(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178036
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】昆虫収穫量予測装置
(51)【国際特許分類】
A01K 67/033 20060101AFI20241217BHJP
【FI】
A01K67/033 502
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096526
(22)【出願日】2023-06-12
(71)【出願人】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河合 重和
(72)【発明者】
【氏名】蔦岡 雅人
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 浩平
(72)【発明者】
【氏名】久保田 直樹
(57)【要約】
【課題】予測精度が向上された昆虫収穫量予測装置を提供する。
【解決手段】飼育装置20で飼育されるコオロギCの、収穫時における予測収穫量EYを算出する昆虫収穫量予測装置10であって、コオロギCを飼育装置20に投入するときの、コオロギCに関する初期情報IIを取得する初期情報取得部11と、コオロギCの飼育条件BCを取得する飼育条件取得部12と、コオロギCの飼育における今回の飼育条件CBC、およびデータベースDBに基づいて、今回の飼育条件CBCに関する今回パラメータCPを決定するパラメータ決定部13と、今回の初期情報CII、および今回パラメータCPから予測収穫量EYを算出する収穫量算出部14と、を備える、昆虫収穫量予測装置10。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の昆虫が飼育される飼育領域を備える飼育装置で飼育される前記昆虫の、収穫時における予測収穫量を算出する昆虫収穫量予測装置であって、
前記昆虫を前記飼育装置に投入するときの、前記昆虫に関する初期情報を取得する初期情報取得部と、
前記昆虫の飼育条件を取得する飼育条件取得部と、
前記昆虫の飼育における過去の前記飼育条件と、前記昆虫の飼育における過去の初期情報と前記昆虫の飼育における過去の収穫量との関係を記述した過去パラメータと、で構成されたデータベースが格納された記憶装置と、
前記昆虫の飼育における今回の前記飼育条件、および前記データベースに基づいて、今回の前記飼育条件に関する今回パラメータを決定するパラメータ決定部と、
前記昆虫の飼育における今回の前記初期情報、および前記今回パラメータから、前記予測収穫量を算出する収穫量算出部と、を備える、昆虫収穫量予測装置。
【請求項2】
前記初期情報は、前記飼育装置に投入する前記昆虫の投入匹数であり、
前記今回パラメータおよび前記過去パラメータは、前記飼育装置に投入した前記昆虫のうち収穫時まで生存した前記昆虫の割合である生存率と、収穫時における前記昆虫の個体体重である収穫時個体体重と、を含む、請求項1に記載の昆虫収穫量予測装置。
【請求項3】
前記初期情報は、前記飼育装置に投入する前記昆虫の総重量である初期総重量であり、
前記今回パラメータおよび前記過去パラメータは、収穫時における収穫量を前記初期総重量で除した増幅率である、請求項1に記載の昆虫収穫量予測装置。
【請求項4】
前記パラメータ決定部は、前記今回パラメータを、今回の前記飼育条件と同一の前記飼育条件における前記過去パラメータを用いて決定する、請求項1に記載の昆虫収穫量予測装置。
【請求項5】
前記パラメータ決定部は、前記今回パラメータを、今回の前記飼育条件と類似の前記飼育条件における前記過去パラメータを用いて決定する、請求項1に記載の昆虫収穫量予測装置。
【請求項6】
前記今回パラメータを決定するための今回の前記飼育条件は、
前記昆虫に与えられる飼料の種類、前記昆虫が隠れる隠れ場所の設置場所、前記隠れ場所の個数、前記昆虫に飼料を与える給餌手段の設置場所、前記給餌手段の個数、前記昆虫に水を与える給水手段の設置場所、前記給水手段の個数、前記飼育装置内の湿度、前記飼育装置内の明るさ、前記飼育装置内に設置された照明装置の色調、前記飼育装置における音または振動の大きさ等から選ばれる、一つまたは複数である、請求項1に記載の昆虫収穫量予測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昆虫収穫量予測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、昆虫の一種であるコオロギを飼育するコオロギ用の飼育装置が記載されている。飼育装置においては、コオロギに水を与えるために、水を含んだ脱脂綿が置かれた容器を飼育容器内に設けることや、コオロギが物陰に隠れることができるように、軽く丸められた新聞紙を多数飼育容器内に設けること等が、記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
昆虫を生産するにあたって、昆虫の生産計画を立てるために、昆虫の収穫量を予測することが求められる場合がある。そこで、例えば、昆虫を飼育装置に投入する際の投入匹数と、過去の経験に基づいて予め決定されたパラメータと、に基づいて、昆虫の収穫量を予測することが考えられる。
【0005】
しかし、昆虫の収穫量は、飼料の種類や量、飼育装置の温度や湿度等の飼育条件等により変化しうる。このため、予め決定されたパラメータに基づいて昆虫の収穫量を予測する場合、予測精度が低くなることが懸念される。
【0006】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、予測精度が向上された昆虫収穫量予測装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、
複数の昆虫が飼育される飼育領域を備える飼育装置で飼育される前記昆虫の、収穫時における予測収穫量を算出する昆虫収穫量予測装置であって、
前記昆虫を前記飼育装置に投入するときの、前記昆虫に関する初期情報を取得する初期情報取得部と、
前記昆虫の飼育条件を取得する飼育条件取得部と、
前記昆虫の飼育における過去の前記飼育条件と、前記昆虫の飼育における過去の初期情報と前記昆虫の飼育における過去の収穫量との関係を記述した過去パラメータと、で構成されたデータベースが格納された記憶装置と、
前記昆虫の飼育における今回の前記飼育条件、および前記データベースに基づいて、今回の前記飼育条件に関する今回パラメータを決定するパラメータ決定部と、
前記昆虫の飼育における今回の前記初期情報、および前記今回パラメータから、前記予測収穫量を算出する収穫量算出部と、を備える、昆虫収穫量予測装置にある。
【発明の効果】
【0008】
予測収穫量の算出に用いる今回パラメータを、過去の飼育条件およびデータベースに基づいて決定するので、予め決定されたパラメータに基づいて予測収穫量を算出する場合に比べて、昆虫の予測収穫量の予測精度を向上させることができる。以上のごとく、予測精度が向上された昆虫収穫量予測装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態1に係る昆虫収穫量予測装置の概要を示す模式図。
【
図2】実施形態1に係る昆虫収穫量予測装置の構成を示すブロック図。
【
図3】実施形態1に係るデータベースを説明するための図。
【
図4】実施形態1に係る昆虫収穫量予測装置において、生産ロットに対する、生存率および収穫時個体体重の変化を示すグラフ。
【
図5】実施形態1に係る昆虫収穫量予測装置の動作を示すフローチャート。
【
図6】実施形態2に係るデータベースを説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施形態1)
本発明は、飼育装置内で飼育される複数の昆虫の予測収穫量を算出する昆虫収穫量予測装置である。本形態に係る昆虫は、特に限定されず、成長する際に完全変態するものであっても良いし、不完全変態をするものであっても良い。不完全変態をする昆虫は、幼虫と成虫の形状が類似しており、蛹である期間を経ることなく脱皮を繰返すことにより、幼虫から成虫に変態するものをいう。不完全変態をする昆虫としては、例えば、直翅目を好適に用いることができる。直翅目としては、例えば、コオロギ、イナゴ、バッタ等を例示することができる。本形態においては、コオロギが例示される。なお、以下の説明において、複数の同一構成については一部の構成について符号を付し、他の構成については符号を省略する場合がある。
【0011】
1.昆虫収穫量予測装置10の構成
図1に示すように、本形態に係る昆虫収穫量予測装置10は、飼育装置20において飼育される複数のコオロギCの予測収穫量EYを算出する。飼育装置20は、コオロギCを飼育するために用いられる。飼育装置20の形状は特に限定されず、任意の形状を適宜に採用できる。本形態に係る飼育装置20は、上方に開口した箱状に形成されている。飼育装置20の内部は、コオロギCが収容されて飼育される飼育領域20aとされる。飼育装置20の飼育領域20a内には、コオロギCに水を与える給水手段(図示せず)と、餌を与える給餌手段と、が配置されている。
【0012】
コオロギCは、飼育装置20内で所定の段階まで成長すると、飼育装置20から出荷容器50に移替えられて、出荷される。出荷容器50は特に限定されず、上方に開口する容器本体51と、容器本体51の開口部分を塞ぐ蓋部52と、を備える。容器本体51と、蓋部52とは、図示しない係止手段により係止可能に構成されている。容器本体51内にコオロギCが収容された後に、蓋部52と容器本体51とが係止手段により係止された状態で、コオロギCが出荷される。
【0013】
図2に、本形態に係る昆虫収穫量予測装置10の構成を示す。昆虫収穫量予測装置10は、飼育装置20の飼育領域20aに投入されるコオロギCに関する情報に基づいて、収穫時における予測収穫量EYを算出する。昆虫収穫量予測装置10は、初期情報取得部11と、飼育条件取得部12と、パラメータ決定部13と、収穫量算出部14と、記憶装置15と、を備える。
【0014】
昆虫収穫量予測装置10は、入力装置30を介して作業者から種々の情報を取得する。また、昆虫収穫量予測装置10は、教示装置40を介して作業者に情報を教示する。入力装置30は、特に限定されず、キーボード、マウス、ジョイスティック、音声入力装置等、任意の装置を適宜に選択できる。教示装置40は、特に限定されず、液晶ディスプレイ、タブレット端末等任意の装置を適宜に選択できる。
【0015】
記憶装置15は、今回の初期情報CII、今回の飼育条件CBC、今回パラメータCP、予測収穫量EY、およびデータベースDBを格納する。記憶装置15は特に限定されず、半導体メモリ、ハードディスクドライブ等、任意の記憶媒体を適宜に選択できる。
【0016】
図3に示すように、データベースDBは、過去のコオロギCの飼育における過去の飼育条件PBCと、過去パラメータPPと、で構成される。過去パラメータPPは、過去のコオロギCの飼育における、過去の初期情報PIIと、過去のコオロギCの飼育における、過去の収穫量PYと、の関係を記述する。過去パラメータPPは特に限定されないが、本形態においては、コオロギCの飼育におけるコオロギCの過去の生存率PSR、およびコオロギCの飼育における過去の収穫時個体体重PWが用いられる。
【0017】
過去の生存率PSRは、過去のコオロギCの飼育において、飼育装置20に投入したコオロギCのうち収穫時まで生存したコオロギCの割合と定義される。過去の収穫時個体体重PWは、過去のコオロギCの飼育において、収穫時におけるコオロギCの個体体重と定義される。
【0018】
過去の収穫時個体体重PWは、収穫時におけるコオロギCの総重量を、収穫時におけるコオロギCの総匹数で除することにより算出しても良いし、収穫時におけるコオロギCをサンプリングし、サンプリングされたコオロギCの総重量を、サンプリングされたコオロギCの匹数で除することにより算出しても良いし、収穫時におけるコオロギCを撮影した画像データから公知の画像認識装置によってコオロギCを認識し、画像データに基づいて算出しても良い。
【0019】
過去の生存率PSR、および過去の収穫時個体体重PWは、予め算出されて、データベースDBとして記憶装置15に格納されている。
【0020】
図4に示すグラフは、コオロギCの飼育ロットに対する、過去の生存率PSR、および過去の収穫時個体体重PWを示すグラフである。横軸は、コオロギCの飼育ロットを示す。左側の縦軸は、コオロギCの過去の生存率PSRを示す。右側の縦軸は、過去の収穫時個体体重PWを示す。グラフにおいて、黒塗りのシンボルは過去の生存率PSRを表し、白抜きのシンボルは過去の収穫時個体体重PWを表す。データベースDBにおいては、コオロギCの飼育ロットごとの、過去の生存率PSR、および過去の収穫時個体体重PWが格納されている。
【0021】
図4に示すグラフにおいては、飼育ロットが増加するにしたがって、過去の生存率PSR、および過去の収穫時個体体重PWが増加しているが、飼育ロットと、過去の生存率PSR、および過去の収穫時個体体重PWとの関係は、これに限られない。例えば、最適な飼育条件BCを探索する過程で、飼育ロットが増加した場合において、コオロギCの過去の生存率PSRが減少したり、過去の収穫時個体体重PWが減少したりする場合はあり得る。また、過去の生存率PSRと、過去の収穫時個体体重PWとは、互いに独立であっても良いし、関係性を有していても良い。例えば、過去の生存率PSRが低下した場合に過去の収穫時個体体重PWが増加する場合もあり得るし、過去の生存率PSRが増加した場合に過去の収穫時個体体重PWが減少する場合もあり得る。
【0022】
初期情報取得部11は、コオロギCを飼育装置20に投入するときの、コオロギCに関する初期情報IIを取得する。初期情報IIは特に限定されず、投入重量、投入匹数、コオロギCの種類等、任意の情報とすることができる。初期情報IIは、入力部を介して取得しても良いし、飼育装置20に配置された図示しない検知装置によって検知された情報を取得しても良い。初期情報取得部11が取得した初期情報IIは、今回の初期情報CIIとして記憶装置15に格納される。
【0023】
飼育条件取得部12は、飼育装置20においてコオロギCが飼育される飼育条件BCを取得する。飼育条件BCは、特に限定されず、コオロギCに与えられる飼料の種類、コオロギCが隠れる隠れ場所の設置場所、隠れ場所の個数、コオロギCに飼料を与える給餌手段の設置場所、給餌手段の個数、コオロギCに水を与える給水手段の設置場所、給水手段の個数、飼育装置20内の湿度、飼育装置20内の明るさ、飼育装置20内に設置された照明装置の色調、飼育装置20における音または振動の大きさ等から選ばれる、一つまたは複数とすることができる。飼育条件BCは、入力装置30を介して取得することができる。飼育条件取得部12が取得した飼育条件BCは、今回の飼育条件CBCとして記憶装置15に格納される。
【0024】
パラメータ決定部13は、今回のコオロギCの飼育における、今回の飼育条件CBCと、データベースDBと、に基づいて、今回の飼育条件CBCに関する今回パラメータCPを決定する。今回パラメータCPは、今回のコオロギCの飼育における、今回の初期情報CIIと、今回のコオロギCの飼育における予測収穫量EYと、の関係を記述する。今回パラメータCPは特に限定されないが、本形態においては、コオロギCの飼育における、コオロギCの今回の生存率CSR、およびコオロギCの飼育における今回の収穫時個体体重CWが用いられる。決定された今回パラメータCPは、記憶装置15に格納される。
【0025】
収穫量算出部14は、今回の初期情報CIIと、今回パラメータCPとから、今回のコオロギCの飼育における予測収穫量EYを算出する。算出された予測収穫量EYは記憶装置15に格納される。
【0026】
今回のコオロギCの飼育が終了すると、今回の初期情報CIIは、過去の初期情報PIIとして、改めて記憶装置15に格納されるとともに、今回の飼育条件CBCは、過去の飼育条件PBCとして、改めて記憶装置15に格納される。
【0027】
2.昆虫収穫量予測装置10の動作
次に、
図3~
図5を参照して、本形態に係る昆虫収穫量予測装置10の動作について説明する。ただし、昆虫収穫量予測装置10の動作は以下の説明に限定されない。
【0028】
図5に、本形態の昆虫収穫量予測装置10の動作のフローチャートを示す。昆虫収穫量予測装置10が起動されると、初期情報取得部11は、今回の飼育において、複数のコオロギCを飼育装置20に投入するときの、コオロギCに関する今回の初期情報CIIを、取得する(S1)。今回の初期情報CIIとしては、コオロギCの投入重量、コオロギCの投入匹数、コオロギCの種類等が例示される。
【0029】
コオロギCの投入重量は、投入されるすべてのコオロギCの総重量を測定することにより得られる。コオロギCの投入匹数は、投入されるすべてのコオロギCを数えることにより得ても良い。また、コオロギCの投入匹数は、投入されるすべてのコオロギCの重量を、コオロギCの個体平均体重で除することにより算出しても良い。コオロギCの個体平均体重は、投入されるすべてのコオロギCから実測されても良いし、投入されるコオロギCの一部をサンプリングして、サンプリングされたコオロギCについて算出しても良いし、投入されるコオロギCを撮影した画像データから公知の画像認識装置によってコオロギCを認識し、画像データに基づいて算出しても良い。
【0030】
次に、飼育条件取得部12は、今回のコオロギCの飼育における、今回の飼育条件CBCを取得する(S2)。今回の飼育条件CBCは、例えば、入力装置30から入力される構成としても良い。
【0031】
次に、パラメータ決定部13は、今回の飼育条件CBCに関する今回パラメータCPを決定する(S3)。今回パラメータCPを決定する処理が実行されると、パラメータ決定部13は、過去のコオロギCの飼育に関するデータベースDBにアクセスする。パラメータ決定部13は、記憶装置15に格納されたデータベースDBにアクセスすることにより、過去の飼育条件PBCと、過去パラメータPPと、を取得する。
【0032】
本形態においては、パラメータ決定部13は、今回パラメータCPとして、今回の生存率CSRと、今回の収穫時個体体重CWと、を決定する。今回の生存率CSRは特に限定されず、例えば、前回のコオロギCの飼育における過去の生存率PSRとしても良い。また、今回の生存率CSRとしては、過去のコオロギCの飼育における任意の回数の平均の過去の生存率PSRとしても良く、例えば、過去5回の過去の生存率PSRを平均することにより算出しても良い。また、今回の生存率CSRとしては、同一の飼育条件BCで飼育された場合における平均の過去の生存率PSRとしても良く、例えば、特定の飼料で飼育された場合における平均の過去の生存率PSRとしても良い。また、今回の生存率CSRとしては、類似の飼育条件BCで飼育された場合における平均の過去の生存率PSRとしても良い。
【0033】
また、今回の収穫時個体体重CWは、特に限定されず、例えば、前回のコオロギCの飼育における過去の収穫時個体体重PWとしても良い。また、今回の収穫時個体体重CWとしては、過去のコオロギCの飼育における任意の回数の平均の過去の収穫時個体体重PWとしても良く、例えば、過去5回の過去の収穫時個体体重PWとしても良い。また、今回の収穫時個体体重CWとしては、同一の飼育条件BCで飼育された場合における過去の収穫時個体体重PWとしても良く、例えば、特定の飼料で飼育された場合における過去の収穫時個体体重PWとしても良い。また、今回の収穫時個体体重CWとしては、類似の飼育条件BCで飼育された場合における過去の収穫時個体体重PWとしても良い。
【0034】
次に、収穫量算出部14は、今回の初期情報CIIと、算出された今回パラメータCPと、から予測収穫量EYを算出する(S4)。予測収穫量EYの算出方法は特に限定されず、例えば、下記の式(1)により算出することができる。
予測収穫量EY
=投入匹数×今回の生存率CSR×今回の収穫時個体体重CW ・・・(1)
【0035】
また、予測収穫量EYは、投入匹数、今回の生存率CSR、および今回の収穫時個体体重CWを変数とする関数に基づいて、投入匹数、今回の生存率CSR、および今回の収穫時個体体重CWを関数に代入することにより算出する構成としても良い。
【0036】
次に、教示装置40、算出された収穫時個体体重を、例えば液晶ディスプレイに表示することにより、作業者に教示する(S5)。以上により、昆虫収穫量予測装置10の動作が終了する。
【0037】
3.本形態の作用効果
続いて、本形態の作用効果について説明する。本形態は、複数のコオロギCが飼育される飼育領域20aを備える飼育装置20で飼育されるコオロギCの、収穫時における予測収穫量EYを算出する昆虫収穫量予測装置10である。昆虫収穫量予測装置10は、初期情報取得部11と、飼育条件取得部12と、記憶装置15と、パラメータ決定部13と、収穫量算出部14と、を備える。初期情報取得部11は、コオロギCを飼育装置20に投入するときの、コオロギCに関する初期情報IIを取得する。飼育条件取得部12は、コオロギCの飼育条件BCを取得する。記憶装置15は、コオロギCの飼育における過去の飼育条件PBCと、コオロギCの飼育における過去の初期情報PIIと過去のコオロギCの飼育における収穫量との関係を記述した過去パラメータPPと、で構成されたデータベースDBが格納する。パラメータ決定部13は、コオロギCの飼育における今回の飼育条件CBC、およびデータベースDBに基づいて、今回の飼育条件CBCに関する今回パラメータCPを決定する。収穫量算出部14は、コオロギCの飼育における今回の初期情報CII、および今回パラメータCPから予測収穫量EYを算出する。
【0038】
本形態によれば、予測収穫量EYの算出に用いる今回パラメータCPを、過去の飼育条件PBCおよびデータベースDBに基づいて決定するので、予め決定されたパラメータに基づいて予測収穫量EYを算出する場合に比べて、コオロギCの予測収穫量EYの予測精度を向上させることができる。
【0039】
本形態に係る初期情報IIは、飼育装置20に投入するコオロギCの投入匹数であり、今回パラメータCPおよび過去パラメータPPは、飼育装置20に投入したコオロギCのうち収穫時まで生存したコオロギCの割合である生存率と、収穫時におけるコオロギCの個体体重である収穫時個体体重と、を含む。
【0040】
また、本形態に係るパラメータ決定部13は、今回パラメータCPを、今回の飼育条件CBCと同一の飼育条件BCにおける過去パラメータPPを用いて決定する。今回の飼育条件CBCと同一の飼育条件BCにおける過去パラメータPPを用いて今回パラメータCPを決定するので、コオロギCの収穫量の予測精度を向上させることができる。
【0041】
また、本形態に係るパラメータ決定部13は、今回パラメータCPを、今回の飼育条件CBCと類似の飼育条件BCにおける過去パラメータPPを用いて決定する。今回の飼育条件CBCと類似の飼育条件BCにおける過去パラメータPPを用いて今回パラメータCPを決定するので、コオロギCの収穫量の予測精度を向上させることができる。
【0042】
今回パラメータCPを決定するための飼育条件BCは、コオロギCに与えられる飼料の種類、コオロギCが隠れる隠れ場所の設置場所、隠れ場所の個数、コオロギCに飼料を与える給餌手段の設置場所、給餌手段の個数、コオロギCに水を与える給水手段の設置場所、給水手段の個数、飼育装置20内の湿度、飼育装置20内の明るさ、飼育装置20内に設置された照明装置の色調、飼育装置20における音または振動の大きさ等から選ばれる、一つまたは複数である。
【0043】
本形態によれば、今回パラメータCPを決定するために、飼育条件BCを緻密に考慮することができるので、コオロギCの収穫量の予測精度を向上させることができる。
【0044】
(実施形態2)
次に、
図5および
図6を参照して、実施形態2について説明する。本形態においては、
図5のS1において、初期情報取得部11は、投入時におけるコオロギCの初期総重量を取得する。初期総重量は、飼育装置20に投入するコオロギCの総重量である。
【0045】
また、
図6に示すように、本形態のデータベースDBには、過去パラメータPPとして、過去の増幅率PARが予め算出されて、記憶装置15に格納されている。過去の増幅率PARは、コオロギの過去の初期総重量に対する、過去の収穫量PYの割合である。
【0046】
また、本形態においては、
図5のS3において、パラメータ決定部は、今回パラメータCPとして、今回の増幅率CARを決定する。
【0047】
今回の増幅率CARは、前回の初期総重量に対する、前回の収穫量の割合としても良い。また、今回の増幅率CARは、過去のコオロギCの飼育における複数回(例えば5回)の平均の過去の増幅率PARでもよい。また、今回の増幅率CARは、同一の飼育条件BCで飼育された場合における過去の増幅率PARとしても良く、例えば、特定の飼料で飼育された場合における過去の増幅率PARとしても良い。また、今回の増幅率CARは、類似に飼育条件BCで飼育された場合における過去の増幅率PARとしても良い。
【0048】
パラメータ決定部13は、下記の式(2)に基づいて、予測収穫量EYを算出する。
予測収穫量EY=初期総重量×今回の増幅率CAR ・・・ (2)
【0049】
本変形例によれば、コオロギCの飼育を開始する際に飼育装置20に投入するコオロギCの初期総重量と、データベースDBに基づいて算出された今回の増幅率CARと、から予測収穫量EYを算出することができる。これにより、予め決定されたパラメータに基づいて予測収穫量EYを算出する場合に比べて、コオロギCの予測収穫量EYの予測精度を向上させることができる。
【0050】
なお、上記以外の構成については、実施形態1と略同様なので、同一構成については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0051】
本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の実施形態に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0052】
10:昆虫収穫量予測装置、11:初期情報取得部、12:飼育条件取得部、13:パラメータ決定部、14:収穫量算出部、15:記憶装置、20:飼育装置、20a:飼育領域、BC:飼育条件、C:コオロギ、CBC:今回の飼育条件、CII:今回の初期情報、CP:今回パラメータ、CSR:今回の生存率、CW:今回の収穫時個体体重、DB:データベース、EY:予測収穫量、II:初期情報、PBC:過去の飼育条件、PII:過去の初期情報、PP:過去パラメータ、PSR:過去の生存率、PW:過去の収穫時個体体重、PY:過去の収穫量