(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177974
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】必要燃料量推定装置、必要燃料量推定システム、及び必要燃料量推定プログラム
(51)【国際特許分類】
F02D 45/00 20060101AFI20241217BHJP
H02J 9/08 20060101ALI20241217BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20241217BHJP
H02J 3/00 20060101ALI20241217BHJP
F02D 29/06 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
F02D45/00 369
H02J9/08
H02J13/00 301A
H02J3/00 130
F02D29/06 Z
F02D45/00 345
F02D45/00 364
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096422
(22)【出願日】2023-06-12
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100131152
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148149
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100181618
【弁理士】
【氏名又は名称】宮脇 良平
(74)【代理人】
【識別番号】100174388
【弁理士】
【氏名又は名称】龍竹 史朗
(72)【発明者】
【氏名】徳村 憲泰
【テーマコード(参考)】
3G093
3G384
5G015
5G064
5G066
【Fターム(参考)】
3G093AA16
3G093DB28
3G384AA22
3G384FA17
3G384FA18
5G015GA17
5G015JA41
5G015KA08
5G064AA04
5G064AC09
5G064BA01
5G064CB08
5G066AE07
5G066AE09
5G066HB02
(57)【要約】
【課題】非常用発電装置に備蓄させる燃料の量の適正化を図ることを支援することができる必要燃料量推定装置、必要燃料量推定システム、及び必要燃料量推定プログラムを提供する。
【解決手段】必要燃料量推定装置100において、気象予報データ取得部111は、雨水ポンプ場を含む対象地域の、予想される降雨期間及びその降雨期間における降水量を表す気象予報データD1を取得する。必要電力量推定部112は、気象予報データD1を用いて、非常用発電装置が雨水ポンプに対して降雨期間に供給する電力量の総量である必要電力量を推定する。必要燃料量推定部113は、必要電力量の値を用いて、必要電力量を生成するために非常用発電装置が消費する燃料の総量である必要燃料量を推定する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
雨水が流れ込む雨水ポンプ井から前記雨水を排出する雨水ポンプに対して前記雨水の排出に必要な電力を供給するために非常用発電装置が設置された雨水ポンプ場を含む対象地域の、予想される降雨期間及びその降雨期間における降水量を表す気象予報データを取得する気象予報データ取得部と、
前記気象予報データを用いて、前記非常用発電装置が前記雨水ポンプに対して前記降雨期間に供給する電力量の総量である必要電力量を推定する必要電力量推定部と、
前記必要電力量の値を用いて、前記必要電力量を生成するために前記非常用発電装置が消費する燃料の総量である必要燃料量を推定する必要燃料量推定部と、
を備える、必要燃料量推定装置。
【請求項2】
前記気象予報データは、前記降雨期間を構成する部分期間ごとに、その部分期間における、単位時間あたりの降水量を表しており、
前記必要電力量推定部は、前記対象地域の単位時間あたりの降水量と、前記非常用発電装置が前記雨水ポンプに単位時間あたりに供給する電力量と、の間の既知の相関関係を表す降水量-電力量相関情報を用いて、前記非常用発電装置が前記雨水ポンプに供給する電力量を前記部分期間ごとに求めることにより、前記必要電力量を推定する、
請求項1に記載の必要燃料量推定装置。
【請求項3】
前記気象予報データは、前記降雨期間を構成する部分期間ごとに、その部分期間における、単位時間あたりの降水量を表しており、
前記必要電力量推定部は、前記対象地域の単位時間あたりの降水量と、前記単位時間における前記雨水ポンプの負荷率と、の間の既知の相関関係を表す降水量-負荷率相関情報を用いて、前記非常用発電装置が前記雨水ポンプに供給する電力量を前記部分期間ごとに求めることにより、前記必要電力量を推定する、
請求項1に記載の必要燃料量推定装置。
【請求項4】
前記気象予報データは、前記降雨期間の開始時刻から終了時刻にわたる前記降水量の総量である総降水量を表しており、
前記必要電力量推定部は、前記対象地域における降水量と、前記非常用発電装置が前記雨水ポンプに供給する電力量と、の間の既知の相関関係を用いて、該降水量が前記総降水量である場合の該電力量として、前記必要電力量を推定する、
請求項1に記載の必要燃料量推定装置。
【請求項5】
前記非常用発電装置から、前記非常用発電装置に備蓄されている前記燃料の現在の量である残油量を表す残油量データを取得する残油量データ取得部と、
前記残油量と前記必要燃料量とに基づいて、前記非常用発電装置に補充すべき前記燃料の量である補充量を求め、求めた前記補充量を提示させる制御を行う補充量提示部と、
をさらに備える、請求項1から4のいずれか1項に記載の必要燃料量推定装置。
【請求項6】
前記非常用発電装置から、前記非常用発電装置に備蓄されている前記燃料の現在の量である残油量を表す残油量データを取得する残油量データ取得部と、
前記必要燃料量が前記残油量を上回る場合に、前記非常用発電装置に前記燃料を補充すべき旨の警報を発する制御を行う警報部と、
をさらに備える、請求項1から4のいずれか1項に記載の必要燃料量推定装置。
【請求項7】
請求項1から4のいずれか1項に記載の必要燃料量推定装置と、
前記非常用発電装置と、
を備える、必要燃料量推定システム。
【請求項8】
コンピュータを、
雨水が流れ込む雨水ポンプ井から前記雨水を排出する雨水ポンプに対して前記雨水の排出に必要な電力を供給するために非常用発電装置が設置された雨水ポンプ場を含む対象地域の、予想される降雨期間及びその降雨期間における降水量を表す気象予報データを取得する気象予報データ取得部、
前記気象予報データを用いて、前記非常用発電装置が前記雨水ポンプに対して前記降雨期間に供給する電力量の総量である必要電力量を推定する必要電力量推定部、
前記必要電力量の値を用いて、前記必要電力量を生成するために前記非常用発電装置が消費する燃料の総量である必要燃料量を推定する必要燃料量推定部、
として機能させる、必要燃料量推定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、必要燃料量推定装置、必要燃料量推定システム、及び必要燃料量推定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
雨水ポンプ場においては、降雨時に雨水ポンプ井に流れ込んだ雨水が、雨水ポンプによって河川に排出される。雨水の排出に必要な電力を雨水ポンプに供給する手段として、非常用発電装置が用いられる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されているように、非常用発電装置が出力した電力を計測器によって計測し、その計測器の計測結果を用いて、非常用発電装置が消費した燃料の量を推定する技術は知られている。
【0005】
しかし、特許文献1の技術は、将来必要とされる燃料の量を予測するものではない。このため、特許文献1の技術を雨水ポンプ場の非常用発電装置に適用しても、降雨が予想される場合に、どの程度の量の燃料が必要とされるかを事前に把握することはできない。
【0006】
従って、燃料切れを回避すべく、実際に必要とされる量を大幅に超過する量の燃料を、常時に非常用発電装置に備蓄させておく必要がある。過剰な量の燃料を常時に非常用発電装置に備蓄させることは、燃料の手配の効率上、好ましいとは言えない。
【0007】
本開示の目的は、非常用発電装置に備蓄させる燃料の量の適正化を図ることを支援することができる必要燃料量推定装置、必要燃料量推定システム、及び必要燃料量推定プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る必要燃料量推定装置は、
雨水が流れ込む雨水ポンプ井から前記雨水を排出する雨水ポンプに対して前記雨水の排出に必要な電力を供給するために非常用発電装置が設置された雨水ポンプ場を含む対象地域の、予想される降雨期間及びその降雨期間における降水量を表す気象予報データを取得する気象予報データ取得部と、
前記気象予報データを用いて、前記非常用発電装置が前記雨水ポンプに対して前記降雨期間に供給する電力量の総量である必要電力量を推定する必要電力量推定部と、
前記必要電力量の値を用いて、前記必要電力量を生成するために前記非常用発電装置が消費する燃料の総量である必要燃料量を推定する必要燃料量推定部と、
を備える。
【発明の効果】
【0009】
上記構成によれば、必要燃料量が推定されるので、非常用発電装置に備蓄させる燃料の量の適正化を図ることを支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態1に係る必要燃料量推定システムの構成を示す概念図
【
図2】実施形態1に係る必要燃料量推定装置の構成を示す概念図
【
図3】実施形態1に係る必要燃料量推定装置の機能を示す概念図
【
図4】実施形態1に係る気象予報データの構造を示す概念図
【
図5】実施形態1に係る必要燃料量推定処理のフローチャート
【
図6】実施形態2に係る必要燃料量推定装置の機能を示す概念図
【
図7】実施形態3に係る気象予報データの構造を示す概念図
【
図8】実施形態3に係る必要燃料量推定装置の機能を示す概念図
【
図9】実施形態4に係る必要燃料量推定処理のフローチャート
【
図10】実施形態5に係る必要燃料量推定装置の機能を示す概念図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照し、非常用発電装置における燃料の消費量を気象予報に基づいて推定する必要燃料量推定システムの実施形態について説明する。図中、同一又は対応する部分に同一の符号を付す。
【0012】
以下の説明で“電力”とは、単位時間あたりの仕事、即ち仕事率を意味し、“電力量”とは、電力を時間積分した物理量を意味する。本明細書では、仕事である電力量[J]を、仕事をする能力である電気エネルギー[J]と同義で使用することがある。また、電気エネルギーを供給することを、慣用に従って“電力を供給する”とも表記する。同様に、電気エネルギーを生成すること及び発電することを“電力を生成する”とも表記する。
【0013】
[実施形態1]
図1に示すように、本実施形態に係る必要燃料量推定システム200は、燃料740を消費することにより電力を生成する非常用発電装置700と、非常用発電装置700における燃料740の消費量を推定する必要燃料量推定装置100とを備える。
【0014】
非常用発電装置700は、雨水ポンプ場900に設置されている。そこで、まず、雨水ポンプ場900について説明する。
【0015】
雨水ポンプ場900には、非常用発電装置700の他、雨水810が流れ込む雨水ポンプ井820と、雨水ポンプ井820から雨水810を吸い上げ、吸い上げた雨水810を河川に向けて排出する雨水ポンプ830とが設置されている。非常用発電装置700は、雨水ポンプ830に対して、雨水810の排出に必要な電力を供給する。
【0016】
次に、非常用発電装置700について説明する。非常用発電装置700は、駆動されることにより発電する発電機710と、液体の燃料740を消費することにより発電機710を駆動する原動機720と、原動機720に供給される燃料740を貯留する燃料タンク730とを備える。
【0017】
原動機720は、内燃機関、具体的には、エンジンで構成されている。燃料740は、例えば、重油、軽油、ガソリン等の石油系炭化水素である。
【0018】
発電機710が、雨水ポンプ830に電力を供給する。発電機710を駆動する原動機720と燃料タンク730とは、燃料740を移送する管体でつながれている。原動機720による燃料740の消費に伴って、燃料タンク730における燃料740の備蓄量が減少する。
【0019】
また、非常用発電装置700は、燃料タンク730に備蓄されている燃料740の現在の量である残油量を検出する残油量センサ750も備える。
【0020】
雨水ポンプ場900においては、雨水ポンプ場900を含む地域(以下、対象地域という。)の降雨が激しいほど、また、その降雨の期間(以下、降雨期間という。)が長いほど、雨水ポンプ830で消費される電力量は大となる。そのため、非常用発電装置700における燃料740の消費量は、対象地域における降雨の状況に依存する。
【0021】
そこで、本実施形態に係る必要燃料量推定装置100は、対象地域に降雨が予想される場合に、その降雨においてどの程度の量の燃料740が必要となることが見込まれるかを、降雨の前にユーザに把握させる機能を有する。このため、やみくもに過剰な量の燃料を常時に非常用発電装置に備蓄させておく必要がない。以下、必要燃料量推定装置100について具体的に説明する。
【0022】
必要燃料量推定装置100は、通信回線N1を通じて、気象予報機関が運用している気象予報サーバ600との接続が可能である。必要燃料量推定装置100は、気象予報サーバ600から気象予報データD1を取得する。気象予報データD1は、対象地域の、予想される降雨期間及びその降雨期間における降水量を表す。
【0023】
また、必要燃料量推定装置100は、通信回線N2を通じて、残油量センサ750との接続も可能である。必要燃料量推定装置100は、残油量センサ750から残油量データD2を取得する。残油量データD2は、非常用発電装置700の燃料タンク730に備蓄されている燃料740の現在の量(以下、残油量という。)を表す。
【0024】
必要燃料量推定装置100は、気象予報データD1を用いて、今後予想される降雨において消費することが見込まれる燃料740の量(以下、必要燃料量という。)を推定する。そして、必要燃料量推定装置100は、必要燃料量から、残油量データD2が表す残油量を差し引くことにより、燃料タンク730に補充すべき燃料740の量(以下、補充量という。)を求め、求めた補充量をユーザに提示する。
【0025】
図2を参照し、必要燃料量推定装置100のハードウエアの構成を説明する。必要燃料量推定装置100は、
図1に示した通信回線N1及びN2に接続される通信装置120を備える。通信装置120を介して、
図1に示した気象予報データD1及び残油量データD2が必要燃料量推定装置100に取り込まれる。
【0026】
また、必要燃料量推定装置100は、ユーザに対する各種の提示又は報知を行う報知装置としての表示装置130を備える。
図1に示す燃料タンク730に補充すべき既述の補充量は、表示装置130への表示によって、ユーザに提示される。
【0027】
また、必要燃料量推定装置100は、既述の必要燃料量を推定する手順を規定した必要燃料量推定プログラム141を記憶する記憶装置140を備える。必要燃料量推定プログラム141は、以下の第1手順及び第2手順を規定している。
【0028】
第1手順では、降雨が予想される降雨期間に雨水ポンプ830に対して供給する電力量の総量である必要電力量を、予想される降水量に基づいて推定する。記憶装置140は、この第1の手順で使用される降水量-電力量相関情報142も記憶している。
【0029】
降水量-電力量相関情報142は、対象地域の単位時間あたりの降水量と、非常用発電装置700が雨水ポンプ830に単位時間あたりに供給する電力量との間の既知の相関関係(以下、第1相関関係という。)を表す。
【0030】
降水量-電力量相関情報142は、第1相関関係を表す関数式、又はデータベースその他のデータ構造である。関数式は、プログラムコードとして必要燃料量推定プログラム141に組み込むことができる。降水量-電力量相関情報142は、過去の実績を用いて統計的手法により予め作成される。
【0031】
第2手順では、第1手順で推定された必要電力量を生成するために非常用発電装置700が消費する燃料740の総量である必要燃料量を推定する。記憶装置140は、この第2手順で使用される電力量-燃料量相関情報143も記憶している。
【0032】
電力量-燃料量相関情報143は、非常用発電装置700が生成する電力量と、非常用発電装置700が消費する燃料740の量との間の既知の相関関係(以下、第2相関関係という。)を表す。
【0033】
電力量-燃料量相関情報143は、第2相関関係を表す関数式、又はデータベースその他のデータ構造である。関数式は、プログラムコードとして必要燃料量推定プログラム141に組み込むことができる。電力量-燃料量相関情報143は、過去の実績を用いて統計的手法により予め作成される。
【0034】
また、必要燃料量推定装置100は、必要燃料量推定プログラム141を実行するプロセッサ110を備える。以下、プロセッサ110が必要燃料量推定プログラム141を実行することにより実現される機能について、
図3を参照して説明する。
【0035】
図3に示すように、必要燃料量推定装置100は、気象予報データD1を取得する気象予報データ取得部111と、取得された気象予報データD1を用いて、既述の必要電力量を推定する必要電力量推定部112とを備える。
【0036】
気象予報データ取得部111は、
図1に示す気象予報サーバ600からリアルタイムに気象予報データD1を取得する。気象予報データ取得部111は、取得した気象予報データD1が、降雨の見込みが有ることを表す場合、その気象予報データD1を必要電力量推定部112に出力する。
【0037】
図4は、気象予報データD1の構造を示す。気象予報データD1は、対象地域の予想される降雨期間を表している。
図4には、降雨期間が、XX年YY月ZZ日の15時から18時までである場合を例示している。
【0038】
また、気象予報データD1は、降雨期間を構成する部分期間ごとに、その部分期間における、単位時間あたりの降水量を表している。
【0039】
具体的には、
図4は、部分期間としての15時から16時間までの期間は単位時間あたりの降水量が3mmであること、部分期間としての16時から17時間までの期間は単位時間あたりの降水量が5mmであること、及び部分期間としての17時から18時間までの期間は単位時間あたりの降水量が2mmであることを示している。
【0040】
なお、“単位時間当たりの降水量”とは、具体的には、1時間あたりの降水量を意味する。
図4には、いずれの部分期間の期間長も1時間である場合を例示したが、部分期間の期間長は必ずしも1時間に限られない。部分期間の期間長は、1時間未満であってもよいし、1時間超であってもよい。
【0041】
図3に戻り、説明を続ける。必要電力量推定部112は、気象予報データD1と降水量-電力量相関情報142とを用いて、上述した部分期間ごとに、非常用発電装置700が雨水ポンプ830に供給する電力量を求める。そして、必要電力量推定部112は、部分期間ごとに求めた電力量の、部分期間についての和を既述の必要電力量として算出する。
【0042】
具体的には、降水量-電力量相関情報142は、1日の時間帯ごとに、対象地域の単位時間あたりの降水量と、非常用発電装置700が雨水ポンプ830に単位時間あたりに供給する電力量(以下、単位時間あたりの供給電力量という。)との間の既知の第1相関関係を表している。
【0043】
なお、上記時間帯の時間幅は、既述の部分期間の時間幅以下であることが好ましい。本実施形態では、上記時間帯の時間幅は1時間とする。
【0044】
以下では、理解を容易にするために、第1相関関係を、時間帯と単位時間あたりの降水量とを引数とし、単位時間あたりの供給電力量を戻り値とする関数f{時間帯,単位時間あたりの降水量}として表す。
【0045】
必要電力量推定部112は、部分期間ごとに、その部分期間に該当する時間帯についての第1相関関係f{時間帯,単位時間あたりの降水量}を用いて、その部分期間に非常用発電装置700が雨水ポンプ830に供給する電力量を求める。
【0046】
図4を再び参照し、具体的に説明する。以下では、15時から16時までの期間を第1部分期間と呼び、16時から17時までの期間を第2部分期間と呼び、17時から18時までの期間を第3部分期間と呼ぶ。
【0047】
必要電力量推定部112は、まず、関数f{時間帯,単位時間あたりの降水量}に、時間帯として、15時から16時までの第1部分期間を入力し、かつその時間帯における単位時間あたりの降水量として3mmを入力する。これにより、第1部分期間における単位時間あたりの供給電力量f{15時から16時,3mm}=x[W]が特定される。
【0048】
次に、必要電力量推定部112は、その特定した、単位時間あたりの供給電力量x[W]に、第1部分期間の期間長をかけ算する。これにより、第1部分期間に非常用発電装置700が雨水ポンプ830に供給する電力量X[J]が求まる。
【0049】
同様にして、必要電力量推定部112は、第2部分期間における単位時間あたりの供給電力量f{16時から17時,5mm}=y[W]を特定する。そして、必要電力量推定部112は、その特定した、単位時間あたりの供給電力量y[W]に、第2部分期間の期間長をかけ算することで、第2部分期間に非常用発電装置700が雨水ポンプ830に供給する電力量Y[J]を求める。
【0050】
また、必要電力量推定部112は、第3部分期間における単位時間あたりの供給電力量f{17時から18時,2mm}=z[W]を特定する。そして、必要電力量推定部112は、その特定した、単位時間あたりの供給電力量z[W]に、第3部分期間の期間長をかけ算することで、第3部分期間に非常用発電装置700が雨水ポンプ830に供給する電力量Z[J]を求める。
【0051】
次に、必要電力量推定部112は、以上のようにして部分期間ごとに求めた電力量X[J]、Y[J]、Z[J]の、部分期間についての和X+Y+Z[J]を必要電力量として算出する。つまり、必要電力量は、降雨期間に雨水ポンプ830に対して供給される電力量の総量を表す。
【0052】
図3に戻り、説明を続ける。必要燃料量推定装置100は、必要電力量推定部112によって求められた必要電力量の値を用いて、その必要電力量の生成に必要な燃料740の総量である必要燃料量を推定する必要燃料量推定部113も備える。
【0053】
必要燃料量推定部113は、電力量-燃料量相関情報143を用いて、必要燃料量を推定する。電力量-燃料量相関情報143は、既述のとおり、非常用発電装置700が生成する電力量(以下、生成電力量という。)と、非常用発電装置700が消費する燃料740の量(以下、消費燃料量という。)との間の既知の第2相関関係を表す。
【0054】
以下では、理解を容易にするために、第2相関関係を、生成電力量を引数とし、消費燃料量を戻り値とする関数g{生成電力量}として表す。
【0055】
必要燃料量推定部113は、必要電力量推定部112によって求められた必要電力量の値を、生成電力量として関数g{生成電力量}に入力する。これにより、その必要電力量を生成するために必要な必要燃料量g{必要電力量}=U[L]が特定される。
【0056】
また、必要燃料量推定装置100は、残油量データD2を取得する残油量データ取得部114も備える。既述のとおり、残油量データD2は、
図1に示す非常用発電装置700の燃料タンク730に備蓄されている燃料740の現在の量である残油量V[L]を表す。
【0057】
また、必要燃料量推定装置100は、非常用発電装置700の燃料タンク730に補充すべき燃料の量である補充量を求める補充量提示部115も備える。
【0058】
具体的には、補充量提示部115は、必要燃料量推定部113によって求められた必要燃料量U[L]から、残油量データD2が表す残油量V[L]を差し引くことにより、非常用発電装置700の燃料タンク730に補充すべき補充量U-V[L]を求める。
【0059】
また、補充量提示部115は、求めた補充量U-V[L]を保守要員へ提示させる制御を行う。本実施形態では、提示とは、
図2に示す表示装置130への表示を意味する。即ち、補充量提示部115は、求めた補充量U-V[L]を表示装置130に表示させる。これにより、保守要員は、補充量U-V[L]を把握でき、降雨の前に、補充量U-V[L]の分の燃料740を燃料タンク730に補給しておくことができる。
【0060】
以下、
図5を参照し、必要燃料量推定装置100の動作をまとめる。
図5は、必要燃料量推定装置100が行う必要燃料量推定処理を示す。
【0061】
図5に示すように、まず、気象予報データ取得部111が、対象地域における気象予報を表す気象予報データD1を、気象予報サーバ600から取得する(ステップS11)。気象予報データD1は、今後の降雨の見込みの有無を表す。
【0062】
気象予報データ取得部111は、気象予報データD1が降雨の見込みが無いことを表す場合(ステップS12;NO)、再びステップS11に戻る。
【0063】
一方、気象予報データ取得部111は、気象予報データD1が降雨の見込みが有ることを表す場合(ステップS12;YES)、その気象予報データD1を必要電力量推定部112に出力する。降雨の見込みが有ることを表す気象予報データD1は、予想される降雨期間、及び降雨期間を構成する部分期間ごとの、単位時間あたりの降水量を表す。
【0064】
必要電力量推定部112は、その気象予報データD1と、降水量-電力量相関情報142とを用いて、部分期間ごとに、その部分期間に非常用発電装置700が雨水ポンプ830に供給すべき電力量を求める(ステップS13)。
【0065】
そして、必要電力量推定部112は、部分期間ごとに求めた電力量の、部分期間についての和を必要電力量として算出する(ステップS14)。このようにして算出される必要電力量は、降雨期間に雨水ポンプ830に対して供給すべき電力量の総量を表す。
【0066】
次に、必要燃料量推定部113が、必要電力量推定部112によって求められた必要電力量の値と、電力量-燃料量相関情報143とを用いて、その必要電力量を生成するために非常用発電装置700が消費する燃料の総量である必要燃料量U[L]を特定する(ステップS15)。
【0067】
次に、補充量提示部115が、必要燃料量推定部113によって特定された必要燃料量U[L]と、残油量データD2が表す残油量V[L]とを比較する(ステップS16)。残油量V[L]>必要燃料量U[L]である場合(ステップS16;NO)、燃料740を補充する必要が無いので、処理はステップS11に戻る。
【0068】
一方、必要燃料量U[L]≧残油量V[L]である場合(ステップS16;YES)、補充量提示部115は、必要燃料量U[L]から残油量V[L]を差し引いた補充量U-V[L]を求め、求めた補充量U-V[L]を提示させる制御を行う(ステップS17)。なお、ステップS17の後、処理は、ステップS11に戻る。
【0069】
ステップS17での制御により、表示装置130に補充量U-V[L]が表示される。従って、保守要員は、降雨の前に、補充量U-V[L]の分の燃料740を燃料タンク730に補給しておくことができる。
【0070】
以上説明したように、本実施形態に係る必要燃料量推定装置100によれば、必要燃料量U[L]が推定されるので、降雨が予想される場合に、どの程度の量の燃料740が必要とされるかを降雨の前に把握することができる。具体的には、必要燃料量U[L]から残油量V[L]を差し引いた補充量U-V[L]が降雨の前に保守要員に提示される。
【0071】
このため、実際に必要とされる量を大幅に超過する量の燃料740を、常時に燃料タンク730に備蓄させておく必要がない。一方、多量の補充量U-V[L]が提示される事態が繰り返される場合には、保守要員は、燃料タンク730に常時に備蓄させる燃料740の量を増やしておくという措置を講ずることもできる。
【0072】
このようにして、本実施形態に係る必要燃料量推定装置100によれば、燃料タンク730に備蓄させる燃料740の量の適正化を図ることが支援される。
【0073】
[実施形態2]
上記実施形態1では、単位時間あたりの降水量から電力量を推定した。単位時間あたりの降水量から、雨水ポンプ830の負荷率を推定し、その負荷率から電力量を推定してもよい。つまり、必要電力量推定部112は、雨水ポンプ830の負荷率に基づいて、必要電力量を求めてもよい。以下、具体的に説明する。
【0074】
以下の説明で、或る期間における雨水ポンプ830の負荷率とは、その期間における雨水ポンプ830の平均需要電力[W]を、その期間における雨水ポンプ830の最大需要電力[W]で割った物理量を指す。
【0075】
図6に示すように、本実施形態に係る必要電力量推定部112は、降水量-負荷率相関情報144と、負荷率-電力量相関情報145と、気象予報データD1とを用いて、既述の必要電力量を算出する。降水量-負荷率相関情報144及び負荷率-電力量相関情報145は、
図2に示した記憶装置140に予め記憶されているものとする。
【0076】
降水量-負荷率相関情報144は、対象地域の単位時間あたりの降水量と、その単位時間における雨水ポンプ830の負荷率との間の既知の相関関係(以下、第3相関関係という。)を表す。具体的には、降水量-負荷率相関情報144は、単位時間刻みで構成される1日の時間帯ごとに、第3相関関係を表している。
【0077】
降水量-負荷率相関情報144は、第3相関関係を表す関数式、又はデータベースその他のデータ構造である。関数式は、プログラムコードとして必要燃料量推定プログラム141に組み込むことができる。降水量-負荷率相関情報144は、過去の実績を用いて統計的手法により予め作成される。
【0078】
なお、第3相関関係は、時間帯と単位時間あたりの降水量とを引数とし、その時間帯における雨水ポンプ830の負荷率を戻り値とする関数fA{時間帯,単位時間あたりの降水量}として表すことができる。
【0079】
一方、負荷率-電力量相関情報145は、単位時間における雨水ポンプ830の負荷率と、その単位時間に非常用発電装置700が雨水ポンプ830に供給する電力量との間の既知の相関関係(以下、第4相関関係という。)を表す。
【0080】
負荷率-電力量相関情報145は、第4相関関係を表す関数式、又はデータベースその他のデータ構造である。関数式は、プログラムコードとして必要燃料量推定プログラム141に組み込むことができる。負荷率-電力量相関情報145は、過去の実績を用いて統計的手法により予め作成される。
【0081】
なお、第4相関関係は、単位時間における雨水ポンプ830の負荷率を引数とし、その単位時間に非常用発電装置700が雨水ポンプ830に供給する電力量を戻り値とする関数fB{負荷率}として表すことができる。
【0082】
まず、必要電力量推定部112は、部分期間ごとに、その部分期間に該当する時間帯についての第3相関関係を用いて、その部分期間における負荷率を求める。
【0083】
具体的には、上記関数fA{時間帯,単位時間あたりの降水量}に、気象予報データD1が表す部分期間と、その部分期間における単位時間あたりの降水量とを入力することで、その部分期間における負荷率を特定することができる。
【0084】
次に、必要電力量推定部112は、第4相関関係を用いて、部分期間ごとに、その部分期間に非常用発電装置700が雨水ポンプ830に供給する電力量を求める。
【0085】
具体的には、上記関数fB{負荷率}に、部分期間における負荷率を入力することで、その部分期間に非常用発電装置700が雨水ポンプ830に供給する電力量を特定する。
【0086】
以上のように、本実施形態に係る必要電力量推定部112は、部分期間ごとに、その部分期間における負荷率を求め、求めた負荷率に基づいて、その部分期間に非常用発電装置700が雨水ポンプ830に供給する電力量を求める。
【0087】
そして、必要電力量推定部112は、以上のようにして部分期間ごとに求めた電力量の、部分期間についての和を必要電力量として算出する。この点は、実施形態1と同じである。また、他の構成及び効果は、実施形態1と同様である。
【0088】
[実施形態3]
図4には、対象地域の降雨期間における降水量が、部分期間における短時間当たりの降水量によって構成された気象予報データD1を例示した。対象地域の降雨期間における降水量は、降雨期間の開始時刻から終了時刻にわたる降水量の総量であってもよい。以下、その具体例を述べる。
【0089】
図7に示すように、本実施形態に係る気象予報データは、降雨期間の開始時刻から終了時刻にわたる降水量の総量である総降水量を表す。
図7の例示では、降雨期間の開始時刻は15時であり、降雨期間の終了時刻は18時であり、総降水量は20mmである。
【0090】
図8に示すように、本実施形態に係る必要電力量推定部112は、総降水量-総電力量相関情報146と、気象予報データD1とを用いて、既述の必要電力量を算出する。総降水量-総電力量相関情報146は、
図2に示した記憶装置140に予め記憶されているものとする。
【0091】
総降水量-総電力量相関情報146は、対象地域における降水量と、非常用発電装置700が雨水ポンプ830に供給する電力量との間の既知の相関関係(以下、第5相関関係という。)を表す。なお、第5相関関係は、降水量を引数とし、電力量を戻り値とする関数h{降水量}として表すことができる。
【0092】
総降水量-総電力量相関情報146は、第5相関関係を表す関数式、又はデータベースその他のデータ構造である。関数式は、プログラムコードとして必要燃料量推定プログラム141に組み込むことができる。総降水量-総電力量相関情報146は、過去の実績を用いて統計的手法により予め作成される。
【0093】
必要電力量推定部112は、第5相関関係を用いて、降水量が総降水量である場合の電力量として、既述の必要電力量を推定する。具体的には、上記関数h{降水量}に、気象予報データD1が表す総降水量を入力することで、必要電力量h{降水量=総降水量}を特定することができる。
【0094】
必要電力量推定部112によって特定された必要電力量の値が後段の必要燃料量推定部113に与えられる点、並びに他の構成及び効果は、実施形態1と同様である。
【0095】
[実施形態4]
雨水ポンプ場900においては、降雨が激しくない場合は、非常用発電装置700から雨水ポンプ830への電力の供給が行われずに、雨水ポンプ830が商用電源からの電力の供給を受けて作動する構成を採ってもよい。この構成では、降雨が激しい場合に限り、商用電源に加えて非常用発電装置700も雨水ポンプ830に電力を供給する。
【0096】
そこで、降雨が予想される場合に、雨水ポンプ830に供給すべき電力が商用電源で賄えるか否か、即ち、非常用発電装置700を作動させる必要があるか否かを判断する判断部の機能を、必要燃料量推定装置100に追加してもよい。以下、その具体例を述べる。
【0097】
図9に示すように、本実施形態では、既述のステップS12で降雨の見込みが有る場合(ステップS12;YES)、気象予報データ取得部111が、その降雨における雨水ポンプ830の作動が商用電源で賄えるか否かを判断する(ステップS21)。
【0098】
具体的には、気象予報データ取得部111は、気象予報データD1が表す、降雨期間における単位時間あたりの降水量の最大値(以下、最大降水量という。)を、商用電源に加えて非常用発電装置700の併用を開始する必要があることを表すものとして予め定められた下限閾値と比較する。
【0099】
最大降水量が上記下限閾値未満であれば、雨水ポンプ830の作動が商用電源で賄えると言える(ステップS21;YES)。この場合は、非常用発電装置700に燃料740を補充する必要がないので、処理はステップS11に戻る。
【0100】
一方、最大降水量が上記下限閾値以上であれば、雨水ポンプ830の作動が商用電源だけでは賄えず、非常用発電装置700の併用が必要であると言える(ステップS21;NO)。この場合は、非常用発電装置700に燃料740を補充する必要性をさらに判断する必要があるので、処理は既述のステップS13に移行する。ステップS13以降の処理は、実施形態1と同じである。
【0101】
以上のように、本実施形態では、気象予報データ取得部111が、気象予報データD1を用いて、降雨期間における雨水ポンプ830の作動が商用電源で賄えるか否かを判断する判断部の役割を果たす。必要電力量推定部112は、判断部によって雨水ポンプ830の作動が商用電源では賄えないと判断された場合に、必要電力量の推定を行う。
【0102】
なお、判断部によって雨水ポンプ830の作動が商用電源では賄えると判断された場合に、降雨が予想されるが非常用発電装置700への燃料740の補充は不要である旨を提示させる補充要否報知部をさらに備えてもよい。ここでいう提示とは、具体的には、表示装置130への表示を指す。
【0103】
[実施形態5]
図3には、補充量を求める補充量提示部115を例示したが、補充量の算出は必須ではない。以下、補充量を算出する機能を省略した構成について述べる。
【0104】
図10に、実施形態5に係る必要燃料量推定装置100の機能を示す。本実施形態に係る必要燃料量推定装置100は、
図3に示した補充量提示部115に代えて、警報部116を備える。
【0105】
警報部116は、必要燃料量推定部113によって推定された必要燃料量と、残油量データD2が表す残油量とを比較する。そして、警報部116は、必要燃料量が残油量を上回る場合に、非常用発電装置700に燃料740を補充すべき旨の警報を発する制御を行う。この警報は、本実施形態では、
図2に示す表示装置130への表示によって実現される。本実施形態によれば、実施形態1に比べて構成の簡素化が図られる。
【0106】
以上、実施形態1-5について説明した。以下に述べる変形も可能である。
【0107】
実施形態1では、
図3に示す降水量-電力量相関情報142が1日の時間帯ごとに既述の第1相関関係を表す場合について述べた。降水量-電力量相関情報142は、1日の時間帯に依存しない第1相関関係、即ち、すべての時間帯に共通して使用可能な第1相関関係を表すものであってもよい。
【0108】
実施形態1では、
図3に示す補充量提示部115が、必要燃料量から残油量を引き算することにより補充量を求めることとしたが、補充量の定義はこの単純な引き算に限られない。補充量は、必要燃料量と残油量とに基づいて定められる値であればよい。他の一例として、補充量は、必要燃料量から残油量を引き算した値に、安全のために予め定められた一定量を上乗せした値として定義されてもよい。
【0109】
実施形態2では、
図6に示す降水量-負荷率相関情報144が1日の時間帯ごとに既述の第3相関関係を表す場合について述べた。降水量-負荷率相関情報144は、1日の時間帯に依存しない第3相関関係、即ち、すべての時間帯に共通して使用可能な第3相関関係を表すものであってもよい。
【0110】
本明細書において、必要電力量の値を用いて必要燃料量を推定するとは、一旦必要電力量を求めた後に必要燃料量を推定することのみならず、部分期間ごとに、その部分期間に雨水ポンプ830に供給すべき電力量を生成するのに必要な燃料量を求め、求めた燃料量の部分期間についての和を求めることも含む意味とする。
【0111】
図1において、必要燃料量推定装置100の設置場所は、雨水ポンプ場900から離れた遠隔地であってもよいし、雨水ポンプ場900であってもよい。また、保守要員に対して各種の提示又は報知を行う手段である表示装置130が雨水ポンプ場900に設置されていて、必要燃料量推定装置100の、表示装置130以外の構成が遠隔地に設置されていてもよい。即ち、遠隔地から、雨水ポンプ場900の表示装置130を制御する構成を採ってもよい。
【0112】
図2に示す必要燃料量推定プログラム141を既存のコンピュータにインストールすることで、そのコンピュータを必要燃料量推定装置100として機能させることができる。必要燃料量推定プログラム141は、通信ネットワークを介して配布してもよいし、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体に格納して配布してもよい。
【0113】
以下、本開示の諸態様を付記する。
【0114】
(付記1)
雨水が流れ込む雨水ポンプ井から前記雨水を排出する雨水ポンプに対して前記雨水の排出に必要な電力を供給するために非常用発電装置が設置された雨水ポンプ場を含む対象地域の、予想される降雨期間及びその降雨期間における降水量を表す気象予報データを取得する気象予報データ取得部と、
前記気象予報データを用いて、前記非常用発電装置が前記雨水ポンプに対して前記降雨期間に供給する電力量の総量である必要電力量を推定する必要電力量推定部と、
前記必要電力量の値を用いて、前記必要電力量を生成するために前記非常用発電装置が消費する燃料の総量である必要燃料量を推定する必要燃料量推定部と、
を備える、必要燃料量推定装置。
【0115】
(付記2)
前記気象予報データは、前記降雨期間を構成する部分期間ごとに、その部分期間における、単位時間あたりの降水量を表しており、
前記必要電力量推定部は、前記対象地域の単位時間あたりの降水量と、前記非常用発電装置が前記雨水ポンプに単位時間あたりに供給する電力量と、の間の既知の相関関係を表す降水量-電力量相関情報を用いて、前記非常用発電装置が前記雨水ポンプに供給する電力量を前記部分期間ごとに求めることにより、前記必要電力量を推定する、
付記1に記載の必要燃料量推定装置。
【0116】
(付記3)
前記気象予報データは、前記降雨期間を構成する部分期間ごとに、その部分期間における、単位時間あたりの降水量を表しており、
前記必要電力量推定部は、前記対象地域の単位時間あたりの降水量と、前記単位時間における前記雨水ポンプの負荷率と、の間の既知の相関関係を表す降水量-負荷率相関情報を用いて、前記非常用発電装置が前記雨水ポンプに供給する電力量を前記部分期間ごとに求めることにより、前記必要電力量を推定する、
付記1に記載の必要燃料量推定装置。
【0117】
(付記4)
前記気象予報データは、前記降雨期間の開始時刻から終了時刻にわたる前記降水量の総量である総降水量を表しており、
前記必要電力量推定部は、前記対象地域における降水量と、前記非常用発電装置が前記雨水ポンプに供給する電力量と、の間の既知の相関関係を用いて、該降水量が前記総降水量である場合の該電力量として、前記必要電力量を推定する、
付記1に記載の必要燃料量推定装置。
【0118】
(付記5)
前記非常用発電装置から、前記非常用発電装置に備蓄されている前記燃料の現在の量である残油量を表す残油量データを取得する残油量データ取得部と、
前記残油量と前記必要燃料量とに基づいて、前記非常用発電装置に補充すべき前記燃料の量である補充量を求め、求めた前記補充量を提示させる制御を行う補充量提示部と、
をさらに備える、付記1から4のいずれかに記載の必要燃料量推定装置。
【0119】
(付記6)
前記非常用発電装置から、前記非常用発電装置に備蓄されている前記燃料の現在の量である残油量を表す残油量データを取得する残油量データ取得部と、
前記必要燃料量が前記残油量を上回る場合に、前記非常用発電装置に前記燃料を補充すべき旨の警報を発する制御を行う警報部と、
をさらに備える、付記1から4のいずれかに記載の必要燃料量推定装置。
【0120】
(付記7)
付記1から6のいずれかに記載の必要燃料量推定装置と、
前記非常用発電装置と、
を備える、必要燃料量推定システム。
【0121】
(付記8)
コンピュータを、
雨水が流れ込む雨水ポンプ井から前記雨水を排出する雨水ポンプに対して前記雨水の排出に必要な電力を供給するために非常用発電装置が設置された雨水ポンプ場を含む対象地域の、予想される降雨期間及びその降雨期間における降水量を表す気象予報データを取得する気象予報データ取得部、
前記気象予報データを用いて、前記非常用発電装置が前記雨水ポンプに対して前記降雨期間に供給する電力量の総量である必要電力量を推定する必要電力量推定部、
前記必要電力量の値を用いて、前記必要電力量を生成するために前記非常用発電装置が消費する燃料の総量である必要燃料量を推定する必要燃料量推定部、
として機能させる、必要燃料量推定プログラム。
【符号の説明】
【0122】
100 必要燃料量推定装置、110 プロセッサ、111 気象予報データ取得部、112 必要電力量推定部、113 必要燃料量推定部、114 残油量データ取得部、115 補充量提示部、116 警報部、120 通信装置、130 表示装置、140 記憶装置、141 必要燃料量推定プログラム、142 降水量-電力量相関情報、143 電力量-燃料量相関情報、144 降水量-負荷率相関情報、145 負荷率-電力量相関情報、146 総降水量-総電力量相関情報、200 必要燃料量推定システム、600 気象予報サーバ、700 非常用発電装置、710 発電機、720 原動機、730 燃料タンク、740 燃料、750 残油量センサ、810 雨水、820 雨水ポンプ井、830 雨水ポンプ、900 雨水ポンプ場、D1 気象予報データ、D2 残油量データ、N1,N2 通信回線。