(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177864
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】駒装置、丁合プログラム、丁合システム
(51)【国際特許分類】
B42C 1/00 20060101AFI20241217BHJP
【FI】
B42C1/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096238
(22)【出願日】2023-06-12
(71)【出願人】
【識別番号】591142507
【氏名又は名称】株式会社北電子
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村上 元孝
(57)【要約】
【課題】準備工程の作業性を向上した駒装置を提供する。
【解決手段】駒装置10は、折丁Wの所定領域を撮像可能なカメラ31と、像手段が撮像したことにより得られる画像を他の駒装置10に送信可能な送信手段と、他の駒装置10の信手段から送信された画像を受信可能な受信手段と、カメラ31が撮像したことにより得られる画像と、受信手段が受信した画像とを比較可能な比較手段と、比較手段による比較結果を表示可能なタッチパネル32とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
折丁の流し方向に沿って複数配置され、他の駒装置との間で通信可能に設けられた駒装置であって、
折丁の所定領域を撮像可能な撮像手段と、
前記撮像手段が撮像したことにより得られる画像を前記他の駒装置に送信可能な送信手段と、
前記他の駒装置の前記送信手段から送信された画像を受信可能な受信手段と、
前記撮像手段が撮像したことにより得られる画像と、前記受信手段が受信した画像とを比較可能な比較手段と、
前記比較手段による比較結果を表示可能な表示手段と、
を備えることを特徴とする駒装置。
【請求項2】
前記撮像手段は、
前記所定領域の複数箇所を連続撮像可能であり、
前記送信手段は、
前記撮像手段が連続撮像したことにより得られる複数の画像における一の画像を送信可能であり、
前記比較手段は、
前記撮像手段が連続撮像したことにより得られる複数の画像における一の画像と、前記受信手段が受信した一の画像とを比較可能である
ことを特徴とする請求項1に記載の駒装置。
【請求項3】
前記他の駒装置の比較手段が実行した画像比較処理の比較結果である他駒画像比較結果を取得する他駒画像比較結果取得手段とを備え、
前記表示手段は、前記駒装置の比較結果である自駒画像比較結果に加えて、前記他駒画像比較結果取得手段が取得した他駒画像比較結果を表示する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の駒装置。
【請求項4】
前記他駒画像比較結果取得手段は、
前記駒装置の隣に配置された隣駒装置の他駒画像比較結果である隣駒画像比較結果を含む情報を取得し、
前記表示手段は、前記自駒画像比較結果及び前記隣駒画像比較結果の画像配置を、前記駒装置及び隣駒装置の配置に対応した態様で表示する
ことを特徴とする請求項3に記載の駒装置。
【請求項5】
前記他の駒装置において前記撮像手段によって折丁の所定領域が再撮像されたか否かを判定する他駒画像更新判定処理手段とを備え、
前記比較手段は、前記他駒画像更新判定処理手段が前記他の駒装置において再撮像されたと判定した場合に、再撮像したことにより得られる画像に基づいて画像比較処理を再度実行可能であり、
前記表示手段は、前記自駒画像比較結果及び前記他駒画像比較結果を、再度実行した画像比較処理の自駒画像比較結果と、前記他の駒装置において再度実行された画像比較処理の他駒画像比較結果とに更新する
ことを特徴とする請求項3に記載の駒装置。
【請求項6】
複数の駒装置は、
一定規則に従った識別情報が付与されており、前記一定規則に従った順序で配列されており、
それぞれの駒装置は、前記識別情報に対応付いた駒名称が付与されており、
前記表示手段は、前記駒装置の駒名称及び自駒画像比較結果と、前記他の駒装置の駒名称及び他駒画像比較結果とを、前記一定規則に対応した従った配置で表示する
ことを特徴とする請求項3に記載の駒装置。
【請求項7】
折丁の流し方向に沿って配置された複数の駒装置を備え、複数の駒装置間で通信可能な丁合システムであって、
折丁の所定領域を撮像可能な撮像手段と、
前記撮像手段が撮像したことにより得られる画像を他の駒装置に送信可能な送信手段と、
前記他の駒装置の前記送信手段から送信された画像を受信可能な受信手段と、
前記撮像手段が撮像したことにより得られる画像と、前記受信手段が受信した画像とを比較可能な比較手段と、
前記比較手段による比較結果を表示可能な表示手段と、
を備えることを特徴とする丁合システム。
【請求項8】
折丁の流し方向に沿って複数配置され、他の駒装置との間で通信可能に設けられた駒装置のコンピュータを、
折丁の所定領域を撮像可能な撮像手段と、
前記撮像手段が撮像したことにより得られる画像を前記他の駒装置に送信可能な送信手段と、
前記他の駒装置の前記送信手段から送信された画像を受信可能な受信手段と、
前記撮像手段が撮像したことにより得られる画像と、前記受信手段が受信した画像とを比較可能な比較手段と、
前記比較手段による比較結果を表示可能な表示手段と、して機能させる
ことを特徴とする丁合プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折丁の丁合に利用される駒装置、丁合プログラム、丁合システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、製本工場等の施設に設置され、丁合される折丁の検査に用いられる乱丁検査装置があった(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の装置は、改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一形態は、折丁の流し方向に沿って複数配置され、他の駒装置との間で通信可能に設けられた駒装置であって、折丁の所定領域を撮像可能な撮像手段と、前記撮像手段が撮像したことにより得られる画像を前記他の駒装置に送信可能な送信手段と、前記他の駒装置の前記送信手段から送信された画像を受信可能な受信手段と、前記撮像手段が撮像したことにより得られる画像と、前記受信手段が受信した画像とを比較可能な比較手段と、前記比較手段による比較結果を表示可能な表示手段と、を備えることを特徴とする駒装置である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態の丁合システム1の構成を説明する図である。
【
図2】第1実施形態の丁合機20の縦断面図である。
【
図3】第1実施形態の折丁W1、及びその連続画像P1を説明する図である。
【
図4】第1実施形態の準備工程から本工程の作業工程を説明する図である。
【
図5】第1実施形態の準備工程における駒装置10の処理のフローチャートである。
【
図6】第1実施形態の準備工程の開始時における操作ボックス9への操作、タッチパネル32の画面遷移を説明する図である。
【
図7】第1実施形態の準備工程において駒装置10(1~6)でそれぞれ取得された折丁W1~W6の連続画像P1~P6を説明する図である。
【
図8】第1実施形態の準備工程における総当り処理の開始直後の検査装置30(1~6)のタッチパネル32(1~6)の表示を示す図である。
【
図9】第1実施形態の準備工程における駒装置10(2)のタッチパネル32(2)の画面遷移を説明する図である。
【
図10】第1実施形態の準備工程における駒装置10(2)のタッチパネル32(2)の画面遷移を説明する図である。
【
図11】第1実施形態の準備工程における駒装置10(2)のタッチパネル32(2)の画面遷移を説明する図である。
【
図12】第1実施形態の準備工程における駒装置10(2)のタッチパネル32(2)の画面遷移を説明する図である。
【
図13】第1実施形態の準備工程における駒装置10(2)のタッチパネル32(2)の画面遷移を説明する図である。
【
図14】第1実施形態の準備工程における駒装置10(2)のタッチパネル32(2)の画面遷移を説明する図である。
【
図15】第2実施形態の丁合システム201Aの構成の概略、駒装置210(2)の総当り処理画面260Aを示す図である。
【
図16】第2実施形態の丁合システム201Bの構成の概略、駒装置210(2)の総当り処理画面260Bを示す図である。
【
図17】第3実施形態の準備工程における駒装置310(2)のタッチパネル32(3)の総当り処理画面360を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(第1実施形態)
以下、図面等を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は、第1実施形態の丁合システム1の構成を説明する図である。
図2は、第1実施形態の丁合機20の縦断面図である。
丁合システム1は、例えば、製本工場等の施設に設けられたシステムである。
丁合システム1は、折丁Wを上側から落とすように順次重ね合わせて、中間丁合体(丁合過程の丁合体)を順次作成し、全ての折丁を重ね合わせた丁合体Fを、無線綴機(図示せず)で綴じることにより、製本するシステムである。折丁Wは、製本するために刷り本を折ったもの(折られていなくてもよい)で、製本上の1単位となる。
図1の例では、中間丁合体は、搬送装置2(コンベア等)によって、右側から左側に向けて送られる。つまり、右側が上流側、左側が下流側である。搬送方向の最上流の折丁W6は、中間丁合体の最下端を構成し、下流側に向かうに従って、折丁Wが中間丁合体の上側に順次重ね合わされる。
【0008】
[丁合システム1の構成]
丁合システム1は、操作ボックス9(コントローラ)、複数の駒装置10を備える。
操作ボックス9と、複数の駒装置10との間は、通信ケーブル(シリアルケーブル等)で接続されており、通信可能である。複数の駒装置10間は、通信ケーブル(LANケーブル)、中継装置(スイッチンハブ)等で接続されており、通信可能である。なお、操作ボックス9と、複数の駒装置10との間も、通信ケーブル(LANケーブル)、中継装置(スイッチンハブ)等で接続してもよい。
【0009】
また、実施形態において、コンピュータとは、記憶装置、制御装置、演算装置等を備えた電子計算機をいい、駒装置10は、記憶部35、制御部36等を備え、コンピュータの概念に含まれる。また、駒装置10は、単体の電子計算機によって構成される形態に限定されず、必要に応じて複数の電子計算機から構成されていてもよい。
記憶部35は、駒装置10の動作に必要なプログラム、情報等を記憶するためのハードディスク、半導体メモリ素子等の記憶装置である。
制御部36は、駒装置10の動作に必要な演算処理をしたり、駒装置10を統括的に制御するための装置である。制御部36は、例えば、CPU(中央処理装置)等から構成される。制御部36は、記憶部35に記憶された各種プログラムを適宜読み出して実行することにより、実施形態の各種機能を実現している。
【0010】
(操作ボックス9)
操作ボックス9は、駒装置10を操作するための操作装置である。
操作ボックス9は、各種の操作内容に対応した複数の操作ボタン9aを備えている。
操作ボックス9は、操作情報を複数の駒装置10に入力するための装置である。このため、操作ボックス9は、サーバ、パーソナルコンピュータ等のような画像解析機能、画像情報を記憶する機能等を備えていない。
【0011】
(駒装置10)
複数の駒装置10は、折丁の流れ方向に沿って配置されている。駒装置10の数は、製本する本の種類、ページ数、本の厚み等に応じて異なるが、例えば30台、40台等が設置されている。駒装置10は、丁合駒、単に駒等とも称される。
実施形態では、これら複数の駒装置10のうち6台を用いて丁合する構成を説明する。
駒装置10には、識別情報として、駒番1~6(一定規則である数字の大小に基づいた識別情報)が付与されている。これらの駒番は、システムの製造者によって納入時に予め設定されたものであり、システムの使用者(製本工場等)が、変更できない情報である。
本実施形態では、複数の駒装置10は、上流側に至るに従って駒番が1ずつ増えるように配置されている。実施形態では、個別の駒装置10又はこれに関した構成を指定した説明では、適宜、駒装置10(2)、制御部36(2)等のように、駒番を付して表記する。
【0012】
各駒装置10は、丁合機20、検査装置30を備えたシステムである。
駒装置10は、搬送装置2が流す中間丁合体に対して、1枚ずつ折丁Wを重ね合わせ、また、その折丁Wの検査をするユニットである。なお、最上流の駒装置10(6)は、重ね合わせる対象の中間丁合体が存在しないので、折丁W6が最初の中間丁合体となる。
駒装置10は、折丁W1~W6の種別毎に設けられている。丁合システム1は、6つの駒装置10(1~6)を備えるので、6種の折丁W1~W6を上限として重ね合わせ、丁合できる。
なお、検査装置30は、複数の分離した装置(例えば、制御装置、モニタ等)から構成されていてもよい。また、検査装置30は、既設の検査装置に対して、プログラムを新たにインストールすることにより、構成されてもよい。
【0013】
(丁合機20)
各丁合機20は、実際に、各丁合機20に対応した種別の折丁Wを、丁合体Fの中間丁合体に対して重ね合わせる装置である。
各丁合機20は、ストック部21、送り装置22を備える。
ストック部21は、複数枚の折丁Wを積層するテーブル21aを備える。
送り装置22は、ストック部21のテーブル21aに積層された複数の折丁W1のなかから1つを取り出して、搬送装置2に向けて送る装置である。
送り装置22は、ドラム22a、回転軸22b、回転位置検出部22cを備える。
ドラム22aは、円柱状の部材である。ドラム22aは、テーブル21aよりも下側に設けられている。ドラム22aは、中心軸回りに回転可能に支持される。
送り装置22のドラム22aは、クリップ22dを備える。
クリップ22dは、ドラム22aの外周面に設けられている。
【0014】
クリップ22dは、テーブル21aの最下部に積層された折丁W1の先端部(回転方向θ22aである搬出方向の先端の縁部)を把持する。ドラム22aは、回転駆動されることにより、クリップ22dに把持された折丁W1を、外周面に巻き掛けるようにして、ストック部21から取り出す。
クリップ22dは、設定されたタイミングで折丁W1の把持を解除する。これにより、折丁W1は、搬送装置2に向けて下側に落下する。
【0015】
回転軸22bは、ドラム22aを回転駆動させる軸体である。
回転位置検出部22cは、ドラム22aの回転位置を検出する検出部である。回転位置検出部22cは、例えば、回転軸22bと一体で回転する円盤の回転位置を、近接センサ等で検出する。これにより、回転位置検出部22cは、回転軸22bの回転位置を検出することにより、ドラム22aの回転位置を検出できる。
図1に示すように、回転軸22b、回転位置検出部22cは、複数の丁合機20が兼用してもよい。
つまり、1つの回転軸22bは、複数の丁合機20のドラム22aに接続されており、回転位置検出部22cは、回転軸22bの回転位置を検出することにより、複数の丁合機20のドラム22aの回転位置を検出するようにしてもよい。
【0016】
上記構成により、各丁合機20は、ストック部21のうち最下段に配置された折丁Wを、送り装置22で取り出して、搬送装置2に向けて落とすように構成される。
【0017】
(検査装置30)
各検査装置30は、各検査装置30に対応する丁合機20の近傍(直上等)に設けられている。各検査装置30は、準備工程において総当りに関する各種処理をしたり(後述する)、本工程において各丁合機20が落とす折丁Wが適正か否かを検査する装置である。
各検査装置30は、カメラ31(撮像手段)、タッチパネル32、記憶部35、制御部36(送信手段、受信手段、比較手段、他駒画像比較結果取得手段)を備える。
カメラ31は、送り装置22によって取り出された折丁W1の撮像画像を取得する。カメラ31の光軸と、ドラム22aの径方向とは、一致している。これにより、カメラ31は、ドラム22aの外周面に巻き掛けられた状態の折丁W1を、折丁W1の表面の法線方向から撮像する(
図2(A)参照)。
カメラ31は、折丁Wの印刷面のうち、予め設定された撮像範囲(所定領域)の複数箇所を連続撮像可能である。撮像範囲は、例えば、丁合機20が落とす折丁Wのうち下面の一部分である。制御部36は、回転位置検出部22cの出力に基づいて撮像タイミングを判定し、カメラ31に対して撮像トリガを発行することにより、カメラ31を制御する。
【0018】
タッチパネル32は、作業者(操作者)の操作を受け付ける操作部、及び各種情報を表示する表示部を兼用した装置である。タッチパネル32は、例えば、タッチ入力式の入力装置、液晶表示装置等の表示装置を備える。なお、操作部及び表示部は、別々の装置でもよい。この場合、操作部は、例えば、マウス、キーボード、ボタン等の入力装置を備えていてもよい。
タッチパネル32は、準備工程では検査枠の設定に関する情報等、本工程では検査結果に関する情報等を表示する。
検査装置30は、搬送装置2に落とされる折丁Wを検出するフォトセンサ等を備えていてもよい。この場合には、検査装置30は、このフォトセンサ等の出力に基づいて、検査カウント値をカウントできる。
【0019】
記憶部35は、駒装置10の各種機能を実現するための各種情報、プログラム(丁合プログラム)等を記憶する。
記憶部35は、配置情報記憶部35aを有する。
配置情報記憶部35aは、複数の駒装置10の配置に関する情報である。配置情報記憶部35aは、以下の情報を有する。
・各駒装置10の駒番と、各駒装置10の両隣の駒装置10の駒番とに関する情報
例えば、駒装置10(2)の配置情報記憶部35aは、自駒装置10(2)の駒番「2」の情報と、両隣の駒装置10(1,3)の「駒番1,3」の情報とを記憶する。
・折丁Wの流れ方向に関する情報
丁合システム1では、駒番の大きい方から小さい方に向かう方向であり、かつ、右側から左側に向かう方向であるという情報である。
【0020】
制御部36は、各ロット等の丁合工程の準備工程では、駒装置10の各種設定処理(基準画像の設定等)を実行する。また、制御部36は、本工程(準備工程後の工程であって、実際に折丁を丁合して製本する工程)では、従来と同様に、準備工程での設定に基づいて、良否判定を行う。この判定は、特開2014-240130号公報等に記載の方法等を用いることができる。
【0021】
[判定基準設定処理]
判定基準設定処理について説明する。
図3は、第1実施形態の折丁W1、及びその連続画像P1を説明する図である。
判定基準設定処理は、後述する準備工程内で行われる。
判定基準設定処理では、連続画像の取得、基準画像の設定、検査枠の設定の作業を行う。
判定基準設定処理は、本工程での乱丁を抑制するために、丁合工程の本工程の前の準備工程において実行される。
乱丁とは、各駒装置10で丁合する折丁Wとは異なる折丁Wが混入していたり(例えば、駒装置10(1)のW1のなかに折丁W2が混入すること)、折丁Wの向き又は表裏が反対になること、印刷のズレ、傾きが有すること等に起因して、本工程において適切な折丁Wが積み重ねられないこと等をいう。
【0022】
(連続画像の取得)
ここでは、駒装置10(1)における折丁W1の連続画像P1の撮像範囲を例に説明するが、他の駒装置10(2~6)においても同様に連続画像P2~P6(
図7参照)が撮像される。
図2、
図3に示すように、駒装置10(1)の制御部36(1)は、タッチパネル32の操作に応じて、カメラ31、ドラム22aを制御することにより、搬出される折丁W1を連続して撮像する。カメラ31は、一定の期間間隔で連続して撮像を実行する。
カメラ31は、1度の撮影では、折丁W1の一部範囲の撮像画像を取得する。つまり、撮像範囲は、左右方向(回転方向θ22aとは直交する方向)において範囲L1、縦方向(回転方向θ22a)において範囲L2である。これにより、カメラ31は、縦方向に細長い範囲において、10個の撮像画像P101~P110を備える連続画像P1を取得する。なお、連続画像の撮像画像の数は、実施形態では10個である例を示すが、9個以下、11個以上でもよい。また、
図3の例では、隣り合う撮像画像P101~P110は、縦方向において重複している例を示すが、重複していなくてもよい。
【0023】
(基準画像の設定、検査枠の設定)
駒装置10(1)の制御部36(1)は、連続画像P1に対して各種画像処理を実行することにより、検査枠A1を設定し、また、連続画像P1のうち検査枠A1が設定された撮像画像を基準画像(一の画像)に設定する。基準画像は、本工程において、丁合される折丁Wが適切であるか否かの良否判定の判定基準となる画像である。
検査枠A1の設定方法については、詳細な説明を省略するが、例えば、連続画像の1つの画像内を矩形領域でスキャンしていき、画像処理によって矩形領域内の特徴点(際立ったエッジ部分等)をスコア化してく手法を用いることができる。制御部36(1)は、連続画像の全ての撮像画像をスキャン後に、最もスコアの高い矩形領域を検査枠に設定し、検査枠を含む画像を基準画像に設定する。
【0024】
図3の連続画像P1では、検査枠A1が4枚目の撮像画像P104に設定され、この撮像画像P104が基準画像に設定されている。
制御部36(1)は、連続画像P1(撮像画像P101~P110)、基準画像、検査枠A1の情報を、記憶部35に記憶する。
なお、作業者は、種々の事情に応じて、上記処理によって選択された撮像画像とは異なる撮像画像を、基準画像に選択することを要する場合がある。すなわち、準備工程において、十分に高いスコアを有する撮像画像を基準画像に設定しても、本工程においては、適切に良否判定できない場合が有り得る。
【0025】
作業者が基準画像を選択する場面としては、例えば、以下の場合等である。
・基準画像が連続画像の後方の画像であるために、本工程において撮像画像のピントがぼける可能性が高い場合である。これは、折丁Wの後端は、クリップ22dからの距離が長いために、ドラム22aの周面からの浮きが発生しやすいこと等に起因する(
図2(B)参照)。
・総当り処理の結果、一度設定した基準画像(4枚目の撮像画像P104)と、他の折丁の4枚目の撮像画像P304.P404,・・・,P604(
図7参照)とが類似している場合である。総当り処理については、後述する。
【0026】
[準備工程♯10]
図4は、第1実施形態の準備工程から本工程の作業工程を説明する図である。
図5は、第1実施形態の準備工程における駒装置10の処理のフローチャートである。
図6は、第1実施形態の準備工程の開始時における操作ボックス9への操作、タッチパネル32の画面遷移を説明する図である。
図7は、第1実施形態の準備工程において駒装置10(1~6)でそれぞれ取得された折丁W1~W6の連続画像P1~P6を説明する図である。
図8は、第1実施形態の準備工程における総当り処理の開始直後の検査装置30(1~6)のタッチパネル32(1~6)の表示を示す図である。
なお、
図8は、検査装置30(2)を拡大して図示した。
図9から
図14は、第1実施形態の準備工程における駒装置10(2)のタッチパネル32(2)の画面遷移を説明する図である。
【0027】
(準備工程開始♯11)
図6(A)に示すように、作業者は、準備工程♯10を開始する際には、操作ボックス9の操作ボタン9aを操作すればよい。これにより、準備工程を開始するための情報が、操作ボックス9から全駒装置10(1~6)に対して出力される。
【0028】
図6(B)に示すように、全駒装置10の制御部36は、操作ボックス9の操作情報の出力に基づいて、総当り開始ボタン50をタッチパネル32に表示する。つまり、操作ボックス9が操作されることにより、全タッチパネル32(1~6)が総当り開始ボタン50を表示する。
作業者は、何れかのタッチパネル32の総当り開始ボタン50を操作することにより、総当り処理の作業を開始できる。
何れかのタッチパネル32の総当り開始ボタン50が操作されると、その駒装置10の制御部36は、他の5つの駒装置10に対して、総当り開始ボタン50の操作情報を送信する。
図6(B)に示すように、例えば、駒装置10(2)のタッチパネル32において総当り開始ボタン50が操作された場合には、駒装置10(2)の制御部36(2)は、他の駒装置10(1,3~6)に対して、総当り開始ボタン50の操作情報を出力する。
【0029】
(判定基準設定工程♯12)
総当り開始ボタン50が操作された駒装置10の制御部36は、判定基準を設定するための処理を開始する。同様に、総当り開始ボタン50の操作情報を他の駒装置10から受信した駒装置10の制御部36も、判定基準を設定するための処理を開始する。
このように、1つの駒装置10のタッチパネル32が操作されることにより、全駒装置10が、上記判定基準設定処理を実行可能な状態に制御される。
【0030】
以下、主に、駒装置10(2)における処理を説明する。
判定基準設定工程♯12では、駒装置10(2)は、S1の判定基準設定処理を実行する。
S1において、
図6(C)に示すように、駒装置10(2)の制御部36(2)は、判定基準設定処理では、判定基準設定画面51をタッチパネル32に表示する。判定基準設定画面51は、前述した「連続画像の取得、基準画像の設定、検査枠の設定」の操作を受け付ける画面である。
【0031】
判定基準設定画面51は、連続撮像開始ボタン51a、検査枠自動設定ボタン51b、手動設定ボタン51cを表示する。
作業者は、判定基準設定処理を実行する駒装置10(2)の判定基準設定画面51を操作することにより、自駒装置10(2)の判定基準設定処理を実行できる。
例えば、作業者が駒装置10(2)において連続撮像開始ボタン51aを操作すると、駒装置10(2)の制御部36(2)は、この操作に応じて駒装置10(2)のカメラ31、送り装置22を制御する。
図7に示すように、これにより、制御部36(2)は、連続画像P2を取得する。
なお、駒装置10(2)の制御部36(2)は、連続撮像開始ボタン51aの操作に応じて、撮像可能状態に制御してもよい。撮像可能状態では、作業者は、送り装置22をゆっくりした速度で稼働させることで、折丁W2を1枚だけ掴んでカメラ31の直下を通過させる。これにより、連続画像P2(撮像画像P201~P210)が取得される。
その後、作業者が駒装置10(2)において検査枠自動設定ボタン51bを操作すると、駒装置10(2)の制御部36(2)は、この操作に応じて、10枚の撮像画像P201~P210を画像解析することにより、前述したように検査枠A2の設定、基準画像の設定の処理を実行する。
なお、駒装置10(2)の制御部36(2)は、手動設定ボタン51cが操作された場合には、作業者による基準画像の選択、検査枠の設定に関する処理を実行する。
【0032】
図7の連続画像P2では、2枚目の撮像画像P202(太枠で示す)が基準画像に設定されており、また、撮像画像P202のうち「AB」の文字を含む範囲が検査枠A2に設定されている。制御部36(2)は、自駒装置10(2)の連続画像P2(撮像画像P201~P210)、基準画像(撮像画像P202)、検査枠A2に関する情報を、自駒装置10(2)の記憶部35に記憶する。
また、
図8に示すように、駒装置10(2)の制御部36(2)は、これらの設定が終了すると、総当り処理画面60をタッチパネル32に表示し、総当り処理を実行可能に制御する。
【0033】
(総当り工程♯13)
総当り工程♯は、総当りに関する作業が行われる工程である。但し、判定基準設定処理が終了した各駒装置10の制御部36は、他の全駒装置10において連続画像の撮像処理の作業が終了したことに応じて(S2:YES)、総当り処理(画像比較処理)を開始する。このため、総当り工程♯13では、作業者の特段の作業は、不要である。
【0034】
図8に示すように、判定基準設定処理が終了した駒装置10(2~6)は、総当り処理画面60をタッチパネル32に表示する。一方、判定基準設定処理中である駒装置10(1)は、判定基準設定処理の進行状況を、タッチパネル32の判定基準設定画面51に表示している。
総当り処理画面60は、6つの駒情報表示部61~66を表示する。駒情報表示部61~66は、駒装置10(1~6)のそれぞれの総当り処理の進行状況、処理結果等の情報を表示する矩形の表示領域である。
【0035】
(駒情報表示部61~66)
ここで、駒装置10(2)の制御部36(2)は、6つの駒情報表示部61~66を、以下の処理に従って、タッチパネル32に配置して表示する。
(a)配置情報記憶部35aに記憶された駒配置情報を読み出す。つまり、駒装置10(2)の両隣には駒装置10(1,3)が配置されていること、折丁(中間丁合体)の流れ方向が駒番の大きい方から小さい方に向かう方向であり、かつ、右側から左側に向かう方向であることの情報を読み出す。
これにより、駒装置10(2)の制御部36(2)は、右側から左側に向けて、駒装置10(3)、駒装置10(2),駒装置10(1)の順に配置されていると判定する。つまり、駒装置10(2)の制御部36(2)は、駒装置10(1~3)が、駒番が小さくなるに従って、右側から左側に向かって配置されていると判定する。
【0036】
(b)上記(a)の判定結果に応じて、右側から左側に向けて、駒情報表示部63,62,61の順番で表示する。これにより、駒情報表示部63,62,61の画像配置は、駒装置10(2)及び隣の駒装置10(1,3)の製本ライン上の配置(レイアウト)に対応した態様となる。
(c)これら以外の駒情報表示部64,65,66を、上記(a)の判定結果に応じて、駒番が小さくなるに従って、右側から左側に向けて順次配置する。
(d)駒装置10(2)は、自駒装置10(2)に関する駒情報表示部62の表示枠を、太線で表示する。このため、作業者は、タッチパネル32を視認すれば、対面した装置が、駒装置10(1~6)のうち何れであるかを、容易に確認できる。
【0037】
このように、総当り処理画面は、複数の駒装置10(1~6)の製本ライン上の配置を反映して、各駒情報表示部61~66を配置するので、作業者は、駒情報表示部61~66がどの駒装置10(1~6)に関するものであるかを、直観的に理解しやすい。
【0038】
駒装置10(2)の制御部36(2)は、自駒装置10(2)の基準画像(一の画像)に対応した撮像画像(一の画像)を、他の駒装置10(1,3~6)の記憶部35から取得(受信)する。つまり、駒装置10(2)では、連続画像P2のうち2枚目の撮像画像P202が基準画像として設定されている。このため、駒装置10(2)では、他の全駒装置10(1,3~6)の連続画像P1,P3~P6のうち2枚目の撮像画像P102,P302,P402,P502,P602を取得する(な
図7の2点鎖線P-02内を参照)。
他の駒装置10(1,3~6)の制御部36は、駒装置10(2)の要求に応じて、これら2枚目の撮像画像のコピー(複製)を駒装置10(2)に送信する。駒装置10(2)の制御部36(2)は、これらの撮像画像を記憶部35に記憶する。
【0039】
S2において、駒装置10(2)の制御部36(2)は、他の駒装置10(1,3~6)から2枚目の撮像画像P102,P302,P402,P502,P602の何れかを取得したと判定した場合には(S2:YES)、S3に進み、一方、取得してないと判定した場合には(S2:NO)、S2の処理を繰り返す。
【0040】
なお、作業者は、全駒装置10を操作することにより、全駒装置10の判定基準設定処理(S1)の作業を行う。これにより、全駒装置10において、自駒装置10の連続画像、基準画像、検査枠に関する情報が、自駒装置10の記憶部35に記憶された状態となる。例えば、駒装置10(1)の記憶部35には、上記説明の通り、折丁W1に関する連続画像P1(撮像画像P101~P110)、基準画像、検査枠A1に関する情報が記憶される。
【0041】
このため、駒装置10(2)の制御部36(2)は、他の駒装置10(1,3~6)の連続画像が他の駒装置10(1,3~6)の記憶部35(1,3~6)に記憶されているか否かを確認することにより、他の駒装置10(1,3~6)において連続撮像処理が終了したか否かを判定できる。そして、駒装置10(2)は、他の駒装置10(1,3~6)が連続撮像処理を終了する毎に、撮像画像P102,P302,P402,P502,P602を順次取得できる。
【0042】
例えば、
図8の場面では、駒装置10(1)は、判定基準設定処理中であり、「連続画像を撮影中」等のように、処理の進行状況をタッチパネル32(1)に表示する。
なお、駒装置10(2~6)は、判定基準設定処理が終了している。しかし、駒装置10(2)は、駒装置10(1)が連続画像の撮像中であるため、駒装置10(1)の撮像画像を未取得の状態である。
図8の場面から、駒装置10(1)において連続画像の撮像が終了することに応じて、駒装置10(2)は、駒装置10(1)の撮像画像を、駒装置10(1)の記憶部35から取得できる(S2:YES→S3)。
【0043】
S3において、制御部36(2)は、S1の処理で記憶部35に記憶した駒装置10(2)の基準画像と、S3の処理で記憶部35に記憶した他の駒装置10(1,3~6)の2枚目の撮像画像とを、画像解析することにより比較する。S3の処理では、制御部36(2)は、基準画像と、他の全駒装置10(1,3~6)の2枚目の撮像画像P102,P302,P402,P502,P602の何れか(つまり、上記S2:YESの対象の撮像画像)とを比較する。
【0044】
S4において、制御部36(2)は、比較処理の結果(自駒画像比較結果)、比較処理中の情報等をタッチパネル32に表示する。
【0045】
図9は、駒情報表示部62の類似駒欄に「駒番4」と表示することにより、自駒装置10(2)の基準画像(撮像画像P202)と、駒装置10(4)の撮像画像P402とが、比較処理の結果、類似であったことを示す。また、駒情報表示部62の比較処理中欄に「駒番3」と表示することにより、現時点では、自駒装置10(2)の基準画像(撮像画像P202)と、駒装置10(3)の撮像画像P302とを、比較処理中であることを示す。
【0046】
S5において、駒装置10(2)の制御部36(2)は、他の駒装置10(1,3~6)における総当り処理の結果(他駒画像比較結果)を取得(受信)し、その情報を駒情報表示部61,63~66に表示する。
つまり、他の駒装置10(1,3~6)も、後述するS7の処理を実行する。このため、駒装置10(2)の制御部36(2)は、総当り処理が終了した他の駒装置10(1,3~6)から、その結果の情報を取得できる。
【0047】
なお、制御部36は、比較結果を未取得である駒装置10(つまり、総当り処理中の駒装置10)の駒情報表示部61~66には、「総当り処理中」と表示する。
図9は、駒情報表示部61,65,66に「総当り処理中」と表示されているので、駒装置10(1,5,6)が総当り処理中の場面である。
駒装置10(3,4)については、総当り処理が終了している場面である。
つまり、駒装置10(3)に対応した駒情報表示部63には、総当り結果「OK」が表示されている。一方、駒装置10(4)に対応した駒情報表示部64には、総当り結果が「NG」が表示され、また、類似駒欄に「駒番2」と表示されている。これにより、駒情報表示部64は、駒装置10(4)が実行した総当り処理の結果「駒装置10(4)の基準画像(
図7の撮像画像P404)と、駒装置10(2)の撮像画像P204とが類似である」という情報を示すことができる。
【0048】
なお、詳細な説明は省略するが、全駒装置10は、全駒装置10間で総当りに関する情報(総当り処理中であるか、総当り処理の結果(OK、NG)等の情報)を共有するように構成されている。例えば、各駒装置10は、他の駒装置10の記憶部35に記憶された他の駒装置10の総当りに関する情報を逐次監視している。これにより、他の駒装置10において総当りに関する情報の更新があった場合(例えば、総当り結果がNGからOKに更新された場合等)には、各駒装置10の駒情報表示部は、この情報に更新して表示できる。
【0049】
S6において、制御部36(2)は、自駒装置10(2)の総当り処理が終了したか否かを判定する。つまり、制御部36(2)は、自駒装置10(2)の基準画像と、他の全駒装置10(1,3~6)の2枚目の撮像画像との比較処理が終了したか否かを判定する。
制御部36(2)は、総当り処理が終了したと判定した場合には(S6:YES)、S7に進み、一方、終了してないと判定した場合には(S6:NO)、S2からの処理を繰り返す。
【0050】
S7において、制御部36(2)は、総当り処理が終了した場合には、総当り結果を他の駒装置10(1,3~6)に送信後、S7に進む。
図10の例では、自駒装置10(2)の基準画像と、駒装置10(3,4,5)の2枚目の撮像画像とが類似しているので、これらの撮像画像との関係がNGであるとの情報を送信する。
【0051】
ここで、作業者は、全駒装置10について総当り処理が終了したか否かを確認する。
作業者は、1つの駒装置10のタッチパネル32を確認すれば、全駒装置10について、総当り処理が終了したか否かを確認できる。
すなわち、
図10に示すように、制御部36(2)は、全ての全駒装置10(1~6)において総当り処理が終了することに応じて、「OK」及び「NG」の何れかを駒情報表示部61~66に表示する。
このため、作業者は、全ての駒情報表示部61~66内に、「総当り処理中」の表示がなくなり、かつ、「OK」及び「NG」の何れかが表示されることにより、全駒装置10について総当り処理が終了したことを確認できる。
作業者は、全駒装置10の総当り結果がOKであれば、本工程♯20の工程に進めばよく、一方、総当り結果がNGの駒装置10が存在する場合には、これをOKにするための作業(♯14)の作業を行う。
【0052】
(全駒装置10の総当りを適正にするための作業:♯14)
総当りの結果がNGの駒装置10を有する場合には、作業者は、この駒装置10の総当りの結果がOKにするための作業を要する。
例えば、総当りの結果がNGである駒装置10(2)については、作業者は、以下の対応のうち何れかを選択できる。
(対応a)駒装置10(2)の基準画像を、既に撮像した連続画像の他の撮像画像に変更する。
(対応b)駒装置10(2)の検査枠の位置を、既に設定した基準画像の他の場所に変更する。
(対応c)全駒装置10の連続画像を再撮像する(つまり、♯11からの工程をやり直す)。
【0053】
(対応a)、(対応b)は、駒装置10(2)のみの処理である。一方、(対応c)は、全駒装置10のカメラ31の撮像画角を変更する作業(カメラ31を左右方向に移動する作業等)を要する。つまり、(対応c)は、全ての装置において、判定基準設定工程♯12からやり直すことになる。このため、作業者の作業は、(対応a)、(対応b)の方が、(対応c)よりも簡便である。
【0054】
作業者は、(対応a)~(対応c)の何れかを選択する際に、画像比較画面69を参照してもよい。
制御部36(2)は、
図10の場面で、駒情報表示部62の類似駒欄内の「NG」である駒番表示のタッチ操作を受け付けることにより、記憶部35から画像情報を読み出して、画像比較画面69を表示する。
図11の画像比較画面69は、
図10の場面で、「駒番4」の表示がタッチ操作された際に表示される画面である。
画像比較画面69は、自駒装置10(2)の基準画像(撮像画像P202)と、ボタン操作を受け付けた駒番4の駒装置10(4)の撮像画像P402とを、拡大して並べて表示する。なお、制御部36(2)は、検査枠A2に関する情報を、基準画像(撮像画像P202)に合成して表示する。
【0055】
作業者は、画像比較画面69を確認することにより、基準画像(撮像画像P202)の検査枠A2と、撮像画像P402との類似箇所(
図11の例では、「AB」の文字部分B4)を詳細に確認できる。
作業者は、画像比較画面69を確認することにより、例えば、検査枠A2を2枚目の撮像画像P202内の別の領域に手動で再設定するか、他の撮像画像P201,P203~P210から選択すべきか等、おおよその見当をつけることができる。
作業者は、
図11の例では、検査枠A2を、「EF」の文字を含む枠A2aに変更すれば、駒装置10(4)の撮像画像との関係で類似が解消され、「OK」に改善するであろうと推測できる。「EF」の文字は、駒装置10(4)の撮像画像P402に含まれないからである。
作業者は、他の類似駒6(駒装置10(6))に関しても、同様に確認できる。
【0056】
作業者は、検査枠のみを変更すれば、駒装置10(2)の総当りが「OK」に改善するであろうと推測した場合には、(対応a)を選択できる。
しかし、作業者は、駒装置10(4、5)の撮像画像P404,P405との関係で、基準画像として撮像画像P202を維持できないと推測した場合等には、(対応b)を選択することにより、基準画像を他の撮像画像P201,P203~P210のなかから選択すればよい。
作業者は、(対応a)、(対応b)を選択する場合には、
図10の画面で、基準画像再設定ボタン60aを操作すればよい。
【0057】
なお、作業者は、(対応a)、(対応b)の対応をする際には、類似駒の表示数が多い駒情報表示部に対応した駒装置10を優先して作業をしてもよい。図示等は省略するが、例えば、駒情報表示部65に表示される類似駒数が駒情報表示部62に表示される類似駒数よりも多い場面では、作業者は、駒装置10(5)に対して(対応a)、(対応b)等の作業をしてもよい。
【0058】
また、作業者は、例えば、全体として類似駒の数が多いため(駒情報表示部61~66の類似駒欄に表示される全駒数が多い場合等)、全駒装置10においてNGを解消するためには、全駒装置10での連続画像の再撮像を要する等と判断した場合等には、(対応c)を選択できる。
作業者は、(対応c)を選択する場合には、
図10の画面で、連続画像再撮像ボタン60bを操作すればよい。
【0059】
この場合、作業者は、駒情報表示部61~66を参照することにより、他の駒装置10(1,3~6)の状況を確認した結果、自駒装置10(2)の連続画像を再撮像する等の段取りを進めることができる。また、他の駒装置10(1,3~6)の状況を確認できるため、他の駒装置10(1,3~6)において連続画像の再撮像の必要性を常に先読みしながら操作できるため、作業性が向上する。
【0060】
((対応a)、(対応b)が選択された際の処理)
S8において、駒装置10(2)の制御部36(2)は、基準画像再設定ボタン60aが操作されたと判定した場合には(S8:YES)、S1からの処理を繰り返し、一方、操作されていないと判定した場合には(S8:NO)、S9に進む。
【0061】
繰り返すS1の処理において、駒装置10(2)の制御部36(2)は、再度、判定基準設定画面51をタッチパネル32に表示する。「S8:YES」に応じて繰り返されるS1の処理では、連続撮像処理を実行しないため(つまり(対応a)、(対応b)では連続画像の再撮像が不要である)、基準画像の再設定では、手動設定ボタン51cのみを判定基準設定画面51を表示してもよい。
駒装置10(2)の制御部36(2)は、手動設定ボタン51cを受け付けることにより、作業者が連続画像のなかから選択した基準画像に変更するための操作、作業者が選択した位置に検査枠を変更する操作等を受け付ける。
なお、制御部36(2)は、基準画像を他の撮像画像に変更する場合には、検査枠を、前回のS1の画像解析によって求めたスコアの高い領域に設定する。このため、基準画像の変更は、再度の画像解析等が不要であるので、短時間で処理できる。
【0062】
その後、駒装置10(2)の制御部36(2)は、S2以降の処理を繰り返して、再度の総当り処理を実行する。
なお、S2の処理では、前回の処理において、他の駒装置10(1,3~6)から取得した撮像画像を記憶部35に記憶済みであるので、基本的にS2:YESとなる。
【0063】
図12は、駒装置10(2)において再度の総当り処理をした後の総当り処理画面70である。(対応a)又は(対応b)の作業に応じて、
図12の総当り処理画面70の駒情報表示部62は、
図10の総当り処理画面60と比較すると、類似駒が「駒番3」、「駒番4」、「駒番5」であった状態から、「駒番5」のみの状態に更新されている。つまり、「駒番3」、「駒番4」に関して、総当り結果が「NG」から「OK」に改善されている。
【0064】
作業者は、
図12の総当り処理画面70を確認したら、「駒番5」についても、(対応a)、(対応b)等の対応によって、総当り結果が「NG」から「OK」に改善するような作業を行えばよい。
図13の総当り処理画面70は、上記作業の結果、駒装置10(2)の総当り結果がOKになることにより、駒情報表示部62の表示が総当り結果「OK」と表示された場面である。
【0065】
作業者は、
図13の場面では、総当り処理画面70の駒情報表示部64の「駒番4の総当り結果NG」、駒情報表示部66の「駒番6の総当り結果NG」の表示を確認したら、駒装置10(4,6)についても、(対応a)~(対応c)の何れかを選択して、対応すればよい。
図13の場面では、駒情報表示部64に表示された類似駒が1つ(駒番2)、駒情報表示部66に表示された類似駒が1つ(駒番2)であるので、作業者は、駒装置10(4,6)についても、(対応a)又は(対応b)によって、対応可能であろうと予測できる。
【0066】
ところで、製本工場は、例えば、複数の製本ラインを有し、複数の作業者が存在することがある。また、本工程の製造ラインで作業中の作業者は、ラインの動作が安定している状態では、準備工程で作業中の作業者を一時的に補助できる程度に、労力の余裕を有する場合等がある。
このような場合には、複数の作業者は、
図10の総当り処理画面60の駒情報表示部62,64,66を確認したら、駒装置10(2,4,6)を同時かつ個別に操作してもよい。
すなわち、駒装置10(2,4,6)は、それぞれタッチパネル32を備えている。これらのタッチパネル32は、それぞれが判定基準設定画面51、総当り処理画面60、駒情報表示部62,64,66等を表示する。このため、複数人の作業者は、それぞれが駒装置10(2,4,6)を操作することにより、基準画像の変更、検査枠の変更等の作業を行うことができる。
【0067】
このように、実施形態の丁合システム1は、複数人で同時に再度の総当りの作業をできるので、複数の駒装置10の再度の総当りに要する時間を、大幅に短縮できる。
すなわち、従来のシステムは、管理用コンピュータの表示装置のみが、総当りに関する情報、基準画像の設定、検査枠の変更等に関する情報を表示する。このため、管理用コンピュータは、複数の駒装置の再度の総当りに関する各種設定操作を、複数の作業者から同時に受け付けることはできない。
【0068】
((対応c)が選択された際の処理)
S9において、駒装置10(2)の制御部36(2)は、作業者から連続画像再撮像ボタン60bの操作を受け付けた場合には(S9:YES)、S9aに進み、一方、この操作を受け付けていないと判定した場合には(S9:NO)、S10に進む。
S9aにおいて、駒装置10(2)の制御部36(2)は、連続画像再撮像ボタン60bの操作情報を、他の駒装置10(1,3~6)に送信後、S1からの処理を繰り返す。
【0069】
繰り返すS1の処理において、駒装置10(2)の制御部36(2)は、再度、基準画像の設定処理を再度実行する。
この場合、作業者は、駒装置10(2)の連続画像を再撮像するための作業を行う。つまり、作業者は、カメラ31の画角を左右方向(流れ方向とは直交する方向)に振ることにより、連続画像の撮影画角を変更する。
駒装置10(2)の制御部36(2)は、前回処理とは画角の異なる連続画像を取得後、検査枠の設定処理、基準画像の設定処理を行う。これにより、前回処理とは異なる検査枠、基準画像が設定される。
【0070】
そして、制御部36(2)は、新たに設定された検査枠に基づいて、S2以降の処理を実行する。
作業者は、例えば、駒装置10(2)の総当り処理の「OK」になるまで、同様な作業を実行すればよい。
【0071】
なお、他の駒装置10(1,3~6)においても、連続画像再撮像ボタン60bの操作情報を駒装置10(2)から受信することにより、S1からの処理が繰り返され、総当り処理が再度実行される。これにより、全駒装置10(1~6)において、総当り処理が再度実行される。
このように(対応c)によって、全駒装置10(1~6)において総当りを要する場合でも、上記(対応a)、(対応b)の場合と同様に、複数人の作業者によって、複数の駒装置10(1~6)を個別に操作できるので、作業時間の短縮を期待できる。
【0072】
S10において、駒装置10(2)の制御部36(2)は、他の駒装置10(1,3~6)から連続画像再撮像ボタン60bの操作情報を受信したと判定した場合には(S10:YES)、S1からの処理を繰り返し、一方、これを受信していないと判定した場合には(S10:NO)、S11に進む。
すなわち、作業者は、他の全駒装置10(1,3~6)の何れかにおいても、(対応c)を選択することにより、連続画像を再取得することを要すると判断し得る。このような際には、作業者は、他の全駒装置10(1,3~6)の何れかにおいて連続画像再撮像ボタン60bを操作することになるので、当該駒装置10(他の全駒装置10(1,3~6)の何れか)の制御部36は、その操作情報を当該駒装置10以外の駒装置10に向けて送信することになる。
駒装置10(2)の制御部36(2)は、S10では、他の駒装置10(1,3~6)の何れかから、このようにして送信された連続画像再撮像ボタン60bの操作情報を、受信したか否かを判定する。
【0073】
(全駒装置10(1~6)の総当り結果がOKであることを確認♯15)
図14の総当り処理画面71は、以上の作業を行うことにより、全駒装置10(1~6)の総当り処理が「OK」となった場面の画面である。
作業者は、総当り処理画面71で、全駒装置10(1~6)の総当り結果がOKであることを確認したら、本工程の作業を行う。総当り処理画面71は、自駒装置10(2)の総当り結果に加えて、他の駒装置10(1,3~6)の総当り結果を表示する。このため、作業者は、何れかの全駒装置10の総当り処理画面71を確認すれば、他の駒装置10の総当り結果がOK、NGであることを確認できるので、作業性がよい。
【0074】
作業者は、操作ボックス9、駒装置10を操作することにより、総当り処理を終了するための操作を行った後、作業を準備工程から本工程に移すことができる。
S11において、駒装置10(2)の制御部36(2)は、総当り処理を終了するための操作を受け付けた場合には(S11:YES)、一連の処理を終了し、一方、受け付けていない場合には(S11:NO)、S8からの処理を繰り返す。
【0075】
[本工程:♯20]
本工程では、各駒装置10の制御部36は、駒装置10から搬出される折丁Wをカメラ31で撮像することにより、基準画像と同じ枚目の撮像画像を取得する。
そして、制御部36は、取得した撮像画像と、基準画像とを、画像処理によって比較する。そして、制御部36は、基準画像の検査枠内の画像と同一画像が、撮像画像内に含まれるか、この同一画像の位置、傾きが適正であるか否かを判定することにより、乱丁を抑制する。
例えば、駒装置10(1)は、折丁W1が適正に搬出された場合には、カメラ31(1)は、
図7の撮像画像P104と同様な撮像画像を撮像する。駒装置10(1)は、上記処理で設定した基準画像である撮像画像P104と、本工程において撮像したこの撮像画像とを比較することにより、検査枠A1内の画像と同一画像が、本工程の撮像画像に含まれ、かつ、その位置、傾きが適正であることに基づいて、検査OKであると判定できる。
【0076】
一方で、駒装置10(1)に、例えば駒装置10(2)で丁合すべき折丁W2が混入していた際には、カメラ31(1)は、
図7の撮像画像P204と同様な撮像画像を撮像する。このため、駒装置10(1)は、基準画像である撮像画像P104と、本工程で撮像した折丁W2のこの撮像画像(撮像画像P204と同様な撮像画像)とを比較することにより、検査枠A1内の画像と同一画像が、本工程で撮像した折丁W2の撮像画像に含まれないため、両者が非類似であると判定できる。これにより、駒装置10(1)は、この場合に、検査NGであると判定できる。
なお、準備工程の総当り処理において、折丁W1の基準画像の撮像画像P104と、折丁W2の基準画像である撮像画像P204とは、非類似であると判定されている。このため、本工程においても、駒装置10(1)は、基準画像である撮像画像P204と、本工程において取得した折丁W2の撮像画像(撮像画像P204と同様な撮像画像)とが非類似であると正確に判定できる。このように、丁合システム1は、本工程において、信頼性の高い検査を行うことができる。
駒装置10の制御部36は、検査NGと判定した場合には、乱丁発生の旨を音、各種表示で報知したり、NGのカウント値を記憶部35に記憶したりする。
【0077】
以上説明したように、本実施形態の丁合システム1は、前述した作用、効果に加えて、例えば、以下の作用、効果を奏する。
(1)サーバ等の管理用コンピュータを用いることなく、複数の駒装置10がそれぞれ総当りを実施できる。このため、丁合システム1は、低コストで構成できる。
(2)複数の駒装置10がそれぞれ自駒装置10の総当り処理を実行するので、システム全体の総当り処理に要する時間は、1つの駒装置10で総当り処理に要する時間となるので、従来よりも処理時間を短縮できる。例えば、1つの駒装置10の総当り処理に要する時間が30秒であった場合、システム全体で総当り処理に要する時間も30秒である。
これに対して、管理用コンピュータ等が総当り処理を集中して実行する従来の形態では、システム全体で総当り処理に要する時間は、1つの駒装置10で総当り処理に要する時間と、駒装置10の台数との積となる。このため、従来の形態では、実施形態の処理時間よりも、処理時間が増大する。
【0078】
(3)管理用コンピュータが不要であるので、製本工場は、管理用コンピュータの故障等に起因した製本の生産停止から解放される。また、システム提供者は、管理用コンピュータの故障等に起因する緊急のサポート対応から解放される。
(4)各駒装置10のタッチパネル32が、全駒装置10(1~6)に関する駒情報表示部61~66を表示するので、作業者は、操作している自駒装置10の総当り結果に加えて、隣駒装置10を含む総当り結果も一度に確認できる。このため、総当りで「総当りNG」が発生した駒装置10への対応(連続画像の再撮像、基準画像の再設定等にともなう総当りの再度の実施等)を、迅速に行うことができる。
【0079】
(5)各駒装置10の各カメラ31と検査装置30との距離は、概ね3m以内であり近い。このため、作業者は、「総当りNG」が発生した駒装置10のタッチパネル32で把握したら、直ぐに、カメラ31直下の折丁Wを確認できるので手間がかからず、また、連続画像の再撮像の作業も、作業負担が小さい。
これに対して、従来のシステムの管理用コンピュータは、駒装置とは離れた場所に設置してあるため、作業者は、管理用コンピュータの表示画面(統括表示)で「総当りNG」が発生した状況を、作業者自らが一時的に記憶していた。そして、作業者は、自らの記憶を頼りに「総当りNG」が発生した駒装置の前まで移動し、カメラ直下の折丁を確認していたために、非常に手間がかかり、また、作業者の負担が大きかった。
【0080】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
第2実施形態の丁合システムは、複数の駒装置の配置に関する構成等を、第1実施形態から変更したものである。
なお、以下の説明及び図面において、第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同様な名称を適宜付し、また同一の符号又は末尾(下2桁等)に同一の符号を適宜付して、重複する説明を適宜省略する。
第2実施形態では、2種類の丁合システム201A,201Bについて説明する。丁合システム201A,201Bは、装置のレイアウト、配置情報記憶部の記憶情報等が異なるのみであり、同一システムで実現可能である。
【0081】
(丁合システム201A)
図15は、第2実施形態の丁合システム201Aの構成の概略、駒装置210(2)の総当り処理画面260Aを示す図である。
図15(A)に示すように、丁合システム201Aは、第1実施形態と同様に、駒装置210(6),駒装置210(5),・・・駒装置210(1)が右側から左側に向けて配置され、また、折丁Wの流れ方向が右側から左側に向けた方向である。各配置情報記憶部235aは、これらの駒配置情報を記憶する。
但し、各配置情報記憶部235aは、自駒番に対応付いた自駒名称を記憶する。駒名称は、システムのユーザである製本工場が、任意に付すことができる。駒名称は、タッチパネル232を操作したり、各種制御装置(パーソナルコンピュータ)等を用いて、入力できる。
駒装置210(1)は、駒名称「表駒」、駒装置210(2)は、駒名称「中駒1」、駒装置210(6)は、駒名称「裏駒」といった駒名称が付されている。
【0082】
図15(B)に示すように、駒装置210(2)の制御部は、総当り処理画面260Aを表示する場合に、自駒装置210(2)の配置情報記憶部235a(2)から駒番2に対応付いた駒名称「中駒1」を読み出す。そして、駒装置210(2)の制御部は、駒番2の代わりに「中駒1」の文字情報を、駒情報表示部62に表示する。
また、駒装置210(2)の制御部は、他の駒装置210(1,3~6)から駒番1,3~6に対応付いた駒名称を、他の駒装置210(1,3~6)から通信網5を介して取得して、駒情報表示部61,63~66に表示する。
【0083】
(丁合システム201B)
図16は、第2実施形態の丁合システム201Bの構成の概略、駒装置210(2)の総当り処理画面260Bを示す図である。
図16(A)に示すように、丁合システム201Bは、上記丁合システム201Aとは異なり、折丁Wの流れ方向が左側から右側に向かう方向である。
駒装置210(1)は、駒名称「裏駒」、駒装置210(2)は、駒名称「中駒1」、駒装置210(6)は、駒名称「表駒」といった駒名称が付されている。
各配置情報記憶部235aは、これらの情報(自駒の駒名称等)を駒配置情報として記憶する。
【0084】
図16(B)に示すように、駒装置210(2)の制御部は、総当り処理画面260Bを表示する場合に、第1実施形態と同様な処理((a)~(d)の処理参照)を実行することにより、駒情報表示部66,65,・・・,61を、駒番が小さくなるに従って、右側から左側に向けて順次配置する。また、駒装置210(2)の制御部は、上記丁合システム201Aと同様に、駒情報表示部61~66に駒名称を表示する。
【0085】
このように、本実施形態の丁合システムは、システムのユーザが任意に付した駒名称を総当り処理画面260Aの駒情報表示部61~66に表示できる。また、本実施形態の丁合システムは、駒情報表示部61~66を、複数の駒装置(210)の配置及び折丁の流れ方向に対応した配置で表示できる。これにより、システムのユーザは、総当り処理に関する情報を、製本工場のレイアウト、運用に合わせた駒名称を参照しながら確認できるので、利便性がよい。
【0086】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
図17は、第3実施形態の準備工程における駒装置310(2)のタッチパネル332(2)の総当り処理画面360を示す図である。
折丁は、総当り処理に不向きなものがある。このような折丁は、例えば、ベタ印刷、単純な模様の繰り返し(市松模様等)が印刷されたもの、白紙のもの等である。このような折丁は、特徴点のスコア差が小さい等の理由により、検査枠の設定が困難なためである。
【0087】
第3実施形態の丁合システムは、このような折丁を丁合する駒装置310を、総当り処理を実行しないように設定可能にしたものである。
図17の例は、駒番1、駒番6に対応する駒装置310を、総当り処理を実行しないように設定した場合における、駒装置310(2)の総当り処理画面360である。
総当り処理を実行しないように設定する手法としては、例えば、
図6に示す判定基準設定画面51において、「総当りOFF」等のボタンを表示するようにすればよい。このボタン操作を受け付けた自駒装置310(
図17の例では、駒番1、駒番6に対応する駒装置310)は、その操作情報を他駒装置310に対して送信する。
これにより、ボタンを受け付けた駒装置310は、総当り処理を実行せず、また、その操作情報を受信した他駒装置310は、ボタン操作を受け付けた駒装置310を総当り処理の対象から除外する。
【0088】
すなわち、駒番2~5に対応する他駒装置310は、
図5のS2、S3、S6の処理において、駒番1、駒番6に対応する駒装置310を、総当り処理の対象から除外する。
図17に示すように、一の他駒装置310である駒装置310(2)の総当り処理画面360は、駒番1、駒番6に対応する駒情報表示部361、366に、「総当りOFF」といった情報を表示する。これにより、作業者は、駒番1、駒番6に対応する駒装置310の実機の確認を要することなく、総当り処理画面360を確認すれば、これらの駒装置310が総当り処理の対象から除外されたことを明確に報知できる。
【0089】
以上説明したように、本実施形態の丁合システムは、折丁の仕様等に応じて、一部の駒装置の折丁を除外して、総当り処理を実行できる。
【0090】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能である。なお、前述した実施形態の各構成及び後述する変形形態の各構成は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。
【0091】
(変形形態)
(1)実施形態において、丁合システムは、無線綴じ丁合機に関するものである例を示したが、これに限定されない。実施形態の丁合システムの各構成は、例えば、中綴じ丁合機のシステムに、適宜適用してもよい。
【0092】
(2)実施形態において、総当り処理画面は、全駒装置に対応した駒情報表示部を一画面内に配置して表示する例を示したが、これに限定されない。例えば、駒装置の駒数が多い等の理由で、全駒装置に対応した駒情報表示部を一画面内に配置できない場合には、一部の駒装置に対応した駒情報表示部を一画面内に配置して、スクロール表示することにより、全駒装置に対応した駒情報表示部を確認できるようにしてもよい。
してもよい。
【0093】
(3)実施形態において、一の駒装置は、他駒から連続画像再撮像ボタンの操作情報を受信したか否かを判定することにより、他の駒装置において連続画像の再撮像の処理が行われたか否かを判定する例を示したが、これに限定されない。
一の駒装置の制御部は、他の駒装置の撮像画像が更新されたか否かを、他の駒装置の記憶部の撮像画像を監視することにより判定し、撮像画像が更新された場合に他の駒装置において連続画像の再撮像の処理が行われたと判定してもよい。
【0094】
(4)実施形態において、一の駒装置(駒装置10(2)等)は、他の駒装置(駒装置10(1,3~6)等)が総当り処理中である旨の情報、他の駒装置の総当り処理の結果の情報(OK又はNG)のみを、他の駒装置に対応した駒情報表示部(駒情報表示部61,63~66等)に表示する例を示したが、これに限定されない。
例えば、一の駒装置(駒装置10(2)等)は、一の駒装置に対応した駒情報表示部(駒情報表示部62等)と同様に、他の駒装置において比較処理中の撮像画像の駒番号、類似駒の情報を、他の駒装置に対応した駒情報表示部(駒情報表示部61,63~66等)に表示してもよい。この場合には、一の駒装置は、これらの情報を、他の駒装置から取得すればよい。
【0095】
(5)実施形態において、総当り処理において、各カメラが、折丁の一方の面のみの撮像情報を取得する例を示したが、これに限定されない。各カメラは、折丁の両面を撮像して、表折、裏折を、それぞれ撮像画像にしてもよい。この場合には、作業者は、総当り処理の作業において、折丁を一旦裏返して丁合機に配置すればよい。これにより、駒装置は、総当り処理において、自駒装置の折丁の他方の撮像画像に含めて、類否判定できる。この場合には、本工程において、折丁が表裏を誤って丁合機に配置された場合でも、乱丁を確実に抑制できる。
このように、総当りの比較対象として、自駒装置の折丁の他方の面に含める手法は、例えば、特開2016-60083号公報に記載の方法を用いてもよい。
【0096】
さらに、一の駒装置は、他の駒装置の折丁の他方の撮像画像を、他の駒装置から取得することにより、総当り処理において、他の駒装置の折丁の他方の撮像画像を、含めてもよい。この場合には、一の駒装置は、本工程において、他の駒装置の折丁が表裏を誤った状態で、一の駒装置の丁合機に配置された場合でも、乱丁を確実に抑制できる。
【0097】
(6)実施形態において、駒装置の制御部は、連続撮像開始ボタンの操作後、さらに検査枠自動設定ボタンの操作を受け付けることにより、検査枠の設定の処理を実行する例を示したが、これに限定されない。駒装置の制御部は、連続撮像開始ボタンの操作を受け付けた場合には、検査枠自動設定ボタンの操作を受け付けることなく、検査枠A2の設定の処理を実行してもよい。
【符号の説明】
【0098】
1,201A,201B:丁合システム
9:操作ボックス
20:丁合機
30:検査装置
31:カメラ
32,232:タッチパネル
35:記憶部
35a,235a:配置情報記憶部
36:制御部
61~66:駒情報表示部
W,W1~W6:折丁