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特開2024-177927情報提供装置、学習済モデル、情報提供方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177927
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】情報提供装置、学習済モデル、情報提供方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20241217BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096341
(22)【出願日】2023-06-12
(71)【出願人】
【識別番号】506218664
【氏名又は名称】公立大学法人名古屋市立大学
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100181722
【弁理士】
【氏名又は名称】春田 洋孝
(72)【発明者】
【氏名】神沼 英里
(72)【発明者】
【氏名】八森 聖人
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC11
5L049CC28
5L050CC11
5L050CC28
(57)【要約】
【課題】利用者に有益な情報を提供すること。
【解決手段】対象の領域が撮像された画像を取得する取得部と、前記画像から得られた将来的に緑化が可能な第1領域の情報を取得し、前記第1領域に関する情報を表示部に表示させるために他の装置に前記第1領域に関する情報を提供する処理部と、を備える情報提供装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の領域が撮像された画像を取得する取得部と、
前記画像から得られた将来的に緑化が可能な第1領域の情報を取得し、前記第1領域に関する情報を表示部に表示させるために他の装置に前記第1領域に関する情報を提供する処理部と、
を備える情報提供装置。
【請求項2】
前記処理部は、
前記画像を解析して前記第1領域と、前記画像において既に緑化がされている第2領域とを特定する、
請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項3】
前記処理部は、
前記画像において、前記第1領域および前記第2領域に対応する対象領域とは異なる領域において前記対象領域が含まれる度合を示す指標を導出する、
請求項2に記載の情報提供装置。
【請求項4】
前記処理部は、
前記指標を示す情報を利用者の端末装置の表示部に表示させる、
請求項3に記載の情報提供装置。
【請求項5】
前記処理部は、
前記画像において、前記第1領域と前記第2領域とに対応する領域と、他の領域とを区別可能な態様で前記画像を利用者の端末装置の表示部に表示させる、
請求項3に記載の情報提供装置。
【請求項6】
前記処理部は、
前記画像を学習済モデルに入力し、前記学習済モデルが出力した情報に基づいて、前記指標を示す情報を出力し、
前記学習済モデルは、風景が撮像された前記画像が入力されると、前記画像における前記第1領域と前記第2領域と前記異なる領域とを示す情報を出力するように学習されたモデルである、
請求項3から5のうちいずれか1項に記載の情報提供装置。
【請求項7】
前記学習済モデルは、入力された前記画像に対して画像セグメンテーションを実行して、前記第1領域と、前記第2領域と、前記異なる領域とに対応する領域を示す情報を出力する、
請求項6に記載の情報提供装置。
【請求項8】
前記学習済モデルは、学習データが学習されたモデルであり、
前記学習データは、前記画像と、前記画像に含まれる、前記第1領域に対応する領域に第1領域を示すラベルが付与された情報、前記第2領域に対応する領域に第2領域を示すラベルが付与された情報、および前記異なる領域に対応する領域に異なる領域を示すラベルが付与された情報とが対応付けられた情報である、
請求項6に記載の情報提供装置。
【請求項9】
前記画像は、駐車場を含む風景が撮像された画像である、
請求項1から5のうちいずれか1項に記載の情報提供装置。
【請求項10】
前記取得部は、更に画像の風景の位置情報を取得し、
前記処理部は、位置情報と緑化を支援する機関の情報とが対応付けられた情報を参照し、前記第1領域に関する情報に加え、前記画像の位置情報に対応する前記支援する機関の情報を他の装置に提供する、
請求項1から5のうちいずれか1項に記載の情報提供装置。
【請求項11】
対象の領域が撮像された画像が入力されると、前記画像に対して画像セグメンテーションを実行して、前記画像における、将来的に緑化が可能な第1領域と、既に緑化がされている第2領域と、他の領域とを区分した情報を出力するモデルであって、
前記画像と、前記画像に含まれる、前記第1領域に対応する領域に第1領域を示すラベルが付与された情報、前記第2領域に対応する領域に第2領域を示すラベルが付与された情報、および前記第1領域と前記第2領域とは異なる領域に前記異なる領域を示すラベルが付与された情報とが対応付けられた情報を学習したモデルである、
学習済モデル。
【請求項12】
コンピュータが、
対象の領域が撮像された画像を取得し、
前記画像から得られた将来的に緑化が可能な第1領域の情報を取得し、前記第1領域に関する情報を表示部に表示させるために他の装置に前記第1領域に関する情報を提供する、
情報提供方法。
【請求項13】
コンピュータに、
対象の領域が撮像された画像を取得させ、
前記画像から得られた将来的に緑化が可能な第1領域の情報を取得し、前記第1領域に関する情報を表示部に表示させるために他の装置に前記第1領域に関する情報を提供させる、
プログラム。
【請求項14】
アプリケーションプログラミングインタフェースに含まれるサブルーチンとして実装される、
請求項13に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報提供装置、学習済モデル、情報提供方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種植物と前記各種植物の緑色部分の大きさ、形状及び面積の情報を数値化して記憶しているデータベースと、オフィス内の植物を配置する場所を入力する手段と、複数の使用者の位置を入力する手段と、所望の緑視率を入力する手段と、前記所望の緑視率と前記複数の使用者の平均緑視率とが一致するように前記データベースに記憶された各種植物を組み合わせて前記入力した配置場所に植物を配置する処理手段と、前記処理手段によって算出された配置場所に配置された植物を出力する手段と、を備える植物配置支援システムが開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-147434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の技術では、利用者に有益な情報を提供することができないことがあった。例えば、画像から容易に将来的に緑化が可能な領域に関する情報を取得することができないことがあった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、利用者に有益な情報を提供することができる情報提供装置、学習済モデル、情報提供方法、およびプログラムを提供することを目的の一つとする。例えば、画像から容易に将来的に緑化が可能な領域に関する情報を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を提供する。
(1)本発明の一の態様は、対象の領域が撮像された画像を取得する取得部と、前記画像から得られた将来的に緑化が可能な第1領域の情報を取得し、前記第1領域に関する情報を表示部に表示させるために他の装置に前記第1領域に関する情報を提供する処理部と、を備える情報提供装置である。
(2)上記の情報提供装置において、前記処理部は、前記画像を解析して前記第1領域と、前記画像において既に緑化がされている第2領域とを特定する。
(3)上記の情報提供装置において、前記処理部は、前記画像において、前記第1領域および前記第2領域に対応する対象領域とは異なる領域において前記対象領域が含まれる度合を示す指標を導出する。
(4)上記の情報提供装置において、前記処理部は、前記指標を示す情報を利用者の端末装置の表示部に表示させる。
(5)上記の情報提供装置において、前記処理部は、前記画像において、前記第1領域と前記第2領域とに対応する領域と、他の領域とを区別可能な態様で前記画像を利用者の端末装置の表示部に表示させる。
(6)上記の情報提供装置において、前記処理部は、前記画像を学習済モデルに入力し、前記学習済モデルが出力した情報に基づいて、前記指標を示す情報を出力し、前記学習済モデルは、風景が撮像された前記画像が入力されると、前記画像における前記第1領域と前記第2領域と前記異なる領域とを示す情報を出力するように学習されたモデルである。
(7)上記の情報提供装置において、前記学習済モデルは、入力された前記画像に対して画像セグメンテーションを実行して、前記第1領域と、前記第2領域と、前記異なる領域とに対応する領域を示す情報を出力する。
(8)上記の情報提供装置において、前記学習済モデルは、学習データが学習されたモデルであり、前記学習データは、前記画像と、前記画像に含まれる、前記第1領域に対応する領域に第1領域を示すラベルが付与された情報、前記第2領域に対応する領域に第2領域を示すラベルが付与された情報、および前記異なる領域に対応する領域に異なる領域を示すラベルが付与された情報とが対応付けられた情報である。
(9)上記の情報提供装置において、前記画像は、駐車場を含む風景が撮像された画像である。
(10)上記の情報提供装置において、前記取得部は、更に画像の風景の位置情報を取得し、前記処理部は、位置情報と緑化を支援する機関の情報とが対応付けられた情報を参照し、前記第1領域に関する情報に加え、前記画像の位置情報に対応する前記支援する機関の情報を他の装置に提供する。
(11)本発明の他の態様は、対象の領域が撮像された画像が入力されると、前記画像に対して画像セグメンテーションを実行して、前記画像における、将来的に緑化が可能な第1領域と、既に緑化がされている第2領域と、他の領域とを区分した情報を出力するモデルであって、前記画像と、前記画像に含まれる、前記第1領域に対応する領域に第1領域を示すラベルが付与された情報、前記第2領域に対応する領域に第2領域を示すラベルが付与された情報、および前記第1領域と前記第2領域とは異なる領域に前記異なる領域を示すラベルが付与された情報とが対応付けられた情報を学習したモデルである学習済モデルである。
(12)本発明の他の態様は、コンピュータが、対象の領域が撮像された画像を取得し、前記画像から得られた将来的に緑化が可能な第1領域の情報を取得し、前記第1領域に関する情報を表示部に表示させるために他の装置に前記第1領域に関する情報を提供する情報提供方法である。
(13)本発明の他の態様は、コンピュータに、対象の領域が撮像された画像を取得させ、前記画像から得られた将来的に緑化が可能な第1領域の情報を取得し、前記第1領域に関する情報を表示部に表示させるために他の装置に前記第1領域に関する情報を提供させるプログラムである。
(14)上記のプログラムにおいて、アプリケーションプログラミングインタフェースに含まれるサブルーチンとして実装されるプログラムである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の情報提供装置、学習済モデル、情報提供方法、またはプログラムは、利用者に有益な情報を提供することができる。例えば、画像から容易に将来的に緑化が可能な領域に関する情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】情報提供システムの構成の一例を示す図である。
図2】情報提供装置100の機能構成の一例を示す図である。
図3】利用者端末装置10と、情報提供装置100とにより実行される処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
図4】利用者端末装置10が取得した画像および表示部に表示される画像の一例を示す図である。
図5】情報提供装置100が実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図6】潜在的緑化領域推薦AIモデル160に入力される画像およい潜在的緑化領域推薦AIモデル160が出力する画像の一例を示す図である。
図7】学習装置200の機能構成の一例を示す図である。
図8】変形例1の潜在的緑化領域推薦AIモデル160の出力結果の一例を示す図である。
図9】変形例2において提供される画像の一例を示す図である。
図10】施工会社情報170の内容の一例を示す図である。
図11】提供された画像IM4の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照し、本発明の情報提供装置、学習済モデル、情報提供方法、およびプログラムの実施形態について説明する。
【0010】
[概要]
【0011】
例えば、人や環境を考慮して建物や施設などが評価されることがある。この評価において、緑化は一つの要素である。緑化は、ヒートアイランドの抑制や、人の健康促進など環境および人間活動に影響する。このように、緑化を促進することが進められている。しかし、これまで、潜在的に緑化が可能な領域に関する情報を利用者に提供することは十分に検討されていない。例えば潜在的に緑化が可能な領域や潜在的に緑化が可能な領域に関する指標の提供について十分に検討されていない。このため、利用者は緑化に関する有用な情報を得ることが困難であった。
【0012】
本実施形態では、情報提供装置が、対象の領域が撮像された画像を取得し、前記画像から得られた将来的に緑化が可能な第1領域の情報を取得し、前記第1領域に関する情報を表示部に表示させるために他の装置に前記第1領域に関する情報(例えば提供情報)を提供する。将来的に緑化が可能な第1領域の情報とは、例えば、画像における第1領域の大きさや割合を示す情報、第1領域の範囲を示す情報である(例えば後述する図4のIM2)。
【0013】
第1領域に関する情報は、例えば、機械学習により学習された学習済モデル(例えば実施形態の潜在的緑化領域推薦AIモデル)が利用され、取得された情報である。また、第1領域に関する情報は、他の手法に得られた情報であってもよい。例えば、所定の人物が端末装置を利用して画像から特定した第1領域の情報が利用されてもよい。
【0014】
上記のように、利用者は、画像における潜在的な緑化が可能な領域を他の領域と区別して認識できたり、潜在的な緑化が可能な領域に関する指標を認識したりすることができる。すなわち、利用者は、有益な情報を取得することができる。利用者は、上記の情報を参照して、緑化の計画を立てたり、緑化への取り組みを行ったりすることができる。
【0015】
[全体構成]
図1は、情報提供システムの構成の一例を示す図である。情報提供システム1は、例えば、利用者端末装置10と、情報提供装置100と、学習装置200とを備える。これらの装置は、例えば、ネットワークNWを介して通信可能である。ネットワークは、例えば、ンターネット、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)、電話回線、公衆回線、専用回線、プロバイダ装置、無線基地局等を含む。
【0016】
[利用者端末装置]
利用者端末装置10は、スマートフォンやパーソナルコンピュータ、タブレット端末などの通信機能と表示機能を有するコンピュータ装置である。利用者端末装置10は、例えば、情報提供装置100と通信するための通信インターフェースである通信部や、情報を表示する表示部などを備える。利用者端末装置10では、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサがブラウザやアプリケーションプログラムなどを実行することで各種処理を実行する。
【0017】
[情報提供装置]
図2は、情報提供装置100の機能構成の一例を示す図である。情報提供装置100は、例えば、アプリケーション・プログラミング・インタフェース (API:Application Programming Interface)として機能する。情報提供装置100は、例えば、通信部110と、取得部120と、処理部130と、提供部140と、記憶部150とを備える。取得部120および処理部130は、例えば、CPUなどのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの機能部の一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予め情報提供装置100の記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体(非一過性の記憶媒体)がドライブ装置に装着されることで情報提供装置100にインストールされてもよい。上記の各機能を実現するためのプログラムは、APIに含まれるサブルーチンとして実装されてもよい。サブルーチンは、他のプログラムに記述された命令に呼び出されたときに実行される処理が記述されたプログラムである。サブルーチンに記述された処理が実行されたとき、当該処理の結果の一部または全部の情報が、返り値として呼出元のプログラムに返される。処理部130と提供部140とを合わせた機能構成は、「処理部」の一例である。
【0018】
記憶部150は、上記の各種記憶装置、或いはEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等により実現されてよい。記憶部150には、潜在的緑化領域推薦AIモデル160が記憶されている。潜在的緑化領域推薦AIモデル160は、後述するように学習装置200が生成したモデルである。通信部110は、他の装置と通信するための通信インターフェースである。
【0019】
取得部120は、対象の領域が撮像された画像を取得する。画像は、例えば、利用者端末装置10が提供した画像である。処理部130は、画像から得られた将来的に緑化が可能な第1領域の情報を取得する。提供部140は、第1領域に関する情報を表示部に表示させるために他の装置(例えば利用者端末装置10)に第1領域に関する情報を提供する。これらの処理の詳細については後述する。
【0020】
[利用者端末装置と情報提供装置とにより実行される処理]
図3は、利用者端末装置10と、情報提供装置100とにより実行される処理の流れの一例を示すシーケンス図である。まず、利用者端末装置10が、利用者の操作に応じて風景を撮像した画像を取得する(ステップS10)。次に、利用者端末装置10は、取得した画像を情報提供装置100に送信する(ステップS12)。次に、情報提供装置100は、画像を解析して画像から利用者に提供する提供情報を取得する(ステップS14)。この処理の詳細および提供情報の詳細については後述する。
【0021】
次に、情報提供装置100は、提供情報を利用者端末装置10に送信する(ステップS14)。次に、利用者端末装置10は、提供情報を取得し、取得した提供情報を含む画像を表示部に表示させる(ステップS18)。
【0022】
図4は、利用者端末装置10が取得した画像および表示部に表示される画像の一例を示す図である。画像IM1は、利用者端末装置10が取得して情報提供装置100に提供した画像(駐車場を含む風景が撮像された画像)である。情報提供装置100は、取得した画像において、緑化がされている緑化領域(第2領域)と、将来的に緑化が可能な将来緑化領域(第1領域)とを特定する。情報提供装置100は、これらの領域(緑化領域および緑化可能領域)と、他の領域とを区別可能な態様の特定画像を生成する。
【0023】
更に、情報提供装置100は、下記の式(1)を利用して潜在緑視率を導出する。
潜在緑視率=(緑化領域の面積+将来緑化領域の面積)/撮像範囲の面積・・・(1)
【0024】
潜在緑視率は、「前記第1領域および前記第2領域に対応する対象領域とは異なる領域において前記対象領域が含まれる度合を示す指標」の一例である。情報提供装置100は、上記の潜在緑視率に代えて(または加えて)、将来的に緑化が可能な将来緑化領域に関する他の指標を導出してもよい。例えば、画像における将来的に緑化が可能な将来緑化領域の割合や、将来的に緑化が可能な将来緑化領域の面積などである。
【0025】
情報提供装置100は、上記の特定画像および潜在緑視率を含む提供情報を利用者端末装置10に提供する。利用者端末装置10は、提供情報に基づく画像IM2を表示部に表示させる。なお、上記の画像IM2では、緑化領域と、将来緑化領域とは、同じラベルで示されているが、これらは異なるラベルで利用者が見分けることができるように付与されていてもよい。
【0026】
上記のように、利用者は、利用者端末装置10を利用して撮像した画像を情報提供装置100に送信することで、情報提供装置100から提供された提供情報を含む画像IM2を容易に取得することができる。
【0027】
[情報提供装置が実行する処理]
図5は、情報提供装置100が実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。まず、情報提供装置100の取得部120は、利用者端末装置10により提供された画像を取得する(ステップS100)。次に、情報提供装置100の処理部130は、取得した画像を潜在的緑化領域推薦AIモデル160に入力する(ステップS202)。次に、処理部130は、潜在的緑化領域推薦AIモデル160が出力した情報を取得する(ステップS204)。次に、処理部130は、取得した情報を利用して提供情報を生成し(ステップS206)、提供情報を利用者端末装置10に提供する(ステップS208)。そして、利用者端末装置10は、上述した図4の画像IM2を表示部に表示させることができる。これにより、本フローチャートの1ルーチンの処理が終了する。
【0028】
図6は、潜在的緑化領域推薦AIモデル160に入力される画像および潜在的緑化領域推薦AIモデル160が出力する画像の一例を示す図である。潜在的緑化領域推薦AIモデル160に入力される画像は、例えば利用者端末装置10が取得した画像IM1である。潜在的緑化領域推薦AIモデル160が出力する画像は、例えば画像の領域ごとに(例えば画素ごとに)、緑化領域のラベルと、将来緑化領域のラベルと、その他の領域のラベルとが対応付けられた画像IM3である。潜在的緑化領域推薦AIモデルは、画像セグメンテーションを利用して領域(画素)ごとに領域に対応するラベルを付与するモデルである。処理部130は、画像IM3の各ラベルに基づいて画像IM2に含まれる画像を生成したり、所望のラベルが付与された領域の大きさを集計して潜在緑視率を導出したりする。なお画像IM3が利用者に提供されてもよい。
【0029】
上記のように、処理部130は、潜在的緑化領域推薦AIモデル160を利用して潜在緑視率および将来緑化領域を導出することができる。
【0030】
[学習装置]
図7は、学習装置200の機能構成の一例を示す図である。学習装置200は、通信部210と、情報取得部220と、学習部230と、情報提供部240と、記憶部250とを備える。学習装置200は、例えば、情報取得部220、学習部230、および情報提供部240は、例えば、CPUなどのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの機能部の一部または全部は、LSIやASIC、FPGA、GPUなどのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予め学習装置200の記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体(非一過性の記憶媒体)がドライブ装置に装着されることで学習装置200にインストールされてもよい。
【0031】
記憶部250は、上記の各種記憶装置、或いはEEPROM、ROM、RAM等により実現されてよい。記憶部250には、学習データ260および学習データが学習された潜在的緑化領域推薦AIモデル270(潜在的緑化領域推薦AIモデル160)が記憶されている。通信部210は、他の装置と通信するための通信インターフェースである。
【0032】
情報取得部220は、利用者に入力されたり、他の装置から提供されたりした学習データ260を取得し、取得した学習データ260を記憶部250に記憶させる。学習部230は、学習データ260を利用して記憶部に250に記憶された学習前のモデル(不図示)を学習させて潜在的緑化領域推薦AIモデル270を生成する。学習部230は、例えば、学習データ260を利用して記憶部に250に記憶された学習前の画像セグメンテーション用学習済公開AIモデル(不図示、COCOデータセット等の学習データ260以外の学習データで学習された学習済のAIモデル)を学習させて潜在的緑化領域推薦AIモデル270を生成する。学習前のAIモデルおよび潜在的緑化領域推薦AIモデル270は、画像セグメンテーションを実行して領域(例えば画素)に対応するラベルを出力するAIモデルである。
【0033】
学習データは、画像と、画像に含まれる、将来緑化領域(第1領域)に対応する領域に将来緑化領域(第1領域)を示すラベルが付与された情報、緑化領域(第2領域)に対応する領域に緑化領域(第2領域)を示すラベルが付与された情報、および異なる領域(将来緑化領域と緑化領域とは異なる領域)に対応する領域に異なる領域を示すラベルが付与された情報とが対応付けられた情報である。学習データの将来緑化領域は、例えば、駐車場である。また、学習データの将来緑化領域は、例えば、ビルの壁面や、空き地、その他緑化が可能と想定される領域であってもよい。
【0034】
学習部230は、風景が撮像された画像が入力されると、画像における将来緑化領域と緑化領域と上記の異なる領域とを示す情報を出力するように学習前のモデルを学習させて(例えばモデルに含まれる各パラメータを調整して)潜在的緑化領域推薦AIモデルを生成する。これにより、潜在的緑化領域推薦AIモデル270は、入力された画像に対して画像セグメンテーションを実行して、将来緑化領域と、緑化領域と、これらとは異なる領域とに対応する領域を示す情報を出力する。
【0035】
ここで、潜在的緑化領域推薦AIモデル270が出力した推論結果であるラベル付けがされた画像と、正解データであるラベル付けがされた画像とを比較した。具体的には、複数の画像に対して正解データの画像の画素のラベルと、推論結果の同じ画素のラベルとを比較し、これらの正否の平均を求めたところ、約92%の正解率であった。すなわち、潜在的緑化領域推薦AIモデル270の出力結果において、画素に付与されたラベルの約92%は正しいラベルであることが確認できた。
【0036】
情報提供部240は、上記のように精度よく推論を行える潜在的緑化領域推薦AIモデル270を情報提供装置100に提供する。
【0037】
なお、上記の例で、正解データにおいて将来緑化領域(第1領域)または緑化領域(第2領域)の種別に応じたラベルが付与され、学習が行われてもよい。例えば、壁面の将来緑化領域と、駐車場の将来緑化領域とは異なるラベルが付与されてもよい。また、樹木の緑化領域と、樹木よりも小さい草木の緑化領域とは異なるラベルが付与されてもよい。このようにラベルが付与された学習データが学習されることで、将来緑化領域または緑化領域がより細分化された情報が出力可能な潜在的緑化領域推薦AIモデルが生成可能である。
【0038】
例えば、この潜在的緑化領域推薦AIモデルは、画像が入力されると、画像における、駐車場の将来緑化領域、壁面の将来緑化領域、樹木の緑化領域、および草木の緑化領域とを示す情報を出力する。これにより、情報提供装置100は、これらの領域を区別可能な態様で示す画像を利用者端末装置10に提供することができる。更に、情報提供装置100は、利用者の操作に応じた態様の画像を利用者端末装置10に提供してもよい。例えば、利用者が、駐車場の将来緑化領域と、壁面の将来緑化領域とを区別可能な画像を提供することを求める操作を行った場合、情報提供装置100は、操作に応じた画像を利用者端末装置10に提供する。
【0039】
また、情報提供装置100は、利用者の操作に応じた将来緑化領域を対象とする将来緑化領域に決定してもよい。例えば、駐車場の将来緑化領域と、壁面の将来緑化領域とのうち、壁面の将来緑化領域を対象としないことを示す操作がされた場合、情報提供装置100は、壁面の将来緑化領域を将来緑化領域とせずに、駐車場の将来緑化領域を将来緑化領域として、画像や、潜在緑視率などを生成する。
【0040】
上記のようにラベル付けが細分化されることにより、情報提供装置100は、より利用者が所望する情報を提供したり、提供する情報の自由度を高めたりすることができる。
【0041】
<変形例1>
上述した例では、潜在的緑化領域推薦AIモデル160に入力される画像は地上から撮像された画像であるものとして説明したが、これに代えて(加えて)、地上以外から撮像された画像であってもよい。例えば、画像は上空から撮像された画像(空中写真)であってもよいし、ビルの屋上などから撮像された画像であってもよい。例えば、潜在的緑化領域推薦AIモデル160に画像が入力されると、潜在的緑化領域推薦AIモデル160は、緑化領域と、駐車場や、空き地、ビルの屋上など学習結果に応じた将来緑化領域とを区分する。
【0042】
図8は、変形例1の潜在的緑化領域推薦AIモデル160の出力結果の一例を示す図である。図8に示すように空中写真において、駐車場と推定される領域や、空き地などが将来緑化領域であることを示すラベルが付与された画像、緑化された領域であることを示すラベルが付与された画像が導出される。潜在的緑化領域推薦AIモデル160は、上述した考え方と同様に、学習データが学習されたモデルである。変形例1の学習データは、上空から撮像された画像またはビルの屋上などから撮像された画像と、画像に含まれる、将来緑化領域(第1領域)に対応する領域に将来緑化領域(第1領域)を示すラベルが付与された情報、緑化領域(第2領域)に対応する領域に緑化領域(第2領域)を示すラベルが付与された情報、および異なる領域(将来緑化領域と緑化領域とは異なる領域)に対応する領域に異なる領域を示すラベルが付与された情報とが対応付けられた情報である。
【0043】
学習部230は、例えば上空から地上が撮像された画像が入力されると、画像における将来緑化領域と緑化領域と上記の異なる領域とを示す情報を出力するように学習前のモデルを学習させて潜在的緑化領域推薦AIモデルを生成する。これにより、潜在的緑化領域推薦AIモデル270は、上空から撮像された画像に対して画像セグメンテーションを実行して、将来緑化領域と、緑化領域と、これらとは異なる領域とに対応する領域を示す情報を出力する。
【0044】
上記のように、変形例1では、情報提供装置100は、地上以外の場所から撮像された画像に対しても、将来緑化領域および潜在緑被率(潜在緑視率)を導出することができる。この情報は、都市や街の緑化の計画に利用されることが期待される。
【0045】
<変形例2>
上述した例では、潜在緑視率および各領域がラベル付けされた画像が利用者に提供されるものとしたが、これに加えて(または代えて)、CO2吸収量や、CO2吸収量の増加度合など将来緑化領域から得られる情報が利用者に提供されてもよい。図9は、変形例2において提供される画像の一例を示す図である。CO2吸収量とは、将来緑化領域と緑化領域との緑化によってCO2が吸収される量を示す指標である。例えば、情報提供装置100の処理部130は、将来緑化領域と緑化領域との大きさに、予め設定された係数を適用したり、上記の大きさから指標を導出する関数などを利用したりして、CO2吸収量を導出する。また、処理部130は、緑化領域に対応するCO2吸収量に対する緑化領域および将来緑化領域に対応するCO2吸収量の増加度合を示す指標を導出してもよい。
【0046】
このように、情報提供装置100は、より利用者にとって有用な情報を利用者に提供することができる。
【0047】
<変形例3>
上述した例では、潜在緑視率および各領域がラベル付けされた画像が利用者に提供されるものとしたが、これに加えて(または代えて)、画像の風景の位置に応じた緑化を行う施工会社など緑化を支援する機関の情報が提供されてもよい。支援する機関とは、例えば、緑化を施工する会社や、緑化に関する相談を受け付ける機関など種々の機関である。位置に応じた支援する機関(支援機関)とは、例えば、位置の近所の支援機関や、位置の施工を行うことが可能な施工会社などである。例えば、情報提供装置100は、更に画像の風景の位置情報を取得し、位置情報と緑化を支援する機関の情報とが対応付けられた支援機関情報(施工会社情報)を参照し、第1領域に関する情報に加え、画像の位置情報に対応する支援する機関の情報を他の装置に提供する。
【0048】
情報提供装置100の記憶部250には、例えば、施工会社情報170が記憶されている。図10は、施工会社情報170の内容の一例を示す図である。施工会社情報170は、例えば、位置情報と、その位置情報に対応する施工会社の情報が対応付けられた情報である。施工会社の情報とは、例えば、施工会社の名称や、連絡先、ホームページアドレス、単位区画当たりの概算費用などである。
【0049】
例えば、情報提供装置100は、利用者端末装置10から画像と、画像が撮像された位置情報(画像の風景の位置情報)とを取得する。情報提供装置100は、施工会社情報170を参照して、位置情報に対応する施工会社を特定する。位置情報は、画像が撮像されると自動で利用者端末装置10の位置情報が対応付けられる機能によって対応付けられた位置情報であってもよいし、利用者が情報提供装置100に提供した位置情報であってもよい。また、位置情報は、画像の特徴(画像に含まれる建物や景色など)から得られた位置情報であってもよい。例えば、画像を提供すると、画像が撮像された位置を推定するサービスを提供するサーバ装置を利用して得た位置であってもよい。
【0050】
情報提供装置100は、上記のように特定した施工会社の情報を利用者端末装置10に提供する。図11は、提供された画像IM4の一例を示す図である。画像IM4には、例えば、潜在緑視率および各領域がラベル付けされた画像に加え、更に位置情報に対応する施工会社の情報や、緑化可能領域の大きさ(面積)を示す情報、当該施工会社を利用して緑化可能領域を緑化する場合の概算額、施工会社のホームページへのリンクボタン、施工会社に見積を依頼するためのボタンなどが含まれる。
【0051】
例えば、情報提供装置100は、画像内の車両や駐車場の区画線間の幅など予め定められた対象の大きさから緑化可能領域の面積を推定し、推定した面積に設定額を乗算して概算額を取得する。例えば、上記の見積りボタンが操作されると、見積を依頼するための入力フォームが利用者端末装置10の表示部に表示され、利用者は入力フォームに必要な情報を入力することで見積を依頼することができる。
【0052】
上記のように、情報提供装置100は、画像が撮像された位置に応じた施工会社の情報を利用者に提供することができるため、利用者の利便性が向上する。
【0053】
以上説明した実施形態によれば、情報提供装置100は、対象の領域が撮像された画像を取得する取得部と、前記画像から得られた将来的に緑化が可能な第1領域の情報を取得し、前記第1領域に関する情報を表示部に表示させるために他の装置に前記第1領域に関する情報を提供する処理部とを備えることにより、利用者に有益な情報を提供することができる。
【0054】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0055】
1‥情報提供システム、10‥利用者端末装置、100‥情報提供装置、120‥取得部、130‥処理部、140‥提供部、160‥潜在的緑化領域推薦AIモデル、200‥学習装置、230‥学習部、260‥学習データ、270‥潜在的緑化領域推薦AIモデル
図1
図2
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図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11