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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177892
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】カードレール
(51)【国際特許分類】
   A47F 5/00 20060101AFI20241217BHJP
   A47F 3/04 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
A47F5/00 E
A47F3/04 L
A47F3/04 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096284
(22)【出願日】2023-06-12
(71)【出願人】
【識別番号】000239585
【氏名又は名称】フクシマガリレイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148138
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡
(72)【発明者】
【氏名】木下 侑也
【テーマコード(参考)】
3B110
3B118
【Fターム(参考)】
3B110AA12
3B110CA11
3B118FA12
3B118FA15
(57)【要約】
【課題】カードホルダーが商品の載置面よりも上方に突出する上姿勢と、商品の載置面よりも下方に位置する下姿勢とに姿勢変位可能に構成されたカードレールにおいて、カードホルダーが上姿勢或いは下姿勢のいずれの姿勢であっても、情報カードを前方から読み取ることができるようにする。
【解決手段】カードレールは、商品陳列棚7の前端部に取り付けられる装着部29と、情報カード30を保持するカードホルダー31と、装着部29に対してカードホルダー31を上姿勢と下姿勢とに姿勢変位可能に支持するヒンジ構造32とを備える。ヒンジ構造32は、装着部29に連結されて左右方向に伸びる第1のヒンジ48と、カードホルダー31の上端に連結されて左右方向に伸びる第2のヒンジ49と、両ヒンジ48・49を接続するヒンジベース50とを備える、平行2軸ヒンジで構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品陳列棚(7)の前端部に取り付けられる装着部(29)と、商品情報が記載された情報カード(30)を保持するカードホルダー(31)と、装着部(29)に対してカードホルダー(31)を支持するヒンジ構造(32)とを備え、
カードホルダー(31)が、ヒンジ構造(32)により情報カード(30)の表示面の少なくとも一部が商品陳列棚(7)の載置面(21)より上方に突出する上姿勢と、情報カード(30)の全体が商品陳列棚(7)の載置面(21)よりも下方に位置する下姿勢との間で変位可能に構成されているカードレールにおいて、
ヒンジ構造(32)が、装着部(29)に連結されて左右方向に伸びる第1のヒンジ(48)と、カードホルダー(31)の上端に連結されて左右方向に伸びる第2のヒンジ(49)と、両ヒンジ(48・49)を接続するヒンジベース(50)とを備える、平行2軸ヒンジで構成されていることを特徴とするカードレール。
【請求項2】
カードホルダー(31)は、情報カード(30)を保持するホルダー本体(41)と、ホルダー本体(41)の後面から後方に突設される懸架壁(42)とを備えており、
装着部(29)の第1のヒンジ(48)との連結基部には、懸架壁(42)の先端を係止する係止段部(51)が形成されており、
第2のヒンジ(49)が第1のヒンジ(48)よりも上方に位置する状態で、懸架壁(42)の先端を係止段部(51)に係止させることで、第1と第2のヒンジ(48・49)まわりの回動が規制されて、カードホルダー(31)が上姿勢に維持されるように構成されている請求項1に記載のカードレール。
【請求項3】
係止段部(51)に対する懸架壁(42)の係止を解除したとき、カードホルダー(31)とヒンジベース(50)とが自重で垂下することにより、カードホルダー(31)が下姿勢となるように構成されている請求項2に記載のカードレール。
【請求項4】
第1と第2のヒンジ(48・49)が、樹脂ヒンジで構成されている請求項1から3のいずれかひとつに記載のカードレール。
【請求項5】
装着部(29)とカードホルダー(31)とヒンジ構造(32)とが、樹脂を素材とする一体成形品とされている請求項4に記載のカードレール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ショーケース等の商品陳列棚の前端部に取り付けられ、商品情報が記載された情報カード等を保持するカードレールに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明のカードレールは、商品陳列棚に載置された商品の前方への落下を防止する落下防止具を兼ねており、さらに情報カードを保持するカードホルダーの位置を商品補充時に邪魔にならない姿勢へと変位させることができるが、この種のカードレールの従来例としては、例えば特許文献1(発明の名称:棚装置)を挙げることができる。特許文献1のカードレールは、情報カード(商品表示カード)を保持するカードホルダー(装飾板)と、カードホルダーの左右の端部に固定される係止片とを備える。係止片のそれぞれには、L字形状のスリットが設けられており、各係止片は、このスリットを介して商品陳列棚(棚板)の側面にねじ込まれるネジにより商品陳列棚に連結されている。カードレールはネジを中心にして回動可能とされている。
【0003】
カードレールは、カードホルダーが商品陳列棚の上面よりも上方に突出する姿勢(以下、「上姿勢」という)と、商品陳列棚の上面よりも下方にある位置(以下、「下姿勢」という)との間で姿勢変位可能である。具体的には、上姿勢にある状態から、作業者がカードホルダーを上側に持ち上げ、カードホルダーを手前側へと引き出し、さらにカードホルダーをネジまわりに下側に回動させることで、下姿勢へ変位させることができる。また、下姿勢にある状態から、作業者がカードホルダーをネジまわりに上側へと回動させ、カードホルダーを奥側へと押込み、さらにカードホルダーを下側に押し下げることで、上姿勢へ変位させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実願昭49-58866号(実開昭50-146498号)のマイクロフィルム
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のカードレールでは、カードホルダーを上姿勢とすることで、カードホルダーで情報カードを保持しながら、商品陳列棚上の商品をカードホルダーで受け止めて、商品陳列棚から商品が落下することを防ぐことができる。また、カードホルダーを下姿勢とすることで、カードホルダーが邪魔になることなく商品陳列棚上に商品を補充すること、或いは商品陳列棚上から商品を取り出すことができる。しかし、カードホルダーが下姿勢にあるときは、情報カードは下方に指向しているため、購入者は情報カードに記載の商品情報を読み取ることはできない。また、商品の補充後に、作業者がカードホルダーの上姿勢への変位を失念して、カードホルダーが下姿勢に維持された場合にも、購入者は情報カードに記載の商品情報を読み取ることはできない。
【0006】
本発明の目的は、カードホルダーが商品の載置面よりも上方に突出する上姿勢と、商品の載置面よりも下方に位置する下姿勢とに変位可能に構成されたカードレールにおいて、カードホルダーが上姿勢或いは下姿勢のいずれの姿勢にある場合でも、情報カードに記載された商品情報を前方から読み取ることができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、商品陳列棚7の前端部に取り付けられる装着部29と、商品情報が記載された情報カード30を保持するカードホルダー31と、装着部29に対してカードホルダー31を支持するヒンジ構造32とを備え、カードホルダー31が、ヒンジ構造32により情報カード30の表示面の少なくとも一部が商品陳列棚7の載置面21より上方に突出する上姿勢と、情報カード30の全体が商品陳列棚7の載置面21よりも下方に位置する下姿勢との間で変位可能に構成されているカードレールを対象とする。ヒンジ構造32は、装着部29に連結されて左右方向に伸びる第1のヒンジ48と、カードホルダー31の上端に連結されて左右方向に伸びる第2のヒンジ49と、両ヒンジ48・49を接続するヒンジベース50とを備える、平行2軸ヒンジで構成されていることを特徴とする。
【0008】
カードホルダー31は、情報カード30を保持するホルダー本体41と、ホルダー本体41の後面から後方に突設される懸架壁42とを備えている。装着部29の第1のヒンジ48との連結基部には、懸架壁42の先端を係止する係止段部51が形成されている。そして、第2のヒンジ49が第1のヒンジ48よりも上方に位置する状態で、懸架壁42の先端を係止段部51に係止させることで、第1と第2のヒンジ48・49まわりの回動が規制されて、カードホルダー31が上姿勢に維持されるように構成されている。
【0009】
係止段部51に対する懸架壁42の係止を解除したとき、カードホルダー31とヒンジベース50とが自重で垂下することにより、カードホルダー31が下姿勢となるように構成されている。
【0010】
第1と第2のヒンジ48・49は、樹脂ヒンジで構成されている。
【0011】
装着部29とカードホルダー31とヒンジ構造32とが、樹脂を素材とする一体成形品とされている。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るカードレールのように、ヒンジ構造32が、装着部29に連結されて左右方向に伸びる第1のヒンジ48と、カードホルダー31の上端に連結されて左右方向に伸びる第2のヒンジ49と、両ヒンジ48・49を接続するヒンジベース50とを備える、平行2軸ヒンジで構成されていると、カードホルダー31の前方への指向面を変更することなく、上姿勢と下姿勢との間でカードホルダー31の姿勢を変位させることができる。
【0013】
より詳しくは、本発明に係るカードレールにおいては、図1に示すように、第1のヒンジ48を介して装着部29から上方に向かうようにヒンジベース50を起立させるとともに、第2のヒンジ49を介してヒンジベース50の上端から斜め下方に向かうようにカードホルダー31を下り傾斜させることで、カードホルダー31を上姿勢とすることができ、また、図3に示すように、第1のヒンジ48を介して装着部29から下方に向かうようにヒンジベース50を下り傾斜させるとともに、第2のヒンジ49を介してヒンジベース50の下端から下方に向かうようにカードホルダー31を略垂直姿勢とすることで、カードホルダー31を下姿勢とすることができる。そのうえで、本発明に係るカードレールにおいては、装着部29に対してカードホルダー31を支持するヒンジ構造32を平行2軸ヒンジで構成したので、上姿勢から下姿勢への変位時、或いは下姿勢から上姿勢への変位時において、第1ヒンジ48と第2ヒンジ49のそれぞれを逆方向に回転させることで、カードホルダー31の前面に指向する面を同一の面とすることができる。より具体的には、図1の上姿勢から図3の下姿勢への変位時には、第1ヒンジ48を反時計方向に回転させるとともに、第2ヒンジ49を時計方向に回転させることで、カードホルダー31の前方への指向面を変更することなく、カードホルダー31の姿勢を変位させることができる。また、図3の下姿勢から図1の上姿勢への変位時には、第1ヒンジ48を時計方向に回転させるとともに、第2ヒンジ49を反時計方向に回転させることで、カードホルダー31の前方への指向面を変更することなく、カードホルダー31の姿勢を変位させることができる。以上より、本発明に係るカードレールでは、上下の両姿勢において、商品情報が記載された情報カード30の表示面を前方に指向させることができるので、購入者は、上下の両姿勢において情報カード30に記載された商品情報を前方から読み取ることが可能となる。
【0014】
カードホルダー31は、情報カード30を保持するホルダー本体41と、ホルダー本体41の後面から後方に突設される懸架壁42とを備えるものとし、装着部29の第1のヒンジ48との連結基部に、懸架壁42の先端を係止する係止段部51が形成されており、第2のヒンジ49が第1のヒンジ48よりも上方に位置する状態で、懸架壁42の先端を係止段部51に係止させることで、第1と第2のヒンジ48・49まわりの回動が規制されて、カードホルダー31が上姿勢に維持されるように構成することができる。これによれば、懸架壁42の先端を係止段部51に係止させる簡単な構造で、カードホルダー31を上姿勢に維持することができ、カードレールの構造を簡素化することができる。また、懸架壁42の先端を係止段部51に係止させる簡単な操作でカードホルダー31を上姿勢に維持することができるので、姿勢変位に伴う作業者の手間を軽減することができる。
【0015】
係止段部51に対する懸架壁42の係止を解除したとき、カードホルダー31とヒンジベース50とが自重で垂下することにより、カードホルダー31が下姿勢となるように構成されていると、カードホルダー31を下姿勢に維持するための専用の構造を設ける必要がなく、カードレールの構造を簡素化することができる。
【0016】
第1と第2のヒンジ48・49が樹脂ヒンジで構成されていると、両ヒンジ48・49を平蝶番や旗丁番などの金属製ヒンジで構成する場合に比べて、各ヒンジ48・49のコストを抑えることができるので、カードレールの全体コストを抑えることができる。
【0017】
装着部29とカードホルダー31とヒンジ構造32とが、樹脂を素材とする一体成形品とされていると、例えば押出成形機を使用した2色成形を行うことでカードレールを比較的容易に得ることができるので、カードレールの全体コストをより抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係るカードレールを商品陳列棚に取り付けた状態を示す縦断側面図であり、カードホルダーが上姿勢にある状態を示している。
図2】カードレールを備える冷蔵オープンショーケースの縦断側面図である。
図3】カードレールを商品陳列棚に取り付けた状態を示す縦断側面図であり、カードホルダーが下姿勢にある状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(実施形態) 本発明に係るカードレールを冷蔵オープンショーケースの商品陳列棚に適用した実施形態を示す。本実施形態における前後、左右、上下とは、図1及び図2に示す交差矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。図2に示すように冷蔵オープンショーケースは、前面に開口を有する断熱箱体からなるケース本体1と、ケース本体1の下面を支持する基台2とを備える。ケース本体1で囲まれる庫内3は、側面視コ字状の内ケース4により陳列室5と循環通路6とに区画されている。前方へ開口する陳列室5には、陳列対象である食品や飲料などの商品を載置するための商品陳列棚7が上下多段状に設置されている。本実施形態におけるショーケースでは、計3段の商品陳列棚7が設置されており、各商品陳列棚7に本発明に係るカードレール8が取り付けられている。
【0020】
循環通路6は、陳列室5を三方から取り囲むように側面視コ字状に形成されている。この循環通路6には、同通路6内に空気流を形成するための循環ファン11と、同通路6を流れる空気を冷却するための蒸発器12とが設けられている。循環通路6の上部前端には下向きの吹出口13が設けられ、同通路6の下部前端には上向きの吸込口14が設けられている。循環ファン11が駆動することにより、蒸発器12で冷却された冷気が吹出口13から吸込口14へ下向きに吹き出されて、陳列室5の前面に冷気のエアカーテンが形成される。このエアカーテンは、陳列室5内の空気を冷却するとともに、陳列室5への外気の侵入を遮断する。基台2内に形成された機械室15には、圧縮機16、凝縮器17、凝縮器ファン18などが設置されている。
【0021】
図1に示すように商品陳列棚7は、上面が載置面21とされる棚本体22と、棚本体22の前端部に形成されるレール取付枠23などを備える。図2に示すように、棚本体22は、下面が開口する上下に偏平な四角箱状に形成されており、左右一対のブラケット24でケース本体1に支持されている。レール取付枠23は、垂直壁からなる縦枠25と、縦枠25の下端に連設される水平壁からなる横枠26とで断面L字状に形成されており、縦枠25が棚本体22の前端面と隙間を介して正対するように、横枠26の先端が棚本体22の前端下部に固定されている。また、レール取付枠23は、棚本体22の左右にわたって設けられており、棚本体22の前端部には、棚本体22の前端面と縦枠25と横枠26とで囲まれる取付溝27が形成されている。レール取付枠23は、商品陳列棚7の前端部を補強するために設けられる補強枠22aで構成されており、棚本体22の前端面よりも前方に位置する補強枠22a部分がレール取付枠23とされている。
【0022】
カードレール8は左右方向に一定の断面を持つ長尺体からなる。図1及び図3に示すようにカードレール8は、レール取付枠23(商品陳列棚7の前端部)に取り付けられる装着部29と、商品の名称や価格等の情報が記載された情報カード30が保持されるカードホルダー31と、装着部29に対してカードホルダー31を支持するヒンジ構造32などを備える。装着部29は、取付溝27に嵌め込まれる断面折線状の嵌入壁35と、嵌入壁35の上端寄りから前向きに突設される上カバー壁36と、上カバー壁36の前端から下向きに延設される前カバー壁37と、嵌入壁35の上端から後向きに設けられる上規制壁38と、前カバー壁37の下端から後斜め下向きに設けられる下規制壁39とを備える。嵌入壁35の前後方向の幅寸法は、取付溝27の前後方向の溝幅寸法と略同一に設定されている。嵌入壁35の前端と前カバー壁37の後面との対向隙間は、レール取付枠23の縦枠25の厚み寸法と略同一に設定されている。
【0023】
カードホルダー31は、情報カード30を保持するホルダー本体41と、ホルダー本体41の後面から後方に突設された懸架壁42とを備える。ホルダー本体41は、情報カード30を前後から挟持する前後の挟持壁43・44と、両挟持壁43・44の下端どうしを繋ぐ底壁45とで形成されており、懸架壁42は後挟持壁44から後向きに突設されている。前挟持壁43は後挟持壁44よりも僅かに短く形成されており、前後の挟持壁43・44の対向隙間は、下方に行くにしたがって幅が広くなるように構成されている。
【0024】
ヒンジ構造32は、装着部29に連結されて左右方向に伸びる第1のヒンジ48と、カードホルダー31の上端に連結されて左右方向に伸びる第2のヒンジ49と、両ヒンジ48・49を接続するヒンジベース50とを備える、平行2軸ヒンジで構成されている。ヒンジベース50は左右に長い平板状に形成されており、各ヒンジ48・49は、左右に長い帯状の樹脂ヒンジとして構成されている。
【0025】
第1のヒンジ48の短手方向の一端は装着部29の嵌入壁35の上端に連結され、短手方向の他端はヒンジベース50の端部に連結されており、当該第1のヒンジ48を介して、ヒンジベース50は、装着部29に対して第1のヒンジ48まわりに回動することができる。第2のヒンジ49の短手方向の一端はカードホルダー31の後挟持壁44の上端に連結され、短手方向の他端はヒンジベース50の端部に連結されており、当該第2のヒンジ49を介して、カードホルダー31は、ヒンジベース50に対して第2のヒンジ49まわりに回動することができる。
【0026】
装着部29とカードホルダー31とヒンジベース50は、両ヒンジ48・49を形成する樹脂素材よりも硬質の樹脂素材により構成される。具体的には、上記要素(装着部29、カードホルダー31、ヒンジベース50、両ヒンジ48・49)を含むカードレール8は、押出成形機を使用した2色成形により、各要素を構成する樹脂を一体的に形成した押出し成形品により形成される。長尺な押出し成形品を所定の長さ寸法にカットして形成することもできる。各ヒンジ48・49は、ヒンジ特性を有するポリプロピレン(PP)で形成された樹脂ヒンジである。装着部29、カードホルダー31、及びヒンジベース50は、透明性が高く強度に優れたグリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PET-G)で形成される。
【0027】
商品陳列棚7に対してカードレール8は、取付溝27に嵌入壁35を差し込むことにより装着される。具体的には、取付溝27の上方において、同溝27と嵌入壁35とを位置合わせしたうえで、装着部29を商品陳列棚7に向かって下向きに移動させて、取付溝27に嵌入壁35を差し込む。このとき、下規制壁39の先端が縦枠25の前面に当接して、前カバー壁37の下側が前方向に撓み変形した状態で嵌入壁35が取付溝27に差し込まれる。取付溝27に対して嵌入壁35を差し込んでいくと、やがて上規制壁38の下面が載置面21に当接するとともに、上カバー壁36の下面が縦枠25の上端に当接する。また、撓み変形していた前カバー壁37は、縦枠25に対する下規制壁39の当接が解除されて復元する。以上の手順により、カードレール8を商品陳列棚7に取り付けることができる。
【0028】
商品陳列棚7にカードレール8を取り付けたとき、レール取付枠23に対する装着部29の前後方向の移動は、嵌入壁35が取付溝27に嵌り、嵌入壁35と前カバー壁37との間に縦枠25が差し込まれることにより規制される。一方、レール取付枠23に対する装着部29の上下方向の移動は、上規制壁38が載置面21で受け止められるとともに、上カバー壁36が縦枠25の上端で受け止められることにより下方向への移動が規制され、下規制壁39が横枠26で受止められることにより上方向への移動が規制される。なお、レール取付枠23に対する装着部29の左右方向の移動は、嵌入壁35と取付溝27との間の摩擦、嵌入壁35と縦枠25との間の摩擦、及び前カバー壁37と縦枠25との間の摩擦により規制される。以上より、カードレール8は、商品陳列棚7に前後、上下、左右のそれぞれの方向に移動が規制された状態で取り付けられる。レール取付枠23の縦枠25の外側面は、上カバー壁36及び前カバー壁37で覆われる。
【0029】
商品陳列棚7に取り付けられたカードレール8は、そのカードホルダー31が、情報カード30の表示面が前方に指向する状態で少なくとも一部が商品陳列棚7の載置面21より上方に突出する上姿勢(図1参照)と、全体が商品陳列棚7の載置面21よりも下方に位置する下姿勢(図3参照)とにヒンジ構造32で姿勢変位可能に支持される。具体的には、図1に示すように、第2のヒンジ49が第1のヒンジ48よりも上方に位置する状態で、懸架壁42の先端を係止段部51に係止することで、カードホルダー31を上姿勢とすることができる。このとき、ヒンジベース50は、装着部29の上方において第1のヒンジ48を介して起立している。一方、カードホルダー31は、ヒンジベース50の前方において第2のヒンジ49を介して前方に下り傾斜している。
【0030】
図1において、カードホルダー31が上姿勢にあるとき、カードホルダー31は、その懸架壁42が係止段部51に係止されているため、第1のヒンジ48を介して装着部29に連結されたヒンジベース50は、ヒンジベース50及びカードホルダー31の自重で第1のヒンジ48まわりに左まわり(反時計方向)に回動しようとする。一方、第2のヒンジ49を介してヒンジベース50に連結されたカードホルダー31は、その自重で第2のヒンジ49まわりに左まわり(反時計方向)に回動しようとする。しかし、これらヒンジベース50に作用する第1のヒンジ48まわりの回動モーメント、及びカードホルダー31に作用する第2のヒンジ49まわりの回動モーメントは、懸架壁42の先端が係止段部51に押付けられることにより突っ張り状に受け止められる。以上より、各ヒンジ48・49まわりの回動は規制され、カードホルダー31は上姿勢に維持される。このようにカードホルダー31が上姿勢にあるとき、ヒンジベース50とカードホルダー31の上半部は載置面21よりも上方にある。また、このようにヒンジベース50とカードホルダー31の上半部が載置面21よりも上方にあると、これらヒンジベース50等により載置面21上の商品を受け止めることができる。したがって、カードレール8は、商品陳列棚7に載置された商品の前方への落下を防止する落下防止具として機能する。
【0031】
カードホルダー31が上姿勢にある状態から、係止段部51から懸架壁42を分離させて係止状態を解除すると、各ヒンジ48・49まわりの回動の規制が解除されて、カードホルダー31は下姿勢へ変位する。具体的には、図1の状態からカードホルダー31を手指で掴み持ち、前方へ移動させるなどして係止段部51による懸架壁42に対する係止状態を解除すると、カードホルダー31は、第1と第2のヒンジ48・49まわりに回動できるようになる。さらに、カードホルダー31を下側に移動させると、第1のヒンジ48まわりにヒンジベース50が左まわり(反時計方向)に回動し、第2のヒンジ49まわりにカードホルダー31が右まわり(時計方向)に回動して、カードホルダー31は図3に示す下姿勢へと変位される。
【0032】
図3に示すように、カードホルダー31が下姿勢にあるとき、第2のヒンジ49が第1のヒンジ48よりも下方に位置している。また、カードホルダー31が下姿勢にあるとき、ヒンジベース50は、係止段部51の先端で受け止められている。ヒンジベース50は、装着部29の前方において前方に下り傾斜しており、ヒンジベース50の下方においてカードホルダー31のホルダー本体41は略垂直姿勢となっている。
【0033】
図3において、カードホルダー31が下姿勢にあるとき、ヒンジベース50は、装着部29に対して自重で第1のヒンジ48まわりに回動して係止段部51の前端で受け止められている。一方、カードホルダー31は、ヒンジベース50に対して第2のヒンジ49まわりに自重で垂下している。以上より、ヒンジベース50及びカードホルダー31は、その自重により下姿勢に維持される。下姿勢にあるときカードホルダー31を載置面21よりも下方に配することができるので、作業者はカードホルダー31に邪魔されることなく、商品陳列棚7上に商品を補充することができる。下姿勢においても情報カード30の表示面は前方に指向しているため、商品の補充時でも購入者は情報カード30の表示面に記載された商品情報を読み取ることができる。
【0034】
以上のように、本実施形態のカードレール8においては、ヒンジ構造32を第1と第2のヒンジ48・49まわりに回動できる平行2軸ヒンジで構成したので、上姿勢から下姿勢への変位時、或いは下姿勢から上姿勢への変位時において、第1ヒンジ48と第2ヒンジ49とを逆方向に回転させることで、カードホルダー31の前面に指向する面を同一の面とすることができる。具体的には、図1の上姿勢から図3の下姿勢への変位時には、第1ヒンジ48を反時計方向に回転させるとともに、第2ヒンジ49を時計方向に回転させることで、カードホルダー31の前面への指向面を変更することなく、カードホルダー31の姿勢を変位させることができる。また、図3の下姿勢から図1の上姿勢への変位時には、第1ヒンジ48を時計方向に回転させるとともに、第2ヒンジ49を反時計方向に回転させることで、カードホルダー31の前面への指向面を変更することなく、カードホルダー31の姿勢を変位させることができる。以上より、本実施形態に係るカードレール8では、上下の両姿勢において、商品情報が記載された情報カード30の表示面を前方に指向させることができるので、購入者は、両姿勢において情報カード30に記載された商品情報を前方から読み取ることが可能となる。因みに、ヒンジ構造を1軸ヒンジとした場合には、左右方向に伸びるヒンジ軸を中心にしてカードホルダー31を回転させたとき、その回転前後において、前方に指向する面は必ず反転されることとなる。
【0035】
ホルダー本体41の後面から後方に懸架壁42を突設し、装着部29の第1のヒンジ48との連結基部に、懸架壁42の先端を係止する係止段部51を形成し、第2のヒンジ49が第1のヒンジ48よりも上方に位置する状態で、懸架壁42の先端を係止段部51に係止させることで、第1と第2のヒンジ48・49まわりの回動が規制されて、カードホルダー31が上姿勢に維持されるようにしたので、懸架壁42の先端を係止段部51に係止させる簡単な構造で、カードホルダー31を上姿勢に維持することが可能となり、カードレール8の構造を簡素化することができる。また、懸架壁42の先端を係止段部51に係止させる簡単な操作でカードホルダー31を上姿勢に維持することができるので、姿勢変位に伴う作業者の手間を軽減することができる。
【0036】
係止段部51に対する懸架壁42の係止を解除したとき、カードホルダー31とヒンジベース50とが自重で垂下することにより、カードホルダー31が下姿勢となるように構成したので、カードホルダー31を下姿勢に維持するための専用の構造を設ける必要がなく、カードレール8の構造を簡素化することができる。
【0037】
第1と第2のヒンジ48・49を樹脂ヒンジで構成したので、両ヒンジ48・49を平蝶番や旗丁番などの金属製ヒンジで構成する場合に比べて、各ヒンジ48・49のコストを削減して、カードレール8の全体コストを抑えることができる。
【0038】
装着部29とカードホルダー31とヒンジ構造32とを、樹脂を素材とする一体成形品としたので、例えば押出成形機を使用した2色成形を行うことでカードレールを比較的容易に得ることができ、カードレール8の全体コストをより抑えることができる。
【0039】
上記実施形態では、装着部29、カードホルダー31、及びヒンジ構造32を一体的に形成した成形品で構成したが、樹脂ヒンジからなる第1と第2のヒンジ48・49は接着或いは締結により連結することができる。第1と第2のヒンジ48・49は、可撓性を有する比較的軟質の樹脂素材で形成することができる。第1と第2のヒンジ48・49は、平蝶番や旗丁番などの金属ヒンジで構成することもできる。
【符号の説明】
【0040】
7 商品陳列棚
8 カードレール
21 載置面
29 装着部
30 情報カード
31 カードホルダー
32 ヒンジ構造
41 ホルダー本体
42 懸架壁
48 第1のヒンジ
49 第2のヒンジ
50 ヒンジベース
51 係止段部
図1
図2
図3