(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178006
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】電子機器、その制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20241217BHJP
H04N 23/60 20230101ALI20241217BHJP
【FI】
H02J7/00 X
H04N23/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096469
(22)【出願日】2023-06-12
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 高士
【テーマコード(参考)】
5C122
5G503
【Fターム(参考)】
5C122GC86
5C122GF03
5C122HA74
5C122HB01
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB02
5G503CA10
5G503EA05
5G503GD03
5G503GD06
(57)【要約】
【課題】外部の電池を接続して使用する場合に、精度の良い残量を出力可能な電子機器を提供する。
【解決手段】本開示に係る電子機器は、電池と通信する通信手段と、電池から、通信手段を介して電池の残容量に関する情報を取得する取得手段と、電池の残容量に関する情報を取得するための通信規格を識別する識別手段と、電池の残容量に関する情報に基づいて得られる電池の残量を出力する出力手段と、を備え、出力手段は、識別された通信規格に応じて電池の残容量を調整することによって電池の残量を取得する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池と通信する通信手段と、
前記電池から、前記通信手段を介して前記電池の残容量に関する情報を取得する取得手段と、
前記電池の残容量に関する情報を取得するための通信規格を識別する識別手段と、
前記電池の残容量に関する情報に基づいて得られる前記電池の残量を出力する出力手段と、を備え、
前記出力手段は、識別された前記通信規格に応じて前記電池の残容量を調整することによって前記電池の残量を取得する、ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記出力手段は、識別された前記通信規格に応じた補正量を前記電池の残容量に適用することによって、前記電池の残容量を調整する、ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記出力手段は、
識別された前記通信規格が第1の通信規格である場合、第1の補正量を前記電池の残容量に適用し、
識別された前記通信規格が前記第1の通信規格よりも前の第2の通信規格である場合、前記第1の補正量よりも大きい第2の補正量を前記電池の残容量に適用する、ことを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記出力手段は、識別された前記通信規格が第1の通信規格よりも前である第2の通信規格である場合、前記第1の通信規格が識別された場合よりも前記電池の残容量が大きく変動するように、前記電池の残容量を調整する、ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
前記出力手段は、識別された前記通信規格が第1の通信規格よりも前である第2の通信規格である場合、前記第1の通信規格が識別された場合よりも前記電池の残容量を大きく変動させる計算式を用いて、前記電池の残容量を調整する、ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項6】
前記出力手段は、識別された前記通信規格が第1の通信規格よりも前である第2の通信規格である場合、前記電池の残容量を調整し、識別された前記通信規格が前記第1の通信規格以降の通信規格である場合、前記電池の残容量を調整しない、ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項7】
前記識別手段は、前記通信規格を識別する情報を、前記通信手段を介して前記電池から取得する、ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項8】
前記識別手段は、前記電池の残容量に関する情報を格納する形式に基づいて、前記通信規格を識別する、ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項9】
前記第1の通信規格は、前記電池の残容量に関する情報の送信を必須として規定する通信規格であり、前記第2の通信規格は、前記電池の残容量に関する情報の送信を任意として規定する通信規格である、ことを特徴とする請求項3に記載の電子機器。
【請求項10】
前記識別手段によって通信規格を識別することは、前記通信規格のバージョン又はリビジョンを識別することを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項11】
前記電池の残容量に関する情報は、前記電池の残容量に対応し、
前記補正量は、前記電池の残容量に対する補正量である、ことを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項12】
前記電子機器は、前記電子機器に専用で用いられる専用電池を接続する接続手段を介して、前記専用電池の残容量に関する情報を取得可能であり、
前記出力手段は、識別された前記通信規格に応じて前記電池の残容量を調整するが、前記専用電池の残容量を調整しない、ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項13】
前記通信手段は、USB Type-C規格のCC通信を行う、ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項14】
電池と通信する通信手段を有する電子機器の制御方法であって、
前記電池から、前記通信手段を介して前記電池の残容量に関する情報を取得する取得工程と、
前記電池の残容量に関する情報を取得するための通信規格を識別する識別工程と、
前記電池の残容量に関する情報に基づいて得られる前記電池の残量を出力する出力工程と、を備え、
前記出力工程では、識別された前記通信規格に応じて前記電池の残容量を調整することによって前記電池の残量を取得する、ことを特徴とする電子機器の制御方法。
【請求項15】
コンピュータを、請求項1から13のいずれか1項に記載の電子機器の各手段として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器、その制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器のコネクタに関する規格としてUSB(Universal Serial Bus) Type-C規格が知られている。また、USB Type-C規格のコネクタとケーフルとを使用して、機器間において直流電源を受給電する規格として、USB PD(USB Power Delivery)規格が知られている。USB PD規格に準拠した2つの電子機器は、例えば、電池残容量などに関する情報のやり取りを行うことができる。例えば、一方の電子機器(デジタルカメラ)が、USB Type-Cコネクタを介して他方の電子機器(モバイルバッテリなどの電池)から給電を受ける場合に、給電により動作可能な時間や電池の残量を表示することができる。
【0003】
表示用の電池の残量を精度よく求めるために、電池における電流及び温度を対応付けた分極電圧曲線を用いる技術が知られている(特許文献1)。また、電池の残量を電子機器に表示させる際に、所定端子の電圧に基づいて通信速度が高速な電池からの情報を高速に取得可能にする技術が知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015―155859号公報
【特許文献2】特開2007―227150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、電池の残容量を取得する通信規格のリビジョンが複数規定されている場合や複数の通信規格が存在する場合、取得する電池の残容量の精度や信頼性が異なり得る。このため、取得した電池の残容量を用いて電池の残量を表示した場合に、表示する残量の精度を維持することができないという課題がある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされ、その目的は、外部の電池を接続して使用する場合に、精度の良い残量を出力可能な技術を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題を解決するため、例えば本発明の電子機器は以下の構成を備える。すなわち、電池と通信する通信手段と、前記電池から、前記通信手段を介して前記電池の残容量に関する情報を取得する取得手段と、前記電池の残容量に関する情報を取得するための通信規格を識別する識別手段と、前記電池の残容量に関する情報に基づいて得られる前記電池の残量を出力する出力手段と、を備え、前記出力手段は、識別された前記通信規格に応じて前記電池の残容量を調整することによって前記電池の残量を取得する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、外部の電池を接続して使用する場合に、精度の良い残量を出力可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】ある実施形態に係る、電子機器の一例としての撮像装置の構成例を示すブロック図
【
図2】ある実施形態に係る、電池の一例としてのUSB外部機器200の構成例と、撮像装置100の電力の受給電に関する構成例とを示すブロック図
【
図3】ある実施形態に係る、電池残量算出部300の機能構成例を示すブロック図
【
図4】ある実施形態に係る、撮像装置における電池残量算出処理の一連の動作を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
(実施形態1)
以下では電子機器の一例として、外部機器から電力の供給を受けることが可能な撮像装置を用いる例を説明する。このような撮像装置は、一例としてデジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン、工業用カメラ、医療用カメラを含んでよい。また、本実施形態は、撮像装置に限らず、外部機器から電力の供給を受けることが可能な他の電子機器にも適用可能である。これらの電子機器には、一例としてゲーム機やウェアラブル端末などが含まれてよい。
【0012】
(撮像装置の構成)
図1を参照して、撮像装置100の構成例について説明する。レンズ101は、センサ102の撮像面に被写体の光学像を結像させる。センサ102は、例えば撮像素子を含み、撮像面に結像された光学像から画像データを生成する。
【0013】
CPU103は、所定の画像処理及び所定の符号化処理を行うことにより、センサ102で生成された画像データを処理する。CPU103で処理された画像データは、記憶媒体105に記録され、表示部107に表示される。さらに、CPU103は、メモリ104に格納されているプログラムを実行することにより、不図示の(例えばバスなどの)接続を介して撮像装置100の各構成要素を制御する。また、CPU103は、当該プログラムを実行することにより、後述する電池残量算出部300の各部の機能を実現することができる。
【0014】
メモリ104は、例えば半導体メモリなどを含み、撮像装置100の各構成要素を制御するためのプログラムを格納することができる。メモリ104は、CPU103で用いられる様々な情報及びデータを格納することもできる。例えば、撮像装置100の消費電流或いは消費電力の情報や、後述する通信規格識別部302が通信規格を識別、判定するための参照テーブルの情報などを含む。また、メモリ104は、撮像装置100の状態をユーザに通知するための画像データなどを格納することができる。記憶媒体105は、例えば、メモリカードを含み、CPU103で符号化された画像データを保存する記憶媒体である。
【0015】
操作入力部106は、ユーザが撮像装置100を操作するための、ボタン及びユーザインタフェースを含む。表示部107は、例えば、表示パネルなどのディスプレイを含む。表示部107は、例えば、撮像する画像の確認のための表示や、撮像した画像の再生確認のための表示を行ったり、撮像装置100の動作モードや、電池の残量を表示したりする。
【0016】
USB部108は、USB規格、USB Type-C規格、USB PD(USB Power Delivery)規格などに準拠し、USB外部機器200と接続する。
【0017】
USB Type-C規格は、電子機器のコネクタに関する規格である。USB Type-C規格に準拠したコネクタは、2つの電子機器間におけるデータ通信に利用可能であるだけでなく、2つの電子機器間における電力供給にも利用可能である。USB PD規格は、USB Type-C規格のコネクタ、及び、ケーブルを使用して機器間で直流電源を受給電する規格である。USB PD規格に準拠した2つの電子機器は、USB Type-C規格に準拠したコネクタを備える。USB Type-CコネクタはCC(configuration channel)端子を備える。USB PD規格には、CC端子における、外部の電源供給装置の接続検出、受給電に関する調停や、電池残容量などに関する情報のやり取りに関する通信(以下、CC通信)が規定されている。
【0018】
電源回路109は、電池110又はUSB部108から供給される電圧を、撮像装置100の各構成要素(レンズ101、センサ102、及びCPU103など)で使用する電圧に変換する電源回路を含む。電池110は、例えばリチウムイオン電池などの撮像装置100に接続する専用電池を含み、撮像装置100が動作するための電力を供給する。USB外部機器200については後述する。
【0019】
次に、
図2を参照して、USB外部機器200の構成及び撮像装置100の電力の受給電に関する構成の一例について説明する。撮像装置100はUSB TYPE-Cケーブル220を介してUSB外部機器200と接続される。USB外部機器200は、撮像装置100に電力を供給可能な、例えば、パーソナルコンピュータ、ACアダプタ、モバイルバッテリなどであってよい。
【0020】
USB部108は、USB Type-Cコネクタ201、VBUS受電回路202、及び、CC通信インタフェース203を含む。USB Type-Cコネクタ201(及び、後述するUSB Type-Cコネクタ211)は、USB TYPE-Cケーブル220に接続されるUSB Type-Cコネクタである。USB Type-Cコネクタは、データ通信線のD+/D-端子及びSS+/SS-端子と、不図示のグラウンド信号のGND端子と、電力供給線のVBUS端子と、CC(configuration channel)端子とを含む。CC端子は、USB Type-C規格及びUSB PD規格に準拠した端子である。CC端子は、USB PD規格に準拠した給電交渉や、USB外部機器200の電源情報、特に、モバイルバッテリなどでは電池の残容量に関する情報、を通信するために用いられる。
【0021】
VBUS受電回路202は、USB外部機器200から供給されるVBUS電圧を、撮像装置100のシステム電源の電圧に変換するDCDCコンバータなどで構成される回路である。VBUS受電回路202は、電源回路109を介して撮像装置100の電源として動作する。CC通信インタフェース203は、USB Type-Cコネクタ201のCC端子を介して、USB外部機器200のCC通信インタフェース213に接続される。CC通信インタフェース203は、所謂CC通信用の専用ICなどで構成される。
【0022】
USB外部機器200は、例えば、USB端子と電池を有する所謂モバイルバッテリである。USB外部機器200は、USB Type-Cコネクタ211、VBUS給電回路212、CC通信インタフェース213、電池214及び、CPU215を含む。
【0023】
VBUS給電回路212は、USB外部機器200の電池214の起電力からVBUS電圧を生成するDCDCコンバータなどで構成される回路である。電池214は、内蔵されたリチウムイオン電池などを含み、USB外部機器200が動作するための電力を供給する。USB Type-Cコネクタ211、CC通信インタフェース213はそれぞれ、上述したUSB Type-Cコネクタ201、CC通信インタフェース203と等価である。
【0024】
(電池残量算出部の構成)
次に、
図3を参照して、CPU103における電池残量算出部300の構成例について説明する。上述のように、本実施形態では、USB Type-C規格及びUSB PD規格に準拠して、USB外部機器200と接続される。
【0025】
USB外部機器200の電池の残量を表示する際に、USB PD規格などの通信規格のリビジョンによって、撮像装置100側で取得することができる電池の残容量の精度及び信頼性が異なる場合がある。このため、撮像装置100において同じ計算式を用いて電池残量を計算すると、電池残量の精度を維持できない場合がある。すなわち、電池残量を表示部107に表示する場合には、残量表示の精度を上げることができず、また、(電池残量があるように表示されていたものが急に電力不足となるような)不意な減電動作となる可能性がある。
【0026】
例えば、一例として、撮像装置100は、USB外部機器200の残容量を、CC通信を介して取得し、電池残量の計算を行うことを考える。USB PD規格では、現時点においても複数のリビジョンが規格化されており、今後もアップデートや機能追加がなされることが想定される。つまり、USB PD規格のリビジョンが上がるにつれて、電池の残容量に関する精度及び信頼性が異なることがあり得る。例えば、当該規格のリビジョンが異なることにより、電池残容量に関する規格上の取り扱いがOptional(任意)であるかMandatory(必須)であるかが異なるケースが存在し得る。その他、精度や更新周期などの規定が異なるケースが存在し得る。すなわち、複数の通信規格を用いる際に、取得した残容量に対して、全て同じ算出方法で電池残量を計算すると、上述のように、残量表示の精度を維持できないなどの弊害が生じ得る。このため、本実施形態では、電池残量算出部300の処理により、通信規格に応じて電池の残容量を調整し、より適切な電池の残量を計算(或いは取得)する。
【0027】
なお、本実施形態の説明では、電池残量算出部300の各機能部がCPU103によって実現される場合を例に説明する。しかし、電池残量算出部300は、CPU103と独立したハードウェアによって構成されてもよいし、CPU103と独立したハードウェアがプログラムを実行することにより実現されてもよい。
【0028】
電池残量算出部300は、シリアル通信部301、通信規格識別部302、計算式切替部303、及び、電池残量計算部304を含む。シリアル通信部301は、例えば、I2Cなどのシリアル通信を制御可能であり、CC通信インタフェース203との間の通信を行う。例えば、シリアル通信部301は、CC通信インタフェース203を介してUSB外部機器200の電池214の残容量に関する情報を取得することができる。電池214の残容量に関する情報は、電池214の残容量を推定するための様々な情報を含んでもよいし、単に電池214の残容量の情報のみを含んでもよい。
【0029】
通信規格識別部302は、シリアル通信部301を介してCC通信インタフェース203の通信規格(すなわち残容量に関する情報を取得するための通信規格)のリビジョンを取得、識別する。また、通信規格識別部302は、通信規格のリビジョンに応じて、通信規格のリビジョンにおける、電池残量の信頼性を判定することができる。具体的には、通信規格のリビジョンと信頼性を表す数値とを対応付けた通信規格の信頼性評価のテーブルをメモリ104に格納しておき、当該テーブルを参照する方法がある。なお、本実施形態の説明では、通信規格のリビジョンを取得、識別する場合を例に説明しているが、通信規格に異なるリビジョンが存在する場合に限らず、異なる通信規格が存在する場合にも適用可能である。本開示において、単に通信規格を識別すると記載する場合に、異なる通信規格を識別する場合のほか、通信規格の異なるバージョン又はリビジョンを識別することを含んでよい。なお、異なる通信規格が存在する場合には、通信規格と信頼性を表す数値とを対応付けたテーブルを、リビジョンと信頼性を示す数値を対応付けたテーブルに代えて又は加えて参照することができる。
【0030】
計算式切替部303は、通信規格識別部302の判定結果に応じて、後述する電池残量計算部304における電池残量の計算式を切り替える。電池残量計算部304は、シリアル通信部301から得られる電池の残容量と、計算式切替部303によって設定された計算式とから、電池残量時間を計算する。電池残量計算部304で計算された電池残量時間は不図示のバスを介して表示部107に表示される。
【0031】
電池残量算出部300が実行する電池残量計算処理では、電池110やUSB外部機器200の電池214などの電源によって、撮像装置100がどの程度の時間の間、動作可能であるかを算出し、計算結果を電池の残量として出力(表示部107に表示)する。ここでは、USB外部機器200から電源供給されている場合の電池残量計算処理について説明する。電池残量算出部300は、電池残量時間T[min]を、以下の式1によって求めることができる。以下の式では、バッテリから取得する残容量C[mAh]、撮像装置100の消費電流I[mA]、マージン容量M[mAh]、補正係数Kが用いられる。
T=(C-M)×K/I×60・・・(式1)
【0032】
(撮像装置100における、電池残量計算処理に係る一連の動作)
図4を参照して、撮像装置100における電池残量計算処理の一連の動作について説明する。なお、電池残量計算処理は、例えば、CPU103がメモリ104に格納されたプログラムを実行することにより実現される。なお、本処理は、例えば、CPU103がUSB外部機器200と接続されてシステムが起動した場合に開始される。
【0033】
S401にて、CPU103のシリアル通信部301は、CC通信インタフェースを介して外部機器と通信を開始する。
【0034】
S402にて、CPU103の通信規格識別部302は、S401で開始した通信の通信規格のリビジョンについて、電池残量に関する信頼性を判定する。通信規格識別部302は、通信規格のリビジョンについて、電池残量に関する信頼性が所定値より高いと判定した場合には、処理をS403に進め、そうでないと判定した場合には処理をS404に進める。通信規格のリビジョンについての電池残量に関する信頼性の判定については、例えば、メモリ104に格納した通信規格の信頼性評価のテーブルを参照することができる。例えば、信頼性評価のテーブルは、通信規格のリビジョンに信頼性を対応付けて構成される。
【0035】
信頼性評価テーブルは、例えば、通信規格のリビジョンが前のリビジョンであるほど、低い信頼性を対応付けて構成されてもよい。或いは、信頼性評価テーブルは、特定のリビジョンより前のリビジョンについて低い第1の信頼性を対応付け、特定のリビジョン以降のリビジョンに対して、第1の信頼性より高い信頼性を対応付けてもよい。
【0036】
S403にて、CPU103の計算式切替部303は、電池残量計算部304で用いる残量計算式におけるマージン量(補正量)を設定して、残量計算式を決定する。具体的には、計算式切替部303は、計算式におけるマージン量Mを、マージン量MSという、後述するマージン量MLに対してより小さい値に設定する。
【0037】
S404にて、計算式切替部303は、電池残量計算部304で用いる残量計算式におけるマージン量(補正量)を設定して、残量計算式を決定する。具体的には、計算式切替部303は、計算式におけるマージン量Mをマージン量MLという、先述のマージン量MSに対してより大きい値に設定する。
【0038】
S405にて、CPU103の電池残量計算部304は、シリアル通信部301を介して、USB外部機器200から電池の残容量に関する情報を取得する。S406にて、電池残量計算部304は、S405で得られた電池の残容量と、計算式切替部303によって設定された残量計算式とに基づいて電池残量時間(電池の残量)を算出する。このようにすれば、上述した式1において、電池の残容量Cを通信規格のリビジョン(の信頼性)に応じたマージン容量Mで調整して得られる、電池の残量を算出することができる。
【0039】
なお、上述した本実施形態の説明では、電池の残容量に関する情報を取得するための通信規格のリビジョンを取得、識別したうえで、電池残量の信頼性を判定し、信頼性に応じてマージンを設定(計算式を変更)する場合を例に説明した。しかし、本実施形態は、電池の残容量に関する情報を取得するための通信規格のリビジョンを取得、識別したうえで、通信規格のリビジョンに応じてマージンを設定(計算式を変更)する場合にも適用可能である。この場合、通信規格識別部302は、通信規格のリビジョンとマージンとを対応付けたテーブルを参照して、識別された通信規格のリビジョンに対応付けられたマージンを設定することができる。
【0040】
例えば、識別された通信規格が第1の通信規格のリビジョンである場合、第1のマージン(補正量)を電池の残容量に適用するようにする。また、識別された通信規格が第1の通信規格のリビジョンよりも前のリビジョンである場合、第1のマージンよりも大きいマージンを電池の残容量に適用する。これにより、前のリビジョンに対して、より大きいマージンを適用して、電池の残容量を調整することができる。このとき、第1の通信規格のリビジョンは、電池の残容量に関する情報の送信を必須として規定する、通信規格のリビジョンであってよい。また、前の通信規格のリビジョンは、電池の残容量に関する情報の送信を任意として規定する通信規格のリビジョンであってよい。
【0041】
或いは、識別された通信規格が第1の通信規格のリビジョンよりも前のリビジョンである場合、第1の通信規格のリビジョンが識別された場合よりも残容量が大きく変動するように、電池の残容量を調整してもよい。この場合、特定のリビジョン以降のリビジョンについて、より小さいマージンを適用して、電池の残容量を調整することができる。
【0042】
このようにしても、上述した式1において、電池の残容量Cを通信規格のリビジョンに応じたマージンMで調整して得られる、電池の残量を算出することができる。
【0043】
また、本実施形態の説明では、S402の判定結果に応じて、異なる大きさのマージン量を設定して、いずれの判定結果である場合も電池の残容量を調整した。しかし、本実施形態は、信頼性の低い通信規格を用いる場合にのみ、マージンを設定して残量を調整するようにしてもよい。例えば、識別された通信規格が特定の通信規格よりも前の通信規格である場合には、マージンを設定して電池の残容量を調整する。一方、識別された通信規格が特定の通信規格以降の通信規格である場合、マージンを設定しないことにより、電池の残容量を調整しないようにしてもよい。
【0044】
更に、上述の説明では、式1においてマージンに異なる値を設定する場合を例に説明している。しかし、S402の判定結果に応じて、式1と、式1とは演算内容が異なる別個の式とのいずれかを用いるようにしてもよい。例えば、識別された通信規格が特定のリビジョンよりも前である第2のリビジョンである場合、特定のリビジョンが識別された場合よりも電池の残容量を大きく変動させる計算式を用いるようにしてもよい。
【0045】
S407にて、電池残量計算部304が算出した電池の残量を出力すると、CPU103は、表示部107に電池の残量を表示させる。S408にて、CPU103は、通信を継続するか否かを判定する。例えば、CPU103は、撮像装置100の電源オフ指示を受け付けた場合や、ケーブルの抜去を検出した場合などに、USB外部機器200との通信を停止して、本処理を終了する。一方、CPU103は、通信を継続すると判定した場合には、処理をS405に進める。
【0046】
このように、本実施形態では、CPU103が、接続された外部装置との通信規格(の信頼性又はそのリビジョン)に応じて、異なるマージンを電池残量の計算式に設定するようにした。このため、識別された通信規格における電池の残容量の信頼性が高いことが想定される場合には、マージンを過剰に設定することなく残量計算の精度向上を図ることができる。一方、識別された通信規格における電池残容量の信頼性が低いことが想定される場合には、より大きなマージンを確保した残量計算を行うことができる。この場合、表示部107に表示される電池の残量は、信頼性が高い場合よりも相対的に少なくなる。つまり、CPU103は、(電池残量があるように見えるにも関わらず電池切れとなるような)電池残量表示と一致しない電源シャットダウンの回避を優先することができる。このように、本実施形態では、外部の電池を接続して使用する場合に、精度の良い残量を出力可能になる。
【0047】
なお、上述の実施形態では、電池の残容量とマージン等を用いて電池の残量を算出する場合を例に説明した。しかし、本実施形態は、電池の残容量とマージンを対応付けたテーブル或いは、電池の残容量と通信規格を対応付けたテーブルなどを参照することによって、電池の残量を取得することを含む。或いは、電池の残量を計算する代わりに、例えば、電池の残容量と通信規格とを外部装置に送信し、外部装置から電池の残量を取得してもよい。
【0048】
また、S402において通信規格識別部302が行う通信規格のリビジョンの識別は、様々な方法で行うことができる。例えば、通信規格識別部302は、通信規格を識別する情報を、シリアル通信部301を介してUSB外部機器200から取得してよい。例えば、通信規格識別部302は、通信規格のリビジョンを表す固有のビットを、シリアル通信部301から取得して判定してもよい。或いは、通信規格識別部302は、シリアル通信部301で受信される電池残量に関する情報を格納する形式や対応コマンドから、通信規格のリビジョンを識別するようにしてもよい。また、通信規格識別部302は、通信規格のリビジョンのリリース時期を基準にして信頼性を判定してもよい。
【0049】
更に、CPU103は、操作入力部106からの操作入力に応じて、S402からS404までの制御の実施有無(すなわち残量計算式の変更有無)を選択可能にしてもよい。
【0050】
また、CPU103は、残量計算式の変更を、USB外部機器200の電池残量計算に対してのみ実行し、電池110の電池残量計算に対しては、残量計算式を変更しないように制御しても良い。例えば、撮像装置100は、専用で用いられる専用電池の接続を介して、専用電池の残容量に関する情報を取得可能であるが、USB外部機器200の残容量とは異なり、専用電池の残容量を調整しなくてもよい。
【0051】
(その他の実施形態)
上述の実施形態で説明した様々な機能、処理又は方法は、パーソナルコンピュータ、マイクロコンピュータ、CPU(central processing unit)などがプログラムを用いて実現することができる。ある実施形態では、パーソナルコンピュータ、マイクロコンピュータ、CPUなどを「コンピュータX」と呼ぶ。また、ある実施形態では、コンピュータXを制御するためのプログラムであって、上述の実施形態で説明した様々な機能、処理又は方法を実現するためのプログラムを「プログラムY」と呼ぶ。上述の実施形態で説明した様々な機能、処理又は方法は、コンピュータXがプログラムYを実行することによって実現される。この場合において、プログラムYは、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体を介してコンピュータXに供給される。ある実施形態におけるコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、ハードディスク装置、磁気記憶装置、光記憶装置、光磁気記憶装置、メモリカード、揮発性メモリ、不揮発性メモリなどの少なくとも1つを含む。ある実施形態におけるコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、nonーtransitoryな記憶媒体である。
【0052】
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0053】
(本明細書の開示)
本明細書の開示は、以下の電子機器、その制御方法、及びプログラムを含む。
(項目1)
電池と通信する通信手段と、
前記電池から、前記通信手段を介して前記電池の残容量に関する情報を取得する取得手段と、
前記電池の残容量に関する情報を取得するための通信規格を識別する識別手段と、
前記電池の残容量に関する情報に基づいて得られる前記電池の残量を出力する出力手段と、を備え、
前記出力手段は、識別された前記通信規格に応じて前記電池の残容量を調整することによって前記電池の残量を取得する、ことを特徴とする電子機器。
(項目2)
前記出力手段は、識別された前記通信規格に応じた補正量を前記電池の残容量に適用することによって、前記電池の残容量を調整する、ことを特徴とする項目1に記載の電子機器。
(項目3)
前記出力手段は、
識別された前記通信規格が第1の通信規格である場合、第1の補正量を前記電池の残容量に適用し、
識別された前記通信規格が前記第1の通信規格よりも前の第2の通信規格である場合、前記第1の補正量よりも大きい第2の補正量を前記電池の残容量に適用する、ことを特徴とする項目2に記載の電子機器。
(項目4)
前記出力手段は、識別された前記通信規格が第1の通信規格よりも前である第2の通信規格である場合、前記第1の通信規格が識別された場合よりも前記電池の残容量が大きく変動するように、前記電池の残容量を調整する、ことを特徴とする項目1又は2に記載の電子機器。
(項目5)
前記出力手段は、識別された前記通信規格が第1の通信規格よりも前である第2の通信規格である場合、前記第1の通信規格が識別された場合よりも前記電池の残容量を大きく変動させる計算式を用いて、前記電池の残容量を調整する、ことを特徴とする項目1に記載の電子機器。
(項目6)
前記出力手段は、識別された前記通信規格が第1の通信規格よりも前である第2の通信規格である場合、前記電池の残容量を調整し、識別された前記通信規格が前記第1の通信規格以降の通信規格である場合、前記電池の残容量を調整しない、ことを特徴とする項目1又は2に記載の電子機器。
(項目7)
前記識別手段は、前記通信規格を識別する情報を、前記通信手段を介して前記電池から取得する、ことを特徴とする項目1から6のいずれか1項に記載の電子機器。
(項目8)
前記識別手段は、前記電池の残容量に関する情報を格納する形式に基づいて、前記通信規格を識別する、ことを特徴とする項目1から6のいずれか1項に記載の電子機器。
(項目9)
前記第1の通信規格は、前記電池の残容量に関する情報の送信を必須として規定する通信規格であり、前記第2の通信規格は、前記電池の残容量に関する情報の送信を任意として規定する通信規格である、ことを特徴とする項目3から6のいずれか1項に記載の電子機器。
(項目10)
前記識別手段によって通信規格を識別することは、前記通信規格のバージョン又はリビジョンを識別することを含む、ことを特徴とする項目1から9のいずれか1項に記載の電子機器。
(項目11)
前記電池の残容量に関する情報は、前記電池の残容量に対応し、
前記補正量は、前記電池の残容量に対する補正量である、ことを特徴とする項目2又は3に記載の電子機器。
(項目12)
前記電子機器は、前記電子機器に専用で用いられる専用電池を接続する接続手段を介して、前記専用電池の残容量に関する情報を取得可能であり、
前記出力手段は、識別された前記通信規格に応じて前記電池の残容量を調整するが、前記専用電池の残容量を調整しない、ことを特徴とする項目1から11のいずれか1項に記載の電子機器。
(項目13)
前記通信手段は、USB Type-C規格のCC通信を行う、ことを特徴とする項目1から12のいずれか1項に記載の電子機器。
(項目14)
電池と通信する通信手段を有する電子機器の制御方法であって、
前記電池から、前記通信手段を介して前記電池の残容量に関する情報を取得する取得工程と、
前記電池の残容量に関する情報を取得するための通信規格を識別する識別工程と、
前記電池の残容量に関する情報に基づいて得られる前記電池の残量を出力する出力工程と、を備え、
前記出力工程では、識別された前記通信規格に応じて前記電池の残容量を調整することによって前記電池の残量を取得する、ことを特徴とする電子機器の制御方法。
(項目15)
コンピュータを、項目1から13のいずれか1項に記載の電子機器の各手段として機能させるためのプログラム。
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0054】
100…撮像装置、103…CPU、107…表示部、200…USB外部機器、300…電源残量算出部、302…通信規格識別部、303…計算式切替部、304…電池残量計算部