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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177832
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】対象物の診断方法及び診断システム
(51)【国際特許分類】
   A01G 7/00 20060101AFI20241217BHJP
   A01K 29/00 20060101ALI20241217BHJP
   A61C 19/04 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
A01G7/00 603
A01K29/00 A
A61C19/04 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096191
(22)【出願日】2023-06-12
(71)【出願人】
【識別番号】507014553
【氏名又は名称】株式会社レフ・テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】浅香 尚洋
【テーマコード(参考)】
4C052
【Fターム(参考)】
4C052NN05
4C052NN15
(57)【要約】
【課題】 シンプルな構成で、自然要因により時間経過とともに健全でない部分が生じる対象物を、初期段階から診断できる診断方法及び診断システムを提供する。
【解決手段】 病害を含む自然要因により、時間経過とともに健全な部分と健全でない部分が生じ、変色する対象物の診断し、対象物の撮影画像を取得する撮像工程と、撮像画像からピクセルごとの波長情報を取得する波長情報取得工程と、取得した波長情報に基づく色空間に、各ピクセルをプロットした三次元散布図を、健全な部分と健全でない部分の差異が顕著に表れる方向から見た二次元散布図を取得する二次元散布図取得工程と、取得した二次元散布図から、対象物が変色する現象の要因及び前記対象物の状態を診断する診断工程と、を含む対象物の診断方法及び診断システムを提供する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
病害を含む自然要因により、時間経過とともに健全な部分と健全でない部分が生じ、変色する対象物の診断方法であって、
前記対象物の撮影画像を取得する撮像工程と、
前記撮像画像からピクセルごとの波長情報を取得する波長情報取得工程と、
取得した波長情報に基づく色空間に、各ピクセルをプロットした三次元散布図を、健全な部分と健全でない部分の差異が顕著に表れる方向から見た二次元散布図を取得する二次元散布図取得工程と、
取得した前記二次元散布図から、前記対象物が変色する現象の要因及び前記対象物の状態を診断する診断工程と、
を含む、対象物の診断方法。
【請求項2】
前記自然現象による変色現象は、少なくとも一種類以上の段階と、一種類以上の特徴部位を有し、ある特定の特徴部位が、ある特定の変色段階にあるとき、変色前と変色後の色が一定に定まっており、なおかつ色の変化の方向が同一であることを特徴とする、請求項1に記載の診断方法。
【請求項3】
前記色情報取得工程において、ある特定の前記特徴部位と、ある特定の変色段階に該当するピクセルデータのみを抽出する、請求項1に記載の診断方法。
【請求項4】
前記対象物のある特定の特徴部位がある特定の変色段階にあるとき、該当するドット群が色空間に構成する三次元散布図は、略シート状に分布し、該略シート状に分布した該ドット群の近似平面に対して略平行な方向から見た画像を前記二次元散布図とする、請求項1に記載の診断方法。
【請求項5】
前記三次元散布図を、ある特定の線または曲線に縮約される方向から見たときの回帰直線または回帰曲線を取得する工程を含む、請求項1に記載の診断方法。
【請求項6】
前記二次元散布図の各ドットに対応する前記撮像画像における位置情報から、前記撮像画像に健全な部分及び健全でない部分の情報を付加した画像を形成する、請求項1に記載の診断方法。
【請求項7】
前記健全な部分及び健全でない部分の情報を付加した画像に示される、健全な部分または健全でない部分またはその両方の形状から、前記対象物が変色する現象の要因及び前記対象物の状態を診断する、請求項1に記載の診断方法。
【請求項8】
前記色空間は、RGBまたはHSVを3軸とした立体空間である、請求項1に記載の診断方法。
【請求項9】
他の手段で状態が把握された前記対象物を用いて得られた前記二次元散布図を標準二次元散布図とし、前記診断工程において、前記対象物を撮像して得られた前記二次元散布図と前記標準二次元散布図とを比較して、前記対象物が変色する現象の要因及び前記対象物の状態を診断する、請求項1に記載の診断方法。
【請求項10】
他の手段で状態が把握された前記対象物を用いて得られた前記回帰直線または回帰曲線を標準回帰線とし、前記診断工程において、前記対象物を撮像して得られた前記回帰線と前記標準回帰線とを比較して、前記対象物が変色する現象の要因及び前記対象物の状態を診断する、請求項1に記載の診断方法。
【請求項11】
前記回帰曲線を直線に直すように全てのプロットに一定の操作を加え、前記略シート分布の平面度を向上させる機能を有する、請求項1に記載の診断方法。
【請求項12】
同一の前記対象物の色の時系列変化を、前記二次元散布図の形状の変化として取得することを含む、請求項1に記載の診断方法。
【請求項13】
複数の上記段階または上記特徴部位またはその両方についてそれぞれ上記二次元散布図の形状または上記回帰線またはその両方を比較する工程を含む、請求項1に記載の診断方法。
【請求項14】
前記対象物が、病害を含む自然要因による変色が生じる植物の葉または新芽または花またはつぼみまたは茎または枝または幹または果実の表面である、請求項1から13の何れか1項に記載の診断方法。
【請求項15】
前記対象物が、病害を含む自然要因による変色が生じる動物または人の皮膚または粘膜または歯の表面である、請求項1から13の何れか1項に記載の診断方法。
【請求項16】
前記対象物が、錆が生じる金属表面を有する部材である、請求項1から13の何れか1項に記載の診断方法。
【請求項17】
病害を含む自然要因により、時間経過とともに健全な部分と健全でない部分が生じ、変色する対象物を診断するシステムであって、
前記対象物の撮影画像を取得する撮像部と、
前記撮像画像からピクセルごとの波長情報を取得する波長情報取得部と、
取得した波長情報に基づく色空間に、各ピクセルをプロットした三次元散布図を、健全な部分と健全でない部分の差異が顕著に表れる方向から見た二次元散布図を取得する二次元散布図取得部と、
取得した前記二次元散布図から、前記対象物が変色する現象の要因及び前記対象物の状態を診断する診断部と、
を備えた、対象物の診断システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病害を含む自然要因により、時間経過とともに健全な部分と健全でない部分が生じ、変色する対象物の診断方法及び診断システムに関する。
【背景技術】
【0002】
生育環境の悪化や病原菌感染等によって、植物の生育不良が生じて、植物の黄化が進む場合がある。植物の育成において、植物の黄化の進行を的確に把握して対処することが重要である。このため、例えば、病原菌組織が励起する波長の励起光を植物体に照射して、植物の病原菌感染を把握する病原菌感染診断装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-36889号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の病原菌感染診断装置は、植物の病害に関する診断に特化した装置であり、また特定波長の励起光を所定の強度で照射する光源を備えた高価な専用の装置となる。植物の病害以外でも、自然要因により、時間経過とともに健全な部分と健全でない部分が生じ、変色する対象物は様々にあり、そのような対象物の変色を検出して適切に診断することが、広く望まれている。特に、高価な専用の装置を用いずに、初期段階から診断できることが強く望まれている。
【0005】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、シンプルな構成で、自然要因により時間経過とともに健全でない部分が生じる対象物を、初期段階から診断できる診断方法及び診断システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の対象物の診断方法の1つの態様は、
病害を含む自然要因により、時間経過とともに健全な部分と健全でない部分が生じ、変色する対象物の診断方法であって、
前記対象物の撮影画像を取得する撮像工程と、
前記撮像画像からピクセルごとの波長情報を取得する波長情報取得工程と、
取得した波長情報に基づく色空間に、各ピクセルをプロットした三次元散布図を、健全な部分と健全でない部分の差異が顕著に表れる方向から見た二次元散布図を取得する二次元散布図取得工程と、
取得した前記二次元散布図から、前記対象物が変色する現象の要因及び前記対象物の状態を診断する診断工程と、
を含む、対象物の診断方法である。
【0007】
本発明の対象物の診断システムの1つの態様は、
病害を含む自然要因により、時間経過とともに健全な部分と健全でない部分が生じ、変色する対象物を診断するシステムであって、
前記対象物の撮影画像を取得する撮像部と、
前記撮像画像からピクセルごとの波長情報を取得する波長情報取得部と、
取得した波長情報に基づく色空間に、各ピクセルをプロットした三次元散布図を、健全な部分と健全でない部分の差異が顕著に表れる方向から見た二次元散布図を取得する二次元散布図取得部と、
取得した前記二次元散布図から、前記対象物が変色する現象の要因及び前記対象物の状態を診断する診断部と、
を備えた、対象物の診断システムである。
【発明の効果】
【0008】
以上のように、上記の態様では、シンプルな構成で、自然要因により時間経過とともに健全でない部分が生じる対象物を、初期段階から診断できる診断方法及び診断システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】本発明の1つの実施形態に係る黄化情報取得システムの構成を示すブロック線図である。
図1B】本発明のその他の実施形態に係る黄化情報取得システムの構成を示すブロック線図である。
図2】植物の葉の画像取得部分を示す図である。
図3】取得した画像の各ピクセルのRGB光強度を三次元空間にプロットした三次元散布図であって、シート状の点群をシート面と対向する方向から見た図である。
図4】取得した画像の各ピクセルのRGB光強度を三次元空間にプロットした三次元散布図であって、シート状の点群をシート面に沿った方向から見た図である。
図5】取得した画像の各ピクセルのRG光強度をRG平面上にプロットした点群と、その近似直線の一例を示す図である。
図6A】取得した画像の各ピクセルのRG光強度を平面上にプロットした点群の近似直線の一例を示す図である。
図6B】取得した画像の各ピクセルのRG光強度を平面上にプロットした点群の近似曲線の一例を示す図である。
図7】取得した画像の各ピクセルのRGB光強度に基づいて取得した二次元散布図の一例を示す図である。
図8A】病原菌に感染した植物の葉の黄化した領域の二次元散布図の一例を示す図である。
図8B】病原菌に感染した植物の葉の黄化した領域の二次元散布図の一例を示す図である。
図8C】病原菌に感染した植物の葉の黄化した領域の二次元散布図の一例を示す図である。
図8D】病原菌に感染した植物の葉の黄化した領域の二次元散布図の一例を示す図である。
図9】植物の葉の画像の各ピクセルのHSV強度を三次元空間にプロットした三次元散布図の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための実施形態を説明する。各図面中、同一の機能を有する対応する部材には、同一符号を付している。要点の説明または理解の容易性を考慮して、便宜上実施形態を分けて示す場合があるが、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換または組み合わせは可能である。後述の実施形態では前述の実施形態と共通の事柄についての記述を省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については、実施形態ごとには逐次言及しないものとする。
【0011】
(対象物の診断方法及び診断システム)
自然要因により、時間経過とともに、対象物において、健全な部分と健全でない部分が生じ、変色する事象が様々な場面で生じる。例えば、対象物が、病害を含む自然要因による変色が生じる植物の葉または新芽または花またはつぼみまたは茎または枝または幹または果実の表面である場合があり得る。更に、対象物は植物だけでなく、病害を含む自然要因による変色が生じる動物または人の皮膚または粘膜または歯の表面である場合もあり得る。更に、対象物は生物に限られず、錆が生じる金属表面を有する部材である場合もあり得る。
【0012】
本発明の1つの実施形態に係る対象物の診断方法は、病害を含む自然要因により、時間経過とともに健全な部分と健全でない部分が生じ、変色する対象物の診断方法である。具体的には、本実施形態に係る診断方法は、対象物の撮影画像を取得する撮像工程と、撮像画像からピクセルごとの波長情報を取得する波長情報取得工程と、取得した波長情報に基づく色空間に、各ピクセルをプロットした三次元散布図を、健全な部分と健全でない部分の差異が顕著に表れる方向から見た二次元散布図を取得する二次元散布図取得工程と、取得した二次元散布図から、対象物が変色する現象の要因及び前記対象物の状態を診断する診断工程と、を含む。
【0013】
このような診断方法を実施する診断システムは、病害を含む自然要因により、時間経過とともに健全な部分と健全でない部分が生じ、変色する対象物を診断するシステムであって、対象物の撮影画像を取得する撮像部と、撮像画像からピクセルごとの波長情報を取得する波長情報取得部と、取得した波長情報に基づく色空間に、各ピクセルをプロットした三次元散布図を、健全な部分と健全でない部分の差異が顕著に表れる方向から見た二次元散布図を取得する二次元散布図取得部と、取得した前記二次元散布図から、前記対象物が変色する現象の要因及び前記対象物の状態を診断する診断部と、を備える。
【0014】
例えば、植物の葉が黄化しているとき、それが自然による場合も、特定の病害、病気による場合もあり得るが、目視では黄化の要因を特定できない。同様に、金属面に錆が生じているとき、目視では、それが赤さびであるか黒さびであるか特定できない。しかし、上記の診断方法及び診断システムを用いれば、それらの要因を特定することができる。
【0015】
このような自然現象による変色現象は、少なくとも一種類以上の段階と、一種類以上の特徴部位を有し、ある特定の特徴部位が、ある特定の変色段階にあるとき、変色前と変色後の色が一定に定まっており、なおかつ色の変化の方向が同一である。
【0016】
植物の葉の黄化を例にとれば、段階とは、緑から黄色、黄色から枯死の二段階がある。また、特定部位とは、黄化を含む葉肉部分、葉脈部分の二種類がある。枯死と黄化が含まれる葉については、黄化を含む葉肉部、葉脈部、枯死部、葉脈枯死部の四枚のシートを得ることができる。これらをバラバラに評価してもよいし、それぞれの間に何らかの特徴的な関係を見出して評価してもよい。
【0017】
上記のような対象物の診断方法、及びこの診断方法を実施する診断システムについて、以下では、植物の葉の黄化を例にとって詳細に説明する。
【0018】
(黄化情報取得システム)
はじめに、図1A及び図1Bを参照しながら、本発明の実施形態に係る黄化情報取得システムの説明を行う。図1Aは、本発明の1つの実施形態に係る黄化情報取得システムの構成を示すブロック線図である。図1Bは、本発明のその他の実施形態に係る黄化情報取得システムの構成を示すブロック線図である。
【0019】
図1A及び図1Bに示す何れの黄化情報取得システム100も、植物の葉の画像を取得する画像取得部10と、制御部80と、制御部80で取得された情報を表示する表示装置50とを備える。後述する黄化情報取得方法を実施する制御のため、制御部80は、光情報取得部20と、散布図取得部30と、黄化情報取得部40と、を備える。画像取得部10で取得した植物の葉の画像データを制御部80に送信し、制御部80の制御で取得した情報を表示装置50に送信して表示することができる。
【0020】
図1Aに示す黄化情報取得システムでは、画像取得部10及び表示装置50が携帯端末70に備えられている。携帯端末70と、制御部80を有するサーバーとは、無線または有線の双方向通信で接続されている。使用者は、植物の葉を携帯端末70の画像取得部(カメラ)10で撮影し、撮影した画像データを、無線または有線で遠隔の制御部80を有するサーバーへ送信する。制御部80は、携帯端末70から受信した画像データに基づいて制御処理を行い、制御処理で取得した二次元散布図や二次元散布図に基づく黄化情報を携帯端末70に送信する。なお、二次元散布図や二次元散布図に基づく黄化情報については、追って詳細に述べる。使用者は、受信した二次元散布図や黄化情報を、携帯端末70の表示装置50に表示して、的確に植物の黄化の状態を把握することができる。
【0021】
図1Bに示す黄化情報取得システム100では、画像取得部10と、制御部80と、表示装置50とが1つの黄化情報取得装置90に備えられている。使用者は、黄化情報取得装置90の画像取得部(カメラ)10で植物の葉を撮影する。撮影された画像データは、制御部80へ送信される。制御部80は、画像取得部10から送信された画像データに基づいて、二次元散布図や二次元散布図に基づく黄化情報が取得し、表示装置50に送信する。送信された二次元散布図や黄化情報が、表示装置50に表示される。表示装置50に表示された情報により、使用者は、的確に植物の黄化の状態を把握することができる。
【0022】
本発明に係る黄化情報取得システムは、上記の構成に限られるものではなく、画像取得部10と、制御部80と、表示装置50とが全て個別の装置の場合もあり得るし、一部の要素が同一の装置に備えられている場合もあり得る。
【0023】
(第1の実施形態に係る黄化情報取得方法)
次に、図2から図7を参照しながら、上記の黄化情報取得システム100で実施される本発明の第1の実施形態に係る黄化情報取得方法の説明を行う。図2は、植物の葉の画像取得部分を示す図である。図3は、取得した画像の各ピクセルのRGB光強度を三次元空間にプロットした三次元散布図であって、シート状の点群をシート面と対向する方向から見た図である。図4は、取得した画像の各ピクセルのRGB光強度を三次元空間にプロットした三次元散布図であって、シート状の点群をシート面に沿った方向から見た図である。図5は、取得した画像の各ピクセルのRG光強度をRG平面上にプロットした点群と、その近似直線の一例を示す図である。図6Aは、取得した画像の各ピクセルのRG光強度を平面上にプロットした点群の近似直線の一例を示す図である。図6Bは、取得した画像の各ピクセルのRG光強度を平面上にプロットした点群の近似曲線の一例を示す図である。図7は、取得した画像の各ピクセルのRGB光強度に基づいて取得した二次元散布図の一例を示す図である。
【0024】
第1の実施形態では、取得した植物の葉の画像から各ピクセルの赤色光の光強度(以下「R光強度」と称する)、緑色光の光強度(以下「G光強度」と称する)及び青色光の光強度(以下「B光強度」と称する)を取得して制御処理を行う。
【0025】
<画像取得工程>
画像取得部10により、植物の葉の画像を取得する画像取得工程を行う。図2では、葉の画像取得部分が四角形で囲まれて示されている。画像取得部10として、市販のカメラや携帯端末に備えられたカメラをはじめとする任意の撮影装置を採用することができる。自然光が当たった葉を撮影する場合もあり得るし、光源からの白色光が当たった葉を撮影する場合もあり得る。光源を用いる場合には、面光源を用いることが好ましい。
【0026】
次に、画像取得部10が取得した葉の領域(図2参照)の画像に基づいて、制御部80の光情報取得部20が、各ピクセルのR光強度、G光強度及びB光強度を取得する光情報取得工程を行う。これにより、葉の画像のピクセルごとのR光強度、G光強度及びB光強度のデータが得られる。
【0027】
<散布図取得工程>
発明者は、繰り返しの試験及び解析の結果、各ピクセルのR光強度、G光強度及びB光強度をR軸、G軸及びB軸を3軸とする三次元空間にプロットすると、各ピクセルに対応する点群の少なくとも一部が、シート状に分布することを知見した。図3は、シート状の点群をシート面と対向する方向から見た図であり、図4は、シート状の点群をシート面に沿った方向から見た図である。つまり、図3図4は、略直交した方向から見た図である。
【0028】
図3及び図4から明らかなように、点群は、RG平面に対して立った状態のシート形状を示すように分布している。図示した例では、シート状の点群は、RG平面に対して概ね垂直な方向に延びて分布している。ただし、これに限られるものではなく、図示した例に比べて、シート状の点群がやや斜めに傾いた場合もあり得る。シート状の点群は、ある程度の厚みを有し、湾曲、うねり等を有している場合もあり得る。
【0029】
発明者は、繰り返しの試験及び解析の結果、シート状の点群を、シート面に対して略垂直な方向から見たとき、葉の健全な部分と健全でない部分の差異が顕著に表れることを知見した。図3は、シート面に対して垂直に近い方向から見た図となっている。一方、図4に示すようなシート面に沿った方向から見た図では、葉の健全な部分と健全でない部分の差異を把握できない。後述するように、図3の矢印Pで示すような、点群が縦横に広がって面状に集まった部分が健全な部分であり、図3の矢印Qで示すような、点群が細長く延びた部分が健全でない黄化した部分である。
【0030】
植物の葉の初期の色の違いにかかわらず、図3図4に示すように、画像の各ピクセルに対応する点群の少なくとも一部が、RG平面に対して立った状態のシート状に分布する。例えば、初期段階で緑色の葉は、RG平面において、G光強度の値が大きいR軸から離れた位置に分布する。初期段階で赤色の葉は、RG平面において、R光強度の値が大きいG軸から離れた位置に分布する。
【0031】
このため、発明者は、多大なデータ処理数を要して三次元散布図を取り扱うことなく、以下の方法で、葉の健全な部分と健全でない部分の差異を顕著に示す二次元散布図を取得できることを知見した。具体的には、各ピクセルの光強度のRG平面上への投影図から得られる値と、対応するB光強度とを2軸とする平面図により、葉の健全な部分と健全でない部分の差異が顕著に表れる二次元散布図が得られる。点群がRG平面に対して立った状態のシート状に分布しているので、このようにして得られた二次元散布図は、三次元散布図に表れるシート状の点群の分布に対して略垂直な方向から見た場合と同様な平面図となる。
【0032】
散布図取得工程において、各ピクセルのR光強度及びG光強度をRG平面上にプロットして、図5に示すようなRG平面図を得る。このRG平面図は、三次元散布図に示された点群のRG投影図と同等である。そして、このRG平面上にプロットした点群の近似直線または近似曲線を形成する。近似直線または近似曲線を得るには、最小二乗法をはじめとする既知の任意の線形回帰法また非線形回帰法を採用することができる。
【0033】
そして、散布図取得部30は、得られた近似直線または曲線をゲージとする各点の値と、その点に対応するB光強度とを平面上にプロットして、図7に示すような二次元散布図を取得する。「近似直線または曲線をゲージとする」ことについて、図6Aに示す近似直線及び図6Bに示す近似曲線を参照しながら、以下に説明する。
【0034】
図6A及び図6Bでは、近似直線及び近似曲線が原点から延びるように示している。近似直線及び近似曲線が原点を通らない場合はオフセットを調整して原点を通るように補正することができる。近似直線または近似曲線をゲージとして定めた値の一例として、近似直線または近似曲線に沿った各点の原点から距離を例示できる。図6A及び図6Bの各点の座標をX、Yとすれば、図6Aに示す近似直線の場合、近似直線をゲージとして定めた値は、X+Yの平方根で表すことができる。
【0035】
ただし、これに限られるものではなく、近似直線の場合、各点のR強度とG強度の和(つまりX+Y)とすることも、二乗和(X+Y)とすることもできる。近似曲線の場合には、例えば、原点からの距離として表した線積分の値とすることもできる。
更に、マハラビノス距離をはじめとする分散、分布に関する任意の手法を用いて、近似直線または曲線をゲージとする値を定めることもできる。
【0036】
以上のように、散布図取得工程において、各ピクセルのR光強度及びG光強度をRG平面上にプロットした点群の近似直線または曲線をゲージとする各点の値と、各ピクセルの対応するB光強度とを平面上にプロットして、図7に示すような二次元散布図を取得する。
【0037】
図7に示す二次元散布図は、図3に示す三次元散布図のシート状の点群をシート面に対して略垂直な方向から見た図と同様に、葉の健全な部分と健全でない部分の差異を顕著に表している。3次元散布図を取り扱う場合には、例えば、点群を三次元空間で傾けたり回転させたりするときに多大なデータ処理を行う必要がある。本実施形態では、三次散布図を取り扱う場合に比べて、少ないデータ処理数の簡易な制御処理で、二次元散布図を得ることができる。
【0038】
更に、このようにして得られた二次元散布図において、図7の矢印Pで示す左右に広がった面上の領域が健全な部分を示し、矢印Qで示す右側に細長く延びた角状の領域が健全ではない黄化が生じた部分を示す。黄化が始まる初期状態においても、点群が左右に広がった面状の領域から延びた角状の領域を確認できる。よって、二次元散布図により、初期段階から植物の黄化の状態を把握することができる。
【0039】
更に後述するように、矢印Qで示す細長く延びた角状の領域では、かかった病原菌によって固有の形状を有する傾向を示し、その形状により黄化の原因となった病原菌を推定することもできる。
【0040】
上記のように、発明者は、三次元散布図に示された点群の少なくとも一部が、RG平面から立った状態のシート状に分布することを知見したが、その要因として下記が考えられる。
【0041】
初期状態では、植物の葉の画像の各ドットの分布は散逸しておらず、時間経過に伴い、黄化した領域も表れるが、撮影した画像の各ドットは、RGB軸方向の何れの方向においても、逆戻りせず、一定の方向に向けて変化していく。よって、各ドットは、概ね直線状または曲線状の軌跡を描き、かつ各ドットの変化の方向は同一方向である傾向を示す。このため、三次元散布図に示されるドット群の少なくとも一部は、シート状に分布すると考えられる。
【0042】
同一の葉であれば、時間が経過しても、同様なRG平面に対して立った状態でシート状に分布した点群が得られる。よって、三次元データを用いて三次元散布図を作成することなく、上記のように、RG平面にプロットした点群の近似直線または近似曲線から得られる値と、B光強度とを2軸とした二次元散布図を作成することにより、葉の健全な部分と健全でない部分の時間経過に伴う変化を把握することができる。
【0043】
このように、膨大なデータ処理を行って三次元データを表示して取り扱う必要がないので、処理時間を大幅に短縮でき、処理に要する記憶容量を抑えることができる。また、健全な部分と健全でない部分の差異が顕著に表れる二次元分散画像を用いることにより、AIを使ったブラックボックスの解析は必要とせず、使用者が目視で健全な部分と健全でない部分を識別できる、または、より簡易なアルゴリズムを用いて健全な部分と健全でない部分を識別できる。
【0044】
自然現象による変色現象は、少なくとも一種類以上の段階と、一種類以上の特徴部位を有し、ある特定の特徴部位が、ある特定の変色段階にあるとき、変色前と変色後の色が一定に定まっており、なおかつ色の変化の方向が同一であると考えられる。初期段階において緑色の葉を例に取れば、上記の段階として、緑から黄色になる段階、及び黄色から枯死となる段階の二段階がある。また、特定部位とは、黄化を含む葉肉部分、葉脈部分の二種類がある。更に、枯死や虫食いにより、特定部位として、せん孔部分が生じる場合もある。
【0045】
枯死と黄化が含まれる葉については、三次元散布図において、黄化を含む葉肉部、葉脈部、葉肉枯死部、葉脈枯死部の4つのクラスタについて、それぞれシート状に分布した点群が得られる場合がある。その場合には、それぞれの二次元散布図を得ることができる。これらの二次元散布図を個々に評価することもできるし、それぞれの二次元散布図の間に何らかの特徴的な関係を見出して評価することもできる。
【0046】
葉の状態によっては、葉肉部及び葉脈部で個別のシート状の分布が明確には表れず、1つのシート状に分布した点群のシートの厚み方向のばらつきがやや大きくなる傾向を示す。より正確に植物の葉の状態を把握するには、三次元散布図で表れるシート状に分布する点群において、シートの厚み方向における点群のばらつきが少ない方が好ましい。よって、撮影した画像から、画像ソフトウエア等を用いて葉脈の部分を識別して、必要に応じて、葉脈の部分の光強度データを除去することにより、厚み方向のばらつきの少ない点群のシート状の分布が得られる。
【0047】
このため、画像取得工程で得られた画像について、植物の葉脈が明瞭かつ均一になるように画像を処理した後、光情報取得工程を実施することが好ましい。これにより、例えば、二値化等により葉脈を取り除くこともできる。
【0048】
植物の葉脈が明瞭かつ均一になるように画像を得ることにより、葉脈と、葉肉等の葉脈以外の部分を識別して解析することが可能となり、黄化の状態をより正確に把握することができる。
【0049】
更に、散布図取得工程において、植物の葉の葉肉部分、変色部分、枯死部分、葉脈部分及びせん孔部分の少なくとも一つを除去した状態で二次元散布図を取得するのが好ましい。これにより、黄化の状態をより正確に把握することが可能な二次元散布図を得ることができる。
【0050】
<黄化情報取得工程>
目視では同じ黄化に見える場合であっても、二次元散布図を用いることにより、自然による黄化なのか、特定の病害、病気による黄化なのか特定することができる。次に、図8Aから図8Dを参照しながら、黄化情報取得部40で実施する黄化情報取得工程を説明する。図8Aから図8Dは、それぞれ、病原菌に感染した植物の葉の黄化した領域の二次元散布図の一例を示す図である。
【0051】
図8Aでは、黄化した領域の角状に延びた部分の形状が崩れた例を示す。図8Bでは、黄化した領域で2つの角状に延びた部分が表れた例を示す。図8Cでは、黄化した領域の角状に延びた部分の先端部が縦に伸びた形状を有する例を示す。図8Dでは、黄化した領域の角状に延びた部分の先端に白斑クラスタを有する例を示す。
【0052】
図8Aから図8Dに示すように、黄化情報取得部40で実施する黄化情報取得工程では、主に、黄化した領域の角状に伸びた部分の形状の分析により、黄化の要因を特定することができるが、それ以外の部分を含めた点群全体の形状の分析で黄化の要因を特定するのも重要である。
【0053】
これを実現するため、他の検査で黄化の原因が解析されている葉を撮影して二次元散布図を取得し、その二次元散布図を標準二次元散布図として用いて、黄化情報を取得するのが有効である。黄化情報取得工程において、植物の葉を実際に撮影して得られた二次元散布図と標準二次元散布図とを比較することにより、容易に確実に黄化の原因を特定することができる。
【0054】
黄化した領域の角状に延びた部分の形状の比較で判定する場合には、AIを用いたブラックボックスの解析を行う必要は無く、使用者は、容易に黄化の原因を特定することができる。
【0055】
更に、同一の葉の時系列変化を、二次元散布図のドット群の形状の変化として取得することも有効である。これにより、黄化の進行度を的確に特定することができる。黄化の進行状況を反映する時系列に変化する二次元散布図のデータを蓄積することにより、植物が、現在どのような状態にあるか的確に判断して、速やかに対処することができる。
【0056】
更に、統計的手法等を用いて、二次元散布図の特徴値を特定することも有効である。例えば、蓄積した特徴値のデータに基づいて設定した閾値により、一定の基準で黄化の原因を特定することができる。このように、本実施形態では、黄化情報取得工程において、二次元散布図の形状及び特徴値を基に、黄化の要因及び進行度を診断することができる。これにより、植物の状態を早期に把握し、その要因を把握して、的確で迅速な対応が実現できる。
【0057】
また、黄化情報取得工程において、二次元散布図の中の特定のクラスタに対応する各点の実平面上での形状情報を取得することもできる。ここでいう特定のクラスタとは、例えば、葉肉部分の健全な領域、葉肉部分の黄化した領域、葉脈部分の健全な領域、及び葉脈部分の黄化した領域等を例示できる。これにより、図2に示すような実際の葉の画像に黄化の情報を付加して、使用者に報知することができる。特定のクラスタに対応する各点の実平面上での形状情報を取得することにより、使用者の利便性に即した効率的な黄化情報の報知が可能となる。
なお、二次元散布図や、二次元散布図の中の特定のクラスタに対応する各点の実平面上での形状を機械学習させることも、黄化情報取得に有効である。
【0058】
散布図取得部30により得られた二次元散布図や、黄化情報取得部40により得られた黄化情報を表示装置50に表示して、使用者にフィードバックすることができる。使用者へのフィードバックは、表示装置50への表示だけでなく、紙への印刷、音声による黄化情報の報知をはじめとする既知の任意の報知手段を採用することができる。
【0059】
以上のように、本発明の第1の実施形態に係る黄化情報取得方法は、植物の葉の画像を取得する画像取得工程と、画像から各ピクセルの赤色光の光強度(以下「R光強度」と称する)、緑色光の光強度(以下「G光強度」と称する)及び青色光の光強度(以下「B光強度」と称する)を取得する光情報取得工程と、各ピクセルのR光強度及びG光強度をRG平面上にプロットした点群の近似直線または曲線をゲージとする各点の値と、各ピクセルの対応するB光強度とを2軸とする二次元散布図を取得する散布図取得工程と、
二次元散布図を基に植物の黄化情報を取得する黄化情報取得工程と、
を含む。
【0060】
同様に、上記の第1の実施形態に係る黄化情報取得方法を実施する本発明の第1の実施形態に係る黄化情報取得システム100は、植物の葉の画像を取得する画像取得部10と、画像取得部10が取得した画像から各ピクセルの赤色光の光強度(以下「R光強度」と称する)、緑色光の光強度(以下「G光強度」と称する)及び青色光の光強度(以下「B光強度」と称する)を取得する光情報取得部20と、各ピクセルのR光強度及びG光強度をRG平面上にプロットした点群の近似直線または曲線をゲージとする各点の値と、各ピクセルの対応するB光強度とを2軸とする二次元散布図を取得する散布図取得部30と、二次元散布図を基に植物の黄化情報を取得する黄化情報取得部40と、を備える。
【0061】
本発明の第1の実施形態に係る黄化情報取得システム100では、励起光を照射する光源も要さず、植物の葉を撮影する画像取得部10及び制御部80のシンプルな構成で、二次元散布図及び黄化情報を取得できる。そして、制御部80において、三次元画像の形成や解析のための膨大な制御処理を要することなく、葉の健全な部分と健全でない部分の差異が顕著に表れる二次元分散画像を得ることができる。黄化の初期段階では、葉を撮影した画像だけでは、健全な領域と黄化した健全でない領域が渾然一体となって判別が困難である。しかし、本実施形態では、二次元分散画像を取得することにより、初期段階から植物の黄化の状態を特定可能であり、上記のような様々な黄化情報を得ることができる。なお、二次元分散図を取得するときに用いる2軸は、直交していない場合もあり得る。
【0062】
これにより、シンプルな構成で、初期段階から植物の黄化の状態を特定可能な黄化情報取得方法及び黄化情報取得システム100を提供することができる。
【0063】
(第2の実施形態に係る黄化情報取得方法)
上記の第1の実施形態では、各ピクセルのR光強度及びG光強度をRG平面上にプロットした点群の近似直線または曲線をゲージとする各点の値と、各ピクセルの対応するB光強度とを2軸とする二次元散布図を取得している。つまり、図5に示すRG平面に示された近似直線に対して略垂直な方向から見た二次元散布図を得ている。
【0064】
図5に示す近似直線は、R軸及びG軸に対して斜めに延びているので、R軸方向またはG軸方向から見た場合には、近似直線に対して斜めに見ることになる。しかし、このシート状の分布を斜めの方向から見たことになるR軸方向またはG軸方向から見た二次元散布図を取得したとしても、葉の健全な部分と健全でない部分の識別は可能である。近似直線のR軸及びG軸に対する角度がどのような角度であっても、R軸方向及びG軸方向の少なくとも一方向から見た二次元散布図では、葉の健全な部分と健全でない部分の識別が可能である。ただし、RG平面に示された近似直線に対して略垂直な方向から見た第1の実施形態に比べて、精度は劣るものとなる。
【0065】
その場合、光情報取得工程において、単純に、各ピクセルのR光強度またはG光強度を一方の軸とし、B光強度を2他方の軸として、二次元散布図を形成することができる。
【0066】
以上のように、本発明の第2の実施形態に係る黄化情報取得方法は、植物の葉の画像を取得する画像取得工程と、画像から各ピクセルの赤色光の光強度(以下「R光強度」と称する)、緑色光の光強度(以下「G光強度」と称する)及び青色光の光強度(以下「B光強度」と称する)を取得する光情報取得工程と、各ピクセルのR光強度またはG光強度と、B光強度とを2軸とする二次元散布図を取得する散布図取得工程と、二次元散布図を基に植物の黄化情報を取得する黄化情報取得工程と、を含む。
【0067】
同様に、上記の第2の実施形態に係る黄化情報取得方法を実施する本発明の第2の実施形態に係る黄化情報取得システム100は、植物の葉の画像を取得する画像取得部10と、画像取得部が取得した画像から各ピクセルの赤色光の光強度(以下「R光強度」と称する)、緑色光の光強度(以下「G光強度」と称する)及び青色光の光強度(以下「B光強度」と称する)を取得する光情報取得部20と、各ピクセルのR光強度またはG光強度と、B光強度とを2軸とする二次元散布図を取得する散布図取得部30と、二次元散布図を基に植物の黄化情報を取得する黄化情報取得部40と、を備える。
【0068】
このような第2の実施形態に係る黄化情報取得方法及び黄化情報取得システム100は、特に、高速・大量処理したい場合に有効である。
【0069】
(第3の実施形態に係る黄化情報取得方法)
上記の第1及び第2の実施形態では、光情報としてRGB光強度を用いているが、RGB光強度の代わりに、H強度(色相)、S強度(彩度)及びV強度(明度)用いることもできる。次に、図9を参照しながら、HSV強度を用いた本発明の第3の実施形態に係る黄化情報取得方法の説明を行う。図9は、植物の葉の画像の各ピクセルのHSV強度を三次元空間にプロットした三次元散布図の一例を示す図である
【0070】
図9から明らかなように、HSV強度を用いた場合でも、図3に示すRGB光強度を用いた場合と同様に、HV平面に対して立った状態のシート状に分布した点群が得られる。図9でも、矢印Pで示す左右に広がった面上の領域が健全な部分を示し、矢印Qで示す右側に細長く延びた角状の領域が健全ではない黄化が生じた部分を示す。
【0071】
よって、各ピクセルのH強度及びV強度をHV平面上にプロットした点群の近似直線または曲線をゲージとする各点の値と、各ピクセルの対応するS強度とを2軸とする二次元散布図を取得することができる。つまり、第1の実施形態におけるRGB光強度光強度をHV強度に置き換え、B光強度をS強度に置き換えることにより、第1の実施形態と同様な解析が実施できる。
【0072】
以上のように、本発明の第3の実施形態に係る黄化情報取得方法は、植物の葉の画像を取得する画像取得工程と、画像から各ピクセルの色相(以下「H強度」と称する)、彩度(以下「S強度」と称する)及び明度(以下「V強度」と称する)を取得する光情報取得工程と、各ピクセルのH強度及びV強度をHV平面上にプロットした点群の近似直線または曲線をゲージとする各点の値と、各ピクセルの対応するS強度とを2軸とする二次元散布図を取得する散布図取得工程と、二次元散布図を基に植物の黄化情報を取得する黄化情報取得工程と、を含む。
【0073】
同様に、上記の第3の実施形態に係る黄化情報取得方法を実施する本発明の第3の実施形態に係る黄化情報取得システム100は、植物の葉の画像を取得する画像取得部10と、画像取得部10が取得した画像から各ピクセルの色相(以下「H強度」と称する)、彩度(以下「S強度」と称する)及び明度(以下「V強度」と称する)を取得する光情報取得部20と、各ピクセルのH強度及びV強度をHV平面上にプロットした点群の近似直線または曲線をゲージとする各点の値と、各ピクセルの対応するS強度と、を2軸とする二次元散布図を取得する散布図取得部30と、二次元散布図を基に植物の黄化情報を取得する黄化情報取得部40と、を備える。
【0074】
これにより、HSV強度を用いた第3の実施形態においても、RGB光強度を用いた第1の実施形態と同様に、シンプルな構成で、初期段階から植物の黄化の状態を特定可能な黄化情報取得方法及び黄化情報取得システム100を提供することができる。
【0075】
(第4の実施形態に係る黄化情報取得方法)
HSV強度を用いた場合でも、上記の第3の実施形態と同様に、図9に示すようなシート状の分布を斜めの方向から見たことになるH軸方向またはV軸方向から見た二次元散布図を取得したとしても、葉の健全な部分と健全でない部分の識別は可能である。近似直線のH軸及びV軸に対する角度がどのような角度であっても、H軸方向及びV軸方向の少なくとも一方向から見た二次元散布図では、葉の健全な部分と健全でない部分の識別が可能である。ただし、HV平面に示された近似直線に対して略垂直な方向から見た第3の実施形態に比べて、精度は劣るものとなる。
【0076】
よって、本発明の第4の実施形態に係る黄化情報取得方法でも、散布図取得工程において、単純に、各ピクセルのH強度またはV強度を一方の軸とし、S強度を他方の軸として、二次元散布図を形成することができる。
【0077】
以上のように、本発明の第4の実施形態に係る黄化情報取得方法は、植物の葉の画像を取得する画像取得工程と、画像から各ピクセルの色相(以下「H強度」と称する)、彩度(以下「S強度」と称する)及び明度(以下「V強度」と称する)を取得する光情報取得工程と、各ピクセルのH強度またはV強度と、S強度とを2軸とする二次元散布図を取得する散布図取得工程と、二次元散布図を基に植物の黄化情報を取得する黄化情報取得工程と、を含む。
【0078】
同様に、上記の第4の実施形態に係る黄化情報取得方法を実施する本発明の第4の実施形態に係る黄化情報取得システム100は、植物の葉の画像を取得する画像取得部10と、画像取得部10が取得した画像から各ピクセルの色相(以下「H強度」と称する)、彩度(以下「S強度」と称する)及び明度(以下「V強度」と称する)を取得する光情報取得部20と、各ピクセルのH強度またはV強度と、S強度とを2軸とする二次元散布図を取得する散布図取得部30と、二次元散布図を基に植物の黄化情報を取得する黄化情報取得部40と、を備える。
【0079】
このような第4の実施形態に係る黄化情報取得方法及び黄化情報取得システム100は、特に、高速・大量処理したい場合に有効である。
【0080】
第1から第4の実施形態の何れの場合においても、RGBまたはHSVの一軸ごとに評価するだけではなく、それぞれの量がどのように関連しているのかも含めて高感度に評価することができる。複数の要素(RGBまたはHSV)を、それぞれの関連性を含めて正確に評価することができる。更に、第1から第4の実施形態の何れの場合においても、二次元分散図を取得するときに用いる2軸は、直交していない場合もあり得る。
【0081】
(対象物の診断方法及び診断システム)
黄化情報取得だけでなく、より広く、自然要因により、時間経過とともに健全な部分と健全でない部分が生じ、変色する対象物を診断する方法に当て嵌めれば、
上記の第1から第4の実施形態に係る画像取得工程が、対象物の撮影画像を取得する撮像工程に相当し、
上記の第1から第4の実施形態に係る光情報取得工程が、撮像画像からピクセルごとの波長情報を取得する波長情報取得工程に相当し、
上記の第1から第4の実施形態に係る散布図取得工程が、取得した波長情報に基づく色空間に、各ピクセルをプロットした三次元散布図を、健全な部分と健全でない部分の差異が顕著に表れる方向から見た二次元散布図を取得する二次元散布図取得工程に相当し、
上記の第1から第4の実施形態に係る黄化情報取得工程が、取得した二次元散布図から、対象物が変色する現象の要因及び対象物の状態を診断する診断工程に相当する。診断工程では、生じた現象の情報取得に加えて、現象の要因及び対象物の状態の診断を行う。
【0082】
つまり本発明の1つの実施形態に係る診断方法は、
病害を含む自然要因により、時間経過とともに健全な部分と健全でない部分が生じ、変色する対象物の診断方法であって、対象物の撮影画像を取得する撮像工程と、撮像画像からピクセルごとの波長情報を取得する波長情報取得工程と、取得した波長情報に基づく色空間に、各ピクセルをプロットした三次元散布図を、健全な部分と健全でない部分の差異が顕著に表れる方向から見た二次元散布図を取得する二次元散布図取得工程と、取得した二次元散布図から、対象物が変色する現象の要因及び前記対象物の状態を診断する診断工程と、を含む。
【0083】
同様に、黄化情報取得だけでなく、より広く、自然要因により、時間経過とともに健全な部分と健全でない部分が生じ、変色する対象物を診断するシステムに当て嵌めれば、
上記の画像取得部10が、対象物の撮影画像を取得する撮像部に相当し、
上記の光情報取得部20が、撮像画像からピクセルごとの波長情報を取得する波長情報取得部に相当し、
上記の散布図取得部30が、取得した波長情報に基づく色空間に、各ピクセルをプロットした三次元散布図を、健全な部分と健全でない部分の差異が顕著に表れる方向から見た二次元散布図を取得する二次元散布図取得部に相当し、
上記の黄化情報取得部40が、取得した前記二次元散布図から、対象物が変色する現象の要因及び対象物の状態を診断する診断部に相当する。診断部では、生じた現象の情報取得に加えて、現象の要因及び対象物の状態の診断を行う。
【0084】
つまり本発明の1つの実施形態に係る診断システムは、病害を含む自然要因により、時間経過とともに健全な部分と健全でない部分が生じ、変色する対象物を診断するシステムであって、対象物の撮影画像を取得する撮像部と、撮像画像からピクセルごとの波長情報を取得する波長情報取得部と、取得した波長情報に基づく色空間に、各ピクセルをプロットした三次元散布図を、健全な部分と健全でない部分の差異が顕著に表れる方向から見た二次元散布図を取得する二次元散布図取得部と、取得した二次元散布図から、対象物が変色する現象の要因及び対象物の状態を診断する診断部と、を備える。
【0085】
以上により、シンプルな構成で、自然要因により時間経過とともに健全でない部分が生じる対象物を、初期段階から診断できる診断方法及び診断システム100を提供することができる。このような診断方法及び診断システム100に関し、全般的に下記のように示すことができる。
【0086】
(全般的記載)
(項1-1)
病害を含む自然要因により、時間経過とともに健全な部分と健全でない部分が生じ、変色する対象物の診断方法であって、
前記対象物の撮影画像を取得する撮像工程と、
前記撮像画像からピクセルごとの波長情報を取得する波長情報取得工程と、
取得した波長情報に基づく色空間に、各ピクセルをプロットした三次元散布図を、健全な部分と健全でない部分の差異が顕著に表れる方向から見た二次元散布図を取得する二次元散布図取得工程と、
取得した前記二次元散布図から、前記対象物が変色する現象の要因及び前記対象物の状態を診断する診断工程と、
を含む、対象物の診断方法。
(項1-2)
前記自然現象による変色現象は、少なくとも一種類以上の段階と、一種類以上の特徴部位を有し、ある特定の特徴部位が、ある特定の変色段階にあるとき、変色前と変色後の色が一定に定まっており、なおかつ色の変化の方向が同一であることを特徴とする、項1-1に記載の診断方法。
(項1-3)
前記色情報取得工程において、ある特定の前記特徴部位と、ある特定の変色段階に該当するピクセルデータのみを抽出する、項1-1に記載の診断方法。
(項1-4)
前記対象物のある特定の特徴部位がある特定の変色段階にあるとき、該当するドット群が色空間に構成する三次元散布図は、略シート状に分布し、該略シート状に分布した該ドット群の近似平面に対して略平行な方向から見た画像を前記二次元散布図とする、項1-1に記載の診断方法。
(項1-5)
前記三次元散布図を、ある特定の線または曲線に縮約される方向から見たときの回帰直線または回帰曲線を取得する工程を含む、項1-1に記載の診断方法。
(項1-6)
前記二次元散布図の各ドットに対応する前記撮像画像における位置情報から、前記撮像画像に健全な部分及び健全でない部分の情報を付加した画像を形成する、項1-1に記載の診断方法。
(項1-7)
前記健全な部分及び健全でない部分の情報を付加した画像に示される、健全な部分または健全でない部分またはその両方の形状から、前記対象物が変色する現象の要因及び前記対象物の状態を診断する、項1-1に記載の診断方法。
(項1-8)
前記色空間は、RGBまたはHSVを3軸とした立体空間である、項1-1に記載の診断方法。
【0087】
(項1-9)
他の手段で状態が把握された前記対象物を用いて得られた前記二次元散布図を標準二次元散布図とし、前記診断工程において、前記対象物を撮像して得られた前記二次元散布図と前記標準二次元散布図とを比較して、前記対象物が変色する現象の要因及び前記対象物の状態を診断する、項1-1に記載の診断方法。
(項1-10)
他の手段で状態が把握された前記対象物を用いて得られた前記回帰直線または回帰曲線を標準回帰線とし、前記診断工程において、前記対象物を撮像して得られた前記回帰線と前記標準回帰線とを比較して、前記対象物が変色する現象の要因及び前記対象物の状態を診断する、項1-1に記載の診断方法。
(項1-11)
前記回帰曲線を直線に直すように全てのプロットに一定の操作を加え、前記略シート分布の平面度を向上させる機能を有する、項1-1に記載の診断方法。
(項1-12)
同一の前記対象物の色の時系列変化を、前記二次元散布図の形状の変化として取得することを含む、項1-1に記載の診断方法。
(項1-13)
複数の上記段階または上記特徴部位またはその両方についてそれぞれ上記二次元散布図の形状または上記回帰線またはその両方を比較する工程を含む、項1-1に記載の診断方法。
(項1-14)
前記対象物が、病害を含む自然要因による変色が生じる植物の葉または新芽または花またはつぼみまたは茎または枝または幹または果実の表面である、項1-1から1-13の何れか1項に記載の診断方法。
(項1-15)
前記対象物が、病害を含む自然要因による変色が生じる動物または人の皮膚または粘膜または歯の表面である、項1-1から1-13の何れか1項に記載の診断方法。
(項1-16)
前記対象物が、錆が生じる金属表面を有する部材である、項1-1から1-13の何れか1項に記載の診断方法。
(項1-17)
病害を含む自然要因により、時間経過とともに健全な部分と健全でない部分が生じ、変色する対象物を診断するシステムであって、
前記対象物の撮影画像を取得する撮像部と、
前記撮像画像からピクセルごとの波長情報を取得する波長情報取得部と、
取得した波長情報に基づく色空間に、各ピクセルをプロットした三次元散布図を、健全な部分と健全でない部分の差異が顕著に表れる方向から見た二次元散布図を取得する二次元散布図取得部と、
取得した前記二次元散布図から、前記対象物が変色する現象の要因及び前記対象物の状態を診断する診断部と、
を備えた、対象物の診断システム。
【0088】
黄化情報取得方法及び黄化情報取得システム100に関し、全般的に下記のように示すことができる。
(項2-1)
植物の葉の画像を取得する画像取得工程と、
前記画像から各ピクセルの赤色光の光強度(以下「R光強度」と称する)、緑色光の光強度(以下「G光強度」と称する)及び青色光の光強度(以下「B光強度」と称する)を取得する光情報取得工程と、
各ピクセルのR光強度及びG光強度をRG平面上にプロットした点群の近似直線または曲線をゲージとする各点の値と、各ピクセルの対応するB光強度とを2軸とする二次元散布図を取得する散布図取得工程と、
前記二次元散布図を基に植物の黄化情報を取得する黄化情報取得工程と、
を含む、黄化情報取得方法。
(項2-2)
植物の葉の画像を取得する画像取得工程と、
前記画像から各ピクセルの色相(以下「H強度」と称する)、彩度(以下「S強度」と称する)及び明度(以下「V強度」と称する)を取得する光情報取得工程と、
各ピクセルのH強度及びV強度をHV平面上にプロットした点群の近似直線または曲線をゲージとする各点の値と、各ピクセルの対応するS強度とを2軸とする二次元散布図を取得する散布図取得工程と、
前記二次元散布図を基に植物の黄化情報を取得する黄化情報取得工程と、
を含む、黄化情報取得方法。
(項2-3)
植物の葉の画像を取得する画像取得工程と、
前記画像から各ピクセルの赤色光の光強度(以下「R光強度」と称する)、緑色光の光強度(以下「G光強度」と称する)及び青色光の光強度(以下「B光強度」と称する)を取得する光情報取得工程と、
各ピクセルのR光強度またはG光強度と、B光強度とを2軸とする二次元散布図を取得する散布図取得工程と、
前記二次元散布図を基に植物の黄化情報を取得する黄化情報取得工程と、
を含む、黄化情報取得方法。
(項2-4)
植物の葉の画像を取得する画像取得工程と、
前記画像から各ピクセルの色相(以下「H強度」と称する)、彩度(以下「S強度」と称する)及び明度(以下「V強度」と称する)を取得する光情報取得工程と、
各ピクセルのH強度またはV強度と、S強度とを2軸とする二次元散布図を取得する散布図取得工程と、
前記二次元散布図を基に植物の黄化情報を取得する黄化情報取得工程と、
を含む、黄化情報取得方法。
(項2-5)
前記画像取得工程で得られた前記画像について、植物の葉脈が明瞭かつ均一になるように画像を処理した後、前記光情報取得工程を実施する、項2-1から2-4の何れかに1項に記載の黄化情報取得方法。
(項2-6)
前記散布図取得工程において、植物葉上の葉肉部分、変色部分、枯死部分、葉脈部分及びせん孔部分の少なくとも一つを除去した状態で前記二次元散布図を取得する、項2-1から2-5の何れか1項に記載の黄化情報取得方法。
(項2-7)
前記黄化情報取得工程において、前記二次元散布図の形状及び特徴値を基に、黄化の要因及び進行度を診断する、項2-1から2-6の何れか1項に記載の黄化情報取得方法。
(項2-8)
前記黄化情報取得工程において、前記二次元散布図の中の特定のクラスタに対応する各点の実平面上での形状情報を取得する、項2-1から2-7の何れか1項に記載の黄化情報取得方法。
【0089】
(項2-9)
植物の葉の画像を取得する画像取得部と、
前記画像取得部が取得した前記画像から各ピクセルの赤色光の光強度(以下「R光強度」と称する)、緑色光の光強度(以下「G光強度」と称する)及び青色光の光強度(以下「B光強度」と称する)を取得する光情報取得部と、
各ピクセルのR光強度及びG光強度をRG平面上にプロットした点群の近似直線または曲線をゲージとする各点の値と、各ピクセルの対応するB光強度とを2軸とする二次元散布図を取得する散布図取得部と、
前記二次元散布図を基に植物の黄化情報を取得する黄化情報取得部と、
を備えた、黄化情報取得システム。
(項2-10)
植物の葉の画像を取得する画像取得部と、
前記画像取得部が取得した前記画像から各ピクセルの色相(以下「H強度」と称する)、彩度(以下「S強度」と称する)及び明度(以下「V強度」と称する)を取得する光情報取得部と、
各ピクセルのH強度及びV強度をHV平面上にプロットした点群の近似直線または曲線をゲージとする各点の値と、各ピクセルの対応するS強度とを2軸とする二次元散布図を取得する散布図取得部と、
前記二次元散布図を基に植物の黄化情報を取得する黄化情報取得部と、
を備えた、黄化情報取得システム。
(項2-11)
植物の葉の画像を取得する画像取得部と、
前記画像取得部が取得した前記画像から各ピクセルの赤色光の光強度(以下「R光強度」と称する)、緑色光の光強度(以下「G光強度」と称する)及び青色光の光強度(以下「B光強度」と称する)を取得する光情報取得部と、
各ピクセルのR光強度またはG光強度と、B光強度とを2軸とする二次元散布図を取得する散布図取得部と、
前記二次元散布図を基に植物の黄化情報を取得する黄化情報取得部と、
を備えた、黄化情報取得システム。
(項2-12)
植物の葉の画像を取得する画像取得部と、
前記画像取得部が取得した前記画像から各ピクセルの色相(以下「H強度」と称する)、彩度(以下「S強度」と称する)及び明度(以下「V強度」と称する)を取得する光情報取得部と、
各ピクセルのH強度またはV強度と、S強度とを2軸とする二次元散布図を取得する散布図取得部と、
前記二次元散布図を基に植物の黄化情報を取得する黄化情報取得部と、
を備えた、黄化情報取得システム。
(項2-13)
前記画像取得部で得られた前記画像について、植物の葉脈が明瞭かつ均一になるように画像を処理した後、前記光情報取得部での処理を実施する、項2-9から2-12の何れかに1項に記載の黄化情報取得システム。
(項2-14)
前記散布図取得部において、植物葉上の葉肉部分、変色部分、枯死部分、葉脈部分及びせん孔部分の少なくとも一つを除去した状態で前記二次元散布図を取得する、項2-9から2-13の何れか1項に記載の黄化情報取得システム。
(項2-15)
前記黄化情報取得部において、前記二次元散布図の形状及び特徴値を基に、黄化の要因及び進行度を診断する、項2-9から2-14の何れか1項に記載の黄化情報取得システム。
(項2-16)
前記黄化情報取得部において、前記二次元散布図の中の特定のクラスタに対応する各点の実平面上での形状情報を取得する、項2-9から2-15の何れか1項に記載の黄化情報取得システム。
【0090】
本発明の実施の形態、実施の態様を説明したが、開示内容は構成の細部において変化してもよく、実施の形態、実施の態様における要素の組合せや順序の変化等は請求された本発明の範囲および思想を逸脱することなく実現し得るものである。
【符号の説明】
【0091】
10 画像取得部
20 光情報取得部
30 散布図所為特部
40 黄化情報取得部
50 表示装置
70 携帯端末
80 制御部
90 黄化情報取得装置
100 黄化情報取得システム
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図9