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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177913
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】流量計
(51)【国際特許分類】
   G01F 1/00 20220101AFI20241217BHJP
【FI】
G01F1/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096314
(22)【出願日】2023-06-12
(71)【出願人】
【識別番号】000116633
【氏名又は名称】愛知時計電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000221834
【氏名又は名称】東邦瓦斯株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000150109
【氏名又は名称】株式会社竹中製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】酒向 正義
(72)【発明者】
【氏名】浅野 博昭
(72)【発明者】
【氏名】下畑 壮史
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 真一
(72)【発明者】
【氏名】金澤 一弘
(72)【発明者】
【氏名】堀木 紗英
(72)【発明者】
【氏名】浅田 昭治
(72)【発明者】
【氏名】村中 一郎
(72)【発明者】
【氏名】松井 彰
(72)【発明者】
【氏名】石橋 卓也
(72)【発明者】
【氏名】重村 丈留
(72)【発明者】
【氏名】能登 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】飯田 雄太
【テーマコード(参考)】
2F030
【Fターム(参考)】
2F030CC13
2F030CE13
2F030CF13
(57)【要約】
【課題】アニール処理を施した樹脂を変形させずにボルトとナットで締結することが可能となる技術を提供する。
【解決手段】排気管10は、被計測流体を排気管10内から外部に排出する排気口11と、排気管10の下端部12から外方に張り出して形成された第1フランジ部13と、を有し、第1フランジ部13は、その一部を凹ませて形成したナット設置部110と、ナット設置部110に設置されたナットを押さえるナット押さえと、を有し、内機ケース20,30は、内機ケース20,30の上端部から外方に張り出して形成された第2フランジ部21,31を有し、第2フランジ部21,31は、ボルトを挿通する孔を有し、第2フランジ部21,31の裏側からボルト190を孔に挿通し、ナット150に螺着させることで、内機ケース20,30と排気管10とを締結させる。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部を流れる被計測流体の流量を計測する流量計測ユニットと、
前記流量計測ユニットを外側から取り付け、前記流量計測ユニットの内部を流れてきた前記被計測流体を流入し、その被計測流体を排出する排出路に向けて中継する中継ケースと、
前記中継ケースに重ねて取り付けられ、前記排出路を形成する、合成樹脂からなる排出ケースと、
を備え、
前記排出ケースは、
前記被計測流体を前記排出ケース内から外部に排出する排出口と、
前記排出ケースの下端部から外方に張り出して形成された第1フランジ部と、
を有し、
前記第1フランジ部は、
その一部を凹ませて形成したナット設置部と、
前記ナット設置部に設置されたナットを押さえる、弾性体からなるナット押さえと、
を有し、
前記中継ケースは、前記中継ケースの上端部から外方に張り出して形成された第2フランジ部を有し、
前記第2フランジ部は、ボルトを挿通する孔を有し、
前記第2フランジ部の裏側から前記ボルトを前記孔に挿通し、前記ナットに螺着させることで、前記中継ケースと前記排出ケースとを締結させる、
ことを特徴とする流量計。
【請求項2】
前記ナット設置部は、
底面と側壁とを有するナット設置室と、
ナット設置室の前方に形成された、平面視矩形状の孔と、
を有し、
前記底面には、前記ボルトが挿通する孔が形成され、
前記ナット設置室の上面と前面は開口し、
前記側壁の平面視形状は、前記ナットの平面視形状の後半部分と略同一であり、
前記ナット押さえは、
前記ナット設置室に設置されたナットの頭部を押さえる板状のナット押さえ部と、
前記ナット押さえ部の前縁部から下方に延設された板状のナット押さえ板と、
前記ナット押さえ板と並んで、前記ナット押さえ部の前縁部から下方に延設された板状の係止板と、
を有し、
前記ナット設置室の前方の前記孔には、平面視段差が設けられ、幅の狭い部分と幅の広い部分とが形成され、
前記幅の狭い部分には、前記ナット押さえ板が挿入され、
前記幅の広い部分には、前記係止板が挿入され、
前記ナット設置室にナットが設置された状態で、前記ナット設置部の上方から前記ナット押さえを嵌め込むと、前記ナット設置室に設置されたナットは、前記側壁と前記ナット押さえ板によってその回転が規制され、前記ナット押さえ部と前記係止板によってその上方への移動が規制される、
ことを特徴とする請求項1に記載の流量計。
【請求項3】
前記ナット押さえ部の裏面には、円筒状の円筒部とドーム状のドーム部とをこの順序で下方に連結して構成した係止部が形成され、
前記ナット押さえが前記ナット設置部に嵌め込まれる過程で、前記係止部は、前記第1フランジ部の前記ナット設置室に隣接する部分に形成された孔に挿入され、前記ナット押さえは、前記係止部を介して前記第1フランジ部と係止される、
ことを特徴とする請求項2に記載の流量計。
【請求項4】
前記ナット設置室の前記孔の前記幅の狭い部分の長手方向の長さは、前記ナット押さえ板の幅と略同一であり、
前記中継ケースと前記排出ケースとを締結させる過程で、前記ボルトが前記ナットを押し上げた場合、前記係止板の前記ナット押さえに対する係止力により、ナット押さえ部は、係止板を軸として回動し、これに伴って、前記ナット押さえ板も回動し、前記ナット押さえ板の下端部が前記孔の前記幅の狭い部分の壁に当接し、これ以上の回動を規制する、
ことを特徴とする請求項2に記載の流量計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、被計測流体の流量を計測する流量計に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、合成樹脂カバーの取付け装置が記載されている。この装置では、周縁に間隔をおいて設けられたフランジ部の前半部表面に外方が肉厚となるような斜面を形成し、各フランジ部に穿設した通孔にはフランジ部の後半部分の肉厚より若干高さの小さな金属カラーを嵌合し、該金属カラーにボルトを挿通して締着するようにしている。
【0003】
そして、この装置では、合成樹脂カバーと本体との取付けは、本体側に設けられたねじ孔にボルトをねじ込むことにより行っているが、本体側に金属製のナットを埋め込み、ナットにボルトをねじ込むことにより、合成樹脂カバーと本体との取付けを行うことも考えられる。この場合、ナットを埋め込む本体も、合成樹脂製であるとすると、本体を成形する際、予め金型にナットをセットして、ナットとともに一体成型するインサート成形を用いることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭57-73407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、合成樹脂を成型する際、残留応力を取り除くためにアニール処理を施すことが多い。そして、インサート成形の際にアニール処理を施すと、アニール処理時の加熱温度によって樹脂と同様にインサート部品も加熱されて熱が溜まり、これにより、インサート部品周辺の樹脂の温度とそれ以外の樹脂の温度が異なることで、再硬化時に樹脂が変形する虞が生ずる。
【0006】
本願は、アニール処理を施した樹脂を変形させずにボルトとナットで締結することが可能となる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本願の流量計は、内部を流れる被計測流体の流量を計測する流量計測ユニットと、流量計測ユニットを外側から取り付け、流量計測ユニットの内部を流れてきた被計測流体を流入し、その被計測流体を排出する排出路に向けて中継する中継ケースと、中継ケースに重ねて取り付けられ、排出路を形成する、合成樹脂からなる排出ケースと、を備え、排出ケースは、被計測流体を排出ケース内から外部に排出する排出口と、排出ケースの下端部から外方に張り出して形成された第1フランジ部と、を有し、第1フランジ部は、その一部を凹ませて形成したナット設置部と、ナット設置部に設置されたナットを押さえる、弾性体からなるナット押さえと、を有し、中継ケースは、中継ケースの上端部から外方に張り出して形成された第2フランジ部を有し、第2フランジ部は、ボルトを挿通する孔を有し、第2フランジ部の裏側からボルトを孔に挿通し、ナットに螺着させることで、中継ケースと排出ケースとを締結させる、ことを特徴とする。
【0008】
本願の流量計によれば、樹脂からなる排出ケースをナットとともにインサート成形を用いて成型しないので、アニール処理を施した樹脂を変形させずにボルトとナットで締結することが可能となる。
【0009】
また、ナット設置部は、底面と側壁とを有するナット設置室と、ナット設置室の前方に形成された、平面視矩形状の孔と、を有し、底面には、ボルトが挿通する孔が形成され、ナット設置室の上面と前面は開口し、側壁の平面視形状は、ナットの平面視形状の後半部分と略同一であり、ナット押さえは、ナット設置室に設置されたナットの頭部を押さえる板状のナット押さえ部と、ナット押さえ部の前縁部から下方に延設された板状のナット押さえ板と、ナット押さえ板と並んで、ナット押さえ部の前縁部から下方に延設された板状の係止板と、を有し、ナット設置室の前方の孔には、平面視段差が設けられ、幅の狭い部分と幅の広い部分とが形成され、幅の狭い部分には、ナット押さえ板が挿入され、幅の広い部分には、係止板が挿入され、ナット設置室にナットが設置された状態で、ナット設置部の上方からナット押さえを嵌め込むと、ナット設置室に設置されたナットは、側壁とナット押さえ板によってその回転が規制され、ナット押さえ部と係止板によってその上方への移動が規制される、ことを特徴とする。
【0010】
これにより、ナット設置室に設置されたナットは、側壁とナット押さえ板によってその回転が規制され、ナット押さえ部と係止板によってその上方への移動が規制されるので、ボルトをナットに締結する過程では、ナットが回転しないことにより、締結作業の効率が向上し、締結後では、ボルトがナットから緩み難くなる。
【0011】
また、ナット押さえ部の裏面には、円筒状の円筒部とドーム状のドーム部とをこの順序で下方に連結して構成した係止部が形成され、ナット押さえがナット設置部に嵌め込まれる過程で、係止部は、第1フランジ部のナット設置室に隣接する部分に形成された孔に挿入され、ナット押さえは、係止部を介して第1フランジ部と係止される、ことを特徴とする。
【0012】
これにより、ナット押さえのナット設置部に対する係止力をさらに向上させることが可能となる。
【0013】
また、ナット設置室の孔の幅の狭い部分の長手方向の長さは、ナット押さえ板の幅と略同一であり、中継ケースと排出ケースとを締結させる過程で、ボルトがナットを押し上げた場合、係止板のナット押さえに対する係止力により、ナット押さえ部は、係止板を軸として回動し、これに伴って、ナット押さえ板も回動し、ナット押さえ板の下端部が孔の幅の狭い部分の壁に当接し、これ以上の回動を規制する、ことを特徴とする。
【0014】
これにより、ボルトが、その締結過程で、ナットを上方に押し上げたとしても、ナット押さえがナット設置部から簡単に外れることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本願の一実施形態に係る流量計の外観を示す斜視図である。
図2】排気管側の締結構造((a))及び排気管に内機ケースを取り付ける様子((b))を示す図である。
図3】ナット設置部にナットを設置する前((a))と後((b))を示す斜視図である。
図4】ナット押さえをナット設置部に取り付ける前((a))と後((b))を示す図である。
図5】ボルトで排気管と内機ケースとを締結する途中を示す図である。
図6】ボルトで排気管と内機ケースとを締結し終えた状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本願の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の説明に用いる図面では、基本的構成の一部が省略されて描かれていることがあり、描かれた各部の寸法比等は必ずしも正確ではない。各図において、前後方向D1、上下方向D2、及び左右方向D3は、各図に記載された通りである。
【0017】
図1は、本願の一実施形態に係る流量計1の外観を示している。図1に示すように、流量計1は、排気管10と、2台の内機ケース20,30とを含んで構成されている。
【0018】
排気管10は、略直方体状をなし、左右方向D3(長手方向)の略中心部には、排気口11が形成されている。排気管10の下端部12には、外方に張り出した第1フランジ部13が形成されている。そして、排気管10の下面(図示せず)は、開口している。
【0019】
内機ケース20,30のそれぞれは、同一形状をなしているので、内機ケース20を代表させて、その形状を説明する。内機ケース20も、排気管10と同様に、略直方体状をなしているが、左右方向D3の長さは、排気管10の長さに対して、略半分である。内機ケース20の後側側面(図示せず)には、被計測流体(例えば、都市ガスやLPガス等の燃料ガス)の流量を計測する流量計測ユニット(図示せず)を接続するための孔が形成されている。内機ケース20の上端部(図示せず)には、外方に張り出した第2フランジ部21が形成されている。そして、内機ケース20の上面(図示せず)は、開口している。
【0020】
排気管10と内機ケース20,30とは、後述するようにボルトとナットで締結され、各内機ケース20,30には、流量計測ユニットが接続される。そして、排気管10と、流量計測ユニットが接続された内機ケース20,30とが締結された状態で、図示しない外側ケース内に収納される。
【0021】
被計測流体は、外側ケースに設けられた流入口(図示せず)から外側ケース内に流入し、流量計測ユニットを通って内機ケース20,30内に流入し、排気管10を通って外側ケースに設けられた流出口(図示せず)から外側ケース外へ流出する。この過程で、被計測流体の流量が、流量計測ユニットによって計測される。
【0022】
図2(a)は、排気管10と内機ケース20,30とを締結する締結構造のうち、排気管10側の締結構造100を示している。なお、図2(a)に示す締結構造100は、第1フランジ部13の前側に形成されたものを示している(図1参照)。締結構造100を構成する部材には、ナット設置部110と、2個のナット150,150と、ナット押さえ170とが含まれる。
【0023】
ナット設置部110は、各ナット150,150が設置されるナット設置室111,111を備えている。ナット設置室111,111のそれぞれは、同一形状をなしているので、一方のナット設置室111を代表させて、その形状を説明する。
【0024】
ナット設置室111は、底面112と側壁113とを有する。底面112には、ボルト190の軸191(図2(b)参照)が挿通する孔112Aが形成されている。側壁113は、底面112の縁部112Bから上方に立設されている。側壁113の高さは、ナット150の高さと略同一である。そして、側壁113の平面視形状は、ナット150の平面視形状と同じである。ただし、ナット設置室111の前方は開口しているので、つまり、ナット設置室111の前方に側壁113は形成されていないので、側壁113の平面視形状は、ナット150の平面視形状の左右方向D3から後側半分の形状と一致する。このように、ナット設置室111は、第1フランジ部13の上面から凹んで形成されている。
【0025】
ナット設置室111とナット設置室111との間には、平面視円形状の孔120が形成されている。また、ナット設置室111,111の前方には、平面視略矩形状の孔130が形成されている。孔130は、平面視において、前後方向D1に段差が形成され、左右方向D3の左から右に亘って、前後方向D1の幅が狭い第1部分131、広い第2部分132及び狭い第3部分133が形成されている。
【0026】
ナット押さえ170は、弾性体からなり、ナット150,150がそれぞれナット設置室111,111に設置された状態(図3(b)参照)を保持するためのものである。ナット押さえ170は、平面視矩形状のナット押さえ部171を備えている。ナット押さえ部171には、ナット150,150の表面からボルト190の軸191の先端部が出たときに、その先端部を挿通するための孔171Aが形成されている。
【0027】
ナット押さえ部171の前縁部171Bから下方に向けて、板状の2枚のナット押さえ板172A,172Bと、板状の1枚の係止板173とが形成されている。係止板173の下端部には、係止爪173Aが設けられている。また、ナット押さえ部171の裏面171Cには、係止部174が形成されている。係止部174は、円筒状の円筒部174Aと、ドーム状のドーム部174Bとを有する。円筒部174Aとドーム部174Bとは、連結され、その連結部では、ドーム部174Bの径は円筒部174Aの径より長く設定されている。そして、上下方向D2ドーム部174Bから円筒部174Aの少なくとも一部に亘って、スリット174Cが形成されている。
【0028】
なお、孔130の第1部分131と第3部分133の各幅は同じであり、ナット押さえ板172A,172Bの各厚みより若干広く形成されている。また、孔130の第2部分132の幅は、係止板173の係止爪173Aを含んだ厚みより若干広く形成されている。さらに、第1部分131と第3部分133の左右方向D3の各長さは、ナット押さえ板172A,172Bの左右方向D3の各長さと略同一に形成されている。
【0029】
以上のように構成された締結構造100により、排気管10に内機ケース20,30を締結する場合、まず、図3(a)の矢印A1に示すように、ナット150,150をナット設置室111,111に設置する。図3(b)は、ナット150,150がナット設置室111,111に設置された状態を示している。
【0030】
次に、図4(a)の矢印A2に示すように、ナット押さえ170を上方からナット設置部110に嵌め込む。このとき、ナット押さえ170の係止板173は、孔130の第2部分132に挿入されるが、係止爪173Aが孔130の第2部分132の前側の上縁部132Aに当接することで、係止板173は、その弾性により後方に変形する。そして、係止爪173Aが、上縁部132Aから下縁部132Bに到達し、下縁部132Bを抜けると、その弾性により元の状態に戻り、係止板173は、係止爪173Aを介して下縁部132Bに係止される。同様にして、ナット押さえ170の係止部174は、孔120に挿入されるが、係止部174のドーム部174Bが孔120の上縁部120Aに当接することで、ドーム部174Bは、その弾性及びスリット174Cにより、中心方向に縮小する。これにより、ドーム部174Bは、孔120を下方に移動する。そして、ドーム部174Bが上縁部120Aから下縁部120Bに到達し、下縁部120Bを抜けると、その弾性により元の状態に戻り、係止部174は、ドーム部174Bを介して下縁部120Bに係止される。
【0031】
図2(b)に示すように、ナット設置部110にナット150,150が設置され、ナット押さえ170がナット設置部110に嵌め込まれた状態の排気管10の下に、内機ケース20,30を配置し、排気管10の第1フランジ部13の下面と内機ケース20,30の第2フランジ21,31の各上面とを合わせる。そして、内機ケース20,30の第2フランジ21,31に形成された各孔(図示せず)に、第2フランジ21,31の各下面側からボルト190,190を挿通して締結する。
【0032】
図5は、内機ケース20側のボルト190を締結し終え、内機ケース30側のボルト190を締結途中の状態を示している。図5に示すように、内機ケース30側のボルト190は、締結する過程で、ナット150を上方に押し上げている。これにより、ナット押さえ170のナット押さえ部171の右端部171D近傍も上方に押し上げられる。ただし、このとき、係止板173は係止されているため、押さえ板172Bは、係止板173を軸として反時計方向に回動するように変形する。したがって、押さえ板172Bの右下端部172B1も、係止板173を軸として反時計方向に回動するので、右下端部172B1は、孔130の第3部分133の右壁133Aに当接し、これ以上の回動が規制される。このため、ボルト190が、その締結過程で、ナット150を上方に押し上げたとしても、ナット押さえ170がナット設置部110から簡単に外れることを防止できる。
【0033】
図6は、ボルト190をナット150に締結し終えた状態を示している。図6に示すように、ナット150の側面151のうち、対向する2側面151A,151Bのうち、後側の側面151Aは、ナット設置室111の側壁113によりその回転が規制され、前側の側面151Bは、押さえ板172Aの裏面172A2によりその回転が規制される。さらに、後側の側面151Aに両側に隣接する側面151C,151Dも、側壁113によりその回転が規制される。このように、ナット150の回転は、側壁113及び押さえ板172Aの裏面172A2により規制される。したがって、ボルト190をナット150に締結する過程では、ナット150が回転しないことにより、締結作業の効率が向上し、締結後では、ボルト190がナット150から緩み難くなる。
【0034】
以上説明したように、本実施形態の流量計1は、内部を流れる被計測流体の流量を計測する流量計測ユニットと、流量計測ユニットを外側から取り付け、流量計測ユニットの内部を流れてきた被計測流体を流入し、その被計測流体を排出する排出路に向けて中継する内機ケース20,30と、内機ケース20,30に重ねて取り付けられ、排出路を形成する、合成樹脂からなる排気管10と、を備え、排気管10は、被計測流体を排気管10内から外部に排出する排気口11と、排気管10の下端部12から外方に張り出して形成された第1フランジ部13と、を有し、第1フランジ部13は、その一部を凹ませて形成したナット設置部110と、ナット設置部110に設置されたナットを押さえる、弾性体からなるナット押さえと、を有し、内機ケース20,30は、内機ケース20,30の上端部から外方に張り出して形成された第2フランジ部21,31を有し、第2フランジ部21,31は、ボルトを挿通する孔を有し、第2フランジ部21,31の裏側からボルト190を孔に挿通し、ナット150に螺着させることで、内機ケース20,30と排気管10とを締結させる、ことを特徴とする。
【0035】
このように、本実施形態の流量計1では、樹脂からなる排気管10をナット150とともにインサート成形を用いて成型しないので、アニール処理を施した樹脂を変形させずにボルトとナットで締結することが可能となる。
【0036】
また、ナット設置部110は、底面112と側壁113とを有するナット設置室111とナット設置室111の前方に形成された、平面視矩形状の孔130と、を有し、底面112には、ボルト190が挿通する孔が形成され、ナット設置室111の上面と前面は開口し、側壁113の平面視形状は、ナット150の平面視形状の後半部分と略同一であり、ナット押さえ170は、ナット設置室111に設置されたナットの頭部を押さえる板状のナット押さえ部171と、ナット押さえ部171の前縁部171Bから下方に延設された板状のナット押さえ板172A,172Bと、ナット押さえ板172A,172Bと並んで、ナット押さえ部171の前縁部から下方に延設された板状の係止板173と、を有し、ナット設置室111の前方の孔130には、平面視段差が設けられ、幅の狭い第1部分131及び第3部分133と幅の広い第2部分132とが形成され、幅の狭い第1部分131及び第3部分133には、ナット押さえ板172A,172Bが挿入され、幅の広い第2部分132には、係止板173が挿入され、ナット設置室111にナット150が設置された状態で、ナット設置部110の上方からナット押さえ170を嵌め込むと、ナット設置室111に設置されたナット150は、側壁113とナット押さえ板172A,172Bによってその回転が規制され、ナット押さえ部171と係止板173によってその上方への移動が規制される、ことを特徴とする。
【0037】
これにより、ナット設置室111に設置されたナット150は、側壁113とナット押さえ板172A,172Bによってその回転が規制され、ナット押さえ部171と係止板173によってその上方への移動が規制されるので、ボルト190をナット150に締結する過程では、ナット150が回転しないことにより、締結作業の効率が向上し、締結後では、ボルト190がナット150から緩み難くなる。
【0038】
また、ナット押さえ部171の裏面171Cには、円筒状の円筒部174Aとドーム状のドーム部174Bとをこの順序で下方に連結して構成した係止部174が形成され、ナット押さえ170がナット設置部110に嵌め込まれる過程で、係止部174は、第1フランジ部13のナット設置室111に隣接する部分に形成された孔120に挿入され、ナット押さえ170は、係止部174を介して第1フランジ部13と係止される、ことを特徴とする。
【0039】
これにより、ナット押さえ170のナット設置部110に対する係止力をさらに向上させることが可能となる。
【0040】
また、ナット設置室111の孔130の幅の狭い第1部分131及び第3部分133の長手方向の長さは、ナット押さえ板172A,172Bの幅と略同一であり、内機ケース20,30と排気管10とを締結させる過程で、ボルト190がナット150を押し上げた場合、係止板173のナット押さえ170に対する係止力により、ナット押さえ部171は、係止板173を軸として回動し、これに伴って、ナット押さえ板172A,172Bも回動し、ナット押さえ板172A,172Bの下端部が孔130の幅の狭い第1部分131及び第3部分133の壁に当接し、これ以上の回動を規制する、ことを特徴とする。
【0041】
これにより、ボルト190が、その締結過程で、ナット150を上方に押し上げたとしても、ナット押さえ170がナット設置部110から簡単に外れることを防止できる。
【0042】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0043】
(1)上記実施形態では、締結構造100を排気管10に設けるようにしたが、合成樹脂からなる他の部材に適用してもよい。
【符号の説明】
【0044】
1…流量計、10…排気管(排出ケース)、11…排気口(排出口)、12…下端部、13…第1フランジ部、20,30…内機ケース(中継ケース)、110…ナット設置部、111…ナット設置室、112…底面、113…側壁、120,130…孔、131…第1部分、132…第2部分、133…第3部分、150…ナット、170…ナット押さえ、171…ナット押さえ部、171C…裏面、172A,172B…ナット押さえ板、173…係止板、174…係止部、174A…円筒部、174B…ドーム部、190…ボルト。
図1
図2
図3
図4
図5
図6