(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178011
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】土台水切
(51)【国際特許分類】
E04B 1/64 20060101AFI20241217BHJP
E04B 1/70 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
E04B1/64 C
E04B1/70 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096477
(22)【出願日】2023-06-12
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】弁理士法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古川 修三
(72)【発明者】
【氏名】松原 悟志
(72)【発明者】
【氏名】東 智明
【テーマコード(参考)】
2E001
【Fターム(参考)】
2E001DA03
2E001DB02
2E001FA21
2E001GA13
2E001GA18
2E001GA60
2E001KA01
2E001LA12
2E001MA02
2E001NA07
2E001ND01
2E001ND14
(57)【要約】
【課題】簡易な構成で、屋内側の空間への雨水の浸入を防止すること。
【解決手段】土台水切(1)は、建物の基礎(21)と土台部(22)との間に床下空間に連通する通気路(40)を有する建物に適用される土台水切であって、土台部側から屋外側に延び、外壁の下端部に対面する水切板部(12)と、水切板部の屋外側端部から垂れ下がる前板部(13)と、水切板部の裏面と対面し、前板部と基礎との間の範囲内に換気口(15)が設けられた底板部(14)とを備える。底板部のうち、換気口よりも屋内側の領域には、基礎の屋外側壁面を伝って上昇する雨水を受けるための溝部(16)が設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の基礎と土台部との間に床下空間に連通する通気路を有する建物に適用される土台水切であって、
前記土台部側から屋外側に延び、外壁の下端部に対面する水切板部と、
前記水切板部の屋外側端部から垂れ下がる前板部と、
前記水切板部の裏面と対面し、前記前板部と前記基礎との間の範囲内に換気口が設けられた底板部とを備え、
前記底板部のうち、前記換気口よりも屋内側の領域には、前記基礎の屋外側壁面を伝って上昇する雨水を受けるための溝部が設けられている、土台水切。
【請求項2】
前記溝部の形状は、逆U字状または円弧形状であり、
前記溝部の屋内側縁部の位置は、前記基礎の屋外側壁面の位置と略一致している、請求項1に記載の土台水切。
【請求項3】
前記基礎の屋外側角部に配置され、基礎の上面に載置される第1部分と、前記第1部分の屋外側端部から垂直下方に延び、前記基礎の屋外側壁面に当接する第2部分とで形成される被覆部をさらに備え、
前記溝部は、前記被覆部の前記第2部分の上端と連なるように設けられている、請求項1に記載の土台水切。
【請求項4】
前記溝部の深さは8mm以上である、請求項1に記載の土台水切。
【請求項5】
前記溝部の幅は8mm以上である、請求項1に記載の土台水切。
【請求項6】
前記土台水切は、一枚の薄板が折り曲げられて形成されている、請求項1~5のいずれかに記載の土台水切。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土台水切に関し、特に、床下換気工法を採用した建物に適用される土台水切に関する。
【背景技術】
【0002】
床下換気工法を採用した建物(木造住宅など)に適用される土台水切においては、特開2023-7289号公報(特許文献1)に示されるように、外気を床下空間に送り込むための換気口が設けられている。
【0003】
土台水切の換気口から侵入した雨水は、土台の腐朽などにつながる恐れがあるが、土台水切の主たる機能は、外壁面を流れ落ちる雨水を屋外側へ排水することであるため、換気口から通気路(建物の基礎と土台部との間において床下空間に連通する通路)に浸入する雨水に対する配慮はほぼ行われていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、強風雨時において、建物の基礎の屋外側壁面に当たった風雨が壁面を伝う上昇気流が発生する。すると、土台水切の底板部と基礎の屋外側壁面との間の空間(以下「水切下方空間」という)は高圧状態となり、常圧状態である通気路との間に気圧差が発生する。これにより、土台水切の底板部下面に付着した水滴が、土台水切の換気口に引き込まれ通気路に入り込んでしまうという課題があった。
【0006】
また、この気圧差により、土台水切の底板部と基礎上面との間の隙間からも雨水が入り込んでしまうという課題があった。
【0007】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、簡易な構成で、屋内側の空間への雨水の浸入を防止することのできる土台水切を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明のある局面に従う土台水切は、建物の基礎と土台部との間に床下空間に連通する通気路を有する建物に適用される土台水切であって、土台部側から屋外側に延び、外壁の下端部に対面する水切板部と、水切板部の屋外側端部から垂れ下がる前板部と、水切板部の裏面と対面し、前板部と基礎との間の範囲内に換気口が設けられた底板部とを備える。底板部のうち、換気口よりも屋内側の領域には、基礎の屋外側壁面を伝って上昇する雨水を受けるための溝部が設けられている。
【0009】
好ましくは、溝部の形状は、逆U字状または円弧形状であり、溝部の屋内側縁部の位置は、基礎の屋外側壁面の位置と略一致している。
【0010】
好ましくは、基礎の屋外側角部に配置され、基礎の上面に載置される第1部分と、第1部分の屋外側端部から垂直下方に延び、基礎の屋外側壁面に当接する第2部分とで形成される被覆部をさらに備える。溝部は、被覆部の第2部分の上端と連なるように設けられている。
【0011】
好ましくは、溝部の深さは8mm以上である。また、溝部の幅は8mm以上である。
【0012】
土台水切は、一枚の薄板が折り曲げられて形成されていることが望ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、簡易な構成で、通気路への雨水の浸入を防止することができる。このような土台水切は汎用性が高いため、床下換気工法を採用する多くの建物に適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施の形態に係る土台水切の取り付け状態を示す断面図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る土台水切の斜視図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係る土台水切の断面図である。
【
図4】本発明の実施の形態の変形例1に係る土台水切を示す断面図である。
【
図5】本発明の実施の形態の変形例2に係る土台水切を示す断面図である。
【
図6】本発明の実施の形態2に係る土台水切を示す断面図である。
【
図7】本発明の実施の形態2の変形例3に係る土台水切を示す断面図である。
【
図8】一般的な土台水切の換気口を介した雨水の流入経路を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0016】
<一般的な土台水切の構造>
本実施の形態に係る土台水切の説明に先立ち、
図8を参照して、床下換気工法を採用した建物(木造住宅など)に適用される一般的な土台水切の構造について説明する。
図8は、一般的な土台水切100の取り付け状態を示す断面図である。これらの図中において、矢印A1は外壁30の上側を示し、矢印A2は外壁30の屋外側を示している。
【0017】
土台水切100は、外壁30の下方に位置し、土台部22に固定されている。外壁30は、外装面材31と内側面材32との間に通気層33を有している。土台部22は基礎21の上方に位置している。基礎21の上端面21aと土台部22の下端面22aとの間に、床下空間に連通する通気路(隙間)40が設けられている。
【0018】
土台水切100は、土台部22の屋外面に固定される背板部101と、背板部101の下端部から屋外側に延びる水切板部102と、水切板部102の屋外側端部から垂れ下がる前板部103と、前板部103の下端部から屋内側に延び、水切板部102の裏面(下面)に対面する底板部104とにより構成され、底板部104に換気口105が設けられている。土台水切100は、一枚の薄板を折り曲げ加工することによって形成されている。土台水切100は金属製である。
【0019】
背板部101は、外壁30の上下方向に沿って延在し、土台部22の屋外面に面接触した状態で固定されている。図示されるように、背板部101は、下地桟23を介して固定されていてもよい。
【0020】
水切板部102は、外壁30の下端部に対面している。具体的には、水切板部102は、外壁30の外装面材31および通気層33の下方に位置している。水切板部102は、矢印A2方向、すなわち屋外側が下方となるよう緩やかに傾斜している。水切板部102の屋外側端部の位置は、外装面材31の表面の位置よりも屋外側である。
【0021】
前板部103は、通気路40に対面するように、略垂直に配置されている。前板部103は、基礎21の上端高さよりも下方に延びており、その下端部が二重となるよう折り返されている。前板部103の裏面の折返し部103aが基礎21の屋外面21b(以下の説明において「屋外側壁面21b」という)と対面している。
【0022】
底板部104は、前板部103の折返し部103aの上端に連なり、略水平に配置されている。底板部104の屋内側端部は、基礎21の上端面21aに載置されている。底板部104のうち基礎21に載置される部分104’を、「載置部104’」という。取り付け状態において、底板部104の載置部104’と基礎21の上端面21aとの間に、乾式の防水シール材52が設けられている。
【0023】
換気口105は、底板部104を板厚方向に真っすぐ貫通する貫通孔であり、前板部103と基礎21との間の範囲内に設けられている。強風時には、
図8の破線矢印で示すように、基礎21に衝突した空気(矢印F11)は、基礎21の屋外側壁面に沿って上昇気流を発生させる(矢印F12)。これにより、水滴が底板部の下面に付着し、この水滴が換気口105を通過し、土台水切100の内部空間110に取り込まれることがある(矢印F13)。取り込まれた外気は、そのまま通気路40を通り抜けて床下空間へと送られる。内部空間110は、水切板部102、前板部103、および底板部104により三方が取り囲まれた空間である。
【0024】
上述のように、一般的な土台水切100においては、上昇気流によって換気口105のある底板部104に多くの風が吹き込まれるため、水切下方空間が加圧状態となり、常圧状態の通気路40よりも高圧となる。このような圧力差のため、特に雨水を含む風は、換気路105から通気路40を通じて床下空間に送り込まれやすくなる(矢印F13)。また、圧力差のため、雨水は、底板部104と基礎の上面21aとの間の隙間からも侵入する(矢印F14)。このため、土台水切100を適用した建物は、たとえば比較的強い風雨の際、雨水Wが、外気の勢いに伴い、換気口105や防水シール材52を通過して、通気路40に侵入する可能性が高かった。
【0025】
以下の説明において、雨水の侵入を防ぐための構造を備える土台水切について説明する。実施の形態1は、雨水が換気口を介して侵入することを防ぐための基本構成を示し、実施の形態2は、雨水が防水シール材を介して侵入することを防ぐための追加の構成を示す。
【0026】
<本実施の形態1に係る土台水切の構造>
図1~
図3を参照して、本実施の形態に係る土台水切1の構造例について説明する。
図1は、土台水切1の取り付け状態を示す断面図である。
図2は、土台水切1の斜視図であり、
図3は、土台水切1の断面図である。また、
図2中、矢印A3は、外壁30の左右方向(横幅方向)を示している。
【0027】
土台水切1の基本構造は、公知の土台水切100と同様であり、土台部22(下地桟23)の屋外面に固定される背板部11と、背板部11の下端部から屋外側に延びる水切板部12と、水切板部12の屋外側端部から垂れ下がる前板部13と、前板部13の下端部から屋内側に延び、水切板部12の裏面(下面)に対面する底板部14とにより構成され、底板部14に換気口15が設けられている。以下に、公知の土台水切100と異なる部分のみ詳細に説明する。
【0028】
土台水切1において、底板部14のうち、換気口15よりも屋内側の領域(第2領域R2)には、基礎21の屋外側壁面21bを伝って上昇する雨水を受けるための溝部16が設けられている。底板部14は、前板部13と換気口15の屋内側端部との間の領域(第1領域R1)と、換気口15の屋内側端部と基礎の屋外側壁面21との間の領域(第2領域R2)とを有している。
【0029】
本実施の形態の溝部16の形状は、逆U字状である。つまり、溝部16は、開口が下向きとなるよう第2領域R2を逆U字状に折り曲げて形成されている。具体的には、溝部16は、第1領域R1に連続する部分P1が上方に立ち上がる第1側部16aと、第1側部16aの上端部から屋内側に延びる上面部16cと、上面部16cの屋内側端部から下方に延びる第2側部16bとを含む。
【0030】
本実施の形態の溝部16は、屋内側縁部の位置が、基礎の屋外側壁面の位置と略一致している。具体的には、第2側部16bは、基礎21の屋外側壁面21bの上下方向延長線上に沿って延びている。すなわち、溝部の第2側部16bの内面と屋外側壁面21bとは略面一状である。これにより、破線矢印F1方向に吹く風と共に運ばれてきた雨水は、破線矢印F2方向の上昇気流により上方へ運ばれた後、溝部16内に収容される。
【0031】
図2に示すように、換気口15は、底板部14の横幅方向に沿って一定間隔で設けられている。また、溝部16は、矢印A3で示す横幅方向に直線状に設けられている。溝部16に収容された雨水は、溝部16に案内されて横幅方向に広がり、風が弱まる位置で排水される。これにより、住宅の基礎21の屋外側端面に衝突した雨水が換気口15を介して通気路40へ侵入してしまうことを防ぐことができる。
【0032】
図3に示すように、溝部16は、基礎の屋外側壁面21bよりも屋外側であって、第2領域R2内に設けられる。また、溝部16の深さD1は、8mm以上であることが好ましく、10mm以上30mm以下であることがより好ましい。また、溝部の幅Wは、8mm以上であることが好ましく、10mm以上30mm以下であることがより好ましい。これにより、小型でありながらも雨水を確実に受け入れることができ、雨水が換気口15側の領域R1へ伝ってしまうことを防止できる。また、このような構成のため、受け入れた風を確実に横幅方向に送ることができる。
【0033】
なお、溝部の上面16cと水切板部12との間隔D2は、床下空間の換気に必要な開口面積(壁の長さ5mごとに面積300cm以上の開口)を考慮して定められる。
【0034】
本実施の形態の土台水切1は、公知の土台水切100に溝部16を追加するだけの簡単な構成で、屋内側の空間への雨水Wの侵入を防止することができるので、汎用性が高く、床下換気工法を採用する多くの建物に適用することが可能である。また、雨水が通気路40に侵入することを確実に防止することができるため、土台部22の腐朽を防ぐことができる。
【0035】
さらに、本実施の形態の土台水切1も、公知の土台水切100と同様に、一枚の(金属製の)薄板を折り曲げ加工することによって形成されている。したがって、取り扱いが容易であるとともに、製造コストを抑えることができる。なお、土台水切1は一体物であることが望ましいものの、たとえば底板部14は別体であってもよい。
【0036】
<変形例1~2>
本実施の形態では、溝部16は逆U字状であるとしたが、溝部16の形態はこれに限らない。そこで、
図4に示すように、溝部16Aは円弧形状に形成されてもよい。この場合であっても、溝部16Aの屋内側縁部16dは、基礎の屋外側壁面21bの上下方向延長線上に重なるように設けられることが好ましい。溝部16Aは、円弧形状であるため、受け入れた雨水をエネルギーロスを抑えながら横幅方向に流すことができる。
【0037】
また、
図5に示すように、溝部16Bは、第2領域R2内であればよく、溝部の屋内側縁部16dが基礎の屋外側壁面21bよりも屋外側に設けられてもよい。換言すれば、底板部14Bの第2領域R2は、溝部の屋内側縁部16dと基礎の屋外側壁面21bとの間の部分P2を有していてもよい。この場合であっても、基礎21の屋外側端面に衝突した雨水が上昇した後、底板部14の部分P2の下面に沿って移動し、溝部16B内に収容されることとなる。
【0038】
なお、本実施の形態に係る土台水切1は、土台水切1内外に生じる圧力差によって雨水が通気路40内に引き込まれてしまうことを防ぐことができる。本実施の形態に係る土台水切1は、溝部16内が加圧状態となるため、換気口15内外の圧力差を低減することができる。また、通常、この(換気口内外における)圧力差は、土台水切1の大きさが小さいほど大きくなるが、本実施の形態に係る土台水切を採用することで雨水の侵入を防ぐことができる。したがって、本実施の形態に係る土台水切1は、大きさが小さいものほど好適に用いることができる。
【0039】
また、上記事象について、実験を行った。基礎の屋外側壁面と対向するように300mm離隔して設置したブロワと水スプレーを準備して、壁面に向けてブロワを駆動させながら水スプレーを10回噴射した。ブロワの風速は12m/sであり、従来の土台水切100の換気口付近における風速は5.37m/sであったのに対し、本実施の形態に係る土台水切1の換気口付近における風速は4.68m/sであった。すなわち、土台水切1は、溝部16を設けることで換気口15付近における風速を約2割低下させることができた。また、底板部14のうち、第1領域R1の下面に付着した水分量は、従来の土台水切100は0.18mgであったのに対し、土台水切1は0.10mgであり、溝部16は、底板部14の第1領域R1に付着する水分量を低下させる効果を有することがわかった。
【0040】
また、上記条件のもと、基礎にブロワからの風が衝突した位置から横幅方向に300mm離隔した位置におけるブロワからの風の風速を測定した。土台水切1の底板部14上の風速は、下面上において1.60m/sであったのに対し、溝部16内部において2.85m/sであった。すなわち、ブロワからの風は、溝部16が受け入れて横幅方向に流していることがわかった。
【0041】
<実施の形態2>
次に、
図6を参照して、本実施の形態2に係る土台水切1Cについて説明する。土台水切1Cは、基礎21の屋外側角部に配置され、基礎の上面に載置される第1部分17aと、第1部分17aの屋外側端部から垂直下方に延び、基礎21の屋外側壁面に当接する第2部分17bとで形成される被覆部17をさらに備える。第1部分17aは、底板部の載置部14C’であり、第1部分17aと基礎の上面21aとの間には防水シール材52を介在させることができる。これにより、
図8において矢印F14で示すような雨水の侵入経路を断つことができる。
【0042】
溝部16Cは、被覆部17の第2部分17bの上端と連なるように設けられている。たとえば、溝部16Cの第2側部16bは、被覆部17の第2部分17bとの間に段差なく形成されている。
【0043】
被覆部17は、防水シール材52を上方および側方から覆うように配置される。これにより、圧力差によって基礎21と載置部14D’との間の隙間に雨水が侵入したり、防水シール材52の許容量を超える雨水が侵入してしまうことを防止することができる。本実施の形態では、第2部分17bは、溝部16Cの第2側部16bから連続して下方に垂れ下がり、その下端で折り返されて形成される。
【0044】
<変形例>
図7は、本実施の形態2の変形例に相当する土台水切1Dである。土台水切1Dは、溝部16Dの上面16cと底板部14Dの載置部14D’とが略同一平面に位置するように形成される。また、貫通孔15Dは、第2領域R2および底板部14Dの載置部14D’よりも下方位置に設けられる。これにより、土台水切1Dの内部空間10が小さくならないため、床下空間の換気に必要な開口面積(壁の長さ5mごとに面積300cm以上の開口)を確保しやすく、土台水切1Dを小型化することができる。
【0045】
なお、今回開示された複数の実施例および変形例は、必要に応じて、互いに組み合わせて適用することができる。
【0046】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0047】
1,100 土台水切、11 背板部、12,102 水切板部、13,103 前板部、14,104 底板部、15,105 換気口、16 溝部、17 被覆部、21 基礎、22 土台部、30 外壁、40 通気路、52 防水シール材、W 雨水。