいは、操作部保持具35、35’におけるボルト37の取設位置は、操作部保持具35、35’の凹部内に収容される操作部2の幅が端部2b、2b’に向かって徐々に小さくなっている部分で、かつ操作部保持具35、35’の長手方向中央から枢支軸4寄りにしてもよい。
さらに、この場合は
図10に示すように、操作部保持具35、35’を貫通するボルト37の軸の外側面と、操作部保持具35、35’の凹部内に収容される操作部2の縁が接触するようにボルト37を配置してもよい(いずれも任意選択構成要素)。
この場合も、間接活線把持工具50による間接活線用圧縮工具1Bの操作時に、操作部保持具35、35’に保持される操作部2、2’が位置ずれを起こすのを防ぐことができる。
【0051】
[2-2;他の実施形態の細部構造について]
他の実施形態に係る間接活線用圧縮工具1Bの圧縮工具42は、必要に応じて圧着部5又は圧着部5’にクリップ15を備えていてもよい(任意選択構成要素)。
この場合は、先の
図1及び
図2に示す場合と同様に、突起状の連結部20を介して圧着部5又は圧着部5’にクリップ15を一体に設けてもよい。
あるいは、
図7A、
図7B及び
図9に示すように、圧縮工具42の圧着部5’(又は圧着部5)に着脱可能に装着される圧縮部保持具39を介してクリップ15を設けてもよい(任意選択構成要素)。
【0052】
ここで、
図7A、
図7B、
図9及び
図11を参照しながら圧縮工具42へのクリップ15の取設構造について説明する。
図11は
図9中のB-B線断面図である。なお、
図11中に圧着部5を破線で示した。また、
図1乃至
図10に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
圧縮工具42の圧着部5’(又は圧着部5)に着脱可能にクリップ15を設ける場合は、例えば
図7A、
図7B、
図9及び
図11に示すように、圧着部5(又は圧着部5)の圧縮ダイス(例えば6a~6c等)を有しない側から挟み込むようにして鞘状の圧縮部保持具39を装着して、この圧縮部保持具39を固定具(例えばボルト37及びナット38;
図11を参照)により圧着部5(又は圧着部5)に固定するとともに、この圧縮部保持具39に突起状の連結部20を突設しておき、連結部20の圧縮部保持具39に固設されない側の端部にクリップ15を取設してもよい(任意選択構成要素)。なお、圧縮部保持具39には、例えばボルト37等からなる固定具を挿通させるための連穿孔(図示せず)が形成されている。
この場合も、圧縮工具42の圧着部5、5’により接続用スリーブ56の圧縮操作を行う際に、クリップ15により圧着部5、5’の近傍に接続用スリーブ56を保持しておくことができる。
この場合、圧着部5、5’の近傍に接続用スリーブ56を保持しておくために作業者は別の間接活線把持工具50を使用する必要がないので、接続用スリーブ56の圧縮操作を効率的に行うことができる。
【0053】
また、他の実施形態に係る間接活線用圧縮工具1Bの圧着部5’(又は圧着部5)に圧縮部保持具39を用いて着脱可能にクリップ15を取設する場合は、間接活線用圧縮工具1Bを正面視(
図7A及び
図7Bを参照)した際に、圧着部5’(又は圧着部5)に形成される圧縮ダイス(例えば圧縮ダイス6a~6c)の湾曲状の凹形状と符合する位置、及びその形状と符合する形状を有する挟持用凹部(例えば挟持用凹部19a~19c)を圧縮部保持具39に形成しておいてもよい(任意選択構成要素)。
この場合、他の実施形態に係る間接活線用圧縮工具1Bを正面視した際に、圧縮工具42の圧着部5’(又は圧着部5)に形成される圧縮ダイス(例えば圧縮ダイス6a~6c)の外形線と、圧縮部保持具39に形成される挟持用凹部(例えば挟持用凹部19a~19c)の外形線を符合させながら、圧着部5’(又は圧着部5)に圧縮部保持具39を取設することで、圧着部5’(又は圧着部5)に対する圧縮部保持具39の取設位置を一定にすることができる。
これにより、圧着部5’(又は圧着部5)の圧縮ダイス(例えば圧縮ダイス6a~6c)に対するクリップ15の挟持用凹部(例えば挟持用凹部19a~19c)の位置を一定にすることができる。
【0054】
なお、圧着部5’(又は圧着部5)の圧縮ダイス(例えば圧縮ダイス6a~6c)に対するクリップ15の挟持用凹部(例えば挟持用凹部19a~19c)の位置が一定でない場合は、接続用スリーブ56を圧縮操作する際に、当初意図した位置を圧着部5、5’で圧縮することができず、そのせいで意図せず接続用スリーブ56が変形(屈曲等)してしまうリスクがある。
よって、圧縮部保持具39が切欠き(例えば切欠き40a~40c)を備える場合は、他の実施形態に係る間接活線用圧縮工具1Bにより接続用スリーブ56を圧縮操作する際に、当初意図した位置を圧着部5、5’で圧縮することができる。
【0055】
さらに、圧縮部保持具39におけるボルト37及びナット38の取設位置は、例えば
図7及び
図7Bに示すように、圧着部5’(又は圧着部5)における枢支軸4寄りで、かつ圧縮部保持具39を平面視した際に、圧着部5’(又は圧着部5)の水平方向幅が枢支軸4に向かって徐々に小さくなる部分にしてもよい。
さらに、この場合、圧縮部保持具39を貫通するボルト37の軸の外側面と、圧縮部保持具39の凹部内に収容される圧着部5’(又は圧着部5)の縁が接触するようにボルト37を配置するとよい(いずれも任意選択構成要素)。
この場合も、間接活線把持工具50による間接活線用圧縮工具1Bの操作時に、圧着部5’(又は圧着部5)に取設される圧縮部保持具39が位置ずれを起こすのを防ぐことができる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
以上説明したように本発明は、操作時に複数の絶縁操作棒を操作する必要がなく、しかも接続用スリーブの圧縮作業中に必要に応じて圧縮操作を中断することができる間接活線用圧縮工具であり、送電設備の保守等に関する技術分野において利用可能である。
【符号の説明】
【0057】
1A、1B…間接活線用圧縮工具 2、2’…操作部 2a、2a’…基部 2b、2b’…端部 2c…ワイヤー導出孔 3…枢支軸 4、4’…枢支軸 5、5’…圧着部 6a~6c…圧縮ダイス 7…ラチェット機構 8、8’…枢支軸 9、9’…操作アーム 10、10’…枢支軸 11、11’…アダプタ 12、12’…ソケット 13、13’…掛止手段 14、14’…解除機構 15…クリップ 16,16’…挟持部 17…枢支軸 18、18’…操作用つまみ部 19a~19c…挟持用凹部 20…連結部 21…ラチェットバー 21a…一の端部 21b…他の端部 22…ラチェット歯 23…ケース部材 23a…ラチェットバー収納部 23b…爪部材収納部 24…枢支軸 25…枢支軸 26…爪部材 26a…爪 27…枢支軸 28…リターンスプリング(復帰部材) 29、30…固定軸 31…爪部材操作ハンドル 32a、32b…ワイヤー 33…ハンドル 34…プーリー 35、35’…操作部保持具 36…切欠き 37…ボルト 38…ナット 39…圧縮部保持具 40a~40c…切欠き 41…連穿孔 42…圧縮工具 43、43’…圧縮機構 44、44’ …枢支軸 45…連結プレート 46、46’ …装着構造 50…間接活線把持工具(絶縁ヤットコ) 51、51’…挟持アーム 51a、51a’…先端部 51b…基端部 52…枢支軸 53…リンク部材 54…操作棒 55…枢支軸 56…接続用スリーブ 56a、56b…開口端 57、58…電線 59…導体 60…絶縁外皮 61、62…電線 63…接続用スリーブ 64…圧縮装置 65、65’…絶縁操作棒 66…圧縮ペンチ 67…不動部材 68…圧縮部材 69…受け部 70…圧縮部 71…伝達部材 72…牽引部材 73…リング部材 74…フック部 75、75’…間接活線把持工具(絶縁ヤットコ)