(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177930
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】車両の側部構造
(51)【国際特許分類】
B62D 21/02 20060101AFI20241217BHJP
B60K 1/04 20190101ALI20241217BHJP
【FI】
B62D21/02 Z
B60K1/04 Z ZHV
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096345
(22)【出願日】2023-06-12
(71)【出願人】
【識別番号】000005463
【氏名又は名称】日野自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100130052
【弁理士】
【氏名又は名称】大阪 弘一
(72)【発明者】
【氏名】本間 友基
(72)【発明者】
【氏名】市川 勝崇
(72)【発明者】
【氏名】松井 将
(72)【発明者】
【氏名】赤塚 直
【テーマコード(参考)】
3D203
3D235
【Fターム(参考)】
3D203AA02
3D203AA13
3D203AA31
3D203AA33
3D203BA03
3D203BA06
3D203BB23
3D203BC28
3D203CA04
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3D203CB09
3D203CB19
3D203CB21
3D203CB40
3D203DA20
3D203DB05
3D235AA06
3D235BB03
3D235BB04
3D235BB17
3D235BB19
3D235DD37
3D235FF02
3D235FF06
3D235FF43
3D235HH02
3D235HH26
3D235HH42
(57)【要約】 (修正有)
【課題】車両に搭載される機器を側突時の衝撃から保護することができる汎用性の高い車両の側部構造を提供する。
【解決手段】車両1の側部構造は、車両1のキャブ100と荷台200との間に配置され、車両1の車幅方向の外側に張り出したカバー5と、カバー5の下側に設けられ、車両1のフレームに固定されるプロテクタ6と、フレームにマウントブラケット8(接続部材)を介して固定され、車両1の前後方向に延在する縦根太7と、を備える。車幅方向の外側から見て、車両1のキャブ後方に搭載される高電圧部品等の電装機器を、カバー5、プロテクタ6、及び縦根太7により覆うことができる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のキャブと荷台との間に配置され、前記車両の車幅方向の外側に張り出したカバーと、
前記カバーの下側に設けられ、前記車両のフレームに固定されるプロテクタと、
前記フレームに接続部材を介して固定され、前記車両の前後方向に延在する縦根太と、を備える車両の側部構造。
【請求項2】
前記フレームは、前記前後方向に沿って延在した前フレーム部、中間フレーム部及び後フレーム部を有すると共に、前記前フレーム部が前記中間フレーム部及び前記後フレーム部よりも上側に位置するように、前記前フレーム部と前記中間フレーム部との間の境界部分において曲げられており、
前記プロテクタは、前記中間フレーム部に固定されている、請求項1に記載の車両の側部構造。
【請求項3】
前記カバーは、前記車両の前側から順に並んで配置された前側部分、中間部分及び後側部分を有し、
前記前側部分は、前記車両の上下方向の一方側から見て断面略L字状に形成され、
前記後側部分は、前記車両の上下方向の他方側から見て断面略L字状に形成され、
前記前側部分及び前記後側部分は、前記中間部分に固定されている、請求項1または2に記載の車両の側部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の側部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、車両の側部構造について記載されている。特許文献1に記載の車両は、車両のシャシフレーム上で前後方向に沿って延びる一対の縦根太と、一対の縦根太の間、かつ、シャシフレームと架装との間に設けられるバッテリボックス収納部とを備えている。バッテリボックスはバッテリを収容している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、EV車等の種々の車両の開発に伴い、車両に様々な電装機器が搭載されるようになっている。そこで、車両に搭載されるバッテリ等の機器を、側突等の衝撃から保護するための構造が要求される場合がある。しかしながら、機器を保護するための保護部材を設けることができるスペースは、車両の構造や架装の大きさ等によって異なる。そのため、保護部材を設けることで、架装のための空間が奪われてしまうという問題が発生するおそれがある。車両の構造や架装の大きさ等に依らず、車両に搭載される機器を側突時の衝撃から保護することができる構造が求められている。
【0005】
本発明の目的は、車両に搭載される機器を側突時の衝撃から保護することができる汎用性の高い車両の側部構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る車両の側部構造は、車両のキャブと荷台との間に配置され、車両の車幅方向の外側に張り出したカバーと、カバーの下側に設けられ、車両のフレームに固定されるプロテクタと、フレームに接続部材を介して固定され、車両の前後方向に延在する縦根太と、を備える。
【0007】
このような車両の側部構造では、車幅方向の外側から見て、車両のキャブ後方に搭載される機器を、カバー、プロテクタ、及び縦根太により覆うことができる。これにより、側突によって車両に衝撃力が付与されても、機器を保護することができる。カバー、プロテクタ、及び縦根太は、車両の構造やレイアウトに依らず設けることができる。その結果、車両の構造などに依らない汎用性の高い側部構造で、車両に搭載される機器を側突時の衝撃から保護することができる。
【0008】
フレームは、前後方向に沿って延在した前フレーム部、中間フレーム部及び後フレーム部を有すると共に、前フレーム部が中間フレーム部及び後フレーム部よりも上側に位置するように、前フレーム部と中間フレーム部との間の境界部分において曲げられており、プロテクタは、中間フレーム部に固定されていてもよい。このような構成では、中間フレーム部及び後フレーム部が前フレーム部よりも下側に位置するため、荷台の床面が低くなる。
【0009】
カバーは、車両の前側から順に並んで配置された前側部分、中間部分及び後側部分を有し、前側部分は、車両の上下方向の一方側から見て断面略L字状に形成され、後側部分は、車両の上下方向の他方側から見て断面略L字状に形成され、前側部分及び後側部分は、中間部分に固定されていてもよい。このような構成では、カバーにおける左右方向の最外側部分の幅寸法(車両前後方向の寸法)が確保されるため、側突時に受ける衝撃が軽減される。従って、車両に搭載される機器を側突時の衝撃から更に保護することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、車両に搭載される機器を側突時の衝撃から保護することができる汎用性の高い車両の側部構造の提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態に係る車両の側部構造を備えた車両の一部を示す概略側面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る車両の側部構造を備えた車両の一部を示す概略平面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る車両の側部構造を備えた車両の一部を示す拡大斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る車両の側部構造を備えた車両の一部を示す拡大側面図である。
【
図7】縦根太及びマウントブラケットの構成の一例を示す斜視図である。
【
図8】縦根太及びマウントブラケットの構成の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、図面において、同一または同等の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。以下の説明においては、上下左右の方向は、車両の上下左右の方向をいう(特に指示する場合を除く)。「前後」は車両の前後方向に対応し、「左右」は車両の幅方向に対応し、「上下」は車両の高さ方向に対応する。各図の「UP」は車両の上方を示し、「FR」は車両の前方を示し、「R」は車両の右方を示す。
【0013】
図1~
図4に示される車両1は、モータ(不図示)を駆動源として備える電気自動車として構成されている。車両1は、例えばトラック等の商用車である。車両1は、例えば大型車両、中型車両、普通乗用車、小型車両又は軽車両等のいずれであってもよい。車両1は、駆動源としてエンジンを更に備えるハイブリッド車両であってもよい。
【0014】
図1は、本発明の実施形態に係る車両の側部構造を備えた車両の一部を示す概略側面図である。
図2は、本発明の実施形態に係る車両の側部構造を備えた車両の一部を示す概略平面図である。
図1及び
図2に示されるように、車両1は、フレーム2を備えている。フレーム2は、全体として前後方向に沿って延在している。フレーム2は、前フレーム部10と、中間フレーム部20と、後フレーム部30と、を有している。前フレーム部10、中間フレーム部20及び後フレーム部30は、前後方向における前側から順に並んでいる。
【0015】
前フレーム部10は、一対の第1サイドレール11と、クロスメンバ12と、を有している。中間フレーム部20は、一対の第2サイドレール21と、クロスメンバ22,23と、を有している。後フレーム部30は、一対の第3サイドレール31と、クロスメンバ32と、を有している。
【0016】
一対の第1サイドレール11は、前後方向に延在しており、車幅方向において互いに向かい合っている。各第1サイドレール11は、前後方向に真っ直ぐに延在する本体部11aと、本体部11aから後側に延在する延在部11bと、を有している。延在部11bの後端は、中間フレーム部20のクロスメンバ22に接続されている。延在部11bは、後側に向かうにつれて下側に向かうように傾斜して、真っ直ぐに延在している。クロスメンバ12は、車幅方向に真っ直ぐに延在しており、各第1サイドレール11の前端に接続されている。
【0017】
一対の第2サイドレール21は、前後方向に真っ直ぐに延在しており、車幅方向において互いに向かい合っている。車幅方向における一対の第2サイドレール21の間の間隔は、車幅方向における一対の第1サイドレール11の間の間隔よりも広い。これにより、後述するバッテリ15の配置スペースを大きく確保することができる。クロスメンバ22は、車幅方向に真っ直ぐに延在しており、各第2サイドレール21の前端に接続されている。クロスメンバ23は、車幅方向に真っ直ぐに延在しており、各第2サイドレール21の後端に接続されている。クロスメンバ22,23は、前後方向において互いに向かい合っている。
【0018】
一対の第3サイドレール31は、前後方向に真っ直ぐに延在しており、車幅方向において互いに向かい合っている。車幅方向における一対の第3サイドレール31の間の間隔は、車幅方向における一対の第1サイドレール11の間の間隔と略等しく、車幅方向における一対の第2サイドレール21の間の間隔よりも狭い。各第3サイドレール31は、中間フレーム部20のクロスメンバ23に接続されている。クロスメンバ32は、車幅方向に真っ直ぐに延在しており、各第3サイドレール31の後端に接続されている。
【0019】
前フレーム部10は、中間フレーム部20よりも車両上下方向における上側に位置している。より具体的には、一対の第1サイドレール11の本体部11aの上縁は、一対の第2サイドレール21の上縁よりも上側に位置している。すなわち、フレーム2は、前フレーム部10が中間フレーム部20よりも上側に位置するように、前フレーム部10と中間フレーム部20との間の境界部分Pにおいて曲げられている。これにより、フレーム2は、前フレーム部10と中間フレーム部20との間に段差部Sが形成された段差フレーム構造を有している。この例では延在部11bが傾斜して延在しているが、延在部11bは上下方向に真っ直ぐに延在していてもよい。すなわち、フレーム2は、境界部分Pにおいて90度に屈曲させられていてもよい。或いは、延在部11bは、湾曲して延在していてもよい。
【0020】
中間フレーム部20及び後フレーム部30は、平坦に形成されている。すなわち、一対の第2サイドレール21の上縁は、一対の第3サイドレール31の上縁と同一平面上に位置している。このため、前フレーム部10は、中間フレーム部20及び後フレーム部30よりも上側に位置している。
【0021】
フレーム2は、車室を構成する車体(図示省略)を支持している。車体は、例えば、底壁(床面)がフレーム2上に位置するように配置されている。車両1の前部には、運転席を有するキャブ100が設けられている。車両1の中央部及び後部には、例えば、荷物を積載するためのスペースが設けられている。つまり、車両1の中央部には、荷台200が設けられている。車両1の後部には、荷物を出し入れするための出入口が設けられている。車両1の前部、中央部及び後部は、それぞれ、上下方向から見た場合に前フレーム部10、中間フレーム部20及び後フレーム部30と重なる部分である。従って、キャブ100は、前フレーム部10に対応する位置にある。荷台200は、中間フレーム部20に対応する位置にある。
【0022】
また、フレーム2は、前輪3に接続された車軸3a、及び後輪4に接続された車軸4aを支持している。この例では車両1は前輪駆動であり、前輪3が駆動輪である。車軸3aは前フレーム部10において支持されており、車軸4aは後フレーム部30において支持されている。車軸3aは第1サイドレール11よりも下側に位置しており、車軸4aは第3サイドレール31よりも上側に位置している。車軸4aが第3サイドレール31よりも上側に位置していることで、フレーム2が中間フレーム部20及び後フレーム部30にわたって真っ直ぐに延在するレイアウトを採用し易くなっている。
【0023】
図3は、本発明の実施形態に係る車両の側部構造を備えた車両の一部を示す拡大斜視図である。
図4は、本発明の実施形態に係る車両の側部構造を備えた車両の一部を示す拡大側面図である。
図3及び
図4に示されるように、車両1は、ボックス13、一対のハーネス14、及びバッテリ15を更に備えている。ボックス13、一対のハーネス14、及びバッテリ15は、例えば200V以上の高電圧を印加するための部品である。
【0024】
ボックス13は、クロスメンバ22の上部(中間フレーム部20の前側上部)に、縦置きに配置されている。ボックス13内には、リレー及びヒューズが収容されている。
【0025】
一対のハーネス14は、ボックス13内の高電圧部品と後述するバッテリ15とを電気的に接続する。各ハーネス14の一端部はボックス13内に収容され、各ハーネス14の他端部はバッテリ15に接続されている。上下方向から見た場合、各ハーネス14の全体が一対の第2サイドレール21の間に位置している。幅方向から見た場合、各ハーネス14は第2サイドレール21よりも上部に位置する。
【0026】
バッテリ15は、駆動源であるモータ(不図示)に電力を供給する。バッテリ15は、フレーム2の中間フレーム部20に搭載されている。より具体的には、バッテリ15は、各第2サイドレール21及びクロスメンバ22,23に固定されている。上下方向から見た場合、バッテリ15の全体が一対の第2サイドレール21の間に位置している。バッテリ15の上端面の位置は、第2サイドレール21の上端面の位置よりも高い。
【0027】
車両1は、一対のカバー5、一対のプロテクタ6、及び一対の縦根太7を更に備えている。一対のカバー5、一対のプロテクタ6、及び一対の縦根太7は、上述したボックス13、一対のハーネス14、及びバッテリ15のそれぞれを保護する保護部材である。
【0028】
一対のカバー5は、ボックス13とボックス13に接続されるハーネス14とを保護する保護部材である。一対のカバー5は、左右方向(車幅方向)においてボックス13の外側にそれぞれ設けられている。一対のカバー5は、上下方向から見た場合、クロスメンバ22上に位置する。一対のカバー5は、左右方向に張り出している。
【0029】
図5は、各カバー5の構成の一例を示す斜視図である。
図5は、左右方向における右側に設けられているカバー5を示す。
図6の(a)及び
図6の(b)は、各カバー5の構成の一例を示す断面図である。なお、
図6の(a)は、
図5のVI(a)-VI(a)線断面図に相当し、
図6の(b)は、
図5のVI(b)-VI(b)線断面図に相当する。
【0030】
各カバー5は、取付部分51と、前側部分52と、中間部分53と、後側部分54と、を有している。取付部分51、前側部分52、中間部分53及び後側部分54は、前後方向における前側から順に並んで配置されている。
図6の(a)に示されるように、前側部分52と、中間部分53と、後側部分54とは、互いに接続されて空間Qを形成している。空間Qには、ハーネス14の一部が収容される。カバー5は、たとえば、アルミニウム又は鉄等の板材で形成されている。
【0031】
取付部分51は、上下方向の上側から見て断面略L字状に形成されている。取付部分51は、前側部分52に溶接等により固定されている固定部51aと、固定部51aの一端から前後方向における前側に屈曲された取付部51bとを有している。取付部分51は、ボルト等の締結具によって、キャブ100の後側を支えるリアキャブマウント(図示省略)に固定されている。
【0032】
前側部分52は、上下方向の上側から見て断面略逆L字状に形成されている。つまり、前側部分52は、上下方向の下側(一方側)から見て断面略L字状に形成されている。前側部分52は、中間部分53に溶接等により固定されている固定部52aと、固定部52aの一端から左右方向の内側(
図6では左側)に屈曲された側壁部52bとを有している。側壁部52bは、固定部51aに固定されている。
【0033】
中間部分53は、前後方向の前側から見て断面略L字状に形成されている。中間部分53は、頂上部53aと、上傾斜部53bと、下傾斜部53cと、下側部53dとを有している。具体的には、頂上部53aにおける左右方向の外側(
図6では右側)の端部には、下側に向かうに従って左右方向の外側に傾斜した上傾斜部53bが設けられている。上傾斜部53bの下端部には、下側に向かうに従って左右方向の外側に傾斜した下傾斜部53cが設けられている。下傾斜部53cの下端部には、上下方向において下側に延びる下側部53dが設けられている。中間部分53は、上下方向から見て一端が固定部52aに溶接等により固定されている。中間部分53は、上下方向から見て他端が後側部分54に溶接等により固定されている。
【0034】
後側部分54は、上下方向の上側(一方側)から見て断面略L字状に形成されている。後側部分54は、中間部分53に固定されている固定部54aと、固定部54aの一端から左右方向の内側(
図6では左側)に屈曲された側壁部54bとを有している。側壁部54bは、側壁部52bに対して前後方向に向き合っている。
【0035】
カバー5の中間部分53が頂上部53a、上傾斜部53b、下傾斜部53c及び下側部53dを有することにより、カバー5の左右方向(車幅方向)の寸法がカバー5の下側に向かうにつれて大きくなる。従って、カバー5の下側領域の空間Q内にハーネス14を効果的に収容することができると共に、車両1におけるカバー5の上側領域の周囲に所望のスペースを確保することができる。
【0036】
一対のプロテクタ6は、ボックス13の下部及び一対のハーネス14を保護する保護部材である。一対のプロテクタ6は、
図3及び
図4に示されるように、各カバー5の下側に設けられている。一対のプロテクタ6は、ボックス13の下部及び一対のハーネス14よりも左右方向の外側に設けられている。
図3及び
図4では、左右方向における左側に設けられているプロテクタ6を示す。
【0037】
各プロテクタ6は、上下方向から見て各カバー5よりも左右方向の外側に設けられている。各プロテクタ6は、前後方向の一方側から見て断面略L字状に形成されている。各プロテクタ6は、下端部が各第2サイドレール21の前端部にボルト等により固定されている。各プロテクタ6の上端部は、左右方向の内側にカバー5の中間部分53の下側部53dに向かって折り曲げられている。各プロテクタ6の上端部の高さ位置は、下側部53dの高さ位置と一致している。各プロテクタ6の上端部は、下側部53dに接触していてもよいし、下側部53dに接触していなくてもよい。各プロテクタ6は、たとえば、アルミニウム又は鉄等の板材で形成されている。
【0038】
一対の縦根太7は、一対のハーネス14及びバッテリ15を保護する保護部材である。一対の縦根太7は、上下方向から見た場合、各第2サイドレール21上に位置する。一対の縦根太7は、左右方向において一対のハーネス14及びバッテリ15よりも外側に設けられている。一対の縦根太7は、幅方向において互いに向かい合っている。
図7は、各縦根太7及び各マウントブラケット8(後述)の構成の一例を示す斜視図である。
図7は、左右方向における左側に設けられている縦根太7を示す。
図8は、各縦根太7及び各マウントブラケット8の構成の一例を示す断面図である。なお、
図8は、
図7のVIII-VIII線断面図に相当する。各縦根太7は、たとえば、アルミニウム又は鉄等の板材で形成されている。
【0039】
各縦根太7は、前後方向から見て断面略Uの字状に形成されている。各縦根太7は、前後方向に延在している。各縦根太7は、各マウントブラケット8を介して、各第2サイドレール21に固定されている。各マウントブラケット8は、各縦根太7を各第2サイドレール21に固定するブラケット(接続部材)として機能している。各マウントブラケット8は、取付部8aと、座面板8bと、固定部8cとを有している。各マウントブラケット8は、たとえば、アルミニウム又は鉄等の板材で形成されている。
【0040】
取付部8aは、上下方向から見て略Uの字状に形成されている。取付部8aは、ボルト等の締結具によって、縦根太7に固定される。座面板8bは、取付部8aの下部に設けられている。座面板8bは、ボルト等の締結具によって、固定部8cに固定される。固定部8cは、断面略逆L字状に形成されている。固定部8cは、ボルト等の締結具によって、第2サイドレール21に固定される。
【0041】
以上において、車両1が側突された場合は、まずプロテクタ6が変形することでプロテクタ6の上端部がカバー5の前側部分52、中間部分53及び後側部分54に当たり、カバー5が変形すると共に、プロテクタ6が縦根太7に当たって、縦根太7が変形する。これにより、ボックス13、ハーネス14、及びバッテリ15が保護される。
【0042】
以上のように本実施形態にあっては、車両1の側部構造は、車両1のキャブ100と荷台200との間に配置され、車両1の車幅方向の外側に張り出したカバー5と、カバー5の下側に設けられ、車両1の第2サイドレール21(フレーム2)に固定されるプロテクタ6と、第2サイドレール21にマウントブラケット8(接続部材)を介して固定され、車両1の前後方向に延在する縦根太7と、を備える。車幅方向の外側から見て、車両1のキャブ100の後方に搭載される高電圧部品等の電装機器を、カバー5、プロテクタ6、及び縦根太7により覆うことができる。これにより、側突によって車両1に衝撃力が付与されても、電装機器を保護することができる。カバー5、プロテクタ6、及び縦根太7は、車両1の構造やレイアウトに依らず設けることができる。その結果、車両1の構造などに依らない汎用性の高い側部構造で、車両1に搭載される機器を側突時の衝撃から保護することができる。また、固有の衝撃吸収部材(EA材)を設定しなくて済み、低コスト化及び省スペース化を図りつつ、側突時の衝撃からの保護が可能となる。
【0043】
また、本実施形態では、フレーム2は、前後方向に沿って延在した前フレーム部10、中間フレーム部20及び後フレーム部30を有すると共に、前フレーム部10が中間フレーム部20及び後フレーム部30よりも上側に位置するように、前フレーム部10と中間フレーム部20との間の境界部分Pにおいて曲げられており、プロテクタ6は、中間フレーム部20に固定されている。このような構成では、中間フレーム部20及び後フレーム部30が前フレーム部10よりも下側に位置するため、荷台200の床面が低くなる。従って、作業者による荷台200の乗り降りが容易になる。また、荷台200にバッテリ15を配置するスペースを広くすることができる。
【0044】
また、本実施形態では、カバー5は、車両1の前側から順に並んで配置された前側部分52、中間部分53及び後側部分54を有し、前側部分52は、車両1の上下方向の一方側から見て断面略L字状に形成され、後側部分54は、車両1の上下方向の他方側から見て断面略L字状に形成され、前側部分52及び後側部分54は、中間部分53に固定されている。
図6の(a)に仮想線で示される後側部分55は、後側部分54の従来の構造である。このように、従来の後側部分55と比べて後側部分54は、左右方向の外側に張り出した構造となっている。そのため、カバー5は、従来の構造よりも側突等の衝撃を受けたとき、変形しにくい構造となっている。このようにカバー5における左右方向の最外側部分の幅寸法(前後方向の寸法)が確保されるため、側突時に受ける衝撃が軽減される。従って、車両1に搭載される機器を側突時の衝撃から更に保護することができる。
【0045】
なお、本発明は、上記実施形態には限定されない。例えば上記実施形態では、カバー5の左右方向の寸法がカバー5の下側に向かうにつれて大きくなっているが、カバー5の構造としては、特にその形態には限られず、種々変形可能である。
【0046】
また、上記実施形態では、プロテクタ6は、前後方向の一方側から見て断面略L字状に形成されているが、プロテクタ6の構造としては、特にその形態には限られず、種々変形可能である。
【0047】
また、上記実施形態では、フレーム2は、前フレーム部10と中間フレーム部20との間に段差部Sが形成された段差フレーム構造を有しているが、特にその形態には限られず、フレーム2は、前端から後端まで傾斜せずに前後方向に真っ直ぐに延在していてもよい。
【0048】
また、上記実施形態では、各縦根太7は、前後方向から見て断面略Uの字状に形成されているが、特にその形態には限られず、例えば、各縦根太7は、必要強度が確保されていれば、前後方向から見て断面略ロの字状に形成されていてもよいし、断面略L字状に形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1…車両、2…フレーム、5…カバー、6…プロテクタ、7…縦根太、8…マウントブラケット(接続部材)、10…前フレーム部、20…中間フレーム部、30…後フレーム部、52…前側部分、53…中間部分、54…後側部分、100…キャブ、200…荷台、P…境界部分。