(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177935
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】冷却装置及び低温試験装置
(51)【国際特許分類】
G01R 31/26 20200101AFI20241217BHJP
G01R 31/28 20060101ALI20241217BHJP
H01L 21/66 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
G01R31/26 J
G01R31/28 K
H01L21/66 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096353
(22)【出願日】2023-06-12
(71)【出願人】
【識別番号】000208765
【氏名又は名称】株式会社エンプラス
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】常岡 克哉
(72)【発明者】
【氏名】阿部 俊司
【テーマコード(参考)】
2G003
2G132
4M106
【Fターム(参考)】
2G003AA00
2G003AC03
2G003AD01
2G003AG01
2G003AG08
2G132AF20
2G132AJ07
2G132AL22
4M106AA04
4M106CA62
4M106DH02
4M106DH45
4M106DH46
4M106DJ34
(57)【要約】
【課題】小型化でき、容易に冷却環境下の電気部品の検査を行うことができる冷却装置を提供すること。
【解決手段】電気部品が配置されるソケットと、電気部品を冷却する吸熱部を有する冷却ユニットと、を有する、電気部品を低温環境下で試験を行うための冷却装置。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気部品が配置されるソケットと、
前記電気部品を冷却する吸熱部を有する冷却ユニットと、
を有する、前記電気部品を低温環境下で試験を行うための冷却装置。
【請求項2】
前記ソケットと前記冷却ユニットとの間に配置され、前記電気部品及び前記吸熱部間の熱を伝達する伝熱部を更に有する、
請求項1に記載の冷却装置。
【請求項3】
前記ソケットと、前記冷却ユニットと、前記伝熱部と、前記伝熱部の周囲に配置され前記伝熱部を外部から断熱する断熱部と、が設けられた架台を有する、
請求項1または請求項2に記載の冷却装置。
【請求項4】
前記断熱部は、前記架台と、前記伝熱部及び前記冷却ユニットと、の間に設けられ、拡縮自在に変形して前記架台、前記伝熱部及び前記冷却ユニットを押圧する弾性部材を有する、
請求項3記載の冷却装置。
【請求項5】
前記断熱部は、前記弾性部材に隣接し、前記架台と前記伝熱部及び前記冷却ユニットのうち少なくとも2つの間に形成され、断熱機能を有する気室を有する、
請求項4記載の冷却装置。
【請求項6】
前記弾性部材は、一部が屈曲した屈曲面を有し、
前記架台は、前記屈曲面に対応して形成された対応面を有し、
前記弾性部材は、前記屈曲面と対応面とで部分的に隙間を形成して、前記伝熱部を囲むように配置されている、
請求項4記載の冷却装置。
【請求項7】
前記架台上には、前記ソケットを覆う断熱カバー部が設けられている、
請求項3記載の冷却装置。
【請求項8】
前記断熱カバー部の内部に、吸湿部材が配置されている、
請求項7に記載の冷却装置。
【請求項9】
電気部品の電気的試験を低温環境下で実施するための低温試験装置であって、
請求項3に記載の冷却装置を有し、
前記架台は、前記電気部品と試験制御装置とを電気的に接続する配線部を有する、
低温試験装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置(以下、「ICパッケージ」と称する。)等の電気部品の性能試験等に使用される冷却装置及び低温試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、製造されたICパッケージは、市場に出荷される際に、特許文献1に示すように、その電気的特性を検査されることが知られている。
ICパッケージを検査する際には、外部機器と電気的に接続するためのソケットに収容して、ソケットを検査用基板等に実装して、ICパッケージと検査用基板とを接続する。 低温下での試験を行う場合は、検査用基板に実装したソケット全体を、チャンバー内に収容して、冷風冷却装置(サーモストリーム(登録商標))等の環境試験器を用いて内部温度を冷却して、ICパッケージに電源や試験用信号等を供給して、その性能を測定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の冷却方法でICパッケージの性能を測定する場合、ソケット及び検査用基板の全てと、検査に用いる冷風冷却装置とを収容するチャンバーが必要である。このため、その装置全体の設置スペースが大きく、また、チャンバー内で温度が下がるのに時間がかかり、高価になるという問題がある。
よって、より小型化可能であり、簡単に性能測定を行うことが望まれている。
【0005】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、装置の小型化が可能であり、容易に、冷却環境下の電気部品の検査を行うことができる冷却装置及び低温試験装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る冷却装置の一態様は、
電気部品を低温環境下で試験を行うための冷却装置であって、
前記電気部品が配置されるソケットと、
前記電気部品を冷却する吸熱部を有する冷却ユニットと、
を有する構成を採る。
【0007】
本発明の低温試験装置は、
電気部品の電気的試験を低温環境下で実施するための低温試験装置であって、
上記構成の冷却装置を有し、
前記架台は、前記電気部品と試験制御装置とを電気的に接続する配線部を有する構成を採る。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、小型化が可能であるとともに容易に冷却環境下の電気部品の検査を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態1に係る冷却装置の平面図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施の形態1に係る冷却装置の側面図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施の形態1に係る冷却装置の要部構成を示す
図1のA―A線部分断面図である。
【
図4】
図4は、
図3において電気部品を冷却装置に搭載した状態を示す図である。
【
図5】
図5は、本冷却装置の変形例1の要部構成を示す
図4に対応する部分断面図である。
【
図6】
図6は、本冷却装置の変形例2の要部構成を示す
図4に対応する部分断面図である。
【
図7】
図7は、本冷却装置の変形例3の要部構成を示す
図4に対応する部分断面図である。
【
図8】
図8は、本冷却装置の変形例4の断熱部の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、本冷却装置の変形例5の断熱部の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、本冷却装置の変形例6の断熱部の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、本冷却装置の変形例7の断熱部の一例を示す図である。
【
図12】
図12は、本冷却装置の変形例8の断熱部の一例を示す図である。
【
図13】
図13は、本冷却装置の変形例9の断熱部の一例を示す図である。
【
図14】
図14は、本冷却装置の変形例10の断熱部の一例を示す図である。
【
図15】
図15は、本冷却装置の変形例11の断熱部の一例を示す図である。
【
図16】
図16は、本冷却装置の変形例12の断熱カバー部の一例を示す側断面図である。
【
図17】
図17は、本冷却装置の変形例13の断熱カバー部の一例を示す図である。
【
図18】
図18は、本冷却装置の変形例11の断熱部の一例を示す図である。
【
図19】
図19は、本発明の実施の形態2に係る冷却装置の部分側断面図である。
【
図20】
図20は、本発明の実施の形態3に係る冷却装置の部分側断面図である。
【
図21】
図21は、本発明の実施の形態1に係る冷却装置の他の変形例の要部構成を示す部分側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る冷却装置の平面図であり、
図2は、本発明の実施の形態1に係る冷却装置の側面図であり、
図3は、本発明の実施の形態1に係る冷却装置の要部構成を示す
図1のA―A線部分断面図である。また、
図4は、
図3において電気部品を冷却装置に搭載した状態を示す図である。
【0012】
なお、本実施の形態では、直交座標系(X,Y,Z)を使用して説明する。後述する図においても共通の直交座標系(X,Y,Z)で示している。以下において、冷却装置10の幅、奥行き、高さは、それぞれ、X方向、Y方向、Z方向の長さである。また、Z方向プラス側を「上側」、Z方向マイナス側を「下側」として説明する。
【0013】
冷却装置10は、ICパッケージ等の電気部品(
図4に示す電気部品K)の性能を測る際に、電気部品Kを冷却して、低温環境下(例えば、JIS C 60068 2-1:2010 6.6に記載の試験条件など)での性能を測るために用いられる。
【0014】
冷却装置10は、電気部品Kを収容するソケット20と、ソケットが実装される検査基板44を有する装置本体40と、電気部品K及び伝達ブロック6を断熱する断熱部50と、装置本体40に接続される冷却モジュール60(伝達ブロック6、冷却ユニット62)と、を有する。
【0015】
冷却装置10では、ソケット20に配置される電気部品K(
図4参照)が装置本体40の基板にZ方向で押圧されて電気的に接続され、電気部品Kと検査基板44との接続部は、断熱カバー70等の断熱部50により囲まれ、断熱されている。
【0016】
冷却装置10は、電気部品Kが検査基板44に接続されて、電源、信号等の送受できる導通状態にあるときの電気部品Kを冷却することが可能である。また、断熱部50は、この電気部品Kと、これに接続される伝達ブロック6を囲むように配置され、電気部品Kと伝熱ブロック6を外気から断熱する。
【0017】
冷却装置10は、電気部品Kの電気的試験を低温環境下で実施するための低温試験装置に用いられることが好ましい。その際、電気部品Kと試験制御装置とを電気的に接続する配線部として検査基板44が適用されているが、これに限らず、装置本体40が備える架台42に、配線部を設けた構成としてもよい。
【0018】
ソケット20は、電気部品が配置され、配置された電気部品と外部の電気部品とを電気的に接続するものであり、例えば、ICパッケージのバーンイン試験等に用いられる周知のICソケットと同様のものであってもよい。
【0019】
ソケット20は、例えば、多数のコンタクトピンを配置したコンタクト部21(
図3参照)と、コンタクト部(コンタクトユニット)21を囲む枠状のソケット本体22と、押圧部23を有する。押圧部23は、ソケット本体22に対して開閉自在に取り付けられたカバー部材24に設けられている。カバー部材24は、レバー部材25を回動することにより、下方に押圧され、押圧部23は電気部品を下方に押圧して、コンタクトピンを介して電気的に接続するとともに冷却モジュールの突部66を下方に押圧する。ソケット20のコンタクト部21には、後述する突部66が挿入される開口部が設けられている。
【0020】
ソケット20は、装置本体40の検査基板44に実装されており、ソケット本体22が検査基板44上に実施され、コンタクト部21が検査基板の配線上に配置される。ソケット20にICパッケージ等の電気部品Kが配置されカバー部材24を閉じ、レバー部材25によりカバー部材24を押し下げることにより、コンタクトピン21aを介して、電気部品の端子と配線基板の電極とを電気的に接続する。これにより、ソケット20に配置された電気部品の導通試験等の試験を行うことができる。
【0021】
装置本体40は、外部の電気部品としての検査基板44が載置される架台42を有し、架台42の下部には、枠状のフレーム部43が固定されている。なお、装置本体40は、フレーム部43の角部から垂下された脚部により所定の高さに支持されている。
【0022】
検査基板44は、架台42の開口部421に連通し、電気部品Kの下方に位置する開口部を有する。この開口部を介して、突部66が、収容部(
図4では電気部品K自体)に当接する。検査基板44上には、開口部をXY平面で囲むように、断熱シート46が敷設されている。この開口部には、電気部品K、電気部品Kの接続部(電気部品Kに検査基板44あるは突部66が接続する部分)の断熱シート46は、例えば、独立発泡性を有する断熱材などが用いられてもよい。
検査基板44は、装置本体40において、電気部品Kと試験制御装置とを電気的に接続する配線部として機能する。外部の試験制御装置との接続は、検査基板44の上面において、断熱カバー70で覆われていない部位に配置されたプラグからなる外部接続部49を介して行われる。
【0023】
なお、断熱カバー70は、検査基板44上の断熱シート46上に面接触するフランジ部72を介して、止着部材により断熱シート46、検査基板44を貫通して架台42に固定されている。これにより、検査基板44上において、電気部品K(電気部品Kの接続部)は、断熱カバー70及び断熱シート46により外部から断熱される。
【0024】
架台42は板状体であり、ソケット20が配置される部位に、検査基板44、コンタクト部21とともに上下に連通する開口部421を有する。なお、開口部421には、冷却モジュール60の突部66が挿入され電気部品Kに接続されている。架台42には、検査基板44が、電気部品の性能の測定内容に応じて、適宜変更して載置される。
【0025】
架台42は、樹脂等の絶縁性を有する材料などで構成されることが望ましく、例えば、難燃性、耐熱性、低温特性が優れるPEI(ポリエーテルイミド)等のスーパーエンプラで形成されることが望ましい。
【0026】
枠状のフレーム部43は、架台42、検査基板44を支持する。フレーム部43は、開口部421よりも大きい開口部432を有し、開口部432内には、架台42に対して、上下方向(Z方向)に移動自在にスライドフレーム部45が取り付けられている。
枠状のフレーム部43は、例えば、アルミ等の金属材料等の強度を有し、移動し易い比較的軽い材料で構成されることが好ましい。
【0027】
架台42の下面は、フレーム部43の開口部432の内側で、上下方向(ソケット20による電気部品Kの押圧方向)に移動自在なスライドフレーム部45が当接するように構成されている。架台42の下面は、スライドフレーム部45の形状に対応して形成されている。架台42の下面には、溝部424が形成され、スライドフレーム部45の変形部454に対応する。
【0028】
スライドフレーム部45には、冷却モジュール60が固定され、開口部432内で架台42に取り付けられている。
スライドフレーム部45は、頭部を有する軸部にコイルバネ等の付勢部材(加圧バネ部)が外挿された止着部材452を介して、上方に付勢した状態で、架台42に接離方向(上下方向)に移動自在に取り付けられている。
スライドフレーム部45は、架台42の溝部424に上下方向で係合する変形部454を有する。
【0029】
変形部454は、溝部424との係合により案内されて、上下方向に平行に移動する。また、スライドフレーム部45と架台42とはこの変形部454でのみ接触するので、外部から熱が部材を介して伝導しにくく、より断熱効果を向上させることができる。さらには、変形部454は、電気部品Kを低温環境下で試験を行う際、外部からの湿度供給を遮断することができ、ソケット等への結露を効果的に抑制することができる。
【0030】
また、変形部454により、互いの接触部分が直線ではなく、屈曲面を有したラビリンス状である。これにより、外部から内部への断熱作用をより効果的に発揮できる。
スライドフレーム部45に固定された冷却ユニット62は突部66を介して、接合部(電気部品K)を押圧するように付勢している。
【0031】
これにより、ソケット20の押圧部23が電気部品Kを下方に押圧すると、
図4に示すように、電気部品Kが突部66を下方に押圧する。すると、冷却モジュール60がスライドフレーム部45とともに、止着部材452の付勢部材(加圧バネ部)の付勢力に抗して下方に移動する。なお、架台42に対するスライドフレーム部45及び冷却モジュール60の上下動(接近、離間する方向への移動)は、案内ピン(平衡ピンとも称する)68を介して、Z方向に沿って平行にずれることなく移動するようにしてもよい。案内ピン68は、架台42と、冷却モジュール60の上部(伝達ブロック6)とに跨がって双方に上下方向で遊嵌され、架台42に対して、冷却モジュール60を釣り合いの取れた状態で上下動自在に案内する。
【0032】
スライドフレーム部45は、架台42と同様に、例えば、樹脂により形成されてもよく、難燃性、耐熱性、低温特性が優れるPEI(ポリエーテルイミド)等のスーパーエンプラで形成されることが望ましい。
【0033】
冷却モジュール60は、検査基板44等の外部の電気部品に接続された電気部品Kを冷却し、電気部品Kの低温環境下での性能を測る際に用いられる。
【0034】
冷却モジュール60は、吸熱部を有する冷却ユニット62と、電気部品Kに接続する突部66を有する伝達ブロック(伝熱部)6と、を有する。冷却モジュール60は、伝達ブロック6の突部66を介して電気部品Kを冷却ユニット62の吸熱部に接続することにより電気部品Kを冷却する。
【0035】
冷却ユニット62は、ペルチェ素子を有し、ペルチェ素子を通電して吸熱部は機能する。冷却ユニット62は、吸熱部(冷却部)に伝達ブロック6が接続され、伝達ブロック6(詳細には伝達ブロック6の突部66)を介して、電気部品Kを冷却する。なお、冷却ユニット62は、周知のものでよく、冷却ユニット62は、発熱部にヒートシンク、送風部(DCファン)を順に備える。
【0036】
冷却ユニット62は、スライドフレーム部45の開口部を下方から閉塞するように、スライドフレーム部45に固定され、スライドフレーム部45とともに移動する。
伝達ブロック6は、熱伝達機能を有し、ソケットと、冷却ユニット62の吸熱部との間に配置され、ソケットに配置される電気部品Kの熱を伝達して吸熱部に吸熱させる。
【0037】
伝達ブロック6は、突部66を有し、突部66は、検査基板44の開口部421内に挿入され、検査基板44の上面に臨むように、スライドフレーム部45内に配置される。突部66は、電気部品Kの熱を伝達可能に設けられていればよく、ここでは、突部66は電気部品Kに当接するよう設けられているが、収容部の他部材を介して電気部品Kに接続されていてもよい。伝達ブロック6内には、温度検出部67が設けられ、電気部品Kの温度を検出する。なお、本実施形態では、伝達ブロック6を介して、電気部品Kと冷却ユニット62とを接続しているが、伝達ブロック6を用いずに、電気部品Kと冷却ユニット62とを直接接続してもよい。
【0038】
伝達ブロック6は熱伝導率の高い材料からなり、例えば、アルミにより形成される。
冷却装置10では、伝達ブロック6の先端(上端)の突部66が、電気部品Kまたは電気部品Kとの接続部により下方に押圧され、冷却ユニット62及びスライドフレーム部45が下方に移動する。このとき、架台42に対するスライドフレーム部45及び冷却ユニット62の移動前の空間は、断熱部50により隙間無く充填される。
【0039】
断熱部50は、断熱カバー70、断熱シート46の他に、第1断熱部材51、第2断熱部材52を有する。
第1断熱部材51及び第2断熱部材52は、互いに移動可能な装置本体40と冷却モジュール60(伝達ブロック6及び冷却ユニット62)との間に介設されている。
【0040】
第1断熱部材51及び第2断熱部材52は、冷却モジュール60、フレーム部43及びスライドフレーム部45の外部から、突部66を含む伝達ブロック6及び電気部品Kへの熱の伝達を阻害する。
【0041】
冷却装置は、第1断熱部材51及び第2断熱部材52を設けることで、より効率的に電気部品Kを所定温度に冷却することが可能になる。
第1断熱部材51及び第2断熱部材52は、断熱性を有し、拡縮自在に変形自在に形成されることが好ましい。
また、第1断熱部材51及び第2断熱部材52を設けることで、外部からの湿度供給を遮断することができ、ソケット等への結露を効果的に抑制することができる。
【0042】
第1断熱部材51及び第2断熱部材52は、例えば、スポンジなどが好ましく、特に、独立発泡フッ素スポンジ、フッ素ゴム発泡体、フッ素ゴムスポンジ等のフッ素系のスポンジであることが好ましい。なお、以下の変形例における第1断熱部材及び第2断熱部材も同様の材料で構成される。
【0043】
第1断熱部材51は、枠状に形成され、架台42の開口部421内で、突部66をXY方向で囲むように配置され、第1断熱部材51の拡縮自在な弾性変形により、突部66と架台42の開口部421の間を埋めるように双方に密着して介設されている。これにより、突部66と開口部421との間の空気の供給路が遮断され、第1断熱部材51の下方から上方への熱の侵入を阻害することができ、第1断熱部材51の上方の、検査基板と電気部品Kとの接続部が存在する空間を外部から断熱できる。
【0044】
第2断熱部材52は、枠状に形成され、フレーム部43の開口部432内において、XY方向で、スライドフレーム部45と、スライドフレーム部45の内側の冷却モジュール60の部位、具体的には、伝達ブロック6との間に介設されている。
【0045】
第2断熱部材52は、拡縮自在な弾性変形により、XY方向(ここでは水平方向)で、スライドフレーム部45の内周面と、冷却モジュール60(伝達ブロック6及び冷却ユニット62)との間を埋めるように双方に密着して介設される。同時に、第2断熱部材52は、上下方向(Z方向)で、架台42と冷却モジュール60との間を埋めるように、双方間に介設され、弾性変形により双方に密着した状態で配置されている。
【0046】
これにより、スライドフレーム部45と冷却モジュール60との間の空気の流れが遮断され、第2断熱部材52の下方から上方への熱の侵入を阻害することができ、第2断熱部材52の上方の、検査基板と電気部品Kとの接続部が存在する空間を外部から断熱できる。
【0047】
このように本実施の形態では、架台42上の検査基板44に接続した電気部品Kを冷却ユニット60で冷却する構成において、電気部品Kまたは電気部品Kの接続部を検査基板44上面側から断熱することは勿論のこと、検査基板44の下方からも断熱できる。
【0048】
すなわち、検査基板44の下方で、冷却モジュール60と装置本体40との間に、第1断熱部材51及び第2断熱部材52が介設されることにより、確実に内部の電気部品Kの接続部を断熱できる。また、電気部品Kを低温環境下に置いて試験を行う際、試験環境と外気の温度差によって、結露が発生する場合がある。ソケット等に結露が発生すると、正常な試験が実施できなくなる可能性があるため、結露発生を防止し、結露の試験への影響を抑制する必要がある。前述のように、第1断熱部材51、第2断熱部材52を設けることで、試験環境内への外気の流入が遮断される。これにより外気からの湿度の供給も遮断されるため、結露が発生することがなく、結露による試験自体の妨げなく、電気部品Kの性能を正確に測定できる。
【0049】
また、冷却装置10は、特に、ペルチェ冷却ユニットを用いて、電気部品Kの熱を、伝熱部を介して冷却ユニット62の吸熱部で吸熱させて、電気部品Kの低温下を図っている。よって、送風による冷却と異なり、チャンバー等の大きな設備を用いることなく効率よく冷却し、ICパッケージ等の電気部品Kの低温環境下での性能試験を、狭いスペースで効率良く行うことができる。
【0050】
(変形例)
以下の各変形例は、上記の冷却装置10において構成の一部ある断熱部を変更、追加等して形成されるものであり、上述の構成要素と同じ機能を有する際には、同名称、同符号を付して説明は省略する。
【0051】
上記の実施の形態の冷却装置10では、断熱部50において、伝達ブロック6の周囲に配置される第2断熱部材を、弾性変形により拡縮する一つの断熱材として説明した。しかし、
図5に示すように、複数の断熱材により構成してもよい。
【0052】
(変形例1)
図5は、本冷却装置の変形例1の要部構成を示す
図4に対応する部分断面図である。
図示する冷却装置のように、第2断熱部材(断熱部)52Aは、XY方向で隣接する夫々枠状の複数の断熱材522、524により構成してもよい。
【0053】
第2断熱部材(断熱部)52Aでは、断熱材522は、伝達ブロック6及び冷却ユニット62に当接しつつ架台42とは隙間を空けて配置され、断熱材524は、架台42に当接しつつ冷却ユニット62には隙間53を空けて配置されている。よって、架台42及び冷却モジュール60(伝達ブロック6、冷却ユニット62)に対する断熱部材52A全体での接触面積を減少させるとともに、互いの拡縮により当接する部位との断熱作用を発揮でき、電気部品Kの接続部への断熱をより効果的に行うことができ、結露を防止できる。
【0054】
(変形例2)
図6は、本冷却装置の変形例2の要部構成を示す
図4に対応する部分断面図である。
図示するように、第2断熱部材(断熱部)52Bの一部を変位して変形部521を設け、架台42Bの下面に形成された凹部425にスライド可能に嵌合する構成としてもよい。すなわち、第2断熱部材52Bは、変形部521を有することで、一部が屈曲した屈曲面521aを有する。一方、第2断熱部材52Bに隣接する架台42の下面は、第2断熱部材52Bの屈曲面521aに対応した凹部425を有する対応面425aを有する。
【0055】
第2断熱部材52Bは、屈曲面521aで対応面425aを押圧して、伝達ブロック6を囲むように配置されている。これにより、第2断熱部材52Bと架台42との対向部分には、屈曲面521aと対応面425aにより、部分的に隙間が形成されたラビリンス状の対向部分が形成される。
【0056】
第2断熱部材52Bと架台42の凹部425との間の隙間が形成されるので、第2断熱部材52Bと架台42Bと接触部分を減少させることができ、電気部品Kの接続部への断熱をより効果的に行うことができ、結露の発生を防止できる。
【0057】
(変形例3)
図7は、本冷却装置の変形例3の要部構成を示す
図4に対応する部分断面図である。
図示するように、第2断熱部材(断熱部)52Cが弾性変形により押圧する架台42及びスライドフレーム部45の夫々との接触面積を、異なるような形状にしてもよい。これにより熱伝導する経路を減少させて、電気部品Kの接続部の断熱効果を向上させることができる。
【0058】
(変形例4)
図8は、本冷却装置の変形例4の断熱部の一例を示す図である。
図示するように、矩形枠状の第2断熱部材(断熱部)52Dの幅(XY方向の厚み)を小さくして、第2断熱部材52Dと隣接して(
図8では、第2断熱部材52DのXY平面上の外側に、空間である気室53Dを設けてもよい。第2断熱部材52Dは、YX平面上外側でスライドフレーム部45に対して離間して配置された構成となる。
【0059】
第2断熱部材52Dは、気室53Dとともに、伝達ブロック6を囲むように配置され、且つ、架台42と冷却ユニット62との間に介設される。また、気室53Dは、架台42とスライドフレーム部45との間に介設される。架台42及び冷却モジュール(伝達ブロック6及び冷却ユニット62)に対する第2断熱部材52Dの接触面積は、気室53Dの配置部分に更に断熱部材に設けた場合の接触面積よりも少ない。これにより、第2断熱部材52Dは、電気部品Kの接続部への断熱をより効果的に行うことができ、結露の発生を防止できる。
【0060】
(変形例5)
図9は、本冷却装置の変形例5の断熱部の一例を示す図である。
図示するように、第2断熱部材(断熱部)52Eを、XY方向で隣接する夫々枠状の複数の断熱材525、526により構成し、更に、断接材526に隣接して、気室56を配置してもよい。
【0061】
第2断熱部材52Eでは、断熱材525は、冷却モジュール60(伝達ブロック6及び冷却ユニット62)に当接しつつ架台42とは隙間を空けて配置され、断熱材526は、架台42に当接しつつ冷却モジュール60には隙間53を空けて配置されている。さらに、気室56が形成されているので、架台42と冷却モジュール60との接触面積を少ない。また、互いの拡縮により当接する部位との断熱作用を発揮でき、電気部品Kの接続部への断熱をより効果的に行うことができ、結露の発生も防止できる。
【0062】
(変形例6)
図10は、本冷却装置の変形例6の断熱部の一例を示す図である。
図示するように、第2断熱部材(断熱部)52Fに対して、XY方向で隣接する気室532を形成するとともに、第2断熱部材52Fの上側(Z方向側)に気室534を形成した構成としてもよい。この構成では、第2断熱部材52Fは、伝達ブロック6を囲む矩形筒状の本体上部に、内側に突出するリブ520を設けた形状をなしている。架台42には、リブ520を収容する切欠が設けられ、この切欠とリブ520との間に気室534が形成されている。この構成では、スライドフレーム部45と架台42との間の隙間とともに、外部からの熱伝達可能な経路を減少させて、電気部品Kの接続部への断熱作用をより効果的に行うことができ、結露の発生も防止できる。
【0063】
(変形例7、8)
図11は、本冷却装置の変形例7の断熱部の一例を示す図であり、
図12は、本冷却装置の変形例8の断熱部の一例を示す図である。
図11に図示するように、第2断熱部材(断熱部)52Gの内部に気室53Gを設けてもよく、これによりスライドフレーム部45との接触面積を減少さることができる。また、
図12に図示するように第2断熱部材52Hとして、XY方向で離間して配置した夫々角筒形状の断熱材525、526を有し、断熱材525、526間に気室53Hを設けた構成としてもよい。
【0064】
(変形例9、10、11)
図13は、本冷却装置の変形例9の断熱部の一例を示す図である。
図示するように、第2断熱部材(断熱部)52Jの一部を架台42の切欠に嵌合し、第2断熱部材52Jとスライドフレーム部45との間に、第2断熱部材52Jに隣接する気室53Jを設けた構成としてもよい。
【0065】
第2断熱部材52の内部に気室を有する構成として、
図11に示す第2断熱部材52Gに替えて、
図14、
図15に示す変形例10、11の第2断熱部材52K、52Lを用いてもよい。
第2断熱部材52K、52Lを用いれば、上下に気室53K、53Lが形成され、同様の効果を奏するとともに、架台42、冷却モジュール60(伝達ブロック6及び冷却ユニット62)との接触面積を減少させることができる。
【0066】
(変形例12)
図16は、本冷却装置の変形例12の断熱カバー部(断熱部)の一例を示す側断面図である。
図示するように、冷却装置10において、架台42と検査基板44との間の熱伝導を防ぐ、つまり、空気の流れ(矢印で示す)を遮断するために、架台42と検査基板44との間に液体の断熱材(シール材)55を設けた構成としてもよい。また、断熱カバー70の内部に、シリカゲル等の乾燥剤(吸湿部材)57を設けてもよい。これにより、断熱材55により架台42と検査基板44との間の断熱を行うとともに、断熱シート46により、検査基板44に沿って流入する空気、熱の伝達を防止できる。さらに、電気部品Kの接続部及びその近傍での結露を防止できる。
【0067】
(変形例13)
図17は、本冷却装置の変形例13の断熱カバー部(断熱部)の一例を示す図である。
図示するように、冷却装置10において、装置本体40上のソケット20を覆う断熱カバー70に加えて、断熱カバー70を覆う第2カバー77を設けた構成とし、外気による影響を減少するようにしてもよい。また、第2カバー77には内部と外部とを連通可能なバルブ78を取付けてもよい。第2カバー77は、断熱カバー70と同様にアクリル等の透明であり、断熱効果の高い材料により形成されることがこのましい。
【0068】
さらに、断熱カバー70内に乾燥剤(吸湿部材)57を配置してもよい。さらに、断熱カバー70内で、ソケット20には、電気部品Kとの接続部を囲むようにOリング58を配置してもよい。これにより、ソケット側で防湿し、電気部品Kの接続部及びその近傍での結露を防止できる。
各変形例において、断熱部として、断熱用の気室を設けた場合、断熱部材と、架台42やスライドフレーム部45等の樹脂製部材等の他の構造物との接触面積を減少させて、伝熱、冷却を抑えることができ、断熱性、結露防止性向上を図ることができる。
【0069】
(変形例14)
図18は、本冷却装置の変形例14の断熱部の一例を示す図である。
図示するように、段状断熱部材(断熱部)52Mの一部に、屈曲した屈曲面521Mを有する変形部を設け、この変形部の一部を、架台42Mの下面に設けた切欠部425Mに対して、上下方向(Z方向)でスライド可能に嵌合する構成としてもよい。なお、架台42Mの下面は、段状断熱部材52Mの上面の屈曲形状に対応した形状の対応面4250を有する。
【0070】
段状断熱部材52Mは、伝達ブロック6の突部66の周囲に配置された筒状(ここでは角筒状)であり、伝達ブロック6を外部から断熱する。段状断熱部材52Mは、断熱部本体501、水平断熱部502、端部断熱部503、を有する。断熱部本体501、水平断熱部502及び端部断熱部503は一体に形成されてもよいし、互いに状で方向に摺動可能に構成されてもよい。
【0071】
断熱部本体501は、突部66の外周を囲むように突部に密着して、且つ、突部66を水平方向外側(XY方向外側)で囲むように配置される。
【0072】
また、水平断熱部502は、断熱部本体501と端部断熱部503との間に配置され、断熱部本体501の上面とともに、架台42Mの下面(対応面4250)と隙間を空けて対向して配置される。この水平断熱部503は、突部66の周囲で、突部66より外径側の水平な表面を覆うように配置される。端部断熱部503は、架台42Mと、突部66との間に配置される。
【0073】
水平断熱部503は、水平部分の断熱を行い、結露を防止し、端部断熱部503は、対応面4250と架台42Mとの間に形成された隙間5031とともに突部66の先端部近傍の断熱し、結露を防止する。
【0074】
段状断熱部材52Mの上部が、切欠部425Mに部分的に嵌合することにより、伝達ブロック6を囲むように、屈曲面521Mと切欠部425Mの下面(対応面4250)との間には、部分的に離間したラビリンス状の対向部分が形成される。
【0075】
この構成によれば、段状断熱部材52Mと架台42Mとの間の接触部分を減少させることができ、一層、電気部品Kの接続部(突部66側で接続する部分)への断熱をより効果的に行うことができ、結露の発生を防止できる。
【0076】
また、断熱部本体501は、冷却装置10において第2断熱部材52の配置箇所に、気室53Mとともに配置されている。すなわち、段状断熱部材52Mとスライドフレーム部45Mとの間に、気室53Mが段状断熱部材52Mに隣接して設けられている。
【0077】
スライドフレーム部45Mは、架台42Mの溝部424に上下方向で係合する変形部454を有する。この変形部454の機能は、上述の変形部454と同様である。
【0078】
また、スライドフレーム部45Mには、架台42Mとの対向部分に、夫々溝部が形成され、双方の溝部に跨がって案内ピン68Mが上下動自在に挿入されている。
【0079】
架台42M、段状断熱部材52M、気室53M、スライドフレーム部45Mの構成により、架台42M、冷却モジュール60(伝達ブロック6及び冷却ユニット62)との接触面積を効果的に減少させて、上述した冷却装置10と同様の効果を更に効果的に有することができる。
【0080】
(実施の形態2)
図19は、本発明の実施の形態2に係る冷却装置の部分断面図であり、実施の形態1の冷却装置10と比較して、冷却モジュール60Aの冷却ユニット62の取付位置が異なる。
【0081】
冷却装置200は、冷却装置10と異なり、冷却モジュール60Aは装置本体40Aの下面ではなく、装置本体40上のソケット20A上に配置された構成を有する。
冷却装置200は、ICパッケージ等の電気部品Kの性能を測る際に、電気部品Kを冷却して、低温環境化での性能試験を行うために用いられる。
【0082】
冷却装置200は、電気部品Kを収容するソケット20Aと、ソケット20Aが実装される検査基板44を有する装置本体40Aと、電気部品K(電気部品Kの接続部)を断熱する断熱部として断熱カバー70と、冷却モジュール60Aと、を有する。冷却モジュール60Aは、冷却モジュール60と比較して、冷却ユニット62の吸熱部に接続される伝達ブロック6Aの形状のみ異なる。
【0083】
冷却装置400では、ソケット20の上部に冷却ユニット62を取り付けて、ソケット20の押圧部を伝達ブロック6Aで構成し、電気部品Kを上方から当接して押圧して検査基板44に接続するとともにその状態で上方から電気部品Kを冷却できる。なお、断熱カバー70Aは、上部に冷却ユニット62を挿通する開口部を有し、開口部を介して冷却ユニット62を挿通させて、ソケット20Aを覆うように密閉した状態で検査基板44に取り付けられる。電気部品Kと検査基板44との接続部は、断熱カバー70A等の断熱部により囲まれ、断熱された状態となっている。この構成により、コンパクトな装置で、結露を生じさせることなくICパッケージなどの電気部品の低温特性を測ることができる。
【0084】
(実施の形態3)
図20は、本発明の実施の形態3に係る冷却装置の部分断面図であり、実施の形態1の冷却装置10と比較して、冷却モジュールの冷却ユニット62の取付位置が異なる。
【0085】
冷却装置300は、冷却装置10と異なり、冷却ユニット62Cが装置本体40Aの下面ではなく、装置本体40上に、ソケット20Bとともに並列で実装された構成を有する。冷却装置300は、装置本体、具体的には、検査基板44が載置された架台420の内部または表面に、熱伝導部306を有する。熱伝導部306は、ソケット20Bの収容部(電気部品Kの接続部)の電気部品Kに当接する伝達部(伝熱部)66Bと冷却ユニット62Cとを連絡して、冷却ユニット62Cの吸熱部に、電気部品Kの熱を吸収させるものであればよく、例えば、銅などの金属を用いることができる。
【0086】
熱伝導部306が架台420に表面実装される場合、断熱カバー或いは断接シートにより断熱する。熱伝導部306は、架台420内或いは表面に設けられたバスバー等で構成されてもよい。その際、熱伝導部306の周囲を囲むように断熱部が配設されてもよい。なお、熱伝導部306を用いて当接部66Bを介して、検査基板と接続状態の電気部品Kを冷却して、低温環境化での性能試験を行う。この構成により、コンパクトな装置で、ICパッケージなどの電気部品の低温特性を測ることができる。
【0087】
(他の変形例)
図21は、本発明の実施の形態1に係る冷却装置の他の変形例の要部構成を示す部分側断面図である。
【0088】
実施の形態1では、冷却モジュール60の伝熱部である伝達ブロック6(具体的には突部66)を電気部品Kに直接当接して冷却する構成としたが、これに限らない。
図21に示す冷却装置400のように、冷却モジュール60Cの冷却ユニット62の吸熱部に接続される伝達ブロック6Cの突部66Cが、電気部品Kが載置されるフローティング部28に当接する構成としてもよい。すなわち、フローティング部28が伝熱部として機能するようにしてもよい。突部66Cはコンタクトとは絶縁された構造を有する。なお、温度検出部67は、電気部品Kに直接当接して温度を測定する構成としている。またフローティング部28は、突部66Cと一体的に接合されてもよい。
【0089】
この構成は、上述の各実施の形態及び各変形例に適宜適用してもよい。これにより、直接電気部品Kに接続ことなく同様の効果をうることができる。
【0090】
また、各実施の形態及び各変形例によれば、架台42の設置スペースがあれば、ICパッケージの低温性能を計測できるとともに、小型化、移動可能な低温特性の検査装置として有用である。なお、場合によっては、冷却ユニット62の吸熱部を発熱部に変えて、発熱部に伝達ブロック6を接続して熱を伝達可能にすることで、高温での特性も狭いスペースで容易に行うこともできる。より具体的には、例えば、冷却ユニットにペルチェ素子を用いる場合、ペルチェ素子に流す電流の向きを逆にすることで、冷却と加熱を切り替えることができるため、装置の構造を変更せず、高温環境下(例えば、JIS C 60068 2-2:2010など)での性能を測るためにも用いることができる。
【0091】
さらには、ペルチェ素子に流す電流の向きを定期的に切り替えることで、冷却、加熱を繰り返し行うことができるため、高低温の温度サイクル試験(例えば、JIS C 60068 2-14:2011など)にも用いることができる。
【0092】
以上、本発明の実施の形態について説明した。なお、以上の説明は本発明の好適な実施の形態の例証であり、本発明の範囲はこれに限定されない。つまり、上記装置の構成や各部分の形状についての説明は一例であり、本発明の範囲においてこれらの例に対する様々な変更や追加が可能であることは明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明に係る冷却装置及び低温試験装置は、ICパッケージなどの電気部品の低温環境下での性能の計測を、狭いスペースで効率良く行うことができる効果を有し、電気部品の低温検査に用いられるものとして有用である。
【符号の説明】
【0094】
6、6A、6C 伝達ブロック(伝熱部)
10、200、300、400 冷却装置
20、20A、20B ソケット
21 コンタクト部
21a コンタクトピン
22 ソケット本体
23 押圧部
24 カバー部材
25 レバー部材
28 フローティング部
40、40A 装置本体
42、42B、42M、420 架台
43 フレーム部
44 検査基板
45、45M スライドフレーム部
46 断熱シート
50 断熱部
51 第1断熱部材
52、52A、52B、52C、52D、52E、52F、52G、52H、52J、52K、52L 第2断熱部材
52M 段状断熱部材
53、53D、53G、53H、53J、53K、53L、53M、56、532、534 気室
55 断熱材
57 乾燥剤(吸湿部材)
58 Oリング
60、60A、60C 冷却モジュール
62 冷却ユニット
66、66C 突部
66B 当接部
67 温度検出部
68、68M 案内ピン(平行ピン)
70、70A 断熱カバー
72 フランジ部
77 第2カバー
78 バルブ
306 熱伝導部(伝熱部)
421、432 開口部
424 溝部
425 凹部
425M 切欠部
425a、4250 対応面
452 止着部材
454、521 変形部
520 リブ
521M 屈曲面
522、524、525、526 断熱材
K 電気部品