(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177860
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】クレーン車
(51)【国際特許分類】
B66D 1/58 20060101AFI20241217BHJP
B66C 23/36 20060101ALI20241217BHJP
B66C 23/88 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
B66D1/58 H
B66C23/36 A
B66C23/88 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096230
(22)【出願日】2023-06-12
(71)【出願人】
【識別番号】000116644
【氏名又は名称】株式会社アイチコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100115808
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 真司
(74)【代理人】
【識別番号】100113549
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 守
(74)【代理人】
【識別番号】100092897
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 正悟
(74)【代理人】
【識別番号】100157417
【弁理士】
【氏名又は名称】並木 敏章
(74)【代理人】
【識別番号】100218095
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(72)【発明者】
【氏名】長嶋 隆洋
(72)【発明者】
【氏名】橋口 龍馬
【テーマコード(参考)】
3F205
【Fターム(参考)】
3F205AA06
3F205AC01
3F205CA03
3F205CB03
3F205DA04
3F205JA04
3F205KA07
(57)【要約】
【課題】フックの格納作業を適切かつ効率よく行うことができるクレーン車を提供する。
【解決手段】ブームの先端部に設けられたブームヘッドと、先端部にフックが取り付けられたワイヤを備え、ワイヤの巻取作動および繰出作動を行うことで、フックを上昇または下降させるウインチ装置と、操作装置19の操作に応じてウインチ装置に巻取作動または繰出作動をさせるコントローラ50と、ワイヤの張力を検出する張力検出器48と、ブームが所定位置に存在するか否かを判断するブーム位置判断部52と、を備え、コントローラ50は、ブーム位置判断部52においてブームが所定位置に存在すると判断されている状態でウインチ装置に巻取作動をさせているときに、張力検出器48によってワイヤの張力が所定値以上になったことが検出されると、操作装置19による操作に関わらずウインチ装置の巻取作動を停止させる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行可能な走行体と、
前記走行体に対して起伏作動可能に設けられたブームと、
シーブを有し、前記ブームの先端部に設けられたブームヘッドと、
先端部にフックが取り付けられ、前記シーブに巻回されるワイヤを備え、前記ワイヤの巻取作動および繰出作動を行うことで、前記シーブから吊り下がる前記フックを上昇または下降させるウインチ装置と、
前記ウインチ装置の巻取作動および繰出作動を操作する操作装置と、
前記操作装置の操作に応じて前記ウインチ装置に巻取作動または繰出作動をさせるウインチ制御装置と、
前記ワイヤの張力を検出する張力検出装置と、
前記ブームが所定位置に存在するか否かを判断するブーム位置判断装置と、を備え、
前記ウインチ制御装置は、
前記ブーム位置判断装置において前記ブームが前記所定位置に存在すると判断されている状態で前記ウインチ装置に巻取作動をさせているときに、前記張力検出装置によって前記ワイヤの張力が所定値以上になったことが検出されると、前記操作装置による操作に関わらず前記ウインチ装置の巻取作動を停止させることを特徴とするクレーン車。
【請求項2】
前記ブームヘッドと前記フックとの間隔が所定間隔になったことを検出する間隔検出装置を備え、
前記ウインチ制御装置は、
前記ブーム位置判断装置によって前記ブームが前記所定位置に存在しないと判断されている状態で前記ウインチ装置に巻取作動をさせているときに、前記間隔検出装置によって前記ブームヘッドと前記フックとの間隔が前記所定間隔になったことが検出された場合は、前記操作装置による操作に関わらず前記ウインチ装置の巻取作動を停止させ、
前記ブーム位置判断装置によって前記ブームが前記所定位置に存在すると判断されている状態で前記ウインチ装置に巻取作動をさせているときに、前記間隔検出装置によって前記ブームヘッドと前記フックとの間隔が前記所定間隔になったことが検出された場合は、前記ウインチ装置の巻取作動を維持し、その後前記張力検出装置によって前記ワイヤの張力が所定値以上になったことが検出されると、前記操作装置による操作に関わらず前記ウインチ装置の巻取作動を停止させることを特徴とする請求項1に記載のクレーン車。
【請求項3】
前記ブームは長手方向に伸縮可能な構造を有し、
前記ブームの伸縮量を検出する伸縮量検出器と、
前記走行体に設けられ、前記ブームの格納位置で前記ブームが載置されるブーム受けと、
前記ブーム受けに前記ブームが載置されたことを検出するブーム格納検出器と、を備え、
前記ブーム位置判断装置は、
前記ブーム格納検出器によって前記ブームが前記ブーム受けに載置されたことが検出され、かつ、前記伸縮量検出器によって前記ブームの伸縮量が全縮状態から所定の伸長量までの範囲内であることが検出された場合に、前記ブームが前記所定位置に存在すると判断することを特徴とする請求項1または2に記載のクレーン車。
【請求項4】
前記ブームの起伏角度を検出する起伏角度検出器を備え、
前記ブーム位置判断装置は、
前記起伏角度検出器によって前記ブームの起伏角度が最大値から所定角度までの範囲内であることが検出され、かつ、前記伸縮量検出器によって前記ブームの伸縮量が全縮状態から所定の伸長量までの範囲内であることが検出された場合に、前記ブームが前記所定位
置に存在すると判断することを特徴とする請求項3に記載のクレーン車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運搬対象物を吊り上げて移動させることができるクレーン装置を走行体に設けたクレーン車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、クレーン車には、特許文献1に記載された穴堀建柱車のように、クレーン装置に加えて電柱などの柱状物を立設するための穴を掘るオーガ装置を備えたものがある。この穴堀建柱車には、クレーン装置のウインチがワイヤを巻き取り過ぎたことによって、または、クレーン装置のフックがブームの先端に設けられたブームヘッドに接近した状態でブームを伸縮作動または起伏作動させたことによって、フックがブームヘッドに過剰に押し当てられて互いに破損したり、ワイヤに過剰な張力が掛かってワイヤを破損してしまったりするのを防ぐために、過巻防止装置を備えている。この過巻防止装置は、ウインチにワイヤの巻取作動をさせているときにフックとブームヘッドとの間が所定の距離まで接近したことを検出すると、ウインチの巻取作動を停止させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、クレーン車が移動する際にブームヘッドからフックが吊り下がったまま走行すると、走行中の揺れや発進/停止時の加減速などによりフックが揺動して自車または周囲の構造物などを破損してしまう虞がある。したがって、クレーン車の走行中においてもフックが安定した状態を保つことができるようにするため、例えば、フックがブームヘッドに当接するまでウインチでワイヤを巻き取って、フックをブームヘッドに押し当てた状態にすることでフックが揺動しないようにすることが考えられる。以下、フックが安定した状態を保つことができる状態にするための作業を「フックの格納作業」という。
【0005】
このフックの格納作業において、例えば作業者がウインチでワイヤを過剰に巻き取ってしまうと、フックがブームヘッドに必要以上の力で押し当てられ、フックまたはブームヘッドが破損したり、ワイヤを破損してしまったりする虞がある。また、前述した過巻防止装置を備えたクレーン車においては、フックをブームヘッドに当接させるためにウインチに巻取作動をさせている過程で過巻防止装置が作動し、これによりウインチの巻取作動が停止した場合は、一旦、過巻防止装置の作動を解除した後、再度ウインチに巻取作動をさせるための操作を行う必要があるため、フックの格納作業が煩雑になるという問題がある。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、フックの格納作業を適切かつ効率よく行うことができるクレーン車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係るクレーン車は、走行可能な走行体(例えば、実施形態における車体2)と、前記走行体に対して起伏作動可能に設けられたブームと、シーブを有し、前記ブームの先端部に設けられたブームヘッドと、先端部にフックが取り付けられ、前記シーブに巻回されるワイヤを備え、前記ワイヤの巻取作動および繰出作動を行うことで、前記シーブから吊り下がる前記フックを上昇または下降させるウインチ装置
と、前記ウインチ装置の巻取作動および繰出作動を操作する操作装置と、前記操作装置の操作に応じて前記ウインチ装置に巻取作動または繰出作動をさせるウインチ制御装置(例えば、実施形態におけるコントローラ50)と、前記ワイヤの張力を検出する張力検出装置(例えば、実施形態における張力検出器48)と、前記ブームが所定位置に存在するか否かを判断するブーム位置判断装置(例えば、実施形態におけるブーム位置判断部52)と、を備え、前記ウインチ制御装置は、前記ブーム位置判断装置において前記ブームが前記所定位置に存在すると判断されている状態で前記ウインチ装置に巻取作動をさせているときに、前記張力検出装置によって前記ワイヤの張力が所定値以上になったことが検出されると、前記操作装置による操作に関わらず前記ウインチ装置の巻取作動を停止させることを特徴とする。
【0008】
また、上記構成のクレーン車において、前記ブームヘッドと前記フックとの間隔が所定間隔になったことを検出する間隔検出装置(例えば、実施形態における過巻検出器35)を備え、前記ウインチ制御装置は、前記ブーム位置判断装置によって前記ブームが前記所定位置に存在しないと判断されている状態で前記ウインチ装置に巻取作動をさせているときに、前記間隔検出装置によって前記ブームヘッドと前記フックとの間隔が前記所定間隔になったことが検出された場合は、前記操作装置による操作に関わらず前記ウインチ装置の巻取作動を停止させ、前記ブーム位置判断装置によって前記ブームが前記所定位置に存在すると判断されている状態で前記ウインチ装置に巻取作動をさせているときに、前記間隔検出装置によって前記ブームヘッドと前記フックとの間隔が前記所定間隔になったことが検出された場合は、前記ウインチ装置の巻取作動を維持し、その後前記張力検出装置によって前記ワイヤの張力が所定値以上になったことが検出されると、前記操作装置による操作に関わらず前記ウインチ装置の巻取作動を停止させることが好ましい。
【0009】
また、上記いずれかの構成のクレーン車において、前記ブームは長手方向に伸縮可能な構造を有し、前記ブームの伸縮量を検出する伸縮量検出器と、前記走行体に設けられ、前記ブームの格納位置で前記ブームが載置されるブーム受けと、前記ブーム受けに前記ブームが載置されたことを検出するブーム格納検出器と、を備え、前記ブーム位置判断装置は、前記ブーム格納検出器によって前記ブームが前記ブーム受けに載置されたことが検出され、かつ、前記伸縮量検出器によって前記ブームの伸縮量が全縮状態から所定の伸長量までの範囲内であることが検出された場合に、前記ブームが前記所定位置に存在すると判断することが好ましい。
【0010】
また、上記構成のクレーン車において、前記ブームの起伏角度を検出する起伏角度検出器を備え、前記ブーム位置判断装置は、前記起伏角度検出器によって前記ブームの起伏角度が最大値から所定角度までの範囲内であることが検出され、かつ、前記伸縮量検出器によって前記ブームの伸縮量が全縮状態から所定の伸長量までの範囲内であることが検出された場合に、前記ブームが前記所定位置に存在すると判断することが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るクレーン車によれば、ブーム位置判断装置によってブームが所定位置に存在すると判断されている状態で、操作装置における操作に応じてウインチ制御装置がウインチ装置に巻取作動をさせているときに、張力検出装置によってワイヤの張力が所定値以上になったことが検出されると、操作装置による操作に関わらずウインチ装置の巻取作動を停止させる。これにより、フックの格納作業を行っているときにウインチ装置の巻取作動によって必要以上の力でフックがブームヘッドに押し当てられたり、ワイヤに過度の張力が掛けられたりするのを防止することができる。
【0012】
また、上記構成のクレーン車において、ブームヘッドとフックとの間隔が所定間隔になったことを検出する間隔検出装置を備え、操作装置における操作に応じてウインチ制御装
置が、ウインチ装置に巻取作動をさせているときに、間隔検出装置によってブームヘッドとフックとの間隔が所定間隔になったことが検出された場合は、ウインチ装置の巻取作動を停止させるが、ブーム位置判断装置によってブームが所定位置に存在すると判断されている状態であれば、ウインチ装置の巻取作動を維持し、その後、張力検出装置によってワイヤの張力が所定値以上になったことが検出され場合に、ウインチ装置の巻取作動を停止させるように構成してもよい。このように構成することで、フックの格納作業を行っているときにブームヘッドとフックとの間隔が所定間隔になったとしても、ウインチ装置の巻取作動が停止して再度ウインチ装置に巻取作動をさせる操作が必要ないため、フックの格納作業が煩雑にならず作業効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る穴掘建柱車の左側面図である。
【
図2】上記穴掘建柱車のブームヘッドおよびフックブロックの構成を説明するための説明図である。
【
図3】上記穴掘建柱車の各種アクチュエータおよびアクチュエータの駆動を制御するコントローラの構成を示すブロック図である。
【
図4】本発明の第2実施形態に係る穴掘建柱車の右側面図である。
【
図5】上記穴掘建柱車のフックの格納作業中におけるウインチ装置の駆動制御について説明するための説明図である。
【
図6】上記穴掘建柱車のフックの格納作業中におけるウインチ装置の駆動制御について説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。
[第1実施形態]
まず、
図1を参照して本発明に係るクレーン車の第1実施形態である穴掘建柱車1の構成について説明する。
図1は本実施形態の穴掘建柱車1の左側の側面図である。ここで、
図1において、後述する運転キャビン3側を「前」、その反対側を「後」とする。また、穴掘建柱車1の前進方向に向かって右方を「右」、左方を「左」とする。
【0015】
本実施形態の穴掘建柱車1は、
図1に示すように、車体2の前部に運転キャビン3を有し、車体2の前後に配設された左右一対のタイヤ車輪5により走行可能なトラック車両をベースに構成されている。車体2の前後左右の四箇所には、車体2を持ち上げ支持するためのジャッキ9が配設されている。各ジャッキ9は、その内部に設けられたジャッキシリンダ(図示略)を駆動して下方に伸長作動をさせることで車体2を持ち上げ支持し、これにより車体2全体が安定した状態となる。
【0016】
車体2の後部側の架装領域には、上下軸回りに水平旋回作動可能に構成された旋回台10が設けられており、旋回モータ11を回転駆動することによって水平方向に旋回作動する。旋回台10には、ブーム12の基端部が揺動作動可能(起伏作動可能)に軸支されている。ブーム12は、旋回台10側から順に、基端ブーム12a、中間ブーム12bおよび先端ブーム12cが入れ子式に組み合わされた構成を有しており、その内部に設けられた伸縮シリンダ13を伸縮駆動することにより、ブーム12を軸方向(長手方向)に伸縮作動させる。基端ブーム12aと旋回台10との間には起伏シリンダ14が跨設されており、この起伏シリンダ14を伸縮駆動することにより、旋回台10とブーム12の基端部とを結合する軸を中心としてブーム12の先端を上下方向に起伏作動させることができる。穴掘建柱車1の走行時には、車体2に設けられたブーム受け15にブーム12を載置した状態(
図1中、破線で示す)にする。以下、ブーム受け15にブーム12を載置した状態を「ブームの格納状態」という。
【0017】
ブーム12には、基端ブーム12aまたは先端ブーム12cのいずれか一方に選択的に連結可能なオーガサポート16が取り付けられている。このオーガサポート16には、連結棒部材16aを介してオーガ装置17が取り付けられている。オーガ装置17は、地面に電柱建て込み用の穴を掘削する際に使用されるものであり、回転軸および回転軸に対して螺旋状に巻き付くように形成された羽根を有するオーガスクリュー(アースオーガ)17aと、オーガスクリュー17aを回転させるオーガモータ17bとを有して構成されている。オーガモータ17bは油圧によって回転駆動される出力軸を有し、この出力軸は減速機を介してオーガスクリュー17aの回転軸の一方端に接続されている。
【0018】
基端ブーム12aの左側面にはオーガ装置を保持するためのオーガ格納装置18が設けられている。オーガ格納装置18とオーガスクリュー17aとはワイヤ(図示略)で繋がれており、オーガスクリュー17aを回転させることで上述したワイヤを巻き取っていくと、オーガ装置17が連結棒部材16aを軸に、
図1中、反時計回りに回動していき、ブーム12とほぼ平行になった位置でオーガ格納装置18によって保持される。これに対してオーガ装置17を使用する場合は、オーガ格納装置18によるオーガ装置17保持を解除し、オーガスクリュー17aを反転させて巻き取ったワイヤを解いていくと、オーガ装置17が連結棒部材16aを軸に、
図1中、時計回りに回動していき、オーガスクリュー17aが鉛直になったところでオーガスクリュー17aからワイヤを取り外す。そして、オーガスクリュー17aを回転させることで、電柱などの柱状物を立設するための穴を地面に掘ることができる。
【0019】
基端ブーム12aの基端部上面にはウインチ装置20が取り付けられている。ウインチ装置20はワイヤ21が巻き付けられるドラムと、後述するウインチモータ20a(
図3参照)とを有し、ウインチモータ20aを駆動してドラムを回転させることでワイヤ21を巻き取りまたは繰り出す。先端ブーム12cの先端部には、ブームヘッド30が設けられている。ウインチ装置20から引き出されたワイヤ21の先端部は、ブームヘッド30の内部を通ってブームヘッド30の下部から延出し、ワイヤ21によってフックブロック33が吊り下げられる状態にしてから再びブームヘッド30の内部へ入り、そこで固定される。
【0020】
旋回台10には、旋回台10の旋回作動、ブーム12の伸縮作動及び起伏作動、オーガ装置の回転作動、およびウインチ装置20の巻取/繰出作動を操作するための各操作レバーを備えた操作装置19が設けられている。また、車体2の下部において、前側ジャッキ9と後輪5との間には作動油タンク40が設けられており、作動油タンク40は、旋回モータ11、伸縮シリンダ13、起伏シリンダ14、オーガモータ17bおよびウインチ装置20に設けられたウインチモータ20aなどの、油圧によって作動するアクチュエータ(以下、「油圧アクチュエータ」という。)に供給する作動油を貯蔵している。
【0021】
次に
図2(a)を参照して、ブームヘッド30およびフックブロック33の構造について説明する。ブームヘッド30の内部には、ブームシーブ31およびトップシーブ32が各々軸で回転可能に取り付けられている。ウインチ装置20からブーム12に沿って引き出されたワイヤ21は、ブームヘッド30の内部に入ってブームシーブ31に掛け回され、さらにトップシーブ32に掛け回されてブームヘッド30の下部から外に出て下方へ延びる。ブームヘッド30の下部から延出するワイヤ21は、フックブロック33の内部に軸で回転可能に取り付けられたフックシーブ33aに掛け回され、フックブロック33の上部から外に出て上方へ延びる。ワイヤ21の先端部は丸く曲げられて輪状に加工されており、この輪状に加工された部分が、ブームヘッド30内に設けられたエンドピン(図示略)に固定される。なお、フックブロック33の下部には運搬対象物を吊り上げるためのフック33bが取り付けられている。
【0022】
ブームヘッド30の内部には過巻検出器35が設けられている。過巻検出器35はスイッチアーム35aを有するノーマルクローズタイプのリミットスイッチである。通常はスイッチアーム35aが過巻検出器35内部のバネによって
図2(a)中、矢印Aの方向(オン側)に傾倒するように付勢され、これによりオン状態になっている。スイッチアーム35aには錘吊りロープ36の一方端が接続されており、錘吊りロープ36の他方端はワイヤ21に取り付けられた錘37に接続されている。錘37は略半球形状を有し、その中央部にはワイヤ21を貫通させるための貫通孔が開けられており、これにより錘37はワイヤ21に沿って上下移動可能に取り付けられる。
【0023】
上述したように錘吊りロープ36の他方端は錘37に接続されていることから、
図2(a)の状態では錘37の重量によってスイッチアーム35aはバネの付勢に抗してオフ側に傾倒している。そして、
図1に示したウインチ装置20によってワイヤ21が巻き取られていくとフックブロック33が上昇していき、やがて
図2(b)に示すようにフックブロック33が錘37に当接する。この状態からさらにフックブロック33が上昇すると錘37がワイヤ21に沿って持ち上げられていき、これに伴ってスイッチアーム35aがバネの付勢によって
図2(b)中、矢印Aの方向へ徐々に傾倒していき、やがて過巻検出器35がオン状態になる。
【0024】
次に
図3を参照して、操作装置19の操作に応じて旋回台10の旋回作動、ブーム12の伸縮作動及び起伏作動、オーガ装置の回転作動、およびウインチ装置20の巻取/繰出作動を制御するための構成について説明する。穴掘建柱車1は、作動油タンク40と、作動油タンク40に貯蔵された作動油を各油圧アクチュエータへ供給するための油圧ポンプ41と、油圧ポンプ41から各油圧アクチュエータに供給する作動油の供給方向および供給量を制御する制御バルブ42と、操作装置19からの操作信号に基づいて制御バルブ42を制御し、各油圧アクチュエータを駆動制御するコントローラ50とを備えている。
【0025】
油圧ポンプ41は、車体2の走行用のエンジン4の駆動力によって作動する。エンジン4のトランスミッション8にはパワーテイクオフ機構9が組み込まれており、運転キャビン3内にあるPTO操作レバー6がオフからオンに操作されると、パワーテイクオフ機構9の機構部が作動し、エンジン4の駆動力が油圧ポンプ41に伝達されるようになる。また、PTO操作レバー6がオンからオフに操作されると、エンジン4の駆動力はトランスミッション8を介して車体2の後輪5に伝達されるようになる。制御バルブ42は、旋回モータ11に対応する電磁比例制御バルブV1、伸縮シリンダ13に対応する電磁比例制御バルブV2、起伏シリンダ14に対応する電磁比例制御バルブV3、オーガモータ17bに対応する電磁比例制御バルブV4およびウインチモータ20aに対応する電磁比例制御バルブV5を有している。
【0026】
操作装置19が有する各操作レバーの操作に応じて出力された操作信号がコントローラ50へ入力されると、コントローラ50は、その操作信号に応じた指令信号を制御バルブ42へ出力し、電磁比例制御バルブV1~V5の各スプールを上記の指令信号に基づいて電磁駆動する。これにより、油圧ポンプ41から各油圧アクチュエータへ供給される作動油の供給方向および供給量が制御され、旋回モータ11、伸縮シリンダ13、起伏シリンダ14、オーガモータ17bおよびウインチモータ20aの駆動方向および駆動速度が制御される。この結果、操作装置19の操作レバーを操作することで、旋回台10の旋回作動、ブーム12の伸縮作動および起伏作動、オーガ装置の回転作動、およびウインチ装置20の巻取/繰出作動を行うことができる。なお、ウインチ装置20が巻取作動をしているときに、
図2に示した過巻検出器35がオン状態になった場合、コントローラ50はウインチモータ20aの駆動を停止して、ウインチ装置20の巻取作動を一旦停止させる。引き続きウインチ装置20に巻取作動をさせる場合は、操作装置19に設けられた停止解除ボタンを押す必要がある。
【0027】
穴掘建柱車1は、旋回台10の旋回角度を検出する旋回角度検出器45と、ブーム12の起伏角度を検出する起伏角度検出器46と、ブーム12の伸縮量を検出する伸縮量検出器47と、ワイヤ21の張力を検出する張力検出器48と、ブーム12がブーム受け15に載置されたことを検出するブーム格納検出器49とを備えている。これら検出器によって検出された検出値を示す検出信号は、コントローラ50へ送信される。なお、これらの検出器には、従来から存在する同様の機能を有する検出器を用いることができる。
【0028】
コントローラ50は、作動規制部51およびブーム位置判断部52を備えている。コントローラ50が、旋回角度検出器45、起伏角度検出器46、伸縮量検出器47および張力検出器48からの検出信号を受信すると、作動規制部51は、各検出値に基づいて転倒モーメントを計算する。そして、ブーム12の作動中に算出した転倒モーメントが予め定められた許容モーメントを超えた場合は、操作装置19の操作に応じたブーム12の作動制御に関わらず、ブーム12の作動可能領域を規制する。また、ブーム位置判断部52は、伸縮量検出器47およびブーム格納検出器49からの検出信号に基づいて、ブーム12がフックブロック33を安定した状態に保つのに適した位置(以下、「フック格納位置」と称する。)になっているか否かを判断する。
【0029】
次に、上述した穴堀建柱車1において、作業者がフックの格納作業を行う際のコントローラ50による制御内容について、
図2を参照しつつ説明する。まず、作業者は、ブーム12が
図2(a)に示す状態になっているときに、操作装置19によりウインチ装置20に巻取作動をさせる操作を行った場合、コントローラ50は、ウインチ装置20がワイヤ21の巻取作動をするように、ウインチモータ20aを巻取駆動する。ワイヤ21の巻き取りに伴ってフックブロック33は上昇していき、やがて
図2(b)に示すように、フックブロック33が錘37に当接し、その後フックブロック33の上昇によって錘37がワイヤ21に沿って持ち上げられていく。
【0030】
このとき、錘吊りロープ36に接続された錘37によって、過巻検出器35がオフ状態となる位置に傾倒していたスイッチアーム35aは、過巻検出器35の内部に設けられたバネの付勢に従って徐々にオン状態となる位置へ傾倒していき、やがて過巻検出器35がオン状態になると、コントローラ50はウインチモータ20aの巻取駆動を一旦停止し、以後、ウインチモータ20aの巻取駆動停止状態になる。巻取駆動停止状態になっている間は、操作装置19により、ウインチ装置20においてワイヤ21を巻き取る操作が行われても、コントローラ50はウインチモータ20aを巻取駆動しない。
【0031】
一方、作業者は過巻検出器35がオン状態になったことでウインチ装置20の巻取作動が一旦停止すると、操作装置19によりブーム12を全縮状態にして、ブーム受け15にブーム12を載置する操作を行う。これにより、コントローラ50は、電磁比例制御バルブV2を制御して、ブーム12の伸長量が全縮状態となるように伸縮シリンダ13を収縮駆動し、また、電磁比例制御バルブV1およびV3を制御して、ブーム12がブーム受け15に載置されるように旋回モータ11の回転駆動および起伏シリンダ14の収縮駆動を行う。そして、ブーム12がブーム受け15に載置されると、ブーム格納検出器49(
図3参照)は、ブーム12がブーム受け15に載置されたことを示す検出信号(以下、「ブーム格納信号」と称する)をコントローラ50へ送信する。
【0032】
ブーム位置判断部52(
図3参照)は、コントローラ50がブーム格納検出器49からブーム格納信号を受信しているときは、ブーム12がフック格納位置に在ると判断し、ブーム格納信号を受信していないときは、ブーム12がフック格納位置に無いと判断する。コントローラ50は、ブーム位置判断部52によってブーム12がフック格納位置に在ると判断されている間は、ウインチモータ20aの巻取駆動停止状態を解除し、操作装置1
9の操作に応じてウインチモータ20aの巻取駆動が可能な状態となる。ただし、ウインチモータ20aの巻取駆動停止状態が解除された後であっても、ブーム位置判断部52においてブーム12がフック格納位置に無いと判断されると、再びウインチモータ20aの巻取駆動停止状態となる。なお、現在ウインチモータ20aの巻取駆動停止状態になっているか否かを表示装置に表示するなどして、現在の状態を作業者に報知するようにしてもよい。
【0033】
ウインチモータ20aの巻取駆動が可能な状態となり、作業者が再び操作装置19によりウインチ装置20に巻取作動をさせる操作を行うことにより、コントローラ50は、ウインチ装置20がワイヤ21の巻取作動をするように、ウインチモータ20aを巻取駆動する。これにより、ワイヤ21がウインチ装置20に巻き取られていき、再びフックブロック33が上昇すると、やがて
図2(c)に示すようにフックブロック33がブームヘッド30に当接する。この状態で、さらにウインチ装置20の巻取作動が継続されるとワイヤ21の張力が徐々に上昇していく。
【0034】
コントローラ50は、ウインチ装置20の巻取駆動の再開後、ウインチ装置20が巻取作動をしている間、張力検出器48から送信される検出信号に基づいて、ワイヤ21の張力が所定値になったか否かを判断している。そして、ワイヤ21の張力が所定値以上になったときに、操作装置19によるウインチ装置20のワイヤ21巻き取り操作が行われていたとしても、ウインチ装置20の巻取駆動を停止する。ここで、ウインチ装置20の巻取駆動が停止されることとなるワイヤ21の張力の値は、穴堀建柱車1が走行中であってもフックブロック33が安定した状態を維持できる程度にフックブロック33をブームヘッド30に押し当てられる張力の値とする。この張力の値は、例えば走行試験などの結果に基づいて適宜決定されたものであってもよい。
【0035】
このように、ブーム12がブーム受け15に載置されている状態で、操作装置19による操作に応じてコントローラ50がウインチ装置20に巻取作動をさせているときに、張力検出器49によってワイヤ21の張力が所定値以上になったことが検出されると、操作装置19による操作に関わらずウインチ装置20の巻取作動を停止させるので、フックの格納作業を行っているときにウインチ装置20の巻取作動によって必要以上の力でフックブロック33がブームヘッド30に押し当てられたり、ワイヤ21に過度の張力が掛けられたりするのを防止することができる。
【0036】
また、フックの格納作業を行っているときに、過巻検出器35によってフックブロック33とブームヘッド30との間隔が所定間隔になったとしても、ウインチ装置20の巻取作動が停止し、ウインチ装置20の巻取作動を再開するために操作装置19に設けられた停止解除ボタンを押す必要がないため、フックの格納作業が煩雑にならず作業効率を向上させることができる。
【0037】
なお、本実施形態では
図3に示したように、操作装置19からの指令信号に基づいてコントローラ50が電磁比例バルブV1~V5を制御していたが、操作装置19および電磁比例バルブV1~V5の代わりに、電磁比例バルブV1~V5と同様のバルブ開閉制御を手動で行うことができる手動切替バルブMSV1~MSV5(図示略)を用いてもよい。例えば、電磁比例バルブV1の代わりに手動切替バルブMSV1を用い、電磁比例バルブV2の代わりに手動切替バルブMSV2を用い、電磁比例バルブV3の代わりに手動切替バルブMSV3を用い、電磁比例バルブV4の代わりに手動切替バルブMSV4を用い、電磁比例バルブV5の代わりに手動切替バルブMSV5を用いる。そして、ウインチモータ20aに対応する手動切替バルブMSV5と油圧ポンプ41との間にウインチモータ20aへの作動油の供給および遮断を行う電磁比例バルブを設ける。
【0038】
このような構成において、上述した電磁比例バルブに対して、コントローラ50によって前述したフック格納時におけるウインチ装置20の巻取駆動に関する制御と同様にウインチモータ20aへの作動油の供給および遮断を行う制御を実行するようにする。また、本実施形態ではブーム12がブーム受け15に載置された状態になっているときに、ワイヤ21の張力が所定値以上になると、ウインチ装置20の巻取作動を停止させていたが、ブーム12の伸縮量が所定の範囲内になっており、かつ、ブーム12がブーム受け15に載置された状態になっているときに、ワイヤ21の張力が所定値以上になると、ウインチ装置20の巻取作動を停止させるようにしてもよい。
【0039】
[第2実施形態]
次に
図4~
図6を参照して、本発明に係るクレーン車の第2実施形態である穴掘建柱車1’の構成について説明する。
図4は本実施形態の穴掘建柱車1’の右側の側面図である。なお、
図4に示す穴掘建柱車1’おいて、
図1に示した穴掘建柱車1と同一の構成ついては同じ符号を付し、その詳しい説明を省略する。また、本実施形態において、各油圧アクチュエータを制御するための構成は、
図3に示した制御ブロック図の構成と同様である。なお、
図4における前後左右の方向については、運転キャビン3側を「前」、その反対側を「後」とする。また、穴掘建柱車1’の前進方向に向かって右方を「右」、左方を「左」とする。
【0040】
本実施形態の穴掘建柱車1’が
図1に示した穴掘建柱車1と異なる点は、基端ブーム12aの右側面の旋回台10に近い位置に、フック33bを引っ掛けるためのブラケット22が取り付けられている点である。ブラケット22はコ字状に曲げられた棒状部材であり、縦に延びる長手方向の部位が基端ブーム12aと平行になる状態で、長手部分の前端部と後端部とからそれぞれ横方向に延びる2本の部位が基端ブーム12aに取り付けられる。第1実施形態の穴掘建柱車1においてはフックを格納する場合、フックブロック33をブームヘッド30に押し当てることで安定した状態にしていたが、本実施形態の穴掘建柱車1’においてはフックを格納する場合、フック33bをブラケット22に引っ掛けてから、ワイヤ21に適宜張力を掛けることでフックを安定した状態にしている。
【0041】
また、本実施形態の穴掘建柱車1’におけるブーム位置判断部52(
図3参照)は、(A)伸縮量検出器47から送信された検出信号が、ブーム12の伸長量が全縮状態から所定の伸長量までの範囲内であることを示しており、かつ、起伏角度検出器46から送信された検出信号が、ブーム12の起伏角度が最大値から所定角度までの範囲内であることを示している場合、および、(B)伸縮量検出器47から送信された検出信号が、ブーム12の伸長量が全縮状態から所定の伸長量までの範囲内であることを示しており、かつ、ブーム格納検出器49から送信された検出信号が、ブーム12がブーム受け15に載置されていることを示している場合に、ブーム12がフック格納位置に在ると判断する。
【0042】
以下、
図5および
図6を参照して、本実施形態の穴掘建柱車1’において、作業者がフックの格納作業を行う際のコントローラ50による制御内容について説明する。まず、作業者は、操作装置19によりブーム12が全縮状態となり、かつ、ブーム12の起伏角度が最大角度(最も起きた状態)になるように操作する。これにより、コントローラ50は電磁比例制御バルブV2およびV3(
図3参照)を制御して、ブーム12の伸長量が全縮状態となるように伸縮シリンダ13を収縮駆動し、また、ブーム12の起伏角度が最大角度となるように起伏シリンダ14を伸長駆動する。
【0043】
ブーム12が全縮状態となり、かつ、ブーム12の起伏角度が最大角度になったところで、作業者は操作装置19による操作をやめてブーム12の作動を停止させる。このとき、ブーム位置判断部52(
図3参照)は、伸縮量検出器47から送信された検出信号が、ブーム12の伸長量が全縮状態から所定の伸長量までの範囲内であることを示しており、
かつ、起伏角度検出器46から送信された検出信号が、ブーム12の起伏角度が最大値から所定角度までの範囲内であることを示していた場合(前述した(A)の条件を満たす場合)は、ブーム12がフック格納位置に在ると判断する。ここで、
図5(a)に示すように、ブーム12が全縮状態となり、かつ、ブーム12の起伏角度が最大角度になっているため、フックブラケット33の重量が重かったとしても、作業者がフック33bをブラケット22に引っ掛ける作業が容易になる。
【0044】
作業者がフック33bをブラケット22に引っ掛けた後、操作装置19によりウインチ装置20に巻取作動をさせる操作を行うと、コントローラ50はウインチ装置20がワイヤ21の巻取作動をするようにウインチモータ20aを巻取駆動する。これにより、
図5(a)に示すようにブームヘッド30から垂れ下がっていたワイヤ21は、
図5(b)に示すように徐々に一直線に張った状態になっていく。また、コントローラ50は、ブーム12がフック格納位置に在るとブーム位置判断部52が判断していることから、ウインチ装置20がワイヤ21の巻取作動をするようにウインチモータ20aを巻取駆動しているときに、張力検出器48から送信される検出信号に基づいてワイヤ21の張力が所定値になったと判断したときに、操作装置19による操作に関わらずウインチモータ20aの巻取駆動を停止する。
【0045】
ここで、ウインチ装置20の巻取駆動が停止されることとなるワイヤ21の張力の値は、穴堀建柱車1が走行中であったとしても、ブラケット22にフック33bが引っ掛けられた状態のフックブロック33が、揺動せずに安定した状態を維持できる程度の張力の値とする。この張力の値は、例えば走行試験などの結果に基づいて適宜決定されたものであってもよい。
【0046】
図5(b)に示す状態でウインチ装置20の巻取駆動が停止すると、作業者はブーム12が全縮状態になったまま、操作装置19によりブーム12をブーム受け15に載置する操作を行う。これによりコントローラ50は、電磁比例制御バルブV1およびV3を制御して、
図6(a)に示すようにブーム12がブーム受け15に載置されるように、旋回モータ11および起伏シリンダ14を駆動する。そして、ブーム12がブーム受け15に載置されると、ブーム格納検出器49(
図3参照)は、ブーム格納信号をコントローラ50へ送信する。これにより、ブーム位置判断部52は、伸縮量検出器47から送信された検出信号が、ブーム12の伸長量が全縮状態から所定の伸長量までの範囲内であることを示しており、かつ、ブーム格納検出器49からブーム格納信号を受信している場合(前述した(B)の条件を満たす場合)は、ブーム12がフック格納位置に在ると判断する。
【0047】
ここで、
図5(b)に示すように、ブームベット30とフックブロック33との間で一直線に張られていたワイヤ21が、ブーム12をブーム受け15の位置まで移動させることによって、
図6(a)に示すように弛む場合がある。したがって、作業者は、弛んだワイヤ21を再び張るために操作装置19によりウインチ装置20に巻取作動をさせる操作を行う。これにより、コントローラ50はウインチ装置20がワイヤ21の巻取作動をするようにウインチモータ20aを巻取駆動する。この結果、
図6(a)に示すように弛んでいたワイヤ21は、
図6(b)に示すように徐々に一直線に張った状態になっていく。
【0048】
このとき、コントローラ50は、ブーム12がフック格納位置に在るとブーム位置判断部52が判断していることから、ウインチ装置20がワイヤ21の巻取作動をするようにウインチモータ20aを巻取駆動しているときに、張力検出器48から送信される検出信号に基づいてワイヤ21の張力が所定値になったと判断したときに、操作装置19による操作に関わらずウインチモータ20aの巻取駆動を停止する。
【0049】
以上のように、フック33bをブラケット22に引っ掛けた状態でワイヤ21に一定の
張力を加えることで、フックを格納する場合においても、ウインチ装置20の巻取作動によって必要以上の力でフック33bがブラケット22を引いたり、ワイヤ21に過度の張力が掛けられたりするのを防止することができる。
【0050】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば適宜改良可能である。例えば、上記実施形態では、オーガ装置17を備えた穴掘建柱車を例に挙げて説明したが、オーガ装置17を持たないクレーン車に適用してもよい。また、上記実施形態においては、各油圧アクチュエータに作動油を供給する油圧ポンプの駆動源として、PTO機構(パワーテイクオフ機構)によってエンジンの動力を取り出して用いていたが、バッテリを駆動源にしてもよいし、その両者を具備して動力源を選択的に切り替えるハイブリッド型のクレーン車に適用してもよい。
【符号の説明】
【0051】
1、1’ 穴堀建柱車
2 車体
10 旋回台
11 旋回モータ
12 ブーム
13 伸縮シリンダ
14 起伏シリンダ
15 ブーム受け
17 オーガ装置
19 操作装置
20 ウインチ装置
20a ウインチモータ
21 ワイヤ
22 ブラケット
30 ブームヘッド
33 フックブロック
33b フック
35 過巻検出器
45 旋回角度検出器
46 起伏角度検出器
47 伸縮量検出器
48 張力検出器
49 ブーム格納検出器
50 コントローラ
52 ブーム位置判断部