(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177877
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】吸塵ドリルビット
(51)【国際特許分類】
B23B 47/34 20060101AFI20241217BHJP
B28D 1/14 20060101ALI20241217BHJP
B28D 7/02 20060101ALI20241217BHJP
B23Q 11/00 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
B23B47/34 Z
B28D1/14
B28D7/02
B23Q11/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096261
(22)【出願日】2023-06-12
(71)【出願人】
【識別番号】000137845
【氏名又は名称】株式会社ミヤナガ
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松下 雅則
(72)【発明者】
【氏名】田中 典英
【テーマコード(参考)】
3C011
3C036
3C069
【Fターム(参考)】
3C011BB03
3C036HH15
3C069AA04
3C069BA09
3C069BB01
(57)【要約】
【課題】吸塵ドリルビットにおいて、異物が吸塵口を塞ぐことを防止し、穿孔作業の効率を高めることを目的とする。
【解決手段】ビットシャフト部と、切刃部を有するビット先端部と、を備えたドリルビットであって、ビットシャフト部は、軸線方向に延びたアキシャル吸塵通路と、アキシャル吸塵通路に連通し、軸線方向に直交する径方向の外方に開口する吸塵口を有するラジアル吸塵通路と、ビットシャフト部の外周面に設けられ且つ吸塵口が配置された塵ガイド溝であって、軸線方向の先端側に開口した導入開口を有する塵ガイド溝と、を含み、軸線方向の先端側から見たときにビットシャフト部の軸線を中心とし且つ切刃部の径方向の外端を通る第1仮想円と、導入開口の径方向の内端と、の間の径方向の距離は、径方向から見て吸塵口に内包される仮想円のうち最大面積の第2仮想円の直径よりも短い。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビットシャフト部と、前記ビットシャフト部の軸線方向の先端側に設けられ且つ切刃部を有するビット先端部と、を備えたドリルビットであって、
前記ビットシャフト部は、
前記軸線方向に延びたアキシャル吸塵通路と、
前記アキシャル吸塵通路に連通し、前記軸線方向に直交する径方向の外方に開口する吸塵口を有するラジアル吸塵通路と、
前記ビットシャフト部の外周面に設けられ且つ前記吸塵口が配置された塵ガイド溝であって、前記軸線方向の前記先端側に開口した導入開口を有する塵ガイド溝と、を含み、
前記軸線方向の前記先端側から見たときに前記ビットシャフト部の軸線を中心とし且つ前記切刃部の前記径方向の外端を通る第1仮想円と、前記導入開口の前記径方向の内端と、の間の前記径方向の距離は、前記径方向から見て前記吸塵口に内包される仮想円のうち最大面積の第2仮想円の直径よりも短い、吸塵ドリルビット。
【請求項2】
ビットシャフト部と、前記ビットシャフト部の軸線方向の先端側に設けられ且つ切刃部を有するビット先端部と、を備えたドリルビットであって、
前記ビットシャフト部は、
前記軸線方向に延びたアキシャル吸塵通路と、
前記アキシャル吸塵通路に連通し、前記軸線方向に直交する径方向の外方に開口する吸塵口を有するラジアル吸塵通路と、
前記ビットシャフト部の外周面に設けられ且つ前記吸塵口が配置された塵ガイド溝であって、前記軸線方向の前記先端側に開口した導入開口を有する塵ガイド溝と、を含み、
前記軸線方向の前記先端側から見たときに前記ビットシャフト部の軸線を中心とし且つ前記切刃部の前記径方向の外端を通る第1仮想円と、前記導入開口の前記径方向の内端と、の間の前記径方向の距離は、前記導入開口における前記塵ガイド溝の幅寸法よりも小さい、吸塵ドリルビット。
【請求項3】
前記導入開口における前記塵ガイド溝の深さ寸法は、前記導入開口における前記塵ガイド溝の幅寸法よりも小さい、請求項1又は2に記載の吸塵ドリルビット。
【請求項4】
前記ビットシャフト部は、前記軸線方向の前記先端側に向いた端面を有し、
前記ビット先端部は、前記ビットシャフト部の前記端面を部分的に露出させるように前記ビットシャフト部の前記端面に接合されており、
前記導入開口は、前記ビットシャフト部の前記端面の露出領域に配置されている、請求項1又は2に記載の吸塵ドリルビット。
【請求項5】
前記軸線方向の前記先端側から見て、前記導入開口は、前記ビット先端部から離れている、請求項4に記載の吸塵ドリルビット。
【請求項6】
前記塵ガイド溝は、前記軸線方向から見て円弧形状を有する、請求項1又は2に記載の吸塵ドリルビット。
【請求項7】
前記ビットシャフト部は、前記ラジアル吸塵通路及び前記塵ガイド溝をそれぞれ複数含み、
複数の前記吸塵口の面積の和は、前記アキシャル吸塵通路の横断面積に等しい、請求項1又は2に記載の吸塵ドリルビット。
【請求項8】
前記吸塵口は、前記軸線方向において、前記ビット先端部から離れている、請求項1又は2に記載の吸塵ドリルビット。
【請求項9】
前記塵ガイド溝は、前記軸線方向に延びている、請求項1又は2に記載の吸塵ドリルビット。
【請求項10】
前記塵ガイド溝の幅寸法は、前記吸塵口の前記第2仮想円の直径以上である、請求項1又は2に記載の吸塵ドリルビット。
【請求項11】
前記ラジアル吸塵通路の流路断面は、真円形状を有する、請求項1又は2に記載の吸塵ドリルビット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、吸塵ドリルビットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、吸塵ドリルビットが開示されている。前記吸塵ドリルビットは、ビットシャフト部と、前記ビットシャフト部の軸線方向の先端側に設けられ且つ切刃部を有するビット先端部と、を備える。前記ビットシャフト部は、前記軸線方向に延びたアキシャル吸塵通路を含む。前記ビット先端部は、軸線方向の先端側に向いた面を有する。当該面には、前記アキシャル吸塵通路に連通する吸塵口が設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記吸塵ドリルビットでは、穿孔作業中に加工対象を切削して生じる粉塵が、前記吸塵口から吸い込まれるので、穿孔作業の効率を高めることができる。しかし、前記吸塵ドリルビットでは、異物が前記吸塵口を塞ぎ、穿孔作業の効率を高められない場合があった。
【0005】
そこで、本開示は、吸塵ドリルビットにおいて、異物が吸塵口を塞ぐことを防止し、穿孔作業の効率を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る吸塵ドリルビットは、ビットシャフト部と、前記ビットシャフト部の軸線方向の先端側に設けられ且つ切刃部を有するビット先端部と、を備えたドリルビットであって、前記ビットシャフト部は、前記軸線方向に延びたアキシャル吸塵通路と、前記アキシャル吸塵通路に連通し、前記軸線方向に直交する径方向の外方に開口する吸塵口を有するラジアル吸塵通路と、前記ビットシャフト部の外周面に設けられ且つ前記吸塵口が配置された塵ガイド溝であって、前記軸線方向の前記先端側に開口した導入開口を有する塵ガイド溝と、を含み、前記軸線方向の前記先端側から見たときに前記ビットシャフト部の軸線を中心とし且つ前記切刃部の前記径方向の外端を通る第1仮想円と、前記導入開口の前記径方向の内端と、の間の前記径方向の距離は、前記径方向から見て前記吸塵口に内包される仮想円のうち最大面積の第2仮想円の直径よりも短い。
【0007】
本開示の一態様によれば、穿孔作業中に切刃部が加工対象を切削して生じる粉塵は、導入開口から塵ガイド溝に入り、塵ガイド溝を通過して吸塵口に吸い込まれる。そして、切刃部の径方向外端の回転軌跡を示す第1仮想円と導入開口の径方向内端との間の径方向の距離は、径方向から見て吸塵口に内包される仮想円のうち最大面積の第2仮想円の直径よりも短いので、吸塵口を塞ぐような異物が塵ガイド溝の導入開口を通過しにくい。よって、異物が吸塵口を塞ぐことを防止でき、吸塵しながらの穿孔作業の効率を高めることができる。
【0008】
本開示の他の一態様に係る吸塵ドリルビットは、ビットシャフト部と、前記ビットシャフト部の軸線方向の先端側に設けられ且つ切刃部を有するビット先端部と、を備えたドリルビットであって、前記ビットシャフト部は、前記軸線方向に延びたアキシャル吸塵通路と、前記アキシャル吸塵通路に連通し、前記軸線方向に直交する径方向の外方に開口する吸塵口を有するラジアル吸塵通路と、前記ビットシャフト部の外周面に設けられ且つ前記吸塵口が配置された塵ガイド溝であって、前記軸線方向の前記先端側に開口した導入開口を有する塵ガイド溝と、を含み、前記軸線方向の前記先端側から見たときに前記ビットシャフト部の軸線を中心とし且つ前記切刃部の前記径方向の外端を通る第1仮想円と、前記導入開口の前記径方向の内端と、の間の前記径方向の距離は、前記導入開口における前記塵ガイド溝の幅寸法よりも小さい。
【0009】
本開示の他の一態様によれば、穿孔作業中に切刃部が加工対象を切削して生じる粉塵は、導入開口から塵ガイド溝に入り、塵ガイド溝を通過して吸塵口に吸い込まれる。そして、切刃部の径方向外端の回転軌跡を示す第1仮想円と導入開口の径方向内端との間の径方向の距離は、前記導入開口における前記塵ガイド溝の幅寸法よりも小さいので、吸塵口を塞ぐような異物が塵ガイド溝の導入開口を通過しにくい。よって、異物が吸塵口を塞ぐことを防止でき、吸塵しながらの穿孔作業の効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態に係る吸塵ドリルビット、当該吸塵ドリルビットに連結された電動ドリル装置、及び当該吸塵ドリルビットにホースを介して接続された吸引装置を示す概略図である。
【
図2】
図2は、
図1の吸塵ドリルビットがアダプタに取り付けられた状態の概略図である。
【
図3】
図3は、
図2の吸塵ドリルビットの一部であって、ビット先端部及びその周辺部分を径方向から見た図である。
【
図4】
図4は、
図3の吸塵ドリルビットを軸線方向の先端側から見た図である。
【
図5】
図5は、第1変形例に係る吸塵ドリルビットの一部であって、吸塵口及びその周辺部分を径方向から見た図である。
【
図6A】
図6Aは、第2変形例に係る吸塵ドリルビットの一部であって、ビット先端部及びその周辺部分の斜視図である。
【
図7】
図7は、第3変形例に係る吸塵ドリルビットを軸線方向の先端側から見た図である。
【
図8】
図8は、第4変形例に係る吸塵ドリルビットを軸線方向の先端側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。なお、以下の説明では、吸塵ドリルビット1Aの軸線AXが延びる方向を軸線方向とし、それに直交する方向を径方向とし、且つそれ周りの方向を周方向として定義する。
【0012】
図1は、実施形態に係る吸塵ドリルビット1A、当該吸塵ドリルビット1Aに連結された電動ドリル装置80、及び当該吸塵ドリルビット1Aにホース88を介して接続された吸引装置90を示す概略図である。
【0013】
図1に示すように、吸塵ドリルビット1Aは、その基端部分であるシャンク部50(
図2参照)が電動ドリル装置80の把持部81に把持されることで、電動ドリル装置80に連結される。吸塵ドリルビット1Aは、その中央部分である被支持部55(
図2参照)にアダプタ70が取り付けられる。アダプタ70は、軸線方向から見て被支持部55を囲繞し、当該被支持部55を回転可能に支持する。アダプタ70の接続口78は、ホース88を介して吸引装置90の吸引口98に接続される。
【0014】
吸塵ドリルビット1Aは、作業者により電動ドリル装置80のスイッチ82が押されると、電動ドリル装置80の筐体83内に設けられた駆動装置に駆動されることにより、軸線方向周りに回転し且つ軸線方向に沿って振動する。この状態で、吸塵ドリルビット1Aの先端部分であるビット先端部10(
図2乃至
図4参照)を加工対象Pに押し当てることにより、加工対象Pに対して穿孔作業を行うことができる。このとき、吸引装置90を駆動することで、加工対象Pを切削して生じる粉塵が、吸塵ドリルビット1Aの先端部分に設けられた吸塵口33(
図2及び
図3参照)から吸い込まれ、アダプタ70及びホース88を介して吸引装置90まで導かれる。上記のようにして、加工対象Pに対して吸塵しながら穿孔作業を行なうことができる。
【0015】
図2は、
図1の吸塵ドリルビット1Aがアダプタ70に取り付けられた状態の概略図である。
図2に示すように、吸塵ドリルビット1Aは、ビットシャフト部30と、ビットシャフト部30の軸線方向の先端側に設けられるビット先端部10と、を備える。
【0016】
ビットシャフト部30は、軸線方向の先端側に位置するシャフト先端部31と、軸線方向の基端側に位置するシャンク部50と、シャフト先端部31とシャンク部50の間に位置する被支持部55と、を有する。シャフト先端部31、シャンク部50及び被支持部55は、互いに同軸状であり、一体物である。
【0017】
ビットシャフト部30は、軸線方向に延びたアキシャル吸塵通路60を有する。アキシャル吸塵通路60は、シャフト先端部31の先端部分から被支持部55の中央部分まで軸線方向に延びる。被支持部55は、アキシャル吸塵通路60に連通し、径方向に延びた基端吸塵通路57を有する。アダプタ70は、基端吸塵通路57に連通し、径方向に延びたアダプタ吸塵通路71を有する。アダプタ吸塵通路71のうちの基端吸塵通路57とは反対側の端部が、アダプタ70の接続口78である。
【0018】
図3は、
図2の吸塵ドリルビット1Aの一部であって、ビット先端部10及びその周辺部分を径方向から見た図である。
図4は、
図3の吸塵ドリルビット1Aを軸線方向の先端側から見た図である。
図3及び4に示すように、シャフト先端部31は、アキシャル吸塵通路60に連通して径方向に延びたラジアル吸塵通路32と、シャフト先端部31の外周面に設けられた塵ガイド溝40と、を有する。
【0019】
ビットシャフト部30は、ラジアル吸塵通路32及び塵ガイド溝40をそれぞれ複数(例えば、2つ)含む。複数のラジアル吸塵通路32は、互いに同じ形状及び同じ寸法である。複数の塵ガイド溝40も、互いに同じ形状及び同じ寸法である。
【0020】
ビットシャフト部30は、軸線方向の先端側に向いた端面31aを有する。当該端面31aは、軸線方向の先端側から見て真円形状である。ビット先端部10は、当該端面31aを部分的に露出させるように当該端面31aに接合されている。ビット先端部10は、軸線方向の先端側から見てビット先端部10の中心から径方向外側に延びる複数(例えば、3つ)の尾根状の切刃部11を有する。即ち、複数の切刃部11は、軸線方向の先端側から見てビット先端部10の中心で互いに繋がっている。これら切刃部11に形成されるすくい面と逃げ面と間の稜線は、ビット先端部10の切刃11aである。ビット先端部10の外径は、ビットシャフト部30の外径よりも大きい。これにより、穿孔中の加工対象Pの孔の内周面とビットシャフト部30の外周面との間に隙間が生じる。当該隙間は、後述する仮想円C1とビットシャフト部30の外周面との間の隙間で表される。
【0021】
複数のラジアル吸塵通路32は、それぞれ、径方向の外方に開口する吸塵口33を有する。複数の吸塵口33は、それぞれ、塵ガイド溝40に配置されている。複数の吸塵口33は、それぞれ、径方向から見て真円形状であり、ラジアル吸塵通路32の流路断面も真円形状である。複数の吸塵口33は、それぞれ、互いに同じ形状及び同じ寸法を有し、対応する塵ガイド溝40に対して同じ位置に設けられる。複数の吸塵口33は、それぞれ、軸線方向において、ビット先端部10から離れている。複数の吸塵口33の面積の和は、例えば、アキシャル吸塵通路60の横断面積に等しい。
【0022】
塵ガイド溝40は、軸線方向に延びている。塵ガイド溝40は、軸線方向から見て円弧形状を有する。塵ガイド溝40は、端面31aの露出領域に配置され、軸線方向の先端側に開口した導入開口41を有する。軸線方向の先端側から見て、導入開口41は、ビット先端部10から離れている。軸線方向の先端側から見て、導入開口41とビット先端部10との間の最短距離は、例えば、塵ガイド溝40の深さ寸法dよりも長く、本実施形態では塵ガイド溝40の深さ寸法dの2倍よりも長い。更に、当該最短距離は、距離Lよりも長くし得る。導入開口41における塵ガイド溝40の深さ寸法dは、導入開口41における塵ガイド溝40の幅寸法Wよりも小さい。当該幅寸法Wは、後述する仮想円C2の直径D以上である。当該幅寸法Wは、例えば、軸線方向において導入開口41から吸塵口33まで一定である。塵ガイド溝40の深さ寸法dも、例えば、軸線方向において導入開口41から吸塵口33まで一定である。
【0023】
複数の切刃11aは、それぞれ、軸線方向の先端側から見て、ビット先端部10の中心から放射状に延びている。軸線方向の先端側から見て、複数の切刃11aは、それぞれ、直線状である。軸線方向の先端側から見て、複数の切刃11aの径方向内端は、それぞれ、ビット先端部10の中心及びビットシャフト部30の軸線AXと一致する。
【0024】
軸線方向の先端側から見たとき、ビットシャフト部30の軸線AXを中心とし且つ切刃部11の径方向の外端を通る仮想円C1(第1仮想円)が定義される。また、径方向から見て吸塵口33に内包される仮想円のうち最大面積の仮想円C2(第2仮想円)が定義される。なお、本実施形態では、吸塵口33が径方向から見て真円形状を有する。したがって、径方向から見て吸塵口33に内包される仮想円のうち最大径である仮想円C2は、径方向から見て吸塵口33と完全に重なる。すなわち、吸塵口33に内包される上記仮想円には、径方向から見て吸塵口33の輪郭に少なくともその一部が重なる仮想円が含まれる。
【0025】
仮想円C1と導入開口41の径方向の内端との間の距離Lは、仮想円C2の直径Dよりも短い。また、距離Lは、導入開口41における塵ガイド溝40の幅寸法Wよりも小さい。当該幅寸法Wは、仮想円C2の直径Dよりも大きい。
【0026】
以上に説明した構成によれば、距離Lが仮想円C2の直径Dよりも短いので、穿孔作業中に切刃部11が加工対象Pを切削して生じる粉塵は、導入開口41から塵ガイド溝40に入り、塵ガイド溝40を通過して吸塵口33に吸い込まれる。そして、切刃部11の径方向の外端の回転軌跡を示す仮想円C1と導入開口41の径方向の内端との間の径方向の距離Lは、径方向から見て吸塵口33に内包される仮想円のうち最大面積の仮想円C2の直径Dよりも短い。これにより、吸塵口33を塞ぐような異物が塵ガイド溝40の導入開口41を通過しにくい。よって、異物が吸塵口33を塞ぐことを防止でき、吸塵しながらの穿孔作業の効率を高めることができる。
【0027】
また、距離Lが、導入開口41における塵ガイド溝40の幅寸法Wよりも小さいので、距離Lが仮想円C2の直径Dよりも短い場合と同様に、吸塵口33を塞ぐような異物が塵ガイド溝40の導入開口41を通過しにくい。よって、異物が吸塵口33を塞ぐことを防止でき、吸塵しながらの穿孔作業の効率を高めることができる。
【0028】
また、導入開口41における塵ガイド溝40の深さ寸法dは、導入開口41における塵ガイド溝40の幅寸法Wよりも小さい。この構成によれば、導入開口41における塵ガイド溝40の深さ寸法dが比較的小さいことで、異物が塵ガイド溝40に入ることを防止しながらも、導入開口41における塵ガイド溝40の幅寸法Wが比較的大きいことで、幅広く粉塵を塵ガイド溝40に導くことができる。
【0029】
また、ビットシャフト部30は、軸線方向の先端側に向いた端面31aを有し、ビット先端部10は、当該端面31aを部分的に露出させるように当該端面31aに接合されており、導入開口41は、当該端面31aの露出領域に配置されている。この構成によれば、塵ガイド溝40のためにビット先端部10を加工する必要がなく、製造効率を良好にすることができる。
【0030】
また、軸線方向の先端側から見て、導入開口41は、ビット先端部10から離れている。この構成によれば、塵ガイド溝40の導入開口41に到達した異物が導入開口41から容易に離れることができ、当該異物をビット先端部10によって破砕できる。
【0031】
また、塵ガイド溝40は、軸線方向から見て円弧形状を有する。この構成によれば、簡易な溝加工にて塵ガイド溝40を容易に形成できる。
【0032】
また、複数の吸塵口33の面積の和は、アキシャル吸塵通路60の横断面積に等しい。この構成によれば、吸塵口33からアキシャル吸塵通路60へと過不足なく粉塵を導くことができる。なお、複数の吸塵口33の面積の和がアキシャル吸塵通路60の横断面積よりも大きいと、吸塵口33から吸い込まれる粉塵の量が多くなり過ぎて、アキシャル吸塵通路60内で粉塵が詰まり得る。一方、複数の吸塵口33の面積の和がアキシャル吸塵通路60の横断面積よりも小さいと、吸塵口33から吸い込まれる粉塵の量が少なくなり、吸塵効率が悪くなり得る。
【0033】
また、吸塵口33は、軸線方向において、ビット先端部10から離れている。この構成によれば、ビットシャフト部30のうち比較的大きな負荷がかかるビット先端部10に近い部分を避けて吸塵口33が形成されるので、耐久性が向上する。
【0034】
また、塵ガイド溝40は、軸線方向に延びている。この構成によれば、ビットシャフト部30の外周面を軸線方向に溝加工して塵ガイド溝40を容易に形成できる。
【0035】
また、塵ガイド溝40の幅寸法Wは、仮想円C2の直径D以上である。この構成によれば、塵ガイド溝40を通じて吸塵口33に粉塵を十分に導くことができる。なお、本実施形態では、当該幅寸法Wは、仮想円C2の直径Dよりも大きい。この構成によれば、径方向から見て、塵ガイド溝40の内部に仮想円C2を容易に配置できる。したがって、例えば、塵ガイド溝40の幅寸法Wが仮想円C2の直径Dと同じである場合と比較して、吸塵ドリルビットの製造の歩留まりを向上できる。
【0036】
また、ラジアル吸塵通路32の流路断面は、真円形状を有する。この構成によれば、簡易な穴加工にてラジアル吸塵通路32を容易に形成できる。
【0037】
図5は、第1変形例に係る吸塵ドリルビット1Bの一部であって、吸塵口33及びその周辺部分を径方向から見た図である。なお、吸塵ドリルビット1Bは、ビット先端部10とビットシャフト部30の接合態様、並びに吸塵口33及び塵ガイド溝40を除き、上記吸塵ドリルビット1Aと同様の構造を備える。したがって、同一部分又は類似部分には同じ参照番号を付し、同様となる説明は繰り返さない。また、
図5では、ビット先端部10の切刃部11のある先端側の図示を省略している。
【0038】
図5に示すように、吸塵ドリルビット1Bでは、ビットシャフト部30に対してビット先端部10が軸線方向に凹凸嵌合している。吸塵ドリルビット1Bのビットシャフト部30は、その先端部分において先端凹部35を有する。ビットシャフト部30の先端凹部35には、ビットシャフト部30の先端側に開口し且つ径方向に延びたラジアル溝が形成されている。吸塵ドリルビット1Bのビット先端部10は、その基端部分において基端凸部15を有する。先端凹部35は、基端凸部15に対応した形状を有する。
【0039】
ビット先端部10の基端凸部15が、ビットシャフト部30の先端凹部35に嵌合された状態で、ビット先端部10がビットシャフト部30に接合される。ビットシャフト部30の先端凹部35に形成された前記ラジアル溝をビット先端部10の平坦な底面が軸線方向先端側から覆うことで、ラジアル吸塵通路32が形成されている。そのため、ラジアル吸塵通路32の吸塵口33は、U字形状を有し、非真円形状である。この場合、径方向から見て吸塵口33に内包される仮想円のうち最大面積の仮想円C2は、U字形状の吸塵口33の輪郭の直線部分に内接する。
【0040】
吸塵ドリルビット1Bは、その外周面において、軸線方向に延びた塵ガイド溝40を有する。塵ガイド溝40は、ビットシャフト部30及びビット先端部10に連続して設けられている。即ち、ビット先端部10は、前記ラジアル溝の大部分を軸線方向から覆いながらも前記ラジアル溝の径方向外側の端部を軸線方向に露出させている。ビット先端部10には、塵ガイド溝40の軸線方向の先端側に開口した導入開口が形成されている。
【0041】
上記のような吸塵口33及び塵ガイド溝40を備える吸塵ドリルビット1Bであっても、吸塵ドリルビット1Aと同様の効果を得ることができる。
【0042】
図6Aは、第2変形例に係る吸塵ドリルビット1Cの一部であって、ビット先端部10及びその周辺部分の斜視図である。
図6Bは、
図6Aの吸塵ドリルビット1Cを軸線方向の先端側から見た図である。なお、吸塵ドリルビット1Cは、ビットシャフト部30の軸線方向の先端部分及びビット先端部10を除き、上記吸塵ドリルビット1Aと同様の構造を備える。したがって、同一部分又は類似部分には同じ参照番号を付し、同様となる説明は繰り返さない。
【0043】
図6A及び
図6Bに示すように、吸塵ドリルビット1Cのビット先端部10は、先端主部20と、先端主部20と比較して小さい複数(例えば、2つ)の先端副部25と、を有する。先端主部20及び複数の先端副部25は、それぞれ、切刃部11を有する。軸線方向の先端側から見て、先端主部20及び複数の先端副部25は、それぞれ、端面31a及びアキシャル吸塵通路60それぞれを部分的に露出させるように、ビットシャフト部30に接合されている。
【0044】
先端主部20は、ビットシャフト部30の軸線方向の先端側に向いた端面31aに沿って径方向に延び切刃部11を含む第1主部分21と、第1主部分21の径方向の一方側の外端からビットシャフト部30の外周面に沿って軸線方向の基端側に延びる第2主部分22と、第1主部分21の径方向の他方側の外端からビットシャフト部30の外周面に沿って軸線方向の基端側に延びる第3主部分23と、を有する。
【0045】
第1主部分21は、軸線方向の先端側から見てビットシャフト部30の軸線AXを通って径方向に延びる長方形状である。第1主部分21の径方向の2つの外端は、それぞれ、軸線方向の先端側から見てビットシャフト部30の外周面よりも外側に位置する。第1主部分21の切刃部11の切刃11aは、軸線方向の先端側から見て、ビット先端部10の中心及びビットシャフト部30の軸線AXを通り、径方向に直線状に延びる。第1主部分21は、軸線方向の先端側から見てアキシャル吸塵通路60と重なる部分に、軸線方向の先端側に突出して四角錐の先端部のような形状を有する突出部21aを有する。突出部21a頂点から直線状に延びる稜線が、第1主部分21の切刃部11の切刃11aの径方向の中央部分である。更に、第1主部分21は、軸線方向の先端側から見てアキシャル吸塵通路60と重なる部分に、軸線方向の基端側に延びる基端部21bを有する。基端部21bは、アキシャル吸塵通路60内を軸線方向に延びる。
【0046】
複数の先端副部25は、それぞれ、ビットシャフト部30の軸線方向の先端側に向いた端面31aに沿って径方向に延び切刃部11の切刃11aを含む第1副部分26と、第1副部分26の径方向の外端からビットシャフト部30の外周面に沿って軸線方向の基端側に延びる第2副部分27と、第1副部分26の径方向の内端からアキシャル吸塵通路60内を軸線方向の基端側に延びる第3副部分28と、を有する。
【0047】
複数の第1副部分26は、それぞれ、軸線方向の先端側から見て径方向に延びる略長方形状である。複数の第1副部分26の径方向の外端は、それぞれ、軸線方向の先端側から見てビットシャフト部30の外周面よりも外側に位置する。複数の第1副部分26の径方向の内端は、それぞれ、軸線方向の先端側から見てアキシャル吸塵通路60内に位置し、第1主部分21に径方向の外側で隣接する。複数の第1副部分26の切刃部11の切刃11aは、それぞれ、軸線方向の先端側から見て径方向に直線状に延びる。複数の第1副部分26は、それぞれ、径方向の中央部分に軸線方向の先端側に突出して四角錐の先端部のような形状を有する突出部26aを有する。突出部26aの頂点から直線状に延びる稜線が、第1副部分26の切刃部11の切刃11aの径方向の中央部分である。本変形例では、吸塵ドリルビット1Cは、2つの先端副部25を有する。軸線方向の先端側から見て、一方の先端副部25の切刃部11の切刃11aと、他方の先端副部25の切刃部11の切刃11aとを結ぶ直線は、ビットシャフト部30の軸線AXを通る。
【0048】
上記のようなビット先端部10を備える吸塵ドリルビット1Cであっても、ビットシャフト部30がラジアル吸塵通路32及び塵ガイド溝40を有するので、吸塵ドリルビット1Aと同様の効果を得ることができる。また、吸塵ドリルビット1Cは、ビット先端部10が複数(例えば、2つ)の先端副部25を備えることで、加工対象Pに対して精度良く穿孔作業を行なうことができる。
【0049】
図7は、第3変形例に係る吸塵ドリルビット1Dを軸線方向の先端側から見た図である。なお、吸塵ドリルビット1Dは、ビット先端部10を除き、上記吸塵ドリルビット1Aと同様の構造を備える。したがって、同一部分又は類似部分には同じ参照番号を付し、同様となる説明は繰り返さない。
【0050】
図7に示すように、吸塵ドリルビット1Dのビット先端部10は、軸線方向の先端側から見て、ビットシャフト部30の軸線方向の先端側に向いた端面31aを部分的に露出させるように、ビットシャフト部30に接合されている。吸塵ドリルビット1Dのビット先端部10は、複数の切刃部11を有する。複数の切刃部11の切刃11aは、それぞれ、軸線方向の先端側から見てビット先端部10の中心から放射状に延びる。複数の当該切刃11aは、それぞれ、軸線方向の先端側から見て、ビット先端部10の中心から径方向に延びる第1直線部分と、当該第1直線部分の外端から当該第1直線部分に対して屈曲して径方向に延びる第2直線部分と、を有する。
【0051】
上記のようなビット先端部10を備える吸塵ドリルビット1Dであっても、ビットシャフト部30がラジアル吸塵通路32及び塵ガイド溝40を有するので、吸塵ドリルビット1Aと同様の効果を得ることができる。
【0052】
図8は、第4変形例に係る吸塵ドリルビット1Eを軸線方向の先端側から見た図である。なお、吸塵ドリルビット1Dは、アキシャル吸塵通路60の寸法及びビット先端部10を除き、上記吸塵ドリルビット1Aと同様の構造を備える。したがって、同一部分又は類似部分には同じ参照番号を付し、同様となる説明は繰り返さない。
【0053】
図8に示すように、吸塵ドリルビット1Eのビット先端部10は、軸線方向の先端側から見て、端面31a及びアキシャル吸塵通路60それぞれを部分的に露出させるように、ビットシャフト部30に接合されている。吸塵ドリルビット1Eのアキシャル吸塵通路60の直径は、吸塵ドリルビット1Aのそれと比較して大きい。
【0054】
吸塵ドリルビット1Eのビット先端部10は、軸線方向の先端側から見て、ビットシャフト部30の軸線AXを通って径方向に延びる長方形状である。ビット先端部10は、2つの切刃部11を有する。軸線方向の先端側から見て、2つの切刃部11の切刃11aは、ビット先端部10の延在方向に直線状に延び、ビット先端部10の延在方向に直交する方向にビット先端部10の中心からずれた位置を径方向内端する一対の稜線と、その一対の稜線の径方向内端同士を接続してビット先端部10の中心を通る稜線と、を有する。
【0055】
上記のようなビット先端部10を備える吸塵ドリルビット1Eであっても、ビットシャフト部30がラジアル吸塵通路32及び塵ガイド溝40を有するので、吸塵ドリルビット1Aと同様の効果を得ることができる。
【0056】
なお、本開示の技術は、前述した構成に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、塵ガイド溝40の幅寸法W及び塵ガイド溝40の深さ寸法dが、それぞれ、軸線方向において導入開口41から吸塵口33まで一定である場合について説明した。しかし、この場合に限定されず、例えば、当該幅寸法Wは、導入開口41から吸塵口33に向かうに連れて小さくなってもよい。また、例えば、当該深さ寸法dは、導入開口41から吸塵口33に向かうに連れて大きくなってもよい。
【0057】
上記実施形態では、塵ガイド溝40が、軸線方向から見て円弧状である場合について説明した。しかし、この場合に限定されず、例えば、塵ガイド溝40は、軸線方向から見て、ビットシャフト部30の外縁上の一点と当該外縁上の他の一点とを直線状に結ぶ形状であってもよい。
【0058】
上記実施形態では、塵ガイド溝40が軸線方向に直線状に延びている場合について説明した。しかし、この場合に限定されず、塵ガイド溝40は、軸線方向を主成分とする方向に直線状に延びていてもよい。例えば、塵ガイド溝40は、軸線方向に対して傾斜していてもよいし、又は湾曲しつつ軸線方向に延びていてもよい。また、塵ガイド溝40は、直線状に延びていなくてもよく、軸線方向に延びる部分の他に周方向に延びる部分を有してもよい。
【0059】
上記実施形態では、複数のラジアル吸塵通路32が互いに同じ形状及び同じ寸法を有し、且つ複数の塵ガイド溝40も互いに同じ形状及び同じ寸法を有する場合について説明した。しかし、この場合に限定されず、例えば、複数のラジアル吸塵通路32が互いに異なる形状及び異なる寸法を有し、且つ複数の塵ガイド溝40も互いに異なる形状及び異なる寸法を有してもよい。
【0060】
上記実施形態では、複数の吸塵口33は、それぞれ、互いに同じ形状及び同じ寸法を有し、対応する塵ガイド溝40に対して同じ位置に設けられる場合について説明した。しかし、この場合に限定されず、例えば、複数の吸塵口33は、それぞれ、互いに異なる形状及び異なる寸法を有し、対応する塵ガイド溝40に対して異なる位置に設けられてもよい。
【0061】
上記実施形態では、吸塵口33が径方向から見て真円形状である場合について説明した。また、上記第1変形例では、吸塵口33が径方向から見て
図5に示すようなU字形状である場合について説明した。しかし、これらの場合に限定されず、吸塵口33は、例えば、径方向から見て半円形状であってもよいし、又は楕円形状であってもよい。なお、ラジアル吸塵通路32が、その流路断面が真円形状であり且つ軸線方向から見て径方向に対して傾斜していることで、ラジアル吸塵通路32が径方向から見て楕円形状であってもよい。
【0062】
上記実施形態では、複数の吸塵口33の面積の和が、アキシャル吸塵通路60の横断面積に等しい場合について説明した。しかし、この場合に限定されず、複数の吸塵口33の面積の和が、アキシャル吸塵通路60の横断面積より大きくてもよいし、又は小さくてもよい。
【0063】
上記実施形態では、ラジアル吸塵通路32の流路断面が真円形状である場合について説明した。しかし、この場合に限定されず、例えば、ラジアル吸塵通路32の流路断面が楕円形状であってもよい。
【0064】
上記実施形態では、ビットシャフト部30が、ラジアル吸塵通路32及び塵ガイド溝40をそれぞれ2つ含む場合について説明した。しかし、この場合に限定されず、ビットシャフト部30おけるラジアル吸塵通路32及び塵ガイド溝40の数は、それぞれ1つでもよいし、3つ以上でもよい。
【0065】
上記実施形態では、ビット先端部10及びビットシャフト部30が互いに接合される場合について説明した。しかし、この場合に限定されず、ビット先端部10及びビットシャフト部30は、金属を一体加工してなるものであってもよい。
【0066】
上記実施形態では、ビット先端部10が3つの切刃部11を有する場合について説明した。しかし、この場合に限定されず、切刃部11の数は、1つであってもよいし、2つであってもよいし、4つ以上であってもよい。好ましくは、切刃部11の数は、4つ以下である。より好ましくは、切刃部11の数は、3つ以下である。
【0067】
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、前記実施形態を説明した。しかし、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施形態にも適用可能である。また、前記実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施形態とすることも可能である。例えば、1つの実施形態中の一部の構成又は方法を他の実施形態に適用してもよく、実施形態中の一部の構成は、その実施形態中の他の構成から分離して任意に抽出可能である。また、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、前記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれる。
【0068】
以下の項目のそれぞれは、好ましい実施形態の開示である。
【0069】
[項目1]
ビットシャフト部と、前記ビットシャフト部の軸線方向の先端側に設けられ且つ切刃部を有するビット先端部と、を備えたドリルビットであって、
前記ビットシャフト部は、
前記軸線方向に延びたアキシャル吸塵通路と、
前記アキシャル吸塵通路に連通し、前記軸線方向に直交する径方向の外方に開口する吸塵口を有するラジアル吸塵通路と、
前記ビットシャフト部の外周面に設けられ且つ前記吸塵口が配置された塵ガイド溝であって、前記軸線方向の前記先端側に開口した導入開口を有する塵ガイド溝と、を含み、
前記軸線方向の前記先端側から見たときに前記ビットシャフト部の軸線を中心とし且つ前記切刃部の前記径方向の外端を通る第1仮想円と、前記導入開口の前記径方向の内端と、の間の前記径方向の距離は、前記径方向から見て前記吸塵口に内包される仮想円のうち最大面積の第2仮想円の直径よりも短い、吸塵ドリルビット。
[項目2]
ビットシャフト部と、前記ビットシャフト部の軸線方向の先端側に設けられ且つ切刃部を有するビット先端部と、を備えたドリルビットであって、
前記ビットシャフト部は、
前記軸線方向に延びたアキシャル吸塵通路と、
前記アキシャル吸塵通路に連通し、前記軸線方向に直交する径方向の外方に開口する吸塵口を有するラジアル吸塵通路と、
前記ビットシャフト部の外周面に設けられ且つ前記吸塵口が配置された塵ガイド溝であって、前記軸線方向の前記先端側に開口した導入開口を有する塵ガイド溝と、を含み、
前記軸線方向の前記先端側から見たときに前記ビットシャフト部の軸線を中心とし且つ前記切刃部の前記径方向の外端を通る第1仮想円と、前記導入開口の前記径方向の内端と、の間の前記径方向の距離は、前記導入開口における前記塵ガイド溝の幅寸法よりも小さい、吸塵ドリルビット。
[項目3]
前記導入開口における前記塵ガイド溝の深さ寸法は、前記導入開口における前記塵ガイド溝の幅寸法よりも小さい、項目1又は2に記載の吸塵ドリルビット。
[項目4]
前記ビットシャフト部は、前記軸線方向の前記先端側に向いた端面を有し、
前記ビット先端部は、前記ビットシャフト部の前記端面を部分的に露出させるように前記ビットシャフト部の前記端面に接合されており、
前記導入開口は、前記ビットシャフト部の前記端面の露出領域に配置されている、項目1乃至3のいずれかに記載の吸塵ドリルビット。
[項目5]
前記軸線方向の前記先端側から見て、前記導入開口は、前記ビット先端部から離れている、項目4に記載の吸塵ドリルビット。
[項目6]
前記塵ガイド溝は、前記軸線方向から見て円弧形状を有する、項目1乃至5のいずれかに記載の吸塵ドリルビット。
[項目7]
前記ビットシャフト部は、前記ラジアル吸塵通路及び前記塵ガイド溝をそれぞれ複数含み、
複数の前記吸塵口の面積の和は、前記アキシャル吸塵通路の横断面積に等しい、項目1乃至6のいずれかに記載の吸塵ドリルビット。
[項目8]
前記吸塵口は、前記軸線方向において、前記ビット先端部から離れている、請求項1乃至7のいずれかに記載の吸塵ドリルビット。
[項目9]
前記塵ガイド溝は、前記軸線方向に延びている、請求項1乃至8のいずれかに記載の吸塵ドリルビット。
[項目10]
前記塵ガイド溝の幅寸法は、前記吸塵口の前記第2仮想円の直径以上である、請求項1乃至9のいずれかに記載の吸塵ドリルビット。
[項目11]
前記ラジアル吸塵通路の流路断面は、真円形状を有する、請求項1乃至10のいずれかに記載の吸塵ドリルビット。
【符号の説明】
【0070】
1A乃至1E 吸塵ドリルビット
10 ビット先端部
11 切刃部
30 ビットシャフト部
31a 端面
32 ラジアル吸塵通路
33 吸塵口
40 塵ガイド溝
41 導入開口
60 アキシャル吸塵通路
AX 軸線
C1 仮想円(第1仮想円)
C2 仮想円(第2仮想円)
D 直径(第2仮想円の直径)
L 距離
d 深さ寸法
W 幅寸法