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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177984
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】シャープペンシル
(51)【国際特許分類】
   B43K 21/00 20060101AFI20241217BHJP
   B43K 29/02 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
B43K21/00 D
B43K29/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096436
(22)【出願日】2023-06-12
(71)【出願人】
【識別番号】303022891
【氏名又は名称】株式会社パイロットコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100187159
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 英明
(74)【代理人】
【識別番号】100196047
【弁理士】
【氏名又は名称】柳本 陽征
(72)【発明者】
【氏名】河原崎 勇二
【テーマコード(参考)】
2C353
【Fターム(参考)】
2C353FA04
2C353FC13
2C353FE09
(57)【要約】
【課題】1回の回転動作でキャップを取り外すことが可能なシャープペンシルを提供する。
【解決手段】シャープペンシル10は、筆記芯80を収容可能な芯収容部40と、芯収容部40に取り付けられるとともに付属具15を保持する保持部材50と、保持部材50に取り付けられた操作体60と、を備え、操作体60は、係合溝61を有し、保持部材50は、係合溝61に係合可能な係合突起53を有し、係合突起53が係合溝61の一端部62に位置するときに操作体60が芯収容部40に対して後方に移動すると、係合突起53が係合溝61に係合したまま、保持部材50及び操作体60が芯収容部40から外れ、係合突起53が係合溝61の他端部63に位置するときに操作体60が芯収容部40に対して後方に移動すると、係合突起53が係合溝61から外れて、操作体60が保持部材50から外れる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筆記芯を収容可能な芯収容部と、
前記芯収容部に取り付けられるとともに付属具を保持する保持部材と、
前記保持部材に取り付けられた操作体と、を備え、
前記操作体は、係合溝を有し、
前記保持部材は、前記係合溝に係合可能な係合突起を有し、
前記係合突起が前記係合溝の一端部に位置するときに前記操作体が前記芯収容部に対して後方に移動すると、前記係合突起が前記係合溝に係合したまま、前記保持部材及び前記操作体が前記芯収容部から外れ、
前記係合突起が前記係合溝の他端部に位置するときに前記操作体が前記芯収容部に対して後方に移動すると、前記係合突起が前記係合溝から外れて、前記操作体が前記保持部材から外れる、シャープペンシル。
【請求項2】
前記係合溝は周方向に延びる、請求項1に記載のシャープペンシル。
【請求項3】
前記係合溝は、前記係合突起が中心軸線周りに20度以上70度以下の角度範囲で移動可能に構成されている、請求項1に記載のシャープペンシル。
【請求項4】
前記操作体は、前記操作体を前記保持部材に取り付ける際に前記係合突起を前記係合溝へ向けてガイドするガイド部を有する、請求項1に記載のシャープペンシル。
【請求項5】
前記ガイド部は、後方に向かうにつれて周方向の一方側へ向かうように軸方向及び周方向の両方に対して傾斜した方向へ延びる第1斜面66と、後方に向かうにつれて周方向の他方側へ向かうように軸方向及び周方向の両方に対して傾斜した方向へ延びる第2斜面と、を含む、請求項4に記載のシャープペンシル。
【請求項6】
前記係合突起が前記係合溝の前記一端部に位置するときに、前記操作体の前記保持部材に対する回転を規制する回転規制部を有する、請求項1に記載のシャープペンシル。
【請求項7】
前記回転規制部は、前記操作体に設けられた規制溝と、前記保持部材に設けられた規制突起とを含む、請求項6に記載のシャープペンシル。
【請求項8】
前記保持部材は、前記規制突起を含む弾性変形部を有する、請求項7に記載のシャープペンシル。
【請求項9】
前記芯収容部を収容する軸筒を有し、
前記軸筒は軸方向に延びる軸筒側溝を有し、
前記保持部材は、前記軸筒側溝内で軸方向にスライド可能に構成されたスライド突起を有する、請求項1に記載のシャープペンシル。
【請求項10】
前記操作体は、径方向の外側へ向けて突出した転がり止め部を有する、請求項1に記載のシャープペンシル。
【請求項11】
筆記芯を収容可能な芯収容部と、
前記芯収容部に取り付けられるとともに付属具を保持する保持部材と、
前記保持部材に取り付けられた操作体と、を備え、
前記操作体が、前記保持部材に対して回転せずに前記芯収容部に対して後方に移動すると、前記保持部材及び前記操作体が前記芯収容部から外れ、
前記操作体が、前記保持部材に対して20度以上70度以下の角度範囲で回転した後に前記芯収容部に対して後方に移動すると、前記操作体が前記保持部材から外れる、シャープペンシル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャープペンシルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、後方部分に消しゴム等の付属具が取り付けられたシャープペンシルが知られている。付属具が汚れることを防ぐために、シャープペンシルの後端には、付属具を覆うキャップが取り付けられている。このようなシャープペンシルでは、まずキャップを取り外し、その後付属具を取り外すことにより、筆記芯を補充することが可能になる。
【0003】
特許文献1には、芯タンクの後端に取り付けられるとともに付属具を保持する付属具保持部材を備えたシャープペンシルが開示されている。このシャープペンシルでは、キャップは、付属具保持部材の後端にネジ結合により取り付けられている。このシャープペンシルでは、キャップを軸筒に対して後方に引っ張ることにより、付属具保持部材とキャップとがまとめて芯タンクから取り外され、これにより筆記芯の補充を行うことが可能になっている。また、キャップを軸筒に対して中心軸線周りに回転させて、キャップと付属具保持部材との間のネジ結合を緩めることにより、キャップを付属具保持部材から取り外すことができる。この状態において、消しゴムである付属具が使用可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-151051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、特許文献1に開示されたシャープペンシルでは、キャップが付属具保持部材にネジ結合により取り付けられている。この場合、キャップを付属具保持部材から取り外す際に、キャップを持ち替えて複数回にわたってキャップを回転させることが必要になることがある。
【0006】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、1回の回転動作でキャップを取り外すことが可能なシャープペンシルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のシャープペンシルは、
[1]筆記芯を収容可能な芯収容部と、
前記芯収容部に取り付けられるとともに付属具を保持する保持部材と、
前記保持部材に取り付けられた操作体と、を備え、
前記操作体は、係合溝を有し、
前記保持部材は、前記係合溝に係合可能な係合突起を有し、
前記係合突起が前記係合溝の一端部に位置するときに前記操作体が前記芯収容部に対して後方に移動すると、前記係合突起が前記係合溝に係合したまま、前記保持部材及び前記操作体が前記芯収容部から外れ、
前記係合突起が前記係合溝の他端部に位置するときに前記操作体が前記芯収容部に対して後方に移動すると、前記係合突起が前記係合溝から外れて、前記操作体が前記保持部材から外れる、シャープペンシル、である。
【0008】
本発明のシャープペンシルは、
[2]前記係合溝は周方向に延びる、[1]に記載のシャープペンシル、である。
【0009】
本発明のシャープペンシルは、
[3]前記係合溝は、前記係合突起が中心軸線周りに20度以上70度以下の角度範囲で移動可能に構成されている、[1]又は[2]に記載のシャープペンシル、である。
【0010】
本発明のシャープペンシルは、
[4]前記操作体は、前記操作体を前記保持部材に取り付ける際に前記係合突起を前記係合溝へ向けてガイドするガイド部を有する、[1]~[3]のいずれか1つに記載のシャープペンシル、である。
【0011】
本発明のシャープペンシルは、
[5]前記ガイド部は、後方に向かうにつれて周方向の一方側へ向かうように軸方向及び周方向の両方に対して傾斜した方向へ延びる第1斜面と、後方に向かうにつれて周方向の他方側へ向かうように軸方向及び周方向の両方に対して傾斜した方向へ延びる第2斜面と、を含む、[4]に記載のシャープペンシル、である。
【0012】
本発明のシャープペンシルは、
[6]前記係合突起が前記係合溝の前記一端部に位置するときに、前記操作体の前記保持部材に対する回転を規制する回転規制部を有する、[1]~[5]のいずれか1つに記載のシャープペンシル、である。
【0013】
本発明のシャープペンシルは、
[7]前記回転規制部は、前記操作体に設けられた規制溝と、前記保持部材に設けられた規制突起とを含む、[6]に記載のシャープペンシル、である。
【0014】
本発明のシャープペンシルは、
[8]前記保持部材は、前記規制突起を含む弾性変形部を有する、[7]に記載のシャープペンシル、である。
【0015】
本発明のシャープペンシルは、
[9]前記芯収容部を収容する軸筒を有し、
前記軸筒は軸方向に延びる軸筒側溝を有し、
前記保持部材は、前記軸筒側溝内で軸方向にスライド可能に構成されたスライド突起を有する、[1]~[8]のいずれか1つに記載のシャープペンシル、である。
【0016】
本発明のシャープペンシルは、
[10]前記操作体は、径方向の外側へ向けて突出した転がり止め部を有する、[1]~[9]のいずれか1つに記載のシャープペンシル、である。
【0017】
本発明のシャープペンシルは、
[11]筆記芯を収容可能な芯収容部と、
前記芯収容部に取り付けられるとともに付属具を保持する保持部材と、
前記保持部材に取り付けられた操作体と、を備え、
前記操作体が、前記保持部材に対して回転せずに前記芯収容部に対して後方に移動すると、前記保持部材及び前記操作体が前記芯収容部から外れ、
前記操作体が、前記保持部材に対して20度以上70度以下の角度範囲で回転した後に前記芯収容部に対して後方に移動すると、前記操作体が前記保持部材から外れる、シャープペンシル、である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、1回の回転動作でキャップを取り外すことが可能なシャープペンシルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明の一実施形態を示す図であって、シャープペンシルの一例を示す外観図である。
図2図2は、図1のシャープペンシルの縦断面図である。
図3図3は、図2の一部拡大図である。
図4図4は、シャープペンシルの芯収容部の一部及び保持部材を示す図である。
図5A図5Aは、シャープペンシルの操作体を示す縦断面図である。
図5B図5Bは、シャープペンシルの操作体を示す縦断面図である。
図6A図6Aは、保持部材及び操作体が芯収容部に取り付けられた状態でシャープペンシルの一部を示す外観図である。
図6B図6Bは、保持部材及び操作体が芯収容部に取り付けられた状態でシャープペンシルの一部を示す縦断面図である。
図6C図6Cは、保持部材及び操作体が芯収容部に取り付けられた状態における、保持部材の係合突起と操作体の係合溝との位置関係を示す図である。
図7A図7Aは、保持部材及び操作体の取り外し及び取り付け途中の状態でシャープペンシルの一部を示す外観図である。
図7B図7Bは、保持部材及び操作体の取り外し及び取り付け途中の状態でシャープペンシルの一部を示す縦断面図である。
図8A図8Aは、保持部材及び操作体が芯収容部から取り外された状態でシャープペンシルの一部を示す外観図である。
図8B図8Bは、保持部材及び操作体が芯収容部から取り外された状態でシャープペンシルの一部を示す縦断面図である。
図9A図9Aは、操作体の取り外し及び取り付け途中の状態でシャープペンシルの一部を示す外観図である。
図9B図9Bは、操作体の取り外し及び取り付け途中の状態でシャープペンシルの一部を示す縦断面図である。
図9C図9Cは、図9A及び図9Bに示す状態における、保持部材の係合突起と操作体の係合溝との位置関係を示す図である。
図10A図10Aは、操作体が保持部材から取り外された状態でシャープペンシルの一部を示す外観図である。
図10B図10Bは、操作体が保持部材から取り外された状態でシャープペンシルの一部を示す縦断面図である。
図11A図11Aは、操作体を保持部材へ取り付ける途中の状態でシャープペンシルの一部を示す外観図である。
図11B図11Bは、操作体を保持部材へ取り付ける途中の状態でシャープペンシルの一部を示す縦断面図である。
図11C図11Cは、図11A及び図11Bに示す状態における、保持部材の係合突起と操作体の係合溝との位置関係を示す図である。
図12A図12Aは、操作体を保持部材へ取り付ける途中の状態でシャープペンシルの一部を示す外観図である。
図12B図12Bは、操作体を保持部材へ取り付ける途中の状態でシャープペンシルの一部を示す縦断面図である。
図12C図12Cは、図12A及び図12Bに示す状態における、保持部材の係合突起と操作体の係合溝との位置関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
【0021】
また、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件ならびにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
【0022】
本明細書では、シャープペンシル10の中心軸線Aが延びる方向(長手方向、縦断面図における上下方向)を軸方向da、軸方向daと直交する方向を径方向、中心軸線A周りの円周に沿った方向を周方向dcとする。また、軸方向daに沿って、筆記する際に紙面等の筆記面に近づく側を前方とし、筆記面から遠ざかる側を後方とする。また、径方向に沿って、中心軸線Aに近づく側を内側又は内方、中心軸線Aから遠ざかる側を外側又は外方とする。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態を示す図であって、シャープペンシル10の一例を示す外観図である。図2は、シャープペンシル10の縦断面図である。図3は、図2の一部拡大図である。
【0024】
本実施形態のシャープペンシル10は、軸筒20と、繰出機構30と、保持部材50と、操作体60と、付属具15とを含んでいる。
【0025】
軸筒20は、シャープペンシル10の中心軸線Aに沿って軸方向daに延びている。したがって、軸筒20の中心軸線は、シャープペンシル10の中心軸線Aと一致する。軸筒20の内部には、繰出機構30が配置される。軸筒20は、軸筒本体22と、軸筒本体22の前端部に連結された先端部材26とを有している。
【0026】
軸筒本体22は、略筒状の形状を有する部材であり、使用者がシャープペンシル10で筆記を行う際に、指でつかむことが意図されている。軸筒本体22は、1つの部材で構成されてもよいし、複数の部材で構成されてもよい。例えば、軸筒本体22は、前軸と、当該前軸の後方に配置された後軸とを含んでもよい。また、軸筒本体22は、内軸と、当該内軸の外側に配置されたグリップ部を含んでもよい。グリップ部は、使用者がシャープペンシル10で筆記を行う際に、指で把持される部分である。
【0027】
本実施形態の軸筒本体22は、軸筒側溝24を有している。軸筒側溝24は、軸筒本体22の内面に形成された溝である。軸筒側溝24は、軸筒本体22の後端から軸方向daに沿って直線状に延びている(図6A参照)。本実施形態では、軸筒側溝24は、軸筒本体22を径方向に貫通して形成された溝である。この場合、軸筒側溝24は、軸筒本体22の後端から軸方向daに沿って直線状に延びたスリットである。なお、これに限られず、軸筒側溝24は、軸筒本体22の内面に形成され、軸筒本体22を径方向に貫通しない溝であってもよい。軸筒側溝24内には、保持部材50のスライド突起59が配置される。スライド突起59の動作については後述する。
【0028】
先端部材26は、シャープペンシル10の先端部分を形成する部材である。先端部材26は、略円錐形状を有しており、前方に向かうにつれてその外径が小さくなっている。先端部材26の後端部が軸筒本体22の前端部に取付けられることにより、先端部材26が軸筒本体22に対して連結される。一例として、軸筒本体22の前端部の外周に形成された雄ネジ部に対して、先端部材26の後端部の内周に形成された雌ネジ部が螺合することにより、先端部材26が軸筒本体22に対して連結される。
【0029】
繰出機構30は、黒鉛等で形成された筆記芯80を前方へ繰出す機構である。本実施形態の繰出機構30は、芯収容部40と、チャック32と、弾発部材34と、締具36と、芯ホルダー38とを含んでいる。芯収容部40は、筆記芯80を収容する部材である。芯収容部40は、軸筒20内に配置されている。芯収容部40は、全体として円筒状(パイプ状)の形状を有している。芯収容部40は、保持部材50を介して操作体60から受けた押圧力をチャック32へ伝達する機能も有する。芯収容部40は、例えば樹脂で形成される。芯収容部40の後端部42の内径は、芯収容部40の本体部の内径よりも大きくなっている。この後端部42に保持部材50の前端部51が挿入されることにより、保持部材50が芯収容部40に対して固定される。
【0030】
後端部42の後端近傍の内面には、係止突起44が形成されている。係止突起44は、後端部42の内面から径方向の内側に向かって突出している。保持部材50が芯収容部40に取り付けられた際に、係止突起44は保持部材50の係止凹部52に係止する。これにより、保持部材50が芯収容部40に取り付けられた状態において、保持部材50が比較的小さな力で後方に引っ張られたときに、保持部材50が芯収容部40から取り外されることが抑制される。後端部42は、複数の係止突起44を有してもよい。複数の係止突起44は、周方向dcに互いに等角度ピッチを有して配置されてもよい。本実施形態では、後端部42の内面に3つの係止突起44が設けられている。3つの係止突起44は、互いに120度の角度ピッチを有して配置されている。
【0031】
チャック32は、筆記芯80を把持する部材である。チャック32は、芯収容部40と一体的に前後方向に移動することが可能である。図2に示された例では、チャック32の後端部は、芯収容部40の前端部内に挿入されており、これにより、チャック32が芯収容部40に対して固定されている。
【0032】
芯収容部40の前方には、弾発部材34が配置されている。弾発部材34は、例えばコイルスプリングである。弾発部材34は、芯収容部40の前端部の外面に設けられた段部と、軸筒20(軸筒本体22)の前方部分の内面に設けられた段部との間に、圧縮状態で配置されている。締具36は、チャック32の前方部分に対して径方向の外側に位置する環状の部品である。締具36の後端部が軸筒20(軸筒本体22)の前方部分の内面に設けられた段部に当接することにより、締具36の後方への移動が規制されている。芯ホルダー38は、チャック32の前方に配置されており、筆記芯80の外面に当接して筆記芯80を保持する部材である。芯ホルダー38は、樹脂またはゴム等の弾性部材で形成されており、チャック32が筆記芯80を把持していないときに、筆記芯80が軸方向daに移動することを抑制する。
【0033】
付属具15は、例えば筆跡を変化させる部材である。とりわけ、付属具15は、紙等の筆記面に接触して当該筆記面を変化させる部材であってもよい。付属具15は、例えば筆記芯80による筆跡を擦って除去する消しゴムであってもよい。また、付属具15は、熱変色性を有する筆記芯80による筆跡を摩擦した際に生じる摩擦熱により当該筆跡の色を変化させる摩擦体であってもよい。この場合、筆跡は、摩擦熱により第1の色から当該第1の色と異なる第2の色に変化してもよく、摩擦熱により有色から無色に変化してもよい。図2及び図3に示された例では、付属具15は、保持部材50の後端部に圧入されることにより、保持部材50に対して固定されている。付属具15は、保持部材50に対して着脱可能に構成されてもよい。この場合、付属具15が摩耗又は破損した場合に、当該付属具15を交換することができる。
【0034】
図4は、芯収容部40の一部及び保持部材50を示す図である。保持部材50は、付属具15を保持する部材である。保持部材50は、芯収容部40に取り付けられている。具体的には、保持部材50の前端部51が芯収容部40の後端部42に挿入されることにより、保持部材50が芯収容部40に取り付けられている。保持部材50は、操作体60から受けた押圧力を芯収容部40へ伝達する機能も有する。保持部材50の外面には、係止凹部52が形成されている。係止凹部52は、例えば周方向dcに沿って延びる環状の凹部である。保持部材50が芯収容部40に取り付けられた際に、芯収容部40の係止突起44が係止凹部52に係止する。
【0035】
保持部材50は、係合突起53及びスライド突起59を含んでいる。係合突起53は、保持部材50の外周面から径方向の外側へ向けて突出する突起である。係合突起53は、係合溝61に係合可能に構成されている。係合突起53の後端部は、面取りされていてもよい。この場合、操作体60を保持部材50に取り付ける際に、係合突起53と操作体60のガイド部65(第1斜面66、第2斜面67)とが、互いに滑らかに移動することができる。図4に示された例では、係合突起53の後端部は、径方向から見て円弧を形成するように、面取りされている。操作体60の保持部材50への取り付け及び取り外しの際の係合突起53と係合溝61との具体的な位置関係については後述する。
【0036】
スライド突起59は、保持部材50の外周面から径方向の外側へ向けて突出する突起である。図4に示された例では、スライド突起59は、係合突起53の前方に配置されている。とりわけ、スライド突起59は、軸方向daに沿って、係止凹部52と係合突起53との間に配置されている。スライド突起59は、軸筒20の軸筒側溝24内で軸方向daにスライド可能に構成されている。これにより、保持部材50が芯収容部40に取り付けられた状態において、保持部材50は、軸筒20に対して軸方向daに移動可能且つ中心軸線A周りに回転不能である。
【0037】
図5A及び図5Bは、操作体60を示す縦断面図である。図5Bは、図5Aと同一の断面を図5Aと反対側から見た断面図である。操作体60は、筆記芯80を繰り出す際に使用者によって操作される部材である。操作体60は、保持部材50に取り付けられている。具体的には、保持部材50の後端部が操作体60の前端部に挿入されることにより、操作体60が保持部材50に取り付けられている。操作体60は、係合溝61と、ガイド部65と、転がり止め部69とを含んでいる。係合溝61及びガイド部65は、操作体60の内面に設けられている。転がり止め部69は、操作体60の外面に設けられている。
【0038】
係合溝61は、操作体60が保持部材50に取り付けられた状態において、係合突起53が係合する溝である。係合溝61は、操作体60の内面に形成された溝である。係合溝61は、周方向dcに沿って所定の長さを有して延びている。とりわけ、係合溝61は、周方向dcに平行に延びている。また、係合溝61は、係合突起53が中心軸線A周り(周方向dc)に20度以上70度以下の角度範囲で移動可能に構成されている。好ましくは、係合溝61は、30度以上50度以下の角度範囲で移動可能に構成されている。より好ましくは、係合溝61は、36度以上42度以下の角度範囲で移動可能に構成されている。本実施形態では、係合溝61は、操作体60を径方向に貫通して形成された溝である。この場合、係合溝61は、周方向dcに沿って延びたスリットである。なお、これに限られず、係合溝61は、操作体60の内面に形成され、操作体60を径方向に貫通しない溝であってもよい。また、係合溝61は、周方向dcに平行に延びるものに限られない。係合溝61は、周方向dc及び軸方向daの両方に対して傾斜した方向に延びてもよい。操作体60が保持部材50に取り付けられた状態において、係合溝61内には、保持部材50の係合突起53が位置する。
【0039】
操作体60は、ガイド部65を有している。ガイド部65は、操作体60を保持部材50に取り付ける際に係合突起53を係合溝61へ向けてガイドする機能を有する。本実施形態では、ガイド部65は、第1斜面66と第2斜面67とを含んでいる。第1斜面66は、後方に向かうにつれて周方向dcの一方側へ向かうように軸方向da及び周方向dcの両方に対して傾斜した方向へ延びている。第2斜面67は、後方に向かうにつれて周方向dcの他方側へ向かうように軸方向da及び周方向dcの両方に対して傾斜した方向へ延びている。ガイド部65(第1斜面66、第2斜面67)は、操作体60を保持部材50に取り付ける際に係合突起53と接触して、係合突起53を係合溝61へ向けてガイドする。
【0040】
転がり止め部69は、シャープペンシル10を、机、テーブル等の上面に置いたときに、シャープペンシル10が転がることを抑制する機能を有する。転がり止め部69は、操作体60の外面から径方向の外側へ向けて突出している。シャープペンシル10を、机、テーブル等の上面に置いたときに、シャープペンシル10が転がって転がり止め部69が机、テーブル等の上面に接触すると、シャープペンシル10がそれ以上転がることが抑制される。なお、本実施形態では、保持部材50及び操作体60が芯収容部40に取り付けられたときに、転がり止め部69はクリップとしても機能する。
【0041】
なお、本実施形態では、保持部材50のスライド突起59と転がり止め部69の前端部とは、径方向に重なっている。この場合、保持部材50及び操作体60を芯収容部40に取り付ける際に、使用者は目視により、転がり止め部69と軸筒側溝24とを周方向dcに位置合わせすることができる。この状態で保持部材50及び操作体60を芯収容部40に向かって前方へ移動させることにより、保持部材50及び操作体60を芯収容部40に対して容易に取り付けることができる。また、スライド突起59と転がり止め部69の前端部とが径方向に重なっていることにより、スライド突起59が使用者から視認されることを抑制することができる。すなわち、スライド突起59を転がり止め部69により隠すことができる。
【0042】
本実施形態のシャープペンシル10は、回転規制部70を含んでいる。回転規制部70は、操作体60が保持部材50に取り付けられているときに、操作体60の保持部材50に対する回転を規制する機能を有している。とりわけ、回転規制部70は、係合突起53が係合溝61の一端部62に位置するときに、操作体60の保持部材50に対する回転を規制する。回転規制部70は、操作体60に設けられた規制溝68と、保持部材50に設けられた規制突起57とを含んでいる。
【0043】
規制溝68は、操作体60の内面に形成された溝である。規制溝68は、操作体60の前端から軸方向daに沿って直線状に延びている(図5B及び図6C参照)。本実施形態では、規制溝68は、操作体60を径方向に貫通して形成された溝である。この場合、規制溝68は、操作体60の前端から軸方向daに沿って直線状に延びたスリットである。なお、これに限られず、規制溝68は、操作体60の内面に形成され、操作体60を径方向に貫通しない溝であってもよい。
【0044】
保持部材50は、弾性変形部55を有している。弾性変形部55は、軸方向daに直線状に且つ互いに平行に延びる2つのスリットと、周方向dcに延びるとともに前記2つのスリットの前端どうしを接続する1つのスリットと、で囲まれた舌片状の形状を有している。これにより、弾性変形部55の前端部は、径方向に弾性変形することができる。弾性変形部55の前端部には、規制突起57が設けられている。
【0045】
係合突起53が係合溝61の一端部62に位置するときに、規制突起57は規制溝68内に位置する。このとき、比較的小さな力で、操作体60を保持部材50に対して中心軸線A周りに回転させようとすると、規制突起57が規制溝68に接触して、操作体60の保持部材50に対する回転が規制される。その一方、比較的大きな力で、操作体60を保持部材50に対して中心軸線A周りに回転させようとすると、規制突起57が規制溝68に接触した後に、弾性変形部55が径方向の内側に向かって弾性変形し、規制突起57が規制溝68から周方向dcに外れる。この場合、操作体60は、保持部材50に対して更に回転することが可能である。すなわち、回転規制部70により、操作体60に作用する周方向dcの力の大きさに応じて、操作体60の保持部材50に対する回転が規制される場合と規制されない場合とがある。
【0046】
上述のシャープペンシル10において、使用者が操作体60を前方へ押圧すると、弾発部材34が圧縮され、弾発部材34の弾発力に抗して、操作体60及び保持部材50とともに芯収容部40及びチャック32が前方へ移動する。チャック32の前方部分の外面は、チャック32が前方へ押圧されていないときには、締具36に内側から当接している。したがって、チャック32の前方部分が径方向の外側に開くことが抑制されている。これにより、チャック32の前方部分が筆記芯80を把持する。チャック32が締具36とともに前方へ移動すると、チャック32に把持された筆記芯80が前方へ移動する。チャック32がさらに前方へ移動すると、締具36が先端部材26の内段に当接してチャック32の前方部分が締具36に対して前方へ移動する。これにより、チャック32の前方部分が外側に開き、チャック32の前方部分に把持されていた筆記芯80が解放される。このとき、筆記芯80は、芯ホルダー38により保持される。
【0047】
使用者による操作体60の押圧が解除されると、弾発部材34の弾発力により、操作体60、保持部材50、芯収容部40及びチャック32が、後方へ移動する。これにより、チャック32の前方部分が締具36の内側へ移動し、締具36に当接して筆記芯80を把持する。このとき、筆記芯80は、芯ホルダー38により保持されているので、筆記芯80の後方への移動が抑制される。
【0048】
上記の工程を繰り返すことにより、筆記芯80が前方へ繰り出され、筆記芯80の前端が軸筒20(先端部材26)の前端から前方へ突出する。
【0049】
次に、図6A図8Bを参照して、筆記芯80の補充を行う場合における、保持部材50及び操作体60の芯収容部40からの取り外し方法及び保持部材50及び操作体60の芯収容部40への取り付け方法について説明する。本実施形態では、係合突起53が係合溝61の一端部62に位置するときに操作体60が芯収容部40に対して後方に移動すると、係合突起53が係合溝61に係合したまま、保持部材50及び操作体60が芯収容部40から外れる。
【0050】
図6Aは、保持部材50及び操作体60が芯収容部40に取り付けられた状態でシャープペンシル10の一部を示す外観図である。図6Bは、図6AのVIB-VIB線に対応する断面図である。図6Cは、保持部材50及び操作体60が芯収容部40に取り付けられた状態における、保持部材50の係合突起53と操作体60の係合溝61との位置関係を示す図である。なお、図6A図7A図8A図9B及び図11Bでは、転がり止め部69の一部の図示を省略している。図6B図7B図8B図9B図10B図11B及び図12Bでは、軸筒本体22及び芯収容部40のみが断面で示されており、他の部品は外観図で示されている。図6C図9C図11C及び図12Cは、操作体60の前方側の一部を中心軸線Aに平行な平面で切り開いて展開した状態で、係合突起53及び係合溝61を示している。したがって、図6C図9C図11C及び図12Cでは、操作体60の右端と左端とが繋がっている。図6C図9C図11C及び図12Cは、保持部材50及び操作体60が径方向の外側から見た状態で示されている。図7Bは、図7AのVIIB-VIIB線に対応する断面図である。図8Bは、図8AのVIIIB-VIIIB線に対応する断面図である。図9Bは、図9AのIXB-IXB線に対応する断面図である。図10Bは、図10AのXB-XB線に対応する断面図である。図11Bは、図11AのXIB-XIB線に対応する断面図である。図12Bは、図12AのXIIB-XIIB線に対応する断面図である。
【0051】
図6A及び図6Bに示されているように保持部材50及び操作体60が芯収容部40に取り付けられているとき、保持部材50の係合突起53は、操作体60の係合溝61の一端部62に位置している(図6B及び図6C参照)。係合溝61の一端部62は、係合溝61における周方向dcの一方側の端部である。また、係合溝61の他端部63は、係合溝61における周方向dcの他方側の端部である。なお、係合突起53が一端部62に位置しているとき、保持部材50の規制突起57は、操作体60の規制溝68内に位置している。
【0052】
保持部材50及び操作体60を芯収容部40から取り外す際には、使用者は、操作体60を軸方向daに沿って後方へ引っ張る。これにより、操作体60が芯収容部40に対して後方に移動する。このとき、係合溝61の前方側の壁部と係合突起53の前端とが接触する。さらに操作体60が後方に移動すると、係合溝61の前方側の壁部に押されて、係合突起53も後方へ移動する(図7A及び図7B参照)。すなわち、保持部材50及び操作体60が一緒に後方へ移動する。このとき、保持部材50及び操作体60が一緒に芯収容部40から取り外される。さらに操作体60が後方に移動すると、保持部材50及び操作体60が一緒に軸筒20から取り外される(図8A及び図8B参照)。この状態において、使用者は、芯収容部40に筆記芯80を補充することが可能になる。具体的には、後端部42を介して芯収容部40内に筆記芯80を挿入する。芯収容部40に筆記芯80を補充した後、保持部材50及び操作体60を再度芯収容部40へ取り付ける。
【0053】
保持部材50及び操作体60を芯収容部40へ取り付ける際には、使用者は、まず、保持部材50のスライド突起59と軸筒20の軸筒側溝24とを周方向dcにおいて位置合わせする(図8A及び図8B参照)。本実施形態では、保持部材50のスライド突起59と転がり止め部69の前端部とが、径方向に重なっている。したがって、使用者が目視により、転がり止め部69と軸筒側溝24とを周方向dcに位置合わせすることにより、スライド突起59と軸筒側溝24とを容易に位置合わせすることができる。この状態で、保持部材50及び操作体60を芯収容部40へ向かって前方に移動させると、図7A及び図7Bに示された状態を経て、図6A及び図6Bに示されているように保持部材50及び操作体60が芯収容部40に取り付けられる。
【0054】
次に、図6A図6C及び図9A図12Cを参照して、付属具15を使用する場合における、操作体60の保持部材50からの取り外し方法及び操作体60の保持部材50への取り付け方法について説明する。本実施形態では、係合突起53が係合溝61の他端部63に位置するときに操作体60が芯収容部40に対して後方に移動すると、係合突起53が係合溝61から外れて、操作体60が保持部材50から外れる。
【0055】
操作体60を保持部材50から取り外す際には、使用者は、まず、保持部材50及び操作体60が芯収容部40に取り付けられた、図6A図6Cに示される状態において、操作体60を保持部材50に対して周方向dcの一方側へ向けて回転させる。本実施形態では、後方から見て、操作体60を保持部材50に対して反時計回りに回転させる。係合溝61は、周方向dcに沿って所定の長さを有して延びている。とりわけ、係合溝61は、係合突起53が中心軸線A周りに20度以上70度以下の角度範囲で移動可能に構成されている。この場合、操作体60は、保持部材50に対して20度以上70度以下の角度範囲で回転する。
【0056】
操作体60が保持部材50に対して周方向dcの一方側へ向けて回転すると、保持部材50の係合突起53は、操作体60の係合溝61の一端部62から他端部63へ移動する(図9B及び図9C参照)。このとき、比較的大きな力で操作体60を保持部材50に対して中心軸線A周りに回転させることにより、保持部材50の弾性変形部55が径方向の内側に向かって弾性変形し、規制突起57が規制溝68から周方向dcに外れる。
【0057】
この状態で、使用者は、操作体60を軸方向daに沿って後方へ引っ張る。これにより、係合突起53は、係合溝61から前方へ抜け出る。したがって、操作体60は、保持部材50から取り外される。本実施形態では、操作体60が、保持部材50に対して20度以上70度以下の角度範囲で回転した後に芯収容部40に対して後方に移動すると、操作体60が保持部材50から外れる。これにより、付属具15が露出される。この状態において、使用者は付属具15を使用することができる。付属具15が消しゴムである場合、使用者は、筆記芯80による筆跡を擦って消去することができる。
【0058】
操作体60を保持部材50へ取り付ける場合、操作体60を保持部材50へ向けて前方へ移動させるだけでは、保持部材50の係合突起53が係合溝61の他端部63へ位置するようになるとは限らない。多くの場合、単に操作体60を保持部材50へ向けて前方へ移動させると、係合突起53は、操作体60のガイド部65のいずれかの部分に接触する。ガイド部65は、第1斜面66及び第2斜面67を含んでいる。したがって、単に操作体60を保持部材50へ向けて前方へ移動させると、多くの場合、係合突起53は、第1斜面66又は第2斜面67に接触する。
【0059】
図11A図11Cは、操作体60を保持部材50へ向けて前方へ移動させた際に、係合突起53が第1斜面66に接触した例を示している。また、図12A図12Cは、操作体60を保持部材50へ向けて前方へ移動させた際に、係合突起53が第2斜面67に接触した例を示している。
【0060】
図11Cに示された例において、操作体60を保持部材50へ向けてさらに前方へ移動させると、係合突起53は、第1斜面66にガイドされて係合溝61の他端部63へ向けて移動する。このとき、操作体60は、周方向dcの他方側へ向けて回転する。また、図12Cに示された例において、操作体60を保持部材50へ向けてさらに前方へ移動させると、係合突起53は、第2斜面67にガイドされて係合溝61の他端部63へ向けて移動する。このとき、操作体60は、周方向dcの一方側へ向けて回転する。これにより、係合突起53は、係合溝61の他端部63に位置するようになる。なお、操作体60の保持部材50に対する角度によっては、係合突起53がガイド部65(第1斜面66、第2斜面67)に接触することなく、係合溝61の他端部63に位置するようになることもある。なお、このとき、保持部材50の弾性変形部55は、径方向の内側に向かって弾性変形し、規制突起57は操作体60の内面に接触する。
【0061】
その後、使用者が操作体60を周方向dcの他方側へ向けて回転させると、係合突起53が係合溝61の一端部62に位置する。このとき、保持部材50の規制突起57は、操作体60の規制溝68内に位置するようになる(図6A図6C参照)。
【0062】
本実施形態のシャープペンシル10は、筆記芯80を収容可能な芯収容部40と、芯収容部40に取り付けられるとともに付属具15を保持する保持部材50と、保持部材50に取り付けられた操作体60と、を備え、操作体60は、係合溝61を有し、保持部材50は、係合溝61に係合可能な係合突起53を有し、係合突起53が係合溝61の一端部62に位置するときに操作体60が芯収容部40に対して後方に移動すると、係合突起53が係合溝61に係合したまま、保持部材50及び操作体60が芯収容部40から外れ、係合突起53が係合溝61の他端部63に位置するときに操作体60が芯収容部40に対して後方に移動すると、係合突起53が係合溝61から外れて、操作体60が保持部材50から外れる。
【0063】
本実施形態のシャープペンシル10では、係合溝61は周方向dcに延びる。
【0064】
このようなシャープペンシル10によれば、係合溝61は、周方向dcに沿って所定の長さを有しているので、操作体60を保持部材50に対して所定の角度だけ回転させることで、係合突起53を一端部62から他端部63へ移動させることができる。そして、この状態で操作体60を後方へ引っ張ることにより、操作体60を保持部材50から取り外すことができる。すなわち、複数回にわたって操作体60を回転させることなく、1回の回転動作で操作体60を取り外すことが可能になる。
【0065】
本実施形態のシャープペンシル10では、係合溝61は、係合突起53が中心軸線A周りに20度以上70度以下の角度範囲で移動可能に構成されている。
【0066】
本実施形態のシャープペンシル10は、筆記芯80を収容可能な芯収容部40と、芯収容部40に取り付けられるとともに付属具15を保持する保持部材50と、保持部材50に取り付けられた操作体60と、を備え、操作体60が、保持部材50に対して回転せずに芯収容部40に対して後方に移動すると、保持部材50及び操作体60が芯収容部40から外れ、操作体60が、保持部材50に対して20度以上70度以下の角度範囲で回転した後に芯収容部40に対して後方に移動すると、操作体60が保持部材50から外れる。
【0067】
このようなシャープペンシル10によれば、操作体60を、保持部材50に対して20度以上70度以下の角度範囲で回転させた後に後方に移動させるだけで、操作体60を取り外すことができる。したがって、1回の回転動作で操作体60を取り外すことがさらに容易になる。
【0068】
本実施形態のシャープペンシル10では、操作体60は、操作体60を保持部材50に取り付ける際に係合突起53を係合溝61へ向けてガイドするガイド部65を有する。
【0069】
本実施形態のシャープペンシル10では、ガイド部65は、後方に向かうにつれて周方向dcの一方側へ向かうように軸方向da及び周方向dcの両方に対して傾斜した方向へ延びる第1斜面66と、後方に向かうにつれて周方向dcの他方側へ向かうように軸方向da及び周方向dcの両方に対して傾斜した方向へ延びる第2斜面67と、を含む。
【0070】
このようなシャープペンシル10によれば、係合突起53と係合溝61の他端部63とを周方向dcに位置合わせしなくとも、係合突起53がガイド部65にガイドされて係合溝61の他端部63へ向かうようになる。したがって、操作体60の保持部材50への取り付けを容易に行うことができる。
【0071】
本実施形態のシャープペンシル10は、係合突起53が係合溝61の一端部62に位置するときに、操作体60の保持部材50に対する回転を規制する回転規制部70を有する。
【0072】
本実施形態のシャープペンシル10では、回転規制部70は、操作体60に設けられた規制溝68と、保持部材50に設けられた規制突起57とを含む。
【0073】
本実施形態のシャープペンシル10では、保持部材50は、規制突起57を含む弾性変形部55を有する。
【0074】
このようなシャープペンシル10によれば、操作体60が保持部材50に取り付けられた状態において、比較的小さな力で操作体60が保持部材50に対して周方向dcに回転することが抑制される。したがって、使用者の意図に反して操作体60が保持部材50に対して周方向dcに回転し、操作体60が保持部材50から外れてしまうことを抑制することができる。
【0075】
本実施形態のシャープペンシル10は、芯収容部40を収容する軸筒20を有し、軸筒20は軸方向daに延びる軸筒側溝24を有し、保持部材50は、軸筒側溝24内で軸方向daにスライド可能に構成されたスライド突起59を有する。
【0076】
このようなシャープペンシル10によれば、保持部材50が芯収容部40に取り付けられた状態において、保持部材50は、軸筒20に対して軸方向daに移動可能且つ中心軸線A周りに回転不能となる。したがって、筆記芯80を繰り出すための繰り出し動作を許容しながらも、使用者が操作体60を周方向dcに回転させた際に、操作体60とともに保持部材50も周方向dcに回転することを抑制することができる。
【0077】
本実施形態のシャープペンシル10では、操作体60は、径方向の外側へ向けて突出した転がり止め部69を有する。
【0078】
このようなシャープペンシル10によれば、シャープペンシル10を、机、テーブル等の上面に置いたときに、シャープペンシル10が転がることを抑制することができる。
【符号の説明】
【0079】
10 シャープペンシル
15 付属具
20 軸筒
22 軸筒本体
24 軸筒側溝
26 先端部材
30 繰出機構
32 チャック
34 弾発部材
36 締具
38 芯ホルダー
40 芯収容部
42 後端部
44 係止突起
50 保持部材
51 前端部
52 係止凹部
53 係合突起
55 弾性変形部
57 規制突起
59 スライド突起
60 操作体
61 係合溝
62 一端部
63 他端部
65 ガイド部
66 第1斜面
67 第2斜面
68 規制溝
69 転がり止め部
70 回転規制部
80 筆記芯
A 中心軸線
da 軸方向
dc 周方向
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
図10A
図10B
図11A
図11B
図11C
図12A
図12B
図12C