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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177901
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】レーダ装置
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/02 20060101AFI20241217BHJP
   G01S 13/46 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
G01S7/02 210
G01S13/46
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096297
(22)【出願日】2023-06-12
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520124752
【氏名又は名称】株式会社ミライズテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】片山 哲也
【テーマコード(参考)】
5J070
【Fターム(参考)】
5J070AB17
5J070AB24
5J070AC02
5J070AC06
5J070AC13
5J070AD05
5J070AD10
5J070AD13
5J070AF03
5J070AH31
5J070AH35
5J070AH40
5J070AK22
5J070BA01
5J070BD02
(57)【要約】
【課題】2つのレーダユニットを含むレーダ装置において物標の検知分解能の向上を図る。
【解決手段】各送受信アンテナ21、31は、それぞれを構成する複数のアンテナ素子が、基準線BLに対して線対称となるようにセンサ筐体10に配置されている。また、各送受信アンテナ21、31は、各送受信アンテナ21、31の中心位置間の距離DLが各送受信アンテナ21、31のアンテナ開口長の2倍~3倍となるように配置されている。制御部50は、各送受信アンテナ21、31における一方から送信された電波が物標で反射した反射波の他方での受信結果に基づいて、各送受信アンテナ21、31の間にバイスタティックアンテナを生成する。制御部50は、物標で反射した反射波の第1送受信アンテナ21、第2送受信アンテナ31、バイスタティックアンテナでの受信結果に基づいて物標を検出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電波により物標を検出するレーダ装置であって、
センサ筐体(10)と、
電波の送受信を行う第1送受信アンテナ(21)を含む第1レーダユニット(20)と、
電波の送受信を行う第2送受信アンテナ(31)を含む第2レーダユニット(30)と、
前記物標で反射した反射波の前記第1送受信アンテナおよび前記第2送受信アンテナそれぞれでの受信結果に基づいて前記物標を検出する制御部(50)と、を備え、
前記第1送受信アンテナおよび前記第2送受信アンテナの並び方向における前記第1送受信アンテナの中心位置である第1位置(P1)と前記並び方向における前記第2送受信アンテナの中心位置である第2位置(P2)それぞれから等距離となる仮想線を基準線(BL)としたとき、
前記第1送受信アンテナおよび前記第2送受信アンテナは、それぞれを構成する複数のアンテナ素子が前記基準線に対して線対称となるように前記センサ筐体に配置されるとともに、前記第1位置から前記第2位置までの距離(DL)が前記第1送受信アンテナおよび前記第2送受信アンテナのアンテナ開口長(PL2)の2倍以上、且つ、3倍以下となるように配置されており、
前記制御部は、前記第1送受信アンテナおよび前記第2送受信アンテナにおける一方のアンテナから送信された電波が前記物標で反射した反射波の他方のアンテナでの受信結果に基づいて、前記第1送受信アンテナおよび前記第2送受信アンテナの間に複数の仮想アンテナ素子を含むバイスタティックアンテナを生成するとともに、前記物標で反射した反射波の前記第1送受信アンテナ、前記第2送受信アンテナ、前記バイスタティックアンテナでの受信結果に基づいて前記物標を検出する、レーダ装置。
【請求項2】
前記第1レーダユニットおよび前記第2レーダユニットは、それぞれ前記物標で反射した反射波の受信結果をデジタル信号に変換するAD変換部(234、334)を含み、
前記第1送受信アンテナおよび前記第2送受信アンテナの一方で電波の送受信を行わせる際に必要とされるサンプリング周波数を基準周波数(Fs)としたとき、前記AD変換部は、前記第1送受信アンテナおよび前記第2送受信アンテナの相互で電波の送受信を行わせる際のサンプリング周波数が前記基準周波数の3倍以上に設定される、請求項1に記載のレーダ装置。
【請求項3】
前記第1レーダユニットおよび前記第2レーダユニットは、前記第1送受信アンテナでの送信信号のベースバンド周波数と前記第2送受信アンテナでの送信信号のベースバンド周波数との差が前記基準周波数以上となるように、前記第1送受信アンテナおよび前記第2送受信アンテナの一方からの電波の送信タイミングが他方の送信タイミングから遅延するように構成されている、請求項2に記載のレーダ装置。
【請求項4】
前記第1レーダユニットおよび前記第2レーダユニットは、前記第1送受信アンテナでの送信信号のベースバンド周波数と前記第2送受信アンテナでの送信信号のベースバンド周波数との差が前記基準周波数以上となるように、前記第1送受信アンテナおよび前記第2送受信アンテナの一方から送信する電波の周波数に対して他方から送信する電波の周波数がシフトするように構成されている、請求項2に記載のレーダ装置。
【請求項5】
前記第1レーダユニットおよび前記第2レーダユニットは、前記第1送受信アンテナおよび前記第2送受信アンテナそれぞれでの受信信号とローカル信号との差に対応する中間周波数信号の帯域外となる周波数成分をカットするローパスフィルタ(233、333)を含み、
前記第1送受信アンテナおよび前記第2送受信アンテナの一方で電波の送受信を行わせる際に必要とされるカットオフ周波数を基準カットオフ周波数(Fc)としたとき、前記ローパスフィルタは、前記第1送受信アンテナおよび前記第2送受信アンテナの相互で電波の送受信を行わせる際のカットオフ周波数が前記基準カットオフ周波数の3倍以上に設定される、請求項3または4に記載のレーダ装置。
【請求項6】
前記第1レーダユニットおよび前記第2レーダユニットは、前記中間周波数信号における正の周波数成分と負の周波数成分とを判別可能なミキサ(232、332)を含んでいる、請求項5に記載のレーダ装置。
【請求項7】
前記第1送受信アンテナおよび前記第2送受信アンテナは、前記バイスタティックアンテナの中央部分において、前記物標で反射した反射波の前記一方のアンテナでの受信結果に基づく前記仮想アンテナ素子と前記物標で反射した反射波の前記他方のアンテナでの受信結果に基づく前記仮想アンテナ素子とが重なり合うとともに、前記バイスタティックアンテナの両端にある前記仮想アンテナ素子が、前記第1送受信アンテナを構成するアンテナ素子および前記第2送受信アンテナを構成するアンテナ素子と重なり合うように配置されている、請求項1または2に記載のレーダ装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記第1送受信アンテナおよび前記第2送受信アンテナの一方で電波の送受信を行わせるダイレクトパスモードと前記第1送受信アンテナおよび前記第2送受信アンテナの相互で電波の送受信を行わせるクロスパスモードとを異なるタイミングで実施し、
前記ローパスフィルタは、前記クロスパスモード時には前記ローパスフィルタのカットオフ周波数が前記基準カットオフ周波数の3倍以上に設定され、前記クロスパスモードから前記ダイレクトモードに切り替えられると前記ローパスフィルタのカットオフ周波数が前記基準カットオフ周波数に設定される、請求項5に記載のレーダ装置。
【請求項9】
ターゲットとする前記物標までの距離の最大値を最大検知距離とし、前記最大検知距離に対応する周波数を検知距離周波数としたとき、
前記第1レーダユニットおよび前記第2レーダユニットは、前記第1送受信アンテナでの送信信号のベースバンド周波数と前記第2送受信アンテナでの送信信号のベースバンド周波数との差が、前記検知距離周波数の2倍以上となるように、前記第1送受信アンテナおよび前記第2送受信アンテナの一方から送信する電波の周波数に対して他方から送信する電波の周波数がシフトするように構成されている、請求項2に記載のレーダ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レーダ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1および非特許文献1には、空間的に離れて配置される非コヒーレントな2つのレーダユニットにおいて、略同じ無線チャンネルを介して相互に電波の送受信を行う構成が開示されている。このような構成では、各ユニットの間の中央部にアンテナ開口長が、各ユニットに備えられたアンテナの2倍となる仮想アンテナ(バイスタティックアンテナ)を生成して、方位分解能を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2022/0334217号明細書
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Michael Gottiger、“Coherent Automotive Radar Networks: The Next Generation of Radar-Based Imaging and Mapping”、[online]、Vol.1 NO.1、2021年1月、IEEE Journal of Microwaves、p.149-163<URL:https://ieeexplore.ieee.org/stamp/stamp.jsp?tp=&arnumber=9318740>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術のレーダ装置では、原理的に、コヒーレントな測定が2つのレーダユニットで可能になったとしても、仮想アンテナのアンテナ開口長が各ユニットに備えられたアンテナのアンテナ開口長の2倍までしか拡大されない。このため、レーダ装置における物標の検知分解能の向上について依然として改善の余地がある。
【0006】
本開示は、2つのレーダユニットを含むレーダ装置において物標の検知分解能の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、
電波により物標を検出するレーダ装置であって、
センサ筐体(10)と、
電波の送受信を行う第1送受信アンテナ(21)を含む第1レーダユニット(20)と、
電波の送受信を行う第2送受信アンテナ(31)を含む第2レーダユニット(30)と、
物標で反射した反射波の第1送受信アンテナおよび第2送受信アンテナそれぞれでの受信結果に基づいて物標を検出する制御部(50)と、を備え、
第1送受信アンテナおよび第2送受信アンテナの並び方向における第1送受信アンテナの中心位置である第1位置(P1)と並び方向における第2送受信アンテナの中心位置である第2位置(P2)それぞれから等距離となる仮想線を基準線(BL)としたとき、
第1送受信アンテナおよび第2送受信アンテナは、それぞれを構成する複数のアンテナ素子が基準線に対して線対称となるようにセンサ筐体に配置されるとともに、第1位置から第2位置までの距離(DL)が第1送受信アンテナおよび第2送受信アンテナのアンテナ開口長(PL2)の2倍以上、且つ、3倍以下となるように配置されており、
制御部は、第1送受信アンテナおよび第2送受信アンテナにおける一方のアンテナから送信された電波が物標で反射した反射波の他方のアンテナでの受信結果に基づいて、第1送受信アンテナおよび第2送受信アンテナの間に複数の仮想アンテナ素子を含むバイスタティックアンテナを生成するとともに、物標で反射した反射波の第1送受信アンテナ、第2送受信アンテナ、バイスタティックアンテナでの受信結果に基づいて物標を検出する。
【0008】
このように、第1レーダユニットおよび第2レーダユニットを同じセンサ筐体に配置する構成とすれば、第1送受信アンテナと第2送受信アンテナを近付けて配置することができる。そして、各送受信アンテナの中心位置を各送受信アンテナのアンテナ開口長の2倍~3倍程度離して配置すれば、第1送受信アンテナ、バイスタティックアンテナ、第2送受信アンテナが連続して並ぶ仮想アレイアンテナを実現することができる。この仮想アレイアンテナは、バイスタティックアンテナだけでなく、各ユニットに備えられた各送受信アンテナが含まれることで、バイスタティックアンテナよりもアンテナ開口長を大きくすることができる。このように、本開示のレーダ装置によれば、各ユニットに備えられた各送受信アンテナの2倍を超えるアンテナ開口長を実現することができる。このため、従来技術に比べて、物標の検知分解能を向上させることが可能となる。
【0009】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係るレーダ装置の概略構成図である。
図2】第1レーダユニットおよび第2レーダユニットの概略構成図である。
図3】レーダ装置のアンテナ構成を説明するための説明図である。
図4】バイスタティックアンテナについての説明図である。
図5】第1実施形態に係るレーダ装置におけるダイレクトパスでの受信信号とクロスパスでの受信信号とを区別する手法を説明するための説明図である。
図6】第1実施形態に係るダイレクトパスモード時に得られるIF信号の周波数帯とクロスパスモード時に得られるIF信号の周波数帯とを説明するための説明図である。
図7】第2実施形態に係るレーダ装置におけるダイレクトパスモードおよびクロスパスモードでのカットオフ周波数およびサンプリング周波数を説明するための説明図である。
図8】第2実施形態に係るレーダ装置におけるダイレクトパスでの受信信号とクロスパスでの受信信号とを区別する手法を説明するための説明図である。
図9】第2実施形態に係るダイレクトパスモード時に得られるIF信号の周波数帯とクロスパスモード時に得られるIF信号の周波数帯とを説明するための説明図である。
図10】第3実施形態に係るレーダ装置におけるダイレクトパスでの受信信号とクロスパスでの受信信号とを区別する手法を説明するための説明図である。
図11】第3実施形態に係るダイレクトパスモード時に得られるIF信号の周波数帯とクロスパスモード時に得られるIF信号の周波数帯とを説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態において、先行する実施形態で説明した事項と同一もしくは均等である部分には、同一の参照符号を付し、その説明を省略する場合がある。また、実施形態において、構成要素の一部だけを説明している場合、構成要素の他の部分に関しては、先行する実施形態において説明した構成要素を適用することができる。以下の実施形態は、特に組み合わせに支障が生じない範囲であれば、特に明示していない場合であっても、各実施形態同士を部分的に組み合わせることができる。
【0012】
(第1実施形態)
本実施形態について、図1図6を参照して説明する。本実施形態では、本開示のレーダ装置1を、車両に搭載されて、自車両の周囲に存在する他車両、静止物体等の物標をターゲットとして検出する物標検出装置に適応した例について説明する。
【0013】
レーダ装置1は、車両の前方に向けて電波を出射するとともに、車両の前方にある物標によって反射した電波を受信することで、物標までの距離、自車両に対する相対速度、自車両に対する方位等を求める。
【0014】
レーダ装置1は、信号の変調方式としてFMCW方式が採用されている。レーダ装置1は、電波の動作周波数が、ミリ波に対応する周波数帯(例えば、76GHz)とされている。なお、レーダ装置1が送受信する電波の動作周波数は、ミリ波に対応する周波数に限定されず、ミリ波以外の周波数であってもよい。
【0015】
図1に示すように、レーダ装置1は、センサ筐体10と、第1レーダユニット20と、第2レーダユニット30と、制御部50とを備える。なお、便宜上、図面では、第1レーダユニット20を“RU1”としたり、第2レーダユニット30を“RU2”としたりすることがある。
【0016】
センサ筐体10は、レーダ装置1の外殻を構成する部材である。センサ筐体10には、第1レーダユニット20、第2レーダユニット30、制御部50が設けられている。なお、制御部50については、センサ筐体10の外側に設けられていてもよい。
【0017】
図2に示すように、第1レーダユニット20は、電波の送受信を行う第1送受信アンテナ21を含むセンサユニットである。第1レーダユニット20は、第1送受信アンテナ21に加えて、第1送信部22、第1受信部23を含んでいる。第1レーダユニット20は、第1送信部22および第1受信部23が単一の半導体チップに実装された構成になっている。
【0018】
図3に示すように、第1送受信アンテナ21は、複数の送信アンテナTxおよび複数の受信アンテナRxからなる実アレイアンテナを有する。本例の実アレイアンテナは、3つの送信アンテナTx、4つの受信アンテナRxを含んでいる。具体的には、実アレイアンテナは、4つの受信アンテナRxが予め定めた基準距離をあけて等間隔に並んで配置され、3つの送信アンテナTxが基準距離の4倍となる距離をあけて等間隔に並んで配置されている。なお、基準距離は、例えば、電波の半波長に設定される。本開示の第1送受信アンテナ21は、実在するアンテナ素子で構成される実アレイアンテナだけを意味するものではなく、実在するアンテナ素子と仮想アンテナ素子とを含む仮想アレイアンテナとして解釈することができる。このことは、第2送受信アンテナ31についても同様である。
【0019】
図2に戻り、第1送信部22は、連続的に周波数が変化するチャープ信号を送信信号として生成し、生成した送信信号を各送信アンテナTxに伝える。第1送信部22は、第1局部発振器221、第1分配器222、第1送信側増幅器223、第1タイミングエンジン224等を有している。
【0020】
第1局部発振器221は、ローカル信号に同期した送信信号を生成する。第1局部発振器221は、ローカル信号を生成するローカル信号生成部221a、ローカル信号に同期した信号を出力するPLL回路221b、PLL回路221bが出力する信号の周波数を変動させるVCO回路221cを含んで構成されている。
【0021】
第1分配器222は、送信信号を第1送信側増幅器223側と第1受信部23側に分配するものである。第1分配器222は、第1送信側増幅器223および第1受信部23のそれぞれに接続されている。
【0022】
第1送信側増幅器223は、第1分配器222と各送信アンテナTxとの間に設けられている。第1送信側増幅器223は、送信信号の電力を増幅して送信アンテナTxに出力する。
【0023】
第1タイミングエンジン224は、第1送信部22からの送信出力と第1受信部23でのサンプリング開始のタイミングを制御するものである。第1タイミングエンジン224は、各送信部22、32でのチャープ信号の送信開始タイミングを同期させることが可能なように、第2送信部32に設けられた第2タイミングエンジン324に対して信号出力可能に接続されている。
【0024】
第1受信部23は、各受信アンテナRxで受信した受信信号に基づくビート信号を生成し、当該ビート信号を制御部50に伝える。第1受信部23は、第1受信側増幅器231、第1ミキサ232、第1フィルタ233、第1ADコンバータ234等を含んで構成されている。
【0025】
第1受信側増幅器231は、物標で反射した反射波の各受信アンテナRxでの受信により発生するRF信号を増幅することで受信信号を生成する。この受信信号は、各受信アンテナRxで受信した反射波に対応する電気信号である。
【0026】
第1ミキサ232は、第1送信部22で生成されるローカル信号に基づいて受信信号に対して直検波処理(いわゆる、IQ検波処理)を実行する。第1ミキサ232は、ローカル信号と受信信号とをミキシングすることで、両者の周波数差に対応する中間周波数信号(いわゆるIF信号)を生成して、第1フィルタ233に出力する。直交検波処理では、互いに直交した搬送波を用いることでIF信号における正の周波数成分と負の周波数成分とを判別可能となっている。すなわち、本実施形態の第1ミキサ232は、IF信号における正の周波数成分と負の周波数成分とを判別可能となっている。
【0027】
第1フィルタ233は、所定のカットオフ周波数を有するローパスフィルタである。第1フィルタ233は、カットオフ周波数を切替可能に構成された周波数可変フィルタが採用されている。
【0028】
第1ADコンバータ234は、物標で反射した反射波の受信結果をデジタル信号に変換するAD変換部である。第1ADコンバータ234は、アナログ信号であるIF信号をデジタル信号であるビート信号に変換して制御部50に出力する。第1ADコンバータ234は、サンプリング周波数を切替可能に構成されている。
【0029】
続いて、第2レーダユニット30について説明する。第2レーダユニット30は、電波の送受信を行う第2送受信アンテナ31を含むセンサユニットである。第2レーダユニット30は、第2送受信アンテナ31に加えて、第2送信部32、第2受信部33を含んでいる。第2レーダユニット30は、第2送信部32および第2受信部33が単一の半導体チップに実装された構成になっている。
【0030】
第2送受信アンテナ31は、複数の送信アンテナTxおよび複数の受信アンテナRxを有する。本例の第2送受信アンテナ31は、3つの送信アンテナTx、4つの受信アンテナRxを有している。
【0031】
図3に示すように、第2送受信アンテナ31は、複数の送信アンテナTxおよび複数の受信アンテナRxからなる実アレイアンテナを有する。本例の実アレイアンテナは、3つの送信アンテナTx、4つの受信アンテナRxを含んでいる。具体的には、実アレイアンテナは、4つの受信アンテナRxが予め定めた基準距離をあけて等間隔に並んで配置され、3つの送信アンテナTxが基準距離の4倍となる距離をあけて等間隔に並んで配置されている。
【0032】
図2に戻り、第2送信部32は、連続的に周波数が変化するチャープ信号を送信信号として生成し、生成した送信信号を各送信アンテナTxに伝える。第2送信部32は、第2局部発振器321、第2分配器322、第2送信側増幅器323、第2タイミングエンジン324等を有している。
【0033】
第2局部発振器321は、第1局部発振器221とは一部異なっている。第2局部発振器321は、PLL回路321b、VCO回路321cを含んで構成されている。第2局部発振器321は、PLL回路321bが第1局部発振器221のローカル信号生成部221aに接続されている。
【0034】
このようになっていることで、各局部発振器221、321でのクロックの同期が確保されている。また、各局部発振器221、321は、個別にPLL回路221b、321b、VCO回路221c、321cが設けられているので、異なる周波数の送信信号を同時に生成することが可能となっている。
【0035】
第2分配器322は、送信信号を第2送信側増幅器323側と第2受信部33側に分配するものである。第2分配器322は、第2送信側増幅器323および第2受信部33のそれぞれに接続されている。
【0036】
第2送信側増幅器323は、第2分配器322と各送信アンテナTxとの間に設けられている。第2送信側増幅器323は、送信信号の電力を増幅して送信アンテナTxに出力する。
【0037】
第2タイミングエンジン324は、第2送信部32からの送信出力と第2受信部33でのサンプリング開始のタイミングを制御するものである。第2タイミングエンジン324は、各送信部22、32でのチャープ信号の送信開始タイミングを同期させることが可能なように、第1送信部22の第1タイミングエンジン224に接続されている。
第2タイミングエンジン324は、第1送受信アンテナ21での送信信号の送信タイミングに対して、第2送受信アンテナ31での送信信号の送信タイミングを遅延させる遅延回路として機能する。第2タイミングエンジン324での遅延時間は、各送受信アンテナ21、31の相互で電波の送受信を行わせる際に、第1送受信アンテナ21および第2送受信アンテナ31の一方で求めるIF信号の周波数帯と、他方で求めるIF信号の周波数帯とを分離可能な時間に設定される。なお、以下では、各送受信アンテナ21、31の一方で電波の送受信を行わせるモードを“ダイレクトパスモード”とし、各送受信アンテナ21、31の相互で電波の送受信を行わせるモードを“クロスパスモード”とする。
【0038】
第2受信部33は、各受信アンテナRxで受信した受信信号に基づくビート信号を生成し、当該ビート信号を制御部50に伝える。第2受信部33は、第2受信側増幅器331、第2ミキサ332、第2フィルタ333、第2ADコンバータ334等を含んで構成されている。
【0039】
第2ミキサ332は、第2送信部32で生成されるローカル信号に基づいて受信信号に対して直検波処理(いわゆる、IQ検波処理)を実行する。第2ミキサ332は、ローカル信号と受信信号とをミキシングすることで、IF信号を生成して、第2フィルタ333に出力する。
【0040】
第2フィルタ333は、第1フィルタ233と同様に、所定のカットオフ周波数を有するローパスフィルタである。第2フィルタ333は、カットオフ周波数を切替可能に構成された周波数可変フィルタが採用されている。
【0041】
第2ADコンバータ334は、物標で反射した反射波の受信結果をデジタル信号に変換するAD変換部である。第2ADコンバータ334は、アナログ信号であるIF信号をデジタル信号であるビート信号に変換して制御部50に出力する。第2ADコンバータ334は、サンプリング周波数を切替可能に構成されている。
【0042】
制御部50は、プロセッサ、メモリを備えたマイクロコンピュータを中心に構成された電子制御機器である。メモリは、例えば、ROM、RAM等である。マイクロコンピュータの各種機能は、プロセッサが非遷移的実体的記憶媒体に格納されたプログラムを実行することにより実現される。
【0043】
制御部50は、各ユニット20、30から得られるビート信号に基づいて、物標までの距離、物標の相対速度、物標の方位を検出する。制御部50は、例えば、ビート信号をFFTにより周波数解析することで、物標までの距離を求める。制御部50は、ビート周波数成分毎にFFTを行ってドップラ周波数を求めるとともに当該ドップラ周波数に基づいて物標の相対速度を求める。さらに、制御部50は、各受信アンテナRxの受信信号の位相が反射波の到来角によって異なることを基に、物標の方位を検出する。
【0044】
加えて、制御部50は、各送受信アンテナ21、31それぞれで電波を送受信した際のビート信号を信号処理することで、実在する受信アンテナRxの数倍の数のアンテナ素子を有する仮想アンテナを生成する。
【0045】
本実施形態の各送受信アンテナ21、31は、図3に示すように、MIMO技術を利用した仮想アンテナであるMIMOアンテナとして構成されている。MIMOアンテナでは、仮想アンテナ素子が増えることでアンテナ開口長AL2が大きくなる。本実施形態の各送受信アンテナ21、31は、各受信アンテナRxのアンテナ開口長AL1の3倍となるアンテナ開口長AL2を有する。なお、MIMOは、Multi Input Multi Outputの略称である。SIMOは、Single Input Multi Outputの略称である。
【0046】
ここで、第1送受信アンテナ21および第2送受信アンテナ31の並び方向における第1送受信アンテナ21の中心位置である第1位置P1と第2送受信アンテナ31の中心位置である第2位置P2それぞれから等距離となる仮想線を基準線BLとしたとする。
【0047】
このとき、第1送受信アンテナ21および第2送受信アンテナ31は、それぞれを構成する複数のアンテナ素子が基準線BLに対して線対称となるようにセンサ筐体10に配置されている。
【0048】
加えて、第1送受信アンテナ21および第2送受信アンテナ31は、第1位置P1から第2位置P2までの距離DLが各送受信アンテナ21、31のアンテナ開口長AL2の2倍以上、且つ、3倍以下となるように配置されている。本例の第1送受信アンテナ21および第2送受信アンテナ31は、各送受信アンテナ21、31と後述のバイスタティックアンテナとが部分的に重なり合うように、第1位置P1から第2位置P2までの距離DLが各送受信アンテナ21、31のアンテナ開口長AL2の略2.75倍となるように配置されている。
【0049】
これらを前提として、制御部50は、各送受信アンテナ21、31における一方のアンテナから送信された電波が物標で反射した反射波の他方のアンテナでの受信結果に基づいて、各送受信アンテナ21、31の間にバイスタティックアンテナを生成する。バイスタティックアンテナは、複数の仮想アンテナ素子を含む仮想アレイアンテナである。、図4に示すように、クロスパスモード時には、各送受信アンテナ21、31の中央部で反射波の位相が一致する箇所が発生することから、各送受信アンテナ21、31の中央に複数の仮想アンテナ素子からなるバイスタティックアンテナを生成することができる。このようなバイスタティックアンテナの原理等については、非特許文献1に詳細が示されていることから、本明細書での説明については省略する。
【0050】
制御部50は、例えば、各送受信アンテナ21、31の一方での受信結果に基づいて第1バイスタティックを生成し、各送受信アンテナ21、31の他方での受信結果に基づいて第2バイスタティックを生成する。本例のバイスタティックアンテナは、第1バイスタティックを構成する仮想アンテナ素子と第2バイスタティックを構成する仮想アンテナ素子とが、バイスタティックアンテナの中央部分で重なり合うアンテナ構成となっている。
【0051】
また、本実施形態では、各送受信アンテナ21、31について、第1位置P1から第2位置P2までの距離DLが各送受信アンテナ21、31のアンテナ開口長AL2の略3倍となるように配置されている。これにより、バイスタティックアンテナは、バイスタティックアンテナの両端にある仮想アンテナ素子が、第1送受信アンテナ21を構成するアンテナ素子および第2送受信アンテナ31を構成するアンテナ素子と重なり合うアンテナ構成となっている。
【0052】
本実施形態の制御部50は、物標で反射した反射波の各送受信アンテナ21、31で受信結果に加えて、バイスタティックアンテナでの受信結果に基づいて物標を検出する。
【0053】
このように構成されるレーダ装置1では、物標を適切に検出するために、制御部50において、ダイレクトパスDPでの受信信号とクロスパスCPでの受信信号とを区別可能になっている必要がある。
【0054】
本実施形態のレーダ装置1は、例えば、図5に示すように、各送受信アンテナ21、31の一方からの送信タイミングを他方の送信タイミングから遅延させることでダイレクトパスDPでの受信信号とクロスパスCPでの受信信号とを区別可能に構成されている。
【0055】
具体的には、図6に示すように、レーダ装置1は、各送受信アンテナ21、31での送信信号のベースバンド周波数の差が基準周波数Fs以上となるように、各送受信アンテナ21、31の一方からの送信タイミングを他方の送信タイミングから遅延させる。換言すれば、レーダ装置1は、所定のタイミングにおける各送受信アンテナ21、31での送信信号のベースバンド周波数が基準周波数Fs以上ずれるように、各送受信アンテナ21、31の一方からの送信タイミングを他方の送信タイミングから遅延させる。なお、基準周波数Fsは、ダイレクトパスモード時に必要とされるサンプリング周波数である。基準周波数Fsは、例えば、ダイレクトパスモード時のカットオフ周波数の2倍の周波数として定義される。
【0056】
このようになっていれば、各送受信アンテナ21、31の一方で電波を送受信した受信信号の周波数帯と、各送受信アンテナ21、31の相互で電波を送受信した際の受信信号の周波数帯とを分離することができる。この結果、各送受信アンテナ21、31の一方で電波を送受信した受信信号と、各送受信アンテナ21、31の相互で電波を送受信した際の受信信号とを区別して検出することができる。
【0057】
以下、レーダ装置1におけるダイレクトパスDPでの受信信号とクロスパスCPでの受信信号とを区別する手法の一実施例について説明する。なお、以下に示す手法は、一例であり、数値等は適宜変更され得る。
【0058】
本実施例のレーダ装置1は、ミリ波の電波が1usecで移動する距離である300m先にある物標までを検知対象としている。つまり、レーダ装置1は、ミリ波が1usecで進む距離(300m)を最大検知距離となっている。
【0059】
例えば、150m先にターゲットとなる物標が存在する場合、レーダ装置1では、図5に示すように、ダイレクトパスDPでの反射波については、送信信号の送信タイミングから1usec遅れたタイミングで各ユニット20、30にて受信される。このときの送信信号と受信信号とのベースバンド周波数の差について図5では10MHzとしている。
【0060】
また、300m先にターゲットとなる物標が存在する場合、レーダ装置1では、ダイレクトパスDPでの反射波については、送信タイミングから2usec遅れたタイミングで各ユニット20、30にて受信される。このときの送信信号と受信信号とのベースバンド周波数の差について図5では20MHzとしている。
【0061】
加えて、レーダ装置1は、ダイレクトパスモード時の各フィルタ233、333のカットオフ周波数がレーダ装置1の最大検知距離に対応する“20MHz”に設定されている。そして、ダイレクトパスモード時の各ADコンバータ234、334のサンプリング周波数(基準周波数Fs)は、ナイキストの定理より、カットオフ周波数の倍となる“40MHz”に設定されている。
【0062】
また、レーダ装置1は、各送受信アンテナ21、31での送信信号のベースバンド周波数との差が基準周波数Fs以上となるように、第2送受信アンテナ31での送信タイミングを第1送受信アンテナ21での送信タイミングから遅延させる構成になっている。
【0063】
具体的には、遅延回路324は、第2送受信アンテナ31での送信タイミングを第1送受信アンテナ21での送信タイミングから、基準周波数Fsである40MHzに対応する4usec遅延させるように構成されている。
【0064】
このように構成されるレーダ装置1は、第2レーダユニット30でのベースバンド周波数およびIF信号の周波数が第1レーダユニット20でのベースバンド周波数およびIF信号の周波数に対して40MHzシフトする。
【0065】
例えば、第1レーダユニット20から送信されて150m先のターゲットで反射した電波を第2レーダユニット30で受ける場合(CP:RU1→RU2)、送信信号と受信信号とのベースバンド周波数の差が50MHz(=10MHz+40MHz)となる。
【0066】
また、第2レーダユニット30から送信されて150m先のターゲットで反射した電波を第1レーダユニット20で受ける場合(CP:RU2→RU1)、送信信号と受信信号とのベースバンド周波数の差が30MHz(=40MHz-10MHz)となる。なお、本例では、各ミキサ232、332が正の周波数成分と負の周波数成分と分別可能になっているので、ベースバンド周波数の差を適切に検出することができる。
【0067】
ここで、図6は、ダイレクトパスモード時に得られるIF信号の周波数帯とクロスパスモード時に得られるIF信号の周波数帯とを説明するための説明図である。図6に示すグラフは、縦軸が信号強度を示し、横軸がIF信号の周波数を示している。
【0068】
本実施例のレーダ装置1によれば、図6に示すように、ダイレクトパスモード時のIF信号の周波数帯(0~20MHz)と、クロスパスモード時のIF信号の周波数帯(20MHz~40MHz、40MHz~60MHz)とを分離することができる。
【0069】
ここで、レーダ装置1は、IF信号の周波数帯に応じて、各フィルタ233、333のカットオフ周波数および各ADコンバータ234、334のサンプリング周波数が設定されている。例えば、各フィルタ233、333は、カットオフ周波数がダイレクトパスモード時に必要とされるカットオフ周波数である基準カットオフ周波数Fcの3倍(60MHz)に設定されている。なお、カットオフ周波数は、基準カットオフ周波数Fcの3倍(120MHz)を超えた周波数に設定されていてもよい。また、各ADコンバータ234、334は、サンプリング周波数が、ダイレクトパスモード時に必要とされるサンプリング周波数である基準周波数Fsの3倍に設定されている。なお、サンプリング周波数は基準周波数Fsの3倍を超えた周波数に設定されていてもよい。
【0070】
以上説明したレーダ装置1は、センサ筐体10と、第1レーダユニット20と、第2レーダユニット30と、物標で反射した反射波の各送受信アンテナ21、31での受信結果に基づいて物標を検出する制御部50と、を備える。第1送受信アンテナ21および第2送受信アンテナ31は、それぞれを構成する複数のアンテナ素子が、各送受信アンテナ21、31それぞれの中心位置から等距離となる基準線BLに対して線対称となるようにセンサ筐体10に配置されている。第1送受信アンテナ21および第2送受信アンテナ31は、第1位置P1から第2位置P2までの距離DLが各送受信アンテナ21、31のアンテナ開口長AL2の2倍以上、且つ、3倍以下となるように配置されている。制御部50は、各送受信アンテナ21、31における一方のアンテナから送信された電波が物標で反射した反射波の他方のアンテナでの受信結果に基づいて、各送受信アンテナ21、31の間に複数の仮想アンテナ素子を含むバイスタティックアンテナを生成する。制御部50は、物標で反射した反射波の第1送受信アンテナ21、第2送受信アンテナ31、バイスタティックアンテナでの受信結果に基づいて物標を検出する。
【0071】
このように、第1レーダユニット20および第2レーダユニット30を同じセンサ筐体10に配置する構成とすれば、第1送受信アンテナ21と第2送受信アンテナ31を近付けて配置することができる。そして、各送受信アンテナ21、31の中心位置をアンテナ開口長AL2の2倍~3倍程度離して配置すれば、第1送受信アンテナ21、バイスタティックアンテナ、第2送受信アンテナ31が並ぶ仮想アレイアンテナを実現することができる。この仮想アレイアンテナは、バイスタティックアンテナだけでなく、各ユニット20、30に備えられた各送受信アンテナ21、31が含まれることで、バイスタティックアンテナよりもアンテナ開口長を大きくすることができる。したがって、本実施形態のレーダ装置1によれば、各ユニット20、30に備えられた各送受信アンテナ21、31の2倍を超えるアンテナ開口長を実現することができる。
【0072】
また、本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
【0073】
(1)従来技術の如く、各ユニット20、30で個別にローカル信号を生成する構成では、サンプリングされたベースバンド信号の干渉変数(位相雑音、非線形性、時間オフセット等)の影響が大きい。この場合、各ユニット20、30で検出される信号の位相に依存する情報(例えば、距離、角度分離等)の精度が大きく悪化する。特に、位相雑音の影響は、ホモダイン方式の装置よりもインコヒーレントな発振器によって著しく強くなり、距離測定の精度が大きく悪化する。また、各ユニット20、30に備えられた発振器のクロックは、数十nsecの同期はとれても、数十fsecオーダの位相雑音まで同期がとれない。このため、各ユニット20、30の一方のアンテナで電波を送受信する場合に比べて、各ユニット20、30の各アンテナの相互で電波を送受信する場合での物標の検知性能が悪化し易い。
【0074】
これに対して、本実施形態の各ユニット20、30は、第1レーダユニット20のローカル信号生成部221aが生成するローカル信号が、各ユニット20、30のPLL回路211b、311bに出力されるようになっている。
【0075】
このように、同一のセンサ筐体10に配置された各ユニット20、30において、共通のローカル信号生成部221aで生成されたローカル信号が用いられていれば、、各ユニット20、30で高精度に同期がとり易くなる。この場合、各送受信アンテナ21、31の一方で電波を送受信する場合だけでなく、各送受信アンテナ21、31の相互で電波を送受信する場合でも位相雑音等を受信可能となり、物標の検知性能を確保することができる。
【0076】
(2)各ユニット20、30は、それぞれ物標で反射した反射波の受信結果をデジタル信号に変換する第1ADコンバータ234および第2ADコンバータ334を含んでいる。各送受信アンテナ21、31の一方で電波の送受信を行わせる際に必要とされるサンプリング周波数を基準周波数Fsとしたとする。このとき、各ADコンバータ234、334は、各送受信アンテナ21、31の相互で電波の送受信を行わせる際のサンプリング周波数が基準周波数Fsの3倍以上に設定される。これによると、各送受信アンテナ21、31の一方で電波を送受信した受信信号と各送受信アンテナ21、31の相互で電波を送受信した際の受信信号とを区別して検出することができる。
【0077】
(3)各ユニット20、30は、各送受信アンテナ21、31での送信信号のベースバンド周波数の差が基準周波数Fs以上となるように、各送受信アンテナ21、31の一方からの電波の送信タイミングが他方の送信タイミングから遅延するように構成されている。
【0078】
これによると、各送受信アンテナ21、31の一方で電波を送受信した受信信号の周波数帯と、各送受信アンテナ21、31の相互で電波を送受信した際の受信信号の周波数帯とを分離することができる。このため、各送受信アンテナ21、31の一方で電波を送受信した受信信号と、各送受信アンテナ21、31の相互で電波を送受信した際の受信信号とを区別して検出することができる。なお、レーダ装置1は、第1送受信アンテナ21の送信タイミングを第2送受信アンテナ31の送信タイミングから遅延させるようになっていてもよい。
【0079】
(4)各ユニット20、30は、各送受信アンテナ21、31それぞれでの受信信号とローカル信号との差に対応するIF信号の使用帯域外となる周波数成分をカットする第1フィルタ233および第2フィルタ333を含んでいる。各フィルタ233、333は、各送受信アンテナ21、31の相互で電波の送受信を行わせる際のカットオフ周波数が、各送受信アンテナ21、31の一方で電波の送受信を行わせる際に必要とされるカットオフ周波数の3倍以上に設定される。これによると、各送受信アンテナ21、31の相互で電波を送受信した際の受信信号の周波数を適切に検出することができる。
【0080】
(5)各ユニット20、30には、IF信号における正の周波数成分と負の周波数成分とを判別可能な第1ミキサ232および第2ミキサ332を含んでいる。これによると、各送受信アンテナ21、31の相互で電波を送受信した際の受信信号の周波数を適切に検出することができる。
【0081】
(6)各送受信アンテナ21、31は、バイスタティックアンテナの中央部分において、一方のアンテナでの受信結果に基づく仮想アンテナ素子と他方のアンテナでの受信結果に基づく仮想アンテナ素子とが重なり合うように配置されている。加えて、各送受信アンテナ21、31は、バイスタティックアンテナの両端にある仮想アンテナ素子が、第1送受信アンテナ21を構成するアンテナ素子および第2送受信アンテナ31を構成するアンテナ素子と重なり合うように配置されている。これによれば、第1送受信アンテナ21、バイスタティックアンテナ、第2送受信アンテナ31が連続して並ぶ仮想アレイアンテナを実現することができる。この仮想アレイアンテナでは、各ユニット20、30に備えられた各送受信アンテナ21、31の4倍程度のアンテナ開口長を実現することができる。
【0082】
(第1実施形態の変形例)
第1実施形態の如く、クロスパスモードが、ダイレクトパスモード時に一方のアンテナから送信した送信信号に対応する電波を他方のアンテナで受信するようになっていると、遠方にある巨大な物標で反射した反射波をクロスパスモード時に受信することがある。
【0083】
そこで、制御部50は、図7に示すように、ダイレクトパスモードとクロスパスモードとを異なるタイミングで実施可能なように、ダイレクトパスモードとクロスパスモードを切り替え可能に構成されている。
【0084】
このような構成において、制御部50は、クロスパスモード時にカットオフ周波数を基準カットオフ周波数Fcの3倍以上に設定する。一方、ダイレクトパスモード時には、制御部50は、各フィルタ233、333のカットオフ周波数を遠方にある巨大な物標で反射した反射波を受信しない周波数に切り替える。例えば、制御部50は、ダイレクトパスモード時に、各フィルタ233、333のカットオフ周波数を基準カットオフ周波数Fcに切り替える。
加えて、制御部50は、クロスパスモード時にサンプリング周波数を基準周波数Fsの3倍以上に設定する。ダイレクトパスモード時のサンプリング周波数については、基準周波数Fs以上であればよいので、制御部50は、クロスパスモード時と同じサンプリング周波数に設定する。なお、制御部50は、クロスパスモード時にサンプリング周波数を基準周波数Fsに切り替えるようになっていてもよい。
【0085】
このように、ダイレクトパスモードとクロスパスモードとを異なるタイミングで実施するとともに、各フィルタ233、333のカットオフ周波数を適正な周波数に切り替える構成であれば、遠方にある巨大な物標で反射した反射波の受信を抑制することができる。
【0086】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について、図8図9を参照して説明する。本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について主に説明する。
【0087】
本実施形態のレーダ装置1は、各送受信アンテナ21、31の一方から送信する電波の周波数に対して他方から送信する電波の周波数をシフトさせることでダイレクトパスDPでの受信信号とクロスパスCPでの受信信号とを区別可能に構成されている。
【0088】
このような構成は、第1実施形態で説明した遅延回路324を廃止し、その代わりに、各ユニット20、30の少なくとも一方に送信信号の周波数をシフトさせる回路を設けることによって実現することができる。
【0089】
具体的には、各送受信アンテナ21、31での送信信号のベースバンド周波数の差が基準周波数Fs以上となるように、各送受信アンテナ21、31の一方から送信する電波の周波数に対して他方から送信する電波の周波数をシフトさせる。なお、基準周波数Fsは、ダイレクトパスモード時に必要とされるサンプリング周波数である。
【0090】
このようになっていれば、各送受信アンテナ21、31の一方で電波を送受信した受信信号の周波数帯と、各送受信アンテナ21、31の相互で電波を送受信した際の受信信号の周波数帯とを分離することができる。この結果、各送受信アンテナ21、31の一方で電波を送受信した受信信号と、各送受信アンテナ21、31の相互で電波を送受信した際の受信信号とを区別して検出することができる。
【0091】
以下、レーダ装置1におけるダイレクトパスDPでの受信信号とクロスパスCPでの受信信号とを区別する手法の一実施例について説明する。なお、レーダ装置1の性能、各種設定は第1実施形態で説明した実施例と同じ前提としている。
【0092】
図8に示すように、レーダ装置1は、同じタイミングで各送受信アンテナ21、31から送信信号を送信する。この際、レーダ装置1は、各送受信アンテナ21、31での送信信号のベースバンド周波数との差が基準周波数Fsとなるように、第1送受信アンテナ21の送信信号の周波数に対して、第2送受信アンテナ31の送信信号の周波数をシフトさせる。
【0093】
このように構成されるレーダ装置1は、第2レーダユニット30でのベースバンド周波数およびIF信号の周波数が第1レーダユニット20でのベースバンド周波数およびIF信号の周波数に対して基準周波数Fs(40MHz)の分だけシフトする。
【0094】
例えば、第1レーダユニット20から送信されて150m先のターゲットで反射した電波を第2レーダユニット30で受ける場合(CP:RU1→RU2)、送信信号と受信信号とのベースバンド周波数の差が50MHz(=10MHz+40MHz)となる。
【0095】
また、第2レーダユニット30から送信されて150m先のターゲットで反射した電波を第1レーダユニット20で受ける場合(CP:RU2→RU1)、送信信号と受信信号とのベースバンド周波数の差が30MHz(=40MHz-10MHz)となる。
【0096】
ここで、図9は、ダイレクトパスモード時に得られるIF信号の周波数帯とクロスパスモード時に得られるIF信号の周波数帯とを説明するための説明図である。図9に示すグラフは、縦軸が信号強度を示し、横軸がIF信号の周波数を示している。
【0097】
本実施例のレーダ装置1によれば、図9に示すように、ダイレクトパスモード時のIF信号の周波数帯(0~20MHz)と、クロスパスモード時のIF信号の周波数帯(20MHz~40MHz、40MHz~60MHz)とを分離することができる。
【0098】
その他については、第1実施形態と同様である。本実施形態のレーダ装置1は、第1実施形態と共通の構成または均等な構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
【0099】
また、本実施形態のレーダ装置1は、以下の特徴を備える。
【0100】
(1)各ユニット20、30は、各送受信アンテナ21、31での送信信号のベースバンド周波数の差が基準周波数Fs以上となるように、各送受信アンテナ21の一方の送信信号の周波数に対して、他方の送信信号の周波数をシフトさせる。
【0101】
これによると、各送受信アンテナ21、31の一方で電波を送受信した受信信号の周波数帯と、各送受信アンテナ21、31の相互で電波を送受信した際の受信信号の周波数帯とを分離することができる。このため、各送受信アンテナ21、31の一方で電波を送受信した受信信号と、各送受信アンテナ21、31の相互で電波を送受信した際の受信信号とを区別して検出することができる。なお、レーダ装置1は、第2送受信アンテナ31の送信信号の周波数に対して、第1送受信アンテナ21の送信信号の周波数をシフトさせるようになっていてもよい。
【0102】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について、図10図11を参照して説明する。本実施形態では、第2実施形態と異なる部分について主に説明する。
【0103】
第2実施形態の如く、クロスパスモードが、ダイレクトパスモード時に一方のアンテナから送信した送信信号に対応する電波を他方のアンテナで受信するようになっている場合、遠方にある巨大な物標で反射した反射波をクロスパスモード時に受信することがある。
【0104】
これに対して、本実施形態のレーダ装置1は、遠方にある巨大な物標で反射した反射波をクロスパスモード時に受信しないように、各送受信アンテナ21、31の一方から送信する電波の周波数に対する他方から送信する電波の周波数のシフト量を設定している。
【0105】
具体的には、各送受信アンテナ21、31での送信信号のベースバンド周波数の差が、レーダ装置1の最大検知距離に対応する検知距離周波数の2倍以上となるように、各送受信アンテナ21、31の一方の送信周波数に対して他方の送信周波数をシフトさせる。なお、最大検知距離は、レーダ装置1においてターゲットとする物標までの距離の最大値である。検知距離周波数は、電波の移動距離が最大検知距離となるまでの期間で変化する周波数の変動幅である。
【0106】
このようになっていれば、各送受信アンテナ21、31の一方で電波を送受信した受信信号の周波数帯と、各送受信アンテナ21、31の相互で電波を送受信した際の受信信号の周波数帯とを大きく分離させることができる。この結果、各送受信アンテナ21、31の一方で電波を送受信した受信信号と、各送受信アンテナ21、31の相互で電波を送受信した際の受信信号とを区別して検出することができる。
【0107】
以下、レーダ装置1におけるダイレクトパスDPでの受信信号とクロスパスCPでの受信信号とを区別する手法の一実施例について説明する。なお、レーダ装置1の性能、各種設定は第1実施形態で説明した実施例と同じ前提としている。
【0108】
図10に示すように、レーダ装置1は、同じタイミングで各送受信アンテナ21、31から送信信号を送信する。この際、レーダ装置1は、各送受信アンテナ21、31での送信信号のベースバンド周波数との差が、検知距離周波数の3倍となるように、第1送受信アンテナ21の送信信号の周波数に対して、第2送受信アンテナ31の送信信号の周波数をシフトさせる。
【0109】
このように構成されるレーダ装置1は、第2レーダユニット30でのベースバンド周波数およびIF信号の周波数が第1レーダユニット20でのベースバンド周波数およびIF信号の周波数に対して検知距離周波数の3倍(60MHz)の分だけシフトする。
【0110】
例えば、第1レーダユニット20から送信されて150m先のターゲットで反射した電波を第2レーダユニット30で受ける場合(CP:RU1→RU2)、送信信号と受信信号とのベースバンド周波数の差が70MHz(=10MHz+60MHz)となる。
【0111】
また、第2レーダユニット30から送信されて150m先のターゲットで反射した電波を第1レーダユニット20で受ける場合(CP:RU2→RU1)、送信信号と受信信号とのベースバンド周波数の差が50MHz(=60MHz-10MHz)となる。
【0112】
ここで、図11は、ダイレクトパスモード時に得られるIF信号の周波数帯とクロスパスモード時に得られるIF信号の周波数帯とを説明するための説明図である。図11に示すグラフは、縦軸が信号強度を示し、横軸がIF信号の周波数を示している。
【0113】
本実施例のレーダ装置1によれば、図11に示すように、ダイレクトパスモード時のIF信号の周波数帯(0~20MHz)と、クロスパスモード時のIF信号の周波数帯(40MHz~60MHz、60MHz~80MHz)とを分離することができる。
【0114】
本実施例では、ダイレクトパスモード時のIF信号の周波数帯とクロスパスモード時のIF信号の周波数帯との間の周波数帯(20MHz~40MHz)は、遠方の巨大物標で反射した反射波を許容するための帯域が確保される。
【0115】
ここで、レーダ装置1は、IF信号の周波数帯に応じて、各フィルタ233、333のカットオフ周波数および各ADコンバータ234、334のサンプリング周波数が設定されている。例えば、各フィルタ233、333は、カットオフ周波数がダイレクトパスモード時に必要とされるカットオフ周波数である基準カットオフ周波数Fcの4倍(80MHz)に設定されている。なお、カットオフ周波数は、基準カットオフ周波数Fcの4倍を超えた周波数に設定されていてもよい。また、各ADコンバータ234、334は、サンプリング周波数が、ダイレクトパスモード時に必要とされるサンプリング周波数である基準周波数Fsの4倍(160MHz)に設定されている。なお、サンプリング周波数は基準周波数Fsの4倍を超えた周波数に設定されていてもよい。
【0116】
その他については、第1実施形態と同様である。本実施形態のレーダ装置1は、第1実施形態と共通の構成または均等な構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
【0117】
また、本実施形態のレーダ装置1は、以下の特徴を備える。
【0118】
(1)各ユニット20、30は、各送受信アンテナ21、31での送信信号のベースバンド周波数の差が、検知距離周波数の3倍となるように、各送受信アンテナ21の一方の送信信号の周波数に対して、他方の送信信号の周波数をシフトさせる。
【0119】
これによると、各送受信アンテナ21、31の一方で電波を送受信した受信信号の周波数帯と、各送受信アンテナ21、31の相互で電波を送受信した際の受信信号の周波数帯とを分離し易くなる。このため、ダイレクトパスモードで受信する受信信号と、クロスパスモードで受信する受信信号とを区別して検出することができる。例えば、ダイレクトパスモード時に遠方にある巨大な物標で反射した反射波をクロスパスモード時に受信してしまうことを抑制することができる。特に、本例の構成では、各送受信アンテナ21、31から送信する電波の周波数をシフトさせるだけであり、カットオフ周波数の切り替えは不要となる。なお、レーダ装置1は、第2送受信アンテナ31の送信信号の周波数に対して、第1送受信アンテナ21の送信信号の周波数をシフトさせるようになっていてもよい。また、また、レーダ装置1は、各ユニット20、30の一方でのベースバンド周波数およびIF信号の周波数が他方でのベースバンド周波数およびIF信号の周波数に対して検知距離周波数の2倍以上シフトするようになっていればよい。
【0120】
(他の実施形態)
以上、本開示の代表的な実施形態について説明したが、本開示は、上述の実施形態に限定されることなく、例えば、以下のように種々変形可能である。
【0121】
上述の実施形態では、レーダ装置1のアンテナ構成について具体的なものを例示したが、レーダ装置1のアンテナ構成は、上述したものに限定されず、上述したものとは異なるアンテナ構成になっていてもよい。例えば、各送受信アンテナ21、31が仮想アンテナ素子を含むMIMOアンテナとして構成されているものを例示したが、これに限らず、例えば、実在するアンテナ素子だけで構成されていてもよい。
【0122】
また、上述の実施形態の如く、レーダ装置1のアンテナ構成は、仮想アレイアンテナが、第1送受信アンテナ21、バイスタティックアンテナ、第2送受信アンテナ31が連続して並ぶように構成されていることが望ましいが、これに限定されない。レーダ装置1のアンテナ構成は、一部に不連続となる箇所が含まれる仮想アレイアンテナが生成されるように構成されていてもよい。
【0123】
上述の実施形態では、各ユニット20、30の構成について具体的なものを例示したが、各ユニット20、30の構成は、上述したものに限定されない。例えば、上述の実施形態のレーダ装置1は、第1レーダユニット20に設けられた第1局部発振器221が生成するローカル信号が第2局部発振器321に提供される構成になっているが、これに限定されない。レーダ装置1は、第2レーダユニット30に設けられた第2局部発振器321が生成するローカル信号が第1局部発振器221に提供される構成になっていてもよい。また、各ユニット20、30とは別に設けられた発振器が生成するローカル信号が各局部発振器221、321へ提供される構成になっていてもよい。
【0124】
上述の実施形態では、レーダ装置1におけるダイレクトパスDPでの受信信号とクロスパスCPでの受信信号とを区別する手法について具体的なものを例示したが、当該手法は、上述したものに限定されず、上述したものとは異なっていてもよい。
【0125】
上述の実施形態では、車両に搭載されて車両の周囲に存在する様々な物標を検出する物標検出装置に本開示のレーダ装置1を適用した例について説明したが、レーダ装置1の適用対象は、これに限定されない。レーダ装置1は、例えば、車両以外の移動体や据え置き型の機器にも適用することができる。
【0126】
上述の実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0127】
上述の実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されない。
【0128】
上述の実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されない。
【符号の説明】
【0129】
1 レーダ装置
20 第1レーダユニット
21 第1送受信アンテナ
30 第2レーダユニット
31 第2送受信アンテナ
50 制御部
図1
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