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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177872
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】RC壁架構
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/20 20060101AFI20241217BHJP
   E04B 1/21 20060101ALI20241217BHJP
   E04B 1/58 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
E04B1/20 F
E04B1/21 A
E04B1/58 600E
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096255
(22)【出願日】2023-06-12
(71)【出願人】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】脇田 拓弥
(72)【発明者】
【氏名】河本 慎一郎
【テーマコード(参考)】
2E125
【Fターム(参考)】
2E125AA14
2E125AA54
2E125AB12
2E125AC02
2E125AE02
2E125AG03
2E125AG08
2E125AG28
2E125CA83
(57)【要約】
【課題】RC壁にRC梁を接合するに際し、RC梁の曲げ降伏ヒンジが形成される位置を、RC梁の端部から中央部側に移動させて、地震時におけるRC壁の損傷を抑制可能なRC壁架構を、コストを低減しつつ実現する。
【解決手段】RC壁架構1Aは、RC壁2と、RC壁2に接合されたRC梁3と、を備えるRC壁架構1Aであって、RC梁3は、RC梁3の長さ方向に延在するように、長さ方向の中央部側に配置された第1梁主筋31と、RC梁3の端部3s側に配置された第2梁主筋32を備え、第1梁主筋31と第2梁主筋32は、鉄筋継手部37で連結され、RC壁2は、当該RC壁2の内部に水平方向に配置される壁横筋23を備え、第2梁主筋32は、第1梁主筋31に比べて、太径鉄筋、または高強度鉄筋であり、RC壁2の内部に延伸して配置され、壁横筋23に対して、重ね継手部5またはあき重ね継手部を介して接合されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
RC壁と、当該RC壁に接合されたRC梁と、を備えるRC壁架構であって、
前記RC梁は、当該RC梁の長さ方向に延在するように、前記長さ方向の中央部側に配置された第1梁主筋と、前記RC梁の端部側に配置された第2梁主筋を備え、前記第1梁主筋と前記第2梁主筋は、鉄筋継手部で連結され、
前記RC壁は、当該RC壁の内部に水平方向に配置される壁横筋を備え、
前記第2梁主筋は、前記第1梁主筋に比べて、太径鉄筋、または高強度鉄筋であり、前記RC壁の内部に延伸して配置され、前記壁横筋に対して、重ね継手部またはあき重ね継手部を介して接合されていることを特徴とするRC壁架構。
【請求項2】
前記第1梁主筋と前記第2梁主筋は、前記RC梁の、上端部側と下端部側の各々に設けられ、
前記RC梁の端部では、上端部側の前記第2梁主筋と下端部側の前記第2梁主筋との間に第3梁主筋が配置されており、
前記第3梁主筋は、前記RC壁の内部に延伸して配置され、前記壁横筋に対して、重ね継手部またはあき重ね継手部を介して接合されていることを特徴とする請求項1に記載のRC壁架構。
【請求項3】
前記第3梁主筋は、上下方向に複数段に設けられ、
前記RC梁の端部に、
上端部側の前記第2梁主筋と、下端部側の前記第2梁主筋、及び各段の前記第3梁主筋とを囲んで設けられる閉鎖型のせん断補強筋と、
上端部側の前記第2梁主筋と最上段の前記第3梁主筋を囲んで設けられる閉鎖型の上部拘束筋と、
下端部側の前記第2梁主筋と最下段の前記第3梁主筋を囲んで設けられる閉鎖型の下部拘束筋と、を備え、
前記第2梁主筋と前記第3梁主筋は、前記せん断補強筋と、前記上部拘束筋、または前記下部拘束筋によって、2重に囲まれていることを特徴とする請求項2に記載のRC壁架構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RC壁と当該RC壁に接合されるRC梁とを備えるRC壁架構に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄筋コンクリート造の柱梁架構の構造設計では、RC(鉄筋コンクリート)梁の曲げ降伏ヒンジが、RC梁とRC柱との接合部、より具体的には、RC梁の端部とRC柱との境界面に形成されるように設計されるのが一般である。しかし、この場合においては、地震が生じた際に、設計時における計算上のRC梁の曲げ耐力が発揮されず、柱梁接合部内に埋設されたRC梁の主筋とRC柱の主筋の双方が柱梁接合部内で降伏することで、柱梁接合部が先行して破壊されることがある。
このような柱梁接合部の先行破壊を抑制するために、RC梁において、柱梁接合部側、すなわち梁の長さ方向において梁の端部側に位置する梁主筋の強度を、梁の中央部側に位置する梁主筋の強度よりも高くすることによって、曲げ降伏ヒンジが形成される位置を、RC梁の端部とRC柱との境界面から中央部側に移動させる、いわゆるヒンジリロケーションが行われることがある。
【0003】
例えば、特許文献1には、柱と接合される梁用の主筋が、普通強度部分と、普通強度部分よりも強度が大きい高強度部分とを有した構成が開示されている。この構成において、高強度部分は、柱梁接合部から梁長さ方向に沿った領域に配置され、普通強度部分は、高強度部分を挟んで柱梁接合部と反対側に配置されている。柱梁接合部から梁長さ方向に沿った領域の高強度部分は、普通強度部分と同じ強度の普通鉄筋を部分焼入れすることで形成されている。
また、特許文献2には、鉄筋コンリート造柱・梁接合部において、梁主筋の柱との交差部から梁端部を高強度鉄筋とし、梁中間部の普通鉄筋と機械的継手にて連結することにより、梁主筋の降伏域を梁中間側へ移行させる構成が開示されている。
更に、特許文献3には、鉄筋コンクリート造の梁における鉄筋の配筋において、追加鉄筋を梁の中央位置を挟んで左右両側にそれぞれ別に配筋する構成が開示されている。
【0004】
上記のような、鉄筋コンクリート造の柱梁架構における、RC梁のヒンジリロケーションは、RC梁の接合対象がRC壁である場合においても有効である。例えば、同一平面内に位置するように離間して並べられた2つのRC壁の間に、RC梁が架設されるような場合においては、RC梁の中央部側の主筋を、より径が太く高強度な端部主筋に、機械式継手によって接合し、端部主筋をRC梁の端部からRC壁の内側へと突出させて、RC壁内に埋設させることにより、RC壁に接合されたRC梁のヒンジリロケーションが実現され得る。このような構造によってRC壁にRC梁を接合する場合においては、端部主筋のRC壁内への埋設長を十分に長くし、あるいは端部主筋にプレートナットやアンカーを設けることで、端部主筋がRC壁に十分に定着されるようにする必要がある。このため、RC壁にRC梁を接合するのに要するコストの上昇を招いてしまう。
RC壁にRC梁を接合するに際し、RC梁の曲げ降伏ヒンジが形成される位置を、RC梁の端部から中央部側に移動させて、地震時におけるRC壁の損傷を抑制可能なRC壁架構を、コストを低減しつつ実現することが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-69926号公報
【特許文献2】特開平1-244040号公報
【特許文献3】特開2018-145595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、RC壁とRC梁が接合されるRC壁架構において、RC梁の曲げ降伏ヒンジの位置をRC梁の梁端部から中央部側に移動させることで、地震発生時にRC梁の材端部やRC梁と接合されるRC壁の損傷を抑制可能な、耐震性能に優れたRC壁架構を、コストを低減しつつ実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明のRC壁架構は、RC壁と、当該RC壁に接合されたRC梁と、を備えるRC壁架構であって、前記RC梁は、当該RC梁の長さ方向に延在するように、前記長さ方向の中央部側に配置された第1梁主筋と、前記RC梁の端部側に配置された第2梁主筋を備え、前記第1梁主筋と前記第2梁主筋は、鉄筋継手部で連結され、前記RC壁は、当該RC壁の内部に水平方向に配置される壁横筋を備え、前記第2梁主筋は、前記第1梁主筋に比べて、太径鉄筋、または高強度鉄筋であり、前記RC壁の内部に延伸して配置され、前記壁横筋に対して、重ね継手部またはあき重ね継手部を介して接合されていることを特徴とする。
上記のような構成によれば、RC梁の長さ方向において中央部側に設けられた第1梁主筋は、鉄筋継手部によって、第1梁主筋に比べて、太径鉄筋、または高強度鉄筋による第2梁主筋が連結されている。第2梁主筋は、前記RC壁の内部に延伸して配置され、壁横筋に対して、重ね継手部またはあき重ね継手部を介して接合されている。このため、RC梁を構成する第1梁主筋及び第2梁主筋に作用する応力は、RC壁の内部において、第2梁主筋と壁横筋が重ね継手部またはあき重ね継手部で接合されていることで、RC壁に伝達される。
ここで、第2梁主筋は、第1梁主筋に比べて、太径鉄筋、または高強度鉄筋である。このため、地震が生じた際には、RC梁に発生する曲げ降伏ヒンジは、RC梁とRC壁が接合される、第2梁主筋が設けられたRC梁の端部側ではなく、第2梁主筋よりも細径鉄筋、あるいは強度が低い第1梁主筋が設けられた、RC梁の中央部側に形成される。このようにして、RC梁に発生する曲げ降伏ヒンジの位置を、RC梁の端部側から中央部側に移行させることで、地震発生時には、曲げ降伏ヒンジから進展するひび割れの発生を防止して、RC梁の材端部、またはRC梁と接合されるRC壁の損傷を抑制でき、耐震性能を高めることができる。
特に、上記のように、第2梁主筋が、RC壁の壁横筋に、重ね継手部またはあき重ね継手部を介して接合されている。これにより、第2梁主筋のRC壁への定着性能が高められるため、第2梁主筋の、RC壁内部への埋設長を低減することができる。更には、第2梁主筋に、プレートナットやアンカー等の定着具を設ける必要性も低減する。これにより、RC壁架構を構築するのに要するコストを低減することができる。
このようにして、RC壁とRC梁が接合されるRC壁架構にあっては、RC梁の曲げ降伏ヒンジの位置をRC梁の梁端部から中央部側に移動させることで、地震発生時にRC梁の材端部やRC梁と接合されるRC壁の損傷を抑制可能なRC壁架構を、コストを低減しつつ実現することができる。
【0008】
本発明の一態様においては、本発明のRC壁架構では、前記第1梁主筋と前記第2梁主筋は、前記RC梁の、上端部側と下端部側の各々に設けられ、前記RC梁の端部では、上端部側の前記第2梁主筋と下端部側の前記第2梁主筋との間に第3梁主筋が配置されており、前記第3梁主筋は、前記RC壁の内部に延伸して配置され、前記壁横筋に対して、重ね継手部またはあき重ね継手部を介して接合されている。
このような構成によれば、RC梁の端部では、上端部側の第2梁主筋と下端部側の第2梁主筋との間に第3梁主筋が設けられている。これにより、RC梁の端部側の梁主筋の本数が、RC梁の中央部側の梁主筋の本数よりも多くなる。したがって、RC梁の曲げ降伏ヒンジが形成される位置を、RC梁の端部から中央部側に、より効率的に移動させ、地震発生時におけるRC壁の損傷を抑制することができる。
また、RC壁内では、第3梁主筋と壁横筋とが、重ね継手部またはあき重ね継ぎ手部を介して接合されている。これにより、第3梁主筋のRC壁への定着性能が高められるため、第3梁主筋の、RC壁内部への埋設長を低減することができる。更には、第3梁主筋に、プレートナットやアンカー等の定着具を設ける必要性も低減する。これにより、RC梁の梁主筋量が梁中央部に比べて、梁端部側が多くなることで、地震発生時におけるRC梁の梁端部、またはRC壁の損傷を抑制でき、耐震性能を高めることができる。また、第3梁主筋を設けることによるコストの増加を抑制することができる。
【0009】
本発明の一態様においては、前記第3梁主筋は、上下方向に複数段に設けられ、前記RC梁の端部に、上端部側の前記第2梁主筋と、下端部側の前記第2梁主筋、及び各段の前記第3梁主筋とを囲んで設けられる閉鎖型のせん断補強筋と、上端部側の前記第2梁主筋と最上段の前記第3梁主筋を囲んで設けられる閉鎖型の上部拘束筋と、下端部側の前記第2梁主筋と最下段の前記第3梁主筋を囲んで設けられる閉鎖型の下部拘束筋と、を備え、前記第2梁主筋と前記第3梁主筋は、前記せん断補強筋と、前記上部拘束筋、または前記下部拘束筋によって、2重に囲まれている。
このような構成によれば、RC梁の端部側に配置された第2梁主筋と第3梁主筋は、これら第2梁主筋と第3梁主筋を囲む閉鎖型の上部拘束筋と、下部拘束筋と、せん断補強筋によって、2重に囲まれている。これにより、RC梁の端部側の梁断面を形成するコンクリート部分が拘束される。よって、コンクリートの圧縮破壊に対する強度が増大し、地震時におけるRC壁の損傷を抑制できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、RC壁とRC梁が接合されるRC壁架構において、RC梁の曲げ降伏ヒンジの位置をRC梁の梁端部から中央部側に移動させることで、地震発生時にRC梁の材端部やRC梁と接合されるRC壁の損傷を抑制可能なRC壁架構を、コストを低減しつつ実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係るRC壁架構の構成を示す断面図である。
図2】上記実施形態のRC壁架構におけるRC壁とRC梁の端部との接合構造を示す縦断面図である。
図3図2に示したRC壁架構の施工手順を示す図である。
図4】上記実施形態の第1変形例に係るRC壁架構におけるRC壁とRC梁の端部との接合構造を示す縦断面図である。
図5図4に示したRC壁架構の施工手順を示す図である。
図6】上記実施形態の第2変形例に係るRC壁架構におけるRC壁とRC梁の端部との接合構造を示す縦断面図である。
図7図6のI-I部分の断面図である。
図8図6のII-II部分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、RC壁とRC梁が接合されるRC壁架構において、RC梁の梁端部側の第2梁主筋をRC壁の内部側に延長させ、第2梁主筋とRC壁の壁横筋が重ね継手部またはあき重ね継手部で接合される。
以下、添付図面を参照して、本発明によるRC壁架構を実施するための形態について、図面に基づいて説明する。
本発明の実施形態に係るRC壁架構の構成を示す断面図を図1に示す。
図1に示されるように、RC壁架構1Aは、RC壁2と、RC壁2に接合されたRC梁3と、を備えている。RC壁架構1Aは、例えば、建築構造物に設けられる連層耐震壁を構成する。なお、RC壁架構1Aは、RC壁2と、RC壁2に接合されたRC梁3と、を備えるのであれば、その用途、建築構造物における適用部位をなんら問うものではない。
RC壁2は、水平方向に交差する面(図1の紙面に沿った面)に沿って形成されている。RC壁2は、その表面に沿った水平方向(図1の左右方向)、すなわち幅方向に間隔をあけて複数配置されている。本実施形態において、RC壁2は、同一平面内に、水平方向に間隔をあけて、例えば3つ設けられている。RC壁2の数は、3つに限らず、2つ、あるいは4つ以上であってもよい。
【0013】
図2は、本実施形態のRC壁架構におけるRC壁とRC梁の端部との接合構造を示す縦断面図である。
図2に示されるように、各RC壁2は、所定形状に形成されたコンクリート部21と、コンクリート部21内に埋設された壁縦筋22、及び壁横筋23と、を備えている。
壁縦筋22は、RC壁2の幅方向(図1の紙面左右方向)に間隔をあけて複数設けられている。また、壁縦筋22は、RC壁2の表面に交差するRC壁2の厚み方向(図1の紙面に直交する方向)に間隔をあけて複数設けられていてもよい。各壁縦筋22は、上下方向に延びている。
壁横筋23は、RC壁2の表面に沿った上下方向に間隔をあけて複数設けられている。また、壁縦筋22は、RC壁2の厚み方向に間隔をあけて複数設けられていてもよい。各壁横筋23は、RC壁2の内部に水平方向に配置されている。各壁横筋23は、RC壁2の幅方向(後に説明するRC梁3の長さ方向)に延びている。
このようにして、RC壁2を、その厚み方向から見た場合、複数本の壁縦筋22と複数本の壁横筋23とが、例えば格子状に配筋されている。
本実施形態において、RC壁2は、プレキャストコンクリート造である。すなわち、RC壁2においては、予め所定形状に形成されたコンクリート部21に、壁縦筋22、及び壁横筋23が埋設されている。
【0014】
RC梁3は、長さ方向における端部3sが、RC壁2に接合されている。本実施形態において、RC梁3は、隣り合うRC壁2同士の間に架設されている。RC梁3は、その長さ方向両側の端部3sが、それぞれRC壁2に接合されている。RC梁3は、第1梁主筋31と、第2梁主筋32と、せん断補強筋34と、梁コンクリート部35と、を備えている。
第1梁主筋31と第2梁主筋32は、RC梁3の、上端部3t側と下端部3b側の各々に設けられている。第1梁主筋31と第2梁主筋32は、上端部3t側と下端部3b側の各々において、RC梁3の梁幅方向(図2における紙面奥行方向)の両端部の各々に設けられている。
第1梁主筋31は、RC梁3の、長さ方向の中央部3c(図1参照)側に配置されている。第1梁主筋31は、RC梁3の長さ方向に延在している。第1梁主筋31は、RC梁3の中央部3cから、長さ方向両側の端部3s側へと延伸するように設けられている。
【0015】
第2梁主筋32は、RC梁3の長さ方向両側の端部3s側に配置されている。第2梁主筋32は、第1梁主筋31に比べて、太径鉄筋、または高強度鉄筋である。第2梁主筋32は、RC梁3の端部3sから、RC壁2のコンクリート部21の内側へと突出し、RC壁2の内部に延伸して配置されている。言い換えると、第2梁主筋32の長さ方向の一部は、RC梁3の梁コンクリート部35に埋設され、第2梁主筋32の長さ方向の残部は、RC壁2のコンクリート部21に埋設されている。
RC壁2は、プレキャストコンクリートとして製造された時点においては、RC梁3の第2梁主筋32の、RC壁2側の一部が、コンクリート部21に埋設され、RC梁3側の残部が、コンクリート部21から外方へ突出した状態となっている。
【0016】
第1梁主筋31の端部31sと、第2梁主筋32の、梁コンクリート部35内に位置する一方の端部32sとは、鉄筋継手部37により接合されている。鉄筋継手部37は、例えば、第2梁主筋32の径に適合した寸法を有する筒状のモルタル充填式継手である。この鉄筋継手部37は、一方の側から第1梁主筋31の端部31sを挿入し、他方の側から第2梁主筋32の端部32sを挿入し、その内部にモルタル(図示無し)を充填することで、第1梁主筋31と第2梁主筋32とを接合する。
第2梁主筋32の、梁コンクリート部35内に位置する一方の端部32sとは反対側の、他方の端部32tは、RC壁2内で、壁横筋23に、重ね継手部5またはあき重ね継手部を介して接合されている。本実施形態では、重ね継手部5において、第2梁主筋32の他方の端部32tと、壁横筋23とが、その長さ方向の一部で重なるように、並べて配筋され、番線等により、一体に結束されている。あき重ね継手部を介して接合する場合においては、第2梁主筋32と壁横筋23は、必ずしも番線等で結束させておく必要はない。この場合には、第2梁主筋32と壁横筋23との重ね継手の長さ(L)に基づき、第2梁主筋32と壁横筋23の距離が鉛直方向に0.2×L以下、かつ150mm以下となる位置に、第2梁主筋32と壁横筋23が配置されていればよい。
第2梁主筋32の他方の端部32tと、壁横筋23とを、あき重ね継手部を介して接合する場合には、第2梁主筋32の他方の端部32tと、壁横筋23とを、その長さ方向の一部で重なり、かつ長さ方向に交差する方向に所定の間隔をあけるようにして配置する。
【0017】
せん断補強筋34は、RC梁3の長さ方向に間隔をあけて複数設けられている。各せん断補強筋34は、RC梁3の中央部3c側においては、上端部3t側と下端部3b側に設けられた第1梁主筋31を囲むように設けられている。また、各せん断補強筋34は、RC梁3の端部3s側においては、上端部3t側と下端部3b側に設けられた第2梁主筋32を囲むように設けられている。
梁コンクリート部35は、RC梁3の長さ方向の全体で、第1梁主筋31、第2梁主筋32、及びせん断補強筋34を覆い、埋設するように設けられている。
本実施形態において、梁コンクリート部35は、RC梁3の長さ方向の中央部3c側に形成されたプレキャストコンクリート部35pと、RC梁3の長さ方向の両端部3sに形成された現場打ちコンクリート部35cと、を有している。
つまり、本実施形態において、RC梁3は、RC梁3の長さ方向の中央部の一部に、プレキャストコンクリート梁3Pを有している。プレキャストコンクリート梁3Pは、プレキャストコンクリート部35pを備えている。第1梁主筋31は、その長さ方向の中央部がプレキャストコンクリート部35pに埋設され、長さ方向の端部31sが、プレキャストコンクリート部35pから長さ方向の両側に突出している。
現場打ちコンクリート部35cは、RC壁2のコンクリート部21と、プレキャストコンクリート部35pとの間に設けられている。第1梁主筋31の端部31sと、第2梁主筋32の一方の端部32sと、これらを接合する鉄筋継手部37は、現場打ちコンクリート部35cに埋設されている。
【0018】
図3は、図2に示したRC壁架構の施工手順を示す図である。
このようなRC壁架構1Aを構築するには、予め、壁縦筋22、壁横筋23、及び第2梁主筋32の、RC壁2側の端部32tがコンクリート部21に埋設された、プレキャストコンクリート造のRC壁2と、第1梁主筋31がプレキャストコンクリート部35pに埋設されたプレキャストコンクリート梁3Pとを、予め製作しておく。ここで、第2梁主筋32の端部32sは、RC壁2のコンクリート部21から突出している。また、第1梁主筋31の両端部31sは、プレキャストコンクリート梁3Pから突出している。
次いで、図3に示されるように、このようなRC壁2と、プレキャストコンクリート梁3Pとを、所定の寸法をあけて配置する。続いて、RC壁2と、プレキャストコンクリート梁3Pとの間で、第1梁主筋31の端部31sと、第2梁主筋32の一方の端部32sとを、鉄筋継手部37で接合する。
その後、図2に示されるように、第1梁主筋31の端部31sと、第2梁主筋32の一方の端部32sと、これらを接合する鉄筋継手部37の周囲に、型枠(図示無し)を組み、この型枠内にコンクリートを打設する。打設されたコンクリートが硬化することで、RC壁2と、プレキャストコンクリート梁3Pとの間に現場打ちコンクリート部35cが形成される。このようにして、RC梁3が施工されて、RC壁架構1Aが構築される。
【0019】
このようなRC壁架構1Aにおいては、RC梁3における地震時のモーメント分布図は、図2中に示すようなものとなる。
第1梁主筋31で計算される曲げ終局強度をM1とし、第2梁主筋32で計算される曲げ終局強度をM2とする。また、RC壁2の側面の位置をpとし、鉄筋継手部37の梁中央部側の端面の位置をqとする。
地震が発生し、RC梁3に大きな曲げモーメントが作用した場合において、位置pにおける曲げモーメントが、第2梁主筋32で計算される曲げ終局強度M2に到達しようとしても、その前の段階で、位置qにおける曲げモーメントが、第1梁主筋31で計算される曲げ終局強度M1に到達する。このため、位置pにおける曲げモーメントは、曲げ終局強度M2よりも小さい値M21に抑えられる。したがって、RC梁3は、位置pでは降伏せず、位置qで降伏し、この位置qが曲げ降伏ヒンジの発生位置となる。
【0020】
上述したようなRC壁架構1Aによれば、RC壁2と、当該RC壁2に接合されたRC梁3と、を備えるRC壁架構1Aであって、RC梁3は、当該RC梁3の長さ方向に延在するように、長さ方向の中央部3c側に配置された第1梁主筋31と、RC梁3の端部3s側に配置された第2梁主筋32を備え、第1梁主筋31と第2梁主筋32は、鉄筋継手部37で連結され、RC壁2は、当該RC壁2の内部に水平方向に配置される壁横筋23を備え、第2梁主筋32は、第1梁主筋31に比べて、太径鉄筋、または高強度鉄筋であり、RC壁2の内部に延伸して配置され、壁横筋23に対して、重ね継手部5またはあき重ね継手部を介して接合されている。
上記のような構成によれば、RC梁3の長さ方向において中央部3c側に設けられた第1梁主筋31は、鉄筋継手部37によって、端部3s側に配置された第2梁主筋32に連結されている。第2梁主筋32は、RC壁2の内部に延伸して配置され、RC壁2の壁横筋23に対して、重ね継手部5またはあき重ね継手部を介して接合されている。このため、RC壁2を構成する第1梁主筋31及び第2梁主筋32に作用する応力は、RC壁2の内部において、第2梁主筋32と壁横筋23が重ね継手部5またはあき重ね継手部で接合されていることで、RC壁2に伝達される。
ここで、第2梁主筋32は、第1梁主筋31に比べて、太径鉄筋、または高強度鉄筋である。このため、地震が生じた際には、RC梁3に発生する曲げ降伏ヒンジは、RC梁3とRC壁2が接合される、第2梁主筋32が設けられたRC梁3の端部3s側ではなく、第2梁主筋32よりも径が細く、あるいは強度が低い第1梁主筋31が設けられた、RC梁3のより中央部3c側に形成される。このようにして、RC梁3に発生する曲げ降伏ヒンジの位置を、RC梁3の端部3s側から中央部3c側に移行させることで、地震発生時には、曲げ降伏ヒンジから進展するひび割れの発生を防止して、RC梁3の材端部、またはRC梁3と接合されるRC壁2の損傷を抑制でき、耐震性能を高めることができる。
特に、上記のように、第2梁主筋32が、RC壁2の壁横筋23に、重ね継手部5またはあき重ね継手部を介して接合されている。これにより、第2梁主筋32のRC壁2への定着性能が高められるため、第2梁主筋32の、RC壁2内部への埋設長を低減することができる。更には、第2梁主筋32に、プレートナットやアンカー等の定着具を設ける必要性も低減する。これにより、RC壁架構1Aを構築するのに要するコストを低減することができる。
このようにして、RC壁2とRC梁3が接合されるRC壁架構1Aにあっては、RC梁3の曲げ降伏ヒンジの位置をRC梁3の端部3sから中央部3c側に移動させることで、地震発生時にRC梁3の材端部やRC梁3と接合されるRC壁2の損傷を抑制可能なRC壁架構1Aを、コストを低減しつつ実現することができる。
【0021】
(実施形態の第1変形例)
なお、本発明のRC壁架構は、図面を参照して説明した上述の実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
例えば、上記実施形態では、RC梁3の長さ方向の中央部の一部をプレキャストコンクリート梁3Pとし、その長さ方向の両側に現場打ちコンクリート部35cを配するようにしたがこれに限られない。
図4は、本変形例のRC壁架構におけるRC壁とRC梁の端部との接合構造を示す縦断面図である。
図4に示すRC壁架構1Bにおいては、RC梁3の長さ方向の全体を、プレキャストコンクリート梁3Qとしてもよい。すなわち、プレキャストコンクリート梁3Qは、第1梁主筋31と、第2梁主筋32の一部と、第1梁主筋31の端部31sと第2梁主筋32の一方の端部32sとを接合する鉄筋継手部37とが、予め所定形状に形成されたプレキャストコンクリート部35qに埋設されている。第2梁主筋32の他方の端部32tは、プレキャストコンクリート部35qから、RC梁3の長さ方向の両端部に突出している。
【0022】
図5は、図4に示したRC壁架構の施工手順を示す図である。
RC壁架構1Bを構成するには、RC壁2を形成する壁縦筋22、及び壁横筋23を配筋した後、プレキャストコンクリート梁3Qを吊り込み、プレキャストコンクリート部35qから突出した第2梁主筋32の他方の端部32tと、壁横筋23とを、重ね継手部5により接合する。その後、コンクリート部21を形成するコンクリートを現場打ちで打設することで、RC壁2を構築する。
【0023】
本変形例においても、上記実施形態と同様、RC壁2にRC梁3を接合するに際し、RC梁3の曲げ降伏ヒンジが形成される位置を、RC梁3の端部3sから中央部側に移動させて、地震時におけるRC壁2の損傷を抑制可能なRC壁架構1Bを、コストを低減しつつ実現することができる。
【0024】
(実施形態の第2変形例)
図6は、実施形態の第2変形例に係るRC壁架構におけるRC壁とRC梁の端部との接合構造を示す縦断面図である。図7は、図6のI-I部分の断面図である。図8は、図6のII-II部分の断面図である。
図6に示されるように、本変形例におけるRC壁架構1Cは、上記実施形態で示した構成に加えて、第3梁主筋33と、拘束筋39と、を備えている。
RC壁架構1Cは、上記実施形態と同様、第1梁主筋31と第2梁主筋32とを、RC梁3Cの、上端部3t側と下端部3b側の各々に備えている。また、せん断補強筋34が、RC梁3Cの長さ方向に間隔をあけて複数設けられている。図7に示されるように、第1梁主筋31が設けられている部分では、各せん断補強筋34は、上端部3t側と下端部3b側に設けられた第1梁主筋31を囲み、閉鎖型となるように設けられている。また、図8に示すように、RC梁3Cの両端部3sにおいては、各せん断補強筋34は、上端部3t側と下端部3b側に設けられた第2梁主筋32aと下端部3b側に設けられた第2梁主筋32b、及び次に説明する各段の第3梁主筋33を囲み、閉鎖型となるように設けられている。
【0025】
第3梁主筋33は、RC梁3Cの両端部3sにおいて、せん断補強筋34の内側に設けられている。第3梁主筋33は、上端部3t側の第2梁主筋32aと下端部3b側の第2梁主筋32bとの間に配置されている。第3梁主筋33は、上下方向に複数段に設けられている。本実施形態においては、第3梁主筋33は、上下方向に2段に設けられている。最上段の、すなわち上側の第3梁主筋33aは、RC梁3Cの上端部3t側において、上端部3t側の第2梁主筋32aに対して、下方に間隔をあけて配置されている。また、最下段の、すなわち下側の第3梁主筋33bは、RC梁3Cの下端部3b側において、下端部3b側の第2梁主筋32bに対して、上方に間隔をあけて配置されている。
各第3梁主筋33は、RC梁3Cの長さ方向に延在して設けられている。第3梁主筋33は、RC梁3Cの端部3s側のみに配筋されたカットオフ筋であり、第2梁主筋32に対し、その延在方向の長さが同一とされている。第3梁主筋33は、上下方向から見た際に、第2梁主筋32と重なる位置に設けられている。
第3梁主筋33は、RC梁3Cの端部3sから、RC壁2のコンクリート部21の内側へと突出し、RC壁2の内部に延伸して配置されている。言い換えると、第3梁主筋33の長さ方向の一部は、RC梁3Cの梁コンクリート部35に埋設され、第3梁主筋33の長さ方向の残部は、RC壁2のコンクリート部21に埋設されている。
【0026】
第3梁主筋33の、RC壁2のコンクリート部21に埋設された側の端部33tは、RC壁2内で、第3梁主筋33に対応して位置する壁横筋23に、重ね継手部5またはあき重ね継手部を介して接合されている。本変形例では、重ね継手部5において、第3梁主筋33のRC壁2側の端部33tと、壁横筋23とが、その長さ方向の一部で重なるように、並べて配筋され、番線等により、一体に結束されている。
ここで、本変形例においては、RC壁2内で、第2梁主筋32の端部32t、及び第3梁主筋33の端部33tの双方が、重ね継手部5により、各々に対応する壁横筋23に接合されているが、第2梁主筋32の端部32t、及び第3梁主筋33の端部33tの一方のみが、重ね継手部5により壁横筋23に接合され、他方があき重ね継ぎ手部により壁横筋23に接合されていてもよい。あるいは、第2梁主筋32の端部32t、及び第3梁主筋33の端部33tの双方が、あき重ね継ぎ手部により壁横筋23に接合されていてもよい。
【0027】
拘束筋39は、RC梁3Cの端部3sにおいて、上端部3t側と下端部3b側の各々において、第2梁主筋32と第3梁主筋33を囲むように設けられた、閉鎖型の鉄筋である。拘束筋39は、RC梁3Cの端部3sにおいて、第2梁主筋32、及び第3梁主筋33が設けられた範囲で、長さ方向に間隔をあけて複数設けられている。RC梁3Cの長さ方向における拘束筋39の位置は、せん断補強筋34と同じ位置であってもよいし、せん断補強筋34とは長さ方向にずれていてもよい。また、RC梁3Cの長さ方向における拘束筋39の間隔は、せん断補強筋34の間隔と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
拘束筋39は、上部拘束筋39aと、下部拘束筋39bを備えている。上部拘束筋39aは、上端部3t側の第2梁主筋32aと、最上段の第3梁主筋33aと、を囲んで設けられている。下部拘束筋39bは、下端部3b側の第2梁主筋32bと、最下段の第3梁主筋33bと、を囲んで設けられている。
このようにして、第2梁主筋32と第3梁主筋33は、せん断補強筋34と、上部拘束筋39a、下部拘束筋39bにより、2重に囲まれている。
【0028】
上述したようなRC壁架構1Cによれば、上記実施形態と同様、RC壁2にRC梁3Cを接合するに際し、RC梁3Cの曲げ降伏ヒンジが形成される位置を、RC梁3Cの端部3sから中央部3c側に移動させて、地震時におけるRC壁2の損傷を抑制可能なRC壁架構1Cを、コストを低減しつつ実現することができる。
【0029】
また、第1梁主筋31と第2梁主筋32は、RC梁3Cの、上端部3t側と下端部3b側の各々に設けられ、RC梁3Cの端部では、上端部3t側の第2梁主筋32aと下端部3b側の第2梁主筋32bとの間に第3梁主筋33が配置されており、第3梁主筋33は、RC壁2の内部に延伸して配置され、壁横筋23に対して、重ね継手部5またはあき重ね継ぎ手部を介して接合されている。
このような構成によれば、RC梁3Cの端部では、上端部3t側の第2梁主筋32aと下端部3b側の第2梁主筋32bとの間に第3梁主筋33が設けられている。これにより、RC梁3Cの端部3s側の梁主筋(第2梁主筋32、及び第3梁主筋33)の本数が、RC梁3Cの中央部3c側の梁主筋(第1梁主筋31)の本数よりも多くなる。したがって、RC梁3Cの曲げ降伏ヒンジが形成される位置を、RC梁3Cの端部3sから中央部3c側に、より効率的に移動させ、地震発生時におけるRC壁2の損傷を抑制することができる。
また、RC壁2内では、第3梁主筋33と壁横筋23とが、重ね継手部5またはあき重ね継ぎ手部を介して接合されている。これにより、第3梁主筋33のRC壁2への定着性能が高められるため、第3梁主筋33の、RC壁2内部への埋設長を低減することができる。更には、第3梁主筋33に、プレートナットやアンカー等の定着具を設ける必要性も低減する。これにより、RC梁3Cの梁主筋量が梁中央部に比べて、梁端部側が多くなることで、地震発生時におけるRC梁3Cの梁端部、またはRC壁2の損傷を抑制でき、耐震性能を高めることができる。また、第3梁主筋33を設けることによるコストの増加を抑制することができる。
【0030】
また、第3梁主筋33は、上下方向に複数段に設けられ、RC梁3Cの端部3sに、上端部3t側の第2梁主筋32aと、下端部3b側の第2梁主筋32b、及び各段の第3梁主筋33とを囲んで設けられる閉鎖型のせん断補強筋34と、上端部3t側の第2梁主筋32aと最上段の第3梁主筋33aを囲んで設けられる閉鎖型の上部拘束筋39aと、下端部3b側の第2梁主筋32bと最下段の第3梁主筋33bを囲んで設けられる閉鎖型の下部拘束筋39bと、を備え、第2梁主筋32と第3梁主筋33は、せん断補強筋34と、上部拘束筋39a、または下部拘束筋39bによって、2重に囲まれている。
このような構成によれば、RC梁3Cの端部3s側に配置された第2梁主筋32と第3梁主筋33は、これら第2梁主筋32と第3梁主筋33を囲む閉鎖型の上部拘束筋39a、下部拘束筋39bと、せん断補強筋34によって、2重に囲まれている。これにより、RC梁3Cの端部3s側の梁断面を形成するコンクリート部分が拘束される。よって、コンクリートの圧縮破壊に対する強度が増大し、地震時におけるRC壁2の損傷を抑制できる。
【0031】
上記の第2変形例では、RC梁の梁端部においては、第2梁主筋32と第3梁主筋33は、せん断補強筋34と拘束筋39で囲まれているが、拘束筋39を備えず、第2梁主筋32と第3梁主筋33がせん断補強筋34のみで囲まれていてもよい。
あるいは、せん断補強筋34と、上部拘束筋39aのみを備えて、下部拘束筋39bを備えず、上端部3t側の第2梁主筋32aと最上段の第3梁主筋33aが上部拘束筋39aに囲われ、下端部3b側の第2梁主筋32bと最下段の第3梁主筋33bが下部拘束筋39bに囲われない構成としてもよい。
更には、せん断補強筋34と、下部拘束筋39bのみを備えて、上部拘束筋39aを備えず、上端部3t側の第2梁主筋32aと最上段の第3梁主筋33aが上部拘束筋39aに囲われず、下端部3b側の第2梁主筋32bと最下段の第3梁主筋33bが下部拘束筋39bに囲われた構成としてもよい。
【0032】
また、上記第2変形例においては、第3梁主筋33は、上下方向に2段に設けられていたが、1段のみに設けられてもよい。この場合において、1段の第3梁主筋33は、上部拘束筋39aのみに囲われても良いし、下部拘束筋39bのみに囲われても構わない。あるいは、1段の第3梁主筋33は、上部拘束筋39aと下部拘束筋39bの双方に、上下の双方から囲われても構わない。1段の第3梁主筋33は、上部拘束筋39aと下部拘束筋39bのいずれによっても囲われない構成としてもよい。
あるいは、第3梁主筋33は、3段以上に設けられていてもよい。最上段と最下段に位置しておらず、これらの間の、中間に位置している第3梁主筋33は、上部拘束筋39aのみに囲われても良いし、下部拘束筋39bのみに囲われても構わない。あるいは、中間に位置している第3梁主筋33は、上部拘束筋39aと下部拘束筋39bの双方に、上下の双方から囲われても構わない。中間に位置している第3梁主筋33は、上部拘束筋39aと下部拘束筋39bのいずれによっても囲われない構成としてもよい。
【0033】
上記以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0034】
1A~1C RC壁架構 32 第2梁主筋
2 RC壁 32a 上端部側の第2梁主筋
3、3C RC梁 32b 下端部側の第2梁主筋
3c 中央部 33 第3梁主筋
3s 端部 33a 最上段の第3梁主筋
3t 上端部 33b 最下段の第3梁主筋
3b 下端部 34 せん断補強筋
5 重ね継手部 37 鉄筋継手部
23 壁横筋 39a 上部拘束筋
31 第1梁主筋 39b 下部拘束筋
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8