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特開2024-177941撮像装置、撮像装置の制御方法、プログラム、および記憶媒体
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  • 特開-撮像装置、撮像装置の制御方法、プログラム、および記憶媒体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177941
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】撮像装置、撮像装置の制御方法、プログラム、および記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/60 20230101AFI20241217BHJP
   H04N 23/611 20230101ALI20241217BHJP
   G02B 7/28 20210101ALI20241217BHJP
   G03B 13/36 20210101ALI20241217BHJP
   G03B 7/091 20210101ALI20241217BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20241217BHJP
【FI】
H04N23/60
H04N23/611
G02B7/28 N
G03B13/36
G03B7/091
G03B15/00 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096364
(22)【出願日】2023-06-12
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今井 諒
【テーマコード(参考)】
2H002
2H011
2H151
5C122
【Fターム(参考)】
2H002AB02
2H002FB32
2H002JA02
2H011AA01
2H011CA16
2H151AA06
2H151BA00
2H151EB01
5C122DA03
5C122EA06
5C122FA06
5C122FD01
5C122FF01
5C122FF23
5C122FL08
5C122GA01
5C122HA13
5C122HA35
5C122HA88
5C122HB01
(57)【要約】
【課題】撮影レンズを遮蔽することで画面を暗転させるトランジション撮影を行いたい場合に、撮影者の意図通りの撮影結果を得られるようにする。
【解決手段】本発明の撮像装置は、撮像装置であって、撮像手段と、自動露出処理を行うAE手段とを有し、前記AE手段は、前記撮像装置に接近した物体が前記撮像手段により撮像される場合に前記自動露出処理を停止することを特徴とする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置であって、
撮像手段と、
自動露出処理を行うAE手段と
を有し、
前記AE手段は、前記撮像装置に接近した物体が前記撮像手段により撮像される場合に前記自動露出処理を停止する
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記AE手段は、前記撮像手段による撮像範囲内で物体が前記撮像装置に接近したことに応じて前記自動露出処理を停止し、前記自動露出処理を停止した後、前記物体が前記撮像範囲外に移動した、又は、前記物体が前記撮像装置から離れたことに応じて、前記自動露出処理を再開する
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記AE手段は、前記撮像手段により撮像される物体と前記撮像装置との間の距離が第1の閾値よりも短い場合に、前記自動露出処理を停止する
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記AE手段は、前記撮像手段により撮像される物体と前記撮像装置との間の距離が第2の閾値よりも短く且つ当該距離が減少している場合に、前記自動露出処理を停止する
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記AE手段は、前記撮像手段により撮像される物体と前記撮像装置との間の距離が前記第2の閾値よりも短くても当該距離が減少していない場合には、前記自動露出処理を停止しないことを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記AE手段は、前記撮像手段により撮像される物体と前記撮像装置との間の距離が第2の閾値よりも長い場合には、前記自動露出処理を実行する
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項7】
オートフォーカス処理を行うAF手段をさらに有し、
前記AE手段は、前記オートフォーカス処理に失敗している時間が第3の閾値よりも長い場合に、前記自動露出処理を停止する
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記撮像手段の撮像範囲から特定の被写体を検出する検出手段をさらに有し、
前記AE手段は、前記検出手段によって前記特定の被写体が検出される場合に、前記自動露出処理を停止しない
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記特定の被写体は顔である
ことを特徴とする請求項8に記載の撮像装置。
【請求項10】
ユーザ操作に応じて、前記撮像装置に接近した物体が撮像される場合に前記自動露出処理を停止する第1のモードと、前記撮像装置に接近した物体が撮像される場合であっても前記自動露出処理を停止しない第2のモードとを含む複数のモードのいずれかを設定する設定手段をさらに有する
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記AE手段が前記自動露出処理を停止している場合に、所定の通知を行うように制御する制御手段をさらに有する
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項12】
前記撮像手段により動画を撮影していない場合に、前記AE手段は、前記自動露出処理を停止しない
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項13】
前記AE手段は、前記撮像装置に接近した物体が前記撮像手段により撮像される場合であっても、当該物体が、前記撮像手段の撮像範囲の一部である所定の範囲の外側で前記撮像装置に接近している場合には、前記自動露出処理を停止しない
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項14】
前記所定の範囲は、前記自動露出処理の対象の範囲である
ことを特徴とする請求項13に記載の撮像装置。
【請求項15】
撮像装置の制御方法であって、
撮像を行う撮像ステップと、
自動露出処理を行うAEステップと
を有し、
前記AEステップは、前記撮像装置に接近した物体が前記撮像ステップにおいて撮像される場合に前記自動露出処理を停止する
ことを特徴とする撮像装置の制御方法。
【請求項16】
コンピュータを、請求項1~14のいずれか1項に記載の撮像装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【請求項17】
コンピュータを、請求項1~14のいずれか1項に記載の撮像装置の各手段として機能させるためのプログラムを格納したコンピュータが読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置、撮像装置の制御方法、プログラム、および記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、動画投稿サイトの普及に伴い、趣味や毎日の出来事などを映像と音声で表現する動画等(いわゆるVlog)の投稿を目的として、個人で撮影した動画を素材とした動画コンテンツを制作する機会が増えている。複数のカットからなる動画コンテンツにおいては、カット間のつなぎ目にはトランジションと呼ばれる映像効果が用いられることがある。トランジションを用いることで、カットの切り替わりをスムーズに、あるいは印象的に演出することが可能である。トランジションには、撮影時に被写体やカメラを操作して適用するものと、撮影後に映像編集ソフトなどにより適用するものとがある。
【0003】
撮影時に適用するトランジションとして、手や被写体などの遮蔽物によって撮影レンズを遮蔽する方法が用いられている。遮蔽物により撮影レンズを遮蔽することで画面を暗転させ、前後のカットを暗転した場面同士で繋げることにより、カット間の切り替わりをスムーズに見せることができる。一方、カメラの自動露出調整機構が有効である場合に、遮蔽物によって撮影レンズを遮蔽すると、撮影レンズが遮蔽された状態に合わせて露光が調整される。その結果、撮影レンズを遮蔽したにもかかわらず画面が十分に暗転せず、撮影された動画が撮影者の意図とは異なるものとなってしまうことがある。
【0004】
特許文献1では、撮影レンズが遮蔽されたか否かの判定によって、撮影の開始および停止を制御する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-65012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示の技術においては、撮影レンズを完全に遮蔽した際に動画撮影の開始または停止を行うことが可能であるが、撮影中に撮影レンズを遮蔽する際の露出制御については想定されていない。そのため、撮影者が撮影レンズを遮蔽することで画面を暗転させたい場合に、意図通りの撮影結果を得ることができないことがある。
【0007】
本発明は、撮影レンズを遮蔽することで画面を暗転させるトランジション撮影を行いたい場合に、撮影者の意図通りの撮影結果を得られるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の撮像装置は、撮像手段と、自動露出処理を行うAE手段とを有し、前記AE手段は、前記撮像装置に接近した物体が前記撮像手段により撮像される場合に前記自動露出処理を停止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、撮影レンズを遮蔽することで画面を暗転させるトランジション撮影を行いたい場合に、撮影者の意図通りの撮影結果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】デジタルカメラの外観図である。
図2】デジタルカメラのブロック図である。
図3】動画撮影処理のフローチャートである。
図4】接近判定処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。図1(a),1(b)は、本発明を適用可能な撮像装置の一例としてのデジタルカメラ100の外観図である。図1(a)はデジタルカメラ100の前面斜視図であり、図1(b)はデジタルカメラ100の背面斜視図である。
【0012】
表示部28は、デジタルカメラ100の背面に設けられた表示部であり、画像や各種情報を表示する。タッチパネル70aは、表示部28の表示面(タッチ操作面)に対するタッチ操作を検出することができる。ファインダー外表示部43は、デジタルカメラ100の上面に設けられた表示部であり、シャッター速度や絞りをはじめとするデジタルカメラ100の様々な設定値を表示する。シャッターボタン61は撮影指示を行うための操作部材である。モード切替スイッチ60は、各種モードを切り替えるための操作部材である。端子カバー40は、デジタルカメラ100を外部機器に接続する接続ケーブル等とのコネクタ(不図示)を保護するカバーである。
【0013】
メイン電子ダイヤル71は回転操作部材であり、メイン電子ダイヤル71を回すことで、シャッター速度や絞りなどの設定値の変更等が行える。電源スイッチ72は、デジタルカメラ100の電源のONとOFFを切り替える操作部材である。サブ電子ダイヤル73は回転操作部材であり、サブ電子ダイヤル73を回すことで、選択枠(カーソル)の移動や画像送りなどが行える。4方向キー74は、上、下、左、右部分をそれぞれ押し込み可能に構成され、4方向キー74の押した部分に応じた処理が可能である。SETボタン75は、押しボタンであり、主に選択項目の決定などに用いられる。
【0014】
動画ボタン76は、動画撮影(記録)の開始や停止の指示に用いられる。AEロックボタン77は押しボタンであり、撮影待機状態でAEロックボタン77を押下することにより、露出状態を固定することができる。拡大ボタン78は、撮影モードのライブビュー表示(LV表示)において拡大モードのONとOFFを切り替えるための操作ボタンである。拡大モードをONとしてからメイン電子ダイヤル71を操作することにより、ライブビュー画像(LV画像)の拡大や縮小を行える。再生モードにおいては、拡大ボタン78は、再生画像を拡大したり、その拡大率を増加させたりするための操作ボタンとして機能する。再生ボタン79は、撮影モードと再生モードとを切り替えるための操作ボタンである。撮影モード中に再生ボタン79を押下することで再生モードに移行し、記憶媒体200(後述)に記録された画像のうち最新の画像を表示部28に表示させることができる。メニューボタン81はメニュー画面を表示させる指示操作を行うために用いられる押しボタンであり、メニューボタン81が押されると各種の設定が可能なメニュー画面が表示部28に表示される。ユーザは、表示部28に表示されたメニュー画面と、4方向キー74やSETボタン75とを用いて直感的に各種設定を行うことができる。ユーザは、メニュー画面内で設定を変更することで、操作部材(ボタンや回転操作部材など)に割り当てる機能を変更する(カスタマイズする)ことが可能である。
【0015】
タッチバー82は、タッチ操作を受け付けることが可能なライン状のタッチ操作部材(ラインタッチセンサー)である。タッチバー82は、右手の人差し指でシャッターボタン61を押下可能なようにグリップ部90を右手で握った状態(右手の小指、薬指、中指で握った状態)で、右手の親指でタッチ操作可能(タッチ可能)な位置に配置されている。すなわち、タッチバー82は、接眼部16に接眼して接眼ファインダー17を覗き、いつ
でもシャッターボタン61を押下できるように構えた状態(撮影姿勢)で操作可能な位置に配置されている。タッチバー82は、タッチバー82に対するタップ操作(タッチして所定期間以内にタッチ位置を移動させずに離す操作)、左右へのスライド操作(タッチした後、タッチしたままタッチ位置を移動させる操作)などを受け付け可能な受付部である。タッチバー82は、タッチパネル70aとは異なる操作部材であり、表示機能を備えていない。タッチバー82は、例えば各種機能を割当可能なマルチファンクションバー(M-Fnバー)として機能する。
【0016】
通信端子10は、デジタルカメラ100がレンズユニット150(後述;着脱可能)側と通信を行うための通信端子である。接眼部16は、接眼ファインダー17(覗き込み型のファインダー)の接眼部であり、ユーザは、接眼部16を介して内部のEVF29(後述;電子ビューファインダー)に表示された映像を視認することができる。接眼検知部57は、接眼部16にユーザ(撮影者)が接眼しているか否かを検知する接眼検知センサーである。蓋202は、記憶媒体200(後述)を格納するスロットの蓋である。グリップ部90は、ユーザがデジタルカメラ100を構える際に右手で握りやすい形状とした保持部である。グリップ部90を右手の小指、薬指、中指で握ってデジタルカメラ100を保持した状態で、右手の人差指で操作可能な位置にシャッターボタン61とメイン電子ダイヤル71が配置されている。また、同じ状態で、右手の親指で操作可能な位置に、サブ電子ダイヤル73とタッチバー82が配置されている。サムレスト部91(親指待機位置)は、デジタルカメラ100の背面側の、どの操作部材も操作しない状態でグリップ部90を握った右手の親指を置きやすい箇所に設けられたグリップ部である。サムレスト部91は、保持力(グリップ感)を高めるためのラバー部材などで構成される。
【0017】
図2は、デジタルカメラ100の構成を示すブロック図である。レンズユニット150は、交換可能な撮影レンズを搭載するレンズユニットである。レンズ103は通常、複数枚のレンズから構成されるが、図2では簡略して一枚のレンズのみで示している。通信端子6は、レンズユニット150がデジタルカメラ100側と通信を行うための通信端子であり、通信端子10は、デジタルカメラ100がレンズユニット150側と通信を行うための通信端子である。レンズユニット150は、これら通信端子6,10を介してシステム制御部50と通信する。そして、レンズユニット150は、内部のレンズシステム制御回路4によって絞り駆動回路2を介して絞り1の制御を行う。また、レンズユニット150は、レンズシステム制御回路4によってAF駆動回路3を介してレンズ103を変位させることで焦点を合わせる。
【0018】
シャッター101は、システム制御部50の制御で撮像部22の露光時間を自由に制御できるフォーカルプレーンシャッターである。
【0019】
撮像部22は、光学像を電気信号に変換するCCDやCMOS素子等で構成される撮像素子(イメージセンサー)である。撮像部22は、システム制御部50にデフォーカス量情報を出力する撮像面位相差センサーを有していてもよい。A/D変換器23は、撮像部22から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換する。
【0020】
画像処理部24は、A/D変換器23からのデータ、または、メモリ制御部15からのデータに対し所定の処理(画素補間、縮小といったリサイズ処理、色変換処理、等)を行う。また、画像処理部24は、撮像した画像データを用いて所定の演算処理を行い、システム制御部50は、画像処理部24により得られた演算結果に基づいて露光制御や測距制御を行う。これにより、TTL(スルー・ザ・レンズ)方式のAF処理(オートフォーカス制御)、AE(自動露出)処理、EF(フラッシュプリ発光)処理、等が行われる。画像処理部24は、さらに、撮像した画像データを用いて所定の演算処理を行い、得られた演算結果に基づいてTTL方式のAWB(オートホワイトバランス)処理を行う。
【0021】
メモリ制御部15は、A/D変換器23、画像処理部24、メモリ32間のデータの送受信を制御する。A/D変換器23からの出力データは、画像処理部24およびメモリ制御部15を介してメモリ32に書き込まれる。あるいは、A/D変換器23からの出力データは、画像処理部24を介さずにメモリ制御部15を介してメモリ32に書き込まれる。メモリ32は、撮像部22によって得られA/D変換器23によりデジタルデータに変換された画像データや、表示部28やEVF29に表示するための画像データを格納する。メモリ32は、所定枚数の静止画や所定時間の動画および音声を格納するのに十分な記憶容量を備えている。
【0022】
また、メモリ32は画像表示用のメモリ(ビデオメモリ)を兼ねている。D/A変換器19は、メモリ32に格納されている表示用の画像データをアナログ信号に変換して表示部28やEVF29に供給する。こうして、メモリ32に書き込まれた表示用の画像データはD/A変換器19を介して表示部28やEVF29により表示される。表示部28とEVF29のそれぞれは、LCDや有機EL等のディスプレイであり、D/A変換器19からのアナログ信号に応じた表示を行う。A/D変換器23によってA/D変換されメモリ32に蓄積されたデジタル信号をD/A変換器19においてアナログ信号に変換し、表示部28またはEVF29に逐次転送して表示することで、ライブビュー表示(LV)が行える。以下、ライブビュー表示で表示される画像をライブビュー画像(LV画像)と称する。
【0023】
システム制御部50は、少なくとも1つのプロセッサーおよび/または少なくとも1つの回路からなる制御部であり、デジタルカメラ100全体を制御する。システム制御部50は、プロセッサーであり、回路でもある。システム制御部50は、不揮発性メモリ56に記録されたプログラムを実行することで、後述する各処理を実現する。また、システム制御部50は、メモリ32、D/A変換器19、表示部28、EVF29等を制御することにより表示制御も行う。
【0024】
システムメモリ52は例えばRAMであり、システム制御部50は、システム制御部50の動作用の定数、変数、不揮発性メモリ56から読み出したプログラム等をシステムメモリ52に展開する。
【0025】
不揮発性メモリ56は、電気的に消去・記録可能なメモリであり、例えばEEPROM等である。不揮発性メモリ56には、システム制御部50の動作用の定数、プログラム等が記録される。ここでいうプログラムとは、後述する各種フローチャートを実行するためのプログラムのことである。
【0026】
システムタイマー53は、各種制御に用いる時間や、内蔵された時計の時間を計測する計時部である。
【0027】
通信部54は、無線または有線ケーブルによって接続された外部機器との間で、映像信号や音声信号の送受信を行う。通信部54は無線LAN(Local Area Network)やインターネットとも接続可能である。また、通信部54は、Bluetooth(登録商標)やBluetooth Low Energy(登録商標)でも外部機器と通信可能である。通信部54は撮像部22で撮像した画像(LV画像を含む)や、記憶媒体200に記録された画像を送信可能であり、外部機器から画像データやその他の各種情報を受信することができる。
【0028】
姿勢検知部55は、重力方向に対するデジタルカメラ100の姿勢を検知する。姿勢検知部55で検知された姿勢に基づいて、撮像部22で撮影された画像が、デジタルカメラ
100を横に構えて撮影された画像であるか、縦に構えて撮影された画像であるかを判別可能である。システム制御部50は、姿勢検知部55で検知された姿勢に応じた向き情報を撮像部22で撮像された画像の画像ファイルに付加したり、画像を回転して記録したりすることが可能である。姿勢検知部55としては、加速度センサーやジャイロセンサーなどを用いることができる。姿勢検知部55である加速度センサーやジャイロセンサーを用いて、デジタルカメラ100の動き(パン、チルト、持ち上げ、静止しているか否か等)を検知することも可能である。
【0029】
接眼検知部57は、接眼ファインダー17(以後、単に「ファインダー」と記載する)の接眼部16に対する目(物体)の接近(接眼)および離反(離眼)を検知する(接近検知)、接眼検知センサーである。システム制御部50は、接眼検知部57で検知された状態に応じて、表示部28とEVF29の表示(表示状態)/非表示(非表示状態)を切り替える。より具体的には、少なくとも撮影待機状態で、かつ、表示先の切替設定が自動切替である場合において、非接眼中は表示先を表示部28として表示をオンとし、EVF29は非表示とする。また、接眼中は表示先をEVF29として表示をオンとし、表示部28は非表示とする。接眼検知部57としては、例えば赤外線近接センサーを用いることができ、EVF29を内蔵する接眼ファインダー17の接眼部16への何らかの物体の接近を検知することができる。物体が接近した場合は、接眼検知部57の投光部(図示せず)から投光した赤外線が物体で反射して赤外線近接センサーの受光部(図示せず)で受光される。受光された赤外線の量によって、物体が接眼部16からどの距離まで近づいているか(接眼距離)も判別することができる。このように、接眼検知部57は、接眼部16への物体の近接距離を検知する接眼検知を行う。非接眼状態(非接近状態)から、接眼部16に対して所定距離以内に近づく物体が検出された場合に、接眼されたと検出するものとする。接眼状態(接近状態)から、接近を検知していた物体が所定距離以上離れた場合に、離眼されたと検出するものとする。接眼を検出する閾値と、離眼を検出する閾値は例えばヒステリシスを設けるなどして異なっていてもよい。また、接眼を検出した後は、離眼を検出するまでは接眼状態であるものとする。離眼を検出した後は、接眼を検出するまでは非接眼状態であるものとする。なお、赤外線近接センサーは一例であって、接眼検知部57には、接眼とみなせる状態を検知できるものであれば他のセンサーを採用してもよい。
【0030】
ファインダー外表示部43には、ファインダー外表示部駆動回路44を介して、シャッター速度や絞りをはじめとするカメラの様々な設定値が表示される。
【0031】
電源制御部80は、電池検出回路、DC-DCコンバータ、通電するブロックを切り替えるスイッチ回路等により構成され、電池の装着の有無、電池の種類、電池残量の検出などを行う。また、電源制御部80は、その検出結果およびシステム制御部50の指示に基づいてDC-DCコンバータを制御し、必要な電圧を必要な期間、記憶媒体200を含む各部へ供給する。電源部30は、アルカリ電池やリチウム電池等の一次電池やNiCd電池やNiMH電池、Li電池等の二次電池、ACアダプター等からなる。
【0032】
記憶媒体I/F18は、メモリカードやハードディスク等の記憶媒体200とのインターフェースである。記憶媒体200は、撮影された画像を記録するためのメモリカード等の記憶媒体であり、半導体メモリや磁気ディスク等から構成される。
【0033】
操作部70は、ユーザからの操作(ユーザ操作)を受け付ける入力部であり、システム制御部50に各種の動作指示を入力するために使用される。図2に示すように、操作部70は、モード切替スイッチ60、シャッターボタン61、電源スイッチ72、タッチパネル70a、その他の操作部材70b等を含む。その他の操作部材70bには、メイン電子ダイヤル71、サブ電子ダイヤル73、4方向キー74、SETボタン75、動画ボタン
76、AEロックボタン77、拡大ボタン78、再生ボタン79、メニューボタン81、タッチバー82、等が含まれる。
【0034】
モード切替スイッチ60は、システム制御部50の動作モードを静止画撮影モード、動画撮影モード、再生モード等のいずれかに切り替える。静止画撮影モードに含まれるモードとして、オート撮影モード、オートシーン判別モード、マニュアルモード、絞り優先モード(Avモード)、シャッター速度優先モード(Tvモード)、プログラムAEモード(Pモード)がある。また、撮影シーン別の撮影設定となる各種シーンモード、カスタムモード等がある。モード切替スイッチ60により、ユーザは、これらのモードのいずれかに直接切り替えることができる。あるいは、モード切替スイッチ60で撮影モードの一覧画面に一旦切り替えた後に、表示された複数のモードのいずれかに、他の操作部材を用いて選択的に切り替えるようにしてもよい。同様に、動画撮影モードにも複数のモードが含まれていてもよい。
【0035】
シャッターボタン61は、第1シャッタースイッチ62と第2シャッタースイッチ64を備える。第1シャッタースイッチ62は、シャッターボタン61の操作途中、いわゆる半押し(撮影準備指示)でONとなり第1シャッタースイッチ信号SW1を発生する。システム制御部50は、第1シャッタースイッチ信号SW1により、AF処理(オートフォーカス制御)、AE(自動露出)処理、AWB(オートホワイトバランス)処理、EF(フラッシュプリ発光)処理等の撮影準備動作を開始する。第2シャッタースイッチ64は、シャッターボタン61の操作完了、いわゆる全押し(撮影指示)でONとなり、第2シャッタースイッチ信号SW2を発生する。システム制御部50は、第2シャッタースイッチ信号SW2により、撮像部22からの信号読み出しから、撮像された画像を画像ファイルとして記憶媒体200に書き込むまでの、一連の撮影処理の動作を開始する。
【0036】
タッチパネル70aは、表示部28の表示面(タッチパネル70aの操作面)への各種タッチ操作を検出するタッチセンサーである。タッチパネル70aと表示部28とは一体的に構成することができる。例えば、タッチパネル70aは、光の透過率が表示部28の表示を妨げないように構成され、表示部28の表示面の上層に取り付けられる。そして、タッチパネル70aにおける入力座標と、表示部28の表示面上の表示座標とを対応付ける。これにより、あたかもユーザが表示部28上に表示された画面を直接的に操作可能であるかのようなGUI(グラフィカルユーザインターフェース)を提供できる。
【0037】
システム制御部50は、タッチパネル70aへの以下の操作、あるいは状態を検出できる。
・タッチパネル70aにタッチしていなかった指やペンが新たにタッチパネル70aにタッチしたこと、すなわちタッチの開始(以下、タッチダウン(Touch-Down)と称する)
・タッチパネル70aを指やペンでタッチしている状態(以下、タッチオン(Touch-On)と称する)
・指やペンがタッチパネル70aをタッチしたまま移動していること(以下、タッチムーブ(Touch-Move)と称する)
・タッチパネル70aへタッチしていた指やペンがタッチパネル70aから離れた(リリースされた)こと、すなわちタッチの終了(以下、タッチアップ(Touch-Up)と称する)
・タッチパネル70aに何もタッチしていない状態(以下、タッチオフ(Touch-Off)と称する)
【0038】
タッチダウンが検出されると、同時にタッチオンも検出される。タッチダウンの後、タッチアップが検出されない限りは、通常はタッチオンが検出され続ける。タッチムーブが
検出された場合も、タッチオンが検出され続ける。タッチオンが検出されていても、タッチ位置が移動していなければタッチムーブは検出されない。タッチしていた全ての指やペンがタッチアップしたことが検出された後は、タッチオフとなる。
【0039】
これらの操作・状態や、タッチパネル70a上に指やペンがタッチしている位置座標は内部バスを通じてシステム制御部50に通知される。そして、システム制御部50は通知された情報に基づいてタッチパネル70a上にどのような操作(タッチ操作)が行われたかを判定する。タッチムーブについてはタッチパネル70a上で移動する指やペンの移動方向についても、位置座標の変化に基づいて、タッチパネル70a上の垂直成分・水平成分毎に判定できる。所定距離以上をタッチムーブしたことが検出された場合はスライド操作が行われたと判定するものとする。タッチパネル70a上に指をタッチしたままある程度の距離だけ素早く動かして、そのまま離すといった操作をフリックと呼ぶ。フリックは、言い換えればタッチパネル70a上を指ではじくように素早くなぞる操作である。所定距離以上を、所定速度以上でタッチムーブしたことが検出され、そのままタッチアップが検出されるとフリックが行われたと判定できる(スライド操作に続いてフリックがあったものと判定できる)。さらに、複数箇所(例えば2点)を共にタッチして(マルチタッチして)、互いのタッチ位置を近づけるタッチ操作をピンチイン、互いのタッチ位置を遠ざけるタッチ操作をピンチアウトと称する。ピンチアウトとピンチインを総称してピンチ操作(あるいは単にピンチ)と称する。タッチパネル70aは、抵抗膜方式や静電容量方式、表面弾性波方式、赤外線方式、電磁誘導方式、画像認識方式、光センサー方式等、様々な方式のタッチパネルのうちいずれの方式のものであってもよい。タッチパネルに対する接触があったことでタッチがあったと検出する方式や、タッチパネルに対する指やペンの接近があったことでタッチがあったと検出する方式があるが、いずれの方式でもよい。
【0040】
図3は、デジタルカメラ100が行う動画撮影モード処理のフローチャートである。図3の処理は、デジタルカメラ100が動画撮影を実行し、動画撮影を完了するまでの一連の処理である。この処理は、システム制御部50が、不揮発性メモリ56に格納されたプログラムをシステムメモリ52に展開して実行することにより実現される。例えば、電源スイッチ72の操作に応じて動画撮影モードでデジタルカメラ100が起動したり、モード切替スイッチ60の操作に応じてデジタルカメラ100のモードが動画撮影モードに切り替えられたりすると、図3の処理が開始する。図3の処理は、動画撮影中にデジタルカメラ100(レンズユニット150が装着された側の面(レンズ面))への物体の接近を検知して自動露出処理(AE処理)を制御する処理である。以下では、このような処理に関係しない処理についての説明は省略する。図3の処理中に異常系操作が行われた場合には、図3の処理が中断されることもある。
【0041】
S301において、システム制御部50は、動画撮影モードの終了操作が行われたか否かを判定する。終了操作は、例えば、デジタルカメラ100のモードを別のモードに切り替える操作(モード切替スイッチ60の操作)、またはデジタルカメラ100の電源をオフにする操作(電源スイッチ72の操作)である。終了操作が行われた場合はS302へ進み、そうでない場合はS304へ進む。
【0042】
S302において、システム制御部50は、動画撮影中か否かを判定する。動画撮影中である場合はS303へ進み、そうでない場合は動画撮影モード処理を終了する。
【0043】
S303において、システム制御部50は、撮像部22からの信号読み出しなどを終了し、動画撮影終了処理を行う。動画撮影終了処理では、システム制御部50は、撮影された動画データをメモリ32から取得し、記憶媒体I/F18を介して記憶媒体200に記録する。
【0044】
S304において、システム制御部50は、動画ボタン76が押下されたか否かを判定する。動画ボタン76が押下された場合にはS305へ進み、そうでない場合はS308へ進む。
【0045】
S305において、システム制御部50は、動画撮影中であるか否かを判定する。動画撮影中である場合はS306へ進み、そうでない場合はS307へ進む。
【0046】
S306において、システム制御部50は、撮像部22からの信号読み出しなどを終了し、動画撮影終了処理を行う。
【0047】
S307において、システム制御部50は、撮像部22からの信号読み出しなどを開始し、動画撮影開始処理を行う。動画撮影では、システム制御部50は、撮像部22からのデータをA/D変換器23に変換させ、画像処理部24およびメモリ制御部15を介して動画データとしてメモリ32に記録する。
【0048】
S308において、システム制御部50は、動画撮影中であるか否かを判定する。動画撮影中である場合はS310へ進み、そうでない場合はS309へ進む。
【0049】
S309において、システム制御部50は、画像処理部24の演算結果に基づき、AE処理を行う。例えば、システム制御部50は、画像処理部24の演算結果に基づき、撮像部22によって得られた画像の露出が適正か否かを判定する。そして、画像の露出が適正でない場合に、システム制御部50は、適正露出の画像が得られるように、撮像部22の露光時間、撮像部22の感度、絞り1の開口径の少なくともいずれかを制御する。画像の露出が適正でない場合とは画像の明るさが所望の明るさよりも明るいまたは暗い場合であり、適正露出の画像は所望の明るさの画像である。
【0050】
本実施形態では、システム制御部50は、ユーザ操作に応じて、デジタルカメラ100への物体の接近を検知する接近検知機能の有効および無効を切り替えることができるとする。このように、システム制御部50は、ユーザ操作に応じて、接近検知機能が有効なモードと接近検知機能が無効なモードとを含む複数のモードのいずれかを設定することができる。S310において、システム制御部50は、接近検知機能が有効であるか否かを判定する。接近検知機能が有効である場合はS311へ進み、そうでない場合はS309へ進む。
【0051】
S311において、システム制御部50は、デジタルカメラ100(レンズユニット150が装着された側の面(レンズ面))に接近した物体が存在するか否かを判定する接近判定処理を行う。接近判定処理の詳細については図4を用いて後述する。
【0052】
S312において、システム制御部50は、S311の処理結果に応じて、デジタルカメラ100に接近した物体が存在するか否かを判定する。接近した物体が存在する場合はS301へ進み、そうでない場合はS309へ進む。
【0053】
図4は、図3のS311でデジタルカメラ100が行う接近判定処理のフローチャートである。この処理は、システム制御部50が、不揮発性メモリ56に格納されたプログラムをシステムメモリ52に展開して実行することにより実現される。
【0054】
本実施形態では、システム制御部50は、画像処理部24を用いて、撮像部22によって得られた画像から特定の被写体(例えば人間、顔、または目)を検出する処理を行うとする。なお、デジタルカメラ100の撮像範囲の少なくとも一部から特定の被写体を検出することができれば、特定の被写体の検出方法は特に限定されない。S401において、
システム制御部50は、特定の被写体を検出したか否かを判定する。特定の被写体を検出した場合はS402へ進み、そうでない場合はS403へ進む。
【0055】
S402において、システム制御部50は、デジタルカメラ100に接近した物体は存在しないと判定する。ここで、S401で特定の被写体(例えば人間、顔、または目)が検出される場合は、撮像範囲を覆うように物体が接近していないため、接近した物体は存在しないと判定する。
【0056】
S403において、システム制御部50は、画像処理部24の演算結果に基づいて、オートフォーカス処理(AF処理)に成功したか否かを判定する。AF処理に成功した場合(ピントが合っている場合)はS406へ進み、そうでない場合はS404へ進む。
【0057】
本実施形態では、システム制御部50は、システムタイマー53を用いて、AF処理に失敗している時間を計測するとする。S404において、システム制御部50は、AF処理に失敗している時間が閾値tよりも長いか否かを判定する。AF処理に失敗している時間として、AF処理に連続して失敗した回数を用いてもよい。AF処理に失敗している時間が閾値tよりも長い場合はS405へ進み、そうでない場合はS402へ進む。閾値tは、予め定められた固定値であってもよいし、ユーザが変更可能な値であってもよい。
【0058】
S405において、システム制御部50は、デジタルカメラ100に接近した被写体が存在すると判定する。AF処理に失敗している時間が閾値tよりも長い場合は、撮像範囲に物体が接近した状態が継続されているため、接近した被写体が存在すると判定する。それに対し、AF処理に失敗している時間が閾値tよりも短い場合は、撮影レンズを遮蔽することで画面を暗転させたのではなく、一時的にAFが不可となる場合などがあり得るため、接近した被写体は存在しないと判定する。
【0059】
本実施形態では、システム制御部50は、被写体(撮像部22により撮像される物体)とデジタルカメラ100との間の距離を検出するとする。距離の検出方法は特に限定されず、距離の検出には種々の公知技術を用いることができる。距離を検出する際に、デジタルカメラ100の位置として、レンズユニット150の位置を用いてもよい。S406において、システム制御部50は、画像処理部24の演算結果に基づいて、被写体とデジタルカメラ100との間の距離が閾値d1よりも短いか否かを判定する。距離が閾値d1よりも短い場合はS410へ進み、そうでない場合はS407へ進む。閾値d1は、予め定められた固定値であってもよいし、ユーザが変更可能な値であってもよい。
【0060】
S407において、システム制御部50は、画像処理部24の演算結果に基づいて、被写体とデジタルカメラ100との距離が閾値d2(>閾値d1)未満よりも短いか否かを判定する。距離が閾値d2よりも短い場合はS409へ進み、そうでない場合はS408へ進む。閾値d2は、予め定められた固定値であってもよいし、ユーザが変更可能な値であってもよい。
【0061】
S408において、システム制御部50は、デジタルカメラ100に接近した物体は存在しないと判定する。
【0062】
S409において、システム制御部50は、S407で検出された被写体とデジタルカメラ100との間の今回の距離(今回の演算結果)が前回の距離(前回の演算結果)よりも短いか否か(距離が減少しているか否か)を判定する。今回の距離が前回の距離よりも短い場合はS410へ進み、そうでない場合はS408へ進む。
【0063】
S410において、システム制御部50は、デジタルカメラ100に接近した物体が存
在すると判定する。
【0064】
以上述べたように、本実施形態によれば、デジタルカメラ100に接近した物体が撮像される場合にAE処理が停止される。そして、デジタルカメラ100に接近し、撮影レンズを遮蔽していた物体が撮影レンズを遮蔽しなくなった(例えば、撮像範囲内で接近していた物体が撮像範囲外に移動して撮像されなくなった、接近していた物体が撮影レンズやデジタルカメラ100から離れた)場合にAE処理が再開される。こうすることにより、通常の動画記録中に好適な露出を得ることができるとともに、物体を接近させてレンズユニット150を遮蔽することで画面を暗転させるトランジション撮影を行いたい場合にも、撮影者の意図通りの露出の撮影結果を得ることができる。
【0065】
なお、システム制御部50は、AE処理を停止している場合に、ユーザに対し所定の通知を行ってもよい。所定の通知は、例えば、AE処理が停止していることの通知である。通知方法は特に限定されず、例えば、所定の通知は、アイコンや文字列の表示であってもよいし、音声の出力であってもよいし、ランプの点灯であってもよい。
【0066】
また、動画撮影中でない場合にAE処理を停止しない例を説明したが、動画撮影中であるか否かにかかわらず、接近判定処理の結果に応じてAE処理の実行と停止を切り替えてもよい。デジタルカメラ100に接近した物体が撮像部22により撮像される場合であっても、当該物体が、撮像部22の撮像範囲の一部である所定の範囲の外側でデジタルカメラ100に接近している場合には、AE処理を停止しないとしてもよい。所定の範囲は、例えば、AE処理の対象の範囲(AE処理で参照し(明るさのサンプリングを行い)、適正露出にする範囲)である。所定の範囲は、ユーザが指定した範囲であってもよい。S401、S403、S406、およびS407で所定の範囲の内側のみを参照してもよい。例えば、S401では、所定の範囲の内側で特定の被写体が検出されたか否かを判定してもよい。S402では、所定の範囲の内側でピントが合っているか否かを判定してもよい。S406とS407では、所定の範囲の内側に存在する被写体と、デジタルカメラ100との間の距離を閾値d1,d2と比較してもよい。
【0067】
なお、システム制御部50が行うものとして説明した上述の各種制御は、1つのハードウェアが行ってもよいし、複数のハードウェアが処理を分担することで、装置全体の制御を行ってもよい。CPU201が行うものとして説明した上述の各種制御についても同様である。
【0068】
また、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。さらに、上述した各実施形態は本発明の一実施形態を示すものにすぎず、各実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【0069】
また、上述した実施形態においては、本発明をデジタルカメラに適用した場合を例にして説明したが、これはこの例に限定されず、自動露出制御が可能な撮像装置であれば適用可能である。例えば、本発明は、パーソナルコンピュータやPDA、携帯電話端末や携帯型の画像ビューワ、プリンタ装置、デジタルフォトフレーム、音楽プレーヤー、ゲーム機、電子ブックリーダーなどに適用可能である。また、本発明は、映像プレーヤー、表示装置(投影装置を含む)、タブレット端末、スマートフォン、AIスピーカー、家電装置や車載装置などに適用可能である。
【0070】
(その他の実施形態)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにお
ける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0071】
本実施形態の開示は、以下の構成、方法、プログラム、および媒体を含む。
(構成1)
撮像装置であって、
撮像手段と、
自動露出処理を行うAE手段と
を有し、
前記AE手段は、前記撮像装置に接近した物体が前記撮像手段により撮像される場合に前記自動露出処理を停止する
ことを特徴とする撮像装置。
(構成2)
前記AE手段は、前記撮像手段による撮像範囲内で物体が前記撮像装置に接近したことに応じて前記自動露出処理を停止し、前記自動露出処理を停止した後、前記物体が前記撮像範囲外に移動した、又は、前記物体が前記撮像装置から離れたことに応じて、前記自動露出処理を再開する
ことを特徴とする構成1に記載の撮像装置。
(構成3)
前記AE手段は、前記撮像手段により撮像される物体と前記撮像装置との間の距離が第1の閾値よりも短い場合に、前記自動露出処理を停止する
ことを特徴とする構成1または2に記載の撮像装置。
(構成4)
前記AE手段は、前記撮像手段により撮像される物体と前記撮像装置との間の距離が第2の閾値よりも短く且つ当該距離が減少している場合に、前記自動露出処理を停止する
ことを特徴とする構成1~3のいずれかに記載の撮像装置。
(構成5)
前記AE手段は、前記撮像手段により撮像される物体と前記撮像装置との間の距離が前記第2の閾値よりも短くても当該距離が減少していない場合には、前記自動露出処理を停止しない
ことを特徴とする構成4に記載の撮像装置。
(構成6)
前記AE手段は、前記撮像手段により撮像される物体と前記撮像装置との間の距離が第2の閾値よりも長い場合には、前記自動露出処理を実行する
ことを特徴とする構成1~5のいずれかに記載の撮像装置。
(構成7)
オートフォーカス処理を行うAF手段をさらに有し、
前記AE手段は、前記オートフォーカス処理に失敗している時間が第3の閾値よりも長い場合に、前記自動露出処理を停止する
ことを特徴とする構成1~6のいずれかに記載の撮像装置。
(構成8)
前記撮像手段の撮像範囲から特定の被写体を検出する検出手段をさらに有し、
前記AE手段は、前記検出手段によって前記特定の被写体が検出される場合に、前記自動露出処理を停止しない
ことを特徴とする構成1~7のいずれかに記載の撮像装置。
(構成9)
前記特定の被写体は顔である
ことを特徴とする構成8に記載の撮像装置
(構成10)
ユーザ操作に応じて、前記撮像装置に接近した物体が撮像される場合に前記自動露出処
理を停止する第1のモードと、前記撮像装置に接近した物体が撮像される場合であっても前記自動露出処理を停止しない第2のモードとを含む複数のモードのいずれかを設定する設定手段をさらに有する
ことを特徴とする構成1~9のいずれかに記載の撮像装置。
(構成11)
前記AE手段が前記自動露出処理を停止している場合に、所定の通知を行うように制御する制御手段をさらに有する
ことを特徴とする構成1~10のいずれかに記載の撮像装置。
(構成12)
前記撮像手段により動画を撮影していない場合に、前記AE手段は、前記自動露出処理を停止しない
ことを特徴とする構成1~11のいずれかに記載の撮像装置。
(構成13)
前記AE手段は、前記撮像装置に接近した物体が前記撮像手段により撮像される場合であっても、当該物体が、前記撮像手段の撮像範囲の一部である所定の範囲の外側で前記撮像装置に接近している場合には、前記自動露出処理を停止しない
ことを特徴とする構成1~12のいずれかに記載の撮像装置。
(構成14)
前記所定の範囲は、前記自動露出処理の対象の範囲である
ことを特徴とする構成12に記載の撮像装置。
(方法)
撮像装置の制御方法であって、
撮像を行う撮像ステップと、
自動露出処理を行うAEステップと
を有し、
前記AEステップは、前記撮像装置に接近した物体が前記撮像ステップにおいて撮像される場合に前記自動露出処理を停止する
ことを特徴とする撮像装置の制御方法。
(プログラム)
コンピュータを、構成1~14のいずれかに記載の電子機器の各手段として機能させるためのプログラム。
(媒体)
コンピュータを、構成1~14のいずれかに記載の電子機器の各手段として機能させるためのプログラムを格納したコンピュータが読み取り可能な記憶媒体。
【符号の説明】
【0072】
100:デジタルカメラ 22:撮像部 50:システム制御部 24:画像処理部
図1
図2
図3
図4