(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177929
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】遠心送風機
(51)【国際特許分類】
F04D 29/30 20060101AFI20241217BHJP
F04D 29/28 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
F04D29/30 C
F04D29/28 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096344
(22)【出願日】2023-06-12
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】505461072
【氏名又は名称】日本キヤリア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】古谷 優樹
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB26
3H130AB43
3H130AB46
3H130AC15
3H130AC30
3H130BA13C
3H130BA62C
3H130BA98C
3H130CB01
3H130CB06
3H130CB09
3H130CB14
3H130EA06C
3H130EA07C
3H130EB04C
(57)【要約】
【課題】回転時の振動を抑制しつつ静圧を高めるとともに、材料にかかるコストの増大を抑制できる遠心送風機を提供する。
【解決手段】回転軸を中心に回転する主板と、シュラウドと、前記主板と前記シュラウドとの間に設けられる複数の羽根と、を備え、複数の羽根は、第1~第3羽根を有し、第1羽根は、第1前縁部及び第1後縁部を有し、第2羽根は、第2前縁部及び第2後縁部を有し、第3羽根は、第3前縁部及び第3後縁部を有し、第1前縁部から第1後縁部までの長さを第1長さ、第2前縁部から第2後縁部までの長さを第2長さ、第3前縁部から第3後縁部までの長さを第3長さとしたときに、第2長さは第1長さよりも大きく、第3長さは第2長さよりも大きく、第1~第3羽根の数はそれぞれ同じであり、複数の羽根の総数は、6以上の3の倍数であり、第1~第3羽根は、回転方向において、第1羽根、第2羽根、第3羽根の順に配置される、遠心送風機。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸を中心に回転する主板と、
シュラウドと、
前記主板と前記シュラウドとの間に設けられる複数の羽根と、
を備え、
前記複数の羽根は、第1羽根と、第2羽根と、第3羽根と、を有し、
前記第1羽根は、前記中央部側の端部である第1前縁部と、前記外周部側の端部である第1後縁部と、を有し、
前記第2羽根は、前記中央部側の端部である第2前縁部と、前記外周部側の端部である第2後縁部と、を有し、
前記第3羽根は、前記中央部側の端部である第3前縁部と、前記外周部側の端部である第3後縁部と、を有し、
前記第1前縁部から前記第1後縁部までの長さを第1長さ、前記第2前縁部から前記第2後縁部までの長さを第2長さ、前記第3前縁部から前記第3後縁部までの長さを第3長さ、としたときに、
前記第2長さは、前記第1長さよりも大きく、
前記第3長さは、前記第2長さよりも大きく、
前記第1羽根の数、前記第2羽根の数、及び前記第3羽根の数は、それぞれ同じであり、
前記複数の羽根の総数は、6以上の3の倍数であり、
前記第1羽根、前記第2羽根、及び前記第3羽根は、回転方向において、前記第1羽根、前記第2羽根、前記第3羽根の順に配置される、遠心送風機。
【請求項2】
前記回転軸と前記第1後縁部とを結ぶ直線を第1仮想線、前記回転軸と前記第2後縁部とを結ぶ直線を第2仮想線、前記回転軸と前記第3後縁部とを結ぶ直線を第3仮想線、互いに隣り合う前記第1仮想線と前記第2仮想線との間の角度を第1配置角度、互いに隣り合う前記第2仮想線と前記第3仮想線との間の角度を第2配置角度、互いに隣り合う前記第3仮想線と前記第1仮想線との間の角度を第3配置角度、としたときに、
前記第3配置角度は、前記第1配置角度及び前記第2配置角度の少なくともいずれかよりも大きい、請求項1に記載の遠心送風機。
【請求項3】
前記第1羽根の延びる方向に直交する方向における前記第1羽根の最大厚さを第1最大厚さ、前記第2羽根の延びる方向に直交する方向における前記第2羽根の最大厚さを第2最大厚さ、前記第3羽根の延びる方向に直交する方向における前記第3羽根の最大厚さを第3最大厚さ、としたときに、
前記第1最大厚さは、前記第2最大厚さよりも小さく、
前記第1最大厚さは、前記第3最大厚さよりも小さい、請求項1に記載の遠心送風機。
【請求項4】
前記回転軸の延びる方向における最大高さを前記第1羽根の第1最大高さ、前記回転軸の延びる方向における前記第2羽根の最大高さを第2最大高さ、前記回転軸の延びる方向における前記第3羽根の最大高さを第3最大高さ、としたときに、
前記第2最大高さは、前記第1最大高さよりも小さく、
前記第3最大高さは、前記第1最大高さよりも小さい、請求項1に記載の遠心送風機。
【請求項5】
前記回転軸と前記第1後縁部とを結ぶ直線を第1仮想線、前記回転軸と前記第2後縁部とを結ぶ直線を第2仮想線、前記回転軸と前記第3後縁部とを結ぶ直線を第3仮想線、前記第1後縁部と前記第1前縁部とを結ぶ直線を第4仮想線、前記第2後縁部と前記第2前縁部とを結ぶ直線を第5仮想線、前記第3後縁部と前記第3前縁部とを結ぶ直線を第6仮想線、互いに隣り合う前記第1仮想線と前記第4仮想線との間の角度を第1取付角度、互いに隣り合う前記第2仮想線と前記第5仮想線との間の角度を第2取付角度、互いに隣り合う前記第3仮想線と前記第6仮想線との間の角度を第3取付角度、としたときに、
前記第3取付角度は、前記第1取付角度及び前記第2取付角度の少なくともいずれかよりも小さい、請求項1~4のいずれか1つに記載の遠心送風機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、遠心送風機に関する。
【背景技術】
【0002】
熱交換器などにおいて、遠心送風機を用いることが知られている。このような遠心送風機において、遠心送風機の通過前後での差圧に相当する静圧を高めることが求められる。静圧を高める手段として、羽根の長さを長くすることが考えられる。しかし、羽根を長くすると、羽根が重くなるため、回転時に振動が発生するおそれがある。また、羽根を長くすると、材料にかかるコストが増大するおそれがある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、回転時の振動を抑制しつつ静圧を高めるとともに、材料にかかるコストの増大を抑制できる遠心送風機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る遠心送風機は、回転軸を中心に回転する主板と、シュラウドと、前記主板と前記シュラウドとの間に設けられる複数の羽根と、を備える。前記複数の羽根は、第1羽根と、第2羽根と、第3羽根と、を有する。前記第1羽根は、前記中央部側の端部である第1前縁部と、前記外周部側の端部である第1後縁部と、を有する。前記第2羽根は、前記中央部側の端部である第2前縁部と、前記外周部側の端部である第2後縁部と、を有する。前記第3羽根は、前記中央部側の端部である第3前縁部と、前記外周部側の端部である第3後縁部と、を有する。前記第1前縁部から前記第1後縁部までの長さを第1長さ、前記第2前縁部から前記第2後縁部までの長さを第2長さ、前記第3前縁部から前記第3後縁部までの長さを第3長さとしたときに、前記第2長さは、前記第1長さよりも大きい。前記第3長さは、前記第2長さよりも大きい。前記第1羽根の数、前記第2羽根の数、及び前記第3羽根の数は、それぞれ同じである。前記複数の羽根の総数は、6以上の3の倍数であり、前記第1羽根、前記第2羽根、及び前記第3羽根は、回転方向において、前記第1羽根、前記第2羽根、前記第3羽根の順に配置される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】実施形態に係る遠心送風機を表す斜視図である。
【
図2】実施形態に係る遠心送風機を表す平面図である。
【
図3】実施形態に係る遠心送風機を表す平面図である。
【
図4】実施形態に係る遠心送風機の一部を表す平面図である。
【
図5】実施形態に係る遠心送風機を表す斜視図である。
【
図6】実施形態に係る遠心送風機を表す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚さと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
図1は、実施形態に係る遠心送風機を表す斜視図である。
図1に表したように、実施形態に係る遠心送風機100は、主板10と、複数の羽根20と、シュラウド30と、を備える。
【0009】
主板10は、回転軸AXを中心にして、回転方向RDに回転する。回転軸は、Z方向に沿って延びる。主板10は、Z方向に直交するX-Y平面に沿って回転する。X-Y平面は、Z方向に直交するX方向と、Z方向及びX方向に直交するY方向と、に沿う面である。この例では、シュラウド30から主板10に向かう方向において、回転方向RDは、反時計回りの向きである。
【0010】
主板10は、中央部10aと、外周部10bと、を有する。中央部10aは、回転軸AXと主板10との交点を含む。中央部10aは、Z方向において、突出している。外周部10bは、中央部10aの外側に位置する。外周部10bは、X-Y平面に沿って広がっている。
【0011】
複数の羽根20は、主板10シュラウド30との間に設けられる。複数の羽根20は、主板10シュラウド30との間に介在する。複数の羽根20は、例えば、それぞれ、Z方向に沿うように設けられる。複数の羽根20は、例えば、それぞれ、Z方向に対して傾くように設けられていてもよい。
【0012】
複数の羽根20は、それぞれ、主板10の中央部10aから外周部10bに向かって延びる。複数の羽根20は、それぞれ、中央部10a側の端部である前縁部20aと、外周部10b側の端部である後縁部20bと、を有する。複数の羽根20は、例えば、それぞれ、前縁部20aから後縁部20bに向かって湾曲するように延びる。複数の羽根20は、例えば、それぞれ、前縁部20aから後縁部20bに向かって直線的に延びていてもよい。
【0013】
シュラウド30は、Z方向において、複数の羽根20の後縁部20bを覆っている。複数の羽根20の後縁部20bは、Z方向において、主板10とシュラウド30との間に位置する。シュラウド30は、複数の羽根20の後縁部20bに接続されている。シュラウド30は、Z方向において、複数の羽根20の前縁部20aを覆っていない。シュラウド30は、Z方向において、回転軸AXと重なる面を有していない。
【0014】
主板10が回転することで、複数の羽根20及びシュラウド30は、主板10とともに回転する。これにより、複数の羽根20は、
図1に矢印Aで示したように、Z方向に沿って空気を取り込み、
図1に矢印Bで示したように、シュラウド30と主板10との間からX-Y平面に沿うように遠心送風機100の外側に向かって空気の流れ(気流)を発生させる。
【0015】
以下、複数の羽根20について、さらに詳しく説明する。
図2は、実施形態に係る遠心送風機を表す平面図である。
図2では、シュラウド30を省略している。
図2に表したように、複数の羽根20は、第1羽根21と、第2羽根22と、第3羽根23と、を有する。
【0016】
第1羽根21は、第1前縁部21aと、第1後縁部21bと、を有する。第1前縁部21aは、中央部10a側の端部である。第1後縁部21bは、外周部10b側の端部である。第1前縁部21aから第1後縁部21bまでの長さは、第1長さL1である。
【0017】
第2羽根22は、第2前縁部22aと、第2後縁部22bと、を有する。第2前縁部22aは、中央部10a側の端部である。第2後縁部22bは、外周部10b側の端部である。第2前縁部22aから第2後縁部22bまでの長さは、第2長さL2である。第2長さL2は、第1長さL1よりも長い。
【0018】
第3羽根23は、第3前縁部23aと、第3後縁部23bと、を有する。第3前縁部23aは、中央部10a側の端部である。第3後縁部23bは、外周部10b側の端部である。第3前縁部23aから第3後縁部23bまでの長さは、第3長さL3である。第3長さL3は、第2長さL2よりも長い。
【0019】
第1長さL1は、例えば、第2長さL2の0.9倍以下、好ましくは0.5倍以上0.8倍以下である。第3長さL3は、例えば、第2長さL2の1.1倍以上、好ましくは1.2倍以上2.0倍以下である。
【0020】
このように、実施形態に係る遠心送風機100では、前縁部20aから後縁部20bまでの長さが互いに異なる3種類の羽根20(第1羽根21、第2羽根22、及び第3羽根23)が設けられている。
【0021】
実施形態に係る遠心送風機100では、第1羽根21、第2羽根22、及び第3羽根23は、回転方向RDにおいて、第1羽根21、第2羽根22、第3羽根23の順に配置される。この例では、回転方向RDにおいて、第1羽根21、第2羽根22、第3羽根23の順に配置された3種類の羽根20のセットが3つ設けられている。
【0022】
第1羽根21の数、第2羽根22の数、及び第3羽根23の数は、それぞれ同じである。また、複数の羽根20の総数は、6以上の3の倍数である。つまり、第1羽根21の数、第2羽根22の数、及び第3羽根23の数は、例えば、それぞれ、2以上である。この例では、3つの第1羽根21と、3つの第2羽根22と、3つの第3羽根23と、が設けられている。つまり、この例では、複数の羽根20の総数は、9である。複数の羽根20の総数は、奇数であることが好ましい。
【0023】
なお、Z方向に沿う向きに見たときに、第1羽根21の延びる方向(すなわち、第1前縁部21aから第1羽根21に沿って第1後縁部21bに向かう方向)における第1羽根21の長さは、Z方向に沿う向きに見たときに、第2羽根22の延びる方向(すなわち、第2前縁部22aから第2羽根22に沿って第2後縁部22bに向かう方向)における第2羽根22の長さよりも短く、Z方向に沿う向きに見たときに、第3羽根23の延びる方向(すなわち、第3前縁部23aから第3羽根23に沿って第3後縁部23bに向かう方向)における第3羽根23の長さよりも短い。各羽根の延びる方向における長さは、例えば、各羽根のZ方向に沿う断面における一面(回転時に正圧がかかる面)と他面(回転時に負圧がかかる面)との間の中心線の長さで表される。
【0024】
前縁部20aから後縁部20bまでの長さが互いに異なる3種類の羽根20(第1羽根21、第2羽根22、及び第3羽根23)を設けることで、例えば、すべての羽根を第3羽根23にした場合と比べて、羽根が重くなりにくい。これにより、回転時の振動を抑制できる。また、すべての羽根を第3羽根23にした場合と比べて、材料にかかるコストが増大することを抑制できる。
【0025】
また、第1羽根21、第2羽根22、及び第3羽根23が、回転方向RDにおいて、第1羽根21、第2羽根22、第3羽根23の順に配置されることで、例えば、回転方向RDにおいて、第3羽根23、第2羽根22、第1羽根21の順に配置された場合と比べて、第2羽根22と第3羽根23との間の流路が狭くなりにくいため、第2羽根22と第3羽根23との間の流路において、流路抵抗が大きくなりにくい。これにより、静圧を高めることができる。また、第1羽根21、第2羽根22、及び第3羽根23が、回転方向RDにおいて、第1羽根21、第2羽根22、第3羽根23の順に配置されることで、例えば、特に風量が比較的小さいときに(例えば、1500~1750m3/hの範囲において)、静圧を高めることができる。
【0026】
また、複数の羽根20の総数を奇数にすることで、複数の羽根20の総数を偶数にした場合と比べて、周期的な騒音(Nz音)の発生を抑制できる。また、複数の羽根20の総数を9とすることで、複数の羽根20の総数を6や12にした場合と比べて、静圧を高めることができる。
【0027】
以下、第1羽根21、第2羽根22、及び第3羽根23の配置角度について、さらに詳しく説明する。
図3は、実施形態に係る遠心送風機を表す平面図である。
図3では、シュラウド30を省略している。
図3に表したように、回転軸AXと第1羽根21の第1後縁部21bとを結ぶ直線を第1仮想線IL1とする。回転軸AXと第2羽根22の第2後縁部22bとを結ぶ直線を第2仮想線IL2とする。回転軸AXと第3羽根23の第3後縁部23bとを結ぶ直線を第3仮想線IL3とする。
【0028】
また、互いに隣り合う第1仮想線IL1と第2仮想線IL2との間の角度(劣角)を第1配置角度θ1とする。互いに隣り合う第2仮想線IL2と第3仮想線IL3との間の角度(劣角)を第2配置角度θ2とする。互いに隣り合う第3仮想線IL3と第1仮想線IL1との間の角度(劣角)を第3配置角度θ3とする。
【0029】
実施形態に係る遠心送風機100では、例えば、第3配置角度θ3は、第1配置角度θ1及び第2配置角度θ2の少なくともいずれかよりも大きい。例えば、第3配置角度θ3が第1配置角度θ1よりも大きい場合、第3配置角度θ3は、第2配置角度θ2よりも大きくてもよいし、第2配置角度θ2と同じであってもよいし、第2配置角度θ2よりも小さくてもよい。例えば、第3配置角度θ3が第2配置角度θ2よりも大きい場合、第3配置角度θ3は、第1配置角度θ1よりも大きくてもよいし、第1配置角度θ1と同じであってもよいし、第1配置角度θ1よりも小さくてもよい。第2配置角度θ2は、第1配置角度θ1よりも大きくてもよいし、第1配置角度θ1と同じであってもよいし、第1配置角度θ1よりも小さくてもよい。この例では、第3配置角度θ3は、第1配置角度θ1よりも大きく、第2配置角度θ2よりも大きい。また、この例では、第2配置角度θ2は、第1配置角度θ1よりも大きい。
【0030】
第3配置角度θ3が第1配置角度θ1よりも大きい場合、第3配置角度θ3と第1配置角度θ1との差は、例えば、1°以上5°以下である。第3配置角度θ3が第2配置角度θ2よりも大きい場合、第3配置角度θ3と第2配置角度θ2との差は、例えば、1°以上5°以下である。
【0031】
第3配置角度θ3を第1配置角度θ1及び第2配置角度θ2の少なくともいずれかよりも大きくすることで、第3配置角度θ3を第1配置角度θ1以下にした場合や第3配置角度θ3を第2配置角度θ2以下にした場合と比べて、第1羽根21と第3羽根23との間の流路が狭くなりにくいため、第1羽根21と第3羽根23との間の流路において、流路抵抗が大きくなりにくい。これにより、静圧を高めることができる。
【0032】
以下、第1羽根21、第2羽根22、及び第3羽根23の厚さについて、さらに詳しく説明する。
図4は、実施形態に係る遠心送風機の一部を表す平面図である。
図4では、シュラウド30を省略している。
図4に表したように、第1羽根21の最大厚さを第1最大厚さT1とする。第2羽根22の最大厚さを第2最大厚さT2とする。第3羽根23の最大厚さを第3最大厚さT3とする。
【0033】
第1最大厚さT1は、Z方向に沿う向きに見たときに、第1羽根21の延びる方向(すなわち、第1前縁部21aから第1羽根21に沿って第1後縁部21bに向かう方向)に直交する方向における第1羽根21の厚さの最大値である。第2最大厚さT2は、Z方向に沿う向きに見たときに、第2羽根22の延びる方向(すなわち、第2前縁部22aから第2羽根22に沿って第2後縁部22bに向かう方向)に直交する方向における第2羽根22の厚さの最大値である。第3最大厚さT3は、Z方向に沿う向きに見たときに、第3羽根23の延びる方向(すなわち、第3前縁部23aから第3羽根23に沿って第3後縁部23bに向かう方向)に直交する方向における第3羽根23の厚さの最大値である。
【0034】
実施形態に係る遠心送風機100では、例えば、第1最大厚さT1は、第2最大厚さT2よりも小さい。また、第1最大厚さT1は、例えば、第3最大厚さT3よりも小さい。第2最大厚さT2は、第3最大厚さT3よりも大きくてもよいし、第3最大厚さと同じであってもよいし、第3最大厚さT3よりも小さくてもよい。
【0035】
第1最大厚さT1と第2最大厚さT2との差は、例えば、0.1mm以上5mm以下である。第1最大厚さT1と第3最大厚さT3との差は、例えば、0.1mm以上5mm以下である。
【0036】
例えば、上述の第1配置角度θ1を小さくすると、回転時に第1羽根21に加わる最大圧力が、回転時に第2羽根22に加わる最大圧力や回転時に第3羽根23に加わる最大圧力よりも小さくなる。そのため、第1最大厚さT1を第2最大厚さT2及び第3最大厚さT3よりも小さくすることができる。第1最大厚さT1を第2最大厚さT2及び第3最大厚さT3よりも小さくすることで、例えば、材料にかかるコストを削減できる。
【0037】
以下、第1羽根21、第2羽根22、及び第3羽根23の高さについて、さらに詳しく説明する。
図5は、実施形態に係る遠心送風機を表す斜視図である。
図5に表したように、第1羽根21の最大高さを第1最大高さH1とする。第2羽根22の最大高さを第2最大高さH2とする。第3羽根23の最大高さを第3最大高さH3とする。
【0038】
第1最大高さH1は、回転軸AXの延びる方向(Z方向)における第1羽根21の長さの最大値である。第2最大高さH2は、回転軸AXの延びる方向(Z方向)における第2羽根22の長さの最大値である。第3最大高さH3は、回転軸AXの延びる方向(Z方向)における第3羽根23の長さの最大値である。
【0039】
実施形態に係る遠心送風機100では、例えば、第2最大高さH2は、第1最大高さH1よりも小さい。また、第3最大高さH3は、第1最大高さH1よりも小さい。第2最大高さH2は、第3最大高さH3よりも大きくてもよいし、第3最大高さH3と同じであってもよいし、第3最大高さH3よりも小さくてもよい。
【0040】
第2最大高さH2と第1最大高さH1との差は、例えば、0.1mm以上1cm以下である。第3最大高さH3と第1最大高さH1との差は、例えば、0.1mm以上1cm以下である。
【0041】
例えば、第2羽根22の側縁部(Z方向の端部)や第3羽根23の側縁部(Z方向の端部)では、回転時に気流の剥離が生じやすく、負荷が大きくなりすぎたり、圧力損失が生じたりするおそれがある。これに対し、第2最大高さH2及び第2最大高さH3をそれぞれ第1最大高さH1よりも小さくすることで、第2羽根22の側縁部や第3羽根23の側縁部における気流の剥離を抑制し、第2羽根22の側縁部や第3羽根23の側縁部における負荷が大きくなりすぎたり、圧力損失が生じたりすることを抑制できる。
【0042】
以下、第1羽根21、第2羽根22、及び第3羽根23の取付角度について、さらに詳しく説明する。
図6は、実施形態に係る遠心送風機を表す平面図である。
図6では、シュラウド30を省略している。
図6に表したように、回転軸AXと第1羽根21の第1後縁部21bとを結ぶ直線を第1仮想線IL1とする。回転軸AXと第2羽根22の第2後縁部22bとを結ぶ直線を第2仮想線IL2とする。回転軸AXと第3羽根23の第3後縁部23bとを結ぶ直線を第3仮想線IL3とする。第1羽根21の第1後縁部21bと第1前縁部21aとを結ぶ直線を第4仮想線IL4とする。第2羽根22の第2後縁部22bと第2前縁部22aとを結ぶ直線を第5仮想線IL5とする。第3羽根23の第3後縁部23bと第3前縁部23aとを結ぶ直線を第6仮想線IL6とする。
【0043】
また、互いに隣り合う第1仮想線IL1と第4仮想線IL4との間の角度(劣角)を第1取付角度φ1とする。互いに隣り合う第2仮想線IL2と第5仮想線IL5との間の角度(劣角)を第2取付角度φ2とする。互いに隣り合う第3仮想線IL3と第6仮想線IL6との間の角度(劣角)を第3取付角度φ3とする。
【0044】
実施形態に係る遠心送風機100では、例えば、第3取付角度φ3は、第1取付角度φ1及び第2取付角度φ2の少なくともいずれかよりも小さい。例えば、第3取付角度φ3が第1取付角度φ1よりも小さい場合、第3取付角度φ3は、第2取付角度φ2よりも大きくてもよいし、第2取付角度φ2と同じであってもよいし、第2取付角度φ2よりも小さくてもよい。例えば、第3取付角度φ3が第2取付角度φ2よりも小さい場合、第3取付角度φ3は、第1取付角度φ1よりも大きくてもよいし、第1取付角度φ1と同じであってもよいし、第1取付角度φ1よりも小さくてもよい。第2取付角度φ2は、第1取付角度φ1よりも大きくてもよいし、第1取付角度φ1と同じであってもよいし、第1取付角度φ1よりも小さくてもよい。この例では、第3取付角度φ3は、第1取付角度φ1よりも小さく、第2取付角度φ2よりも小さい。また、この例では、第2取付角度φ2は、第1取付角度φ1と同じである。
【0045】
第3取付角度φ3が第1取付角度φ1よりも小さい場合、第3取付角度φ3と第1取付角度φ1との差は、例えば、1°以上5°以下である。第3取付角度φ3が第2取付角度φ2よりも小さい場合、第3取付角度φ3と第2取付角度φ2との差は、例えば、1°以上5°以下である。
【0046】
第3取付角度φ3を第1取付角度φ1及び第2取付角度φ2の少なくともいずれかよりも小さくすることで、第3取付角度φ3を第1取付角度φ1以上にした場合や第3取付角度φ3を第2取付角度φ2以上にした場合と比べて、第1羽根21と第3羽根23との間の流路が狭くなりにくいため、第1羽根21と第3羽根23との間の流路において、流路抵抗が大きくなりにくい。これにより、静圧を高めることができる。
【0047】
実施形態は、以下の構成を含んでもよい。
【0048】
(構成1)
回転軸を中心に回転する主板と、
シュラウドと、
前記主板と前記シュラウドとの間に設けられる複数の羽根と、
を備え、
前記複数の羽根は、第1羽根と、第2羽根と、第3羽根と、を有し、
前記第1羽根は、前記中央部側の端部である第1前縁部と、前記外周部側の端部である第1後縁部と、を有し、
前記第2羽根は、前記中央部側の端部である第2前縁部と、前記外周部側の端部である第2後縁部と、を有し、
前記第3羽根は、前記中央部側の端部である第3前縁部と、前記外周部側の端部である第3後縁部と、を有し、
前記第1前縁部から前記第1後縁部までの長さを第1長さ、前記第2後縁部から前記第2後縁部までの長さを第2長さ、前記第3後縁部から前記第3後縁部までの長さを第3長さ、としたときに、
前記第2長さは、前記第1長さよりも大きく、
前記第3長さは、前記第2長さよりも大きく、
前記第1羽根の数、前記第2羽根の数、及び前記第3羽根の数は、それぞれ同じであり、
前記第1羽根、前記第2羽根、及び前記第3羽根は、回転方向において、前記第1羽根、前記第2羽根、前記第3羽根の順に配置される、遠心送風機。
【0049】
(構成2)
前記回転軸と前記第1後縁部とを結ぶ直線を第1仮想線、前記回転軸と前記第2後縁部とを結ぶ直線を第2仮想線、前記回転軸と前記第3後縁部とを結ぶ直線を第3仮想線、互いに隣り合う前記第1仮想線と前記第2仮想線との間の角度を第1配置角度、互いに隣り合う前記第2仮想線と前記第3仮想線との間の角度を第2配置角度、互いに隣り合う前記第3仮想線と前記第1仮想線との間の角度を第3配置角度、としたときに、
前記第3配置角度は、前記第1配置角度及び前記第2配置角度の少なくともいずれかよりも大きい、構成1に記載の遠心送風機。
【0050】
(構成3)
前記第1羽根の延びる方向に直交する方向における前記第1羽根の最大厚さを第1最大厚さ、前記第2羽根の延びる方向に直交する方向における前記第2羽根の最大厚さを第2最大厚さ、前記第3羽根の延びる方向に直交する方向における前記第3羽根の最大厚さを第3最大厚さ、としたときに、
前記第1最大厚さは、前記第2最大厚さよりも小さく、
前記第1最大厚さは、前記第3最大厚さよりも小さい、構成1または構成2に記載の遠心送風機。
【0051】
(構成4)
前記回転軸の延びる方向における最大高さを前記第1羽根の第1最大高さ、前記回転軸の延びる方向における前記第2羽根の最大高さを第2最大高さ、前記回転軸の延びる方向における前記第3羽根の最大高さを第3最大高さ、としたときに、
前記第2最大高さは、前記第1最大高さよりも小さく、
前記第3最大高さは、前記第1最大高さよりも小さい、構成1~3のいずれか1つに記載の遠心送風機。
【0052】
(構成5)
前記回転軸と前記第1後縁部とを結ぶ直線を第1仮想線、前記回転軸と前記第2後縁部とを結ぶ直線を第2仮想線、前記回転軸と前記第3後縁部とを結ぶ直線を第3仮想線、前記第1後縁部と前記第1前縁部とを結ぶ直線を第4仮想線、前記第2後縁部と前記第2前縁部とを結ぶ直線を第5仮想線、前記第3後縁部と前記第3前縁部とを結ぶ直線を第6仮想線、互いに隣り合う前記第1仮想線と前記第4仮想線との間の角度を第1取付角度、互いに隣り合う前記第2仮想線と前記第5仮想線との間の角度を第2取付角度、互いに隣り合う前記第3仮想線と前記第6仮想線との間の角度を第3取付角度、としたときに、
前記第3取付角度は、前記第1取付角度及び前記第2取付角度の少なくともいずれかよりも小さい、構成1~4のいずれか1つに記載の遠心送風機。
【0053】
以上のように、実施形態によれば、回転時の振動を抑制しつつ静圧を高めるとともに、材料にかかるコストの増大を抑制できる遠心送風機が提供される。
【0054】
以上、本発明の実施形態を例示したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。この実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0055】
10:主板
10a:中央部
10b:外周部
20:複数の羽根
20a:前縁部
20b:後縁部
21:第1羽根
21a:第1前縁部
21b:第1後縁部
22:第2羽根
22a:第2前縁部
22b:第2後縁部
23:第3羽根
23a:第3前縁部
23b:第3後縁部
30:シュラウド
100:遠心送風機
AX:回転軸
H1~H3:第1~第3最大高さ
IL1~IL6:第1~第6仮想線
L1~L3:第1~第3長さ
RD:回転方向
T1~T3:第1~第3最大厚さ
θ1~θ3:第1~第3配置角度
φ1~φ3:第1~第3取付角度