(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177980
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】表面処理粉体及びその粉体を配合した化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/19 20060101AFI20241217BHJP
A61Q 1/12 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
A61K8/19
A61Q1/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096431
(22)【出願日】2023-06-12
(71)【出願人】
【識別番号】000226437
【氏名又は名称】日光ケミカルズ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】長谷 昇
(72)【発明者】
【氏名】中村 昌平
(72)【発明者】
【氏名】中野 純也
(72)【発明者】
【氏名】秦 萌
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB212
4C083AB232
4C083AB242
4C083AB372
4C083AB432
4C083AC022
4C083AC242
4C083AC342
4C083AC792
4C083AD072
4C083AD152
4C083BB25
4C083CC12
4C083DD17
4C083DD21
4C083EE06
4C083EE07
4C083FF01
(57)【要約】
【課題】本発明は、肌へ塗布した時の感触や肌への付着性及び化粧持ちに優れているメイクアップ化粧料、サンスクリーン化粧料又は乳液などの化粧料を提供することを課題とする。
【解決手段】常温で液状又はペースト状であって分子構造中にエステル結合および/または水酸基を有する化合物によって顔料粉体の表面が処理されている表面処理粉体とこれを配合することによって、肌へ塗布した時の感触や肌への付着性及び化粧持ちに優れているメイクアップ化粧料、サンスクリーン化粧料又は乳液などの化粧料を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
常温で液状又はペースト状であって分子構造中にエステル結合および/または水酸基を有する化合物によって顔料粉体の表面が処理されている表面処理粉体。
【請求項2】
前記化合物は、高級脂肪酸、高級アルコール、アルキルグリセリルエーテル、脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、からなる群から選択される少なくとも一つの化合物であることを特徴とする請求項1に記載の表面処理粉体。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の表面処理粉体を含有することを特徴とする化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファンデーションなどのメイクアップ化粧料、サンスクリーン化粧料又は乳液などの化粧料に配合して好適な表面処理粉体、及びその粉体を配合した化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ファンデーション、アイシャドー、アイブロー、ほほ紅などのメイクアップ化粧料や、ボディーパウダー、ベビーパウダーなどのボディー化粧料や、乳液、クリームなどの基礎化粧料に配合される粉体は、肌への付着性や、のびの良さ、しっとり感を付与するなどの粉体の感触を良くするなどの目的で、顔料粉体の表面に各種の化合物を被覆させた表面処理粉体が用いられている。
【0003】
顔料粉体の表面処理方法としては多くの方法が知られており、例えば、メチルハイドロジェンポリシロキサンや、ジメチルポリシロキサンなどのシリコーン化合物による表面処理(例えば特許文献1参照)、パーフルオロアルキルリン酸ジエタノールアミン塩やフッ素変性シランなどのフッ素化合物による表面処理(例えば特許文献2参照)や、スフィンゴシン類縁体による表面処理(例えば特許文献3参照)などがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭60-163973号公報
【特許文献2】特開2001-2524号公報
【特許文献3】特開平8-143422号公報
【0005】
特許文献1に記載のシリコーン化合物で処理した粉体は、撥水性が付与されることにより、また特許文献2に記載のフッ素化合物で処理した粉体は、撥水撥油性が付与されることにより、化粧崩れを防止し、化粧持続性を向上させるという点で、これらの処理は大変優れている。しかしながら、これらの粉体では、感触がパサパサした感じでしっとり感に乏しく、生体への親和性が悪いことにより肌への付着性が悪いなどの問題や、撥水効果又は撥水撥油効果が優れているが故に、化粧料を洗い流す際、十分に洗浄されず、化粧料が肌に残ってしまうという問題があった。また、特許文献3に記載のものでは、しっとり感は付与できるが、肌への付着性やのびの良さなどの感触の点で満足のいくものではなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前述のような問題点に鑑みてなされたもので、化粧料に配合した場合に、肌へ塗布した際の感触(しっとり感とのびの良さの両立)や肌への付着性に優れた表面処理粉体を提供し、併せてその粉体を配合した化粧料を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明者らは鋭意研究努力を重ねた結果、顔料粉体を常温で液状又はペースト状であって分子構造中にエステル結合および/または水酸基を有する化合物で表面処理することにより、その表面処理粉体を配合した化粧料は、肌への塗布時の感触が滑らかでのびが良くてしっとりしており、かつ付着性も良好なこと及び優れた撥水性を得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
また、本発明による化粧料は、本発明に係る表面処理粉体を配合したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、撥水性に優れ、肌への塗布時の感触が滑らかでのびが良くて、しっとりしており、付着性も良好な表面処理粉体及びこの表面処理粉体を配合した化粧料を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明による表面処理粉体及びその粉体を配合した化粧料の具体的な実施の形態について説明する。
【0011】
本発明において、顔料粉体に表面処理される常温で液状又はペースト状であって分子構造中にエステル結合および/または水酸基を有する化合物は、高級脂肪酸、高級アルコール、アルキルグリセリルエーテル、脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、からなる群から選択される少なくとも一つの化合物であることが好ましい。中でもアルキルグリセリルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油は、肌への塗布時の感触がしっとりしており、かつ付着性も良好なことからより好ましい。
【0012】
本発明に係る上記化合物である高級脂肪酸は、常温で液状であるイソステアリン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸等が挙げられる。上記高級脂肪酸の中ではイソステアリン酸が好ましく、特に下記一般式(1)で示される末端メチル分岐型のイソステアリン酸を主成分とするイソステアリン酸で表面処理することにより、その表面処理粉体を配合した化粧料は、肌への塗布時の感触が滑らかでのびが良くてしっとりしており、かつ付着性も良好なこと及び優れた撥水性を得られることから特に好ましい。
【0013】
本発明に係る上記化合物である高級アルコールは、常温で液状又はペースト状であるラウリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、へキシルデカノール、オクチルドデカノール等が挙げられる。
【0014】
本発明に係る上記化合物であるアルキルグリセリルエーテルは、常温で液状又はペースト状であるイソステアリン酸バチル、モノオレイルグリセリルエーテル、モノイソステアリルグリセリルエーテル等が挙げられる。
【0015】
本発明に係る上記化合物である脂肪酸エステルは、脂肪酸と高級アルコールとのエステルであり、常温で液状であるイソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸トリシクロデカンメチル、(カプリル酸/カプリン酸)ヤシアルキル、ラウリン酸ヘキシル、ラウリン酸メチルヘプチル、ラウリン酸カプリリル、ラウリン酸デシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸メチルヘプチル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸メチルヘプチル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸2-エチルヘキシル、イソステアリン酸エチル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソブチル、イソステアリン酸デシル、イソステアリン酸メチルヘプチル、イソステアリン酸2-ヘキシルデシル、ヒドロキシステアリン酸2-エチルヘキシル、オレイン酸オクチルドデシル、オレイン酸オレイル、リシノレイン酸オクチルドデシル、パラメトキシケイ皮酸オクチル、安息香酸アルキル、ホホバ油等が挙げられる。
【0016】
本発明に係る上記化合物であるグリセリン脂肪酸エステルは、グリセリンと脂肪酸のエステルであり、常温で液状であるイソステアリン酸グリセリル等のモノエステル油;ジ(カプリル酸/カプリン酸)プロパンジオール、ジイソノナン酸ネオペンチルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジイソステアリン酸グリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、ジイソステアリン酸プロパンジオール、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、ラウロイルグルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)、ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール等のジエステル油;トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、オリーブ油、ヒマシ油、アボガド油、ヒマワリ油等のトリエステル油等が挙げられる。
【0017】
本発明に係る上記化合物であるポリグリセリン脂肪酸エステルは、グリセリンを重合したポリグリセリンと脂肪酸のエステルでグリセリンの重合度は4以下が好ましい。グリセリンの重合度が4を超えると親水性が高くなり、表面処理粉体の撥水性が得られない場合がある。前記ポリグリセリン脂肪酸エステルは、常温で液状又はペースト状であるイソステアリン酸ポリグリセリル―2、オレイン酸ポリグリセリル―2、トリイソステアリン酸ポリグリセリル―2、テトライソステアリン酸リグリセリル―2等が挙げられる。
【0018】
本発明に係る上記化合物であるソルビタン脂肪酸エステルは、ソルビタンと脂肪酸のエステルであり、常温で液状又はペースト状であるモノイソステアリン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、トリイソステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン等が挙げられる。
【0019】
本発明に係る上記化合物であるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油は、硬化ヒマシ油とポリオキシエチレン化合物をエーテル化したものでポリオキシエチレンの付加モル数は10以下が好ましい。ポリオキシエチレンの付加モルが10を超えると親水性が高くなり、表面処理粉体の撥水性が得られない場合がある。前記ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油は、常温でペースト状であるPEG-5水添ヒマシ油、PEG-10水添ヒマシ油等が挙げられる。
【0020】
本発明に用いられる化粧料用顔料としては、例えば、無機粉体、有機粉体、界面活性剤金属塩粉体(金属石鹸)、有色顔料、パール顔料、タール色素等がある。
【0021】
無機粉体としては、例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、マイカ、カオリン、セリサイト、白雲母、合成雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、ヒドロキシアパタイト、バーミキュライト、ハイジライト、ベントナイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、ゼオライト、セラミックスパウダー、第二リン酸カルシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ボロン、シリカ等が挙げられる。
【0022】
有機粉体としては、例えば、ポリアミドパウダー、ポリエステルパウダー、ポリエチレンパウダー、ポリプロピレンパウダー、ポリスチレンパウダー、ポリウレタンパウダー、ベンゾグアナミンパウダー、ポリメチルベンゾグアナミンパウダー、ポリテトラフルオロエチレンパウダー、ポリメチルメタクリレートパウダー、セルロース、シルクパウダー、ナイロンパウダー、12ナイロン、6ナイロン、アクリルパウダー、アクリルエラストマー、スチレン・アクリル酸共重合体、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体、ビニル樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ケイ素樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネイト樹脂、微結晶繊維粉体、デンプン末、ラウロイルリジン等が挙げられる。
【0023】
界面活性剤金属塩粉体(金属石鹸)としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ミリスチン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、セチルリン酸亜鉛、セチルリン酸カルシウム、セチルリン酸亜鉛ナトリウム等が挙げられる。
【0024】
有色顔料としては、例えば、酸化鉄、水酸化鉄、チタン酸鉄の無機赤色顔料、γ-酸化鉄等の無機褐色系顔料、黄酸化鉄、黄土等の無機黄色系顔料、黒酸化鉄、カーボンブラック等の無機黒色顔料、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット等の無機紫色顔料、水酸化クロム、酸化クロム、酸化コバルト、チタン酸コバルト等の無機緑色顔料、紺青、群青等の無機青色系顔料、微粒子酸化チタン、微粒子酸化セリウム、微粒子酸化亜鉛等の微粒子粉体、タール系色素をレーキ化したもの、天然色素をレーキ化したもの、及びこれらの粉体を複合化した合成樹脂粉体等が挙げられる。
【0025】
パール顔料としては、例えば、酸化チタン被覆雲母、オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆タルク、魚鱗箔、酸化チタン被覆着色雲母等; 金属粉末顔料としては、アルミニウムパウダー、カッパーパウダー、ステンレスパウダー等から選ばれる粉体が挙げられる。
【0026】
また、タール色素としては、例えば、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、黄色204号、黄色401号、青色1号、青色2号、青色201号、青色404号、緑色3号、緑色201号、緑色204号、緑色205号、橙色201号、橙色203号、橙色204号、橙色206号、橙色207号等;天然色素としては、カルミン酸、ラッカイン酸、カルサミン、ブラジリン、クロシン等から選ばれる顔料が挙げられる。
【0027】
次に、本発明の表面処理粉体の製造方法について説明する。顔料粉体の表面に常温で液状又はペースト状であって分子構造中にエステル結合および/または水酸基を有する化合物を被覆する表面処理方法としては、表面処理される顔料粉体を適当なミキサー中で撹拌し、前記化合物をそのまま液滴下する、もしくはイソステアリン酸をエタノール、イソプロピルアルコール、イソブタノール等のアルコール類、トルエン、n-ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素系有機溶剤、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等の極性有機溶剤などに溶解させておき、この溶液を液滴下又はスプレー噴霧にて加え撹拌した後、有機溶剤を完全に蒸発除去し、その後、90℃以上で加熱熟成させ、場合によっては粉砕することによって、表面処理を行う方法が一般的である。
なお、有機溶剤を使用する場合、使用される溶剤としては、イソプロピルアルコールが特に好ましい。その理由は、イソプロピルアルコールを使用することにより、上述列記のその他の溶剤と比べて、上記表面処理をより均一にすることができるため、本発明の効果(塗布時の感触や肌への付着性の向上)がより顕著に発揮されるからである。
【0028】
また、顔料粉体と常温で液状又はペースト状であって分子構造中にエステル結合および/または水酸基を有する化合物の混合分散方法としては、表面処理剤溶液の濃度や粘度などに応じて適当な方法を選択することができる。好適な例としては、撹拌羽根を有した反応槽や、ディスパー、ヘンシェルミキサー、レディゲミキサー、ニーダー、V型混合機、ロールミルなどを選択することができる。また、粉砕を行う場合においては、ハンマーミル、ボールミル、サンドミル、ジェットミル等の通常の粉砕機を用いることができる。これらいずれの粉砕機によっても同等の品質のものが得られるため、特に限定されるものではない。
【0029】
本発明で使用される常温で液状又はペースト状であって分子構造中にエステル結合および/または水酸基を有する化合物の顔料粉体に対する被覆量は、顔料粉体の粒子径によって異なるが0.1~10質量%とするのが好ましい。この被覆量が0.1質量%未満であると肌への均一な付着性及びしっとり感の付与が充分でない場合があり、10質量%を超えると感触が重くなる場合がある。
【0030】
次に、本発明に係る化粧料について説明する。本発明の化粧料は、上述した常温で液状又はペースト状であって分子構造中にエステル結合および/または水酸基を有する化合物を表面処理した粉体を配合することによって、肌へ塗布する時の感触(しっとり感とのびの良さの両立)及び肌への付着性が良く、良好な撥水性が得られる。化粧料の剤型としては、乳液、化粧水等のスキンケア化粧料、ファンデーション、口紅等のメイクアップ化粧料、頭髪化粧料等に用いることができる。配合量は特に限定されないが、好ましくは0.1~95質量%である。
【0031】
さらに、本発明の化粧料には通常化粧料に用いられる成分、例えば、粉体、界面活性剤、油剤、ゲル化剤、高分子、美容成分、保湿剤、色素、防腐剤、香料等を本発明の効果を損なわない範囲で使用することができる。
【0032】
本発明の化粧料の形態としては、パウダー状、乳液状、クリーム状、スティック状、固型状、スプレー、多層分離型などいずれの剤型を用いても構わない。
【実施例0033】
次に、本発明による表面処理粉体及びその粉体を配合した化粧料の実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0034】
表1の化合物20gをイソプロピルアルコール100gと混合し、50℃ 以上で加熱溶解して表面処理溶液を得た。次に、予め60℃ に加温したヘンシェルミキサーに表1の顔料粉体980gを仕込んだ。表面処理溶液をヘンシェルミキサー中に投入し、均一に分散後、ミキサー中を真空にすることによって溶剤を除去した。ミキサー中から表面処理粉体を取り出し、90℃で6時間加熱し、粉砕、篩いをおこなって表面処理粉体を表1の通りに得た。
【0035】
【表1】
※1:RADIACID0909(Oleon社製)
※2:イソステアリルアルコール EX(高級アルコール工業社製)
※3:NIKKOL セラキルアルコールV(日光ケミカルズ株式会社製)
※4:NIKKOL IOP(日光ケミカルズ株式会社製)
※5:EIS-V(高級アルコール工業社製)
※6:NIKKOL ホホバ油S(日光ケミカルズ株式会社製)
※7:TISG(高級アルコール工業社製)
※8:NIKKOL トリエスタ- F-810(日光ケミカルズ株式会社製)
※9:NIKKOL SI-15RV(日光ケミカルズ株式会社製)
※10:NIKKOL SO-30V(日光ケミカルズ株式会社製)
※11:NIKKOL HCO-5(日光ケミカルズ株式会社製)
※12:KF-9901(信越化学工業社製)
<撥水性>
粉体0.2gを計量し、IR用打錠器で100kgf/cm
2の力で5分間打錠して直径1cmのペレットにした。このペレットの表面にマイクロシリンジを用いてイオン交換水を一滴滴下し、滴下後30秒後に接触角を3回測定して粉体の撥水性を測定した。
<感触>
女性パネラー5名を使用して、使用感(のびの良さ、しっとり感がある)に関する官能評価試験を実施した。試験はアンケート形式で実施し、各項目に0点から5点の間の点数をつけ、0点は評価が悪い、5点は評価が優れるとして数値化し、結果を全パネラーの平均点として表した。
【0036】
表1に示される実施例と比較例の比較から、本発明の常温で液状又はペースト状であって分子構造中にエステル結合および/または水酸基を有する化合物で表面処理された顔料粉体は、撥水性が高く、使用感(のびの良さ、しっとり感)も良好である。これは本発明の表面処理粉体は、常温で液状又はペースト状の化合物が顔料粉体に効率的に付着し、均一に顔料粉体表面に処理されているからである。ただし、化合物の被覆量が10質量%を超えると感触が重くなるため10質量%以下が好ましい。
【0037】
(実施例12)
<パウダーファンデーションの製造>
表2の処方と下記製造方法に従いパウダーファンデーションを製造した。なお、表2中の単位は質量%である。
【0038】
【表2】
注1:KSP-100(信越化学工業社製)
【0039】
<製造方法>
成分Aを、ミキサーを用いて良く混合しながら、均一に加熱溶解した成分Bを除々に加えてさらに混合した後、粉砕し、メッシュを通した後、金型を用いて金皿に打型して製品を得た。
【0040】
(実施例13)
実施例12における成分(1)を実施例3に、(2)~(6)を実施例3と同様にして得られた表面処理粉体を置き換えた以外は全て実施例12と同様にしてパウダーファンデーションを得た。
【0041】
(実施例14)
実施例12における成分(1)を実施例9に、(2)~(6)を実施例9と同様にして得られた表面処理粉体を置き換えた以外は全て実施例12と同様にしてパウダーファンデーションを得た。
【0042】
(実施例15)
実施例12における成分(1)を実施例11に、(2)~(6)を実施例11と同様にして得られた表面処理粉体を置き換えた以外は全て実施例12と同様にしてパウダーファンデーションを得た。
【0043】
(比較例3)
実施例12における成分(1)を比較例1に、(2)~(6)を比較例1と同様にして得られた表面処理粉体を置き換えた以外は全て実施例12と同様にしてパウダーファンデーションを得た。
【0044】
(比較例4)
実施例12における成分(1)を比較例2に、(2)~(6)を比較例2と同様にして得られた表面処理粉体を置き換えた以外は全て実施例12と同様にしてパウダーファンデーションを得た。
【0045】
表3に実施例12~15及び比較例3~4について上記表面処理粉体の実施例の感触の評価方法と同様の方法で評価した結果を示す。
【0046】
【0047】
表3に示される実施例と比較例の比較から、本発明の常温で液状又はペースト状であって分子構造中にエステル結合および/または水酸基を有する化合物で表面処理された顔料粉体を用いた化粧料は、比較例に比べて使用感(のびの良さ、しっとり感の両方)が良好である。