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特開2024-177841情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177841
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/43 20240101AFI20241217BHJP
【FI】
G05D1/02 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096206
(22)【出願日】2023-06-12
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110412
【弁理士】
【氏名又は名称】藤元 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100104628
【弁理士】
【氏名又は名称】水本 敦也
(74)【代理人】
【識別番号】100121614
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 倫也
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 貴俊
(72)【発明者】
【氏名】藤木 真和
(72)【発明者】
【氏名】大平 真司
【テーマコード(参考)】
5H301
【Fターム(参考)】
5H301AA01
5H301AA10
5H301BB05
5H301BB14
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301DD07
5H301GG08
5H301GG09
5H301KK02
5H301KK03
5H301KK08
5H301KK09
5H301KK18
5H301KK19
(57)【要約】
【課題】移動体が自律移動を再開することを可能にする情報処理装置を提供すること。
【解決手段】情報処理装置は、それぞれが自律移動する複数の移動体のうち不具合により自律移動できない第1の移動体が自律移動を再開するために用いられる情報処理装置であって、第1の移動体の不具合要因を取得する第1の取得部と、複数の移動体のそれぞれに関する情報を取得する第2の取得部と、不具合要因、及び複数の移動体のそれぞれに関する情報に基づいて第1の移動体の自律移動を誘導する第2の移動体を選択する選択部とを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが自律移動する複数の移動体のうち不具合により自律移動できない第1の移動体が自律移動を再開するために用いられる情報処理装置であって、
前記第1の移動体の不具合要因を取得する第1の取得部と、
前記複数の移動体のそれぞれに関する情報を取得する第2の取得部と、
前記不具合要因、及び前記複数の移動体のそれぞれに関する情報に基づいて前記第1の移動体の復帰を誘導する第2の移動体を選択する選択部とを有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記選択部は、前記不具合要因、及び前記第1の移動体に含まれるセンサの視野と前記第1の移動体とは異なる前記移動体に含まれるセンサの視野との差異に基づいて前記第2の移動体を選択することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記選択部は、前記不具合要因、及び前記複数の移動体のそれぞれに含まれるセンサの種類に基づいて前記第2の移動体を選択することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記選択部は、前記不具合要因、及び前記複数の移動体の移動の履歴に基づいて前記第2の移動体を選択することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記選択部は、前記不具合要因、及び前記複数の移動体の位置の計測方法に基づいて前記第2の移動体を選択することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記選択部は、前記不具合要因、及び前記第1の移動体とは異なる移動体の障害物の回避機能に基づいて前記第2の移動体を選択することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記第1の移動体の不具合が発生した位置を取得する位置取得部と、
前記第2の移動体を前記第1の移動体の不具合が発生した位置まで移動させるための経路を生成する生成部と、
前記経路を前記第2の移動体に送信する送信部とを更に有することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
それぞれが自律移動する複数の移動体のうち不具合により自律移動できない第1の移動体が自律移動を再開するために用いられる情報処理装置であって、
前記第1の移動体の不具合要因を取得する第1の取得部と、
前記第1の移動体の第1の制御条件を取得する第3の取得部と、
前記不具合要因、及び前記第1の制御条件に基づいて前記第1の移動体の復帰を誘導する第2の移動体の第2の制御条件を決定する決定部とを有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項9】
前記決定部は、前記第2の移動体が前記第1の移動体の移動速度よりも遅い移動速度で移動するように前記第2の制御条件として決定することを特徴とする請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記決定部は、前記第2の移動体が、姿勢が前記第1の移動体の移動時の姿勢を基準に所定量以上変化しながら移動するように前記第2の制御条件を決定することを特徴とする請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項11】
それぞれが自律移動する複数の移動体のうち不具合により自律移動できない第1の移動体が自律移動を再開するために用いられる情報処理装置であって、
前記第1の移動体の復帰を誘導する第2の移動体を認識するための認識部と、
前記第1の移動体が前記第2の移動体に追従するための前記第2の移動体に対する前記第1の移動体の位置を決定する第1の決定部と、
前記第2の移動体に対する前記第1の移動体の位置に基づいて前記第2の移動体の制御条件を決定する第2の決定部とを有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項12】
それぞれが自律移動する複数の移動体のうち不具合により自律移動できない第1の移動体が自律移動を再開するために用いられる情報処理方法であって、
前記第1の移動体の不具合要因を取得するステップと、
前記複数の移動体のそれぞれに関する情報を取得するステップと、
前記不具合要因、及び前記複数の移動体のそれぞれに関する情報に基づいて前記第1の移動体の復帰を誘導する第2の移動体を選択するステップとを有することを特徴とする情報処理方法。
【請求項13】
それぞれが自律移動する複数の移動体のうち不具合により自律移動できない第1の移動体が自律移動を再開するために用いられる情報処理方法であって、
前記第1の移動体の不具合要因を取得するステップと、
前記第1の移動体の第1の制御条件を取得するステップと、
前記不具合要因、及び前記第1の制御条件に基づいて前記第1の移動体の復帰を誘導する第2の移動体の第2の制御条件を決定するステップとを有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項14】
それぞれが自律移動する複数の移動体のうち不具合により自律移動できない第1の移動体が自律移動を再開するために用いられる情報処理方法であって、
前記第1の移動体の復帰を誘導する第2の移動体を認識するためのステップと、
前記第1の移動体が前記第2の移動体に追従するための前記第2の移動体に対する前記第1の移動体の位置を決定するステップと、
前記第2の移動体に対する前記第1の移動体の位置に基づいて前記第2の移動体の制御条件を決定するステップとを有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項15】
請求項12乃至14の何れか一項に記載の情報処理方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体の自律移動を制御する情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像情報や距離情報等の計測情報に基づいて自律移動する移動ロボットや無人搬送車(AGV:Autonomous Guided Vehicle)等の移動体は、位置計測処理の失敗や衝突回避のための緊急停止等により、自律移動を中断することがある。特許文献1には、建物等の構造物に取り付けられた複数のカメラから取得した情報を基に、自律移動できない状態となった移動体に上位管理システムが動作指示を与えて自律移動を再開させる構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-179921号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、カメラが設置されていない場合や、カメラが撮影する領域に移動体が入っていない場合に、移動体は自律移動を再開することができない。
【0005】
本発明は、移動体が自律移動を再開することを可能にする情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面としての情報処理装置は、それぞれが自律移動する複数の移動体のうち不具合により自律移動できない第1の移動体が自律移動を再開するために用いられる情報処理装置であって、第1の移動体の不具合要因を取得する第1の取得部と、複数の移動体のそれぞれに関する情報を取得する第2の取得部と、不具合要因、及び複数の移動体のそれぞれに関する情報に基づいて第1の移動体の自律移動を誘導する第2の移動体を選択する選択部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、移動体が自律移動を再開することを可能にする情報処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例1,2のシステムの構成を説明する図である。
図2】実施例1乃至4の情報処理装置のハードウェア構成を示す図である。
図3】実施例1,2の情報処理装置の処理を示すフローチャートである。
図4】実施例1の第2の移動体の選択処理を示すフローチャートである。
図5】実施例2の第2の移動体の選択処理を示すフローチャートである。
図6】実施例3のシステムの構成を説明する図である。
図7】実施例3,4の情報処理装置の処理を示すフローチャートである。
図8】実施例3の第2の移動体の制御条件の決定処理を示すフローチャートである。
図9】実施例4の第2の移動体の制御条件の決定処理を示すフローチャートである。
図10】実施例5のシステムの構成を説明する図である。
図11】実施例5の情報処理装置の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
【0010】
各実施例では、複数の移動体が同時に稼働しているものとする。各移動体は、非特許文献1に記載のSLAM(Simultaneous Localization And Mapping)技術により位置姿勢計測と位置姿勢計測のための地図生成を行い、生成した地図に基づいて自律移動している。なお、各実施例では、移動体として無人搬送車(AGV:Autonomous Guided Vehicle)を想定しているが、本発明はこれに限定されない。例えば、移動ロボットであってもよい。なお、位置姿勢計測の方法は、非特許文献1に記載の2D画像上の特徴点の検出位置に基づいて位置姿勢を算出する方法に限定されない。例えば、LiDAR(light detection and ranging)のように3次元の点群情報に基づいて位置姿勢を算出する方法やGPSを用いて位置姿勢を計測する方法を用いてもよい。
【0011】
非特許文献1:Raul Mur-Artal et.al,ORB-SLAM:A Versatile and Accurate Monocular SLAM System.IEEE Transactions on Robotics
複数の移動体にはそれぞれ、IDの異なる光学マーカが貼り付けられているものとする。また、各移動体はそれぞれセンサを有し、複数の移動体は異なるセンサの視野を有する移動体や、異なるセンサを搭載した移動体を含むものとする。なお、視野とは、所定の距離の面を底面としてセンサの光学中心を頂点とする四角錘の体積で表される。また、各実施例では、移動体に貼り付けられた光学マーカを検出することで移動体を認識するが、移動体を認識できれば本発明はこれに限定されない。例えば、センサがToFやLIDAR等の距離計測可能なセンサであれば、予め移動体の三次元モデルを保持し、計測した点群とICP(Iterative Closest Point)アルゴリズムによりモデルフィッティングして移動体を認識してもよい。また、深層学習で移動体識別器を作成し、画像に写る移動体を識別してもよい。
【0012】
なお、各実施例では、センサとしてカメラを用いているが、本発明はこれに限定されない。例えば、センサとして、LiDARやToFを用いてもよいし、単一カメラではなく、複数のカメラや複数の種類のセンサを組み合わせたものを用いてもよい。
【0013】
各実施例では、不具合により自律移動できない移動体(第1の移動体)が自律移動を再開するために他の移動体(第2の移動体)が選択され、選択された第2の移動体が第1の移動体の復帰を誘導する。復帰を誘導するとは、第1の移動体が復帰するための移動経路を生成し動作指示を与えること、又は第2の移動体2の動きに第1の移動体を追従させ、復帰できる場所まで誘導することである。また、不具合には、位置計測の不具合、障害物を検知したことによる不具合、及びサーバーとの通信での不具合等が含まれる。
【実施例0014】
図1は、本実施例のシステムの構成を説明する図である。本実施例のシステムは、移動体1(第1の移動体)と移動体2(第2の移動体)を含む複数の移動体とそれらを一元管理する移動体管理装置3とを有する。各移動体は、移動体管理装置3から目的地と移動経路を受信し、目的地までSLAMによって自己位置を推定することにより自律移動する。
【0015】
本実施例では、第1の移動体に発生した不具合が発生しにくい第2の移動体を選択することが重要である。つまり、第1の移動体の移動条件との差異が大きい第2の移動体を選択することが必要となる。移動体の移動条件(移動体に関する情報)には、センサの視野、センサの種類、及びセンサの各種パラメータの設定値等のセンシング条件、移動体の移動経路の条件、並びにサーバーとの通信方法等を表す通信条件が含まれる。
【0016】
本実施例では、第1の移動体に位置計測の不具合が発生した場合の第2の移動体の選択方法について説明する。本実施例では、位置計測の不具合の要因は、地図上の特徴点と計測中の特徴点の対応点数の不足、誤った対応点数の増加、計測中の特徴点数の不足、及び地図生成時の明るさの変化とする。地図上の特徴点と計測中の特徴点の対応点数が不足する場合には、第1の移動体とは観測するセンサの視野が異なる移動体や、第1の移動体よりも広いセンサの視野を有する移動体が第2の移動体として選択される。誤った対応点数が増加する場合には、第1の移動体よりもノイズ耐性のあるセンサ(例えば、高画質カメラや高感度耐性カメラ等)を有する移動体や、第1の移動体よりも広いセンサの視野を有する移動体が第2の移動体として選択される。計測中の特徴点数が不足する場合には、第1の移動体とは観測するセンサの視野が異なる移動体や、計測方法とセンサが異なる移動体が第2の移動体として選択される。地図生成作成時との明るさが変化する場合には、明るさの変化に耐性があるセンサ(例えば、LiDARや、ハイダイナミックレンジカメラ等)を有する移動体が第2の移動体として選択される。
【0017】
移動体1は、不具合が発生した場合、不具合発生までに安定して移動していた時刻における位置、不具合の要因、及び移動条件を移動体管理装置3に送信し、復帰誘導のための動作指示を待つ。移動体1は、動作指示を受信した場合、カメラから取得した画像から移動体2に貼り付けられた光学マーカを認識する。移動体1は、認識した光学マーカの三次元座標と画像上の光学マーカの二次元座標の対応関係を用いて、PnP問題(Perspective-n-point problem)を解くことにより、移動体1,2の相対位置姿勢を算出する。移動体1は、相対位置姿勢を算出した後、追従移動フラグを1にして移動体2に送信する。移動体1は、算出した相対位置姿勢に基づいて、移動体2と一定の距離を保ちながら移動体2に追従して移動する。移動体1は、移動体2に追従して移動している間に、画像中の特徴点検出を行い、地図と一致する特徴点の数が十分確保できた場合は、追従移動を中止し、追従フラグを0にして移動体2に送信する。その後、移動体1は、自律移動を開始し、自律移動に成功した旨を移動体管理装置3に通知し、目的地と移動経路を受信し、正常状態に戻る。
【0018】
移動体2は、移動体管理装置3から不具合が発生した移動体1の復帰を誘導するように指示を受信した場合は、移動体管理装置3から移動体1の位置と移動体1までの移動経路を受信し、目的地を移動体1の位置に一時的に設定し、目的地まで自律移動する。移動体2は、移動体1の位置に到達した後、カメラから取得した画像から移動体1に貼り付けられた光学マーカを認識し、PnP問題を解くことで、移動体1,2の相対位置姿勢を算出する。移動体2は、算出した相対位置姿勢に基づいて、移動体1が移動体2の筐体に貼り付けられた光学マーカを認識できる位置を算出し、移動体2は算出した位置に移動する。その後、移動体2は、移動体1から追従移動フラグを受信し、その値が1であれば、移動体1が安定して追従できるように速度を落として移動する。また、移動体2は、移動体1から追従移動フラグを受信し、その値が0であれば、速度を通常状態に戻す(元の状態に戻る)。
【0019】
移動体管理装置3は、複数の移動体の稼働状態を一元管理しており、各移動体の物品搬送タスクに基づいた移動経路を生成し、各移動体に送信する。移動体管理装置3は、移動体1に不具合が発生した場合、まず、移動体1から不具合発生位置、不具合要因、及び移動条件を取得する。次に、移動体管理装置3は、移動体1の移動条件との差異に基づいて、移動体1の復帰を誘導する移動体2を選択する。次に、移動体管理装置3は、選択した移動体2の位置を取得し、移動体2の位置をスタート地点、移動体1の位置をゴール地点として、移動体2の移動経路を生成する。そして、移動体管理装置3は、移動体2に対して、生成した移動経路を送信する。
【0020】
移動体管理装置3は、不具合発生位置取得部(位置取得部)31、復帰誘導経路計画部(生成部)32、復帰誘導指示送信部(送信部)33、及び情報処理装置300を備える。情報処理装置300は、不具合要因取得部(第1の取得部)310、移動条件取得部(第2の取得部)311、及び復帰誘導移動体選択部(選択部)312を備える。なお、情報処理装置300は、不具合発生位置取得部31、復帰誘導経路計画部(生成部)32、及び復帰誘導指示送信部33の機能を備えるように構成されてもよい。
【0021】
不具合発生位置取得部31は、移動体1が出力した不具合発生位置の情報を取得し、復帰誘導経路計画部32に出力する。不具合要因取得部310は、移動体1が出力した不具合要因の情報を取得し、復帰誘導移動体選択部312に出力する。移動条件取得部311は、移動体1が出力した移動条件の情報を取得し、復帰誘導移動体選択部312に出力する。移動条件取得部311は、移動体2が出力した移動条件の情報を取得し、復帰誘導移動体選択部312に出力する。復帰誘導移動体選択部312は、不具合要因、第1の移動条件、及び第2の移動条件の情報を取得し、移動体1を復帰させるために誘導する移動体2を選択し、選択した移動体2の個体識別IDを復帰誘導経路計画部32に出力する。復帰誘導経路計画部32は、移動体1の位置と移動体2の位置の情報を取得し、移動体2が移動体1の位置まで移動する経路を生成し、復帰誘導指示送信部33に出力する。復帰誘導指示送信部33は、復帰誘導経路計画部32が出力した移動経路の情報を取得し、移動体2に移動経路を送信する。
【0022】
図2は、情報処理装置300のハードウェア構成を示す図である。CPU11は、システムバス21に接続された各種デバイスの制御及びプログラムの実行を行う。ROM12は、BIOSのプログラムやブートプログラムを記憶する。RAM13は、CPU11の主記憶装置として使用される。外部メモリ14は、情報処理装置300が処理するプログラムを格納する。入力部15は、キーボードやマウス等からの情報等の入力に係る処理を行う。表示部16は、CPU11からの指示に従って情報処理装置300の演算結果を、液晶表示装置、プロジェクタ、及びLEDインジケーター等の表示装置に出力する。通信インターフェイス17は、ネットワークを介して情報通信を行うために用いられる。なお、情報処理装置300は、通信インターフェイス17を介して、移動体の制御部と算出した位置姿勢情報のやり取りを行う。I/O18は、センサから画像を取得する。
【0023】
図3は、情報処理装置300の処理を示すフローチャートである。図3のフローは、CPUが制御プログラムを実行することにより実現され、移動体に移動を開始させる指示が出力されると開始される。
【0024】
ステップS301では、不具合要因取得部310は、移動体1の不具合要因を取得する。本実施例の不具合要因は、要因A(地図との対応点数不足)、要因B(誤対応点数の増加)要因C(計測中の特徴点数不足)、及び要因D(地図生成時との明るさの変化)の4つとし、フラグとして保持する。
【0025】
ステップS302では、移動条件取得部311は、移動体1を含む複数の移動条件を取得する。なお、本実施例における移動条件は、条件A(センサの視野)と条件B(センサの種類)の2つとし、フラグとして保持する
ステップS303では、復帰誘導移動体選択部312は、まず、ステップS301で取得された不具合要因に基づいて、移動体の選択に用いる移動体1と他の移動体の移動条件の差異を求める。次に、復帰誘導移動体選択部312は、差異に基づいて、優先度をつけ、優先度が高い移動体を移動体2として選択する。
【0026】
図4は、図3のステップS303の復帰誘導移動体選択部312による移動体2の選択処理を示すフローチャートである。
【0027】
ステップS401では、復帰誘導移動体選択部312は、ステップS301で取得した不具合要因が要因A(地図との対応点数不足)であるかどうかを判定する。復帰誘導移動体選択部312は、不具合要因が要因Aであると判定した場合、ステップS402の処理を実行し、不具合要因が要因Aでないと判定した場合、ステップS403の処理を実行する。
【0028】
ステップS402では、復帰誘導移動体選択部312は、移動体1,2の共通のセンサの視野を算出する。
【0029】
ステップS403では、復帰誘導移動体選択部312は、ステップS402で算出した共通のセンサの視野が最小、つまり、センサの視野の差異が最大となる移動体を移動体2として選択する。なお、本実施例では、復帰誘導移動体選択部312は、センサの視野の差異が最大となる移動体を移動体2として選択するが、本発明にこれに限定されない。例えば、復帰誘導移動体選択部312は、センサの視野の差異が所定値以上の移動体を移動体2として選択してもよい。
【0030】
ステップS404では、復帰誘導移動体選択部312は、ステップS301で取得した不具合要因が要因B(誤対応点数の増加)であるかどうかを判定する。復帰誘導移動体選択部312は、不具合要因が要因Bであると判定した場合、ステップS405の処理を実行し、不具合要因が要因Bでないと判定した場合、ステップS406の処理を実行する。
【0031】
ステップS405では、復帰誘導移動体選択部312は、移動体1よりも高画質なカメラや撮像素子が大きいセンサを搭載した移動体、つまりノイズに耐性のある移動体を移動体2として選択する。
【0032】
ステップS406では、復帰誘導移動体選択部312は、ステップS301で取得した不具合要因が要因C(計測中の特徴点不足)であるかどうかを判定する。復帰誘導移動体選択部312は、不具合要因が要因Cであると判定した場合、ステップS407の処理を実行し、不具合要因が要因Cでないと判定した場合、ステップS408の処理を実行する。
【0033】
ステップS407では、復帰誘導移動体選択部312は、移動体1よりも視野が広く、移動体1以外の中で視野が最大となる移動体を移動体2として選択する。
【0034】
ステップS408では、復帰誘導移動体選択部312は、復帰ステップS301で取得した不具合要因が要因D(地図生成時との明るさの変化)であるかどうかを判定する。復帰誘導移動体選択部312は、不具合要因が要因Dであると判定した場合、ステップS409の処理を実行し、不具合要因が要因Dでないと判定した場合、本フローを終了する。
【0035】
ステップS409では、復帰誘導移動体選択部312は、移動体1よりもダイナミックレンジが広いセンサやLiDARやToF等の明るさに依存しないセンサを搭載した移動体を移動体2として選択する。
【0036】
以上説明したように、本実施例の構成によれば、位置計測の不具合が発生した移動体1の復帰を誘導できる可能性の高い移動体2を選択し、移動体2が移動体1の復帰を誘導する。これにより、建物等の構造物に取り付けられたカメラ(環境カメラ)の撮影領域外でも移動体1は自律移動を再開することが可能である。すなわち、自律移動を再開できる環境を拡大することができる。
【0037】
なお、本実施例では、情報処理装置300は移動体管理装置3内に設けられているが、本発明はこれに限定されない。例えば、情報処理装置300は移動体に設けられてもよいし、移動体や移動体管理装置3とは別のサーバー上に設けられてもよい。
【0038】
また、ステップS402,S403では、復帰誘導移動体選択部312は、不具合要因が地図との対応点数不足である場合に本実施例では共通の視野が最小となる移動体を移動体2として選択するが、本発明はこれに限定されない。例えば、移動体1よりも視野が広い移動体を移動体2として選択してもよい。視野が広い移動体を移動体2として選択することで、移動体1よりも地図上の特徴点と計測中の特徴点の対応数が増加するため、移動体1の復帰を誘導できる可能性を向上させることができる。また、各移動体の移動の履歴に基づいて移動体2を選択してもよい。具体的には、移動体1に不具合が生じた時刻に一番近い時刻に同経路の移動に成功した実績がある移動体を移動体2として選択すればよい。移動に成功した実績のある移動体を移動体2として選択することで、移動体2に不具合が発生する確率を低くすることができるため、移動体1の復帰を誘導できる可能性を向上させることができる。また、位置の計測方法に基づいて移動体2を選択してもよい。具体的には、移動体1とは異なる位置の計測方法を行う移動体を移動体2として選択すればよい。例えば、本実施例では、移動体1は非特許文献1に記載の特徴点ベースのSLAMを用いて位置計測しているが、LiDAR等の点群ベースのSLAMを用いて位置計測している移動体を移動体2として選択すればよい。これにより、移動体1と同様の不具合が発生する可能性を抑制することができる。
【実施例0039】
本実施例では、第1の移動体に障害物による不具合が発生した場合の第2の移動体の選択方法について説明する。本実施例では、障害物による不具合の要因は、「障害物を回避できずに障害物の前で停止する」、「障害物との接触回避後に復帰できない」、及び「障害物を回避できずに衝突して停止する」とする。移動体1が障害物を回避できずに障害物の前で停止する場合には、移動体1とは異なる移動体の中から障害物回避機能を備えた移動体が移動体2として選択される。移動体2が移動体1に動作指示を送ることで移動体1は障害物を回避して自律移動を再開することができる。障害物との接触回避後に復帰できない場合には、不具合が発生した時刻と近い時刻に同経路を移動した実績のある移動体が移動体2として選択される。移動体2に移動体1を追従させ、移動体1が復帰できる位置まで移動体2が誘導することにより、移動体1は自律移動を再開することができる。移動体1が障害物を回避できずに衝突して停止する場合には、移動体1よりも視野が広く、視野が最大となる移動体が移動体2として選択される。移動体2が移動体1の周囲の障害物の情報を検出し、移動体1に動作指示を送ることで移動体1は安全に障害物を回避して自律移動を再開することができる。
【0040】
なお、本実施例の基本的な構成は、実施例1の基本的な構成と同様であり、本実施例では実施例1と異なる構成についてのみ説明し、同一の構成については説明を省略する。
【0041】
情報処理装置300は、図3のフローを実行する。ステップS301乃至ステップS303の処理は、実施例1で説明した処理と同様であるため、説明は省略する。なお、本実施例の不具合要因は、要因A(障害物を回避できずに障害物の前で停止する)、要因B(障害物との接触回避後に復帰できない)、及び要因C(障害物を回避できずに衝突して停止する)の3つとし、フラグとして保持する。
【0042】
本実施例のステップS304の処理は、実施例1とは異なる。以下、図5を参照して本実施例のステップS304の処理について説明する。図5は、本実施例の図3のステップS304の復帰誘導移動体選択部312による第2の移動体の選択処理を示すフローチャートである。
【0043】
ステップS501では、復帰誘導移動体選択部312は、ステップS301で取得した不具合要因が要因A(障害物を回避できずに障害物の前で停止する)であるかどうかを判定する。復帰誘導移動体選択部312は、不具合要因が要因Aであると判定した場合、ステップS502の処理を実行し、不具合要因が要因Aでないと判定した場合、ステップS503の処理を実行する。
【0044】
ステップS502では、復帰誘導移動体選択部312は、移動体1とは異なる障害物を回避可能な(障害物の回避機能を有する)移動体を移動体2として選択する。
【0045】
ステップS503では、復帰誘導移動体選択部312は、ステップS301で取得した不具合要因が要因B(障害物との接触回避後に復帰できない)であるかどうかを判定する。復帰誘導移動体選択部312は、不具合要因が要因Bであると判定した場合、ステップS504の処理を実行し、不具合要因が要因Bでないと判定した場合、ステップS505の処理を実行する。
【0046】
ステップS504では、復帰誘導移動体選択部312は、移動体1に不具合が生じた時刻に一番近い時刻に同経路を移動した実績のある移動体を移動体2として選択する。
【0047】
ステップS505では、復帰誘導移動体選択部312は、ステップS301で取得した不具合要因が要因C(障害物を回避できずに衝突して停止する)であるかどうかを判定する。復帰誘導移動体選択部312は、不具合要因が要因Cであると判定した場合、ステップS506の処理を実行し、不具合要因が要因Cでないと判定した場合、本フローを終了する。
【0048】
ステップS506では、復帰誘導移動体選択部312は、移動体1よりも視野が広く、視野が最大となる移動体を移動体2として選択する。
【0049】
以上説明したように、本実施例の構成によれば、障害物による不具合が発生した移動体1の復帰を誘導できる可能性の高い移動体2を選択し、移動体2が移動体1の復帰を誘導する。これにより、建物等の構造物に取り付けられたカメラ(環境カメラ)の撮影領域外でも移動体1は自律移動を再開することが可能である。すなわち、自律移動を再開できる環境を拡大することができる。
【0050】
なお、実施例1,2では移動体管理装置3が複数の移動体の情報を管理しているが、移動体管理装置3と複数の移動体の間の通信に不具合が発生し、移動体1が停止してしまう場合がある。このような場合、移動体1とは異なる(例えば、周波数帯域が異なる、通信強度が異なる、通信規格が異なる、及び通信可能エリアが異なる等)通信手段を有する移動体を移動体2として選択すればよい。これにより、移動体2が移動体1を通信可能な位置まで誘導することにより、移動体1は自律移動を再開することができる。
【0051】
また、移動体1のバッテリーが不足した場合には、給電機能を有し、バッテリー残量が大きい移動体や、給電用の別のバッテリーを有する移動体を移動体2として選択すればよい。これにより、移動体1のバッテリーを給電し、移動体1は自律移動を再開することができる。また、物理的に移動体1をけん引可能な移動体を移動体2として選択し、移動体1を充電地点までけん引することで移動体1のバッテリーの不足を解消してもよい。
【実施例0052】
実施例1,2では、移動体1,2の移動条件の差異に基づいて、復帰誘導する移動体として適切な移動体2を選択することで、移動体2が移動体1の復帰を誘導できる確率を向上させる例について説明した。本実施例では、移動体2の制御条件(第2の制御条件)を移動体1の制御条件(第1の制御条件)と差異が発生するように設定し、移動体2が移動体1の復帰を誘導できる確率を向上させる例について説明する。制御条件とは、移動体の速度や進行方向に関する設定であり、移動体に制御量を入力することで決定できるものである。
【0053】
なお、本実施例の情報処理装置300以外の構成は、実施例1の構成と同様であり、本実施例では実施例1と異なる構成についてのみ説明し、同一の構成については説明を省略する。
【0054】
図6は、本実施例のシステムの構成を説明する図である。情報処理装置300は、不具合要因取得部310、制御条件取得部(第3の取得部)314、及び制御条件決定部(決定部)315を備える。制御条件取得部314は、移動体1から制御条件を取得し、制御条件決定部315に出力する。制御条件決定部315は、不具合要因取得部310から不具合要因と、制御条件取得部314が出力した制御条件を取得し、移動体2の制御条件を復帰誘導指示送信部33に出力する。
【0055】
本実施例では、第1の移動体に位置計測の不具合が発生した場合の第2の移動体の制御方法について説明する。本実施例では、位置計測の不具合の要因は、地図上の特徴点と計測中の特徴点の対応点数の不足、誤った対応点数の増加、及び計測中の特徴点数の不足とする。地図上の特徴点と計測中の特徴点の対応点数が不足する場合には、移動体2が、移動体1が向いていた方向よりも特徴点が多い方向を向いて移動するように制御条件を決定する。これにより、移動体2に位置計測の不具合が発生する確率を低くすることができ、移動体1が自律移動を再開する可能性を向上させることができる。誤った対応点数が増加する場合には、移動体2の移動速度が遅くなるように制御条件を決定し、移動体1よりも処理時間をかけて高精度に特徴点の対応付けを行う。例えば、移動体1がORB特徴量を用いて対応付けを行っている場合、処理時間はかかるがより高精度なSIFT特徴量やSURF特徴量を用いて対応付けを行えばよい。これにより、移動体2に位置計測の不具合が発生する確率を低くすることができ、移動体1が自律移動を再開する可能性を向上させることができる。計測中の特徴点数が不足する場合には、移動体2が周囲を見回しながら移動するように制御条件を決定する。これにより、移動体1よりも広い視野の特徴点を検出することが可能であり、移動体2に位置計測の不具合が発生する確率を低くすることができ、移動体1が自律移動を再開する可能性を向上させることができる
図7は、情報処理装置300の処理を示すフローチャートである。図7のフローは、CPUが制御プログラムを実行することにより実現され、移動体に移動を開始させる指示が出力されると開始される。
【0056】
ステップS701では、不具合要因取得部310は、移動体1の不具合要因を取得する。本実施例の不具合要因は、要因A(地図との対応点数不足)、要因B(誤対応点数の増加)、及び要因C(計測中の特徴点数不足)の3つとし、フラグとして保持する。
【0057】
ステップS702では、制御条件取得部314は、移動体1の制御条件を取得する。
【0058】
ステップS703では、制御条件決定部315は、ステップS701で取得した不具合要因とステップS702で取得した制御条件に基づいて、移動体2の制御条件を決定する。なお、本実施例では、移動体2は、移動体1とは異なる移動体から無作為に選択されるものとする。
【0059】
図8は、図7のステップS703の制御条件決定部315による第2の移動体の制御条件の決定処理を示すフローチャートである。
【0060】
ステップS801では、制御条件決定部315は、ステップS701で取得した不具合要因が要因A(地図との対応点数不足)であるかどうかを判定する。制御条件決定部315は、不具合要因が要因Aであると判定した場合、ステップS802の処理を実行し、不具合要因が要因Aでないと判定した場合、ステップS803の処理を実行する。
【0061】
ステップS802では、制御条件決定部315は、ステップS702で取得した制御条件から移動体1の移動時の向きを取得し、移動体2が移動体1の移動時の向きよりも視野中に移る特徴点が多くなる方向へ移動する移動体2の制御条件を決定する。なお、本ステップの処理では、移動体2が移動体1の移動時の向きよりも視野中に移る特徴点が多くなる方向へ移動する制御条件を決定するが、本発明はこれに限定されない。例えば、より多くの特徴点を検出できるように、周囲を見回しながら移動したり、速度を落として移動したりするように制御条件を決定してもよい。
【0062】
ステップS803では、制御条件決定部315は、ステップS702で取得した不具合要因が要因B(誤対応点数の増加)であるかどうかを判定する。制御条件決定部315は、不具合要因が要因Bであると判定した場合、ステップS804の処理を実行し、不具合要因が要因Bでないと判定した場合、ステップS805の処理を実行する。
【0063】
ステップS804では、制御条件決定部315は、ステップS702で取得した制御条件から移動体1の移動速度を取得し、移動体2は移動体1よりも速度を落として高精度な特徴点対応付けを行うように移動体2の制御条件を決定する。
【0064】
ステップS805では、制御条件決定部315は、復帰ステップS301で取得した不具合要因が要因C(計測中の特徴点不足)であるかどうかを判定する。制御条件決定部315は、不具合要因が要因Cであると判定した場合、ステップS806の処理を実行し、不具合要因が要因Cでないと判定した場合、本フローを終了する。
【0065】
ステップS806では、制御条件決定部315はまず、ステップS702で取得した制御条件から移動体1の移動時の姿勢を取得する。次に、制御条件決定部315は、移動体2が、特徴点数が所定数以下の地点で、姿勢が移動体1の移動時の姿勢を基準に所定量以上変化しながら(周囲を見回しながら移動する移動体2の制御条件を決定する。なお、本ステップの処理では、移動体2が周囲を見回しながら移動するように制御条件を決定するが、本発明はこれに限定されない。特徴が多い方向を向きながら移動したり、速度を落として移動したりするように制御条件を決定してもよい。
【0066】
以上説明したように、本実施例の構成によれば、位置計測に不具合が発生した移動体1の復帰を誘導できるように移動体2の制御方法を決定し、移動体2が移動体1の復帰を誘導する。これにより、建物等の構造物に取り付けられたカメラ(環境カメラ)の撮影領域外でも移動体1は自律移動を再開することが可能である。すなわち、自律移動を再開できる環境を拡大することができる。
【0067】
なお、本実施例では、位置計測の不具合が発生する場合について説明したが、不具合の要因は「移動速度が速く、計測できる特徴点が不足する」や、「進行方向に特徴点が少ない」であってもよい。移動速度が速く、計測できる特徴点が不足する場合には、移動体2は移動体1よりも移動速度を落として移動体1の復帰誘導に向かうように制御条件を決定してもよい。これにより、移動体2に不具合が発生する確率を低くすることができ、移動体1が復帰する可能性を向上させることができる。
【0068】
また、進行方向に特徴点が少ない場合には、移動体2は移動体1の移動方向とは所定量以上角度を変化させ、特徴点が多い方向を進行方向にして移動するように制御条件を決定すればよい。これにより、移動体2に不具合が発生する確率を低くすることができ、移動体1が復帰する可能性を向上させることができる。
【実施例0069】
本実施例では、第1の移動体に障害物による不具合が発生した場合の第2の移動体の制御方法について説明する。本実施例では、障害物による不具合の要因は、「障害物を回避できずに障害物の前で停止する」、及び「障害物を回避できずに衝突して停止する」とする。障害物を回避できずに障害物の前で停止する場合には、移動体2が、移動体1が移動した方向とは異なる進行方向を移動するように制御条件を決定する。これにより、移動体2に位置計測の不具合が発生する確率を低くすることができ、移動体1が自律移動を再開する可能性を向上させることができる。障害物を回避できずに衝突して停止する場合には、移動体2は周囲を見回しながら移動するように制御条件を決定する。これにより、移動体2は移動体1の周囲の障害物を検知し、移動体1に動作指示を送ることで、移動体1は復帰を再開することができる。
【0070】
なお、本実施例の基本的な構成は、実施例3の基本的な構成と同様であり、本実施例では実施例3と異なる構成についてのみ説明し、同一の構成については説明を省略する。
【0071】
情報処理装置300は、図7のフローを実行する。ステップS701乃至ステップS702の処理は、実施例3で説明した処理と同様であるため、説明は省略する。なお、本実施例の不具合要因は、要因A(障害物を回避できずに障害物の前で停止する)、及び要因B(障害物を回避できずに衝突して停止する)の2つとし、フラグとして保持する。
【0072】
本実施例のステップS703の処理は、実施例3とは異なる。以下、図9を参照して本実施例のステップS703の処理について説明する。図9は、本実施例の図7のステップS703の制御条件決定部315による第2の移動体の制御条件の決定処理を示すフローチャートである。
【0073】
ステップS901では、制御条件決定部315は、ステップS701で取得した不具合要因が要因A(障害物を回避できずに障害物の前で停止する)であるかどうかを判定する。制御条件決定部315は、不具合要因が要因Aであると判定した場合、ステップS902の処理を実行し、不具合要因が要因Aでないと判定した場合、ステップS903の処理を実行する。
【0074】
ステップS902では、制御条件決定部315は、ステップS702で取得した制御条件から移動体1の移動方向を取得し、移動体2が移動体1と所定の角度以上異なる移動方向から移動体1の位置に向かって移動するように移動体2の制御条件を決定する。
【0075】
ステップS903では、制御条件決定部315は、ステップS701で取得した不具合要因が要因B(障害物を回避できずに衝突して停止する)であるかどうかを判定する。制御条件決定部315は、不具合要因が要因Bであると判定した場合、ステップS904の処理を実行し、不具合要因が要因Bでないと判定した場合、本フローを終了する。
【0076】
ステップS904では、制御条件決定部315は、ステップS702で取得した制御条件から移動体1の移動時の姿勢を取得し、移動体2が、特徴点数が所定数以下の地点で、取得した姿勢を基準に所定量以上周囲を見回して移動するように制御条件を決定する。
【0077】
以上説明したように、本実施例の構成によれば、障害物による不具合が発生した移動体1の復帰を誘導できるように移動体2の制御方法を決定し、移動体2が移動体1の復帰を誘導する。これにより、建物等の構造物に取り付けられたカメラ(環境カメラ)の撮影領域外でも移動体1は自律移動を再開することが可能である。すなわち、自律移動を再開できる環境を拡大することができる。
【0078】
なお、障害物による不具合の要因として、「移動速度が速いために障害物を回避できない」や、「移動方向に障害物が多い」をあげてもよい。移動速度が速くて障害物を回避できない場合には、移動体2が移動体1よりも移動速度を落として移動体1の復帰誘導に向かうように制御条件を決定すればよい。これにより、移動体2に位置計測の不具合が発生する確率を低くすることができ、移動体1が自律移動を再開する可能性を向上させることができる。また、移動方向に障害物が多い場合には、移動体2が移動体1の進行方向とは所定量以上角度を変化させて移動するように制御条件を決定すればよい。これにより、移動体2に位置計測の不具合が発生する確率を低くすることができ、移動体1が自律移動を再開する可能性を向上させることができる。
【0079】
また、本実施例では、移動体2の選択方法について言及していないが、実施例1で説明した移動体2の選択方法を用いてもよい。実施例1で説明した選択方法により選択された移動体2に対して、制御条件を決定することで、移動体1が自律移動を再開する可能性を更に高めることが可能である。
【実施例0080】
実施例1,2では、移動体2が移動体1の復帰誘導に向かい、移動体1を移動体2に追従させることで移動体1の復帰を誘導するが、必ずしも移動体2が復帰誘導に自発的に向かう必要はない。例えば、移動体1が移動体2を認識して、自発的に追従する方式を用いてもよい。本実施例では、移動体2が復帰誘導の指示を受けなくても、移動体1が自発的に移動体2に追従し、自律移動を再開させる例について説明する。
【0081】
図10は、本実施例のシステムの構成を説明する図である。本実施例のシステムは、移動体1(第1の移動体)と移動体2(第2の移動体)を含む複数の移動体を有する。移動体1は、情報処理装置100、センサ111、自己位置推定部112、及び追従通知部113を備える。本実施例では、センサ111は、カメラである。
【0082】
情報処理装置100は、移動体認識部(認識部)101、追従位置決定部(第1の決定部)102、及び制御条件決定部(第2の決定部)103を備える。移動体認識部101は、センサ111が出力した画像を取得し、取得した画像から移動体2を認識し、移動体1,2の相対位置姿勢を追従位置決定部102に出力し、移動体2の個体識別IDを追従通知部113に出力する。追従位置決定部102は、移動体認識部101が出力した相対位置姿勢を取得し、相対位置姿勢に基づいて追従位置を決定し、制御条件決定部103と追従通知部113に出力する。制御条件決定部103は、追従位置決定部102が出力した追従位置を取得し、追従位置に基づいて移動体2の制御条件を決定し、追従通知部113に出力する。
【0083】
図11は、情報処理装置100の処理を示すフローチャートである。図11のフローは、CPUが制御プログラムを実行することにより実現される。ここで、移動体1は不具合が発生して自律移動が不可能な状態であり、移動体2は目標位置に自律移動している状態であるものとする。
【0084】
ステップS1101では、移動体認識部101は、センサ111が出力した画像から移動体2に貼り付けられた光学マーカを認識することで移動体2の個体識別IDを取得する。また、移動体認識部101は、光学マーカの三次元座標と画像から得られる光学マーカの二次元座標の対応関係からPnP問題を解くことにより、移動体1,2の相対位置姿勢を算出する。
【0085】
ステップS1102では、追従位置決定部102は、ステップS1101で算出された相対位置姿勢とセンサ111が出力した画像に写る光学マーカの面積が所定の範囲内となる位置を移動体1の追従位置として決定する。
【0086】
ステップS1103では、制御条件決定部103は、ステップS1102で決定された追従位置に基づいて、移動体2の制御条件を決定する。具体的には、移動体1がステップS1102で決定された追従位置を所定量逸脱した場合、移動体2は移動体1が追従位置に戻れるように速度を落として移動する。
【0087】
以上説明したように、本実施例の構成によれば、不具合が発生した移動体1が、自律移動している移動体2を検出し、自発的に追従する。これにより、移動体1は、不具合が発生した場所付近に限らず、移動体2が移動可能な任意の場所で自律移動を再開することが可能となり、自律移動を再開できる環境を拡大することができる。
【0088】
なお、本実施例では、光学マーカの面積に基づいて追従位置が決定されるが、モデルフィッティングで移動体を認識する場合はICPの残差が所定の範囲内となるように追従位置を決定してもよい。深層学習を用いて認識する場合は、画像中の移動体の面積が所定の範囲内となるように追従位置を決定してもよい。
[その他の実施例]
本発明は、上述の実施例の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0089】
本実施形態の開示は、以下の構成及び方法を含む。
(構成1)
それぞれが自律移動する複数の移動体のうち不具合により自律移動できない第1の移動体が自律移動を再開するために用いられる情報処理装置であって、
前記第1の移動体の不具合要因を取得する第1の取得部と、
前記複数の移動体のそれぞれに関する情報を取得する第2の取得部と、
前記不具合要因、及び前記複数の移動体のそれぞれに関する情報に基づいて前記第1の移動体の復帰を誘導する第2の移動体を選択する選択部とを有することを特徴とする情報処理装置。
(構成2)
前記選択部は、前記不具合要因、及び前記第1の移動体に含まれるセンサの視野と前記第1の移動体とは異なる前記移動体に含まれるセンサの視野との差異に基づいて前記第2の移動体を選択することを特徴とする構成1に記載の情報処理装置。
(構成3)
前記選択部は、前記不具合要因、及び前記複数の移動体のそれぞれに含まれるセンサの種類に基づいて前記第2の移動体を選択することを特徴とする構成1又は2に記載の情報処理装置。
(構成4)
前記選択部は、前記不具合要因、及び前記複数の移動体の移動の履歴に基づいて前記第2の移動体を選択することを特徴とする構成1乃至3の何れか一つの構成に記載の情報処理装置。
(構成5)
前記選択部は、前記不具合要因、及び前記複数の移動体の位置の計測方法に基づいて前記第2の移動体を選択することを特徴とする構成1乃至4の何れか一つの構成に記載の情報処理装置。
(構成6)
前記選択部は、前記不具合要因、及び前記第1の移動体とは異なる移動体の障害物の回避機能に基づいて前記第2の移動体を選択することを特徴とする構成1乃至5の何れか一つの構成に記載の情報処理装置。
(構成7)
前記第1の移動体の不具合が発生した位置を取得する位置取得部と、
前記第2の移動体を前記第1の移動体の不具合が発生した位置まで移動させるための経路を生成する生成部と、
前記経路を前記第2の移動体に送信する送信部とを更に有することを特徴とする構成1乃至6の何れか一つの構成に記載の情報処理装置。
(構成8)
それぞれが自律移動する複数の移動体のうち不具合により自律移動できない第1の移動体が自律移動を再開するために用いられる情報処理装置であって、
前記第1の移動体の不具合要因を取得する第1の取得部と、
前記第1の移動体の第1の制御条件を取得する第3の取得部と、
前記不具合要因、及び前記第1の制御条件に基づいて前記第1の移動体の復帰を誘導する第2の移動体の第2の制御条件を決定する決定部とを有することを特徴とする情報処理装置。
(構成9)
前記決定部は、前記第2の移動体が前記第1の移動体の移動速度よりも遅い移動速度で移動するように前記第2の制御条件として決定することを特徴とする構成8に記載の情報処理装置。
(構成10)
前記決定部は、前記第2の移動体が、姿勢が前記第1の移動体の移動時の姿勢を基準に所定量以上変化しながら移動するように前記第2の制御条件を決定することを特徴とする構成8又は9に記載の情報処理装置。
(構成11)
それぞれが自律移動する複数の移動体のうち不具合により自律移動できない第1の移動体が自律移動を再開するために用いられる情報処理装置であって、
前記第1の移動体の復帰を誘導する第2の移動体を認識するための認識部と、
前記第1の移動体が前記第2の移動体に追従するための前記第2の移動体に対する前記第1の移動体の位置を決定する第1の決定部と、
前記第2の移動体に対する前記第1の移動体の位置に基づいて前記第2の移動体の制御条件を決定する第2の決定部とを有することを特徴とする情報処理装置。
(方法1)
それぞれが自律移動する複数の移動体のうち不具合により自律移動できない第1の移動体が自律移動を再開するために用いられる情報処理方法であって、
前記第1の移動体の不具合要因を取得するステップと、
前記複数の移動体のそれぞれに関する情報を取得するステップと、
前記不具合要因、及び前記複数の移動体のそれぞれに関する情報に基づいて前記第1の移動体の自律移動を誘導する第2の移動体を選択するステップとを有することを特徴とする情報処理方法。
(方法2)
それぞれが自律移動する複数の移動体のうち不具合により自律移動できない第1の移動体が自律移動を再開するために用いられる情報処理方法であって、
前記第1の移動体の不具合要因を取得するステップと、
前記第1の移動体の第1の制御条件を取得するステップと、
前記不具合要因、及び前記第1の制御条件に基づいて前記第1の移動体の自律移動を誘導する第2の移動体の第2の制御条件を決定するステップとを有することを特徴とする情報処理装置。
(方法3)
それぞれが自律移動する複数の移動体のうち不具合により自律移動できない第1の移動体が自律移動を再開するために用いられる情報処理方法であって、
前記第1の移動体の自律移動を誘導する第2の移動体を認識するためのステップと、
前記第1の移動体が前記第2の移動体に追従するための前記第2の移動体に対する前記第1の移動体の位置を決定するステップと、
前記第2の移動体に対する前記第1の移動体の位置に基づいて前記第2の移動体の制御条件を決定するステップとを有することを特徴とする情報処理装置。
(構成12)
方法1乃至3の何れか一項に記載の情報処理方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【0090】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0091】
1 第1の移動体
2 第2の移動体
300 情報処理装置
310 不具合要因取得部(第1の取得部)
311 移動条件取得部(第2の取得部)
312 復帰誘導移動体選択部(選択部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11