(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177868
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】プラスチックの洗浄方法及び装置
(51)【国際特許分類】
B29B 13/02 20060101AFI20241217BHJP
B08B 3/04 20060101ALI20241217BHJP
B29B 17/02 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
B29B13/02
B08B3/04 B ZAB
B29B17/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096245
(22)【出願日】2023-06-12
(71)【出願人】
【識別番号】000003768
【氏名又は名称】東洋製罐グループホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003524
【氏名又は名称】弁理士法人愛宕綜合特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大槻 梓
(72)【発明者】
【氏名】田代 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】細川 智未
(72)【発明者】
【氏名】市川 健司
【テーマコード(参考)】
3B201
4F201
4F401
【Fターム(参考)】
3B201AA46
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4F201AA05
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4F401FA01Y
4F401FA01Z
4F401FA06Y
4F401FA07Z
(57)【要約】 (修正有)
【課題】過熱水蒸気処理によりプラスチックから汚染物質を除去するプラスチックの洗浄方法において、大幅に短縮された処理時間で汚染物質が効果的に除去される方法を提供する。
【解決手段】100℃以上の温度に保持されている過熱水蒸気処理領域が搬送路に設けられており、過熱水蒸気が流されている該過熱水蒸気処理領域に、プラスチック7を導入して過熱水蒸気処理を行うプラスチックの洗浄方法であって、前記過熱水蒸気処理領域が、相対的に高温の過熱水蒸気が供給される高温処理領域Aと、相対的に低温の過熱水蒸気が供給される低温処理領域Bとから形成されており、高温処理領域Aと低温処理領域Bとが連続していると共に、プラスチック7を、高温処理領域Aから低温処理領域Bに連続的に移送して過熱水蒸気処理を行い、処理済みのプラスチック7を、低温処理領域Bから連続的に取り出すことを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
100℃以上の温度に保持されている過熱水蒸気処理領域が搬送路に設けられており、過熱水蒸気が流されている該過熱水蒸気処理領域に、プラスチックを導入して過熱水蒸気処理を行うプラスチックの洗浄方法であって、
前記過熱水蒸気処理領域が、相対的に高温の過熱水蒸気が供給される高温処理領域と、相対的に低温の過熱水蒸気が供給される低温処理領域とから形成されており、該高温処理領域と低温処理領域とが連続していると共に、
前記プラスチックを、前記高温処理領域から前記低温処理領域に連続的に移送して過熱水蒸気処理を行い、
処理済みプラスチックを、前記低温処理領域から連続的に取り出すこと、
を特徴とするプラスチックの洗浄方法。
【請求項2】
前記低温処理領域には、100℃~150℃の温度の過熱水蒸気が供給され、前記高温処理領域には、該低温処理領域に供給される過熱水蒸気よりも20℃以上高い温度の過熱水蒸気が供給される請求項1に記載のプラスチックの洗浄方法。
【請求項3】
前記高温処理領域でのプラスチックの通過時間が、前記低温処理領域での通過時間よりも長く設定されている請求項2に記載のプラスチックの洗浄方法。
【請求項4】
処理するプラスチックが、使用済みプラスチックである請求項1に記載のプラスチックの洗浄方法。
【請求項5】
前記過熱水蒸気処理領域は、全体を通して酸素濃度が5%以下に調整されている請求項1に記載のプラスチックの洗浄方法。
【請求項6】
蒸気供給管及び蒸気排出管が接続されており且つ100℃以上の温度に保持される過熱水蒸気処理室と、該過熱水蒸気処理室を通っているプラスチック搬送部材とを備えたプラスチックの洗浄装置において、
前記過熱水蒸気処理室は、前記プラスチックの導入側に位置し且つ相対的に高温の過熱水蒸気が供給される高温処理領域と、前記プラスチックの排出側に位置し且つ相対的に低温の過熱水蒸気が供給される低温処理領域とを備えており、
前記高温処理領域及び前記低温処理領域のそれぞれに、前記蒸気供給管が接続されていること、
を特徴とするプラスチックの洗浄装置。
【請求項7】
前記高温処理領域及び前記低温処理領域のそれぞれに、前記蒸気排出管が接続されている請求項6に記載のプラスチックの洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチックの洗浄方法及び装置に関するものであり、より詳細には、使用済みプラスチックから不純物質を除去するためのプラスチックの洗浄方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年における環境保護の観点から、フィルムや容器などの各種プラスチック成形品についても、リサイクル使用が求められている。プラスチックのリサイクルに際しては、プラスチック成形品を、その形態を損なわずにそのまま再利用する場合のみならず、これを粉砕し、粒状物やペレットの形態で回収し、再生プラスチックとして再び成形に供する場合もある。
【0003】
何れの形態でプラスチックを再利用する場合にも、使用により汚れたプラスチックから不純物質を取り除く必要がある。
プラスチックから不純物質を除去する方法としては、有機溶媒や水などを用いて洗浄することが一般的な方法である。
【0004】
例えば、特許文献1には、ポリエチレンを有機溶媒に接触させて、その溶液を精製することにより不純物質を除去する方法が開示されている。
また、特許文献2には、梱包材(プラスチックフィルム)を破砕後、酸またはアルカリで化学洗浄して再資源化処理することが開示されており、特許文献3には、水洗により異物とプラスチックを分離することが開示されている。
【0005】
ところで、プラスチックからの不純物質の除去を、有機溶媒を媒体として用いる場合には、環境汚染の問題があり、排気システムや有機溶媒の廃液処理などに要するコストが大きいという問題がある。また、酸やアルカリを洗浄媒体として用いた場合には、環境汚染の問題を回避できるが、設備が重厚長大となる。
【0006】
一方、水を洗浄媒体として用いた場合には、廃液処理の問題は生じないといってよい。しかしながら、洗浄性の点では、有機溶媒に大きく劣っており、プラスチックの表面に付着した油脂等の油汚れに対する洗浄性が不十分であり、さらに、プラスチックの内部に吸収されている収着物質にいたってはほとんど除去することができない。
【0007】
したがって、水を用いての洗浄により効果的に油汚れやプラスチック内部の収着物質の除去を行うことができれば、最も好ましい。特許文献4には、このような観点から、過熱水蒸気を洗浄媒体として用いての洗浄により、プラスチックから不純物質を除去する方法が、本出願人により提案されている。
【0008】
特許文献4の方法では、水を用いているため、環境に悪影響を与えることがなく、大掛かりな排気設備や廃液処理設備は不要であり、プラスチック表面に付着した油脂等の油汚れは勿論のこと、プラスチックの内部に浸み込んだ油汚れ(即ち、収着成分)等の不純物質を、有機溶媒を洗浄媒体として用いた場合と同様に、きれいに除去することができるのであるが、洗浄に時間がかかるという点で、未だ改善の余地がある。即ち、十分に時間をかけて過熱水蒸気処理を行わないと、臭いが十分に取り除かれていないという問題があった。特に使用済みプラスチックがポリプロピレンを主体としているとき、臭いを取り除くのに長時間を要していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特表2020-511560号公報
【特許文献2】特開平6-31733号公報
【特許文献3】特開平6-173182号公報
【特許文献4】WO2022/124015号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、本発明の目的は、過熱水蒸気処理によりプラスチックから汚染物質を除去する方法において、大幅に短縮された処理時間で汚染物質が効果的に除去される方法及び装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者等は、上記課題について多くの実験を行い検討した結果、使用済みプラスチックから過熱水蒸気処理により汚染物質を効果的に除去し、ほとんど臭わないプラスチックを短時間で得るためには、洗浄のために高温に保持されたプラスチックを、直ちに過熱水蒸気処理域から取り出すのではなく、過熱水蒸気処理を行いながら適度に温度降下させた後に、過熱水蒸気処理領域から取り出すことが効果的であるという知見を見出し、本発明を完成させるに至った。
【0012】
即ち、本発明によれば、100℃以上の温度に保持されている過熱水蒸気処理領域が搬送路に設けられており、過熱水蒸気が流されている該過熱水蒸気処理領域に、プラスチックを導入して洗浄を行うプラスチックの洗浄方法であって、
前記過熱水蒸気処理領域が、相対的に高温の過熱水蒸気が供給される高温処理領域と、相対的に低温の過熱水蒸気が供給される低温処理領域とから形成されており、該高温処理領域と低温処理領域とが連続していると共に、
前記プラスチックを、前記高温処理領域から前記低温処理領域に連続的に移送して過熱水蒸気処理を行い、
処理済みプラスチックを、前記低温処理領域から連続的に取り出すこと、
を特徴とするプラスチックの洗浄方法が提供される。
【0013】
本発明の方法においては、次の手段が好適に使用される。
(1)前記低温処理領域には、100℃~150℃の温度の過熱水蒸気が供給され、前記高温処理領域には、該低温処理領域に供給される過熱水蒸気よりも20℃以上高い温度の過熱水蒸気が供給されること。
(2)前記高温処理領域でのプラスチックの通過時間が、前記低温処理領域での通過時間よりも長く設定されていること。
(3)処理するプラスチックが、使用済みプラスチックであること。
(4)前記過熱水蒸気処理領域は、全体を通して酸素濃度が5%以下に調整されていること。
【0014】
本発明によれば、また、蒸気供給管及び蒸気排出管が接続されており且つ100℃以上の温度に保持される過熱水蒸気処理室と、該過熱水蒸気処理室を通っているプラスチック搬送部材とを備えたプラスチックの洗浄装置において、
前記過熱水蒸気処理室は、前記プラスチックの導入側に位置し且つ相対的に高温の過熱水蒸気が供給される高温処理領域と、前記プラスチックの排出側に位置し且つ相対的に低温の過熱水蒸気が供給される低温処理領域とを備えており、
前記高温処理領域及び前記低温処理領域のそれぞれに、前記蒸気供給管が接続されていること、
を特徴とするプラスチックの洗浄装置が提供される。
かかるプラスチックの洗浄装置においては、
(5)前記高温処理領域及び前記低温処理領域のそれぞれに、前記蒸気排出管が接続されていること、
が好適である。
【発明の効果】
【0015】
本発明のプラスチックの洗浄方法は、100℃以上の温度に保持されている過熱水蒸気処理領域に、処理するプラスチック(具体的に使用済みプラスチック)を供給して過熱水蒸気による洗浄を行うものであるが、この処理領域を高温処理領域と低温処理領域とに分け、高温処理領域から低温処理領域にかけて連続的にプラスチックを通過させ、連続的に取り出すというものである。即ち、高温処理領域での過熱水蒸気処理に引き続き、過熱水蒸気の存在下で処理温度を低下させながら連続して取り出すため、後工程として脱水処理の手間が不要であり、非常に短時間で効果的に洗浄が行われ、汚染物質が有効に取り出されるばかりか、臭いもほとんどしないプラスチックが得られるのである。このような洗浄工程によれば、異物の除去が有効に行われ、汚染物質の除去のみならず、プラスチック或いは汚染物質の分解等により生じた臭い成分の洗浄(脱臭)も好適に行われる。
【0016】
例えば、後述するバッチ式の処理炉を用いた実験例9では、使用済みプラスチックを240℃で過熱水蒸気による洗浄を処理室で5分間行った後、そのまま取り出したときには、汚染物質を十分に除去できず、臭いも強いという結果であった(室温で評価)。汚染物質量は、アルデヒドの量で評価した。
【0017】
また、同様のバッチ式の処理炉を用いた実験例10では、240℃での5分間の処理後、処理室内を150℃の温度に降下させた後に、処理室からプラスチックを取り出したときには、150℃の温度に降温するまでに約20分間を要したため、処理室内でのプラスチックの滞留時間は、トータルで25分程度と非常に長いものであった。また、実験例9に対しては良化する傾向がみられたが、依然として、汚染物質の除去が不十分であり、臭気も強いという結果であった。
【0018】
実験例9及び実験例10の結果から、150℃以上の温度に保持されている時間が長い方が、汚染物質の除去が効果的に行われ、さらに臭いも効果的に除去されると推定したのであるが、実験例1及び実験例2の結果は、この推定を覆すものであった。
【0019】
即ち、後述する実験例1では、本発明にしたがい、処理室を高温処理領域と低温処理領域とに分け、高温処理領域には220℃の温度に設定された過熱水蒸気を供給し、低温処理領域には、150℃の温度に設定された過熱水蒸気が供給されるように設定して過熱水蒸気による洗浄を連続して行った。プラスチックの搬送速度は、高温処理領域での処理時間(通過時間)が5分となるように設定されており、低温処理領域での処理時間(通過時間)は2分であり、処理室内でのトータルの処理時間は7分とかなり短かった。
係る実験例1においては、上記の実験例9及び実験例10と比較して、汚染物質が十分に除去でき、臭いもほとんどしないという結果であった(室温で評価)。即ち、プラスチックを連続搬送しながら過熱水蒸気処理を行ったため、処理時間が短縮されたのであるが、上記の推定とは異なり、150℃以上に保持されている時間が短くとも、汚染物質が十分に除去でき、臭いもほとんどしないという結果が得られたのである。
【0020】
このことから、実験例2では、低温処理領域の出口側温度をさらに低く、100℃に設定し、実験例1と同じ搬送速度に設定してプラスチックの洗浄処理を行ったが、やはり、実験例1と同様に、汚染物質が十分に除去でき、臭いもほとんどしないという結果が得られた。
さらに、高温処理領域或いは低温処理領域での温度、さらには、搬送速度を種々変更して行ったが、何れも、バッチ式の処理炉を用いた場合と比較して、短時間で汚染物質の除去や、臭いの発生を効果的に抑制できた。
【0021】
これらのことから、過熱水蒸気処理による洗浄では、高温での洗浄時間も重要であるが、ある程度の高温に保持されているプラスチックが、酸素量が多い大気中に長時間保持されると、プラスチックの劣化が進行し、臭いの要因となる汚染物質(酸やアルデヒド)の発生量が多くなり、臭いを発生するようになると、本発明者等は推定するに至った。即ち、本発明は、ある程度以上の温度でプラスチックが大気中に保持されないようにして過熱水蒸気処理を連続して行うことにより、短時間で汚染物質が十分に除去でき、臭いの発生も効果的に抑制することに成功したものである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明方法を実施するための洗浄装置の概略を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<洗浄装置>
本発明の洗浄方法を実施するための洗浄装置を示す
図1において、10で示されているこの洗浄装置は、高温処理室A(高温処理領域)と低温処理室B(低温処理領域)とが連続して並置されており、この内部を通過するように連続搬送装置1が設けられている。
【0024】
連続搬送装置1は、一対の搬送ローラ3,3と、搬送ローラ3,3に張架された搬送ベルト5からなっており、搬送ローラ3、3の回転によって駆動する搬送ベルト5により、処理すべきプラスチック7が、高温処理室Aから低温処理室Bに連続して搬送され、低温処理室Bから外部に取り出されるようになっている。
【0025】
図1の洗浄装置10において、高温処理室Aと低温処理室Bとは連通しており、両者の間には隔壁などは設けられておらず、それぞれの処理室に専用の蒸気供給管(9aおよび9a’)と蒸気排出管(9b及び9b’)が設けられている。即ち、高温処理室Aでは、高温の水蒸気が蒸気供給管9aから供給され、且つ蒸気排出管9bから排気されるようになっており、低温処理室Bでは、低温の水蒸気が蒸気供給管9a’から供給され、且つ蒸気排出管9b’から排気される構造となっており、導入される過熱水蒸気によって、高温処理室Aでは、高温雰囲気が形成され、低温処理室Bでは、高温処理室Aと比較して低温の雰囲気が形成されている。
【0026】
尚、
図1の例では、高温処理室Aには、蒸気排出管9bが設けられており、低温処理室Bには、蒸気排出管9b’が設けられているが、この洗浄装置10の全体容量や蒸気供給管9a或いは9a’からの水蒸気供給速度などによっては、蒸気排出管を1本とすることも可能である。しかし、高温処理室Aでは確実に高温の過熱水蒸気がプラスチック7に吹き付けられ、低温処理室Bでは確実に低温の過熱水蒸気が吹き付けられるようにするために、
図1で示されているように、高温処理室Aでは、高温の過熱水蒸気排出用の蒸気排出管9bを設け、低温処理室Bでは、低温の過熱水蒸気排出用の蒸気排出管9b’を設け、それぞれ専用の蒸気排出管を設けておくことが好ましい。
【0027】
また、プラスチック7の連続搬送が損なわれない限り、専用の蒸気排出管9b,9b’を設けると同時に、高温処理室Aと低温処理室Bとの間の一部に隔壁(図示せず)を設けることで、より厳密に処理温度や各処理室A,Bでの処理時間をコントロールすることができる。
【0028】
さらに、必要に応じて、これらの、蒸気供給管9aおよび9a’からは、適宜、窒素などの不活性ガスの供給及び排出も行い得るようになっており、これにより、高温処理室A及び低温処理室B内の雰囲気を不活性ガスで置換し、室内での酸素濃度をさらに低下させ得るようになっている。不活性ガスの供給に関しては、高温処理室A及び低温処理室Bの酸素濃度を低下させることができれば上述の方法に限定されず、蒸気供給管9aおよび9a’以外から供給する方式であっても良い。
その他、洗浄装置の例として、温度の設定の異なる複数の高温処理室(高温処理領域)を連続して設けたものであっても良く、それぞれの処理室に専用の蒸気供給管(さらには蒸気排出管)を設け、処理するプラスチックに応じて、任意の温度にそれぞれ設定し処理できるようなものであっても良い。
【0029】
また、上記の洗浄装置10は、高温処理室A及び低温処理室B内の雰囲気が100℃以上に維持され、供給される過熱水蒸気の凝縮が防止され(特に装置の入り口や出口側)且つ各処理室A,Bでプラスチック7に吹き付けられる温度が設定温度に維持されるように、ヒータなどにより加熱される構造となっている。
【0030】
<洗浄媒体>
本発明では、上記の洗浄装置10を用いてプラスチックから不純物質を除去するのであるが、この際の洗浄媒体として過熱水蒸気(即ち、水)を用いる。この過熱水蒸気は、100℃以下の水に比して、加熱によって低誘電率化されているものであり、例えば、比誘電率が60以下、好ましくは40以下、より好ましくは25以下、さらに好ましくは10以下とされている過熱水蒸気が使用される。
【0031】
即ち、常温における水の比誘電率は、有機溶媒などに比して著しく高く、特異な極性溶媒であり、これが有機成分(油脂等の油成分)に対して親和性が乏しく(撥油性である)、汚れを落とし難い要因となっている。一方、比誘電率は、温度が高くなるほど低下することが知られている。このことから理解されるように、加熱による低誘電率化を図り、有機溶媒に近い状態となっている水(過熱水蒸気)で洗浄を行うわけである。例えば、前述した特許文献4にも比誘電率の測定法など共に詳細に説明されているが、水を200℃程度に加熱すると、その比誘電率は35程度となり、メタノールの常温での比誘電率に近くなり、300℃程度に加熱すると比誘電率は20程度となり、アセトンの常温での比誘電率に近くなり、さらに加熱して臨界点付近では、無極性有機溶媒のクロロホルムやエチルエーテルと同程度となる。
【0032】
上記の説明から理解されるように、洗浄媒体として使用される過熱水蒸気は、低誘電率化による無極性化によって有機溶媒に近い状態となっており、しかも、このような低誘電率化のため、水は、100℃を越える高温の水蒸気となっている。このような高温の水が接触しているとプラスチックを構成しているポリマー鎖が緩み、プラスチック内に低誘電率化した水が入り込みやすくなる。
本発明によれば、このように、低誘電率化されて有機溶媒のような無極性に近い状態となり且つ低誘電率化のために高温加熱された水蒸気を洗浄媒体として使用することにより、プラスチック表面に付着している不純物質及びプラスチック内の収着している不純物質を効果的に除去することができる。
【0033】
さらに、本発明において、洗浄媒体として使用される水は、上記のような低誘電率化のための加熱により、例えば高温処理室Aでは、過熱水蒸気や亜臨界水或いは超臨界水と呼ばれる状態となっていてもよい。
【0034】
<洗浄対象のプラスチック>
本発明において、洗浄対象であるプラスチックは、所謂使用済みのプラスチックであり、上記の様に加熱されている水蒸気での洗浄により分解しない限り、任意のプラスチックを挙げることができるが、好ましくは、分別回収による再生利用が普及しているオレフィン系樹脂、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、中或いは高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1-ブテン、ポリ4-メチル-1-ペンテンなどを挙げることができる。勿論、エチレン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン等のα-オレフィン同志のランダムあるいはブロック共重合体等であってもよいし、また、特開2007-284066号等に開示されている環状オレフィン共重合体も好適に使用することができる。このようなオレフィン系樹脂は、化学的に極めて安定であり、低誘電率化された高温の水を用いての洗浄に際しては、加水分解などを生じる恐れが小さいばかりか、容易に回収できるからである。
【0035】
さらに、この使用済みプラスチックにエチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)が含まれているとき、本発明の効果が最大限に発揮される。EVOHは、ガスバリア性樹脂として包装材の分野で広く使用されている樹脂であり、酸素の透過を遮断することにより包装されている物質の酸化劣化を防止するものであるが、熱劣化し易く、熱劣化により酸やアルデヒドなどの有臭成分を発生するという性質を有している。しかるに、本発明の処理方法によれば、EVOHを含んでいる場合にも、有臭成分の発生を有効に防止できる。
【0036】
尚、本発明において、上記の使用済みプラスチックは、各種プラスチック成形品(例えば容器や蓋材など)の廃棄物を回収し、適宜、材質の異なる他の成形品と分別し、粉砕、洗浄、比重による分離などを経て、できるだけ異物を排除したものである。以下に述べる処理に際しては、特に制限されないが、搬送性、処理性などの点から、フレーク状或いは粒状の形態に粉砕されているものが好ましく、特にメッシュ径が10mm以下、より好ましくは8mm以下、さらに6mm以下の大きさになっているものが好適である。
【0037】
<プラスチックの洗浄>
上述したプラスチックの洗浄、即ち、汚染物質を除去するための洗浄処理は、前述した洗浄装置10を用いて行われる。
即ち、搬送装置1(搬送ベルト5)の連続駆動により、使用済みプラスチック7を洗浄装置10内に連続的に導入し、該洗浄装置10内で過熱水蒸気を吹き付けることにより、プラスチックの洗浄が行われ、洗浄されたプラスチックは、連続的に洗浄装置10から取り出される。このような連続的な処理により、本発明では、著しく短時間で汚染物質が除去されたプラスチックを得ることができる。
【0038】
本発明において、上記の洗浄装置10は、高温処理室Aと低温処理室Bとに分けられており、プラスチック7を搬送しながら高温処理室Aでは、相対的に高温の過熱水蒸気による洗浄処理が行われ、次いで低温処理室Bにおいて相対的に低温の過熱水蒸気による洗浄処理が行われる。
【0039】
このような処理において、高温処理室Aは、ヒータなどにより高温に保持される構造として、一方、低温処理室Bは、熱交換機により室内雰囲気が冷却される構造とし、供給される水蒸気の温度が高温処理室Aに比して低温となるようにすることもできる。
【0040】
本発明において、低温処理室Bでは、高温処理室Aよりも相対的に低温の水蒸気、例えば好ましくは100℃~150℃、より好ましくは100℃~135℃、さらに好ましくは100℃~120℃の温度の水蒸気が供給され、連続搬送されるプラスチック7に吹き付けられるように設定される。即ち、低温処理室Bでの処理温度を低く設定することにより、洗浄装置10からプラスチック7を取り出したときの劣化が抑制され、臭いの発生も効果的に抑制することができる。
【0041】
また、高温処理室Aでは、低温処理室Bに比してより高温の過熱水蒸気が吹き付けられるように設定される。例えば、低温処理室Bで供給される過熱水蒸気よりも少なくとも20℃以上、好ましくは35℃以上、さらに好ましくは50℃以上高い温度の過熱水蒸気が供給され、連続搬送されるプラスチック7に吹き付けられるように設定される。このような高温に保持された過熱水蒸気を吹き付けることにより、プラスチック表面に付着した油汚れやプラスチックの内部にまで浸透した油汚れなどの収着物質を有効に洗浄除去できる。
【0042】
また、
図1の洗浄装置10において、高温処理室Aは、低温処理室B内に連通しているため、高温処理室A及び低温処理室B内には、全体的に温度分布が生じており、特に低温処理室Bの出口側での雰囲気温度が最も低温となっている。このような温度分布を考慮して、高温処理室A内の最高温度は300℃以下、より好ましくは260℃以下、さらに好ましくは230℃以下に設定されていることが好ましい。この最高温度が必要以上に高いと、プラスチック7の分解を生じてしまったり、或いは次の低温処理室Bでの温度調整が困難となり、処理時間を短時間で行うことが困難となる場合がある。
【0043】
上記の説明から理解されるように、本発明では、高温処理室Aに連続して設けられている低温処理室Bに、高温処理室Aに供給される過熱水蒸気よりも低温の水蒸気が供給されて洗浄処理が行われることにより、プラスチック7の劣化を有効に抑制できる。例えば、特許文献4の実施例12のように、低温処理室Bを設けず、高温処理室Aでの処理後、この処理室Aの温度を降下させて冷却する場合には、連続処理ではなく、所謂バッチ処理となってしまい、冷却に長時間を要してしまい、短時間で洗浄を完了させることができない。
【0044】
また、この低温処理室Bでは、高温に保持されたプラスチック7が、酸素濃度の高い大気に直接接触することなく、過熱水蒸気による洗浄が行われることになる。即ち、高温で大気に接触すると、プラスチック7の劣化を生じてしまい、後述する実験例で示されているように、アルデヒドが生成し、この結果、臭いも発生してしまう。
従って、この低温処理室Bでは、過熱水蒸気による洗浄を行うため、出口側での温度は、過熱水蒸気の凝縮が生じないように少なくとも100℃以上の温度に維持しておくことが必要なる。また、出口側での温度が過度に高いと、高温処理室Aで洗浄されたプラスチック7の温度低下が不十分となり、過熱水蒸気処理されたプラスチック7が、高温で大気と接触することとなり、プラスチック7の劣化を生じ、アルデヒドの発生量が多くなり、また臭いもきついものとなってしまう。
【0045】
尚、本発明においては、高温処理室Aと低温処理室Bとが隔壁などで区画されておらず、互いに連通している。このため、2つの室A,Bを厳密に区別することはできないが、基本的には、高温処理室Aから低温処理室Bにかけての温度勾配を、予めのラボ試験などにより、処理室A,B内を貫走している搬送ベルト5の上面もしくはその近傍の温度を熱電対などで測定することにより、高温の過熱水蒸気での処理が行われる高温処理室Aでの雰囲気温度(若しくは温度勾配)と、及び低温の過熱水蒸気での処理が行われる低温処理室Bでの雰囲気温度(若しくは温度勾配)を確認することができる。
【0046】
また、本発明では、プラスチック表面に付着した汚染物質や内部に収着した汚染物質を効果的に洗浄除去するために、高温処理室Aでの滞留時間を長く、低温処理室B内での滞留時間を短くすることが好適である。低温処理室Bは、汚染物質を除去するというよりは、プラスチック7の劣化抑制を主目的とする領域であり、滞留時間を長く設定する必要はなく、一定温度まで低下する滞留時間が確保できればよい。例えば、高温の過熱水蒸気を供給するための蒸気供給管9aの位置を、中心よりも出口側に位置させることにより、高温処理室Aでの滞留時間を長く設定することができる。また、複数の高温処理室(高温処理領域)を連続して設けて、それぞれの高温処理室に専用の蒸気供給管(さらには蒸気排出管)を設けることにより、高温処理室Aでの滞留時間を長く設定することもできる。さらに、高温処理室Aおよび低温処理室Bにおいて、搬送装置をそれぞれ設置してこれらを連結させることにより、2つの室A,Bの滞留時間を任意に設定することもできる。また、厳密ではないが、高温処理室A及び低温処理室Bの温度勾配を前述した方法により測定し、温度が急激に低下する位置を高温処理室Aと低温処理室Bと境界ラインXとすることもできる。このようにして形成される境界ラインXに基づいて、高温処理室A内での滞留時間や低温処理室B内での連続搬送されるプラスチック7の滞留時間を設定することができる。このようにして設定される高温処理室A内での滞留時間(プラスチック7の通過時間)が、低温処理室Bでの滞留時間よりも長くなる構造とすることが、より短時間で効果的に洗浄を行う上で好適である。例えば、低温処理室Bでの滞留時間が、高温処理室A内での滞留時間の95~10%程度とすることが好適である。
【0047】
さらに、上述した高温処理室A及び低温処理室Bでの過熱水蒸気による処理は、全体を通して酸素濃度が5%以下に調整されており、より好ましくは3%以下、さらに1%以下に調整されていることが好ましい。このとき、過熱水蒸気が供給されている高温処理室Aおよび低温処理室Bへの過熱水蒸気の水供給量(kg/h)を適宜調整することによって、酸素濃度が低く維持された状態を得ることができる。
また、必要に応じて、これら室内の雰囲気を窒素ガス等の不活性ガスで置換し、不活性ガスを流しながら行われることも好ましい。これにより酸素濃度がより低い状態で過熱水蒸気処理が行われ、プラスチック7の劣化をより確実に防止することができる。
【0048】
上記のような洗浄によって不純物質(油脂等の油汚れに代表される有機系不純物)がより短時間で除去されたプラスチックは、劣化が抑制され、臭いの発生も抑制されていることから、例えば、押出機等を用いて単独で、もしくはバージンのプラスチックと溶融混錬しての溶融押出によりペレタイズし、再生プラスチックとして再度の成形に供され、包装容器などとして再利用することができる。勿論、洗浄後のプラスチックを、そのままリサイクル品として再利用することもできる。
【0049】
このように、本発明では、大掛かりな排気設備や廃液処理設備を必要とせず、極めて短時間で且つ有機溶媒を用いた場合と同様に、汚染物質を使用済みプラスチックから取り除くことができ、プラスチックの再生利用のために非常に有用な技術である。
【実施例0050】
本発明を次の実験例によりさらに説明するが、本発明はこれらの例に制限されるものではない。
尚、以下の実験で用いる各種サンプル、測定および評価は以下の通りである。
【0051】
(1)洗浄対象のサンプル
洗浄対象のプラスチックとして、サンプルAを用いた。これは食用油充填後の高密度ポリエチレン製のボトルを粉砕したフレークである。前記サンプルについては未処理のまま、以下に示す実験例と同様に、アルデヒド類の測定を実施した。
また、参考として、油を充填してない高密度ポリエチレン製のボトルを粉砕したフレークであるサンプルA0について同様に測定を実施した。
【0052】
(2)アルデヒド類の測定
洗浄後のプラスチックに含まれるアルデヒド類は、以下に示す、固相マイクロ抽出による前処理を行い、ガスクロマトグラフィー質量分析法で測定した。
固相マイクロ抽出による前処理は、以下の様にして行った。
ヘッドスペースバイアル瓶にサンプル2gを封入し、吸着剤となるSPMEファイバー(Supelco社製 CAR/PDMS 85μm膜厚)を入れ、40℃下で15分間保管し、SPMEファイバーへ不純物質成分(アルデヒド類)を吸着させることにより、前処理を行った。
【0053】
このSPMEファイバーをガスクロマトグラフィー質量分析装置(Agilent Technology社製GC/MS GC-7890A、MSD-5975C)で、測定することにより、SPMEファイバーに吸着した成分を脱着させ、ガスクロマトグラフで分離した成分検出及び質量分析を行うことで、不純物質成分の定性及び定量を行った。
【0054】
測定条件は、以下のとおりである。
カラム:
Agilent Technology J&W製 DB-WAX
(60m×0.25mm、0.25μ膜厚)
キャリアガス:ヘリウム
検出器:MSD
イオン化法:EI
オーブン温度:45℃から7℃/分の速度で220℃まで昇温し15分ホールド
注入口温度:250℃
注入モード:スプリットレス
質量スペクトル範囲:27~600
【0055】
<実験例1>
洗浄対象のプラスチックとして、前述したサンプルAを用いた。
サンプルAを搬送装置1(搬送ベルト5)上に静置させ、220℃の過熱水蒸気下で満たされた高温処理室Aの中を、5分間かけて通過させることで処理した後に、150℃の過熱水蒸気下で満たされた低温処理室Bを2分間かけて通過させることで処理を行い、洗浄装置10内からサンプルAを取り出した。この場合、処理時間は7分間である。また、サンプル仕込み量10gに対し、過熱水蒸気の水供給量は20kg/hとした。得られたサンプルは、固相マイクロ抽出による前処理及びガスクロマトグラフィー質量分析法にてアルデヒド類の測定を実施した。
尚、高温処理室Aと低温処理室Bとの境界ラインXの位置は、搬送ベルト5上での温度分布を測定し、220℃から150℃に急激に低下している部分とした。
評価結果を表1に示す。
【0056】
<実験例2>
低温処理室B内の過熱水蒸気温度を100℃とした以外は実験例1と同様の処理および測定を実施した。評価結果を表1に示す。
尚、高温処理室Aと低温処理室Bとの境界ラインXは、実験例1とほぼ同じであった。
【0057】
<実験例3>
高温処理室A内の過熱水蒸気温度を200℃、低温処理室B内の過熱水蒸気温度を100℃とした以外は実験例1と同様の処理および測定を実施した。この例においても、高温処理室Aと低温処理室Bとの境界ラインXは、実験例1とほぼ同じであった。
評価結果を表1に示す。
【0058】
<実験例4>
低温処理室B内の過熱水蒸気温度を100℃とし且つ低温処理室B内を10分かけて通過させることで処理を行ったこと以外は実験例1と同様の処理および測定を実施した。評価結果を表1に示す。
【0059】
<実験例5>
低温処理室Bを用いることなく(洗浄装置10内全体を220℃の過熱水蒸気で充満させる)、洗浄装置10内から直ちにサンプルAを取り出した以外は実験例1と同様の処理および測定を実施した。即ち、洗浄装置10全体が高温処理装置Aとなっており、低温処理室Bが設けられていない。
評価結果を表1に示す。
【0060】
<実験例6>
洗浄装置10内全体を200℃の過熱水蒸気で充満させて5分間かけてサンプルAを通過させて直ちに取り出した以外は、実験例3と同様の処理および測定を実施した。この例も、洗浄装置10全体が高温処理装置Aとなっており、低温処理室Bが設けられていない。評価結果を表1に示す。
【0061】
<実験例7>
洗浄装置10内全体を150℃の過熱水蒸気で充満させ、サンプルAを7分間かけて通過させ取り出した以外は、実験例1と同様の処理および測定を実施した。即ち、洗浄装置10全体が高温処理装置Aとなっており、低温処理室Bが設けられていない。
評価結果を表1に示す。
【0062】
<実験例8>
洗浄装置10内全体を100℃の過熱水蒸気で充満させ、サンプルAを7分間かけて通過させ取り出した以外は、実験例7と同様の処理および測定を実施した。
即ち、この例も洗浄装置10全体が高温処理装置Aとなっており、低温処理室Bが設けられていない。
評価結果を表1に示す。
【0063】
<実験例9>(バッチ式)
サンプルAを240℃の過熱水蒸気下で満たされたバッチ式の反応炉の中に静置させ、5分間処理し、処理完了後に処理温度のまま反応炉を開けてサンプルAを取り出した。この場合、処理時間は5分間である。また、サンプル仕込み量10gに対し、過熱水蒸気の水供給量は20kg/hとした。得られたサンプルを、実験例1と同様にガスクロマトグラフィー質量分析法にてアルデヒド類の測定を実施した。
評価結果を表1に示す。
【0064】
<実験例10>(バッチ式)
サンプルAを240℃の過熱水蒸気下で満たされたバッチ式の反応炉の中に静置させ、5分間処理した後、過熱水蒸気雰囲気下で150℃まで降温させてから反応炉を開け取り出した以外は、実験例9と同様に測定を実施した。
評価結果を表1に示す。
このとき、150℃に降温させるために20分間を要し、トータルの処理時間は25分間であった。
尚、表1では、低温処理室Bを冷却室Bと記載した。
【0065】