IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社日本自動車部品総合研究所の特許一覧 ▶ 株式会社デンソーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177996
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】車載装置
(51)【国際特許分類】
   G01S 15/86 20200101AFI20241217BHJP
   G01S 17/931 20200101ALI20241217BHJP
   G01S 13/86 20060101ALI20241217BHJP
   G01S 17/86 20200101ALI20241217BHJP
   G01S 15/931 20200101ALI20241217BHJP
   G01S 13/931 20200101ALI20241217BHJP
【FI】
G01S15/86
G01S17/931
G01S13/86
G01S17/86
G01S15/931
G01S13/931
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096458
(22)【出願日】2023-06-12
(71)【出願人】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】小山 優
(72)【発明者】
【氏名】小山 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】新原 竜馬
(72)【発明者】
【氏名】廣橋 義寛
(72)【発明者】
【氏名】玉津 幸政
【テーマコード(参考)】
5J070
5J083
5J084
【Fターム(参考)】
5J070AB24
5J070AC02
5J070AD08
5J070BD04
5J083AA05
5J083AB12
5J083AC31
5J083AF05
5J083AG03
5J083CA10
5J084AA05
5J084AD01
5J084BA03
5J084BA48
5J084BB01
5J084CA03
5J084EA31
(57)【要約】
【課題】車両への搭載に適した車載装置を提供する。
【解決手段】車載装置1は、車両Veに搭載されるように構成される。車載装置1は、装置外部へ向けた電磁波の放射及び装置外部からの電磁波の検出のうち少なくとも一方を実行する電磁波エレメント2と、電磁波エレメント2に対して一体化され、装置外部を発生原因とした音響を検出する音響センサ3と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(Ve)に搭載されるように構成された車載装置であって、
装置外部へ向けた電磁波の放射及び装置外部からの電磁波の検出のうち少なくとも一方を実行する電磁波エレメント(2,22,102,122,132,202,222,302,402)と、
前記電磁波エレメントに対して一体化され、装置外部を発生原因とした音響を検出する音響センサ(3,13,23,103,113,123,133,203,233,243,253,263,303,403)と、を備える、車載装置。
【請求項2】
前記電磁波エレメントを収容する筐体(5,105,205,215,225,235,245,305,405)を、備え、
前記音響センサは、前記筐体に収容され、前記筐体の内部空間に存在する空気を利用して、前記音響としての前記空気の振動を検出するマイク(3a,103a,203a,213a,223a,233a,243a,253aX,253aY,263a,303a)を有する、請求項1に記載の車載装置。
【請求項3】
前記電磁波エレメントは、装置外部を撮影するカメラ(2a,102a)であり、
前記筐体は、
前記カメラから漸次遠ざかるに従って前記内部空間の幅を拡大させる前記カメラの画角に応じた形状を有し、装置外部から入射する乱反射光を遮光するフード部(5b,105b)と、
前記カメラと前記音響センサとの間で共有される基板であって、前記マイク(3a,103a)が実装される基板(6,106)を収容する基板収容部(5a,105a)と、を有し、
前記フード部は、前記マイクと前記内部空間との間を連通する音導穴(5c,105c)を有する、請求項2に記載の車載装置。
【請求項4】
前記車両の外部構造部(Es)に対して固定され、前記電磁波エレメントを収容する筐体(15,115)を、備え、
前記音響センサ(13,113)は、前記電磁波エレメントと前記筐体を共用するように、前記筐体の外壁部に保持されると共に、前記外部構造部の振動が伝達する位置に配置され、前記外部構造部の振動を検出するマイク(13a,113a)を有する、請求項1に記載の車載装置。
【請求項5】
前記マイクは、前記外部構造部との間に粘弾性体(13c,113c)を配置した状態で、前記外部構造部に対して密着させられている、請求項4に記載の車載装置。
【請求項6】
前記マイクは、前記筐体との間に弾性体(13d,113d)を配置した状態で、前記外部構造部に対して密着させられている、請求項4又は5に記載の車載装置。
【請求項7】
前記電磁波エレメント(22,122)を収容する第1筐体部品(25X,125X)と、
前記音響センサ(23,123)を収容する第2筐体部品(25Y,125Y)と、を備え、
前記第1筐体部品に対して前記第2筐体部品が固定されることで、前記電磁波エレメントに対して前記音響センサが一体化されている、請求項1に記載の車載装置。
【請求項8】
前記車両の外部構造部(Es)に対して取り付けられるブラケット(134,144,154)と、
前記電磁波エレメント(132)を収容する第1筐体部品(135X)と、
前記音響センサ(133)を収容する第2筐体部品(135Y,145Y,155Y)と、を備え、
前記ブラケットに対して前記第1筐体部品が固定され、かつ、前記ブラケットに対して前記第2筐体部品が固定されることで、前記電磁波エレメントに対して前記音響センサが一体化されている、請求項1に記載の車載装置。
【請求項9】
前記第2筐体部品(145Y,155Y)を、弾性によって前記外部構造部側へ押さえ付ける押さえばね構造(144d,154d)をさらに備える、請求項8に記載の車載装置。
【請求項10】
前記ブラケット(154)は、前記外部構造部に対向する位置に開口する開口部(154h)を有し、
前記開口部を用いて、前記第2筐体部品(155Y)を、弾性によって前記外部構造部に直接押さえ付ける押さえばね構造(154d)をさらに備える、請求項8に記載の車載装置。
【請求項11】
前記電磁波エレメントを収容する筐体(215,235,245,255,265)を、備え、
前記音響センサは、前記筐体に収容され、前記音響としての空気の振動を検出するマイク(213a,233a,243a,253aY,266a)を有し、
前記筐体は、前記マイクと装置外部との間を連通する音導穴(215h,235h,245h,255hY,265hY,266a)を有する、請求項1に記載の車載装置。
【請求項12】
前記音導穴(215h)は、前記マイクと装置外部としての前記車両の周辺環境との間を連通し、
前記筐体は、前記音導穴を塞ぐように配置され、通音性及び防水性を兼ね備えた通音フィルタ(215i)をさらに有する、請求項11に記載の車載装置。
【請求項13】
前記音導穴(233a,243a,253aY,266a)は、前記マイク(233a,243a,253aY,266a)と装置外部としての前記車両の内部空間との間を連通する、請求項11に記載の車載装置。
【請求項14】
前記電磁波エレメントを収容する筐体(225)を、備え、
前記音響センサは、前記筐体に収容され、前記音響としての空気の振動を検出するマイク(223a)を有し、
前記電磁波エレメントは、前記車両の周辺環境に露出する露出レンズ(222d)と、他のレンズ(222e,222f)とを含む複数のレンズを有するレンズ系(222c)を有し、
前記筐体は、前記マイクと、前記レンズ系において前記露出レンズと前記他のレンズとの間に形成された空間との間を連通する音導穴(225h)を有する、請求項1に記載の車載装置。
【請求項15】
前記電磁波エレメントを収容する筐体(255)を、備え、
前記音響センサ(253)は、
前記筐体に収容され、前記音響としての空気の振動を検出する第1マイク(253aX)と、
前記第1マイクとは別のマイクであって、前記筐体に収容され、前記音響としての空気の振動を検出する第2マイク(253aY)と、を有し、
前記筐体は、
前記車両の外部環境の音を前記第1マイクへ導く第1音導穴(255hX)と、
前記車両の内部空間の音を前記第2マイクへ導く第2音導穴(255hY)と、を有する、請求項1に記載の車載装置。
【請求項16】
前記電磁波エレメントを収容する筐体(265)を、備え、
前記音響センサ(263)は、前記筐体に収容され、前記音響としての空気の振動を検出するマイク(263a)を有し、
前記筐体は、
前記車両の外部環境の音を前記マイクへ導く第1音導穴(265hX)と、
前記車両の内部空間の音を前記マイクへ導く第2音導穴(265hY)と、を有する、請求項1に記載の車載装置。
【請求項17】
前記電磁波エレメントを前記車両の別の装置と電気的に接続するハーネスと、前記音響センサを前記別の装置と電気的に接続するハーネスとは、共用されている、請求項1に記載の車載装置。
【請求項18】
前記音響センサは、検出したアナログ電気信号をデジタル信号に変換したサウンド信号を生成し、
前記電磁波エレメントが前記車両の別の装置と通信する通信線と、前記音響センサが前記別の装置と通信する通信線とは、デジタル信号を通信する形態にて共用されている、請求項1に記載の車載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この明細書による開示は、車両において音響を検出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両環境をセンシングする環境センサを備える車両のルーフモジュールが開示されている。環境センサは、例えばカメラ、レーダ、LiDAR(Light Detection and Ranging/Laser Imaging Detection and Ranging)、等の光学センサが例示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2022/0266917号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
さて、本開示の発明者らは、光学センサ等に代表される電磁波エレメントの他に、新たに音響を検出する音響センサを車両に搭載することに想到した。しかしながら、車両には他にも多くのエレメントが搭載されるため、音響センサの設置スペースを確保することや音響センサの車両への取付工数増大を抑制することが課題となっている。
【0005】
この明細書の開示による目的のひとつは、車両への搭載に適した車載装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここに開示された態様のひとつは、車両(Ve)に搭載されるように構成された車載装置であって、
装置外部へ向けた電磁波の放射及び装置外部からの電磁波の検出のうち少なくとも一方を実行する電磁波エレメント(2,22,102,122,132,202,222,302,402)と、
電磁波エレメントに対して一体化され、装置外部を発生原因とした音響を検出する音響センサ(3,13,23,103,113,123,133,203,233,243,253,263,303,403)と、を備える。
【0007】
このような車載装置によると、電磁波エレメントと音響センサとが一体化されている。このため、車両における音響センサの設置スペースの確保がより容易なものとなり、また音響センサの車両への取付工数増大を抑制することが可能となる。故に、車両への搭載に適した車載装置を提供することができる。
【0008】
なお、特許請求の範囲等に含まれる括弧内の符号は、後述する実施形態の部分との対応関係を例示的に示すものであって、技術的範囲を限定することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の車載装置を設置可能な位置の例を説明する図。
図2】車載装置の概略的構成図。
図3】車載装置の一例を示す断面図。
図4】車載装置の一例を示す断面図。
図5図4の車載装置の車両への取付方法を説明する図。
図6図4の車載装置の車両への取付方法を説明する図。
図7図4の車載装置の車両への取付方法を説明する図。
図8】車載装置とECUとの通信を説明する図。
図9】車載装置の一例を示す断面図。
図10】車載装置の一例を示す断面図。
図11】車載装置の一例を示す断面図。
図12】車載装置の一例を示す断面図。
図13図12の車載装置の車両への取付方法を説明する図。
図14図12の車載装置の車両への取付方法を説明する図。
図15図12の車載装置の車両への取付方法を説明する図。
図16】車載装置の一例を示す断面図。
図17図16の車載装置の車両への取付方法を説明する図。
図18図16の車載装置の車両への取付方法を説明する図。
図19図16の車載装置の車両への取付方法を説明する図。
図20】押さえばね構造を示す断面図。
図21】押さえばね構造を示す断面図。
図22】車載装置の一例を示す断面図。
図23】車載装置の一例を示す断面図。
図24】車載装置の一例を示す断面図。
図25】車載装置の一例を示す断面図。
図26】車載装置の一例を示す断面図。
図27】車載装置の一例を示す断面図。
図28】車載装置の一例を示す断面図。
図29】車載装置の一例を示す断面図。
図30】車載装置の一例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、複数の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施形態の構成を適用することができる。また、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合せることができる。
【0011】
(車載装置の概略構成)
本開示による車載装置は、図1に示す車両Veに搭載されるように構成されている。車載装置は、図2に示すように、電磁波エレメントと、音響センサとを一体化した構造を呈している。
【0012】
電磁波エレメントは、車載装置の外部へ向けた電磁波の放射及び外部からの電磁波の検出のうち少なくとも一方を実行する。ここでいう電磁波は、例えば電波、マイクロ波、赤外線、可視光、紫外線等の任意の波長の電磁波であってよい。電磁波エレメントは、例えばカメラ、ミリ波レーダ、LiDAR、灯火器、通信機、レインセンサ、照度センサ等が挙げられる。
【0013】
カメラは、車載装置の外部からの電磁波を検出するセンサである。カメラが取り扱う電磁波は、可視光であってもよく、近赤外光であってもよい。カメラは、車両Veの外部へ向けられて設置され、車両Veの周辺環境を撮影し、周辺環境に存在する車両、歩行者等の動的物体や建物、落下物等の静的物体を検出する、自動運転ないし運転支援用途のカメラであってもよい。カメラは、他の車載カメラと連携して車両Veを上方から俯瞰したような合成画像を生成し、ドライバに提示する駐車支援等の用途で用いられてもよい。カメラは、車両に乗車しようとするドライバの顔認証用途のカメラであってもよい。
【0014】
ミリ波レーダは、車載装置の外部へ向けた電磁波の放射及び外部からの電磁波の検出の両方を実行するセンサである。ミリ波レーダが取り扱う電磁波は、ミリ波であってよい。ミリ波レーダは、自動運転ないし運転支援に用いられる。ミリ波レーダは、車両Veの外部へ向けて探査波を送信し、周辺環境に存在する動的物体又は静的物体に反射されて返ってきた反射波を受信する。
【0015】
LiDARは、車載装置の外部へ向けた電磁波の放射及び外部からの電磁波の検出の両方を実行するセンサである。LiDARが取り扱う電磁波は、近赤外等のレーザ光である。LiDARは、自動運転ないし運転支援に用いられる。LiDARは、車両Veの外部へ向けてパルス状のレーザ光を発光し、周辺環境に存在する動的物体又は静的物体に反射されて返ってきた反射光を検出する。レーザ光の飛行時間(ToF)を利用して、LiDARから物体までの距離を測距する。LiDARは、発光するレーザ光を走査することで、物体の3次元形状を検出する構成であってもよい。
【0016】
灯火器は、車載装置の外部へ向けて電磁波を放射する。灯火器が取り扱う電磁波は、可視光である。灯火器は、車外へ向けた報知に用いられる。灯火器は、すれ違い用前照灯(ロービーム)、走行用前照灯(ハイビーム)、ウィンカ、ハザードランプ等である。通信機は、所定の通信規格に従って、電磁波としての電波を送受信する。レインセンサは、フロントガラス等に付着した雨滴を検出するセンサであって、光を発光し、当該雨滴による反射光ないし屈折光を受光素子で検出する。照度センサは、車両Veに入射する太陽光等の外光を検出するセンサであって、外光の照度を測定可能な受光素子を備える。
【0017】
音響センサは、車載装置の外部を発生原因とした音響を検出する。この発生原因は、例えば電磁波エレメントの検出対象となる物体と一致していてもよく、全く異なっていてもよい。検出される音響は、車載装置の外部から到来した音(すなわち空気の振動)であってもよく、当該音により発生する車載装置の振動であってもよい。車載装置の外部から到来した音とは、車両Veの外部環境における警察車両、消防車、救急車等の緊急車両が発するサイレンであってもよい。車載装置の外部から到来した音とは、車両Veと道路との間に発生するロードノイズであってもよい。車載装置の外部から到来した音とは、車両Veの内部におけるエンジン音、電動モータ音等であってもよい。
【0018】
車載装置は、車両Veにおける種々の取付位置に適用可能である。車載装置は、車両前面、車両側面、車両後面及び車両上面等の内側に設置可能である。車両Veにおいて外部構造部は、デザイン性や空力特性を向上させるために滑らかな曲面と平面とを組み合わせた板状部を備えている。
【0019】
車載装置は、車両Veにおいて外部に露出し、例えば板状を呈する外部構造部のうち、電磁波エレメントの設置に適した部分に保持される。図1に示すように車両前面の外部構造部は、例えば、フロントエンブレムPf1、ヘッドランプのカバー部Pf2、フロントフォグランプのカバー部Pf3、バンパコーナPf4、バンパサイドPf5、フロントカメラのカバー部Pf6、フロントガラスPf7等である。車両側面の外部構造部は、例えば、サイドミラーのミラー面部Ps1、サイドミラーのカバー部Ps2、ドアPs3、各ピラー(BピラーPs4等)、サイドフェンダPs5等である。車両後面の外部構造部Esは、例えば、バックカメラのカバー部Pb1、バック覗き窓Pb2、リフレクタのカバー部Pb3、テールランプモジュールのカバー部Pb4、リアガラスの縁Pb5等である。
【0020】
外部構造部におけるこの板状部(例えばカバー部等)は、車両Veの外部環境から到来した音を受けると振動する。また、路面から伝わる振動や車両Veが衝突した時に発生する振動が外部構造部内を伝わり板状部が振動する。また、路面起因の振動や車両Veが衝突した時に発生する振動が伝わり板状部が振動する。音響センサは、この振動及びこの振動により再放射される音を計測することで間接的に音響を検出することができる。
【0021】
(第1実施形態)
図3,4に示すように、第1実施形態の車載装置1では、電磁波エレメント2としてのカメラ2aと、音響センサ3とが、一体化されている。
【0022】
図3の例では、車載装置1は、外部構造部EsとしてのフロントガラスPf7に対して車室内側から取り付けられている。フロントガラスPf7は、例えば透光性の曲板状に形成されている。フロントガラスPf7は、車両前方から後方へ向かうに従って、車両Veが接する地面から漸次離間するように、傾斜して配置されている。この車載装置1は、ブラケット4、筐体5、基板6、カメラ2a及び音響センサ3等を含む構成である。
【0023】
ブラケット4は、筐体5を車両Veに対して取り付けるための部材である。ブラケット4は、例えば鋼(メッキ、電着塗装)、アルミニウム等の金属により形成されている。ブラケット4は、取付部4a、筐体保持部4b及び開口部4c等を含む構成である。
【0024】
取付部4aは、フロントガラスPf7形状に沿った板状を呈している。取付部4aは、そのフロントガラスPf7側の実質全面に層状に塗布された接着剤9aを介してフロントガラスPf7に保持されている。筐体保持部4bは、取付部4aにおいてフロントガラスPf7とは反対側に設けられ、例えば係合、締結等によって筐体5を保持している。開口部4cは、取付部4aの中央に開口して形成されている。開口部4cは、車両Veの外部環境からの光を、フロントガラスPf7を介してカメラ2aへ入射させる。
【0025】
筐体5は、ブラケット4を介してフロントガラスPf7に対して固定されている。筐体5は、カメラ2a及び音響センサ3に対して共通に設けられている。筐体5は、例えばアルミニウム等の金属により形成されている。筐体5は、基板収容部5a、フード部5b及び音導穴5c等を含む構成である。基板収容部5aは、フロントガラスPf7とはカメラ2aを挟んだ反対側に配置されている。基板収容部5aは、基板6を収容する収容空間Sp2を形成している。
【0026】
フード部5bは、カメラ2aとフロントガラスPf7との間に遮光用空間Sp1を形成している。遮光用空間Sp1は、カメラ2aから遠ざかり、フロントガラスPf7に近づくに従ってその幅を拡大させる、カメラ2aの画角に応じたテーパ形状を呈している。フード部5bは、外部環境から入射する光のうち、カメラ2aが撮影する画像品質の低下につながる乱反射光を遮光する。乱反射光を吸収するため、フード部5bにおいて空間に接する表面は、暗色に形成されることが好ましい。
【0027】
図3の例においてフード部5bは、上方フードと下方フードとがフロントガラスPf7の傾斜形状に応じた非対称形状となっている。上方フードのテーパ角は、下方フードのテーパ角よりも大きな角度に設定されている。ここでのテーパ角は、カメラ2aの光軸に対するフード部5bの表面の角度として定義される。
【0028】
音導穴5cは、基板6の収容空間Sp2とフード部5bによる遮光用空間Sp1との間を連通する穴である。音導穴5cは、例えば直線状に延伸する断面円形状の細長い管状穴である。音導穴5cは、遮光用空間Sp1の音を、後述のマイク3aが設置される収容空間Sp2へ導く。ここで、より音響検出の性能を高めるためには、音導穴5cにおいて収容空間Sp2側の端部は、基板6に実装されるマイク3aと対向する位置に形成されるとよい。音響検出の性能をより高めるためには、音導穴5cにおいて遮光用空間Sp1側の端部は、フード部5bにおいてカメラ2a(より詳細にはカメラユニット)とフロントガラスPf7との間の中間点よりもカメラ2a側に形成されるとよい。
【0029】
基板6は、例えばガラスエポキシ樹脂等の合成樹脂により平板状に形成されている。基板6は、例えば係合、締結等によって筐体5に対して固定されている。基板6は、カメラ2aと音響センサ3とに共通の基板である。基板6は、カメラ2aの制御回路を実装している。また、基板6は、音響センサ3のマイク3a及び制御回路を実装している。両制御回路は、車両Ve側に電気的な接続を行うためのコネクタを共通化した形態で、実装されている。
【0030】
カメラ2aは、カメラユニット及び制御回路を含む構成である。カメラユニットは、撮像素子及びレンズ系を鏡筒に収容して一体的に構成されている。カメラユニットは、遮光用空間Sp1において先細っている側の端部に配置される。
【0031】
撮像素子は、フロントガラスPf7とはレンズ系を挟んだ反対側に配置されている。撮像素子は、例えばCCD、CMOSであり、フレキシブルケーブルを介して基板6に実装された制御回路と電気的に接続されている。撮像素子で取得された検出信号は、制御回路に逐次送信される。制御回路は、画像データを生成する。レンズ系は、1つ又は複数のレンズを含む構成である。レンズ系は、フロントガラスPf7及び遮光用空間Sp1を介して入射する光を集光して、撮像素子上に結像させる。
【0032】
音響センサ3は、マイク3a及び制御回路を含む構成である。マイク3aは、音導穴5cと対向する姿勢にて、基板6に実装されている。マイクは、例えばコンデンサマイクであり、特に本実施形態ではMEMSマイク3aが採用されている。MEMSは、Micro Electro Mechanical Systemsの略である。
【0033】
MEMSマイク3aは、空気の振動を電気信号に変換するマイク素子である。MEMSマイク3aは、音圧によって薄い振動膜(メンブレン)が振動することで発生する静電容量変化をアナログ電気信号として出力する。MEMSマイク3aは、遮光用空間Sp1にて反響した音を、音導穴5cを通じて導入し、検出する。この、乱反射光の遮光のためのフード部5bの形状、すなわちホーンのような構造を利用して音圧を高めた上で、音が検出することが可能である。MEMSマイク3aでのアナログ電気信号は、制御回路にてデジタル信号化されたサウンド信号が生成される。
【0034】
図4の例における車載装置101は、外部構造部EsとしてのBピラーPs4に対して取り付けられている点が図3の例と異なる。BピラーPs4において外部環境に露出するカバー部は、遮光用空間Sp1を通じてカメラ2aに光を入射させるために、光を透過させる透光板部Estを有する板状に形成されている。透光板部Estは、地面に対して略垂直に延設されている。BピラーPs4において透光板部Est以外の部分は、不透過性を有する暗色に形成されていてよい。
【0035】
この例においてブラケット104は、図3と同様の取付部104a及び開口部104cを有すると共に、筐体収容部104bを有している。筐体収容部104bは、開口部104cから透光板部Estとは反対側に向かって延伸するように筒状に形成された筒状に形成されている。筐体収容部104bは、筐体105に収容される。筐体収容部104bは、筐体105の収容時にコネクタ107aを通すための切り欠き部分を有していてもよい。フード部105bは、上方フードと下方フードとが略対称形状となっている。上方フードのテーパ角は、下方フードのテーパ角と略等しく設定されている。フード部105bには、図3の例と同様に、基板106に実装された音響センサ103のMEMSマイク103aと遮光用空間Sp1との間を連通する音導穴105cが設けられている。
【0036】
次に、図4の車載装置101の車両Veへの取付工程を、図5~8を用いて説明する。この取付工程は、車載装置101ないし車両Veの製造方法の一部を示しているといえる。図5に示す第1工程では、ブラケット104の取付部104aに接着剤9aを塗布し、BピラーPs4の透光板部Estに押し当てる。接着剤9aが乾燥すると、透光板部Estに対してブラケット104が固定される。
【0037】
図6に示す第2工程では、ブラケット104の筐体収容部104bに、カメラ102a及び音響センサ103が組付けられた状態の筐体105を挿入する。これにより、透光板部Est及びブラケット104に対してカメラ102a及び音響センサ103が固定される。図7に示す第3工程では、筐体105側のコネクタ107aにハーネス108b側のコネクタ108aが接続される。これにより、カメラ102aと音響センサ103とでハーネス108bを共用した状態で両制御回路102b,103bと車両Ve側のECU(electronic control unit)0とが電気的に接続される。以上により車載装置101の車両Veへの取付が完了する。
【0038】
ここで、図8を用いて車載装置101とECU0との通信について説明する。車載装置101においてカメラ102aの撮像素子で取得された検出信号は、カメラ102aの制御回路102bにより画像処理及びデータ形式の変換が実施され、画像データが生成される。車載装置101において音響センサ103のマイク103aで取得されたアナログ電気信号は、制御回路103bにおけるアンプで増幅された後、そのAD変換回路にてデジタル信号に変換される。このデジタル信号は、さらに信号処置及びデータ形式の変換が実施され、サウンド信号が生成される。
【0039】
画像データ及びサウンド信号は、同じバスインターフェース(バスIF)から共用のハーネス108bを通じてECU0へ送信される。ここで、ハーネス108bは、電源線、GND線及び通信線3種類を含んでいる。画像データ及びサウンド信号で共有される配線は、この3種類の配線のうち少なくとも1つであってよく、3種類の配線すべてを共有することがより好ましい。
【0040】
車載装置101とECU0との間の通信は、例えばLVDS(Low Voltage Differential Signaling)通信、A2B(Automotive Audio Bus;A2Bは登録商標)等の高速シリアル通信である。こうした通信によってデジタル化されたサウンド信号がECU0側に転送されるようになっている。
【0041】
ECU0は、車両Veにおいて必要な処理を実行する処理装置である。ECU0は、電源0a、ビデオ入出力端子及びマイクロコンピュータ0bを含む構成である。電源0aは、ハーネス108bの電源線を通じて車載装置101のカメラ102a及び音響センサ103へ電力を供給する。マイクロコンピュータ0bは、車載装置101から送信される画像データ及びサウンド信号をビデオ入出力端子を介して取得する。マイクロコンピュータ0bは、画像データ及びサウンド信号を、同じ用途に用いてもよく、それぞれ別々の用途に用いてもよい。
【0042】
以上説明した第1実施形態によると、車載装置1,101において、電磁波エレメント2,102と音響センサ3,103とが一体化されている。このため、車両Veにおける音響センサ3,103の設置スペースの確保がより容易なものとなり、また音響センサ3,103の車両Veへの取付工数増大を抑制することが可能となる。故に、車両Veへの搭載に適した車載装置1,101を提供することができる。
【0043】
また、第1実施形態によると、車載装置1,101は、電磁波エレメント2,102を収容する筐体5,105を、備える。音響センサ3,103は、同じ筐体5,105に収容され、音響としての空気の振動を検出するマイク3a,103aを有する。マイク3a,103aが電磁波エレメント2,102を収容する筐体5,105の内部空間に存在する空気を利用するので、省スペースで音響の検出が可能となる。
【0044】
また、第1実施形態によると、電磁波エレメント2,102は、装置外部を撮影するカメラ2a,102aである。筐体5,105は、カメラ2a,102aから漸次遠ざかるに従って内部空間の幅を拡大させるカメラ2a,102aの画角に応じた形状を有し、装置外部から入射する乱反射光を遮光するフード部5b,105bを備える。また、筐体5,105は、カメラ2a,102aと音響センサ3,103との間で共有される基板であって、マイク3a,103aが実装される基板6,106を収容する基板収容部5a,105aと、を有する。そして、フード部5b,105bは、マイク3a,103aと内部空間との間を連通する音導穴5c,105cを有する。すなわち、カメラ2a,102aのホーン構造に類似するフード構造を利用して音圧を高めた状態で、音響の検出が可能となるので、音響の検出性能を高めることができる。
【0045】
また、第1実施形態によると、電磁波エレメント102を車両Veの別の装置としてのECU0と電気的に接続するハーネスと、音響センサ103をECU0と電気的に接続するハーネスとは、共用されている。ハーネス108bを共有することより、取付工数の増大を一層抑制することができる。
【0046】
また、第1実施形態によると、音響センサ103は、検出したアナログ電気信号をデジタル信号に変換したサウンド信号を生成する。そして、電磁波エレメント102が車両Veの別の装置としてのECU0と通信する通信線と、音響センサ103が別の装置と通信する通信線とは、デジタル信号を通信する形態にて共用されている。デジタル化されたサウンド信号を用いることにより、電磁波エレメント102及び音響センサ103による検出結果の送信はより効率的となる。
【0047】
(第2実施形態)
図9,10に示すように、第2実施形態は第1実施形態の変形例である。第2実施形態について、第1実施形態とは異なる点を中心に説明する。
【0048】
図9の例では、図3の例と同様に、車載装置11が外部構造部EsとしてのフロントガラスPf7に取り付けられる。図9の例について図3の例と異なる点を中心に説明する。この例において音響センサ13のマイクは、ピエゾマイク13aとなっている。ピエゾマイク13aは、圧電素子及び金属板を備える構成である。圧電素子は、薄板状に形成されている。圧電素子の前面には正電極が形成され、背面には負電極が形成されている。圧電素子は、入力される応力に応じた電圧を、電極間に生じさせる。金属板は、圧電素子よりも面積の大きい薄板状に形成されている。金属板は、ピエゾマイク13aに伝わる振動により圧電素子と一体的に振動する。ピエゾマイク13aは、圧電素子及び金属板を組み合わせた構成に代えて、板厚の圧電素子を備える構成であってもよい。
【0049】
したがって、ピエゾマイク13aは、フロントガラスPf7の振動が直接的に伝達する位置に配置される。ブラケット14の開口部14cは、ピエゾマイク13aをフロントガラスPf7と対向させるためのスペースを有する。筐体15は、その外壁部においてフード部よりも上方のフロントガラスPf7と対向する位置に、ピエゾマイク13aを配置するための凹部15dを有している。ピエゾマイク13aは、前面及び背面を弾性体13c,13dに挟まれた状態で、体積の半分程度を例えば円筒状の凹部14dに埋設されている。
【0050】
ここで前面側の弾性体13cは、粘性及び弾性の両方をもつ粘弾性体であることが好ましい。粘弾性体は、音響整合材として機能する両面テープないし接着材である。粘弾性体を介して、ピエゾマイク13aはフロントガラスPf7に押し付けられた状態で配置される。背面側の弾性体13dは、例えば樹脂ばね、金属ばね、ゴム等である。これにより、フロントガラスPf7の振動をピエゾマイク13aへ効率的に伝達させつつ、車種に応じたフロントガラスPf7形状の差や取付位置誤差を吸収することができる。
【0051】
図10の例では、図4の例と同様に、車載装置111が外部構造部EsとしてのBピラーPs4の透光板部Estに取り付けられる。音響センサ113のマイクは、ピエゾマイク113aである。ブラケット114の筐体収容部114bに収容される筐体115は、フード部に隣接し、かつ、透光板部Estに対向する位置に、ピエゾマイク113aの全体を埋設する凹部115dを有している。
【0052】
ピエゾマイク113aの背面側には、図9の例と同様に弾性体111dが設けられている。一方、ピエゾマイク113aの前面側は、ブラケット114を取り付けるための接着剤9aを透光板部Estとの間に形成することで、当該接着剤9aが図9の例の粘弾性体と同様の機能を有する。
【0053】
以上説明した第2実施形態によると、車載装置11,101は、車両Veの外部構造部Esに対して固定され、電磁波エレメント12,112を収容する筐体15,115を、備える。音響センサ13,113は、電磁波エレメント12,112と筐体15,115を共用するように、筐体15,115の外壁部に保持されると共に、外部構造部Esの振動が伝達する位置に配置され、外部構造部Esの振動を検出するマイク13a,113aを有する。音響センサ13,113を外壁部に保持したことにより、車載装置11,101の車両Veへの取付工数増大の抑制と、音響の検出性能の発揮とを、両立することができる。
【0054】
また、第2実施形態によると、マイク13a,113aは、外部構造部Esとの間に粘弾性体としての弾性体13c,113cを配置した状態で、外部構造部Esに対して密着させられている。この構成によって、取付工数増大を抑制しつつ、マイク13a,113aと外部構造部Esとの振動伝達性を容易に高めることができる。
【0055】
また、第2実施形態によると、マイク13a,113aは、筐体15,115との間に弾性体13d,113dを配置した状態で、外部構造部Esに対して密着させられている。弾性体13d,113dが取付時の寸法誤差を吸収するので、取付を容易なものとすることができる。
【0056】
(第3実施形態)
図11~15に示すように、第3実施形態は第1実施形態の変形例である。第3実施形態について、第1実施形態とは異なる点を中心に説明する。
【0057】
図11の例では、図3の例と同様に、車載装置21が外部構造部EsとしてのフロントガラスPf7に取り付けられる。図11の例について図3の例と異なる点を中心に説明する。この例において筐体25は、第1筐体部品25X及び第2筐体部品25Yを一体化して形成されている。第1筐体部品25Xは、電磁波エレメント22としてのカメラ22aを収容する筐体部品である。第1筐体部品25Xは、基板収容部25a及びフード部25bを含む構成である。基板収容部25aに収容される基板26は、カメラ22aの制御回路の実装専用で設けられる。
【0058】
第2筐体部品25Yは、音響センサ23を収容する筐体部品である。第2筐体部品25Yは、第1筐体部品25Xに対して、例えば接着剤による貼り付け、係合、締結等の方法で固定される。第2筐体部品25Yは、フロントガラスPf7と対向する位置に凹部25dを有する。凹部25dは、音響センサ23のマイク23aを収容する。マイクは、コンデンサマイクであってもよく、ピエゾマイクでもよいが、凹部25dにコンデンサマイクが検出する空気の振動を発生させるための空間を設けるのが困難であるため、その点でピエゾマイクを採用することがより好ましい。
【0059】
図12の例では、図4の例と同様に、車載装置121が外部構造部EsとしてのBピラーPs4の透光板部Estに取り付けられる。ブラケット124の筐体収容部124bに収容される筐体125は、第1筐体部品125X及び第2筐体部品125Yを一体化して形成されている。第1筐体部品125Xは、電磁波エレメント122としてのカメラ122aを収容する筐体部品である。第1筐体部品125Xは、基板収容部125a及びフード部125bを含む構成である。基板収容部125aに収容される基板126は、カメラ122aの制御回路の実装専用で設けられる。第1筐体部品125Xは、フード部125bに隣接し、かつ、透光板部Estに対向する角部125eに、第2筐体部品125Yを配置するための空間を形成している。
【0060】
第2筐体部品125Yは、音響センサ123を収容する筐体部品である。第2筐体部品125Yは、第1筐体部品125Xに対して、例えば接着剤による貼り付け、係合、締結等の方法で固定される。一体化された第1筐体部品125X及び第2筐体部品125Yは、筐体収容部124bに対して略隙間がない筒状の筐体125を形成している。
【0061】
筐体125側のコネクタは、第1筐体部品125Xのコネクタ127aXと第2筐体部品125Yのコネクタ127aYとでそれぞれ別々に設けられる。一方で、ハーネス128b側のコネクタは、第1筐体部品125Xに対応したコネクタ128aXから第2筐体部品125Yに対応したコネクタ128aYへ配線を分岐させることで、カメラ122aと音響センサ123とでハーネス128bを共用した状態で両制御回路と車両Ve側のECU0とが電気的に接続される。
【0062】
次に、図12の車載装置121の車両Veへの取付工程を、図13~15を用いて説明する。図13に示す第1工程では、ブラケット124の取付部に接着剤9bを塗布し、BピラーPs4の透光板部Estに押し当てる。接着剤9aが乾燥すると、透光板部Estに対してブラケット124が固定される。
【0063】
図14に示す第2工程では、ブラケット124の筐体収容部124bに、カメラ122a及び音響センサ123が組付けられた状態であって、予め一体化された第1筐体部品125X及び第2筐体部品125Yからなる筐体125を挿入する。これにより、透光板部Est及びブラケット124に対してカメラ122a及び音響センサ123が固定される。図15に示す第3工程では、筐体125側の2つのコネクタ127aX,127aYにハーネス128b側の2つのコネクタ128aX,128aYがそれぞれ接続される。以上により車載装置121の車両Veへの取付が完了する。
【0064】
以上説明した第3実施形態によると、車載装置21,121は、電磁波エレメント22,122を収容する第1筐体部品25X,125Xと、音響センサ23,123を収容する第2筐体部品25Y,125Yと、を備える。第1筐体部品25X,125Xに対して第2筐体部品25Y,125Yが固定されることで、電磁波エレメント22,122に対して音響センサ23,123が一体化されている。このような一体化により、車載装置21,121の車両Veへの取付工数増大を抑制することができる。
【0065】
(第4実施形態)
図16~19に示すように、第4実施形態は第1実施形態の変形例である。第4実施形態について、第1実施形態とは異なる点を中心に説明する。
【0066】
図16の例では、図4の例と同様に、車載装置131が外部構造部EsとしてのBピラーPs4の透光板部Estに取り付けられる。図16の例について図4の例と異なる点を中心に説明する。この例では第1筐体部品135X及び第2筐体部品135bが別々に設けられている。第1筐体部品135Xは、ブラケット134の筐体収容部134bに収容される筐体部品であって、電磁波エレメント132としてのカメラ132aを収容する筐体部品である。
【0067】
第2筐体部品135Yは、音響センサ133を収容する筐体部品である。第2筐体部品135Yは、ブラケット124の板状の取付部124aに対して固定される。具体的に、第2筐体部品135Yは、透光板部Estとは取付部134aを挟んだ反対側から、取付部134aの背面に、接着剤9aによって貼り付けられている。
【0068】
第2筐体部品135Yは、取付部124aを挟んで透光板部Estと向かい合う位置に凹部を有する。凹部は、音響センサ133のマイク133aを収容する。マイク133aは、コンデンサマイクであってもよく、ピエゾマイクでもよいが、凹部にコンデンサマイクが検出する空気の振動を発生させるための空間を設けるのが困難であるため、BピラーPs4及び取付部134aの振動を直接的に検出するピエゾマイクを採用することがより好ましい。
【0069】
車載装置131側のコネクタは、第1筐体部品135Xのコネクタ137aXと第2筐体部品135Yのコネクタ137aYとでそれぞれ別々に設けられる。ハーネス138b側のコネクタ138aX,138Yは、図12の例と同様である。
【0070】
次に、図16の車載装置131の車両Veへの取付工程を、図17~19を用いて説明する。図17に示す第1工程では、ブラケット134の取付部134aに接着剤9aを塗布し、BピラーPs4の透光板部Estに押し当てる。接着剤9aが乾燥すると、透光板部Estに対してブラケット134が固定される。
【0071】
図18に示す第2工程では、ブラケット134の筐体収容部134bに、カメラ132aが組付けられた状態の第1筐体部品135Xを挿入する。これにより、透光板部Est及びブラケット134に対してカメラ132aが固定される。また、音響センサ133が組付けられた第2筐体部品135Yのうち、ブラケット134の取付部134aの背面と接触するピエゾマイク133a表面に接着剤9aが塗布される。そして、第2筐体部品135Yを当該背面に押し当てる。接着剤9aが乾燥すると、透光板部Est及びブラケット134に対して音響センサ133が固定される。図19に示す第3工程では、車載装置131側の2つのコネクタ137aX,137aYにハーネス138b側の2つのコネクタ138aX,138aYがそれぞれ接続される。以上により車載装置131の車両Veへの取付が完了する。
【0072】
以上説明した第4実施形態によると、車載装置131は、車両Veの外部構造部Esに対して取り付けられるブラケット134を備える。また、車載装置131は、電磁波エレメント132を収容する第1筐体部品135Xと、音響センサ133を収容する第2筐体部品135Yと、を備える。そして、ブラケット134に対して第1筐体部品135Xが固定され、かつ、ブラケット134に対して第2筐体部品135Yが固定されることで、電磁波エレメント132に対して音響センサ133が一体化されている。このような一体化により、車載装置21,121の車両Veへの取付工数増大を抑制することができる。
【0073】
(第5実施形態)
図20,21に示すように、第5実施形態は第4実施形態の変形例である。第5実施形態について、第4実施形態とは異なる点を中心に説明する。
【0074】
第5実施形態の車載装置141,151において第2筐体部品145Y,155Yは、ブラケット144,154の取付部144aの背面に対して、接着剤に代えて、押さえばね構造144d,154dを用いて取り付けられる。なお、図20,21では第1筐体部品及びカメラの図示が省略されている。
【0075】
図20の例では、押さえばね構造144dは、取付部144aの背面側に設けられている。押さえばね構造144dは、例えば金属により形成され、回転軸部144e、係合部144g及び押さえ付け部144fを有する。回転軸部144eは、取付部144aのうち、第2筐体部品125Yとの対向位置とはずれた位置に対して固定されている。回転軸部144eは、押さえ付け部144fが回転軸部144eを回転中心として取付部144aよりも背面側の空間において回動可能となるように、押さえ付け部144fと連結されている。回転軸部144eは、例えばコイルばね等を用いて、押さえ付け部144fの取付部144a側へ向かう弾性反力を発揮させる。
【0076】
係合部144gは、回転軸部144eから第2筐体部品145Yを挟んだ反対側において、取付部144aに固定されている。係合部144gは、押さえ付け部144fの先端部と係合可能に形成されている。押さえ付け部144fは、係合部144gに到達可能な長さに延伸する板状又は棒状に形成される。押さえ付け部144fは、上述の回動により、取付部144aに対する第2筐体部品145Yの組付け以前の係合部144gと離間した状態から、第2筐体部品145Yの組付け時に、係合部144gと係合可能となるように構成されている。
【0077】
押さえ付け部144fは、その先端部が係合部144gと係合された状態にて、第2筐体部品145Yを透光板部Estないし取付部144a側へ押さえ付ける。これにより、接着剤9aを用いずに、ピエゾマイク143aが透光板部Est及び取付部144aと密着して、これらの振動を直接的に検出することができる。一方で、図20のように第2筐体部品145Yのうち取付部144aの背面と接触するピエゾマイク143a表面に接着剤9aを塗布しておくことにより、密着度を高めることができる。
【0078】
押さえ付け部144fは、第2筐体部品145Yにおいてマイク143aが収容された本体部を直接押さえ付けてもよい。一方、第2筐体部品145Yにおいて本体部から取付部の延設方向と略平行に張り出したフランジを設け、当該フランジを押さえ付け部144fが押さえ付けるようにしてもよい。
【0079】
また、図21の例では、車載装置151のブラケット154は、第2筐体部品155Yと対向する位置に開口部154hを形成している。図20と同様の押さえばね構造154dにより、第2筐体部品155Yは開口部154hを通じて透光板部Estに直接押し当てられる。
【0080】
以上説明した第5実施形態によると、車載装置141,151は、第2筐体部品145Y,155Yを、弾性によって外部構造部Es側へ押さえ付ける押さえばね構造144d,154dを備える。外部構造部Esの振動が第2筐体部品145Y,155Yに伝達し易くなるので、音響の検出性能を高めることができる。
【0081】
また、ブラケット154は、外部構造部Esに対向する位置に開口する開口部154hを有する。車載装置151は、開口部154hを用いて、第2筐体部品155Yを、弾性によって外部構造部Esに直接押さえ付ける押さえばね構造154dをさらに備える。外部構造部Esの振動が第2筐体部品155Yに伝達し易くなるので、音響の検出性能を高めることができる。
【0082】
(第6実施形態)
図22~24に示すように、第6実施形態は第1実施形態の変形例である。第6実施形態について、第1実施形態とは異なる点を中心に説明する。
【0083】
第6実施形態では、車載装置201が外部構造部Esとしてのボデー、バンパ、グリル等に取り付けられる。外部構造部Esには、車載装置201を外部に露出させるための開口部Esoが設けられている。
【0084】
図22の例では、ブラケット204の筐体収容部204bに収容される筐体205は、鏡筒部205f及び基板保持部205gを含む構成である。鏡筒部205fは、電磁波エレメント202としてのカメラ202aのレンズ系202cを収容する筒状に形成されている。レンズ系202cは、複数のレンズ202d,202e,202fを含む構成である。最も前側の露出レンズ202dは、開口部Esoに配置されて車両Veの外部環境に露出している。
【0085】
基板保持部205gは、鏡筒部205fよりも背面側、すなわち露出レンズ202dとは他のレンズを挟んだ反対側に配置される。基板保持部205gは、筐体205を背面側から塞ぐと共に、内部において基板206を保持する保持空間を形成している。基板保持部205gは、鏡筒部205fとの間に基板206を挟むことで、基板206をレンズ系202cの光軸Ao上においてレンズ系202cと対向させるように保持する。基板206においてレンズ系202cの光軸Ao上には、撮像素子202gが実装されている。
【0086】
音響センサ203のマイクは、コンデンサマイクであり、MEMSマイク203aである。MEMSマイク203aは、撮像素子202gと基板206を共有している。MEMSマイク203aは、基板206上において撮像素子202gに対してずれた光軸Ao外において、レンズ系202cへ向けて配置されている。MEMSマイク203aは、レンズ系202cを配置するために形成された空間における空気の振動を検出する。すなわち、MEMSマイク203cは、外部環境に発生する音等がレンズ系202cのレンズ202d,202e,202fを振動させ、この振動により再放射される音を計測する。
【0087】
図23の例における車載装置211では、鏡筒部215fは、当該鏡筒部215fの前端部と後端部との間を光軸Aoの方向に沿うように連通する音導穴215hを有している。音導穴215hは、図3の例と同様に、直線状に延伸する断面円形状の細長い管状穴である。音導穴215hにおいて外部環境に露出する前端部は、通音性及び防水性を兼ね備えた通音フィルタ215iによって塞がれている。通音フィルタ215iは、例えば膜状又は薄板状に形成されている。音導穴215hにおいて後端部は、基板216に実装されたMEMSマイク213aと対向している。
【0088】
図24の例における車載装置221でも、鏡筒部225fは音導穴225hを有している。図24の例において音導穴225hは、鏡筒部225fの後端部と、レンズ系222cにおける複数のレンズ222d,222e,222fの間に形成される空間との間を連通している。例えば音導穴225hは、後端部から、折れ曲がり部225jを有して鏡筒部225fの内壁のうち、露出レンズ222dと露出レンズ222dと対向する第2レンズ222eとの間に形成された位置へと通じている。この場合、音導穴225hが外部環境へ直接露出しないため、通音フィルタは不要となる。
【0089】
以上説明した第6実施形態によると、車載装置211,221は、電磁波エレメント202を収容する筐体215,235を備える。音響センサ203は、筐体215に収容され、音響としての空気の振動を検出するマイク213aを有する。筐体215は、マイク213aと装置外部との間を連通する音導穴215hを有する。音導穴215hが装置外部の音を直接的にマイク213aへ導くので、検出性能を高めることができる。
【0090】
音導穴215hは、マイク213aと装置外部としての車両Veの周辺環境との間を連通する。筐体215は、音導穴215hを塞ぐように配置され、通音性及び防水性を兼ね備えた通音フィルタ215iをさらに有する。外部環境から音導穴215hを通じて筐体215内部に異物が進入することを抑制することができる。よって、検出性能を長きに亘って発揮可能な車載装置211を提供することができる。
【0091】
また、第6実施形態によると、車載装置221は、電磁波エレメント202を収容する筐体225を、備える。音響センサ223は、筐体225に収容され、音響としての空気の振動を検出するマイク223aを有する。電磁波エレメント202は、車両Veの周辺環境に露出する露出レンズ222dと、他のレンズ222e,222fとを含む複数のレンズを有するレンズ系222cを有する。そして、筐体225は、マイク223aと、レンズ系222cにおいて露出レンズ222dと他のレンズ222e,222fとの間に形成された空間との間を連通する音導穴225hを有する。この構成では、露出レンズ222dが電磁波エレメント202のための機能と、音導穴225hに対する通音フィルタ機能とを両立する。したがって、外部環境から音導穴225hを通じて筐体225内部に異物が進入することを抑制することができ、検出性能は長きに亘って発揮可能となる。
【0092】
(第7実施形態)
図25,26に示すように、第7実施形態は第6実施形態の変形例である。第7実施形態について、第6実施形態とは異なる点を中心に説明する。第7実施形態では、車外だけでなく車両Veの内部空間の集音性能を高める構成が採用されている。
【0093】
図25の例における車載装置231では、基板236において撮像素子232gが実装された前面とは反対側の背面側に、MEMSマイク233aが実装されている。筐体235において背面側を塞ぐ基板保持部235gの底面に、音導穴235hが形成されている。音導穴235hは、筐体235内部においてMEMSマイク233aと対向する位置と、装置外部とを連通している。この例では、音響センサ233は、外部構造部Esとは反対側の車両Veの内部空間の音響を検出し易くなる。音導穴235hにおいて車両Veの内部空間に露出する端部には、通音フィルタ235iが設けられていてもよい。
【0094】
図26の例における車載装置241では、基板保持部245gにおいて底面から鏡筒部245fへ向かって筒状に突出する壁面部に、音導穴245hが形成されている。基板246において撮像素子242gが実装された前面とは反対側の背面側であって、基板246の中心(光軸上)から偏心した壁面部に近い位置に、MEMSマイク243aが実装されている。音導穴245hは、内側のMEMSマイク243aの近傍と外側の間を連通している。この例でも、音響センサ243は、車両Veの内部空間の音響を検出し易くなる。音導穴245hにおいて車両Veの内部空間に露出する端部には、通音フィルタ245iが設けられていてもよい。
【0095】
(第8実施形態)
図27に示すように、第8実施形態は第6,7実施形態の変形例である。第8実施形態について、第6,7実施形態とは異なる点を中心に説明する。
【0096】
図27の例では、図24の例の配置に対応するMEMSマイク253aX及び音導穴255hXと、図25の配置に対応するMEMSマイク253aY及び音導穴255hYとが両方設けられている。すなわち、車両Veの外部環境に指向性をもつ音響の検出と、車両Veの内部空間に指向性をもつ音響の検出とが両方可能となる。
【0097】
そして、音響センサ253は、基板256に実装された制御回路よって、2つのMEMSマイク253aX,253aYが検出したアナログ電気信号又はデジタル信号に変換後のサウンド信号を合成する。ここでの合成処理は、アクティブノイズキャンセリングによって検出性能を高めるための処理を実行可能であってよい。
【0098】
以上説明した第8実施形態によると、車載装置251は、電磁波エレメントを収容する筐体255を、備える。音響センサ253は、筐体255に収容され、音響としての空気の振動を検出する第1マイク253aXと、第1マイク253aXとは別のマイクであって、筐体255に収容され、音響としての空気の振動を検出する第2マイク253aYと、を有する。筐体255は、車両Veの外部環境の音を第1マイク253aXへ導く第1音導穴255hXと、車両Veの内部空間の音を第2マイク253aYへ導く第2音導穴255hYと、を有する。故に、外部環境の音も車両Veの内部空間の音も検出でき、例えばノイズキャンセリング等の性能向上に用いることも可能となる。
【0099】
(第9実施形態)
図28に示すように、第9実施形態は第6実施形態の変形例である。第9実施形態について、第6実施形態とは異なる点を中心に説明する。
【0100】
図28の例では、図24の例に対応するMEMSマイク263aについて、車両Veの内部への集音性能を高める構成が採用されている。具体的に、基板266においてMEMSマイク263aの実装位置の直下において音導穴266aが設けられている。さらに、基板保持部265gの底部において、音導穴266aを直線状に延長した先に、音導穴265hYが設けられている。
【0101】
これにより、1つのMEMSマイク263aが車両Veの外部環境に指向性をもつ音響の検出と内部を指向性をもつ音響の検出とを両方実行する。音響センサ263は、基板266に実装された制御回路よって、パッシブノイズキャンセリングによって検出性能を高めるための処理を実行可能である。
【0102】
以上説明した第9実施形態によると、車載装置261は、電磁波エレメントを収容する筐体265を、備える。音響センサ263は、筐体265に収容され、音響としての空気の振動を検出するマイク263aを有する。筐体265は、車両Veの外部環境の音をマイク263aへ導く第1音導穴265hXと、車両Veの内部空間の音をマイク263aへ導く第2音導穴265hYと、を有する。故に、外部環境の音も車両Veの内部空間の音も検出でき、例えばノイズキャンセリング等の性能向上に用いることも可能となる。
【0103】
(他の実施形態)
以上、複数の実施形態について説明したが、本開示は、それらの実施形態に限定して解釈されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
【0104】
他の実施形態として、図29の例の車載装置301では、電磁波エレメント302としてのLiDAR又は灯火器と、音響センサ303とが、一体化されている。この車載装置301は、外部構造部Esとしてのボデー、バンパ、グリル等に取り付けられる。外部構造部Esには、車載装置301を外部に露出させるための開口部Esoが設けられている。
【0105】
ブラケット304は、図22の例と同様である。筐体305は、ブラケット304の筒状部に収容される。筐体305は、背面側を有底としたカップ状の基板保持部305k、及び基板保持部305kを前面側から塞ぐ、例えばガラスないしアクリル樹脂によって形成された透光性の透光カバー部305mを含む構成である。
【0106】
基板保持部305k及び透光カバー部305mが組み合わされて形成された筐体305の内部空間には、基板306が基板保持部305kに保持される形態で配置されている。基板306において透光カバー部305mと対向する前面側には電磁波デバイス302g及び音響センサ303のMEMSマイク303aが実装されている。
【0107】
電磁波デバイス302gは、電磁波エレメント302がLiDARである場合、レーザ光を発光する発光素子及びレーザ光を受光する受光素子である。電磁波デバイス302gは、電磁波エレメント302が灯火器である場合、LED等の発光素子である。
【0108】
他の実施形態として、図30の例の車載装置401では、電磁波エレメント402としてのミリ波レーダと、音響センサ403とが、一体化されている。この車載装置401は、外部構造部Esとしてのボデー、バンパ、グリル等に取り付けられる。図29との相違点として、ミリ波レーダが取り扱う光は可視光ではなくミリ波であるので、筐体405の透光カバー部は、例えば有色の合成樹脂により形成されたカバー部405nに置き換えられてよい。電磁波デバイス402gは、ミリ波を送受信するアンテナアレイであってよい。
【0109】
本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサを構成する専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の装置及びその手法は、専用ハードウエア論理回路により、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の装置及びその手法は、コンピュータプログラムを実行するプロセッサと一つ以上のハードウエア論理回路との組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【0110】
(技術的思想の開示)
この明細書は、以下に列挙する複数の項に記載された複数の技術的思想を開示している。いくつかの項は、後続の項において先行する項を択一的に引用する多項従属形式(a multiple dependent form)により記載されている場合がある。これらの多項従属形式で記載された項は、複数の技術的思想を定義している。
【0111】
<技術的思想1>
車両(Ve)に搭載されるように構成された車載装置であって、
装置外部へ向けた電磁波の放射及び装置外部からの電磁波の検出のうち少なくとも一方を実行する電磁波エレメント(2,22,102,122,132,202,222,302,402)と、
前記電磁波エレメントに対して一体化され、装置外部を発生原因とした音響を検出する音響センサ(3,13,23,103,113,123,133,203,233,243,253,263,303,403)と、を備える、車載装置。
【0112】
<技術的思想2>
前記電磁波エレメントを収容する筐体(5,105,205,215,225,235,245,305,405)を、備え、
前記音響センサは、前記筐体に収容され、前記筐体の内部空間に存在する空気を利用して、前記音響としての前記空気の振動を検出するマイク(3a,103a,203a,213a,223a,233a,243a,253aX,253aY,263a,303a)を有する、技術的思想1に記載の車載装置。
【0113】
<技術的思想3>
前記電磁波エレメントは、装置外部を撮影するカメラ(2a,102a)であり、
前記筐体は、
前記カメラから漸次遠ざかるに従って前記内部空間の幅を拡大させる前記カメラの画角に応じた形状を有し、装置外部から入射する乱反射光を遮光するフード部(5b,105b)と、
前記カメラと前記音響センサとの間で共有される基板であって、前記マイク(3a,103a)が実装される基板(6,106)を収容する基板収容部(5a,105a)と、を有し、
前記フード部は、前記マイクと前記内部空間との間を連通する音導穴(5c,105c)を有する、技術的思想2に記載の車載装置。
【0114】
<技術的思想4>
前記車両の外部構造部(Es)に対して固定され、前記電磁波エレメントを収容する筐体(15,115)を、備え、
前記音響センサ(13,113)は、前記電磁波エレメントと前記筐体を共用するように、前記筐体の外壁部に保持されると共に、前記外部構造部の振動が伝達する位置に配置され、前記外部構造部の振動を検出するマイク(13a,113a)を有する、技術的思想1に記載の車載装置。
【0115】
<技術的思想5>
前記マイクは、前記外部構造部との間に粘弾性体(13c,113c)を配置した状態で、前記外部構造部に対して密着させられている、技術的思想4に記載の車載装置。
【0116】
<技術的思想6>
前記マイクは、前記筐体との間に弾性体(13d,113d)を配置した状態で、前記外部構造部に対して密着させられている、技術的思想4又は5に記載の車載装置。
【0117】
<技術的思想7>
前記電磁波エレメント(22,122)を収容する第1筐体部品(25X,125X)と、
前記音響センサ(23,123)を収容する第2筐体部品(25Y,125Y)と、を備え、
前記第1筐体部品に対して前記第2筐体部品が固定されることで、前記電磁波エレメントに対して前記音響センサが一体化されている、技術的思想1に記載の車載装置。
【0118】
<技術的思想8>
前記車両の外部構造部(Es)に対して取り付けられるブラケット(134,144,154)と、
前記電磁波エレメント(132)を収容する第1筐体部品(135X)と、
前記音響センサ(133)を収容する第2筐体部品(135Y,145Y,155Y)と、を備え、
前記ブラケットに対して前記第1筐体部品が固定され、かつ、前記ブラケットに対して前記第2筐体部品が固定されることで、前記電磁波エレメントに対して前記音響センサが一体化されている、技術的思想1に記載の車載装置。
【0119】
<技術的思想9>
前記第2筐体部品(145Y,155Y)を、弾性によって前記外部構造部側へ押さえ付ける押さえばね構造(144d,154d)をさらに備える、技術的思想8に記載の車載装置。
【0120】
<技術的思想10>
前記ブラケット(154)は、前記外部構造部に対向する位置に開口する開口部(154h)を有し、
前記開口部を用いて、前記第2筐体部品(155Y)を、弾性によって前記外部構造部に直接押さえ付ける押さえばね構造(154d)をさらに備える、技術的思想8に記載の車載装置。
【0121】
<技術的思想11>
前記電磁波エレメントを収容する筐体(215,235,245,255,265)を、備え、
前記音響センサは、前記筐体に収容され、前記音響としての空気の振動を検出するマイク(213a,233a,243a,253aY,266a)を有し、
前記筐体は、前記マイクと装置外部との間を連通する音導穴(215h,235h,245h,255hY,265hY,266a)を有する、技術的思想1に記載の車載装置。
【0122】
<技術的思想12>
前記音導穴(215h)は、前記マイクと装置外部としての前記車両の周辺環境との間を連通し、
前記筐体は、前記音導穴を塞ぐように配置され、通音性及び防水性を兼ね備えた通音フィルタ(215i)をさらに有する、技術的思想11に記載の車載装置。
【0123】
<技術的思想13>
前記音導穴(233a,243a,253aY,266a)は、前記マイク(233a,243a,253aY,266a)と装置外部としての前記車両の内部空間との間を連通する、技術的思想11に記載の車載装置。
【0124】
<技術的思想14>
前記電磁波エレメントを収容する筐体(225)を、備え、
前記音響センサは、前記筐体に収容され、前記音響としての空気の振動を検出するマイク(223a)を有し、
前記電磁波エレメントは、前記車両の周辺環境に露出する露出レンズ(222d)と、他のレンズ(222e,222f)とを含む複数のレンズを有するレンズ系(222c)を有し、
前記筐体は、前記マイクと、前記レンズ系において前記露出レンズと前記他のレンズとの間に形成された空間との間を連通する音導穴(225h)を有する、技術的思想1に記載の車載装置。
【0125】
<技術的思想15>
前記電磁波エレメントを収容する筐体(255)を、備え、
前記音響センサ(253)は、
前記筐体に収容され、前記音響としての空気の振動を検出する第1マイク(253aX)と、
前記第1マイクとは別のマイクであって、前記筐体に収容され、前記音響としての空気の振動を検出する第2マイク(253aY)と、を有し、
前記筐体は、
前記車両の外部環境の音を前記第1マイクへ導く第1音導穴(255hX)と、
前記車両の内部空間の音を前記第2マイクへ導く第2音導穴(255hY)と、を有する、技術的思想1に記載の車載装置。
【0126】
<技術的思想16>
前記電磁波エレメントを収容する筐体(265)を、備え、
前記音響センサ(263)は、前記筐体に収容され、前記音響としての空気の振動を検出するマイク(263a)を有し、
前記筐体は、
前記車両の外部環境の音を前記マイクへ導く第1音導穴(265hX)と、
前記車両の内部空間の音を前記マイクへ導く第2音導穴(265hY)と、を有する、技術的思想1に記載の車載装置。
【0127】
<技術的思想17>
前記電磁波エレメントを前記車両の別の装置と電気的に接続するハーネスと、前記音響センサを前記別の装置と電気的に接続するハーネスとは、共用されている、技術的思想1から16のいずれか1項に記載の車載装置。
【0128】
<技術的思想18>
前記音響センサは、検出したアナログ電気信号をデジタル信号に変換したサウンド信号を生成し、
前記電磁波エレメントが前記車両の別の装置と通信する通信線と、前記音響センサが前記別の装置と通信する通信線とは、デジタル信号を通信する形態にて共用されている、技術的思想1から17のいずれか1項に記載の車載装置。
【符号の説明】
【0129】
1,11,21,101,111,121,131,141,151,201,211,221,231,241,251,261,301,401:車載装置、2,22,102,122,132,202,222,302,402 電磁波エレメント、3,13,23,103,113,123,133,203,233,243,253,263,303,403 音響センサ、Ve:車両
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30