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特開2024-177993レーダ装置、レーダ制御方法、レーダ制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177993
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】レーダ装置、レーダ制御方法、レーダ制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01S 13/34 20060101AFI20241217BHJP
【FI】
G01S13/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096455
(22)【出願日】2023-06-12
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】井手 康裕
(72)【発明者】
【氏名】榎並 達也
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 友宏
(72)【発明者】
【氏名】伊佐治 修
【テーマコード(参考)】
5J070
【Fターム(参考)】
5J070AB18
5J070AB21
5J070AB24
5J070AC02
5J070AC06
5J070AC13
5J070AD05
5J070AF03
5J070AH35
(57)【要約】
【課題】ピークの広がりを抑制し、且つチャープ信号に対する制約を緩和可能なレーダ装置等を提供する。
【解決手段】レーダ装置は、プロセッサを有し、周波数が時間変化するチャープ信号を少なくとも1つ含む信号セットを送信サイクル毎に複数送信する。プロセッサは、信号セット毎にチャープ信号の中心周波数が単調に変化し、且つ信号セット間の時間間隔が線形に時間変化する信号セットを、送信することを実行するように構成される。信号セットを送信することは、信号セットごとの中心周波数の基準周波数に対する相対変化率を周波数変化率とし、信号セットごとの時間間隔の基準間隔に対する相対変化率を時間変化率とすると、時間変化率の周波数変化率に対する相対変化率である比率変化率が、特定時間域において、許容変化率範囲内に収まるように、中心周波数を調整することを含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサ(6b)を有し、周波数が時間変化するチャープ信号を少なくとも1つ含む信号セットを送信サイクル毎に複数送信するレーダ装置であって、
前記プロセッサは、
前記信号セット毎に前記チャープ信号の中心周波数が単調に変化し、且つ前記信号セット間の時間間隔が線形に時間変化する前記信号セットを、送信することと、
前記チャープ信号が外界のターゲットにて反射した反射信号の受信データを取得することと、
を実行するように構成され、
前記信号セットを送信することは、
前記信号セットごとの前記中心周波数の基準周波数に対する相対変化率を周波数変化率とし、前記信号セットごとの前記時間間隔の基準間隔に対する相対変化率を時間変化率とすると、前記時間変化率の前記周波数変化率に対する相対変化率である比率変化率が、特定時間域において、許容変化率範囲内に収まるように、前記中心周波数を調整することを含むレーダ装置。
【請求項2】
前記信号セットは、前記送信サイクル毎における後続する前記信号セット側から先行する前記信号セット側への前記比率変化率の変動方向が、正方向及び負方向のうち一方向のみとなっている請求項1に記載のレーダ装置。
【請求項3】
前記信号セットを送信することは、前記送信サイクルに応じて、前記チャープ信号の前記周波数の時間に応じた増加変化と減少変化とを切り替える請求項1に記載のレーダ装置。
【請求項4】
前記信号セットを送信することは、前記送信サイクルに応じて、前記信号セット毎の前記中心周波数の時間に応じた増加変化と減少変化とを切り替える請求項1に記載のレーダ装置。
【請求項5】
前記信号セットを送信することは、前記信号セットごとに単一のチャープ信号を送信することを含む請求項1に記載のレーダ装置。
【請求項6】
前記信号セットを送信することは、前記信号セットごとに複数のチャープ信号を送信することを含む請求項1に記載のレーダ装置。
【請求項7】
周波数が時間変化するチャープ信号を少なくとも1つ含む信号セットを送信サイクル毎に複数送信するレーダ装置(1)を制御するために、プロセッサ(6b)により実行されるレーダ制御方法であって、
前記信号セット毎に前記チャープ信号の中心周波数が単調に変化し、且つ前記信号セット間の時間間隔が線形に時間変化する前記信号セットを、送信することと、
前記チャープ信号が外界のターゲットにて反射した反射信号の受信データを取得することと、
を含み、
前記信号セットを送信することは、
前記信号セットごとの前記中心周波数の基準周波数に対する相対変化率を周波数変化率とし、前記信号セットごとの前記時間間隔の基準間隔に対する相対変化率を時間変化率とすると、前記時間変化率の前記周波数変化率に対する相対変化率である比率変化率が、特定時間域において、許容変化率範囲内に収まるように、前記中心周波数を調整することを含むレーダ制御方法。
【請求項8】
周波数が時間変化するチャープ信号を少なくとも1つ含む信号セットを送信サイクル毎に複数送信するレーダ装置(1)を制御するために記憶媒体(6a)に記憶され、プロセッサ(6b)に実行させる命令を含むレーダ制御プログラムであって、
前記命令は、
前記信号セット毎に前記チャープ信号の中心周波数が単調に変化し、且つ前記信号セット間の時間間隔が線形に時間変化する前記信号セットを、送信させることと、
前記チャープ信号が外界のターゲットにて反射した反射信号の受信データを取得させることと、
を含み、
前記信号セットを送信させることは、
前記信号セットごとの前記中心周波数の基準周波数に対する相対変化率を周波数変化率とし、前記信号セットごとの前記時間間隔の基準間隔に対する相対変化率を時間変化率とすると、前記時間変化率の前記周波数変化率に対する相対変化率である比率変化率が、特定時間域において、許容変化率範囲内に収まるように、前記中心周波数を調整させることを含むレーダ制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レーダ技術に、関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数のチャープ信号を、中心周波数を変化させて送信し、ターゲットにて反射されたチャープ信号を受信信号として取得するレーダシステムが開示されている。送信信号と受信信号とのミキシングによるビート信号の周波数解析において、チャープ信号の中心周波数が変化する場合、ビート信号の周波数には、チャープ信号の中心周波数と送信時刻との積に依存する項が現れる。この項がチャープ信号の順番の数に対して非線形となる場合ターゲットのピークが広がる。レーダシステムは、この項を線形とするため、時間間隔の相対変化の大きさが中心周波数の相対変化の大きさの少なくとも2倍となるように、チャープ信号の時間間隔を調整する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国特許発明第102020210079号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の技術では、レーダシステムのICにて実現可能な精度よりも高精度な時間調整が必要になる場合がある。この場合、必要な時間間隔を実現するためには、チャープ信号における時間間隔以外のパラメータの調整が必要になり得る。したがって、特許文献1の技術では、ピークの広がりを抑制するために、チャープ信号における時間間隔以外のパラメータの制約が厳しくなる虞がある。
【0005】
本開示の課題は、ピークの広がりを抑制し、且つチャープ信号に対する制約を緩和可能なレーダ装置を、提供することにある。本開示の別の課題は、ピークの広がりを抑制し、且つチャープ信号に対する制約を緩和可能なレーダ制御方法を、提供することにある。本開示のさらに別の課題は、ピークの広がりを抑制し、且つチャープ信号に対する制約を緩和可能なレーダ制御プログラムを、提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、課題を解決するための本開示の技術的手段について、説明する。尚、特許請求の範囲及び本欄に記載された括弧内の符号は、後に詳述する実施形態に記載された具体的手段との対応関係を示すものであり、本開示の技術的範囲を限定するものではない。
【0007】
本開示の第一態様は、プロセッサ(6b)を有し、周波数が時間変化するチャープ信号を少なくとも1つ含む信号セットを送信サイクル毎に複数送信するレーダ装置であって、
プロセッサは、
信号セット毎にチャープ信号の中心周波数が単調に変化し、且つ信号セット間の時間間隔が線形に時間変化する信号セットを、送信することと、
チャープ信号が外界のターゲットにて反射した反射信号の受信データを取得することと、
を実行するように構成され、
信号セットを送信することは、
信号セットごとの中心周波数の基準周波数に対する相対変化率を周波数変化率とし、信号セットごとの時間間隔の基準間隔に対する相対変化率を時間変化率とすると、時間変化率の周波数変化率に対する相対変化率である比率変化率が、特定時間域において、許容変化率範囲内に収まるように、中心周波数を調整することを含む。
【0008】
本開示の第二態様は、周波数が時間変化するチャープ信号を少なくとも1つ含む信号セットを送信サイクル毎に複数送信するレーダ装置(1)を制御するために、プロセッサ(6b)により実行されるレーダ制御方法であって、
信号セット毎にチャープ信号の中心周波数が単調に変化し、且つ信号セット間の時間間隔が線形に時間変化する信号セットを、送信することと、
チャープ信号が外界のターゲットにて反射した反射信号の受信データを取得することと、
を含み、
信号セットを送信することは、
信号セットごとの中心周波数の基準周波数に対する相対変化率を周波数変化率とし、信号セットごとの時間間隔の基準間隔に対する相対変化率を時間変化率とすると、時間変化率の周波数変化率に対する相対変化率である比率変化率が、特定時間域において、許容変化率範囲内に収まるように、中心周波数を調整することを含む。
【0009】
本開示の第三態様は、周波数が時間変化するチャープ信号を少なくとも1つ含む信号セットを送信サイクル毎に複数送信するレーダ装置(1)を制御するために記憶媒体(6a)に記憶され、プロセッサ(6b)に実行させる命令を含むレーダ制御プログラムであって、
命令は、
信号セット毎にチャープ信号の中心周波数が単調に変化し、且つ信号セット間の時間間隔が線形に時間変化する信号セットを、送信させることと、
チャープ信号が外界のターゲットにて反射した反射信号の受信データを取得させることと、
を含み、
信号セットを送信させることは、
信号セットごとの中心周波数の基準周波数に対する相対変化率を周波数変化率とし、信号セットごとの時間間隔の基準間隔に対する相対変化率を時間変化率とすると、時間変化率の周波数変化率に対する相対変化率である比率変化率が、特定時間域において、許容変化率範囲内に収まるように、中心周波数を調整させることを含む。
【0010】
これら第一~第三態様によると、比率変化率が特定時間域において許容変化率範囲内に収まるように、チャープ信号の中心周波数が調整される。故に、チャープ信号の時間間隔と中心周波数との積が特定時間域内において非線形となることが回避され得る。中心周波数は時間間隔と比較して細かい調整が可能であるため、中心周波数の調整により比率変化率が許容変化率範囲内に収まり易くなり、中心周波数以外のパラメータの制約が緩和され得る。以上により、ピークの広がりを抑制し、且つチャープ信号に対する制約が緩和可能となり得る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第一実施形態の適用されるレーダ装置の全体構成を示す概要図である。
図2】第一実施形態による制御ユニットの機能構成を示すブロック図である。
図3】第一実施形態によるレーダ制御フローを示すフローチャートである。
図4】第一実施形態によるチャープ信号の一例を示すグラフである。
図5】チャープ信号ごとの時間間隔の変化の一例を示すグラフである。
図6】チャープ信号ごとの中心周波数の変化の一例を示すグラフである。
図7】チャープ信号ごとの比率変化率の一例を示すグラフである。
図8】第二実施形態によるチャープ信号の一例を示すグラフである。
図9】第三実施形態によるチャープ信号の一例を示すグラフである。
図10】第四実施形態によるチャープ信号の一例を示すグラフである。
図11】第五実施形態によるチャープ信号の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施形態を図面に基づき複数説明する。尚、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことで、重複する説明を省略する場合がある。又、各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施形態の構成を適用することができる。さらに、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合わせることができる。
【0013】
(第一実施形態)
本開示の第一実施形態に関して、図1図7を用いて説明する。レーダ装置1は、例えば車両等の移動体に搭載される。レーダ装置1は、送信信号を送信して、物体で反射された送信信号を受信信号として受信し、送信信号を反射した物体であるターゲットまでの距離、ターゲットとの相対速度及びターゲットの方位等を、ターゲット情報として検出する。
【0014】
レーダ装置1から出力されたターゲット情報は、例えばCAN(Control Area Network(登録商標))、及びEthernet(登録商標)などの車載ネットワークを介して車載ECU(Electronic control unit)に入力される。車載ECUは、取得した各ターゲットのターゲット情報に基づいて、車両の自動運転や高度運転支援のための各種処理を実行する。
【0015】
ターゲット情報に基づく処理としては、例えば衝突回避処理、警告処理等がある。衝突回避処理は、各ターゲットのターゲット情報に基づいて、ブレーキシステムやステアリングシステム等を制御することにより、ターゲットとの衝突を回避するための車両制御を行う処理である。警告処理は、各ターゲットのターゲット情報に基づいて、ターゲットとの衝突可能性を運転者に警告する処理である。
【0016】
本実施形態のレーダ装置1は、図1の基本構成に示すように、クロック発振器2a、信号生成ユニット2b、複数の送信回路3、複数の送信アンテナTX、複数の受信アンテナRX、複数の受信回路4、制御ユニット6、及び収容ユニット7を備えている。レーダ装置1は、複数の送信アンテナTXから送信信号を送信することにより、受信アンテナRXの本数を実本数以上に擬似的に増加させる、所謂MIMO(Multiple-Input-Multiple-Output)方式のレーダである。
【0017】
クロック発振器2aは、周期的なクロック信号を生成する。クロック発振器2aは、クロック信号を信号生成ユニット2b及び各受信回路4へと送信する。信号生成ユニット2bは、制御ユニット6からの制御信号に基づいて、クロック信号に応じた変調周期にて変調された変調信号を生成する。変調信号は、例えば、周波数が時間変化する所謂チャープ信号である。変調信号は、送信回路3及び受信回路4の各チャネルに分配されて出力される。以下において、信号生成ユニット2bから送信回路3へと出力される変調信号を送信信号とする。又、信号生成ユニット2bから受信回路4へと出力される変調信号をローカル信号とする。
【0018】
送信回路3及び受信回路4は、それぞれMMIC(Monolithic Microwave Integrated Circuit)等の半導体集積回路装置を主体に構成されている。送信回路3は、送信アンテナTXと接続され、送信アンテナTXに対して送信信号を出力する。1つのレーダ装置1に送信回路3は、例えば複数搭載されている。送信回路3は、接続された送信アンテナTXと同数の増幅器30を備えている。増幅器30は、信号生成ユニット2bから出力された送信信号を増幅して、それぞれ対応する送信アンテナTXに対して出力する。
【0019】
送信アンテナTXは、信号生成ユニット2bから供給された送信信号としての電気信号を、電波信号へと変換して外界へと送信する。送信アンテナTXは、少なくとも1つ以上のアンテナ素子を含んで構成されている。例えば、送信アンテナTXは、平板形状の複数のアンテナ素子を備えるパッチアンテナである。アンテナ素子は、地板が一方の面に設けられた誘導体基板における地板とは反対側の面に、地板と対向するように配置されている。複数のアンテナ素子は、電気信号を供給する給電線により、例えば直列に接続されている。
【0020】
受信アンテナRXは、外界における反射物としてのターゲットにて反射された送信信号を含む電波信号を、受信信号として受信する。受信アンテナRXは、対応する受信回路4に接続されている。
【0021】
受信アンテナRXは、電波信号としての受信信号を、電気信号へと変換して対応する受信回路4に出力する。受信アンテナRXは、例えば送信アンテナTXと同様に、少なくとも1つ以上のアンテナ素子が給電線により直列に接続された、パッチアンテナとされる。
【0022】
受信回路4は、受信アンテナRXと接続され、受信アンテナRXにて受信された受信信号を取得する。1つのレーダ装置1受信回路4は、例えば複数搭載されている。受信回路4は、接続された受信アンテナRXと同数の増幅器40、信号混合部41、及びAD変換器42を備えている。
【0023】
増幅器40は、受信アンテナRXにて受信された受信信号を増幅し、信号混合部41へと出力する。信号混合部41は、信号生成ユニット2bからのローカル信号と受信信号とが混合されたビート信号を生成する。生成されるビート信号は、受信信号とローカル信号との周波数差分を表す干渉信号となる。ビート信号は、図示しないローパスフィルタによって受信信号とローカル信号との周波数差分から外れる高域成分をフィルタリングされた状態で、AD変換器42へと出力される。
【0024】
AD変換器42は、フィルタリングされたアナログ信号であるビート信号を、デジタル信号へと変換する。AD変換器42は、クロック発振器2aより出力されたクロック信号を取得し、当該クロック信号の周期に応じた時間間隔でビート信号をサンプリングし、デジタル化する。AD変換器42は、デジタル化したビート信号を、制御ユニット6へと逐次出力する。
【0025】
収容ユニット7は、送信アンテナTX、受信アンテナRX、クロック発振器2a、信号生成ユニット2b、送信回路3、受信回路4、及び制御ユニット6を収容する収容体である。収容ユニット7は、レドーム7a及びケース体7bを備えている。レドーム7aは、ミリ波帯の電波を透過させる透過材を主体として形成されている。レドーム7aは、アンテナTX,RXを覆うようにケース体7bに取り付けられている。レドーム7aは、アンテナTX,RXを保護しつつ電波の透過によりアンテナTX,RXでの信号の送受信を可能とする。ケース体7bは、レドーム7aとともに上述のレーダ装置1の構成要素を収容する収容空間を区画形成している。尚、収容ユニット7内には、内部温度を検出する温度センサが設けられていてもよい。温度センサは、例えばサーミスタを備え、サーミスタの抵抗値に応じた温度情報を出力する。温度センサは、各送信回路3及び受信回路4の温度情報を検出し、制御ユニット6へと出力することが可能に構成されていてもよい。
【0026】
制御ユニット6は、少なくとも一つの専用コンピュータを含んで構成されている制御部である。制御ユニット6を構成する専用コンピュータは、例えば、レーダ装置1の制御に特化したECU(Electronic Control Unit)であってもよい。
【0027】
制御ユニット6を構成する専用コンピュータは、メモリ6aとプロセッサ6bとを、少なくとも一つずつ有している。メモリ6aは、コンピュータにより読み取り可能なプログラム及びデータ等を非一時的に記憶する、例えば半導体メモリ、磁気媒体、及び光学媒体等のうち、少なくとも一種類の非遷移的実体的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)である。ここで記憶とは、センサシステムの起動オフによってもデータが保持される蓄積であってもよいし、センサシステムの起動オフによりデータが消去される一時的な格納であってもよい。
【0028】
プロセッサ6bは、例えばCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、RISC(Reduced Instruction Set Computer)-CPU、DFP(Data Flow Processor)、及びGSP(Graph Streaming Processor)等のうち、少なくとも一種類をコアとして含んでいてもよい。又は、プロセッサ6bは、デジタル回路及びアナログ回路のうち、少なくとも一方であってもよい。ここでデジタル回路とは、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、SOC(System on a Chip)、PGA(Programmable Gate Array)、及びCPLD(Complex Programmable Logic Device)等のうち、少なくとも一種類である。又こうしたデジタル回路は、プログラムを記憶したメモリ6aを、有していてもよい。
【0029】
レーダ装置1においてプロセッサ6bは、物標を検出するためにメモリ6aに記憶された、レーダ制御プログラムに含まれる複数の命令を実行する。これによりレーダ装置1は、レーダを制御するための機能部を、複数構築する。レーダ装置1において構築される複数の機能部には、図2に示すように送信処理部60、及び受信処理部61が含まれている。尚、これらの機能部は、機能ブロックと称することも可能である。
【0030】
送信処理部60及び受信処理部61の共同により、制御ユニット6がレーダ装置1を制御するレーダ制御方法は、図3に示すレーダ制御フローに従って実行される。本レーダ制御フローは、レーダ装置1の起動中に繰り返し実行される。尚、本レーダ制御フローにおける各「S」は、レーダ制御プログラムに含まれた複数命令によって実行される複数ステップを、それぞれ意味している。
【0031】
まずS10では、送信処理部60が、送信信号を生成、送信する。送信信号は、ミリ波帯又は準ミリ波帯等のレーダ波である。送信処理部60は、周波数を時間的に変調したチャープ波を、基本信号として生成する。具体的には、送信処理部60は、図4に示すように、所定の初期周波数から最終周波数まで変化(例えば漸増)する波形を1チャープとし、複数チャープを所定の周期で繰り返す信号を、生成する。送信処理部60は、こうして生成した複数のチャープ信号を、送信信号として送信する。
【0032】
送信処理部60は、1つの送信サイクルにおいて、複数のチャープ信号を生成する。送信処理部60は、1つの送信サイクルにおいて、チャープ信号の中心周波数を、単調に変化するように設定する。図4に示す例では、送信処理部60は、送信サイクルにおいて時間経過に応じて中心周波数が単調に増加するように、チャープ信号ごとの中心周波数を設定している。尚、ここで送信サイクルとは、1番目のチャープ信号を送信開始してから、規定された特定数(kfin個)のチャープ信号を送信終了するまでのサイクルである。
【0033】
送信処理部60は、チャープ信号の時間間隔を、時間及びチャープ信号の順番の数に対して線形に変化するように設定する。ここで、特定のチャープ信号の時間間隔は、当該信号の送信開始時刻と、送信サイクル内において当該信号の1つ前を先行するチャープ信号の送信開始時刻と、の間隔である。ここで、或る送信サイクルにおけるk番目のチャープ信号について、送信開始時刻をT(k)、時間間隔をT(k)とする。1番目のチャープ信号のみ先行するチャープ信号が存在しないため、時間間隔を基準時刻からの間隔としてTDSとする。TDSは、例えばゼロとされる。時間間隔T(k)のチャープ信号ごとの増加幅をΔtとすると、線形に変化する時間間隔T(k)は、TDS,k,Δtを用いた以下の数式(1)に対応するものとなる。
【数1】
【0034】
そして、送信処理部60は、k番目のチャープ信号について、以下の数式(2)に対応する送信開始時刻T(k)を設定する。
【数2】
【0035】
送信処理部60は、1つの送信サイクルにおける規定数の各チャープ信号について、以上の数式に対応する時間間隔T(k)及び送信開始時刻T(k)にて送信するように、設定する。さらに、送信処理部60は、1つの送信サイクルでの各チャープ信号を規定するパラメータとして、単調に変化する中心周波数を規定する。
【0036】
送信処理部60は、k番目のチャープ信号の中心周波数F(k)について、時間間隔T(k)との積が特定時間域において時間及びチャープ信号の順番の数に対して実質的に線形となる周波数に設定する。ここで、実質的に線形とは、時間間隔T(k)の基準間隔に対する相対変化率である時間変化率の、中心周波数の基準周波数に対する相対変化率である周波数変化率に対する相対変化率が、許容変化率範囲内に収まることを意味する。以下において、時間変化率の周波数変化率に対する相対変化率を、比率変化率と称する場合がある。尚ここで、許容変化率範囲は、比率変化率が規定の上限閾値以下又は未満、且つ規定の下限閾値以上又は超過となる範囲である。又、特定時間域は、規定の上限時刻以下又は未満、且つ規定の下限時刻以上又は超過となる時間域である。例えば、特定時間域は、送信サイクルの開始から所定の時刻が経過して以降の時間域、すなわち上限時刻が当該所定の時刻で、下限時刻がゼロの時間域である。
【0037】
ここで、k番目のチャープ信号の時間変化率A、周波数変化率Bは、以下の数式(3)(4)による算出値に対応する。尚、時間変化率Aにおける基準間隔は、1番目の時間間隔TDS、周波数変化率Bにおける基準周波数は、1番目の中心周波数FSSとする。
【数3】
【数4】
【0038】
したがって、比率変化率は、数式(3)の右辺を、数式(4)の右辺にて割った値に対応する。送信処理部60は、この比率変化率が特定時間域において許容変化率範囲に収まる中心周波数F(k)を規定する。例えば、時間間隔T(k)が図5のグラフで表される変化態様であったとする。この場合、送信処理部60は、中心周波数F(k)を、図6のグラフで表される変化態様により、比率変化率が図7のグラフで表される変化態様となるように、チャープ信号ごとに変動させる。この中心周波数F(k)は、時間間隔T(k)ひいては送信開始時刻T(k)との積が実質線形となる値として、以下の数式(5)にて表されるパラメータに対応する。
【数5】
【0039】
ここで、送信サイクル毎における後続のチャープ信号側から先行するチャープ信号側への比率変化率の変動方向が、負方向の一方向のみとなっている。すなわち、1つの送信サイクルにおける比率変化率のグラフは、図7に示すように、反比例の双曲線のうち一方のみとなる。このために、送信処理部60は、1つの送信サイクル内の各チャープ信号における番数を、k=1から開始するように管理する。
【0040】
尚、制御ユニット6を構成するICは、一般的に、およそ10ns単位にて、時間間隔の調整が可能である。又、当該ICは、一般的に、コンマヘルツ単位にて、中心周波数の調整が可能である。
【0041】
尚、第一実施形態における送信処理部60は、1つのチャープ信号ごとに時間間隔が時間及びチャープ信号の順番の数に対して線形に変化し、且つ中心周波数が単調に変化する送信信号を、生成する。すなわち、送信処理部60は、単一のチャープ信号を信号セットとして、信号セットごとに時間間隔が線形に変化し、且つ中心周波数が単調に変化する送信信号を、生成していると解することができる。尚、送信サイクル内におけるチャープ信号の送信開始から終了までの時間幅、及び帯域幅の大きさは、例えば実質的に同じに設定されている。又、先行するチャープ信号の送信終了時刻と後続するチャープ信号の送信開始時刻は、実質的に同じに設定されている。
【0042】
次に、S20では、送信処理部60が、送信信号がターゲットにて反射されて返ってきた信号を、受信信号として受信する。続くS30では、受信処理部61が、受信信号に応じたビート信号を取得する。
【0043】
そしてS40では、受信処理部61が、ビート信号を周波数解析することにより、ターゲットに関するターゲット情報を取得する。ターゲット情報には、ターゲットのレーダ装置1との距離及び相対速度が、少なくとも含まれている。具体的には、受信処理部61は、ビート信号に対して2回のFFT(Fast Fourier Transform)処理を実行する。これにより、送信処理部60は、距離及び相対速度に関する二次元スペクトラムを取得する。
【0044】
詳記すると、送信処理部60は、まずビート信号をチャープ毎にFFT処理する。この1回目のFFT処理により、物標までの距離に対応する周波数の位置にピークを示す周波数スペクトル(距離スペクトル)がチャープ毎に得られる。距離スペクトルは、距離分解能に応じた距離ビンごとの信号強度を示すデータとされる。
【0045】
物標との相対速度がゼロでない場合、各チャープに対応する距離スペクトルは、同じ距離ビンにピークを示すが、位相は、チャープ間で互いに異なる。このチャープ間の位相差は、レーダ装置1と物標との間の距離の変化に起因する。これを利用してFCM(Fast Chirp Modulation)方式では、物標との相対速度が検出される。この2回のFFT処理により、送信処理部60は、距離及び相対速度についての二次元スペクトルを取得する。
【0046】
具体的には2回目のFFT処理として、受信処理部61は、複数のチャープに対する1回目のFFT処理で得られた距離ビンでの位相を時系列で並べた波形に対して、FFT処理を行う。これにより、物標との相対速度に対応する位置にピークを示す周波数スペクトル(速度スペクトル)が、速度ビン毎に得られる。尚、最大検知速度によっては、速度の折り返しが生じ、二次元スペクトルにおいて複数のピークが示される場合がある。
【0047】
ここで、2回目のFFT処理により取得できる、チャープ信号ごとの特定のサンプリングポイントにおける周波数φIF(k)は、ターゲットの距離r、速度v、光速度cとすると、以下の数式に対応する。尚、以下においてschは、チャープ信号の傾きに応じて決定されるパラメータであり、傾きが正の場合は+1、負の場合は-1となる。
【数6】
【0048】
ここで、送信処理部60における送信時の信号処理により、中心周波数F(k)と時間間隔T(k)との積は、実質的に線形である。送信開始時刻T(k)は、k番目のチャープ信号までの時間間隔T(k)の和となるため、送信開始時刻T(k)と中心周波数F(k)との積も線形となる。すなわち、上述の数式(6)の第二項における中心周波数F(k)と送信開始時刻T(k)とF(k)との積も線形となる。したがって、この積が非線形となる場合と比較して、ターゲットの速度が大きくなったとしてもピークの広がりが抑制され易くなる。
【0049】
受信処理部61は、2回目のFFT処理結果に基づき、ターゲットの距離及び相対速度を、ターゲット情報として取得する。続くS50では、受信処理部61は、取得したターゲット情報を出力する。ターゲット情報の出力処理は、ターゲット情報の外部への送信処理、記憶媒体への記憶処理等を含んでいる。
【0050】
尚、検出対象の方位は、ビームの照射方向に基づいて検出することができる。又、受信部12が複数の受信アンテナRXを備える場合、受信アンテナRX間の受信信号の位相差に基づいて方位が検出されてもよい。レーダ装置1は、検出した検出対象情報を、車両の運転を制御する運転制御ECU(Electronic Control Unit)等に出力する。
【0051】
以上の第一実施形態によれば、比率変化率が特定時間域において許容変化率範囲内に収まるように、チャープ信号の中心周波数が調整される。故に、チャープ信号の時間間隔と中心周波数との積が特定時間域内において非線形となることが回避され得る。中心周波数は時間間隔と比較して細かい調整が可能であるため、中心周波数の調整により比率変化率が許容変化率範囲内に収まり易くなり、中心周波数以外のパラメータの制約が緩和され得る。以上により、ピークの広がりを抑制し、且つチャープ信号に対する制約が緩和可能となり得る。
【0052】
(第二実施形態)
図8に示すように第二実施形態は、第一実施形態の変形例である。
【0053】
第二実施形態において、送信処理部60は、送信サイクルに応じて、各チャープ信号における周波数の時間に応じた増加変化と減少変化とを切り替える。換言すれば、送信処理部60は、各チャープ信号の時間に対する周波数変化について、傾きの正負が送信サイクルに応じて変化する。例えば、送信処理部60は、図8に示すように、特定の送信サイクルにおいて周波数変化の傾きを正方向とし、直後の送信サイクルにおいて、周波数変化の傾きを負方向に切り替えている。
【0054】
以上の第二実施形態によれば、送信サイクルに応じて、チャープ信号の周波数の時間に応じた増加変化と減少変化とが切り替わるため、他のレーダ装置1との干渉が抑制され得る。
【0055】
(第三実施形態)
図9に示すように第三実施形態は、第一実施形態の変形例である。
【0056】
第三実施形態において、送信処理部60は、送信サイクルに応じて、チャープ信号ごとの中心周波数の時間に応じた増加変化と減少変化とを切り替える。換言すれば、送信処理部60は、1つの送信サイクル全体における時間に対する中心周波数変化について、傾きの正負が送信サイクルに応じて変化する。例えば、送信処理部60は、図9に示すように、特定の送信サイクルにおいて中心周波数変化の傾きを正方向とし、直後に後続する送信サイクルにおいて、中心周波数変化の傾きを負方向に切り替えている。
【0057】
以上の第三実施形態によれば、送信サイクルに応じて、チャープ信号毎の中心周波数の時間に応じた増加変化と減少変化とが切り替わるため、他のレーダ装置1との干渉が抑制され得る。
【0058】
(第四実施形態)
図10に示すように第四実施形態は、第一実施形態の変形例である。
【0059】
送信処理部60は、送信サイクルに応じたチャープ信号ごとの中心周波数の時間に応じた増加変化と減少変化との切り替えと、送信サイクルに応じたチャープ信号ごとの中心周波数の時間に応じた増加変化と減少変化との切り替えと、の両方を実行する。例えば、送信処理部60は、図10に示すように、特定の送信サイクルにおいてチャープ信号ごとの周波数変化の傾きを正方向、中心周波数変化の傾きを負方向としている。そして、送信処理部60は、直後に後続する送信サイクルにおいて、チャープ信号ごとの周波数変化の傾きを負方向、中心周波数変化の傾きを正方向に切り替えている。
【0060】
(第五実施形態)
図11に示すように第五実施形態は、第一実施形態の変形例である。
【0061】
第五実施形態において、送信処理部60は、送信サイクル内のチャープ信号について、時間間隔及び中心周波数が、複数のチャープ信号のセットごとに変化するように設定する。図11に示す例では、送信処理部60は、連続する2つのチャープ信号のセットごとに、時間間隔及び中心周波数が変化するように設定している。
【0062】
以上の第五実施形態によれば、中心周波数及び時間間隔が、1つのチャープ信号ごとではなく、複数のチャープ信号ごとに変化する。これにより、1つのチャープ信号ごとに変化させる場合と比較して、より小さい時間間隔の調整が可能となり得る。例えば。制御ユニット6にて設定可能な時間間隔の最小値が10nsの場合、5nsでの調整が必要な場合は2回に1回変化させることで対応できる。要求される時間間隔と実装可能な時間間隔に差がある場合、以上のように複数チャープ信号のセットごとに時間間隔を変化させることで、より細かな時間間隔制御が可能となる。
【0063】
(他の実施形態)
以上、複数の実施形態について説明したが、本開示は、それらの実施形態に限定して解釈されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
【0064】
変形例において、時間間隔T(k)は、送信開始時刻以外の、チャープ信号における代表時刻間の間隔であってもよい。送信開始時刻以外の代表時刻は、例えば、チャープ信号の送信終了時刻、周波数が中心周波数F(k)となる時刻等である。
【0065】
変形例において、送信サイクル毎における後続のチャープ信号側から先行するチャープ信号側への比率変化率の変動方向は、正方向の一方向のみとなっていてもよい。
【0066】
変形例において、チャープ信号の時間間隔T(k)及び中心周波数F(k)以外のパラメータは、適宜変更されてもよい。又、先行するチャープ信号と後続するチャープ信号とは、時間的に離れていてもよいし、一部が時間的に重複していてもよい。
【0067】
変形例においてレーダ装置1は、複数の送信アンテナTXごとに、送信するチャープ信号の位相にランダム成分を重畳する、所謂CDM(Code Division Multiplex)変調を行ってもよい。
【0068】
変形例においてレーダ装置1は、複数の送信アンテナTXごとに、送信するチャープ信号の位相に線形成分を重畳する、所謂DDM(Doppler Division Multiplex)変調を行ってもよい。
【0069】
変形例においてレーダ装置1の適用される移動体は、例えば自律走行又はリモート走行により荷物搬送若しくは情報収集等の可能な自律装置(autonomous robot)であってもよい。さらに、自律装置(autonomous robot)としては、自律走行車(autonomous vehicle)などを含んでいてもよい。
【0070】
ここまでの説明形態の他に上述の実施形態及び変形例は、ホスト移動体に搭載可能に構成されてプロセッサ6b及びメモリ6aを少なくとも一つずつ有する制御装置として実施されてもよい。具体的には、上述の実施形態及び変形例は、処理回路(例えば処理ECU等)又は半導体装置(例えば半導体チップ等)の形態で実施されてもよい。
【0071】
(技術的思想の開示)
この明細書は、以下に列挙する複数の項に記載された複数の技術的思想を開示している。いくつかの項は、後続の項において先行する項を択一的に引用する多項従属形式(a multiple dependent form)により記載されている場合がある。さらに、いくつかの項は、他の多項従属形式の項を引用する多項従属形式(a multiple dependent form referring to another multiple dependent form)により記載されている場合がある。これらの多項従属形式で記載された項は、複数の技術的思想を定義している。
【0072】
(技術的思想1)
プロセッサ(6b)を有し、周波数が時間変化するチャープ信号を少なくとも1つ含む信号セットを送信サイクル毎に複数送信するレーダ装置であって、
前記プロセッサは、
前記信号セット毎に前記チャープ信号の中心周波数が単調に変化し、且つ前記信号セット間の時間間隔が線形に時間変化する前記信号セットを、送信することと、
前記チャープ信号が外界のターゲットにて反射した反射信号の受信データを取得することと、
を実行するように構成され、
前記信号セットを送信することは、
前記信号セットごとの前記中心周波数の基準周波数に対する相対変化率を周波数変化率とし、前記信号セットごとの前記時間間隔の基準間隔に対する相対変化率を時間変化率とすると、前記時間変化率の前記周波数変化率に対する相対変化率である比率変化率が、特定時間域において、許容変化率範囲内に収まるように、前記中心周波数を調整することを含むレーダ装置。
【0073】
(技術的思想2)
前記信号セットは、前記送信サイクル毎における後続する前記信号セット側から先行する前記信号セット側への前記比率変化率の変動方向が、正方向及び負方向のうち一方向のみとなっている技術的思想1に記載のレーダ装置。
【0074】
(技術的思想3)
前記信号セットを送信することは、前記送信サイクルに応じて、前記チャープ信号の前記周波数の時間に応じた増加変化と減少変化とを切り替える技術的思想1又は技術的思想2に記載のレーダ装置。
【0075】
(技術的思想4)
前記信号セットを送信することは、前記送信サイクルに応じて、前記信号セット毎の前記中心周波数の時間に応じた増加変化と減少変化とを切り替える技術的思想1から技術的思想3のいずれか1項に記載のレーダ装置。
【0076】
(技術的思想5)
前記信号セットを送信することは、前記信号セットごとに単一のチャープ信号を送信することを含む技術的思想1から技術的思想4のいずれか1項に記載のレーダ装置。
【0077】
(技術的思想6)
前記信号セットを送信することは、前記信号セットごとに複数のチャープ信号を送信することを含む技術的思想1から技術的思想4のいずれか1項に記載のレーダ装置。
【0078】
尚、以上の技術的思想は、レーダ制御方法及びレーダ制御プログラムの形態で実施されてもよい。
【符号の説明】
【0079】
1:レーダ装置、6a:メモリ(記憶媒体)、6b:プロセッサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11