(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177874
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】エアゾール容器及びエアゾール容器用レバー
(51)【国際特許分類】
B65D 83/20 20060101AFI20241217BHJP
B05B 9/04 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
B65D83/20 100
B05B9/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096257
(22)【出願日】2023-06-12
(71)【出願人】
【識別番号】000113274
【氏名又は名称】ホーユー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094190
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 清路
(74)【代理人】
【識別番号】100151127
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 勝雅
(72)【発明者】
【氏名】西村 俊宏
(72)【発明者】
【氏名】永井口 梨恵
(72)【発明者】
【氏名】大野 綾音
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 雄一
【テーマコード(参考)】
3E014
4F033
【Fターム(参考)】
3E014PA01
3E014PB05
3E014PD01
3E014PE14
3E014PF10
4F033RA01
4F033RC01
4F033RC08
4F033RC15
4F033RC21
4F033RC24
(57)【要約】
【課題】ステムの押下操作を軽い力で行うことができるエアゾール容器及びエアゾール容器用レバーを提供する。
【解決手段】エアゾール容器10は、ステム12が設けられた容器11と、ステム12を覆うように容器11と係合されたカバー13と、カバー13に回動自在に支持されてステム12を押下操作するプッシュ部14と、プッシュ部14と繋がっており、押下操作を助勢するレバー部20Aとを備え、レバー部20Aは、プッシュ部14から延設された杆部21と、杆部21の先端部に設けられた手押部22と、を有しており、エアゾール容器用レバー20は、レバー部20Aを備え、レバー部20Aの杆部21の一端部にプッシュ部14と着脱自在な係合部23が設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステムが設けられた容器と、
前記ステムを覆うように前記容器と係合されたカバーと、
前記カバーに回動自在に支持されて前記ステムを押下操作するプッシュ部と、
前記プッシュ部と繋がっており、前記押下操作を助勢するレバー部と、
を備え、
前記レバー部は、
前記プッシュ部から延設された杆部と、
前記杆部の先端部に設けられた手押部と、
を有している、ことを特徴とするエアゾール容器。
【請求項2】
前記杆部の基端部には、前記プッシュ部と着脱自在な係合部が設けられている、請求項1に記載のエアゾール容器。
【請求項3】
前記係合部は、前記プッシュ部に被着する構造を有している請求項2に記載のエアゾール容器。
【請求項4】
前記係合部は、前記プッシュ部に被着する際の弾性変形を可能とする切欠部を有している請求項3に記載のエアゾール容器。
【請求項5】
容器に設けられたステムと、前記ステムを押下操作するプッシュ部とを備えるエアゾール容器に用いられるエアゾール容器用レバーであって、
杆部を備え、
前記杆部の一端部には、前記プッシュ部と着脱自在な係合部が設けられ、
前記杆部の他端部には、手押部が設けられている、ことを特徴とするエアゾール容器用レバー。
【請求項6】
前記係合部は、前記プッシュ部に被着する構造を有している請求項5に記載のエアゾール容器用レバー。
【請求項7】
前記係合部は、前記プッシュ部に被着する際の弾性変形を可能とする切欠部を有している請求項6に記載のエアゾール容器用レバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアゾール容器及びエアゾール容器用レバーに関する。
【背景技術】
【0002】
通常、エアゾール容器は、液化ガスや圧縮ガスとともに内容物が充填された容器本体を備えており、容器本体に設けられたバルブのステムを押し下げることにより、バルブが開放され、内容物が外部へ噴射されるように構成されている。また、ステムの押下操作を行いやすくするため、エアゾール容器は、プッシュ部を備えており、そのプッシュ部は、ボタン形状等といった手指で押しやすい形状とされている。
特許文献1に記載された2剤吐出容器は、それぞれ異なる内容物が充填された第1及び第2エアゾール容器と、第1及び第2エアゾール容器のステムに係合する1つのノズルと、ノズルに当接してノズル及びステムを上方から押下可能なレバーと、を備えている。ノズルには、ステムを通して第1及び第2エアゾール容器から放出される内容物を混合して1つの吐出口から噴射する誘導路が形成されており、レバーを操作してノズル及びステムを押し下げることにより、2剤吐出容器は、第1及び第2エアゾール容器の各内容物を同時に噴射することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
エアゾール容器において、バルブのステムは、スプリング等によって付勢されており、内容物を噴射する際、スプリング等による付勢力に抗してステムを押し下げる必要があることから、その押下操作は、手指の力を要するものとなる。そして、手指が濡れて滑りやすくなっていたり、手指の力が弱かったりする場合、ステムを十分に押し下げることができず、また、2剤吐出容器のように複数のステムを押し下げる必要がある場合、押下操作にさらなる力を要し、押下操作が困難なものになってしまう。このため、エアゾール容器のステムの押下操作について、これを軽い力で行うことができるようにすることが求められている。
【0005】
本発明は、このような従来技術が有していた問題点を解決しようとするものであり、ステムの押下操作を軽い力で行うことができるエアゾール容器及びエアゾール容器用レバーを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
即ち、本発明には以下が含まれる。
[1]ステムが設けられた容器と、
前記ステムを覆うように前記容器と係合されたカバーと、
前記カバーに回動自在に支持されて前記ステムを押下操作するプッシュ部と、
前記プッシュ部と繋がっており、前記押下操作を助勢するレバー部と、
を備え、
前記レバー部は、
前記プッシュ部から延設された杆部と、
前記杆部の先端部に設けられた手押部と、
を有している、ことを特徴とするエアゾール容器。
[2]前記杆部の基端部には、前記プッシュ部と着脱自在な係合部が設けられている、[1]に記載のエアゾール容器。
[3]前記係合部は、前記プッシュ部に被着する構造を有している[2]に記載のエアゾール容器。
[4]前記係合部は、前記プッシュ部に被着する際の弾性変形を可能とする切欠部を有している[3]に記載のエアゾール容器。
[5]容器に設けられたステムと、前記ステムを押下操作するプッシュ部とを備えるエアゾール容器に用いられるエアゾール容器用レバーであって、
杆部を備え、
前記杆部の一端部には、前記プッシュ部と着脱自在な係合部が設けられ、
前記杆部の他端部には、手押部が設けられている、ことを特徴とするエアゾール容器用レバー。
[6]前記係合部は、前記プッシュ部に被着する構造を有している[5]に記載のエアゾール容器用レバー。
[7]前記係合部は、前記プッシュ部に被着する際の弾性変形を可能とする切欠部を有している[6]に記載のエアゾール容器用レバー。
【発明の効果】
【0007】
本発明のエアゾール容器は、プッシュ部と、そのプッシュ部に繋がったレバー部とで、テコ構造を構成することができ、テコ構造を利用することにより、プッシュ部によるステムの押下操作を軽い力で行うことができる。
また、本発明のエアゾール容器用レバーは、プッシュ部に対して着脱自在な係合部を有し、ステムを押下操作するプッシュ部を備えたエアゾール容器であれば、何れにも適用することができ、そのプッシュ部とともにテコ構造を構成することにより、プッシュ部によるステムの押下操作を軽い力で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明のエアゾール容器を示す斜視図である。
【
図2】本発明のエアゾール容器を示す分解斜視図である。
【
図3】本発明のエアゾール容器の一部を示す(a)は正面視における半断面図、(b)、(c)は側断面図である。
【
図4】本発明のエアゾール容器用レバーを示す(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は底面図である。
【
図5】本発明のエアゾール容器用レバーを示す(a)は右側面図、(b)は右側面視における断面図、(c)は左側面視における断面図である。
【
図6】(a)~(c)は、エアゾール容器用レバーのプッシュ部への取り付けを説明する断面図である。
【
図7】(a)、(b)は、エアゾール容器用レバーを用いた押下操作を説明する断面図である。
【
図8】本発明のエアゾール容器の別形態を示す(a)は斜視図、(b)は断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ここで示される事項は例示的なもの及び本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
また、以下の説明における方向については、エアゾール容器から内容物が噴射される方向を前方とし、その反対方向を後方とする。
【0010】
本発明のエアゾール容器10は、ステム12が設けられた容器11と、前記ステム12を覆うように前記容器11と係合されたカバー13と、前記カバー13に回動自在に支持されて前記ステム12を押下操作するプッシュ部14と、前記プッシュ部14と繋がっており、前記押下操作を助勢するレバー部20Aと、を備え、
前記レバー部20Aは、前記プッシュ部14から延設された杆部21と、前記杆部21の先端部に設けられた手押部22と、を有している、ことを特徴とする(
図1、
図2を参照)。
【0011】
エアゾール容器10において、容器11は、内容物が充填されたものであり、その内容物を外部へ放出するためのエアゾールバルブ(図示略)を備えている。容器11は、エアゾールバルブを開閉するためのステム12を有している。このステム12を操作してエアゾールバルブを開放することにより、内容物をステム12から放出することができる。
通常、エアゾール容器10において、容器11の内部は加圧された状態となっている。ステム12は、加圧された状態の容器11内部から内容物が漏れ出さないように、コイルスプリング等の付勢部材によって付勢された状態でエアゾールバルブを閉塞している。よって、内容物を放出するべくエアゾールバルブを開放する場合には、付勢部材による付勢力に抗するため、強い力を込めてステム12を操作する必要がある。
図2に示されるエアゾール容器10において、容器11は、その上端中央に、筒状のステム12が上方へ突出して設けられている。この容器11は、ステム12を押下操作することにより、そのステム12から内容物を外部へ放出することができる。
【0012】
容器11に充填される内容物は、特に限定されず、染毛剤、整髪剤、洗顔剤、化粧水等、あるいは、外用薬、塗料、消臭剤、洗剤、殺虫剤等を例示することができる。
内容物には、例えば、整髪剤、洗顔剤、消臭剤、殺虫剤等のように、1剤で所望の機能を奏する、1剤式のものが含まれる。また、内容物には、例えば、染毛剤、塗料等のように、2剤以上が混合されることで所望の機能を奏する、多剤式のものが含まれる。
内容物は、1剤式又は多剤式の何れかについて、特に限定されず、エアゾール容器10は、1剤式の内容物及び多剤式の内容物の双方に適用することができる。
【0013】
容器11は、1剤式の内容物の場合、1つのみとすることができ、また、多剤式の内容物の場合、用いられる薬剤の数に応じた複数、例えば、2剤式であれば2つ等とすることができる。
多剤式の内容物の場合、エアゾール容器10は、複数の容器11それぞれに設けられたステム12を略同時に押下操作できるように構成することができるが、複数のステム12を略同時に押下操作するために要する力は、1剤式と比べると、より大きなものとなる。本発明のエアゾール容器及びエアゾール容器用レバーは、ステムの押下操作を軽い力で行うことができる観点から、複数のステム12の略同時の押下操作を要する多剤式の内容物への適用において、特に有用である。
【0014】
以下では、多剤式の内容物として、第1剤及び第2剤からなる2剤式の染毛剤が適用された2剤式エアゾール容器10を例に挙げて説明する。
2剤式エアゾール容器10において、容器11は、染毛剤の第1剤又は第2剤の何れか一方が内部に充填された第1容器111と、染毛剤の第1剤又は第2剤の何れか他方が内部に充填された第2容器112とを有している。第1容器111の上端面中央には、筒状の第1ステム12Aが突出して設けられており、第2容器112の上端面中央には、筒状の第2ステム12Bが突出して設けられている。
第1容器111及び第2容器112は、連結キャップ113によって、互いの上端部を連結されている。また、第1容器111及び第2容器112は、双方の外周面を覆うシュリンクパック114により、第1ステム12Aと第2ステム12Bとが平行となるように、相互に固定されている。
【0015】
カバー13は、容器11に設けられたステム12(第1ステム12A及び第2ステム12B)を外部から保護するものであり、内容物(染毛剤)の噴射に係る機構が設けられたものである。カバー13は、第1ステム12A及び第2ステム12Bの双方を覆うように、連結キャップ113を介して第1容器111及び第2容器112の上部に係合されている。
カバー13は、
図3(a)~(c)に示すように、有蓋筒状に形成されている。また、カバー13の後部には、凹部132が形成されており、この凹部132は、上方及び後方に向かって開放された形状とされている。
【0016】
カバー13の内部には、有底筒状のインナーケース131が設けられている。このインナーケース131には、横長の略箱状に形成されたノズル15が収容されている。
ノズル15の左右端部の下面には、それぞれ接続筒151が下方へ突出して設けられている。これら接続筒151の内部は、ノズル15の内部と連通されている。
ノズル15の前面の中央には、噴射筒152が前方へ突出して設けられている。噴射筒152の内部は、ノズル15の内部と連通されている。この噴射筒152は、カバー13の前面に設けられた孔部133に挿通されて、外部へ露出されている。
【0017】
ノズル15は、インナーケース131の内側で上下動可能に収容されている。インナーケース131の底壁には、ノズル15の接続筒151と対応する位置に挿通孔131Aが設けられている。ノズル15の接続筒151は、挿通孔131Aに挿通されることにより、インナーケース131の内側においてインナーケース131の外部に露出されている。
ノズル15は、インナーケース131の外部に露出された左右の接続筒151を介して、第1容器111の第1ステム12A及び第2容器112の第2ステム12Bの双方と係合されている。このため、ノズル15を下方へ移動させることで、接続筒151と接続されたステム12(第1ステム12A及び第2ステム12B)を押下操作することができる。
【0018】
ノズル15、接続筒151及び噴射筒152の内部は、容器11のステム12から放出される内容物の誘導路とすることができる。
つまり、第1ステム12A及び第2ステム12Bから放出された染毛剤の第1剤及び第2剤は、接続筒151の内部からノズル15の内部へ誘導され、そのノズル15の内部から噴射筒152へ誘導されて、噴射筒152の先端から前方へ向かって噴射することができる。
また、ノズル15の内部及び噴射筒152の内部は、仕切壁153によって左右で区分けされている。このため、第1剤及び第2剤は、ノズル15の内部での混合を抑制されており、噴射筒152からの噴射時に混合されるものとすることができる。
【0019】
カバー13の後部において、凹部132内には、板状のプッシュ部14が設けられている。プッシュ部14は、その前部に設けられたヒンジ141を介して、凹部132の内面、つまりカバー13の壁面と繋がっている。このため、プッシュ部14は、カバー13に対し、ヒンジ141を中心として上下方向へ回動自在に支持されている。
プッシュ部14は、その底面に当接部142が設けられており、当接部142を介してノズル15の上面に当接されている。
プッシュ部14は、ヒンジ141を中心に下方へ回動させることで、ノズル15を下方へ押し下げることができる。つまり、プッシュ部14は、ノズル15を下方へ押し下げることにより、ノズル15の接続筒151と接続されたステム12(第1ステム12A及び第2ステム12B)を押下操作することができる(
図3(c)を参照)。
【0020】
エアゾール容器10は、プッシュ部14によるノズル15を介したステム12(第1ステム12A及び第2ステム12B)の押下操作を助勢するレバー部20Aを備えている(
図1を参照)。
レバー部20Aは、プッシュ部14と繋がっている。このレバー部20Aは、杆部21と、手押部22とを有している。
【0021】
杆部21は、レバー部20Aの手押部22に加えられた力をプッシュ部14に伝達するものであり、また、その長さに応じてテコ構造により当接部142(作用点)で得られる力を増すためのものである。杆部21は、プッシュ部14の後端から後方へ延設されている。杆部21の形状は、特に限定されず、板状、棒状等とすることができる。
杆部21は、プッシュ部14から斜め上向きに延設することができる。つまり、杆部21は、その長さが長くなるに従い、テコ構造により当接部142(作用点)で得られる力を増すことができるが、エアゾール容器10の重心から手押部22(力点)までの水平距離が離れてしまうことにもなるため、手押部22(力点)に力を加えた際にエアゾール容器10が倒れやすくなる。
杆部21をプッシュ部14から斜め上向きに延設する場合、杆部21の長さを長くしながら、エアゾール容器10の重心から手押部22(力点)までの水平距離を短くすることができるため、手押部22に力を加えた際にエアゾール容器10が倒れることを抑制することができる。
【0022】
手押部22は、レバー部20Aを使用する際に力を加える部位であり、杆部21の延設方向における先端部(他端部)、つまり杆部21の後端部に設けられている。
手押部22の形状は、特に限定されず、軸状、板状等とすることができる。
手押部22は、その幅長(左右方向の長さ)が杆部21の幅長(左右方向の長さ)に比べ、拡幅されたものとすることができる。つまり、手押部22は、その幅長が拡幅されることにより、手指で触れることのできる面積を広げることができ、レバー部20Aの使用時に力を加えやすくすることができる。
例えば、手押部22の形状は、杆部21の後端部から左右方向に伸びる、杆部21の幅長よりも長尺な軸状にすることができ、この場合、手押部22に指を掛けて下方へ引っ張る、手押部22に手の平を当てて押し下げる等のように、手押部22に力を加えやすくすることができる。
【0023】
上述のレバー部20Aは、
図2に示すように、本発明のエアゾール容器用レバー20をプッシュ部14に取り付けて構成することができる。
本発明のエアゾール容器用レバー20は、容器11に設けられたステム12と、ステム12を押下操作するプッシュ部14とを備えるエアゾール容器10に用いられるものであって、
杆部21を備え、
前記杆部21の一端部には、前記プッシュ部14と着脱自在な係合部23が設けられ、
前記杆部21の他端部には、手押部22が設けられている、ことを特徴とする(
図4(a)~(c)及び
図5(a)~(c)を参照)。
【0024】
エアゾール容器用レバー20(以下、省略して「レバー20」とも記載する)において、杆部21及び手押部22は、上述したレバー部20Aの杆部21及び手押部22と同様であり、説明を省略する。
係合部23は、レバー20をプッシュ部14に対して着脱自在とするものである。
係合部23は、杆部21の延設方向における基端部(一端部)、つまり杆部21の前端部に設けられている。
【0025】
係合部23は、プッシュ部14を嵌挿する構造を有することができる。
具体的に、係合部23は、底面の一側部(左側部)に第1係止片231を有し、他側部(右側部)に第2係止片232を有している。
第1係止片231及び第2係止片232は、係合部23の底面周縁から左右方向の内側に延設された板状に形成されている。
係合部23は、その周壁と、第1係止片231及び第2係止片232とによって囲まれた内側に、プッシュ部14の後部を嵌挿する構造を有している(
図4(b)を参照)。
【0026】
第1係止片231は、第2係止片232に比べて、前後方向の長さが長く形成されている。この第1係止片231は、プッシュ部14の後部を係合部23に嵌挿する際、プッシュ部14を摺接させることで、プッシュ部14の嵌挿をガイドする機能を有している。
第2係止片232は、第1係止片231に比べて、前後方向の長さが短く形成されている。この第2係止片232は、プッシュ部14の後部を係合部23に嵌挿する際、その嵌挿が阻害されることを抑制する機能を有している。
また、プッシュ部14の後部が係合部23に嵌挿された状態で、第1係止片231及び第2係止片232は、プッシュ部14の底面と係止することができる。第1係止片231及び第2係止片232は、プッシュ部14の底面と係止することにより、プッシュ部14に対する係合部23のぐらつきを抑えることができる。
【0027】
係合部23は、プッシュ部14に被着する構造を有することができる。
具体的に、係合部23は、下方が開放された略箱状に形成されている。この係合部23は、プッシュ部14に上方から被着し、その内部にプッシュ部14を収容することができる。
係合部23は、プッシュ部14に被着する際の弾性変形を可能とする切欠部233を有することができる。この切欠部233は、係合部23の上壁において、平面視でL字状に形成されている。また、切欠部233は、その前端が、係合部23の側壁に伸びている。
係合部23は、切欠部233が設けられることにより、プッシュ部14に被着する際、上壁を撓ませて、前端部を上方へ弾性変形させることができる。また、係合部23の上壁の下面には、その上壁を補強する補強リブ234が設けられている。
【0028】
図6(a)~(c)により、プッシュ部14への係合部23の取り付け手順を説明する。
プッシュ部14へ係合部23を取り付ける際には、まず、
図6(a)に示すように、プッシュ部14の底面に第1係止片231を当てながら、プッシュ部14の後部を係合部23の内側へ嵌挿する。
次いで、
図6(b)に示すように、プッシュ部14の後部を係合部23の内側へ嵌挿しながら、係合部23をプッシュ部14へ押し付けると、係合部23の前端部は、切欠部233が設けられた位置で他の部位から分断されているから、上壁を撓ませることにより、上方へ弾性変形する。
そして、
図6(c)に示すように、プッシュ部14の後部が係合部23の内奥まで嵌挿されると、係合部23の前端部が元の位置に復帰し、このとき係合部23の前端部がプッシュ部14の前部に係合された状態となる。この状態で、係合部23は、プッシュ部14の上部に被着され、かつプッシュ部14の後部が嵌挿された状態となっており、プッシュ部14に対して係合部23が係合固定される。
【0029】
エアゾール容器10は、上述のプッシュ部14及びレバー20によって構成されるテコ構造を有しており、そのテコ構造を利用して、ステム12の押下操作を行うことができる(
図7(a)、(b)を参照)。
すなわち、プッシュ部14及びレバー20は、プッシュ部14のヒンジ141を支点とし、レバー部の手押部22を力点とし、プッシュ部14の当接部142を作用点とした、テコ構造を構成している。エアゾール容器10は、そのテコ構造を利用して、ステム12の押下操作を行うことができる。
【0030】
テコ構造において、手押部22(力点)におけるモーメントは、当接部142(作用点)におけるモーメントと等しくなる。
手押部22(力点)におけるモーメントは、[手押部22(力点)に加えられる力]×[ヒンジ141(支点)から手押部22(力点)までの距離]によって算出される。
当接部142(作用点)におけるモーメントは、[当接部142(作用点)に作用する力]×[ヒンジ141(支点)から当接部142(作用点)までの距離]によって算出される。
【0031】
上述のテコ構造は、[ヒンジ141(支点)から当接部142(作用点)までの距離]は変わらず一定値である。このため、杆部21が[ヒンジ141(支点)から手押部22(力点)までの距離]を長くすることで、[当接部142(作用点)に作用する力]を、[手押部22(力点)に加えられる力]よりも増すことができる。
プッシュ部14及びレバー部20Aによるテコ構造を有するエアゾール容器10は、ステム12の押下操作を軽い力で行うことができる。
上述のエアゾール容器10は、第1ステム12A及び第2ステム12Bの2つを略同時に押下操作することを要するが、プッシュ部14及びレバー部20Aによるテコ構造を利用することで、第1ステム12A及び第2ステム12Bの2つを略同時に押し下げる場合も、その操作を軽い力で行うことができる。
【0032】
上述のエアゾール容器10は、プッシュ部14にレバー20を取り付けることにより、レバー部20Aを設けたものである。このレバー部20Aは、
図8(a)、(b)に示すように、プッシュ部14と一体的に形成して設けることができる。
すなわち、
図8(a)、(b)に示すように、レバー部20Aは、杆部21の前端部がプッシュ部14の後部と一体的に形成された構成を有している。この構成において、係合部23は設けられておらず、手押部22に加えられた力は、杆部21を介してプッシュ部14へ直接的に伝達される。
上述のエアゾール容器10は、多剤式の内容物を適用するものとして、第1容器111及び第2容器112の2つの容器11を備える構成としたが、例えば、1剤式の内容物を適用する等の場合に、1つの容器11のみを備える構成とすることができる。また、1つの容器11のみを備える構成とする場合、ノズル15について、接続筒151は1つのみでよく、仕切壁153は省略した構成とすることができる。
【符号の説明】
【0033】
10;エアゾール容器、
11;容器、111;第1容器、112;第2容器、113;連結キャップ、114;シュリンクパック、
12;ステム、12A;第1ステム、12B;第2ステム、
13;カバー、131;インナーケース、132;凹部、133;孔部、
14;プッシュ部、141;ヒンジ、142;当接部、
15;ノズル、151;接続筒、152;噴射筒、153;仕切壁、
20;レバー、20A;レバー部、21;杆部、22;手押部、23;係合部、231;第1係止片、232;第2係止片、233;切欠部、234;補強リブ234。