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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177994
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】監視装置、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20241217BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20241217BHJP
   B64D 27/24 20240101ALI20241217BHJP
   B64U 50/19 20230101ALI20241217BHJP
   B64U 10/13 20230101ALI20241217BHJP
   B64C 27/04 20060101ALI20241217BHJP
   B64C 29/00 20060101ALI20241217BHJP
   B64C 27/26 20060101ALI20241217BHJP
   B64C 27/28 20060101ALI20241217BHJP
   B64U 10/17 20230101ALI20241217BHJP
   B64U 10/20 20230101ALI20241217BHJP
【FI】
H02J7/00 Y
H01M10/48 301
H02J7/00 P
B64D27/24
B64U50/19
B64U10/13
B64C27/04
B64C29/00
B64C27/26
B64C27/28
B64U10/17
B64U10/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096456
(22)【出願日】2023-06-12
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】中村 雅也
(72)【発明者】
【氏名】吉田 周平
【テーマコード(参考)】
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
5G503BB02
5G503EA08
5G503FA06
5G503GD03
5G503GD06
5H030AA06
5H030AS08
5H030FF22
(57)【要約】
【課題】飛行の安全性を高めること。
【解決手段】監視装置50は、eVTOLに搭載された電池14を監視する。監視装置50は、取得部51と、出力部53を備えている。取得部51は、eVTOLの鉛直方向の移動にともなって生じる電池14の温度ムラに関する情報を取得する。出力部53は、温度ムラに関する情報に基づき電池14の異常に関する所定の条件を満たす場合、監視結果を出力する。温度ムラを監視することで、電池14の部分的な劣化の進行にともなう電池14の異常をいち早く検知することができる。よって、飛行の安全性を高めることができる。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動飛行体(10)に搭載された電池(14)を監視する監視装置であって、
前記電動飛行体の鉛直方向の移動にともなって生じる前記電池の温度ムラに関する情報を取得する取得部(51)と、
前記温度ムラに関する情報に基づき前記電池の異常に関する所定の条件を満たす場合、監視結果を出力する出力部(53)と、
を備える監視装置。
【請求項2】
前記取得部は、前記電池の温度ムラに関する情報とともに、前記鉛直方向に移動時の放電特性に関する情報を取得し、
前記出力部は、前記温度ムラに関する情報および前記放電特性に関する情報に基づいて、前記監視結果を出力する、請求項1に記載の監視装置。
【請求項3】
前記鉛直方向の移動は、離陸飛行および/または着陸飛行である、請求項1または請求項2に記載の監視装置。
【請求項4】
前記鉛直方向に移動時の前記電池の放電レートは3C以上であり、その継続時間は30秒以上である、請求項3に記載の監視装置。
【請求項5】
前記電池は、複数の電池セル(142)を有しており、
前記電池セルは、正極材料として層状化合物系材料を含む、請求項1に記載の監視装置。
【請求項6】
前記電池は、複数の電池セル(142)を備えて構成される組電池(141)を含み、
前記温度ムラに関する情報は、前記電池セルの内部の温度ムラに関する情報を含む、請求項1に記載の監視装置。
【請求項7】
前記電池セルは、電極端子(142P,142N)を有し、
前記温度ムラに関する情報は、前記電池セルの前記電極端子または前記電極端子の近傍における、前記電動飛行体の前記鉛直方向の移動にともなう最高温度到達前の温度上昇特性および/または最高温度到達後の温度緩和特性を含む、請求項6に記載の監視装置。
【請求項8】
前記温度ムラに関する情報は、前記組電池の中央付近に配置された前記電池セルの前記電極端子または前記電極端子の近傍における情報を含む、請求項7に記載の監視装置。
【請求項9】
電動飛行体(10)に搭載された電池(14)を監視するために記憶媒体(203)に記憶され、プロセッサ(201)に実行させる命令を含むプログラムであって、
前記電動飛行体の鉛直方向の移動にともなって生じる前記電池の温度ムラに関する情報を取得すること、
前記温度ムラに関する情報に基づき前記電池の異常に関する所定の条件を満たす場合、監視結果を出力すること、
を実行させる前記命令を含む、プログラム。
【請求項10】
電動飛行体(10)に搭載された電池(14)を監視する監視装置であって、
前記電動飛行体の鉛直方向の移動にともなって生じる前記電池の最高温度到達前の温度上昇特性および/または最高温度到達後の温度緩和特性を含む特性を取得する取得部(51)と、
前記特性に基づき前記電池の異常に関する所定の条件を満たす場合、監視結果を出力する出力部(53)と、
を備える監視装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この明細書における開示は、監視装置、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、電動飛行体の制御方法を開示している。先行技術文献の記載内容は、この明細書における技術的要素の説明として、参照により援用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021―172101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、電池状態を監視し、短絡などの異常を検知してから回避する処置を実行する。上記した観点において、または言及されていない他の観点において、監視装置、およびプログラムにはさらなる改良が求められている。
【0005】
開示されるひとつの目的は、飛行の安全性を高めることができる監視装置、およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
開示のひとつの態様は、
電動飛行体(10)に搭載された電池(14)を監視する監視装置であって、
電動飛行体の鉛直方向の移動にともなって生じる電池の温度ムラに関する情報を取得する取得部(51)と、
温度ムラに関する情報に基づき電池の異常に関する所定の条件を満たす場合、監視結果を出力する出力部(53)と、
を備える。
【0007】
電動飛行体が鉛直方向に移動する際、電池には所定の時間、大電流での放電が要求される。これにより、電池において温度ムラが顕在化し、温度ムラによって電池の部分劣化が生じる。部分劣化により抵抗が増加するため、大電流放電時の発熱がさらに増大し、部分劣化が進行する。開示の監視装置によれば、温度ムラを監視することで、部分劣化の進行にともなう電池の異常をいち早く検知することができる。よって、飛行の安全性を高めることができる。
【0008】
開示の他のひとつの態様は、
電動飛行体(10)に搭載された電池(14)を監視するために記憶媒体(203)に記憶され、プロセッサ(201)に実行させる命令を含むプログラムであって、
電動飛行体の鉛直方向の移動にともなって生じる電池の温度ムラに関する情報を取得すること、
温度ムラに関する情報に基づき電池の異常に関する所定の条件を満たす場合、監視結果を出力すること、
を実行させる命令を含む。
【0009】
電動飛行体が鉛直方向に移動する際、電池には所定の時間、大電流での放電が要求される。これにより、電池において温度ムラが顕在化し、温度ムラによって電池の部分劣化が生じる。部分劣化により抵抗が増加するため、大電流放電時の発熱がさらに増大し、部分劣化が進行する。開示のプログラムによれば、温度ムラを監視するため、部分劣化の進行にともなう電池の異常をいち早く検知することができる。よって、飛行の安全性を高めることができる。
【0010】
開示の他のひとつの態様は、
電動飛行体(10)に搭載された電池(14)を監視する監視装置であって、
電動飛行体の鉛直方向の移動にともなって生じる電池の最高温度到達前の温度上昇特性および/または最高温度到達後の温度緩和特性を含む特性を取得する取得部(51)と、
特性に基づき電池の異常に関する所定の条件を満たす場合、監視結果を出力する出力部(53)と、
を備える。
【0011】
電動飛行体が鉛直方向に移動する際、電池には所定の時間、大電流での放電が要求される。これにより、電池の劣化が生じる。電池の劣化により抵抗が増加するため、大電流放電時の発熱がさらに増大し、劣化が進行する。開示の監視装置によれば、最高温度到達前の温度上昇特性および/または最高温度到達後の温度緩和特性を用いて電池の状態を監視するため、劣化の進行にともなう電池の異常をいち早く検知することができる。よって、飛行の安全性を高めることができる。
【0012】
この明細書における開示された複数の態様は、それぞれの目的を達成するために、互いに異なる技術的手段を採用する。請求の範囲およびこの項に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態の部分との対応関係を例示的に示すものであって、技術的範囲を限定することを意図するものではない。この明細書に開示される目的、特徴、および効果は、後続の詳細な説明、および添付の図面を参照することによってより明確になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】eVTOLおよび地上局の構成を示す図である。
図2】運航管理システムの機能配置を示す図である。
図3】電力プロファイルを示す図である。
図4】電池を示す平面図である。
図5図4のV-V線に沿う断面図である。
図6】電池セルを示す図である。
図7】電池セルの内部における温度ムラを示す図である。
図8】部分劣化の進行にともなう温度ムラの拡大を示す図である。
図9】組電池の内部における電池セル間の温度ムラを示す図である。
図10】監視装置を示す図である。
図11】温度ムラ情報を示す図である。
図12】電池放電特性、電池温度ムラ、および部分劣化の度合いの関係を示す図である。
図13】制御方法の一例を示すフローチャートである。
図14】制御方法の別例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に基づいて複数の実施形態を説明する。なお、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施形態の構成を適用することができる。また、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合せることができる。
【0015】
以下に示す監視装置、監視方法、およびプログラムは、電動飛行体に適用される。なお、Aおよび/またはBとの記載は、AおよびBの少なくともひとつを意味する。つまり、Aのみ、Bのみ、AとBの両方、を含み得る。
【0016】
(第1実施形態)
電動飛行体は、移動するための駆動源としてモータ(回転電機)を備える。電動飛行体は、電動飛行機、電動航空機などと称されることがある。電動飛行体は、鉛直方向への移動、水平方向への移動が可能である。電動飛行体は、鉛直方向成分および水平方向成分を有する方向、つまり斜め方向への移動が可能である。電動飛行体は、たとえば電動垂直離着陸機(eVTOL)、電動短距離離着陸機(eSTOL)、ドローンなどである。eVTOLは、electronic Vertical Take-Off and Landing aircraftの略称である。eSTOLは、electronic Short distance Take-Off and Landing aircraftの略称である。
【0017】
電動飛行体は、有人機、無人機のいずれでもよい。有人機の場合、電動飛行体は、操縦者としてのパイロットにより操縦される。無人機の場合、電動飛行体は、操縦者による遠隔操作により操縦され、あるいは、コントロールシステムにより自動的に制御され得る。一例として本実施形態の電動飛行体は、eVTOLである。
【0018】
<eVTOL>
図1は、eVTOLおよび地上局を示している。図1に示すように、eVTOL10は、機体本体11、固定翼12、回転翼13、電池14、EPU15、およびBMS16などを備えている。
【0019】
機体本体11は、機体の胴体部である。機体本体11は、前後に延びた形状をなしている。機体本体11は、乗員が乗るための乗員室、および/または、荷物を搭載するための荷室を有している。
【0020】
固定翼12は、機体の翼部であり、機体本体11に連なっている。固定翼12は、滑空揚力を提供する。滑空揚力は、固定翼12の生じる揚力である。固定翼12は、主翼121と、尾翼122を有してもよい。主翼121は、機体本体11の前後方向における中央付近から左右に延びている。尾翼122は、機体本体11の後部から左右に延びている。固定翼12の形状は特に限定されない。たとえば後退翼、三角翼、直線翼などを採用してもよい。
【0021】
回転翼13は、機体に複数設けられている。複数の回転翼13の少なくとも一部は、固定翼12に設けられてもよい。複数の回転翼13の少なくとも一部は、機体本体11に設けられてもよい。eVTOL10が備える回転翼13の数は、特に限定されない。回転翼13は、機体本体11および主翼121のそれぞれに複数設けられてもよい。
【0022】
回転翼13は、ロータ、プロペラ、ファンなどと称されることがある。回転翼13は、ブレード131と、シャフト132を有してもよい。ブレード131は、シャフト132に取り付けられている。ブレード131は、シャフト132とともに回転する羽根である。複数のブレード131が、シャフト132の軸線周りに放射状に延びている。シャフト132は、回転翼13の回転軸であり、EPU15のモータによって回転駆動される。
【0023】
回転翼13は、回転により推進力を生じる。推進力は、eVTOL10の離着陸動作時に、主に回転揚力としてeVTOL10に作用する。回転翼13は、離着陸動作時に主として回転揚力を提供する。回転揚力は、回転翼13の回転により生じる揚力である。離着陸動作時において、回転翼13は回転揚力のみを提供してもよいし、回転揚力とともに、前方に進む推力を提供してもよい。回転翼13は、eVTOL10のホバリング時に、回転揚力を提供する。
【0024】
推進力は、eVTOL10の巡航動作時に、主に推力としてeVTOL10に作用する。回転翼13は、巡航動作時に主として推力を提供する。巡航動作時において、回転翼13は推力のみを提供してもよいし、推力とともに揚力を提供してもよい。
【0025】
電池(BAT)14は、回転翼13を回転駆動するための機器である。電池14は、電池パックと称されることがある。電池14は、直流電力を蓄えることが可能であり、充電可能な電池セルを有している。電池14は、複数の電池セルを備えた組電池を少なくともひとつ有している。電池セルは、化学反応によって起電圧を生成する二次電池である。電池セルは、たとえばリチウムイオン二次電池、ニッケル水素二次電池などである。電池セルは、電解質が液体の二次電池でもよいし、電解質が固体のいわゆる全固体電池でもよい。電池セルは、電池反応に寄与するイオン(電解質)が電解液および/または固体電解質を介して正負極間を移動することで、電池反応が生じる構成であればよい。eVTOL10は、機器に電力を供給する電源として、電池14に加えて、燃料電池や発電機などを備えてもよい。電池14は、EPU15に電力を供給する。電池14は、空調装置などの図示しない補機、後述するECU20、図示しない揚力調整機構などに電力を供給してもよい。
【0026】
eVTOL10の電池14には、高容量とともに高出力な性能が求められている。このため、高容量かつ高い出力が得られる電池セルが望ましい。出力観点では、幅広いSOC領域で抵抗が低い電池セルが望ましい。特に低SOCの領域においても抵抗が低く、高い出力が得られる電池セルが望ましい。SOCは、State Of Chargeの略称である。
【0027】
電池セルの正極材料としては、たとえばLCO、NMC、NCA、LFP、LMFPを採用することができる。LCOは、コバルト酸リチウム(LiCoO)である。NMCは、リチウムニッケルコバルトマンガン酸化物(Li(NiMnCo)O)である。NCAは、リチウムニッケルコバルトアルミネート(Li(NiCoAl)O)である。LFPは、リン酸鉄リチウム(LiFePO)である。LMFPは、リン酸マンガン鉄リチウム(LiFeMnPO)である。LCO、NMC、NCAは、層状化合物である。
【0028】
電池セルの負極材料としては、たとえばハードカーボンやソフトカーボンなどのカーボン系、シリコン、リチウム系、LTOやNTOなどのチタン系を採用することができる。LTOは、チタン酸リチウム(LiTi12)である。NTOは、ニオブチタン酸化物(TiNb)である。特に、低SOCの領域で抵抗の低い、カーボン系の負極やチタン系の負極が好ましい。
【0029】
EPU15は、eVTOL10に推進力を付与する回転翼13を回転駆動する。EPU15は、回転翼13を回転駆動するための機器である。EPUは、Electric Propulsion Unitの略称である。EPU15が、電動推進装置に相当する。EPU15は、モータを備える。EPU15は、モータに加えてインバータやESCを備えてもよい。ESCは、Electronic Speed Controllerの略称である。EPU15は、回転翼13と同数設けられてもよい。たとえばeVTOL10は、6つのEPU15を備えてもよい。EPU15と回転翼13とは、一対一で接続される。これに代えて、ひとつのEPU15に対して、ギヤボックスを介して2つ以上の回転翼13を接続する構成としてもよい。
【0030】
BMS16は、電池14を構成する単位電池の状態を監視する。BMSは、Battery Management Systemの略称である。BMS16は、電池14の電圧、電流、温度、内部抵抗、SOC、SOH、その他、内圧やガス漏れなど安全性に関わる状態などを監視し得る。SOHは、State Of Healthの略称である。BMS16を、電池14と一体的に設けてもよい。BMS16を、電池14とは別に設けてもよい。BMS16の一部を電池14内に設け、他の一部を電池14外に設けてもよい。
【0031】
BMS16を、組電池に対して個別に設けてもよい。BMS16を、複数の組電池に対してひとつ設けてもよい。BMS16を、すべての組電池にたいしてひとつ設けてもよい。BMS16が複数の場合、すべてのBMS16を統括する機能をBMS16とは別に設けてもよいし、BMS16と一体的に設けてもよい。
【0032】
eVTOL10は、さらにECU20や図示しない補機などを備えている。ECUは、Electronic Control Unitの略称である。eVTOL10は、図示しない揚力調整機構を備えてもよい。揚力調整機構は、固定翼12の滑空揚力を調整する。揚力調整機構は、固定翼12が生じる滑空揚力を増大させたり、減少させたりする。eVTOL10は、揚力調整機構として、たとえばチルト機構やフラップを備えてもよい。チルト機構は、回転翼13のチルト角を調整するために駆動する。フラップは、可動翼片であり、固定翼12に設けられる。
【0033】
<運航管理システム>
運航管理システムは、運航計画の立案、運航状況の監視、運航に関する情報の収集と管理、運航のサポートなどを行うためのシステムである。運航管理システムの機能の少なくとも一部は、eVTOL10の機内コンピュータに配置されてもよい。運航管理システムの機能の少なくとも一部は、eVTOL10と無線通信可能な外部のコンピュータに配置されてもよい。外部コンピュータは、図1に示すように地上局30のサーバ31でもよい。地上局30は、eVTOL10と無線通信が可能である。地上局30は、地上局同士で無線通信が可能である。
【0034】
一例として本実施形態では、運航管理システムの機能の一部がeVTOL10のECU20に配置され、運航管理システムの機能の一部が地上局30のサーバ31に配置されている。運航管理システムの機能は、ECU20とサーバ31との間で分担されている。
【0035】
図1に示すようにECU20は、プロセッサ(PC)201、メモリ(MM)202、ストレージ(ST)203、および無線通信のための通信回路(CC)204などを備えて構成されている。プロセッサ201は、メモリ202へのアクセスにより、種々の処理を実行する。メモリ202は、書き換え可能な揮発性の記憶媒体である。メモリ202は、たとえばRAMである。RAMは、Random Access Memoryの略称である。ストレージ203は、書き換え可能な不揮発性の記憶媒体である。ストレージ203には、プロセッサ201によって実行されるプログラム(PG)203Pが格納されている。プログラム203Pは、複数の命令をプロセッサ201に実行させることで、複数の機能部を構築する。ECU20は、複数のプロセッサ201を備えてもよい。
【0036】
サーバ31は、ECU20と同様に、プロセッサ(PC)311、メモリ(MM)312、ストレージ(ST)313、通信回路(CC)314などを備えて構成されている。プロセッサ311は、メモリ312へのアクセスにより、種々の処理を実行する。メモリ312は、書き換え可能な揮発性の記憶媒体であり、たとえばRAMである。ストレージ313は、書き換え可能な不揮発性の記憶媒体である。ストレージ313には、プロセッサ311によって実行されるプログラム(PG)313Pが格納されている。プログラム313Pは、複数の命令をプロセッサ311に実行させることで、複数の機能部を構築する。サーバ31は、複数のプロセッサ311を備えてもよい。
【0037】
図2は、運航管理システムの機能配置の一例を示している。図2に示す運航管理システム40は、機外管理部41と、機内管理部42を有している。機外管理部41は、地上局30のサーバ31内に機能配置されている。機内管理部42は、eVTOL10のECU20内に機能配置されている。このように、運航管理システム40の機能の一部はサーバ31に配置され、機能の他の一部はECU20に配置されてもよい。機外管理部41と機内管理部42とは、相互に無線通信可能である。機内管理部42は、eVTOL10に配置された各種装置と有線または無線にて通信可能である。
【0038】
<電力プロファイル>
図3は、eVTOL10の離陸から着陸までの電力プロファイルを示している。なお、eVTOL10以外の電動飛行体の電力プロファイルも、eVTOL10と同様である。期間P1は、離陸時、離陸飛行時、離陸動作時などと称される。期間P2は、巡航時、巡航飛行時、巡航動作時などと称される。期間P3は、着陸時、着陸飛行時、着陸動作時などと称される。期間P1,P3は、離着陸時、離着陸飛行時、離着陸動作時などと称される。便宜上、図3では期間P1,P3それぞれのほぼ全域において、必要電力、つまり出力を一定としている。
【0039】
eVTOL10は、期間P1において離陸地点から巡航開始地点まで上昇する。eVTOL10は、期間P2において所定高度で巡航する。eVTOL10は、期間P3において期間P2の終点から着陸地点まで降下する。eVTOL10の移動は、期間P2において主として水平方向成分を含み、期間P1,P3において主として鉛直方向成分を含む。鉛直方向に移動する期間P1,P3において、回転翼13の駆動には、所定時間連続で高出力が要求される。
【0040】
このように、鉛直方向への移動時、電池14に高出力負荷が加わる。離着陸時には、もっとも大きな出力が必要となる。鉛直方向への移動時と水平方向への移動時とでは、電池14の出力が大きく変動する。離着陸時と巡航時とでは、電池14の出力が大きく変動する。鉛直方向の移動、特に離着陸時の高出力により、電池14の内部で温度ムラが顕在化し、電池14が部分的に劣化して電池14の異常につながる虞がある。
【0041】
<電池>
図4は、電池14の一例を示している。図5は、図4のV-V線に沿う断面図である。図5では、電池セルの構成を簡素化して図示している。図6は、電極端子の配置を示す図である。以下において、各電池セルの高さ方向をZ方向、Z方向に直交する一方向をY方向、Z方向およびY方向の両方向に直交する方向をX方向と示す。図5においては、便宜上、電池セルの全体に金属ハッチングを施している。
【0042】
図4および図5に示すように、電池14は、組電池141を少なくともひとつ備えている。組電池141は、複数の電池セル142を含んで構成される。複数の電池セル142は、たとえば互いに共通の構造を有してもよいし、一部の構造が他の構造と異なってもよい。複数の電池セル142の個数や配置は特に限定されない。複数の電池セル142は、直列接続されてもよいし、並列接続かつ直列接続されてもよい。
【0043】
電池セル142は、発電要素と、この発電要素を収容する電池ケースを有している。電池ケースは、電池セル142の外郭を提供する。電池ケースは、たとえば金属材料を用いて形成されてもよいし、ラミネートフィルムを用いて形成されてもよい。電池セル142、つまり電池ケースの形状は、特に限定されない。角型形状でもよいし、ラミネート型でもよいし、円筒形状でもよい。
【0044】
各電池セル142は、電極端子142P,142Nを有している。図6に示すように、電極端子142P,142Nは、互いに共通の面に設けられてもよいし、互いに異なる面に設けられてもよい。たとえば、一面と、一面とは反対の面とのそれぞれに設けられてもよい。電極端子142P,142Nは、対応する面から突出してもよい。電極端子142Pは、電池セル142の正極に電気的に接続されている。電極端子142Pは、正極端子、P端子などと称されることがある。電極端子142Nは、電池セル142の負極に電気的に接続されている。電極端子142Nは、負極端子、N端子などと称されることがある。電極端子は、電池セル端子、集電タブなどと称されることがある。
【0045】
図4および図5に示す電池セル142は、角型形状、具体的にはY方向に薄い扁平形状をなしている。複数の電池セル142は、Y方向に並んで配置されている。電極端子142P,142Nは、Z方向における端面のひとつ、つまり共通の面に設けられている。複数の電池セル142は、Y方向において、電極端子142Pと電極端子142Nとが交互に位置するように配置されている。隣り合う電池セル142において、電極端子142Pと電極端子142Nとが、図示しないバスバーにより電気的に接続されている。
【0046】
組電池141は、Y方向に並ぶ電池セル142を複数備えてもよい。電池セル142の配置は、上記した配置に限定されない。たとえば円筒形の電池セル142の場合、Z方向からの平面視において千鳥状に配置されてもよい。
【0047】
<温度ムラ>
EPU15を駆動する電池14には、上記したように鉛直方向の移動時、特に離着陸時において、所定の時間、大電流での放電が要求される。たとえば離着陸時において、電池14は、最大放電レート約3C~約15Cで約30秒~約90秒の間、継続(連続)して放電する。
【0048】
なお、放電レートとは、電池容量に対する放電時の電流の相対的な比率を示し、単位はCである。放電レートが1Cとは、公称容量値の容量を持つセルを定電流放電して1時間で放電終了となる電流値を示す。電動飛行体の巡航時や電気自動車(BEV)の最大放電レートは、1C~2C程度である。BEVの場合、最大放電レートを約5秒~約10秒程度、継続するレベルである。BEVは、Battery Electric Vehicleの略称である。このように、離着陸時と巡航時とで放電特性の変動は大きい。
【0049】
上記したように、鉛直方向の移動時、特に離着陸時には、電池14に、巡航時やBEVよりも長い時間にわたってさらなる大電流での放電が要求される。放電によって電池14は発熱し、温度上昇する。大電流での放電時には、大きく温度上昇するとともに、特に電池セル142内部の特定部位での電流集中により温度ムラが顕在化する。電池セル142内部の温度ムラは、電池セル142内の温度分布、温度ばらつきである。
【0050】
大電流放電時において、電流集中は、電極端子142P,142N付近において生じやすい。電池セル142の温度は、電極端子142P,142Nまたは電極端子142P,142Nの近傍においてもっとも高くなり、電極端子142P,142Nから離れた位置において低くなる。電極端子142P,142Nが共通の面に配置された構成では、電極端子142P,142Nの配置面側において電流集中しやすく、反対面側において電流が集中し難い。電極端子142Pが一面に配置され、電極端子142Nが反対面に配置された構成では、電極端子142P,142N付近において電流集中しやすく、電池セル142の中央付近において電流集中し難い。
【0051】
図7は、航行時間と電池温度との関係を示している。実線は、大電流放電時に電流集中しやすい領域の温度を示している。破線は、大電流放電時に電流集中し難い領域の温度を示している。図7は、eVTOL10が時刻t0で離陸を開始して時刻t1まで鉛直方向に移動し、時刻t1以降は水平方向に移動した場合の温度の変化を示している。上記したように電流集中が起こるため、電流が集中する領域において温度上昇が顕著化する。その後、大電流放電時に電流集中し難い領域への伝導、蓄積された熱の外部放出、他の低温セルへの伝導により、温度は緩和する。このように電流集中しやすい領域は、電流し難い領域に較べて温度変動が激しい。大電流放電時には、電池セル142の内部において温度ムラが生じる。
【0052】
温度ムラによって組電池141を構成する電池セル142の一部、特に電池セル142内部の一部分で劣化、つまり部分劣化が生じる。部分劣化部位では、抵抗が増加する。このため、次の大電流放電にて発熱がさらに増大し、ひいては温度ムラが拡大するという悪循環に陥る。繰り返しによって部分劣化が進行し、図8に示すように温度ムラが増加する。図8に示す白抜き矢印は、部分劣化の進行にともなう温度ムラの増加分を示している。繰り返しによって部分劣化が進行していくと、急激に容量が低下する異常劣化や熱暴走に至る虞がある。熱暴走は、たとえば充電時における金属リチウムの析出や局所での異常発熱により、セパレータが破損し、短絡することによって生じ得る。eVTOL10に代表される電動飛行体では、軽量化のために飛行中の積極的な冷却は難しく、温度ムラの課題がより顕在化しやすい。
【0053】
電池14の温度ムラは、組電池141内部の放熱性のばらつきによっても顕在化する。組電池141においては、放熱性の差によって中央付近に位置する電池セル142に熱が蓄積しやすく、端部に位置する電池セル142から熱を逃がしやすい。たとえば図5に示す例では、Y方向に積層された複数の電池セル142のうち、中央付近に位置する電池セル142に熱が蓄積しやすい。このため、図9に示すように、中央に位置する電池セル142と端部に位置する電池セル142とでは、最高温度に差が生じる。つまり、電池セル142間で温度ムラが生じる。組電池141内部の温度ムラは、組電池141内の温度分布、つまり複数の電池セル142の温度ばらつきである。
【0054】
組電池141においては、一部の電池セル142の劣化や異常が組電池141自体の劣化や異常となり、組電池141の急激な劣化や熱暴走につながる虞がある。一部の電池セル142の充放電が制約されると、組電池141自体も制約を受ける。一部の電池セル142が熱暴走すると、その熱が伝播して他の電池セル142が連鎖的に熱暴走する虞がある。
【0055】
電動飛行体の航続距離を伸長するためには、軽量化が可能な高エネルギー密度の電池セル142が必要となる。現在、世の中の高エネルギー密度セルの多くに採用されている正極材料、たとえば上記したLCO、NMC、NCAは層状構造を有する化合物であり、層間をリチウムイオンが出入りすることで充放電が行われる。層間からリチウムイオンが脱離する充電に較べて、層間にリチウムイオンが挿入される放電時のほうが、反応抵抗が高まる。つまり、層間に対してイオンの出入りがし難くなる。このため、層状化合物系の正極を用いた電池セル142は放電時の抵抗が高く、温度上昇、温度上昇に伴う温度ムラの拡大を加速しやすい。
【0056】
<監視装置>
図10は、監視装置を示している。監視装置50は、電池14を監視する。監視装置50の機能配置は特に限定されるものではない。監視装置50の機能の少なくとも一部を、機内に配置してもよいし、機外に配置してもよい。監視装置50の機能を、機内において複数の装置に分散配置してもよい。監視装置50の機能を、機外において複数の装置に分散配置してもよい。監視装置50の機能の一部を機内に配置し、機能の他の一部を機外に配置してもよい。
【0057】
たとえば監視装置50の機能の少なくとも一部を、BMS16に配置してもよい。監視装置50の機能の少なくとも一部を、ECU20に配置してもよい。監視装置50の機能の少なくとも一部を、地上局30のサーバ31に配置してもよい。監視装置50の機能の少なくとも一部を、運航管理システム40に配置してもよい。監視装置50の機能の少なくとも一部を、機内管理部42に配置してもよい。監視装置50の機能の少なくとも一部を、機外管理部41に配置してもよい。
【0058】
図10に示すように、監視装置50は、取得部51、判定部52、および出力部53を備えてもよい。取得部51は、eVTOL10の鉛直方向の移動にともなって生じる電池14の温度ムラに関する情報(温度ムラ情報)を取得する。取得部51は、温度ムラ情報として離陸飛行および/または着陸飛行にともなって生じる温度ムラに関する情報を取得してもよい。巡航時において一時的に鉛直方向に移動する場合、取得部51は、温度ムラ情報として巡航時における鉛直方向の移動にともなって生じる温度ムラに関する情報を取得してもよい。取得部51は、離着陸にともなって生じる温度ムラに関する情報に加えて、巡航時における鉛直方向の移動にともなって生じる温度ムラに関する情報を取得してもよい。
【0059】
温度ムラは、組電池141において電池セル142間で生じる。監視装置50は、組電池141内の複数の電池セル142の間の温度差を監視するとよい。取得部51は、複数の電池セル142の温度を取得するとよい。上記したように組電池141の温度は、中央付近において高くなる。よって、取得部51は、少なくとも組電池141の中央付近に配置された電池セル142の温度を取得するとよい。さらに取得部51は、放熱性がよい端部付近に配置された電池セル142の温度を取得するとよい。
【0060】
温度ムラは、電池セル142の内部において生じる。取得部51は、電池セル142の内部の温度ムラに関する情報を取得してもよい。温度ムラ情報として、ひとつの電池セル142において複数箇所の温度を取得してもよい。図11に示すように、部分劣化の進行とともに、鉛直方向の移動にともなって最高到達温度(最高温度)に至る上昇速度が増加する。図11は、図8に対応しており、部分劣化が進行して最高到達温度がTmax1からTmax2に上昇した状態を示している。
【0061】
最高到達温度Tmax2に至る上昇速度Sr2は、最高到達温度Tmax1に至る上昇速度Sr1より増加する。また、部分劣化の進行とともに、最高到達温度後の緩和速度が増加する。最高到達温度Tmax2に到達した後の緩和速度Sb2は、最高到達温度Tmax1に到達した後の緩和速度Sb1より増加する。つまり温度ムラが大きいほど、温度変化の傾きが大きくなる。取得部51は、温度ムラ情報として、最高到達温度前の温度上昇特性および/または最高到達温度後の温度緩和特性を用いてもよい。これらパラメータを用いれば、1箇所の温度情報でも電池セル142内の温度ムラ(温度ムラの度合い)を監視することが可能となる。たとえば組電池141の中央付近に位置する電池セル142の電極端子142P付近の温度を取得してもよい。
【0062】
電池14の温度に関連するパラメータは、放電特性や環境温度などの影響を受ける。このため、これらのパラメータ変動も考慮すると、異常の判定精度をより高くすることができる。放電特性情報、つまり鉛直方向移動時の放電特性を示すパラメータとして、放電電力量(Wh)を用いてもよいし、放電容量(Ah)を用いてもよい。放電電流の2乗の積分値や、積分値を所定期間分積算した値を用いてもよい。鉛直方向移動時の放電電力または放電電流がほぼ一定の場合、放電時間を用いてもよい。鉛直方向移動時の放電時間がほぼ一定の場合、放電電力または放電電流を用いてもよい。放電時間がほぼ一定の場合、放電電流に代えて放電電流の2乗値を用いてもよい。上記した放電電流に代えて、放電レートを用いてもよい。環境情報として、たとえば気温、風速、風向などを用いてもよい。
【0063】
取得部51は、温度ムラ情報や放電特性情報などの情報を、BMS16や運航管理システム40から取得してもよい。取得部51は、情報として、実測値を取得してもよいし、中間演算値を取得してもよい。取得部51は、情報として、放電特性を示す特徴量などの演算値を取得してもよい。BMS16や運航管理システム40などから取得した実測値、中間演算値に基づいて監視装置50内で演算することで、情報を取得してもよい。取得部51は、無線通信および/または有線通信により、情報を取得する。
【0064】
判定部52は、取得部51の取得した温度ムラ情報に基づいて、電池異常の有無を判定する。判定部52は、電池異常を検知する。判定部52は、検知部に相当する。判定部52は、温度ムラ、または、温度ムラから推定した部分劣化の度合いが所定閾値を超える場合に、異常ありと判定する。部分劣化の度合いを推定する演算については、判定部52が実行してもよいし、取得部51が実行してもよい。監視装置50において、取得部51および判定部52とは別の演算部が実行してもよい。
【0065】
所定閾値は、電池14の異常劣化や、金属リチウムが析出する可能性が生じたと判断される温度ムラ(温度ムラの度合い)または部分劣化の度合いで設定されてもよい。閾値は、所定のマージンを加味して設定されてもよい。閾値は、事前にサンプルセルを用いた実験を行って設定してもよい。たとえば事前の実験により、温度ムラと異常劣化や金属リチウム析出との関係性を解析することで、所定閾値を設定してもよい。事前の実験により、温度ムラと部分劣化の度合いとの関係性や、部分劣化の度合いと異常劣化や金属リチウム析出との関係性を解析することで、所定閾値を設定してもよい。事前の実験では、たとえば大電流放電試験(各種条件)で温度ムラを生じさせた電池セルを各々分解し、電極の部分劣化状態を確認してもよい。
【0066】
上記したように、判定部52は、温度ムラ情報のみを用いて異常の有無を判定してもよい。たとえば飛行ルートが決まっていて、飛行毎に放電特性などが大きく変化しない場合は、温度ムラ情報のみで簡便に閾値判定できる。上記したように、電池14の温度に関連するパラメータは、放電特性や環境温度などの影響を受ける。このため、これらパラメータの変動も考慮してもよい。判定部52は、たとえば放電特性や環境温度などの情報を用いて補正した温度ムラ情報に基づいて、異常の有無を判定してもよい。
【0067】
判定部52は、温度ムラ情報に基づく部分劣化の度合い情報を用いて異常の有無を判定してもよい。部分劣化の度合いは、温度ムラ情報のみから推定してもよい。たとえば鉛直方向移動時の放電特性情報や環境情報の変動を考慮して温度ムラと部分劣化の度合いとの関係性を求めると、異常の判定精度を高めることができる。上記した実験を行い、マップモデルや機械学習などで構築した回帰モデルを用いて、関係性を導出してもよい。
【0068】
図12は、電池放電特性、電池温度ムラ、および部分劣化の度合いの関係の一例を示している。図12では、環境温度20℃における関係性を示している。Lv0、Lv10、Lv20、Lv30は、部分劣化の度合いを示している。数値が大きいほど、部分劣化がより進行した状態を示している。判定部52は、検知レベル、つまり判定閾値を多段に設定してもよい。たとえば判定部52は、部分劣化の度合いが図12に示すLv10(第1判定閾値)を超えると、異常有であり、警報を出力すべき状態と判定してもよい。部分劣化の度合いがLv20(第2判定閾値)を超えると、異常有であり、回避動作を実行すべき状態であると判定してもよい。なお、Lv0は、部分劣化が生じていない初期値を示す。Lv30は上限値を示し、Lv30を超えると異常発生域である。
【0069】
出力部53は、異常の判定結果を、監視装置50の外に出力する。出力部53は、温度ムラ情報に基づき異常に関する所定の条件を満たす場合、監視結果を出力する。出力部53は、判定結果を、たとえば乗員や地上局30に向けた警報の発信のために出力してもよい。出力部53は、判定結果を、回避動作へ移行するトリガのために出力してもよい。出力部53は、判定結果を、機体の運航状況を表示したり運航を制御したりする運航管理システム40へ出力してもよい。監視装置50自体が、表示してもよい。出力部53は、飛行を制御する制御装置に対して、回避動作のための制御要求を出力してもよい。制御装置は、運航管理システム40の一機能として一体的に設けられてもよいし、別に設けられてもよい。
【0070】
出力部53は、第1段階で警報、第2段階以降で回避動作などのように、多段に出力してもよい。回避動作として、たとえば電池14の冗長動作を採用してもよいし、緊急着陸動作を採用してもよい。電池14の冗長動作は、たとえば異常の予兆ありの系統の出力を停止し、残りの系統で飛行を継続するものでもよい。回避動作として、複数の動作を同時に実行してもよい。回避動作は、段階的に動作できるものでもよい。出力部53は、対象情報の時系列推移に基づいて、異常に至る時間を推定し、緊急度情報として出力してもよい。
【0071】
<監視方法>
上記したように監視装置50は、eVTOL10のECU20に配置されてもよい。この場合、プロセッサ201によって監視装置50の各機能ブロックの処理が実行されることが、監視方法が実行されることに相当する。監視装置は、地上局30のサーバ31に配置されてもよい。この場合、プロセッサ311によって監視装置50の各機能ブロックの処理が実行されることが、監視方法が実行されることに相当する。
【0072】
監視方法として、たとえば図13に示す方法を用いてもよい。監視装置50(たとえばプロセッサ201)は、図13に示す処理を所定周期で繰り返し実行する。まず監視装置50は、eVTOL10が鉛直方向への移動を開始したか否かを判定する(ステップS10)。鉛直方向への移動開始に代えて、離陸飛行の開始や着陸飛行の開始を用いてもよい。
【0073】
鉛直方向への移動を開始していない場合、監視装置50は一連の処理を終了する。鉛直方向への移動を開始した場合、監視装置50は、温度ムラ情報を取得する(ステップS20)。監視装置50は、取得した温度ムラと所定の閾値Th1とを比較し、温度ムラ(温度ムラの度合い)が閾値Th1よりも大きいか否かを判定する(ステップS30)。
【0074】
温度ムラが閾値Th1よりも大きい場合、監視装置50は電池14の異常有として、異常有の出力を実行し(ステップS40)、一連の処理を終了する。温度ムラが閾値Th1以下の場合、監視装置50はステップS40の処理を実行せずに、一連の処理を終了する。
【0075】
監視方法として、図14に示す方法を用いてもよい。まず監視装置50は、図13に示した方法と同様に、ステップS10の処理を実行する。eVTOL10が鉛直方向への移動を開始した場合、監視装置50は、ステップS20の処理に代えて、温度ムラ情報および放電特性情報を取得する(ステップS20A)。次いで監視装置50は、ステップS20Aで取得した温度ムラ情報に基づいて部分劣化の度合いを演算する(ステップS25)。次いで監視装置50は、部分および放電特性情報に基づいて、部分劣化の度合いを演算する(ステップS25)。監視装置50は、演算により部分劣化の度合いを推定する。
【0076】
次いで監視装置50は、ステップS30の処理に代えて、取得した部分劣化の度合いと所定の閾値Th2とを比較し、部分劣化の度合いが閾値Th2よりも大きいか否かを判定する(ステップS30A)。部分劣化の度合いが閾値Th2よりも大きい場合、図13に示す方法と同様に、ステップS40の処理を実行し、一連の処理を終了する。部分劣化の度合いが閾値Th2以下の場合、監視装置50はステップS40の処理を実行せずに、一連の処理を終了する。
【0077】
なお、図13に示す方法において、温度ムラが閾値Th1以下の場合、監視装置50は異常なしの出力を実行し、次いで一連の処理を終了してもよい。同様に、図14に示す方法において、部分劣化の度合いが閾値Th2以下の場合、監視装置50は異常なしの出力を実行し、次いで一連の処理を終了してもよい。
【0078】
図13に示す方法において、温度ムラ情報を取得した後に、温度ムラ情報に基づいて部分劣化の度合いを演算してもよい。そして、部分劣化の度合いと所定の判定閾値とを比較し、異常の有無を判定してもよい。図14に示す方法において、温度ムラ情報および放電特性情報を取得した後に、放電特性情報により補正された温度ムラ情報と所定の判定閾値とを比較し、異常の有無を判定してもよい。
【0079】
図13および図14に示したように、監視方法として、鉛直方向への移動を検知すると、情報の取得、判定、および判定結果の出力を連続して行う例を示した。たとえば離陸飛行の開始を検知すると、フライト中にステップS40の処理まで行う例を示した。しかしながら、フライト中に鉛直方向への移動にともなう温度ムラ情報を取得し、フライト後に判定処理および出力処理を行ってもよい。次回のフライト前に、判定処理および出力処理を行ってもよい。
【0080】
<第1実施形態のまとめ>
上記したように、eVTOL10(電動飛行体)が鉛直方向に移動する際、電池14には所定の時間、大電流での放電が要求される。これにより、電池14の内部において温度ムラが顕在化し、温度ムラによって電池14の部分劣化が生じる。部分劣化により抵抗が増加するため、大電流放電時の発熱がさらに増大し、部分劣化が進行する。部分劣化の進行は、電池14の急激な劣化や熱暴走などの異常につながる虞がある。
【0081】
本実施形態に監視装置50によれば、eVTOL10の鉛直方向の移動にともなって生じる電池の温度ムラに関する情報を取得する。そして、温度ムラに関する情報に基づき電池14の異常に関する所定の条件を満たす場合、監視結果を出力する。このように、温度ムラを監視することで、部分劣化の進行にともなう異常をいち早く検知することができる。よって、飛行の安全性を高めることができる。
【0082】
監視装置50は、温度ムラ情報とともに、鉛直方向に移動時の放電特性に関する情報を取得し、温度ムラ情報および放電特性情報に基づいて、監視結果を出力してもよい。フライトごとに放電特性は少なからず変化する。よって、温度ムラ情報に放電特性情報を加えることで、各フライトの状況を反映し、異常劣化や熱暴走などの異常を高精度に検知することができる。
【0083】
監視装置50は、eVTOL10の離着飛行および/または着陸飛行にともなう温度ムラを監視してもよい。飛行時においてもっとも大きな出力が必要となる離着陸時に生じる温度ムラ、つまり最大化した状態の温度ムラを監視することで、異常の検知精度をさらに高めることができる。
【0084】
監視装置50は、電池14の放電レートが3C以上であり、その継続時間が30秒以上であるときの、鉛直方向への移動にともなう温度ムラを監視してもよい。最大化した状態の温度ムラを監視することで、異常の検知精度をさらに高めることができる。
【0085】
eVTOL10などの電動飛行体では、上記したように放電特性の変動が大きい。放電特性の変動が大きくなるほど、温度ムラが拡大しやすく、監視装置50による早期検知の効果が高まる。たとえば水平方向移動時の最大放電レートに対する鉛直方向移動時の最大放電レートの比率が1.5倍以上の場合に、早期検知の効果が高まる。比率がさらに高い場合、たとえば2倍以上、3倍以上、5倍以上の場合、より高い効果を奏することができる。離着陸時における最大放電レートが高くなるほど、監視装置50による早期検知の効果が高まる。最大放電レートが3C以上の場合に、早期検知の効果が高まる。最大放電レートがさらに高い場合、たとえば5C以上、7C以上、10C以上の場合、より高い効果を奏することができる。
【0086】
監視装置50は、正極材料として層状化合物系材料を含む電池セル142を備えた電池14の温度ムラ情報を取得するとよい。上記したように、層状化合物系正極を用いた電池セル142は、放電時の抵抗が高いため、温度ムラの拡大を加速しやすい。よって、温度ムラを監視することで、特に飛行の安全性を高めることができる。
【0087】
監視装置50は、温度ムラ情報として、電池セル142内部の温度ムラに関する情報を取得してもよい。温度ムラは、電池セル142内部の特定部位での電流集中により顕在化する。よって、電池セル142内部の温度ムラ情報を取得することで、異常予兆を精度よく検知することができる。
【0088】
監視装置50は、電池セル142の電極端子142P,142Nまたは電極端子142P,142Nの近傍における、電動飛行体の鉛直方向の移動にともなう最高温度到達前の温度上昇特性および/または最高温度到達後の温度緩和特性を含むとよい。大電流放電時において、電流集中は、電極端子142P,142N付近において生じやすい。温度ムラを生じやすく、温度ムラにともなう温度変化が激しい電極端子142P,142N付近を監視することで、精度良く状態変化を把握することができる。最高温度到達前の温度上昇特性、最高温度到達後の温度緩和特性は、いずれも温度ムラの状態を再現良く、かつ、高精度に示すパラメータである。よって、温度ムラの変化を精度良く監視することができる。温度ムラ情報でありながら1箇所でも監視することが可能であり、品質を損なうことなく構成簡素化が可能となる。
【0089】
監視装置50は、温度ムラ情報として、組電池141の中央付近に配置された電池セル142の電極端子142P,142Nまたは電極端子142P,142Nの近傍における情報を含むとよい。熱がこもりやすい中央付近で監視することで、組電池141内の最悪状態を直接的に監視できる。これにより、異常の検知精度を高めることができる。
【0090】
本実施形態のプログラムは、電池14を監視するために記憶媒体に記憶され、プロセッサに実行させる命令を含む。プログラムは、eVTOL10の鉛直方向の移動にともなって生じる電池14の温度ムラに関する情報を取得することと、温度ムラに関する情報に基づき電池14の異常に関する所定の条件を満たす場合、監視結果を出力すること、を実行させる命令含む。このように、温度ムラを監視することで、部分劣化の進行にともなう異常をいち早く検知することができる。よって、飛行の安全性を高めることができる。
【0091】
監視装置50は、eVTOL10の鉛直方向の移動にともなって生じる電池14の最高温度到達前の温度上昇特性および/または最高温度到達後の温度緩和特性を含む特性を取得する。そして、取得した特性に基づき電池14の異常に関する所定の条件を満たす場合、監視結果を出力してもよい。最高温度到達前の温度上昇特性および/または最高温度到達後の温度緩和特性を用いて電池14の状態を監視するため、劣化の進行にともなう電池14の異常をいち早く検知することができる。よって、飛行の安全性を高めることができる。
【0092】
監視装置50は、少なくとも取得部51と出力部53を備えるとよい。取得部51は、eVTOL10の鉛直方向の移動にともなって生じる電池14の温度ムラに関する情報を取得してもよい。出力部53は、温度ムラに関する情報に基づき電池14の異常に関する所定の条件を満たす場合、監視結果を出力してもよい。取得部51は、eVTOL10の鉛直方向の移動にともなって生じる電池14の最高温度到達前の温度上昇特性および/または最高温度到達後の温度緩和特性を含む特性を取得してもよい。出力部53は、特性に基づき電池14の異常に関する所定の条件を満たす場合、監視結果を出力してもよい。
【0093】
(他の実施形態)
この明細書および図面等における開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。たとえば、開示は、実施形態において示された部品および/または要素の組み合わせに限定されない。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品および/または要素が省略されたものを包含する。開示は、ひとつの実施形態と他の実施形態との間における部品および/または要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示されるいくつかの技術的範囲は、請求の範囲の記載によって示され、さらに請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものと解されるべきである。
【0094】
明細書および図面等における開示は、請求の範囲の記載によって限定されない。明細書および図面等における開示は、請求の範囲に記載された技術的思想を包含し、さらに請求の範囲に記載された技術的思想より多様で広範な技術的思想に及んでいる。よって、請求の範囲の記載に拘束されることなく、明細書および図面等の開示から、多様な技術的思想を抽出することができる。
【0095】
ある要素または層が「上にある」、「連結されている」、「接続されている」または「結合されている」と言及されている場合、それは、他の要素、または他の層に対して、直接的に上に、連結され、接続され、または結合されていることがあり、さらに、介在要素または介在層が存在していることがある。対照的に、ある要素が別の要素または層に「直接的に上に」、「直接的に連結されている」、「直接的に接続されている」または「直接的に結合されている」と言及されている場合、介在要素または介在層は存在しない。要素間の関係を説明するために使用される他の言葉は、同様のやり方で(例えば、「間に」対「直接的に間に」、「隣接する」対「直接的に隣接する」など)解釈されるべきである。この明細書で使用される場合、用語「および/または」は、関連する列挙されたひとつまたは複数の項目に関する任意の組み合わせ、およびすべての組み合わせを含む。
【0096】
本開示に示す種々のフローチャートは何れも一例であって、フローチャートを構成するステップの数や、処理の実行順は適宜変更可能である。また、本開示に記載の装置、システム、並びにそれらの手法は、コンピュータプログラムにより具体化されたひとつ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサを構成する専用コンピュータにより、実現されてもよい。本開示に記載の装置及びその手法は、専用ハードウェア論理回路を用いて実現されてもよい。さらに、本開示に記載の装置及びその手法は、コンピュータプログラムを実行するプロセッサとひとつ以上のハードウェア論理回路との組み合わせにより構成されたひとつ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。
【0097】
たとえばプロセッサ311が備える機能の一部または全部はハードウェアとして実現されてもよい。或る機能をハードウェアとして実現する態様には、ひとつまたは複数のICなどを用いて実現する態様が含まれる。プロセッサ(演算コア)としては、CPUや、MPU、GPU、DFPなどを採用可能である。CPUは、Central Processing Unitの略称である。MPUは、Micro-Processing Unitの略称である。GPUは、Graphics Processing Unitの略称である。DFPは、Data Flow Processorの略称である。
【0098】
プロセッサ201が備える機能の一部または全部は、複数種類の演算処理装置を組み合わせて実現されていてもよい。プロセッサ201が備える機能の一部または全部は、SoC、ASIC、FPGAなどを用いて実現されていてもよい。SoCは、System on Chipの略称である。ASICは、Application Specific Integrated Circuitの略称である。FPGAは、Field-Programmable Gate Arrayの略称である。プロセッサ311についても同様である。
【0099】
また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体(non-transitory tangible storage medium)に記憶されていてもよい。プログラムの保存媒体としては、HDD、SSD、フラッシュメモリ等を採用可能である。HDDは、Hard-disk Driveの略称である。SSDは、Solid State Driveの略称である。コンピュータを制御装置、制御システムとして機能させるためのプログラム、当該プログラムを記録した半導体メモリ等の非遷移的実態的記録媒体等の形態も、本開示の範囲に含まれる。
【0100】
(技術的思想の開示)
この明細書は、以下に列挙する複数の項に記載された複数の技術的思想を開示している。いくつかの項は、後続の項において先行する項を択一的に引用する多項従属形式(a multiple dependent form)により記載されている場合がある。さらに、いくつかの項は、他の多項従属形式の項を引用する多項従属形式(a multiple dependent form referring to another multiple dependent form)により記載されている場合がある。これらの多項従属形式で記載された項は、複数の技術的思想を定義している。
【0101】
<技術的思想1>
電動飛行体(10)に搭載された電池(14)を監視する監視装置であって、
前記電動飛行体の鉛直方向の移動にともなって生じる前記電池の温度ムラに関する情報を取得する取得部(51)と、
前記温度ムラに関する情報に基づき前記電池の異常に関する所定の条件を満たす場合、監視結果を出力する出力部(53)と、
を備える監視装置。
【0102】
<技術的思想2>
前記取得部は、前記電池の温度ムラに関する情報とともに、前記鉛直方向に移動時の放電特性に関する情報を取得し、
前記出力部は、前記温度ムラに関する情報および前記放電特性に関する情報に基づいて、前記監視結果を出力する、技術的思想1に記載の監視装置。
【0103】
<技術的思想3>
前記鉛直方向の移動は、離陸飛行および/または着陸飛行である、技術的思想1または技術的思想2に記載の監視装置。
【0104】
<技術的思想4>
前記鉛直方向に移動時の前記電池の放電レートは3C以上であり、その継続時間は30秒以上である、技術的思想3に記載の監視装置。
【0105】
<技術的思想5>
前記電池は、複数の電池セル(142)を有しており、
前記電池セルは、正極材料として層状化合物系材料を含む、技術的思想1~4いずれかひとつに記載の監視装置。
【0106】
<技術的思想6>
前記電池は、複数の電池セル(142)を備えて構成される組電池(141)を含み、
前記温度ムラに関する情報は、前記電池セルの内部の温度ムラに関する情報を含む、技術的思想1~5いずれかひとつに記載の監視装置。
【0107】
<技術的思想7>
前記電池セルは、電極端子(142P,142N)を有し、
前記温度ムラに関する情報は、前記電池セルの前記電極端子または前記電極端子の近傍における、前記電動飛行体の前記鉛直方向の移動にともなう最高温度到達前の温度上昇特性および/または最高温度到達後の温度緩和特性を含む、技術的思想6に記載の監視装置。
【0108】
<技術的思想8>
前記温度ムラに関する情報は、前記組電池の中央付近に配置された前記電池セルの前記電極端子または前記電極端子の近傍における情報を含む、技術的思想7に記載の監視装置。
【符号の説明】
【0109】
10…eVTOL、11…機体本体、12…固定翼、121…主翼、122…尾翼、13…回転翼、131…ブレード、132…シャフト、14…電池、141…組電池、142…電池セル、142N,142P…電極端子、15…EPU、16…BMS、20…ECU、201…プロセッサ、202…メモリ、203…ストレージ、203P…プログラム、204…通信回路、30…地上局、31…サーバ、311…プロセッサ、312…メモリ、313…ストレージ、313P…プログラム、314…通信回路、40…運航管理システム、41…機外管理部、42…機内管理部、50…監視装置、51…取得部、52…判定部、53…出力部
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