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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178002
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】作業用車両
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/00 20060101AFI20241217BHJP
   B60R 16/04 20060101ALI20241217BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20241217BHJP
【FI】
E02F9/00 C
B60R16/04 B
H01M50/249
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096464
(22)【出願日】2023-06-12
(71)【出願人】
【識別番号】000150154
【氏名又は名称】株式会社竹内製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 哲也
(72)【発明者】
【氏名】大山 飛鷹
(72)【発明者】
【氏名】粂内 健吾
【テーマコード(参考)】
5H040
【Fターム(参考)】
5H040AA06
5H040AS06
5H040CC01
(57)【要約】
【課題】作業装置の駆動源として電動モータを備える作業用車両において、メンテナンス対象部品のメンテナンス性の向上を図る。
【解決手段】本発明に係る作業用車両1は、上部旋回体2と、下部走行体10と、油圧により作動する作業装置12、14と、その駆動源となる電動モータ20と、電動モータ20を駆動するための電力を供給するバッテリパック60と、バッテリパック60が搭載されるバッテリパックルーム30と、バッテリパックルーム30の開口部30aを開閉可能に覆うバッテリカバー32と、を備え、バッテリパック60は、開口部30aからメンテナンス作業者の手が届く位置にメンテナンス対象部品として、少なくともバッテリマネジメントユニット基板91、セルマネジメントユニット基板93、充電用ヒューズ92、およびサービスプラグ94、が配置されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部旋回体と、下部走行体と、油圧により作動する作業装置と、前記作業装置の駆動源となる電動モータと、を備える作業用車両であって、
前記電動モータを駆動するための電力を供給するバッテリおよびバッテリマネジメントシステムを有するバッテリパックと、
前記バッテリパックが搭載されるバッテリパックルームと、
前記バッテリパックルームの開口部を開閉可能に覆うバッテリカバーと、を備え、
前記バッテリパックは、前記開口部からメンテナンス作業者の手が届く位置にメンテナンス対象部品として、少なくともバッテリマネジメントユニット基板、セルマネジメントユニット基板、充電用ヒューズ、およびサービスプラグ、が配置されていること
を特徴とする作業用車両。
【請求項2】
前記バッテリパックは、前記開口部側となる面に、前記バッテリの充電を行うための外部電源ケーブルが接続されるインレット、並びに、それぞれ前記メンテナンス対象部品のうちの所定部品のメンテナンスを行うための第1メンテナンス開口と該第1メンテナンス開口を開閉可能に覆う第1メンテナンスカバー、第2メンテナンス開口と該第2メンテナンス開口を開閉可能に覆う第2メンテナンスカバー、および第3メンテナンス開口と該第3メンテナンス開口を開閉可能に覆う第3メンテナンスカバー、が設けられていること
を特徴とする請求項1に記載の作業用車両。
【請求項3】
前記第1メンテナンスカバーを開けて前記第1メンテナンス開口からメンテナンスを行う前記所定部品は、平均メンテナンス頻度が相対的に高頻度の部品であって、少なくとも前記バッテリマネジメントユニット基板が含まれ、
前記第2メンテナンスカバーを開けて前記第2メンテナンス開口からメンテナンスを行う前記所定部品は、平均メンテナンス頻度が相対的に中頻度の部品であって、少なくとも前記充電用ヒューズが含まれ、
前記第3メンテナンスカバーを開けて前記第3メンテナンス開口からメンテナンスを行う前記所定部品は、平均メンテナンス頻度が相対的に低頻度の部品であって、少なくとも前記セルマネジメントユニット基板が含まれていること
を特徴とする請求項2に記載の作業用車両。
【請求項4】
前記バッテリパックは、
前記第1メンテナンス開口が、前記第2メンテナンスカバーの板面に形成されていると共に、前記第1メンテナンスカバーが、該板面に着脱可能に固定されており、
前記第3メンテナンスカバーが、前記上部旋回体に固定されているカウンターウェイトを取外さなければ開けられない位置に配置されていること
を特徴とする請求項3に記載の作業用車両。
【請求項5】
前記メンテナンス対象部品のうちの前記サービスプラグは、前記インレットの左右もしくは上下の隣接位置に配置されていること
を特徴とする請求項2~4のいずれか一項に記載の作業用車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧により作動する作業装置と、作業装置の駆動源となる電動モータと、を備える作業用車両に関する。
【背景技術】
【0002】
作業用車両の例として、クローラもしくはタイヤを有する下部走行体、並びに、油圧により作動する作業装置が上部旋回体等に取付けられた油圧ショベル、トラックローダ等が従来より知られている。
【0003】
昨今では、作業装置の駆動源として、従来のエンジンに代えて電動モータを備える作業用車両が開発されている(特許文献1:特開2023-23324号公報参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2023-23324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に例示される、作業装置の駆動源として電動モータを備える作業用車両においては、定期もしくは不定期のメンテナンス(具体的には、交換、検査等)が必要となる電装・制御系部品(本願において、単に「メンテナンス対象部品」と称する場合がある)として、バッテリマネジメントユニット基板、セルマネジメントユニット基板、充電用ヒューズ、メインヒューズ、コンタクタ、サービスプラグ等が設けられている。
【0006】
ここで、特許文献1に例示される作業用車両においては、例えば、バッテリマネジメントユニット基板、セルマネジメントユニット基板等のメンテナンスは、上部旋回体の後部に設けられたバッテリパックルームのカバー(バッテリカバー)を開けて行う構成であった。一方、充電用ヒューズ、サービスプラグ等のメンテナンスは、上部旋回体の中央部に設けられた運転室のシートを前にスライドさせると共に背もたれを倒し、その状態で露出するフロアプレートに設けられたメンテナンスカバーを開けて行う構成であった。このように、メンテナンス対象部品に応じて開けるカバーが異なるという煩わしさがあった。特に、上部旋回体の中央部のメンテナンスカバーを開けて行う場合は、手間と時間が掛かる面倒な作業となっていた。さらに、大型のバッテリパックを上部旋回体から降ろさなければメンテナンス(交換)が不可能な部品もあった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、作業装置の駆動源として電動モータを備える作業用車両において、メンテナンス対象部品のメンテナンス性の向上を図ることが可能な作業用車両を提供することを目的とする。
【0008】
本発明は、以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
【0009】
本実施形態に係る作業用車両は、上部旋回体と、下部走行体と、油圧により作動する作業装置と、前記作業装置の駆動源となる電動モータと、を備える作業用車両であって、前記電動モータを駆動するための電力を供給するバッテリおよびバッテリマネジメントシステムを有するバッテリパックと、前記バッテリパックが搭載されるバッテリパックルームと、前記バッテリパックルームの開口部を開閉可能に覆うバッテリカバーと、を備え、前記バッテリパックは、前記開口部からメンテナンス作業者の手が届く位置にメンテナンス対象部品として、少なくともバッテリマネジメントユニット基板、セルマネジメントユニット基板、充電用ヒューズ、およびサービスプラグ、が配置されていることを要件とする。
【0010】
上記の構成によれば、従来の作業用車両のようにフロアプレートを露出させたり、バッテリパックを上部旋回体から降ろしたりすることなく、上記メンテナンス対象部品のメンテナンスを極めて容易に且つ短時間で行うことができる。
【0011】
また、前記バッテリパックは、前記開口部側となる面に、前記バッテリの充電を行うための外部電源ケーブルが接続されるインレット、並びに、それぞれ前記メンテナンス対象部品のうちの所定部品のメンテナンスを行うための第1メンテナンス開口と該第1メンテナンス開口を開閉可能に覆う第1メンテナンスカバー、第2メンテナンス開口と該第2メンテナンス開口を開閉可能に覆う第2メンテナンスカバー、および第3メンテナンス開口と該第3メンテナンス開口を開閉可能に覆う第3メンテナンスカバー、が設けられていることが好ましい。
【0012】
また、前記第1メンテナンスカバーを開けて前記第1メンテナンス開口からメンテナンスを行う前記所定部品は、平均メンテナンス頻度が相対的に高頻度の部品であって、少なくとも前記バッテリマネジメントユニット基板が含まれ、前記第2メンテナンスカバーを開けて前記第2メンテナンス開口からメンテナンスを行う前記所定部品は、平均メンテナンス頻度が相対的に中頻度の部品であって、少なくとも前記充電用ヒューズが含まれ、前記第3メンテナンスカバーを開けて前記第3メンテナンス開口からメンテナンスを行う前記所定部品は、平均メンテナンス頻度が相対的に低頻度の部品であって、少なくとも前記セルマネジメントユニット基板が含まれていることが好ましい。
【0013】
また、前記バッテリパックは、前記第1メンテナンス開口が、前記第2メンテナンスカバーの板面に形成されていると共に、前記第1メンテナンスカバーが、該板面に着脱可能に固定されており、前記第3メンテナンスカバーが、前記上部旋回体に固定されているカウンターウェイトを取外さなければ開けられない位置に配置されていることが好ましい。
【0014】
また、前記メンテナンス対象部品のうちの前記サービスプラグは、前記インレットの左右もしくは上下の隣接位置に配置されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、作業装置の駆動源として電動モータを備える作業用車両において、メンテナンス対象部品のメンテナンス性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の実施形態に係る作業用車両の例を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示す作業用車両の上部旋回体の例を示す斜視図である。
図3図3は、図1に示す作業用車両のバッテリパックルーム(バッテリカバーを開けた状態)の例を示す斜視図である。
図4図4は、図1に示す作業用車両のバッテリパックの例を示す斜視図である。
図5図5は、図4に示すバッテリパックの第1メンテナンス開口(第1メンテナンスカバーを開けた状態)の例を示す斜視図である。
図6図6は、図4に示すバッテリパックの第2メンテナンス開口(第2メンテナンスカバーを開けた状態)の例を示す斜視図である。
図7図7は、図4に示すバッテリパックの第3メンテナンス開口(第3メンテナンスカバーを開けた状態)の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳しく説明する。図1は、本実施形態に係る作業用車両1の例を示す概略図(左後部上方からの斜視図)である。また、図2は、図1に示す作業用車両1の上部旋回体2の例を示す斜視図(右前部上方からの斜視図)である。また、図3は、図1に示す作業用車両1のバッテリパックルーム30(バッテリカバー32を開けた状態)の例を示す斜視図(左後部上方からの斜視図)である。また、図4は、図1に示す作業用車両1のバッテリパック60の例を示す斜視図(図3と同方向からの斜視図)である。なお、説明の便宜上、図中において矢印により上下、左右、前後の方向を示す場合がある。また、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【0018】
はじめに、作業用車両1の全体構成について説明する。作業用車両1として、油圧ショベルを例に挙げて説明する。ただし、作業用車両1は、油圧ショベルに限定されるものではない。
【0019】
図1に示すように、作業用車両1は、上部旋回体2を備えている。また、作業用車両1は、走行を行う下部走行体10を備えている。また、作業用車両1は、油圧(所定圧力の作動油)により作動する作業装置12、14を備えている。また、作業用車両1は、オペレータが乗車して走行や作業の操作を行う操作装置が設けられた運転室16を備えている。
【0020】
下部走行体10の例として、左右一対のクローラ18を備えている。ただし、下部走行体10は、クローラ18に限定されるものではなく、クローラ18に代えてタイヤを備える構成としてもよい(不図示)。クローラ18は、走行油圧モータ(不図示)によって駆動される。
【0021】
作業装置12の例として、排土板40を備えている。排土板40は、上下(前後成分を含む)に揺動可能に下部走行体10に取付けられている。排土板40は、油圧シリンダ(排土板シリンダ)(不図示)によって駆動される。ただし、作業装置12は、上記の構成に限定されるものではない。
【0022】
作業装置14の例として、ブーム42、アーム44、およびアタッチメント(本実施形態においては、バケット)46を備えている。ただし、アタッチメント46はバケットに限定されるものではない。ブーム42は、上下(前後成分を含む)に揺動可能に上部旋回体2に取付けられている(なお、ブームブラケットを介在させてもよく、介在させなくてもよい)。アーム44は、上下(前後成分を含む)に揺動可能にブーム42に取付けられている。アタッチメント46は、上下(前後成分を含む)に揺動可能にアーム44に取付けられている。ブーム42は、油圧シリンダ(ブームシリンダ)52によって駆動される。アーム44は、油圧シリンダ(アームシリンダ)54によって駆動される。アタッチメント46は、油圧シリンダ(バケットシリンダ)56によって駆動される。ただし、作業装置14は、上記の構成に限定されるものではない。
【0023】
図2に示すように、作業用車両1は、上記の走行油圧モータ、および各油圧シリンダの駆動を行うための駆動機構として、駆動源20、当該駆動源20により駆動される油圧ポンプ22、制御バルブ等を備えている。油圧ポンプ22は、作業装置12、14や下部走行体10の構成や負荷等に応じて、1個もしくは複数個が設けられる。
【0024】
作動の概要としては、オペレータが操作装置を操作することにより制御バルブを作動させて、油圧ポンプ22から送出される所定圧力の作動油を走行油圧モータ、および各油圧シリンダに供給する制御が行われる。これにより、下部走行体10による走行、および作業装置12、14による作業を行うことができる。
【0025】
なお、本実施形態においては、上記の駆動源20として電動モータを備えている。駆動源20を構成する電動モータは、上記の油圧ポンプ22の個数や定格出力等に応じて、1個もしくは複数個が設けられる。なお、駆動源20の他の例として、電動モータに加えてエンジンを併用する構成としてもよい(不図示)。
【0026】
図3に示すように、作業用車両1は、上部旋回体2の後部にバッテリパックルーム30と、バッテリパックルーム30の開口部30aを開閉可能に覆うバッテリカバー32と、を備えている。このバッテリパックルーム30には、電動モータ20を駆動するための電力を供給するバッテリパック60が搭載されている。
【0027】
図4図7に示すように、バッテリパック60は、外部電源ケーブルが着脱可能に接続されるインレット62を備えている。また、バッテリパック60は、外部電源もしくは車載充電器(不図示)から供給される電力を蓄えるバッテリ(一例として、リチウムイオンバッテリ)64を備えている。また、バッテリパック60は、バッテリ64に対する充電および電力供給の制御等を行うバッテリマネジメントシステム66を備えている。
【0028】
また、バッテリパック60は、定期(具体的には、指定時間経過時等)もしくは不定期(具体的には、故障発生時等)のメンテナンス(具体的には、交換、検査等)が必要となる(もしくは想定される)電装・制御系のメンテナンス対象部品(メンテナンス想定部品と表現することもできる)として、バッテリマネジメントユニット基板91、セルマネジメントユニット基板93、充電用ヒューズ92、メインヒューズ95、コンタクタ96、サービスプラグ94、等を備えている。これらのメンテナンス対象部品は、バッテリマネジメントシステム66を構成する部品、もしくは、バッテリ64の充放電回路に組み込まれる部品、等である。なお、サービスプラグ94とは、挿抜によりバッテリ64の充放電回路をオンオフする部品である。
【0029】
ここで、上記のメンテナンス対象部品の内、少なくともバッテリマネジメントユニット基板91、セルマネジメントユニット基板93、充電用ヒューズ92、およびサービスプラグ94は、バッテリパックルーム30の開口部30aからメンテナンス作業者の手が届く範囲内(距離内)の位置に配置されている。
【0030】
上記の構成によれば、従来の作業用車両におけるメンテナンス対象部品のメンテナンスに関する課題の解決を図ることができる。すなわち、バッテリカバー32を開けてアクセスすることができる範囲内に、バッテリパック60の上記メンテナンス対象部品の全てが配置されている。特に、運転室16のシートをスライドさせて背もたれを倒し、フロアプレートを露出させる必要がない。まして、大型で重量のあるバッテリパック60を上部旋回体2から降ろす必要もない。したがって、上記メンテナンス対象部品のメンテナンスを極めて容易に且つ短時間で行うことができるため、メンテナンス性を著しく向上させることができる。
【0031】
さらに、本実施形態に特徴的な構成として、バッテリパック60は、開口部30a側となる面(上部旋回体2の後方に向いた面)60aに、以下の構成が設けられている。具体的に、面60aに前述のインレット62が設けられている。また、面60aに所定のメンテナンス対象部品(後述)のメンテナンスを行うための第1メンテナンス開口71および当該第1メンテナンス開口71を開閉可能に覆う第1メンテナンスカバー81が設けられている(図4図5参照)。また、面60aに所定のメンテナンス対象部品(後述)のメンテナンスを行うための第2メンテナンス開口72および当該第2メンテナンス開口72を開閉可能に覆う第2メンテナンスカバー82が設けられている(図5図6参照)。また、面60aに所定のメンテナンス対象部品(後述)のメンテナンスを行うための第3メンテナンス開口73および当該第3メンテナンス開口73を開閉可能に覆う第3メンテナンスカバー83が設けられている(図6図7参照)。
【0032】
ここで、上記の「所定のメンテナンス対象部品」とは以下の通りである。先ず、第1メンテナンスカバー81を開けて第1メンテナンス開口71からメンテナンスを行うメンテナンス対象部品は、平均メンテナンス頻度が相対的に高頻度の部品である。これには、少なくともバッテリマネジメントユニット基板91が含まれる。次に、第2メンテナンスカバー82を開けて第2メンテナンス開口72からメンテナンスを行うメンテナンス対象部品は、平均メンテナンス頻度が相対的に中頻度の部品である。これには、少なくとも充電用ヒューズ92が含まれる。次に、第3メンテナンスカバー83を開けて第3メンテナンス開口73からメンテナンスを行うメンテナンス対象部品は、平均メンテナンス頻度が相対的に低頻度の部品である。これには、少なくともセルマネジメントユニット基板93が含まれる。
【0033】
上記の構成によれば、平均メンテナンス頻度が相対的に高頻度の部品のメンテナンスを、相対的に最もアクセスし易い第1メンテナンス開口71から行うことができる。平均メンテナンス頻度が相対的に中頻度の部品のメンテナンスを、相対的に二番目にアクセスし易い第2メンテナンス開口72から行うことができる。平均メンテナンス頻度が相対的に低頻度の部品のメンテナンスを、相対的に三番目にアクセスし易い第3メンテナンス開口73から行うことができる。なお、ここで言うアクセスし易さとは、メンテナンス作業を行う位置やメンテナンスカバーの着脱作業の容易さが指標となる。
【0034】
一般的に、作業用車両はコンパクトに構成されることが要求されており、各種機器を如何に省スペースで効率よく上部旋回体に搭載するかが重要となる。そのため、上記に例示される電装・制御系のメンテナンス対象部品の全てを一箇所に集中的に搭載することは実際上、困難である。また、メンテナンス対象部品のメンテナンス発生頻度も一律とはならない。しかし、上記の構成によれば、複数種類のメンテナンス対象部品を、それぞれの平均メンテナンス頻度を考慮したうえで適した位置に配置する構成が可能となる。すなわち、平均メンテナンス頻度が高い部品程、より容易にメンテナンスを行うことができる配置が実現される。したがって、従来の作業用車両と比較してメンテナンスの作業性を著しく高めることができる。
【0035】
特に、本実施形態においては、第3メンテナンスカバー83が、上部旋回体2に固定されているカウンターウェイト24を取外さなければ開けられない位置に配置されている。通常の設計思想であれば、カウンターウェイト24を取外さなければメンテナンスを行えない位置にメンテナンス開口(この場合、第3メンテナンス開口73)を設けることは、作業性が低下するために避けることが好ましい。しかし、上記の通り、平均メンテナンス頻度が低い部品を選定して、当該位置に配置することで、頻繁なメンテナンス発生を回避しつつ、カウンターウェイト24の内側空間の有効活用が実現でき、上部旋回体2の省スペース化を図ることができる。
【0036】
また、本実施形態においては、第1メンテナンス開口71が、第2メンテナンスカバー82の板面に形成されていると共に、第1メンテナンスカバー81が、当該板面に着脱可能に固定されている。より具体的には、第2メンテナンスカバー82の板面において、後方へ向けて突出する枠体68が設けられ、第1メンテナンスカバー81が当該枠体68の先端を覆うように固定されている。この構成によれば、枠体68の周面に配線用の挿通穴、コネクタ等(不図示)を設けることができるため、バッテリパック60周囲に設ける配線敷設用空間の省スペース化を図ることができる。ただし、枠体68を設けない構成としてもよい。
【0037】
なお、サービスプラグ94は、インレット62に対して隣接する左側(右側、上側、もしくは下側でもよい)の位置に配置されている。この構成によれば、バッテリパック60から突出させて設けられるインレット62周辺の空間部を有効に活用することができる。また、サービスプラグ94は、電装・制御系のメンテナンス対象部品のメンテナンスを行う際に基本的に取外す部品であり、バッテリカバー32を開けるだけでアクセスできる位置に配置する構成が実現できる。
【0038】
本実施形態に係る作業用車両1における走行および作業のためのその他の機構については、公知の作業用車両(油圧ショベル)と同様であるため、詳細の説明を省略する。
【0039】
以上説明した通り、本発明によれば、従来の作業用車両のようにフロアプレートを露出させたり、バッテリパックを上部旋回体から降ろしたりすることなく、電装・制御系の所定メンテナンス対象部品のメンテナンスを極めて容易に且つ短時間で行うことができる。したがって、従来と比較して著しくメンテナンス性の向上を図ることができる。
【0040】
本発明は、上記の例(油圧ショベル)に限定されるものではない。本発明は、その他の作業用車両(例えば、トラックローダ、キャリア等)に対して同様に適用できる。
【符号の説明】
【0041】
1 作業用車両
2 上部旋回体
10 下部走行体
12、14 作業装置
20 駆動源(電動モータ)
30 バッテリパックルーム
32 バッテリカバー
60 バッテリパック
71 第1メンテナンス開口
72 第2メンテナンス開口
73 第3メンテナンス開口
81 第1メンテナンスカバー
82 第2メンテナンスカバー
83 第3メンテナンスカバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7