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特開2024-177985車両、その制御装置及び制御方法、並びにプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177985
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】車両、その制御装置及び制御方法、並びにプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20241217BHJP
   B60W 50/08 20200101ALI20241217BHJP
【FI】
G08G1/16 D
B60W50/08
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096440
(22)【出願日】2023-06-12
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡村 研二
(72)【発明者】
【氏名】近森 秀俊
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 和音
(72)【発明者】
【氏名】高山 智哉
(72)【発明者】
【氏名】方尺 翔太
(72)【発明者】
【氏名】和田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】金坂 昌
(72)【発明者】
【氏名】二ツ寺 暁郎
(72)【発明者】
【氏名】小林 拓真
(72)【発明者】
【氏名】定村 哲志
(72)【発明者】
【氏名】秋山 寛
(72)【発明者】
【氏名】廣澤 望
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA00
3D241BA10
3D241BA11
3D241BA12
3D241BB27
3D241DD02Z
5H181AA01
5H181BB13
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC12
5H181CC14
5H181CC24
5H181CC27
5H181FF04
5H181FF33
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL07
5H181LL08
5H181LL09
5H181LL15
(57)【要約】
【課題】車両の運転者の個人情報を適切に保護する。
【解決手段】車両を制御するための制御装置は、車両の走行に関する複数の機能を提供する走行制御部と、車両のセンサによって取得される特定の個人情報を車両が使用することに車両の運転者が同意しているかどうかに関する同意情報を管理する管理部と、を備える。複数の機能のうち特定の個人情報の使用に運転者が同意していない場合に実行可能な機能の数は、複数の機能のうち特定の個人情報の使用に運転者が同意している場合に実行可能な機能の数よりも少ない。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を制御するための制御装置であって、
前記車両の走行に関する複数の機能を提供する走行制御手段と、
前記車両のセンサによって取得される特定の個人情報を前記車両が使用することに前記車両の運転者が同意しているかどうかに関する同意情報を管理する管理手段と、を備え、
前記複数の機能のうち前記特定の個人情報の使用に前記運転者が同意していない場合に実行可能な機能の数は、前記複数の機能のうち前記特定の個人情報の使用に前記運転者が同意している場合に実行可能な機能の数よりも少ない、制御装置。
【請求項2】
前記特定の個人情報は、前記車両に搭載されたカメラによって取得されたカメラ情報と、前記車両に搭載された測位センサによって取得された前記車両の位置情報とを含み、
前記管理手段は、前記カメラ情報の使用に同意するかどうかと、前記位置情報の使用に同意するかどうかとのそれぞれを前記運転者が選択可能とする、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記複数の機能は、
前記カメラ情報の使用及び前記位置情報の使用に前記運転者が同意している場合に実行可能な第1機能と、
前記位置情報の使用に前記運転者が同意しているかどうかによらず、前記カメラ情報の使用に前記運転者が同意している場合に実行可能な第2機能と、
前記カメラ情報の使用に前記運転者が同意しているかどうかによらず、前記位置情報の使用に前記運転者が同意している場合に実行可能な第3機能と、を含む、請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記第1機能は、
前記位置情報を使用して、前記車両が走行中の車線を維持する車線維持機能と、
前記位置情報を使用して、前記車両が走行する車線を変更する車線変更機能と、の少なくとも1つを含み、
前記第2機能は、
前記運転者に異常が発生したことに応じて前記車両を減速する異常時減速機能を含み、
前記第3機能は、
カーブの手前で前記車両を減速するカーブ減速機能を含む、請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記制御装置は、前記車両の起動時に前記運転者の個人認証を行う認証手段を備え、
前記管理手段は、前記運転者に関連付けて記憶された前記同意情報を記憶装置から読み出し、
前記走行制御手段は、前記読み出された同意情報に基づいて、前記複数の機能のそれぞれが実行可能であるかどうかを判定する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項6】
前記管理手段は、前記車両が停車していないと判定された場合に、前記運転者による前記同意情報の変更操作を禁止する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項7】
前記特定の個人情報を使用する機能の有効化の指示を前記運転者から取得する取得手段と、
前記特定の個人情報の使用に前記運転者が同意していない状態で前記有効化の指示が行われた場合に、前記特定の個人情報の使用への同意が必要であることを前記運転者に通知する通知手段と、を更に備える、請求項1に記載の制御装置。
【請求項8】
コンピュータを請求項1乃至7の何れか1項に記載の制御装置として機能させるためのプログラム。
【請求項9】
請求項1乃至7の何れか1項に記載の制御装置を備える車両。
【請求項10】
車両を制御するための制御方法であって、
前記車両の走行に関する複数の機能を提供する走行制御工程と、
前記車両のセンサによって取得される特定の個人情報を前記車両が使用することに前記車両の運転者が同意しているかどうかに関する同意情報を管理する管理工程と、を備え、
前記複数の機能のうち前記特定の個人情報の使用に前記運転者が同意していない場合に実行可能な機能の数は、前記複数の機能のうち前記特定の個人情報の使用に前記運転者が同意している場合に実行可能な機能の数よりも少ない、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両、その制御装置及び制御方法、並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
走行制御機能を有する車両の運転者は、走行制御機能の利用条件を承認することが要求される。運転者が利用条件を承認したことに応じてシステム上でコードが生成され、走行制御機能が有効になる。特許文献1には、コードが承認されるまで車両の走行制御機能の一部を制限し、コードの承認後に走行制御機能の制限を解除することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-034638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
走行制御機能を実行するために、車両の運転者の個人情報が使用されうる。本発明の一部の側面は、車両の運転者の個人情報を適切に保護するための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一部の実施形態によれば、車両を制御するための制御装置であって、前記車両の走行に関する複数の機能を提供する走行制御手段と、前記車両のセンサによって取得される特定の個人情報を前記車両が使用することに前記車両の運転者が同意しているかどうかに関する同意情報を管理する管理手段と、を備え、前記複数の機能のうち前記特定の個人情報の使用に前記運転者が同意していない場合に実行可能な機能の数は、前記複数の機能のうち前記特定の個人情報の使用に前記運転者が同意している場合に実行可能な機能の数よりも少ない、制御装置が提供される。
【発明の効果】
【0006】
一部の実施形態によれば、車両の運転者の個人情報が適切に保護される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一部の実施形態の車両の構成例を説明するブロック図。
図2】一部の実施形態の車両のコントローラの機能構成例を説明するブロック図。
図3】一部の実施形態の必要同意情報の例を説明する図。
図4】一部の実施形態の同意設定画面の例を説明する模式図。
図5】一部の実施形態の機能を有効化するための動作例を説明するフロー図。
図6】一部の実施形態の設定変更の許可・禁止を切り替えるための動作例を説明するフロー図。
図7】一部の実施形態の同意設定を変更するための動作例を説明するフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴は任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0009】
図1は、本発明の一実施形態に係る制御装置CNTのブロック図と、その適用例である車両Vの概要図である。図1では、車両Vの概略が平面図と側面図とで示されている。本実施形態の車両Vは、一例として、セダンタイプの四輪の乗用車であり、例えばパラレル方式のハイブリッド車両でありうる。車両Vは、四輪乗用車に限られるものではなく、鞍乗型車両(自動二輪車、自動三輪車)であってもよいし、トラックやバスなどの大型車両であってもよい。
【0010】
制御装置CNTは、車両Vの運転支援を含む車両Vの制御を実行する電子回路であるコントローラ1を含む。コントローラ1は、複数のECU(Electronic Control Unit)を備える。ECUは例えば制御装置CNTの機能ごとに設けられる。各ECUは、CPU(Central Processing Unit)に代表されるプロセッサ、半導体メモリ等の記憶デバイス、外部デバイスとのインタフェース等を含む。記憶デバイスには、プロセッサが実行するプログラムやプロセッサが処理に使用するデータ等が格納される。インタフェースには、入出力インタフェースや通信インタフェースが含まれる。各ECUは、複数のプロセッサ、複数の記憶デバイス及び複数のインタフェースを備えていてもよい。記憶デバイスに格納されるプログラムは、CD-ROM等の記憶媒体を用いて制御装置CNTにインストールされることにより、記憶デバイスに格納されてもよい。これに加えて又はこれに代えて、記憶デバイスに格納されるプログラムは、無線通信を通じて外部のサーバからダウンロードされてもよい。
【0011】
コントローラ1は、車内に情報を報知する情報出力装置5を制御する。情報出力装置5は、例えば、運転者に対して画像により情報を報知する表示装置5a、及び/又は、運転者に対して音声により情報を報知する音声出力装置5bを含む。表示装置5aは、例えばインストルメントパネルに設けられた表示装置や、ステアリングホイールSTに設けられた表示装置が含まれる。また、表示装置5aはヘッドアップディスプレイを含んでもよい。情報出力装置5は、乗員に対して振動や光により情報を報知してもよい。
【0012】
コントローラ1は、入力装置6を介して乗員(例えば運転者)からの指示入力を受け付ける。入力装置6は、運転者が操作可能な位置に配置され、例えば、運転者が車両Vに対して指示を行うスイッチ群6a、及び/又は、方向指示器(ウィンカ)を作動させるウィンカレバー6bを含む。
【0013】
コントローラ1は、車両Vの現在位置及び進路(姿勢)を認識・判定する。本実施形態の場合、車両Vには、ジャイロセンサ7aと、GNSS(Global Navigation Satellite System)センサ7bと、通信装置7cとが設けられる。ジャイロセンサ7aは、車両Vの回転運動(ヨーレート)を検知する。GNSSセンサ7bは、車両Vの現在位置を検知するための測位センサの一例である。また、通信装置7cは、地図情報や交通情報を提供するサーバと無線通信を行い、これらの情報を取得する。本実施形態の場合、コントローラ1は、ジャイロセンサ7a及びGNSSセンサ7bの検知結果に基づいて車両Vの進路を判定するとともに、当該進路に関する地図情報を、通信装置7cを介してサーバから逐次取得してデータベース7d(記憶デバイス)に格納する。車両Vには、車両Vの加速度を検知する加速度センサなど、車両Vの状態を検知するための他のセンサが設けられてもよい。
【0014】
コントローラ1は、車両Vに設けられた各種の検知ユニットの検知結果に基づいて車両Vの運転支援を実行する。車両Vには、車両Vの外部(周囲状況)を検知する外界センサである周囲検知ユニット8a~8bと、車内の状況(乗員(特に運転者)の状態)を検知する車内センサである車内検知ユニット9a~9cとが設けられている。コントローラ1は、周囲検知ユニット8a~8bの検知結果に基づいて車両Vの周囲状況を把握し、当該周囲状況に応じて運転支援を実行することができる。また、コントローラ1は、車内検知ユニット9a~9cの検知結果に基づいて、運転支援を実行する際に運転者に課される所定の動作義務を運転者が行っているか否かを判定することができる。
【0015】
周囲検知ユニット8aは、車両Vの前方を撮影する撮像装置であり(以下、前方カメラ8aと表記することがある)、例えば車両Vのルーフ前部におけるフロントウィンドウの車室内側に取り付けられる。コントローラ1は、前方カメラ8aで撮影された画像を解析することにより、物標の輪郭抽出や道路上の車線の区画線(白線等)を抽出することができる。
【0016】
周囲検知ユニット8bは、ミリ波レーダであり(以下、レーダ8bと表記することがある)、電波を用いて車両Vの周囲の物標を検知し、物標までの距離や、車両Vに対する物標の方向(方位)を検知(計測)する。図1に示す例では、レーダ8bは5つ設けられており、車両Vの前部の中央に1つ、前部の左右の各隅部に1つずつ、後部の左右の各隅部に1つずつ設けられている。
【0017】
車両Vに設けられる周囲検知ユニットは、上記の構成に限られず、カメラの数及びレーダの数を変更してもよいし、車両Vの周囲の物標を検知するライダ(LIDAR:Light Detection and Ranging)が設けられてもよい。
【0018】
車内検知ユニット9aは、車内を撮影する撮像装置であり(以下、車内カメラ9aと表記することがある)、例えば車内Vのルーフ前部における車室内側に取り付けられる。本実施形態の場合、車内カメラ9aは、運転者(例えば運転者の目や顔)を撮影するドライバーモニタカメラである。コントローラ1は、車内カメラ9aで撮影された画像(運転者の顔画像)を解析することにより、運転者の視線や顔の向きを判定することができる。
【0019】
車内検知ユニット9bは、運転者によるステアリングホイールSTの把持を検知する把持センサであり(以下、把持センサ9bと表記することがある)、例えばステアリングホイールSTの少なくとも一部に設けられる。車内検知ユニットとしては、運転者の操舵トルクを検知するトルクセンサ4cが用いられてもよい。
【0020】
車内検知ユニット9cは、車内の音声を検出するマイクであり(以下、車内マイク9cと表記することがある)、例えば車両Vのインストルメントパネルに取り付けられる。
【0021】
運転者に対する車両Vの運転支援機能は、例えば、加減速支援機能と車線維持支援機能と車線変更支援機能とを含んでもよい。加減速支援機能は、コントローラ1が周囲検知ユニット8の検知結果や地図情報に基づきパワーユニット2及び油圧装置3を自動制御することにより、所定の車速内で車両Vの加減速を自動的に制御する追従機能(ACC:Adaptive Cruise Control)を含んでもよい。ACCでは、先行車がある場合、先行車との車間距離を保つように車両Vの加減速を行うことも可能である。ACCにより運転者は加減速操作(アクセルペダルAPやブレーキペダルBPに対する操作)の操作負担が軽減される。
【0022】
加減速支援機能は、運転者に異常が発生したことの検出に応じて車両Vを自動的に減速する異常時減速機能を含んでもよい。加減速支援機能は、カーブの手前で車両Vを自動的に減速するカーブ減速機能を含んでもよい。加減速支援機能は、車両Vが他の物体(例えば、他の車両)に衝突しそうであることの検出に応じて車両Vを自動的に減速する衝突軽減ブレーキ機能を含んでもよい。
【0023】
車線維持支援機能は、コントローラ1が周囲検知ユニット8の検知結果や地図情報に基づき電動パワーステアリング装置4を自動制御することにより、車両Vを車線の内側に維持させる車線維持機能(LKAS:Lane Keeping Assist System)を含んでもよい。LKASにより運転者は車両Vの直進中に操舵操作(ステアリングホイールSTに対する操作)の操作負担が軽減される。
【0024】
車線変更支援機能は、コントローラ1が周囲検知ユニット8の検知結果や地図情報に基づきパワーユニット2、油圧装置3及び電動パワーステアリング装置4を自動制御することにより、隣接車線へ車両Vの走行車線を自動的に変更する車線変更機能(ALC:Auto Lane Changing、ALCA:Active Lane Change Assist)を含んでもよい。ALCはシステム要求に基づく車線変更機能であり、ALCAは乗員要求に基づく車線変更機能である。システム要求としては、例えば、目的地へ車両Vの経路誘導を行うナビゲーションシステムが車両Vの車線変更を要求した場合や、経路誘導の有無を問わず、先行車を追い越す場合を挙げることができる。乗員要求を行う場合、運転者は入力装置(例えばウィンカレバー6b)を操作することにより車線変更を指示する。ALC又はACLAにより運転者は車線変更時における車両Vの加減速操作及び操舵操作の操作負担が軽減される。
【0025】
一部の実施形態において、コントローラ1は、運転支援内容が異なる3つのモード1~3のうち、1つのモードを選択的に実行する。モードは状態と呼ばれてもよい。以下では、運転支援としてACC、LKAS、ALC又はACLAが提供される場合について説明するが、各モード1~3の運転支援内容はACC、LKAS、ALC又はACLAに限られるものではなく、他の運転支援内容を含んでもよい。また、ALCとACLAはいずれか一方のみであってもよい。
【0026】
モード1は、ACC、LKAS、ALC及びACLAのいずれも実行されない手動運転モードであり、運転者の手動運転操作を基調とするモードである。車両Vの起動時に最初に設定されるモードである。モード1において、異常時減速機能及び衝突軽減ブレーキ機能が実行されてもよい。
【0027】
モード2及びモード3は、モード1において乗員が運転支援指示を行ったことを条件として設定されるモードである。モード2は、ACC及びLKASが実行可能な通常支援モードである。モード2ではALC及びACLAは実行されない。モード2において、異常時減速機能及び衝突軽減ブレーキ機能が実行されてもよい。
【0028】
モード3はACC、LKAS、ALC及びACLAのいずれもが実行可能な拡張支援モードである。モード3は、車両Vが走行する道路(走行路)の情報を含む高精度地図情報をコントローラ1が取得していることを前提としたモードである。高精度地図情報は、目的地への経路誘導に用いられる地図情報(通常地図情報と呼ぶ場合がある)よりも、道路情報について精度の高い情報を有する地図情報である。具体的に、高精度地図情報は、少なくとも車線内の位置情報を有してもよい。これは車両Vの車幅方向の位置を制御することに使用可能である。高精度地図情報は、カーブの有無や曲率、車線の増減、勾配など、道路の詳細な形状に関する情報をさらに含んでもよい。高精度地図情報は、例えば、地域或いは道路の区間毎に用意されており、高精度地図情報が配備されていない地域或いは道路の区間が存在し得る。
【0029】
モード3では、この高精度地図情報を用いることで車線変更支援(ALC及びACLA)を行う。ALCAは、高精度地図情報を用いず、通常地図情報を用いて行われてもよい。高精度地図情報に含まれる車線内の位置情報と、GNSSセンサ7bで検知した車両Vの現在位置とを活用し、検知ユニット8a~8bの外界検知結果から周辺の他車両を認識しつつ、信頼性の高い、スムーズな車線変更支援を行うことができる。車線変更支援は、高精度地図情報を用いずに行われてもよい。
【0030】
モード2及びモード3は、いずれもACC及びLKASを実行可能なモードであるが、モード3では高精度地図情報を用いたACC、LKASを実行可能である。モード3への遷移は、車内カメラ9a(すなわち、ドライバーモニタカメラ)によって撮影された運転者の画像を利用可能であることを要件としてもよい。そのため、運転者が車両Vの位置情報の利用に同意しているが、運転者の画像の利用に同意していない場合に、モード3への遷移が抑制されてもよい。コントローラ1は、高精度地図情報から車両Vの進行先の道路情報を先取りして、車両Vの加減速や左右方向の位置制御を行うことができ、より信頼性の高い、スムーズなACC、LKASを乗員に提供できる。モード3において、異常時減速機能、衝突軽減ブレーキ機能及びカーブ減速機能が実行されてもよい。
【0031】
図2を参照して、車両Vのコントローラ1の機能構成例について説明する。機能部201~208は、コントローラ1のメモリに記憶されたプログラムをコントローラ1のプロセッサが実行することによって実現されてもよい。これに代えて、機能部201~208の少なくとも一部は、ASIC(特定用途向け集積回路)のような専用の集積回路によって実現されてもよい。コントローラ1は、図2に示されない機能部を含んでもよいし、図2に示される機能部の一部を含まなくてもよい。機能部201~208のそれぞれは、単一のECUによって実現されてもよいし、複数のECUに分散して実現されてもよい。機能部201~208のうちの2つ以上は、同一のECUによって実現されてもよい。
【0032】
走行制御部201は、車両Vの加速、減速及び操舵のうちの少なくとも1つを自動的に制御することによって、車両Vの走行に関する複数の運転支援機能を提供する。複数の運転支援機能は、上述したようなモード3における拡張支援機能、車線変更機能、追従機能などを含んでもよい。
【0033】
同意管理部202は、車両Vのセンサによって取得される運転者の特定の個人情報を車両V(具体的に、コントローラ1)が使用することに運転者が同意しているかに関する同意情報を管理する。個人情報の例については後述する。
【0034】
ユーザ認証部203は、車両Vの運転者の個人認証を行う。例えば、ユーザ認証部203は、ユーザ識別子及びパスワードを運転者から取得し、コントローラ1に記憶されている認証情報213と一致するかどうかを判定してもよい。これに代えて又はこれとともに、ユーザ認証部203は、運転者の生体情報を取得し、この生体情報に基づいてユーザ認証を行ってもよい。
【0035】
ユーザインタフェース(UI)制御部204は、車両Vが有するUI(例えば、表示装置5a、音声出力装置5b、入力装置6)を制御することによって、車両Vのユーザ(例えば、運転者)から入力を取得し、車両Vのユーザへ情報を出力する。
【0036】
位置取得部205は、GNSSセンサ7bによって取得された車両Vの位置情報を取得する。位置情報は、例えば緯度及び経度で表されてもよい。車両Vの位置情報は、運転者の所在地を表すため、運転者の個人情報となりうる。
【0037】
画像取得部206は、車両Vに搭載されたカメラ(例えば、車内カメラ9a)によって取得されたカメラ情報を取得する。カメラ情報は、運転者の画像を含みうる。そのため、カメラ情報は、運転者の個人情報となりうる。
【0038】
音声取得部207は、車両Vに搭載されたマイク(例えば、車内マイク9c)によって取得されたマイク情報を取得する。マイク情報は、運転者の音声を含みうる。そのため、マイク情報は、運転者の個人情報となりうる。
【0039】
地図取得部208は、外部のサーバから地図情報を取得する。上述のように、地図情報は、モード3における運転支援機能に使用されうる。
【0040】
コントローラ1は、記憶装置210を含んでもよい。記憶装置210は、コントローラ1に含まれる1つ以上にECUのメモリであってもよいし、他の記憶装置であってもよい。記憶装置210は、図2に示される情報を記憶してもよい。記憶装置210は、図2に示される情報の一部を記憶してもよいし、図2に示されない情報を記憶してもよい。コントローラ1は、記憶装置210に記憶された情報を使用する代わりに、他の記憶装置(車両Vに含まれてもよいし、車外の装置であってもよい)に記憶された情報を使用してもよい。
【0041】
車両情報211は、車両Vに関する情報である。車両情報211は、車両識別番号(VIN)を含んでもよい。VINは、運転者が運転中の車両Vを特定するため、運転者の個人情報となりうる。車両情報211は、車両Vの製造中に車両Vの製造者によって記憶装置210に記憶されてもよい。
【0042】
必要同意情報212は、コントローラ1が運転支援機能を提供するために運転者の同意が必要な個人情報の種類を表す。図2を参照して、必要同意情報212を示す。図2の例では、必要同意情報212がテーブル形式で表現される。これに代えて、必要同意情報212は、他の形式で表現されてもよい。
【0043】
カラム301は、車両V(例えば、走行制御部201)によって提供される複数の運転支援機能を表す。カラム301に示される運転支援機能は一例である。必要同意情報212は、図2に示されない他の運転支援機能の情報を含んでもよいし、図2に示される運転支援機能の一部を含まなくてもよい。
【0044】
カラム302は、特定の運転支援機能がVINを使用するために運転者の同意が必要かどうかを示す。VINは、上述のように車両情報211に含まれてもよい。カラム303は、特定の運転支援機能がマイク情報を使用するために運転者の同意が必要かどうかを示す。マイク情報は、例えば音声取得部207によって取得される。カラム304は、特定の運転支援機能がカメラ情報を使用するために運転者の同意が必要かどうかを示す。カメラ情報は、例えば画像取得部206によって取得される。カラム305は、特定の運転支援機能が位置情報を使用するために運転者の同意が必要かどうかを示す。位置情報は、例えば位置取得部205によって取得される。
【0045】
図3において、「要」は運転者の同意が必要であることを示し、「不要」は運転者の同意が必要でないことを示す。特定の運転支援機能が特定の個人情報を使用するために運転者の同意が必要かどうかは、車両Vの製造者のポリシーや車両Vが使用される国の法規によって異なりうる。必要同意情報212は、例えば車両Vの製造者によって設定され、車両Vの製造中に記憶装置210に記憶されてもよい。これに代えて、必要同意情報212は、ユーザが車両Vを購入した後に外部のサーバから取得されてもよい。
【0046】
図3に示されるように、複数の運転支援機能のうち特定の個人情報の使用に運転者が同意していない場合に実行可能な機能の数は、複数の運転支援機能のうち特定の個人情報の使用に運転者が同意している場合に実行可能な機能の数よりも少ない。例えば、図3の例では、8個の運転支援機能のうちカメラ情報の使用に運転者が同意していない場合に実行可能な機能の数(5個)は、8個の運転支援機能のうちカメラ情報の使用に運転者が同意している場合に実行可能な機能の数(8個)よりも少ない。このように、車両Vによって提供される複数の運転支援機能のうち特定の個人情報を使用する一部の機能を実行するために運転者の同意を必要とすることによって、運転者の個人情報が適切に保護される。
【0047】
車両Vが使用する個人情報の種類は、運転支援機能ごとに異なっていてもよい。例えば、複数の運転支援機能は、カメラ情報の使用及び位置情報の使用に運転者が同意している場合に実行可能な機能(例えば、モード3における拡張支援機能及びモード3における車線変更機能)を含んでもよい。上述したように、モード3では、車両Vの位置情報と高精度地図情報とを使用して運転支援機能が実行される。さらに、モード3は、運転者が周辺監視を行っていることを条件として実行されてもよい。コントローラ1は、運転者が周辺監視を行っているかどうかを判定するために、カメラ情報を使用してもよい。
【0048】
複数の運転支援機能は、位置情報の使用に運転者が同意しているかどうかによらず、カメラ情報の使用に運転者が同意している場合に実行可能な機能(例えば、異常時減速機能)を含んでもよい。コントローラ1は、運転者が正常か異常かを判定するために、カメラ情報を使用してもよい。
【0049】
複数の運転支援機能は、カメラ情報の使用に運転者が同意しているかどうかによらず、位置情報の使用に運転者が同意している場合に実行可能な機能(例えば、カーブ減速機能)を含んでもよい。コントローラ1は、車両Vの前方にカーブがあるかどうかを判定するために、位置情報を使用してもよい。
【0050】
認証情報213は、ユーザ認証部203がユーザを認証するために使用する情報(例えば、ユーザ識別子とパスワードのペア)である。認証情報213は、パスワードの代わりに、パスワードから導出される値を含んでもよい。認証情報213は、車両Vのユーザが自身のユーザ識別子及びパスワードをコントローラ1に設定することによって記憶装置210に記憶されてもよい。
【0051】
同意情報214は、車両Vが特定の個人情報を使用することに運転者が同意しているかどうかを示す情報である。同意管理部202は、車両Vが特定の個人情報を使用することに運転者が同意すること又は同意しないことの指示を運転者から取得し、この指示に応じて同意情報214を更新してもよい。同意情報214は、運転者が同意しているか同意していないかを、複数の種類の個人情報のそれぞれについて個別に記憶してもよい。
【0052】
図4を参照して、車両V(例えば、UI制御部204)が特定の個人情報の使用に同意すること又は同意しないことの指示を運転者から取得するために使用される設定画面400の一例を示す。設定画面400は、例えば表示装置5aに表示される。設定画面400は、個人情報の使用への同意に関する指示を行うための複数のトグルスイッチ401~405を含む。図4の例では、指示を行うためのグラフィカルオブジェクトの例としてトグルスイッチが使用されるか、ボタンなどの他のオブジェクトが使用されてもよい。
【0053】
トグルスイッチ401は、VINの使用に同意すること又は同意しないことを運転者が指示するためのグラフィカルオブジェクトである。トグルスイッチ401は、VINの使用に同意すること又は同意しないことを運転者が指示するためのグラフィカルオブジェクトである。トグルスイッチ402は、マイク情報の使用に同意すること又は同意しないことを運転者が指示するためのグラフィカルオブジェクトである。トグルスイッチ403は、カメラ情報の使用に同意すること又は同意しないことを運転者が指示するためのグラフィカルオブジェクトである。トグルスイッチ404は、位置情報の使用に同意すること又は同意しないことを運転者が指示するためのグラフィカルオブジェクトである。トグルスイッチ405は、個人情報が第三者に提供されることに同意すること又は同意しないことを運転者が指示するためのグラフィカルオブジェクトである。このように、設定画面400を使用して、同意管理部202は、運転者が各種類の個人情報の使用に同意しているかどうかを個別に管理してもよい。これに代えて、同意管理部202は、運転者が個人情報の使用に同意しているかどうかを、個人情報の種類によらず一括して管理してもよい。
【0054】
個人設定情報215は、特定のユーザに関連付けられた設定に関する情報である。各ユーザの個人設定は、運転者のユーザ識別子に関連付けて記憶されてもよい。個人設定情報215は、車両Vが特定の個人情報を使用することに特定のユーザが同意しているかどうかを示す情報を含んでもよい。個人設定情報215は、車両Vのユーザによって設定されてもよい。
【0055】
変更許可フラグ216は、運転者による同意情報214の変更操作を許可するか禁止するかを表す情報である。例えば、同意管理部202は、車両Vが停車していないと判定された場合に、運転者による同意情報214の変更操作を禁止してもよい。一方、同意管理部202は、車両Vが停車していると判定された場合に、運転者による同意情報214の変更操作を許可してもよい。
【0056】
図5を参照して、車両Vのコントローラ1が特定の運転支援機能を有効化するための方法の例について説明する。特定の運転支援機能の有効化とは、特定の運転支援機能の開始の指示を受け入れ可能な状態になることであってもよいし、特定の運転支援機能を開始することであってもよい。図5の方法の各工程は、コントローラ1のプロセッサがコントローラ1のメモリに記憶されているプログラムを実行することによって行われてもよい。これに代えて、図5の方法の工程の一部又は全部は、ASICのような専用の集積回路によって実行されてもよい。図5の方法は、車両Vの電源(例えば、イグニッション電源)がオンになったことに応じて開始されてもよい。図5の方法は、車両Vの電源(例えば、イグニッション電源)がオフになったことに応じて終了されてもよい。
【0057】
S501で、コントローラ1(例えば、同意管理部202)は、記憶装置210に記憶されている同意情報214を初期化する。例えば、コントローラ1は、同意情報214に含まれるすべての種類の個人情報の使用を非同意に初期化してもよい。車両Vの前回の使用と車両Vの今回の使用とで、車両Vの運転者が異なる可能性がある。そのため、車両Vの起動時に同意情報214を初期化することによって、現在の運転者の意に反して個人情報が使用されることを抑制できる。
【0058】
S502で、コントローラ1(例えば、ユーザ認証部203)は、運転者の個人認証に成功したかどうかを判定する。コントローラ1は、運転者の個人認証に成功したと判定された場合(S502で「YES」)に処理をS503に遷移し、それ以外の場合(S502で「NO」)に処理をS504に遷移する。コントローラ1は、認証情報213に記憶されているユーザ識別子とパスワードとのペアを運転者が入力したことに応じて、運転者の個人認証に成功したと判定してもよい。これに代えて、コントローラ1は、運転者の生体情報を取得し、この生体情報が認証情報213に記憶されている場合に、運転者の個人認証に成功したと判定してもよい。
【0059】
S503で、コントローラ1(例えば、同意管理部202)は、個人認証によって特定されたユーザに関連付けて記憶された個人設定情報215を記憶装置210から読み出す。コントローラ1は、個人設定情報215が個人情報の使用への同意に関する設定を含む場合に、この設定を同意情報214に反映する。このように車両Vの起動時に運転者の個人認証を行うことによって、運転者は、自身が過去に設定した同意設定を使用できる。
【0060】
S504で、コントローラ1(例えば、UI制御部204)は、特定の運転支援機能の有効化の指示を運転者から取得したかどうかを判定する。コントローラ1は、特定の運転支援機能の有効化の指示を運転者から取得したと判定された場合(S504で「YES」)に処理をS505に遷移し、それ以外の場合(S504で「NO」)にS504を繰り返す。S504で有効化を指示される特定の運転支援機能は、図3のカラム301に示される運転支援機能の何れかであってもよいし、他の運転支援機能であってもよい。特定の運転支援機能の有効化の指示はどのようにして取得されてもよい。例えば、運転者は、特定のボタンを押下することによって指示を行ってもよいし、音声によって指示を行ってもよい。
【0061】
S505で、コントローラ1(例えば、走行制御部201)は、特定の運転支援機能を実行するために特定の個人情報の使用への同意が必要であるかどうかを判定する。コントローラ1は、特定の運転支援機能を実行するために特定の個人情報の使用への同意が必要であると判定された場合(S505で「YES」)に処理をS506に遷移し、それ以外の場合(S505で「NO」)に処理をS507に遷移する。コントローラ1は、特定の運転支援機能を実行するために特定の個人情報の使用への同意が必要であるかどうかを、必要同意情報212に基づいて判定してもよい。例えば、運転者によって指示された特定の運転支援機能がモード3における拡張支援機能である場合に、コントローラ1は、カメラ情報及び位置情報の使用への同意が必要であると判定する。
【0062】
S506で、コントローラ1(例えば、走行制御部201)は、特定の個人情報をコントローラ1が使用することに運転者が同意しているかどうかを判定する。コントローラ1は、特定の個人情報をコントローラ1が使用することに運転者が同意していると判定された場合(S506で「YES」)に処理をS507に遷移し、それ以外の場合(S506で「NO」)に処理をS508に遷移する。コントローラ1は、特定の個人情報をコントローラ1が使用することに運転者が同意しているかどうかを、例えば同意情報214に基づいて判定してもよい。例えば、運転者によって指示された特定の運転支援機能がモード3における拡張支援機能である場合に、カメラ情報と位置情報との両方の使用に運転者が同意していれば、コントローラ1は、特定の個人情報をコントローラ1が使用することに運転者が同意していると判定する。
【0063】
S507で、コントローラ1(例えば、走行制御部201)は、指示された運転支援機能を有効化する。S507は、指示された運転支援機能が特定の個人情報の使用への同意を必要としない場合と、指示された運転支援機能が特定の個人情報の使用への同意を必要とし、運転者がこの使用に同意している場合と、に実行される。
【0064】
S508は、特定の個人情報の使用に運転者が同意していない状態で特定の運転支援機能の有効化の指示が行われた場合に実行される。S508で、コントローラ1(例えば、UI制御部204)は、指示された運転支援機能を有効化するために、特定の個人情報の使用への同意が必要であることを運転者に通知する。この通知は、例えば表示装置5aにメッセージを表示したり、音声出力装置5bから音声を出力したりすることによって行われてもよい。コントローラ1は、同意が必要な個人情報の種類(例えば、カメラ情報や位置情報)を運転者に通知してもよい。
【0065】
運転者はこの通知に応じて、設定画面400を通じて個人情報の使用に同意してもよい。その後、運転者が特定の運転支援機能の有効化を再び指示したことに応じて、コントローラ1は、ステップS504~S507を実行することによって、指示された運転支援機能を有効化する。
【0066】
図6を参照して、車両Vのコントローラ1が同意情報214の変更操作の許可と禁止とを切り替えるための方法の例について説明する。図6の方法の各工程は、コントローラ1のプロセッサがコントローラ1のメモリに記憶されているプログラムを実行することによって行われてもよい。これに代えて、図6の方法の工程の一部又は全部は、ASICのような専用の集積回路によって実行されてもよい。図6の方法は、車両Vの電源(例えば、イグニッション電源)がオンになったことに応じて開始されてもよい。図6の方法は、車両Vの電源(例えば、イグニッション電源)がオフになったことに応じて終了されてもよい。
【0067】
S601で、コントローラ1(例えば、走行制御部201)は、車両Vが発進したかどうかを判定する。コントローラ1は、車両Vが発進したと判定された場合(S601で「YES」)に処理をS602に遷移し、それ以外の場合(S601で「NO」)にS601を繰り返す。コントローラ1は、車両Vの速度が閾値を上回った場合に、車両Vが発進したと判定してもよい。S601の判定で使用される閾値はゼロであってもよいし、正の値(例えば、時速6km)であってもよい。
【0068】
S602で、コントローラ1(例えば、同意管理部202)は、運転者による同意情報214の変更操作を禁止する。例えば、コントローラ1は、変更許可フラグ216を「禁止」に設定してもよい。
【0069】
S603で、コントローラ1(例えば、走行制御部201)は、車両Vが停車したかどうかを判定する。コントローラ1は、車両Vが停車したと判定された場合(S603で「YES」)に処理をS604に遷移し、それ以外の場合(S603で「NO」)にS603を繰り返す。コントローラ1は、車両Vの速度が閾値以下になった場合に、車両Vが停車したと判定してもよい。S603の判定で使用される閾値はゼロであってもよいし、正の値(例えば、時速2km)であってもよい。ヒステリシスを持たせるために、S603の判定で使用される閾値は、S601の判定で使用される閾値よりも小さくてもよい。これに代えて、これらの閾値は同じ値であってもよい。
【0070】
S604で、コントローラ1(例えば、同意管理部202)は、運転者による同意情報214の変更操作を許可する。例えば、コントローラ1は、変更許可フラグ216を「許可」に設定してもよい。
【0071】
図7を参照して、車両Vのコントローラ1が同意情報214を更新するための方法の例について説明する。図7の方法の各工程は、コントローラ1のプロセッサがコントローラ1のメモリに記憶されているプログラムを実行することによって行われてもよい。これに代えて、図7の方法の工程の一部又は全部は、ASICのような専用の集積回路によって実行されてもよい。図7の方法は、車両Vの電源(例えば、イグニッション電源)がオンになったことに応じて開始されてもよい。図7の方法は、車両Vの電源(例えば、イグニッション電源)がオフになったことに応じて終了されてもよい。
【0072】
S701で、コントローラ1(例えば、UI制御部204)は、同意情報214の変更操作が行われたかどうかを判定する。コントローラ1は、同意情報214の変更操作が行われたと判定された場合(S701で「YES」)に処理をS702に遷移し、それ以外の場合(S701で「NO」)にS701を繰り返す。同意情報214の変更操作は、個人情報の使用に同意するための操作であってもよいし、同意情報214の使用の同意を解除するための操作であってもよい。同意情報214の変更操作は、設定画面400でトグルスイッチ401~405の何れかを操作することであってもよいし、設定画面400を表示するための操作であってもよい。
【0073】
S702で、コントローラ1(例えば、同意管理部202)は、同意情報214の変更操作が許可されているかどうかを判定する。コントローラ1は、同意情報214の変更操作が許可されていると判定された場合(S702で「YES」)に処理をS703に遷移し、それ以外の場合(S702で「NO」)に処理をS704に遷移する。コントローラ1は、同意情報214の変更操作が許可されているかどうかを、例えば変更許可フラグ216に基づいて判定してもよい。
【0074】
S703で、コントローラ1(例えば、同意管理部202)は、運転者による変更操作に従って、同意情報214を変更する。S704で、コントローラ1(例えば、UI制御部204)は、同意情報214の変更操作が禁止されていることを運転者に通知する。この通知は、例えば表示装置5aにメッセージを表示したり、音声出力装置5bから音声を出力したりすることによって行われてもよい。コントローラ1は、変更操作を行うために車両Vを停車する必要があることを運転者に通知してもよい。
【0075】
S705で、コントローラ1(例えば、同意管理部202)は、車両Vの起動時にユーザ認証が行われたかどうかを判定する。コントローラ1は、車両Vの起動時にユーザ認証が行われたと判定された場合(S705で「YES」)に処理をS706に遷移し、それ以外の場合(S705で「NO」)に処理をS701に遷移する。
【0076】
S706で、コントローラ1(例えば、同意管理部202)は、運転者による変更操作に従って、個人設定情報215に含まれる同意設定を更新する。これによって、運転者は、車両Vの次回の使用の際にユーザ認証を行うことによって、変更後の同意設定を使用できる。
【0077】
上述の実施形態において、コントローラ1は、車両が停車していないと判定された場合に、運転者による同意情報214の変更操作を禁止する。これに代えて、コントローラ1は、車両が停車しているかいないかによらず、運転者による同意情報214の変更操作を許可してもよい。
【0078】
上述の実施形態において、コントローラ1は、ユーザ認証に成功した場合に、個人設定情報に含まれる同意設定を使用する。これに代えて、コントローラ1は、ユーザ認証を行わなくてもよいし、ユーザ認証に成功した場合に、個人設定情報に含まれる同意設定を使用しなくてもよい。
【0079】
上述の実施形態において、コントローラ1は、S508及びS704で通知を行う。これに代えて、コントローラ1は、この通知を行わなくてもよい。
【0080】
<実施形態のまとめ>
[項目1]
車両(V)を制御するための制御装置(1)であって、
前記車両の走行に関する複数の機能を提供する走行制御手段(201)と、
前記車両のセンサ(9a、9c、7b)によって取得される特定の個人情報を前記車両が使用することに前記車両の運転者が同意しているかどうかに関する同意情報(214)を管理する管理手段(202)と、を備え、
前記複数の機能のうち前記特定の個人情報の使用に前記運転者が同意していない場合に実行可能な機能の数は、前記複数の機能のうち前記特定の個人情報の使用に前記運転者が同意している場合に実行可能な機能の数よりも少ない、制御装置。
この項目によれば、個人情報を使用する特定の機能の実行に運転者の同意が必要となるため、車両の運転者の個人情報が適切に保護される。
[項目2]
前記特定の個人情報は、前記車両に搭載されたカメラ(9a)によって取得されたカメラ情報と、前記車両に搭載された測位センサ(7b)によって取得された前記車両の位置情報とを含み、
前記管理手段は、前記カメラ情報の使用に同意するかどうかと、前記位置情報の使用に同意するかどうかとのそれぞれを前記運転者が選択可能とする、項目1に記載の制御装置。
この項目によれば、センシティブな個人情報が適切に保護される。
[項目3]
前記複数の機能は、
前記カメラ情報の使用及び前記位置情報の使用に前記運転者が同意している場合に実行可能な第1機能と、
前記位置情報の使用に前記運転者が同意しているかどうかによらず、前記カメラ情報の使用に前記運転者が同意している場合に実行可能な第2機能と、
前記カメラ情報の使用に前記運転者が同意しているかどうかによらず、前記位置情報の使用に前記運転者が同意している場合に実行可能な第3機能と、を含む、項目2に記載の制御装置。
この項目によれば、必要な範囲で機能の実行が制限される。
[項目4]
前記第1機能は、
前記位置情報を使用して、前記車両が走行中の車線を維持する車線維持機能と、
前記位置情報を使用して、前記車両が走行する車線を変更する車線変更機能と、の少なくとも1つを含み、
前記第2機能は、
前記運転者に異常が発生したことに応じて前記車両を減速する異常時減速機能を含み、
前記第3機能は、
カーブの手前で前記車両を減速するカーブ減速機能を含む、項目3に記載の制御装置。
この項目によれば、必要な範囲で機能の実行が制限される。
[項目5]
前記制御装置は、前記車両の起動時に前記運転者の個人認証を行う認証手段(203)を備え、
前記管理手段は、前記運転者に関連付けて記憶された前記同意情報を記憶装置(210)から読み出し、
前記走行制御手段は、前記読み出された同意情報に基づいて、前記複数の機能のそれぞれが実行可能であるかどうかを判定する、項目1に記載の制御装置。
この項目によれば、運転者が過去に行った同意設定を使用できる。
[項目6]
前記管理手段は、前記車両が停車していないと判定された場合に、前記運転者による前記同意情報の変更操作を禁止する、項目1に記載の制御装置。
この項目によれば、変更操作による運転操作への影響を軽減できる。
[項目7]
前記特定の個人情報を使用する機能の有効化の指示を前記運転者から取得する取得手段(204)と、
前記特定の個人情報の使用に前記運転者が同意していない状態で前記有効化の指示が行われた場合に、前記特定の個人情報の使用への同意が必要であることを前記運転者に通知する通知手段(204)と、を更に備える、項目1に記載の制御装置。
この項目によれば、同意が必要であることを運転者が把握できる。
[項目8]
コンピュータを項目1乃至7の何れか1項に記載の制御装置として機能させるためのプログラム。
この項目によれば、上述の利点を有するプログラムが提供される。
[項目9]
項目1乃至7の何れか1項に記載の制御装置を備える車両(V)。
この項目によれば、上述の利点を有する車両が提供される。
[項目10]
車両(V)を制御するための制御方法であって、
前記車両の走行に関する複数の機能を提供する走行制御工程(S507)と、
前記車両のセンサによって取得される特定の個人情報を前記車両が使用することに前記車両の運転者が同意しているかどうかに関する同意情報を管理する管理工程(S703)と、を備え、
前記複数の機能のうち前記特定の個人情報の使用に前記運転者が同意していない場合に実行可能な機能の数は、前記複数の機能のうち前記特定の個人情報の使用に前記運転者が同意している場合に実行可能な機能の数よりも少ない、制御方法。
この項目によれば、個人情報を使用する特定の機能の実行に運転者の同意が必要となるため、車両の運転者の個人情報が適切に保護される。
【0081】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0082】
V 車両、1 コントローラ、201 走行制御部、202 同意管理部、214 同意情報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7