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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178031
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 101/02 20060101AFI20241217BHJP
   C08K 3/22 20060101ALI20241217BHJP
   C09J 133/06 20060101ALI20241217BHJP
   C09J 201/02 20060101ALI20241217BHJP
   C09J 11/04 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
C08L101/02
C08K3/22
C09J133/06
C09J201/02
C09J11/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096519
(22)【出願日】2023-06-12
(71)【出願人】
【識別番号】000004628
【氏名又は名称】株式会社日本触媒
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 純也
(72)【発明者】
【氏名】坂田 尚紀
(72)【発明者】
【氏名】大久保 知恵
【テーマコード(参考)】
4J002
4J040
【Fターム(参考)】
4J002AA031
4J002BG041
4J002BG042
4J002DE096
4J002GJ01
4J002HA08
4J040DF031
4J040GA07
4J040GA11
4J040GA13
4J040GA22
4J040GA23
4J040GA26
4J040GA27
4J040HA136
4J040JA01
4J040JA09
4J040JB09
4J040KA42
4J040LA01
4J040LA02
4J040LA10
4J040MA05
4J040MA10
4J040NA17
(57)【要約】
【課題】粘着性ポリマーに添加することにより、得られる粘着剤の屈折率及び透明性の少なくとも一方を高めることができる分散用組成物の提供を目的とする。
【解決手段】本発明の分散用組成物は、金属酸化物粒子(A)と、重量平均分子量が5万以下のポリマー(B)とを含み、前記ポリマー(B)が芳香族系モノマー由来の構造単位を10~90質量%含有するポリマーである、或いは、主鎖の末端に極性官能基を有するポリマーである組成物である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属酸化物粒子(A)と、重量平均分子量が5万以下のポリマー(B)とを含み、
前記ポリマー(B)が、芳香族系モノマー由来の構造単位を10~90質量%含有する組成物。
【請求項2】
前記芳香族系モノマーの屈折率が1.5以上である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記芳香族系モノマーが、アリール(メタ)アクリレート及びアラルキル(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも1種以上のモノマーである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記ポリマー(B)が、アミノ基、アミド基、スルホ基、カルボキシ基、リン酸基、ホスホン酸基、加水分解性アルコキシシリル基、イソシアネート基、ヒドロキシ基、チオール基、エポキシ基、及びオキサゾリン基から選ばれる少なくとも1つの極性官能基を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記ポリマー(B)が、ホモポリマーのガラス転移温度が0℃以下となる低Tg(メタ)アクリル酸エステル由来の構造単位をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記金属酸化物粒子(A)の含有量が、前記ポリマー(B)100質量部に対して、100~450質量部である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
金属酸化物粒子(A)と、重量平均分子量が5万以下のポリマー(B)を含み、
前記ポリマー(B)が、主鎖の末端に極性官能基を有するポリマーである組成物。
【請求項8】
前記極性官能基が、カルボキシル基、ヒドロキシ基、アミノ基、スルホ基、リン酸基、ホスホン酸基、及び加水分解性アルコキシシリル基から選ばれる官能基である、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記ポリマー(B)が、ホモポリマーのガラス転移温度が0℃以下となる低Tg(メタ)アクリル酸エステル由来の構造単位をさらに含む、請求項7に記載の組成物。
【請求項10】
前記金属酸化物粒子(A)の含有量が、前記ポリマー(B)100質量部に対して、100~450質量部である、請求項7に記載の組成物。
【請求項11】
前記金属酸化物粒子(A)の屈折率が2以上である、請求項1又は7に記載の組成物。
【請求項12】
トルエン及びキシレンの含有量が、前記組成物中、5質量%以下である、請求項1又は7に記載の組成物。
【請求項13】
請求項1又は7に記載の組成物と、粘着性(メタ)アクリル系ポリマーとを含む、粘着剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属酸化物粒子を分散させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
金属酸化物粒子を分散させた粘着剤組成物が知られている。例えば、特許文献1には、液晶表示装置(LCD)、有機EL表示装置、プラズマディスプレイパネル(PDP)などの画像表示装置や光ディスクにおいて、画像表示部、光源部、記録部、偏光板、位相差板、光学補償フィルム、輝度向上フィルム、光拡散フィルム、保護フィルムなどを適宜貼り合わせる際の高屈折率透明粘着剤として、金属酸化物粒子を粘着性ポリマーに分散させた粘着剤が記載されている。
【0003】
しかしながら、粘着性ポリマーに金属酸化物粒子を分散させる際に、粘着性ポリマーが金属酸化物によってイオン架橋された様な構造を形成するためか、凝集が発生しやすく、金属酸化物粒子を安定に分散させることが難しいという問題があった。そこで特許文献2では、金属酸化物粒子と共に重量平均分子量が5万以下の非芳香族系ポリマーを、粘着性(メタ)アクリル系ポリマーに添加することで、上記問題を解決したことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-120726号公報
【特許文献2】特開2021-134322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、高屈折率透明粘着剤には、屈折率及び透明性の少なくとも一方のさらなる向上が求められる。従って、本発明の課題は、得られる粘着剤の屈折率及び透明性の少なくとも一方の向上にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、粘着ポリマーに対し、金属酸化物粒子と芳香族系モノマー由来の構造単位を所定量有する低分子量ポリマーとを含む組成物を添加することで、得られる粘着剤の屈折率が向上し、また、金属酸化物粒子と主鎖の末端に極性官能基を有する低分子量ポリマーとを含む組成物を添加することで、得られる粘着剤の透明性が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
上記課題を解決し得た本発明の構成は以下の通りである。
[1] 金属酸化物粒子(A)と、重量平均分子量が5万以下のポリマー(B)とを含み、前記ポリマー(B)が、芳香族系モノマー由来の構造単位を10~90質量%含有する組成物。
[2] 前記芳香族系モノマーの屈折率が1.5以上である、[1]に記載の組成物。
[3] 前記芳香族系モノマーが、アリール(メタ)アクリレート及びアラルキル(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも1種以上のモノマーである、[1]又は[2]に記載の組成物。
[4] 前記ポリマー(B)が、アミノ基、アミド基、スルホ基、カルボキシ基、リン酸基、ホスホン酸基、加水分解性アルコキシシリル基、イソシアネート基、ヒドロキシ基、チオール基、エポキシ基、及びオキサゾリン基から選ばれる少なくとも1つの極性官能基を有する、[1]~[3]のいずれかに記載の組成物。
[5] 前記ポリマー(B)が、ホモポリマーのガラス転移温度が0℃以下となる低Tg(メタ)アクリル酸エステル由来の構造単位をさらに含む、[1]~[4]のいずれかに記載の組成物。
[6] 前記金属酸化物粒子(A)の含有量が、前記ポリマー(B)100質量部に対して、100~400質量部である、[1]~[5]のいずれかに記載の組成物。
[7] 前記金属酸化物粒子(A)の屈折率が2以上である、[1]~[6]のいずれかに記載の組成物。
[8] トルエン及びキシレンの含有量が、前記組成物中、5質量%以下である、[1]~[7]のいずれかに記載の組成物。
[9] [1]~[8]のいずれかに記載の組成物と、粘着性(メタ)アクリル系ポリマーとを含む、粘着剤組成物。
[10] 金属酸化物粒子(A)と、重量平均分子量が5万以下のポリマー(B)を含み、
前記ポリマー(B)が、主鎖の末端に極性官能基を有するポリマーである組成物。
[11] 前記極性官能基が、カルボキシル基、ヒドロキシ基、アミノ基、スルホ基、リン酸基、ホスホン酸基、及び加水分解性アルコキシシリル基から選ばれる官能基である、[10]に記載の組成物。
[12] 前記ポリマー(B)が、ホモポリマーのガラス転移温度が0℃以下となる低Tg(メタ)アクリル酸エステル由来の構造単位をさらに含む、[10]又は[11]に記載の組成物。
[13] 前記金属酸化物粒子(A)の含有量が、前記ポリマー(B)100質量部に対して、100~400質量部である、[10]~[12]のいずれかに記載の組成物。
[14] 前記金属酸化物粒子(A)の屈折率が2以上である、[10]~[13]のいずれかに記載の組成物。
[15] トルエン及びキシレンの含有量が、前記組成物中、5質量%以下である、[10]~[14]のいずれかに記載の組成物。
[16] [10]~[15]のいずれかに記載の組成物と、粘着性(メタ)アクリル系ポリマーとを含む、粘着剤組成物。
【発明の効果】
【0008】
本発明の組成物を粘着性ポリマーに添加することで、得られる粘着剤の屈折率及び/又は透明性を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、金属酸化物粒子(A)と、重量平均分子量が5万以下のポリマー(B)とを含み、前記ポリマー(B)が、芳香族系モノマー由来の構造単位を10~90質量%含有する組成物(以下、組成物1という場合がある)、並びに、金属酸化物粒子(A)と、重量平均分子量が5万以下のポリマー(B)を含み、前記ポリマー(B)が、主鎖の末端に極性官能基を有するポリマーである組成物(以下、組成物2という場合がある)を包含する。本発明の組成物1及び/又は組成物2を粘着性ポリマーに添加することで、得られる粘着剤の屈折率及び/又は透明性を高めることができる。特に、前記組成物1を粘着性ポリマーに添加することで、得られる粘着剤の屈折率(好ましくは屈折率及び透明性)を高めることができ、前記組成物2を粘着性ポリマーに添加することで、得られる粘着剤の透明性(好ましくは屈折率及び透明性)を高めることができる。なお、本明細書において、組成物1及び/又は組成物2をまとめて「分散用組成物」という場合がある。
【0010】
また、本発明の分散用組成物は、該分散用組成物における金属酸化物粒子(A)の分散安定性を高めるという効果を有する点においても好ましい。前記分散用組成物における金属酸化物粒子(A)の分散安定性が高められていると、該分散用組成物を粘着性ポリマーに添加することで得られる粘着剤組成物における金属酸化物粒子(A)の分散安定性を高めることができる。
【0011】
<分散用組成物>
[金属酸化物粒子(A)]
金属酸化物粒子(A)を構成する金属としては、例えば、Ti、Al、Zr、In、Zn、Sn、La、Y、Ce、Mg、Ba、Ca等が挙げられ、屈折率をより高める観点からTi、Al、Zr、Zn、Sn及びCeよりなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、Ti、Zn及びZrよりなる群から選択される少なくとも1種がより好ましく、Ti及び/又はZrがよりさらに好ましく、Zrが特に好ましい。金属酸化物(A)は、単一金属の酸化物であってもよいし、2種以上の酸化物の固溶体であってもよいし、複合酸化物であってもよい。単一金属酸化物には、例えば、酸化アルミニウム(Al23)、酸化チタン(TiO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化インジウム(In23)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)、酸化ランタン(La23)、酸化イットリウム(Y23)、酸化セリウム(CeO2)、酸化マグネシウム(MgO)が含まれる。2種以上の酸化物の固溶体としては、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化スズアンチモン(ATO)等が挙げられる。複合酸化物としては、例えばチタン酸バリウム(BaTiO3)、灰チタン石(CaTiO3)、スピネル(MgAl24)等が挙げられる。
【0012】
金属酸化物粒子(A)は、屈折率が2以上である粒子が好ましく、特に、酸化チタン(TiO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化亜鉛(ZnO)が好ましい。屈折率が大きい粒子は、分散安定性が僅かに劣った時の外観の劣化が大きく、このような高屈折率粒子を良好な外観を保ったままで高濃度に配合できればそのメリットは大きい。
【0013】
金属酸化物粒子(A)の個数平均粒子径は、例えば1~50nm、好ましくは2~30nm、より好ましくは5~20nmである。金属酸化物粒子(A)の個数平均粒子径が前記範囲にあると、得られる粘着剤の透明性がより高くなる。
【0014】
金属酸化物粒子(A)の体積平均粒子径(dv)と、個数平均粒子径(dn)との比(dv/dn)は、好ましくは1~10であり、より好ましくは5以下、さらに好ましくは3以下である。
【0015】
金属酸化物粒子(A)は、球状、粒状、楕円球状、立方体状、直方体状、ピラミッド状、針状、柱状、棒状、筒状、りん片状、板状、薄片状、不定形状などであってもよく、分散安定性などの観点から、球状、粒状、柱状であることが好ましい。
【0016】
金属酸化物粒子(A)には、予め表面処理剤による表面処理が施されていてもよい。金属酸化物粒子(A)は、カルボン酸化合物、シランカップリング剤、及び有機リン化合物からなる群から選ばれるの少なくとも1種の表面処理剤で表面処理されていることが好ましく、少なくともカルボン酸化合物で表面処理されていることがより好ましい。金属酸化物粒子(A)が前記表面処理剤により形成される表面処理層を有することによって、分散用組成物や粘着剤組成物中の分散安定性をさらに高めることができる。
【0017】
カルボン酸化合物としては、(メタ)アクリル酸類(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、3-アクリロキシプロピオン酸等の(メタ)アクリロキシC1-6アルキルカルボン酸など);C3-9脂肪族ジカルボン酸の(メタ)アクリロキシC1-6アルキルアルコールによるハーフエステル類(例えば、2-アクリロキシエチルコハク酸、2-メタクリロキシエチルコハク酸など)、C5-10脂環式ジカルボン酸の(メタ)アクリロキシC1-6アルキルアルコールによるハーフエステル類(例えば、2-アクリロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2-メタクリロキシエチルヘキサヒドロフタル酸など)、C8-14芳香族ジカルボン酸の(メタ)アクリロキシC1-6アルキルアルコールによるハーフエステル類(例えば、2-アクリロキシエチルフタル酸、2-メタクリロキシエチルフタル酸等)などのエステル基を有するカルボン酸;酪酸、吉草酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ステアリン酸などの炭素数が4~20の直鎖状カルボン酸;ピバリン酸、2,2-ジメチル酪酸、3,3-ジメチル酪酸、2,2-ジメチル吉草酸、2,2-ジエチル酪酸、3,3-ジエチル酪酸、2-メチルヘキサン酸、2-エチルヘキサン酸、3-メチルヘキサン酸、3-エチルヘキサン酸、2-メチルヘプタン酸、4-メチルオクタン酸、ネオデカン酸などの炭素数が5~20の分枝鎖状カルボン酸;ナフテン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの環状カルボン酸;などが挙げられる。好ましくはC3-9脂肪族ジカルボン酸の(メタ)アクリロキシC1-6アルキルアルコールによるハーフエステル類、炭素数が5~20の分枝鎖状カルボン酸である。これらカルボン酸化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
【0018】
シランカップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどのビニル基を有するアルコキシシラン化合物;3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルトリメトキシシランなどのアミノ基を有するアルコキシシラン化合物;3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシランなどの(メタ)アクリロイル基を有するアルコキシシラン化合物;3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシランなどのメルカプト基を有するアルコキシシラン化合物;2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランなどのエポキシ基を有するアルコキシシラン化合物;などが挙げられる。これらシランカップリング剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
【0019】
有機リン化合物としては、炭素数1~30のアルキル基が結合した、リン酸エステル、亜リン酸エステル、ホスホン酸エステル;ポリエーテル鎖を有する、リン酸エステル、亜リン酸エステル、ホスホン酸エステルなどが挙げられ、ポリエーテル鎖を有する、リン酸エステル、亜リン酸エステル、ホスホン酸エステルが好ましい。
【0020】
炭素数1~30のアルキル基が結合した、リン酸エステル、亜リン酸エステル、ホスホン酸エステルとしては、下記式で表される化合物が挙げられる。
【0021】
【化1】
【0022】
ポリエーテル鎖を有する、リン酸エステル、亜リン酸エステル、ホスホン酸エステルとしては、下記式で表される化合物が挙げられる。
【0023】
【化2】
【0024】
【化3】
【0025】
式中、aは1又は2であり、1であることが好ましい。p11、p12、p15は、それぞれ独立して4~15であり、p11、p12及びp15の合計は、1~50、好ましくは1~30である。r1、r2、r12は、1~20であり、好ましくは1~10である。R4、R5、R6は、それぞれ独立して、炭素数1~18の2価の脂肪族炭化水素基、炭素数6~30の2価の芳香族含有炭化水素基、又は脂肪族炭化水素基及び芳香族含有炭化水素基を組み合わせた炭素数7~30の2価の基であり、前記R4、R5、R6が-CH2-を有する場合、該-CH2-は-O-に置き換わっていてもよい。R4、R5、R6は、それぞれ独立して、炭素数1~18の2価の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、炭素数1~10のアルキレン基であることがより好ましい。
【0026】
前記有機リン化合物としては、例えば、ニューコール1000-FCP(日本乳化剤社製)、アントックスEHD-400(日本乳化剤社製)、Phoslexシリーズ(SC有機化学社製)、ライトアクリレートP-1A(共栄社化学社製)、ライトアクリレートP-1M(共栄社化学社製)、TEGO(登録商標) Dispers651、655、656(エボニック社製)、DISPERBYK-110、111、180(ビックケミー・ジャパン社製)、KAYAMERPM-2、KAYAMERPM-21(日本化薬社製)等を用いることができる。
【0027】
上記有機リン化合物は、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
【0028】
金属酸化物粒子(A)表面の表面処理層の量(被覆量)は、被覆された粒子全体100質量%中、例えば0~50質量%、好ましくは0.1~45質量%、より好ましくは0.5~40質量%である。
特に、金属酸化物粒子(A)表面のカルボン酸化合物処理層の量(被覆量)は、被覆された粒子全体100質量%中、例えば0~40質量%、好ましくは1~35質量%、より好ましくは5~30質量%である。
また、金属酸化物粒子(A)表面のシランカップリング剤処理層の量(被覆量)は、被覆された粒子全体100質量%中、例えば0~30質量%、好ましくは0.1~20質量%、より好ましくは1~15質量%である。
また、金属酸化物粒子(A)表面の有機リン化合物処理層の量(被覆量)は、被覆された粒子全体100質量%中、例えば0~40質量%、好ましくは0.1~35質量%、より好ましくは0.5~30質量%である。
【0029】
なお金属酸化物粒子(A)表面の表面処理層の量(被覆量)は、TG-DTA(熱重量-示差熱分析)装置を用いて金属酸化物粒子(A)を昇温し、該粒子の重量(質量)減少率を測定することにより求めることができる。
【0030】
金属酸化物粒子(A)の量は、前記分散用組成物100質量%中、例えば、5~60質量%、好ましくは10~55質量%、より好ましくは15~50質量%である。
また、金属酸化物粒子(A)の量は、後述する重量平均分子量が5万以下のポリマー(B)100質量部に対して、100~450質量部であることが好ましく、より好ましくは120~400質量部、さらに好ましくは150~350質量部である。
【0031】
[重量平均分子量が5万以下のポリマー(B)]
本発明の分散用組成物に含まれる重量平均分子量が5万以下のポリマー(B)(以下、「低分子量ポリマー(B)」という場合がある)は、ポリマー分散剤であって金属酸化物粒子(A)に作用してその分散安定性を高める作用を有する。そしてその分子量が5万以下であるため、相互作用によって金属酸化物粒子(A)に引きつけられてもポリマー自体の凝集を防ぐことができ、金属酸化物粒子を高度に分散できる。
【0032】
前記低分子量ポリマー(B)の重量平均分子量は、5万以下であり、好ましくは1万以下、より好ましくは8000以下、さらに好ましくは6000以下である。重量平均分子量が小さくなるほど、分散安定性が良好になりやすい。重量平均分子量の下限は、例えば1000以上、好ましくは2000以上、より好ましくは3000以上である。重量平均分子量を所定値以上に調整することで、低分子量ポリマー(B)の立体反発により、金属酸化物粒子(A)の凝集をより抑制できる。
【0033】
前記低分子量ポリマー(B)は、極性官能基を有するポリマーであることが好ましい。前記低分子量ポリマー(B)が極性官能基を有することで、分散用組成物や粘着剤組成物中の金属酸化物粒子(A)の分散安定性をより高めることができる。
【0034】
前記極性官能基としては、アミノ基、アミド基、スルホ基、カルボキシ基、リン酸基、ホスホン酸基、加水分解性アルコキシシリル基、イソシアネート基、ヒドロキシ基、チオール基、エポキシ基、オキサゾリン基等が挙げられる。低分子量ポリマー(B)は、極性官能基を1種又は2種以上を有していてもよい。また、低分子量ポリマー(B)は、極性官能基を側鎖に有していてもよく、主鎖末端に有していてもよく、側鎖及び主鎖末端に有していてもよい。なお、加水分解性アルコキシシリル基は、好ましくはメトキシ基又はエトキシ基が1~3個ケイ素原子に結合したシリル基である。
【0035】
前記極性官能基としては、カルボキシ基、ヒドロキシ基、リン酸基、ホスホン酸基、加水分解性アルコキシシリル基、スルホ基、アミノ基、アミド基が好ましく、カルボキシル基、ヒドロキシ基、アミノ基、スルホ基、リン酸基、ホスホン酸基、加水分解性アルコキシシリル基がより好ましく、カルボキシ基、スルホ基、リン酸基、ホスホン酸基、加水分解性アルコキシシリル基がさらに好ましく、カルボキシ基が特に好ましい。
【0036】
なお、前記極性官能基は、低分子量ポリマー(B)を製造する際に、重合性モノマーとして後述の金属酸化物の吸着サイトを有するモノマー(B1)を用いて重合すること、及び/又は、後述の極性官能基を有する連鎖移動剤(B4)を用いて重合することで、低分子量ポリマー(B)に導入することができる。
【0037】
前記低分子量ポリマー(B)は重合性モノマーを重合して得られるポリマーであり、すなわち前記低分子量ポリマー(B)は、重合性モノマー由来の構造単位を有している。前記重合性モノマーとは、分子内に少なくとも1個の重合性不飽和基を有するモノマーを指す。前記重合性モノマーとしては、金属酸化物の吸着サイトを有するモノマー(B1)、低Tg(メタ)アクリル酸エステル(B2)、芳香族系モノマー(B3)、及びその他のモノマー(P)が挙げられ、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0038】
前記金属酸化物の吸着サイトを有するモノマー(B1)としては、アミノ基、アミド基、スルホ基、カルボキシ基、リン酸基、ホスホン酸基、加水分解性アルコキシシリル基、イソシアネート基、ヒドロキシ基、チオール基、エポキシ基、及びオキサゾリン基から選ばれる1つ以上の官能基(以下、吸着基と称する場合がある)と、重合性不飽和基とを有するモノマー(B3)が挙げられる。加水分解性アルコキシシリル基は、好ましくはメトキシ基又はエトキシ基が合計で1~3個ケイ素原子に結合したシリル基である。また前記重合性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基等が挙げられる。
【0039】
前記低分子量ポリマー(B)が、金属酸化物の吸着サイトを有するモノマー(B1)由来の構造単位を有することで、分散用組成物や粘着剤組成物中の金属酸化物粒子(A)の分散安定性をより高めることができる。
【0040】
吸着基としてアミノ基を有するモノマー(B1)としては、例えば、アミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
吸着基としてアミド基を有するモノマー(B1)としては、例えば、N-ビニルピロリドン、(メタ)アクリロイルモルホリン、(メタ)アクリルアミド、N-メチロールアクリルアミドなどが挙げられる。
吸着基としてスルホ基を有するモノマー(B1)としては、ビニルスルホン酸、2-スルホエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
吸着基としてカルボキシ基を有するモノマー(B1)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、無水マレイン酸、マレイン酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸などが挙げられ、中でも(メタ)アクリル酸が好ましい。
吸着基としてリン酸基を有するモノマー(B1)としては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルホスフェートなどが挙げられる。
吸着基としてホスホン酸基を有するモノマー(B1)としては、例えば、[3-((メタ)アクリロイルオキシ)プロピル]ホスホン酸などが挙げられる。
吸着基として加水分解性アルコキシシリル基を有するモノマー(B1)としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ジメチルビニルメトキシシランなどのビニルアルコキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシランなどの(メタ)アクリロキシC1-4アルキルアルコキシシランなどが挙げられる。
吸着基としてイソシアネート基を有するモノマー(B1)としては、例えば、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートなどが挙げられる。
吸着基としてヒドロキシ基を有するモノマー(B1)としては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシC1-10アルキルエステルなどが挙げられる。
吸着基としてエポキシ基を有するモノマー(B1)としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
吸着基としてオキサゾリン基を有するモノマー(B1)としては、例えば、2-ビニル-2-オキサゾリン、2-ビニル-4-メチル-2-オキサゾリン、2-ビニル-5-メチル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-4-メチル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-5-エチル-2-オキサゾリンなどが挙げられる。
【0041】
前記低分子量ポリマー(B)は、金属酸化物の吸着サイトを有するモノマー(B1)由来の構造単位を1種又は2種以上含んでもよい。
【0042】
金属酸化物の吸着サイトを有するモノマー(B1)としては、アミノ基、アミド基、スルホ基、カルボキシ基、リン酸基、ホスホン酸基、加水分解性アルコキシシリル基、イソシアネート基、ヒドロキシ基、エポキシ基、及びオキサゾリン基から選ばれる1つ以上の吸着基を有するモノマー(B1)が好ましく、カルボキシ基、リン酸基、ホスホン酸基、加水分解性アルコキシシリル基、スルホ基、アミノ基、及びアミド基から選ばれる1つ以上の吸着基を有するモノマー(B1)がより好ましく、吸着基としてカルボキシ基を有するモノマー(B1)がより好ましい。
【0043】
前記低Tg(メタ)アクリル酸エステル(B2)とは、ホモポリマーのガラス転移温度が0℃以下である(メタ)アクリル酸エステル(好ましくは(メタ)アクリル酸アルキルエステル)のことを意味する。
前記低分子量ポリマー(B)が、低Tg(メタ)アクリル酸エステル(B2)由来の構造単位を有することにより、粘着性ポリマーとの相溶性が高められるためか、粘着剤組成物中の金属酸化物粒子(A)の分散安定性をさらに高めることができる。
【0044】
該低Tg(メタ)アクリル酸エステル(B2)としては、以下のものが例示できる。なお括弧内はホモポリマーのガラス転移温度を示す。
2-エチルヘキシルメタクリレート(-10℃)などのメタクリル酸C8-20アルキルエステル;
エチルアクリレート(-24℃)、n-ブチルアクリレート(-54℃)、2-メトキシエチルアクリレート(-50℃)、n-オクチルアクリレート(-80℃)、2-エチルヘキシルアクリレート(-70℃)、イソオクチルアクリレート(-58℃)などのアクリル酸C2-20アルキルエステル。
【0045】
上記低Tg(メタ)アクリル酸エステル(B2)は、単独でもよく、組み合わせてもよい。低Tg(メタ)アクリル酸エステル(B2)としては、アクリル酸C2-20アルキルエステルが好ましく、アルキル基が枝分かれしているアクリル酸C3-20アルキルエステルがより好ましい。また、2種以上のアクリル酸C2-20アルキルエステルを組み合わせる場合、アルキル基が枝分かれしているアクリル酸C3-20アルキルエステル(B2a)と、アルキル基が直鎖状であるアクリル酸C3-20アルキルエステル(B2b)とを組み合わせることが好ましく、アルキル基が枝分かれしているアクリル酸C3-20アルキルエステル(B2a)とアルキル基が直鎖状であるアクリル酸C3-20アルキルエステル(B2b)との質量比(B2a/B2b)を1.0超にすることがより好ましい。
【0046】
低Tg(メタ)アクリル酸エステル(B2)のホモポリマーのガラス転移温度は、-150~-10℃が好ましく、-120~-30℃がより好ましく、-90~-40℃がよりさらに好ましい。
【0047】
前記芳香族系モノマー(B3)は、分子内に少なくとも1個の芳香族炭化水素環と少なくとも1個の重合性不飽和基を有するものである。前記重合性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基等が挙げられ、中でも(メタ)アクリロイル基が好ましく、アクリロイル基がより好ましい。前記芳香族炭化水素環としてはベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環、アントラセン環等が挙げられ、中でもベンゼン環が好ましい。
前記低分子量ポリマー(B)が、芳香族系モノマー(B3)由来の構造単位を含むことにより、得られる粘着剤の屈折率を高めることができ、好ましくは高い透明性を示しつつ、屈折率を高めることができる。
【0048】
前記芳香族系モノマー(B3)としては、スチレン系モノマー、アリール(メタ)アクリレート、アラルキル(メタ)アクリレート、アリールオキシ基含有アルキル(メタ)アクリレート、アリール基を有するマレイミド;等が挙げられる。
【0049】
スチレン系モノマーとしては、スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、tert-ブチルスチレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン、ジビニルベンゼン、p-スチリルトリメトキシシラン、2-スチリルエチルトリメトキシシラン等が挙げられる。
アリール(メタ)アクリレートとしては、フェニル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
アラルキル(メタ)アクリレートとしては、ベンジル(メタ)アクリレート、メトキシベンジル(メタ)アクリレート、2-フェノキシベンジル(メタ)アクリレート、3-フェノキシベンジル(メタ)アクリレート、フェニルエチル(メタ)アクリレート、ナフチルメチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
アリールオキシ基含有アルキル(メタ)アクリレートとしては、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、メチルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2-ナフトエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
アリール基を有するマレイミドとしては、N-フェニルマレイミド等が挙げられる。
【0050】
特に芳香族系モノマー(B3)としては、アリール(メタ)アクリレート、アラルキル(メタ)アクリレート、アリールオキシ基含有アルキル(メタ)アクリレートが好ましく、アリールアクリレート、アラルキルアクリレートがより好ましく、芳香族炭化水素環にフェノキシ基等のアリールオキシ基を有しているアラルキルアクリレートが特に好ましい。芳香族系モノマー(B3)が上記化合物であると、得られる粘着剤が高い屈折率を示しつつ、粘着性も高めることができる。
【0051】
また、前記芳香族系モノマー(B3)としては、屈折率が1.5以上のモノマーであることが好ましい。このようなモノマーを用いることで、得られる粘着剤の屈折率をより高めることができる。前記芳香族系モノマー(B3)の屈折率は、1.5~1.9が好ましく、1.53~1.8がより好ましい。なお芳香族系モノマー(B3)の屈折率は、ATAGO社製多波長アッベ屈折計DR-M4型(測定温度20℃、干渉フィルター波長589(D)nm)により測定することができる。
【0052】
前記低分子量ポリマー(B)は、芳香族系モノマー(B3)由来の構造単位を1種又は2種以上含んでもよい。
【0053】
前記その他のモノマー(P)は、金属酸化物の吸着サイトを有するモノマー(B1)、低Tg(メタ)アクリル酸エステル(B2)、及び芳香族系モノマー(B3)以外の重合性モノマーを指す。
【0054】
前記モノマー(P)は、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t-ブチルメタクリレート、シクロへキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどのホモポリマーのガラス転移温度が0℃よりも高い高Tg(メタ)アクリル酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル;(メタ)アクリロニトリルなどのニトリル基含有モノマー;などが挙げられる。
【0055】
特に、前記組成物1に含まれる低分子量ポリマー(B)は、得られる粘着剤の屈折率を高める観点から、芳香族系モノマー(B3)由来の構造単位を含む。前記組成物1に含まれる低分子量ポリマー(B)は、芳香族系モノマー(B3)由来の構造単位と、金属酸化物の吸着サイトを有するモノマー(B1)由来の構造単位及び/又は低Tg(メタ)アクリル酸エステル(B2)由来の構造単位とを有する共重合体であることが好ましく、芳香族系モノマー(B3)由来の構造単位と、金属酸化物の吸着サイトを有するモノマー(B1)由来の構造単位とを有する共重合体であることがより好ましく、芳香族系モノマー(B3)由来の構造単位と、金属酸化物の吸着サイトを有するモノマー(B1)由来の構造単位と、低Tg(メタ)アクリル酸エステル(B2)由来の構造単位とを有する共重合体であることがさらに好ましい。
【0056】
また、前記組成物2に含まれる低分子量ポリマー(B)は、金属酸化物の吸着サイトを有するモノマー(B1)由来の構造単位及び/又は低Tg(メタ)アクリル酸エステル(B2)由来の構造単位を有する(共)重合体であることが好ましく、少なくとも金属酸化物の吸着サイトを有するモノマー(B1)由来の構造単位を含む(共)重合体であることがより好ましく、金属酸化物の吸着サイトを有するモノマー(B1)由来の構造単位と、低Tg(メタ)アクリル酸エステル(B2)由来の構造単位とを有する共重合体であることがさらに好ましく、金属酸化物の吸着サイトを有するモノマー(B1)由来の構造単位と、低Tg(メタ)アクリル酸エステル(B2)由来の構造単位と、芳香族系モノマー(B3)由来の構造単位とを有する共重合体であることがさらにより好ましい。
【0057】
前記低分子量ポリマー(B)100質量%中の金属酸化物の吸着サイトを有するモノマー(B1)に由来する構造単位の割合は、例えば0.1~20質量%であり、好ましくは1~15質量%、より好ましくは2~10質量%である。上記範囲に調整することにより、金属酸化物粒子(A)の凝集抑制効果をより高めることができる。
【0058】
前記低分子量ポリマー(B)100質量%中の低Tg(メタ)アクリル酸エステル(B2)に由来する構造単位の割合(PB)は、例えば、10~80質量%、好ましくは25~65質量%、より好ましくは35~55質量%である。上記範囲に調整することにより、粘着性(メタ)アクリル系ポリマー(C)との相溶性が向上する。
【0059】
前記低分子量ポリマー(B)100質量%中の芳香族系モノマー(B3)に由来する構造単位の割合は、例えば0~90質量%、好ましくは10~90質量%、より好ましくは20~80質量%、さらに好ましくは30~70質量%である。前記割合を所定値以上とすることで、得られる粘着剤の屈折率をより高めることができる。また、前記割合を所定値以下とすることで、低分子量ポリマー(B)の非芳香族系溶剤への相溶性や、得られる粘着剤の粘着性を高めることができる。
特に、前記組成物1において、低分子量ポリマー(B)100質量%中の芳香族系モノマー(B3)に由来する構造単位の割合は、10~90質量%であり、好ましくは20~80質量%、より好ましくは30~70質量%である。
また前記組成物2において、低分子量ポリマー(B)100質量%中の芳香族系モノマー(B3)に由来する構造単位の割合は、好ましくは0~90質量%であり、より好ましくは10~90質量%、さらに好ましくは20~80質量%、特に好ましくは30~70質量%である。
【0060】
前記低分子量ポリマー(B)が、金属酸化物の吸着サイトを有するモノマー(B1)由来の構造単位及び芳香族系モノマー(B3)に由来する構造単位を有する場合、芳香族系モノマー(B3)由来の構造単位100質量部に対する、金属酸化物の吸着サイトを有するモノマー(B1)由来の構造単位の含有量は、好ましくは0.1~50質量部、より好ましくは1~30質量部、さらに好ましくは3~20質量部である。
また、前記低分子量ポリマー(B)が、低Tg(メタ)アクリル酸エステル(B2)由来の構造単位及び芳香族系モノマー(B3)由来の構造単位を有する場合、芳香族系モノマー(B3)由来の構造単位100質量部に対する、低Tg(メタ)アクリル酸エステル(B2)由来の構造単位の含有量は、好ましくは20~300質量部、より好ましくは40~200質量部、さらに好ましくは60~150質量部である。
【0061】
前記低分子量ポリマー(B)を構成する重合性モノマー由来の構造単位100質量%中、金属酸化物の吸着サイトを有するモノマー(B1)由来の構造単位と、低Tg(メタ)アクリル酸エステル(B2)由来の構造単位と、芳香族系モノマー(B3)由来の構造単位との合計含有割合は、例えば60質量%以上、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上であり、100質量%であってもよい。
【0062】
前記低分子量ポリマー(B)は、主鎖の末端に極性官能基を有するポリマーであることも好ましい。前記組成物2に含まれる低分子量ポリマー(B)は主鎖の末端に極性官能基を有するポリマーであるが、前記組成物1に含まれる低分子量ポリマー(B)も主鎖の末端に極性官能基を有するポリマーであってよい。主鎖の末端に極性官能基を有することにより、金属酸化物粒子(A)の表面に低分子量ポリマー(B)が配向し、分散用組成物や粘着剤組成物における金属酸化物粒子(A)の分散安定性が向上する。特に、分散用組成物や粘着剤組成物を一定期間(例えば、24時間)保存した後であっても良好な分散性を維持できる点において好ましい。さらに、主鎖の末端に極性官能基を有することにより、後述する有機溶剤との相溶性も高めることができる。この分散安定性と相溶性の向上により、得られる粘着剤の透明性を高めることができ、好ましくは高い屈折率を示しつつ、透明性を高めることができる。
【0063】
また、従来のポリマー分散剤を用いた場合には、後述の有機溶剤として、トルエンやキシレン等の芳香族炭化水素化合物の含有量が少ない、または芳香族炭化水素化合物を含まない溶剤(以下、非芳香族系溶剤という場合がある)が採用された場合に、得られる分散用組成物や粘着剤組成物における金属酸化物粒子(A)の凝集が発生するという問題があったところ、主鎖末端に極性官能基を有する低分子量ポリマー(B)を用いることにより、そのような凝集の発生しやすい態様においても、分散安定性が良好な分散用組成物や粘着剤組成物を提供できる。
【0064】
前記極性官能基としては、アミノ基、アミド基、スルホ基、カルボキシ基、リン酸基、ホスホン酸基、加水分解性アルコキシシリル基、イソシアネート基、ヒドロキシ基、チオール基、エポキシ基、及びオキサゾリン基等が挙げられ、中でも、アミノ基、アミド基、スルホ基、カルボキシ基、リン酸基、ホスホン酸基、加水分解性アルコキシシリル基、ヒドロキシ基、チオール基が好ましく、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、スルホ基、リン酸基、ホスホン酸基、加水分解性アルコキシシリル基がより好ましく、カルボキシ基、スルホ基、リン酸基、ホスホン酸基、加水分解性アルコキシシリル基がさらに好ましく、カルボキシ基が特に好ましい。
【0065】
主鎖末端に極性官能基を有する低分子量ポリマー(B)は、例えば、重合工程において、チオール基等の連鎖移動反応に関与する基と極性官能基とを有する連鎖移動剤を用いることにより製造できる。すなわち、主鎖末端に極性官能基を有する低分子量ポリマー(B)は、極性官能基を有する連鎖移動剤(B4)由来の構造単位を有することが好ましい。
【0066】
前記極性官能基を有する連鎖移動剤(B4)としては、メルカプト酢酸、3-メルカプトプロピオン酸、メルカプトコハク酸等のカルボキシ基を有する連鎖移動剤;2-メルカプトエタノール、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール等のヒドロキシ基を有する連鎖移動剤;2-アミノエタンチオール等のアミノ基を有する連鎖移動剤;2-メルカプトエタンスルホン酸塩(例えば、2-メルカプトエタンスルホン酸ナトリウム)等のスルホ基を有する連鎖移動剤;モノ(2-メルカプトエチル)リン酸エステル等のリン酸基を有する連鎖移動剤;3-メルカプトプロピルホスホン酸等のホスホン酸基を有する連鎖移動剤;3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のメルカプト基を有するアルコキシシラン化合物等の加水分解性アルコキシシリル基を有する連鎖移動剤;メルカプトアセトアミド等のアミド基を有する連鎖移動剤;1,6-ヘキサンジチオール等のチオール基を有する連鎖移動剤;等が挙げられる。前記低分子量ポリマー(B)は、極性官能基を有する連鎖移動剤(B4)由来の構造単位を1種又は2種以上含んでもよい。
【0067】
前記低分子量ポリマー(B)100質量%中の極性官能基を有する連鎖移動剤(B4)に由来する構造単位の割合は、例えば0~20質量%、好ましくは1~10質量%、より好ましくは3~8質量%である。(B4)に由来する構造単位の割合を所定値以上とすることで、分散用組成物や粘着剤組成物の分散安定性や、有機溶剤(特に、非芳香族系溶剤)との相溶性をより高めることができる。また(B4)に由来する構造単位の割合を所定値以下とすることで、前記低分子量ポリマー(B)の重量平均分子量が小さくなりすぎるのを抑制でき、その結果、金属酸化物粒子(A)の凝集をより抑制できる。
【0068】
なお、金属酸化物の吸着サイトを有するモノマー(B1)に由来する構造単位及び極性官能基を有する連鎖移動剤(B4)に由来する構造単位の合計割合は、分散安定性をさらに高める観点から、前記低分子量ポリマー(B)100質量%中、例えば、1~30質量%、好ましくは2~20質量%、より好ましくは3~15質量%である。
また、前記低分子量ポリマー(B)が、芳香族系モノマー(B3)由来の構造単位及び極性官能基を有する連鎖移動剤(B4)由来の構造単位を有する場合、芳香族系モノマー(B3)由来の構造単位100質量部に対する、極性官能基を有する連鎖移動剤(B4)由来の構造単位の含有量は、好ましくは0.1~30質量部、より好ましくは1~20質量部、さらに好ましくは5~15質量部である。
【0069】
前記低分子量ポリマー(B)100質量%中、金属酸化物の吸着サイトを有するモノマー(B1)由来の構造単位と、低Tg(メタ)アクリル酸エステル(B2)由来の構造単位と、芳香族系モノマー(B3)由来の構造単位と、極性官能基を有する連鎖移動剤(B4)由来の構造単位の合計含有割合は、例えば60質量%以上、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上であり、100質量%であってもよい。
【0070】
前記低分子量ポリマー(B)の含有割合は、分散用組成物中、例えば1~50質量%、好ましくは3~30質量%、より好ましくは5~20質量%である。
【0071】
前記低分子量ポリマー(B)は、公知の方法で製造できる。例えば、前述の重合性モノマー(金属酸化物の吸着サイトを有するモノマー(B1)、低Tg(メタ)アクリル酸エステル(B2)、芳香族系モノマー(B3)、その他のモノマー(P))を重合することにより得ることができる。また、該重合は、必要に応じて極性官能基を有する連鎖移動剤(B4)等の連鎖移動剤の存在下で行ってもよい。重合方法としては、公知の重合方法を採用することができ、例えば、溶液重合法、バルク重合法、懸濁重合法、乳化重合法等が挙げられる。中でも溶液重合法が好ましい。なお、各重合法に用いる好ましい重合性モノマーや連鎖移動剤の種類、組み合わせ、配合比等は、上述の低分子量ポリマー(B)を形成するための重合性モノマーや連鎖移動剤について説明した好ましい形態に準じる。以下溶液重合法における好ましい製造方法について詳述するが、これに限定されるものではない。
【0072】
溶液重合法を行う際の具体的手段および条件については、従来公知の溶液重合方法における手段および技術を適宜選択し採用することができる。例えば、有機溶剤及び重合開始剤、並びに必要に応じて用いられる連鎖移動剤の存在下、重合性モノマーを重合する方法が挙げられる。
【0073】
前記重合開始剤としては、具体的には、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、t-ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t-ブチルパーオキシオクトエート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、ラウロイルパーオキサイド等の過酸化物系重合開始剤;アゾビスイソブチロニトリル、2,2-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、2,2-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2-アゾビス(2-ジアミノプロパン)ハイドロクロライド、4,4-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、2,2-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)等のアゾ系重合開始剤;等の公知の重合開始剤が挙げられる。重合開始剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記重合開始剤の量は、重合性モノマー100質量部に対して、0.01~3質量部であることが好ましい。
【0074】
前記有機溶剤としては、後述の分散用組成物に含まれ得る有機溶剤として説明する有機溶剤が挙げられ、その好ましい態様も同様である。
特に、重合時の溶剤として、分散用組成物に含まれる有機溶剤を使用することにより、反応後の溶液をそのまま分散用組成物の調製に使用することができるため、分散用組成物の製造工程を簡略化することができる。
【0075】
前記有機溶剤の使用量は、反応条件、重合性モノマーの組成等に応じて、所望する物性を備えたポリマーが得られるように、適宜決定すればよいが、例えば重合性モノマー100質量部に対して、10~300質量部であることが好ましく、より好ましくは50~200質量部である。
【0076】
溶液重合法における反応温度及び反応時間等の反応条件は、特に限定されず、重合性モノマーの組成や得られるポリマーに要求される特性等に応じて適宜決定できる。反応温度は例えば0~100℃であり、好ましくは50~95℃、より好ましくは60~90℃であり、反応時間は例えば0.5~30時間、好ましくは1~20時間、より好ましくは3~10時間である。反応圧力も特に限定されるものではなく、常圧(大気圧)、減圧、加圧のいずれであってもよい。なお、重合反応は、窒素ガス等の不活性ガスの雰囲気下で行うことが望ましい。
【0077】
[分散剤]
本発明は、前述の金属酸化物粒子(A)及び低分子量ポリマー(B)に対し、さらに分散剤を添加して得られた分散用組成物も包含する。すなわち、本発明の分散用組成物は、必要に応じて、前記低分子量ポリマー(B)以外の分散剤を含有していてもよい。分散剤を添加することで、分散用組成物や粘着剤組成物における金属酸化物粒子(A)の分散安定性をより高めることができる。
【0078】
前記分散剤としては、金属酸化物粒子(A)の表面処理剤として説明した化合物が挙げられ、中でも有機リン化合物が好ましく、ポリエーテル鎖を有する、リン酸エステル、亜リン酸エステル、ホスホン酸エステルがより好ましい。
【0079】
前記分散剤の含有量は、金属酸化物粒子(A)100質量部に対して、例えば0~35質量部、好ましくは1~30質量部、より好ましくは5~25質量部である。
また前記分散剤の含有量は、分散用組成物100質量%中、例えば、0~15質量%、好ましくは0.1~12質量%、より好ましくは1~9質量%である。
【0080】
[有機溶剤]
本発明の分散用組成物は、必要に応じて、有機溶剤を含有していてもよい。有機溶剤は、低分子量ポリマー重合時の溶剤由来のものであってもよいし、別途希釈剤として添加したものであってもよい。有機溶剤としては、例えば、n-ヘキサン、n-ヘプタンなどの脂肪族炭化水素化合物;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジエチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、ビシクロヘプタン、トリシクロデカン、ヘキサヒドロインデンシクロヘキサン、シクロオクタン、α-ピネン、ターピノーレン、リモネンなどの脂環族炭化水素化合物;トルエン、キシレン、ベンゼン、ソルベントナフサなどの芳香族炭化水素化合物;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル化合物;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン化合物などが挙げられる。中でも、芳香族炭化水素化合物及びエステル化合物から選択される少なくとも1種が好ましく、エステル化合物がより好ましい。
【0081】
有機溶剤は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0082】
なお、トルエンやキシレンなどの芳香族炭化水素化合物は、有害であるため、有機溶剤としては、トルエンやキシレン等の芳香族炭化水素化合物の含有量が少ない、または芳香族炭化水素化合物を含まない有機溶剤(すなわち、非芳香族系溶剤)を採用することが好ましい。従って、毒性の観点からは、芳香族炭化水素化合物(特に、トルエン及びキシレン)の含有量は、前記有機溶剤100質量%中、例えば50質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下であり、1質量%以下または0質量%が特に好ましい。本発明は、特定の低分子量ポリマー(B)を用いているため、トルエンやキシレンの含有量が少なくとも良好な分散安定性を示すことができ、得られる粘着剤が良好な透明性及び屈折率を示すことができる。
【0083】
前記有機溶剤の含有量は、金属酸化物粒子(A)及び低分子量ポリマー(B)の合計100質量部に対して、例えば0~800質量部、好ましくは15~500質量部、より好ましくは30~300質量部である。
また前記有機溶剤の含有量は、分散用組成物100質量%中、例えば、0~90質量%、好ましくは15~80質量%、より好ましくは30~70質量%である。
また、芳香族炭化水素化合物(特に、トルエン及びキシレン)の含有量は、分散用組成物100質量%中、例えば70質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下、特に好ましくは1質量%以下または0質量%である。
【0084】
[その他の成分]
本発明の分散用組成物は、必要に応じて、その他の成分を含有していてもよい。その他の成分には、顔料、老化防止剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤などが含まれる。
【0085】
<粘着剤組成物>
本発明は、前記分散用組成物と粘着性(メタ)アクリル系ポリマー(C)とを含む粘着剤組成物も包含する。
【0086】
[分散用組成物]
粘着剤組成物に含まれる分散用組成物は、上述の通りであり、その好ましい態様も同様である。
【0087】
粘着剤組成物における分散用組成物の含有量は特に限定されないが、粘着剤組成物100質量%中、金属酸化物粒子(A)の量が、例えば5~60質量%、好ましくは10~50質量%、より好ましくは15~45質量%となる量である。また本発明では、屈折率が2以上となる金属酸化物粒子(A)を高濃度で配合することが可能であり、例えば、粘着剤組成物における前記金属酸化物粒子(A)の量を20~60質量%とすることもできる。
【0088】
また、粘着剤組成物100質量%中、低分子量ポリマー(B)の含有量は、例えば1~50質量%、好ましくは2~30質量%、より好ましくは4~20質量%である。
【0089】
[粘着性(メタ)アクリル系ポリマー(C)]
粘着性(メタ)アクリル系ポリマー(C)は、ホモポリマーのガラス転移温度が0℃以下となる低Tg(メタ)アクリル酸エステル(C2)の単独または共重合体である。低Tg(メタ)アクリル酸エステル(C2)の具体例及び好ましい範囲は、上述の低Tg(メタ)アクリル酸エステル(B2)と同じであり、1種単独で用いてもよく、組み合わせて用いてもよい。
【0090】
粘着性(メタ)アクリル系ポリマー(C)100質量%中の低Tg(メタ)アクリル酸エステル(C2)に由来する構造単位の割合(PC)は、例えば5~100質量%、好ましくは10~80質量%、より好ましくは20~60質量%である。
【0091】
また、粘着剤組成物に含まれる粘着性(メタ)アクリル系ポリマー(C)中の低Tg(メタ)アクリル酸エステル(C2)単位の質量割合(PC)と、低分子量ポリマー(B)中の低Tg(メタ)アクリル酸エステル(B2)単位の質量割合(PB)とは、近いことが好ましい。これら質量割合が近いと、粘着性(メタ)アクリル系ポリマー(C)と低分子量ポリマー(B)との親和性が良好になる。低分子量ポリマー(B)中の低Tg(メタ)アクリル酸エステル(B2)単位の質量割合(PB)は、粘着性(メタ)アクリル系ポリマー(C)中の低Tg(メタ)アクリル酸エステル(C2)単位の質量割合(PC)に対して、例えば0.3~3倍、好ましくは0.5~2倍、より好ましくは0.8~1.8倍である。
【0092】
粘着性(メタ)アクリル系ポリマーは、前記低Tg(メタ)アクリル酸エステル(C2)と極性基含有モノマー(C1)との共重合体であることが好ましい。極性基含有モノマー(C1)を共重合させることで、粘着性(メタ)アクリル系ポリマーの強度を高めることができる。
【0093】
前記極性基含有モノマー(C1)としては、アミノ基、アミド基、カルボキシ基、リン酸基、ホスホン酸基、加水分解性アルコキシシリル基、イソシアネート基、ヒドロキシ基、チオール基、エポキシ基、及びオキサゾリン基から選ばれる1つ以上の極性基を有するモノマーが挙げられる。極性基含有モノマー(C1)の具体例は、上述の金属酸化物の吸着サイトを有するモノマー(B1)と同じであり、1種単独で用いてもよく、組み合わせて用いてもよい。
【0094】
極性基含有モノマー(C1)としては、アミノ基、アミド基、カルボキシ基、リン酸基、ホスホン酸基、及びヒドロキシ基から選ばれる1つ以上の極性基を有するモノマーが好ましく、アミノ基、アミド基、カルボキシ基、及びヒドロキシ基から選ばれる1つ以上の極性基を有するモノマーがさらに好ましく、アミド基、カルボキシ基、及びヒドロキシ基から選ばれる1つ以上の極性基を有するモノマーが特に好ましい。
【0095】
粘着性(メタ)アクリル系ポリマー(C)100質量%中の極性基含有モノマー(C1)に由来する構造単位の割合は、例えば1~50質量%、好ましくは5~40質量%、より好ましくは10~30質量%である。また、極性基がカルボキシ基である極性基含有モノマーに由来する構造単位の割合は、金属酸化物粒子(A)の凝集をより抑制する観点から、例えば0.1~20質量%、好ましくは0.5~10質量%、より好ましくは1~8質量%である。
また、極性基含有モノマー(C1)に由来する構造単位の含有量は、低Tg(メタ)アクリル酸エステル(C2)に由来する構造単位100質量部に対して、例えば10~100質量部、好ましくは30~90質量部、より好ましくは40~80質量部である。
【0096】
粘着性(メタ)アクリル系ポリマー(C)は、前記低Tg(メタ)アクリル酸エステル(C2)と芳香族系モノマー(C3)との共重合体であることも好ましく、低Tg(メタ)アクリル酸エステル(C2)と極性基含有モノマー(C1)と芳香族系モノマー(C3)との共重合体であることが特に好ましい。芳香族系モノマー(C3)を共重合させることで、得られる粘着剤の屈折率をより高めることができる。
【0097】
芳香族系モノマー(C3)の具体例及び好ましい範囲は、上述の芳香族系モノマー(B3)と同じであり、1種単独で用いてもよく、組み合わせて用いてもよい。
【0098】
粘着性(メタ)アクリル系ポリマー(C)100質量%中の芳香族系モノマー(C3)に由来する構造単位の割合は、例えば10~90質量%、好ましくは20~70質量%、より好ましくは30~60質量%である。
また、芳香族系モノマー(C3)に由来する構造単位の含有量は、低Tg(メタ)アクリル酸エステル(C2)に由来する構造単位100質量部に対して、例えば30~300質量部、好ましくは50~250質量部、より好ましくは100~200質量部である。
【0099】
粘着性(メタ)アクリル系ポリマー(C)100質量%中、低Tg(メタ)アクリル酸エステル(C2)由来の構造単位と、極性基含有モノマー(C1)由来の構造単位と、芳香族系モノマー(C3)由来の構造単位の合計含有割合は、例えば60質量%以上、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上であり、100質量%以下であってもよい。
【0100】
粘着性(メタ)アクリル系ポリマー(C)は、低Tg(メタ)アクリル酸エステル(C2)、極性基含有モノマー(C1)、及び芳香族系モノマー(C3)以外のモノマー(Q)が共重合していてもよい。前記モノマー(Q)としては、上述のモノマー(P)と同じものが例示できる。
【0101】
粘着性(メタ)アクリル系ポリマー(C)の重量平均分子量は、例えば20万~100万、好ましくは25万~80万、より好ましくは30万~60万である。
【0102】
粘着剤組成物における粘着性(メタ)アクリル系ポリマー(C)の含有量は特に限定されないが、粘着性(メタ)アクリル系ポリマー(C)が、金属酸化物粒子(A)及び低分子量ポリマー(B)の合計100質量部に対して、例えば1~60質量部、好ましくは3~30質量部、より好ましくは5~20質量部となる量で含まれている。
【0103】
[有機溶剤]
前記粘着剤組成物は、必要に応じて、有機溶剤を含有していてもよい。前記有機溶剤の具体例及び好ましい態様は、分散用組成物における有機溶剤と同じであり、1種単独で用いてもよく、組み合わせて用いてもよい。なお、粘着剤組成物に含まれる有機溶剤は、分散用組成物由来の有機溶剤であってもよく、粘着性(メタ)アクリル系ポリマー重合時の溶剤由来のものであってもよく、分散用組成物及び粘着性(メタ)アクリル系ポリマー(C)に別途希釈剤として添加した有機溶剤であってもよい。
【0104】
なお、上述の通りトルエンやキシレンなどの芳香族炭化水素化合物は、有害であるため、その含有量は少ない程好ましい。従って、芳香族炭化水素化合物(特に、トルエン及びキシレン)の含有量は、前記有機溶剤100質量%中、例えば50質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下であり、1質量%以下または0質量%が特に好ましい。
【0105】
粘着剤組成物に含まれる有機溶剤の含有量は、金属酸化物粒子(A)及び低分子量ポリマー(B)の合計100質量部に対して、例えば0~600質量部、好ましくは20~450質量部、より好ましくは40~300質量部である。
また前記有機溶剤の含有量は、粘着剤組成物100質量%中、例えば、0~90質量%、好ましくは20~80質量%、より好ましくは30~70質量%である。
また、芳香族炭化水素化合物(特に、トルエン及びキシレン)の含有量は、粘着剤組成物100質量%中、例えば70質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下、特に好ましくは1質量%以下または0質量%である。
【0106】
粘着剤組成物100質量%中の、分散用組成物と、粘着性(メタ)アクリル系ポリマー(C)と、必要に応じて含まれる有機溶剤の合計含有割合は、例えば60~100質量%、好ましくは80~100質量%、より好ましくは90~100質量%、さらに好ましくは95~100質量%である。
【0107】
[架橋剤]
粘着剤組成物は、必要に応じて、架橋剤を含有していてもよい。架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ化合物、メラミン化合物、金属キレート化合物、アジリジン化合物、メルカプト化合物、オキサゾリン化合物等が挙げられ、好ましくは金属キレート化合物、イソシアネート系架橋剤などであり、より好ましくはイソシアネート系架橋剤である。金属キレート化合物及びイソシアネート系架橋剤、特にイソシアネート系架橋剤は、ヒドロキシ基との反応性が高く、架橋剤として優れている。
【0108】
イソシアネート系架橋剤としては、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシリレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート;ブタンジイソシアネート、ペンタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート;水素化キシリレンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、シクロペンチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環式ジイソシアネート;アダクトポリイソシアネート化合物;ビュレットポリイソシアネート化合物;イソシアヌレート環を有するポリイソシアネート化合物などが挙げられる。
【0109】
アダクトポリイソシアネート化合物としては、例えば、「スミジュールL」(住友バイエルウレタン社製);「コロネートL」、「コロネートHL」(いずれも日本ポリウレタン工業(現・東ソー)社製)、「タケネートD101E」(三井化学社製)などが使用できる。ビュレットポリイソシアネート化合物としては、例えば、「スミジュールN」(住友バイエルウレタン社製)などが使用できる。前記イソシアヌレート環を有するポリイソシアネート化合物としては、例えば、「デスモジュールIL」、「デスモジュールHL」(いずれもバイエルA.G.社製);「コロネートEH」、「コロネートHX」(いずれも日本ポリウレタン工業(現・東ソー)社製);「タケネートD110N」、「タケネートD120N」(いずれも三井化学社製)などが挙げられる。
【0110】
架橋剤は、前記粘着性(メタ)アクリル系ポリマー(C)100質量部に対して、例えば、架橋剤の固形分換算で0.01~40質量部、好ましくは0.1~30質量部、より好ましくは0.5~25質量部である。
【0111】
[その他成分]
粘着剤組成物は、必要に応じて、その他の成分を含有していてもよい。その他の成分には、架橋促進剤(パラトルエンスルホン酸、リン酸、塩酸、塩化アンモニウムなどの酸触媒など)、粘着付与剤((重合)ロジン系粘着付与剤、(重合)ロジンエステル系粘着付与剤、テルペン系粘着付与剤、テルペンフェノール系粘着付与剤、クマロン系粘着付与剤、クマロンインデン系粘着付与剤、スチレン樹脂系粘着付与剤、キシレン樹脂系粘着付与剤、フェノール樹脂系粘着付与剤、石油樹脂系粘着付与剤など)、充填剤、顔料、老化防止剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤などが含まれる。その他の成分の含有量は、その種類により適宜調整すればよいが、粘着剤組成物中、例えば0.1~20質量%、好ましくは0.1~10質量%である。
【0112】
本発明の粘着剤組成物から得られる粘着剤は、屈折率及び/又は透明性が高められている。
例えば、本発明の粘着剤組成物の屈折率は、好ましくは1.55以上、より好ましくは1.59以上、さらに好ましくは1.60以上である。また、当該屈折率の上限は特に限定されないが、例えば1.8以下である。粘着剤組成物の屈折率が高いほど、得られる粘着剤の屈折率も高いと言える。
後述する実施例の方法によって測定されるヘーズは、好ましくは10%未満、より好ましくは5%以下、さらに好ましくは3%以下である。また、当該ヘーズの下限は特に限定されないが、例えば0.01以上である。
【0113】
前記粘着剤組成物は、液晶表示装置(LCD)、有機EL表示装置、プラズマディスプレイパネル(PDP)などの画像表示装置や光ディスクにおいて、画像表示部、光源部、記録部、偏光板、位相差板、光学補償フィルム、輝度向上フィルム、光拡散フィルム、保護フィルムなどを適宜貼り合わせる際の粘着剤として使用できる。
また前記粘着剤は、必要に応じて、種々の製品形態に加工でき、粘着シート、粘着ラベル、粘着テープ、両面テープなどにすることもできる。
【実施例0114】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお以下「部」は特に断りがない限り、質量部を意味する。
【0115】
また以下の製造例で得られたポリマーの分子量の測定、並びに実施例・比較例で得られた分散用組成物及び粘着剤組成物の評価は、以下の様にして行った。
(1)分子量測定
ポリマーの重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、及び分子量分布(重量平均分子量と数平均分子量との比、Mw/Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いた標準ポリスチレン換算法により算出した。GPCは、測定装置(品番:HLC-8220GPC、東ソー(株)製)を用いた。そして、下記測定条件で測定した値を、標準ポリスチレン(東ソー(株)製)を用いて換算し、得られた換算値を測定ポリマーの重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)とした。さらに、重量平均分子量と数平均分子量との比から、分子量分布(Mw/Mn)を算出した。
(測定条件)
分離カラム:東ソー(株)製、品番:TSKgel Super HZM-H
抽出溶媒:テトラヒドロフラン
流量:0.35mL/min
注入量:10μL/回
試料濃度:0.2重量%
【0116】
(2)分散安定性
実施例・比較例で得られた分散用組成物及び粘着剤組成物を目視で観察し、以下の基準で評価した。
○:混合から1日経過後に白濁及び沈降のどちらも認められない。
△:混合から1日経過後に白濁及び沈降の少なくとも一方が認められる。
×:混合直後に白濁及び沈降の少なくとも一方が認められる。
【0117】
(3)屈折率
実施例・比較例で得られた粘着剤組成物の屈折率の測定は、下記条件にて測定した。粘着剤組成物の屈折率が高いほど、得られる粘着シート等の粘着剤の屈折率も高いと言える。
装置:ATAGO社製 多波長アッベ屈折計DR-M4型
干渉フィルター:波長589(D)nm
測定温度:20℃
【0118】
(4)ヘーズ
ヘーズの測定は、濁度計(日本電色工業社製 NDH7000)を用いて、以下の粘着シート作製条件にて得られた各サンプルを測定した。ヘーズが小さい程、透明性が良好であるといえる。
【0119】
[粘着シート作製条件]
粘着剤組成物を厚さ50μmのPETフィルム上に塗布し、次いで80℃の温度で3分間乾燥させた。粘着剤層の厚さは25μmであった。この粘着剤層の上面に剥離紙(東洋紡株式会社製、商品名:E-7002)を貼り合わせ、片面が接着面である粘着シートを得た。
【0120】
製造例1(金属酸化物)
2-エチルヘキサン酸ジルコニウムミネラルスピリット溶液(782部、2-エチルヘキサン酸ジルコニウム含有率44質量%、第一希元素化学工業社製)に純水(268部)を混合した。得られた混合液を、攪拌機付きオートクレーブ内に仕込み、該オートクレーブ内の雰囲気を窒素ガスで置換した。その後、混合液を180℃まで加熱し、該温度で16時間保持(オートクレーブ内圧力は0.94MPa)して反応させ、酸化ジルコニウム粒子を生成した。続いて、反応後の混合液を取り出し、底部に溜まった沈殿物を濾別してアセトンで洗浄した後に、乾燥した。乾燥後の前記沈殿物(100部)をトルエン(700部)に分散させたところ、白濁溶液となった。次に、精製工程として、定量濾紙(アドバンテック東洋社製、No.5C)にて再度濾過し、沈殿物中の粗大粒子などを除去した。さらに、濾液を減圧濃縮してトルエンを除去することで白色の酸化ジルコニウムナノ粒子(金属酸化物1)を回収した。
【0121】
電子顕微鏡による個数平均粒子径の測定
酸化ジルコニウムナノ粒子の個数平均粒子径は、超高分解能電解放出型走査電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製、S-4800)で観察することによって測定した。倍率15万倍で酸化ジルコニウムナノ粒子を観察し、任意の100個の粒子について、各粒子の長軸方向の長さを測定し、その平均値を個数平均粒子径とした。電子顕微鏡により測定して得られた酸化ジルコニウムナノ粒子の個数平均粒子径は、12nmであった。
【0122】
製造例2(低分子量ポリマー)
冷却管、窒素ガス導入管、温度計、滴下漏斗及び撹拌機を備えた反応容器内に酢酸エチル156部、3-フェノキシベンジルアクリレート(以下、POB-A;屈折率1.566)50.0部、2-エチルヘキシルアクリレート(以下、2EHA)45.8部、アクリル酸(以下、AA)4.2部、メルカプトプロピオン酸(以下、MPA)4.0部を入れた後、アゾ重合開始剤(日本ヒドラジン工業株式会社製、商品名:ABN-E)0.5部を入れ、窒素ガス雰囲気中にて85℃で6時間反応させることで、固形分40質量%、重量平均分子量が4,000の低分子量ポリマー(低分子量ポリマー1)を含む低分子量ポリマー液1を得た。
【0123】
製造例3(低分子量ポリマー)
冷却管、窒素ガス導入管、温度計、滴下漏斗及び撹拌機を備えた反応容器内にトルエン162部、2EHA62.0部、ブチルアクリレート(以下、BA)30.0部、AA8.0部、ノルマルドデシルメルカプタン(以下、nDM)8.0部を入れた後、アゾ重合開始剤(日本ヒドラジン工業株式会社製、商品名:ABN-E)0.5部を入れ、窒素ガス雰囲気中にて80℃で6時間反応させることで、固形分40質量%、重量平均分子量が4,000の低分子量ポリマー(低分子量ポリマー2)を含む低分子量ポリマー液2を得た。
【0124】
製造例4(粘着性(メタ)アクリル系ポリマー)
冷却管、窒素ガス導入管、温度計、滴下漏斗及び撹拌機を備えた反応容器内に酢酸エチル85.2部、POB-A48.0部、2EHA21.4部、BA10.0部、N-ビニルピロリドン(以下、NVP)17.5部、AA2.5部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(以下、HEMA)0.6部を入れた後、アゾ重合開始剤(日本ヒドラジン工業株式会社製、商品名:ABN-R)0.3部を入れ、窒素ガス雰囲気中にて80℃で8時間反応させることで、固形分質量54%、重量平均分子量が40万の粘着性(メタ)アクリル系ポリマー(粘着ポリマー1)を含む粘着ポリマー液1を得た。
【0125】
製造例5(粘着性(メタ)アクリル系ポリマー)
冷却管、窒素ガス導入管、温度計、滴下漏斗及び撹拌機を備えた反応容器内に酢酸エチル150部、2EHA58.9部、BA20.5部、NVP20.0部、HEMA0.6部を入れた後、アゾ重合開始剤(日本ヒドラジン工業株式会社製、商品名:ABN-R)0.3部を入れ、窒素ガス雰囲気中にて80℃で8時間反応させることで、固形分質量40%、重量平均分子量が40万の粘着性(メタ)アクリル系ポリマー(粘着ポリマー2)を含む粘着ポリマー液2を得た。
【0126】
実施例1
酸化ジルコニウムナノ粒子(金属酸化物1)、トルエン、低分子量ポリマー液1を質量比が金属酸化物1/トルエン/低分子量ポリマー液1/=25.0/40.7/25.0となる割合で混合し、均一になるまで攪拌して分散用組成物1を得た。この分散用組成物1と、粘着ポリマー液1を、質量比が分散用組成物1/粘着ポリマー液1=90.7/9.3になる割合で混合し、均一になるまで攪拌することにより、粘着剤組成物1を調製した。得られた粘着剤組成物の組成を表1に示す。
【0127】
実施例2
酸化ジルコニウムナノ粒子(金属酸化物1)、酢酸エチル、及び低分子量ポリマー液1を質量比が金属酸化物1/酢酸エチル/低分子量ポリマー液1=30.0/45.0/25.0となる割合で混合・攪拌することにより、分散用組成物2を調製した。得られた分散用組成物の組成を表1に示す。
【0128】
実施例3
酸化ジルコニウムナノ粒子(金属酸化物1)、酢酸エチル、及び低分子量ポリマー液1を質量比が金属酸化物1/酢酸エチル/低分子量ポリマー液1=24.0/38.3/27.5となる割合で混合・攪拌して分散用組成物3を得た。この分散用組成物3と、粘着ポリマー液1を、質量比が、分散用組成物3/粘着ポリマー液1=89.8/10.2になる割合で混合し、均一になるまで攪拌にすることにより、粘着剤組成物3を調製した。得られた粘着剤組成物の組成を表1に示す。
【0129】
比較例1
酸化ジルコニウムナノ粒子(金属酸化物1)、トルエン、低分子量ポリマー液2を質量比が金属酸化物1/トルエン/低分子量ポリマー液2/=25.0/37.5/25.0となる割合で混合し、均一になるまで攪拌して分散用組成物4を得た。この分散用組成物4と、粘着ポリマー液2を、質量比が分散用組成物4/粘着ポリマー液2=87.5/12.5になる割合で混合し、均一になるまで攪拌にすることにより、粘着剤組成物4を調製した。得られた粘着剤組成物の組成を表1に示す。
【0130】
比較例2
低分子量ポリマー液1を低分子量ポリマー液2に変更した以外は実施例2と同様にし、分散用組成物5を調製した。得られた分散用組成物の組成を表1に示す。
【0131】
比較例3
低分子量ポリマー液1を低分子量ポリマー液2に変更した以外は実施例3と同様にし、粘着剤組成物6を調整した。得られた粘着剤組成物の組成を表1に示す。
【0132】
実施例及び比較例で得られた分散用組成物、粘着剤組成物の特性を調べた。結果を表1に示す。
【0133】
【表1】
【0134】
本発明の低分子量ポリマーを含む分散用組成物は、分散安定性が良好であり(実施例2)、また本発明の低分子量ポリマーを含む分散用組成物を粘着ポリマーに添加して得られた粘着剤組成物の分散安定性も良好である(実施例1、3)。また、このような粘着剤組成物から得られた粘着シートは、屈折率や透明性が良好である(実施例1、3)。特に、トルエン含有量が少ない、若しくは含まない場合であっても、分散安定性、屈折率、透明性が良好である点で好ましい。