(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177988
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】画像読取装置及びその制御方法、並びにプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20241217BHJP
G06F 21/62 20130101ALI20241217BHJP
【FI】
H04N1/00 838
G06F21/62
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096444
(22)【出願日】2023-06-12
(71)【出願人】
【識別番号】000104652
【氏名又は名称】キヤノン電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡野 俊史
(72)【発明者】
【氏名】根岸 知樹
【テーマコード(参考)】
5C062
【Fターム(参考)】
5C062AA05
5C062AB17
5C062AB23
5C062AB38
5C062AB40
5C062AC02
5C062AC05
5C062AC34
5C062AF02
5C062AF07
(57)【要約】
【課題】手間及び負荷を増大させることなく、読取画像の画像データの送信による機密情報の流出をより効率的に防ぐ。
【解決手段】画像読取装置は、複数の送信先にそれぞれ対応する、画像データを送信するための複数の送信方法を設定する。画像読取装置は、原稿の画像を読み取って読取画像の画像データを生成し、生成した画像データのデータ量に応じて送信先を切り替えるための切替条件に従って、複数の送信先のうちで当該画像データの送信先を決定する。画像読取装置は更に、当該画像データを、決定された送信先に対応する送信方法に従って当該送信先へ送信する。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像読取装置であって、
複数の送信先にそれぞれ対応する、画像データを送信するための複数の送信方法を設定する設定手段と、
原稿の画像を読み取って読取画像の画像データを生成する読取手段と、
前記読取手段によって生成された前記画像データのデータ量に応じて送信先を切り替えるための切替条件に従って、前記複数の送信先のうちで当該画像データの送信先を決定する決定手段と、
前記読取手段によって生成された前記画像データを、前記決定手段によって決定された送信先に対応する送信方法に従って当該送信先へ送信する送信手段と、
を備えることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記送信方法は、画像データの送信に使用される通信プロトコルを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記送信方法は、画像データの送信に使用される送信先のアドレスを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記送信方法は、画像データの送信に使用される通信経路を含む、
ことを特徴とする請求項3に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記送信方法は、電子メールにより画像データの送信する送信方法であり、
前記送信先のアドレスは、電子メールアドレスである、
ことを特徴とする請求項3に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記送信先のアドレスは、画像データが格納されるサーバ装置のURLである、
ことを特徴とする請求項3に記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記設定手段は、ユーザの操作に従って、前記複数の送信方法の設定と前記切替条件の設定とを行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項8】
前記送信手段は、前記画像データの保存場所にアクセスするためのリンクを前記送信先へ送信する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項9】
前記複数の送信先は、第一送信先及び第二送信先を含み、
前記第一送信先は、前記画像読取装置を操作する操作ユーザであり、
前記第二送信先は、前記操作ユーザ以外の、前記読取画像を確認するユーザであり、
前記切替条件は、前記画像データのデータ量に応じて、前記画像データの送信先を前記第一送信先を前記第二送信先に切り替えるための条件である、
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項10】
前記切替条件は、前記画像データのデータ量が閾値データ量以上であるか否かに応じて、前記画像データの送信先を前記第一送信先から前記第二送信先に切り替えるように定められる、
ことを特徴とする請求項9に記載の画像読取装置。
【請求項11】
前記切替条件は、対象期間において前記読取手段によって生成された画像データの総データサイズが閾値データサイズ以上であるか否かに応じて、前記画像データの送信先を前記第一送信先から前記第二送信先に切り替えるように定められる、
ことを特徴とする請求項9に記載の画像読取装置。
【請求項12】
前記切替条件は、対象期間において前記読取手段によって読み取りが行われた原稿の総枚数が閾値原稿枚数以上であるか否かに応じて、前記画像データの送信先を前記第一送信先から前記第二送信先に切り替えるように定められる、
ことを特徴とする請求項9に記載の画像読取装置。
【請求項13】
前記対象期間は、前記読取手段によって原稿の画像を読み取る読取処理の実行回数を単位として定められる、
ことを特徴とする請求項11に記載の画像読取装置。
【請求項14】
前記決定手段は、前記読取手段によって生成された前記画像データに対して特定の画像処理が行われた場合、前記切替条件によらず、前記画像データの送信先を前記第一送信先から前記第二送信先に切り替える、
ことを特徴とする請求項9に記載の画像読取装置。
【請求項15】
前記特定の画像処理は、前記読取画像から地紋を除去する画像処理である、
ことを特徴とする請求項14に記載の画像読取装置。
【請求項16】
前記決定手段は、前記画像読取装置の管理ユーザによって、原稿の画像を読み取る読取処理の実行が指示された場合、前記切替条件によらず、前記画像データの送信先を前記第一送信先に決定する、
ことを特徴とする請求項9に記載の画像読取装置。
【請求項17】
前記送信手段は、前記切替条件に従って前記第二送信先へ前記画像データを送信した後に、前記画像データの取得が承認されたことを示すレスポンスを前記第二送信先から受信すると、前記画像データを前記第一送信先へ更に送信する、
ことを特徴とする請求項9に記載の画像読取装置。
【請求項18】
前記設定手段は、前記第二送信先への送信先の切り替え後に、前記画像データの取得が承認されたことを示すレスポンスを受信した場合に前記画像データを前記第一送信先へ更に送信するか否かを、ユーザの操作に従って更に設定し、
前記送信手段は、前記切替条件に従って前記第二送信先へ前記画像データを送信した後に、前記画像データの取得が承認されたことを示すレスポンスを前記第二送信先から受信すると、前記設定手段よる設定に従って前記画像データを前記第一送信先へ更に送信する、
ことを特徴とする請求項9に記載の画像読取装置。
【請求項19】
画像読取装置の制御方法であって、
複数の送信先にそれぞれ対応する、画像データを送信するための複数の送信方法を設定する設定工程と、
原稿の画像を読み取って読取画像の画像データを生成する読取工程と、
前記読取工程で生成された前記画像データのデータ量に応じて送信先を切り替えるための切替条件に従って、前記複数の送信先のうちで当該画像データの送信先を決定する決定工程と、
前記読取工程で生成された前記画像データを、前記決定工程で決定された送信先に対応する送信方法に従って当該送信先へ送信する送信工程と、
を含むことを特徴とする画像読取装置の制御方法。
【請求項20】
画像読取装置のコンピュータに、請求項19に記載の画像読取装置の制御方法を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置及びその制御方法、並びにプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像読取装置によって原稿の画像を読み取って読取画像の画像データを生成することで、原稿の画像に対応する画像データの電子的な保管又は当該画像データを用いた情報処理が可能になる。また、ADF(Auto Document Feeder)を備えた原稿読取装置を使用した場合、大量の原稿の画像をより効率的に読み取って画像データを生成することが可能である。このような画像読取装置では、読取画像の画像データに関して、外部装置への誤送信等による機密情報の流出を防止できることが求められる。
【0003】
例えば、特許文献1には、読み取られた原稿に機密情報が含まれている場合に画像データを送信せず、パスワード等によるアクセス管理が行われている場所に画像データを格納し、画像データの格納場所のアドレスのみを操作者に送信する技術が記載されている。原稿に機密情報が含まれているかの判定には、社外秘等の特定の文字列又は特定のパターンの有無を判定することによって行われている。
【0004】
また、特許文献2には、複写機において、操作者の権限では複写を許可されていない原稿について、管理システムに複写の許可を要求する技術が記載されている。複写を許可されている原稿であるかの判定は、特定の地紋又はバーコードの有無を判定することによって行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-195005号公報
【特許文献2】特開2007-212563号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の従来技術では、情報流出からの保護対象の原稿に、特定の文字列又はパターンを予め印刷しておく必要がある。多数の原稿を保護対象とする場合、これには手間がかかりうる。一方で、保護対象の機密情報を含まない原稿に対しても特定の文字列又はパターンを印刷した場合、機密情報を含む原稿であるとの判定が不必要に行われることで、画像読取装置の操作ユーザによる画像データの取得に余計な手間がかかりうる。また、管理システムにおける判定処理による負荷も増大しうる。
【0007】
そこで、本発明は、手間及び負荷を増大させることなく、読取画像の画像データの送信による機密情報の流出をより効率的に防ぐための技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係る画像読取装置は、複数の送信先にそれぞれ対応する、画像データを送信するための複数の送信方法を設定する設定手段と、原稿の画像を読み取って読取画像の画像データを生成する読取手段と、前記読取手段によって生成された前記画像データのデータ量に応じて送信先を切り替えるための切替条件に従って、前記複数の送信先のうちで当該画像データの送信先を決定する決定手段と、前記読取手段によって生成された前記画像データを、前記決定手段によって決定された送信先に対応する送信方法に従って当該送信先へ送信する送信手段と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、手間及び負荷を増加させることなく、読取画像の画像データの送信による機密情報の流出をより効率的に防ぐことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】画像読取装置100の概略的な構成例を示す断面図。
【
図2】画像読取ユニット104の概略的な構成例を示す断面図。
【
図3】画像読取装置100のハードウェア構成例を示すブロック図。
【
図5】画像読取装置100の機能構成例を示すブロック図。
【
図6】画像読取システムにおける処理のシーケンスの例を示すシーケンス図。
【
図7】端末200において表示される読取設定用の設定画面の例を示す図。
【
図9】送信方法の設定のための設定画面の例を示す図。
【
図10】画像読取装置100において実行される画像読取処理の手順の例を示すフローチャート。
【
図12】読取画像の画像データの送信先を決定する処理(S1005)の手順の例を示すフローチャート(第1実施形態)。
【
図13】読取画像の画像データの送信先を決定する処理(S1005)の手順の例を示すフローチャート(第2実施形態)。
【
図14】読取画像の画像データの送信先を決定する処理(S1005)の手順の例を示すフローチャート(第3実施形態)。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴は任意に組み合わされてもよい。また、同一又は同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0012】
[第1実施形態]
まず、第1実施形態に係る画像読取装置(原稿搬送装置)の構成例について説明する。
【0013】
<画像読取装置>
図1は、本実施形態に係る画像読取装置100の概略的な構成例を示す断面図である。画像読取装置100は、読取対象の原稿101が積載される原稿台102を備える。原稿台102上の原稿は、原稿検出センサ110によって検出される。原稿台102上の原稿は、給紙ローラ106により1枚ずつ分離されて搬送路108に送り出される。搬送路108に送り出され、搬送路108を搬送される原稿101は、レジストセンサ109によって検出される。レジストセンサ109によって原稿101が検出されると、画像読取ユニット104は、搬送路108を搬送中の原稿101の画像(原稿上に形成された画像)の読み取りを開始する。
【0014】
図1に示すように、本実施形態の画像読取装置100は、搬送路108の両側に2つの画像読取ユニット104を備える。一方の画像読取ユニット104が、原稿101の第一面(表面)の画像を読み取るように構成され、他方の画像読取ユニット104が、原稿101の第二面(裏面)の画像を読み取るように構成される。搬送路108を介して各画像読取ユニット104に対向する位置には、背景板105が配置されている。背景板105は、例えば、黒色の部材である。なお、画像読取装置100は、1つの画像読取ユニット104のみを備えるように構成されてもよい。
【0015】
画像読取ユニット104による画像の読み取りが行われた原稿101は、排出部103に向けて搬送ローラ107によって搬送路108を搬送され、最終的に排出部103に排出されて排出部103において積載される。排出部103に設けられた原稿検出センサ111は、排出部103に排出されて積載されている原稿101の検出に用いられる。また、搬送路108の排出口付近に設けられた原稿検出センサ112は、搬送路108に残っている原稿101の検出に用いられる。原稿検出センサ111及び112を用いることで、原稿101が搬送路108に残っているか、排出部103に排出されたかを検出可能である。
【0016】
画像読取装置100は更に、搬送路108に沿って給紙ローラ106とレジストセンサ109との間の位置に、重送検出センサ120を備える。重送検出センサ120は、複数枚の原稿が重なった状態(静電気等により複数枚の原稿が密着した状態)で搬送路108を搬送される重送の検出に用いられる。重送検出センサ120は、例えば、超音波の発信部及び受信部を備える超音波センサで構成される。超音波センサを用いる場合、搬送路108上の原稿(原稿シート)を通過する際の超音波の減衰量に基づいて重送を検出可能である。
【0017】
図2は、画像読取ユニット104の概略的な構成例を示す断面図である。画像読取ユニット104は、筐体1041と、搬送路108に面して設けられたガラス板1042とを備える。筐体1041及びガラス板1042によって画像読取ユニット104の内部が密封されている。画像読取ユニット104の内部には、イメージセンサ1043と、一対の発光部1044a及び1044bと、が設けられている。
【0018】
イメージセンサ1043は、ラインイメージセンサで構成され、例えば、CCDラインセンサ又はコンタクトイメージセンサで構成される。原稿101の搬送方向と直交する方向(主走査方向)に沿って配置されている。イメージセンサ1043は、搬送中の原稿101の画像を主走査方向の1ライン単位で読み取って画像信号を出力する。
【0019】
発光部1044aは、イメージセンサ1043に対して原稿101の搬送方向の上流側に配置される光源を有する。発光部1044bは、イメージセンサ1043に対して原稿101の搬送方向の下流側に配置される光源を有する。イメージセンサ1043は、発光部1044aと発光部1044bとの間に挟まれた位置に配置される。発光部1044a及び1044bは、それぞれ、メージセンサ1043と平行に、主走査方向に沿って配置され、複数のLEDを含むLEDアレイで構成される。
図2に示すように、イメージセンサ1043は、発光部1044a及び1044bが原稿101に照射した光の反射光を受光することで、原稿101上の画像を読み取る。
【0020】
図3は、本実施形態に係る画像読取装置100のハードウェア構成例を示すブロック図である。画像読取装置100の制御部10は、CPU11、RAM(ランダムアクセスメモリ)12、記憶部13、入出力I/F(インタフェース)14及び通信I/F15を備える。
【0021】
CPU11は、1つ以上のプロセッサで構成される。CPU11は、記憶部13に格納されているプログラムをRAM12に読み出して実行することで、画像読取装置100全体の制御を行う。RAM12は、CPU11による作業領域として使用される。記憶部13は、制御部10によって実行される各種プログラム(例えば、制御プログラム)、及び制御部10による処理に用いられる各種情報又はデータを格納するように構成される。例えば、イメージセンサ1043による原稿の画像の読み取りによって得られた画像データが記憶部13に保存される。記憶部13は、例えば、RAM(ランダムアクセスメモリ)、ROM(読み出し専用メモリ)、HDD(ハードディスクドライブ)及びSSD(ソリッドステートドライブ)等の1つ以上の記憶装置(メモリ)で構成される。
【0022】
入出力I/F14には、駆動回路24及び画像処理回路26が接続される。駆動回路24は、画像読取ユニット104の発光部1044a及び1044bを駆動する。画像処理回路26は、ADC25を介してイメージセンサ1043と接続される。イメージセンサ1043は、搬送中の原稿101の画像を主走査方向の1ライン単位で読み取って画像信号を出力する。ADC(アナログ/デジタル変換器)25は、イメージセンサ1043から出力されるアナログ形式の画像信号をデジタル形式の画像データに変換して出力する。画像処理回路26は、ADC25から出力された画像データに対して、シェーディング補正等の画像処理を行う。CPU11は、画像処理回路26から出力される画像データを取得する。
【0023】
通信I/F15は、外部装置との通信を行うためのインタフェースであり、有線通信インタフェース、無線LAN通信若しくはBluetooth(登録商標)通信等のための無線通信インタフェース、USBインタフェース、又はSCSIインタフェース等で構成されうる。本実施形態では一例として、通信I/F15は、有線LAN(ローカルエリアネットワーク)に接続された有線通信インタフェースであるものとする。なお、画像読取装置100は、個別の外部装置又はネットワークと接続される複数の通信I/F15を備えてもよい。例えば、画像読取装置100は、複数の通信I/F15として、ある外部装置と直接接続されたUSB又はSCSIインタフェースと、有線LANと接続された有線通信インタフェースとを備えてもよい。
【0024】
通信I/F15は、任意の通信プロトコルに従って外部装置と通信可能であり、任意の通信経路を介して外部装置と通信可能である。複数の外部装置と接続される場合、外部装置ごとに異なる通信プロトコル及び通信経路が用いられてもよい。例えば、通信I/F15は、端末200(
図4)とHTTPプロトコルで通信し、端末300(
図4)とFTPプロトコルで通信するように構成されてもよい。本実施形態の画像読取装置100は、HTTPプロトコルに従って外部装置と通信可能なWebサーバ500(
図5)を有する。このため、外部装置は、当該外部装置上で動作するWebブラウザにより、画像読取装置100のWebサーバ500にアクセス可能である。
【0025】
画像読取装置100は、制御部10に接続された操作部130を備える。操作部130は、入力部及び出力部を含む。入力部は、タッチパネル及びハードキー等を備え、ユーザからの各種操作の受け付けを行う。出力部(表示部)は、液晶ディスプレイ等の表示装置を備え、ユーザに対して各種情報の出力(表示)を行う。入力部及び出力部は、タッチパネルディスプレイのように、1つのモジュールとして実現されてもよい。
【0026】
<画像読取処理>
画像読取装置100において、制御部10(CPU11)は、例えば、操作部130の操作により、又は外部装置から原稿の読み取りの開始指示(読取指示)を受けると、原稿台102にセットされた原稿101に対する画像読取処理を開始する。画像読取処理において、CPU11は、まず給紙ローラ106を駆動して、原稿台102からの原稿101の搬送を開始する。原稿台102に複数枚の原稿101がセットされた場合、1枚ずつ原稿が分離されて搬送路108を搬送される。CPU11は、その後、レジストセンサ109によって原稿101が検出されると、当該検出のタイミングを基準として、原稿101の画像の読み取りのための画像読取ユニット104の制御を行う。
【0027】
具体的には、CPU11は、発光部1044a及び発光部1044bの発光を制御し、イメージセンサ1043を駆動することで、原稿101の画像の読み取りを行う。画像読取ユニット104は、イメージセンサ1043によって原稿101の画像を読み取って読取画像の画像データを生成し、生成した画像データを制御部10へ出力する。制御部10は、得られた画像データを画像読取装置100のRAM12又は記憶部13に一時的に保存する。なお、画像データは、画像読取装置100と通信可能な外部装置(サーバ装置)に保存されてもよい。
【0028】
<画像読取システムの構成>
図4は、本実施形態に係る画像読取システムの構成例を示す。画像読取システムは、画像読取装置100と、ネットワークを介して画像読取装置100と通信可能な端末装置(端末)200及び300とを含む。当該ネットワークは、有線LAN及び無線LAN等を含む。本実施形態では、画像読取装置100の通信I/F15は、ネットワークを介して端末200及び端末300と通信可能に接続される。
【0029】
端末200及び300は、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)又はモバイル端末等の情報処理装置で構成される。例えば、端末200又は300が、スマートフォン又はタブレット端末等のモバイル端末で構成される場合、当該端末は、無線LAN通信用の無線アクセスポイントに無線接続し、当該無線アクセスポイントを介して有線LANに接続することで、画像読取装置100と通信してもよい。
【0030】
本実施形態において、端末200は、画像読取装置100を操作するユーザ(操作ユーザ)によって使用される端末装置である。端末200にはWebブラウザが予めインストールされている。操作ユーザは、端末200上で動作するWebブラウザを介して画像読取装置100を操作する。端末200は、操作ユーザの操作に従って、Webブラウザにより画像読取装置100のWebサーバ500にアクセスする。これにより、端末200のWebブラウザは、画像読取装置100の操作用の操作画面に対応する画面データとして、HTML(Hyper Text Markup Language)データをWebサーバ500から取得し、取得したHTMLデータに基づいて操作画面を表示する。端末200(Webブラウザ)は、表示した操作画面を介して操作ユーザから原稿の読み取りの開始指示(読取指示)を受け付けると、当該読取指示を画像読取装置100へ送信する。
【0031】
画像読取装置100の制御部10(CPU11)は、端末200から受信した読取指示に従って、上述のように画像読取処理を行う。CPU11は、原稿101の搬送を開始して当該原稿の読み取りを行い、当該読み取りにより得られた読取画像の画像データを、RAM12又は記憶部13に一時的に保存する。保存された画像データは、その後、ネットワークを介して端末200、端末300又はサーバ装置等の外部装置へ送信される。
【0032】
端末300は、読取画像の画像データを送信するための複数の送信先のうち、第二送信先として設定されうる端末装置である。第二送信先は、操作ユーザ以外の、読取画像を確認するユーザ(第三者)であり、例えば、操作ユーザの上司が第二送信先として設定されうる。端末300は、例えば、操作ユーザによる操作に従って画像読取装置100によって生成された読取画像(の画像データ)についての確認を行う。
【0033】
<画像読取装置の機能構成>
図5は、画像読取装置100の機能構成例(ソフトウェア構成例)を示すブロック図である。画像読取装置100は、OS上で動作するアプリケーションとしてWebサーバ500を有する。画像読取装置100の起動時に、CPU11は、OSを起動し、その後にWebサーバ500を起動する。Webサーバ500は、CPU11上に常駐するプロセスとして動作し、ネットワークを介してリクエスト(要求)を受信するまで待機する。リクエストの受信に応じて、Webサーバ500は、当該リクエストに応じたレスポンス(応答)を返す。
【0034】
画像読取装置100は、Webサーバ500上で動作するアプリケーションとして、UI表示アプリケーション(UI表示アプリ)501、スキャンアプリケーション(スキャンアプリ)502、及び送信判定アプリケーション(送信判定アプリ)503を有する。UI表示アプリ501は、操作部130における画面の表示、及び外部装置に表示させる画面の表示を制御する。スキャンアプリ502は、画像読取処理の開始指示(読取指示)を受け付けると、スキャナドライバ(図示せず)を介して、画像読取装置100における画像読取処理を制御する。
【0035】
送信判定アプリ503は、スキャンアプリ502による画像読取処理(スキャン処理)の実行により得られた読取画像の画像データの送信先についての判定を行う。具体的には、送信判定アプリ503は、読取画像の画像データのデータ量に応じて送信先を切り替えるための切替条件に従って、複数の送信先のうちで当該画像データの送信先を決定する処理を行う。Webサーバ500は、スキャンアプリ502によって生成された読取画像の画像データを、送信判定アプリ503によって決定された送信先に対応する送信方法に従って、当該送信先へ送信する。
【0036】
<画像読取システムの動作例>
本実施形態の画像読取システムでは、操作ユーザは、端末200上で動作するWebブラウザを介して画像読取装置100を操作することで、画像読取装置100に画像読取処理(スキャン処理)を実行させ、画像読取装置100から読取画像の画像データを取得する。ここで、
図6(A)を参照して、端末200からWebブラウザを介して画像読取装置100に対して読取指示が行われる場合の、画像読取システムにおける処理の例について説明する。
図6(A)は、画像読取システムにおける処理のシーケンスの例を示す。
【0037】
操作ユーザは、端末200を操作してWebブラウザを起動し、WebブラウザのURL入力欄に、画像読取装置100のWebサーバ500を示すURL(本例では、「http://192.168.0.10/」)を入力する。これにより、端末200(Webブラウザ)は、S601で、画像読取装置100のWebサーバ500との通信を確立するために、Webサーバ500にアクセスする。
【0038】
端末200(Webブラウザ)からのアクセスを受け付けると、S602で、画像読取装置100(Webサーバ500)は、読取設定用の設定画面の画面データ(HTMLデータ)を端末200へ送信することで、当該設定画面を端末200へ提供する。
図7(A)は、端末200において表示される読取設定用の設定画面の例を示す。端末200(Webブラウザ)は、画像読取装置100(Webサーバ500)から取得したHTMLデータに基づいて、端末200の表示部に、Webブラウザ画面として設定画面700を表示する。設定画面700では、一例として、画像の読み取りにおけるカラーモード及び解像度を設定可能である。操作ユーザは、端末200の操作部(例えば、タッチパネル)を用いて読取設定を入力し、その後、スキャンボタンを押すことで、画像読取装置100に対する指示を行う。
【0039】
これにより、S603で、端末200(Webブラウザ)は、読取設定とともに読取開始要求(読取指示)を、画像読取装置100(Webサーバ500)へ送信する。読取開始要求の受信に応じて、Webサーバ500上で動作しているスキャンアプリ502が、受信した読取設定及び読取開始要求(読取指示)に従ってスキャン処理の実行を開始する。画像読取装置100(Webサーバ500)は、スキャン処理を開始すると、S604で、スキャン処理に関連するステータス情報を、応答として端末200へ送信する。具体的には、画像読取装置100は、スキャン処理が正常に開始された場合には、文字列「Status:0」をステータス情報として含む応答を送信する。一方、画像読取装置100は、エラーの発生によりスキャン処理を開始できない場合には、予め定義されているエラー番号を含む文字列「Status:(エラー番号)」をステータス情報として含む応答を送信する。
【0040】
S605で、端末200(Webブラウザ)は、画像読取装置100から受信した応答が、スキャン処理が正常に開始されたことを示す場合、読取中(スキャン中)画面を画像読取装置100(Webサーバ500)に対して要求する。読取中画面の要求を受信すると、画像読取装置100(Webサーバ500)は、読取中画面の画面データを端末200(Webブラウザ)へ送信する。これにより、端末200(Webブラウザ)は、受信した画面データに基づいて、
図8に一例として示す読取中画面800を表示することで、スキャン処理が開始されたことを操作ユーザに通知する。
【0041】
その後S607で、端末200(Webブラウザ)は、スキャン処理のステータスを確認するためのステータス取得要求を、画像読取装置100(Webサーバ500)へ送信する。ステータス取得要求を受信すると、画像読取装置100(Webサーバ500)は、スキャン処理を実行中である場合には、文字列「Status:1」をステータス情報として含む応答を送信する。端末200(Webブラウザ)は、画像読取装置100から受信した応答に基づいて、スキャン処理のステータスを判定し、スキャン処理が続いている間、所定の時間間隔で、ステータス取得要求の送信(S607)を繰り返し行う。
【0042】
S609において、端末200(Webブラウザ)は、S607と同様に、ステータス取得要求を、画像読取装置100(Webサーバ500)へ送信する。このタイミングにおいて、画像読取装置100においてスキャンアプリ502によるスキャン処理が終了しているものとする。この場合、S610で、画像読取装置100(Webサーバ500)は、スキャン処理により得られた読取画像の画像データを端末200(Webブラウザ)へ送信する。
【0043】
このようにして、端末200(Webブラウザ)は、画像読取装置100から読取画像の画像データを取得する。その後、画像データの取得後、端末200(Webブラウザ)は、処理をS601に戻し、読取設定用の設定画面700をWebブラウザ画面として表示する。
【0044】
なお、本例は、後述する第一送信先として操作ユーザの端末200が設定されており、当該第一送信先に対して読取画像の画像データが送信される例に相当する。また、本例では、ステータス取得要求(S609)に対する応答として、読取画像の画像データが端末200へ送信されているが、これとは異なる方法で、画像データが取得されてもよい。例えば、画像読取装置100(Webサーバ500)からの画像データのダウンロード用の操作画面(Webページ)が、S610において端末200(Webブラウザ)へ提供されてもよい。この場合、操作ユーザは、端末200においてWebブラウザによって表示された操作画面で、画像読取装置100からの画像データのダウンロード操作を行うことで、当該画像データを取得する。
【0045】
<送信方法の設定>
本実施形態において、画像読取装置100は、原稿の画像を読み取って得られた読取画像の画像データを送信するための送信方法の設定を予め行う。送信方法の設定は、画像読取装置100の動作設定を管理するユーザ(管理ユーザ)によって予め行われうる。管理ユーザは、操作部130を用いて、画像読取装置100にログインし、画像読取装置100に対する設定操作を行うことが可能である。
【0046】
なお、送信方法の設定は、画像読取処理により得られた画像データの取得(送信)前の任意のタイミングに行われ、例えば、画像読取処理の実行中に行われてもよいし、画像読取処理の完了後、画像データの送信前に行われてもよい。また、送信方法の設定は、画像読取装置100の管理ユーザ以外のユーザによって行われてもよい。例えば、初回の設定は管理ユーザによって行われ、次回以降は他のユーザ(例えば、設定された送信先に対応するユーザ)によって行われてもよい。管理ユーザ以外のユーザによる設定(の変更)が行われた場合には、不正な設定を防止するために、誰が設定を行ったのかをログ情報として残してもよい。
【0047】
図9(A)は、送信方法の設定のための設定画面の例を示す。本実施形態では、設定画面900は、送信判定アプリ503(CPU11)によって操作部130に表示されるが、画像読取装置100と通信可能な外部装置(例えば、PC等の端末装置)に表示されてもよい。その場合、画像読取装置100から送信される画面データ(例えば、HTMLデータ)に基づいて、外部装置における設定画面の表示が行われ、設定画面における入力内容が外部装置から画像読取装置100へ送信される。送信判定アプリ503(CPU11)は、外部装置から受信した入力内容に従って設定方法の設定を行う。
【0048】
設定画面900では、複数の送信先に対応する、読取画像の画像データを送信するための複数の送信方法と、当該複数の送信先のうちで、画像データのデータ量に応じて送信先を切り替えるための切替条件とが設定される。送信方法の設定は、例えば、画像データの送信に使用される通信プロトコル及び通信経路の設定を含む。なお、設定画面900では、一例として、第一送信先及び第二送信先の2つの送信先を設定可能である。本実施形態では、第一送信先は、画像形成装置100を操作する操作ユーザとなるように(操作ユーザの端末200に画像データの送信が行われるように)設定される。また、第二送信先は、第一送信先とは異なる送信先として、操作ユーザ以外の、読取画像を確認するユーザに対して画像データの送信が行われるように設定される。読取画像を確認するユーザは、操作ユーザ以外の第三者であり、例えば、操作ユーザの上司でありうる。
【0049】
●第一送信先の設定
設定画面900では、第一送信先に対応する送信方法として、Webブラウザ経由の送信方法、又は電子メールを用いる送信方法を選択可能である。Webブラウザ経由の送信方法は、
図6のS610において実行されている送信方法(ステータス取得要求に対する応答として、端末200のWebブラウザに対して画像データを送信する方法)である。設定画面900では、Webブラウザ経由の送信方法について、送信に使用する通信プロトコルとして、標準のプロトコル(HTTP)を使用するか、HTTPよりセキュリティの高いプロトコルであるHTTPSを使用するかを選択可能である。また、電子メールを用いた送信方法について、送信先となる電子メールアドレスと、通信経路となるメールサーバとを設定可能である。
【0050】
図9(A)に示す例では、第一送信先に対応する送信方法の設定として、Webブラウザ経由の送信方法が選択され、通信プロトコルとしてHTTPSは使用しない(HTTPを使用する)ことが設定されている。
【0051】
●第二送信先の設定
設定画面900では、第二送信先に対応する送信方法として、電子メールを用いる送信方法、又はサーバ装置(データサーバ)に画像データを送信する送信方法を選択可能である。電子メールを用いた送信方法について、送信先となる電子メールアドレスと、通信経路となるメールサーバとを設定可能である。また、データサーバに画像データを送信する送信方法について、データサーバ上の画像データの保存先を示すアドレスと、送信に使用する通信プロトコル及び通信経路とを設定可能である。通信プロトコルとして、標準のプロトコル(FTP)、又はFTPよりセキュリティの高いプロトコルであるFTPSを選択可能である。通信経路として、直接データサーバへ送信する経路、又はVPN(Virtual Private Network)を用いる経路を選択可能である。
【0052】
図9(A)に示す例では、第二送信先に対応する送信方法の設定として、電子メールを用いる送信方法が選択され、当該送信方法で使用する、電子メールアドレス及びメールサーバが設定されている。本例では、操作ユーザ以外の(読取画像の画像データの確認を行う)第三者が端末300による電子メールの送受信に使用している電子メールアドレスが、送信先として設定されている。設定された電子メールアドレスを宛先とした電子メールにより画像データを送信することで、端末300で当該画像データを受信する(それにより第三者が読取画像を確認する)ことが可能である。
【0053】
なお、設定画面900における、第一及び第二送信先についての上述の設定項目は一例であり、他の設定項目が代替的又は追加的に存在してもよい。例えば、共有フォルダを送信先とする送信方法が選択可能であってもよい。また、データサーバに画像データ送信する送信方法に使用する通信プロトコルとして、SFTP又はHTTPS等の、他の通信プロトコルを選択可能であってもよい。また、通信経路として、画像データを転送する転送サーバを指定可能であってもよい。設定画面900では、最低限の設定項目のみを表示し、入力された情報に基づいて残りの情報(例えば、社員IDに対応する電子メールアドレス)を外部データベースから取得してもよい。
【0054】
●切替条件の設定
設定画面900では更に、読取画像の画像データを送信する際の送信先の切替条件として、第一送信先から第二送信先への切り替えを行う切替条件を設定可能である。切替条件は、読取画像の画像データのデータ量が閾値データ量以上であるか否かに応じて、当該画像データの送信先を第一送信先から第二送信先に切り替えるように定められる。本実施形態では、送信先の切り替えの基準として、画像データのデータサイズ又は読み取りが行われた原稿(画像)の枚数を選択可能である。設定画面900では、画像データのデータサイズ又は原稿の枚数を基準として送信先を切り替える切替条件について、判定対象となる期間と、閾値データサイズ又は閾値原稿枚数を設定可能である。
【0055】
画像データのデータサイズを基準として用いる場合、判定対象期間において取得された画像データの総データサイズが閾値データサイズを上回ると、第一送信先から第二送信先への切り替えが行われる。また、原稿の枚数を基準として用いる場合、判定対象期間において読み取りが行われた原稿の総枚数が閾値原稿枚数を上回ると、第一送信先から第二送信先への切り替えが行われる。判定対象期間については、例えば、1回のスキャン処理の期間、過去一時間、又は過去一日(その日)といった設定が可能である。
【0056】
なお、上述の切替条件の設定は一例にすぎず、大量の原稿について画像読取処理が行われたことを判定可能な条件であれば、切替条件として設定可能である。例えば、読取画像の画像データからOCR(Optical Character Recognition)処理によって抽出された文字の数が、切替条件に用いられてもよい。また、例えば、判定対象期間は、スキャン処理の実行回数に基づいて設定可能であってもよい。
【0057】
図9(A)に示す例では、データサイズを基準として送信先を切り替える切替条件が設定されている。具体的には、1回のスキャン処理により得られた読取画像の画像データのサイズが、閾値データサイズ10MB以上であるとの判定に従って、送信先を第一送信先から第二送信先に切り替える切替条件が設定されている。
【0058】
設定画面900においてOKボタンが押されると、送信判定アプリ503(CPU11)は、設定画面900における設定内容を示す設定データを記憶部13に保存する。なお、設定データは、例えば、通信I/F15を介して通信可能な外部装置に保存されてもよい。その場合、CPU11は、必要に応じて外部装置から設定データを取得して使用する。
【0059】
<処理手順>
図10は、画像読取装置100において実行される画像読取処理の手順の例を示すフローチャートである。本例では、画像読取処理は、操作ユーザが使用する端末200から画像読取装置100へ送信される読取指示(読取開始要求)に従って実行される。
【0060】
図6(A)を参照して上述したように、操作ユーザが端末200を操作してWebuブラウザを起動し、画像読取装置100のWebサーバ500を示すURLに対してWebブラウザによるアクセスを行う。CPU11(Webサーバ500)は、端末200(Webブラウザ)からのアクセスを受け付けると、
図10の手順による処理を開始する。
【0061】
S1001で、CPU11(Webサーバ500)は、端末200からのアクセスに応じて、端末200との通信を確立する。画像読取装置100(Webサーバ500)と端末200との間の通信は、例えばHTTPプロトコルを用いて行われる。なお、画像読取装置100と端末200との間の通信は、画像読取装置100のWebサーバ500及び端末200のWebブラウザ以外のアプリケーションを用いて実現されてもよい。画像読取装置100と端末200とがUSBにより接続されている場合、CPU11は、USB接続を介して所定のコマンドを送信することで、端末200との通信を確立してもよい。また、画像読取装置100と端末200との間の通信の確立に、端末200のWebブラウザが使用されていない場合、上述の第一送信先に対応する送信方法として電子メールを用いる送信方法のみを使用可能である。
【0062】
上述のように、操作ユーザは、画像読取装置100から端末200に提供される設定画面700(
図7(A))を用いて、画像の読み取りに関する設定を行うことが可能である。設定画面700において、スキャンボタンが操作ユーザによって押されると、端末200のWebブラウザは、読取設定及び読取指示を、画像読取装置100(Webサーバ500)へ送信する。これにより、S1002で、画像読取装置100(Webサーバ500)は、端末200から読取設定及び読取指示を受信する。
【0063】
次にS1003で、CPU11(Webサーバ500上で動作しているスキャンアプリ502)が、受信した読取設定及び読取指示に従って画像読取処理(スキャン処理)の実行を開始する。CPU11は、原稿台102にセットされた原稿を1枚ずつ順に搬送し、画像読取ユニット104によって当該原稿の画像の読み取りを行うよう、画像読取処理を制御する。画像読取処理は、原稿台102にセットされた原稿が無くなるまで継続される。なお、定められた枚数の原稿が読取対象とされてもよいし、端末200から受信される読取設定において読取対象の原稿の枚数が設定されてもよい。CPU11は、画像読取ユニット104によって生成された画像データを、保存先として予め設定されている記憶部13に保存する。CPU11は、画像読取処理が完了するとS1004へ処理を進める。
【0064】
S1004で、CPU11(スキャンアプリ502)は、後述する送信先の決定処理のために、読取画像の画像データに関する情報(読取画像情報)を記憶部13に保存する。
図11は、S1004において保存される読取画像情報の例を示す。読取画像情報は、一例として、スキャン処理が行われた日時、スキャン処理により得られた画像データのサイズ、及びスキャン処理が行われた原稿の枚数(得られた読取画像の数)を含む。スキャン処理が行われるごとに、読取画像情報が、記憶部13に保持されているリストに保存(追加)される。なお、設定画面900を用いて設定された判定対象期間から外れた古い情報は上記リストから削除されてもよい。あるいは、判定対象期間とは無関係に、上記リストから削除するタイミング(例えば、保存から一ヶ月又は一年経過したタイミング)が定められてもよい。
【0065】
次にS1005で、CPU11(送信判定アプリ503)は、記憶部13に保存されている、画像データを送信するための複数の送信方法の設定、及び送信先の切替条件の設定を示す設定データを参照する。この設定データは、設定画面900を用いた設定により予め生成されて記憶部13に保存されている。CPU11は、設定データが示す設定を用いて、
図12に示す手順で、読取画像の画像データの送信先(送信方法)を決定する処理を行う。
【0066】
画像データの送信先が決定されると、S1006で、CPU11(Webサーバ500)は、決定した送信先に対応する送信方法の設定に従って画像データを送信することで、決定した送信先への画像データの送信を行う。
【0067】
本実施形態では、CPU11は、第一送信先へ画像データを送信する場合には、設定画面900における、第一送信先に対応する送信方法の設定内容に従って、画像データの送信を行う。例えば、Webブラウザ経由の送信方法を用いることが設定されている場合、CPU11は、HTTP及びHTTPSのうちで設定された通信プロトコルとして使用して、端末200のWebブラウザへ画像データを送信する。画像データの送信は、
図6(A)を用いて説明したように、ステータス取得要求に対する応答として行われてもよい(S609~S610)。電子メールを用いる送信方法の場合、CPU11は、設定されたメールサーバを介して、設定された電子メールアドレスを宛先として電子メールに画像データを添付して、画像データの送信を行う。
【0068】
また、CPU11は、第二送信先へ画像データを送信する場合には、設定画面900における、第二送信先に対応する送信方法の設定内容に従って、画像データの送信を行う。例えば、電子メールを用いる送信方法の場合、CPU11は、設定されたメールサーバを介して、設定された電子メールアドレスを宛先として電子メールに画像データを添付して、画像データの送信を行う。サーバ装置(データサーバ)に画像データを送信する送信方法の場合、設定されたデータサーバのアドレスに対して画像データを送信する。その際、CPU11は、FTP及びFTPSのうちで設定された通信プロトコルを使用して、画像データの送信を行う。また、通信経路としてVPNを用いる経路が設定されている場合には、VPNを介して画像データの送信を行う。なお、VPNを介した送信に必要となるVPNサーバアドレス等の設定情報は、予め記憶部13に格納されているものとする。
【0069】
ここで、
図6(B)は、第二送信先への画像データの送信が行われる場合の、画像読取システムにおける処理のシーケンスの例を示す。本例は、第二送信先に対して読取画像の画像データが送信される例に相当する。S601~S609の処理は、第一送信先への画像データの送信が行われる、
図6(A)の例と同様である。
【0070】
本例では、画像読取装置100(Webサーバ500)は、第二送信先への画像データの送信後に、ステータス取得要求(S609)を端末200(Webブラウザ)から受信すると、文字列「Status:2」をステータス情報として含む応答を送信する。このステータス情報は、第二送信先(第一送信先以外の送信先)へ画像データの送信が行われたことを示す。この場合、端末200(Webブラウザ)は、画像データが第二送信先へ送信されたことを把握し、処理をS601に戻し、読取設定用の設定画面700をWebブラウザ画面として表示する。あるいは、第二送信先に画像データが送信されたことを示す画面(不図示)をWebブラウザ画面として表示する。
【0071】
読取画像の画像データの送信(S1006)が完了すると、CPU11は、
図10の手順による処理を終了する。
【0072】
<送信先の決定処理(S1005)>
図12は、読取画像の画像データの送信先を決定する処理(S1005)の手順の例を示すフローチャートである。
【0073】
まずS1201で、CPU11(送信判定アプリ503)は、記憶部13に保存されている設定データから、設定されている切替条件についての判定対象となる期間(判定対象期間)を取得する。更にS1202で、CPU11は、切替条件についての判定に、読取画像の画像データのデータサイズを用いるか否かを判定する。CPU11は、データサイズを用いることが設定されている場合には、S1203へ処理を進め、データサイズを用いない(読み取りが行われた原稿の枚数を用いる)ことが設定されている場合には、S1205へ処理を進める。
【0074】
(データサイズを用いて判定を行う場合)
S1203で、CPU11は、S1201において取得した判定対象期間と、S1004において記憶部13に保存された読取画像情報とに基づいて、判定対象期間において取得された画像データの総データサイズを算出する。例えば、判定対象期間が1回のスキャン処理の期間に設定されている場合、直近のスキャン処理で取得された画像データのサイズが取得される。次にS1204で、CPU11は、切替条件についての判定に用いる閾値として、設定された閾値データサイズ(
図9(A)の例では、10MB)を取得し、S1207へ処理を進める。
【0075】
S1207で、CPU11は、判定対象期間に対応する総データサイズ(算出値)が閾値データサイズ以上であるか否かを判定する。CPU11は、総データサイズが閾値データサイズ以上である場合には、S1208へ処理を進め、第二送信先を読取画像の画像データの送信先として決定し、処理を終了する。一方、CPU11は、総データサイズが閾値データサイズ以上ではない場合には、S1209へ処理を進め、第一送信先を読取画像の画像データの送信先として決定し、処理を終了する。
【0076】
例えば、
図9(A)及び
図11の例の場合、直近のスキャン処理で取得された画像データのサイズは13.5MBであり、閾値データサイズは10MBであるため、総データサイズ(算出値)が閾値データサイズ以上であると判定される。その結果、第二送信先が読取画像の画像データの送信先として決定される。
【0077】
(原稿の枚数を用いて判定を行う場合)
S1205で、CPU11は、S1201において取得した判定対象期間と、S1004において記憶部13に保存された読取画像情報とに基づいて、判定対象期間においてスキャン処理が行われた原稿の総枚数(得られた読取画像の数)を算出する。次にS1204で、CPU11は、切替条件についての判定に用いる閾値として、設定された閾値原稿枚数(
図9(A)の例では、100枚)を取得し、S1207へ処理を進める。
【0078】
S1207で、CPU11は、判定対象期間に対応する原稿の総枚数(算出値)が閾値原稿枚数以上であるか否かを判定する。CPU11は、原稿の総枚数が閾値原稿枚数以上である場合には、S1208へ処理を進め、第二送信先を読取画像の画像データの送信先として決定し、処理を終了する。一方、CPU11は、原稿の総枚数が閾値原稿枚数以上ではない場合には、S1209へ処理を進め、第一送信先を読取画像の画像データの送信先として決定し、処理を終了する。
【0079】
以上説明したように、本実施形態の画像読取装置100において、CPU11(送信判定アプリ503)は、複数の送信先にそれぞれ対応する、画像データを送信するための複数の送信方法を設定する。画像読取ユニット104は、原稿の画像を読み取って読取画像の画像データを生成する。CPU11(送信判定アプリ503)は、画像読取ユニット104によって生成された画像データのデータ量に応じて送信先を切り替えるための切替条件に従って、複数の送信先のうちで当該画像データの送信先を決定する。更に、CPU11(Webサーバ500)は、画像読取ユニット104によって生成された画像データを、決定された送信先に対応する送信方法に従って当該送信先へ送信する。
【0080】
本実施形態において、複数の送信先は、第一送信先及び第二送信先を含みうる。第一送信先は、画像読取装置100を操作する操作ユーザ(がアクセス可能な端末装置)である。第二送信先は、操作ユーザ以外の、読取画像を確認するユーザ(がアクセス可能な端末装置)である。切替条件は、読取画像の画像データのデータ量に応じて、画像データの送信先を第一送信先から第二送信先に切り替えるための条件として定められる。
【0081】
例えば、(第一送信先に設定されている)操作ユーザの上司を第二送信先として設定した場合、読取画像の画像データが、送信先の切替条件に従って、必要に応じて上司へ届くことになる。この場合、上司が読取画像を確認した上で、問題が無ければ操作ユーザへ画像データを転送し、問題が有れば画像データを転送することなく破棄することが可能である。このようにして、読取画像の画像データの送信による機密情報の流出を効率的に防ぐことが可能である。
【0082】
また、上記の例では、上司によって直接、読取画像の確認が行われることになる。この場合、読取画像の画像データの確認を機械的に(例えば、所定の画像処理により)行う場合と比べて、より正確な機密情報の特定と、特定した機密情報の流出の防止を実現することが可能になる。更に、切替条件の設定により、大量の文書の読み取りが行われた場合にのみ、上司へ画像データが送信されるように制御可能である。このようにして、大量の機密情報の流出につながらないことが想定される場合には、上司への画像データが届くことなく、読取画像の確認の手間が不必要に増加することを防止できる。
【0083】
なお、第一送信先の設定については必ずしも必要ではなく、第一送信先として予め定められた送信先及びそれに対応する送信方法(例えば、Webブラウザ経由の送信方法)が固定的に用いられてもよい。この場合、設定画面900に、第一送信先に対応する送信方法の入力欄を表示しなくてもよい。
【0084】
また、操作ユーザに対応する第一送信先以外の送信先として、複数の送信先(例えば、第二送信先及び第三送信先)を設定可能であってもよい。例えば、切替条件についての判定に、読取画像の画像データのデータサイズを用いる場合、データサイズに応じて第二送信先と第三送信先との切り替えが行われるように、複数の閾値データサイズが設定されうる。これにより、例えば、画像データの総データサイズが50MB以上である場合には第三送信先、総データサイズが50MB未満で、かつ、10MB以上である場合には第二送信先が、画像データの送信先として決定されうる。この場合、一例として、より多くの画像データの送信が行われる場合に、より高い役職者による読取画像の確認を必要とする制御が可能になる。
【0085】
また、本実施形態は、第二送信先に対して画像データを送信せずに、第二送信先からの画像データの入手(閲覧)が可能になるように、画像データにアクセスするためのリンク(画像データの保存場所のURLへのリンク)を第二送信先へ送信してもよい。
【0086】
また、本実施形態は、画像データを画像読取装置100から第一送信先、第二送信先に直接送信する態様について説明したが、これに限られない。例えば、画像データを画像読取装置100からクラウドサーバなど、所定の外部ストレージに送信しておき、そこから第一送信先、あるいは第二送信先に画像データを送信するように構成してもよい。この場合、上述したように、第二送信先が画像データにアクセスするためのリンクのみ画像読取装置100から送信してもよい。
【0087】
[第2実施形態]
第2実施形態は、第1実施形態の変形例である。本実施形態では、読取画像の画像データに対する画像処理として特定の画像処理が有効になっている場合に、切替条件によらず、第二送信先へ画像データを送信する処理を行う例について説明する。
【0088】
例えば、原稿の地紋を除去する地紋除去機能が有効になっている場合に、切替条件によらず、第に送信先へ画像データを送信する処理を行う。機密文書には不正コピーが行われたことを示す特殊な地紋が印刷されている場合がある。このため、地紋除去機能が有効になっている場合、読み取り対象の原稿が機密文書であった可能性が高い。
【0089】
そこで、本実施形態では、読取画像の画像データに対する画像処理として地紋除去機能等の特定の画像処理が有効になっている場合には、操作ユーザ以外の第三者による画像データの確認を可能にするために、画像データを第二送信先へ送信するようにする。以下では、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0090】
図7(B)は、本実施形態に係る、端末200において表示される読取設定用の設定画面の例を示す。設定画面710は、
図7(A)に示す、第1実施形態の設定画面700と比べて、地紋除去機能を有効化するための設定項目(チェックボックス)が追加されている。地紋除去機能を有効化することが設定された場合、読取画像から地紋を除去する画像処理が、画像読取処理(スキャン処理)により得られた画像データに対して行われることになる。
【0091】
<処理手順>
本実施形態の画像読取装置100では、第1実施形態と同様、
図10の手順に従った処理が行われる。ただし、S1005において、CPU11(送信判定アプリ503)は、
図13に示す手順で、読取画像の画像データの送信先(送信方法)を決定する処理を行う。
図13に示す手順は、第1実施形態における
図12に示す手順と比べて、S1301が追加されている点が異なっている。
【0092】
送信先の決定処理(S1005)において、まずS1301で、CPU11は、地紋除去設定に基づいて第二送信先へ読取画像の画像データを送信するか否かを判定する。具体的には、
図9(B)に示すように、送信方法設定画面910において、送信先の切替条件として「地紋除去が有効な場合は常に第二送信先に送信する」とのチェックボックスが表示され、チェックされた状態を示している。CPU11は、記憶部13に保存されているこの設定データを参照して、地紋除去機能が有効化されている場合に、地紋除去設定に基づいて第二送信先へ読取画像の画像データを送信すると判定し、S1208へ処理を進める。S1208で、CPU11は、切替条件によらず、第二送信先を読取画像の画像データの送信先として決定し(送信先を第一送信先から第二送信先へ切り替え)、処理を終了する。
【0093】
一方、CPU11は、地紋除去機能が有効化されていない場合には、S1301からS1201へ処理を進める。この場合、S1201~S1209で、第1実施形態と同様の処理を行うことで、読取画像の画像データの送信先を決定する。
【0094】
以上説明したように、本実施形態の画像読取装置100は、画像読取ユニット104によって生成された画像データに対して特定の画像処理(例えば、地紋を除去する画像処理)が行われた場合、切替条件によらず、当該画像データの送信先を第一送信先から第二送信先に切り替えるように構成される。これにより、読取画像の画像データのデータ量だけでなく、読取設定にも応じて、読取画像の画像データの送信による機密情報の流出を効率的に防ぐことが可能になる。
【0095】
なお、本実施形態では、地紋除去機能が有効化されているか否かに基づいて、切替条件によらず画像データの送信先を第二送信先に決定する処理を行っているが、実際に読取画像から地紋が除去されたか否かに基づいてそのような決定を行ってもよい。また、特定の画像処理は、地紋除去処理以外の画像処理であってもよい。
【0096】
また、本実施形態では、特定の画像処理が有効化されている場合、又は、読取画像の画像データのデータ量が閾値データ量以上である場合に、画像データの送信先を第二送信先に決定する処理を行っている。この処理は、特定の画像処理が有効化されており、かつ、読取画像の画像データのデータ量が閾値データ量以上である場合に、画像データの送信先を第二送信先に決定するように変更されてもよい。これにより、第二送信先に送信される画像データの量を減らすことができ、第二送信先となるユーザ(例えば、操作ユーザの上司)による読取画像の確認の手間を軽減可能になる。このとき、特定の画像処理が有効化されている場合における第二送信先に送信されるための画像データの量の閾値(第一閾値)と、特定の画像処理が有効化されていない場合における第二送信先に送信されるための画像データの量の閾値(第二閾値)とを異なる値としてもよい。
【0097】
また、特定の画像処理が有効化されているか否かに代えて、特定の画像処理が無効化されているか否かに基づいて、切替条件によらず画像データの送信先を第二送信先に決定する処理が行われてもよい。この処理によれば、例えば、機密情報を含む画像であることを表示する(アドオンする)機能を無効化して、そのような表示を行わずに読取画像の画像データを生成している場合に、当該画像データを第二送信先に画像データを送信することが可能になる。
【0098】
[第3実施形態]
第3実施形態は、第1実施形態の変形例である。本実施形態の画像読取装置100では、特定のユーザによって、原稿の画像を読み取る読取処理(スキャン処理)の実行が指示された場合に、切替条件によらず、画像データの送信先を第一送信先に決定する処理を行う。
【0099】
具体的には、画像読取装置100の管理ユーザは、第二送信先の設定を自らの所望の送信先に変更可能であるため、当該管理ユーザの指示によるスキャン処理が行われた場合、切替条件による画像データの送信先の切り替えは意味をなさない。そこで、本実施形態の画像読取装置100は、管理ユーザがログインして読取指示を行った場合に、切替条件によらず、画像データの送信先を第一送信先に決定するように構成される。これにより、画像データの送信先の第二送信先へ切り替えに伴う利便性の低下を防ぐことができる。以下では、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0100】
<処理手順>
本実施形態の画像読取装置100では、第1実施形態と同様、
図10の手順に従った処理が行われる。ただし、S1005において、CPU11(送信判定アプリ503)は、
図14に示す手順で、読取画像の画像データの送信先(送信方法)を決定する処理を行う。
図14に示す手順は、第1実施形態における
図12に示す手順と比べて、S1401が追加されている点が異なっている。
【0101】
送信先の決定処理(S1005)において、まずS1401で、CPU11は、画像読取装置100にログインして読取指示を行ったユーザが管理ユーザであるか否かを判定する。CPU11は、ログインユーザが管理ユーザである場合には、S1209へ処理を進める。S1209で、CPU11は、CPU11は、切替条件によらず、第一送信先を読取画像の画像データの送信先として決定し、処理を終了する。
【0102】
一方、CPU11は、ログインユーザが管理ユーザではない場合には、S1401からS1201へ処理を進める。この場合、S1201~S1209で、第1実施形態と同様の処理を行うことで、読取画像の画像データの送信先を決定する。
【0103】
以上説明したように、本実施形態の画像読取装置100は、当該画像読取装置の管理ユーザによって、原稿の画像を読み取る読取処理の実行が指示された場合、切替条件によらず、画像データの送信先を第一送信先に決定するように構成される。これにより、第二送信先を自ら設定変更可能な管理ユーザにとっての利便性の低下を防ぐことができる。なお、管理ユーザ以外の特定のユーザ(例えば、操作ユーザの上司)が画像読取装置100にログインして読取指示を行った場合にも、同様の処理を行ってもよい。
【0104】
本明細書の開示は、以下の画像読取装置及びその制御方法、並びにプログラムを含む。
(項目1)
画像読取装置であって、
複数の送信先にそれぞれ対応する、画像データを送信するための複数の送信方法を設定する設定手段と、
原稿の画像を読み取って読取画像の画像データを生成する読取手段と、
前記読取手段によって生成された前記画像データのデータ量に応じて送信先を切り替えるための切替条件に従って、前記複数の送信先のうちで当該画像データの送信先を決定する決定手段と、
前記読取手段によって生成された前記画像データを、前記決定手段によって決定された送信先に対応する送信方法に従って当該送信先へ送信する送信手段と、
を備えることを特徴とする画像読取装置。
(項目2)
前記送信方法は、画像データの送信に使用される通信プロトコルを含む、
ことを特徴とする項目1に記載の画像読取装置。
(項目3)
前記送信方法は、画像データの送信に使用される送信先のアドレスを含む、
ことを特徴とする項目1又は2に記載の画像読取装置。
(項目4)
前記送信方法は、画像データの送信に使用される通信経路を含む、
ことを特徴とする項目3に記載の画像読取装置。
(項目5)
前記送信方法は、電子メールにより画像データの送信する送信方法であり、
前記送信先のアドレスは、電子メールアドレスである、
ことを特徴とする項目3又は4に記載の画像読取装置。
(項目6)
前記送信先のアドレスは、画像データが格納されるサーバ装置のURLである、
ことを特徴とする項目3又は4に記載の画像読取装置。
(項目7)
前記設定手段は、ユーザの操作に従って、前記複数の送信方法の設定と前記切替条件の設定とを行う、
ことを特徴とする項目1乃至6のいずれか1項目に記載の画像読取装置。
(項目8)
前記送信手段は、前記画像データの保存場所にアクセスするためのリンクを前記送信先へ送信する、
ことを特徴とする項目1乃至7のいずれか1項目に記載の画像読取装置。
(項目9)
前記複数の送信先は、第一送信先及び第二送信先を含み、
前記第一送信先は、前記画像読取装置を操作する操作ユーザであり、
前記第二送信先は、前記操作ユーザ以外の、前記読取画像を確認するユーザであり、
前記切替条件は、前記画像データのデータ量に応じて、前記画像データの送信先を前記第一送信先を前記第二送信先に切り替えるための条件である、
ことを特徴とする項目1乃至8のいずれか1項目に記載の画像読取装置。
(項目10)
前記切替条件は、前記画像データのデータ量が閾値データ量以上であるか否かに応じて、前記画像データの送信先を前記第一送信先から前記第二送信先に切り替えるように定められる、
ことを特徴とする項目9に記載の画像読取装置。
(項目11)
前記切替条件は、対象期間において前記読取手段によって生成された画像データの総データサイズが閾値データサイズ以上であるか否かに応じて、前記画像データの送信先を前記第一送信先から前記第二送信先に切り替えるように定められる、
ことを特徴とする項目9又は10に記載の画像読取装置。
(項目12)
前記切替条件は、対象期間において前記読取手段によって読み取りが行われた原稿の総枚数が閾値原稿枚数以上であるか否かに応じて、前記画像データの送信先を前記第一送信先から前記第二送信先に切り替えるように定められる、
ことを特徴とする項目9又は10に記載の画像読取装置。
(項目13)
前記対象期間は、前記読取手段によって原稿の画像を読み取る読取処理の実行回数を単位として定められる、
ことを特徴とする項目11又は12に記載の画像読取装置。
(項目14)
前記決定手段は、前記読取手段によって生成された前記画像データに対して特定の画像処理が行われた場合、前記切替条件によらず、前記画像データの送信先を前記第一送信先から前記第二送信先に切り替える、
ことを特徴とする項目9乃至13のいずれか1項目に記載の画像読取装置。
(項目15)
前記特定の画像処理は、前記読取画像から地紋を除去する画像処理である、
ことを特徴とする項目14に記載の画像読取装置。
(項目16)
前記決定手段は、前記画像読取装置の管理ユーザによって、原稿の画像を読み取る読取処理の実行が指示された場合、前記切替条件によらず、前記画像データの送信先を前記第一送信先に決定する、
ことを特徴とする項目9乃至15のいずれか1項目に記載の画像読取装置。
(項目17)
前記送信手段は、前記切替条件に従って前記第二送信先へ前記画像データを送信した後に、前記画像データの取得が承認されたことを示すレスポンスを前記第二送信先から受信すると、前記画像データを前記第一送信先へ更に送信する、
ことを特徴とする請求項9乃至16のいずれか1項目に記載の画像読取装置。
(項目18)
前記設定手段は、前記第二送信先への送信先の切り替え後に、前記画像データの取得が承認されたことを示すレスポンスを受信した場合に前記画像データを前記第一送信先へ更に送信するか否かを、ユーザの操作に従って更に設定し、
前記送信手段は、前記切替条件に従って前記第二送信先へ前記画像データを送信した後に、前記画像データの取得が承認されたことを示すレスポンスを前記第二送信先から受信すると、前記設定手段よる設定に従って前記画像データを前記第一送信先へ更に送信する、
ことを特徴とする請求項9乃至16のいずれか1項目に記載の画像読取装置。
(項目19)
画像読取装置の制御方法であって、
複数の送信先にそれぞれ対応する、画像データを送信するための複数の送信方法を設定する設定工程と、
原稿の画像を読み取って読取画像の画像データを生成する読取工程と、
前記読取工程で生成された前記画像データのデータ量に応じて送信先を切り替えるための切替条件に従って、前記複数の送信先のうちで当該画像データの送信先を決定する決定工程と、
前記読取工程で生成された前記画像データを、前記決定工程で決定された送信先に対応する送信方法に従って当該送信先へ送信する送信工程と、
を含むことを特徴とする画像読取装置の制御方法。
(項目20)
画像読取装置のコンピュータに、項目19に記載の制御方法を実行させるためのプログラム。
【0105】
本発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【0106】
例えば、各実施形態において、第一送信先と第二送信先のいずれに画像データを送信するかのみを判定する態様について説明したが、切替条件に従って画像読取装置100から第二送信先に画像データを送信した後に、第一送信先へ画像データを送信し直す処理を行ってもよい。具体的には、画像読取装置100は、切替条件に従って第二送信先に画像データを送信した後に、当該画像データの取得が承認されたことを示すレスポンスを第二送信先から受信すると、当該画像データを第一送信先へ更に送信するように構成されてもよい。
【0107】
また、
図9(A)の設定画面900における切替条件の設定として、第二送信先への送信先の切り替え後に 画像データの取得が承認された場合(承認されたことを示すレスポンスを受信した場合)に当該画像データを第一送信先へ更に送信するか否か(即ち、第一 送信先へ送信し直して処理を終了するか、又は第二送信先への送信のみで処理を終了するか)を更に設定できるようにしてもよい。この場合、画像読取装置100は、切替条件に従って第二送信先へ画像データを送信した後に、当該画像データの取得が承認されたことを示すレスポンスを第二送信先から受信すると、設定画面900を介した設定に従って当該画像データを第一送信先へ更に送信するように構成される。
【0108】
このような処理により、読取画像を確認するユーザ(例えば、端末300のユーザ)の承認に従って、自動的に操作ユーザへ画像データを送信することが可能になる。これにより、読取画像を確認するユーザが画像データを操作ユーザへ転送する手間を省くことができるとともに、画像データをダウンロードするための操作を操作ユーザが行う手間も省くことができ、それぞれのユーザにとっての利便性を高めることが可能である。
【0109】
なおこれらの時、画像読取ユニット104によって読み取られた第一の画像データに対し、読取画像を確認するユーザ(例えば、端末300のユーザ)に対して送信される第二の画像データは、第一の画像データそのものでなく、例えばその解像度が低減されるなどの処理が施されたものであってもよい。この処理には、送信される画像データのデータサイズを低減する種々の処理が含まれる。
【符号の説明】
【0110】
100:画像読取装置、104:画像読取ユニット、10:制御部、11:CPU、13:記憶部、130:操作部