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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017784
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/088 20060101AFI20240201BHJP
   H01L 21/8234 20060101ALI20240201BHJP
   H01L 21/76 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
H01L27/088 331G
H01L27/088 331C
H01L27/088 331A
H01L27/088 D
H01L21/76 L
H01L21/76 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022120665
(22)【出願日】2022-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小清水 亮
(72)【発明者】
【氏名】中柴 康隆
(72)【発明者】
【氏名】河合 徹
【テーマコード(参考)】
5F032
5F048
【Fターム(参考)】
5F032AA35
5F032AB01
5F032AB05
5F032BA03
5F032CA01
5F032CA16
5F032CA18
5F032CA24
5F048AA01
5F048AA04
5F048AC06
5F048BA02
5F048BA07
5F048BA13
5F048BB05
5F048BB08
5F048BB16
5F048BB19
5F048BC03
5F048BC07
5F048BD07
5F048BE02
5F048BE04
5F048BF06
5F048BF07
5F048BF15
5F048BF16
5F048BF18
5F048BG13
5F048BH01
5F048BH04
5F048CA03
5F048CA04
5F048CB07
5F048CC13
5F048CC16
5F048DA25
(57)【要約】
【課題】半導体装置の性能を向上させる。
【解決手段】半導体基板SBは、裏面SBbに達するn型基板領域KBと、n型基板領域KB上の互いに異なる位置に配置されたn型半導体領域WL1および半導体領域WL2と、半導体領域WL1上および半導体領域WL2上に形成されたn型埋込層BLと、を有する。半導体基板SBは、n型埋込層BL上に互いに離間して形成されたp型半導体領域EP1およびp型半導体領域EP2と、n型埋込層BLから半導体基板SBの表面SBaに達するn型半導体領域DN1と、を更に有する。p型半導体領域EP1およびn型半導体領域DN1の下方には、n型埋込層BLとn型半導体領域WL1とn型基板領域KBとが存在している。p型半導体領域EP1の上部には、第1トランジスタが形成され、p型半導体領域EP2の上部には、第2トランジスタが形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1素子領域および第2素子領域を含む表面と、前記表面とは反対側の裏面とを有する半導体基板と、
前記第1素子領域に形成された第1導電型の第1トランジスタと、
前記第2素子領域に形成された第2トランジスタと、
前記半導体基板の前記表面上に、前記第1トランジスタおよび前記第2トランジスタを覆うように形成された層間絶縁膜と、
前記層間絶縁膜に埋め込まれた複数のコンタクトプラグと、
を含む半導体装置であって、
前記半導体基板は、
前記裏面に達する前記第1導電型の基板領域と、
前記基板領域上の互いに異なる位置に配置された、前記第1導電型の第1半導体領域および前記第1導電型または前記第1導電型とは反対の第2導電型の第2半導体領域と、
前記第1半導体領域上および前記第2半導体領域上に形成された前記第1導電型の埋込層と、
前記埋込層上に互いに離間して形成された、前記第2導電型の第3半導体領域および前記第2導電型の第4半導体領域と、
前記埋込層から前記表面に達する前記第1導電型の第5半導体領域と、
を有し、
前記複数のコンタクトプラグのうちの第1コンタクトプラグは、前記第5半導体領域上に配置され、かつ、前記第5半導体領域と電気的に接続され、
前記第3半導体領域および前記第5半導体領域の下方には、前記埋込層と前記第1半導体領域と前記基板領域とが存在し、
前記第4半導体領域の下方には、前記埋込層と前記第2半導体領域と前記基板領域とが存在し、
平面視において、前記第1素子領域は前記第3半導体領域に内包され、
平面視において、前記第2素子領域は前記第4半導体領域に内包され、
平面視において、前記第3半導体領域と前記第4半導体領域との間に前記第5半導体領域が介在している、半導体装置。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置において、
前記第1導電型はn型であり、
前記第1トランジスタは、nチャネル型MISFETであり、
前記第3半導体領域の電位よりも高い電位が、前記第1コンタクトプラグから前記第5半導体領域に供給される、半導体装置。
【請求項3】
請求項2記載の半導体装置において、
前記第1コンタクトプラグから前記第5半導体領域に正電位が供給される、半導体装置。
【請求項4】
請求項2記載の半導体装置において、
前記第1トランジスタはLDMOSFETである、半導体装置。
【請求項5】
請求項1記載の半導体装置において、
前記第1トランジスタは、直列に接続されたハイサイドトランジスタとロウサイドトランジスタとを有する電力変換回路における前記ロウサイドトランジスタとして用いられる、半導体装置。
【請求項6】
請求項1記載の半導体装置において、
前記第1トランジスタの耐圧は、前記第2トランジスタの耐圧よりも大きい、半導体装置。
【請求項7】
請求項1記載の半導体装置において、
前記第1トランジスタは、電力スイッチング素子である、半導体装置。
【請求項8】
請求項1記載の半導体装置において、
平面視において、前記第5半導体領域は前記第3半導体領域を囲んでいる、半導体装置。
【請求項9】
請求項1記載の半導体装置において、
前記埋込層の不純物濃度は、前記第1半導体領域および前記基板領域のそれぞれの不純物濃度よりも高い、半導体装置。
【請求項10】
請求項9記載の半導体装置において、
前記第1半導体領域の不純物濃度は、前記基板領域の不純物濃度よりも高い、半導体装置。
【請求項11】
請求項1記載の半導体装置において、
前記半導体基板は、
前記第3半導体領域に互いに離間して形成された、前記第1トランジスタの前記第1導電型のソース領域および前記第1トランジスタの前記第1導電型のドレイン領域と、
前記第4半導体領域に形成された第1ウエル領域と、
前記第1ウエル領域に互いに離間して形成された、前記第2トランジスタの第2ソース領域および前記第2トランジスタの第2ドレイン領域と、
を有し、
前記ソース領域と前記ドレイン領域との間の前記半導体基板の前記表面上にゲート絶縁膜を介して前記第1トランジスタの第1ゲート電極が形成され、
前記第2ソース領域と前記第2ドレイン領域との間の前記半導体基板の前記表面上に第2ゲート絶縁膜を介して前記第2トランジスタの第2ゲート電極が形成されている、半導体装置。
【請求項12】
請求項1記載の半導体装置において、
前記半導体基板における前記第3半導体領域および前記第5半導体領域の下方の領域は、全て前記第1導電型の領域となっている、半導体装置。
【請求項13】
請求項1記載の半導体装置において、
前記半導体基板には、STI領域と、前記STI領域よりも深いDTI領域とが形成されている、半導体装置。
【請求項14】
請求項13記載の半導体装置において、
前記第3半導体領域に形成された前記DTI領域は、前記第3半導体領域および前記埋込層を貫通して、前記第1半導体領域に達し、
前記第4半導体領域に形成された前記DTI領域は、前記第4半導体領域および前記埋込層を貫通して、前記第2半導体領域に達している、半導体装置。
【請求項15】
請求項1記載の半導体装置において、
前記半導体基板は、
前記第4半導体領域の側面を覆う前記第1導電型の第6半導体領域と、
前記第5半導体領域と前記第6半導体領域との間に介在する前記第2導電型の第7半導体領域と、
を更に有し、
前記第5半導体領域は前記第3半導体領域の側面を覆い、
前記第7半導体領域は、前記埋込層を貫通して前記第2半導体領域に達し、
前記第2半導体領域は前記第2導電型である、半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関し、例えば、電力スイッチング素子としてのトランジスタを有する半導体装置に好適に利用できるものである。
【背景技術】
【0002】
インバータ回路などの電力変換回路には、例えばLDMOSFET(Laterally Diffused Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)などの電力スイッチング素子が用いられる。電力スイッチング素子は半導体基板に形成されるが、電力スイッチング素子が形成された半導体基板に、他の回路を構成するトランジスタも一緒に形成する場合がある。
【0003】
特許文献1(特開2013-247120号公報)および非特許文献1には、アクティブバリア構造を備えた半導体装置に関する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-247120号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】T.Nitta et al., “Enhanced Active Protection Techniqe for Substrate Minority Carrier Injection in Smart IC”, Proceedings of the 2012 24th International Symposium on Power Semiconductor Devices and ICs.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電力スイッチング素子を有する半導体装置において、できるだけ性能を向上させることが望まれる。
【0007】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施の形態によれば、半導体装置は、半導体基板と、前記半導体基板の表面の第1素子領域に形成された第1導電型の第1トランジスタと、前記半導体基板の前記表面の第2素子領域に形成された第2トランジスタと、を有している。半導体装置を構成する前記半導体基板は、前記半導体基板の裏面に達する前記第1導電型の基板領域と、前記基板領域上の互いに異なる位置に配置された第1半導体領域および第2半導体領域と、を有する。前記第1半導体基板は、前記第1導電型であり、前記第2半導体領域は、前記第1導電型または前記第1導電型とは反対の第2導電型である。前記半導体基板は、前記第1半導体領域上および前記第2半導体領域上に形成された前記第1導電型の埋込層と、前記埋込層上に互いに離間して形成された、前記第2導電型の第3半導体領域および前記第2導電型の第4半導体領域と、前記埋込層から前記表面に達する前記第1導電型の第5半導体領域と、を更に有する。第1コンタクトプラグが、前記第5半導体領域上に配置され、かつ、前記第5半導体領域と電気的に接続されている。前記第3半導体領域および前記第5半導体領域の下方には、前記埋込層と前記第1半導体領域と前記基板領域とが存在し、前記第4半導体領域の下方には、前記埋込層と前記第2半導体領域と前記基板領域とが存在する。平面視において、前記第1素子領域は前記第3半導体領域に内包され、平面視において、前記第2素子領域は前記第4半導体領域に内包され、平面視において、前記第3半導体領域と前記第4半導体領域との間に前記第5半導体領域が介在している。
【発明の効果】
【0009】
一実施の形態によれば、半導体装置の性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施の形態の半導体装置の要部断面図である。
図2】一実施の形態の半導体装置の要部平面図である。
図3】インバータ回路を示す回路図である。
図4】インバータ回路を示す回路図である。
図5】インバータ回路を示す回路図である。
図6】一実施の形態の半導体装置の要部断面図である。
図7】一実施の形態の半導体装置の説明図である。
図8】他の実施の形態の半導体装置の要部断面図である。
図9】他の実施の形態の半導体装置の要部断面図である。
図10】他の実施の形態の半導体装置の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0012】
以下、実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0013】
また、実施の形態で用いる図面においては、断面図であっても図面を見易くするためにハッチングを省略する場合もある。また、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。
【0014】
(実施の形態1)
<半導体装置の構造について>
本発明の一実施の形態の半導体装置を図面を参照して説明する。図1は、本実施の形態の半導体装置の要部断面図である。図2は、本実施の形態の半導体装置の要部平面図である。図2のA-A線の断面図が、図1にほぼ対応している。
【0015】
本実施の形態の半導体装置は、インバータ回路などの電力変換回路に用いられる電力スイッチング素子を有する半導体装置であり、ここでは、電力スイッチング素子を構成するトランジスタとしてLDMOSFETを有している。
【0016】
なお、本願において、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)またはLDMOSFETというときは、ゲート絶縁膜に酸化膜(酸化シリコン膜)を用いたMISFETだけでなく、酸化膜(酸化シリコン膜)以外の絶縁膜をゲート絶縁膜に用いたMISFETも含むものとする。また、LDMOSFETは、MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)素子の一種である。また、LDMOSFETは、HV-MOSFET(High Voltage Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)あるいはDEMOSFET(Drain Extended Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)と呼ばれる場合もある。
【0017】
また、nチャネル型のMISFET(トランジスタ)は、n型のMISFET(トランジスタ)とみなすことができ、pチャネル型のMISFET(トランジスタ)は、p型のMISFET(トランジスタ)とみなすことができる。この場合のn型とは、オン時のチャネルの導電型がn型であるという意味であり、p型とは、オン時のチャネルの導電型がp型であるという意味である。以下では、素子領域1Aに形成されるトランジスタがn型(nチャネル型)のトランジスタである場合について説明する。
【0018】
以下、本実施の形態の半導体装置の構造について、図1を参照して具体的に説明する。
【0019】
本実施の形態の半導体装置を構成する半導体基板SBは、単結晶シリコンなどからなる半導体基板である。半導体基板SBは、互いに反対側に位置する主面である表面SBaおよび裏面SBbを有している。半導体基板SBの表面SBaは、電力変換回路の電力スイッチング素子として機能するトランジスタ(ここではLDMOSFET1)が形成された領域である素子領域1Aと、他の回路(例えば情報処理回路またはアナログ回路)を構成するMISFET2が形成された領域である素子領域2Aとを含んでいる。素子領域1Aに形成されるトランジスタ(ここではLDMOSFET1)の耐圧は、素子領域2Aに形成されるトランジスタ(ここではMISFET2)の耐圧よりも高い。また、素子領域1Aに形成されるトランジスタ(ここではLDMOSFET1)の動作電圧は、素子領域2Aに形成されるトランジスタ(ここではMISFET2)の動作電圧よりも高い。
【0020】
半導体基板SBの表面SBaには、必要に応じて、STI(Shallow Trench Isolation)法を用いてSTI領域(素子分離領域)3が形成されている。STI領域3は、半導体基板SBに形成された溝に埋め込まれた絶縁体(絶縁膜)からなる。
【0021】
半導体基板SBは、半導体基板SBの裏面SBbに達するn型基板領域KBと、n型基板領域KB上の互いに異なる位置に配置されたn型半導体領域WL1および半導体領域WL2と、n型半導体領域WL1上および半導体領域WL2上に形成されたn型埋込層BLと、n型埋込層BL上に互いに離間して形成されたp型半導体領域EP1およびp型半導体領域EP2と、を有している。
【0022】
n型基板領域KBは、半導体基板SBのベースとなるn型半導体基板により形成されている。n型基板領域KBの厚さ(半導体基板SBの裏面SBbからの厚さ)は、ほぼ均一である。本実施の形態の半導体装置を製造する際には、p型の半導体基板ではなく、n型の半導体基板が用いられる。
【0023】
n型半導体領域WL1は、n型の半導体領域であり、半導体領域WL2は、n型またはp型の半導体領域である。すなわち、半導体領域WL2の導電型は、任意である。n型半導体領域WL1および半導体領域WL2は、それぞれn型基板領域KB上に形成されているが、n型半導体領域WL1と半導体領域WL2とは、n型基板領域KB上の互いに異なる位置に形成されている。このため、n型半導体領域WL1と半導体領域WL2とは、平面視において重なっていない。n型半導体領域WL1の下面は、n型基板領域KBに接し、また、半導体領域WL2の下面は、n型基板領域KBの上面と接している。p型半導体領域EP1およびn型半導体領域DN1は、平面視において、n型半導体領域WL1に内包されている。
【0024】
なお、平面視とは、半導体基板SBの表面SBaに略平行な平面で見た場合に対応している。
【0025】
図1の場合は、n型半導体領域WL1(の側面)と半導体領域WL2(の側面)とは、互いに隣接している。半導体領域WL2がp型の場合は、半導体領域WL2とn型半導体領域WL1との境界には、PN接合が形成される。半導体領域WL2がn型の場合は、n型半導体領域WL1と半導体領域WL2との両方がn型の半導体領域となり、n型半導体領域WL1と半導体領域WL2との間にPN接合は形成されない。半導体領域WL2がn型の場合は、n型半導体領域WL1の不純物濃度(n型不純物濃度)と半導体領域WL2の不純物濃度(n型不純物濃度)とは、同じであっても、異なっていてもよい。このため、半導体領域WL2がn型の場合は、n型半導体領域WL1と半導体領域WL2との間に境界はあっても無くてもよく、n型半導体領域WL1と半導体領域WL2とを合わせたもの全体を、1つのn型半導体領域とみなすこともできる。
【0026】
n型基板領域KBとn型半導体領域WL1とn型埋込層BLとは、同じ導電型(n型)である。n型半導体領域WL1の不純物濃度(n型不純物濃度)は、n型基板領域KBの不純物濃度(n型不純物濃度)よりも高い。また、n型埋込層BLの不純物濃度(n型不純物濃度)は、n型半導体領域WL1の不純物濃度(n型不純物濃度)およびn型基板領域KBの不純物濃度(n型不純物濃度)のそれぞれよりも高い。
【0027】
n型半導体領域WL1上に位置する部分のn型埋込層BLの下面は、n型半導体領域WL1の上面と接しており、半導体領域WL2上に位置する部分のn型埋込層BLの下面は、半導体領域WL2の上面と接している。半導体領域WL2がp型の場合には、n型埋込層BLと半導体領域WL2との境界には、PN接合が形成されるが、半導体領域WL2がn型の場合には、n型埋込層BLと半導体領域WL2との境界に、PN接合は形成されない。
【0028】
半導体基板SBは、更に、n型埋込層BLから半導体基板SBの表面SBaに達するn型半導体領域DNを有している。n型半導体領域DNは、n型埋込層BLから半導体基板SBの表面SBaにかけて、半導体基板SBの厚さ方向に延在しており、n型半導体領域DNの下面(底面)は、n型埋込層BLの上面に接し、n型半導体領域DNの上面は、半導体基板SBの表面SBaに達している。平面視において、p型半導体領域EP1とp型半導体領域EP2との間に、n型半導体領域DNが介在している。より具体的には、平面視において、n型半導体領域DNは、p型半導体領域EP1を囲んでいる。平面視において、n型半導体領域DNはp型半導体領域EP1を囲むように形成されているが、n型半導体領域DNはp型半導体領域EP1,EP2のそれぞれを囲むように形成してもよい。
【0029】
なお、以下では、平面視においてp型半導体領域EP1を囲むn型半導体領域DNを、符号DN1を付してn型半導体領域DN1と称し、平面視においてp型半導体領域EP1を囲む部分以外のn型半導体領域DNを、符号DN2を付してn型半導体領域DN2と称することとする。n型半導体領域DN1は、p型半導体領域EP1の側面を覆っている。n型半導体領域DN1,DN2は、いずれもn型埋込層BLから半導体基板SBの表面SBaに達するように形成されているが、n型半導体領域DN1は、p型半導体領域EP1と隣接しているが、p型半導体領域EP2は、p型半導体領域EP1と隣接していない。n型半導体領域DN1とn型半導体領域DN2とは、互いにつながっている場合と、互いに分離されているいる場合とがあり得る。平面視において、p型半導体領域EP1の周囲はn型半導体領域DN1で囲まれているため、平面視において、p型半導体領域EP1とp型半導体領域EP2との間には、n型半導体領域DN1が介在している。別の見方をすると、平面視において、p型半導体領域EP1とp型半導体領域EP2とは、n型半導体領域DN1を介して隣り合っている。
【0030】
p型半導体領域EP1の底面は、n型埋込層BLと接し、p型半導体領域EP1の側面は、n型半導体領域DN1と接している。言い換えると、p型半導体領域EP1の底面は、n型埋込層BLで覆われ、p型半導体領域EP1の側面は、n型半導体領域DN1で覆われている。また、p型半導体領域EP2の底面は、n型埋込層BLと接し、p型半導体領域EP2の側面は、n型半導体領域DN(n型半導体領域DN1またはn型半導体領域DN2)と接している。言い換えると、p型半導体領域EP2の底面は、n型埋込層BLで覆われ、p型半導体領域EP2の側面は、n型半導体領域DN(n型半導体領域DN1またはn型半導体領域DN2)で覆われている。
【0031】
p型半導体領域EP1とp型半導体領域EP2とn型半導体領域DNとは、いずれもn型埋込層BL上に形成されているが、n型埋込層BL上の互いに異なる位置に形成されているため、平面視において互いに重なってはいない。
【0032】
p型半導体領域EP1およびn型半導体領域DN1の下方には、n型埋込層BLとn型半導体領域WL1とn型基板領域KBとがこの順序で存在し、また、p型半導体領域EP2の下方には、n型埋込層BLと半導体領域WL2とn型基板領域KBとがこの順序で存在している。このため、半導体基板SBにおいて、p型半導体領域EP1およびn型半導体領域DN1の下方の領域は、全てn型となっており、p型半導体領域EP1およびn型半導体領域DN1の下方に、p型半導体領域は存在していない。
【0033】
素子領域1Aは、平面視において、p型半導体領域EP1に内包され、また、素子領域2Aは、平面視において、p型半導体領域EP2に内包されている。このため、素子領域1Aに形成されたLDMOSFET1のn型ソース領域SR1、n型ドレイン領域DR1およびチャネル形成領域(チャネルが形成される領域)は、平面視において、p型半導体領域EP1内に形成されている。また、素子領域2Aに形成されたMISFET2のソース領域SR2、ドレイン領域DR2およびチャネル形成領域は、平面視において、p型半導体領域EP2内に形成されている。
【0034】
次に、素子領域1Aに形成されたLDMOSFET1の構成について説明する。LDMOSFET1は、n型(nチャネル型)のMISFET(トランジスタ)である。
【0035】
半導体基板SBにおいて、p型半導体領域EP1の上部(上層部)には、n型半導体領域(n型ドリフト層、n型ウエル)NDとp型半導体領域(p型ボディ領域、p型ウエル)PBとが形成されている。n型半導体領域NDとp型半導体領域PBとは、LDMOSFET1のゲート長方向において、互いに隣接している。なお、LDMOSFET1のゲート長方向は、LDMOSFET1のゲート電極GE1のゲート長方向に対応し、LDMOSFET1のゲート幅方向は、LDMOSFET1のゲート電極GE1のゲート幅方向に対応している。n型半導体領域NDとp型半導体領域PBのうち、n型半導体領域NDがLDMOSFET1のドレイン側に位置し、p型半導体領域PBがLDMOSFET1のソース側に位置している。n型半導体領域NDとp型半導体領域PBとは、それぞれ半導体基板SBの表面SBaに達している。n型半導体領域NDおよびp型半導体領域PBのそれぞれの底面は、p型半導体領域EP1に接している。n型半導体領域NDとp型半導体領域EP1との境界には、PN接合が形成されている。p型半導体領域PBの不純物濃度(p型不純物濃度)は、p型半導体領域EP1の不純物濃度(p型不純物濃度)よりも高い。
【0036】
p型半導体領域PBは、後述するn型ソース領域SR1とp型半導体領域PRとを囲むように形成されている。p型半導体領域PBは、バックゲートとして機能することができる。p型半導体領域PBは、LDMOSFETのドレインからソースへの空乏層の延びを抑えるパンチスルーストッパとしての機能も有することができる。n型ソース領域SR1とn型ドレイン領域DR1との間において、ゲート電極GE1の下に位置する部分のp型半導体領域PBの上部(上層部)が、LDMOSFETのチャネル形成領域となる。
【0037】
半導体基板SBにおいて、p型半導体領域PB内に、n型ソース領域SR1およびp型半導体領域PRが形成されている。n型ソース領域SR1は、LDMOSFET1のソース領域として機能するn型半導体領域である。p型半導体領域PRの不純物濃度(p型不純物濃度)は、p型半導体領域PBの不純物濃度(p型不純物濃度)よりも高い。LDMOSFET1のゲート長方向において、p型半導体領域PRはn型ソース領域SR1と隣接している。p型半導体領域PRおよびn型ソース領域SR1のうち、LDMOSFET1のチャネル形成領域に隣接する側にソース領域SR1が位置し、LDMOSFET1のチャネル形成領域から遠い側にp型半導体領域PRが位置している。p型半導体領域PBの底面とn型ソース領域SR1の底面は、p型半導体領域PBと接している。また、n型ソース領域SR1におけるp型半導体領域PRに隣接する側とは反対側の側面は、p型半導体領域PBと接している。p型半導体領域PBの上面とn型ソース領域SR1の上面は、半導体基板SBの表面SBaに達している。p型半導体領域PRは、p型半導体領域PBのコンタクト部として機能することができる。
【0038】
n型半導体領域ND内に、n型ドレイン領域(n型半導体領域)DR1が形成されている。n型ドレイン領域DR1は、LDMOSFET1のドレイン領域として機能するn型半導体領域である。n型ドレイン領域DR1の上面は、半導体基板SBの表面SBaに達している。n型ドレイン領域DR1の不純物濃度(n型不純物濃度)は、n型半導体領域NDの不純物濃度(n型不純物濃度)よりも高い。n型ドレイン領域DR1とn型ソース領域SR1とは、LDMOSFET1のゲート長方向において、互いに離間している。
【0039】
半導体基板SBの表面SBa上には、ゲート絶縁膜GF1を介して、LDMOSFET1のゲート電極GE1が形成されている。具体的には、ゲート電極GE1は、n型ソース領域SR1とn型ドレイン領域DR1との間の半導体基板SBの表面SBa上にゲート絶縁膜GF1を介して形成されている。ゲート絶縁膜GF1は、例えば酸化シリコン膜からなる。ゲート電極GE1は、例えば、多結晶シリコン膜(ドープトポリシリコン膜)の単体膜あるいは多結晶シリコン膜と金属シリサイド層との積層膜などからなる。
【0040】
平面視において、LDMOSFET1のチャネル形成領域とn型半導体領域NDとの間には、STI領域3が配置されており、ゲート電極GE1の一部(ドレイン側の一部)は、このSTI領域3上に乗り上げている。すなわち、ゲート電極GE1の一部は、STI領域3上に位置している。LDMOSFET1のチャネル形成領域とn型半導体領域NDとの間に介在するSTI領域3の下には、n型半導体領域NDが存在している。n型ドレイン領域DR1の底面は、n型半導体領域NDと接し、n型ドレイン領域DR1の側面は、STI領域3と接している。このため、STI領域3の下のn型半導体領域NDも、LDMOSFET1のチャネルとn型半導体領域NDとの間の導通経路として機能することができる。
【0041】
なお、図1では、STI領域3とゲート電極GE1との間にゲート絶縁膜GF1が介在する場合が示されているが、STI領域3とゲート電極GE1との間にゲート絶縁膜GF1が介在しない場合もあり得る。また、ゲート電極GE1の両側面上には、絶縁膜(例えば酸化シリコン膜)からなるサイドウォールスペーサ(図示せず)が形成されていてもよい。
【0042】
p型半導体領域PBの一部はゲート電極GE1の下方に位置し、n型半導体領域NDの一部はゲート電極GE1の下方に位置している。p型半導体領域PBとn型半導体領域NDとの境界には、PN接合が形成されている。この境界は、LDMOSFET1のゲート長方向において、ゲート電極GE1の途中に位置している。この境界は、ゲート電極GE1の下方に位置するとともに、LDMOSFET1のゲート幅方向に延在している。
【0043】
平面視において、ゲート電極GE1はn型ソース領域SR1とn型ドレイン領域DR1との間に配置されている。ゲート電極GE1に閾値電圧以上の電圧が印加されると、ゲート電極GE1の下に位置する部分のp型半導体領域PBの上部(上層部)にn型反転層が形成される。n型反転層はチャネルとなる。n型ソース領域SR1とn型ドレイン領域DR1とが、チャネルおよびn型半導体領域NDを通じて導通する。
【0044】
LDMOSFET1のゲート長方向において、p型半導体領域PBとn型ドレイン領域DR1との間には、n型ドレイン領域DR1よりも不純物濃度(n型不純物濃度)が低いn型半導体領域NDが介在している。このため、LDMOSFET1のチャネル形成領域とn型ドレイン領域DR1との間には、n型ドレイン領域DR1よりも低不純物濃度のn型半導体領域NDが存在し、そのn型半導体領域NDは、n型ドリフト領域として機能することができる。従って、LDMOSFET1のゲート長方向において、n型ソース領域SR1とn型ドレイン領域DR1との間には、チャネル形成領域とn型半導体領域ND(n型ドリフト領域)とが存在し、n型ソース領域SR1側にチャネル形成領域が位置し、n型ドレイン領域DR1側にn型半導体領域NDが位置している。また、n型半導体領域NDおよびp型半導体領域PBの下のp型半導体領域EP1は、リサーフ層(リサーフ領域)として機能することができる。
【0045】
次に、素子領域2Aに形成されたMISFET2の構成について説明する。
【0046】
半導体基板SBにおいて、p型半導体領域EP2の上部(上層部)には、p型ウエル(p型半導体領域)PWが形成されている。p型ウエルPWは、半導体基板SBの表面SBaに達している。p型ウエルPWの底面は、p型半導体領域EP2に接している。p型ウエルPWの不純物濃度(p型不純物濃度)は、p型半導体領域EP2の不純物濃度(p型不純物濃度)よりも高い。
【0047】
半導体基板SBにおいて、p型ウエルPW内に、n型ソース領域SR2およびn型ドレイン領域DR2が形成されている。n型ソース領域SR2は、MISFET2のソース領域として機能するn型半導体領域であり、n型ドレイン領域DR2は、MISFET2のドレイン領域として機能するn型半導体領域である。n型ドレイン領域DR2とn型ソース領域SR2とは、MISFET2のゲート長方向において、互いに離間している。なお、MISFET2のゲート長方向は、MISFET2のゲート電極GE2のゲート長方向に対応し、MISFET2のゲート幅方向は、MISFET2のゲート電極GE2のゲート幅方向に対応している。n型ソース領域SR2およびn型ドレイン領域DR2の各上面は、半導体基板SBの表面SBaに達している。n型ソース領域SR2およびn型ドレイン領域DR2の各底面と各側面は、p型ウエルPWと接している。
【0048】
n型ソース領域SR2とn型ドレイン領域DR2との間の半導体基板SBの表面SBa上(すなわちp型ウエルPW上)に、ゲート絶縁膜GF2を介してゲート電極GE2が形成されている。ゲート絶縁膜GF2は、例えば酸化シリコン膜からなる。ゲート電極GE2は、例えば、多結晶シリコン膜(ドープトポリシリコン膜)の単体膜あるいは多結晶シリコン膜と金属シリサイド層との積層膜などからなる。ゲート電極GE2の両側面上には、絶縁膜(例えば酸化シリコン膜)からなるサイドウォールスペーサ(図示せず)が形成されていてもよい。
【0049】
また、本実施の形態では、半導体基板SBにDTI(Deep Trench Isolation)領域4が形成されている。DTI領域4は、半導体基板SBに形成された溝に埋め込まれた絶縁体(絶縁膜)からなる。DTI領域4の深さは、STI領域3の深さよりも深い。すなわち、DTI領域4の底面の深さ位置は、STI領域3の底面の深さよりも深い。図1の場合は、DTI領域4の底面は、半導体領域WL1,WL2の厚さの途中に位置している。
【0050】
平面視において、素子領域1Aを囲むようにDTI領域4が配置され、また、素子領域2Aを囲むようにDTI領域4が配置されている。素子領域1Aを囲むように配置されたDTI領域4は、p型半導体領域EP1とその下のn型埋込層BLとを貫通して、半導体領域WL1に達しており、DTI領域4の底面は、半導体領域WL1の厚さの途中に位置している。また、素子領域2Aを囲むように配置されたDTI領域4は、p型半導体領域EP2とその下のn型埋込層BLとを貫通して、半導体領域WL2に達しており、DTI領域4の底面は、半導体領域WL2の厚さの途中に位置している。素子領域1Aを囲むように配置されたDTI領域4は、素子領域1Aを電気的に分離する機能を有し、素子領域2Aを囲むように配置されたDTI領域4は、素子領域2Aを電気的に分離する機能を有している。
【0051】
また、n型ドレイン領域DR1、n型ソース領域SR1、p型半導体領域PR、n型半導体領域DN(特にn型半導体領域DN1)、n型ドレイン領域DR2およびn型ソース領域SR2の各上部(表層部)に、それぞれ金属シリサイド層(図示せず)が形成されている場合もあり得る。この金属シリサイド層は、サリサイド(Salicide:Self Aligned Silicide)技術を用いて形成することができる。
【0052】
次に、半導体基板SB上の構造について説明する。
【0053】
半導体基板SBの表面SBa上には、ゲート電極GE1,GE2を覆うように、絶縁膜として層間絶縁膜ILが形成されている。層間絶縁膜ILは、例えば酸化シリコン膜からなる。相対的に薄い窒化シリコン膜と、該窒化シリコン上の相対的に厚い酸化シリコン膜との積層膜により、層間絶縁膜ILを形成することもできる。層間絶縁膜ILの上面は平坦化されている。
【0054】
層間絶縁膜ILには、コンタクトホール(貫通孔)が形成され、コンタクトホール内には、タングステン(W)膜を主体とする導電性のプラグ(コンタクトプラグ)PGが形成されている(埋め込まれている)。プラグPGは複数設けられており、各プラグPGは層間絶縁膜ILを貫通している。プラグPGは、n型ソース領域SR1、n型ドレイン領域DR1、p型半導体領域PR、n型半導体領域DN1、n型ソース領域SR2およびn型ドレイン領域DR2のそれぞれ上に形成されている。
【0055】
ここで、n型ドレイン領域DR1上に配置されてそのn型ドレイン領域DR1と電気的に接続されたプラグPGを、プラグPGDと称することとする。また、n型半導体領域DN1上に配置されてそのn型半導体領域DN1と電気的に接続されたプラグPGを、プラグPGNと称することとする。
【0056】
また、プラグPGは、ゲート電極GE1,GE2のそれぞれ上にも配置され得るが、図1の断面図では、ゲート電極GE1,GE2上のプラグPGは図示されない。
【0057】
n型ドレイン領域DR1上に配置されたプラグPGは、n型ドレイン領域DR1と接することで、n型ドレイン領域DR1と電気的に接続される。n型ソース領域SR1上に配置されたプラグPGは、n型ソース領域SR1と接することで、n型ソース領域SR1と電気的に接続される。p型半導体領域PR上に配置されたプラグPGは、p型半導体領域PRと接することで、p型半導体領域PRと電気的に接続され、更にそのp型半導体領域PRを介してp型半導体領域PBと電気的に接続される。n型半導体領域DN1上に配置されたプラグPGNは、n型半導体領域DN1と接することで、n型半導体領域DN1と電気的に接続される。n型ソース領域SR2上に配置されたプラグPGは、n型ソース領域SR2と接することで、n型ソース領域SR2と電気的に接続される。n型ドレイン領域DR2上に配置されたプラグPGは、n型ドレイン領域DR2と接することで、n型ドレイン領域DR2と電気的に接続される。
【0058】
なお、n型ドレイン領域DR1、n型ソース領域SR1、p型半導体領域PR、n型半導体領域DN1、n型ドレイン領域DR2およびn型ソース領域SR2の各上部(表層部)に金属シリサイド層(図示せず)を形成した場合は、各プラグPGはその金属シリサイド層と接し、その金属シリサイド層を介して金属シリサイド層の下の各領域に電気的に接続される。
【0059】
プラグPGが埋め込まれた層間絶縁膜IL上には、アルミニウム(Al)またはアルミニウム合金などを主体とする導電膜からなる配線(第1層配線)M1が形成されている。配線M1は、アルミニウム配線が好適であるが、他の金属材料を用いた配線、例えばタングステン配線または銅配線とすることもできる。各プラグPGは、配線M1と電気的に接続される。
【0060】
配線M1は、プラグPGを介してn型ソース領域SR1に電気的に接続するソース配線M1Sと、プラグPGDを介してn型ドレイン領域DR1に電気的に接続するドレイン配線M1Dと、プラグPGNを介してn型半導体領域DN1に電気的に接続する配線M1Nと、を有している。
【0061】
ソース配線M1Sは、p型半導体領域PR上に配置されたプラグPGを介してp型半導体領域PRと電気的に接続されている。すなわち、ソース配線M1Sは、n型ソース領域SR1上に配置されたプラグPGとp型半導体領域PR上に配置されたプラグPGの両方に電気的に接続されている。このため、n型ソース領域SR1上に配置されたプラグPGからn型ソース領域SR1に供給される電位と、p型半導体領域PR上に配置されたプラグPGからp型半導体領域PRに供給される電位とは、互いに同じである。従って、ソース配線M1SからプラグPG(n型ソース領域SR上に配置されたプラグPG)を介してn型ソース領域SR1に供給される電位(ソース電位)と同じ電位が、ソース配線M1SからプラグPG(p型半導体領域PR上に配置されたプラグPG)を介してp型半導体領域PRに供給され、更にp型半導体領域PRからp型半導体領域PBに供給される。
【0062】
配線M1は、プラグPGを介してn型ソース領域SR2に電気的に接続する配線と、プラグPGを介してn型ドレイン領域DR2に電気的に接続する配線も有している。また、配線M1は、プラグPGを介してゲート電極GE1に電気的に接続するゲート配線と、プラグPGを介してゲート電極GE2に電気的に接続するゲート配線とを更に有しているが、それらのゲート配線は、図1の断面図では図示されない。
【0063】
層間絶縁膜ILおよび配線M1よりも上層の構造については、ここではその図示および説明は省略する。
【0064】
また、素子領域1Aに形成されたLDMOSFET1は、複数の単位LDMOSFETを並列に接続した構成であってもよい。また、素子領域2Aに形成されたMISFET2は、単数であっても複数であってもよい。
【0065】
また、本実施の形態では、素子領域2Aにnチャネル型のMISFET2を形成した場合について説明したが、素子領域2Aにnチャネル型のMISFET2の代わりにpチャネル型のMISFETを形成することもできる。その場合は、上記p型ウエルPWはn型ウエルとなり、上記n型ソース領域SR2およびn型ドレイン領域DR2は、p型ソース領域およびp型ドレイン領域となる。また、素子領域2Aに、nチャネル型のMISFETとpチャネル型のMISFETの両方を形成することもできる。
【0066】
<検討の経緯について>
図3は、電力変換回路の一例としてのインバータ回路INVを示す回路図である。
【0067】
図3に示されるインバータ回路INVは、直列に接続されたパワートランジスタ(ハイサイドトランジスタ)TR1とパワートランジスタ(ロウサイドトランジスタ)TR2とを有している。パワートランジスタTR1,TR2は、電力スイッチング素子であり、パワートランジスタTR1は、ハイサイドスイッチ(高電位側スイッチ)用のトランジスタであり、パワートランジスタTR2は、ロウサイドスイッチ(低電位側スイッチ)用のトランジスタである。本実施の形態の半導体装置が備えるLDMOSFET1は、パワートランジスタTR1またはパワートランジスタTR2として用いることができる。
【0068】
パワートランジスタTR1とパワートランジスタTR2とは、端子T1と端子T2との間に直列に接続されており、パワートランジスタTR1のドレイン(D1)が端子T1と接続され、パワートランジスタTR1のソース(S1)がパワートランジスタTR2のドレイン(D2)と接続され、パワートランジスタTR2のソース(S2)が端子T2と接続されている。端子T3は、パワートランジスタTR1のソース(S1)とパワートランジスタTR2のドレイン(D2)の両方に、電気的に接続されている。端子T1には、電源(バッテリ)などから電源電位(VIN)が供給される。端子T2には、電源電位よりも低い基準電位、例えばグランド電位(GND)が供給される。端子T3は、出力用の端子である。端子T3は、負荷に接続されるが、例えばモータなどで用いられるコイルCLに接続される。
【0069】
パワートランジスタTR1のゲート(G1)とパワートランジスタTR2のゲート(G2)は、駆動回路に接続され、駆動回路からパワートランジスタTR1,TR2の各ゲート(G1,G2)にゲート電圧が供給される。パワートランジスタTR1のゲート(G1)に供給されるゲート電圧と、パワートランジスタTR2のゲート(G2)に供給されるゲート電圧とを制御することにより、パワートランジスタTR1,TR2の動作を制御することができる。
【0070】
ここで、図3に示されるインバータ回路INVの動作の一部について説明する。
【0071】
インバータ回路INVのスタンバイ時には、パワートランジスタTR1のゲート電圧とパワートランジスタTR2のゲート電圧は、それぞれ閾値電圧よりも低い(例えば0V)ため、パワートランジスタTR1,TR2はどちらもオフ状態(非導通状態)となり、コイルCLに電流は流れない。
【0072】
次に、パワートランジスタTR2のゲート電圧を閾値電圧よりも低く(例えば0V)したままで、パワートランジスタTR1のゲート(G1)に閾値電圧以上のゲート電圧を供給すると、パワートランジスタTR1はオン状態(導通状態)となり、パワートランジスタTR2はオフ状態(非導通状態)となる。図4の回路図は、この状態が示されている。この状態(図4)では、電源電圧VINが供給される端子T1から、パワートランジスタTR1および端子T3を通って、コイルCLに電流IONが流れる。
【0073】
次に、パワートランジスタTR2のゲート電圧を閾値電圧よりも低く(例えば0V)したままで、パワートランジスタTR1のゲート電圧を閾値電圧以上の電圧から閾値電圧よりも低い電圧(例えば0V)に低下させた場合を考える。この場合、パワートランジスタTR1がオンで、かつ、パワートランジスタTR2がオフの状態から、パワートランジスタTR1,TR2はどちらもオフの状態に移行する。このとき、コイルCLの磁束密度の変化を抑制するような起電力が働き、端子T3が負電位となって端子T3からコイルCLに電流IOFが流れる過渡的な状態が発生する。図5の回路図は、この過渡的な状態が示されている。この過渡的な状態(端子T3が負電位となる状態)は、時間の経過とともに収まって解消される。すなわち、この過渡的な状態(端子T3が負電位となる状態)は、パワートランジスタTR1がオンで、かつ、パワートランジスタTR2がオフの状態から、パワートランジスタTR1,TR2がどちらもオフの状態に切り換えた時に、一時的に発生することになる。コイルCLに流れる電流IOFの供給源は、端子T2から、パワートランジスタTR2に形成される寄生ダイオードを通って端子T3に流れる電流と、パワートランジスタTR2が形成された半導体基板から端子T3側へ供給された電流とで構成される。つまり、図5に示される上記過渡的な状態(端子T3が負電位となる状態)では、パワートランジスタTR2が形成された半導体基板から端子T3側へ電流が供給されることを反映して、パワートランジスタTR2が形成された半導体基板において、パワートランジスタTR2のドレイン(D2)から半導体基板に電子が注入されることになる。
【0074】
上記過渡的な状態(端子T3が負電位となる状態)は、パワートランジスタTR2のソース(S2)がグランド電位(GND)で、パワートランジスタTR2のドレイン(D2)が負電位となる状態に対応している。パワートランジスタTR2として、本実施の形態の半導体装置のLDMOSFET1を用いた場合には、図5に示される上記過渡的な状態(端子T3が負電位となる状態)では、LDMOSFET1のドレイン領域(n型ドレイン領域DR1)が負電位となる。
【0075】
LDMOSFET1のドレイン領域(n型ドレイン領域DR1)が負電位になると、そのドレイン領域から半導体基板SB内に電子が注入される。別の見方をすると、n型ドレイン領域DR1から半導体基板SB内に電子が注入されることを反映して、ホール(正孔)がn型ドレイン領域DR1からプラグPGD1に移動し、更にドレイン配線M1D1などを通って半導体装置の外部の端子T3に移動することで、端子T3からコイルCLに電流IOFが流れ得る。
【0076】
LDMOSFET1のドレイン領域(n型ドレイン領域DR1)が負電位になったときに、LDMOSFET1のドレイン領域(n型ドレイン領域DR1)から半導体基板SB内に電子が注入されることに起因して、素子領域2Aに形成されているMISFET2に悪影響が生じてしまうことは、半導体装置の性能の低下を招くため、望ましくない。
【0077】
図6は、本発明者が検討した検討例の半導体装置の断面図であり、図1に相当する断面が示されている。
【0078】
図6に示される検討例の場合は、上記半導体基板SBに相当する半導体基板SB101は、以下の点が上記半導体基板SBと相違している。
【0079】
すなわち、図6に示される検討例の半導体装置を構成する半導体基板SB101は、上記n型基板領域KBに相当するp型基板領域KB101を有しているが、p型基板領域KB101は、n型ではなくp型である。p型基板領域KB101は、半導体基板SB101のベースとなる半導体基板により形成されている。このため、図6の検討例の半導体装置を製造する際には、p型の半導体基板が用いられる。また、検討例の半導体基板SB101において、p型基板領域SB101とn型埋込層BLとの間のp型半導体領域WL101は、n型ではなくp型である。図6の検討例の場合は、上記n型半導体領域WL1と上記半導体領域WL2とを合わせたもの全体が、p型半導体領域WL101となっている。p型半導体領域WL101の不純物濃度(p型不純物濃度)は、p型基板領域KB101の不純物濃度(p型不純物濃度)よりも低い。n型埋込層BLとn型埋込層BLよりも上の構造については、図6の半導体基板SB101も上記図1の半導体基板SBとほぼ同様であるので、ここではその繰り返しの説明は省略する。
【0080】
このため、図6の場合は、半導体基板SB101において、p型半導体領域EP1およびn型半導体領域DN1の下方には、n型埋込層BLとp型半導体領域WL101とp型基板領域KB101とがこの順序で存在している。また、図6の場合は、半導体基板SB101において、p型半導体領域EP2の下方には、n型埋込層BLとp型半導体領域WL101とp型基板領域KB101とがこの順序で存在している。従って、図6の場合は、半導体基板SB101において、p型半導体領域EP1およびn型半導体領域DN1の下にn型埋込層BLが存在し、更にその下には、n型ではなくp型の領域(p型半導体領域WL101およびp型基板領域KB101)が存在している。
【0081】
ここで、図6の検討例の半導体装置の課題について説明する。
【0082】
図2図4を参照して説明したように、素子領域1Aに形成されたLDMOSFET1をロウサイドスイッチ用のパワートランジスタTR2として用いた場合には、LDMOSFET1のドレイン領域(n型ドレイン領域DR1)が負電位となる場合がある。n型ドレイン領域DR1が負電位になったときには、n型ドレイン領域DR1から半導体基板SB101に電子が注入されるが、注入された電子は、p型半導体領域EP1を通ってp型半導体領域EP1の下のn型埋込層BLに注入され、更にn型埋込層BLからn型埋込層BLの下のp型半導体領域WL101およびp型基板領域KB101に電子が注入される。n型ドレイン領域DR1が負電位になると、その影響でp型半導体領域EP1の下のn型埋込層BLも負電位になりやすいことも、p型半導体領域EP1の下のn型埋込層BLから、その下のp型半導体領域WL101およびp型基板領域KB101に電子が注入される現象を促進させる。p型の半導体領域では、ホールが多数キャリアで、電子は少数キャリアである。このため、p型半導体領域EP1の下のn型埋込層BLからその下のp型領域(p型半導体領域WL101およびp型基板領域KB101)に電子が注入されると、注入された電子は、少数キャリアとして振舞うため、ホールと再結合して消滅するまでは、p型領域内を拡散によって移動し得る。このため、p型半導体領域EP1の下のn型埋込層BLからその下のp型領域(p型半導体領域WL101およびp型基板領域KB101)に電子が注入されると、注入された電子は、n型埋込層BLの下のp型領域(p型半導体領域WL101およびp型基板領域KB101)内をかなりの距離、移動する可能性がある。その結果、電子がn型埋込層BLの下のp型領域(p型半導体領域WL101およびp型基板領域KB101)内を、p型半導体領域EP2の下方の位置まで移動し、n型埋込層BLを通ってp型半導体領域EP2に注入される可能性がある。つまり、図6の場合、LDMOSFET1のドレイン領域(n型ドレイン領域DR1)が負電位になると、そのドレイン領域から半導体基板SBに電子が注入され、電子が図6の矢印YG101の経路で移動して、p型半導体領域EP2に注入される可能性がある。電子が図6の矢印YG101の経路で移動して、p型半導体領域EP2に注入されることは、素子領域2Aに形成されたMISFET2の特性に影響を与える虞があり、半導体装置の性能低下につながるため、望ましくない。
【0083】
そこで、LDMOSFET1のドレイン領域(n型ドレイン領域DR1)が負電位になったときに、電子が図6の矢印YG101の経路で移動してp型半導体領域EP2に注入されることを防ぐために、素子領域1Aと素子領域2Aとの間の距離を大きくすることが考えられる。素子領域1Aと素子領域2Aとの間の距離を大きくするほど、LDMOSFET1のドレイン領域(n型ドレイン領域DR1)が負電位になったときに、電子が図6の矢印YG101の経路で移動してp型半導体領域EP2に注入される確率は低下する。しかしながら、素子領域1Aと素子領域2Aとの間の距離を大きくすることは、半導体装置の平面寸法を増大させ、半導体装置の大型化につながるため、望ましくない。
【0084】
このため、素子領域1Aと素子領域2Aとの間の距離を大きくしなくとも、LDMOSFET1のドレイン領域(n型ドレイン領域DR1)が負電位になったときに、電子が図6の矢印YG101の経路で移動してp型半導体領域EP2に注入されるのを防ぐことが望まれる。
【0085】
<主要な特徴と効果について>
図7は、本実施の形態の半導体装置の説明図である。図7は、上記図1と同じ断面が示されているが、理解を簡単にするために、図7では、層間絶縁膜ILおよび配線M1の図示は省略している。また、図7では、プラグPGD,PDN以外のプラグPGの図示も省略している。また、図7では、n型基板領域KBとn型半導体領域WL1とn型埋込層BLとにだけハッチングを付し、それ以外についてはハッチングを省略している。
【0086】
本実施の形態の半導体装置は、直列に接続されたハイサイドトランジスタ(上記パワートランジスタTR1)とロウサイドトランジスタ(上記パワートランジスタTR2)とを有する電力変換回路に用いることができる。素子領域1Aに形成されたLDMOSFET1は、ロウサイドトランジスタ(上記パワートランジスタTR2)またはハイサイドトランジスタ(上記パワートランジスタTR2)として用いることができるが、特に、ロウサイドトランジスタ(上記パワートランジスタTR2)として用いた場合に、図6の検討例を参照して説明した課題が発生することが懸念される。
【0087】
上記図3図5を参照して説明したように、素子領域1Aに形成されたLDMOSFET1をロウサイドスイッチ用のパワートランジスタTR2として用いた場合には、LDMOSFET1のドレイン領域(n型ドレイン領域DR1)が負電位となる場合がある。LDMOSFET1のドレイン領域(n型ドレイン領域DR1)が負電位になったときには、そのドレイン領域(n型ドレイン領域DR1)から半導体基板SBに電子が注入される。
【0088】
LDMOSFET1のドレイン領域(n型ドレイン領域DR1)から半導体基板SB内に電子が注入されることに起因して、半導体基板SBの素子領域2Aに形成されているMISFET2に悪影響が生じることは、半導体装置の性能の低下を招くため、望ましくない。本実施の形態では、以下の理由により、LDMOSFET1のドレイン領域(n型ドレイン領域DR1)が負電位になったときに、そのドレイン領域(n型ドレイン領域DR1)から半導体基板SBに電子が注入されても、半導体基板SBの素子領域2Aに形成されているMISFET2に悪影響が生じないようにしている。
【0089】
本実施の形態では、図1および図7に示されるように、半導体装置を構成する半導体基板SBにおいて、p型半導体領域EP1およびn型半導体領域DN1の下方には、n型埋込層BLとn型半導体領域WL1とn型基板領域KBとがこの順序で存在している。このため、半導体基板SBにおいて、p型半導体領域EP1およびn型半導体領域DN1の下方の領域は、全てn型の領域(n型埋込層BLとn型半導体領域WL1とn型基板領域KBとからなるn型の領域)となっている。
【0090】
LDMOSFET1のドレイン領域(n型ドレイン領域DR1)が負電位となったときには、そのドレイン領域から半導体基板SBに電子が注入されるが、注入された電子は、p型半導体領域EP1を通ってp型半導体領域EP1の下のn型の領域(n型埋込層BLとn型半導体領域WL1とn型基板領域KBとからなるn型の領域)に注入される。n型の半導体領域では、ホールが少数キャリアであり、電子は多数キャリアである。n型の領域に注入された電子は、多数キャリアとして振舞うため、n型の領域内に電位勾配が生じていると、その電位勾配に従って移動しやすい。
【0091】
そして、本実施の形態では、プラグPGNからn型半導体領域DN1に、p型半導体領域EP1よりも高い電位(具体的には正電位)が印加される。ここで、p型半導体領域PRとp型半導体領域PBとは互いに隣接し、また、p型半導体領域PBとp型半導体領域EP1とは互いに隣接しているため、p型半導体領域PRとp型半導体領域PBとp型半導体領域EP1とは互いに電気的に接続されている。このため、p型半導体領域PR上に配置されたプラグPGからp型半導体領域PRに供給された電位は、p型半導体領域PBおよびp型半導体領域EP1にも供給される。p型半導体領域PR上に配置されたプラグPGからp型半導体領域PRに供給される電位は、グランド電位(0V)であるため、p型半導体領域PBとp型半導体領域EP1の電位は、いずれも、ほぼグランド電位(0V)となっている。一方、プラグPGNからn型半導体領域DN1には、正電位を印加する。結果として、プラグPGNからn型半導体領域DN1に、p型半導体領域EP1よりも高い電位が印加されることになる。
【0092】
プラグPGNからn型半導体領域DN1に、p型半導体領域EP1よりも高い電位(具体的には正電位)を印加する。これにより、p型半導体領域EP1の下のn型の領域(n型埋込層BLとn型半導体領域WL1とn型基板領域KBとからなるn型の領域)と、n型半導体領域DN1の下のn型の領域(n型埋込層BLとn型半導体領域WL1とn型基板領域KBとからなるn型の領域)と、n型半導体領域DN1とにおいて、電位勾配が発生する。その電位勾配は、プラグPGNに近づくにしたがって電位が徐々に高くなるような電位勾配である。n型の領域では、多数キャリアである電子は電子勾配に従って移動するため、LDMOSFET1のドレイン領域(n型ドレイン領域DR1)が負電位となったときに、そのドレイン領域から半導体基板SBに注入された電子は、図7の矢印YGで示される経路で移動し、n型半導体領域DN1からプラグPGNに排出されることになる。すなわち、LDMOSFET1のドレイン領域からp型半導体領域EP1を通ってp型半導体領域EP1の下のn型埋込層BLに注入された電子は、n型半導体領域WL1とn型基板領域KBとからなるn型の領域内を電位勾配に従ってn型半導体領域DN1に近づくように移動し、更にn型埋込層BLおよびn型半導体領域DN1内を半導体基板SBの厚さ方向に(半導体基板SBの表面SBaに近づくように)移動して、プラグPGNから半導体基板SB外に排出される。
【0093】
このため、LDMOSFET1のドレイン領域(n型ドレイン領域DR1)からp型半導体領域EP1を通ってp型半導体領域EP1の下のn型埋込層BLに注入された電子は、p型の領域を通らずにn型の領域のみを通ってn型半導体領域DN1に移動し、n型半導体領域DN1からプラグPGNに排出され得る。従って、LDMOSFET1のドレイン領域が負電位になったときには、そのドレイン領域から半導体基板SBに注入された電子を、n型半導体領域DN1からプラグPGNに的確に排出させることができ、その結果、LDMOSFET1のドレイン領域から半導体基板SBに注入された電子は、半導体領域WL2やp型半導体領域EP2に到達せずにすむ。このため、LDMOSFET1のドレイン領域が負電位になったときに、そのドレイン領域から半導体基板SBに電子が注入されても、半導体基板SBの素子領域2Aに形成されているMISFET2の特性に影響が生じないで済む。従って、半導体装置の性能を向上させることができる。
【0094】
上記図6の検討例の場合は、LDMOSFET1のドレイン領域が負電位になったときに、ドレイン領域から半導体基板SBに注入された電子は、p型半導体領域EP1の下のn型埋込層BLに注入され、更にn型埋込層BLからn型埋込層BLの下のp型領域(p型半導体領域WL101およびp型基板領域KB101)に注入されるため、p型領域内を少数キャリアとして拡散する。このため、たとえp型領域(p型半導体領域WL101およびp型基板領域KB101)内に電位勾配が発生していたとしても、p型領域内を比較的ランダムに移動しやすい。このため、上記図6の検討例の場合は、LDMOSFET1のドレイン領域が負電位になったときに、ドレイン領域から半導体基板SBに注入された電子を、n型半導体領域DN1からプラグPGNに十分に排出させることは難しい。
【0095】
それに対して、本実施の形態の場合は、LDMOSFET1のドレイン領域(n型ドレイン領域DR1)からp型半導体領域EP1を通ってp型半導体領域EP1の下のn型埋込層BLに注入された電子は、p型領域を通らずにn型領域のみを通ってn型半導体領域DN1からプラグPGNに排出されるため、n型領域内を多数キャリアとして電位勾配に従って移動することができる。このため、LDMOSFET1のドレイン領域から半導体基板SBに注入された電子を、n型半導体領域DN1からプラグPGNに的確に排出させることができる。
【0096】
また、本実施の形態では、LDMOSFET1のドレイン領域から半導体基板SBに注入された電子を、n型半導体領域DN1からプラグPGNに的確に排出させることができるため、素子領域1Aと素子領域2Aとの間の距離を小さくすることができる。このため、半導体装置の小型化(小面積化)を図ることができる。
【0097】
本実施の形態では、素子領域1Aと素子領域2Aとの間の距離を大きくしなくとも、LDMOSFET1のドレイン領域が負電位になったときに、LDMOSFET1のドレイン領域から半導体基板SBに注入された電子が半導体基板SB内を移動してp型半導体領域EP2に注入されるのを防ぐことができる。このため、半導体装置の性能向上と小型化(小面積化)を両立させることができる。
【0098】
また、平面視において、p型半導体領域EP1とp型半導体領域EP2との間にn型半導体領域DN1が介在している。また、平面視において、素子領域1Aと素子領域2Aとの間にn型半導体領域DN1が介在している。このため、平面視において、p型半導体領域EP1(素子領域1A)からp型半導体領域EP2(素子領域2A)に至る経路の途中に、n型半導体領域DN1が存在することになる。これにより、LDMOSFET1のドレイン領域が負電位になったときに、LDMOSFET1のドレイン領域から半導体基板SBに注入された電子が半導体基板SB内を移動してp型半導体領域EP2に注入されるのを防ぐことができる。
【0099】
また、平面視において、p型半導体領域EP1とp型半導体領域EP2との間にプラグPGNが配置されていることが好ましい。また、平面視において、素子領域1Aと素子領域2Aとの間にプラグPGNが配置されていることが好ましい。これにより、平面視において、p型半導体領域EP1からp型半導体領域EP2に至る経路の途中に、電子の排出部(取り出し部)として機能するプラグPGNが存在することになる。これにより、LDMOSFET1のドレイン領域が負電位になったときに、LDMOSFET1のドレイン領域から半導体基板SBに注入された電子が半導体基板SB内を移動してp型半導体領域EP2に注入されるのを、的確に防ぐことができる。
【0100】
また、平面視において、n型半導体領域DN1は、p型半導体領域EP1を囲んでいることがより好ましく、すなわち、n型半導体領域DN1は、素子領域1Aを囲んでいることがより好ましい。これにより、p型半導体領域EP2(素子領域2A)が半導体基板SBのどの位置に配置されたとしても、平面視において、p型半導体領域EP1(素子領域1A)とp型半導体領域EP2(素子領域2A)との間にn型半導体領域DN1が介在することになる。これにより、LDMOSFET1のドレイン領域(n型ドレイン領域DR1)が負電位になったときに、LDMOSFET1のドレイン領域から半導体基板SBに注入された電子が半導体基板SB内を移動してp型半導体領域EP2に注入されるのを、より的確に防ぐことができる。また、半導体基板SBにおいて、p型半導体領域EP1(素子領域1A)とp型半導体領域EP2(素子領域2A)とを効率的に配置することができるため、設計の自由度を向上させることができ、また、半導体装置の小型化(小面積化)に有利となる。
【0101】
また、プラグPGNからn型半導体領域DN1に正電位が印加されるが、プラグPGNからn型半導体領域DN1への印加電圧は、5V以上であればより好ましい。また、プラグPGNからn型半導体領域DN1への印加電圧は、上記電源電位VINとすることもできる。これにより、プラグPGNからn型半導体領域DN1への印加電圧を高くすることができるため、LDMOSFET1のドレイン領域から半導体基板SBに注入された電子を、n型半導体領域DN1からプラグPGNに排出させる作用を高めることができる。
【0102】
(実施の形態2)
図8は、本実施の形態2の半導体装置の要部断面図であり、上記図1に相当する断面が示されている。
【0103】
図8に示される本実施の形態2の半導体装置が、上記実施の形態1の半導体装置(図1および図7)と相違しているのは、以下の点である。
【0104】
すなわち、本実施の形態2では、半導体基板SBにDTI領域4は形成されていない。本実施の形態2では、半導体基板SBにおいて、平面視でp型半導体領域EP1を囲むようにn型半導体領域DN1が形成され、平面視でp型半導体領域EP2を囲むようにn型半導体領域DN2が形成されており、n型半導体領域DN1とn型半導体領域DN2との間に、p型半導体領域DPが配置されている。このため、p型半導体領域EP1の底面はn型埋込層BLで覆われ、p型半導体領域EP1の側面はn型半導体領域DN1で覆われ、p型半導体領域EP2の底面はn型埋込層BLで覆われ、p型半導体領域EP2の側面はn型半導体領域DN2で覆われている。p型半導体領域EP1とp型半導体領域EP2との間には、n型半導体領域DN1とp型半導体領域DPとn型半導体領域DN2とが順に配置されており、n型半導体領域DN1とn型半導体領域DN2との間にp型半導体領域DPが介在している。n型半導体領域DN2は、STI領域3の底面に達している。
【0105】
p型半導体領域DPは、n型埋込層BLを貫通して半導体領域WL2に達している。すなわち、p型半導体領域EP1の下のn型埋込層BLと、p型半導体領域EP2の下のn型埋込層BLとは、互いに分離されており、p型半導体領域EP1の下のn型埋込層BLと、p型半導体領域EP2の下のn型埋込層BLとの間には、p型半導体領域DPの一部(下部)が介在している。p型半導体領域DPは、半導体領域WL2から半導体基板SBの表面SBaに達しており、半導体基板SBの厚さ方向に延在している。p型半導体領域DPの下面(底面)は、半導体領域WL2の上面に達し、p型半導体領域DPの上面は、半導体基板SBの表面SBaに達している。また、上記実施の形態1では、半導体領域WL2の導電型は任意であったが、本実施の形態2では、半導体領域WL2の導電型は、p型である。
【0106】
他の構成は、本実施の形態2の半導体装置も、上記実施の形態1の半導体装置とほぼ同様であるので、ここではその繰り返しの説明は省略する。
【0107】
本実施の形態2では、半導体基板SBにDTI領域4は形成されていなくとも、素子領域1Aに形成されたLDMOSFET1と、素子領域2Aに形成されたMISFET2とを、PN接合分離分離構造により電気的に分離することができる。
【0108】
上記実施の形態1と同様に、本実施の形態2においても、半導体装置を構成する半導体基板SBにおいて、p型半導体領域EP1およびn型半導体領域DN1の下方には、n型埋込層BLとn型半導体領域WL1とn型基板領域KBとがこの順序で存在している。このため、半導体基板SBにおいて、p型半導体領域EP1およびn型半導体領域DN1の下方の領域は、全てn型の領域(n型埋込層BLとn型半導体領域WL1とn型基板領域KBとからなるn型の領域)となっている。これにより、LDMOSFET1のドレイン領域(n型ドレイン領域DR1)が負電位となったときに、LDMOSFET1のドレイン領域(n型ドレイン領域DR1)からp型半導体領域EP1を通ってp型半導体領域EP1の下のn型埋込層BLに注入された電子は、p型領域を通らずにn型領域のみを通ってn型半導体領域DN1からプラグPGNに排出される。この際、電子は、n型領域内を多数キャリアとして電位勾配に従って移動することができる。このため、LDMOSFET1のドレイン領域から半導体基板SBに注入された電子を、n型半導体領域DN1からプラグPGNに的確に排出させることができる。その結果、半導体装置の性能を向上させることができる。また、半導体装置の小型化(小面積化)を図ることができる。
【0109】
(実施の形態3)
図9は、本実施の形態3の半導体装置の要部断面図であり、上記図1に相当する断面が示されている。
【0110】
図9に示される本実施の形態3の半導体装置が、上記実施の形態1の半導体装置(図1および図7)と相違しているのは、以下の点である。
【0111】
すなわち、本実施の形態3の半導体装置は、バイポーラトランジスタ5を更に備えている。このため、半導体基板SBの表面SBaは、バイポーラトランジスタ5が形成された領域である素子領域5Aを更に含んでいる。バイポーラトランジスタ5は、アナログ回路などに用いることができる。
【0112】
本実施の形態3の半導体装置を構成する半導体基板SBは、n型基板領域KB上に配置されたp型半導体領域WL3を有しており、n型埋込層BLはp型半導体領域WL3上にも形成されている。n型半導体領域WL1と半導体領域WL2とp型半導体領域WL3とは、n型基板領域KB上の互いに異なる位置に配置されている。また、本実施の形態3では、半導体基板SBにおいて、n型埋込層BL上にn型半導体領域EP3が形成されている。p型半導体領域EP1とp型半導体領域EP2とn型半導体領域EP3とは、n型埋込層BL上に互いに離間して形成されている。平面視において、n型半導体領域EP3はn型半導体領域DNに囲まれている。このため、n型半導体領域EP3の底面は、n型埋込層BLと接し、n型半導体領域EP3の側面は、n型半導体領域DNと接している。言い換えると、n型半導体領域EP3の底面は、n型埋込層BLで覆われ、n型半導体領域EP3の側面は、n型半導体領域DNで覆われている。n型半導体領域EP3の下方には、n型埋込層BLとp型半導体領域WL3とn型基板領域KBとがこの順序で存在している。素子領域5Aは、平面視においてn型半導体領域EP3と重なっている。素子領域5Aに形成されたバイポーラトランジスタ5のn型エミッタ領域EMおよびp型ベース領域BS1,BS2は、平面視においてn型半導体領域EP3内に形成されている。
【0113】
次に、素子領域5Aに形成されたバイポーラトランジスタ5の構成について説明する。
【0114】
半導体基板SBにおいて、n型半導体領域EP3の上部(上層部)には、p型ベース領域BS1が形成されている。p型ベース領域BS1は、半導体基板SBの表面SBaに達している。p型ベース領域BS1の底面は、n型半導体領域EP3と接している。また、半導体基板SBにおいて、p型ベース領域BS内に、n型エミッタ領域EMおよびp型ベース領域BS2が形成されている。p型ベース領域BS2の不純物濃度(p型不純物濃度)は、p型ベース領域BS1の不純物濃度(p型不純物濃度)よりも高い。
【0115】
n型エミッタ領域EMは、バイポーラトランジスタ5のエミッタ領域として機能するn型半導体領域であり、p型ベース領域BS1,BS2は、バイポーラトランジスタ5のベース領域として機能するp型半導体領域である。n型半導体領域EP3は、バイポーラトランジスタ5のコレクタ領域として機能し得る。
【0116】
n型エミッタ領域EM上に配置されたプラグPGは、n型エミッタ領域EMと電気的に接続される。また、p型ベース領域BS2上に配置されたプラグPGは、p型ベース領域BS2と電気的に接続される。また、n型半導体領域EP3と電気的に接続されたプラグPG(図9では図示されない)も形成されている。
【0117】
また、n型エミッタ領域EMおよびp型ベース領域BSのそれぞれの上部(表層部)に金属シリサイド層(図示せず)が形成される場合もあり得る。
【0118】
他の構成は、本実施の形態3の半導体装置も、上記実施の形態1の半導体装置とほぼ同様であるので、ここではその繰り返しの説明は省略する。
【0119】
上記実施の形態1と同様に、本実施の形態3においても、LDMOSFET1のドレイン領域(n型ドレイン領域DR1)が負電位になったときには、そのドレイン領域(n型ドレイン領域DR1)から半導体基板SBに注入された電子を、n型半導体領域DN1からプラグPGNに的確に排出させることができる。その結果、LDMOSFET1のドレイン領域(n型ドレイン領域DR1)が負電位になったときに、そのドレイン領域(n型ドレイン領域DR1)から半導体基板SBに注入された電子は、半導体領域WL2やp型半導体領域EP2に到達せずにすみ、また、p型半導体領域WL3やn型半導体領域EP3に到達せずにすむ。このため、LDMOSFET1のドレイン領域(n型ドレイン領域DR1)が負電位になったときに、そのドレイン領域(n型ドレイン領域DR1)から半導体基板SBに電子が注入されても、半導体基板SBの素子領域2Aに形成されているMISFET2に悪影響が生じないで済み、また、半導体基板SBの素子領域5Aに形成されているバイポーラトランジスタ5に悪影響が生じないで済む。従って、半導体装置の性能を向上させることができる。
【0120】
また、上記実施の形態2に、本実施の形態3を適用することもできる。
【0121】
(実施の形態4)
図10は、本実施の形態4の半導体装置の要部断面図であり、上記図1に相当する断面が示されている。
【0122】
図10に示される本実施の形態4の半導体装置が、上記実施の形態1の半導体装置(図1および図7)と相違しているのは、以下の点である。
【0123】
本実施の形態4の半導体装置は、LDMOSFET1の代わりに、トレンチゲート型MISFET6を備えている。このため、本実施の形態4の半導体装置を構成する半導体基板SBにおいて、素子領域1Aに形成されているのは、LDMOSFET1ではなくトレンチゲート型のMISFET6である。LDMOSFET1と同様に、トレンチゲート型のMISFET6もn型(nチャネル型)のトランジスタである。
【0124】
素子領域1Aに形成されたトレンチゲート型のMISFET6の構成について以下に説明する。
【0125】
半導体基板SBにおいて、p型半導体領域EP1の上部(上層部)にn型半導体領域(n型ドリフト層、n型ウエル)ND3が形成され、n型半導体領域ND3の上部(上層部)にn型ソース領域SR3およびp型半導体領域PCが形成されている。n型半導体領域ND3の底面および側面は、p型半導体領域EP1で覆われている。
【0126】
素子領域1Aにおいて、半導体基板SBの表面SBaには、ゲート電極用の溝(ゲート用トレンチ)GRが形成されており、溝GR内には、ゲート絶縁膜GF3を介してトレンチゲート電極TGが埋め込まれている。
【0127】
半導体基板SBにおける溝GRに隣接する位置において、最上層にソース領域SR3が形成され、そのソース領域SR3の下にp型半導体領域PCが形成されており、p型半導体領域PCの下にはn型半導体領域ND3が存在している。溝GRは、ソース領域SR3およびp型半導体領域PCを貫通し、溝GRの底面は、n型半導体領域ND3の厚さの途中に位置している。
【0128】
また、半導体基板SBにおいて、n型半導体領域ND3内にn型ドレイン領域DR3が形成されている。n型ドレイン領域DR3の不純物濃度(n型不純物濃度)は、n型半導体領域ND3の不純物濃度(n型不純物濃度)よりも高い。n型ドレイン領域DR3は、溝GRの下方において、水平方向(半導体基板SBの表面SBaまたは裏面SBb略平行な方向)に延在する領域と、その領域の外周部から半導体基板SBの表面SBaに達する領域とを一体的に有している。
【0129】
n型ソース領域SR3は、トレンチゲート型のMISFET6のソース領域として機能するn型半導体領域であり、n型ドレイン領域DR3は、トレンチゲート型のMISFET6のドレイン領域として機能するn型半導体領域であり、トレンチゲート電極TGは、トレンチゲート型のMISFET6のゲート電極として機能する。
【0130】
トレンチゲート電極TGに閾値電圧以上の電圧が印加されると、溝GRに隣接する部分のp型半導体領域PCにn型反転層が形成される。n型反転層はチャネルとなる。n型ソース領域SR3とn型ドレイン領域DR3とが、チャネルおよびn型半導体領域ND3を通じて導通する。トレンチゲート型のMISFET6は、nチャネル型のMISFETである。チャネル形成領域であるp型半導体領域PCとn型ドレイン領域DR3との間に、n型ドレイン領域DR3よりも低不純物濃度のn型半導体領域ND3が介在しているため、n型半導体領域ND3は、n型ドリフト領域として機能することができる。
【0131】
ソース領域SR3上に配置されたプラグPGは、ソース領域SR3と電気的に接続される。n型ドレイン領域DR3上に配置されたプラグPG(PGD)は、n型ドレイン領域DR3と電気的に接続される。また、トレンチゲート電極TGと電気的に接続されたプラグPG(図10では図示されない)やp型半導体領域PCと電気的に接続されたプラグPG(図10では図示されない)も形成されている。
【0132】
他の構成は、本実施の形態4の半導体装置も、上記実施の形態1の半導体装置とほぼ同様であるので、ここではその繰り返しの説明は省略する。
【0133】
上記実施の形態1と同様に、本実施の形態4においても、素子領域1Aに形成されたMISFET6をロウサイドスイッチ用のパワートランジスタTR2(図3図5参照)として用いた場合には、MISFET6のドレイン領域(n型ドレイン領域DR3)が負電位となる場合がある。MISFET6のドレイン領域(n型ドレイン領域DR3)が負電位になったときには、そのドレイン領域(n型ドレイン領域DR3)から半導体基板SBに電子が注入される。この電子が、半導体基板SB内を移動してp型半導体領域EP2に注入されてしまうと、素子領域2Aに形成されたMISFET2の特性に影響を与える虞があり、半導体装置の性能低下につながるため、望ましくない。すなわち、上記実施の形態1で説明した課題は、素子領域1Aに形成された電力スイッチング素子がLDMOSFETの場合に限定されず、素子領域1Aに形成された電力スイッチング素子がトレンチゲート型のMISFETの場合にも生じ得る。
【0134】
上記実施の形態1と同様に、本実施の形態4においても、半導体装置を構成する半導体基板SBにおいて、p型半導体領域EP1およびn型半導体領域DN1の下方には、n型埋込層BLとn型半導体領域WL1とn型基板領域KBとがこの順序で存在している。このため、半導体基板SBにおいて、p型半導体領域EP1およびn型半導体領域DN1の下方の領域は、全てn型の領域(n型埋込層BLとn型半導体領域WL1とn型基板領域KBとからなるn型の領域)となっている。これにより、MISFET6のドレイン領域(n型ドレイン領域DR3)が負電位となったときに、MISFET6のドレイン領域(n型ドレイン領域DR3)からn型半導体領域ND3およびp型半導体領域EP1を通ってp型半導体領域EP1の下のn型埋込層BLに注入された電子は、p型領域を通らずにn型領域のみを通ってn型半導体領域DN1からプラグPGNに排出される。この際、電子は、n型領域内を多数キャリアとして電位勾配に従って移動することができる。MISFET6のドレイン領域から半導体基板SBに注入された電子を、n型半導体領域DN1からプラグPGNに的確に排出させることができる。その結果、半導体装置の性能を向上させることができる。また、半導体装置の小型化(小面積化)を図ることができる。
【0135】
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0136】
1 LDMOSFET
1A,2A,5A 素子領域
2 MISFET
3 STI領域
4 DTI領域
5 バイポーラトランジスタ
6 MISFET
BL n型埋込層
BS1,BS2 p型ベース領域
CL コイル
D1,D2 ドレイン
DN,DN1,DN2 n型半導体領域
DR1,DR2,DR3 n型ドレイン領域
EM n型エミッタ領域
EP1,EP2 p型半導体領域
EP3 n型半導体領域
G1,G2 ゲート
GE1,GE2 ゲート電極
GF1,GF2 絶縁膜
IL 層間絶縁膜
INV インバータ回路
KB n型基板領域
KB101 p型基板領域
M1,M1N 配線
M1D ドレイン配線
M1S ソース配線
ND,ND3 n型半導体領域
PB,PC,PR p型半導体領域
PG,PGD,PGN プラグ
PW p型ウエル
S1,S2 ソース
SB,SB100 半導体基板
T1,T2,T3 端子
TR1,TR2 パワートランジスタ
WL1 n型半導体領域
WL2 半導体領域
WL3 p型半導体領域
SR1,SR2,SR3 n型ソース領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10