(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177835
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】装飾パネル
(51)【国際特許分類】
E04F 13/08 20060101AFI20241217BHJP
【FI】
E04F13/08 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096196
(22)【出願日】2023-06-12
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り ウェブサイトの掲載日 令和4年11月29日 ウェブサイトのアドレス(URL) https://bamboo-expo.jp/past/ 開催日 令和4年11月29日(木)、令和4年11月30日(金) 展示会名、開催場所 BAMBOO EXPO 18 東京都港区海岸1-7-1 東京ポートシティ竹芝 東京都立産業貿易センター浜松町館2F
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100169063
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100130052
【弁理士】
【氏名又は名称】大阪 弘一
(72)【発明者】
【氏名】高橋 良介
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 幹之
(72)【発明者】
【氏名】前田 夏奈美
【テーマコード(参考)】
2E110
【Fターム(参考)】
2E110AA57
2E110AB03
2E110AB04
2E110AB23
2E110BA02
2E110BB04
2E110BB24
2E110GA22W
2E110GA31W
2E110GA32W
2E110GA33X
2E110GA42W
2E110GB03W
2E110GB06W
2E110GB13W
2E110GB52W
2E110GB62W
(57)【要約】
【課題】意匠性を向上させる。
【解決手段】装飾対象面に取り付けられる装飾パネル1は、枠部材2と、枠部材2に固定されて装飾パネル1の背面を成す背面パネル3と、枠部材2に保持された装飾材4と、を備える。装飾材4は、装飾パネル1の前面を形成する装飾部41を有し、装飾部41には、透視性を有する複数の透視部43が規則的に配列されている。背面パネル3は、複数の透視部43を透過した光により装飾部41の影が現れる影出現面31を備える。そして、複数の透視部43と影出現面31との間に空間を有する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装飾対象面に取り付けられる装飾パネルであって、
枠部材と、
前記枠部材に保持された装飾材と、を備え、
前記装飾材は、前記装飾パネルの前面を形成する装飾部を有し、
前記装飾部には、透視性を有する複数の透視部が規則的に配列されており、
前記複数の透視部を透過した光により前記装飾部の影が現れる面を影出現面とした場合、前記複数の透視部と前記影出現面との間に空間を有する、
装飾パネル。
【請求項2】
前記装飾部は、前記複数の透視部と前記影出現面との間の距離が50cm以下となる領域を有する、
請求項1に記載の装飾パネル。
【請求項3】
前記装飾部は、前記複数の透視部と前記影出現面との間の距離が1cm以上となる領域を有する、
請求項1又は2に記載の装飾パネル。
【請求項4】
前記透視部は、前記装飾部を貫通する穴である、
請求項1又は2に記載の装飾パネル。
【請求項5】
前記透視部の可視光透過率は、30%以上である、
請求項1又は2に記載の装飾パネル。
【請求項6】
前記装飾部は、メッシュ状に形成されている、
請求項1又は2に記載の装飾パネル。
【請求項7】
前記装飾部は、織物である、
請求項1又は2に記載の装飾パネル。
【請求項8】
前記透視部の内接円の直径は、1mm以上10mm以下である、
請求項1又は2に記載の装飾パネル。
【請求項9】
単位面積当たりの前記透視部の数は、1個/cm2以上15個/cm2以下である、
請求項1又は2に記載の装飾パネル。
【請求項10】
前記装飾部は、立体形状を成している、
請求項1又は2に記載の装飾パネル。
【請求項11】
前記装飾部は、前記影出現面から離間する方向に盛り上がる山部を有する、
請求項10に記載の装飾パネル。
【請求項12】
前記装飾部は、前記装飾部が屈曲されて成る折線部を有する、
請求項10に記載の装飾パネル。
【請求項13】
前記装飾部は、平面形状を成している、
請求項1又は2に記載の装飾パネル。
【請求項14】
前記影出現面を形成する背面パネルを更に備える、
請求項1又は2に記載の装飾パネル。
【請求項15】
前記背面パネルの前記影出現面を形成する面の明度は、30以上である、
請求項14に記載の装飾パネル。
【請求項16】
前記影出現面は、前記装飾パネルが取り付けられる前記装飾対象面である、
請求項1又は2に記載の装飾パネル。
【請求項17】
前記装飾部と前記影出現面との間に配置されるスペーサを更に備える、
請求項1又は2に記載の装飾パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁や天井等の装飾対象面に取り付けられる装飾パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、壁や天井等を装飾するために装飾パネルが用いられることがある。特許文献1には、メッシュネットを漉き和紙の表面に接合一体化した紙製シート材を、平板状のフレーム本体に貼着したユニットパネル材(装飾パネル)が記載されている。この装飾パネルでは、メッシュネットから漉き和紙を透視可能で、かつ立体模様を呈するものとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された装飾パネルでは、メッシュネット及び漉き和紙自体の意匠しか視認することができないため、意匠性を向上させるには限界があった。
【0005】
そこで、本発明は、意匠性を向上させることができる装飾パネルを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、少なくとも下記[1]~[15]を提供する。
【0007】
[1] 装飾対象面に取り付けられる装飾パネルであって、枠部材と、前記枠部材に保持された装飾材と、を備え、前記装飾材は、前記装飾パネルの前面を形成する装飾部を有し、前記装飾部には、透視性を有する複数の透視部が規則的に配列されており、前記複数の透視部を透過した光により前記装飾部の影が現れる面を影出現面とした場合、前記複数の透視部と前記影出現面との間に空間を有する、装飾パネル。
【0008】
この装飾パネルでは、装飾パネルの前面を形成する装飾部に透視性を有する複数の透視部が規則的に配列されており、複数の透視部と影出現面との間に空間を有するため、複数の透視部と影出現面に現れた装飾部の影との干渉によりモアレを出現させることができる。これにより、装飾部の意匠にモアレの意匠を加えることができるため、装飾パネルの意匠性を向上させることができる。
【0009】
[2] 前記装飾部は、前記複数の透視部と前記影出現面との間の距離が50cm以下となる領域を有する、[1]に記載の装飾パネル。この装飾パネルでは、複数の透視部と影出現面との間の距離が50cm以下となる領域を有することで、影出現面に現れた装飾部の影を透視部から視認しやすくなる。これにより、モアレを出現させやすくなる。
【0010】
[3] 前記装飾部は、前記複数の透視部と前記影出現面との間の距離が1cm以上となる領域を有する、[1]又は[2]に記載の装飾パネル。この装飾パネルでは、複数の透視部と影出現面との間の距離が1cm以上となる領域を有することで、複数の透視部と影出現面に現れた装飾部の影との干渉を大きくすることができる。これにより、モアレを出現させやすくなる。
【0011】
[4] 前記透視部は、前記装飾部を貫通する穴である、[1]~[3]の何れか一つに記載の装飾パネル。この装飾パネルでは、透視部が装飾部を貫通する穴であることで、影出現面に現れた装飾部の影を透視部から視認しやすくなる。これにより、モアレを出現させやすくなる。
【0012】
[5] 前記透視部の可視光透過率は、30%以上である、[1]~[3]の何れか一つに記載の装飾パネル。この装飾パネルでは、透視部の可視光透過率が30%以上であることで、影出現面に現れた装飾部の影を透視部から視認しやすくなる。これにより、モアレを出現させやすくなる。
【0013】
[6] 前記装飾部は、メッシュ状に形成されている、[1]~[5]の何れか一つに記載の装飾パネル。この装飾パネルでは、装飾部がメッシュ状に形成されていることで、複数の透視部を容易に形成することができる。
【0014】
[7] 前記装飾部は、織物である、[1]~[6]の何れか一つに記載の装飾パネル。この装飾パネルでは、装飾部が織物であることで、複数の透視部を容易に形成することができる。
【0015】
[8] 前記透視部の内接円の直径は、1mm以上10mm以下である、[1]~[7]の何れか一つに記載の装飾パネル。この装飾パネルでは、透視部の内接円の直径が1mm以上10mm以下であることで、影出現面に現れた装飾部の影を透視部から視認しやすくなるとともに、モアレを出現させやすくなる。
【0016】
[9] 単位面積当たりの前記透視部の数は、1個/cm2以上15個/cm2以下である、[1]~[8]の何れか一つに記載の装飾パネル。この装飾パネルでは、単位面積当たりの透視部の数が1個/cm2以上15個/cm2以下であることで、モアレを出現させやすくなるとともに、装飾材を容易に作製することができる。
【0017】
[10] 前記装飾部は、立体形状を成している、[1]~[9]の何れか一つに記載の装飾パネル。この装飾パネルでは、装飾部が立体形状を成していることで、出現するモアレの形状を複雑化することができる。これにより、装飾パネルの意匠性を更に向上させることができる。
【0018】
[11] 前記装飾部は、前記影出現面から離間する方向に盛り上がる山部を有する、[10]に記載の装飾パネル。この装飾パネルでは、装飾部が影出現面から離間する方向に盛り上がる山部を有することで、山部に対応する等高線状のモアレを出現させることができる。
【0019】
[12] 前記装飾部は、前記装飾部が屈曲されて成る折線部を有する、[10]又は[11]に記載の装飾パネル。この装飾パネルでは、装飾部が屈曲されて成る折線部を有することで、形状保持性を高めることができる。これにより、装飾部の立体形状を容易に保持することができる。
【0020】
[13] 前記装飾部は、平面形状を成している、[1]~[9]の何れか一つに記載の装飾パネル。この装飾パネルでは、装飾部が平面形状を成していることで、装飾材を容易に作製することができる。
【0021】
[14] 前記影出現面を形成する背面パネルを更に備える、[1]~[13]の何れか一つに記載の装飾パネル。この装飾パネルでは、影出現面を形成する背面パネルを備えることで、装飾パネル単体でモアレを出現させることができる。このため、装飾パネルの設置場所の選択自由度を高めることができる。なお、背面パネルを備えない場合は、装飾パネルを設置する装飾対象面が影出現面となる。
【0022】
[15] 前記背面パネルの前記影出現面を形成する面の明度は、30以上である、[14]に記載の装飾パネル。この装飾パネルでは、背面パネルの影出現面を形成する面の明度が30以上であることで、影出現面に現れた影を透視部から視認しやすくなるため、モアレを出現させやすくなる。
【0023】
[16] 前記影出現面は、前記装飾パネルが取り付けられる前記装飾対象面である、[1]~[13]の何れか一つに記載の装飾パネル。この装飾パネルでは、装飾パネルが取り付けられる前記装飾対象面であるため、装飾パネルを装飾対象面に取り付けることで、モアレを出現させることができる。
【0024】
[17] 前記装飾部と前記影出現面との間に配置されるスペーサを更に備える、[1]~[16]の何れか一つに記載の装飾パネル。この装飾パネルでは、装飾部と影出現面との間に配置されるスペーサを備えることで、複数の透視部と影出現面との間に容易に空間を形成することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、意匠性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】第一実施形態に係る装飾パネルを示す斜視図である。
【
図2】第一実施形態に係る装飾パネルを示す正面図である。
【
図3】第一実施形態に係る装飾パネルを示す平面図である。
【
図4】第一実施形態に係る装飾パネルを示す底面図である。
【
図6】
図3に示すVIa-VIa部分及びVIb-VIb部分に囲まれる領域を拡大した平面図である。
【
図8】第二実施形態に係る装飾パネルを示す正面図である。
【
図9】
図8に示すIX-IX線における端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0028】
[第一実施形態]
図1は、第一実施形態に係る装飾パネルを示す斜視図である。
図2は、第一実施形態に係る装飾パネルを示す正面図である。
図3は、第一実施形態に係る装飾パネルを示す平面図である。
図4は、第一実施形態に係る装飾パネルを示す底面図である。
図5は、
図2に示すV-V線における端面図である。
図1~
図5に示すように、本実施形態に係る装飾パネル1は、壁や天井等の装飾対象面(不図示)を装飾するために装飾対象面に取り付けられるパネルである。装飾パネル1は、枠部材2と、背面パネル3と、装飾材4と、を備える。なお、以下の説明において、装飾パネル1の前後の方向は、装飾パネル1が装飾対象面に取り付けられた際の装飾パネル1の前後の方向をいう。つまり、装飾パネル1が装飾対象面に取り付けられた際に、装飾対象面側に向けられる方向を後方といい、装飾対象面とは反対側に向けられる方向を前方という。
【0029】
枠部材2は、装飾パネル1の枠として機能する部材である。枠部材2は、例えば、矩形の枠状に形成された外枠部21と、外枠部21の内側に配置されて外枠部21に連結された補助枠部22と、を備える。補助枠部22は、例えば、十字状に形成されて外枠部21の一対の縦枠部及び一対の横枠部に連結されるものであってもよく、一直線上に形成されて外枠部21の一対の縦枠部に連結されるものであってもよく、一直線上に形成されて外枠部21の一対の横枠部に連結されるものであってもよい。
【0030】
背面パネル3は、枠部材2に固定されて装飾パネル1の背面を成す部材である。背面パネル3は、例えば、枠部材2の外形と略同一の外形を有しており、枠部材2の前側に配置された状態で枠部材2に固定されている。
【0031】
装飾材4は、装飾対象面を装飾するために装飾が施された部材である。装飾材4は、背面パネル3の前方を覆うように枠部材2に保持されている。つまり、装飾材4は、背面パネル3の前方に位置する装飾部41と、枠部材2に保持される保持部42と、を有する。装飾部41は、装飾材4の中央部に位置しており、保持部42は、装飾材4の周縁部に位置している。
【0032】
保持部42は、枠部材2を外側から覆うように形成されて、枠部材2に取り付けられている。枠部材2に対する保持部42の取り付けは、例えば、接着、ピン止め等により行うことができる。
【0033】
図6は、
図3に示すVIa-VIa部分及びVIb-VIb部分に囲まれる領域を拡大した平面図である。
図7は、装飾部の一部を拡大した平面図である。
図1~
図3、
図5~
図7に示すように、装飾部41は、装飾パネル1に装飾性を付与する部分である。装飾部41には、透視性を有する複数の透視部43が規則的に配列されている。装飾部41における透視部43以外の部分は、透視性を有しない部分である。透視部43が透視性を有するとは、透光性を有するとともに、透視部43を通して透視部43の向こう側を見ることができることをいう。このため、複数の透視部43を透過した光により背面パネル3に装飾部41の影が現れ、装飾部41では、複数の透視部43を通して背面パネル3及び背面パネル3に現れた装飾部41の影を見ることが可能となっている。また、背面パネル3の表裏面のうち、装飾部41側に位置して複数の透視部43を透過した光により装飾部41の影が現れる面を、影出現面31という。なお、複数の透視部43は、装飾部41だけでなく、装飾材4全体に設けられていてもよい。本実施形態では、複数の透視部43は、装飾材4全体に設けられている。
【0034】
透視部43は、透視性を有すれば如何なる構造のものであってもよい。例えば、透視部43は、装飾材4を貫通する穴であってもよく、透視可能な程度に透明な部分であってもよい。透視可能な程度とは、透視部43を通して影出現面31に現れた装飾部41の影を見ることができる程度をいう。透視部43が装飾材4を貫通する穴である場合、透視部43の可視光透過率は100%となる。一方、透視部43が装飾材4を貫通する穴でない場合、透視部43が透視性を有するために、透視部43の可視光透過率は、30%以上であることが好ましく、40%以上であることがより好ましく、50%以上であることが更に好ましい。
【0035】
装飾材4としては、例えば、織物、編物、エキスパンドメタル等のメッシュ状に形成されたメッシュ材、有孔ボード、パンチングメタル等の孔があけられた有孔材が用いられる。織物としては、例えば、三軸織物等の多軸織物とすることができる。装飾材4がメッシュ状に形成されるものである場合、メッシュの目が、透視部43(装飾材4を貫通する穴)となる。装飾材4が有孔状に形成されるものである場合、装飾材4に形成された孔が、透視部43(装飾材4を貫通する穴)となる。
【0036】
また、装飾材4としては、例えば、上述したメッシュ材又は有孔材に透明フィルムが重ね合わされたものが用いられる。装飾材4が、メッシュ材に透明フィルムが重ね合わされたものである場合、メッシュの目に重ね合わされた透明フィルムの部分が、透視部43(透視可能な程度に透明な部分)となる。装飾材4が、有孔材に透明フィルムが重ね合わされたものである場合、有孔材の孔に重ね合わされた透明フィルムの部分が、透視部43(透視可能な程度に透明な部分)となる。
【0037】
装飾材4の材質としては、例えば、ポリエステル等の樹脂、アルミニウム、ステンレス等の金属、木材、石材、綿等の天然素材、これらを複合したものなどが用いられる。装飾材4には、素材色の他に加飾が施されていてもよい。このような加飾の方法としては、例えば、グラビア、インクジェット、スクリーン等の公知な印刷手法、刷毛塗り、ローラーブラシ塗装、へら塗り、エアスプレー塗装、エアレススプレー塗装、浸漬塗装、静電気塗装、電着塗装、粉体塗装、カーテンフローコーター塗装、ローラーコーター塗装等の公知なコーティング手法などを用いることができる。
【0038】
装飾部41は、立体形状を成している。つまり、装飾部41は、背面パネル3の前方において立体的に形成されている。これにより、複数の透視部43と影出現面31との間に、空間が形成されている。
【0039】
ここで、規則的に配列された複数の透視部43と影出現面31との間に空間が形成されていると、装飾パネル1の前方から装飾部41を見た場合に、複数の透視部43と影出現面31に現れた装飾部41の影との干渉により、モアレが出現しやすくなる。このため、装飾部41の意匠にモアレの意匠が加えられることで、装飾部41に複雑な意匠が現れる。なお、モアレが出現するためには、装飾部41の全ての透視部43が影出現面31との間に空間を有している必要はなく、装飾部41の少なくとも一部の透視部43が影出現面31との間に空間を有していればよい。
【0040】
モアレが出現しやすくなる観点から、装飾部41は、複数の透視部43と影出現面31との間の距離が50cm以下となる領域を有することが好ましい。この場合、当該領域における複数の透視部43と影出現面31との間の距離は、30cm以下であることがより好ましく、10cm以下であることが更に好ましい。複数の透視部43と影出現面31との間の距離が50cm以下、30cm以下、又は10cm以下となる領域は、例えば、装飾部41の全体の50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、70%以上であることが更に好ましい。
【0041】
また、モアレが出現しやすくなる観点から、装飾部41は、複数の透視部43と影出現面31との間の距離が1cm以上となる領域を有することが好ましい。この場合、当該領域における複数の透視部43と影出現面31との間の距離は、2cm以上であることがより好ましく、3cm以上であることが更に好ましい。複数の透視部43と影出現面31との間の距離が1cm以上、2cm以上、又は3cm以上となる領域は、例えば、装飾部41の全体の50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、70%以上であることが更に好ましい。
【0042】
また、影出現面31に現れた装飾部41の影が透視部43から視認しやすくなる観点から、透視部43の内接円Cの直径D(
図7参照)は、1mm以上であることが好ましく、2mm以上であることがより好ましく、3mm以上であることが更に好ましい。一方、モアレが出現しやすくなる観点から、透視部43の内接円Cの直径Dは、10mm以下であることが好ましく、9mm以下であることがより好ましく、8mm以下であることが更に好ましい。これらの観点から、透視部43の内接円Cの直径Dは、1mm以上10mm以下であることが好ましく、2mm以上9mm以下であることがより好ましく、3mm以上8mm以下であることが更に好ましい。
【0043】
また、モアレが出現しやすくなる観点から、装飾部41における単位面積当たりの透視部43の数は、1個/cm2以上であることが好ましく、2個/cm2以上であることがより好ましく、3個/cm2以上であることが更に好ましい。一方、装飾材4の作製が容易に行える観点から、装飾部41における単位面積当たりの透視部43の数は、15個/cm2以下であることが好ましく、10個/cm2以下であることがより好ましく、8個/cm2以下であることが更に好ましい。これらの観点から、装飾部41における単位面積当たりの透視部43の数は、1個/cm2以上15個/cm2以下であることが好ましく、2個/cm2以上10個/cm2以下であることがより好ましく、3個/cm2以上8個/cm2以下であることが更に好ましい。単位面積当たりの透視部43の数は、例えば、装飾部41の任意の10cm四方の領域における透視部43の数から換算することができる。
【0044】
また、モアレが出現しやすくなる観点から、背面パネル3の影出現面31の明度は、30以上であることが好ましく、40以上であることがより好ましく、50以上であることが更に好ましい。ここで、明度とは、L*a*b*表色系におけるL*値をいい、具体的には、コニカミノルタ社製の色彩色差計CR-400を用いた表色モード(L*a*b*)の測定で得られたL*値をいう。
【0045】
装飾部41は、影出現面31から離間する方向に盛り上がる山部44を有する。山部44の形状は、特に限定されるものではないが、例えば、三角錘状、四角錘状等の多角錘状、円錐状、半球状などとすることができる。これらの場合、山部44の形状保持性を高める観点から、山部44は、多角錘状のように装飾部41が屈曲されて成る折線部45を有する形状であることが好ましい。折線部45には、装飾部41が山折りに屈曲された稜線部45aと、装飾部41が谷折りに屈曲された谷線部45bと、が含まれる。折線部45は、直線状に延びていてもよく、湾曲していてもよく、屈曲していてもよい。また、折線部45は、複数に分岐していてもよい。また、山部44は、一つの折線部45を有していてもよく、複数の折線部45を有していてもよい。また、山部44は、一つの頂部を有していてもよく、複数の頂部を有していてもよい。また、山部44は、平坦な頂部を有していてもよく、点状の頂部を有していてもよく、線状の頂部を有していてもよく、平坦な頂部を有していてもよい。本実施形態では、装飾部41は、二つの四角錘状の山部44と、二つの山部44の間に直線状に延びる1本の谷線部45bと、各山部44のそれぞれの頂点に向って直線状に延びる6本の稜線部45aと、を有している。
【0046】
このように、本実施形態に係る装飾パネル1では、装飾パネル1の前面を形成する装飾部41に透視性を有する複数の透視部43が規則的に配列されており、複数の透視部43と影出現面31との間に空間を有するため、複数の透視部43と影出現面31に現れた装飾部41の影との干渉によりモアレを出現させることができる。これにより、装飾部41の意匠にモアレの意匠を加えることができるため、装飾パネル1の意匠性を向上させることができる。
【0047】
また、この装飾パネル1では、複数の透視部43と影出現面31との間の距離が50cm以下、30cm以下、又は10cm以下となる領域を有することで、影出現面31に現れた装飾部41の影を透視部43から視認しやすくなる。これにより、モアレを出現させやすくなる。
【0048】
また、この装飾パネル1では、複数の透視部43と影出現面31との間の距離が1cm以上、2cm以上、又は3cm以上となる領域を有することで、複数の透視部43と影出現面31に現れた装飾部41の影との干渉を大きくすることができる。これにより、モアレを出現させやすくなる。
【0049】
また、この装飾パネル1では、透視部43が装飾部41を貫通する穴であることで、影出現面31に現れた装飾部41の影を透視部43から視認しやすくなるため、モアレを出現させやすくなる。
【0050】
また、この装飾パネル1では、透視部43が装飾部41を貫通する穴でない場合、透視部43の可視光透過率が30%以上、40%以上、又は50%以上であることで、影出現面31に現れた装飾部41の影を透視部43から視認しやすくなる。これにより、モアレを出現させやすくなる。
【0051】
また、この装飾パネル1では、装飾部41がメッシュ状に形成されていることで、複数の透視部43を容易に形成することができる。
【0052】
また、この装飾パネル1では、装飾部41が織物であることで、複数の透視部43を容易に形成することができる。
【0053】
また、この装飾パネル1では、透視部43の内接円Cの直径Dが1mm以上10mm以下、2mm以上9mm以下、又は3mm以上8mm以下であることで、影出現面31に現れた装飾部41の影を透視部43から視認しやすくなるとともに、モアレを出現させやすくなる。
【0054】
また、この装飾パネル1では、単位面積当たりの透視部43の数が1個/cm2以上15個/cm2以下、2個/cm2以上10個/cm2以下、又は3個/cm2以上8個/cm2以下であることで、モアレを出現させやすくなるとともに、装飾材4を容易に作製することができる。
【0055】
また、この装飾パネル1では、装飾部41が立体形状を成していることで、出現するモアレの形状を複雑化することができる。これにより、装飾パネル1の意匠性を更に向上させることができる。
【0056】
また、この装飾パネル1では、装飾部41が影出現面31から離間する方向に盛り上がる山部44を有することで、山部44に対応する等高線状のモアレを出現させることができる。
【0057】
また、この装飾パネル1では、装飾部41が屈曲されて成る折線部45を有することで、形状保持性を高めることができる。これにより、装飾部41の立体形状を容易に保持することができる。
【0058】
また、この装飾パネル1では、影出現面31を形成する背面パネル3を備えることで、装飾パネル1単体でモアレを出現させることができる。このため、装飾パネル1の設置場所の選択自由度を高めることができる。
【0059】
また、この装飾パネル1では、背面パネル3の影出現面31の明度が30以上、40以上、又は50以上であることで、影出現面31に現れた影を透視部43から視認しやすくなるため、モアレを出現させやすくなる。
【0060】
[第二実施形態]
第二実施形態は、基本的に第一実施形態と同様であり、装飾部の形状が異なり、スペーサを更に備える点のみ、第一実施形態と相違する。このため、以下の説明では、第一実施形態と相違する点のみを説明し、第一実施形態と同様の点の説明を省略する。
【0061】
図8は、第二実施形態に係る装飾パネルを示す正面図である。
図9は、
図8に示すIX-IX線における端面図である。
図8及び
図9に示すように、第二実施形態に係る装飾パネル1Aは、枠部材2と、背面パネル3と、スペーサ5Aと、装飾材4Aと、を備える。
【0062】
スペーサ5Aは、装飾材4Aと背面パネル3の影出現面31との間に空間を形成するための部材である。スペーサ5Aは、枠部材2の外枠部21と同様に矩形の枠状に形成されている。スペーサ5Aは、背面パネル3の枠部材2とは反対側に配置された状態で、背面パネル3及び枠部材2に固定されている。
【0063】
装飾材4Aは、背面パネル3の前方を覆うようにスペーサ5A及び枠部材2に保持されている。つまり、装飾材4Aは、背面パネル3の前方に位置する装飾部41Aと、スペーサ5A及び枠部材2に保持される保持部42Aと、を有する。装飾部41Aは、装飾材4Aの中央部に位置しており、保持部42Aは、装飾材4Aの周縁部に位置している。
【0064】
保持部42Aは、スペーサ5A及び枠部材2を外側から覆うように形成されて、スペーサ5A及び枠部材2に取り付けられている。スペーサ5A及び枠部材2に対する保持部42の取り付けは、例えば、接着、ピン止め等により行うことができる。
【0065】
装飾部41Aは、平面形状を成している点を除き、第一実施形態の装飾部41と同様である。つまり、装飾部41Aには、第一実施形態の装飾部41と同様に、透視性を有する複数の透視部43が規則的に配列されている。そして、装飾部41Aは、背面パネル3の前方において平面的に形成されており、スペーサ5Aにより背面パネル3との間に空間が形成されている。
【0066】
このように、本実施形態に係る装飾パネル1Aでは、装飾部41Aが平面形状を成していることで、装飾材4Aを容易に作製することができる。
【0067】
また、この装飾パネル1Aでは、装飾部41Aと影出現面31との間に配置されるスペーサ5Aを備えることで、複数の透視部43Aと影出現面31との間に容易に空間を形成することができる。
【0068】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変形し、又は他のものに適用してもよい。
【0069】
例えば、第一実施形態では、装飾部41の剛性により装飾部41の立体形状を保持するものとしているが、例えば、装飾部41にワイヤー等の形状保持部材を取り付けることで装飾部41の立体形状を保持するものとしてもよい。
【0070】
また、第一実施形態では、装飾部41は、複数の山部44を有し、各山部44は複数の折線部を有するものとして説明したが、例えば、
図10及び
図11に示す装飾パネル1Bのように、折線部を有しない一つの山部44Bを備えるものとしてもよい。
図10は、他の例の装飾パネルを示す正面図である。
図11は、
図10に示すXI-XI線における端面図である。この場合、剛性を有する装飾材4Bを用いることで装飾部41Bの立体形状を保持するものとしてもよく、装飾部41Bにワイヤー等の形状保持部材を取り付けることで装飾部41Bの立体形状を保持するものとしてもよく、装飾パネル1Bを天井に取り付けて装飾部41Bを自重で垂れ下げることで、装飾部41Bの立体形状を保持するものとしてもよい。
【0071】
また、第一及び第二実施形態では、背面パネルを備えるものとして説明したが、例えば、
図12に示す装飾パネル1Cや
図13に示す装飾パネル1Dのように、背面パネルを備えないものとしてもよい。
図12及び
図13は、他の例の装飾パネルを示す端面図である。装飾パネルが背面パネルを備えない場合、装飾パネルが取り付けられる装飾対象面が、複数の透視部を透過した光により装飾部の影が現れる影出現面となる。つまり、装飾パネルは、装飾対象面に取り付けられることで装飾対象面を装飾するものであるため、複数の透視部を透過した光により装飾部の影が現れる影出現面は、装飾パネル自身の構成ある必要はなく、少なくとも装飾パネルが装飾対象面に取り付けられた際に、複数の透視部を透過した光により装飾部の影が現れる面であればよい。装飾パネルが取り付けられる装飾対象面が影出現面であったとしても、この影出現面の位置は、装飾対象面に対する装飾パネルの取付面となるため、装飾パネルの構成により一義的に決まる。
【0072】
図12に示す装飾パネル1Cは、背面パネル及び枠部材の補助枠部を備えない点を除き、第一実施形態の装飾パネル1と同様である。この装飾パネル1Cでは、装飾パネル1Cが取り付けられる装飾対象面Sが、装飾パネル1Cが装飾対象面Sに取り付けられた際に、複数の透視部43を透過した光により装飾部41の影が現れる影出現面となる。このため、複数の透視部43と影出現面である装飾対象面Sに現れた装飾部41の影との干渉によりモアレを出現させることができる。
【0073】
図13に示す装飾パネル1Dは、背面パネル、枠部材の補助枠部、及びスペーサを備えない点を除き、第二実施形態の装飾パネル1Aと同様である。この装飾パネル1Dでは、装飾パネル1Dが取り付けられる装飾対象面Sが、装飾パネル1Dが装飾対象面Sに取り付けられた際に、複数の透視部43を透過した光により装飾部41Aの影が現れる影出現面となる。そして、装飾パネル1Dでは、枠部材2により、複数の透視部43と影出現面である装飾対象面Sとの間に空間が形成される。このため、複数の透視部43と影出現面である装飾対象面Sに現れた装飾部41Aの影との干渉によりモアレを出現させることができる。
【実施例0074】
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0075】
実施例1~7及び比較例1~8の装飾パネルを作製した。
【0076】
実施例1の装飾パネルは、コニカミノルタ社製の色彩色差計CR-400の表色モード(L*a*b*)で測定したL*値(明度)が50の背面パネル上に、繊維からなるメッシュ状の平面形状を成す装飾材を、背面パネルから5cmの空間を空けて設置したものとした。つまり、実施例1の装飾パネルは、装飾パネルの前面を形成する装飾部に複数の透視部が規則的に配列されており、この複数の透視部と背面パネルの影出現面との間の距離が50cmであるものとした。
【0077】
実施例2の装飾パネルは、コニカミノルタ社製の色彩色差計CR-400の表色モード(L*a*b*)で測定したL*値(明度)が50の背面パネル上に、繊維からなるメッシュ状の立体形状を成す装飾材を、背面パネルから5cmの空間を空けて設置したものとした。つまり、実施例2の装飾パネルは、立体形状を成す装飾材を用いた他は、実施例1の装飾パネルと同様とした。
【0078】
実施例3の装飾パネルは、コニカミノルタ社製の色彩色差計CR-400の表色モード(L*a*b*)で測定したL*値(明度)が80の背面パネル上に、繊維からなるメッシュ状の平面形状を成す装飾材を、背面パネルから5cmの空間を空けて設置したものとした。つまり、実施例3の装飾パネルは、明度が80の背面パネルを用いた他は、実施例1の装飾パネルと同様とした。
【0079】
実施例4の装飾パネルは、コニカミノルタ社製の色彩色差計CR-400の表色モード(L*a*b*)で測定したL*値(明度)が30の背面パネル上に、繊維からなるメッシュ状の平面形状を成す装飾材を、背面パネルから5cmの空間を空けて設置したものとした。つまり、実施例4の装飾パネルは、明度が30の背面パネルを用いた他は、実施例1の装飾パネルと同様とした。
【0080】
実施例5の装飾パネルは、コニカミノルタ社製の色彩色差計CR-400の表色モード(L*a*b*)で測定したL*値(明度)が50の背面パネル上に、繊維からなるメッシュ状の平面形状を成す装飾材を、背面パネルから50cmの空間を空けて設置したものとした。つまり、実施例5の装飾パネルは、装飾パネルの前面を形成する装飾部の複数の透視部と背面パネルの影出現面との間の距離を50cmとした他は、実施例1の装飾パネルと同様とした。
【0081】
実施例6の装飾パネルは、コニカミノルタ社製の色彩色差計CR-400の表色モード(L*a*b*)で測定したL*値(明度)が20の背面パネル上に、繊維からなるメッシュ状の平面形状を成す装飾材を、背面パネルから5cmの空間を空けて設置したものとした。つまり、実施例6の装飾パネルは、明度が20の背面パネルを用いた他は、実施例1の装飾パネルと同様とした。
【0082】
実施例7の装飾パネルは、コニカミノルタ社製の色彩色差計CR-400の表色モード(L*a*b*)で測定したL*値(明度)が50の背面パネル上に、繊維からなるメッシュ状の平面形状を成す装飾材を、背面パネルから55cmの空間を空けて設置したものとした。つまり、実施例7の装飾パネルは、装飾パネルの前面を形成する装飾部の複数の透視部と背面パネルの影出現面との間の距離を55cmとした他は、実施例1の装飾パネルと同様とした。
【0083】
比較例1の装飾パネルは、コニカミノルタ社製の色彩色差計CR-400の表色モード(L*a*b*)で測定したL*値(明度)が50の背面パネル上に、繊維からなるメッシュ状の平面形状を成す装飾材を、背面パネルから空間を空けずに設置したものとした。つまり、比較例1の装飾パネルは、背面パネルと装飾材との間に空間を有しないものとした他は、実施例1の装飾パネルと同様とした。
【0084】
比較例2の装飾パネルは、コニカミノルタ社製の色彩色差計CR-400の表色モード(L*a*b*)で測定したL*値(明度)が50の背面パネル上に、透明膜の平面形状を成す装飾材を、背面パネルから5cmの空間を空けて設置したものとした。つまり、比較例2の装飾パネルは、全体が透視性を有して複数の透視部が規則的に配列されていない装飾材を用いた他は、実施例1の装飾パネルと同様とした。
【0085】
比較例3の装飾パネルは、コニカミノルタ社製の色彩色差計CR-400の表色モード(L*a*b*)で測定したL*値(明度)が50の背面パネル上に、全面穴の無い樹脂からなる平面形状を成す装飾材を、背面パネルから5cmの空間を空けて設置したものとした。つまり、比較例3の装飾パネルは、透視部を有しない装飾材を用いた他は、実施例1の装飾パネルと同様とした。
【0086】
照明がある部屋の壁面に、作製した実施例1~7及び比較例1~8の装飾パネルを固定し、壁面から2m離れた位置から目視にて意匠を確認した。モアレ意匠を明確に確認できた場合のモアレ評価をAとし、モアレ意匠が不明確ながらも確認できた場合のモアレ評価をBとし、モアレ意匠が確認できなかった場合のモアレ評価をCとした。評価結果を表1に示す。
【0087】
【0088】
表1に示すように、比較例1~3は、何れもモアレ評価がCであったが、実施例1~7は、何れもモアレ評価がA又はBであった。この結果から、装飾部に複数の透視部が規則的に配列されて、複数の透視部と背面パネル(影出現面)との間に空間を有することで、モアレを出現させることができ、これにより装飾部の意匠にモアレの意匠を加えることができるため、装飾パネルの意匠性を向上させることができることが分かった。
【0089】
また、明度が20の実施例6は、モアレ評価がBであったが、明度が30以上の実施例1~5は、何れもモアレ評価がAであった。この結果から、背面パネルの明度が30以上であることで、モアレを出現させやすくなることが分かった。
【0090】
また、装飾材と背面パネルとの間の空間が50cmを超える実施例7は、モアレ評価がBであったが、装飾材と背面パネルとの間の空間が50cm以下となる実施例1~6は、何れもモアレ評価がAであった。この結果から、複数の透視部と影出現面との間の空間が50cm以下であることで、モアレを出現させやすくなることが分かった。
1…装飾パネル、1A…装飾パネル、1B…装飾パネル、1C…装飾パネル、1D…装飾パネル、2…枠部材、3…背面パネル、4…装飾材、4A…装飾材、4B…装飾材、5A…スペーサ、21…外枠部、22…補助枠部、31…影出現面、41…装飾部、41A…装飾部、41B…装飾部、42…保持部、42A…保持部、43…透視部、44…山部、44B…山部、45…折線部、C…内接円、S…装飾対象面(影出現面)。