IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トーハツ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-消火用可搬式ポンプ 図1
  • 特開-消火用可搬式ポンプ 図2
  • 特開-消火用可搬式ポンプ 図3
  • 特開-消火用可搬式ポンプ 図4
  • 特開-消火用可搬式ポンプ 図5
  • 特開-消火用可搬式ポンプ 図6
  • 特開-消火用可搬式ポンプ 図7
  • 特開-消火用可搬式ポンプ 図8
  • 特開-消火用可搬式ポンプ 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177898
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】消火用可搬式ポンプ
(51)【国際特許分類】
   A62C 25/00 20060101AFI20241217BHJP
【FI】
A62C25/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096294
(22)【出願日】2023-06-12
(71)【出願人】
【識別番号】000109945
【氏名又は名称】トーハツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099612
【弁理士】
【氏名又は名称】菊池 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100064469
【弁理士】
【氏名又は名称】菊池 新一
(74)【代理人】
【識別番号】100073450
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 英俊
(72)【発明者】
【氏名】長谷部 納武起
(57)【要約】
【課題】 電動モーターを使用して電気的な制御を可能としつつ、軽量化を達成して適切な可搬性を確保する。
【解決手段】 消火用水を放水する搬送可能な消火用可搬式ポンプ10は、電動モーターにより駆動するポンプユニット12と、このポンプユニット12とは別体であってポンプユニット12に電力を供給するバッテリーユニット14とに分割されル。ポンプユニット12とバッテリーユニット14とはポンプユニット12及びバッテリーユニット14に着脱自在な電気的接続手段により電気的に接続され、この電気的接続手段によりポンプユニット12とバッテリーユニット14との間で電力の供給及び制御のための信号の送受信をすることができる。ポンプユニット12には、ポンプユニット12の移動を可能とするキャスター38が設けられている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
消火用水を放水する搬送可能な消火用可搬式ポンプであって、
前記消火用可搬式ポンプは、電動モーターにより駆動するポンプユニットと、前記ポンプユニットとは別体であって前記ポンプユニットに電力を供給するバッテリーユニットとに分割され、
前記ポンプユニットと前記バッテリーユニットとは前記ポンプユニット及び前記バッテリーユニットに着脱自在な電気的接続手段により電気的に接続され、
前記電気的接続手段により前記ポンプユニットと前記バッテリーユニットとの間で電力の供給及び制御のための信号の送受信をすることができることを特徴とする消火用可搬式ポンプ。
【請求項2】
消火用水を放水する搬送可能な消火用可搬式ポンプであって、
前記消火用可搬式ポンプは、電動モーターにより駆動するポンプユニットと、前記ポンプユニットとは別体であって前記ポンプユニットに電力を供給するバッテリーユニットとに分割され、
前記ポンプユニットには、前記ポンプユニットの移動を可能とするキャスターが設けられていることを特徴とする消火用可搬式ポンプ。
【請求項3】
消火用水を放水する搬送可能な消火用可搬式ポンプであって、
前記消火用可搬式ポンプは、電動モーターにより駆動するポンプユニットと、前記ポンプユニットとは別体であって前記ポンプユニットに電力を供給するバッテリーユニットとに分割され、
前記ポンプユニットには、前記ポンプユニットを移動させる際に把持することができるキャリングハンドルが取り付けられていることを特徴とする消火用可搬式ポンプ。
【請求項4】
消火用水を放水する搬送可能な消火用可搬式ポンプであって、
前記消火用可搬式ポンプは、電動モーターにより駆動するポンプユニットと、前記ポンプユニットとは別体であって前記ポンプユニットに電力を供給するバッテリーユニットとに分割され、
前記ポンプユニットには、前記ポンプユニットの移動を可能とするキャスターが設けられると共に、前記ポンプユニットを移動させる際に把持することができるキャリングハンドルが取り付けられていることを特徴とする消火用可搬式ポンプ。
【請求項5】
請求項3又は請求項4のいずれかに記載された消火用可搬式ポンプであって、前記キャリングハンドルは、前記ポンプユニットに着脱自在に取り付けられていることを特徴とする消火用可搬式ポンプ。
【請求項6】
消火用水を放水する搬送可能な消火用可搬式ポンプであって、
前記消火用可搬式ポンプは、電動モーターにより駆動するポンプユニットと、前記ポンプユニットとは別体であって前記ポンプユニットに電力を供給するバッテリーユニットとに分割され、
前記ポンプユニットは、前記電動モーター及び前記ポンプユニットの電気的制御を行うコントローラーを冷却する冷却手段を有し、前記冷却手段は、前記消火用水の水源から取り込んだ水を冷却水として利用して、前記電動モーター及び前記コントローラーとを水冷することを特徴とする消火用可搬式ポンプ。
【請求項7】
消火用水を放水する搬送可能な消火用可搬式ポンプであって、
前記消火用可搬式ポンプは、電動モーターにより駆動するポンプユニットと、前記ポンプユニットとは別体であって前記ポンプユニットに電力を供給するバッテリーユニットとに分割され、
前記ポンプユニットは、前記電動モーター及び前記ポンプユニットの電気的制御を行うコントローラーを冷却する冷却手段を有し、前記冷却手段は、前記電動モーター及び前記コントローラーを支持する基台に設けられたベース冷却水路と、前記電動モーターの外周に設けられた冷却ジャケットに設けられ前記ベース冷却水路に連通するモーター冷却水路とを備え、前記ベース冷却水路及び前記モーター冷却水路内に、前記消火用水の水源から取り込んだ水を冷却水として通過させることにより、前記電動モーター及び前記コントローラーとを水冷することを特徴とする消火用可搬式ポンプ。
【請求項8】
請求項7に記載された消火用可搬式ポンプであって、前記電動モーターは前記基台に着脱自在に支持され、前記冷却ジャケットは前記電動モーターに着脱自在に取り付けられていることを特徴とする消火用可搬式ポンプ。
【請求項9】
消火用水を放水する搬送可能な消火用可搬式ポンプであって、
前記消火用可搬式ポンプは、電動モーターにより駆動するポンプユニットと、前記ポンプユニットとは別体であって前記ポンプユニットに電力を供給するバッテリーユニットとに分割され、
前記ポンプユニット内における流体の流路を開閉するチェックバルブが、電気的に開閉が制御される電磁弁式のチェックバルブであることを特徴とする消火用可搬式ポンプ。
【請求項10】
消火用水を放水する搬送可能な消火用可搬式ポンプであって、
前記消火用可搬式ポンプは、電動モーターにより駆動するポンプユニットと、前記ポンプユニットとは別体であって前記ポンプユニットに電力を供給するバッテリーユニットとに分割され、
前記ポンプユニットと前記バッテリーユニットとは前記ポンプユニット及び前記バッテリーユニットに着脱自在な電気的接続手段により電気的に接続され、
前記電気的接続手段により前記ポンプユニットと前記バッテリーユニットとの間で電力の供給及び制御のための信号の送受信をすることができ、
前記ポンプユニットに、前記バッテリーユニットから供給可能な電力の残量を表示する残量表示部が設けられていることを特徴とする消火用可搬式ポンプ。
【請求項11】
消火用水を放水する搬送可能な消火用可搬式ポンプであって、
前記消火用可搬式ポンプは、電動モーターにより駆動するポンプユニットと、前記ポンプユニットとは別体であって前記ポンプユニットに電力を供給するバッテリーユニットとに分割され、
前記ポンプユニットは、前記消火用水を放水する渦巻きポンプと、前記渦巻きポンプ内の空気を排出して前記消火用水の水源から前記消火用水を吸い上げて前記渦巻きポンプに前記消火用水を供給する真空ポンプとを備え、
前記真空ポンプは、前記消火用水の水源からの吸水時に、前記ポンプユニットに設けられた吸水スイッチの操作によるソレノイドの駆動により前記電動モーターからの動力が伝達されて、自動的に吸水を開始するように制御されていることを特徴とする消防用可搬式ポンプ。
【請求項12】
請求項11に記載された消火用可搬式ポンプにおいて、
前記ポンプユニットは、電源のオンとオフを制御する電源スイッチと、前記渦巻きポンプを開放するディスチャージバルブを開放すべきタイミングであることを知らせる開放ランプと、前記電動モーターの回転速度を制御して前記渦巻きポンプから放水される前記消火用水の流量を制御するスロットルダイヤルとを更に備え、
前記電動モーターは、前記電源スイッチのオン操作により電力の供給を受け、
前記真空ポンプは、前記吸水スイッチの操作による前記ソレノイドの駆動により前記電動モーターからの動力が伝達されて自動的に吸水を開始し、
前記渦巻きポンプは、前記ディスチャージバルブの開放により、前記スロットルダイヤルにより調整された流量で前記消火用水を放水し、
前記電源スイッチと前記吸水スイッチと前記開放ランプと前記スロットルダイヤルは現時点で操作をすべき過程に応じて、操作順に発光することを特徴とする消火用可搬式ポンプ。
【請求項13】
消火用水を放水する搬送可能な消火用可搬式ポンプであって、
前記消火用可搬式ポンプは、電動モーターにより駆動するポンプユニットと、前記ポンプユニットとは別体であって前記ポンプユニットに電力を供給するバッテリーユニットとに分割され、
前記ポンプユニットは、ディスチャージバルブの開放により前記消火用水を放水する渦巻きポンプと、前記渦巻きポンプ内の空気を排出して前記消火用水の水源から前記消火用水を吸い上げて前記渦巻きポンプに前記消火用水を供給する真空ポンプと、前記電動モーターの回転速度を制御して前記渦巻きポンプから放水される前記消火用水の流量を制御するスロットルダイヤルとを備え、
前記ディスチャージバルブが全閉位置にあるときに零点になるように設定された前記スロットルダイヤルが前記零点の位置にある状態で、予め設定された所定時間が経過しても前記ディスチャージバルブの開度に変化がない場合に、前記電動モーターの回転を電子制御により規制して前記消火用水の放水をロックする放水ロック手段を更に備えていることを特徴とする消火用可搬式ポンプ。
【請求項14】
消火用水を放水する搬送可能な消火用可搬式ポンプであって、
前記消火用可搬式ポンプは、電動モーターにより駆動するポンプユニットと、前記ポンプユニットとは別体であって前記ポンプユニットに電力を供給するバッテリーユニットとに分割され、
前記バッテリーユニットは、前記バッテリーユニットを搬送する車両に設けられたソーラーパネルに着脱自在に接続されて充電することができることを特徴とする消火用可搬式ポンプ。
【請求項15】
消火用水を放水する搬送可能な消火用可搬式ポンプであって、
前記消火用可搬式ポンプは、電動モーターにより駆動するポンプユニットと、前記ポンプユニットとは別体であって前記ポンプユニットに電力を供給するバッテリーユニットとに分割され、
前記バッテリーユニットは、前記バッテリーユニットを搬送する車両から発生する回生電力を充電することができることを特徴とする消火用可搬式ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両により災害現場に運送され車両から降ろされて消火場所に搬送されて消火用水を放水する消火用可搬式ポンプの改良に関し、特に、電動モーターを使用しつつ、重量を軽減して適切な可搬性を確保することに関するものである。
【背景技術】
【0002】
消火場所に搬送して使用する可搬式の消火用ポンプは、これまで一般的に、エンジンを駆動源とするエンジン式のものが殆どであった(例えば、特許文献1、2等参照)。これは、エンジン式であれば、ガソリン等の燃料さえあれば、現場において電源等を確保しなくても駆動することができ、また、消火用ポンプの重量を可搬に適した重量に抑えることができることが主な理由であった。
【0003】
しかし、エンジン式の消火用ポンプは、排気を伴う関係で、特に建屋等の屋内や地下鉄構内等の地下構造物のように、換気性を充分に確保することができない場所で使用することには適さず、これらの場所での災害に対応できない場合があった。また、その結果、特に、近年多発している豪雨による地下鉄駅構内の浸水災害に際して、消火用ポンプを利用しての排水作業に対応することもできなかった。更には、エンジン式の消火用ポンプの場合、エンジンのサイクルに伴いホースに脈動が生じ、放水者の手元でホースが揺れることにより、狙った箇所への放水が困難になるとともに、特に長時間にわたる放水作業となる場合には放水者の疲労負担が大きくなる問題があった。
【0004】
加えて、エンジン式の消火用ポンプにあっては、放水を制御するための各種のバルブが電気的に制御されるものではなく、圧力やその変動に応じて自重で変位する機械式のバルブであったため、縦置きでしか使用することができず、横倒しとなった状態では正常に作動しないため、消火用ポンプが転倒した場合等には意図せず使用することができなくなり、対応するためには、消火用ポンプを再び縦置きに設置し直す作業が必要となる問題があった。この問題は、急を要する災害現場においては、回避すべき事態である。また、ガソリン等の燃料を使用すると、燃料を入れたまま放置した場合、燃料タンク内が腐食する等の事態が生じるため、対応するためには、使用の度に都度燃料を抜く等の作業が必要となり、メンテナンスにも手間と時間を要する問題があった。
【0005】
これらの問題に対応するためには、可搬式の消火用ポンプにおいて、駆動源として、エンジンではなく、電動モーターを使用することが考えられる。一方で、電動式とした場合には、電源がない箇所での使用に対応するためには、駆動源としてバッテリーが必要となるが、放水に必要な出力を確保するためのバッテリーを使用するとバッテリーが非常に重くなり、消火用ポンプ全体の重量が嵩んで、人力での搬送が困難となる問題が生じる。
【0006】
この場合、車載されたバッテリーを使用することで対応することも提案されているが(例えば、特許文献3、4参照)、車載バッテリーは車両から持ち出すことはできないため、車両から遠く離れた箇所に電力を供給するためには長尺で重たいケーブルが必要となり、その搬送も困難であるため、特に入り組んだ屋内や地下への通電には対応することができない。また、消防署等が対応する場合ではなく予め所定の箇所に設置しておいて有事の際に現場で一般の方が対応する消火用可搬式ポンプとしては、専用のバッテリーを積載した車両があるとは限らないため、適用することができない問題があった。
【0007】
また、従来の可搬式の消火用ポンプは、比較的軽量化を図ることができるエンジン式のポンプですら2人以上でなければ搬送することができず、電動モーターを使用して更に重量が嵩むと、より一層搬送が困難となる。更には、従来の可搬式の消火用ポンプは、設置後はフレームに設けられた4点の足部で接地していたため、放水対象の変更に伴い方向転換させることも容易ではなかった。
【0008】
加えて、電動モーターを使用した場合でも、長時間の運転により系が発熱し、運転効率が低下する等の問題に対応する必要がある。この場合、空冷で対応すると、軽量化のために電動モーター自体を小型化しても、放熱面積を高める必要はあるため、放熱フィンや強制空冷のための部品点数が増加して、消火用ポンプの重量が嵩み、結果として軽量化を図ることができない。一方、水冷式とする場合でも、電動モーターやその制御のためのコントローラーを間接冷却するための構造が必要となり、重量が増加して、軽量化を達成することができなくなる問題が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2020-081719号公報
【特許文献2】実用新案登録第3234575号公報
【特許文献3】特開2022-123700号公報
【特許文献4】特開2018-89345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、上記の問題点に鑑み、電動モーターを使用して電気的な制御を可能としつつ、軽量化を達成して適切な可搬性を確保することができる消火用可搬式ポンプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1.ポンプとバッテリーの分割による軽量化)
本発明は、上記の課題を解決するための第1の手段として、消火用水を放水する搬送可能な消火用可搬式ポンプであって、この消火用可搬式ポンプは、電動モーターにより駆動するポンプユニットと、このポンプユニットとは別体であってポンプユニットに電力を供給するバッテリーユニットとに分割され、ポンプユニットとバッテリーユニットとはポンプユニット及びバッテリーユニットに着脱自在な電気的接続手段により電気的に接続され、この電気的接続手段によりポンプユニットとバッテリーユニットとの間で電力の供給及び制御のための信号の送受信をすることができることを特徴とする消火用可搬式ポンプを提供するものである。
【0012】
(2.キャスター)
本発明は、上記の課題を解決するための第2の手段として、消火用水を放水する搬送可能な消火用可搬式ポンプであって、この消火用可搬式ポンプは、電動モーターにより駆動するポンプユニットと、このポンプユニットとは別体であってポンプユニットに電力を供給するバッテリーユニットとに分割され、ポンプユニットには、ポンプユニットの移動を可能とするキャスターが設けられていることを特徴とする消火用可搬式ポンプを提供するものである。
【0013】
(3.キャリングハンドル)
本発明は、上記の課題を解決するための第3の手段として、消火用水を放水する搬送可能な消火用可搬式ポンプであって、この消火用可搬式ポンプは、電動モーターにより駆動するポンプユニットと、このポンプユニットとは別体であってポンプユニットに電力を供給するバッテリーユニットとに分割され、ポンプユニットには、ポンプユニットを移動させる際に把持することができるキャリングハンドルが取り付けられていることを特徴とする消火用可搬式ポンプを提供するものである。
【0014】
(3-2.キャスターとキャリングハンドル)
本発明は、上記の課題を解決するための第4の手段として、消火用水を放水する搬送可能な消火用可搬式ポンプであって、この消火用可搬式ポンプは、電動モーターにより駆動するポンプユニットと、このポンプユニットとは別体であってポンプユニットに電力を供給するバッテリーユニットとに分割され、ポンプユニットには、ポンプユニットの移動を可能とするキャスターが設けられると共に、ポンプユニットを移動させる際に把持することができるキャリングハンドルが取り付けられていることを特徴とする消火用可搬式ポンプを提供するものである。
【0015】
(3-3.キャリングハンドルの脱着)
本発明は、上記の課題を解決するための第5の手段として、上記第3又は第4のいずれかの解決手段において、キャリングハンドルは、ポンプユニットに着脱自在に取り付けられていることを特徴とする消火用可搬式ポンプを提供するものである。
【0016】
(4.水冷)
本発明は、上記の課題を解決するための第6の手段として、消火用水を放水する搬送可能な消火用可搬式ポンプであって、この消火用可搬式ポンプは、電動モーターにより駆動するポンプユニットと、このポンプユニットとは別体であってポンプユニットに電力を供給するバッテリーユニットとに分割され、ポンプユニットは、電動モーター及びポンプユニットの電気的制御を行うコントローラーを冷却する冷却手段を有し、この冷却手段は、消火用水の水源から取り込んだ水を冷却水として利用して、電動モーター及びコントローラーとを水冷することを特徴とする消火用可搬式ポンプを提供するものである。
【0017】
(4-2.冷却ジャケット)
本発明は、上記の課題を解決するための第7の手段として、消火用水を放水する搬送可能な消火用可搬式ポンプであって、この消火用可搬式ポンプは、電動モーターにより駆動するポンプユニットと、このポンプユニットとは別体であってポンプユニットに電力を供給するバッテリーユニットとに分割され、ポンプユニットは、電動モーター及びポンプユニットの電気的制御を行うコントローラーを冷却する冷却手段を有し、この冷却手段は、電動モーター及びコントローラーを支持する基台に設けられたベース冷却水路と、電動モーターの外周に設けられた冷却ジャケットに設けられベース冷却水路に連通するモーター冷却水路とを備え、これらのベース冷却水路及びモーター冷却水路内に、消火用水の水源から取り込んだ水を冷却水として通過させることにより、電動モーター及びコントローラーとを水冷することを特徴とする消火用可搬式ポンプを提供するものである。
【0018】
(4-3.モーター及び冷却ジャケットの着脱)
本発明は、上記の課題を解決するための第8の手段として、上記第7の解決手段において、電動モーターは基台に着脱自在に支持され、冷却ジャケットは電動モーターに着脱自在に取り付けられていることを特徴とする消火用可搬式ポンプを提供するものである。
【0019】
(5.電磁弁式のチェックバルブ)
本発明は、上記の課題を解決するための第9の手段として、消火用水を放水する搬送可能な消火用可搬式ポンプであって、この消火用可搬式ポンプは、電動モーターにより駆動するポンプユニットと、ポンプユニットとは別体であってポンプユニットに電力を供給するバッテリーユニットとに分割され、ポンプユニット内における流体の流路を開閉するチェックバルブが、電気的に開閉が制御される電磁弁式のチェックバルブであることを特徴とする消火用可搬式ポンプを提供するものである。
【0020】
(6.ポンプ側のバッテリ残量表示)
本発明は、上記の課題を解決するための第10の手段として、消火用水を放水する搬送可能な消火用可搬式ポンプであって、この消火用可搬式ポンプは、電動モーターにより駆動するポンプユニットと、このポンプユニットとは別体であってポンプユニットに電力を供給するバッテリーユニットとに分割され、ポンプユニットとバッテリーユニットとはポンプユニット及びバッテリーユニットに着脱自在な電気的接続手段により電気的に接続され、この電気的接続手段によりポンプユニットとバッテリーユニットとの間で電力の供給及び制御のための信号の送受信をすることができ、ポンプユニットに、バッテリーユニットから供給可能な電力の残量を表示する残量表示部が設けられていることを特徴とする消火用可搬式ポンプを提供するものである。
【0021】
(7.吸水自動化)
本発明は、上記の課題を解決するための第11の手段として、消火用水を放水する搬送可能な消火用可搬式ポンプであって、この消火用可搬式ポンプは、電動モーターにより駆動するポンプユニットと、このポンプユニットとは別体であってポンプユニットに電力を供給するバッテリーユニットとに分割され、ポンプユニットは、消火用水を放水する渦巻きポンプと、この渦巻きポンプ内の空気を排出して消火用水の水源から消火用水を吸い上げて渦巻きポンプに消火用水を供給する真空ポンプとを備え、この真空ポンプは、消火用水の水源からの吸水時に、ポンプユニットに設けられた吸水スイッチの操作によるソレノイドの駆動により電動モーターからの動力が伝達されて、自動的に吸水を開始するように制御されていることを特徴とする消防用可搬式ポンプを提供するものである。
【0022】
(7-2.操作支援)
本発明は、上記の課題を解決するための第12の手段として、上記第11の解決手段において、ポンプユニットは、電源のオンとオフを制御する電源スイッチと、渦巻きポンプを開放するディスチャージバルブを開放すべきタイミングであることを知らせる開放ランプと、電動モーターの回転速度を制御して渦巻きポンプから放水される消火用水の流量を制御するスロットルダイヤルとを更に備え、電動モーターは、電源スイッチのオン操作により電力の供給を受け、真空ポンプは、吸水スイッチの操作によるソレノイドの駆動により電動モーターからの動力が伝達されて自動的に吸水を開始し、渦巻きポンプは、ディスチャージバルブの開放により、スロットルダイヤルにより調整された流量で消火用水を放水し、電源スイッチと吸水スイッチと開放ランプとスロットルダイヤルは現時点で操作をすべき過程に応じて、操作順に発光することを特徴とする消火用可搬式ポンプを提供するものである。
【0023】
(8.電子ロック)
本発明は、上記の課題を解決するための第13の手段として、消火用水を放水する搬送可能な消火用可搬式ポンプであって、この消火用可搬式ポンプは、電動モーターにより駆動するポンプユニットと、このポンプユニットとは別体であってポンプユニットに電力を供給するバッテリーユニットとに分割され、ポンプユニットは、ディスチャージバルブの開放により消火用水を放水する渦巻きポンプと、この渦巻きポンプ内の空気を排出して消火用水の水源から消火用水を吸い上げて渦巻きポンプに消火用水を供給する真空ポンプと、電動モーターの回転速度を制御して渦巻きポンプから放水される消火用水の流量を制御するスロットルダイヤルとを備え、ディスチャージバルブが全閉位置にあるときに零点になるように設定されたスロットルダイヤルが零点の位置にある状態で、予め設定された所定時間が経過してもディスチャージバルブの開度に変化がない場合に、電動モーターの回転を電子制御により規制して消火用水の放水をロックする放水ロック手段を更に備えていることを特徴とする消火用可搬式ポンプを提供するものである。
【0024】
(9.ソーラー充電)
本発明は、上記の課題を解決するための第14の手段として、消火用水を放水する搬送可能な消火用可搬式ポンプであって、この消火用可搬式ポンプは、電動モーターにより駆動するポンプユニットと、このポンプユニットとは別体であってポンプユニットに電力を供給するバッテリーユニットとに分割され、このバッテリーユニットは、バッテリーユニットを搬送する車両に設けられたソーラーパネルに着脱自在に接続されて充電することができることを特徴とする消火用可搬式ポンプを提供するものである。
【0025】
(10.回生電力による充電)
本発明は、上記の課題を解決するための第15の手段として、消火用水を放水する搬送可能な消火用可搬式ポンプであって、この消火用可搬式ポンプは、電動モーターにより駆動するポンプユニットと、このポンプユニットとは別体であってポンプユニットに電力を供給するバッテリーユニットとに分割され、このバッテリーユニットは、バッテリーユニットを搬送する車両から発生する回生電力を充電することができることを特徴とする消火用可搬式ポンプを提供するものである。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、上記のように、電動モーターで駆動する消火用可搬式ポンプとしつつ、いずれも人力での搬送が可能なポンプユニットとバッテリーユニットとに分割しているため、ポンプ本体とバッテリーとが一体化された可搬式ポンプに比べて、各ユニットの軽量化を達成することができ、人力で充分に災害現場まで搬送することができると共に、このように可搬式の消防用ポンプで電動モーターの搭載を実現可能とした結果、排気が発生しないため、屋内や地下等の充分な換気通の確保が困難である箇所でも使用することができ、特に、地下鉄駅構内の浸水災害の際に排水ポンプとして使用することも可能となると同時に、放水時にホースに脈動が生じることもなく狙った箇所に的確に放水することができると共に放水者の疲労が少ないので長時間使用することができる実益がある。
【0027】
同時に、本発明によれば、上記のように、バッテリーユニットを、ポンプユニットから独立した別体としているため、各種災害現場において、このバッテリーユニットを、他の機器へ給電する非常用電源として使用することができ、情報通信端末への充電や照明用の電源として活用することもできる実益がある。
【0028】
また、バッテリーユニットにおいて、複数の電池パックを着脱自在とすることにより、不使用時には電池パックを取り外して管理することができると共に、複数の電池パックを選択的に装着することにより、使用用途に応じて電池パックの数を適切に設定して供給電力を調整することや、残りの電池パックを予備電源として確保しておくことができる実益がある。
【0029】
この場合、本発明によれば、上記のように、ポンプユニットと人力での搬送が可能なバッテリーユニットとの間で、着脱自在な電気的接続手段により、電力の供給及び制御のための信号の送受信をすることができるため、ポンプユニットを遠く離れた箇所に待機する車両に設置された車載用バッテリーに接続する場合と異なり、軽量な短いケーブル等で対応することができ、人力での搬送可能性をより高めることができると同時に、電動モーターのコントローラーとバッテリーのコントローラーとの間で制御信号を送受信して精度の高い電気的制御を行い的確な放水を実現することができる実益がある。
【0030】
本発明によれば、上記のように、ポンプユニットの移動を可能とするキャスターが設けられているため、ポンプユニットを1人でも現場まで搬送することができると共に、放水すべき箇所に応じて容易に方向転換をさせることができ、不必要に多くの人員を割くことなく適切な消火活動を行うことができるので、人員を効果的に配置して効率的な消火活動を行うことができる実益がある。
【0031】
本発明によれば、上記のように、ポンプユニットには、ポンプユニットを移動させる際に把持することができるキャリングハンドルが取り付けられているため、1人での搬送がより一層容易となり、特にキャスターと組み合わせて使用することにより、キャリングハンドルの操作によってポンプユニットを傾けてキャスターのみを接地させてキャスターの回転によって搬送することにより、搬送荷重を軽減して搬送性を向上させることができると共に、ポンプユニットの方向転換も簡易に行うことができる実益がある。
【0032】
この場合、特に、本発明においては、上記のように、キャリングハンドルは、ポンプユニットに着脱自在に取り付けられているため、キャリングハンドルを、搬送時にはポンプユニットに取り付けて簡易に操作することができる一方、放水時にはポンプユニットから取り外すことにより、キャリングハンドルがポンプユニットの操作や放水作業の妨げとなることがなく消火活動を適切に行うことができる実益がある。
【0033】
本発明によれば、上記のように、電動モーターとコントローラーを冷却する冷却手段を有し、この冷却手段は、電動モーター及びコントローラーとを水冷するため、放熱のための構造が必要となる空冷と異なり、重量を増加させることなく、対象を適切に冷却することができると共に、消火用水の水源から取り込んだ水を冷却水として利用しているため、水冷のための冷却水を予め用意することなく水冷を達成することができる実益がある。
【0034】
この場合、本発明によれば、上記のように、冷却手段として、電動モーター及びコントローラーを支持する基台に設けられたベース冷却水路と、電動モーターの外周に設けられた冷却ジャケットに設けられベース冷却水路に連通するモーター冷却水路とを用いているため、一系統の冷却通路のみで電動モーターとコントローラーを冷却することができると共に、基台を利用して冷却するため、間接冷却用の構造を必須の構造と一体化して簡素化することができるので、水冷のための部品点数の増加による重量化を抑制して小型化、軽量化を達成し可搬性に影響を与えることなく水冷を達成することができ、適切な作動を確保しつつ人力での搬送を確保することができる実益がある。
【0035】
この場合、更に、本発明によれば、上記のように、電動モーターは、基台に着脱自在に支持されているため、着脱により変更や交換をすることができ、出力が異なる電動モーターに交換することにより、必要に応じて電動モーターの出力を変更することができると共に、電動モーターの故障時には電動モーターのみを交換して対応することができメンテナンスに要するコストを低減することができる実益がある。
【0036】
加えて、この場合、本発明によれば、上記のように、冷却ジャケットは、電動モーターに着脱自在に取り付けられているため、冷却ジャケットがモーターハウジングに一体に取り付けられた電動モーターの場合には、冷却ジャケットに腐食や砂詰まりが発生した場合、モーターごと冷却ジャケットを交換する必要があるのに対して、冷却ジャケットのみに不具合が生じたときは、冷却ジャケットのみを交換したり、冷却ジャケットを取り外してメンテナンスをすることができ、保守や点検のコストと手間を低減することができる実益がある。この場合、勿論、電動モーターのみに不具合が生じている場合も、冷却ジャケットを取り外して、電動モーターのみを交換することができ、同様に、メンテナンスの手間とコストを低減することができる実益がある。
【0037】
本発明によれば、上記のように、可搬式の消火用ポンプにおいて電動モーターの搭載を達成して各種電気的な制御が可能となったことに伴い、ポンプユニット内における流体の流路を開閉する各種のチェックバルブとして、電気的に開閉が制御される電磁弁式のチェックバルブを使用することを達成でき、ポンプユニットが横倒しになった場合であっても、バルブの開閉を電気的に制御して適切に開閉させることができるため、機械式のチェックバルブと異なり、ポンプユニットが横倒しになった転倒状態を含め、ポンプユニットの全姿勢での放水に対応することができ、放水作業中にポンプユニットが転倒等してもポンプユニットを設置し直す必要がなくなり、至急を要する災害現場においてポンプユニットの姿勢への対応に配慮をすることなく、迅速にかつ適切に対応することができる実益がある。
【0038】
本発明によれば、上記のように、ポンプユニットとバッテリーユニットとを分割するに際し、給電するバッテリーユニットではなく、給電を受け作業者が操作をするポンプユニットの側に、バッテリーユニットから供給可能な電力の残量を表示する残量表示部が設けられているため、放水作業者が、放水作業を中断等することなく、バッテリーの残量を容易に確認することができる実益がある。
【0039】
本発明によれば、上記のように、可搬式の消火用ポンプにおいて電動モーターの搭載を達成して各種電気的な制御が可能となったことに伴い、真空ポンプは、消火用水の水源からの吸水時に、ポンプユニットに設けられた吸水スイッチの操作によるソレノイドの駆動により電動モーターからの動力が伝達されて、自動的に吸水を開始するように制御されているため、消火用ポンプの始動のための操作手順を減少させて吸水作業を吸水スイッチの操作のみで自動化することができるので、バルブの開閉操作の失念等の誤った操作による支障を回避することができ、特に操作に不慣れな方には難しい消火用ポンプの操作を簡易なものとすることができ、広く多くの方が災害に対応することを可能とすることができる実益がある。
【0040】
特に、この場合、本発明によれば、上記のように、ポンプユニットに設けられた電源スイッチと吸水スイッチと開放ランプとスロットルダイヤルは現時点で操作をすべき過程に応じて、操作順に発光するため、操作者に操作手順を案内して操作を支援することができ、操作者は点滅や点灯による発光に従って順次該当するスイッチを操作するだけで簡易にかつ適切に放水作業を行うことができる実益がある。
【0041】
本発明によれば、上記のように、ポンプユニットは、ディスチャージバルブが全閉位置にあるときに零点になるように設定されたスロットルダイヤルが零点の位置にある状態で、予め設定された所定時間が経過してもディスチャージバルブの開度に変化がない場合に、電動モーターの回転を電子制御により規制して消火用水の放水をロックする放水ロック手段を更に備えているため、渦巻きポンプに消火用水が供給されている状態で放水せずに放置した場合でも、そのことを知らない人がストッロルダイヤルを操作しても、意図せず急に放水が開始されるのを防止することができ、安全性を確保することができる実益がある。
【0042】
本発明によれば、上記のように、人力での搬送が可能なバッテリーユニットは、バッテリーユニットを搬送する車両に設けられたソーラーパネルに着脱自在に接続されて充電することができるため、特に充電用の電源を要することなく、車両での運送時にバッテリーユニットの電池パックを常時充電しておくことができ、有事の際にも電池不足により対応できない等の事態を回避することができ、適切に消火活動を行うことができる上に、再生可能エネルギーの利用により省エネルギー化に資することができる実益がある。
【0043】
この場合、更に、本発明によれば、上記のように、バッテリーユニットは、バッテリーユニットを搬送する車両から発生する回生電力を充電することができるため、特に充電用の電源を要することなく、車両での運送時にバッテリーユニットの電池パックを常時充電しておくことができ、有事の際にも電池不足により対応できない等の事態を回避することができ、適切に消火活動を行うことができる実益がある。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】本発明の消火用可搬式ポンプの斜視図である。
図2】本発明に用いられるポンプユニットの内部構造の斜視図である。
図3】本発明に用いられるポンプユニットを搬送する状態における側面図である。
図4】本発明に用いられるポンプユニットの正面図である。
図5】本発明に用いられる冷却手段の概略斜視図である。
図6図6は、本発明に用いられる冷却ブロックを示し、同図(A)はその電動モーターへの取り付け状態を示す概略側面図、同図(B)は冷却ブロックの分解斜視図である。
図7】本発明に用いられる電動モーター及び冷却ジャケットの斜視図である。
図8】本発明に用いられる真空ポンプへの動力伝達機構を示す図である。
図9】本発明に用いられるバッテリーユニットを充電する状態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
(1.消火用可搬式ポンプ)
本発明を実施するための形態を図面を参照しながら詳細に説明すると、図1は本発明の消火用可搬式ポンプ10を示し、この消火用可搬式ポンプ10は、消火用水を放水する搬送可能な消火用可搬式ポンプであって、ワンボックスカーや消防車等の車両に積載されて災害現場に運送された後、車両から降ろして作業者の人力によって消火場所に搬送されて、消火活動に使用される。従って、消火のための放水作業に際しては、消火用可搬式ポンプ10を運送してきた車両とは全く関係なく、消火活動に使用される。なお、本発明の消火用可搬式ポンプ10は、器具等を使用することなく人力で消火用可搬式ポンプ10を搬送可能であれば足り、実際の災害現場において急を要する場合等に車両から降ろした後に台車等に積載して搬送することを妨げるものではない。
【0046】
この消火用可搬式ポンプ10は、図1に示すように、ポンプユニット12と、このポンプユニット12とは別体に構成されたバッテリーユニット14とに分割され、これらのポンプユニット12とバッテリーユニット14は、それぞれ消火場所に搬送されて、現場において、図示しない電気的接続手段により相互に電気的に接続されて使用される。すなわち、本発明の消火用可搬式ポンプ10は、ポンプユニット12と、バッテリーユニット14と、これらのポンプユニット12とバッテリーユニット14とに着脱自在に接続される図示しない電気的接続手段の3つに分割されて消火場所まで搬送される。
【0047】
(2.電気的接続手段)
この電気的接続手段は、ポンプユニット12とバッテリーユニット14とを電気的に接続するもので、具体的には、図示しない接続ケーブルを使用することができる。この接続ケーブルは、その両端がそれぞれ、図示しない防水性を有するカプラによって漏電を防止しながら、ポンプユニット12とバッテリーユニット14とに着脱自在に接続される。この電気的接続手段である接続ケーブルにより、ポンプユニット12とバッテリーユニット14との間で電力の供給を行うことができると同時に、制御のための信号の送受信をすることができ、後述する電動モーター16のコントローラー24と図示しないバッテリーのコントローラーとの間で制御信号を送受信して精度の高い電気的制御を行い的確な放水を実現することができる。また、この場合、ポンプユニット12を遠く離れた箇所に待機する車両に設置された車載用バッテリーに接続する場合と異なり、消火現場でポンプユニット12とバッテリーユニット14とを接続できれば足りるため、この接続ケーブルとしては数m程度の短比較的軽量ないケーブル等を使用すれば対応することができ、搬送重量を軽減することにより人力での搬送可能性をより高めることができる。
【0048】
(3.ポンプユニット)
ポンプユニット12は、図2及び図5乃至図7に示すように、本発明においては、エンジンではなく、電動モーター16によって駆動する。具体的には、ポンプユニット12は、図2図5図6に示すように、基台18と、この基台18に搭載される電動モーター16と、この電動モーター16に接続されて電動モーター16により駆動して消火用水を放水する渦巻きポンプ20と、この渦巻きポンプ20内の空気を排出して消火用水の水源から消火用水を吸い上げて渦巻きポンプ20に消火用水を供給する真空ポンプ22と、基台18のコントローラーベース18B上に設置され電動モータ16の駆動を制御するコントローラー24とを備えている。なお、基台18は、図1及び図4に示すように、フレーム26に積載されて、周囲をカバー28で覆われる。
【0049】
この渦巻きポンプ20としては、吐出圧力が高く、小型化に適している案内羽根付きのタービンポンプを使用することが望ましい。この渦巻きポンプ20であるタービンポンプは、図6(A)及び図8に示すように、電動モーター16の回転軸に接続され、電動モーター16の駆動によって内部の案内羽根が回転して、図示しないディスチャージバルブの開放により吐出口から消火用水を放水することができる。
【0050】
一方、真空ポンプ22は、図2及び図8に示すように、電動モーター16の回転軸に接続され電動モーター16により駆動するドライブプーリー30の回転により、ドライブベルト32を介して、真空ポンプ22のシャフトに接続されたドリブンプーリー34に動力が伝達されて駆動する。
【0051】
このように、本発明においては、電動モーター16で駆動する消火用可搬式ポンプ10としつつ、いずれも人力での搬送が可能なポンプユニット12とバッテリーユニット14とに分割しているため、ポンプ本体とバッテリーとが一体化された可搬式ポンプに比べて、各ユニット12、14の軽量化を達成することができ、人力で充分に災害現場まで搬送することができる。また、電力を駆動源とした結果、後述するように、各種の電気的制御を行うことも容易となる。
【0052】
また、このように、可搬式の消防用ポンプにおいて、駆動源としてエンジンではなく、電動モーター16の搭載を実現可能とした結果、排気が発生しないため、屋内や地下等の充分な換気通の確保が困難である箇所でも使用することができ、特に、地下鉄駅構内の浸水災害の際に排水ポンプとして使用することも可能となると同時に、放水時にホースに脈動が生じることもなく狙った箇所に的確に放水することができると共に放水者の疲労が少ないので長時間使用することができる。
【0053】
加えて、本発明では、このポンプユニット12内における流体の流路を開閉する各種のチェックバルブ(例えば、真空ポンプ22の吸水に使用される逆止弁)として、図2に示すように、電気的に開閉が制御される電磁弁式のチェックバルブ35を使用することができる。これは、本発明では、可搬式の消火用ポンプにおいて電動モーター16の搭載を達成して各種電気的な制御が可能となったことに伴い採用される構成で、具体的には、電磁弁のチェックバルブ35の開閉をコントローラー24により電気的に制御して、電磁式のチェックバルブ35を必要な状態に自動で適切に設定することができる。
【0054】
このため、ポンプユニットが横倒しになった場合であっても、電磁式のチェックバルブ35の開閉を電気的に制御して適切に開閉させることができるため、機械式のチェックバルブと異なり、ポンプユニット12が横倒しになった転倒状態を含め、ポンプユニット12の全姿勢での放水に対応することができ、放水作業中にポンプユニット12が転倒等してもポンプユニット12を設置し直す必要がなくなり、至急を要する災害現場においてポンプユニット12の姿勢への対応に配慮をすることなく、迅速にかつ適切に対応することができる。ただし、必ずしもすべてのバルブを電磁式とする必要はなく、一部、従来の消火用ポンプと同様に、機械式のチェックバルブを使用することを排除するものではない。
【0055】
(4.バッテリーユニット)
バッテリーユニット14は、ポンプユニット12とは別体であってポンプユニット12に電力を供給するもので、図1に示すように、ユニットケース36と、このユニットケース36内に格納された複数の電池パックとから成っている。このバッテリーユニット14は、内部の電池パックに各種電源から給電して、予め充電しておくことにより、エンジン式の可搬式消火ポンプと同様に、電源等の確保が難しい場所での消火を可能としている。この場合、本発明においては、バッテリーユニット14を、ポンプユニット12から独立した別体としているため、各種災害現場において、このバッテリーユニット14を、他の機器へ給電する非常用電源として使用することができ、情報通信端末への充電や照明用の電源として活用することもできる。
【0056】
また、バッテリーユニット14に格納される複数の電池パックを、ユニットケース36に着脱自在とすることにより、不使用時には電池パックを取り外して管理することができると共に、複数の電池パックを選択的に装着することにより、使用用途に応じて電池パックの数を適切に設定して供給電力を調整することや、残りの電池パックを予備電源として確保しておくことができる。
【0057】
この電池パックへの充電については、不使用時に、通常のコンセントに接続して充電することもできるが、本発明においては、特に図9に示すように、このバッテリーユニット14は、バッテリーユニット14を搬送する車両1に設けられたソーラーパネル2に着脱自在に接続されて充電することができる。また、本発明においては、更に、図9に示すように、バッテリーユニット14は、バッテリーユニット14を搬送する車両1から発生する回生電力を充電することもできる。
【0058】
このように、人力での搬送が可能なバッテリーユニット14を、バッテリーユニット14を搬送する車両1に設けられたソーラーパネル2に着脱自在に接続されて充電することができるため、特に充電用の電源を要することなく、車両1での運送時にバッテリーユニット14の電池パックを常時充電しておくことができ、有事の際にも電池不足により対応できない等の事態を回避することができ、適切に消火活動を行うことができる。
【0059】
この場合、更に、バッテリーユニット14は、バッテリーユニット14を搬送する車両1から発生する回生電力を充電することができるため、特に充電用の電源を要することなく、車両1での運送時にバッテリーユニット14の電池パックを常時充電しておくことができ、有事の際にも電池不足により対応できない等の事態を回避することができ、適切に消火活動を行うことができる上に、再生可能エネルギーの利用により省エネルギー化に資することができる。
【0060】
(5.キャスター)
本発明の消火用可搬式ポンプ10では、ポンプユニット12には、図1図3図4に示すように、ポンプユニット12の移動を可能とするキャスター38が設けられている。図示の実施の形態では、図1図3図4に示すように、2つのキャスター38がコントロールパネル58とは反対側のフレーム26の下部に設置されている。従って、特に3に示すように、ポンプユニット12を傾けてこの2つのキャスター38のみを設置させることにより、キャスター38の回転でポンプユニット12を移動させることができる。
【0061】
このため、ポンプユニット12を1人でも現場まで搬送することができると共に、放水すべき箇所に応じて容易に方向転換をさせることができ、不必要に多くの人員を割くことなく適切な消火活動を行うことができるので、人員を効果的に配置して効率的な消火活動を行うことができる。なお、ポンプユニット12のフレーム26の下部には、樹脂製の4つの足部26aが取付けられ、移動時以外は、これらの支部26aによりポンプユニット12が支持されている。従って、キャスター38は、図4に示すように、ポンプユニット12が傾いていない状態では、地面から若干の間隙をもって浮く位置に設置される。この場合、ポンプユニット12の重心位置を、このキャスター38よりも後方(コントロールパネル58側)に設定することにより、ポンプユニット12がキャスター38側に倒れ難い構造とすることができ、ポンプユニット12が、キャスター38によって意図せず変位することを防止することができる。なお、図1に示すように、バッテリーユニット14にも、キャスター40を設置して、可搬性を高めることができる。
【0062】
(6.キャリングハンドル)
更に、本発明の消火用可搬式ポンプ10では、ポンプユニット12には、図1図3図4に示すように、ポンプユニット12を移動させる際に把持することができるキャリングハンドル42が取り付けられている。具体的には、このキャリングハンドル42は、操作性の向上のために傾いて配置されたコントロールパネル58のパネル面と平行に伸びるフレーム26の上端に接続されて、キャスター38側に傾斜するようにして設置される。このため、図3に示すように、作業者がキャリングハンドル42を把持して、ポンプユニット12をキャスター38側へ傾けるだけで容易にキャスター38のみを接地させて移動可能とすることができ、また、移動時には、このキャリングハンドル42を引くだけで所定の場所にポンプユニット12を容易に搬送することができる。
【0063】
このため、本発明の消火用可搬式ポンプ10では、電動式としながら、1人での搬送がより一層容易となり、特にキャスター38と組み合わせて使用することにより、キャリングハンドル42の操作によってポンプユニット12を傾けてキャスター38のみを接地させてキャスター38の回転によって搬送することにより、搬送荷重を軽減して搬送性を向上させることができると共に、ポンプユニット12の方向転換も簡易に行うことができる。
【0064】
また、このキャリングハンドル42は、図1図3図4に示すように、ポンプユニット12のフレーム26に着脱自在に取り付けられている。具体的には、キャリングハンドル42は、その一端が、筒状のフレーム26の先端に重畳するよう取付けられた上で、キャリングハンドル42及びフレーム26を貫通する着脱自在なビス44によって、ポンプユニット12に固定される一方、このビス44を抜くことによってポンプユニット12から取り外すことができる。
【0065】
このため、キャリングハンドル42は、搬送時にはポンプユニット12に取り付けて簡易に操作することができる一方、放水時にはポンプユニット12から取り外すことにより、キャリングハンドル42がポンプユニット12の操作や放水作業の妨げとなることがなく消火活動を適切に行うことができる。なお、バッテリーユニット14側にも、図示しないキャリングハンドルを設けて、可搬性を高めることができる。
【0066】
(7.水冷手段)
本発明の消火用可搬式ポンプ10においては、ポンプユニット12は、図5乃至図7に示すように、電動モーター16及びポンプユニット12の電気的制御を行うコントローラー24を冷却する冷却手段46を有する。この冷却手段46は、消火用水の水源から取り込んだ水を冷却水として利用して、電動モーター16及びコントローラー24とを水冷する。
【0067】
冷却手段46は、具体的には、図5乃至図7に示すように、基台18に設けられたベース冷却水路48と、電動モーター16の外周に設けられた冷却ジャケット50に設けられベース冷却水路48に連通するモーター冷却水路52とを備え、これらのベース冷却水路48及びモーター冷却水路52内を、消火用水の水源から取り込んだ水を冷却水として通過させることにより、電動モーター16及びコントローラー24とを水冷する。
【0068】
ベース冷却水路48は、より具体的には、図5に示すように、基台18のうち、電動モーター16を支持するモーターベース18Aと、このモーターベース18Aの上に位置すしコントローラー24が載置されるコントローラーベース18Bに設けられ、真空ポンプ22により吸水された消火用水の一部が、取水口48aから、まずはモーターベース18Aに設けられたベース冷却水路48内に供給され、次いで、コントローラーベース18Bに設けられたベース冷却水路48に通されて、基台18を介して電動モーター16及びコントローラー24を水冷する。この場合、基台18は、電熱性の高いアルミニウムから形成することにより、電動モーター16及びコントローラー24を効率良く冷却することができる。
【0069】
一方、モーター冷却水路52を備える冷却ジャケット50は、特に図6及び図7に示すように、厚さ0.5mm程度の伝熱シート50cを介して電動モーター16の外周に取付けられる複数の冷却ブロック50aを連結して構成され、各冷却ブロック50aをエルボ50bを介して連通させることにより、電動モーター16の外周にモーター冷却水路52を形成する。コントローラーベース18Bに設けられたベース冷却水路48を通過した冷却水は、このモーター冷却水路52内に供給されて、電動モーターを水冷する。
【0070】
この冷却手段46は、電動モーター16及びコントローラー24とを水冷するため、放熱のための構造が必要となる空冷と異なり、重量を増加させることなく、対象を適切に冷却することができると共に、消火用水の水源から取り込んだ水を冷却水として利用しているため、水冷のための冷却水を予め用意することなく水冷を達成することができる。
【0071】
また、このようにベース冷却水路48とモーター冷却水路52とは、一連に連通しているため、一系統の冷却通路のみで電動モーター16とコントローラー24を冷却することができると共に、基台18を利用して冷却するため、間接冷却用の構造をポンプとして必須の構造である基台18と一体化して簡素化することができるので、水冷のための部品点数の増加による重量化を抑制して小型化、軽量化を達成し可搬性に影響を与えることなく水冷を達成することができ、適切な作動を確保しつつ人力での搬送を確保することができる。
【0072】
この場合、冷却ジャケット50は、図7に示すように、電動モーター16に着脱自在に取り付けられている。すなわち、電動モータ16は、電動モーター自体尾と、冷却ジャケット50とに分割することができる。従って、冷却ジャケット50がモーターハウジングに一体に取り付けられた電動モーターの場合には、冷却ジャケット50に腐食や砂詰まりが発生した場合、電動モーターごと冷却ジャケット50を交換する必要があるのに対して、本発明においては、冷却ジャケット50のみに不具合が生じたときは、冷却ジャケット50を電動モーター16から取り外して、冷却ジャケット50のみを交換したり、冷却ジャケットをメンテナンスをすることができ、保守や点検のコストと手間を低減することができる。
【0073】
一方、電動モーター16も、基台18に着脱自在に支持される。このため、電動モーター16のみに不具合が生じている場合も、冷却ジャケット50を取り外して、電動モーター50のみを交換することができ、同様に、メンテナンスの手間とコストを低減することができる。また、このように、電動モーター16は、基台18に着脱自在に支持されているため、着脱により変更や交換をすることができ、出力が異なる電動モーター16に交換することにより、必要に応じて電動モーター16の出力を変更することができると共に、電動モーター16の故障時には電動モーター16のみを交換して対応することができメンテナンスに要するコストを低減することができる。
【0074】
(8.吸水の自動化)
本発明の消火用可搬式ポンプ10においては、渦巻きポンプ20内に呼び水として消火用水を供給するための真空ポンプ22は、特に図8に示すように、消火用水の水源からの吸水時に、ソレノイド56の駆動により電動モーター16からの動力が伝達されて駆動し、自動的に吸水を開始するように制御されている。具体的には、真空ポンプ22は、図8に示すように、コントロールパネル58に設けられた吸水スイッチ58bの操作により、ソレノイド56が回転することによりテンションプーリー60を変位させてドライブベルト32に押しつけてドライブベルト32にテンションを与えることにより、ドライブプーリー30からの動力がドライブベルト32を介してドリブンプーリー34に伝達され、これにより真空ポンプ22は回転を開始する。一方、ソレノイド56が逆回転することにより、テンションプーリー60がドライブベルト32から離反しドライブベルト32に加わったテンションは解除され、電動モーター16によるドライブプーリー30の駆動はドリブンプーリー34には伝達されず、真空ポンプ22は作動しない。
【0075】
すなわち、これまで一般的に用いられてきたエンジン式の消火用可搬式ポンプにおいては、まず、吸水作業として、電源スイッチを入れた後、チョークを操作をした上で、セル始動又はリコイル操作をして、スロットルダイヤルを吸水位置にセットしてから真空ポンプの吸水レバーを引いて、最後にスロットルダイヤルを零の位置に戻して渦巻きポンプ20内への吸水作業を完了させていた。その後、放水操作として、ディスチャージバルブを開いて、スロットルダイヤルを適切な放水位置にセットして放水を行っていた。しかし、これらの操作は、扱いに不慣れな一般の方には、その操作が難しい問題があったところ、本発明では、ソレノイド56による吸水の自動化により、チョーク操作、セル始動又はリコイル操作、スロットルダイヤルの吸水位置へのセットといった操作を省略し、消火用ポンプの始動のための操作手順を減少させて吸水作業を吸水スイッチ58bの操作のみで自動化することができるので、バルブの開閉操作の失念等の誤った操作による支障を回避することができ、特に操作に不慣れな方には難しい消火用ポンプの操作を簡易なものとすることができ、広く多くの方が災害に対応することを可能とすることができる。
【0076】
(9.操作支援)
また、この吸水の自動化に伴い、本発明では、更なる操作支援のための手段も設けている。具体的には、図1及び図4に示すように、ポンプユニット12は、前面において操作や視認が容易となるように傾斜して設けられたコントロールパネル58を有し、このコントロールパネル58には、電源のオンとオフを制御する電源スイッチ58aと、上記吸水スイッチ58bと、電動モーターの回転速度を制御して渦巻きポンプから放水される消火用水の流量を制御するスロットルダイヤル58cとが設けられ、更に、別途、ディスチャージバルブのハンドル部54に設けられ渦巻きポンプ20を開放するディスチャージバルブを開放すべきタイミングであることを知らせる開放ランプ62とが設けられている。
【0077】
これらの電源スイッチ58aと吸水スイッチ58bと開放ランプ62とスロットルダイヤル58cは、現時点で操作をすべき過程に応じて、操作順に点滅や点灯等して発光する。すなわち、まずは、電源の投入の開始から始まるため電源スイッチ58aが点滅又は点灯して操作者に電源スイッチ58aを操作すべきことを知らせ、電源が投入されたら、次に、吸水スイッチ58bが点滅又は点灯して操作者に吸水スイッチ58bを操作すべきことを知らせ、渦巻きポンプ20内への吸水が完了した段階で、開放ランプ62が点滅又は点灯して放水準備が整ったことを操作者に知らせ、この開放ランプ62が点滅又は点灯したタイミングで操作者がディスチャージバルブを開放し、開放後スロットルダイヤル58cが点滅又は点灯して操作者に流量を調整すべきことを促す。このため、操作者に操作手順を案内して操作を支援することができ、操作者は点滅又は点灯による発光に従って順次該当するスイッチを操作するだけで簡易にかつ適切に放水作業を行うことができるため、操作に不慣れ一般の方でも対応することができる。
【0078】
(10.ポンプ側のバッテリー残量表示)
更に、本発明では、ポンプユニット12には、図1及び図4に示すように、バッテリーユニット14から供給可能な電力の残量を表示する残量表示部64が設けられている。この残量表示部64は、具体的には、ポンプユニット12のコントロールパネル58にも受けられ、図示の実施の形態では、電力の残量に応じて、残量表示部64が点灯や点滅、消滅することにより、供給可能な電力の残量を表示する。その他、電力の残量に応じて、発光色が変化することにより、又は、インジケーターが変化することにより、電力の残量を表示することもできる。
【0079】
この場合、給電するバッテリーユニット14の側ではなく、給電を受け作業者が操作をするポンプユニット12の側に、バッテリーユニット14から供給可能な電力の残量を表示する残量表示部が設けられているため、放水作業者が、放水作業を中断等することなく、バッテリーの残量を容易に確認することができる点に特徴がある。
【0080】
(11.電子ロック)
加えて、本発明では、渦巻きポンプ20を開放して放水を許容するディスチャージバルブが全閉位置にあるときに零点になるように設定されたスロットルダイヤル58cが零点の位置にある状態で、予め設定された所定時間が経過してもディスチャージバルブの開度に変化がない場合に、電動モーター16の回転を電子制御により規制して消火用水の放水をロックする図示しない放水ロック手段を更に備えている。
【0081】
この電子ロック手段は、具体的には、コントローラー24においてプログラミングされ、ディスチャージバルブが全閉位置に設定されたときに始動する図示しないタイマーにより予め設定された所定時間の経過を測定する一方、図示しないセンサーによりディスチャージバルブの開度を検出して、タイマーに設定された所定時間が経過してもディスチャージバルブの開度に変化がない場合に、電動モーター16の回転を電子制御により規制して消火用水の放水をロックする。これにより、渦巻きポンプ20に消火用水が供給されている状態で放水せずに放置した場合でも、そのことを知らない人がストッロルダイヤル58cを操作しても、意図せず急に放水が開始されるのを防止することができ、安全性を確保することができる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、災害現場に搬送されて消火に使用される消火用可搬式ポンプとして広く適用することができ、特に、排気を伴わない電気的制御により駆動して屋内や地下等でも使用することが可能でありながら、人力での搬送を可能とすることに適用することができる。
【符号の説明】
【0083】
1 車両
2 ソーラーパネル
10 消火用可搬式ポンプ
12 ポンプユニット
14 バッテリーユニット
16 電動モーター
18 基台
18A モーターベース
18B コントローラーベース
20 渦巻きポンプ
22 真空ポンプ
24 コントローラー
26 フレーム
26a 足部
28 カバー
30 ドライブプーリー
32 ドライブベルト
34 ドリブンプーリー
35 電磁式のチェックバルブ
36 ユニットケース
38 キャスター
40 キャスター(バッテリーユニット側)
42 キャリングハンドル
44 ビス
46 冷却手段
48 ベース冷却通路
48a 取水口
50 冷却ジャケット
50a 冷却ブロック
50b エルボ
50c 伝熱シート
52 モーター冷却通路
54 ディスチャージバルブのハンドル
56 ソレノイド
58 コントロールパネル
58a 電源スイッチ
58b 吸水スイッチ
58c スロットルダイヤル
60 テンションプーリー
62 開放ランプ
64 残量表示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9