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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178024
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】背負式機器および背負子
(51)【国際特許分類】
   A45F 3/08 20060101AFI20241217BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20241217BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20241217BHJP
【FI】
A45F3/08
H02J7/00 301
H02J7/02 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096508
(22)【出願日】2023-06-12
(71)【出願人】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】秦 達也
(72)【発明者】
【氏名】高橋 聡
【テーマコード(参考)】
2E181
5G503
【Fターム(参考)】
2E181BD01
2E181BD02
2E181BD04
5G503BA02
5G503BB02
5G503EA05
5G503FA01
(57)【要約】
【課題】載置面に載置させた時に倒れにくい背負式機器を実現することが可能な技術を提供する。
【解決手段】背負式機器は、ユーザが装着する背負子と、背負子に取り付けられる機器と、を備える。背負子は、ユーザが両肩にかける一対の肩ベルトを含むとともに、機器が取り付けられる背負子本体と、背負子本体に回転不能に取り付けられるスタンド部材と、を備える。スタンド部材は、背負子本体に連結される上側連結部と、上側連結部よりも下方において、背負子本体に連結される下側連結部と、背負子本体から見て後方左方に配置される左側脚部と、背負子本体から見て後方右方に配置される右側脚部と、を備える。背負式機器は、背負子本体の下部と、左側脚部と、右側脚部と、を載置面に当接させることにより、載置面に載置可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが装着する背負子と、
前記背負子に取り付けられる機器と、を備えており、
前記背負子は、
前記ユーザが両肩にかける一対の肩ベルトを含むとともに、前記機器が取り付けられる背負子本体と、
前記背負子本体に回転不能に取り付けられるスタンド部材と、を備えており、
前記スタンド部材は、
前記背負子本体に連結される上側連結部と、
前記上側連結部よりも下方において、前記背負子本体に連結される下側連結部と、
前記背負子本体から見て後方左方に配置される左側脚部と、
前記背負子本体から見て後方右方に配置される右側脚部と、を備えており、
前記背負子本体の下部と、前記左側脚部と、前記右側脚部と、を載置面に当接させることにより、前記載置面に載置可能である、背負式機器。
【請求項2】
前記スタンド部材は、
棒形状を有しており、前記左側脚部と前記上側連結部の間に延びる第1延在部と、
棒形状を有しており、前記左側脚部と前記下側連結部の間に延びる第2延在部と、
棒形状を有しており、前記右側脚部と前記上側連結部の間に延びる第3延在部と、
棒形状を有しており、前記右側脚部と前記下側連結部の間に延びる第4延在部と、をさらに備える、請求項1の背負式機器。
【請求項3】
上方から見た時、前記第1延在部は、前記第2延在部よりも左方にオフセットされており、
上方から見た時、前記第3延在部は、前記第4延在部よりも右方にオフセットされている、請求項2の背負式機器。
【請求項4】
前記スタンド部材は、
U字状に屈曲した棒形状を有しており、前記第1延在部と前記第2延在部の間を接続する左側屈曲部と、
U字状に屈曲した棒形状を有しており、前記第3延在部と前記第4延在部の間を接続する右側屈曲部と、をさらに備えており、
前記左側脚部は、前記左側屈曲部の下面に形成され、
前記右側脚部は、前記右側屈曲部の下面に形成される、請求項2または3の背負式機器。
【請求項5】
前記背負子本体は、前記スタンド部材の前記下側連結部を前記背負子本体に連結するための連結部材を備えており、
前記連結部材は、前記背負式機器が前記載置面に載置された時に前記載置面に当接する当接面を備える、請求項1から4の何れか一項の背負式機器。
【請求項6】
前記スタンド部材は、1本の棒状部材を折り曲げて形成される、請求項1から5の何れか一項の背負式機器。
【請求項7】
前記棒状部材は、中空パイプである、請求項6の背負式機器。
【請求項8】
前記機器は、再充電可能な複数の二次電池セルを含む電源装置である、請求項1から7の何れか一項の背負式機器。
【請求項9】
左方から見た時、前記上側連結部と前記下側連結部を結ぶ直線と、前記下側連結部と前記左側脚部を結ぶ直線と、が成す角度は90度以上であり、
右方から見た時、前記上側連結部と前記下側連結部を結ぶ直線と、前記下側連結部と前記右側脚部を結ぶ直線と、が成す角度は90度以上である、請求項1から8の何れか一項の背負式機器。
【請求項10】
運搬物を運搬するためにユーザが装着する背負子であって、
前記ユーザが両肩にかける一対の肩ベルトを含むとともに、前記運搬物が着脱可能に取り付けられる背負子本体と、
前記背負子本体に回転不能に取り付けられるスタンド部材と、を備えており、
前記スタンド部材は、
前記背負子本体に連結される上側連結部と、
前記上側連結部よりも下方において、前記背負子本体に連結される下側連結部と、
前記背負子本体から見て後方左方に配置される左側脚部と、
前記背負子本体から見て後方右方に配置される右側脚部と、を備えており、
前記運搬物が前記背負子本体に取り付けられた状態で、前記背負子本体の下部と、前記左側脚部と、前記右側脚部と、を載置面に当接させることにより、前記載置面に載置可能である、背負子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、背負式機器および背負子に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ユーザが装着する背負子と、前記背負子に取り付けられる機器と、を備える背負式機器が開示される。前記背負子は、前記ユーザが両肩にかける一対の肩ベルトを含むとともに、前記機器が取り付けられる背負子本体と、前記背負子本体に回転可能に取り付けられるスタンド部材と、を備える。前記スタンド部材は、前記背負子本体に連結される連結部と、前記背負子本体から見て左方に配置される左側脚部と、前記背負子本体から見て右方に配置される右側脚部と、を備える。前記背負式機器は、前記背負子本体の下部と、前記左側脚部と、前記右側脚部と、を載置面に当接させることにより、前記載置面に載置可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】中国特許出願公開第217114657号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の背負式機器では、背負子本体に対してスタンド部材が回転可能となっているので、背負子本体に対するスタンド部材の姿勢が安定しない。このため、背負式機器が載置面に載置されている時、背負式機器へのわずかな衝撃や振動によって、スタンド部材の姿勢が変化してしまう。従って、背負式機器を載置面に載置させている時に、背負式機器が簡単に倒れてしまうおそれがある。本明細書では、載置面に載置させた時に倒れにくい背負式機器を実現することが可能な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書が開示する背負式機器は、ユーザが装着する背負子と、前記背負子に取り付けられる機器と、を備える。前記背負子は、前記ユーザが両肩にかける一対の肩ベルトを含むとともに、前記機器が取り付けられる背負子本体と、前記背負子本体に回転不能に取り付けられるスタンド部材と、を備える。前記スタンド部材は、前記背負子本体に連結される上側連結部と、前記上側連結部よりも下方において、前記背負子本体に連結される下側連結部と、前記背負子本体から見て後方左方に配置される左側脚部と、前記背負子本体から見て後方右方に配置される右側脚部と、を備える。前記背負式機器は、前記背負子本体の下部と、前記左側脚部と、前記右側脚部と、を載置面に当接させることにより、前記載置面に載置可能である。
【0006】
本明細書が開示する背負子は、運搬物を運搬するためにユーザが装着する。前記背負子は、前記ユーザが両肩にかける一対の肩ベルトを含むとともに、前記運搬物が着脱可能に取り付けられる背負子本体と、前記背負子本体に回転不能に取り付けられるスタンド部材と、を備える。前記スタンド部材は、前記背負子本体に連結される上側連結部と、前記上側連結部よりも下方において、前記背負子本体に連結される下側連結部と、前記背負子本体から見て後方左方に配置される左側脚部と、前記背負子本体から見て後方右方に配置される右側脚部と、を備える。前記背負子は、前記運搬物が前記背負子本体に取り付けられた状態で、前記背負子本体の下部と、前記左側脚部と、前記右側脚部と、を載置面に当接させることにより、前記載置面に載置可能である。
【0007】
上記の構成によれば、背負子本体に対してスタンド部材が回転不能となっている。また、スタンド部材が、少なくとも上下2箇所において背負子本体に連結される。これらにより、背負子本体に対するスタンド部材の姿勢が比較的安定する。このため、背負式機器(または背負子)が載置面に載置されている時に背負式機器(または背負子)が衝撃や振動を受けたとしても、スタンド部材の姿勢は簡単には変化しない。従って、上記の構成によれば、載置面に載置させた時に倒れにくい背負式機器(または背負子)を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例に係る背負式機器2を前方上方左方から見た図である。
図2】実施例に係る背負式機器2の電源装置6を前方下方右方から見た図である。
図3】実施例に係る背負式機器2の背板12を後方上方右方から見た図である。
図4】実施例に係る背負式機器2の背負子本体8の上部を後方上方右方から見た図である。
図5】実施例に係る背負式機器2の背板12を前方上方左方から見た図である。
図6】実施例に係る背負式機器2のロック機構68の近傍の構造を示す断面図である。
図7】実施例に係る背負式機器2の背負子本体8の下部およびスタンド部材10を右方から見た図である。
図8】実施例に係る背負式機器2の接続機構20の近傍の構造を示す断面図である。
図9】実施例に係る背負式機器2の接続機構20の近傍の構造を示す分解図である。
図10】実施例に係る背負式機器2の弾性部材84を前方から見た図である。
図11】実施例に係る背負式機器2の、腰ベルト18に取り付けられた状態の弾性部材84を示す図である。
図12】実施例に係る背負式機器2のスタンド部材10を後方上方右方から見た図である。
図13】実施例に係る背負式機器2のスタンド部材10の近傍の構造を示す分解図である。
図14】実施例に係る背負式機器2の背負子本体8の下部およびスタンド部材10を左方から見た図である。
図15】実施例に係る背負式機器2のスタンド部材10を上方から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の代表的かつ非限定的な具体例について、図面を参照して以下に詳細に説明する。この詳細な説明は、本発明の好ましい例を実施するための詳細を当業者に示すことを単純に意図しており、本発明の範囲を限定することを意図したものではない。また、開示された追加的な特徴ならびに発明は、さらに改善された背負式機器および背負子を提供するために、他の特徴や発明とは別に、又は共に用いることができる。
【0010】
また、以下の詳細な説明で開示される特徴や工程の組み合わせは、最も広い意味において本発明を実施する際に必須のものではなく、特に本発明の代表的な具体例を説明するためにのみ記載されるものである。さらに、以下の代表的な具体例の様々な特徴、ならびに、特許請求の範囲に記載されるものの様々な特徴は、本発明の追加的かつ有用な実施形態を提供するにあたって、ここに記載される具体例のとおりに、あるいは列挙された順番のとおりに組合せなければならないものではない。
【0011】
本明細書及び/又は特許請求の範囲に記載された全ての特徴は、実施例及び/又は特許請求の範囲に記載された特徴の構成とは別に、出願当初の開示ならびに特許請求の範囲に記載された特定事項に対する限定として、個別に、かつ互いに独立して開示されることを意図するものである。さらに、全ての数値範囲及びグループ又は集団に関する記載は、出願当初の開示ならびに特許請求の範囲に記載された特定事項に対する限定として、それらの中間の構成を開示する意図を持ってなされている。
【0012】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記スタンド部材は、棒形状を有しており、前記左側脚部と前記上側連結部の間に延びる第1延在部と、棒形状を有しており、前記左側脚部と前記下側連結部の間に延びる第2延在部と、棒形状を有しており、前記右側脚部と前記上側連結部の間に延びる第3延在部と、棒形状を有しており、前記右側脚部と前記下側連結部の間に延びる第4延在部と、をさらに備えてもよい。
【0013】
背負式機器が載置面に載置されている時、スタンド部材は、載置面と背負子本体の各々から力を受ける。この時、スタンド部材の形状によっては、スタンド部材において局所的に大きな応力が生じることがある。上記の構成によれば、スタンド部材が載置面と背負子本体の各々から受ける力が、第1延在部と、第2延在部と、第3延在部と、第4延在部の各々にバランス良く分散される。これにより、スタンド部材において局所的に大きな応力が生じることを抑制できる。
【0014】
1つまたはそれ以上の実施形態において、上方から見た時、前記第1延在部は、前記第2延在部よりも左方にオフセットされていてもよい。上方から見た時、前記第3延在部は、前記第4延在部よりも右方にオフセットされていてもよい。
【0015】
上記の構成によれば、スタンド部材の見た目上の堅牢さを向上させることができる。
【0016】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記スタンド部材は、U字状に屈曲した棒形状を有しており、前記第1延在部と前記第2延在部の間を接続する左側屈曲部と、U字状に屈曲した棒形状を有しており、前記第3延在部と前記第4延在部の間を接続する右側屈曲部と、をさらに備えてもよい。前記左側脚部は、前記左側屈曲部の下面に形成されてもよい。前記右側脚部は、前記右側屈曲部の下面に形成されてもよい。
【0017】
仮に、左側屈曲部(または、右側屈曲部)がV字状に屈曲した棒形状を有している場合、左側脚部(または、右側脚部)が比較的尖った形状となる。このため、背負式機器を載置面に載置させている時、背負式機器へのわずかな衝撃や振動によって、載置面に対するスタンド部材のバランスが崩れてしまう。その結果、背負式機器を載置面に載置させている時に、背負式機器が簡単に倒れてしまうおそれがある。上記の構成によれば、左側屈曲部(および、右側屈曲部)がU字状に屈曲した棒形状を有しているので、左側脚部(または、右側脚部)が比較的丸みを帯びた形状となる。これにより、背負式機器が載置面に載置されている時に背負式機器が衝撃や振動を受けたとしても、載置面に対するスタンド部材のバランスは簡単には崩れない。従って、上記の構成によれば、より倒れにくい背負式機器を実現することができる。
【0018】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記背負子本体は、前記スタンド部材の前記下側連結部を前記背負子本体に連結するための連結部材を備えてもよい。前記連結部材は、前記背負式機器が前記載置面に載置された時に前記載置面に当接する当接面を備えてもよい。
【0019】
上記の構成によれば、連結部材が、背負式機器が載置面に載置された時に載置面に当接する。このため、背負式機器が載置面に載置された時に載置面に当接する部材を、連結部材とは別個に設ける必要がない。これにより、背負式機器の部品点数を削減することができる。
【0020】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記スタンド部材は、1本の棒状部材を折り曲げて形成されてもよい。
【0021】
例えば、複数の棒状部材を溶接等によって互いに接続して、スタンド部材を形成することもできる。しかしながら、この場合、スタンド部材を形成するために手間が掛かる。上記の構成によれば、スタンド部材は、1本の棒状部材を折り曲げて形成される。このため、スタンド部材を形成するための手間を比較的軽減することができる。
【0022】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記棒状部材は、中空パイプであってもよい。
【0023】
上記の構成では、棒状部材に中空パイプが用いられるので、棒状部材に中実材を用いる場合と比較して、スタンド部材を軽量化することができる。
【0024】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記機器は、再充電可能な複数の二次電池セルを含む電源装置であってもよい。
【0025】
上記の構成によれば、ユーザは、電源装置を背負って様々な場所へ持ち運ぶことができる。これにより、ユーザは、商用電源への接続が不可能な場所であっても、電源装置を持ち込んで、電源装置から電子機器への電力供給を行うことで、当該電子機器を使用することができる。
【0026】
1つまたはそれ以上の実施形態において、左方から見た時、前記上側連結部と前記下側連結部を結ぶ直線と、前記下側連結部と前記左側脚部を結ぶ直線と、が成す角度は90度以上であってもよい。右方から見た時、前記上側連結部と前記下側連結部を結ぶ直線と、前記下側連結部と前記右側脚部を結ぶ直線と、が成す角度は90度以上であってもよい。
【0027】
上側連結部が下側連結部よりも後方にオフセットされていると、機器の重量・形状によっては、載置面に載置された時の背負式機器の重心が後方に寄りすぎる場合がある。この場合、背負式機器がわずかにでも後方に傾くと、背負式機器が倒れることがある。上記の構成によれば、上側連結部が、下側連結部よりも前方にオフセットされるので、載置面に載置された時の背負式機器の重心が比較的前方に寄る。これにより、載置面に載置された時の背負式機器の重心が後方に寄りすぎることを抑制できる。従って、より倒れにくい背負式機器を実現できる。
【0028】
(実施例)
図1に示す背負式機器2は、ユーザが装着する背負子4と、背負子4に着脱可能に取り付けられる電源装置6を備える。背負式機器2は、ユーザが背負った状態で使用可能であり、各種の電子機器に電力を供給可能である。背負子4は、背負子本体8とスタンド部材10を備える。背負子本体8は、電源装置6が着脱可能に取り付けられる背板12と、ユーザが左肩にかける左肩ベルト14と、ユーザが右肩にかける右肩ベルト16と、ユーザが腰に巻き付ける腰ベルト18と、背板12と腰ベルト18の間を接続する接続機構20と、を備える。なお、本明細書では、ユーザが背負式機器2を背負って直立した時の、ユーザから見た前後方向、左右方向および上下方向を、背負式機器2の前後方向、左右方向および上下方向と定める。
【0029】
図2に示すように、電源装置6は、略直方体形状を有している。電源装置6は、ハウジング22と、ハンドル24(図1参照)と、電源スイッチ26と、表示用LED28と、充電コネクタ30と、電源ケーブル32(一部図示せず)と、を備える。図示しないが、ハウジング22の内部には、再充電可能な複数の二次電池セル(例えば、リチウムイオン電池セル)が収容されている。ハンドル24は、ハウジング22の上部に取り付けられている。ユーザは、背負子4から取り外された状態の電源装置6を、ハンドル24を把持して持ち運ぶことができる。電源スイッチ26は、ハウジング22の右側面に配置されている。ユーザは、電源スイッチ26を操作することにより、電源装置6の主電源のオン/オフを切り替えることができる。表示用LED28は、ハウジング22の右側面において、電源スイッチ26の上部に配置されている。表示用LED28は、電源装置6の電池残量等を表示することができる。充電コネクタ30は、ハウジング22の右側面において、電源スイッチ26の下部に配置されている。ユーザは、外部電源に接続された充電プラグ(図示せず)を充電コネクタ30に挿し込むことにより、外部電源から供給される電力を用いて複数の二次電池セルを充電することができる。電源ケーブル32は、ハウジング22の下側面から下方に延びている。ユーザは、電源ケーブル32の先端に設けられた給電プラグ(図示せず)を各種の電子機器に接続することで、複数の二次電池セルに充電された電力を用いて当該電子機器を動作させることができる。図1に示すように、背負子4には、電源ケーブル32を保持することが可能な複数のケーブルホルダ34が設けられる。ユーザは、電源ケーブル32を複数のケーブルホルダ34に保持させることで、電源ケーブル32を背負子4に這わせることができる。
【0030】
図3に示すように、背板12は、背板本体36と、ベルト取付板38と、スライド板40と、上側係合部材42と、下側係合部材44を備える。背板本体36には、プラスチック材料(例えば、ポリアミド)が用いられる。ベルト取付板38には、プラスチック材料(例えば、ポリエチレン)が用いられる。スライド板40には、金属材料(例えば、アルミニウム合金)が用いられる。上側係合部材42には、金属材料(例えば、アルミニウム合金)が用いられる。下側係合部材44には、金属材料(例えば、アルミニウム合金)が用いられる。
【0031】
図2に示すように、電源装置6のハウジング22の上部には、ユーザが操作可能なラッチ46が設けられている。また、ハウジング22の前方下部には、下方に向けて突出した左側係合爪48と右側係合爪50が設けられている。図3に示すように、上側係合部材42は、電源装置6のラッチ46(図2参照)に対応したラッチ受け52を備える。上側係合部材42は、背板本体36の上部に固定されている。また、下側係合部材44は、電源装置6の左側係合爪48(図2参照)と右側係合爪50(図2参照)に対応した左側受け止め部54と右側受け止め部56を備える。下側係合部材44は、背板本体36の下部に固定されている。ユーザは、左側係合爪48および右側係合爪50を左側受け止め部54および右側受け止め部56に受け止めさせて、かつラッチ46をラッチ受け52に係合させることによって、電源装置6を背板本体36に取り付けることができる。電源装置6が背板本体36に取り付けられた状態では、ユーザは、ラッチ46を操作することにより、ラッチ46とラッチ受け52の間の係合を解除することができる。ユーザは、ラッチ46とラッチ受け52の間の係合を解除した状態で、背板本体36に対して電源装置6を後方上方に移動させることにより、左側係合爪48および右側係合爪50を左側受け止め部54および右側受け止め部56から抜き出して、電源装置6を背板本体36から取り外すことができる。
【0032】
ベルト取付板38は、背板本体36の前面に固定されている。ベルト取付板38には、取付孔58a、58b、58c、58dが形成されている。図4に示すように、左肩ベルト14の後部には、取付孔58a、58b(図3参照)に対応する位置に、取付バックル60a、60bが設けられている。また、右肩ベルト16の後部には、取付孔58c、58d(図3参照)に対応する位置に、取付バックル60c、60dが設けられている。ユーザは、取付バックル60a、60b、60c、60dを取付孔58a、58b、58c、58dに取り付けることによって、左肩ベルト14および右肩ベルト16をベルト取付板38に取り付けることができる。また、ユーザは、取付バックル60a、60b、60c、60dを取付孔58a、58b、58c、58dから取り外すことによって、左肩ベルト14および右肩ベルト16をベルト取付板38から取り外すことができる。
【0033】
図3図5に示すように、背板本体36には、スライド板40を上下方向に沿ってスライド可能に受け入れるスリーブ部62が設けられている。スリーブ部62は、下方に開口部64を有している。スライド板40は、開口部64を介してスリーブ部62に挿入されている。スリーブ部62の前壁および後壁には、スリーブ部62に受け入れられたスライド板40を背板本体36の外部から視認可能にする複数の窓孔66が形成されている。
【0034】
図5図6に示すように、背板12は、背板本体36に対してスライド板40をロックするためのロック機構68をさらに備える。ロック機構68は、ロック部材70と、シャフト72と、コイルバネ74を備える。ロック部材70は、シャフト72を介して、背板12に対して揺動可能に支持される。コイルバネ74は、シャフト72よりも上側の部分において、背板本体36に対してロック部材70を前方に付勢している。これにより、ロック部材70には、シャフト72を中心としてロック部材70を右方から見て時計回りに回転させるようなモーメントが作用する。また、ロック部材70は、ロック部材70の後面から後方に突出した突出部76を備える。突出部76は、シャフト72よりも下側の部分に形成されているので、ロック部材70に作用するモーメントによって後方に付勢される。スリーブ部62の後壁には、突出部76と対応する位置に形成された貫通孔78が形成されている。また、スライド板40には、上下方向に沿って所定の距離間隔で配置される複数の係合孔80が形成されている。通常、ロック部材70の突出部76は、スライド板40の複数の係合孔80のうちいずれか一つを通過した状態で、スリーブ部62の貫通孔78に入り込んでいる。これにより、スライド板40は、背板本体36に対してロックされている。
【0035】
ロック部材70は、ユーザが操作可能な操作部82を備える。操作部82は、シャフト72よりも上側の部分において、ロック部材70の前面に形成されている。ユーザがコイルバネ74の付勢力に抗して操作部82を押し込むと、ロック部材70の突出部76がスライド板40の係合孔80およびスリーブ部62の貫通孔78から抜け出て、背板本体36に対するスライド板40のロックが解除される。背板本体36に対するスライド板40のロックが解除された状態では、ユーザは、背板本体36に対してスライド板40をスライドさせることができる。これにより、ユーザは、突出部76および貫通孔78に位置合わせする係合孔80を適宜変更することができる。その後、ユーザが操作部82への押し込みを解除して、突出部76をスライド板40の係合孔80に通過させると、再度、スライド板40が背板本体36に対してロックされる。ユーザは、上記の一連の操作によって、背板本体36に対するスライド板40のロック位置を、上下方向において適宜変更することができる。腰ベルト18(図1参照)はスライド板40に取り付けられるため、ユーザは、背板本体36に対するスライド板40のロック位置を変更することで、背板本体36に対する腰ベルト18の位置を調節することができる。
【0036】
(接続機構20に係る特徴)
図7に示すように、接続機構20は、スライド板40と腰ベルト18の間に設けられる弾性部材84を備える。背板12と腰ベルト18の一方から接続機構20に加わる力は、弾性部材84を介して、背板12と腰ベルト18の他方に伝達される。弾性部材84には、樹脂材料(例えば、ポリエチレン)が用いられる。
【0037】
図8に示すように、弾性部材84は、ボルト86とナット88によってスライド板40の前面に締結される締結部90と、腰ベルト18の後面に設けられたポケット92に収容されるプレート部94と、プレート部94と締結部90の間を接続する接続部96と、を備える。プレート部94は、上下左右方向に広がっている。接続部96の前面96aは、プレート部94の上端において、プレート部94の前面に滑らかに接続されている。接続部96の前面96aは、プレート部94の上端から離れるにつれて、プレート部94の前面を仮想的に延長した仮想平面Vから離れるように湾曲した湾曲面98を含む。接続部96の後面は、プレート部94の上端において、プレート部94の後面に接続されている。プレート部94の後面は、上方に向かうにつれて後方に向かうように屈曲している。また、接続部96は、前面96aを前方から後方に向けて陥凹させて形成される凹部100を備える。締結部90は、凹部100の底部に設けられている。締結部90は、凹部100の底部を前後方向に貫通させて形成されるブッシュ取付孔102と、ブッシュ取付孔102の周りを囲う環状部104と、環状部104の前面に設けられた取付溝106と、を備える。ブッシュ取付孔102には、リングブッシュ108が取り付けられる。取付溝106には、Oリング110が取り付けられる。また、ボルト86には、ワッシャ112、114が取り付けられる。ワッシャ112は、ボルト86の頭部と環状部104の間に配置される。ワッシャ114は、スライド板40とナット88の間に配置される。ボルト86の雄ネジ部は、ワッシャ112と、リングブッシュ108と、スライド板40に形成された貫通孔116と、ワッシャ114と、を通過した状態で、ナット88に形成された雌ネジ部に螺合される。ボルト86とナット88は、ワッシャ112、114を介して、スライド板40と締結部90の環状部104を前後方向に締め付けている。Oリング110は、ワッシャ112と環状部104の間で押圧されている。
【0038】
図9に示すように、弾性部材84は、スライド板40の前面に当接する当接面118と、当接面118よりも後方に突出したガイド突起120a、120bと、をさらに備える。ガイド突起120a、120bは、それぞれ、スライド板40に形成されたガイド孔122a、122bに入り込む。ガイド突起120a、120bがガイド孔122a、122bに入り込んだ状態では、弾性部材84がスライド板40に対して上下左右方向に移動することが禁止される。また、接続部96は、接続部96の後面から後方に向けて突出した複数のリブ124を備える。また、接続部96は、当接面118(およびガイド突起120a、120bの前面)を後方から前方に向けて陥凹させて形成される複数の肉抜き凹部126を備える。
【0039】
図10に示すように、前方から見た時、プレート部94は、長手方向が左右方向に沿っており、短手方向が上下方向に沿った、略矩形形状を有している。接続部96の下端は、プレート部94の上端のうち一部に接続している。図10では、便宜上、プレート部94と接続部96の境界Bを点線によって図示している。境界Bは、プレート部94の上端ともいえるし、接続部96の下端ともいえる。また、接続部96は、略一定の左右幅で上下方向に延びる定幅部128と、定幅部128の上端に接続され、上方に向かうにつれて左右幅が縮小する縮幅部130を備える。前方から見た時、定幅部128は、長手方向が左右方向に沿っており、短手方向が上下方向に沿った、略矩形形状を有している。前方から見た時、縮幅部130は、上端が頂点となるような略三角形形状を有している。接続部96の左右幅は、プレート部94の上端から離れるにつれて単調減少している。
【0040】
図11に示すように、ポケット92は、プレート部94(図10参照)の全体を覆った状態で、縫い付け線Sに沿って腰ベルト18に縫い付けられる。縫い付け線Sは、プレート部94の上端のうち境界Bを除いた部分と、プレート部94の左端と、プレート部94の右端と、プレート部94の下端と、を囲うように規定されている。このため、ポケット92は、プレート部94を腰ベルト18に押さえ付けるとともに、プレート部94が腰ベルト18に対して前後上下左右方向に移動することを禁止している。これにより、プレート部94は、腰ベルト18に対する姿勢が変化しないように腰ベルト18に取り付けられる。
【0041】
図1に示す弾性部材84の接続部96は、背板12(背板本体36、ベルト取付板38、スライド板40、上側係合部材42、および下側係合部材44)と比べて曲げ剛性が小さくなっている。このため、背負式機器2を装着したユーザが直立姿勢とは異なる姿勢(例えば、前屈姿勢、後屈姿勢、身体をねじった姿勢)をとる場合、弾性部材84の接続部96が変形して、背板12と腰ベルト18のそれぞれがユーザの姿勢の変化に追従して移動する。なお、ここでいう曲げ剛性とは、例えば、左右方向に沿った軸周りの曲げに対する曲げ剛性を意味する。
【0042】
図7に示すように、スライド板40は、上下方向に延びる本体部分132と、本体部分132の下端から後方下方に向けて延びる傾斜部分134と、傾斜部分134の下端から下方に向けて延びるオフセット部分136と、を含む。本体部分132は、スリーブ部62(図3参照)に挿入されるとともに、締結部90(図8参照)が締結される部分である。傾斜部分134は、前後方向において、弾性部材84のプレート部94(図8参照)に対向する位置にある。傾斜部分134は、上方から下方に向かうにつれて、プレート部94から離れるように傾斜している。傾斜部分134には、スライド板40の軽量化を目的とした複数の肉抜き孔138(図3参照)が形成されている。オフセット部分136は、本体部分132の後面よりも後方にオフセットされた位置で、本体部分132と略平行に延びている。側方から見た時、スライド板40は、締結部90の下端よりも下方の箇所において、後側に反った形状を有している。このため、仮に腰ベルト18が図7に示す位置から後方に移動したとしても、腰ベルト18がスライド板40に当たりにくい構成となっている。
【0043】
(スタンド部材10に係る特徴)
図12に示すように、スタンド部材10は、1本の中空パイプを折り曲げて形成されている。スタンド部材10には、金属材料(例えば、アルミニウム合金)が用いられている。スタンド部材10は、中空パイプの一端から左方に延びる第1上側連結部140Lと、第1上側連結部140Lの左端に接続され、第1上側連結部140Lの左端から離れるにつれて後方下方左方に向かうように湾曲した湾曲部142Lと、湾曲部142Lの下端に接続され、湾曲部142Lの下端が向く方向(後方下方左方)に略直線的に延びる直進部144Lと、直進部144Lの下端に接続され、直進部144Lの下端から離れるにつれて後方下方に向かうように湾曲した湾曲部146Lと、湾曲部146Lの下端に接続され、湾曲部146Lの下端から右方に離れるにつれて前方上方に向かうようにU字状に屈曲した左側屈曲部148Lと、左側屈曲部148Lの右端に接続され、左側屈曲部148Lの右端が向く方向(前方上方)に略直線的に延びる直進部150Lと、直進部150Lの前端に接続され、直進部150Lの前端から離れるにつれて右方に向かうように湾曲した湾曲部152Lと、湾曲部152Lの右端に接続され、左右方向に延びる下側連結部154と、下側連結部154の右端に接続され、下側連結部154の右端から離れるにつれて後方下方に向かうように湾曲した湾曲部152Rと、湾曲部152Rの後端に接続され、湾曲部152Rの後端が向く方向(後方下方)に略直線的に延びる直進部150Rと、直進部150Rの後端から右方に離れるにつれて前方上方に向かうようにU字状に屈曲した右側屈曲部148Rと、右側屈曲部148Rの右端に接続され、右側屈曲部148Rの右端から離れるにつれて前方上方左方に向かうように湾曲した湾曲部146Rと、湾曲部146Rの前端に接続され、湾曲部146Rの前端が向く方向(前方上方左方)に略直線的に延びる直進部144Rと、直進部144Rの上端に接続され、直進部144Rの上端から離れるにつれて左方に向かうように湾曲した湾曲部142Rと、湾曲部142Rの左端に接続され、左右方向に延びて中空パイプの他端に至る第2上側連結部140Rと、を備える。スタンド部材10の左側部分140L、142L、144L、146L、148L、150L、152Lと、スタンド部材10の右側部分140R、142R、144R、146R、148R、150R、152Rは、前後上下方向に広がる平面に関して互いに鏡面対象となっている。
【0044】
なお、本実施例では、第1上側連結部140Lおよび第2上側連結部140Rを総称して「上側連結部140L、140R」とも呼び、湾曲部142L、直進部144L、および湾曲部146Lを総称して「第1延在部156」とも呼び、直進部150Lおよび湾曲部152Lを総称して「第2延在部158」とも呼び、湾曲部142R、直進部144R、および湾曲部146Rを総称して「第3延在部160」とも呼び、直進部150Rおよび湾曲部152Rを総称して「第4延在部162」とも呼ぶ。
【0045】
図13に示すように、スタンド部材10は、上側連結部材164と下側連結部材166を介して、スライド板40に回転不能に取り付けられる。
【0046】
上側連結部材164は、支持部168L、168Rとネジ穴部170a、170b、170cを備える。支持部168L、168Rは、上側連結部材164の左右方向の端部から延びるとともに前方に開放された溝部172L、172Rと、溝部172L、172Rの底面から前方に向けて突出する位置決めピン174L、174Rを備える。溝部172L、172Rは、スタンド部材10の上側連結部140L、140Rを受け入れる。溝部172L、172Rの底面は、上側連結部140L、140Rの外周面に対応した半円筒面となっている。また、位置決めピン174L、174Rは、上側連結部140L、140Rに形成された位置決め孔176L、176R(図12参照)に入り込む。位置決めピン174L、174Rが位置決め孔176L、176Rに入り込んだ状態では、上側連結部140L、140Rが溝部172L、172Rの延在方向(左右方向)に移動することが禁止される。また、スライド板40の本体部分132には、ネジ穴部170a、170b、170cに位置合わせされた貫通孔178a、178b、178cが形成されている。上側連結部材164は、ネジ180a、180b、180cを貫通孔178a、178b、178cに通過させた状態でネジ穴部170a、170b、170cに螺合させることにより、スライド板40に固定される。上側連結部材164がスライド板40に固定された状態では、上側連結部140L、140Rが上側連結部材164とスライド板40の間に挟み込まれる。これにより、上側連結部140L、140Rがスライド板40に連結される。
【0047】
下側連結部材166は、支持部182とネジ穴部184a、184b、184cを備える。支持部182は、下側連結部材166の左端から右端まで延びるとともに前方に開放された溝部186を備える。溝部186は、スタンド部材10の下側連結部154を受け入れる。溝部186の底面は、下側連結部154の外周面に対応した半円筒面となっている。また、スライド板40のオフセット部分136には、ネジ穴部184a、184b、184cに位置合わせされた貫通孔188a、188b、188cが形成されている。下側連結部材166は、ネジ190a、190b、190cを貫通孔188a、188b、188cに通過させた状態でネジ穴部184a、184b、184cに螺合させることにより、スライド板40に固定される。下側連結部材166がスライド板40に固定された状態では、下側連結部154が下側連結部材166とスライド板40の間に挟み込まれる。これにより、下側連結部154がスライド板40に連結される。
【0048】
図7図14に示すように、スタンド部材10は、左側脚部192Lと右側脚部192Rをさらに備える。左側脚部192Lは、左側屈曲部148Lの下面に形成されている。右側脚部192Rは、右側屈曲部148Rの下面に形成されている。また、下側連結部材166は、前後左右方向に平行な当接面194を備える。当接面194は、スライド板40の下端よりも下方に位置している。本実施例では、背板本体36に対するスライド板40のロック位置がいかなる位置であっても、左側脚部192Lと、右側脚部192Rと、当接面194と、を載置面(例えば、地面)に当接させた状態で背負式機器2を鉛直方向に沿って上方から見た時、背負式機器2の重心は、左側脚部192Lと、右側脚部192Rと、当接面194と、によって形成される支持基底面と重なり合っている。このため、ユーザは、左側脚部192Lと、右側脚部192Rと、当接面194と、を載置面に当接させることにより、背負式機器2を載置面に載置させることができる。なお、ここでいう支持基底面とは、左側脚部192Lと、右側脚部192Rと、当接面194と、の3箇所を頂点とする略三角形形状を有する面である。
【0049】
図15に示すように、上方から見た時、上側連結部140L、140Rは、下側連結部154よりも前方にオフセットされている。上方から見た時、第1延在部156は、第2延在部158よりも左方にオフセットされている。上方から見た時、第3延在部160は、第4延在部162よりも右方にオフセットされている。
【0050】
図14には、左方から見た時の上側連結部140L、140Rの前端の位置P1と、左方から見た時の下側連結部154の前端の位置P2と、左方から見た時の左側脚部192Lの下端の位置P3が示される。左方から見た時の位置P1と位置P2の間の距離は、例えば40mmから130mmの範囲内であって、本実施例では約108mmである。また、左方から見た時の、位置P1と位置P2を結ぶ直線L1と、位置P2と位置P3を結ぶ直線L3と、が成す角度は、例えば90度以上であって、本実施例では約104度である。また、左方から見た時の、直線L3と、位置P1と位置P3を結ぶ直線L2と、が成す角度は、例えば16度以上であって、本実施例では約31度である。
【0051】
図7には、右方から見た時の上側連結部140L、140Rの前端の位置P4と、右方から見た時の下側連結部154の前端の位置P5と、右方から見た時の右側脚部192Rの下端の位置P6が示される。右方から見た時の位置P4と位置P5の間の距離は、例えば40mmから130mmの範囲内であって、本実施例では約108mmである。また、右方から見た時の、位置P4と位置P5を結ぶ直線L4と、位置P5と位置P6を結ぶ直線L6と、が成す角度は、例えば90度以上であって、本実施例では約104度である。また、右方から見た時の、直線L6と、位置P4と位置P6を結ぶ直線L5と、が成す角度は、例えば16度以上であって、本実施例では約31度である。
【0052】
(変形例)
背負子4には、電源装置6以外の機器・運搬物が取り付けられてもよい。例えば、背負子4には、物を収納可能なバスケット、液体を貯留可能なタンク、または、ユーザが使用可能な作業機が取り付けられてもよい。ここでいう作業機は、例えば、ブロワ、刈払い機、ヘッジトリマ、チェーンソー、掃除機、または、噴霧機であってもよい。
【0053】
スタンド部材10は、1本の棒状部材を折り曲げたものでなくてもよい。スタンド部材10は、例えば、複数の棒状部材を互いに接続したものであってもよい。
【0054】
スタンド部材10に中空パイプを用いる代わりに、中実材を用いてもよい。
【0055】
スタンド部材10は、背負子本体8のうち、スライド板40以外の箇所(例えば、腰ベルト18の後面)に連結されていてもよい。
【0056】
背負子本体8に対してスタンド部材10を連結する手段は、適宜変更されてもよい。例えば、スタンド部材10は、スライド板40に溶接されていてもよい。
【0057】
スタンド部材10の形状は、適宜変更されてもよい。その結果、左側屈曲部148Lが、V字状に屈曲していてもよい。右側屈曲部148Rが、V字状に屈曲していてもよい。上方から見た時、上側連結部140L、140Rが、下側連結部154よりも後方にオフセットされていてもよい。上方から見た時、第1延在部156が、第2延在部158よりも右方にオフセットされていてもよい。上方から見た時、第3延在部160が、第4延在部162よりも左方にオフセットされていてもよい。直線L1と直線L3が成す角度が、90度未満であってもよい。直線L3と直線L2が成す角度が、16度未満であってもよい。直線L4と直線L6が成す角度が、90度未満であってもよい。直線L6と直線L5が成す角度が、16度未満であってもよい。
【0058】
下側連結部材166の下端(即ち、当接面194)は、スライド板40の下端よりも上方に位置していてもよい。この場合、左側脚部192Lと、右側脚部192Rと、スライド板40の下端と、を載置面に当接させることにより、背負式機器2を載置面に載置可能であってもよい。
【0059】
背板本体36とスライド板40は、1枚の板材に置き換えられてもよい。この板材に、電源装置6、スタンド部材10、および接続機構20の各々が取り付けられてもよい。この板材に対する腰ベルト18の上下方向の位置は、変更不可能であってもよい。
【0060】
弾性部材84に用いられる材料は、樹脂材料以外の材料であってもよい。例えば、弾性部材84に用いられる材料は、ゴム材料であってもよい。
【0061】
弾性部材84は、腰ベルト18とスライド板40の間で押し縮められるように配置されたバネであってもよい。この場合、弾性部材84に用いられる材料は、金属材料であってもよい。
【0062】
腰ベルト18に対してプレート部94を取り付ける手段は、適宜変更されてもよい。例えば、プレート部94は、腰ベルト18にリベット留めされていてもよい。
【0063】
弾性部材84の形状は、適宜変更されてもよい。その結果、締結部90が、プレート部94の上端よりも下方に配置されてもよい。接続部96の前面96aが、仮想平面Vに沿って広がっていてもよい。前方から見た時、接続部96の左右幅が単調減少していなくてもよい。接続部96が、凹部100を備えていなくてもよい。弾性部材84が、ガイド突起120a、120bを備えていなくてもよい。
【0064】
側方から見た時、スライド板40は、後側に反った形状を有していなくてもよい。即ち、スライド板40は、上端から下端まで、直線的に延びていてもよい。
【0065】
(実施例の特徴)
1つまたはそれ以上の実施形態において、背負式機器2は、ユーザが装着する背負子4と、背負子4に取り付けられる電源装置6(機器の例)を備える。背負子4は、ユーザが両肩にかける一対の肩ベルト14、16を含むとともに、電源装置6が取り付けられる背負子本体8と、背負子本体8に回転不能に取り付けられるスタンド部材10を備える。スタンド部材10は、背負子本体8に連結される上側連結部140L、140Rと、上側連結部140L、140Rよりも下方において、背負子本体8に連結される下側連結部154と、背負子本体8から見て後方左方に配置される左側脚部192Lと、背負子本体8から見て後方右方に配置される右側脚部192Rを備える。背負式機器2は、当接面194(背負子本体の下部の例)と、左側脚部192Lと、右側脚部192Rと、を載置面に当接させることにより、載置面に載置可能である。
【0066】
1つまたはそれ以上の実施形態において、背負子4は、電源装置6(運搬物の例)を運搬するためにユーザが装着する。背負子4は、ユーザが両肩にかける一対の肩ベルト14、16を含むとともに、電源装置6が着脱可能に取り付けられる背負子本体8と、背負子本体8に回転不能に取り付けられるスタンド部材10を備える。スタンド部材10は、背負子本体8に連結される上側連結部140L、140Rと、上側連結部140L、140Rよりも下方において、背負子本体8に連結される下側連結部154と、背負子本体8から見て後方左方に配置される左側脚部192Lと、背負子本体8から見て後方右方に配置される右側脚部192Rを備える。背負子4は、電源装置6が背負子本体8に取り付けられた状態で、当接面194(背負子本体の下部の例)と、左側脚部192Lと、右側脚部192Rと、を載置面に当接させることにより、載置面に載置可能である。
【0067】
上記の構成によれば、背負子本体8に対してスタンド部材10が回転不能となっている。また、スタンド部材10が、少なくとも上下2箇所において背負子本体8に連結される。これらにより、背負子本体8に対するスタンド部材10の姿勢が比較的安定する。このため、背負式機器2(または背負子4)が載置面に載置されている時に背負式機器2(または背負子4)が衝撃や振動を受けたとしても、スタンド部材10の姿勢は簡単には変化しない。従って、上記の構成によれば、載置面に載置させた時に倒れにくい背負式機器2(または背負子4)を実現することができる。
【0068】
1つまたはそれ以上の実施形態において、スタンド部材10は、棒形状を有しており、左側脚部192Lと上側連結部140L、140Rの間に延びる第1延在部156と、棒形状を有しており、左側脚部192Lと下側連結部154の間に延びる第2延在部158と、棒形状を有しており、右側脚部192Rと上側連結部140L、140Rの間に延びる第3延在部160と、棒形状を有しており、右側脚部192Rと下側連結部154の間に延びる第4延在部162をさらに備える。
【0069】
背負式機器2が載置面に載置されている時、スタンド部材10は、載置面と背負子本体8の各々から力を受ける。この時、スタンド部材10の形状によっては、スタンド部材10において局所的に大きな応力が生じることがある。上記の構成によれば、スタンド部材10が載置面と背負子本体8の各々から受ける力が、第1延在部156と、第2延在部158と、第3延在部160と、第4延在部162の各々にバランス良く分散される。これにより、スタンド部材10において局所的に大きな応力が生じることを抑制できる。
【0070】
1つまたはそれ以上の実施形態において、上方から見た時、第1延在部156は、第2延在部158よりも左方にオフセットされている。上方から見た時、第3延在部160は、第4延在部162よりも右方にオフセットされている。
【0071】
上記の構成によれば、スタンド部材10の見た目上の堅牢さを向上させることができる。
【0072】
1つまたはそれ以上の実施形態において、スタンド部材10は、U字状に屈曲した棒形状を有しており、第1延在部156と第2延在部158の間を接続する左側屈曲部148Lと、U字状に屈曲した棒形状を有しており、第3延在部160と第4延在部162の間を接続する右側屈曲部148Rをさらに備える。左側脚部192Lは、左側屈曲部148Lの下面に形成される。右側脚部192Rは、右側屈曲部148Rの下面に形成される。
【0073】
仮に、左側屈曲部148L(または、右側屈曲部148R)がV字状に屈曲した棒形状を有している場合、左側脚部192L(または、右側脚部192R)が比較的尖った形状となる。このため、背負式機器2を載置面に載置させている時、背負式機器2へのわずかな衝撃や振動によって、載置面に対するスタンド部材10のバランスが崩れてしまう。その結果、背負式機器2を載置面に載置させている時に、背負式機器2が簡単に倒れてしまうおそれがある。上記の構成によれば、左側屈曲部148L(および、右側屈曲部148R)がU字状に屈曲した棒形状を有しているので、左側脚部192L(または、右側脚部192R)が比較的丸みを帯びた形状となる。これにより、背負式機器2が載置面に載置されている時に背負式機器2が衝撃や振動を受けたとしても、載置面に対するスタンド部材10のバランスは簡単には崩れない。従って、上記の構成によれば、より倒れにくい背負式機器2を実現することができる。
【0074】
1つまたはそれ以上の実施形態において、背負子本体8は、スタンド部材10の下側連結部154を背負子本体8に連結するための下側連結部材166(連結部材の例)を備える。下側連結部材166は、背負式機器2が載置面に載置された時に載置面に当接する当接面194を備える。
【0075】
上記の構成によれば、下側連結部材166が、背負式機器2が載置面に載置された時に載置面に当接する。このため、背負式機器2が載置面に載置された時に載置面に当接する部材を、下側連結部材166とは別個に設ける必要がない。これにより、背負式機器2の部品点数を削減することができる。
【0076】
1つまたはそれ以上の実施形態において、スタンド部材10は、1本の棒状部材を折り曲げて形成される。
【0077】
例えば、複数の棒状部材を溶接等によって互いに接続して、スタンド部材10を形成することもできる。しかしながら、この場合、スタンド部材10を形成するために手間が掛かる。上記の構成によれば、スタンド部材10は、1本の棒状部材を折り曲げて形成される。このため、スタンド部材10を形成するための手間を比較的軽減することができる。
【0078】
1つまたはそれ以上の実施形態において、棒状部材は、中空パイプである。
【0079】
上記の構成では、棒状部材に中空パイプが用いられるので、棒状部材に中実材を用いる場合と比較して、スタンド部材10を軽量化することができる。
【0080】
1つまたはそれ以上の実施形態において、機器は、再充電可能な複数の二次電池セルを含む電源装置6である。
【0081】
上記の構成によれば、ユーザは、電源装置6を背負って様々な場所へ持ち運ぶことができる。これにより、ユーザは、商用電源への接続が不可能な場所であっても、電源装置6を持ち込んで、電源装置6から電子機器への電力供給を行うことで、当該電子機器を使用することができる。
【0082】
1つまたはそれ以上の実施形態において、左方から見た時、上側連結部140L、140Rと下側連結部154を結ぶ直線L1と、下側連結部154と左側脚部192Lを結ぶ直線L3と、が成す角度は90度以上である。右方から見た時、上側連結部140L、140Rと下側連結部154を結ぶ直線L4と、下側連結部154と右側脚部192Rを結ぶ直線L6と、が成す角度は90度以上である。
【0083】
上側連結部140L、140Rが下側連結部154よりも後方にオフセットされていると、電源装置6の重量・形状によっては、載置面に載置された時の背負式機器2の重心が後方に寄りすぎる場合がある。この場合、背負式機器2がわずかにでも後方に傾くと、背負式機器2が倒れることがある。上記の構成によれば、上側連結部140L、140Rが、下側連結部154よりも前方にオフセットされるので、載置面に載置された時の背負式機器2の重心が比較的前方に寄る。これにより、載置面に載置された時の背負式機器2の重心が後方に寄りすぎることを抑制できる。従って、より倒れにくい背負式機器2を実現できる。
【0084】
1つまたはそれ以上の実施形態において、左方から見た時、上側連結部140L、140Rと左側脚部192Lを結ぶ直線L2と、左側脚部192Lと下側連結部154を結ぶ直線L3と、が成す角度は16度以上である。右方から見た時、上側連結部140L、140Rと右側脚部192Rを結ぶ直線L5と、右側脚部192Rと下側連結部154を結ぶ直線L6と、が成す角度は16度以上である。
【0085】
背負式機器2を載置面に載置した時に背負子本体8(具体的には、背板12)が過剰に撓むと、背負式機器2の重心が後方に寄りすぎる場合がある。この場合、背負式機器2がわずかにでも後方に傾くと、背負式機器2が倒れることがある。上記の構成によれば、下側連結部154と上側連結部140L、140Rの間の距離が比較的大きくなるので、スタンド部材10が背負子本体8を支える範囲が大きくなる。これにより、背負式機器2を載置面に載置した時の背負子本体8の撓みを抑制することができる。従って、背負式機器2の重心が後方に寄り過ぎることを抑制できるので、より倒れにくい背負式機器2を実現できる。
【符号の説明】
【0086】
2:背負式機器、4:背負子、6:電源装置、8:背負子本体、10:スタンド部材、12:背板、14:左肩ベルト、16:右肩ベルト、18:腰ベルト、20:接続機構、22:ハウジング、24:ハンドル、26:電源スイッチ、28:表示用LED、30:充電コネクタ、32:電源ケーブル、34:複数のケーブルホルダ、36:背板本体、38:ベルト取付板、40:スライド板、42:上側係合部材、44:下側係合部材、46:ラッチ、48:左側係合爪、50:右側係合爪、52:ラッチ受け、54:左側受け止め部、56:右側受け止め部、58a:取付孔、58b:取付孔、58c:取付孔、58d:取付孔、60a:取付バックル、60b:取付バックル、60c:取付バックル、60d:取付バックル、62:スリーブ部、64:開口部、66:複数の窓孔、68:ロック機構、70:ロック部材、72:シャフト、74:コイルバネ、76:突出部、78:貫通孔、80:複数の係合孔、82:操作部、84:弾性部材、86:ボルト、88:ナット、90:締結部、92:ポケット、94:プレート部、96:接続部、96a:前面、98:湾曲面、100:凹部、102:ブッシュ取付孔、104:環状部、106:取付溝、108:リングブッシュ、110:Oリング、112:ワッシャ、114:ワッシャ、116:貫通孔、118:当接面、120a:ガイド突起、120b:ガイド突起、122a:ガイド孔、122b:ガイド孔、124:複数のリブ、126:複数の肉抜き凹部、128:定幅部、130:縮幅部、132:本体部分、134:傾斜部分、136:オフセット部分、138:複数の肉抜き孔、140L:第1上側連結部、140R:第2上側連結部、142L:湾曲部、142R:湾曲部、144L:直進部、144R:直進部、146L:湾曲部、146R:湾曲部、148L:左側屈曲部、148R:右側屈曲部、150L:直進部、150R:直進部、152L:湾曲部、152R:湾曲部、154:下側連結部、156:第1延在部、158:第2延在部、160:第3延在部、162:第4延在部、164:上側連結部材、166:下側連結部材、168L:支持部、168R:支持部、170a、170b、170c:ネジ穴部、172L:溝部、172R:溝部、174L:位置決めピン、174R:位置決めピン、176L:位置決め孔、176R:位置決め孔、178a、178b、178c:貫通孔、180a、180b、180c:ネジ、182:支持部、184a、184b、184c:ネジ穴部、186:溝部、188a、188b、188c:貫通孔、190a、190b、190c:ネジ、192L:左側脚部、192R:右側脚部、194:当接面
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